JP7450469B2 - ダンパ制御装置、及びダンパ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダンパ制御装置、及びダンパ装置に関する。
従来、車両の減衰力可変ダンパの減衰力を制御し、車両の操縦安定性や乗り心地を高める技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
日本国特許第6077968号公報
従来のダンパ制御技術においては、ダンパ制御の終了タイミングの決定に関し改善すべき側面があった。
本発明の一態様は、ダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することのできるダンパ制御装置、及びダンパ装置を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る車両が備える減衰力可変式ダンパの制御を行うダンパ制御装置は、前記車両の車輪速を取得する車輪速センサと、少なくとも前記車輪速センサの値を用いて前記車両の状態量を推定する状態量推定部と、前記車輪速センサの値および前記状態量に基づき前記減衰力可変式ダンパの制御量を決定する制御部であって、前記車輪速の変動量である車輪速変動が所定の閾値を超えたか否かの判定処理を行い、超えたとの判定である超過判定をした場合、前記超過判定してから、前記車輪速変動によって決まる所定の条件を充足するまでの間、前記超過判定を加味して前記車両が備える前記減衰力可変式ダンパの制御量を決定する制御部と、を備える。
本発明の一態様によれば、ダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することができる。
本発明の実施形態に係る車両の構成の一例を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係るダンパ制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るダンパECUによる第1の制御例を示す図である。 本発明の実施形態に係るダンパECUによる第2の制御例を示す図である。 本発明の実施形態に係るダンパECUによる第3の制御例を示す図である。 本発明の実施形態に係るECUが備える状態量算出部の他の構成例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[車両の構成例]
〔構成の概要〕
図1は、本発明の実施形態に係る車両900の構成の一例を模式的に示す図である。図1に示すように、車両900は、懸架装置(サスペンション)100、車体200、車輪300、タイヤ310、操舵部材410、ステアリングシャフト420、トルクセンサ430、舵角センサ440、トルク印加部460、ラックピニオン機構470、ラック軸480、エンジン500、ECU(Electronic Control Unit、ダンパ制御装置)600、発電装置700およびバッテリ800を備えている。なお、車両900としては、ガソリン車、ハイブリッド電気自動車(HEV車)、電気自動車(EV車)等を挙げることができる。
タイヤ310が装着された車輪300は、懸架装置100によって車体200に懸架されている。車両900は、四輪車であるため、懸架装置100、車輪300およびタイヤ310については、それぞれ4つ設けられている。なお、左側の前輪、右側の前輪、左側の後輪および右側の後輪のタイヤ及び車輪をそれぞれ、タイヤ310A及び車輪300A、タイヤ310B及び車輪300B、タイヤ310C及び車輪300C、並びに、タイヤ310D及び車輪300Dとも称する。以下、同様に、左側の前輪、右側の前輪、左側の後輪および右側の後輪にそれぞれ付随した構成を、符号「A」「B」「C」及び「D」を付して表現することがある。
〔懸架装置(サスペンション、減衰力可変式ダンパ)〕
懸架装置100は、油圧緩衝装置、アッパーアーム及びロアーアームを備えている。また、油圧緩衝装置は、一例として、当該油圧緩衝装置が発生させる減衰力を調整する電磁弁であるソレノイドバルブを備えている。ただし、これは本実施形態を限定するものではなく、油圧緩衝装置は、減衰力を調整する電磁弁として、ソレノイドバルブ以外の電磁弁を用いてもよい。例えば、上記電磁弁として、電磁流体(磁性流体)を利用した電磁弁を備える構成としてもよい。なお、懸架装置100とECU600とを合わせて、ダンパ装置と呼ぶこともある。また、本明細書において特にことわりのない限り、用語「サスペンション」と用語「ダンパ」とは同じ意味で用いられる。
〔ステアリング装置〕
運転者の操作する操舵部材410は、ステアリングシャフト420の一端に対してトルク伝達可能に接続されており、ステアリングシャフト420の他端は、ラックピニオン機構470に接続されている。
なお、上述の説明において「トルク伝達可能に接続」とは、一方の部材の回転に伴い他方の部材の回転が生じるように接続されていることを指し、例えば、一方の部材と他方の部材とが一体的に成形されている場合、一方の部材に対して他方の部材が直接的又は間接的に固定されている場合、及び、一方の部材と他方の部材とが継手部材等を介して連動するよう接続されている場合を少なくとも含む。
ラックピニオン機構470は、ステアリングシャフト420の軸周りの回転を、ラック軸480の軸方向に沿った変位に変換するための機構である。ラック軸480が軸方向に変位すると、タイロッド及びナックルアームを介して車輪300A及び車輪300Bが転舵される。
トルクセンサ430は、ステアリングシャフト420に印加される操舵トルク、換言すれば、操舵部材410に印加される操舵トルクを検出し、検出結果を示すトルクセンサ信号をECU600に提供する。より具体的には、トルクセンサ430は、ステアリングシャフト420に内設されたトーションバーの捩れを検出し、検出結果をトルクセンサ信号として出力する。なお、トルクセンサ430として磁歪式トルクセンサを用いてもよい。
舵角センサ440は、操舵部材410の舵角を検出し、検出結果をECU600に提供する。
トルク印加部460は、ECU600から供給されるステアリング制御量に応じたアシストトルク又は反力トルクを、ステアリングシャフト420に印加する。トルク印加部460は、ステアリング制御量に応じたアシストトルク又は反力トルクを発生させるモータと、当該モータが発生させたトルクをステアリングシャフト420に伝達するトルク伝達機構とを備えている。
なお、本明細書における「制御量」の具体例として、電流値、デューティー比、減衰率、減衰比等が挙げられる。
また、上記の例では、操舵部材410からラック軸480までが常時機械的に接続されたステアリング装置を例に挙げたが、これは本実施形態を限定するものではなく、本実施形態に係るステアリング装置は、例えばステア・バイ・ワイヤ方式のステアリング装置であってもよい。ステア・バイ・ワイヤ方式のステアリング装置に対しても本明細書において以下に説明する事項を適用することができる。
〔駆動力伝達装置〕
車両900は、不図示の駆動力伝達装置を有している。駆動力伝達装置は、例えばエンジンの動力を前輪または後輪に伝達する装置であり、ギア伝達機構を有する。当該ギア伝達機構は、前輪または後輪における個々の車輪の回転数の差を状況に応じて与える差動装置であり、車両900の走行状況に応じて差動を制限する差動制限装置を有している。本実施型形態において、差動装置および差動制限装置は、限定されない。差動装置は、例えばベベルギア式差動装置であってよく、差動制限装置は、多板クラッチ式リミテッドスリップディファレンシャル(LSD)またはヘリカルギア式LSDなどのトルク感応型であってもよいし、ビスカスLSDなどの回転差感応型であってもよい。
〔その他の構成〕
エンジン500には、発電装置700が付設されており、発電装置700によって生成された電力がバッテリ800に蓄積される。
また、車両900は、車輪300毎に設けられ各車輪300の車輪速Vw(車輪の角速度ω)を検出する車輪速センサ320を備えている。また、車両900は、車両900の横方向の加速度を検出する横Gセンサ330、車両900の前後方向の加速度を検出する前後Gセンサ340、車両900のヨーレートを検出するヨーレートセンサ350、エンジン500が発生させるトルクを検出するエンジントルクセンサ510、エンジン500の回転数を検出するエンジン回転数センサ520、及びブレーキ装置が有するブレーキ液に印加される圧力を検出するブレーキ圧センサ530を備える構成としてもよい。これらの各種センサによる検出結果は、ECU600に供給される。
なお、図示は省略するが、車両900は、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐためのシステムであるABS(Antilock Brake System)、加速時等における車輪の空転を抑制するTCS(Traction Control System)、及び、旋回時のヨーモーメント制御やブレーキアシスト機能等のための自動ブレーキ機能を備えた車両挙動安定化制御システムであるVSA(Vehicle Stability Assist)制御可能なブレーキ装置を備えている。
ここで、ABS、TCS、及びVSAは、推定した車体速Vbに応じて定まる車輪速Vwと、車輪速センサ320によって検出された車輪速とを比較し、これら2つの車輪速の値が、所定の値(閾値)以上相違している場合にスリップ状態であると判定する。ABS、TCS、及びVSAは、このような処理を通じて、車両900の走行状態に応じて最適なブレーキ制御やトラクション制御を行うことにより、車両900の挙動の安定化を図るものである。
また、上述した各種のセンサによる検出結果のECU600への供給、及び、ECU600から各部への制御信号の伝達は、CAN(Controller Area Network)370を介して行われる。
また、車両900は、不図示のRAM(Random Access Memory)を有する。RAMは、車重、慣性荷重、車両諸元などの定常値あるいは推定値、算出値を格納する。定常値は、例えば車両900に固有の物理量の値である。
さらに、車両900は、懸架装置100、ステアリング装置および駆動力伝達装置のそれぞれにおいて、これらの装置の動作を制御するためのECUを備える。たとえば、車両900は、懸架装置100を制御するためのダンパECUを有している。このような、車両900が有する装置専用のECUは、当該制御対象となる装置に備えられていてもよいし、車両900を制御するためのECU600に備えられていてもよい。このように、車両900における懸架装置100、ステアリング装置および駆動力伝達装置は、いずれも、電子制御可能に構成されており、電子制御式サスペンション、電子制御式ステアリング装置および電子制御式駆動力伝達装置とも言える。
〔サスペンション制御の概要〕
ECU600は、サスペンション制御量を供給することによって懸架装置100を制御する。より具体的には、ECU600は、懸架装置100に含まれる油圧緩衝装置が備えるソレノイドバルブに対して、サスペンション制御量を供給することによって当該ソレノイドバルブの開閉を制御する。この制御を可能とするために、ECU600からソレノイドバルブへ駆動電力を供給する電力線が配されている。
〔ステアリング制御の概要〕
また、ECU600は、車両900が備える各種の電子機器を統括制御する。より具体的には、ECU600は、トルク印加部460に供給するステアリング制御量を調整することにより、ステアリングシャフト420に印加するアシストトルク又は反力トルクの大きさを制御する。
〔駆動力伝達装置の制御の概要〕
ECU600は、例えば、差動制限の制御量を供給することによって駆動力伝達装置を制御する。その具体的な一例を挙げると、ECU600は、走行状況に応じて多板クラッチ式LSDにおけるクラッチの圧着の強さを調整することにより、エンジンの駆動力を前輪、後輪間で、あるいは前輪または後輪における左右の車輪間で分配し、エンジンの駆動力で回転する車輪の個々の回転数を制御する。
〔状態量算出のロジックの説明〕
<状態量の定義>
本実施形態における車両900の状態量Xの一例は、下記式で表される。ここで、状態量Xはn×1の行列で表されるベクトルであり、本実施例ではn=16である。なお、本明細書において、下付きの添え字fl、fr、rlおよびrrは、それぞれ、車両900における左前輪、右前輪、左後輪および右後輪を表す。また、下付きの添え字iiは、車両900における上記の車輪のうちの任意の一以上を表す。
Figure 0007450469000001
上記式中、wは、ばね上重心点上下速度であり、車体200のばね上速度のz軸方向成分である。p、q、rは、それぞれ、ロールレート、ピッチレートおよびヨーレートであり、例えば、車体200のばね上角速度のx軸回転方向、y軸回転方向およびz軸回転方向の成分である。なお、本実施形態において、x軸は車体200の前後方向、y軸は車体200の横方向、z軸は車体200の鉛直方向を示す。
また、上記式中、w1fl、w1fr、w1rlおよびw1rrは、各車輪におけるばね下上下速度である。DampStfl、DampStfr、DampStrlおよびDampStrrは、各車輪におけるサスストローク変位である。TireStfl、TireStfr、TireStrlおよびTireStrrは、各車輪におけるタイヤストローク変位である。
<状態量に関する運動方程式>
状態量Xを構成する各要素の運動方程式の一例は、以下の式(1)~(7)で表される。各物理量の上に付されたドット「・」は時間微分を表す。
Figure 0007450469000002
式(1)中、ΣRは車体200の重心に作用する鉛直方向力、mは車体200のばね上質量、uは車体200の前後方向のばね上速度、そして、vは車体200の横方向のばね上速度、を表す。
式(2)~(4)中、Izxは車体200のばね上における横方向(例えばy軸)の慣性乗積、Iは車体200の重心を通るx軸周りの慣性モーメント、Iは車体200の重心を通るy軸周りの慣性モーメント、そして、Iは車体200の重心を通るz軸周りの慣性モーメント、を表す。また、式(2)~(4)中、Mは車体200の重心に作用するx軸周りのモーメント、Mは車体200の重心に作用するy軸周りのモーメント、そして、Mは車体200の重心に作用するz軸周りのモーメント、を表す。
Figure 0007450469000003
式(5)中、m1iiは任意の車輪のばね下質量、Rziiは各車輪のばね下にかかるサスペンション反力、そしてk1iiは任意の車輪のタイヤばね定数、を表す。
Figure 0007450469000004
式(6)中、DampViiは、各車輪のサスストローク速度を表し、wiiは、各車輪のばね上におけるサスポイントの上下速度を表す。式(7)中、TireViiは、各車輪におけるタイヤストローク速度を表し、w0iiは、任意の車輪点における路面変位の微分値を表す。wiiは、以下の式(6a)~(6d)で表される。式(6a)~(6d)中、tr、trは車体200の前後トレッド半長を表し、l、lは車体200の前後車軸重心間距離を表す。
Figure 0007450469000005
<外力/モーメントを表す式>
上記の運動方程式中の外力あるいはモーメントについては、例えば以下に説明する式(8)~(23)で表される。たとえば、サスペンション反力は、以下の式(8)~(11)で表される。
Figure 0007450469000006
式(8)~(11)中、Rzfl,zfr,zrl,zrrは各車輪におけるサスペンション反力を表し、DampFfl,DampFfr,DampFrl,DampFrrは各車輪におけるダンパ減衰力を表す。また、式(8)~(11)中、k2f、k2rは前輪および後輪の懸架ばねのばね定数、C2f、C2rは前輪および後輪に関する後述する車両モデルの安定性を高めるためのパラメータ、そしてkaf、karは前輪および後輪におけるスタビライザの剛性、を表す。
また、車体200の重心に作用する前後方向力ΣR、車体200の重心に作用する横方向力ΣRy、および重心に作用する鉛直方向力ΣR、はそれぞれ以下の式(12)~(14)で表される。
Figure 0007450469000007
式(12)、式(13)中、ΣFx0は、車両900の全タイヤの前後力を表し、ΣFy0は、車両900の全タイヤの横力を表す。
Figure 0007450469000008
式(15)~(17)中、MxRは、車体200の重心に作用するサスペンションのx軸周りの反力モーメントを表し、MyRは、車体200の重心に作用するサスペンションのy軸周りの反力モーメントを表し、MzRは、車体200の重心に作用するサスペンションのz軸周りの反力モーメントを表す。また、式(15)~(17)中、hは、車両900の重心から各輪のばね下までのz軸方向距離の平均を表す。
Figure 0007450469000009
式(18)~(20)中、Mxtireは、車体200の重心に作用するタイヤのx軸周りの反力モーメントを表し、Mytireは、車体200の重心に作用するタイヤのy軸周りの反力モーメントを表し、Mztireは重心に作用するタイヤのz軸周りの反力モーメントを表す。また、Rは、タイヤ半径を表す。なお、M、MおよびMは、下記式(21)~(23)で表される。
Figure 0007450469000010
<運動方程式の変形>
本実施形態におけるECU600への入力値は、例えば、以下の行列U、Uで表すことができる。ここで、UおよびUはq×1の行列で表されるベクトルであり、Uにおいてはq=8、Uにおいてはq=6である。また、ECU600への観測値は、以下の行列Yで表すことができる。ここで、Yはp×1の行列で表されるベクトルであり、例えば本実施形態においてはp=5である。
Figure 0007450469000011
上述した運動方程式は、以下の式(24)および式(25)で表すことができる。
Figure 0007450469000012
ヤコビ行列(J,J)を用い、式(24)から下記式(26)を導出し、式(25)から式(27)を導出する。式(26)および式(27)における右辺の最終項は、誤差を表している。
Figure 0007450469000013
ここで、f(X,U)=0、h(X)=0とすると、式(26)における右辺の第二項、第三項は、それぞれ式(28)、式(29)で表され、式(27)における右辺の第二項は、式(30)で表される。
Figure 0007450469000014
よって、式(24)は、下記式(31)で表される。このように、前述の運動方程式は、線形的に演算される線形システムで表される。ここで、式(31)を離散化すると、下記式(32)、式(33)および、式(34)が導出される。式(32)中、Aは、車両900の固有の特性を表すシステム行列として表される。式(33)中、Bは、入力による車両900への影響を表す入力行列として表される。式(34)中、Cは、車両900からの観測量を出力するための観測行列として表される。当該車両モデルは、状態量および上記行列U、Uから明らかなように車両900の要素を含んでおり、車両全体の挙動を示す単一のモデルとなっている。
Figure 0007450469000015
<行列の離散化>
Ac、BcおよびCc行列は、前述の通り下記式(32)、式(33)および、式(34)によって離散化される。つまり、Acは離散化されたシステム行列、Bcは離散化された入力行列および、Ccは離散化された観測行列を表す。なお、式(32)中、L-1は逆ラプラス演算処理を表し、sはラプラス演算子を表し、Iは単位行列を表す。また、式(33)中、Δtはサンプル時間を表す。
Figure 0007450469000016
<車両モデル>
本実施形態における車両状態量推定の為の車両モデルは、下記式(35)、式(36)で表すことができる。当該車両モデルは、前述したように、車両900の要素を含む、車両全体の挙動を示す単一のモデルである。ここで、下付きのkは、離散状態における任意のステップを表しており、k-1は、kに対して1ステップ前のステップを表す。
Figure 0007450469000017
上記式(35)、式(36)において、Xハットは車両モデルの状態量、つまり推定車両状態量である。Xハットは、下記の行列で表される。
Figure 0007450469000018
また、Uハットは入力値であり、例えば下記式のU1kハット、U2kハットで表される。
Figure 0007450469000019
また、Yハットは観測量であり、すなわち推定車両観測量である。Yハットは下記の行列で表される。
Figure 0007450469000020
[実施形態1]
本実施形態では、前述したロジックに従う状態量を算出し、当該状態量を用いて懸架装置100の動作を制御する。
〔ECUの機能的構成〕
図2は、本発明の実施形態1に係るダンパ制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図2に示されるように、ECU(ダンパ制御装置)600は、接地荷重算出部610、入力量算出部620、第一状態量算出部630、観測量算出部640、第二状態量算出部650およびダンパECU660(制御部)を備える。また、本実施形態における制御に用いる車両に関する物理量を取得するための取得部として、ECU600には、ヨーレートセンサ350、車輪速センサ320、舵角センサ440、横Gセンサ330および前後Gセンサ340、ならびにRAM601が接続されている。接地荷重算出部610、入力量算出部620、第一状態量算出部630、観測量算出部640および第二状態量算出部650は、状態量を推定する状態量推定部を構成している。
接地荷重算出部610は、接地荷重を算出する。接地荷重とは、車両のばね下への鉛直方向の荷重である。接地荷重算出部610は、慣性荷重算出部611、路面荷重算出部612、接地荷重演算部613および車輪速センサ320が取得した車輪速Vwから車輪速変動ΔVwを算出する車輪速変動算出部614を備えている。
ここで、車輪速変動ΔVwとは、ある車輪の車輪速Vwと車体速Vbとの相違のことを指す。一例として車輪速変動ΔVwとは、ある車輪の車輪速Vwから車体速Vbを減算したもののことを指す。
ここで、車体速Vbとしては、一例として各車輪の車輪速Vwを平均したものを用いることができる。車輪速変動算出部614は、車輪速変動ΔVwを全ての車輪について個別に算出する構成とすることができる。
また、車輪速変動算出部614は、車輪速Vwから車体速Vbを減算したものに対してバンドパスフィルタを作用させて得られる値を車輪速変動ΔVwとして出力する構成としてもよい。ここで上記バンドパスフィルタは、例えば、0.5Hz~5Hzや0.5Hz~20Hzといった周波数成分を通過させるバンドパス特性を有するものを用いることができる。
慣性荷重算出部611は、慣性荷重を算出する。慣性荷重は、車両900に作用する慣性力による挙動変化によって生じる接地荷重成分である。たとえば、慣性荷重算出部611は、車輪速センサ320が取得した車輪速Vw、舵角センサ440が取得した操舵角δ、横Gセンサ330が取得した横加速度a、前後Gセンサ340が取得した前後加速度a、ならびに、RAM601に格納されている車重m等の車両諸元を入力値として各車輪の慣性荷重dFz0inertiafl,fr,rl,rrを算出する。なお、車両の物理量の前に「d」を伴う場合は、当該物理量の変動または差分を意味する。
路面荷重算出部612は、車輪速、車輪速変動、定常荷重Fz0nomおよび慣性荷重から路面荷重を算出する。路面荷重は、路面の凹凸による接地荷重成分である。たとえば、路面荷重算出部612は、車輪速変動算出部614が算出した車輪速変動ΔVw、慣性荷重算出部611が算出した各車輪の慣性荷重dFz0inertiafl,fr,rl,rr、ならびに、RAM601に格納されている車重m、定常荷重Fz0nomおよび車両諸元等、を入力値として各車輪の路面荷重dFz0roadfl,fr,rl,rrを算出する。
接地荷重演算部613は、慣性荷重および路面荷重から接地荷重を演算する。たとえば、接地荷重演算部613は、慣性荷重算出部611が算出した各車輪の慣性荷重dFz0inertiafl,fr,rl,rr、路面荷重算出部612が算出した各車輪の路面荷重dFz0roadfl,fr,rl,rr、および定常荷重Fz0nom(不図示)を入力値として、各車輪の接地荷重dFz0fl,fr,rl,rrを算出する。
入力量算出部620は、少なくとも前記車両が備えるGセンサのセンサ値を用いて入力量を算出する。たとえば、入力量算出部620は、Gセンサ値、車両重量およびダンパ電流値から入力量を算出する。入力量算出部620は、演算部621、マップ622および入力量構成部623を備えている。
演算部621は、例えば、横Gセンサ330が取得した横加速度a、前後Gセンサ340が取得した前後加速度a、ならびに、RAM601に格納されている車重mを入力値として、車体200の重心に作用する前後方向力ΣRおよび車体200の重心に作用する横方向力ΣRを算出する。
マップ622は、サスストローク速度およびダンパ電流とダンパ減衰量との相関性を示すものであり、グラフまたは式として表され得る。マップ622は、例えば、後述する各車輪のサスストローク速度DampVfl,fr,rl,rrおよび各車輪のダンパ電流DampCurfl,fr,rl,rrを入力値として、当該入力値に応じた各車輪のダンパ減衰量DampFfl,fr,rl,rrを出力する。ダンパ電流DampCurfl,fr,rl,rrは、ダンパECU640からのフィードバック値である。
入力量構成部623は、演算部621が算出した前後方向力ΣRおよび横方向力ΣRと、マップ622が出力したダンパ減衰量DampFfl,fr,rl,rrとを入力値として、入力量を構成する。当該入力量は、例えば、前述した行列Uで表される。
第一状態量算出部630は、入力量算出部620が算出した入力量を前述した車両モデルに入力して車両900の第一状態量を算出する。第一状態量算出部630は、演算部631、633、遅延部632、抽出部634および加算部635を備えている。
演算部631は、入力量構成部623が算出した入力量と入力行列Bとの積を算出する。これにより、車両モデルに対する入力量の影響が、後に算出される第一状態量に反映される。
遅延部632は、後述するステップkの第二状態量X2kハットを一ステップ前のステップk-1の第二状態量X2k-1ハットとする。
演算部633は、遅延部632が生成した第二状態量X2k-1ハットとシステム行列Aとの積を算出する。これにより、車両モデル固有の特性が、後に算出される第一状態量に反映される。
抽出部634は、遅延部632が生成した第二状態量X2k-1ハットから各車輪のサスストローク速度DampVfl,fr,rl,rrを算出する。たとえば、抽出部634は、第二状態量X2k-1ハットから各車輪のサスストロークの成分を抽出し、抽出した成分を適宜に微分し、あるいは適当なゲインによって調整して、各車輪のサスストローク速度DampVfl,fr,rl,rrを算出する。得られる算出値は、上記サスストローク速度で構成される4×1行列で表され、前述のマップ622の入力値となる。
加算部635は、演算部631が算出した入力量と入力行列Bとの積と、演算部633が算出した第二状態量X2k-1ハットとシステム行列Aとの積とを足し合わせて第一状態量X’2kハットを算出する。
観測量算出部640は、接地荷重算出部610が算出した接地荷重とタイヤのばね定数ゲインとから観測量を算出する。観測量算出部640は、タイヤストローク算出部641および観測量構成部642を備えている。
各車輪のタイヤストローク変位TireStiiは、下記式(37)で表される。タイヤストローク算出部641は、接地荷重演算部613が算出した各車輪の接地荷重dFz0fl,fr,rl,rrとタイヤばね定数ゲインGとから、各車輪のタイヤストロークTireStfl,fr,rl,rrを算出する。タイヤストローク変位は、タイヤの変化量の一態様である。
Figure 0007450469000021
観測量構成部642は、現在のタイヤの変化量を含む観測量を構成する。たとえば、観測量構成部642は、タイヤストローク算出部641が算出したタイヤストローク変位と、ヨーレートセンサ350が取得したヨーレートの検出値とを入力値として、観測量Yを構成する。タイヤストローク変位は、タイヤ半径の変化量であり、タイヤの変化量の一態様である。観測量Yは、例えば、5×1行列であり、以下のように表される。ここで、添え字下付きのsensは、観測量であることを意味する。
Figure 0007450469000022
ここで、rsens kはヨーレートセンサ350の検出値であり、TireStii sens kはタイヤストローク算出部641が算出したタイヤストローク変位である。
なお、観測量算出部640は、タイヤストローク算出部641を備えず、観測量構成部642が、接地荷重演算部613が演算した接地荷重を直接、観測量として構成する構成としてもよい。
第二状態量算出部650は、観測量算出部640が算出した観測量Yを用いて、第一状態量算出部630が算出した車両900の第一状態量X’2kハットを補正することにより車両900の第二状態量をX2kハット算出する。第二状態量算出部650は、演算部651、653、減算部652および加算部654を備えている。
演算部651は、既出の状態量から観測量を算出する。たとえば、演算部651は、遅延部632が出力したn×1行列で表されるX2k-1ハットに、p×n行列で表される出力行列Cを乗じて、状態量から予測される予測観測量Yハットを算出する。
減算部652は、観測量構成部642が構成した観測量Yから、演算部651が算出した推定観測量Yハットを減算して観測量の減算値を算出する。Yは、実測に基づく観測量であり、Ykハットは推定された観測量と言える。
演算部653は、減算部652が算出した観測量の減算値にカルマンゲインKを乗じる。カルマンゲインKは、カルマンフィルタのゲインである。
加算部654は、加算部635が算出した第一状態量X’2kハットと、実測に基づく観測量から推定観測量を引いた差分にカルマンゲインKを乗じた数値とを足し合わせる。こうして補正された状態量である第二状態量X2kハットが算出される。第二状態量X2kハットは、前述した遅延部632に出力される。
このように、第二状態量算出部650は、カルマンゲインをさらに用いて第一状態量X’2kハットを補正している。したがって、第二状態量算出部650は、カルマンフィルタリングブロックを構成している、とも言える。
ダンパECU660は、車両900の状態量の算出値を用い、当該算出値に応じたサスペンション制御量を懸架装置100に供給することによって当該懸架装置100を制御する。ダンパECU660は、例えば、遅延部632から出力される第二状態量X2k-1ハット、および、抽出部634が第二状態量X2k-1ハットから抽出した各車輪のサスストローク速度DampVfl,fr,rl,rr、を入力値として、懸架装置100の動作を、例えばスカイフック制御により制御する。なお、上述した接地荷重算出部610、入力量算出部620、第一状態量算出部630、観測量算出部640および第二状態量算出部650が本願における状態量推定部に対応する。
本実施形態に係るダンパECU660は、図2に示すように、車輪速変動判定部661を備えている。車輪速変動判定部661は、車輪速変動算出部614が算出した車輪速変動ΔVwを取得し、取得した車輪速変動ΔVwに関する判定処理を行う。
一例として、車輪速変動判定部661は、以下の判定処理を行う。
・ある車輪の車輪速変動ΔVwが所定の閾値を超えたか否か
・ある車輪の車輪速変動ΔVwが所定の閾値を超えてから、当該車輪速変動ΔVwが、当該車輪速変動ΔVwによって定まる所定の条件を充足したか否か
ダンパECU660は、車輪速変動判定部661により、ある車輪の車輪速変動ΔVwが所定の閾値を超えたと判定(超過判定)されてから、当該車輪速変動ΔVwが上記所定の条件を充足したと判定されるまでの間、当該ある車輪に関する超過判定を加味したサスペンション制御量を決定する。
ここで、超過判定を加味したサスペンション制御量とは、例えば、ダンパ電流値DampVを、超過判定を加味しない場合に比べて高く設定されたサスペンション制御量である。
換言すれば、ダンパECU660は、ある車輪の車輪速変動ΔVwが所定の閾値を超えてから、当該車輪速変動ΔVwが上記所定の条件を充足するまでの間、当該ある車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を継続させる。そして、ダンパECU660は、当該ある車輪の車輪速変動ΔVwが所定の閾値を超えてから、当該車輪速変動ΔVwが上記所定の条件を充足した場合に、当該ある車輪に関し、超過判定を加味したサスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を終了する。
上記の構成によれば、超過判定を加味したダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することができる。また、上記の構成によれば、車両900が備える減衰力可変式ダンパの減衰力の収斂状況に応じて当該減衰力を好適に制御することが可能になる。
なお、「車輪速変動ΔVwが所定の閾値を超えた」とは、ΔVwが正である場合に、当該ΔVwの値が正の閾値(Th)よりも大きくなった場合、及び、ΔVwが負である場合に、当該ΔVwの値が負の閾値(-Th)よりも小さくなった場合の双方を含み、本明細書では、該判定を超過判定と表現することもある。
また、上述した「所定の閾値」の具体的な決定方法は本実施形態を限定するものではないが、一例として、車輪速変動判定部661は、上記所定の閾値を、車輪速Vw、又は車体速Vbに応じて決定する。ここで、車体速Vbとしては、一例として各車輪の車輪速Vwを平均したものを用いることができる。また、上記所定の閾値と車輪速Vw又は車体速Vbとの関係は線形の関係に限られず非線形の関係であってもよい。車輪速変動判定部661は、乗り心地、及び操縦安定性等を勘案して、上記所定の閾値と車輪速Vw又は車体速Vbとの関係を設定しておくことができる。
また、上述した「所定の条件」については、以下に説明するダンパECU660の制御例において具体的に説明する。
(ダンパECU660の制御例1)
以下では、ダンパECU660の制御例1について、図3を参照して説明する。図3は、ダンパECU660による本制御例を説明するための図面であり、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwと、当該ある車輪又は他の車輪に関するダンパ減衰力DampFとの関係を示すタイミングチャートである。図3において、符号Th1は、正の閾値を示し、符号Vbは車体速を示す。
図3に示すように、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwが、所定の閾値Th1を超えたタイミング(図におけるタイミングt1)で、当該ある車輪又は他の車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を開始する。そして、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwが所定の条件を満たしたタイミング(図におけるタイミングt2)で、当該ある車輪又は当該他の車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を終了する。
本例では、上記「所定の条件」とは、車輪速変動ΔVwが、所定の閾値を超えてから、車体速Vbの値と、車輪速変動ΔVwの値との交差の回数が所定の回数(図3に示す例では5回)に達することである。換言すれば、上記「所定の条件」とは、車体速Vbをゼロとし、車輪速変動ΔVwのゼロクロス回数が所定の回数に達したことであり、これを以て超過判定とみなす。
上記の構成によれば、上記「所定の条件」を、車体速Vbをゼロとし、車輪速変動ΔVwのゼロクロス回数が所定の回数に達したとすることにより、ダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することができる。また、上記の構成によれば、車両900が備える減衰力可変式ダンパの減衰力の収斂状況に応じて当該減衰力を好適に制御することができる。
(ダンパECU660の制御例2)
続いて、ダンパECU660の制御例2について、図4を参照して説明する。図4は、ダンパECU660による本制御例を説明するための図面であり、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwと、当該ある車輪又は他の車輪に関するダンパ減衰力DampFとの関係を示すタイミングチャートである。図4において、符号Th2は、正の閾値を示し、符号Vbは車体速を示す。
図4に示すように、ダンパECU660は、まず、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwの絶対値を取る処理を行う。そして、ダンパECU660は、当該ある車輪に関する車輪速変動ΔVwの絶対値|ΔVw|に対して平滑化する処理を行う。そして、ダンパECU660は、平滑化処理された当該ある車輪に関する車輪速変動|ΔVw|′が所定の閾値Th2を超えたタイミング(図におけるタイミングt3)で、当該ある車輪又は他の車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を開始する。そして、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動|ΔVw|′が所定の条件を満たしたタイミング(図におけるタイミングt4)で、当該ある車輪又は当該他の車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を終了する。
本例では、上記「所定の条件」とは、平滑化処理された車輪速変動|ΔVw|′が、所定の閾値を超えてから、車体速Vbの値に対して所定の範囲内に収まったことである。換言すれば、上記「所定の条件」とは、平滑化処理された車輪速変動|ΔVw|′が、所定の範囲内に収まることである。
上記の構成によれば、上記「所定の条件」を、平滑化処理された車輪速変動|ΔVw|′を、所定の範囲内に収めることにより、ダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することができる。また、上記の構成によれば、車両900が備える減衰力可変式ダンパの減衰力の収斂状況に応じて当該減衰力を好適に制御することができる。
(ダンパECU660の制御例3)
続いて、ダンパECU660の制御例3について、図5を参照して説明する。図5は、ダンパECU660による本制御例を説明するための図面であり、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwと、当該ある車輪又は他の車輪に関するダンパ減衰力DampFとの関係を示すタイミングチャートである。図5において、符号Th3は、正の閾値を示し、符号Vbは車体速を示す。
図5に示すように、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwが、所定の閾値Th3を超えたタイミング(図におけるタイミングt5)で、当該ある車輪又は他の車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を開始する。そして、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwが所定の条件を満たしたタイミング(図におけるタイミングt6)で、当該ある車輪又は当該他の車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を終了する。
本例では、上記「所定の条件」とは、隣接する交差(ゼロクロス)の間隔が所定の間隔以下となることである。図6に示す例では、ゼロクロスの間隔T6が、所定の閾値以下となったため、ダンパECU660がサスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を終了したことが示されている。
上記の構成によれば、上記「所定の条件」を、前記ゼロクロスの間隔を所定の間隔以下にすることにより、ダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することができる。また、上記の構成によれば、車両900が備える減衰力可変式ダンパの減衰力の収斂状況に応じて当該減衰力を好適に制御することができる。
(ダンパECU660の制御例4)
以下では、ダンパECU660の制御例4について説明する。本例では、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwが、所定の閾値Th1を超えたタイミングで、当該ある車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を開始する。そして、ダンパECU660は、ある車輪に関する車輪速変動ΔVwが所定の条件を満たしたタイミングで、当該ある車輪に関し、サスペンション制御量に基づく懸架装置100の制御を終了する。
本例では、上記「所定の条件」とは、車輪速変動ΔVwが、所定の閾値を超えてから、所定の期間、所定の閾値範囲内に収まることである。換言すれば、上記「所定の条件」とは、車輪速変動ΔVwが、所定の間、閾値範囲内にあることである。
上記の構成のような構成によっても、ダンパ制御の終了タイミングを好適に決定することができる。また、上記の構成によれば、車両900が備える減衰力可変式ダンパの減衰力の収斂状況に応じて当該減衰力を好適に制御することができる。
<車両モデルに関する他の構成例>
上述の説明では、車両モデルとして車両全体の挙動を示す単一のモデルを採用する例について説明したが、これは本実施形態を限定するものではない。例えば、車両モデルとして、状態量の算出を車輪毎で完結させる一輪モデルを車輪数の分だけ組み合わせて用いる構成としてもよい。
なお、車体速推定部の詳細は本実施形態を限定するものではないが、一例として、特許文献1に記載の技術を採用することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
本発明におけるダンパ制御装置の制御ブロック(特にECU600)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、状態量算出装置または制御装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read O-nly Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Acc-ess Memory)などをさらに備えていてもよい。
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
100 懸架装置
200 車体
300、300A、300B、300C、300D 車輪
310、310A、310B、310C、310D タイヤ
320 車輪速センサ
330 横Gセンサ
340 前後Gセンサ
350 ヨーレートセンサ
410 操舵部材
420 ステアリングシャフト
430 トルクセンサ
440 舵角センサ
460 トルク印加部
470 ラックピニオン機構
480 ラック軸
500 エンジン
510 エンジントルクセンサ
520 エンジン回転数センサ
530 ブレーキ圧センサ
600 ECU(ダンパ制御装置)
601 RAM
610 接地荷重算出部
611 慣性荷重算出部
612 路面荷重算出部
613 接地荷重演算部
614 車輪速変動算出部
620 入力量算出部
621、631、633、651、653 演算部
622 マップ
623 入力量構成部
630 第一状態量算出部
632 遅延部
634 抽出部
635、654 加算部
640 観測量算出部
641 タイヤストローク算出部
642 観測量構成部
650 第二状態量算出部
652 減算部
660 ダンパECU(制御部)
700 発電装置
800 バッテリ
900 車両

Claims (2)

  1. 車両が備える減衰力可変式ダンパの制御を行うダンパ制御装置であって、
    前記車両の車輪速を取得する車輪速センサと、
    少なくとも前記車輪速センサの値を用いて前記車両の状態量を推定する状態量推定部と、
    前記車輪速センサの値および前記状態量に基づき前記減衰力可変式ダンパの制御量を決定する制御部であって、前記車輪速の変動量である車輪速変動が所定の閾値を超えたか否かの判定処理を行い、超えたとの判定である超過判定をした場合、前記超過判定してから、前記車輪速変動によって決まる所定の条件を充足するまでの間、前記超過判定を加味して前記車両が備える前記減衰力可変式ダンパの制御量を決定する制御部と、
    を備え
    前記条件は、
    前記車両の車体速をゼロとし、前記車輪速変動のゼロクロス回数が所定の回数に達する、若しくは前記ゼロクロスの間隔が所定の間隔以下となる、または、
    平滑化後の前記車輪速変動が、所定の範囲内に収まる、の何れかである、
    ことを特徴とするダンパ制御装置。
  2. ダンパ制御装置を備える減衰力可変式のダンパ装置であって、
    前記ダンパ制御装置は、
    車両の車輪速を取得する車輪速センサと、
    少なくとも前記車輪速センサの値を用いて前記車両の状態量を推定する状態量推定部と、
    前記車輪速センサの値および前記状態量に基づき前記減衰力可変式ダンパの制御量を決定する制御部であって、前記車輪速の変動量である車輪速変動が所定の閾値を超えたか否かの判定処理を行い、超えたとの判定である超過判定をした場合、前記超過判定してから、前記車輪速変動によって決まる所定の条件を充足するまでの間、前記超過判定を加味して前記車両が備える前記減衰力可変式ダンパの制御量を決定する制御部と、
    を備え
    前記条件は、
    前記車両の車体速をゼロとし、前記車輪速変動のゼロクロス回数が所定の回数に達する、若しくは前記ゼロクロスの間隔が所定の間隔以下となる、または、
    平滑化後の前記車輪速変動が、所定の範囲内に収まる、の何れかである、
    ることを特徴とするダンパ装置。
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