JPH07315029A - 電子制御サスペンション装置 - Google Patents

電子制御サスペンション装置

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JPH07315029A
JPH07315029A JP6108539A JP10853994A JPH07315029A JP H07315029 A JPH07315029 A JP H07315029A JP 6108539 A JP6108539 A JP 6108539A JP 10853994 A JP10853994 A JP 10853994A JP H07315029 A JPH07315029 A JP H07315029A
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frequency component
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Takeshi Hado
羽藤  猛
Takahisa Yokoyama
横山  隆久
Shigefumi Nakamura
茂文 中村
Hiroshi Ishikawa
石川  浩
Toshiyuki Murai
俊之 村井
Hideo Inoue
秀雄 井上
Mitsuhiko Morita
光彦 森田
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両走行中、常時良好な乗心地を確保するこ
とができる電子制御サスペンション装置を提供すること
を目的とする。 【構成】前記車両の走行路面の状態を検出し、その検出
信号から、車両のバネ上の共振状態を示す共振周波数成
分を抽出する。同様に、不快共振周波数成分と車両のバ
ネ上の共振周波数成分とを抽出する。これら、車両のバ
ネ上の共振周波数成分、不快共振周波数成分およびバネ
上の共振周波数成分を用いて、ショックアブソーバの減
衰力を制御するための演算を行う。この演算結果に基づ
いて、車両の乗心地を向上させるべくショックアブソー
バの減衰力を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の電子制御サスペ
ンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の乗心地を良好とし、運転性
能をも向上させるため、ショックアブソーバに備えられ
たスプリングのバネ定数や、ショックアブソーバの減衰
力を路面の状態に応じて可変とする様々なサスペンショ
ン装置が提案されている。例えば、サスペンション剛性
の強さを変化させる技術として、特開平5−28632
6号公報に開示のショックアブソーバの減衰力制御装置
を挙げることができる。この従来装置におけるショック
アブソーバの基準減衰力はあらかじめミディアムに設定
されている。。また、路面凹凸状態を検知する車体上下
加速度検出センサの出力信号から、バネ上共振状態、バ
ネ上とバネ下の中間の共振により発生する不快共振状態
を示す各共振周波数成分を抽出する。そして、このよう
に抽出されたバネ上共振周波数成分の大きさと不快共振
周波数成分の大きさとを比較し、乗員の乗心地を向上さ
せるべくサスペンション剛性の強さとしてショックアブ
ソーバの減衰力を基準減衰力であるミディアムから可変
制御している。
【0003】
【発明の課題】しかしながら、従来のものでは、上述の
如く、ショックアブソーバの基準減衰力があらかじめミ
ディアムに設定されており、基準減衰力は車両の運転状
態に応じて変化する車体姿勢に対処すべく可変制御され
ることはない。また、従来のショックアブソーバの減衰
力調整は、前記車両のバネ上および不快の各共振周波数
成分等の、乗員の乗心地を表す各検知信号に基づいて、
あらゆる状況下において乗心地を向上させる制御を実行
することを試みている。しかし、前記各検知信号による
乗員の乗心地を向上するための制御によって、車両の走
行安定性を確保、向上をも両立させることは非常に困難
である。これは、車両の走行速度あるいは車両の発進,
停止時や旋回走行時に発生する、スクォート,ダイブ,
ロール等の姿勢変化を、上記検知信号から判断すること
は不可能だからである。また、車両の走行性を向上する
ために、乗員の乗心地よりも、車両の安定性を重視した
方がよい場合もある。例えば、各検知信号に従って基準
減衰力から減衰力を制御している際に、車両に上述の姿
勢変化が生じても、かかる姿勢変化を抑制するような減
衰力制御は行われず、車両の走行安定性を向上すること
が困難である。
【0004】本発明は、このような従来装置の有する問
題に着目してなれたもので、その目的は、車両の乗り心
地と車両の走行安定性とを高次元で両立させることが可
能な電子制御サスペンション装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決する手段】上記課題を解決するために、本
発明の請求項1に記載された電子制御サスペンション装
置は、車両の走行路面の凹凸状態に対応した信号を出力
する路面状態出力手段と、前記路面状態出力手段が出力
する信号から、前記車両のバネ上共振周波数成分および
不快共振周波数成分をそれぞれ抽出する抽出手段と、車
両に姿勢変化を生じさせる運転状態を検出し、かかる運
転状態に基づいて、基本となるサスペンション剛性の強
さを決定する基本サスペンション剛性決定手段と、前記
抽出手段によって抽出されたバネ上共振周波数成分およ
び不快共振周波数成分より上記基本となるサスペンショ
ン剛性の強さに対する補正量を算出し、この補正量によ
って上記基本となるサスペンション剛性の強さを補正す
る補正手段と、前記補正手段によって補正されたサスペ
ンション剛性の強さにしたがって、車両のサスペンショ
ン剛性を調整する調整手段とを備えることを特徴とす
る。
【0006】また、請求項2に記載のように、請求項1
に記載の電子制御サスペンション装置において、前記補
正手段は、バネ上共振周波数成分の大きさと、不快共振
周波数成分の大きさとの相対比較の下に、相対的に前記
バネ上共振周波数成分が大きい場合には、前記サスペン
ション剛性を強くするように補正量を算出し、相対的に
前記不快共振周波数成分が大きい場合には前記サスペン
ション剛性を柔らかくするように補正量を算出するよう
にしてもよい。
【0007】また、請求項3に記載のように、請求項2
に記載の電子制御サスペンション装置において、前記補
正手段は、前記バネ上共振周波数成分の大きさを、所定
の第1のしきい値と比較することによって、少なくとも
2段階の大きさに判別し、かつ、前記不快共振周波数成
分の大きさを所定の第2のしきい値と比較することによ
って少なくとも2段階の大きさに判別するとともに、上
記判別後の両者の大きさを比較することによって相対比
較を行うようにしてもよい。
【0008】また、請求項4に記載のように、請求項1
から請求項3のいずれかに記載の電子制御サスペンショ
ン装置において、前記調整手段が調整するサスペンショ
ン剛性は、ショックアブソーバの減衰力であり、前記補
正手段が算出する補正量は、減衰力の加減量とする。ま
た、請求項5に記載のように、請求項1から請求項3の
いずれかに記載の電子制御サスペンション装置におい
て、前記抽出手段は、バネ下共振周波数成分の大きさを
も抽出し、かかる大きさが第3のしきい値以上の場合に
は、前記サスペンション剛性の強さが所定の強さよりも
柔らかくなることを禁止する禁止手段を備えるように構
成してもよい。
【0009】また、請求項6に記載のように、請求項2
もしくは請求項3に記載の電子制御サスペンション装置
において、前記路面状態出力手段は、少なくとも車体の
左右に各々設けられ、前記左右に設けられた路面状態検
出手段から出力される信号のバネ上共振周波数成分の大
きさが共に大きいと判別されるときに、バネ上共振周波
数成分の大きさが大きいと判断するようにするのが効果
的である。
【0010】また、請求項7に記載のように、請求項2
もしくは請求項3に記載の電子制御サスペンション装置
において、前記路面状態出力手段は少なくとも車体の左
右に各々設けられ、前記左右に設けられた路面状態出力
手段から出力される信号のどちらか一方において、不快
共振周波数成分の大きさが大きいと判別されるときに、
不快共振周波数成分の大きさが大きいと判断するように
構成するのがよい。
【0011】また、請求項8に記載のように、請求項5
に記載の電子制御サスペンション装置において、前記路
面状態出力手段は少なくとも車体の左右に各々も受けら
れ、前記左右に設けられた路面状態出力手段から出力さ
れる信号のどちらか一方において、バネ下共振周波数成
分の大きさが大きいと判別される時に、バネ下共振周波
数成分が大きいと判断するように構成するのがよい。
【0012】さらに、請求項9に記載のように、請求項
5に記載の電子制御サスペンション装置において、不快
共振周波数成分の大きさおよびバネ下共振周波数成分の
大きさの判定は、それらの大きさが前記第2および第3
のしきい値以下となった後も所定時間その判定を保持す
るとともに、不快周波数成分の判定保持時間は、バネ下
共振周波数成分の判定保持時間よりも短い時間に設定す
ることが望ましい。
【0013】
【作用】請求項1に記載の電子制御サスペンション装置
は、前記車両の走行路面の凹凸状態を示す信号を検出
し、その検出信号から、乗員にフワフワ感を与えるバネ
上共振周波数成分を抽出する。また、乗員が不快感を感
じる不快共振周波数成分をも抽出する。また、車両の運
転状態から車両の姿勢変化の度合いを検知し、この結果
に応じてサスペンション剛性の基本的な強さを決定す
る。この基本的なサスペンション剛性の強さを、上述の
バネ上共振周波数成分および不快共振周波数成分に応じ
て補正する。この補正後のサスペンション剛性の強さに
従って、サスペンション剛性を調整することによって、
基本となるサスペンション剛性の強さによって車両の姿
勢変化を抑えつつ、バネ上の共振周波数成分及び不快共
振周波数成分によって基本サスペンション剛性を補正す
ることにより、ばね上共振による乗員のフワフワ感や不
快共振による乗員のゴツゴツ感を抑制する。このように
して、車両の乗心地と走行安定性との両立が図られる。
【0014】なお、請求項2に記載の電子制御サスペン
ション装置では、基本的なサスペンション剛性の強さを
補正する際に、バネ上共振周波数成分の大きさと不快共
振周波数成分の大きさとを相対的に比較する。そして、
バネ上共振周波数成分が大きい場合には、乗員が感じる
フワフワ感を改善するべく、サスペンションの剛性を強
くするように補正量を演算し、補正する。また相対的に
不快共振周波数成分が大きい場合には、乗員が感じるゴ
ツゴツ感を改善するべく、サスペンションの剛性を弱く
するように補正量を演算し、補正する。
【0015】また、請求項3に記載の電子制御サスペン
ション装置では、基本的なサスペンション剛性の強さを
補正する際に、バネ上共振周波数成分の大きさを少なく
とも2段階以上に判別するために、バネ上共振周波数成
分の大きさをあらかじめ定められた例えば第1のしきい
値と比較する。これによって、バネ上共振周波数成分の
大きさを2段階に判別する。また、不快共振周波数成分
の大きさを少なくとも2段階以上に判別するために、不
快共振周波数成分の大きさをあらかじめ定められた例え
ば第2のしきい値と比較する。これによって、不快共振
周波数成分の大きさを2段階に判別する。このように判
別されたバネ上および不快の各共振周波数成分の大きさ
の段階を相対比較することによって、サスペンション剛
性の強さの補正量を決定する。
【0016】また、請求項4に記載の電子制御サスペン
ション装置では、サスペンションの剛性の強さとして、
ショックアブソーバの減衰力を調整する。従って、補正
量は、ショックアブソーバの減衰力に加減する減衰力の
加減量である。また、請求項5に記載の電子制御サスペ
ンション装置では、バネ上および不快共振周波数成分の
大きさに加えて、バネ下の共振周波数成分をも抽出す
る。そして、乗員が車両のばたつき感を感じる程のバネ
下の共振状態であるかどうかを判断するために、このバ
ネ下共振周波数成分の大きさを、あらかじめ定められた
例えば第3のしきい値と比較する。この際、バネ下共振
周波数成分の大きさが第3の所定値よりも大きい場合
は、乗員のばたつき感を改善するべく、サスペンション
の剛性の強さが所定の強さよりも柔らかくなることを禁
止する。
【0017】また、請求項6に記載の電子制御サスペン
ション装置では、少なくとも前記車両の左右において、
独立して走行路面の凹凸状態を示す信号を検出し、この
各々の検出信号からバネ上の共振周波数成分の大きさを
検知する。そして、各々の検出信号からのバネ上の共振
周波数成分の大きさがともに大きいと判断された場合
に、車両のバネ上の共振周波数成分が大きい状態であ
る、乗員にフワフワ感を与える状態であると判断する。
【0018】また、請求項7に記載の電子制御サスペン
ション装置では、少なくとも前記車両の左右において、
独立して走行路面の凹凸状態を示す信号を検出し、この
各々の検出信号から不快共振周波数成分の大きさを検知
する。そして、各々の検出信号からの不快共振周波数成
分の大きさにおいて、どちらか一方の不快共振周波数成
分の大きさが大きい場合に不快共振周波数成分が大きい
状態であり、乗員にゴツゴツ感を与える状態であると判
断する。
【0019】また、請求項8に記載の電子制御サスペン
ション装置では、少なくとも前記車両の左右において、
独立して走行路面の凹凸状態を示す信号を検出し、この
各々の検出信号からバネ下の共振周波数成分の大きさを
検知する。そして、各々の検出信号からのバネ下共振周
波数成分の大きさにおいて、どちらか一方のバネ下共振
周波数成分の大きさが大きい場合にバネ下共振周波数成
分が大きい状態であり、乗員にばたつき感を与える状態
であると判断する。
【0020】また、請求項9に記載の電子制御サスペン
ション装置では、不快共振周波数成分およびバネ下共振
周波数成分の大きさが、前記第2、第3のしきい値より
も小さくなって、乗員にゴツゴツ感およびばたつき感を
与える共振周波数が検知されなくなっても、所定時間の
間第2、第3のしきい値以上の大きさの不快およびバネ
下の各共振周波数成分が検出された時の判定を保持す
る。そして、この判定の保持時間は、不快共振周波数成
分の大きさの判定保持時間よりも、バネ下共振周波数成
分の大きさの判定保持時間よりも短い時間に設定されて
いる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するために、実施
例を図面とともに説明する。図1は、第1実施例の構成
を表すブロック図である。前後左右の各車輪1、2、
3、4に設置される車輪速度センサ10、11、12、
13において、車輪速度信号を検出する。この車輪速度
信号は、電子制御装置ECU100内に設置されている
フィルタ部50に入力される。このフィルタ部50は、
後述するように、バネ上共振フィルタと不快共振フィル
タとバネ下共振フィルタの3部から形成されている。こ
れら各フィルタにて、バネ上共振周波数成分、不快共振
周波数成分およびバネ下共振周波数成分を抽出する。
【0022】また、電子制御装置ECU100内におい
て、車輪速度信号から算出される車輪速度および車輪加
速度等を用いて、車両の姿勢変化を判断するべく、車体
速度が演算される。この車体速度の大きさに応じて、車
両の走行安定性を確保、向上させるべく、サスペンショ
ン40、41、42、43の基準減衰力が決定される。
【0023】上記の如く抽出された各周波数成分は、電
子制御装置ECU100内において、それぞれに対して
少なくとも1値づつ定められた所定値およびしきい値と
比較される。この比較結果によって、各周波数成分の大
きさのレベルが検知される。これらのレベルに応じて、
乗員のフワフワ感、ゴツゴツ感およびバタツキ感を解消
して乗心地の向上を図るべく、基準減衰力から加減され
る減衰力が決定される。これら基準減衰力と、乗心地を
向上させるための基準減衰力に加減される減衰力を用い
て、ショックアブソーバ20、21、22、23の減衰
力を制御することによって、サスペンション40、4
1、4、2、43の剛性を調整する。
【0024】このようにすることによって、車両の乗心
地と走行安定性を両立することが可能になる。図2は、
減衰力を5段階変化させることが可能なサスペンション
に、本発明を適用した実施例の、電子制御装置ECU1
00内において実行されるメインルーチンを表すフロー
チャートである。
【0025】本実施例における制御が開始されると、ま
ずステップ100において、以下に説明する制御中に採
用される各種パラメータおよびフラグを初期化する。ス
テップ110では、車輪速度センサ10、11、12、
13からの出力信号より、各車輪の車輪速度、および、
車輪加速度を演算する。また、車輪速度センサ10、1
1、12、13の出力信号は、このフローが終了するま
で記憶保持する。
【0026】ステップ120では、車輪速度および車輪
加速度等を用いて、車体速度を演算する。ステップ13
0では、車両走行路面状態を検知するために、車輪速度
信号から、車両のバネ上の共振状態を示すバネ上共振周
波数成分を、バネ上フィルタを用いて抽出する。このバ
ネ上共振周波数成分の振幅の大きさは、車両が路面高低
においてうねった路面を走行した場合の、乗員のフワフ
ワ感の度合いを示している。
【0027】ステップ140では、バネ上共振周波数成
分の大きさとあらかじめ定められた少なくとも1つの所
定値とを比較する。これによって、バネ上の共振周波数
成分から、車両の走行路面からの影響によって車体がど
れくらいのうねりまたはあおりを発生し、乗員にフワフ
ワ感を与えるかを判定する。なお、この判定は、所定値
数に応じた出力レベル数に分割判定され、このフロー実
行中、記憶保持される。本実施例では2つの所定値とバ
ネ上共振周波数成分との大きさを比較し、あおりレベル
を3段階に判定する。
【0028】また、ステップ150では、車輪速度信号
から、悪路を走行している場合のゴツゴツ感のような、
乗員が不快感を感じる周波数範囲である不快不快共振周
波数成分を、不快共振フィルタを用いて抽出する。ステ
ップ160では、不快共振周波数成分の大きさとあらか
じめ定められた少なくとも一つの所定値とを比較する。
これによって、不快不快共振周波数成分から、車両の走
行路面がどれくらいの悪路であり、乗員にゴツゴツ感の
ような不快感を与えるかを判定する。また、この判定
は、所定値数に応じた出力レベル数に分割判定され、こ
のフロー実行中、記憶保持される。本実施例では2つの
所定値と不快共振周波数成分との大きさを比較し、ゴツ
ゴツレベルを3段階に判定する。
【0029】さらに、ステップ170では、上記車輪速
度信号から、車両のバネ下の共振状態を示す共振周波数
成分をバネ下共振フィルタにて抽出する。ステップ18
0では、バネ下共振周波数成分の大きさとあらかじめ定
められた少なくとも一つのしきい値とを比較する。これ
によって、バネ下の共振周波数成分から、車輪がどれほ
どのばたつきを発生し、乗員にばたつき感を与えるかを
判定する。また、この判定は、しきい値数に応じて各ば
たつきレベルに分割判定され、このフロー実行中、記憶
保持される。なお、車体のばたつきは、主に走行路面が
後述するハーシュ路である場合に発生する。
【0030】ここで、図8を用いて、各共振周波数成分
を抽出するバネ上、不快およびバネ下の各共振周波数帯
フィルタについて簡単に説明する。図8に示すように、
バネ上共振フィルタでは、乗員のフワフワ感の原因とな
る1〜2Hzのバネ下共振周波数成分が抽出される。ま
た、不快共振フィルタでは、乗員のゴツゴツ感の原因と
なる5〜9Hzの不快共振周波数成分が抽出される。ま
た、バネ下共振フィルタでは、車輪のばたつきを表して
いる10〜16Hzのバネ下共振周波数成分が抽出され
る。
【0031】ステップ190では、車両の走行状況を検
出するために、車体速度の変化を検知する。この車体速
度の変化に応じて、サスペンション40、41、42、
43に設置されているショックアブソーバ20、21、
22、23の減衰力の基準を随時補正することによっ
て、車速感応の基準減衰力を決定する。ステップ200
では、ステップ130〜180における、各共振周波数
成分の抽出、出力レベル判定の結果を用いて、ショック
アブソーバ20、21、22、23の基準減衰力に加減
する減衰力の所定値、すなわち乗心地加減値を算出す
る。
【0032】ステップ210では、ステップ190およ
び200において算出された基準減衰力と、乗心地加減
値とを用いて、サスペンション40、41、42、43
の減衰力である車速感応乗心地加減値を決定する。ステ
ップ220では、ステップ170にて判定されたバネ下
共振周波数成分の出力レベルに応じて、実際に、車両に
発生しているばたつきが過大なものであるかどうかを判
定する。
【0033】ステップ230では、ステップ210およ
び220における判定結果に応じて、乗員の乗心地およ
び走行安定性を高次元で両立させるべく、サスペンショ
ン40、41、42、43の最適な減衰力を決定する。
ステップ240では、ステップ230における最適減衰
力の決定結果を反映させるべく、電子制御サスペンショ
ンの減衰力を調整する。
【0034】図3は、ステップ190における車速感応
減衰力基準の決定の方法を表すフローチャートである。
すなわち、このステップ300からのフローにおいて、
車両の姿勢変化として車体速度を採用し、サスペンショ
ン剛性の基準となる基準減衰力Aを決定する。なお、路
面状況による乗心地への悪影響が無い場合は一般的に、
車両が低中速走行をしている場合には減衰力を低く設定
しておいた方が、乗員の乗心地が良く、また、車両が高
速走行になるほど減衰力を高く設定すると、乗員の乗心
地は良好になる。
【0035】この図3のフローでは、一例として、車両
の姿勢変化すなわち車体速度に応じてサスペンション4
0、41、42、43の基準減衰力AをA=1〜4の4
段階に決定している。なお、基準減衰力A=1に近いほ
どサスペンション剛性が低いということを示し、基準減
衰力A=4に近いほどサスペンション剛性が高いという
ことを示す。
【0036】ステップ300からスタートし、現在、車
両が低速走行中であるかどうかを判定する。ここでは一
例として、車体速度が時速4km以下であるか否かによっ
て判定している。ここで、車体速度が時速4km以下であ
る場合にはステップ310に進む。ステップ310で
は、車両が低速走行中であるとして、サスペンション4
0、41、42、43の基準減衰力Aを3とする。車両
が低速走行を行う時はというのは、車両の停止直前およ
び発進直後が多いため、車体にかかる駆動力、制動力に
よる車体の荷重移動が発生する確率が大きい。よってあ
る程度サスペンション40、41、42、43の減衰力
を高く設定しておく必要がある。
【0037】ステップ300において、車体速度が4km
以上である場合、ステップ320にて、車両が中低速走
行中であるか否かを判定する。この際の車体速度の比較
所定値として50kmを採用し、車体速度が50km以上か
否かを判定する。ここで、車体速度が50km以下である
場合には、ステップ330に進む。ステップ330で
は、車両が中低速走行中であるとして、基準減衰力Aを
1と決定する。
【0038】以下、ステップ340〜ステップ380ま
で、以上と同様にサスペンション40、41、42、4
3の減衰力レベルを車体速度に応じて決定する。この場
合、ステップ340および360では、車体速度の比較
所定値としてそれぞれ90km、120kmを採用してい
る。これら比較所定値と車体速度とを比較することによ
って、車両の姿勢変化に応じて基準減衰力Aを合計4段
階に決定する。
【0039】次に、図2のステップ200における、シ
ョックアブソーバ20、21、22、23の基準減衰力
Aに加減する乗心地加減値Bの決定方法を、図4のフロ
ーチャートに示す。ここでは、バネ上および不快の両共
振周波数成分の発生にともなって乗員に悪影響を与える
あおりうねりおよびゴツゴツ感の双方に対処して乗員の
乗心地を向上するべく、サスペンション40、41、4
2、43の基準減衰力を加減して調整する。なお、この
フローチャートでは、バネ上共振周波数成分および不快
共振周波数成分を各々2つの所定値と比較して、それぞ
れ3段階に判別している例を説明する。
【0040】ステップ400からスタートし、バネ上共
振周波数成分の大きさによって、車体のあおりまたはう
ねりの状況から乗員に及ぼす影響を判断する。ここで、
バネ上共振周波数成分が大きく車体のあおりレベルが高
いと判断された場合には、ステップ410に進む。ここ
では、サスペンション40、41、42、43の剛性
を、現在の基準減衰力から5段階分高くするように、乗
心地加減値Bを5と決定する。
【0041】なお、乗心地加減値Bは、以下ような減衰
力調整を基準に決定される。すなわち、バネ上共振周波
数成分が大きく、車体のあおりレベルが高い場合には、
サスペンション剛性を強くした方が、乗員の乗心地は改
善される。このため、バネ上共振周波数成分が大きい場
合には、減衰力を高めるように調整する。また、不快共
振周波数成分が大きく、車体のゴツゴツレベルが高い場
合には、サスペンション剛性を弱くした方が、乗員のゴ
ツゴツ感は改善される。よって、不快共振周波数成分が
大きい場合には、減衰力を低くするように調整する。
【0042】ステップ420において、あおりレベルが
中程度であると判断されると、ステップ430〜470
において、バネ上共振状態と同時に不快共振状態に陥っ
ていないかを判断する。ステップ430にて、不快共振
周波数成分の大きさから乗員が感じるゴツゴツ感の大き
さ、すなわちゴツゴツレベルを判断する。ここで、ゴツ
ゴツレベルが高いと判断された場合には、あおりレベル
が中程度であることと、ゴツゴツレベルが高いというこ
との双方を加味して乗心地加減値Bを1と決定する。
【0043】また、ステップ450では、ゴツゴツレベ
ルが中程度であるか否かを判断する。ここで、あおりレ
ベルおよびゴツゴツレベル共に中程度である場合には、
ステップ460において乗心地加減値Bを2と決定す
る。これは、乗員のあおり感とゴツゴツ感とを比較した
場合、あおり感の方が乗員の乗心地に大きな悪影響を与
えているためである。つまり、同程度、車体のあおりと
ゴツゴツ感が発生している場合には、あおりを抑制する
ように、サスペンション40、41、42、43の減衰
力を調整した方が乗員の乗心地が向上されることとな
る。
【0044】ステップ470では、あおりレベルが中程
度で、ゴツゴツレベルは低いとして乗心地加減値Bを1
に決定する。ステップ480〜520では、バネ上共振
状態による車体のあおり状態が低い場合に、不快共振状
態による乗員のゴツゴツ感を抑制するための、乗心地加
減値Bを決定する。
【0045】ステップ480および500では、ゴツゴ
ツレベルが高いレベルか、中程度のレベルかを判断す
る。これによって、ゴツゴツレベルが高い場合には、ス
テップ490において乗心地加減値Bを−3に決定す
る。ゴツゴツレベルが中程度の場合には、ステップ51
0において乗心地加減値Bを−2に決定する。ステップ
520では、あおりレベルもゴツゴツレベルも低いとし
て、サスペンション40、41、42、43の現在の減
衰力をそのまま保持する。
【0046】以上のように車体のバネ上共振状態および
不快共振状態の双方を考慮した乗心地加減値Bを決定す
る。この際、ステップ400において、あおりレベルが
高い場合には、不快共振周波数成分によるゴツゴツレベ
ルを考慮せずに、サスペンション剛性を最大値までアッ
プするように制御している。これは、車体のあおりレベ
ルが大きい場合というのは、車体の上下方向等の揺れに
よって最も車両の走行安定性に影響がでるため、乗員の
ゴツゴツ感に優先して、車体のあおりを抑制するように
サスペンション剛性を制御する。
【0047】次に、図2のステップ210における、車
速感応の基準減衰力Aと、乗心地加減値Bとを用いた、
車速感応乗心地加減値Cの演算を、図5のフローチャー
トにおいて説明する。ステップ600では、図3および
図4において算出される基準減衰力Aと乗心地加減値B
とを単純に足し合わせ、車速感応乗心地加減値Cを算出
する。
【0048】なお、ステップ610〜650では、車速
感応乗心地加減値Cがサスペンション減衰力の変化許容
段階である、C=1〜5の5段階内に、車速感応乗心地
加減値Cが収まっているかどうかを判断する。ステップ
600にて、車速感応乗心地加減値Cが0以下になった
場合には、最低の減衰力値C=1を選択し、車速感応乗
心地加減値Cが5以上になった場合には最大の減衰力値
C=5を選択するようにする。
【0049】次に、図6に示すフローチャートでは、図
2のステップ180にて判定されるばたつきレベルが、
実際どれくらい乗員の乗心地および走行安定性に影響を
及ぼすものかを判定する。さらに、これに応じてばたつ
き制振値Dを決定する。ここで、ばたつき制振値Dにつ
いて説明する。車体のバネ下が所定以上のばたつきを有
している場合には、サスペンション40、41、42、
43の減衰力レベルを所定レベル以上に保たなければ、
車輪等のばたつきが抑制されず、車両の走行安定性を妨
げるものとなる。ばたつき制振値Dは、この時のサスペ
ンション40、41、42、43減衰力を保持する所定
レベルを表している。
【0050】ステップ700では、図2のステップ18
0において、判定、記憶保持されたばたつきレベルの大
きさから、現在、乗員の乗心地および走行安定性に著し
い悪影響を与えているか否かを判定する。ステップ71
0では、車両のばたつきが乗員の乗心地および走行安定
性に著しい悪影響を与えているレベルであるとして、ば
たつき制振値Dを2に設定する。よって、例えば、不快
共振周波数成分のみがいくら大きくても、サスペンショ
ン40、41、42、43の減衰力は基準減衰力2以下
には調整されない。
【0051】また、ステップ720では、車両のばたつ
きが乗員の乗心地および走行安定性にそれほど影響を与
えていないとして、ばたつき制振値Dを1に設定する。
以上のように決定される車速感応乗心地加減値Cとばた
つき制振値Dとを用いて、最適減衰力値を決定するフロ
ーチャートを図7に示す。ステップ800では、車速感
応乗心地加減値Cとばたつき制振値Dとの大きさを比較
する。ここで、車速感応乗心地加減値Cの方がばたつき
制振値Dよりも大きい値を採っている場合には、車速感
応乗心地加減値Cの値を最適減衰力値として採用する。
【0052】また、車速感応乗心地加減値Cよりもばた
つき制振値Dの方が大きい場合は、最適減衰力値にばた
つき制振値Dを採用する。これは、車両が過度のバネ下
共振状態に陥っている場合には、車両の速度条件および
不快共振状態によるゴツゴツ感に優先して、サスペンシ
ョン40、41、42、43の減衰力を所定の減衰力以
上に保持するということを意味する。このようにするこ
とによって、バネ下のばたつきによる走行安定性の阻害
を優先的に防止することが可能である。
【0053】以上詳述したように、本実施例では、車体
速度等によって車両の姿勢変化走行条件に応じたサスペ
ンション40、41、42、43の基準減衰力を決定す
る。この基準減衰力にバネ上、不快およびバネ下の各共
振周波数成分から判断された上記乗心地加減値B分の減
衰力を加減して、路面状況に適するように補正してい
る。
【0054】一般に減衰力が変化すると、それにより車
両に発生する振動の各周波数成分のレベルも変化する。
そこで、本件は姿勢制御の要求により基準減衰力を決定
して姿勢変化を抑制するとともに、変化する基準減衰力
に対して乗心地下限値を加えることにより、基準減衰力
が変化した状態における車両に発生する各周波数成分の
レベルに即した乗心地制御が行われる。このようにする
ことによって、車両の乗心地と、車両の姿勢変化、走行
条件等による走行安定性との双方を考慮したサスペンシ
ョン剛性の制御が可能になる。また、車体のあおりレベ
ルが過大な場合には、乗員のゴツゴツ感に優先してサス
ペンション40、41、42、43の減衰力を最大レベ
ルまでアップしている。また、バネ下のばたつきが所定
レベル以上である場合、サスペンション40、41、4
2、43の減衰力を所定以上に保持している。このよう
にすることによって、より一層、車両の走行安定性を向
上することができる。
【0055】次に、第1実施例における作動を、図9に
基づいて説明する。図9は、車両が実際の路面を走行し
た場合に、サスペンション40、41、42、43の減
衰力が判断される過程を、時間を横軸にとって示してい
る。図9に示すように、最初、平滑路を走行していた車
両が、順次ゴツゴツ路、ゴツゴツ路とあおりおよびうね
り路との両方の特徴を有している複合路、あおりおよび
うねり路を通過する。一連の路面にはハーシュ路特有の
凹凸を有している。ここで、ゴツゴツ路とは、悪路を走
行した場合に、乗員がゴツゴツした不快感を感じる4〜
7Hz程度の共振周波数成分を発生させる路面のことであ
る。うねり路とは、連続して高低差を持つ路面を走行し
た場合に、乗員がフワフワした感覚を持つ1〜2Hz程度
の共振周波数成分を発生させる路面のことである。ハー
シュ路とは、高架等を走行した場合に、高架の継ぎ目等
の凹凸が少なくとも1ヶ所以上ある10〜16Hz程度の
共振周波数成分を発生させる路面のことである。このハ
ーシュ路を走行した際には、車輪がばたつき、車輪と路
面との接地荷重の変動が大きく、さらに乗員は車輪のば
たつき感を感じる。
【0056】このような路面を走行した際に、車輪速度
センサ信号から抽出されるバネ上共振周波数成分、不快
共振周波数成分、バネ下共振周波数成分は、各フィルタ
にて、図9のb),c),d)のような波形に抽出され
る。バネ上共振周波数成分と不快共振周波数成分とは、
あらかじめ定められているそれぞれ少なくとも1つの所
定値と比較される。本実施例においては、あらかじめ定
められた2つの所定値とバネ上共振周波数成分による振
幅を比較する。これによって、バネ上共振周波数成分レ
ベルを表す小、中、大の3段階に判別する。また、あら
かじめ定められた2つの所定値と不快共振周波数成分に
よる振幅を比較し、図9に示すように、不快共振周波数
成分レベルを表す小、中、大の3段階に判別する。これ
らの判別結果は、相対的に比較され、バネ上共振周波数
成分が相対的に大の時は、路面のうねりによるフワフワ
感を低下させるために、サスペンション40、41、4
2、43の減衰力を高くするようにプラスの因数を使用
する。また不快共振周波数成分が相対的に大の時は、ゴ
ツゴツ感を低下させるために、ショックアブソーバ2
0、21、22、23の減衰力を低くするようにマイナ
スの因数を使用する。
【0057】前述のバネ上共振周波数成分レベルと不快
共振周波数成分レベルとも、それぞれ所定の短期間ごと
に順次算出されるが、それぞれ判定レベルは所定時間保
持される。この場合、不快共振周波数成分レベルの判定
保持時間は、後述するバネ下の共振状態の判定保持時間
よりも短い時間に設定する。というのは、不快共振周波
数成分とバネ下共振周波数成分とは、発生する路面状況
から、同時に増加することが予想される。この場合、不
快共振周波数レベルの判定保持時間をバネ下の共振状態
の判定保持時間よりも短い時間に設定しておかないと、
バネ下共振周波数成分発生時の方が、減衰力が短時間で
切り替わるため、減衰力切り替えによる摺動によって乗
員に違和感が生じるからである。
【0058】前述のバネ下共振周波数成分は、あらかじ
め定められた少なくとも一つのしきい値と比較される。
この実施例では、一つのしきい値とバネ下共振周波数成
分の大きさとを比較し、2段階にバネ下共振周波数成分
レベルを判定する例を示す。バネ下共振周波数成分の出
力信号がこのしきい値を越えた場合、バネ下共振状態で
あるということを示すレベル判定を、所定時間保持す
る。
【0059】乗心地加減値Bは、h)に示すように、バ
ネ上共振周波数成分レベルと不快共振周波数成分レベル
との関係において、図4にて前述したように決定され
る。上述した、バネ下共振周波数成分レベル判定と、乗
心地加減値とを用いて、現走行中のサスペンション4
0、41、42、43の基準減衰力から、最適な減衰力
を決定する。図9のj)に示すように、平滑路において
は、サスペンション40、41、42、43の基準減衰
力は、図3にて前述したように、車体速度に応じて決定
される基準減衰力3に制御されている。すなわち、現在
車両は90kmから120km以下にて走行していることと
なる。この車両がゴツゴツ路面に突入した後、乗心地加
減値は段階を踏んで−2、−3と移行する。この乗心地
加減値は基準減衰力に加減される値を表している。A地
点において、バネ下共振周波数成分が現在のしきい値以
上の出力値をとっているため、減衰力があらかじめ定め
られた最低減衰力レベルであるバネ下制振値D=2以下
にはならないように制御が働く。よって乗心地加減値演
算結果によると、A’の点線のように、減衰力は最低減
衰力に制御されることになるが、最低減衰力レベル2に
保持制御される。低い減衰力に制御されていたサスペン
ション40、41、42、43は、複合路に突入し、減
衰力レベル4まで引き上げられる。しかし、B地点に
て、車体速度が50kmから90km以下の間に変化し、図
9のi)に示すように基準減衰力の値が3から2に低下
したとする。よって、このB地点からは、基準減衰力2
に乗心地加減値が加減されることとなる。また、B地点
近傍にてバネ下共振周波数成分がしきい値以上の出力値
をとっているが、サスペンション減衰力は最低減衰力レ
ベル2以上に制御されている。このため、バネ下共振周
波数成分に関わらず減衰力は制御される。
【0060】車両は、C地点からうねり路に突入する。
この時点で、車両のバネ上共振周波数成分のレベルが大
のレベルに達している。この場合、図4に示すように乗
心地加減値は5になる。つまり、サスペンションの減衰
力が最低の基準減衰力1に制御されている場合において
も、バネ上共振周波数成分レベルが大の場合には、サス
ペンション剛性は最大に制御されることとなる。すなわ
ち、この時、いくら不快共振周波数成分が大きく検出さ
れて乗員にゴツゴツ感を与えていようとも、車体のあお
り等による車両の不安定性を向上させることを重視し
て、サスペンション剛性を最大に制御する。
【0061】次に本発明の第2実施例について説明す
る。なお、上記第1実施例と同様の構成および作動効果
を有する箇所の説明は省略する。上述の第1実施例で
は、図4等に示すように各共振周波数成分のレベルから
乗心地加減値を決定していた。しかし、図10に示すよ
うな線形対称マップを用いて、基本減衰力を車両走行時
の路面状態に適するように補正する乗心地加減値を決定
してもよい。すなわち、バネ上共振周波数成分レベルお
よびバネ下共振周波数成分レベルの決定の後に、この線
形対称マップを用いるようにする。このように本発明を
実施しても第一実施例同様の効果を得ることが可能であ
る。
【0062】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、以下のように種々変形可能である。例えば、上
記実施例では、路面状態を検出する際に、車輪速度セン
サ10、11、12、13を用いていたが、ピエゾセン
サ、加速度センサ、ハイトセンサを用いてもよい。ま
た、上記実施例では、バネ上共振周波数成分レベルと不
快共振周波数成分レベルとによって、ショックアブソー
バ20、21、22、23の減衰力調整量である乗心地
加減値を判定する際に、図10に示すように、線形対称
なマップを用いていた。このようなマップ領域に、バネ
上共振周波数成分が非常に大きな所定の値よりも大きい
値となった場合には、同時に不快共振周波数成分が非常
に大きな値となっているときにおいても、減衰力を最大
または所定以上の大きさに保持するようにサスペンショ
ン剛性を制御する領域を作成しておいてもよい。このよ
うにすることによって、路面の非常に大きなあおりまた
はうねりによって、車体が大きくバウンドし、車体の損
傷の危険性を有した場合において、車体および乗員の安
全を優先してサスペンション40、41、42、43を
固くすることによって、車体のバウンドを早く収束させ
ることができる。
【0063】また、図9に示すように、バネ上共振周波
数成分は不快共振周波数成分と同時期に発生することが
多いということを考慮しつつ、実際乗員へ与える悪影響
は不快共振周波数成分の方が大きいと見なしたマップを
採用することもできる。このようなマップに、前述の減
衰力を最大または所定以上の大きさに保持する制御領域
を設定して、上述した時と同様の制御を減衰力調整に対
して行ってもよい。
【0064】また、上述の実施例においては、バネ下共
振周波数成分を抽出してバネ下のばたつき判定をし、バ
ネ下のばたつきを抑制する制御を行っていた。しかし、
この制御を省略し、バネ上および不快の共振周波数成分
からのみサスペンション40、41、42、43の基準
減衰力を調整することによっても、乗員の乗心地を充分
に向上することができる。
【0065】また、上記実施例においては、サスペンシ
ョン40、41、42、43の基準減衰力を決定するた
めに、車両の走行条件および姿勢変化を検知する手段と
して車体速度を採用していた。しかし、この他に、車両
に制動力の係るブレーキ時等の車両の荷重移動を制御す
るアンチダイブ制御、車両旋回時に車両の荷重移動を制
御するアンチロール制御、車両に駆動力の係る加速時等
の荷重移動を制御するアンチスクオート制御等に用いら
れる車両の現在の走行状態に関わる情報を採り入れて、
前記基準減衰力を補正するようにしてもよい。
【0066】また、バネ上共振周波数成分および不快共
振周波数成分、バネ下共振周波数成分のそれぞれのレベ
ルを判定する少なくとも1つ以上の所定値およびしきい
値はあらかじめ定められていた。しかし、所定の車両走
行条件を満たす場合には、それぞれの共振周波数成分を
増幅させて、増幅したそれぞれの共振周波数成分とあら
かじめ定めておいた所定値およびしきい値とを比較し
て、各々レベル判定を行ってもよい。この場合、例えば
車両走行条件に車体速度を採用すると、車体速度が所定
の値以上になった場合には、上記各共振周波数成分を増
幅させるようにしてもよい。また、このように各共振周
波数成分を増幅するのではなく、車両走行条件によっ
て、所定値およびしきい値を大きくまたは小さく変更す
るようにしてもよい。
【0067】また、上記バネ上共振周波数成分および不
快共振周波数成分、バネ下共振周波数成分を検出演算す
る場合に、車両の左側輪、右側輪に分けて演算するよう
にしてもよい。この場合、バネ上共振周波数成分は、車
体全体の共振周波数成分であるので、左側、右側両方と
もバネ上共振状態を表す所定値を越えた場合にのみバネ
上共振周波数成分のレベルを判定する。というのは、車
体の片側のみにバネ上共振周波数成分が検出される場合
は、それはノイズによるものであるからである。これに
よって、バネ上共振状態の誤検知を防止することができ
る。不快共振周波数成分およびバネ下共振周波数は、車
両の車輪の共振周波数成分であるので、左側、右側との
片方に分けてそれぞれのレベルを判定する。こうするこ
とによって、右側輪および左側輪とのどちらか一方が、
悪路またはハーシュ路、あるいは複合路を走行している
場合にもサスペンション40、41、42、43の減衰
力を最適に制御することができる。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、車両の姿勢変化に伴って、サスペンションの基準剛
性を可変制御する。このように車両の走行安定性が確保
されるように可変制御された基準剛性から、さらに乗員
の乗心地を向上させるべく乗心地制御を実行する。この
ようにすることによって、車両の乗り心地と車両の走行
安定性とを高次元で両立させることができる電子制御サ
スペンション装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を表すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例の全体構成を表すフローチ
ャートである。
【図3】サスペンションの車速感応の基準減衰力を決定
するためのフローチャートである。
【図4】乗心地加減値を決定するためのフローチャート
である。
【図5】車速感応の乗心地加減値を決定するフローチャ
ートである。
【図6】ばたつき制振値を決定するフローチャートであ
る。
【図7】最適減衰力値を決定するためのフローチャート
である。
【図8】各信号処理回路におけるフィルタのフィルタ特
性を表す特性図である。
【図9】本発明によるショックアブソーバの減衰力制御
の状況を表す状況図である。
【図10】本発明のショックアブソーバの減衰力加減値
決定のための関係図である。
【図11】本発明の他の実施例を表す、ショックアブソ
ーバの減衰力加減値決定のための関係図である。
【符号の説明】
1〜4 各車輪 10〜13 各車輪速度センサ 20〜23 各ショックアブソーバ 40〜43 各サスペンション 50 フィルタ 100 電子制御装置ECU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 茂文 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 石川 浩 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 村井 俊之 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 井上 秀雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 森田 光彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行路面の凹凸状態に対応した信
    号を出力する路面状態出力手段と、 前記路面状態出力手段が出力する信号から、前記車両の
    バネ上共振周波数成分および不快共振周波数成分をそれ
    ぞれ抽出する抽出手段と、 車両に姿勢変化を生じさせる運転状態を検出し、かかる
    運転状態に基づいて、基本となるサスペンション剛性の
    強さを決定する基本サスペンション剛性決定手段と、 前記抽出手段によって抽出されたバネ上共振周波数成分
    および不快共振周波数成分より上記基本となるサスペン
    ション剛性の強さに対する補正量を算出し、この補正量
    によって上記基本となるサスペンション剛性の強さを補
    正する補正手段と、 前記補正手段によって補正されたサスペンション剛性の
    強さにしたがって、車両のサスペンション剛性を調整す
    る調整手段とを備えることを特徴とする電子制御サスペ
    ンション装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段は、バネ上共振周波数成分
    の大きさと、不快共振周波数成分の大きさとの相対比較
    の下に、相対的に前記バネ上共振周波数成分が大きい場
    合には、前記サスペンション剛性を強くするように補正
    量を算出し、相対的に前記不快共振周波数成分が大きい
    場合には前記サスペンション剛性を柔らかくするように
    補正量を算出することを特徴とする請求項1記載の電子
    制御サスペンション装置。
  3. 【請求項3】 前記補正手段は、前記バネ上共振周波数
    成分の大きさを、所定の第1のしきい値と比較すること
    によって、少なくとも2段階の大きさに判別し、かつ、
    前記不快共振周波数成分の大きさを所定の第2のしきい
    値と比較することによって少なくとも2段階の大きさに
    判別するとともに、上記判別後の両者の大きさを比較す
    ることによって相対比較を行うことを特徴とする請求項
    2記載の電子制御サスペンション装置。
  4. 【請求項4】 前記調整手段が調整するサスペンション
    剛性は、ショックアブソーバの減衰力であり、前記補正
    手段が算出する補正量は、減衰力の加減量である請求項
    1から請求項3のいずれかに記載の電子制御サスペンシ
    ョン装置。
  5. 【請求項5】 前記抽出手段は、バネ下共振周波数成分
    の大きさをも抽出し、 かかる大きさが第3のしきい値
    以上の場合には、前記サスペンション剛性の強さが、所
    定の強さよりも柔らかくなることを禁止する禁止手段を
    備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれ
    かに記載の電子制御サスペンション装置。
  6. 【請求項6】 前記路面状態出力手段は、少なくとも車
    体の左右に各々設けられ、 前記左右に設けられた路面状態検出手段から出力される
    信号のバネ上共振周波数成分の大きさが共に大きいと判
    別されるときに、バネ上共振周波数成分の大きさが大き
    いと判断することを特徴とする請求項2もしくは請求項
    3に記載の電子制御サスペンション装置。
  7. 【請求項7】 前記路面状態出力手段は少なくとも車体
    の左右に各々設けられ、 前記左右に設けられた路面状態出力手段から出力される
    信号のどちらか一方において、不快共振周波数成分の大
    きさが大きいと判別されるときに、不快共振周波数成分
    の大きさが大きいと判断することを特徴とする請求項2
    もしくは請求項3に記載の電子制御サスペンション装
    置。
  8. 【請求項8】 前記路面状態出力手段は少なくとも車体
    の左右に各々も受けられ、 前記左右に設けられた路面状態出力手段から出力される
    信号のどちらか一方において、バネ下共振周波数成分の
    大きさが大きいと判別される時に、バネ下共振周波数成
    分が大きいと判断することを特徴とする請求項5記載の
    電子制御サスペンション装置。
  9. 【請求項9】 不快共振周波数成分の大きさおよびバネ
    下共振周波数成分の大きさの判定は、それらの大きさが
    前記第2および第3のしきい値以下となった後も所定時
    間その判定を保持するとともに、不快周波数成分の判定
    保持時間は、バネ下共振周波数成分の判定保持時間より
    も短い時間に設定することを特徴とする請求項5記載の
    電子制御サスペンション装置。
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