JP2015047907A - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】上下Gセンサやストロークセンサを装着することなく、車両挙動が不安定になったときにも車体姿勢を適正化するとともに、ばね下の暴れを防止できるサスペンション制御装置を提供する。【解決手段】車輪速センサ9が検出した車輪速変動量ΔVwに基づいて車両の基本入力量(u1)を算出する基本入力量算出手段(37)と、基本入力量に基づいてダンパ6の減衰力を制御するスカイフック制御手段(90)と、路面凹凸を判定する路面凹凸判定手段(23)とを備え、前記スカイフック制御手段(90)は、路面凹凸が判定された場合、少なくとも路面凹凸が判定された車輪について、路面凹凸が判定される直前の値に比べてダンパ6の減衰力(スカイフック制御目標電流Ash)を増大させる増大処理を所定の継続時間(TB)にわたって行う構成とする。【選択図】図3

Description

本発明は、入力信号に応じて減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパを備えた車両のサスペンション制御装置に関する。
近年、自動車のサスペンションに用いられるダンパとして、減衰力を段階的あるいは無段階に可変制御できる減衰力可変型のものが種々開発されている。減衰力を変化させる機構としては、ピストンに設けたオリフィスの面積をロータリバルブによって変化させる機械式のほか、作動油に磁気粘性流体(Magneto-Rheological Fluid:以下、MRFと記す)を用い、ピストンに設けた磁気流体バルブによってMRFの粘度を制御するMRF式が知られている。このような減衰力可変ダンパ(以下、単にダンパと記す)を装着した車両では、車両の走行状態に応じてダンパの減衰力を可変制御することにより、操縦安定性や乗り心地の向上を図ることが可能となる。
乗心地を向上する手法の1つとして、スカイフック理論に基づくスカイフック制御が知られている。乗心地制御(ばね上制振制御)を行うスカイフック制御では、ばね上の上下方向の移動を抑制するように目標減衰力を設定するため、ばね上速度を検出する必要がある。また、ダンパの特性として、オリフィスの面積やMRFの粘度が一定であったとしても、ストローク速度に応じて減衰力が変化することから、スカイフック制御を行うためにはストローク速度すなわちばね上とばね下との相対変位速度も検出する必要がある。
従来、スカイフック制御を行うサスペンション制御装置では、ばね上の上下速度やストローク速度を検出するために、各輪について上下Gセンサやストロークセンサを装着する必要があった。ところが、ストロークセンサはホイールハウス内またはその近傍に取り付けられることから、配置スペースの確保などが困難である。そこで、この問題を解決すべく、ストロークセンサを設置することなく、ばね上とばね下との相対変位速度を車輪速変動量から算出し、算出した相対変位速度などに基づいて、ダンパの減衰力を制御するようにしたサスペンション制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開平6−48139号公報
しかしながら、特許文献1のサスペンション装置では、車輪がサスペンションのジオメトリにしたがって車体に対して上下方向に相対変位したときに、キャスター角に応じて車輪が車体に対して前後方向にも相対変位することに起因して車輪速度が変動することを利用して、ばね上とばね下との相対変位速度を算出している。したがって、サスペンションに設定されたキャスター角がない場合や微小な場合には相対変位速度を算出することができない、あるいは算出精度が低下してしまう。また、ばね上速度は、追加的に設けた上下Gセンサによって検出するようにしており、スカイフック制御を行うサスペンション制御装置が高コストになる要因となっていた。
さらに、特許文献1のサスペンション装置では、車輪速に基づいて車輪と車体との相対変位速度を算出しているため、スピードバンプなどの大きな路面凹凸を低車速で車両が通過した際には、車輪速に基づく相対変位速度を正確に算出することができず、ばね上振動の収斂性が低下する。ここで、車輪速変動量に基づいて車両の基本入力量を算出し、この基本入力量から求めた車両の状態量に基づいてダンパを制御することが考えられるが、このような制御を行う場合であっても、車輪速変動量から基本入力量を正確に算出することは困難であるため、ばね上振動の収斂性を改善することは難しい。
本発明は、このような従来技術に含まれる課題を解消するべく案出されたものであり、上下Gセンサやストロークセンサを装着することなく、かつサスペンションに設定されたキャスター角にかかわらず、ダンパの減衰力を適正に制御できるサスペンション制御装置を提供することを第1の目的とし、スピードバンプなどの大きな路面凹凸を低車速で車両が通過した際にもばね上振動の収斂性を向上させることができるサスペンション制御装置を提供することを第2の目的とする。
このような課題を解決するために、本発明の一側面によれば、入力信号(Vw)に応じて減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパ(6)を備えた車両(V)のサスペンション制御装置(20)であって、車輪速(Vw)を検出する車輪速センサ(9)と、前記車輪速センサが検出した車輪速変動量(ΔVw)に基づいて前記車両の基本入力量(u)を算出する基本入力量算出手段(37)と、前記基本入力量に基づいて前記減衰力可変ダンパの減衰力を制御するスカイフック制御手段(90)と、車速(Vb)が所定値以下であり、かつ前記車輪速変動量(ΔVw)が所定値を超えたことをもって、路面凹凸を判定する路面凹凸判定手段(23)とを備え、前記スカイフック制御手段(90)は、前記路面凹凸判定手段によって前記路面凹凸が判定された場合、少なくとも前記路面凹凸が判定された車輪について、前記路面凹凸が判定される直前の値に比べて前記減衰力可変ダンパの減衰力(スカイフック制御目標電流Ash)を増大させる増大処理を所定の継続時間(TB)にわたって行う構成とする。ここで、基本入力量とは、サスペンションのジオメトリにかかわりのない、車輪に対する路面などの外部からの入力量のことを意味する。
この構成によれば、検出した車輪速変動量に基づいて車両の基本入力量を算出するこにより、この値から車両の状態量に応じた適正な第1目標電流を算出して減衰力可変ダンパの減衰力を適正に制御できる。これにより、従来必要とされていた上下Gセンサやストロークセンサを省略することができ、コストを低減することができる。また、サスペンションに設定されたキャスター角にかかわらずに、ダンパに対する第1目標電流を適正に設定することができる。そして、車速が所定値以下であり、かつ車輪速変動量が所定値を超えた場合には、路面凹凸の通過と判定し、車輪速信号から基本入力量を推定することが困難な状況として、このような場合には少なくともその車輪についてダンパの減衰力を所定の継続時間にわたって増大させることにより、ばね上振動の収斂性を向上させることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記スカイフック制御手段(90)は、前記路面凹凸を判定したときの前記車輪速変動(ΔVw)が大きいほど前記増大処理の前記継続時間(TB)を長くする構成とすることができる。
路面凹凸判定時の車輪速変動が大きいほど、路面凹凸が大きく、ばね上振動が収斂するまでに長時間を要するものと考えられる。そこで、このような構成とすることにより、路面凹凸が大きい場合にも確実にばね上振動を収斂させることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記スカイフック制御手段(90)は、前輪(3)において前記路面凹凸判定手段(23)によって前記路面凹凸が判定された場合、少なくとも前記路面凹凸が判定された前輪(3FRまたは3FL)において、前記路面凹凸を判定したときの車速(Vb)が低いほど前記増大処理の前記継続時間(TB)を長くする構成とすることができる。
前進走行時に前輪が路面凹凸を通過すると、前輪周辺のばね上が大きく振動した後、後輪が路面凹凸を通過した際にその影響で前輪周辺のばね上が再度振動する。そして、後輪の路面凹凸の通過は車速が低いほど遅くなる。そこで、このような構成にすることにより、前輪が路面凹凸を通過したことによるばね上の振動だけでなく、その後に発生すると予測される後輪の凹凸路面通過によるばね上の振動をも確実に収斂させることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記スカイフック制御手段(90)は、左右輪の一方(3または3)において前記路面凹凸判定手段(23)によって前記路面凹凸が判定された場合、前記一方側の車輪(3または3)のみにおいて前記増大処理を行う構成とすることができる。
この構成によれば、路面凹凸を通過した側の車輪のダンパ減衰力のみを増大させるため、ばね上振動の収斂に効果的な一方側のダンパの減衰力を増大してばね上振動の収斂を図りつつ、ばね上振動の収斂に対する効果が低い他方側のダンパについては増大処理を行わないことで、減衰力の増大によって乗り心地が悪化することを防止できる。
また、本発明の一側面によれば、前記スカイフック制御手段(90)は、左右輪の一方(3または3)において前記路面凹凸判定手段(23)によって前記路面凹凸が判定された場合、左右輪(3および3)において前記増大処理を行うとともに、当該増大処理における前記一方側の前記減衰力可変ダンパの減衰力を他方側の前記減衰力可変ダンパの減衰力よりも大きく設定する構成とすることができる。
左右輪の一方が路面凹凸を通過した場合、通過した一方側のばね上が振動するだけでなく、その影響によって路面凹凸を通過していない他方側のばね上も振動する。そこで、このような構成とすることにより、ばね上振動の早期収斂を図りつつ、必要以上に減衰力が増大して乗り心地が悪化させることを防止できる。
このように本発明によれば、上下Gセンサやストロークセンサを装着することなく、かつサスペンションに設定されたキャスター角にかかわらず、ダンパの減衰力を適正に制御でき、スピードバンプなどの大きな路面凹凸を低車速で車両が通過した際にもばね上振動の収斂性を向上させることができるサスペンション制御装置を提供できる。
第1実施形態に係るサスペンション制御装置を適用した車両の概略構成図 図1に示すサスペンションのモデル図 図1に示すサスペンション制御装置の概略構成を示すブロック図 図3に示す状態量推定部のブロック図 図4に示すばね下荷重一輪モデルにおける車輪速と接地荷重の関係を示すタイムチャート 図4に示すばね下荷重一輪モデルにおける車輪速変動量と接地荷重変動量との相関を示すグラフ 図4に示すばね下荷重一輪モデル計算部のブロック図 図3に示す車体速推定部のブロック図 図8に示す車体速推定部の要部制御ブロック図 図8に示す操舵補正量算出部のブロック図 (A)図4に示す一輪モデルによるばね上速度の推定値とセンサ値とを比較したタイムチャート、(B)図4に示す一輪モデルによるストローク速度の推定値とセンサ値とを比較したタイムチャート 図3に示す路面凹凸判定部のブロック図 図3に示すスカイフック制御部の通常制御部のブロック図 図13に示す目標電流設定部が用いる目標電流マップ 図3に示すスカイフック制御部の増大制御部のブロック図 (A)バンプ通過時の車輪速変動量のタイムチャート(B)バンプ通過時のスカイフック制御目標電流のタイムチャート (A)従来制御によるバンプ通過時のばね上加速度のタイムチャート(B)増大処理を行う本発明に係る制御によるバンプ通過時のばね上加速度のタイムチャート 図3に示すばね下制振制御部のブロック図 車輪速とばね下加速度とを対比して示す周波数応答図 ばね下加速度と図18に示すピークホールド・ランプダウン回路による目標電流とを対比して示すタイムチャート (A)平坦路走行時のローパスフィルタ処理前後の車輪速変動量のタイムチャート、(B)荒れた舗装路走行時のローパスフィルタ処理前後の車輪速変動量のタイムチャート 図3に示す第2ピッチ制御部が用いる目標電流マップ 図3に示す第2ロール制御部が用いる目標電流マップ 図3に示すサスペンション制御装置による減衰力制御の手順を示すフロー図 図24のステップST2で行うスカイフック制御目標電流の算出手順を示すフロー図
以下、本発明に係るサスペンション制御装置20を4輪自動車に適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中では4本の車輪3やそれらに対して配置された要素、すなわち、ダンパ6や車輪速Vw等については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、車輪3FL(左前)、車輪3FR(右前)、車輪3RL(左後)、車輪3RR(右後)と記している。また、符号に添字を付した要素について一部をまとめて指す場合には、例えば、前輪3、後輪3と記している。
≪第1実施形態≫
≪自動車Vの概略構成≫
先ず、図1を参照して、第1実施形態に係る自動車Vの概略構成について説明する。自動車(車両)Vの車体1にはタイヤ2が装着された車輪3が前後左右に設置されており、これら各車輪3がサスペンションアーム4や、スプリング5、減衰力可変式ダンパ(以下、単にダンパ6と記す)等からなるサスペンション7によって車体1に懸架されている。自動車Vには、各種の制御に供されるECU(Electronic Control Unit)8の他、車輪3ごとに設置された各車輪3の車輪速Vwを検出する車輪速センサ9や、車体1の前後加速度Gxを検出する前後Gセンサ10、車体1の横加速度Gyを検出する横Gセンサ11、車体1のヨーレイトγを検出するヨーレイトセンサ12、ステアリング操舵角δfを検出する操舵角センサ13等が車体1の適所に設置されている。
図示は省略するが、自動車Vには、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(Antilock Brake System)、または、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)、あるいは、ABSとTCSとを備え、旋回時のヨーモーメント制御、ブレーキアシスト機能などのための自動ブレーキ機能を備えた車両挙動安定化制御システムとして公知のVSA(Vehicle Stability Assist)制御が可能なブレーキ装置が搭載されている。これらABS、TCSおよびVSAは、推定した車体速Vbに基づく車輪速に対して車輪速センサ9の検出値が所定値以上乖離したことや、ステアリング操舵角δfや車速などに応じて設定した規範ヨーレイトに対してヨーレイトセンサ12の検出値(実ヨーレイト)が所定値以上乖離したことをもってスリップ状態を判定し、走行状態に応じて最適なブレーキ制御またはトラクションコントロール制御を行うことで車両挙動を安定化させる。
また、自動車Vには、ブレーキ装置のブレーキ液圧Pbを検出するブレーキ圧センサや、駆動トルクTeを検出するトルクセンサ、変速機のギヤポジションPgを検出するギヤポジションセンサなどが適所に設定されている。
ECU8は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、通信回線(本実施形態では、CAN14(Controller Area Network))を介して、各車輪3のダンパ6や各センサ9〜13などと接続されている。ECU8やこれらのセンサ9〜13などによってサスペンション制御装置20が構成される。
本実施形態のダンパ6は、詳細な図示は省略するが、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRFが充填された円筒状のシリンダに対してピストンロッドが軸方向に摺動可能に挿入され、ピストンロッドの先端に装着されたピストンがシリンダ内を上部油室と下部油室とに区画し、上部油室と下部油室とを連通する連通路とこの連通路の内側に位置するMLVコイルとがピストンに設けられた公知の構成のものである。
ダンパ6は、シリンダの下端が車輪側部材であるサスペンションアーム4の上面に連結され、ピストンロッドの上端が車体側部材であるダンパベース(ホイールハウス上部)に連結される。模式的に表せば、図2に示すように各ダンパ6は、質量Mを有するばね下(車輪3やナックル、サスペンションアーム4を含むサスペンションスプリングの下側の可動部位)と車体1からなる質量Mを有するばね上とをスプリング5とともに連結している。
ECU8からMLVコイルに電流が供給されると、連通路を流通するMRFに磁界が印可されて強磁性微粒子が鎖状のクラスタを形成する。これにより、連通路を通過するMRFの見かけ上の粘度(以下、単に粘度と記す)が上昇し、ダンパ6の減衰力が増大する。
≪ECU8≫
次に、図3を参照して、サスペンション制御装置20の構成要素のうち、ダンパ6の制御を行うECU8の概略構成について説明する。なお、ECU8は、ダンパ6の制御だけでなく、ABS、TCSおよびVSAの制御も併せて行うものであるが、これらの制御を行う車両挙動制御部についての説明はここでは割愛する。
ECU8は、CAN14を介して上述した各センサ9〜13や車両挙動制御部などが接続する入力部21と、各センサ9〜13の検出信号などから自動車Vの状態量を推定する車両状態量推定部22と、車輪速センサ9の検出信号などから、路面凹凸(車輪3が路面凹凸を通過したこと)を判定する路面凹凸判定部23と、所定の条件に応じてダンパ6の駆動電流を切り換えるべく切換信号Scを出力する切換信号出力部24と、車両状態量推定部22にて算出された各種値や各センサ9〜13などの検出信号から、自動車Vの操縦安定性および乗心地を向上すべく、各ダンパ6の各種制御目標電流を設定してこれらのなかから第1目標電流Atgt1を選択する第1制御目標電流設定部25と、各センサ10、11の検出信号から、自動車Vの乗心地を向上すべく、各ダンパ6の各種制御目標電流を設定してこれらのなかから第2目標電流Atgt2を選択する第2制御目標電流設定部26と、切換信号Scに応じ、第1制御目標電流設定部25で設定された第1目標電流Atgt1および第2制御目標電流設定部26で設定された第2目標電流Atgt2のいずれかに基づいて各ダンパ6(MLVコイル)への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御するダンパ制御部27とを主要素として構成されている。
<車両状態量推定部22>
車両状態量推定部22は、車輪速変動量ΔVwが車輪3の接地荷重変動量に一定の関係を有することを利用して自動車Vの状態量を推定するものであり、車輪速センサ9の検出値に基づき、車両モデルを用いて自動車Vの各種状態量を各輪について推定する状態量算出部31と、状態量算出部31に対する車輪速補正量である車体速Vb(内輪側車体速Vbiおよび外輪側車体速Vbo)を算出する車体速推定部32とを有している。状態量算出部31は、前後左右の各輪に対する一輪モデル計算部33や四輪モデル計算部34、スリップ判定部50(図4参照)を含んでいる。車体速推定部32は、加減速力算出部51や、ステアリング操作による補正量を算出する操舵補正量算出部53などを含んでいる。以下では、車両状態量推定部22の各部について、図4〜図11を参照しながら詳細に説明する。
<状態量算出部31>
図4に示すように、状態量算出部31では、入力した車輪速Vw(信号)が減算器35に加算値として入力する。減算器35には、後述する内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算値として入力しており、減算器35にて各車輪速Vwから内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算されることにより、車輪速Vwが補正されて車輪速変動量ΔVwとなる。すなわち、減算器35は、車輪速Vwに基づいて車輪速変動量ΔVwを算出する車輪速変動量算出手段として機能する。
減算器35に入力する内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboは、後述するように、自動車Vの車速変化や内外輪の旋回半径差に起因する軌跡長さの差による車輪速変動成分を除去するために算出されるものである。つまり、減算器35は、バンドパスフィルタ36に入力する前の各車輪速Vwから、車体速推定部32で算出された内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboを減算することにより、運転者による操作などに起因する車体速Vb成分を車輪速Vwから除去する補正処理を行う補正手段としても機能する。
減算器35から出力された車輪速変動量ΔVwは、バンドパスフィルタ36を介してゲイン回路37に入力する。バンドパスフィルタ36は、0.5〜5Hzの周波数成分を通過させるバンドパス特性を有する。本実施形態では、通信回線としてCAN14を用いており、10〜20msec程度の更新周期で車輪速Vw信号が入力するため、バンドパスフィルタ36は、高周波成分を遮断し且つばね上共振帯の周波数成分(ばね上振動に対応した周波域の信号)を確実に取り出せるように、5Hz程度よりも低い帯域を通過させるローパス特性を有する。一方、車輪速Vw信号がより短い更新周期で入力する場合には、ばね下共振帯の周波数成分をも抽出できるように、例えば20Hzといったより高い帯域のローパス特性を有するバンドパスフィルタ36を用いてもよい。
また、バンドパスフィルタ36は、連続的に入力する車輪速Vw信号からDC成分を除去すべく、0.5Hz程度よりも高い帯域を通過させるハイパス特性を有する。これにより、ばね上振動に対応した5Hz以下の低周波域の信号から、運転者による操作などに起因する車体速Vb成分(制駆動力による車体速成分)を除去することができる。つまり、バンドパスフィルタ36は、車輪速Vwに基づいて車輪速変動量ΔVwを抽出する車輪速変動量抽出手段として機能する。なお、バンドパスフィルタ36によって車輪速Vw信号からDC成分を除去できるため、車輪速Vwから車体速Vbを減算する減算器35を設けない構成とすることも可能である。
ゲイン回路37は、車輪速変動量ΔVwとばね下荷重u(接地荷重変動量)とが一定の相関関係にあることを利用して、各輪の車輪速変動量ΔVwをばね下荷重uに変換する。以下に、ゲイン回路37が利用する車輪速変動量ΔVwとばね下荷重uとの関係について説明する。
例えば、自動車Vが一定速度で平坦路を直進走行している場合、車輪3の接地荷重は一定であり、車輪速Vwも一定である。ここで、車輪3は、接地荷重(ばね下質量M+ばね上質量M)に応じて接地部分が変形しており、タイヤ2の動的荷重半径Rdは無荷重状態に比べて小さくなっている。ところが、例えば時速80km/h程度で走行中に路面の凹凸によって接地荷重が図5(B)に示すように増減すると、タイヤ2の動的荷重半径Rdの変化に起因して、車輪速Vwも接地荷重に対応して図5(A)に示すように増減する。ここでは、路面バウンスにより接地荷重が1Hz程度で変動するのと同様に、車輪速Vwも1Hz程度で変動している。なお、車輪速Vwおよび接地荷重はいずれもセンサによる検出値である。
このときの両センサの検出信号をバンドパス処理(ここでは0.5〜2Hzのバンドパスフィルタを通過させる)して求めたときの車輪速変動量ΔVwを横軸に、接地荷重変動量を縦軸にとったグラフが図6である。図6に示すように、車輪速変動量ΔVwは接地荷重変動量と比例関係になっており、下式として表すことができる。
=kΔVw
ただし、k:比例定数である。
そこで、図4のゲイン回路37は、車輪速変動量ΔVwに比例定数kを乗じて各輪のばね下荷重uを算出する。つまり、ゲイン回路37は、車輪速センサ9が検出した車輪速変動量ΔVwに基づいて自動車Vの基本入力量であるばね下荷重uを算出する基本入力量算出手段として機能する。
このように、車輪速Vwの信号から車体速Vb成分を除去する補正を行うことにより、車速速変動の影響を受けることなく車輪速変動量ΔVwを精度良く算出することができる。また、車輪速Vw信号をばね上振動に対応するバンドパスフィルタ36に通すことにより、車輪速変動量ΔVwに基づいてばね下荷重uを高精度に算出することができる。そして、バンドパスフィルタ36によってばね下振動に対応する周波数域をカットすることにより、車輪速センサ9の検出精度や計測周期・通信速度を必要以上に高めずに済むため、サスペンション制御装置20の汎用性が向上する。
(一輪モデル計算部33)
ゲイン回路37から出力されたばね下荷重uは、一輪モデル計算部33に含まれる一輪モデル38に入力する。一輪モデル計算部33は、一輪モデル38にばね下荷重uを入力することにより、スカイフック制御部90での演算に供されるばね上速度Sおよびサスペンション7のストローク速度Ssといった自動車Vの状態量を演算・出力する。すなわち、一輪モデル38は、車輪速変動量ΔVwを外力として扱うことで自動車Vの各種状態量を算出する状態量算出手段をなす。
ここで、一輪モデル38の一例について詳細に説明すると、前述したように自動車Vの各車輪3は図2に示すように表すことができ、車輪3のばね下荷重uを入力uとして下式(1)で表すことができる。なお、本明細書の式中および図中では、1階微分値(dx/dt)および2階微分値(dx/dt)を下のように表示するものとする。
Figure 2015047907
Figure 2015047907
ここで、M:ばね下質量、M:ばね上質量、x:ばね下の上下方向位置、x:ばね上の上下方向位置、であり、d/dtは、ばね下の上下方向加速度、d/dtは、ばね上の上下方向加速度である。
ここで、ばね下質量Mおよびばね上質量Mは既知である。一方、入力uとしては、ばね下荷重uのほか、ダンパ6が減衰力可変式であることからダンパ6の減衰力uが含まれるが、ダンパ6の減衰力uは一輪モデル38内においてばね下荷重uに基づいて求めることができる。そこで、ばね下荷重uが車輪速Vwに基づいて算出できれば、ばね下荷重uおよびこれに基づいて算出したダンパ6の減衰力uを入力uとし、ばね上およびばね下間のばね定数K(スプリング5のばね定数)や、ばね下質量M、ばね上質量Mを考慮したシステム行列を用いることにより、ばね下およびばね上の上下方向加速度d/dt、d/dtや、ばね下位置x、ばね下速度dx/dtなどを求めることができる。なお、ストローク速度Ssは、dx/dt−dx/dtで表される。
具体的に説明すると、上式(1)のM・d/dtおよびM・d/dtは、それぞれ下式(2)、(3)のように表すことができる。
Figure 2015047907
Figure 2015047907
ただし、u:ばね下荷重、u:ダンパ6の減衰力、K:ばね定数、である。
そこで、一輪モデル38では、下式(4)の状態方程式をモデルとし、入力ベクトルuから下式(5)の状態変数xを算出する。
Figure 2015047907
Figure 2015047907
ただし、x:状態変数ベクトル、A,B:システム行列、である。
上式(2)〜(5)から、上式(4)は下式(6)として表される。
Figure 2015047907
このような状態方程式を用いた一輪モデル38は、図7に示すように、システム行列Bを用いた演算器39に入力uを入力し、演算器39からの出力を、加算器40を介して積分器41に入力させ、積分器41からの出力を、システム行列Aを用いた演算器42に入力させて加算器40に戻す処理を行う。この一輪モデル38から第1〜第4観測行列43〜46の出力を得ることにより、ばね下位置x、ばね上位置x、ばね上速度S(d/dt)、およびストローク速度Ss(d/dt−d/dt)を算出することができる。なお、第1観測行列43は、ばね下位置観測行列であり、[1 0 0 0]である。第2観測行列44は、ばね上位置観測行列であり、[0 1 0 0]である。第3観測行列45は、ばね上速度観測行列であり、[0 0 0 1]である。第4観測行列46は、ストローク速度観測行列であり、[0 0 −1 1]である。すなわち、一輪モデル38における第1〜第4観測行列43〜46はぞれぞれ、車輪速変動量ΔVwに基づいてばね下位置x、ばね上位置x、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出するための手段である。
このように、車輪速Vwに基づいて算出したばね下荷重uを一輪モデル38に入力することにより、サスペンション7にキャスター角が設定されているか否かにかかわらず、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出することができる。そして、ばね下荷重uからばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出できるため、自動車Vに上下Gセンサやストロークセンサを設ける必要がなく、サスペンション制御装置20のコスト低減を図ることができる。
再び図4に戻り、一輪モデル計算部33は、一輪モデル38にて算出されたばね下位置xおよびばね上位置xをフィードバックさせるフィードバック手段としてのPID回路47を備えている。これにより、一輪モデル計算部33では、一輪モデル38にて算出されたばね下位置xおよびばね上位置xと、ばね下基準位置xo(=0)またはばね上基準位置xo(=0)との偏差に基づいて、一輪モデル計算部33で算出されるばね下位置xおよびばね上位置xが補正され、平坦路の定速直進走行時といった定常状態における一輪モデル38のばね上位置xおよびばね下位置xが基準位置(初期値)に収束するようになっている。
これにより、ばね下荷重uが基準位置を参照して調整されるため、一方にオフセットした入力が継続した際にも、系全体がオフセットすることでばね上速度Sおよびストローク速度Ssに誤差が生じることが抑制される。また、他制御システム上でのデータ利用等も可能となる。
このように、一輪モデル計算部33は、ばね下荷重uおよびダンパ6の減衰力uを入力として一輪モデル38から第1観測行列43および第2観測行列44の出力を得ることにより、ばね下位置x、ばね上位置xを算出する位置算出手段として機能する。なお、ここでは一輪モデル計算部33を、PID回路47がばね下位置xおよびばね上位置xの両方をフィードバックさせる形態としているが、ばね下位置xとばね上位置xとの少なくとも一方をフィードバックさせ、ばね下位置xおよびばね上位置xを補正する形態としてもよい。一輪モデル計算部33で算出されたばね上速度Sおよびストローク速度Ssは、図3に示すように、スカイフック制御部90に入力する。
(四輪モデル計算部34)
図4に示すように、状態量算出部31に含まれる四輪モデル計算部34は、ピッチ角速度算出部48とロール角速度算出部49とを備えている。ピッチ角速度算出部48およびロール角速度算出部49には、ゲイン回路37から出力されたばね下荷重uが入力する。ピッチ角速度算出部48は、入力された前後輪のばね下荷重uの差に基づいて(車輪速Vwに基づいて)自動車Vの加減速度(前後加速度Gx)を算出し、算出した加減速度や、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてピッチ角速度ωpを求める。一方、ロール角速度算出部49は、入力された左右輪のばね下荷重uの差に基づいて(車輪速Vwに基づいて)自動車Vの左右方向加速度(横加速度Gy)を算出し、算出した左右方向加速度や、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてロール角速度ωrを求める。なお、図3に示すように、ピッチ角速度ωpは第1ピッチ制御部91に入力し、ロール角速度ωrは第1ロール制御部92に入力する。
(スリップ判定部50)
スリップ判定部50には、減算器35から出力された車輪速Vw、すなわち各輪の車輪速Vwと推定した車体速Vbとの偏差が入力する。スリップ判定部50は、入力した車輪速Vw(偏差)の絶対値が所定値以上であるか否か、すなわち車輪速センサ9で検出した車輪速Vwが車体速Vbに対して所定値以上乖離しているか否かを判定し、所定値以上である場合には対応する車輪3がスリップ状態にあるものと判定してスリップ信号SSを出力する。出力されたスリップ信号SSは、ABS、TCSおよびVSAを制御する図示しない車両挙動制御部に入力する。なお、車両挙動制御部は、スリップ信号SSが入力してABS、TCSおよびVSAのいずれかを作動させると、それらの作動を示す作動信号を入力部21に入力させる。
<車体速推定部32>
図3の車体速推定部32は、図8に示すように、自動車Vの加減速力F(Fe、Fs、Fd)を算出する加減速力算出部51と、加減速力算出部51により算出された加減速力に基づいて車体速Vbを算出する車体速算出部52と、ステアリング操作に応じた補正量(後述する内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvo)を算出する操舵補正量算出部53と、操舵補正量算出部53により算出された補正量に基づいて車体速Vbを補正する車体速補正部54とを有している。
加減速力算出部51は、エンジンまたはモータ等の原動機の出力による自動車Vの駆動力Fe(加速力)を算出する加速力算出部55と、路面勾配による自動車Vの減速力Fsを算出する路面勾配減速力算出部56と、路面勾配以外の要素に起因する自動車Vの減速力Fdを算出する減速力算出部57とを含んでいる。
加速力算出部55は、トルクセンサにより検出された駆動トルクTe、およびギヤポジションPgを入力として、原動機出力による自動車Vの駆動力Feを算出する。
路面勾配減速力算出部56は、例えば、加速力算出部55が算出した駆動力Feから減速力算出部57が算出した減速力Fdを減じて求めた加減速力から、前後Gセンサ10が検出した前後加速度Gxに車体重量Mを乗じて求めた加減速力を減じることにより、路面勾配による減速力Fsを算出する。
減速力算出部57は、ブレーキ装置のブレーキ液圧Pbを入力として、ブレーキ液圧Pbに比例して増大するブレーキ操作にかかる自動車Vの減速力を算出するブレーキ減速力算出部58と、車輪速Vwの平均値を概算車体速として用いることにより、車体形状および概算車体速に起因する走行抵抗にかかる減速力を算出する走行抵抗算出部59と、車輪速フィードバックによる走行抵抗力を算出するフィードバック抵抗力算出部60とを含んでおり、ブレーキ減速力算出部58、走行抵抗算出部59およびフィードバック抵抗力算出部60の算出結果を加算して、路面勾配以外の要素に起因する自動車Vの減速力Fdを算出する。
車体速算出部52は、加速力算出部55で算出された駆動力Feから、路面勾配減速力算出部56で算出された減速力Fsを減じるとともに、減速力算出部57で算出された減速力Fdを減じて車体1の加減速力Fを算出した後、算出した加減速力Fを車体重量Mで除して加速度を求め、これを積算することで車体速Vbを算出する。算出された車体速Vbは、車体速補正部54に入力する。
ここで、図9を参照して、加速力算出部55および減速力算出部57における処理について詳細に説明する。駆動トルクTeは乗算器61に入力する。ギヤポジションPgは、ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路62に入力する。ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路62では、ギヤポジションPgに基づいてテーブルを参照することにより変速ギヤ比Rgが求められ、出力された変速ギヤ比Rgが乗算器61に入力する。なお、乗算器61には、後述する第1車輪速ゲイン設定回路63からの第1車輪速ゲインGも入力する。
第1車輪速ゲインGは、第1車輪速ゲイン設定回路63において、各車輪速センサ9が検出した車輪3の車輪速平均値である平均車輪速Vwavに基づいて、参照テーブルを参照することにより設定される。なお、この例においては第1車輪速ゲインGは、平均車輪速Vwavが微小の領域では0、平均車輪速Vwavが所定の閾値よりも大きい場合には略一定としている。乗算器61にて、駆動トルクTe、変速ギヤ比Rgおよび第1車輪速ゲインGが乗じられて駆動輪の出力である車輪トルクTwが算出されると、この車輪トルクTwは、トルク−駆動力変換回路64に入力し、タイヤ2の動的荷重半径Rdで除算されることよって自動車Vの駆動力Feに変換され、その出力がゲイン回路65を介して減算器66に加算値として入力する。
減算器66には、ゲイン回路65から出力される駆動力Feの他、後述する制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffbが入力している。
ブレーキ液圧Pbは、乗算器67に入力する。乗算器67には、第2車輪速ゲイン設定回路68からの第2車輪速ゲインGも入力する。第2車輪速ゲインGは、第2車輪速ゲイン設定回路68において、平均車輪速Vwavに基づいて参照テーブルを参照することにより設定される。なお、この例においては第2車輪速ゲインGは、平均車輪速Vwavが微小の領域では0、平均車輪速Vwavが所定の閾値よりも大きい場合には略一定としている。乗算器67にてブレーキ液圧Pbと第2車輪速ゲインGとが乗じられてブレーキ装置による制動力に相当する制動力Fbが算出されると、正の値を示すこの制動力Fbは、減算器66に減算値として入力する。
また、平均車輪速Vwavは走行抵抗力設定回路69に入力する。走行抵抗力設定回路69では、入力した平均車輪速Vwavに基づいて参照テーブルを参照することにより、車速(平均車輪速Vwav)に依存する走行抵抗力Frが設定される。走行抵抗力設定回路69で算出された正の値を示す走行抵抗力Frは、減算器66に減算値として入力する。
さらに、従動輪である後輪3の車輪速平均値である平均後輪速Vwavがフィードバック抵抗力算出部60に入力する。フィードバック抵抗力算出部60は、減算器71に入力する車体速Vbから平均後輪速Vwavを減じて求めた偏差ΔVにそれぞれ基づいて、比例ゲインに基づく走行抵抗力を設定する比例回路72と、積分ゲインに基づく走行抵抗力を設定する積分回路73と、微分ゲインに基づく走行抵抗力を設定する微分回路74とを備えている。これら比例回路72、積分回路73および微分回路74の出力が加算器75に入力して加算され、車体速Vbのフィードバックによる補正値であるフィードバック抵抗力Ffbが出力される。出力されたフィードバック抵抗力Ffbは、減算器66に減算値として入力する。
減算器66では、駆動力Feから、これら制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffb、ここでは図示しない図8の路面勾配による減速力Fsが減算され、その出力である加減速力Fが、加減速力−加減速度変換回路76に入力し、加減速力Fが車体重量Mで除算されることにより自動車Vの加減速度(前後加速度Gx)に変換される。自動車Vの加減速度は、ゲイン回路77を介して積算器78に入力して積算されることによって車体速Vbとなって出力される。
このように、駆動力Feや制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffbに基づいて自動車Vの車体速Vbを算出することにより、車輪速Vwを補正するための車体速Vbを求めることができる。
図8に戻り、操舵補正量算出部53は、各車輪速Vwおよびヨーレイトγに基づいて自動車Vの旋回半径TRを算出する旋回半径算出部79と、自動車VのトレッドTと算出された旋回半径TRとに基づいて、補正量としての旋回状態量、すなわち内輪および外輪に対応する各車体部位の車体速Vbに対する比である内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoを算出する内外輪車体速比算出部80とを含んでいる。
図10を参照して、操舵補正量算出部53における処理について詳細に説明する。各車輪速センサ9が検出した車輪速Vwの平均車輪速Vwavが除算器81に被除数(分子)として入力する。除算器81には、ヨーレイトセンサ12の検出値であるヨーレイトγも除数(分母)として入力しており、除算器81では、各輪の平均車輪速Vwavをヨーレイトγで除すことにより自動車Vの旋回半径TRが算出される。なお、除算時にヨーレイトγが0となる場合には、定数で置換する等の周知の方法により値を規制する。算出された旋回半径TRは、減算器83および加算器85にそれぞれ加算値として入力する。減算器83および加算器85はそれぞれ、入力した旋回半径TRに対し、メモリ82に記憶されたトレッドTの1/2を減算または加算することにより、内輪旋回半径TRiおよび外輪旋回半径TRoを算出する。減算器83および加算器85からの出力は、それぞれ除算器84・86に被除数として入力する。除算器84・86には、除算器81で算出した自動車Vの旋回半径TRが除数として入力しており、各除算器84・86は、内輪旋回半径TRiまたは外輪旋回半径TRoを自動車Vの旋回半径TRで除すことにより、それぞれ内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoを算出する。
各除算器84・86で算出された内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoは、図8に示すように、車体速補正部54に入力し、車体速補正部54にて車体速Vbと内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoとがそれぞれ乗じられることにより、内輪に対応する車体部位の車体速Vbである内輪側車体速Vbiおよび外輪に対応する車体部位の車体速Vbである外輪側車体速Vboが算出される。つまり、車体速補正部54は、内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoに基づいて車体速Vbを補正する補正手段である。
このように、自動車Vの旋回状態に応じて車体速Vbが補正されることにより、運転者のステアリング操作に応じて変化する内輪側および外輪側の車体速Vb(Vbi・Vbo)が正確に算出される。
内輪側車体速Vbiおよび外輪側車体速Vboは、図4に示すように状態量算出部31に、より詳しくはバンドパスフィルタ36の上流側に設けられた減算器35に減算値として入力し、車輪速Vwに基づく車輪速変動量ΔVwの算出に供されるとともに、自動車Vの車体速変動成分や内外輪の旋回半径差に起因する軌跡長さの差による車輪速変動成分の除去に供される。
このように、状態量算出部31において入力した各車輪速Vwから内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算されることにより、車輪速Vwから自動車Vの制駆動力による影響が排除されるため、自動車Vの状態量(ばね上速度Sやストローク速度Ss)がより高精度に算出される。また、車体速補正部54が、内輪車体速比Rviおよび外輪車体速比Rvoに基づいて車体速Vbを補正することにより、各輪に対応した車体速Vbが高精度に算出されて、自動車Vの旋回による車輪速Vwに対する影響が排除されるため、自動車Vの状態量がより高精度に算出される。
図11(A)は、センサを用いて検出したばね上速度と、状態量算出部31により算出されたばね上速度Sとをそれぞれ破線と実線とで示したタイムチャートであり、図11(B)は、センサを用いて検出したストローク速度と、状態量算出部31により算出されたストローク速度Ssとをそれぞれ破線と実線とで示したタイムチャートである。図11に示すように、算出されたストローク速度Ssおよびばね上速度Sは、センサ値と略一致しており、車輪速Vwに基づいて状態量算出部31がストローク速度Ssおよびばね上速度Sを高精度に算出できることがわかる。また、本実施形態では、車輪速Vwに基づいてばね下荷重uを算出し、ばね下荷重uを車両モデルの入力にするため、サスペンション7にキャスター角が設定されているか否かにかかわらず、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出することができる。
図8の車体速推定部32で算出された内輪側車体速Vbiおよび外輪側車体速Vboは、図3に示すように路面凹凸判定部23にも入力し、車輪速Vwに基づく路面凹凸の判定にも利用される。また、本実施形態では、車体速推定部32のうちの車体速算出部52が算出した車体速Vbが、路面凹凸判定部23に入力し、路面凹凸の判定に用いる自動車Vの車速として用いられる。他の実施形態では、車輪3の車輪速平均値である平均車輪速Vwavを自動車Vの車速として用いてもよい。
<路面凹凸判定部23>
図12に示すように、路面凹凸判定部23では、入力した車輪速Vw(信号)が減算器87に加算値として入力する。なお、本実施形態では、路面凹凸判定部23は左右の前輪3のみについて、後述する路面凹凸判定を行うようにしており、左右の前輪3の車輪速Vwのみが減算器87に入力する。減算器87には、後述する内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算値として入力しており、減算器87にて各車輪速Vwから内輪側車体速Vbiまたは外輪側車体速Vboが減算されることにより、車輪速Vwが補正されて自動車Vの加減速および旋回による変動成分が除去された車輪速変動量ΔVwとなる。すなわち、減算器87は、車輪速Vwから加減速および旋回による変動成分を除去する補正手段として機能するとともに、車輪速Vwに基づいて車輪速変動量ΔVwを算出する車輪速変動量算出手段としても機能する。
減算器87から出力された車輪速変動量ΔVwは、バンドパスフィルタ88を介して閾値判定部89に入力する。バンドパスフィルタ88は、0.5〜5Hzの周波数成分を通過させるバンドパス特性を有し、図4で説明したバンドパスフィルタ36と同様に機能する。閾値判定部89には、自動車Vの車速として、図8の車体速算出部52が算出した車体速Vbも入力している。
閾値判定部89は、車体速Vbが所定の閾値(例えば、10km/h)以下であり、かつ車輪速変動量ΔVwが所定の閾値(例えば、±0.5km/h)を超えたことをもって、車輪3がスピードバンプなどの大きな路面凹凸を通過したものとして、路面凹凸を判定し、路面凹凸信号SBを出力する。閾値判定部89から出力された路面凹凸信号SBは、図3に示すように、スカイフック制御部90に入力する。また、バンドパスフィルタ88から出力された車輪速変動量ΔVwおよび車体速推定部32(図3)から路面凹凸判定部23に入力した車体速Vbも、スカイフック制御部90に入力する。
<切換信号出力部24>
図3に示すように、切換信号出力部24は、VSA、ABSおよびTCSが作動していることを示す作動信号のいずれかが入力部21に入力している場合、自動車Vの挙動が不安定であるものとして、切換信号Scを出力する。出力された切換信号Scは、ダンパ制御部27に入力する。
<第1制御目標電流設定部25>
第1制御目標電流設定部25は、スカイフック制御を行い、スカイフック制御目標電流Ashを設定するスカイフック制御部90や、四輪モデル計算部34で算出されたピッチ角速度ωpに基づくピッチ制御を行い、第1ピッチ制御目標電流Ap1を設定する第1ピッチ制御部91、四輪モデル計算部34で算出されたロール角速度ωrに基づくロール制御を行い、第1ロール制御目標電流Ar1を設定する第1ロール制御部92、ステアリング操舵角δfに基づくロール制御を行い、舵角比例制御目標電流Asaを設定する舵角比例制御部93、自動車Vのばね下の制振制御を行い、ばね下制振制御目標電流Auを設定するばね下制振制御部95、車速に依存する最低減衰力を発生させるための最低目標電流Aminを設定する最低目標電流制御部96、第1高電流選択部97等を有している。
スカイフック制御部90は、路面の凹凸を乗り越える際の車両の動揺を抑えて乗り心地を高める乗り心地制御(制振制御)を行うものであり、路面凹凸信号SBが入力していないときに通常のスカイフック制御を行う通常制御部90A(図13)と、路面凹凸信号SBが入力したことをトリガとして後述する減衰力増大処理を行う増大制御部90B(図15)とを有している。第1ピッチ制御部91は、自動車Vの急加速時や急減速時のピッチングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。第1ロール制御部92および舵角比例制御部93からなるロール姿勢制御部94は、自動車Vの旋回時のローリングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。ばね下制振制御部95は、ばね下の共振域の振動を抑制して車輪3の接地性や乗り心地を高めるものである。
<スカイフック制御部90>
次に、図13〜図17を参照してスカイフック制御部90における処理について詳細に説明する。まず、図13および図14を参照して、スカイフック制御部90の通常制御部90Aにおける処理について詳細に説明する。通常制御部90Aでは、図3の状態量算出部31で算出されたばね上速度Sが減衰力ベース値算出部98に入力する。減衰力ベース値算出部98は、入力したばね上速度Sに基づいて、ばね上―減衰力マップを参照することにより減衰力ベース値Dsbを設定する。設定された減衰力ベース値Dsbは、ゲイン回路99に入力する。ゲイン回路99では、減衰力ベース値DsbにスカイフックゲインGshが乗じられてスカイフック目標減衰力Dshtが算出され、算出された目標減衰力Dshtが目標電流設定回路100に入力する。目標電流設定回路100にはストローク速度Ssも入力しており、目標電流設定回路100は、スカイフック目標減衰力Dshtとストローク速度Ssとに基づいて、図14に示す電流マップを参照することにより各ダンパ6に対するスカイフック制御目標電流Ashを設定し、スカイフック制御目標電流Ashを出力する。
次に、図15〜図17を参照して、スカイフック制御部90の増大制御部90Bにおける処理および作用について詳細に説明する。なお、本実施形態では、路面凹凸信号SBを出力した側、すなわち路面凹凸判定が行われた側の車輪3(右または左の前輪3および後輪3)についてのみ、増大制御部90Bによる減衰力増大処理が行われる。
図15に示すように、増大制御部90Bでは、図13の通常制御部90Aで算出されたスカイフック制御目標電流Ashが増大電流設定回路101に入力する。増大電流設定回路101には、図12の路面凹凸判定部23から出力された車輪速変動量ΔVwも入力している。増大電流設定回路101は、入力したこれらの信号に基づいて、減衰力増大処理で設定するベース電流Ashbを設定する。具体的には、路面凹凸信号SBが入力する直前のスカイフック制御目標電流Ash(前回値)よりも大きな値であり、かつ車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きいほど大きくなるようにベース電流Ashbを設定する。増大電流設定回路101で設定されたベース電流Ashbは、目標電流設定回路104に入力する。
また、車輪速変動量ΔVwは、ベース時間設定回路102にも入力している。ベース時間設定回路102は、凹凸路判定時に入力した車輪速変動量ΔVwに基づいて減衰力増大処理を継続するべきベース時間TBbを設定する。具体的には、ベース時間TBbは、車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きいほど長くなるように設定される。これは、路面凹凸判定時の車輪速変動が大きいほど、路面凹凸が大きく、ばね上が収斂するまでに長時間を要するものと考えられるからである。ベース時間TBbがこのように設定されることにより、路面凹凸が大きい場合にも確実にばね上振動が収斂することになる。
一方、図12の路面凹凸判定部23から出力された車体速Vbが除算値として除算器106に入力している。除算器106には、メモリ105に設定されたホイールベースWBが乗算値として除算器106に入力する。すなわち、除算器106は、ホイールベースWBを車体速Vb(車速)で除算することにより、前輪3が路面凹凸を通過した後に後輪3が路面凹凸を通過するのに要する時間として後輪タイムラグTLを算出する。後輪タイムラグTLは、路面凹凸判定時の車体速Vb(車速)が低いほど大きな値として算出される。なお、後輪タイムラグTLは、前輪3における路面凹凸信号SBの入力から、後輪3について減衰力増大処理を開始するまでのタイムラグとしても利用される。
ベース時間設定回路102で設定されたベース時間TBb、および除算器106で算出された後輪タイムラグTLは、加算器103に入力する。加算器103は、入力したベース時間TBbに後輪タイムラグTLを加算することで増大処理時間TBを算出する。これにより、路面凹凸判定時の車体速Vb(車速)が低いほど、増大処理時間TBすなわち増大処理の継続時間が長くなり、後輪3の路面凹凸通過によるばね上振動もが前輪3のダンパ6によって減衰される。
目標電流設定回路104は、路面凹凸判定が行われた車輪3について、入力したベース電流Ashbおよび増大処理時間TBに基づいてスカイフック制御目標電流Ashを設定する。本実施形態では具体的には、路面凹凸信号SBが入力したことをトリガとして増大制御部90Bが処理を開始すると、スカイフック制御目標電流Ashを、前回値のスカイフック制御目標電流Ashの値からベース電流Ashbの値まで急増させ、増大処理時間TBにわたってベース電流Ashbの値に保持した後、漸減させる。
次に、増大制御部90Bがこのようにスカイフック制御目標電流Ashを設定することによる作用効果について説明する。図16(A)は、減衰力増大処理を行わず、通常のスカイフック制御のみを行った場合に、所定の閾値以下の低車速で前輪3がスピードバンプなどの路面凹凸を通過したときの前輪3の車輪速変動量ΔVwの変化を示している。図16(B)は、このときに、減衰力増大処理を行って設定されるスカイフック制御目標電流Ashの変化を、前輪3については実線で、後輪3については破線で示している。
図16(A)に示すように、前輪3の車輪速変動量ΔVwは、前輪3がスピードバンプなどの路面凹凸を通過したときに大きく上下し、路面判定閾値を超える。これにより、路面凹凸が判定されて路面凹凸信号SBが出力される。前輪3の車輪速変動量ΔVwは、その後、後輪3が路面凹凸を通過したときにも、再度、初回(前輪通過時)よりも小さく上下に変動している。なお、このとき(減衰力増大処理なし)の前輪3および後輪3のばね上の上下加速度(センサ検出値)を示したものが図17(A)である。このような大きな路面凹凸通過時には、図6を参照して説明した、車輪速変動量ΔVwと接地荷重変動量との比例関係が崩れるため、通常のスカイフック制御のみを行うと、減衰力の不足によりばね上振動の収斂性が悪くなる。
本実施形態に係るスカイフック制御部90は、通常制御部90A(図13)に加えて増大制御部90B(図15)を備えることから、路面凹凸の判定によって路面凹凸信号SBが出力されると、減衰力増大処理の実施により、前輪3のスカイフック制御目標電流Ashが路面凹凸信号SB入力直前のスカイフック制御目標電流Ash(前回値)よりも大きな値に設定され、この値に増大処理時間TBにわたって保持される。また、後輪3のスカイフック制御目標電流Ashは、路面凹凸信号SBの入力から後輪タイムラグTLの経過後、すなわち路面凹凸通過後に、前輪3の減衰力増大処理によるスカイフック制御目標電流Ashと同じ値にスカイフック制御目標電流Ashを増大させる減衰力増大処理が増大処理時間TBにわたって実施される。これにより、図17(B)に示すように、前輪3および後輪3のばね上の上下加速度(センサ検出値)が、図17(A)の従来例に比べて早期に収斂する。
そして、本実施形態では、左右の前輪3の一方において路面凹凸判定が行われた場合、路面凹凸判定が行われた側の車輪3(右または左の前輪3および後輪3)についてのみ、増大制御部90Bによる減衰力増大処理が行っている。つまり、ばね上振動の収斂に効果的な路面凹凸通過側のダンパ6の減衰力のみを増大し、路面凹凸が判定されない、ばね上振動の収斂に対する効果が低い側のダンパ6については増大処理を行っていない。これにより、ばね上振動の収斂を図りつつ、減衰力の増大によって乗り心地が悪化することが防止される。
他方、左右の前輪3の一方において路面凹凸判定が行われた場合においても、増大制御部90Bが、左右両輪(4輪)について減衰力増大処理を行うようにしてもよい。この場合、路面凹凸が判定されてない側(右または左の前輪3および後輪3)については、減衰力増大処理によるスカイフック制御目標電流Ashを、路面凹凸判定が行われた側の車輪3のスカイフック制御目標電流Ashよりも小さな値に設定するよい。すなわち、減衰力増大処理において、路面凹凸判定が行われた側のダンパ6の減衰力を、路面凹凸が判定されてない側のダンパ6の減衰力よりも大きく設定するとよい。このようにすることにより、ばね上振動の早期収斂を図りつつ、必要以上に減衰力が増大して乗り心地が悪化することが防止される。
このように路面凹凸判定部23によって前記路面凹凸が判定された場合に、スカイフック制御部90が、少なくとも路面凹凸が判定された車輪3について、路面凹凸が判定される直前の値に比べてダンパ6の減衰力に対応するスカイフック制御目標電流Ashを増大させる減衰力増大処理を所定の増大処理時間TBにわたって行うことにより、ばね上振動の収斂性が向上する。
<ばね下制振制御部95>
次に、図3のばね下制振制御部95について、図18〜図21を参照して詳細に説明する。図18に示すように、ばね下制振制御部95では、入力した各車輪速Vwがバンドパスフィルタ111に入力する。バンドパスフィルタ111は、ばね下の共振域の車輪速Vw信号を通過させるべく、ここでは8〜18Hzのバンドパス特性を有する。したがって、バンドパスフィルタ111は、スカイフック制御のためのバンドパスフィルタ36(図4)の0.5〜5Hzの周波数域よりも高い周波数域の信号を抽出する。そして、スカイフック制御のためのバンドパスフィルタ36の高周波側のカット周波数が5Hzとされ、ばね下制振制御のためのバンドパスフィルタ111の低周波側のカット周波数が8Hzとされ、両バンドパスフィルタ36、111の間にバンドギャップが設けられていることにより、スカイフック制御とばね下制振制御とによる相互干渉が防止される。
CAN14から入力する車輪速Vw信号には、ばね下共振域以外の信号も含まれており、例えば時速40kpmで走行中に得られる図19(A)に示す周波数特性の車輪速Vw信号には、図19(B)に示すようなばね下共振域の車輪速Vw信号が含まれている。そこで、車輪速Vw信号をばね下の共振域に対応するバンドパスフィルタ111を通過させることにより、ばね下信号成分を含んだ車輪速Vw信号を抽出して車輪速Vw信号からDC成分を除去することができる。すなわち、バンドパスフィルタ111は、車輪速Vw信号に基づいて車輪速変動量ΔVwを抽出する車輪速変動量抽出手段として機能する。
バンドパスフィルタ111を通過した車輪速変動量ΔVwは、絶対値演算回路112に入力して車輪速変動量ΔVwの絶対値に変換される。車輪速変動量ΔVwは、前述したようにばね下荷重uに比例し、ばね下荷重uをばね下質量Mで除算して求まるばね下の上下方向加速度も車輪速変動量ΔVwに対応した値となる。そのため、上下方向加速度の絶対値に応じた減衰力を発生させることにより、ばね下振動を抑制することができる。
絶対値演算回路112から出力された車輪速変動量ΔVwが、ゲイン回路113に入力してゲインが乗じられることにより、自動車Vの基本入力量であるばね下加速度Gzの大きさ(絶対値)が算出される。具体的には、ゲイン回路113では、図6に関連して説明した比例定数kをばね下質量Mで除算した値をゲインとして車輪速変動量ΔVwに乗算する。
ゲイン回路113から出力されたばね下加速度Gzは、目標電流設定回路114に入力する。目標電流設定回路114では、ばね下加速度Gzに対応する算出電流が算出され、この算出電流に基づいてピークホールド・ランプダウン制御によるばね下制振制御目標電流Auが設定される。
目標電流設定回路114は、図20(A)に示す特性のばね下加速度Gzの入力に対して、図20(B)に破線で示す算出電流に基づいて、図20(B)に実線で示すようなばね下制振制御目標電流Auを設定する。具体的には、目標電流設定回路114は、入力した算出電流のうちの最大値をばね下制振制御目標電流Auとして所定時間ホールドし、この最大値が入力してから所定時間が経過した後に、ばね下制振制御目標電流Auの値を所定の勾配で低下させる。すなわち、ばね下加速度Gzが増大する場合には、ばね下加速度Gzに合わせて(早く)応答するようにばね下制振制御目標電流Auの値を設定する一方、ばね下加速度Gzが縮小する場合には、増大する場合に比べて遅く応答するように設定される。これにより、破線で示すような算出電流をばね下制振制御目標電流Auに設定する場合に比べて、ばね下振動がより効果的かつ安定的に減衰する。
図18に戻り、目標電流設定回路114から出力されるばね下制振制御目標電流Auは、制限回路115に入力する。制限回路115は、ばね下制振制御目標電流Auの上限を上限値Aumaxに制限し、ばね下制振制御目標電流Auを出力する。すなわち、制限回路115は、入力したばね下制振制御目標電流Auが上限値Aumaxを超えている場合、上限値Aumaxをばね下制振制御目標電流Auに設定する。これにより、車輪速変動量ΔVwの大きさに応じて設定されるばね下制振制御目標電流Auが、自動車Vの電源容量やダンパ6の減衰力特性を考慮して設定される上限値Aumaxを超えて設定されることが防止される。
絶対値演算回路112から出力された車輪速変動量ΔVwは、ゲイン回路113だけでなくローパスフィルタ116にも入力している。ローパスフィルタ116は、ここでは1Hzよりも低い帯域を通過させるローパス特性を有する。上限設定回路117は、ローパスフィルタ116を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値に応じて上限値Aumaxを設定し、上限値Aumaxを制限回路115に入力させる。具体的には、上限設定回路117は、車輪速変動量ΔVwの絶対値が所定値を超える場合に、車輪速変動量ΔVwが大きくなるほど小さくなるように上限値Aumaxを設定する。
制限回路115は、入力した上限値Aumaxに応じてばね下制振制御目標電流Auの上限を変更する、すなわちローパスフィルタ116を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きいほど上限値Aumaxが小さくなるように変更する。その効果について以下に説明する。
比較的平坦な舗装路では、図21(A)に実線で示すローパスフィルタ116通過後の車輪速変動量ΔVw(絶対値)は、細線で示すローパスフィルタ116通過前の車輪速変動量ΔVwに比べて小さく、かつその平均値も小さい。これに対し、荒れた舗装路では、図21(B)に示すように、細線で示すローパスフィルタ116通過前の車輪速変動量ΔVwが(A)の平坦路に比べて大きいだけでなく、実線で示すローパスフィルタ116通過後の車輪速変動量ΔVwも(A)に比べて大きくなっている。そこで、ローパスフィルタ116を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きい場合には、路面が荒れているものとして、制限回路115がばね下制振制御目標電流Auを小さくする(ばね下制振制御を弱める)ことで、ばね下制振制御目標電流Auが過剰に高く設定されることによって乗心地が悪化することを防止できる。
このように、ばね下制振制御部95を、車輪速Vw信号に基づいてばね下制振制御目標電流Auを設定する構成とすることができ、ばね下制振制御目標電流Auを、車輪速Vwのばね下共振域成分の車輪速変動量ΔVwの大きさに基づいて決定するため、ばね上などの他の要因を介入させることなくばね下の制振制御を行うことができる。
図3に戻り、第1高電流選択部97は、設定されたスカイフック制御目標電流Ash、第1ピッチ制御目標電流Ap1、第1ロール制御目標電流Ar1、舵角比例制御目標電流Asa、ばね下制振制御目標電流Auおよび最低目標電流Aminのなかから値が最も大きなものを第1目標電流Atgt1に設定する。このように、第1制御目標電流設定部25が、スカイフック制御、ピッチ制御、ロール制御などを行い、第1高電流選択部97これらの各制御目標電流のなかから最大値を選択することにより、自動車Vの乗り心地が向上するとともに、車体1のピッチ姿勢およびロール姿勢を適正に保たれる。また、第1制御目標電流設定部25が、舵角比例制御およびばね下制振制御をも行うことにより、車体1のロール姿勢がより適正に保たれるとともに、ばね下振動に起因する乗り心地に悪化が防止される。
<第2制御目標電流設定部26>
図3に示すように、第2制御目標電流設定部26は、前後Gセンサ10によって検出された前後加速度Gxに基づくピッチ制御を行い、第2ピッチ制御目標電流Ap2を設定する第2ピッチ制御部118、横Gセンサ11によって検出された横加速度Gyに基づくロール制御を行い、第2ロール制御目標電流Ar2を設定する第2ロール制御部119、第2高電流選択部120を有している。
第2ピッチ制御部118は、後述するようにVSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動しているときに、自動車Vの急加速時や急減速時のピッチングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。具体的には、第2ピッチ制御部118は、前後Gセンサ10によって検出された前後加速度Gxに基づいて、図22に示す電流マップを参照することにより各ダンパ6に対する第2ピッチ制御目標電流Ap2を設定し、第2ピッチ制御目標電流Ap2を出力する。この電流マップは、前後加速度Gxの絶対値が大きいほど第2ピッチ制御目標電流Ap2が大きく、前後加速度Gxの絶対値が所定の値よりも小さいときには、0Aよりも大きな所定の最低電流値が設定されるようになっている。これにより、車体1のピッチ運動が効果的に抑制される。
第2ロール制御部119は、後述するようにVSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動しているときに、自動車Vの旋回時のローリングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。具体的には、第2ロール制御部119は、横Gセンサ11によって検出された横加速度Gyに基づいて、図23に示す電流マップを参照することにより各ダンパ6に対する第2ロール制御目標電流Ar2を設定し、第2ロール制御目標電流Ar2を出力する。この電流マップは、横加速度Gyの絶対値が大きいほど第2ロール制御目標電流Ar2が大きく、横加速度Gyの絶対値が所定の値よりも小さいときには、0Aよりも大きな所定の最低電流値が設定されるようになっている。これにより、車体1のロール運動が効果的に抑制される。
第2高電流選択部120は、設定された第2ピッチ制御目標電流Ap2、第2ロール制御目標電流Ar2のなかから値が最も大きなものを第2目標電流Atgt2に設定する。これにより、後述するように第2目標電流Atgt2がダンパ6の制御に用いられる車両挙動の不安定時においても、車体1の姿勢が適正化されるとともに、減衰力不足によってばね下が暴れることが効果的に防止される。
<ダンパ制御部27>
ダンパ制御部27には、第1目標電流Atgt1と第2目標電流Atgt2と切換信号Scとが入力している。ダンパ制御部27は、切換信号Scが入力していないときには、第1高電流選択部97が設定した第1目標電流Atgt1に基づいて各ダンパ6への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御する。一方、切換信号Scが入力した場合、ダンパ制御部27は、第2高電流選択部120が設定した第2目標電流Atgt2に基づいて各ダンパ6への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御する。すなわち、ダンパ制御部27は、VSAやABS、TCSが作動していない安定走行時には、第1高電流選択部97が設定した第1目標電流Atgt1に基づいてダンパ6の減衰力を制御し、VSAやABS、TCSが作動している不安定走行時には、第2高電流選択部120が設定した第2目標電流Atgt2に切り換えてダンパ6の減衰力を制御する。
なお、ダンパ制御部27は、ここでは切換信号Scの入力の存否に応じて第1目標電流Atgt1と第2目標電流Atgt2とを切り換える。あるいは、第1目標電流Atgt1から第2目標電流Atgt2への切換時や、第2目標電流Atgt2から第1目標電流Atgt1への切換時に、ダンパ制御部27が目標電流Atgtを徐々に変化させる形態としてもよい。
≪減衰力制御手順≫
このように構成されたECU8は、次のような基本手順にしたがって減衰力制御を行う。すなわち、自動車Vが走行を開始すると、ECU8は、所定の処理インターバル(例えば、10ms)をもって、図24のフローチャートにその手順を示す減衰力制御を実行する。減衰力制御を開始すると、ECU8は、車輪速センサ9の検出値などに基づいて各輪のばね下荷重uを演算するとともに、演算したばね下荷重uや、横Gセンサ11の検出値に基づいて、自動車Vの運動状態量(各輪におけるばね上速度Sやストローク速度Ss、車体1のロール角速度ωr、ピッチ角速度ωp)を演算する(ステップST1)。
次に、ECU8は、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssに基づいて各ダンパ6のスカイフック制御目標電流Ashを算出し(ステップST2)、車体1のピッチ角速度ωpに基づいて各ダンパ6の第1ピッチ制御目標電流Ap1を算出し(ステップST3)、車体1のロール角速度ωrに基づいて各ダンパ6の第1ロール制御目標電流Ar1を算出し(ステップST4)、ステアリング操舵角δfに基づいて各ダンパ6の舵角比例制御目標電流Asaを算出し(ステップST5)、各輪の車輪速Vwに基づいて各ダンパ6のばね下制振制御目標電流Auを算出し(ステップST6)、各輪の車輪速Vwに基づいて各ダンパ6の最低目標電流Aminを算出する(ステップST7)。なお、ステップST2〜ST7の処理は、この順に行われる必要はなく、あるいは、並行して行われてもよい。次に、ECU8は、各輪について6つの制御目標電流Ash,Ap1,Ar1,Asa,Au,Aminのうち値が最も大きいものを第1目標電流Atgt1に設定する(ステップST8)。
その後、ECU8は、前後Gセンサ10の検出値に基づいて第2ピッチ制御目標電流Ap2を算出し(ステップST9)、横Gセンサ11の検出値に基づいて各ダンパ6の第2ロール制御目標電流Ar2を算出する(ステップST10)。なお、ステップST9およびST10の処理は、この順に行われる必要はなく、あるいは、並行して行われてもよい。次に、ECU8は、各輪について2つの制御目標電流Ap2,Ar2のうち値が最も大きいものを第2目標電流Atgt2に設定する(ステップST11)。ステップST9〜ST11の処理は、ステップST2〜ST8の処理の前に行われてもよく、ステップST2〜ST8の処理と並行して行われてもよい。
その後、ECU8は、切換信号Scが入力しているか否かを判定し(ステップST12)、この判定がNoであった場合(すなわち、VSA、ABSおよびTCSのいずれも作動していない場合)、ステップST8で選択した第1目標電流Atgt1に基づき、各ダンパ6のMLVコイルに駆動電流を出力する(ステップST13)。これにより、減衰力制御においては、ダンパ6の荷重に応じた最適な目標減衰力が設定され、操縦安定性や乗り心地の向上が実現される。
一方、ステップST12の判定がYesであった場合(すなわち、VSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動している場合)、ECU8は、ステップST11で選択した第2目標電流Atgt2に基づき、各ダンパ6のMLVコイルに駆動電流を出力する(ステップST14)。これにより、VSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動している場合に、ステップST8で選択する第1目標電流Atgt1が急変して車両挙動が不安定になることが防止されるとともに、前後加速度Gxおよび横加速度Gyに応じたピッチ制御およびロール制御が行われ、車体1の姿勢が適切に制御されるとともに、ばね下の暴れも防止される。
次に、ステップST2で行った、スカイフック制御目標電流Ashの具体的算出手順について、図25を参照して説明する。ECU8は、まず、図8の車体速算出部52が算出した車体速Vbを用いて自動車Vの車速が所定の閾値(例えば、10km/h)以下であるか否かを判定する(ステップST21)。この判定がNoであって場合、ECU8は、図13の通常制御部90Aが行う通常のスカイフック制御によりスカイフック制御目標電流Ashを設定し(ステップST22)、上記処理を繰り返す。一方、ステップST21の判定がYesであった場合、ECU8は、図12のバンドパスフィルタ88から出力された車輪速変動量ΔVwが所定の閾値(例えば、±0.5km/h)を超えているか否かを判定し(ステップST23)、この判定がNoであった場合にも、ステップST22で通常のスカイフック制御によりスカイフック制御目標電流Ashを設定して上記処理を繰り返す。
他方、ステップST23の判定がYesであった場合、ECU8は、車輪3がスピードバンプなどの大きな路面凹凸を通過したものとして、図15の増大制御部90Bが行う減衰力増大処理によりスカイフック制御目標電流Ashを設定し(ステップST24)、増大処理時間TBが経過したか否かを判定する(ステップST25)。ステップST25でNoであった場合には、ECU8はこの判定がYesになるまでステップST24の減衰力増大処理によってスカイフック制御目標電流Ashを設定する処理を繰り返す。ステップST25の判定がYesになると、ECU8はこのルーチンを終えて上記処理を繰り返す。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、路面凹凸判定を行うための車速として車体速Vbを用いているが、4つの車輪3の車輪速Vwの平均値である平均車輪速Vwavを用いていもよい。また、上記実施形態では、前輪3のみについて路面凹凸判定を行っているが、4つの車輪3のそれぞれについて路面凹凸判定を行ってもよい。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、あるいは制御の具体的手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した本発明に係るの各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜取捨選択することが可能である。
V 自動車
3 車輪
前輪
後輪
6 ダンパ(減衰力可変ダンパ)
8 ECU
9 車輪速センサ
20 サスペンション制御装置
23 凹凸路面判定部
31 状態量算出部
37 ゲイン回路(基本入力量算出手段)
90 スカイフック制御部
90A 通常制御部
90B 増大制御部
Ash スカイフック制御目標電流
TB 増大処理時間
Vw 車輪速(入力信号)
ΔVw 車輪速変動量
Vb 車体速(車速)
ばね下荷重(基本入力量)
ばね上速度(状態量)
Ss ストローク速度(状態量)

Claims (5)

  1. 入力信号に応じて減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパを備えた車両のサスペンション制御装置であって、
    車輪速を検出する車輪速センサと、
    前記車輪速センサが検出した車輪速変動に基づいて前記車両の基本入力量を算出する基本入力量算出手段と、
    前記基本入力量に基づいて前記減衰力可変ダンパの減衰力を制御するスカイフック制御手段と、
    車速が所定値以下であり、かつ前記車輪速変動量が所定値を超えたことをもって、路面凹凸を判定する路面凹凸判定手段と
    を備え、
    前記スカイフック制御手段は、前記路面凹凸判定手段によって前記路面凹凸が判定された場合、少なくとも前記路面凹凸が判定された車輪について、前記路面凹凸が判定される直前の値に比べて前記減衰力可変ダンパの減衰力を増大させる増大処理を所定の継続時間にわたって行うことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 前記スカイフック制御手段は、前記路面凹凸を判定したときの前記車輪速変動が大きいほど前記増大処理の前記継続時間を長くすることを特徴とする、請求項1に記載のサスペンション制御装置。
  3. 前記スカイフック制御手段は、前輪において前記路面凹凸判定手段によって前記路面凹凸が判定された場合、少なくとも前記路面凹凸が判定された前輪において、前記路面凹凸を判定したときの車速が低いほど前記増大処理の前記継続時間を長くすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のサスペンション制御装置。
  4. 前記スカイフック制御手段は、左右輪の一方において前記路面凹凸判定手段によって前記路面凹凸が判定された場合、前記一方側の車輪のみにおいて前記増大処理を行うことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のサスペンション制御装置。
  5. 前記スカイフック制御手段は、左右輪の一方において前記路面凹凸判定手段によって前記路面凹凸が判定された場合、左右輪において前記増大処理を行うとともに、当該増大処理における前記一方側の前記減衰力可変ダンパの減衰力を他方側の前記減衰力可変ダンパの減衰力よりも大きく設定することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のサスペンション制御装置。
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