JP2015048230A - エレベータの群管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】運転サービスの低下を極力抑えて、交通需要に応じて各号機のカウンタウエイトの積載量を適宜変更して省電力化を図る。
【解決手段】群管理制御装置30は、各号機の運転情報に基づいて所定時間間隔毎に各階の交通需要を推定する交通需要推定部32と、各階の交通需要に基づいてカウンタウエイトの積載量の変更の必要性を判断すると共にその変更量を決定する変更量決定部34と、各号機毎にカウンタウエイトの積載量を個別に変更するための方法を決定する変更方法決定部と、各号機毎にカウンタウエイトを所定の位置に移動させて積載量を変更する変更制御部36とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、カウンタウエイトの積載量を変更可能なエレベータの群管理システムに関する。
トラクション式のエレベータでは、巻上機のシーブに巻き架けられたメインロープの一端部に乗りかごが吊り下げられ、他端部にカウンタウエイトが吊り下げられている。巻上機の駆動によりシーブが回転すると、メインロープを介して乗りかごとカウンタウエイトが互いに反対方向に昇降動作する。
通常、このようなトラクション式のエレベータにおいて、カウンタウエイトの重さは、乗りかごの定格荷重の50%で釣り合うように定められている。この状態をオーババランス率(以下、OB率と称す)50%と呼ぶ。OB率とは、カウンタウエイトの質量と釣り合う乗りかごの積載率のことを言う。
OB率50%でカウンタウエイトと乗りかごが釣り合っている状態では、巻上機に負荷がかからないため、最も少ない電力で乗りかごを運転することができる。しかしながら、乗りかごの積載荷重は常に一定というわけではなく、乗客の人数によって変動する。カウンタウエイトと乗りかごとのバランスが崩れると、例えば乗りかごがカウンタウエイトより重い状態で乗りかごを上昇方向に運転する場合に電力を要する。乗りかごがカウンタウエイトより軽い状態で乗りかごを下降方向に運転する場合も同様であり、電力を要する。このように、電力を必要とする運転のことを「力行運転」と呼んでいる。
一方、乗りかごがカウンタウエイトより重い状態で乗りかごを下降方向に運転する場合には、乗りかごの重みを利用できるので電力を必要としない。乗りかごがカウンタウエイトより軽い状態で乗りかごを上昇方向に運転するも同様であり、電力を必要としない。このように、電力を必要としない運転のことを「回生運転」と呼んでいる。
なお、回生運転時には巻上機が発電機として働くので電力が発生する。この電力のことを「回生電力」と呼んでいる。
ここで、近年の省電力化の要求に伴い、カウンタウエイトの積載量を変更できるようにしたエレベータが提案されている。カウンタウエイトの積載量を変更する方法としては、例えばカウンタウエイトに液体タンクを設け、その液体タンク内に液体を注入あるいは排出する方法がある。また、カウンタウエイトに付加的な錘を着脱可能に取り付ける方法などがある。
特開2008−162782号公報 特開2009−215049号公報 特開2012−56692号公報 特許第484951号公報
しかしながら、このようなエレベータでは、カウンタウエイトを所定の場所に移動させて積載量を変更しなければならないため、その間の運転サービスに影響が生じる。特に、複数台のエレベータ(以下、号機と称す)を有する群管理システムでは、各号機毎にカウンタウエイトの積載量を変更しなければならないため、その間の運転サービスが著しく低下してしまうことになる。
本発明が解決しようとする課題は、運転サービスの低下を極力抑えて、交通需要に応じて各号機のカウンタウエイトの積載量を適宜変更して省電力化を図ることのできるエレベータの群管理システムを提供することである。
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、複数台の号機を有し、これらの号機にはカウンタウエイトの積載量を変更可能な機構が設けられたエレベータの群管理システムにおいて、上記各号機の運転情報に基づいて所定時間間隔毎に各階の交通需要を推定する交通需要推定手段と、この交通需要推定手段によって推定された各階の交通需要に基づいて、上記カウンタウエイトの積載量の変更の必要性を判断すると共にその変更量を決定する変更量決定手段と、この変更量決定手段によって決定された変更量に基づいて、上記各号機毎に上記カウンタウエイトの積載量を個別に変更するための方法を決定する変更方法決定手段と、この変更方法決定手段によって決定された変更方法に従って上記各号機毎に上記カウンタウエイトを所定の位置に移動させて積載量を変更する変更制御手段とを具備する。
図1は一実施形態に係るエレベータの全体構成を示す図である。 図2は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。 図3は同実施形態における群管理制御装置に設けられた変更量決定部の詳細な構成を示すブロック図である。 図4は同実施形態における群管理制御装置に設けられた変更方法決定部の詳細な構成を示すブロック図である。 図5は同実施形態における群管理制御装置のC/W積載量変更処理の全体的な流れを示すフローチャートである。 図6は図5のステップA12で実行されるC/W積載量の変更量決定処理を示すフローチャートである。 図7は図5のステップA13で実行されるC/W積載量の変更量方法決定処理を示すフローチャートである。 図8は同実施形態における平均未応答時間と1台当たりのC/W積載量変更時間と同時変更可能な台数との関係を示す図である。 図9は同実施形態におけるC/W積載量の変更方法を示すスケジュールの一例を示す図である。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は一実施形態に係るエレベータの全体構成を示す図であり、ここではフレキシブルカウンタウエイト(FWC)を備えたエレベータの構成が概略的に示されている。
昇降路11内にエレベータの乗りかご12とカウンタウエイト(吊り合い錘)13が設けられており、それぞれに図示せぬガイドレールに昇降動作可能に支持されている。乗りかご12とカウンタウエイト13はロープ14で接続されており、巻上機15の駆動により、互いに反対方向に昇降動作する。
図1の例では、2:1ローピング形式で乗りかご12とカウンタウエイト13が支持されており、ロープ14の一端は昇降路11の上部にヒッチ16により固定されている。ロープ14の他端側は、乗りかご12の底部に設けられたシーブ17を介して巻上機15に巻き架けられている。巻上機15に巻き架けられたロープ14の他端は、カウンタウエイト13に設けられたシーブ18を介して昇降路11の上部にヒッチ19により固定されている。
ここで、カウンタウエイト13には、積載量を可変可能な機構が設けられている。具体的には、カウンタウエイト13の上部にサブウエイト搭載部20が設けられており、このサブウエイト搭載部20にサブウエイト供給部21から供給される少なくとも1個以上のサブウエイト22が積載される。また、このサブウエイト供給部21は、サブウエイト搭載部20に積まれたサブウエイト22を回収する機能も兼ね備えている。
サブウエイト供給部21は、昇降路11の最上部付近に設置されている。カウンタウエイト13の積載量を変更するときは、乗りかご12を下降させ、カウンタウエイト13をサブウエイト供給部21の設置位置まで移動させる。この状態で、図示せぬサブウエイト供給部21の駆動機構が動作し、サブウエイト22が1つずつサブウエイト搭載部20に供給されるか、あるいは、サブウエイト搭載部20に積まれたサブウエイト22が回収される。
なお、サブウエイト搭載部20やサブウエイト供給部21などの各機構の具体的な構成については本発明とは直接関係しないため、ここではその詳しい説明を省略するものとする。
図2は同実施形態におけるエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
建物内に複数台のエレベータが並設されている。これらのエレベータは、図1に示したようなフレキシブルカウンタウエイト(FWC)を備えている。
なお、以下では、各エレベータのことを「号機」と呼ぶ。図1の例では、A,B,Cの3台の号機が群管理された構成が示されているが、群管理の対象は3台に限らず、何台でも良い。
群管理制御装置30は、乗場呼びやかご呼びに応答して各号機の運転を制御する。「乗場呼び」とは、各階の乗場に設置された乗場呼び釦の操作により登録される呼びの信号のことである。この乗場呼びには、登録階と行先方向(上方向/下方向)の情報を含む。「かご呼び」とは、乗りかご内に設けられた行先階釦の操作により登録される呼びの信号のことである。このかご呼びには、行先階の情報を含む。
この群管理制御装置30には、本発明を実現するための機能構成として、割当制御部31、交通需要推定部32、記憶部33、変更量決定部34、変更方法決定部35、変更制御部36が備えられている。なお、ここでは便宜上、割当制御部31、交通需要推定部32、記憶部33、変更量決定部34、変更方法決定部35、変更制御部36の全てを群管理制御装置30に配置して記述したが、必ずしも同一装置に配置する必要はなく、別々の装置に配置する構成であっても良い。
割当制御部31は、各号機の制御装置40a,40b,40c…から得られる各号機の運行情報に基づいて乗場呼びの割り当て制御を行う。上記運行情報には、各号機の位置、運転方向、かご積載荷重などの情報が含まれる。割当制御部31は、これらの情報に基づいて各号機の中から最適な号機を選出し、その号機に乗場呼びを割り当てる。なお、乗場呼びが割り当てられた号機を「割当号機」と呼ぶ。
交通需要推定部32は、各号機の運転情報に基づいて所定時間間隔毎(例えば5分毎)に各階の交通需要を推定する。記憶部33には、交通需要推定部32によって推定され各階の交通需要が所定時間間隔毎に記憶される。
変更量決定部34は、交通需要推定部32によって推定された各階の交通需要に基づいて、カウンタウエイト43a,43b,43c…の積載量の変更の必要性を判断すると共にその変更量を決定する。
図3に示すように、この変更量決定部34は、特徴的時間帯抽出部34a、第1の平均荷重算出部34b、第2の平均荷重算出部34c、変更量算出部34dを有する。
特徴的時間帯抽出部34aは、記憶部33に記憶された所定時間間隔毎の各階の交通需要を基に交通需要が大きく変化する時間帯を特徴的な時間帯として抽出する。変更量決定部34は、この特徴的時間帯抽出部34aによって抽出された特徴的な時間帯でカウンタウエイト43a,43b,43c…の積載量を変更しておく必要があると判断する。
第1の平均荷重算出部34bは、特徴的時間帯抽出部34aによって抽出された特徴的な時間帯における各号機の平均かご内荷重を算出する。
第2の平均荷重算出部34cは、特徴的な時間帯の前の時間帯における各号機の平均かご内荷重を算出する。
変更量算出部34dは、第1の平均荷重算出部34bによって算出された平均かご内荷重と第2の平均荷重算出部34cによって算出された平均かご内荷重との差分に基づいて変更量を算出する。
変更方法決定部35は、変更量決定部34によって決定された変更量に基づいて、各号機にカウンタウエイト43a,43b,43c…の積載量を個別に変更するための方法(タイミングと順番)を決定する。
図4に示すように、この変更方法決定部35は、変更時間算出部35a、台数決定部35b、作業時間算出部35c、スケジュール作成部35dを有する。
変更時間算出部35aは、変更量決定部34によって決定された変更量に基づいて1台当たりの変更時間を算出する。
台数決定部35bは、変更時間算出部35aによって算出された変更時間と当該時間帯における平均未応答時間とに基づいて同時に変更可能な台数を決定する。
作業時間算出部35cは、台数決定部35bによって決定された同時変更可能な台数に基づいて各号機のカウンタウエイト43a,43b,43c…の積載量の変更に要する作業時間を算出する。
スケジュール作成部35dは、作業時間算出部35cによって算出された作業時間の間にカウンタウエイト43a,43b,43c…の積載量の変更を完了するように、各号機毎にカウンタウエイト43a,43b,43c…の積載量を変更するタイミングと順番を示すスケジュールを作成する。
変更制御部36は、変更方法決定部35によって決定されたタイミングと順番に従って各号機毎に制御装置40a,40b,40c…を介して各号機のカウンタウエイト43a,43b,43c…を所定の位置に移動させて積載量を変更する。
各号機の制御装置40a,40b,40c…は、群管理制御装置30からの指示に従って各号機の運転を制御する。なお、図2では、各号機の構成が簡略的に示されているが、実際には図1のような構成を有する。
A号機には、巻上機41aと、この巻上機41aによって昇降動作する乗りかご42aとカウンタウエイト43aを備える。乗りかご42a内には行先階ボタンや戸開ボタン、戸閉ボタンなどを有する操作盤44aが設けられている。乗りかご42aの底部には積載荷重を検知するための荷重検知器45aが設けられている。
また、カウンタウエイト43aの上部にはサブウエイト搭載部46aが設けられており、昇降路の最上部付近に設置されたサブウエイト供給部47aとの連結により積載量を可変可能な構成を有する。
B号機、C号機についても同様の構成である。
すなわち、B号機には、巻上機41b、乗りかご42b、カウンタウエイト43bを備える。乗りかご42bには操作盤44bと荷重検知器45bが設けられている。カウンタウエイト43bにはサブウエイト搭載部46bが設けられ、サブウエイト供給部47bとの連結により積載量を可変可能な構成を有する。
C号機には、巻上機41c、乗りかご42c、カウンタウエイト43cを備える。乗りかご42cには操作盤44cと荷重検知器45cが設けられている。カウンタウエイト43cにはサブウエイト搭載部46cが設けられ、サブウエイト供給部47cとの連結により積載量を可変可能な構成を有する。
一方、各階の乗場には、乗場呼び釦48a,48b,48c…が設けられている。これらの乗場呼び釦48a,48b,48c…は、上方向または下方向の行先方向を指定するための方向ボタンからなる。各階の乗場呼び釦48a,48b,48c…のいずれかを押下操作すると、当該階の乗場呼びが伝送ケーブル49を介して群管理制御装置30に送られる。
次に、本システムの動作について説明する。
図5は群管理制御装置30のC/W積載量変更処理の全体的な流れを示すフローチャートである。なお、C/Wはカウンタウエイトの略である。
まず、群管理制御装置30の交通需要推定部32によって所定時間間隔毎(例えば5分毎)に各階の交通需要が推定されて記憶部33に記憶される(ステップA11)。
なお、「交通需要」とは、具体的には乗車人数のことであり、所定時間間隔内の乗車人数が多いほど交通需要が高いことなり、逆に所定時間間隔内の乗車人数が少ないほど交通需要が低いことを意味する。なお、乗車人数は、各号機が各階に停止したときの積載荷重の変化から推測できる。
続いて、群管理制御装置30の変更量決定部34によってC/W積載量の変更量決定処理が行われる(ステップA12)。このC/W積載量の変更量決定処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6に示すように、変更量決定部34は、記憶部33に記憶された所定時間間隔毎(例えば5分毎)の各階の交通需要を基に特徴的な時間帯を抽出する(ステップB11)。なお、このときに参照される記憶部33内の各階の交通需要は、例えば1日前あるいは一週間前の同じ曜日で得られた過去のデータである。
「特徴的な時間帯」とは、交通需要が大きく変化する時間帯のことである。具体的には、例えば5分毎に各階の乗車人数を合計し、その合計値が所定値以上に増加した時間から所定値に減少した時間までを特徴的な時間帯として抽出する。一般的には、朝の出勤時間帯や夕方の退勤時間帯などは平常時に比べて交通需要(乗車人数)が大きく変化するので、特徴的な時間帯として抽出されることになる。
なお、例えば基準階に着目し、その基準階から乗車する人数が所定人数以上の状態が例えば30分間継続した場合に、その30分間を交通需要(乗車人数)が大きく変化する特徴的な時間帯としても良い。
このような時間帯では、交通需要が大きいので、C/W積載量を変更することで、省電力の効果を期待できる。したがって、この時間帯に入る前にC/W積載量の変更を完了しておき、変更完了後に当該時間帯での運転(例えば出勤時運転や退勤時運転)を開始することが好ましい。
次に、変更量決定部34は、特徴的な時間帯における各号機の平均かご内荷重(W1データとする)を算出する(ステップB12)。算出方法としては、各号機のかご内荷重の加算和から平均値を求めても良いし、かご呼びの発生頻度を考慮して、例えばかご呼びの発生頻度の高い号機だけを対象にして平均値を算出することでも良い。
また、変更量決定部34は、特徴的な時間帯の前の時間帯における各号機の平均かご内荷重(W2データとする)を算出する(ステップB13)。
「特徴的な時間帯の前の時間帯」とは、交通需要が大きく変化する直前の時間帯のことである。例えば、朝の8:00−8:30が特徴的な時間帯として抽出された場合に、8:00より前の時間帯である。時間幅は特徴的な時間帯と同じすると、7:30−8:00の時間帯になる。この時間帯のW2データを算出する。算出方法としては、W1データを算出する方法と同様である。
W1データとW2データの算出後、変更量決定部34は、両者の差分ΔWを求め、そのΔWの値をC/W積載量の変更量として決定する(ステップB14)。
ΔW=|W1−W2|
このようにして求められた変更量ΔWが特徴的な時間帯に入る前に変更すべきC/W積載量となる。
図5に示すように、変更量ΔWが決定されると、群管理制御装置30の変更方法決定部35によってC/W積載量の変更方法決定処理が行われる(ステップA13)。ここで言う「変更方法」とは、C/W積載量を変更するタイミングと順番のことである。このC/W積載量の変更方法決定処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
図7に示すように、変更方法決定部35は、上記ステップA12で決定されたC/W積載量の変更量ΔWから変更に要する1台当たりの時間を算出する(ステップC11)。この時間は、各号機に備えられたC/W積載量の変更機構の特性によって決まる。
次に、変更方法決定部35は、1台当たりのC/W積載量変更時間と変更を行う時間帯の平均未応答時間とに基づいて同時に変更する台数を決定する(ステップC12)。
「変更を行う時間帯」とは、上記特徴的な時間帯の前の時間帯である。
「未応答時間」とは、乗場呼びが登録されてから、その乗場呼びが割り当てられた号機(割当号機)が当該乗場呼びの登録階に到着するまでの時間である。この未応答時間は、割当制御部31から得られる。「平均未応答時間」は、当該時間帯における各号機の未応答時間の平均である。
図8に平均未応答時間と1台当たりのC/W積載量変更時間と同時変更可能な台数との関係を示す。この図8に示すようなテーブルを参照して同時変更可能な台数を求めても良いし、このテーブルに対応した関係式を作成しておき、その関係式に従って同時変更可能な台数を求めても良い。
次に、変更方法決定部35は、群管理された全台数と同時変更可能な台数から変更に必要な作業時間(総時間)を算出する(ステップC13)。そして、変更方法決定部35は、特徴的な時間帯に入る前に交換作業を完了するように、各号機のC/W積載量の変更スケジュールを作成する(ステップC14)。この場合、上記ステップC13で算出した作業時間(総時間)の間で、同時変更可能な台数を考慮して、どの号機をどのタイミングで変更するのかを決定する。
具体的に説明すると、例えば6台の群管理システムにおいて、1台当たりのC/W積載量の変更時間が「2分30秒」、特徴的な時間帯が「8:00〜8:30」であったとする。特徴的な時間帯に入る前の時間帯の平均未応答時間が「8秒」の場合に、図8のテーブルから同時変更可能な台数は「3台」となる。したがって、上記ステップC13にて、変更に必要な作業時間(総時間)は「5分(2分30秒×2回)」と算出される。上記ステップC14にて、この作業時間5分の間に6台分の号機のC/W積載量の変更を完了するようにスケジュールを作成する。
図9にC/W積載量の変更方法を示すスケジュールの一例を示す。
この例では、「7:55〜8:00」の5分間を作業時間とし、最初にA号機,B号機,C号機のC/W積載量を変更し、次にD号機,E号機,F号機のC/W積載量を変更することが示されている。なお、号機の組み合わせは任意であり、例えば「A号機,B号機,F号機」と「D号機,E号機,C号機」といった組み合わせにしても良い。
図5に戻って、C/W積載量の変更方法を示すスケジュールが決定されると、群管理制御装置30の変更制御部36によって各号機のC/W積載量が変更される(ステップA14)。
図9のスケジュールの例で説明すると、まず、A号機,B号機,C号機の運転サービスを中断し、それぞれのC/Wを所定の位置(サブウエイト供給部の設置位置)まで移動させて積載量を変更する。このときの変更量は、図6のステップB14で求められている。この間、D号機,E号機,F号機は通常の運転サービスを行っている。
次に、D号機,E号機,F号機の運転サービスを中断し、それぞれのC/Wを所定の位置(サブウエイト供給部の設置位置)まで移動させて積載量を変更する。この間、A号機,B号機,C号機は通常の運転サービスに復帰にしている。
このように、各号機のC/W積載量を同時に変更するのではなく、スケジュールに従って個別に変更することで、その間の運転サービスを完全に中断することなく変更作業を完了することができる。また、交通需要に応じて各号機のC/W積載量を変更することで、消費電力を抑えて効率的な運転を行うことができる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、運転サービスの低下を極力抑えて、交通需要に応じて各号機のカウンタウエイトの積載量を適宜変更して省電力化を図ることのできるエレベータの群管理システムを提供することができる。
なお、本実施形態では、図1に示したようにサブウエイトを増減する機構を用いてカウンタウエイトの積載量を変更するものとして説明したが、他の方法でカウンタウエイトの積載量を変更することでも良い。
要するに、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…昇降路、12…乗りかご、13…カウンタウエイト、14…ロープ、15…巻上機、16…ヒッチ、17…シーブ、18…シーブ、19…ヒッチ、20…サブウエイト搭載部、21…サブウエイト供給部、22…サブウエイト、30…群管理制御装置、31…割当制御部、32…交通需要推定部、33…記憶部、34…変更量決定部、35…変更方法決定部、36…変更制御部、40a,40b,40c…号機制御装置、41a,41b,41c…巻上機、42a,42b,42c…乗りかご、43a,43b,43c…カウンタウエイト、44a,44b,44c…操作盤、45a,45b,45c…荷重検知器、46a,46b,46c…サブウエイト搭載部、47a,47b,47c…サブウエイト供給部、48a,48b,48c…乗場呼び釦、49…伝送ケーブル。
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、複数台の号機を有し、これらの号機にはカウンタウエイトの積載量を変更可能な機構が設けられたエレベータの群管理システムにおいて、上記各号機の運転情報に基づいて所定時間間隔毎に各階の交通需要を推定する交通需要推定手段と、この交通需要推定手段によって推定された各階の交通需要に基づいて、上記カウンタウエイトの積載量の変更の必要性を判断すると共にその変更量を決定する変更量決定手段と、この変更量決定手段によって決定された変更量に基づいて、上記各号機毎に上記カウンタウエイトの積載量を個別に変更するための方法として上記各号機の上記カウンタウエイトの積載量を変更するスケジュールを決定する変更方法決定手段と、この変更方法決定手段によって決定されたスケジュールに従って上記各号機毎に上記カウンタウエイトを所定の位置に移動させて積載量を変更する変更制御手段とを具備する。
図1は一実施形態に係るエレベータの全体構成を示す図であり、ここではフレキシブルカウンタウエイト(FCW)を備えたエレベータの構成が概略的に示されている。
建物内に複数台のエレベータが並設されている。これらのエレベータは、図1に示したようなフレキシブルカウンタウエイト(FCW)を備えている。

Claims (4)

  1. 複数台の号機を有し、これらの号機にはカウンタウエイトの積載量を変更可能な機構が設けられたエレベータの群管理システムにおいて、
    上記各号機の運転情報に基づいて所定時間間隔毎に各階の交通需要を推定する交通需要推定手段と、
    この交通需要推定手段によって推定された各階の交通需要に基づいて、上記カウンタウエイトの積載量の変更の必要性を判断すると共にその変更量を決定する変更量決定手段と、
    この変更量決定手段によって決定された変更量に基づいて、上記各号機毎に上記カウンタウエイトの積載量を個別に変更するための方法を決定する変更方法決定手段と、
    この変更方法決定手段によって決定された変更方法に従って上記各号機毎に上記カウンタウエイトを所定の位置に移動させて積載量を変更する変更制御手段と
    を具備したことを特徴とするエレベータの群管理システム。
  2. 上記変更量決定手段は、
    上記交通需要推定手段によって推定された所定時間間隔毎の各階の交通需要を基に交通需要が大きく変化する時間帯を特徴的な時間帯として抽出する特徴的時間帯抽出手段を有し、
    この特徴的時間帯抽出手段によって抽出された特徴的な時間帯で上記カウンタウエイトの積載量を変更する必要があると判断することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
  3. 上記変更量決定手段は、
    上記特徴的な時間帯における上記各号機の平均かご内荷重を算出する第1の平均荷重算出手段と、
    上記特徴的な時間帯の前の時間帯における上記各号機の平均かご内荷重を算出する第2の平均荷重算出手段と、
    上記第1の平均荷重算出手段によって算出された平均かご内荷重と上記第2の平均荷重算出手段によって算出された平均かご内荷重との差分に基づいて変更量を算出する変更量算出手段と
    を有することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
  4. 上記変更方法決定手段は、
    上記変更量決定手段によって決定された変更量に基づいて1台当たりの変更時間を算出する変更時間算出手段と、
    この変更時間算出手段によって算出された変更時間と当該時間帯における平均未応答時間とに基づいて同時に変更可能な台数を決定する台数決定手段と、
    この台数決定手段によって決定された同時変更可能な台数に基づいて上記各号機の上記カウンタウエイトの積載量の変更に要する作業時間を算出する作業時間算出手段と、
    この作業時間算出手段によって算出された作業時間の間に上記各号機の上記カウンタウエイトの積載量の変更を完了するように、上記各号機の上記カウンタウエイトの積載量を変更するタイミングと順番を示すスケジュールを作成するスケジュール作成手段とを有し、
    上記変更制御手段は、
    上記スケジュール作成手段によって作成されたスケジュールに従って上記各号機毎に上記カウンタウエイトを所定の位置に移動させて積載量を変更することを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理システム。
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