JP6338049B2 - 光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法 - Google Patents

光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法 Download PDF

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Description

本発明は、光を受けて酸化還元反応の触媒作用を発現する光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法に関する。
近年、光触媒を利用して、例えばエネルギー分野においては光照射によって水を還元して水素ガスなどのエネルギーを得たり、二酸化炭素(CO2 )を還元して一酸化炭素(CO)またはギ酸(HCOOH)などの有機物を得たり、また環境分野においては光照射によって有害物質や有機物を分解することが広く行われている。
光触媒として、III −V族化合物を用いた光触媒半導体素子は、熱などに対する耐久性、耐ガス性、耐溶剤性が高いことにより、例えば高温の動作環境の光触媒反応において好適に使用することができる。
例えば、III −V族化合物として窒化ガリウム(GaN)を用いた光触媒半導体素子は、光触媒反応によってバイアス電圧を印加しない状態(ゼロバイアス)で水から水素ガスを生成させることができる(非特許文献1参照)。また例えば、III −V族化合物として窒化ガリウム(GaN)と窒化インジウム(InN)との混晶である窒化インジウムガリウム(InGaN)を用いた光触媒半導体素子は、波長感度を長波長側にシフトさせることができるため可視光領域の光を利用して水から水素ガスを生成させることができると考えられる。
しかしながら、GaNやInGaNを用いた光触媒半導体素子は、光触媒反応時に、生じた正孔が光触媒半導体素子の表面に留まり、酸素ガスの発生に寄与せずに最表面の半導体層自体を還元して溶解してしまう光腐食(エッチング)が経時的に進行する、という問題がある。エッチングはキャリヤの生成を妨げる原因となるため、長時間にわたって水素ガスを発生させることが困難であった。
このような問題を解決するために、III −V族化合物の層の表面にNiOからなる助触媒を担持させたものが提案されている(非特許文献2参照)。このような光触媒半導体素子によれば、エッチングに対する耐久性が得られ、長時間にわたって水素ガスを発生させることができる。
しかしながら、上記のようなNiOを用いた光触媒半導体素子についても、エネルギー変換効率が十分とは言えず、水素ガスの発生量が十分なものではなかった。
M. Ono, K. Fuji, T. Ito, Y. Iwaki, A. Hirako, T. Yao, and K. Ohkawa, J. Chem. Phys. 126, 054708 (2007). T. Hayashi, M. Deura, K. Ohkawa, Jpn. J. Appl. Phys. 51, 112601 (2012).
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、エッチングに対する耐久性が得られ、さらに、光照射により高いエネルギー変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる光触媒半導体素子、光触媒酸化還元反応装置およびこの装置を用いた光電気化学反応実行方法を提供することにある。
本発明の光触媒半導体素子は、光触媒酸化還元反応における酸化反応用の光触媒半導体素子であって、
基板上にn型GaNからなるキャリヤ移動層を介してGaNおよび/またはInGaNからなる光吸収層が積層され、
当該光吸収層の表面に、CuOよりなる助触媒が担持されていることを特徴とする。
本発明の光触媒半導体素子においては、前記光吸収層がInGaNを含有し、
前記CuOよりなる助触媒による当該光吸収層の表面の被覆率が、0.7〜4面積%であることが好ましい。
本発明の光触媒半導体素子においては、前記光吸収層がGaNよりなり、
前記CuOよりなる助触媒による当該光吸収層の表面の被覆率が、0.4〜2面積%であることが好ましい。
本発明の光触媒半導体素子においては、前記キャリヤ移動層を構成するn型GaNにおけるキャリヤ密度が、1×1017〜1×1019cm-3であることが好ましい。
本発明の光触媒酸化還元反応装置は、電解液に接触した状態とされて互いに電気的に接続された一対の電極のうち陽極が上記の光触媒半導体素子よりなり、
当該光触媒半導体素子の、前記助触媒が担持された光吸収層の表面からなる触媒反応面に光が照射されることにより、酸化反応が当該触媒反応面において生じるものであることを特徴とする。
本発明の光触媒酸化還元反応装置においては、前記光触媒半導体素子の前記触媒反応面に光が照射されると共に一対の電極間にバイアス電圧が印加されることにより、酸化反応が当該触媒反応面において生じる構成とすることができる。
本発明の光電気化学反応実行方法は、上記の光触媒半導体素子を用い、当該光触媒半導体素子の触媒反応面に励起光を照射し、当該触媒反応面において酸化反応を生じさせることを特徴とする。


本発明の光触媒半導体素子によれば、GaNおよび/またはInGaNからなる光吸収層の表面にCuOよりなる助触媒が担持されているために、エッチングに対する耐久性が得られ、さらに、光照射により高いエネルギー変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
CuOよりなる助触媒が担持されていることにより高いエネルギー変換効率が得られる理由としては、光吸収層において発生したキャリヤが助触媒を構成するCuOに容易に移動して当該助触媒において水を酸化して酸素ガスを発生させるために、安定的に酸化還元反応が行われるためと推測することができる。
本発明の光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法によれば、上記の光触媒半導体素子を有するために、触媒反応面への光照射により高いエネルギー変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
本発明の光触媒半導体素子の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の光触媒半導体素子の構成の別の一例を集電用部材が設けられた状態で示す模式的断面図である。 本発明の光触媒酸化還元反応装置の構成の一例を示す模式的断面図である。 実施例1に係るIII −V族窒化物半導体本体〔GaN〕の表面のSEM写真である。 実施例1および比較例1についての光誘起電流密度の時間依存性を示すグラフである。 実施例1および比較例1についての水素ガス発生量(積算量)の時間依存性を示すグラフである。 実施例1〜実施例3についての光誘起電流密度の時間依存性を示すグラフである。 実施例1〜実施例3についての水素ガス発生量(積算量)の時間依存性を示すグラフである。 実施例4および比較例2についての光誘起電流密度の時間依存性を示すグラフである。 実施例4および比較例2についての水素ガス発生量(積算量)の時間依存性を示すグラフである。 実施例4〜実施例6についての光誘起電流密度の時間依存性を示すグラフである。 実施例4〜実施例6についての水素ガス発生量(積算量)の時間依存性を示すグラフである。
以下、本発明について具体的に説明する。
<光触媒半導体素子>
図1は、本発明の光触媒半導体素子の構成の一例を示す模式的断面図である。
本発明の光触媒半導体素子10は、光触媒酸化還元反応装置に用いられるものであって、例えばサファイア、Ga2 3 、GaN、Si、SiC、LiAlO3 、LiGaO3 などよりなる基板25上にn型GaNよりなるキャリヤ移動層22を介してIII −V族化合物からなる光吸収層12が積層されてなり、当該光吸収層12が酸化還元反応において光触媒として機能する。
そして、本発明の光触媒半導体素子10は、当該光吸収層12の表面上に、CuOよりなる助触媒15が担持されていることを特徴とするものである。
〔光吸収層12〕
光吸収層12は、触媒反応面Rに励起光L(図3参照)が照射された場合に、光吸収を生じさせることのできる層であって、この光吸収により当該光吸収層12内部においてはキャリヤが発生され、このキャリヤが触媒反応面Rに輸送されることによって当該触媒反応面Rにおいて酸化反応または還元反応が生ずる。
本発明において、「触媒反応面」とは、CuOよりなる助触媒15が担持された光吸収層12の表面、すなわち光触媒半導体素子10の基板25と反対側の露出面をいう。
光吸収層12は、III −V族化合物からなり、具体的には、GaNおよび/またはInGaNからなる。
例えば、光吸収層12は、アンドープGaNのみからなるもの(以下、「GaNタイプ」ともいう。)とすることができる。
また例えば、光吸収層12は、アンドープInGaNからなる井戸層およびアンドープGaNからなる障壁層が交互に複数、例えば合計20層積層され、最表面がアンドープInGaNからなる層であるもの(以下、「InGaNタイプ」ともいう。)とすることができる。
光吸収層12を構成するIII −V族化合物におけるIII 族原子の供給原料としては、トリメチルガリウム((CH3 3 Ga)(以下、「TMGa」ともいう。)、トリエチルガリウム((C2 5 3 Ga)などのトリアルキルガリウム類;トリメチルインジウム((CH3 3 In)、トリエチルインジウム((C2 5 3 In)などのトリアルキルインジウム類などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光吸収層12を構成するIII −V族化合物におけるV族原子の供給原料としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、モノメチルアミンなどを用いることができる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの供給原料のうち、取り扱いやすさから、アンモニアを用いることが好ましい。
また、光吸収層12を構成するIII −V族化合物は、必要に応じて例えばIII 族原子より原子価の大きい不純物であるケイ素原子(Si)などの不純物をドープしたものとすることができる。このようにIII 族原子よりも原子価の多い不純物がドープされることにより、光吸収層12がn型のものとなる。このようなケイ素原子(Si)の供給原料としては、シラン(SiH4 )、ジシラン(Si2 6 )、モノメチルシラン(Si(CH3 )H3 )などを用いることができる。
このような光吸収層12を構成するIII −V族化合物は、単結晶性が高いことが好ましい。III −V族化合物が単結晶性の高いものであることにより、光吸収層12が結晶欠陥密度の低減されたものとなって光照射により生成されたキャリヤの再結合が抑制されるので、高いエネルギー変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
ここに、「単結晶性が高い」とは、一の単結晶粒と他の単結晶粒とを隔てる粒界の存在する程度が低いこと、および結晶中に存在する転位、析出物、点欠陥などの結晶欠陥が少ないことを示す。
InGaNタイプの光吸収層12を構成するInGaNにおけるIn組成比は、例えば5〜50%であることが好ましい。
光吸収層12を形成するIII −V族化合物のIn組成比などのIII 族原子組成比、V族原子組成比は、通常の組成比の測定方法によって測定することができる。なお、多層構造を有する場合など、各層について直接測定することが難しい場合は、目的とする層を形成するIII −V族化合物と同一の化合物により別途作製した単層状のものについてそのIII 族原子組成比、V族原子組成比を測定することにより、各層の組成比の類推を行うことができる。
本明細書において各層のIII 族原子組成比、およびV族原子組成比は、X線による格子定数の測定、および、従来公知の室温におけるフォトルミネッセンス測定によって行ったものである。X線による格子定数の測定方法としては、適宜の公知の方法を挙げることができ、例えば、触媒反応面Rである(0001)面の垂直方向に対してそれぞれ入射角、反射角が同じになる(0002)面において反射角度を測定することにより、得ることができる。
光吸収層12の厚みは、70〜130nmであることが好ましい。光吸収層12の厚みが前記の範囲にあることにより、光照射によってキャリヤを発生させると共にこの発生されたキャリヤが確実に触媒反応面Rまで導通される。また、光吸収層12を構成するIII −V族化合物の導通性の大小によっては、さらに薄い層やさらに厚い層を用いても実用上問題ない。
InGaNタイプの光吸収層12の井戸層および障壁層の各厚みは、それぞれ5nm程度であることが好ましい。
〔助触媒15〕
助触媒15はCuOよりなり、光吸収層12の表面に例えば島状に分散状態で担持されている。
助触媒15による光吸収層12の表面の被覆率は、光吸収層12がInGaNタイプである場合は、0.7〜4面積%であることが好ましい。また、光吸収層12がGaNタイプである場合は、0.4〜2面積%であることが好ましい。
助触媒15による光吸収層12の表面の被覆率が過度に低い場合は、エッチングが経時的に進行してキャリヤの生成が抑止されるために長時間にわたって水素ガスを発生させることが困難となるおそれがある。一方、助触媒15による光吸収層12の表面の被覆率が過度に高い場合は、理由は不明であるが、酸化還元反応が生じにくい。
助触媒15による光吸収層12の表面の被覆率の測定方法は、以下の通りである。
すなわち、まず、光触媒半導体素子10の表面を走査型電子顕微鏡によって得られるSEM画像について、一辺が5μmの正方形の形状に区画し、EDSのポイントスキャンによってCuOが検出された領域をa、CuOが検出されなかった領域をbとし、これらの領域の数を計測し、式:{a/(a+b)}×100によって算出した。
光吸収層12の表面への助触媒15の被覆方法は、CuOが適宜の溶媒中に溶解または分散された塗布液を、例えばスピンコート法によって光吸収層12の表面に塗布し、乾燥させる方法を採用することができる。
〔キャリヤ移動層22〕
キャリヤ移動層22を構成するn型GaNのキャリヤ密度は、1×1017〜1×1019cm-3であることが好ましい。
キャリヤ移動層22を構成するn型GaNのキャリヤ密度が1×1017cm-3よりも小さい場合は、キャリヤ移動層の高抵抗化により得られる光誘起電流が小さくなってしまうおそれがある。一方、キャリヤ移動層22を構成するn型GaNのキャリヤ密度が1×1019cm-3を超える場合は、多量の不純物添加によりキャリヤ移動層が結晶劣化したものとなってしまうおそれがある。
キャリヤ密度は、van der Pauw法によって、磁場を印加しない場合の電流と電圧の関係が直線的となる電流値に設定して25℃で4000gaussの磁場を印加した状態で測定されるものである。なお、多層構造を有する場合など、各層について直接測定することが難しい場合は、目的とする層を形成するIII −V族化合物と同一の化合物により別途作製した単層状のものについてキャリヤ密度の測定を行うことにより、各層の半導体特性の類推を行うことができる。
キャリヤ移動層22の厚みは、2μm以上とすることができる。
本発明の光触媒半導体素子10は、キャリヤ移動層22および光吸収層12のみからなる構成に限定されず、キャリヤ移動層22の下層としてさらに単数または複数の半導体層が形成されていてもよい。これらの半導体層としては、例えば、集電作用を有する金属との導通性を向上させるためのコンタクト層や、光の利用効率をより向上させるための通常は複数の層で構成される太陽電池層などを挙げることができる。
また、図2に示されるように、基板25とキャリヤ移動層22との間にバッファ層21が介在されていてもよい。この光触媒半導体素子においては、基板25の一面上にバッファ層21を介してn型GaNよりなるキャリヤ移動層22および上記の光吸収層12がこの順に積層されている。
なお、図2において、27は、光触媒半導体素子の触媒反応面R上にチタン層27bおよび金層27aがこの順に積層されて構成される集電用部材であり、29は、はんだ28などにより集電用部材27に接着された導電ワイヤである。これらの集電用部材27などの材質は目的を達することができれば特に限定されない。
このような光触媒半導体素子10におけるバッファ層21やキャリヤ移動層22、光吸収層12の半導体層は、例えば有機金属気相成長法(MOVPE法)による常圧結晶成長法や減圧結晶成長法などの公知の結晶成長法を用いて得ることができる。
具体的には、基板25上に、V族原子の供給原料、III 族原子の供給原料および必要に応じてドープすべき不純物の供給原料をガス伏態において水素ガスや窒素ガスなどのキャリヤガスと共に加熱下において供給することにより、当該基板25上において熱化学反応が生じてこれらの供給原料が構成元素に分解されると共に構成元素同士が互いに反応して、目的とするIII −V族化合物が基板25上に成長して形成される。
バッファ層21を構成するIII −V族化合物を成長させる際の加熱温度(以下、「成長温度」ともいう。)は、好ましくは400〜700℃、さらに好ましくは500〜600℃とされる。この成長温度が過小であると、バッファ層を構成するIII −V族化合物を成長させることが困難になることがあり、一方、この成長温度が過大であると、得られるバッファ層が、その表面上にIII −V族化合物を成長させる際に当該III −V族化合物の単結晶性を高いものとする作用を発揮することができないものとなるおそれがある。
また、キャリヤ移動層22を構成するIII −V族化合物の成長温度は、前記バッファ層21の成長温度より高く、例えば900〜1300℃、好ましくは930〜1050℃とされる。
また、光吸収層12を構成するIII −V族化合物の成長温度は、前記バッファ層21の成長温度より高く、例えばIII −V族化合物がInを含まないものである場合は、例えば900〜1300℃、好ましくは930〜1050℃とされる。III −V族化合物がInを含むものである場合はIn原子の取り込みに適した温度などの観点から、例えば700〜900℃とされる。
ここに、バッファ層21、キャリヤ移動層22および光吸収層12の成長温度は、それぞれの工程時における基板の温度である。
以上の光触媒半導体素子10によれば、光吸収層12の表面上に、CuOよりなる助触媒15が担持されているために、エッチングに対する耐久性が得られ、さらに、光照射により高いエネルギー変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
<光触媒酸化還元反応装置>
図3は、本発明の光触媒酸化還元反応装置の構成の一例を示す模式的断面図である。
本発明の光触媒酸化還元反応装置31は、電解液に接触した状態とされて互いに電気的に接続された一対の電極のうちの一方の電極が、上述の光触媒半導体素子10よりなるものである。この光触媒半導体素子10は、触媒反応面Rのみが電解液に接触されている。
この光触媒酸化還元反応装置31においては、光触媒半導体素子10に対応する他方の電極が、例えば白金などの金属よりなる金属電極38によって構成されており、これにより、一方の電極である光触媒半導体素子10が、その触媒反応面Rにおいて酸化反応が行われる陽極とされ、他方の電極である金属電極38が、その表面において一方の電極の触媒反応面Rにおける電気化学反応に対応する反応、すなわち還元反応が行われる陰極とされる。
この光触媒酸化還元反応装置31においては、触媒反応面Rに光が照射されることにより、光触媒半導体素子10において酸化反応が生じると共に、金属電極38において還元反応が生じる。
光触媒酸化還元反応装置31は、具体的には、酸化槽32Aおよび還元槽32Bが各々の下部において接続チューブ32Cによって連通されると共に、酸化槽32Aおよび還元槽32Bの各々の上部においてこれらと連通した状態に上方に伸びたガス収集管32E,32Fが設けられ、これにより、電解液によって満たされた電解液槽32が構成されている。電解液は、例えば水(H2 O)、水酸化ナトリウム/水酸化カリウム/塩化カリウム水溶液(NaOH/KOH/KCl)などとすることができる。なお、溶媒として水以外のアルコール等を用いて電解液を形成してもよい。
また、酸化槽32Aにおいては、光触媒半導体素子10が、酸化槽32Aの周壁に形成された開口35が当該光触媒半導体素子10の触媒反応面Rが電解液に接触するよう水密に塞がれた状態にO−リング36を介して設けられていると共に、還元槽32Bにおいては、その底部を貫通して上方に伸びる状態に、金属電極38が挿入されており、この光触媒半導体素子10と金属電極38とは、電流計39を介して電気的に接続されている。
この酸化槽32Aの周壁における開口35と対向する部分には、光源(図示せず)からの光Lを電解液を介して触媒反応面Rに照射するための光透過用窓32Dが形成されている。
触媒反応面Rに光Lを照射する光源としては、光吸収層12を構成するIII −V族化合物のバンドギャップより大きいエネルギーを持つ光を放射するものであれば特に限定されず、太陽、水銀ランプ、キセノンランプ、白熱灯、蛍光灯、LED、レーザーなどを用いることができる。
このような光触媒酸化還元反応装置31においては、以下のように光電気化学反応が実行される。すなわち、例えば電解液が水酸化ナトリウム水溶液である場合には、まず、光源から光Lが光透通用窓32Dを介して光触媒半導体素子10の触媒反応面Rに照射されることによって光吸収層において電子(e- )および正孔(h+ )が生成され、この触媒反応面Rの電解液に接触した領域において正孔(h+ )によって電解液中の水酸化物イオン(OH- )または水(H2 O)が酸化される酸化反応が生じると共に、金属電極38の表面における電解液と接触された領域において電流計39を介して光吸収層から移動した電子(e- )によって電解液中の水素イオン(H+ )または水(H2 O)が還元される還元反応が生じる。
その結果、酸化槽32Aの光触媒半導体素子10においては酸素ガスが、還元槽32Bの金属電極38においては水素ガスが生じ、これらの酸素ガスおよび水素ガスは、各々ガス収集管32E,32Fに収集される。
本発明の光触媒酸化還元反応装置および光電気化学反応実行方法によれば、上記の光触媒半導体素子10を有するために、触媒反応面Rへの光照射により高いエネルギー変換効率で酸化還元反応を生じさせることができる。
以上の光触媒酸化還元反応装置31においては、種々の変更を加えることができる。
例えば、一対の電極としてn型のIII −V族化合物からなる光触媒半導体素子10および金属電極38を用いることに限定されず、一対の電極として、n型のIII −V族化合物からなる光触媒半導体素子10とp型のIII −V族化合物からなる光触媒半導体素子(以下、「p型光触媒半導体素子」ともいう。)を用いることもできる。この場合、光触媒半導体素子10が陽極として機能して酸化反応が生じると共にp型光触媒半導体素子が陰極として機能して還元反応が生じる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:光触媒半導体素子の製造例1(GaN−1)〕
(1)III −V族化合物の成長
100kPaでサファイアよりなる基板を水素ガス中にて1052℃で10分間アニールし、その後基板の温度を545℃まで下げ、この基板の(0001)+c面上にV族原子とIII 族原子との割合(V/III 比)が約5000程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給し、10分間で窒化ガリウム(GaN)よりなるバッファ層を成長させた。
次に、基板温度を1020℃まで上昇させ、バッファ層の表面上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を5sccmの流量で継続的に供給し、20分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み1μmのn型GaN層を成長させた。
その後20kPaまで減圧し、1020℃の状態でV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を9sccmの流量で継続的に供給し、40分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み2μmのn型GaN層を成長させた。
その後、n型GaN層上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給し、2分間、アンドープ窒化物ガリウムよりなる厚み100nmの光吸収層を成長させた。
以上のように得られたものをIII −V族窒化物半導体本体〔GaN〕とする。
(2)助触媒の担持
酸化銅(CuO)微粒子と有機溶剤からなる助触媒塗布液を調製した。
一方、上記のIII −V族窒化物半導体本体〔GaN〕の表面を、有機洗浄によって洗浄した後、その表面に、上記の助触媒塗布液を滴下し、スピンコート法によって2000rpmで20秒間コートし、大気雰囲気において500℃で20分間アニールすることにより、CuOよりなる助触媒をIII −V族窒化物半導体本体〔GaN〕の表面に分散状態で担持させた。
このIII −V族窒化物半導体本体〔GaN〕の表面のSEM写真を図4に示す。
以上のように得られた光触媒半導体素子を本発明の光触媒半導体素子〔GaN−1〕とする。
この光触媒半導体素子〔GaN−1〕の表面のCuOよりなる助触媒による被覆率は、1.4面積%であった。
また、光触媒半導体素子〔GaN−1〕のキャリヤ移動層を構成するn型GaNのキャリヤ密度は、別個に単層を成長させたキャリヤ測定用のものをvan der Pauw法により測定したところ、2×1018cm-3であった。
この光触媒半導体素子〔GaN−1〕の表面は鏡面状であった。
〔実施例2:光触媒半導体素子の製造例2(GaN−2)〕
実施例1:光触媒半導体素子の製造例1の(2)助触媒の担持工程において、助触媒塗布液における酸化銅(CuO)の濃度を変更したことの他は同様にして、表面のCuOよりなる助触媒による被覆率が2.0面積%である光触媒半導体素子〔GaN−2〕を作製した。
この光触媒半導体素子〔GaN−2〕の表面は鏡面状であった。
〔実施例3:光触媒半導体素子の製造例3(GaN−3)〕
実施例1:光触媒半導体素子の製造例1の(2)助触媒の担持工程において、助触媒塗布液における酸化銅(CuO)の濃度を変更したことの他は同様にして、表面のCuOよりなる助触媒による被覆率が4.3面積%である光触媒半導体素子〔GaN−3〕を作製した。
この光触媒半導体素子〔GaN−3〕の表面は鏡面状であった。
〔比較例1:光触媒半導体素子の製造例4(GaN−4)〕
実施例1:光触媒半導体素子の製造例1の(2)助触媒の担持工程において、酸化銅(CuO)微粒子の代わりに酸化ニッケル(NiO)微粒子を含有する助触媒塗布液を用いたことの他は同様にして、表面のNiOよりなる助触媒による被覆率が1.2面積%である光触媒半導体素子〔GaN−4〕を作製した。
この光触媒半導体素子〔GaN−4〕の表面は鏡面状であった。
〔実施例4:光触媒半導体素子の製造例5(InGaN−1)〕
(1)III −V族化合物の成長
100kPaでサファイアよりなる基板を水素ガス中にて1052℃で10分間アニールし、その後基板の温度を545℃まで下げ、この基板の(0001)+c面上にV族原子とIII 族原子との割合(V/III 比)が約5000程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給し、10分間で窒化ガリウム(GaN)よりなるバッファ層を成長させた。
次に、基板温度を1020℃まで上昇させ、バッファ層の表面上にV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を5sccmの流量で継続的に供給し、20分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み1μmのn型GaN層を成長させた。
その後20kPaまで減圧し、1020℃の状態でV/III 比が約3800程度となるようトリメチルガリウム(TMGa)およびアンモニア(NH3 )と水素ガスをキャリヤガスとして継続的に供給すると共に10ppmの水素希釈シラン(SiH4 )を9sccmの流量で継続的に供給し、40分間、ケイ素原子(Si)をドープした窒化ガリウム(GaN)よりなる厚み2μmのn型GaN層を成長させた。
その後、基板温度を767℃まで降下させ、n型GaN層上に下記のように厚みが各々5nmの窒化インジウムガリウム(InGaN)よりなる層および窒化ガリウム(GaN)よりなる層のペアを10ペア繰り返し作製し、10ペア目の窒化ガリウム(GaN)よりなる層上に窒化インジウムガリウム(InGaN)よりなる層を作製した。
具体的には、窒化インジウムガリウム(InGaN)層は、トリメチルガリウム(TMGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、アンモニア(NH3 )を窒素ガスをキャリヤガスとして継続的に2分間供給することにより成長させた。また、窒化ガリウム(GaN)層は、トリメチルガリウム(TMGa)、アンモニア(NH3 )を窒素ガスをキャリヤガスとして継続的に2分間供給することにより成長させた。
以上のように得られたものをIII −V族窒化物半導体本体〔InGaN〕とする。
(2)助触媒の担持
酸化銅(CuO)微粒子と有機溶剤からなる助触媒塗布液を調製した。
一方、上記のIII −V族窒化物半導体本体〔InGaN〕の表面を、有機洗浄によって洗浄した後、その表面に、上記の助触媒塗布液を滴下し、スピンコート法によって2000rpmで20秒間コートし、大気雰囲気において500℃で20分間アニールすることにより、CuOよりなる助触媒をIII −V族窒化物半導体本体〔InGaN〕の表面に分散状態で担持させた。
以上のように得られた光触媒半導体素子を本発明の光触媒半導体素子〔InGaN−1〕とする。
この光触媒半導体素子〔InGaN−1〕の表面のCuOよりなる助触媒による被覆率は、2.1面積%であった。
また、光触媒半導体素子〔InGaN−1〕のキャリヤ移動層を構成するn型GaNのキャリヤ密度は、別個に単層を成長させたキャリヤ測定用のものをvan der Pauw法により測定したところ、1×1018cm-3であった。
この光触媒半導体素子〔InGaN−1〕の表面は鏡面状であった。
〔実施例5:光触媒半導体素子の製造例6(InGaN−2)〕
実施例4:光触媒半導体素子の製造例5の(2)助触媒の担持工程において、助触媒塗布液における酸化銅(CuO)の濃度を変更したことの他は同様にして、表面のCuOよりなる助触媒による被覆率が1.2面積%である光触媒半導体素子〔InGaN−2〕を作製した。
この光触媒半導体素子〔InGaN−2〕の表面は鏡面状であった。
〔実施例6:光触媒半導体素子の製造例7(InGaN−3)〕
実施例4:光触媒半導体素子の製造例5の(2)助触媒の担持工程において、助触媒塗布液における酸化銅(CuO)の濃度を変更したことの他は同様にして、表面のCuOよりなる助触媒による被覆率が5.2面積%である光触媒半導体素子〔InGaN−3〕を作製した。
この光触媒半導体素子〔InGaN−3〕の表面は鏡面状であった。
〔比較例2:光触媒半導体素子の製造例8(InGaN−4)〕
実施例4:光触媒半導体素子の製造例5の(2)助触媒の担持工程において、酸化銅(CuO)微粒子の代わりに酸化ニッケル(NiO)微粒子を含有する助触媒塗布液を用いたことの他は同様にして、表面のNiOよりなる助触媒による被覆率が1.2面積%である光触媒半導体素子〔InGaN−4〕を作製した。
この光触媒半導体素子〔InGaN−4〕の表面は鏡面状であった。
〔光触媒酸化還元反応装置の製造例1〜8〕
図3に従って、光触媒酸化還元反応装置を製造した。
具体的には、上記の光触媒半導体素子〔GaN−1〕〜〔GaN−4〕、〔InGaN−1〕〜〔InGaN−4〕、の各々について、触媒反応面を構成する面の外周部分に塩素プラズマでキャリヤ移動層まで露出させ、チタンおよび金を積層させた集電用部材を設けてこれを陽極として用い、導電ワイヤにより陰極に電気的に接続し、陰極としては白金電極を用い、電解液として1mol/LのNaOH水溶液を用い、光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕〜〔GaN−4〕、〔InGaN−1〕〜〔InGaN−4〕を製造した。
触媒反応面を構成する面の中央部分における面積1cm2 の領域に300Wのキセノンランプの光源より光(照射エネルギー密度:100mW/cm2 )が照射される構成とした。
[光電気化学反応テスト]
上記の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕〜〔GaN−4〕、〔InGaN−1〕〜〔InGaN−4〕のそれぞれを用いて、バイアス電圧を印加しない状態(ゼロバイアス)で光誘起電流密度(mA/cm2 )と水素ガスの積算の発生量(mL/cm2 )とを測定した。結果をそれぞれ図5〜図12に示す。
光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕〜〔GaN−4〕、〔InGaN−1〕〜〔InGaN−4〕のいずれにおいても、光電気化学反応テスト後(3時間後)の触媒反応面は鏡面のままであってエッチングは観測されなかった。
図5〜図8において、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕に係るものを〔GaN−1〕、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−2〕に係るものを〔GaN−2〕、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−3〕に係るものを〔GaN−3〕、比較用の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−4〕に係るものを〔GaN−4〕として示した。
また、図9〜図12において、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−1〕に係るものを〔InGaN−1〕、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−2〕に係るものを〔InGaN−2〕、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−3〕に係るものを〔InGaN−3〕、比較用の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−4〕に係るものを〔InGaN−4〕として示した。
図5および図6から明らかなように、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕においては、比較用の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−4〕に比較して大きい光誘起電流密度が得られ、また、高いエネルギー変換効率が得られた。具体的には、比較用の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−4〕におけるエネルギー変換効率が3.5%であるのに対して、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕におけるエネルギー変換効率はが4.4%であった。
同様に、図9および図10から明らかなように、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−1〕においては、比較用の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−4〕に比較して大きい光誘起電流密度が得られ、また、高いエネルギー変換効率が得られた。具体的には、比較用の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−4〕におけるエネルギー変換効率が0.64%であるのに対して、本発明の光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−1〕におけるエネルギー変換効率はが0.87%であった。
また、図7および図8から明らかなように、助触媒による光吸収層の表面の被覆率が0.4〜2面積%の範囲にある光触媒酸化還元反応装置〔GaN−1〕、〔GaN−2〕においては、大きな光誘起電流密度が得られ、また、高いエネルギー変換効率が得られた。
同様に、図11および図12から明らかなように、助触媒による光吸収層の表面の被覆率が0.7〜4面積%の範囲にある光触媒酸化還元反応装置〔InGaN−1〕、〔InGaN−2〕においては、大きな光誘起電流密度が得られ、また、高いエネルギー変換効率が得られた。
10 光触媒半導体素子
12 光吸収層
15 助触媒
21 バッファ層
22 キャリヤ移動層
25 基板
27 集電用部材
27a 金層
27b チタン層
28 はんだ
29 導電ワイヤ
31 光触媒酸化還元反応装置
32 電解液槽
32A 酸化槽
32B 還元槽
32C 接続チューブ
32D 光透過用窓
32E,32F ガス収集管
35 開口
36 O−リング
38 金属電極
39 電流計
L 光
R 触媒反応面

Claims (7)

  1. 光触媒酸化還元反応における酸化反応用の光触媒半導体素子であって、
    基板上にn型GaNからなるキャリヤ移動層を介してGaNおよび/またはInGaNからなる光吸収層が積層され、
    当該光吸収層の表面に、CuOよりなる助触媒が担持されていることを特徴とする光触媒半導体素子。
  2. 前記光吸収層がInGaNを含有し、
    前記CuOよりなる助触媒による当該光吸収層の表面の被覆率が、0.7〜4面積%であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒半導体素子。
  3. 前記光吸収層がGaNよりなり、
    前記CuOよりなる助触媒による当該光吸収層の表面の被覆率が、0.4〜2面積%であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒半導体素子。
  4. 前記キャリヤ移動層を構成するn型GaNにおけるキャリヤ密度が、1×1017〜1×1019cm-3であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光触媒半導体素子。
  5. 電解液に接触した状態とされて互いに電気的に接続された一対の電極のうち陽極が請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光触媒半導体素子よりなり、
    当該光触媒半導体素子の、前記助触媒が担持された光吸収層の表面からなる触媒反応面に光が照射されることにより、酸化反応が当該触媒反応面において生じるものであることを特徴とする光触媒酸化還元反応装置。
  6. 前記光触媒半導体素子の前記触媒反応面に光が照射されると共に一対の電極間にバイアス電圧が印加されることにより、酸化反応が当該触媒反応面において生じることを特徴とする請求項5に記載の光触媒酸化還元反応装置。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光触媒半導体素子を用い、当該光触媒半導体素子の触媒反応面に励起光を照射し、当該触媒反応面において酸化反応を生じさせることを特徴とする光電気化学反応実行方法。
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