JP3627638B2 - 車両の進行方位検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の進行方位を左右の車輪速に基づいて検出する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置の一例が特開平5−264285号公報に記載されている。この公報に記載された装置は、左右の車輪速センサからパルス信号出力数差に基づいて車両の回転(進行方位の変化)を算出し、その算出結果と、直前の進行方位および地磁気センサで得られた方位とを総合して進行方位を推定するように構成されている。その車輪速センサとして、例えばパルスギヤの外周近傍に配置した電磁ピックアップに生じるパルス信号をカウントするように構成されたセンサが使用されるが、このようなセンサは比較的低廉である反面、低車速ほど誤差が大きくなる特性がある。
【0003】
また、上記の公報に記載されているように、車輪速から進行方位を検出する場合、左右の車輪速を検出することになるが、左右の車輪速センサの取り付け誤差やそれぞれのセンサの特性の相違などによって、低車速時における左右の車輪速の検出誤差が大きくなり、これが原因となって進行方位の検出誤差が拡大する可能性がある。そこで、上記の公報に記載された発明では、このような進行方位の推定誤差が生じることを避けるために、低車速時には、車輪速を使用する替わりに、絶対方位検出手段を使用して進行方位を推定するように構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車輪速センサを使用して進行方位を検出することに加え、絶対方位検出手段を使用して進行方位を推定するとすれば、進行方位を検出もしくは推定するために二種類のセンサもしくは装置を必要とすることになり、車両コストの低廉化を阻害する可能性がある。
【0005】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車速に関わらず車輪速に基づいて進行方位を正確に検出もしくは推定することができる装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、左右の車輪速すなわち回転数を検出することに伴う不可避的な誤差が相対的に小さくなってから、左右の車輪の回転数差に基づいて車両の進行方位を検出するように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、所定期間ごとの左右の車輪の累積回転数差に基づいて進行方位を検出する車両の進行方位検出装置において、所定車速以下の低車速状態では前記車輪の累積回転数が所定値以上になった時点の前記累積回転数差に基づいて進行方位を求める手段を備えていることを特徴とする装置である。
【0007】
したがって請求項1の発明では、車両が旋回すると、それに伴って左右の車輪の回転数(所定期間内の累積回転数)に差が生じ、すなわち旋回方向での内輪の回転数が外輪の回転数に対して小さくなるから、これらの回転数差に基づいて車両の進行方位が変化したことが検出される。このようにして進行方位の検出に使用される左右の車輪の回転数は、予め定めた所定期間の間での回転数であるが、低車速の場合には、その所定期間内の回転数が少なく、その場合には、回転数が所定値以上に累積するのを待って進行方位が求められる。その結果、回転数の検出誤差が相対的に低下し、進行方位の検出精度が向上する。
【0008】
また、請求項2の発明は、所定期間ごとの左右の車輪の累積回転数差に基づいて進行方位を検出する車両の進行方位検出装置において、所定車速以下の低車速状態では前記車輪の累積回転数が所定値に達するまで前記所定車速より速い高車速状態より前記所定期間を長くして検出した前記累積回転数差に基づいて進行方位を求める手段を備えていることを特徴とする装置である。
【0009】
したがって請求項2の発明では、車両が旋回すると、それに伴って左右の車輪の回転数(所定期間内の累積回転数)に差が生じ、すなわち旋回方向での内輪の回転数が外輪の回転数に対して小さくなるから、これらの回転数差に基づいて車両の進行方位が変化したことが検出される。このようにして進行方位の検出に使用される左右の車輪の回転数は、予め定めた所定期間の間での回転数であるが、低車速の場合には、その所定期間内の回転数が少なく、その場合には、進行方位を求めるために使用する回転数の累積のための所定期間が、高車速の場合より長くされる。そのため、進行方位を求めるための累積回転数が大きくなるので、回転数の検出誤差が相対的に低下し、進行方位の検出精度が向上する。
【0010】
そして、請求項3の発明は、請求項1もしくは2の発明において、前記累積回転数差が生じており、かつその累積回転数差が予め定めた所定値以下の場合に車両が直進していると判断する手段を更に備えていることを特徴とする装置である。
【0011】
したがって請求項3の発明では、左右の車輪の回転数(所定期間内の累積回転数)に差があっても、その回転数差が所定値以下の場合には、車両の進行方位に変更がなく、直進しているものと判断する。すなわち左右の車輪の摩耗や空気圧などによる径差あるいはセンサの取り付け誤差などによる左右の車輪の回転数差を取り込まないので、進行方位の誤検出が防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とすることのできる車両1について説明すると、図3に示す例は後輪駆動車であって、エンジンなどの原動機2が前方側に搭載され、その動力を変速機3を介して後輪4に伝達するように構成されている。また、前輪5には操舵機構6が連結されている。この車両1には、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)7が搭載されている。このABS7は、制動時に車輪4,5がロックしないように制動力を増減する従来知られている装置であって、それぞれの車輪4,5の回転数を検出するための回転数センサ8,9と、各車輪4,5の制動力を調整するための油圧機構(図示せず)を備えている。その回転数センサ8,9は、例えば前述した電磁ピックアップにより車輪4,5の回転に伴うパルス信号を出力し、そのパルス信号をカウントすることにより、回転数を検出するように構成されている。
【0013】
また、車両1には、自車両の位置や目的地までの走行予定路あるいは道路状況などを検出するナビゲーションシステム10が設けられている。このナビゲーションシステム10は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)や地磁気センサあるいは車輪速を使用した自律航法により、電子化された地図上に自車両の位置を示して目的地まで案内するシステムと、地上に設置されたビーコンやサインポストなどから交通渋滞情報を含む各種の道路情報や施設に関する情報を得る各種の道路交通情報システムを含んでいる。
【0014】
より具体的に説明すると、図4に示すように、このナビゲーションシステム10は、光ディスクや磁気ディスクなどの情報記録媒体11が装填され、情報記録媒体11に記憶されている情報を読み取るプレーヤー12と、プレーヤー12により読み取られた情報を二次元や三次元で画像表示するための表示部13とを備えている。また、ナビゲーションシステム10は、車両の現在位置や道路状況を検出するための第1位置検出部14および第2位置検出部15と、道路状況を音声により運転者に知らせるスピーカ16とを備えている。上記表示部13は、室内のインストルメントパネルやグローブボックスの側方などに設けられた液晶ディスプレイ、CRTなどの他、フロントウィンドの視界に影響のない箇所に設けられた画像投影部などを用いることが可能である。
【0015】
そして、これらプレーヤー12と、表示部13と、第1位置検出部14および第2位置検出部15と、スピーカ16とは、電子制御装置17により制御される。この電子制御装置17は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)並びに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0016】
前記情報記録媒体11には車両の走行に必要な情報、例えば地図、地名、道路、道路周辺の主要建築物などが記憶されているとともに、道路の具体的な状況、例えば直線路やカーブあるいはコーナ、登坂もしくは降坂さらにはそれぞれの勾配、一般道路、高速道路、未舗装道、砂利道、砂漠、河川敷、林道、農道、低摩擦係数路などが記憶されている。
【0017】
また、第1位置検出部14は、車両の走行する方位を検出する地磁気センサ18、車速センサ19、ステアリングホイールの操舵角を検出するステアリングセンサ20、車両と周囲の物体との距離を検出する距離センサ21、加速度センサ22などを備えている。さらに、第2位置検出部15は、人工衛星23からの電波を受信するGPSアンテナ24と、GPSアンテナ24に接続されたアンプ25と、アンプ25に接続されたGPS受信機26とを備えている。
【0018】
この第2位置検出部15は、路側、信号機、交差点の路面などに設置され、かつ、物体検知およびその伝達を行う地上検出システムや、道路情報を出力するビーコンまたはサインポストや、VICS(ビークル・インフォメーション&コミュニケーション・システム)、SSVS(スーパー・スマート・ビークル・システム)などの地上設置情報伝達システム27から発信される電波を受信するアンテナ28と、アンテナ28に接続されたアンプ29と、アンプ29に接続された地上情報受信機30とを備えている。
【0019】
上記第1位置検出部14および第2位置検出部15により、現在位置の検出と走行予定道路に存在する走行阻害状態、例えば渋滞、故障車両、工事中、積雪、土砂崩れ、河川の増水、通行止め、落石、倒木、交差点での停止車両、人や動物の存在などの検出とが可能である。
【0020】
なお、上記車両の制御装置は、走行中の安全性を向上するために、ASV(アドバンスドセーフティビークル)機能、例えば、車両が周囲の物体に接近した場合にシートを振動させることで運転者に知らせる機能や、車両が周囲の物体に接触した場合にエアバッグを展開させる機能などを付加することも可能である。
【0021】
そして、上記のABS7とナビゲーションシステム10とがデータ通信可能に接続されており、例えばABS7に入力された前記各回転数センサ8,9により検出された回転数が、ナビゲーションシステム10に伝送されている。そして、ナビゲーションシステム10は、前記GPSによる自車両の位置および進行方向の検出に加えて、入力された左右の車輪の回転数差に基づいて進行方位を検出するように構成されている。
【0022】
図1は車輪の回転数差に基づいて進行方位を検出するためのルーチンすなわちこの発明の装置で実行される検出ルーチンの一例を説明するためのフローチャートを示している。この図1に示すルーチンは、所定時間ΔT秒ごとに実行されるよう構成されており、先ず、非駆動輪である前輪5の回転数が検出される(ステップS1)。具体的には、右側の前輪5についての回転数センサ9から出力されるパルス信号Pr と左側の前輪5についての回転数センサ9から出力されるパルス信号Pl とが常時カウントされているので、これを読み込む。図1に示すルーチンがΔT秒ごとに実行されるから、これらのカウント値Pr ,Pl は、そのΔT秒間の累積回転数を表すことになる。
【0023】
ついで、左旋回しているか否かが判断される(ステップS2)。すなわち左前輪についてのパルス数Pl が右前輪についてのパルス数Pr より小さいか否かが判断される。左旋回する場合、左車輪が内輪となってその回転数(累積回転数)が、外輪となる右車輪よりも小さくなるので、それぞれのパルス数を比較する。このステップS2で肯定的に判断された場合には、その差(Pr −Pl )が予め定めた基準値Xl より大きいか否かが判断される(ステップS3)。この基準値Xl は“1”程度の小さい整数であり、左右の車輪の回転数差が、センサ8,9の取り付け誤差や径差などが原因で生じているか否かを判断するためのものである。
【0024】
したがって左右の車輪の回転数差がその基準値Xl 以上であることによりステップS3で肯定的に判断されれば、車両1が左旋回していることになる。その場合は、左前輪についてのパルス数Pl が予め定めた基準値Yl より大きいか否かが判断される(ステップS4)。このステップS4は、不可避的な検出誤差の影響を可及的に抑制するための判断ステップであり、前述したように、低回転数(低車速)状態で車輪4,5の回転数を検出する場合、不可避的な誤差の影響が相対的に増大するので、ステップS4では低車速状態でないことが判断される。すなわち、ΔT秒間に出力されるパルス数は、車速に比例して多くなるから、左車輪についてのパルス数Pl が基準値Yl より小さければ、低車速で走行していることになる。
【0025】
そこで、低車速であることによりステップS4で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンし、各車輪についてのパルス信号のカウントを継続する。そして、つぎのサイクルもしくはそれ以降のサイクルにおけるステップS4で肯定的に判断された場合には、検出された左右の車輪の回転数(累積回転数もしくは車輪速)に基づいて進行方位が求められる(ステップS5)。
【0026】
その演算の一例を図2を参照して説明すると、進行方位を演算する時点での内輪の回転数に対応するパルス数がPl 、外輪の回転数に対応するパルス数がPr であれば、内輪の走行距離Linと外輪の走行距離Lout とが、1パルス当たりの距離にそれぞれのパルス数を掛け合わせることにより求められる。そして、後輪4の旋回半径をR、トレッド幅をK、ホイールベースをLとすれば、内側前輪の旋回半径Rinと外側前輪の旋回半径Rout とは、
【式1】
となる。したがって旋回角度θ(rad)は、
【式2】
となる。ここで、
【式3】
とおいて、後輪4の旋回半径Rについて解けば、
【式4】
となる。この後輪4の旋回半径Rを上記の式2に代入することにより、旋回角度θを求めることができる。そして、それまで走行してきた方位にその旋回角度θを加減算することにより、新たな進行方位が求められる。
【0027】
以上のようにして進行方位を求めた後、左右の前輪5についてのパルス信号のカウント値をリセットし(ステップS6)、リターンする。
【0028】
なお、左右の前輪5の回転数に差があるものの、その回転数差が基準値Xl より小さいことによりステップS3で否定的に判断された場合には、その回転数差は左右の車輪9の径差などに基づくものであって、車両1は直進走行していることになり、したがってこの場合はステップS6に進んで、パルス信号のカウント値をリセットした後、リターンする。
【0029】
さらに、左前輪の回転数が右前輪の回転数以上であることにより、ステップS2で否定的に判断された場合には、左前輪についてのパルス信号のカウント数Pl が右前輪についてのパルス信号のカウント数Pr より大きいか否かが判断される(ステップS7)。すなわち右旋回しているか否かが判断される。このステップS7で否定的に判断されれば、左右の前輪5についてのパルス信号のカウント値が等しく、車両1が直進走行していることになるので、ステップS6に進んで、パルス信号のカウント値をリセットした後、リターンする。
【0030】
これに対してステップS7で肯定的に判断された場合には、その差(Pl −Pr )が予め定めた基準値Xr より大きいか否かが判断される(ステップS8)。この基準値Xr は“1”程度の小さい整数であり、左右の車輪の回転数差が、センサ8,9の取り付け誤差や径差などが原因で生じているか否かを判断するためのものである。
【0031】
したがって左右の車輪の回転数差がその基準値Xr 以上であることによりステップS8で肯定的に判断されれば、車両1が右旋回していることになる。その場合は、右前輪についてのパルス数Pr が予め定めた基準値Yr より大きいか否かが判断される(ステップS9)。このステップS9は、前述したステップS4と同様に、不可避的な検出誤差の影響を可及的に抑制するための判断ステップであり、低回転数(低車速)状態で車輪4,5の回転数を検出する場合、不可避的な誤差の影響が相対的に増大するので、ステップS9では低車速状態でないことが判断される。すなわち、ΔT秒間に出力されるパルス数は、車速に比例して多くなるから、右車輪についてのパルス数Pr が基準値Yr より小さければ、低車速で走行していることになる。
【0032】
そこで、低車速であることによりステップS9で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンし、各車輪についてのパルス信号のカウントを継続する。そして、つぎのサイクルもしくはそれ以降のサイクルにおけるステップS9で肯定的に判断された場合には、検出された左右の車輪の回転数(累積回転数もしくは車輪速)に基づいて進行方位が求められる(ステップS6)。その演算は図2を参照して説明したとおりである。
【0033】
上述したように、左右の車輪の回転数差(累積回転数の差もしくは走行距離の差)に基づいて車両1の旋回角度θを求めることができる。その場合、低車速であることにより左右の車輪の実回転数が小さく、不可避的な誤差による影響が相対的に大きいければ、検出する左右の回転数(上記の具体例ではパルス数)が所定以上に増大するのを待って、旋回角度θを演算し、走行方位を求めるので、低車速であっても、正確に進行方位を求めることができる。
【0034】
また、上記のステップS3およびステップS8において、左右の車輪の回転数差が基準値Xl ,Xr より小さい場合には、直進していることを判断するので、左右の車輪の径差などの外乱要因を排除して、進行方位を正確に検出することができる。したがって、例えば車両1の前方に障害が存在することを受信し、その後にその障害に対する経路を外れた場合には、その経路変更すなわち進行方位の変更を正確に検出し、障害を避けているのにも関わらず警報が発せられるなどの事態を未然に回避することができる。
【0035】
さらに、上記の具体例では、既存のABS7で得られるデータを利用するので、センサやアクチュエータなどのハードウエアーを新設することなく、新たなソフトウエアーのみで実施できるので、車両1の重量の増大やコストの増大を回避もしくは大幅に抑制することができる。なお、上記の具体例では、非駆動輪である前輪5の回転数を検出しているのは、原動機2から伝達されるトルクの影響を排除して正確な方位検出をおこなうためである。
【0036】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上記のステップS4あるいはステップS9とステップS5との機能的手段が、請求項1における「所定車速以下の低車速状態では前記車輪の累積回転数が所定値以上になった時点の前記累積回転数差に基づいて進行方位を求める手段」に相当する。また、所定時間ΔT秒の間にパルス信号のカウント値が所定値Yl ,Yr に達しない場合には、パルス信号のカウント値をリセットせずにそのカウントを継続するので、結局、進行方位を求めるまでの所定期間を延長することになる。したがって上記のステップS4あるいはステップS9とステップS5との機能的手段が、請求項2における「所定車速以下の低車速状態では前記車輪の累積回転数が所定値に達するまで前記所定車速より速い高車速状態より前記所定期間を長くして検出した前記累積回転数差に基づいて進行方位を求める手段」に相当する。さらに、ステップS3あるいはステップS8の機能的手段が、請求項3における「累積回転数差が生じており、かつその累積回転数差が予め定めた所定値以下の場合に車両が直進していると判断する手段」に相当する。
【0037】
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、例えば上記の具体例では、各基準値Xl ,Xr ,Yl ,Yr を固定値として説明したが、これらの各基準値Xl ,Xr ,Yl ,Yr は車速や加速度などの車両の状態に応じた変数であってもよく、あるいは学習制御によって更新される値であってもよい。また、この発明は、いわゆるFR車以外にFF車や四輪駆動車などの各種の車両に適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、左右の車輪の回転数(所定期間内の累積回転数もしくは車輪速)に基づいて進行方位を求めるにあたり、低車速の場合にはその所定期間内の回転数が少ないので、回転数が所定値以上に累積するのを待って進行方位を求めることになり、その結果、回転数の検出誤差が相対的に低下し、進行方位の検出精度を向上させることができる。
【0039】
また、請求項2の発明によれば、左右の車輪の回転数(所定期間内の累積回転数もしくは車輪速)に基づいて進行方位を求めるにあたり、低車速の場合にはその所定期間内の回転数が少ないので、回転数を累積する所定期間を長くして進行方位を求めるために使用する回転数値を増大させることになり、その結果、回転数の検出誤差が相対的に低下し、進行方位の検出精度を向上させることができる。
【0040】
さらに、請求項3の発明によれば、左右の車輪の回転数差があっても、その回転数差が所定値以下の場合には、車両の進行方位に変更がなく、直進しているものと判断するので、左右の車輪の摩耗や空気圧などによる径差あるいはセンサの取り付け誤差などによる左右の車輪の回転数差を取り込むことを回避でき、もしくはその影響を抑制でき、その結果、進行方位の誤検出を防止し、あるいは精度のよい進行方位の検出をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置による制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】左右の車輪の回転数差に基づく進行方位の演算を説明するための図である。
【図3】この発明で対象とする車両の一例を模式的に示す図である。
【図4】そのナビゲーション装置の一例を説明するための制御系統図である。
【符号の説明】
1…車両、 4,5…車輪、 7…アンチロック・ブレーキ・システム、 8,9…回転数センサ、 10…ナビゲーションシステム。
Claims (3)
- 所定期間ごとの左右の車輪の累積回転数差に基づいて進行方位を検出する車両の進行方位検出装置において、
所定車速以下の低車速状態では前記車輪の累積回転数が所定値以上になった時点の前記累積回転数差に基づいて進行方位を求める手段を備えていることを特徴とする車両の進行方位検出装置。 - 所定期間ごとの左右の車輪の累積回転数差に基づいて進行方位を検出する車両の進行方位検出装置において、
所定車速以下の低車速状態では前記車輪の累積回転数が所定値に達するまで前記所定車速より速い高車速状態より前記所定期間を長くして検出した前記累積回転数差に基づいて進行方位を求める手段を備えていることを特徴とする車両の進行方位検出装置。 - 前記累積回転数差が生じており、かつその累積回転数差が予め定めた所定値以下の場合に車両が直進していると判断する手段を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の進行方位検出装置。
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