JP6130816B2 - 減衰力可変ダンパの制御装置 - Google Patents

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本発明は、検出した車輪速の変動量に基づいて車両の状態量を算出してダンパの減衰力を制御する減衰力可変ダンパの制御装置に関する。
近年、自動車のサスペンションに用いられるダンパとして、減衰力を段階的あるいは無段階に可変制御できる減衰力可変型のものが種々開発されている。減衰力を変化させる機構としては、ピストンに設けたオリフィスの面積をロータリバルブによって変化させる機械式のほか、作動油に磁気粘性流体(Magneto-Rheological Fluid:以下、MRFと記す)を用い、ピストンに設けた磁気流体バルブによってMRFの粘度を制御するMRF式が知られている。このような減衰力可変ダンパ(以下、単にダンパと記す)を装着した車両では、車両の走行状態に応じてダンパの減衰力を可変制御することにより、操縦安定性や乗り心地の向上を図ることが可能となる。
乗心地を向上する手法の1つとして、スカイフック理論に基づくスカイフック制御が知られている。乗心地制御(制振制御)を行うスカイフック制御では、ばね上の上下方向の移動を抑制するように目標減衰力を設定するため、ばね上速度を検出する必要がある。また、ダンパの特性として、オリフィスの面積やMRFの粘度が一定であったとしても、ストローク速度に応じて減衰力が変化することから、スカイフック制御を行うためにはストローク速度すなわちばね上とばね下との相対変位速度も検出する必要がある。
従来、スカイフック制御を行うサスペンション制御装置では、ばね上の上下速度やストローク速度を検出するために、各輪について上下Gセンサやストロークセンサを装着する必要があった。ところが、ストロークセンサはホイールハウス内またはその近傍に取り付けられることから、配置スペースの確保などが困難である。そこで、この問題を解決すべく、ストロークセンサを設置することなく、ばね上とばね下との相対変位速度を車輪速変動量から算出し、算出した相対変位速度などに基づいて、ダンパの減衰力を制御するようにしたサスペンション制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
一方、特許文献1に記載のサスペンション制御では、サスペンションに設定されたキャスター角がない場合や微小な場合には相対変位速度を算出することができない。そこで本出願人は、ダンパの減衰力制御に供される車両の状態量をキャスター角にかかわらず高精度に算出し得るサスペンション制御装置を提案している(特許文献2参照)。この発明では、車両の旋回状態量として、内輪車体速比(内輪旋回半径の車体旋回半径に対する比)および外輪車体速比(外輪旋回半径の車体旋回半径に対する比)を算出し、算出した内輪車体速比および外輪車体速比に基づいて車輪速センサの検出値を補正することで転舵による車輪速への影響を取り除き、補正した車輪速の変動量に基づいて車体のばね上速度やサスペンションのストローク速度などの車両状態量を算出している。
特開平6−48139号公報 国際公開第2014/002444号
しかしながら、特許文献2のサスペンション制御装置では、車体のヨーレイトおよび車速から旋回半径を算出し、この旋回半径にトレッドの1/2を単純に加減算することで内輪車体速比および外輪車体速比を算出している。そのため、低速旋回時など、旋回半径が小さく、トレッドやホイールベースなどの車体の幾何学的な影響が比較的大きくなる場合には、転舵影響分の補正量が過不足となってしまい、車両状態量の推定精度が低くなることがあり、更なる推定精度の向上が望まれる。
本発明は、このような従来技術に含まれる課題を解消するべく案出されたものであり、車両が旋回しているときにもダンパの減衰力制御に供される車両の状態量をより高精度に算出することができる減衰力可変ダンパの制御装置を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために、本発明は、各車輪(3)の車輪速(Vw)を検出する車輪速センサ(9)と、前記車輪速センサが検出した車輪速検出値に基づいて車輪速変動量(ΔVw)を算出する車輪速変動量算出手段(36)と、前記車輪速変動量に基づき、車体のばね上速度(S)およびサスペンションのストローク速度(Ss)の少なくとも一方を含む車両(V)の状態量を算出する状態量算出手段(33)と、前記状態量算出手段が算出した前記ばね上速度および前記ストローク速度の少なくとも一方に基づき、減衰力可変ダンパの減衰力を制御する制御手段(23、25)とを備える減衰力可変ダンパ(6)の制御装置(8)であって、転舵の影響による前記車輪速変動量の変化分(VbFL、VbFR)を除去するように前記車輪速変動量(ΔVwの算出に用いるVw)を補正する転舵影響分補正手段(53、54、35)を更に備え、前記転舵影響分補正手段は、右後輪および左後輪の旋回半径(RRR、RRL)を算出する後輪旋回半径算出手段(80A)と、算出された前記右後輪および前記左後輪の旋回半径とホイールベース(WB)とを用いて右前輪および左前輪の旋回半径(RFR、RFL)を算出する前輪旋回半径算出手段(80B)と、前記右前輪の旋回半径および前記左前輪の旋回半径の車体旋回半径(R)に対する比である前輪旋回半径比(RRFL、RRFR)に基づき、前記転舵の影響による前記車輪速変動量の変化分を算出する変化分算出手段(80C、54)とを備える構成とする。
この構成によれば、車両の状態量の算出に用いる車輪速変動量が、前輪旋回半径比に基づいて算出された転舵の影響による変化分が除去されるように補正されるため、低速旋回時など、旋回半径が小さく、車体の幾何学的な影響が比較的大きくなる場合であっても、ダンパの減衰力制御に供される車両の状態量を高精度に算出することができる。
また、上記の発明において、前記前輪旋回半径算出手段(80B)は、前記ホイールベースを車速(Vb)に依存して補正した値(Vb・G)を用いて、前記右前輪および前記左前輪の旋回半径(RFR、RFL)を算出する構成とするとよい。
この構成によれば、車速に依存して旋回中心が移動することに起因して、後輪の旋回半径を用いて算出される前輪の旋回半径に及ぶホイールベースの影響が変化することに対応して、前輪の旋回半径をより高精度に算出することができ、車両の状態量をより高精度に算出できる。
また、上記の発明において、前記後輪旋回半径算出手段(80A)は、前記車体旋回半径(R)と、トレッド(T)と、前記ホイールベースを車速(Vb)に依存して補正した値(Vb・G)とを用いて前記右後輪および前記左後輪の旋回半径(RRR、RRL)を算出する構成とするとよい。
この構成によれば、後輪の旋回半径を算出するにあたっても、車速に依存して旋回中心が移動することに起因して、車輪速変動量を用いて算出される後輪の旋回半径に及ぶホイールベースの影響が変化することに対応して、後輪の旋回半径をより高精度に算出することができ、車両の状態量をより高精度に算出できる。
また、上記の発明において、前記後輪旋回半径算出手段(80A)は、前記トレッドを車速(Vb)に依存して補正した値(G・T)を用いて前記右後輪および前記左後輪の旋回半径(RRR、RRL)を算出する構成とするとよい。
この構成によれば、後輪の旋回半径を算出するにあたっては、車速に依存して旋回中心が移動することに起因して、トレッドを用いて算出される後輪の旋回半径に及ぶトレッドの影響が変化することに対応して、後輪の旋回半径をより高精度に算出することができ、車両の状態量をより高精度に算出できる。
また、上記の発明において、前記車両が後輪のトー角を変更する後輪操舵装置(14)を備え、
前記前輪旋回半径算出手段(80A)は、前記ホイールベースを前記後輪の操舵角(δra)に依存して補正した値(G・WB)を用いて、前記右前輪および前記左前輪の旋回半径を算出する構成とするとよい。
後輪操舵装置を備えた車両においては、旋回時に後輪の操舵角が変更された場合にも、後輪の操舵角に依存して旋回中心が移動することに起因して、転舵影響分の補正量が過不足となってしまうが、この構成によれば、後輪の旋回半径を用いて算出される前輪の旋回半径に及ぶホイールベースの影響が変化することに対応して、前輪の旋回半径をより高精度に算出することができ、車両の状態量をより高精度に算出できる。
また、上記の発明において、前記後輪旋回半径算出手段(80A)は、前記車体旋回半径(R)と、トレッド(T)と、前記ホイールベースを前記後輪の操舵角(δra)に依存して補正した値(G・WB)を用いて、前記右前輪および前記左前輪の旋回半径を算出する構成とするとよい。
この構成によれば、後輪の旋回半径を算出するにあたっても、後輪の操舵角に依存して旋回中心が移動することに起因して、車輪速変動量を用いて算出される後輪の旋回半径に及ぶホイールベースの影響が変化することに対応して、後輪の旋回半径をより高精度に算出することができ、車両の状態量をより高精度に算出できる。
このように本発明によれば、車両が旋回しているときにもダンパの減衰力制御に供される車両の状態量をより高精度に算出できる減衰力可変ダンパの制御装置を提供することができる。
第1実施形態に係る減衰力可変ダンパの制御装置を適用した車両の概略構成図 図1に示すサスペンションのモデル図 図1に示す減衰力可変ダンパの制御装置の概略構成を示すブロック図 図3に示す状態量推定部のブロック図 図4に示すばね下荷重一輪モデルにおける車輪速と接地荷重の関係を示すタイムチャート 図4に示すばね下荷重一輪モデルにおける車輪速変動量と接地荷重変動との相関を示すグラフ 図4に示すばね下荷重一輪モデル計算部のブロック図 図3に示す車体速推定部のブロック図 図8に示す車体速推定部の要部制御ブロック図 図8に示す操舵補正量算出部のブロック図 (A)低速旋回時の各輪の旋回半径の説明図、(B)中・高速旋回時の各輪の旋回半径の説明図 (A)後輪が前輪と逆相に操舵された時の各輪の旋回半径の説明図、(B)後輪が前輪と同相に操舵された時の各輪の旋回半径の説明図 (A)図4に示す一輪モデルによるばね上速度の推定値とセンサ値とを比較したタイムチャート、(B)図4に示す一輪モデルによるストローク速度の推定値とセンサ値とを比較したタイムチャート 図3に示すスカイフック制御演算部のブロック図 図14に示す目標電流設定部が用いる目標電流マップ 図3に示すばね下制振制御演算部のブロック図 車輪速とばね下加速度とを対比して示す周波数応答図 ばね下加速度と図16に示すピークホールド・ランプダウン回路による目標電流とを対比して示すタイムチャート (A)平坦路走行時のローパスフィルタ処理前後の車輪速変動量のタイムチャート、(B)荒れた舗装路走行時のローパスフィルタ処理前後の車輪速変動量のタイムチャート 図3に示す減衰力可変ダンパの制御装置による減衰力制御の手順を示すフロー図
以下、本発明に係る減衰力可変ダンパの制御装置(以下、単に制御装置20と記す)を4輪自動車に適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中では4本の車輪3やそれらに対して配置された要素、すなわち、ダンパ6や車輪速Vwなどについては、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、車輪3FL(左前)、車輪3FR(右前)、車輪3RL(左後)、車輪3RR(右後)と記している。また、符号に添字を付した要素について一部をまとめて指す場合には、例えば、前輪3、後輪3と記している。
≪自動車Vの概略構成≫
先ず、図1を参照して、実施形態に係る自動車Vの概略構成について説明する。自動車(車両)Vの車体1にはタイヤ2が装着された車輪3が前後左右に設置されており、これら各車輪3がサスペンションアーム4や、スプリング5、減衰力可変式ダンパ(以下、単にダンパ6と記す)などからなるサスペンション7によって車体1に懸架されている。前輪3はステアリングによって操舵される操向輪であり、後輪3はアクセルペダル操作に応じた駆動力を発揮する駆動輪である。自動車Vには、各種の制御に供されるECU(Electronic Control Unit)8の他、車輪3ごとに設置された各車輪3の車輪速Vwを検出する車輪速センサ9や、車体1の横加速度Gyを検出する横Gセンサ10、車体1のヨーレイトγを検出するヨーレイトセンサ11、ステアリング操舵角δfを検出する操舵角センサ12などが車体1の適所に設置されている。
また、自動車Vには、左右の後輪3のトー角を個別に変更する一対のアクチュエータ13、13を備えた後輪操舵装置14が設けられている。後輪操舵装置14は、各後輪3について自動車Vの運動状態に応じて設定される目標後輪舵角δrとなるようにECU8によって駆動制御される。両アクチュエータ13が同時に対称的に変位されると、両後輪3RR、3RLのトーイン/トーアウトが変更され、一方のアクチュエータ13が伸ばされて他方のアクチュエータ13が縮められると、両後輪3RR、3RLは左右に転舵される。ECU8は、例えば、自動車Vの回頭性や操縦安定性を高めるべく、加速時には後輪3をトーアウトに、減速時には後輪3をトーインに変化させ、所定の車速よりも高速での旋回走行時には後輪3を前輪3と同相に、所定の車速よりも低速での旋回走行時には後輪3を前輪3と逆相にトー変化(転舵)させる。両アクチュエータ13には、実後輪舵角δraを検出するストロークセンサ15、15が取り付けられており、ECU8は、検出される実後輪舵角δraが設定した目標後輪舵角δrと一致するようにフィードバック制御を行う。
図示は省略するが、自動車Vには、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(Antilock Brake System)、または、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)、或いは、ABSとTCSとを備え、旋回時のヨーモーメント制御、ブレーキアシスト機能などのための自動ブレーキ機能を備えた車両挙動安定化制御システムとして公知のVSA(Vehicle Stability Assist)制御が可能なブレーキ装置が搭載されている。これらABS、TCSおよびVSAは、推定した車体速Vbに基づく車輪速に対して車輪速センサ9の検出値が所定値以上乖離したことをもってスリップ状態を判定し、走行状態に応じて最適なブレーキ制御またはトラクションコントロール制御を行うことで車両挙動を安定化させる。
また、自動車Vには、ブレーキ装置のブレーキ液圧Pbを検出するブレーキ圧センサや、エンジントルクTeを検出するトルクセンサ、変速機のギヤポジションPgを検出するギヤポジションセンサなどが適所に設定されている。
ECU8は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバなどから構成されており、通信回線(本実施形態では、CAN16(Controller Area Network))を介して、各車輪3のダンパ6や各センサ9〜12などと接続されている。ECU8やこれらのセンサ9〜12などによって制御装置20が構成される。
本実施形態のダンパ6は、詳細な図示は省略するが、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRFが充填された円筒状のシリンダに対してピストンロッドが軸方向に摺動可能に挿入され、ピストンロッドの先端に装着されたピストンがシリンダ内を上部油室と下部油室とに区画し、上部油室と下部油室とを連通する連通路とこの連通路の内側に位置するMLVコイルとがピストンに設けられた公知の構成のものである。
ダンパ6は、シリンダの下端が車輪側部材であるサスペンションアーム4の上面に連結され、ピストンロッドの上端が車体側部材であるダンパベース(ホイールハウス上部)に連結される。模式的に表せば、図2に示すように各ダンパ6は、質量Mを有するばね下(車輪3やナックル、サスペンションアーム4を含むサスペンションスプリングの下側の可動部位)と車体1からなる質量Mを有するばね上とをスプリング5とともに連結している。
ECU8からMLVコイルに電流が供給されると、連通路を流通するMRFに磁界が印可されて強磁性微粒子が鎖状のクラスタを形成する。これにより、連通路を通過するMRFの見かけ上の粘度(以下、単に粘度と記す)が上昇し、ダンパ6の減衰力が増大する。
≪ECU8≫
次に、図3を参照して、制御装置20の構成要素のうち、ダンパ6の制御を行うECU8の概略構成について説明する。なお、ECU8は、ダンパ6の制御だけでなく、ABS、TCSおよびVSAの制御も併せて行うものであるが、これらの制御を行う車両挙動制御部についての説明はここでは割愛する。
ECU8は、CAN16を介して上述した各センサ9〜12や車両挙動制御部などが接続する入力部21と、各センサ9〜12の検出信号などから自動車Vの状態量を推定する車両状態量推定部22と、車両状態量推定部22にて算出された各種値や各センサ9〜12などの検出信号から、自動車Vの操縦安定性および乗心地を向上すべく、各ダンパ6の各種制御目標電流を設定する制御目標電流設定部23と、所定の条件に応じてダンパ6の駆動電流を固定すべく電流固定信号Sfixを設定する電流固定化部24と、制御目標電流設定部23にて設定された各種制御目標電流のなかから各ダンパ6の目標電流Atgtを選択するとともに、電流固定信号Sfixに応じて各ダンパ6(MLVコイル)への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御するダンパ制御部25とを主要素として構成されている。
<車両状態量推定部22>
車両状態量推定部22は、車輪速変動量ΔVwが車輪3の接地荷重変動量に一定の関係を有することを利用して自動車Vの状態量を推定するものであり、車輪速センサ9の検出値に基づき、車両モデルを用いて自動車Vの各種状態量を各輪について推定する状態量算出部31と、状態量算出部31に対する車輪速補正量である車体速Vb(左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFL、右前輪車体速VbFR)を算出する車体速推定部32とを有している。状態量算出部31は、前後左右の各輪に対する一輪モデル計算部33や四輪モデル計算部34、スリップ判定部50(図4参照)を含んでいる。車体速推定部32は、加減速力算出部51や、ステアリング操作の影響による変化分を除去するための補正量を算出する操舵補正量算出部53などを含んでいる。以下では、車両状態量推定部22の各部について、図4〜図11を参照しながら詳細に説明する。
<状態量算出部31>
図4に示すように、状態量算出部31では、入力した車輪速Vw(信号)が減算器35に加算値として入力する。減算器35には、後述する左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLまたは右前輪車体速VbFRが減算値として入力しており、減算器35にて各車輪速Vwから左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLまたは右前輪車体速VbFRが減算されることにより、車輪速Vwが補正される。
減算器35に入力する左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLまたは右前輪車体速VbFRは、後述するように、自動車Vの車速変化や、内外輪の旋回半径差及び車体1の旋回姿勢(車体1の向きと進行方向との関係)に起因する各輪の軌跡長さの差による車輪速変動成分を除去するために算出されるものである。つまり、減算器35は、バンドパスフィルタ36に入力する前の各車輪速Vwから、車体速推定部32で算出された左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLまたは右前輪車体速VbFRを減算することにより、転舵の影響による車輪速変動量ΔVwの変化分を除去するように、車輪速変動量ΔVwの算出に用いる車輪速Vwを補正する転舵影響分補正手段として機能する。
減算器35から出力された車輪速Vwは、バンドパスフィルタ36を介してゲイン回路37に入力する。バンドパスフィルタ36は、0.5〜5Hzの周波数成分を通過させるバンドパス特性を有する。本実施形態では、通信回線としてCAN16を用いており、10〜20msec程度の更新周期で車輪速Vw信号が入力するため、バンドパスフィルタ36は、高周波成分を遮断し且つばね上共振帯の周波数成分(ばね上振動に対応した周波域の信号)を確実に取り出せるように、5Hz程度よりも低い帯域を通過させるローパス特性を有する。一方、車輪速Vw信号がより短い更新周期で入力する場合には、ばね下共振帯の周波数成分をも抽出できるように、例えば20Hzといったより高い帯域のローパス特性を有するバンドパスフィルタ36を用いてもよい。
また、バンドパスフィルタ36は、連続的に入力する車輪速Vw信号からDC成分を除去すべく、0.5Hz程度よりも高い帯域を通過させるハイパス特性を有する。これにより、ばね上振動に対応した5Hz以下の低周波域の信号から、運転者による操作などに起因する車体速Vb成分(制駆動力による車体速成分)を除去することができる。つまり、バンドパスフィルタ36は、車輪速Vwに基づいて車輪速変動量ΔVwを算出する車輪速変動量算出手段として機能する。なお、バンドパスフィルタ36によって車輪速Vw信号からDC成分を除去できるため、減算器35が車輪速Vwから車体速Vbを減算するのではなく、運転者による操作などに起因する車体速Vbの変化成分のみを減算する構成とすることも可能である。
ゲイン回路37は、車輪速変動量ΔVwとばね下荷重u(接地荷重変動)とが一定の相関関係にあることを利用して、各輪の車輪速変動量ΔVwをばね下荷重uに変換する。以下に、ゲイン回路37が利用する車輪速変動量ΔVwとばね下荷重uとの関係について説明する。
例えば、自動車Vが一定速度で平坦路を直進走行している場合、車輪3の接地荷重は一定であり、車輪速Vwも一定である。ここで、車輪3は、接地荷重(ばね下質量M+ばね上質量M)に応じて接地部分が変形しており、タイヤ2の動的荷重半径Rdは無荷重状態に比べて小さくなっている。ところが、例えば時速80km/h程度で走行中に路面の凹凸によって接地荷重が図5(B)に示すように増減すると、タイヤ2の動的荷重半径Rdの変化に起因して、車輪速も接地荷重に対応して図5(A)に示すように増減する。ここでは、路面バウンスにより接地荷重が1Hz程度で変動するのと同様に、車輪速Vwも1Hz程度で変動している。なお、車輪速Vwおよび接地荷重はいずれもセンサによる検出値である。
このときの両センサの検出信号をバンドパス処理(ここでは0.5〜2Hzのバンドパスフィルタを通過させる)して求めたときの車輪速変動量ΔVwを横軸に、接地荷重変動を縦軸にとったグラフが図6である。図6に示すように、車輪速変動量ΔVwは接地荷重変動と比例関係になっており、下式として表すことができる。
=kΔVw
ただし、k:比例定数である。
そこで、図4のゲイン回路37は、車輪速変動量ΔVwに比例定数kを乗じて各輪のばね下荷重uを算出する。つまり、ゲイン回路37は、車輪速センサ9が検出した車輪速変動量ΔVwに基づいて自動車Vの基本入力量であるばね下荷重uを算出する基本入力量算出手段として機能する。
このように、車輪速Vwの信号から車体速Vb成分を除去する補正を行うことにより、車速変動の影響を受けることなく車輪速変動量ΔVwを精度良く算出することができる。また、車輪速Vw信号をばね上振動に対応するバンドパスフィルタ36に通すことにより、車輪速変動量ΔVwに基づいてばね下荷重uを高精度に算出することができる。そして、バンドパスフィルタ36によってばね下振動に対応する周波数域をカットすることにより、車輪速センサ9の検出精度や計測周期・通信速度を必要以上に高めずに済むため、制御装置20の汎用性が向上する。
(一輪モデル計算部33)
ゲイン回路37から出力されたばね下荷重uは、一輪モデル計算部33に含まれる一輪モデル38に入力する。一輪モデル計算部33は、一輪モデル38にばね下荷重uを入力することにより、スカイフック制御部90での演算に供されるばね上速度Sおよびサスペンション7のストローク速度Ssといった自動車Vの状態量を演算・出力する。すなわち、一輪モデル38は、車輪速変動量ΔVwを外力として扱うことで自動車Vの各種状態量を算出する状態量算出手段をなす。
ここで、一輪モデル38の一例について詳細に説明すると、上記したように自動車Vの各車輪3は図2に示すように表すことができ、車輪3のばね下荷重uを入力uとして下式(1)で表すことができる。なお、本明細書の式中および図中では、1階微分値(dx/dt)および2階微分値(dx/dt)を下のように表示するものとする。
Figure 0006130816
Figure 0006130816
ここで、M:ばね下質量、M:ばね上質量、x:ばね下の上下方向位置、x:ばね上の上下方向位置、であり、d/dtは、ばね下の上下方向加速度、d/dtは、ばね上の上下方向加速度である。
ここで、ばね下質量Mおよびばね上質量Mは既知である。一方、入力uとしては、ばね下荷重uのほか、ダンパ6が減衰力可変式であることからダンパ6の減衰力uが含まれるが、ダンパ6の減衰力uは一輪モデル38内においてばね下荷重uに基づいて求めることができる。そこで、ばね下荷重uが車輪速Vwに基づいて算出できれば、ばね下荷重uおよびこれに基づいて算出したダンパ6の減衰力uを入力uとし、ばね上およびばね下間のばね定数K(スプリング5のばね定数)や、ばね下質量M、ばね上質量Mを考慮したシステム行列を用いることにより、ばね下およびばね上の上下方向加速度d/dt、d/dtや、ばね下位置x、ばね下速度dx/dtなどを求めることができる。なお、ストローク速度Ssは、dx/dt−dx/dtで表される。
具体的に説明すると、上式(1)のM・d/dtおよびM・d/dtは、それぞれ下式(2)、(3)のように表すことができる。
Figure 0006130816
Figure 0006130816
ただし、u:ばね下荷重、u:ダンパ6の減衰力、K:ばね定数、である。
そこで、一輪モデル38では、下式(4)の状態方程式をモデルとし、入力ベクトルuから下式(5)の状態変数xを算出する。
Figure 0006130816
Figure 0006130816
ただし、x:状態変数ベクトル、A,B:システム行列、である。
上式(2)〜(5)から、上式(4)は下式(6)として表される。
Figure 0006130816
このような状態方程式を用いた一輪モデル38は、図7に示すように、システム行列Bを用いた演算器39に入力uを入力し、演算器39からの出力を加算器40を介して積分器41に入力させ、積分器41からの出力を、システム行列Aを用いた演算器42に入力させて加算器40に戻す処理を行う。この一輪モデル38から第1〜第4観測行列43〜46の出力を得ることにより、ばね下位置x、ばね上位置x、ばね上速度S(d/dt)、およびストローク速度Ss(d/dt−d/dt)を算出することができる。なお、第1観測行列43は、ばね下位置観測行列であり、[1 0 0 0]である。第2観測行列44は、ばね上位置観測行列であり、[0 1 0 0]である。第3観測行列45は、ばね上速度観測行列であり、[0 0 0 1]である。第4観測行列46は、ストローク速度観測行列であり、[0 0 −1 1]である。すなわち、一輪モデル38における第1〜第4観測行列43〜46はそれぞれ、車輪速変動量ΔVwに基づいてばね下位置x、ばね上位置x、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出するための手段である。
このように、車輪速Vwに基づいて算出したばね下荷重uを一輪モデル38に入力することにより、サスペンション7にキャスター角が設定されているか否かにかかわらず、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出することができる。そして、ばね下荷重uからばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出できるため、自動車Vに上下Gセンサやストロークセンサを設ける必要がなく、制御装置20のコスト低減を図ることができる。
再び図4に戻り、一輪モデル計算部33は、一輪モデル38にて算出されたばね下位置xおよびばね上位置xをフィードバックさせるフィードバック手段としてのPID回路47を備えている。これにより、一輪モデル計算部33では、一輪モデル38にて算出されたばね下位置xおよびばね上位置xと、ばね下基準位置xo(=0)またはばね上基準位置xo(=0)との偏差に基づいて、一輪モデル計算部33で算出されるばね下位置xおよびばね上位置xが補正され、平坦路の定速直進走行時といった定常状態における一輪モデル38のばね上位置xおよびばね下位置xが基準位置(初期値)に収束するようになっている。
これにより、ばね下荷重uが基準位置を参照して調整されるため、一方にオフセットした入力が継続した際にも、系全体がオフセットすることでばね上速度Sおよびストローク速度Ssに誤差が生じることが抑制される。また、他制御システム上でのデータ利用なども可能となる。
このように、一輪モデル計算部33は、ばね下荷重uおよびダンパ6の減衰力uを入力として一輪モデル38から第1観測行列43および第2観測行列44の出力を得ることにより、ばね下位置x、ばね上位置xを算出する位置算出手段として機能する。なお、ここでは一輪モデル計算部33を、PID回路47がばね下位置xおよびばね上位置xの両方をフィードバックさせる形態としているが、ばね下位置xとばね上位置xとの少なくとも一方をフィードバックさせ、ばね下位置xおよびばね上位置xを補正する形態としてもよい。一輪モデル計算部33で算出されたばね上速度Sおよびストローク速度Ssは、図3に示すように、スカイフック制御部90に入力する。
(四輪モデル計算部34)
図4に示すように、状態量算出部31に含まれる四輪モデル計算部34は、ピッチ角速度算出部48とロール角速度算出部49とを備えている。ピッチ角速度算出部48には、ゲイン回路37から出力されたばね下荷重uが入力する。ピッチ角速度算出部48は、入力された各輪のばね下荷重uに基づいて(車輪速Vwに基づいて)自動車Vの加減速度(前後加速度Gx)を算出し、算出した加減速度や、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてピッチ角速度ωpを求める。一方、ロール角速度算出部49には、横Gセンサ10で検出された横加速度Gyが入力している。ロール角速度算出部49は、入力された横加速度Gyや、サスペンション特性、ばね上質量Mなどに基づいてロール角速度ωrを求める。なお、図3に示すように、ピッチ角速度ωpはピッチ制御部91に入力し、ロール角速度ωrはロール制御部92に入力する。
(スリップ判定部50)
スリップ判定部50には、減算器35から出力された車輪速Vw、すなわち各輪の車輪速Vwと推定した車体速Vbとの偏差が入力する。スリップ判定部50は、入力した車輪速Vw(偏差)の絶対値が所定値以上であるか否か、すなわち車輪速センサ9で検出した車輪速Vwが車体速Vbに対して所定値以上乖離しているか否かを判定し、所定値以上である場合には対応する車輪3がスリップ状態にあるものと判定してスリップ信号SSを出力する。出力されたスリップ信号SSは、ABS、TCSおよびVSAを制御する図示しない車両挙動制御部に入力する。なお、車両挙動制御部は、スリップ信号SSが入力してABS、TCSおよびVSAのいずれかを作動させると、それらの作動を示す作動信号を入力部21に入力させる。
<車体速推定部32>
図3の車体速推定部32は、図8に示すように、自動車Vの加減速力F(Fe、Fs、Fd)を算出する加減速力算出部51と、加減速力算出部51により算出された加減速力に基づいて車体速Vbを算出する車体速算出部52と、ステアリング操作に応じた補正量(後述する左後輪旋回半径比RRRL、右後輪旋回半径比RRRR、左前輪旋回半径比RRFLおよび右前輪旋回半径比RRFR)を算出する操舵補正量算出部53と、操舵補正量算出部53により算出された補正量に基づいて車体速Vbを補正する車体速補正部54とを有している。
加減速力算出部51は、エンジンまたはモータなどの原動機の出力による自動車Vの駆動力Fe(加速力)を算出する加速力算出部55と、路面勾配による自動車Vの減速力Fsを算出する路面勾配減速力算出部56と、路面勾配以外の要素に起因する自動車Vの減速力Fdを算出する減速力算出部57とを含んでいる。
加速力算出部55は、トルクセンサにより検出されたエンジントルクTe、およびギヤポジションPgを入力として、原動機出力による自動車Vの駆動力Feを算出する。
路面勾配減速力算出部56は、例えば、加速力算出部55が算出した駆動力Feから減速力算出部57が算出した減速力Fdを減じて求めた加減速力から、前後Gセンサが検出した検出前後加速度Gxdに車体重量Mを乗じて求めた加減速力を減じることにより、路面勾配による減速力Fsを算出する。
減速力算出部57は、ブレーキ装置のブレーキ液圧Pbを入力として、ブレーキ液圧Pbに比例して増大するブレーキ操作にかかる自動車Vの減速力を算出するブレーキ減速力算出部58と、車輪速Vwの平均値を概算車体速として用いることにより、車体形状および概算車体速に起因する走行抵抗にかかる減速力を算出する走行抵抗算出部59と、車輪速フィードバックによる走行抵抗力を算出するフィードバック抵抗力算出部60とを含んでおり、ブレーキ減速力算出部58、走行抵抗算出部59およびフィードバック抵抗力算出部60の算出結果を加算して、路面勾配以外の要素に起因する自動車Vの減速力Fdを算出する。
車体速算出部52は、加速力算出部55で算出された駆動力Feから、路面勾配減速力算出部56で算出された減速力Fsを減じるとともに、減速力算出部57で算出された減速力Fdを減じて車体1の加減速力Fを算出した後、算出した加減速力Fを車体重量Mで除して加速度を求め、これを積算することで車体速Vbを算出する。算出された車体速Vbは、車体速補正部54に入力する。
ここで、図9を参照して、加速力算出部55および減速力算出部57における処理について詳細に説明する。エンジントルクTeは乗算器61に入力する。ギヤポジションPgは、ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路62に入力する。ギヤポジション−変速ギヤ比変換回路62では、ギヤポジションPgに基づいてテーブルを参照することにより変速ギヤ比Rgが求められ、出力された変速ギヤ比Rgが乗算器61に入力する。なお、乗算器61には、後述する第1車輪速ゲイン設定回路63からの第1車輪速ゲインGも入力する。
第1車輪速ゲインGは、第1車輪速ゲイン設定回路63において、各車輪速センサ9が検出した車輪3の車輪速平均値である平均車輪速Vwavに基づいて、参照テーブルを参照することにより設定される。なお、この例においては第1車輪速ゲインGは、平均車輪速Vwavが微小の領域では0、平均車輪速Vwavが所定の閾値よりも大きい場合には略一定としている。乗算器61にて、エンジントルクTe、変速ギヤ比Rgおよび第1車輪速ゲインGが乗じられて駆動輪の出力である車輪トルクTwが算出されると、この車輪トルクTwは、トルク−駆動力変換回路64に入力し、タイヤ2の動的荷重半径Rdで除算されることよって自動車Vの駆動力Feに変換され、その出力がゲイン回路65を介して減算器66に加算値として入力する。
減算器66には、ゲイン回路65から出力される駆動力Feの他、後述する制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffbが入力している。
ブレーキ液圧Pbは、乗算器67に入力する。乗算器67には、第2車輪速ゲイン設定回路68からの第2車輪速ゲインGも入力する。第2車輪速ゲインGは、第2車輪速ゲイン設定回路68において、平均車輪速Vwavに基づいて参照テーブルを参照することにより設定される。なお、この例においては第2車輪速ゲインGは、平均車輪速Vwavが微小の領域では0、平均車輪速Vwavが所定の閾値よりも大きい場合には略一定としている。乗算器67にてブレーキ液圧Pbと第2車輪速ゲインGとが乗じられてブレーキ装置による制動力に相当する制動力Fbが算出されると、正の値を示すこの制動力Fbは、減算器66に減算値として入力する。
また、平均車輪速Vwavは走行抵抗力設定回路69に入力する。走行抵抗力設定回路69では、入力した平均車輪速Vwavに基づいて参照テーブルを参照することにより、車速(平均車輪速Vwav)に依存する走行抵抗力Frが設定される。走行抵抗力設定回路69で算出された正の値を示す走行抵抗力Frは、減算器66に減算値として入力する。
さらに、従動輪である後輪3の車輪速平均値である平均後輪速Vwavがフィードバック抵抗力算出部60に入力する。フィードバック抵抗力算出部60は、減算器71に入力する車体速Vbから平均後輪速Vwavを減じて求めた偏差ΔVにそれぞれ基づいて、比例ゲインに基づく走行抵抗力を設定する比例回路72と、積分ゲインに基づく走行抵抗力を設定する積分回路73と、微分ゲインに基づく走行抵抗力を設定する微分回路74とを備えている。これら比例回路72、積分回路73および微分回路74の出力が加算器75に入力して加算され、車体速Vbのフィードバックによる補正値であるフィードバック抵抗力Ffbが出力される。出力されたフィードバック抵抗力Ffbは、減算器66に減算値として入力する。
減算器66では、駆動力Feから、これら制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffb、ここでは図示しない図8の路面勾配による減速力Fsが減算され、その出力である加減速力Fが、加減速力−加減速度変換回路76に入力し、加減速力Fが車体重量Mで除算されることにより自動車Vの加減速度(前後加速度Gx)に変換される。自動車Vの加減速度は、ゲイン回路77を介して積算器78に入力して積算されることによって車体速Vbとなって出力される。
このように、駆動力Feや制動力Fb、走行抵抗力Frおよびフィードバック抵抗力Ffbに基づいて自動車Vの車体速Vbを算出することにより、車輪速Vwを補正するための車体速Vbを求めることができる。
図8に戻り、操舵補正量算出部53は、車体速算出部52により算出された車体速Vbおよびヨーレイトγに基づいて自動車V(車体1)の旋回半径Rを算出する旋回半径算出部79と、自動車VのトレッドTやホイールベースWB、算出された旋回半径Rに基づいて、補正量としての旋回状態量、すなわち各輪に対応する各車体部位の旋回半径R(RFL、RFR、RRL、RRR)の自動車Vの旋回半径Rに対する比である左後輪旋回半径比RRRL、右後輪旋回半径比RRRR、左前輪旋回半径比RRFLおよび右前輪旋回半径比RRFRを算出する車輪部旋回半径比算出部80とを含んでいる。
以下、図10および図11を参照して、操舵補正量算出部53が行う処理について詳細に説明する。操舵補正量算出部53は、図11(A)に示すように、所定のトレッドTおよびホイールベースWBを有する自動車Vの低速旋回時に、各輪の旋回半径RFL、RFR、RRL、RRRが、車体1の旋回半径R(すなわち自動車Vの重心の旋回半径R)に対して内外輪で異なることに加え、前後輪でも異なることを考慮して操舵補正量を算出する。
ここでは、説明を簡単にするために自動車Vの重心が車体1の中心(4つの車輪3の中心)にあり、自動車Vがニュートラルステア特性を有するものとする。図11(A)に示すよう自動車Vが低速で左旋回しており、各輪のタイヤ2に生じるスリップ角がない或いは無視できる程度に小さい場合、自動車Vの旋回中心は後輪3の車軸の延長線上に位置する。この場合、内輪となる左後輪3RLの旋回半径RRLは下式(7)で表され、外輪となる右後輪3RRの旋回半径RRRは下式(8)で表される。
Figure 0006130816
Figure 0006130816
ここで、自動車Vの旋回半径Rは、下式(9)で表されるため、例えば上式(7)は下式(10)となる。
R=V/γ ・・・(9)
Figure 0006130816
一方、内輪となる左前輪3FLの旋回半径RFLは下式(11)で表され、外輪となる右前輪3FRの旋回半径RFRは下式(12)で表される。
Figure 0006130816
Figure 0006130816
なお、後輪3の旋回半径Rは上式で求まっているため、例えば上式(11)に上式(10)を代入すると、旋回半径RFLは下式(13)となる。
Figure 0006130816
このようにして上式(7)〜(9)、(11)および(12)により左後輪3RL、右後輪3RR、左前輪3FLおよび右前輪3FRの各旋回半径RRL、RRR、RFLおよびRFRを求めることにより、トレッドTやホイールベースWBの幾何学的な影響が大きくなる場合であっても、各輪に対応する車体部位の旋回半径を高精度に算出し、左後輪旋回半径比RRRL、右後輪旋回半径比RRRR、左前輪旋回半径比RRFLおよび右前輪旋回半径比RRFRを高精度に求めることができる。
他方、自動車Vの中・高速旋回時には、各輪のタイヤ2にスリップ角が生じることにより、車輪3がタイヤ2の向きに対してスリップ角だけ旋回外側にずれた方向に進み、車体1にも低速旋回時の進行方向に対して旋回外側にずれる車体スリップ角が発生する。そのため、図11(B)に示すように、自動車Vの旋回中心は車体スリップ角に応じた分だけ後輪3の車軸の延長線に対して前方にずれることになる。そしてこの自動車Vの旋回中心の前方へのずれ量は、自動車Vの旋回半径Rが一定である場合、自動車Vの車体速Vbが高いほど大きくなる。このように自動車Vの旋回中心が前方にずれると、上記式で算出される各輪の旋回半径に対し、ホイールベースWBの影響が小さくなると共に、トレッドTの影響も若干ながら小さくなる。そこで、各輪に対応する車体部位の旋回半径を求める際には、ホイールベースWBおよびトレッドTを車体速Vbに応じて補正するとよい。
また、図12(A)に示すように、低速での旋回走行のために自動車Vに車体スリップ角が発生していない場合であっても、後輪3が前輪3と逆相に転舵されていると、自動車Vの旋回中心は実後輪舵角δraに応じた分だけ後輪3の車軸の延長線に対して前方にずれることになる。逆に、図12(A)に示すように、後輪3が前輪3と同相に転舵されていると、自動車Vの旋回中心は実後輪舵角δraに応じた分だけ後輪3の車軸の延長線に対して後方にずれる。そしてこの自動車Vの旋回中心の前方へのずれ量は、自動車Vの旋回半径Rが一定である場合、実後輪舵角δraが大きいほど大きくなる。そのため、各輪に対応する車体部位の旋回半径を求める際には、ホイールベースWBを実後輪舵角δraに応じて補正するとよい。
次に図10を参照して操舵補正量算出部53における処理について説明する。操舵補正量算出部53は、絶対値演算回路や選択回路、符号設定回路、ゲイン回路、ゲイン設定回路、除算器、乗算器、平方根演算回路、除算器、乗算器、メモリなどを用いて、左後輪旋回半径比RRRL、右後輪旋回半径比RRRR、左前輪旋回半径比RRFLおよび右前輪旋回半径比RRFRを算出する。ここでは全ての回路などに符号は付さず、一部のみに符号を付して部分ごとに機能を説明する。
旋回半径算出部79は、上式(9)を計算すべく、車体速Vbをヨーレイトγで除算して自動車Vの旋回半径Rを算出する。この際、旋回半径算出部79は、ヨーレイトγの絶対値が0.01rad/s以上である場合には検出値をそのまま用い、0.01rad/s未満である場合には0.01rad/sを用いる。また、旋回半径算出部79は、車体速Vbを時速(km/h)から秒速(m/s)に変換して用いる。
車輪部旋回半径比算出部80は、後輪旋回半径算出部80Aと、前輪旋回半径算出部80Bと、各輪の旋回半径(RFL、RFR、RRL、RRR)の自動車Vの旋回半径Rに対する比である旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)を算出する旋回半径比算出部80Cに加え、車速に依存してホイールベースWBを補正するホイールベース補正部80D、および車速に依存してトレッドTを補正するトレッド補正部80Eを備えている。
ホイールベース補正部80Dは、ホイールベースゲイン設定回路81、82と乗算器83とを有している。第1のホイールベースゲイン設定回路81は、車体速Vbに応じ、車体速Vbが高いほど小さくなるようにホイールベースゲインGを設定する。車体速Vbが小さいときにはホイールベースゲインGは1に設定される。第2のホイールベースゲイン設定回路82は、実後輪舵角δraに応じ、実後輪舵角δraが前輪3と逆相側に大きいほど小さくなるように、また前輪3と同相側に大きいほど大きくなるようにホイールベースゲインGを設定する。なお、実後輪舵角δraがトーインまたはトーアウトとなっている場合は、接地荷重が大きくなる旋回外側の後輪3Rの実後輪舵角δraを重視するとよい。実後輪舵角δraが小さいときにはホイールベースゲインGは1に設定される。乗算器83は、メモリに記憶されたホイールベースWBの値にホイールベースゲインG、Gを乗算することで、前輪3の旋回半径Rの算出に用いるホイールベースWBを補正する。
トレッド補正部80Eは、トレッドゲイン設定回路84と乗算器85とを有している。トレッドゲイン設定回路84は、車体速Vbに応じ、車体速Vbが高いほど小さくなるようにトレッドゲインGを設定する。車体速Vbが小さいときにはトレッドゲインGは1に設定される。乗算器85は、メモリに記憶されたトレッドTの値の1/2にトレッドゲインGを乗算することで、前輪3の旋回半径Rの算出および後輪3の旋回半径Rの算出に用いるトレッドT(の1/2の値)を補正する。
後輪旋回半径算出部80Aは、上式(7)および(8)を計算すべく、旋回半径算出部79によって算出された自動車Vの旋回半径Rを2乗した値から、補正されたホイールベースWBの1/2の値を2乗した値を減算し、その値の平方根を算出して符号を与えた値に対し、補正されたトレッドTの値の1/2を減算または加算することにより、右後輪3RRおよび左後輪3RLの旋回半径RRR、RRLを算出する。
前輪旋回半径算出部80Bは、上式(10)および(11)を計算すべく、後輪旋回半径算出部80Aによって算出された右後輪3RRおよび左後輪3RLの旋回半径RRR、RRLを2乗した値に、補正されたホイールベースWBの値を2乗した値を加算し、その値の平方根を算出して符号を与えることにより、右前輪3FRおよび左前輪3FLの旋回半径RFR、RFLを算出する。
旋回半径比算出部80Cは、後輪旋回半径算出部80Aおよび前輪旋回半径算出部80Bによって算出された各車輪3の旋回半径RRR、RRL、RFR、RFLを、自動車Vの旋回半径Rで除算することにより、各輪の旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)を算出する。
旋回半径比算出部80Cで算出された各輪の旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)は、図8に示すように、車体速補正部54に入力し、車体速補正部54にて車体速Vbと輪の旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)とがそれぞれ乗じられることにより、各輪に対応する車体部位の車体速Vbである左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLおよび右前輪車体速VbFRが算出される。
つまり、旋回半径比算出部80Cや車体速補正部54は、各輪の旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)を算出し、これに基づいて、転舵の影響による車輪速変動量ΔVwの変化分を含む各輪に対応する車体部位の車体速Vbを算出する変化分算出手段として機能する。そして、操舵補正量算出部53や車体速補正部54は、各輪の旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)に基づいて車体速Vbを補正することにより、図4の減算器35と同様に、転舵の影響による車輪速変動量ΔVwの変化分を除去するように、車輪速変動量ΔVwの算出に用いる車輪速Vwを補正する転舵影響分補正手段として機能する。
このように、自動車Vの旋回状態に応じて車体速Vbが補正されることにより、運転者のステアリング操作に応じて変化する各輪に対応する車体部位の車体速Vb(VbRL、VbRR、VbFL、VbFR)が正確に算出される。
左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLおよび右前輪車体速VbFRは、図4に示すように状態量算出部31に、より詳しくはバンドパスフィルタ36の上流側に設けられた減算器35に減算値として入力し、車輪速Vwに基づく車輪速変動量ΔVwの算出に供されるとともに、自動車Vの車体速変動成分や、内外輪の旋回半径差及び車体1の旋回姿勢に起因する各輪の軌跡長さの差による車輪速変動成分の除去に供される。
このように、状態量算出部31において入力した各車輪速Vwから左後輪車体速VbRL、右後輪車体速VbRR、左前輪車体速VbFLまたは右前輪車体速VbFRが減算されることにより、車輪速Vwから自動車Vの制駆動力による影響が排除されるため、自動車Vの状態量(ばね上速度Sやストローク速度Ss)がより高精度に算出される。また、車体速補正部54が、各輪の旋回半径比RR(RRFL、RRFR、RRRL、RRRR)に基づいて車体速Vbを補正することにより、各輪に対応した車体速Vbが高精度に算出されて、自動車Vの旋回による車輪速Vwに対する影響が排除されるため、低速旋回時であっても自動車Vの状態量がより高精度に算出される。
特に、前輪旋回半径算出部80Bが、車体速Vb及び実後輪舵角δraに依存するホイールベースゲインG、Gで補正されたホイールベースWBを用いて前輪3の旋回半径RFL、RFRを算出するため、車体速Vbや実後輪舵角δraに依存して旋回中心が移動することに起因して、前輪3の旋回半径RFL、RFRに及ぶホイールベースWBの影響の変化分が除去される。そのため、前輪3の旋回半径RFL、RFRがより高精度に算出され、低速旋回時以外にも自動車Vの状態量(ばね上速度Sやストローク速度Ss)がより高精度に算出される。
また、後輪旋回半径算出部80Aが、車体1の旋回半径Rと、車体速Vbに依存するトレッドゲインGで補正されたトレッドTと、車体速Vb及び実後輪舵角δraに依存するホイールベースゲインG、Gで補正されたホイールベースWBとを用いて後輪3の旋回半径RRR、RRLを算出するため、車体速Vbに依存して旋回中心が移動することに起因して、後輪3の旋回半径RRR、RRLに及ぶトレッドTおよびホイールベースWBの影響の変化分が除去される。そのため、後輪3の旋回半径RRR、RRLがより高精度に算出され、自動車Vの状態量(ばね上速度Sやストローク速度Ss)がより高精度に算出される。
図13(A)は、センサを用いて検出したばね上速度と、状態量算出部31により算出されたばね上速度Sとをそれぞれ破線と実線とで示したタイムチャートであり、図13(B)は、センサを用いて検出したストローク速度と、状態量算出部31により算出されたストローク速度Ssとをそれぞれ破線と実線とで示したタイムチャートである。図13に示すように、算出されたストローク速度Ssおよびばね上速度Sは、センサ値と略一致しており、車輪速Vwに基づいて状態量算出部31がストローク速度Ssおよびばね上速度Sを高精度に算出できることがわかる。また、本実施形態では、車輪速Vwに基づいてばね下荷重uを算出し、ばね下荷重uを車両モデルの入力にするため、サスペンション7にキャスター角が設定されているか否かにかかわらず、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssを算出することができる。
<制御目標電流設定部23>
図3に示すように、制御目標電流設定部23は、スカイフック制御を行い、スカイフック制御目標電流Ashを設定するスカイフック制御部90や、ピッチ角速度ωpに基づくピッチ制御を行い、ピッチ制御目標電流Apを設定するピッチ制御部91、ロール角速度ωrに基づくロール制御を行い、ロール制御目標電流Arを設定するロール制御部92、ステアリング操舵角δfに基づくロール制御を行い、舵角比例制御目標電流Asaを設定する舵角比例制御部93、自動車Vのばね下の制振制御を行い、ばね下制振制御目標電流Auを設定するばね下制振制御部95、車速に依存する最低減衰力を発生させるための最低目標電流Aminを設定する最低目標電流制御部96などを有している。
スカイフック制御部90は、路面の凹凸を乗り越える際の車両の動揺を抑えて乗り心地を高める乗り心地制御(制振制御)を行う。ピッチ制御部91は、自動車Vの急加速時や急減速時のピッチングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。ロール制御部92および舵角比例制御部93からなるロール姿勢制御部94は、自動車Vの旋回時のローリングを抑えて車体1の姿勢を適正化する車体姿勢制御を行う。ばね下制振制御部95は、ばね下の共振域の振動を抑制して車輪3の接地性や乗り心地を高めるものである。
<スカイフック制御部90>
次に、図14および図15を参照してスカイフック制御部90における処理について詳細に説明する。スカイフック制御部90では、図3の状態量算出部31で算出されたばね上速度Sが減衰力ベース値算出部97に入力する。減衰力ベース値算出部97は、入力したばね上速度Sに基づいて、ばね上―減衰力マップを参照することにより減衰力ベース値Dsbを設定する。設定された減衰力ベース値Dsbは、ゲイン回路98に入力する。ゲイン回路98では、減衰力ベース値DsbにスカイフックゲインGshが乗じられてスカイフック目標減衰力Dshtが算出され、算出された目標減衰力Dshtが目標電流設定回路99に入力する。目標電流設定回路99にはストローク速度Ssも入力しており、目標電流設定回路99は、スカイフック目標減衰力Dshtとストローク速度Ssとに基づいて、図15に示す電流マップを参照することにより各ダンパ6に対するスカイフック制御目標電流Ashを設定し、スカイフック制御目標電流Ashを出力する。
<ばね下制振制御部95>
次に、図3のばね下制振制御部95について、図16〜図19を参照して詳細に説明する。図16に示すように、ばね下制振制御部95では、入力した各車輪速Vwがバンドパスフィルタ101に入力する。バンドパスフィルタ101は、ばね下の共振域の車輪速Vw信号を通過させるべく、ここでは8〜18Hzのバンドパス特性を有する。したがって、バンドパスフィルタ101は、スカイフック制御のためのバンドパスフィルタ36(図4)の0.5〜5Hzの周波数域よりも高い周波数域の信号を抽出する。そして、スカイフック制御のためのバンドパスフィルタ36の高周波側のカット周波数が5Hzとされ、ばね下制振制御のためのバンドパスフィルタ101の低周波側のカット周波数が8Hzとされ、両バンドパスフィルタ36、101の間にバンドギャップが設けられていることにより、スカイフック制御とばね下制振制御とによる相互干渉が防止される。
CAN16から入力する車輪速Vw信号には、ばね下共振域以外の信号も含まれており、例えば時速40kmで走行中に得られる図17(A)に示す周波数特性の車輪速Vw信号には、図17(B)に示すようなばね下共振域の車輪速Vw信号が含まれている。そこで、車輪速Vw信号をばね下の共振域に対応するバンドパスフィルタ101を通過させることにより、ばね下信号成分を含んだ車輪速Vw信号を抽出して車輪速Vw信号からDC成分を除去することができる。すなわち、バンドパスフィルタ101は、車輪速Vw信号に基づいて車輪速変動量ΔVwを抽出する車輪速変動量抽出手段として機能する。
バンドパスフィルタ101を通過した車輪速変動量ΔVwは、絶対値演算回路102に入力して車輪速変動量ΔVwの絶対値に変換される。車輪速変動量ΔVwは、上記したようにばね下荷重uに比例し、ばね下荷重uをばね下質量Mで除算して求まるばね下の上下方向加速度も車輪速変動量ΔVwに対応した値となる。そのため、上下方向加速度の絶対値に応じた減衰力を発生させることにより、ばね下振動を抑制することができる。
絶対値演算回路102から出力された車輪速変動量ΔVwが、ゲイン回路103に入力してゲインが乗じられることにより、自動車Vの基本入力量であるばね下加速度Gzの大きさ(絶対値)が算出される。具体的には、ゲイン回路103では、図6に関連して説明した比例定数kをばね下質量Mで除算した値をゲインとして車輪速変動量ΔVwに乗算する。
ゲイン回路103から出力されたばね下加速度Gzは、目標電流設定回路104に入力する。目標電流設定回路104では、ばね下加速度Gzに対応する算出電流が算出され、この算出電流に基づいてピークホールド・ランプダウン制御によるばね下制振制御目標電流Auが設定される。
目標電流設定回路104は、図18(A)に示す特性のばね下加速度Gzの入力に対して、図18(B)に破線で示す算出電流に基づいて、図18(B)に実線で示すようなばね下制振制御目標電流Auを設定する。具体的には、目標電流設定回路104は、入力した算出電流のうちの最大値をばね下制振制御目標電流Auとして所定時間ホールドし、この最大値が入力してから所定時間が経過した後に、ばね下制振制御目標電流Auの値を所定の勾配で低下させる。すなわち、ばね下加速度Gzが増大する場合には、ばね下加速度Gzに合わせて(早く)応答するようにばね下制振制御目標電流Auの値を設定する一方、ばね下加速度Gzが縮小する場合には、増大する場合に比べて遅く応答するように設定される。これにより、破線で示すような算出電流をばね下制振制御目標電流Auに設定する場合に比べて、ばね下振動がより効果的かつ安定的に減衰する。
図16に戻り、目標電流設定回路104から出力されるばね下制振制御目標電流Auは、制限回路105に入力する。制限回路105は、ばね下制振制御目標電流Auの上限を上限値Aumaxに制限し、ばね下制振制御目標電流Auを出力する。すなわち、制限回路105は、入力したばね下制振制御目標電流Auが上限値Aumaxを超えている場合、上限値Aumaxをばね下制振制御目標電流Auに設定する。これにより、車輪速変動量ΔVwの大きさに応じて設定されるばね下制振制御目標電流Auが、自動車Vの電源容量やダンパ6の減衰力特性を考慮して設定される上限値Aumaxを超えて設定されることが防止される。
絶対値演算回路102から出力された車輪速変動量ΔVwは、ゲイン回路103だけでなくローパスフィルタ106にも入力している。ローパスフィルタ106は、ここでは1Hzよりも低い帯域を通過させるローパス特性を有する。上限設定回路107は、ローパスフィルタ106を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値に応じて上限値Aumaxを設定し、上限値Aumaxを制限回路105に入力させる。具体的には、上限設定回路107は、車輪速変動量ΔVwの絶対値が所定値を超える場合に、車輪速変動量ΔVwが大きくなるほど小さくなるように上限値Aumaxを設定する。
制限回路105は、入力した上限値Aumaxに応じてばね下制振制御目標電流Auの上限を変更する、すなわちローパスフィルタ106を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きいほど上限値Aumaxが小さくなるように変更する。その効果について以下に説明する。
比較的平坦な舗装路では、図19(A)に実線で示すローパスフィルタ106通過後の車輪速変動量ΔVw(絶対値)は、細線で示すローパスフィルタ106通過前の車輪速変動量ΔVwに比べて小さく、かつその平均値も小さい。これに対し、荒れた舗装路では、図19(B)に示すように、細線で示すローパスフィルタ106通過前の車輪速変動量ΔVwが(A)の平坦路に比べて大きいだけでなく、実線で示すローパスフィルタ106通過後の車輪速変動量ΔVwも(A)に比べて大きくなっている。そこで、ローパスフィルタ106を通過した車輪速変動量ΔVwの絶対値が大きい場合には、路面が荒れているものとして、制限回路105がばね下制振制御目標電流Auを小さくする(ばね下制振制御を弱める)ことで、下制振制御目標電流Auが過剰に高く設定されることによって乗心地が悪化することを防止できる。
このように、ばね下制振制御部95を、車輪速Vw信号に基づいてばね下制振制御目標電流Auを設定する構成とすることができ、ばね下制振制御目標電流Auを、車輪速Vwのばね下共振域成分の車輪速変動量ΔVwの大きさに基づいて決定するため、ばね上などの他の要因を介入させることなくばね下の制振制御を行うことができる。
<電流固定化部24>
図3に戻り、電流固定化部24は、VSA、ABSおよびTCSが作動していることを示す作動信号のいずれかが入力部21に入力している場合、自動車Vの挙動が不安定であるものとして、電流固定信号Sfixを出力する。出力された電流固定信号Sfixは、ダンパ制御部25に入力する。
<ダンパ制御部25>
ダンパ制御部25は、高電流選択部108と、電流制御部109とを有している。高電流選択部108は、設定されたスカイフック制御目標電流Ash、ピッチ制御目標電流Ap、ロール制御目標電流Ar、舵角比例制御目標電流Asa、ばね下制振制御目標電流Auおよび最低目標電流Aminのなかから値が最も大きなものを目標電流Atgtに設定する。
電流制御部109には、目標電流Atgtと電流固定信号Sfixとが入力している。電流制御部109は、電流固定信号Sfixが入力していないときには、高電流選択部108が設定した目標電流Atgtに基づいて各ダンパ6への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御する。一方、電流固定信号Sfixが入力した場合、電流制御部109は、ダンパ6の減衰力が急変することを避けるために、電流固定信号Sfixが入力する直前の目標電流Atgtに基づいて電流を固定し(すなわちダンパ6の減衰係数を所定値に固定する)、固定した目標電流Atgtに基づいて各ダンパ6への駆動電流を生成してダンパ6の減衰力を制御する。
なお、電流制御部109は、ここでは電流固定信号Sfixが入力している期間にわたって目標電流Atgtを一定に維持する。或いは、電流固定信号Sfixの入力がなくなってから所定時間経過するまで目標電流Atgtを一定に維持する形態としてもよい。
≪減衰力制御手順≫
このように構成されたECU8は、次のような基本手順にしたがって減衰力制御を行う。すなわち、自動車Vが走行を開始すると、ECU8は、所定の処理インターバル(例えば、10ms)をもって、図20のフローチャートにその手順を示す減衰力制御を実行する。減衰力制御を開始すると、ECU8は、車輪速センサ9の検出値などに基づいて各輪のばね下荷重uを演算するとともに、演算したばね下荷重uや、横Gセンサ10の検出値に基づいて、自動車Vの運動状態量(各輪におけるばね上速度Sやストローク速度Ss、車体1のロール角速度ωr、ピッチ角速度ωp)を演算する(ステップST1)。
次に、ECU8は、ばね上速度Sおよびストローク速度Ssに基づいて各ダンパ6のスカイフック制御目標電流Ashを算出し(ステップST2)、車体1のピッチ角速度ωpに基づいて各ダンパ6のピッチ制御目標電流Apを算出し(ステップST3)、車体1のロール角速度ωrに基づいて各ダンパ6のロール制御目標電流Arを算出し(ステップST4)、ステアリング操舵角δfに基づいて各ダンパ6の舵角比例制御目標電流Asaを算出し(ステップST5)、各輪の車輪速Vwに基づいて各ダンパ6のばね下制振制御目標電流Auを算出し(ステップST6)、各輪の車輪速Vwに基づいて各ダンパ6の最低目標電流Aminを算出する(ステップST7)。なお、ステップST2〜ST7の処理は、この順に行われる必要はなく、或いは、並行して行われてもよい。
次に、ECU8は、各輪について6つの制御目標電流Ash,Ap,Ar,Asa,Au,Aminのうち値が最も大きいものを目標電流Atgtに設定する(ステップST8)。その後、ECU8は、電流固定信号Sfixが入力しているか否かを判定し(ステップST9)、この判定がNoであった場合(すなわち、VSA、ABSおよびTCSのいずれも作動していない場合)、ステップST8で選択した目標電流Atgtに基づき、各ダンパ6のMLVコイルに駆動電流を出力する(ステップST10)。これにより、減衰力制御においては、ダンパ6の荷重に応じた最適な目標減衰力が設定され、操縦安定性や乗り心地の向上が実現される。
一方、ステップST9の判定がYesであった場合(すなわち、VSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動している場合)、ECU8は、前回値の目標電流Atgtに基づき、各ダンパ6のMLVコイルに駆動電流を出力する(ステップST11)。これにより、VSA、ABSおよびTCSのいずれかが作動している場合に、ステップST8で選択する目標電流Atgtが急変して車両挙動が不安定になることが防止される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、車輪速変動量ΔVwを算出する前の車輪速Vwに対し、転舵の影響による変化分を除去するように補正しているが、車輪速変動量ΔVwに対して直接補正するようにしてもよい。また、各部材や部位の具体的構成や配置、あるいは制御の具体的手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した本発明に係る減衰力可変ダンパの制御装置の各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜取捨選択することが可能である。
V 自動車(車両)
1 車体
3 車輪
6 ダンパ(減衰力可変ダンパ)
8 ECU
9 車輪速センサ
14 後輪操舵装置
20 制御装置
23 制御目標電流設定部(制御手段)
25 ダンパ制御部(制御手段)
33 一輪モデル計算部(状態量算出手段)
35 減算器(転舵影響分補正手段)
36 バンドパスフィルタ(車輪速変動量算出手段)
53 操舵補正量算出部(転舵影響分補正手段)
54 車体速補正部(転舵影響分補正手段、変化分算出手段))
80A 後輪旋回半径算出部(後輪旋回半径算出手段)
80B 前輪旋回半径算出部(前輪旋回半径算出手段)
80C 旋回半径比算出部(変化分算出手段)
80D ホイールベース補正部
80E トレッド補正部
ホイールベースゲイン
ホイールベースゲイン
トレッドゲイン
R 自動車V(車体1)の旋回半径
FR 右前輪の旋回半径
FL 左前輪の旋回半径
RRFL 左前輪旋回半径比
RRFR 右前輪旋回半径比
Vw 車輪速
ΔVw 車輪速変動量
Vb 車体速
VbFL 左前輪車体速(転舵の影響による車輪速変動量の変化分)
VbFR 右前輪車体速(転舵の影響による車輪速変動量の変化分)
ばね上速度(状態量)
Ss ストローク速度(状態量)
T トレッド
WB ホイールベース
δra 実後輪舵角

Claims (6)

  1. 各車輪の車輪速を検出する車輪速センサと、
    前記車輪速センサが検出した車輪速検出値に基づいて車輪速変動量を算出する車輪速変動量算出手段と、
    前記車輪速変動量に基づき、車体のばね上速度およびサスペンションのストローク速度の少なくとも一方を含む車両の状態量を算出する状態量算出手段と、
    前記状態量算出手段が算出した前記ばね上速度および前記ストローク速度の少なくとも一方に基づき、減衰力可変ダンパの減衰力を制御する制御手段と
    を備える減衰力可変ダンパの制御装置であって、
    転舵の影響による前記車輪速変動量の変化分を除去するように前記車輪速変動量を補正する転舵影響分補正手段を更に備え、
    前記転舵影響分補正手段は、
    右後輪および左後輪の旋回半径を算出する後輪旋回半径算出手段と、
    算出された前記右後輪および前記左後輪の旋回半径とホイールベースとを用いて右前輪および左前輪の旋回半径を算出する前輪旋回半径算出手段と、
    前記右前輪の旋回半径および前記左前輪の旋回半径の車体旋回半径に対する比である前輪旋回半径比に基づき、前記転舵の影響による前記車輪速変動量の変化分を算出する変化分算出手段と
    を備えることを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。
  2. 前記前輪旋回半径算出手段は、前記ホイールベースを車速に依存して補正した値を用いて、前記右前輪および前記左前輪の旋回半径を算出することを特徴とする請求項1に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  3. 前記後輪旋回半径算出手段は、前記車体旋回半径と、トレッドと、前記ホイールベースを車速に依存して補正した値とを用いて、前記右後輪および前記左後輪の旋回半径を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  4. 前記後輪旋回半径算出手段は、前記トレッドを車速に依存して補正した値を用いて、前記右後輪および前記左後輪の旋回半径を算出することを特徴とする請求項3に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  5. 前記車両が後輪のトー角を変更する後輪操舵装置を備え、
    前記前輪旋回半径算出手段は、前記ホイールベースを前記後輪の操舵角に依存して補正した値を用いて、前記右前輪および前記左前輪の旋回半径を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
  6. 前記後輪旋回半径算出手段は、前記車体旋回半径と、トレッドと、前記ホイールベースを前記後輪の操舵角に依存して補正した値を用いて、前記右前輪および前記左前輪の旋回半径を算出することを特徴とする請求項5に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
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