JP2015047745A - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 - Google Patents

レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性に優れ、かつ、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供すること。
【解決手段】(成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー、(成分B)酸基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、(成分C)重合開始剤、を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法に関する。
レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。この方式では、フレキソ印刷版原版に直接レーザーを照射し、光熱変換によりレリーフ形成層に熱分解及び揮発を生じさせ、凹部を形成する。直彫りCTP方式は、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができる。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をすることなども可能である。この方式に用いられるレーザーは高出力の炭酸ガスレーザーが用いられることが一般的である。炭酸ガスレーザーの場合、全ての有機化合物が照射エネルギーを吸収して熱に変換できる。一方、安価で小型の半導体レーザーが開発されてきているが、これらは可視及び近赤外光であるため、レーザー光を吸収して熱に変換することが必要となる。
従来のレーザー彫刻用樹脂組成物としては、例えば、特許文献1又は2に記載のものが知られている。
国際公開第03/022594号 国際公開第2009/102035号
本発明の目的は、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性に優れ、かつ、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<9>、<11>、<13>又は<16>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>、<10>、<12>、<14>及び<15>と共に以下に記載する。
<1> (成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー、(成分B)酸基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、(成分C)重合開始剤、を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、
<2> 上記成分Aがブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を含有する、<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<3> 上記成分Bが下記式(1)で表される化合物である、<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
Figure 2015047745
(式(1)中、Raはエチレン性不飽和結合を表し、mは1〜3の整数を表し、Rbは酸基を表し、nは1又は2を表し、Lは単結合又は結合性基と酸基とを連結する(m+n)価の有機連結基を表す。)
<4> 上記成分Bが2以上のエチレン性不飽和結合を有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<5> 上記成分Bが有する酸基がカルボキシル基、スルホン酸基、及び、リン酸基よりなる群から選択される、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<6> 上記成分Bが有する酸基がカルボキシル基である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<7> 上記成分AのSP値が9.0以下である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<8> (成分D)光熱変換剤を更に含有する、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を、熱及び/又は光により架橋した架橋レリーフ形成層を有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<10> 上記架橋レリーフ形成層が熱により架橋されている<9>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<11> <1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を熱及び/又は光により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含むことを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<12> 上記架橋工程において、レリーフ形成層を熱により架橋する、<11>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<13> <9>若しくは<10>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、又は、<11>若しくは<12>に記載の製造方法により得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を準備する工程、並びに、上記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程を含むことを特徴とするフレキソ印刷版の製版方法、
<14> 上記彫刻工程後、上記レリーフ層表面を水系リンス液によりリンスするリンス工程を更に含む、<13>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<15> 上記水系リンス液のpHが10以上である、<14>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<16> <13>〜<15>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたフレキソ印刷版。
本発明によれば、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性に優れ、かつ、インキ耐性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を使用したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供することができた。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。また、「(成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー」等を単に「成分A」等ともいう。
また、「質量部」「質量%」は、それぞれ、「重量部」「重量%」と同義である。
以下の説明における好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
なお、本明細書では、フレキソ印刷版及びフレキソ印刷版原版の説明に関し、成分A〜成分Cを含有し、レーザー彫刻に供する画像形成層としての、表面が平坦な層であり、かつ未架橋の架橋性層をレリーフ形成層と称し、上記レリーフ形成層を架橋した層を架橋レリーフ形成層と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。
(レーザー彫刻用樹脂組成物)
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」ともいう。)は、(成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー、(成分B)酸基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、(成分C)重合開始剤、を含有することを特徴とする。
特許文献1には、無機多孔質体を含有し、彫刻カスの発生が抑制されたレーザー彫刻可能な印刷版原版用感光性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、シロキサン結合を主鎖及び/又は側鎖に含む樹脂を含有し、インキ汚れ抑制に優れたレーザー彫刻可能な印刷版原版及びレーザー彫刻印刷版が開示されている。
発明者は、特許文献1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて形成された印刷版は、溶剤インキ耐性に劣り、また、水性リンス液に対する洗浄性が不十分であることを見出した。更に、特許文献2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて形成されたフレキソ印刷版では、彫刻カスのリンス性が不十分であることを見出した。
本発明者は鋭意検討した結果、成分A〜成分Cを含有する樹脂組成物を用いて形成された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻した場合、彫刻カスのリンス性が良好であり、かつ、溶剤インキ、UVインキ及び水性インキの全てに対して、良好なインキ耐性を示すことを見出した。
作用機構は明確ではないが、以下のように推定される。すなわち、本発明の樹脂組成物が成分A〜成分Cを含有することにより、形成された膜には酸基が導入され、これにより彫刻カス自体が親水性になることを促していると推定される。酸基の作用により、レーザー彫刻により生じた彫刻カスの水溶性又は水分散性が向上し、その結果、彫刻カスのリンス性が向上したと推定される。更に、成分Aが有する主鎖内部のオレフィン結合が、成分Bの有するエチレン性不飽和結合と架橋を形成し、その結果、成分Bの有する酸基が成分A中に適度に分散して存在すると推定される。なお、このようなリンス性の向上効果は、リンス液がアルカリ性の場合に顕著であり、特に、pH10以上の水系リンス液を使用した場合に顕著である。
また、良好なインキ耐性が得られる作用機構は明確ではないが、成分Bの添加により向上したものと推定される。
本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻が施される樹脂造形物の形成用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物の適用態様として、具体的には、レーザー彫刻により画像形成を行う画像形成材料の画像形成層、凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版のレリーフ形成層、凹版、孔版、スタンプ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻により画像形成を行う画像形成材料の画像形成層、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層に、特に好適に用いることができる。
以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
(成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマーを含有する。成分Aは、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される高分子成分(結着樹脂)である。
成分Aの重量平均分子量は、0.5万〜160万が好ましく、1万〜100万であることがより好ましく、1.5万〜60万であることが更に好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であると、単体樹脂としての形態保持性に優れ、160万以下であると、溶剤に溶解しやすくレーザー彫刻用樹脂組成物を調製するのに好都合である。
本発明において、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ法(GPC)法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
成分Aは、少なくとも共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する。
成分Aとしては、共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、共役ジエン系炭化水素と他の不飽和化合物、好ましくはモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体等が好ましく挙げられる。また、上記の重合体及び共重合体は、修飾されていてもよく、例えば、末端に(メタ)アクリロイル基などの反応性基を導入してもよく、また、内部オレフィンの一部が水素添加されていてもよい。なお、以下の説明において、内部オレフィンの一部が水素添加されたポリブタジエンを「部分水素化ポリブタジエン」、同様に内部オレフィンの一部が水素添加されたポリイソプレンを「部分水素化ポリイソプレン」ともいう。更に共重合体は、ランダム重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト重合体でもよく、特に限定されない。
上記の共役ジエン系炭化水素としては、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、イソブテン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて得られる重合体又は共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体としては、特に限定されず、具体的にはブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−クロロプレン共重合体、メタクリル酸エステルと上記共役ジエンの共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体(ブチルゴム)等が挙げられる。
これらの重合体は、乳化重合させてもよいし、また、溶液重合させてもよい。
本発明において、成分Aは、末端にエチレン性不飽和基を有していてもよく、下記式(A−1)で表される部分構造を有していてもよい。
Figure 2015047745
(式(A−1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、AはO又はNHを表し、*は他の構造との結合位置を表す。)
式(A−1)中、AはOであることが好ましい。
すなわち、成分Aは、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基を有していてもよく、(メタ)アクリロイルオキシ基を有することがより好ましい。
成分Aは、式(A−1)で表される部分構造を主鎖末端又は側鎖のいずれに有してもよいが、主鎖末端に有することが好ましい。
耐刷性の観点から、成分Aは、式(A−1)で表される部分構造を分子内に2個以上有することが好ましい。
式(A−1)で表される部分構造を有する成分Aとしては、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、部分水素化ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート、部分水素化ポリイソプレンジ(メタ)アクリレートなど、水酸基含有ポリオレフィンの水酸基にエチレン性不飽和基含有化合物を反応させて得られたポリオレフィン(メタ)アクリレート(例えば、BAC−45(大阪有機化学工業(株)製)、TEA−1000、TE−2000、EMA−3000(日本曹達(株)製))が例示される。
また、ポリオレフィンを変性してエチレン性不飽和結合を導入した変性ポリオレフィン(例えば、メタクリレート導入ポリイソプレン(クラプレンUC−203、UC−102((株)クラレ製))も好ましく例示される。
<ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を有するポリマー>
本発明において、成分Aは、ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を有するポリマーであることが好ましい。
具体的には、ポリブタジエン、部分水素化ポリブタジエン、末端変性ポリブタジエン、ポリイソプレン、部分水素化ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン トリブロック共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン トリブロック共重合体)、イソプレン/ブタジエン共重合体等が挙げられる。
なお、末端変性とは、主鎖又は側鎖末端がアミド基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基等で変性されていていることを意味する。
これらの中でも、ポリブタジエン、部分水素化ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、グリシジルエーテル変性ポリブタジエン、ポリイソプレン、部分水素化ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水酸基末端ポリイソプレン、グリシジルエーテル変性ポリイソプレン、SBS、SISが好ましい。
ブタジエン、イソプレン又はそれらの水素添加物に由来する単量体単位の割合が、合計して30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることが更に好ましい。
イソプレンは、触媒や反応条件により、1,2−、3,4−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明は上記のいずれの付加により重合されたポリイソプレンでもよい。これらの中でも所望の弾性を得る観点から、主成分としてcis−1,4−ポリイソプレンを含有することが好ましい。なお、成分Aがポリイソプレンである場合、cis−1,4−ポリイソプレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、ポリイソプレンとしては、天然ゴムを使用してもよく、また、上市されているポリイソプレンを使用することもでき、例えば、NIPOL IRシリーズ(日本ゼオン(株)製)が例示される。
ブタジエンは、触媒や反応条件により1,2−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明は上記のいずれの付加により重合されたポリブタジエンでもよい。これらの中でも、所望の弾性を得る観点から、1,4−ポリブタジエンが主成分であることがより好ましい。
なお、成分Aがポリブタジエンである場合、1,4−ポリブタジエンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
なお、cis体とtrans体の含有量は特に制限はないが、ゴム弾性を発現させる観点から、cis体が好ましく、cis−1,4−ポリブタジエンの含有量が50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
ポリブタジエンとしては、上市されている製品を使用してもよく、例えば、NIPOL BRシリーズ(日本ゼオン(株)製)、UBEPOL BRシリーズ(宇部興産(株)製)等が例示される。
成分Aは、主鎖が主としてイソプレン又はブタジエンを単量体単位とするポリマーであることが好ましく、一部が水素添加されて飽和結合に変換されていてもよい。また、ポリマーの主鎖中又は末端が、アミド、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基等で変性されていてもよく、エポキシ化されていてもよい。
これらの中でも、成分Aとしては、溶剤への溶解性や、取り扱いの観点から、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン/ブタジエン共重合体が好ましく例示され、ポリブタジエン及びポリイソプレンがより好ましく、ポリブタジエンが更に好ましい。
成分Aは20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することが、柔軟性とゴム弾性発現の観点から好ましい。
なお、成分Aのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121−1987に従って測定する。
なお、成分Aが2以上のガラス転移温度を有する場合、少なくとも1つが20℃以下であることが好ましく、全てのガラス転移温度が20℃以下であることがより好ましい。
成分Aは、少なくとも共役ジエン系炭化水素に基づくエチレン性不飽和基を有する。成分Aはこれに加えて、上述のように、主鎖末端又は側鎖にエチレン性不飽和基を有していてもよい。
本発明において、成分AはSP値が9.0以下であることが好ましい。SP値は、溶解性パラメーター、溶解度係数とも呼ばれ、液体間の混合性の尺度となる。
SP値が9.0以下であると、溶剤インキ及びUVインキに対する耐性が向上するので好ましい。
SP値は、8.0〜9.0であることが好ましく、8.0〜8.5であることが好ましい。
上記SP値は、日本接着学会誌29(3)1993,204−211に記載の沖津法に基づき計算される。
成分Aはエラストマー又はプラストマーであることが好ましい。成分Aがエラストマー又はプラストマーであると、これから得られるレーザー彫刻用印刷版原版をシート状、若しくは円筒状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を達成することができる。また、フレキソ印刷版に必要な弾性を付与することができるので好ましい。
本発明において「プラストマー」とは、高分子学会編「新版高分子辞典」(日本国、朝倉書店、1988年発行)に記載されているように、加熱により容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味する。プラストマーは、エラストマー(外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するもの)に対する言葉であり、エラストマーのような弾性変形を示さず、容易に塑性変形するものである。
本発明において、プラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、該外力を除いても、130%以下に戻らないものを意味する。小さな外力とは、具体的には、引張強度が1〜100MPaである外力をいう。より詳細には、JIS K 6262−1997の引張永久ひずみ試験に基づき、JIS K 6251−1993に規定するダンベル状4号形の試験片を用いた場合に、20℃における引張試験で該試験片を引張前の標線間距離の2倍に破断せずに伸ばすことが可能であり、かつ、引張前の標線間距離の2倍に伸ばしたところで60分間保持した後、引張外力を除いて5分後に引張永久ひずみが30%以上であるポリマーを意味する。なお、本発明では、試験片をJIS K6251−1993に規定するダンベル状4号形にすること、保持時間を60分、及び、試験室の温度を20℃とすること以外は、全てJIS K 6262−1997の引張永久ひずみ試験方法に準拠した。
なお、上記の測定ができないポリマーの場合、すなわち、引張試験において、引張外力を加えなくとも変形して元の形状に戻らないポリマーや、上記測定時の小さな外力を与えて破断するポリマーはプラストマーに該当する。
更に、本発明において、プラストマーは、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃未満である。Tgを2つ以上有するポリマーの場合は、全てのTgが20℃未満である。なお、ポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)法により測定することができる。
本発明において、エラストマーとは、上記の引張試験において、標線間距離の2倍に伸ばすことが可能であり、かつ、引張外力を除いて5分後に引張永久ひずみが30%未満であるポリマーを意味する。
本発明の成分Aの20℃における粘度は、好ましくは10Pa・s〜10kPa・sであり、より好ましくは50Pa・s〜5kPa・sである。粘度がこの範囲内の場合には、シート状又は円筒状の印刷版原版に樹脂組成物を成形しやすく、プロセスも簡便である。本発明において、成分Aがプラストマーであることにより、これから得られるレーザー彫刻用印刷版原版をシート状、若しくは円筒状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を達成することができる。
本発明において、成分Aは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物における成分Aの総含有量は、レーザー彫刻用樹脂組成物の固形分全質量に対し、5〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。成分Aの含有量を5質量%以上とすることで、得られたフレキソ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、90質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、フレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
なお、「固形分全質量」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた全質量を意味する。
(成分B)酸基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分B)酸基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する。
成分Bは、成分Aが有する内部オレフィン結合及び主鎖末端や側鎖に有するエチレン性不飽和結合との架橋を形成する。
成分Bおけるエチレン性不飽和結合の数は、1以上であれば特に限定されないが、架橋を形成する観点から、2以上であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、2〜4であることが更に好ましく、2又は3であることが特に好ましく、2であることが最も好ましい。
成分Bが有する酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及び、ホスホン酸基が好ましく挙げられ、有機溶剤への溶解性の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基がより好ましく、カルボン酸基(カルボキシル基)が特に好ましく挙げられる。
また、これら酸基は、塩を形成していてもよく、例えば、−COOM、−SO3M、−OPO32、−OPO2(OH)M、−PO32、−PO2(OH)M、が例示できる。Mとしては、1価のカチオンであっても、多価カチオンであってもよい。
成分Bが1分子中に有する酸基の数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。成分Bが有する酸基の数が上記範囲内であると、各種インキに対する良好な耐性が得られるので好ましい。
成分Bは、分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)が、3,000以下であることが好ましく、100〜2,000であることがより好ましく、200〜1,500であることが更に好ましく、300〜1,000であることが特に好ましい。
成分Bにおける結合性基と酸基とは、直接結合していても、多価の有機連結基を介して結合していてもよい。
多価の有機連結基としては、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合、チオウレア結合、及び、アミノ結合(−N(RA)−;RAは1価の有機基を表す。)よりなる群から選ばれた結合を少なくとも1つ有する基であることが好ましく、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合、チオウレア結合、及び、アミノ結合(−N(RA)−;RAは1価の有機基を表す。)よりなる群から選ばれた結合を少なくとも1つの結合と2以上の多価炭化水素基とを組み合わせた基であることがより好ましい。
また、多価の有機連結基としては、ウレタン結合を少なくとも1つ有する基であることが好ましい。
上記多価炭化水素基としては、多価脂肪族炭化水素基であっても、多価芳香族炭化水素基であっても、これらの組み合わせであってもよい。上記多価脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。また、上記多価炭化水素基は、1価の炭化水素基を置換基として有していてもよい。
本発明に用いることができる成分Bとしては、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015047745
(式(1)中、Raはエチレン性不飽和結合を表し、mは1〜3の整数を表し、Rbは酸基を表し、nは1又は2を表し、Lは単結合又は結合性基と酸基とを連結する(m+n)価の有機連結基を表す。)
式(1)におけるRaはエチレン性不飽和結合を表し、Rbは酸基を表す。Rbにおける酸基は、上記成分Bにおける酸基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(1)におけるRaの数mは1〜3の整数を表し、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(1)におけるRbの数nは、1又は2を表し、1であることが好ましい。
式(1)におけるLは、単結合又は(m+n)価の有機連結基を表し、(m+n)価の有機連結基であることが好ましい。
(m+n)価の有機連結基としては、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合、チオウレア結合、及び、アミノ結合(−N(RA)−;RAは1価の有機基を表す。)よりなる群から選ばれた結合を少なくとも1つ有する(m+n)価の基であることが好ましく、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合、チオウレア結合、及び、アミノ結合(−N(RA)−;RAは1価の有機基を表す。)よりなる群から選ばれた結合を少なくとも1つの結合と2以上の多価炭化水素基とを組み合わせた(m+n)価の基であることがより好ましい。
本発明に用いることができる成分Bとして具体的には、下記B1−1〜B1−5が好ましく挙げられるが、本発明に用いることができる成分Bはこれらに限定されるものでないことは、いうまでもない。
Figure 2015047745
Figure 2015047745
これらの中でも、B1−1、B1−3が好ましく、B1−1が特に好ましい。
本発明において、成分Bは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物における成分Bの添加量は、膜強度と膜の柔軟性とのバランスの点から、固形分全質量を100質量%とした場合に、0.5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましく、10〜15質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物における成分Aと成分Bとの使用比(質量比)は、成分A:成分B=88.5:0.5〜69:20であることが好ましく、83:6〜75:14であることがより好ましい。
(成分C)重合開始剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分C)重合開始剤を含有する。成分Cを含有することにより、成分A及び成分Bが含有するエチレン性不飽和結合同士の架橋が促進される。
重合開始剤としては、当業者間で公知のものを制限なく使用することができ、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれも使用することができるが、簡便な装置で架橋が形成できることから、熱重合開始剤が好ましい。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、好ましい重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、彫刻感度と、フレキソ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した際にはレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。
上記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いることができる熱重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化エステル系や、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートなどの過酸化エステル系が好ましい。これらの中でも、相溶性に優れる観点から、t−ブチルパーオキシベンゾエートが特に好ましい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いることができる重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記(c)有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、膜(レリーフ形成層)の架橋性及び彫刻感度向上の観点で特に好ましい。
彫刻感度の観点からは、この(c)有機過酸化物と、後述する(成分D)光熱変換剤とを組み合わせた態様が特に好ましい。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、成分A等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明において、成分Cは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中に含まれる成分Cの含有量は、固形分全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、硬化性(架橋性)に優れ、レーザー彫刻した際のレリーフエッジ形状が良好であり、更に、リンス性に優れるので好ましい。
(成分D)光熱変換剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、更に、(成分D)光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて製造したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
本発明の樹脂組成物における光熱変換剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用樹脂組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、当該樹脂組成物の固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
以下、成分A〜成分D以外に、本発明の樹脂組成物が含有しうる各種成分について説明する。
(成分E)多官能エチレン性不飽和化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、成分Bの他に、更に、(成分E)多官能エチレン性不飽和化合物を含有してもよい。成分Eを含有することにより、樹脂組成物は硬化性に優れ、また、より耐刷性に優れるフレキソ印刷版が得られるので好ましい。なお、(成分E)多官能エチレン性不飽和化合物とは、成分Bに該当する化合物を除くものであることはいうまでもない。すなわち、成分Eは酸基を含有しない。
また、本発明に用いることができる多官能エチレン性不飽和化合物は、分子量(又は重量平均分子量)が2,000未満であることが好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物である。多官能エチレン性不飽和化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、エチレン性不飽和化合物に属する化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの共重合体、並びにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
上記多官能エチレン性不飽和化合物としては、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、200以上2,000未満であることが好ましく、200〜1,000であることがより好ましく、200〜700であることが更に好ましい。
多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和基を2個〜20個有する化合物が好ましい。
多官能モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)のエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、ビニル化合物、アリル化合物、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
上記の多官能モノマーに含まれるエチレン性不飽和基は、反応性の観点でアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、アリル化合物の各残基が好ましく、アクリレート、メタクリレートが特に好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (i)
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、短時間で硬化する樹脂組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの中でも、成分Eはアクリレート(アクリル酸エステル化合物)又はメタクリレート(メタクリル酸エステル化合物)であることが好ましく、特に、脂肪族多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。成分Eは(メタ)アクリロイルオキシ基を1分子中に2〜20個有することが好ましく、2〜8個有することがより好ましく、2〜6個有することが更に好ましく、2〜4個有することが特に好ましい。
これらの中でも、成分Eがヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
成分Eの含有量は、成分Bの含有量以下であることが好ましい。すなわち、成分Eの含有量は、成分Eと成分Bの合計量を100質量%としたとき、50質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
(成分F)単官能エチレン性不飽和化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分F)単官能エチレン性不飽和化合物を含有していてもよい。なお、成分Fは成分Bに該当する化合物を含むものではないことは明らかであり、成分Fは酸基を含有しない。
エチレン性不飽和基を1個のみ有する単官能重合性化合物としては、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類のエステル類、アミド類、エチレン性不飽和基を有する無水物類、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリル類、スチレン類、更に種々の不飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエーテル樹脂、不飽和ポリアミド樹脂、不飽和ウレタン樹脂等の重合性化合物が挙げられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とイソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
更に、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲノ基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
重合性化合物としては、特に制限はなく、上記例示した化合物の他、公知の種々の化合物を用いることができ、例えば、特開2009−204962号公報に記載の化合物などを使用してもよい。
更に単官能エチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が好ましく用いられる。
これらの中でも、単官能エチレン性不飽和化合物としては、単官能(メタ)アクリレート化合物(単官能(メタ)アクリル酸エステル)が好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、成分Fを1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中における(成分F)単官能エチレン性不飽和化合物の総含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、樹脂組成物の固形分全質量に対し、0.1〜40質量%が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましい。成分Fの含有量は、成分Bの含有量以下であることが好ましい。すなわち、成分Fの含有量は、成分Fと成分Bの合計量を100質量%としたとき、50質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
<可塑剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、アジピン酸ビスブトキシエチル等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)等が好ましく用いられる。
これらの中でも、アジピン酸ビスブトキシエチルが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物における可塑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<溶剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製する際に、溶剤を用いることが好ましい。
溶剤としては、有機溶剤を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
<その他の添加剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版)
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第1の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
また、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第2の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有する。
本発明において「レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物からなる架橋性を有するレリーフ形成層が、架橋される前の状態、並びに、光及び/又は熱により硬化された状態の両方又はいずれか一方のものをいう。
本発明において「レリーフ形成層」とは、架橋される前の状態の層をいい、すなわち、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、上記レリーフ形成層を架橋した層をいう。上記架橋は、熱及び/又は光により行われることが好ましい。また、上記架橋は樹脂組成物が硬化される反応であれば特に限定されず、成分Aと成分Bとの反応や、成分B同士の反応による架橋構造を含む概念であるが、上記成分Aと上記成分Bとが反応して架橋構造を形成することが好ましい。
架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の上記架橋レリーフ形成層をいう。
上記レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、必要により更に、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、光及び熱の少なくとも一方により硬化する層、すなわち、架橋性を有する層であることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版原版によるフレキソ印刷版の製造方法としては、レリーフ形成層を架橋させ、次いでレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成することでフレキソ印刷版を製造する製造方法であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するフレキソ印刷版を得ることができる。
なお、レリーフ形成層は、レーザー彫刻用樹脂組成物を用い、これをシート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。
<支持体>
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版に用いることができる支持体について説明する。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版に支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアクリロニトリル(PAN))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
また、架橋性のレーザー彫刻用樹脂組成物を塗布し、裏面(レーザー彫刻を行う面と反対面であり、円筒状のものも含む。)から熱及び/又は光などで硬化させて作製されたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版においては、硬化したレーザー彫刻用樹脂組成物の裏面側が支持体として機能するため、必ずしも支持体は必須ではない。
<接着層>
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。接着層に用いることができる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法)
次に、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法について説明する。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、このレーザー彫刻用樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。又は、レーザー彫刻用樹脂組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶剤を除去する方法でもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることが好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶剤を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
<層形成工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むことが好ましい。
レリーフ形成層の形成方法としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法や、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を支持体上又は仮支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して溶剤を除去する方法が好ましく例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物は、例えば、上記成分A及び成分B及び、任意成分として、光熱変換剤、可塑剤、香料、等を適当な溶剤に溶解させ、次いで、成分Cを溶解させることによって製造できる。溶剤成分のほとんどは、フレキソ印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶剤としては、揮発しやすい低分子アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテル)等を用い、かつ温度を調整するなどして溶剤の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上3mm以下が更に好ましい。
<架橋工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、上記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含む製造方法であることが好ましい。
光の照射は、レリーフ形成層全面に行うことが好ましい。
光としては、可視光、紫外光又は電子線が挙げられるが、紫外光が最も好ましい。レリーフ形成層の支持体側を裏面とすれば、表面に光を照射するだけでもよいが、支持体が光を透過する透明なフィルムならば、更に裏面からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下において架橋反応が阻害される恐れがある場合は、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、光の照射を行ってもよい。
レリーフ形成層が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなり得る。)、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。熱により架橋を行うための加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
上記架橋工程におけるレリーフ形成層の架橋方法としては、レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。
(フレキソ印刷版及びその製版方法)
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を熱及び/又は光で架橋し架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程により、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を準備する工程と、上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程と、を含む。
本発明のフレキソ印刷版は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層を架橋及びレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するフレキソ印刷版であり、本発明のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたフレキソ印刷版であることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法における層形成工程及び架橋工程は、上記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法における層形成工程及び架橋工程と同義であり、好ましい範囲も同様である。
<彫刻工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含むことが好ましい。
彫刻工程は、上記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、架橋レリーフ形成層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザーが好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものであれば利用可能であるが、800〜1,200nmのものが好ましく、860〜1,200nmのものがより好ましく、900〜1,100nmであるものが特に好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
彫刻表面に彫刻カスが付着している場合は、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
〔リンス液〕
本発明に用いることができるリンス液としては、水、又は、水を主成分とする水系リンス液であることが好ましい。水系リンス液とは、水を主成分として含むリンス液であることを意味する。水としては、水道水、イオン交換水、純水等が挙げられ、これらの中でも、イオン交換水が好ましく使用される。
リンス液のpHは、8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましく、10以上であることが更に好ましい。また、13.5以下であることが好ましく、13.0以下であることがより好ましく、12.5以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、十分なリンス性(洗浄性)を得られ、また、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜酸及び塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
塩基(塩基性化合物)としては、特に制限はなく、公知の塩基性化合物を用いることができるが、無機の塩基性化合物であることが好ましく、アルカリ金属塩化合物、及び、アルカリ土類金属塩化合物であることがより好ましく、アルカリ金属水酸化物であることが更に好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム、同リチウム、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第三リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム及び同アンモニウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。
また、pHの調整に酸を使用する場合、無機酸が好ましく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、及び、硝酸が例示される。
リンス液には、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、公知の界面活性剤を用いることができ、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが例示できる。
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン類、アルキルイミダゾリン類、アルキルアミノカルボン酸類等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリプロピレングリコールの分子量200〜5000、トリメチロールプロパン、グリセリン又はソルビトールのポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンの付加物、アセチレングリコール系等が挙げられる。
また、本発明に用いることができる界面活性剤は、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物が好ましい。これらの中でも、ベタイン化合物がより好ましい。
また、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
リンス液には、消泡剤を含有してもよい。
消泡剤としては、一般的なシリコーン系の自己乳化型タイプ、乳化タイプ、界面活性剤ノニオン系のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値の5以下等の化合物を使用することができる。シリコーン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化型等がいずれも使用できる。
消泡剤として具体的には、例えば、TSA731、TSA739(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)が挙げられる。
消泡剤の含有量は、フレキソ印刷版製版用リンス液中に、0.001〜1.0質量%であることが好ましい。
以上のようにして、レリーフ層を有する、本発明のフレキソ印刷版を製造することができる。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々のフレキソ印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上0.3mm以下が更に好ましい。
また、フレキソ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、25℃において、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる。)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法で製版されたフレキソ印刷版は、凸版用印刷機による油性インキやUVインキでの印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例におけるポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断らない限りにおいて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した値を表示している。
実施例及び比較例で使用した成分は、以下の通りである。
(成分A)
・A1−1:LBR−305(クラプレンLBR−305、液状ポリブタジエン、(株)クラレ製、Mn:28,100、プラストマー)
・A1−2:BR150L(UBEPOL BR150L、ポリブタジエン、宇部興産(株)製、Mw:510,200、プラストマー)
・A1−3:BR1220(Nipol BR1220、ポリブタジエン、日本ゼオン(株)製、Mw:483,300、プラストマー)
・A1−4:R−45HT(Poly bd R−45HT、水酸基末端液状ポリブタジエン、出光興産(株)製、Mw:11,900、プラストマー)
・A1−5:LIR−290(クラプレンLIR−290、部分水素添加液状ポリイソプレン、(株)クラレ製、Mw:31,000、プラストマー)
・A1−6:DENAREX R−45EPT(ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ナガセケムテックス(株)製、Mw:12,200、プラストマー)
・A1−7:Kraton D1102BT(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、Kraton社製、Mw:110,000、熱可塑性エラストマー)
・A1−8:Kraton D1161(スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)、Kraton社製、Mw:190,000、熱可塑性エラストマー)
・A1−9:IR2200(イソプレンゴム(ポリイソプレン)、JSR(製)、Mw:1,550,000、熱可塑性エラストマー)
・A2−1:UV−3000B(紫光UV−3000B、ウレタンアクリレート、日本合成化学工業(株)製、Mw:18,000、プラストマー)
・A2−2:樹脂I(下記の合成例1により得られた樹脂、プラストマー)
・A2−3:樹脂II(下記の合成例2により得られた樹脂、プラストマー)
<合成例1:樹脂Iの合成>
温度計、撹拌機、還流管を備えた500mlのセパラブルフラスコにポリテトラメチレングリコール(Mn:1,830、OH価:61.3mgKOH/g)(旭化成(株)製)250gとトリレンジイソシアナート(和光純薬工業(株)製)26.2gを加え、60℃で3時間反応させた。その後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)12.62gとポリプロピレングリコールモノメタクリレート(和光純薬工業(株)製)15.9gとを添加し2時間反応させて末端がメタクリロイル基(1分子に含まれる重合性不飽和基の数の平均は約2個)であり、重量平均分子量が約38,000の樹脂Iを得た。構造の同定は1H−NMR、IRスペクトルにより行った。
<合成例2:樹脂IIの合成>
ポリオキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体ジオール(OH価:44mgKOH/g、オキシエチレン含量:30質量%)500gにジラウリン酸ジブチルスズ(和光純薬工業(株)製)0.02gを加え、40℃で均一になるまで混合した。
混合物にトリレンジイソシアナート(和光純薬工業(株)製)37.3gを加え均一に溶解させた。その後、80℃に温度を上昇させ4時間反応させることにより両末端にイソシアネート基を有するポリマー前駆体を合成した。
ポリマー前駆体にポリ(オキシプロピレン)グリコールモノメタクリレート(和光純薬工業(株)製)34.3gとヒドロキシプロピルメタアクリレート(日油(株)製)17.3gを加え2時間反応させることにより樹脂IIを得た。構造の同定は1H−NMR、IRスペクトルにより行った。GPC測定により重量平均分子量は33,000であった。
(成分B)
・B1−1〜B1−8、B2−1:下記構造で表される化合物
Figure 2015047745
・B2−2:HDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、新中村化学(株)製)
・B2−3:TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート、東京化成工業(株)製)
<合成例3:B1−1の合成)
DMBA(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、和光純薬工業(株)製)15gをTHF(テトラヒドロフラン、和光純薬工業(株)製)50gに溶解させた。溶解後、カレンズAOI(2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、昭和電工(株)製)15.7gを添加して溶解させた。均一に溶解後、ジラウリン酸ブチルスズ0.3gを添加して、70℃で5時間反応させた。構造の同定は1H−NMR、IRスペクトルにより行った。
<合成例4:B1−2の合成>
1,000mL(1リットル)のなす型フラスコに、ピロメリット酸2無水物4.36g(20mmol)と乾燥させたγ−ブチロラクトン15mlと触媒量のピリジンを入れ、撹拌した。そこに、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.35ml(44mmol、5.73g)を添加し、窒素気流下、室温で16時間撹拌した後、反応液を2Lの0.1規定の塩酸に食塩を適量加えたものに滴下し、沈殿物をろ過後、乾燥させ白色固体(上記のような異性体の混合物)を9.5g得た。
<合成例5:B1−3の合成>
B1−3は酸無水物に水酸基を反応させる一般的な方法により合成した。具体的には、ペンタエリスリトールトリアクリレートに無水コハク酸を付加させることにより作製した。
<合成例6:B1−4の合成>
チオグリセロール(東京化成工業(株)製)15gをTHF(和光純薬工業(株)製)50gに溶解させた。溶解後、ホスマーM(リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、ユニケミカル(株)製)29.1gを加え0℃に冷却した。冷却後、ジアザビシクロウンデセン(和光純薬工業(株)製)0.8gを添加し、暗所で5時間反応させた。反応後、蒸留水(200g)を加え希釈した後、ジエチルエーテル(和光純薬工業(株)製)250gを加え抽出した。抽出後、MgSO4で脱水して溶剤を除去することにより中間体を得た。構造の同定は1H−NMR、IRスペクトルにより行った。
得られた中間体15gをTHFに溶解させカレンズAOI(昭和電工(株)製)10.8gを加え氷冷下で均一に溶解させた。溶解後、ジラウリン酸ジブチルスズ(和光純薬工業(株)製)を0.1g加え50℃で4時間反応させることによりB1−4を得た。
<合成例7:B1−5の合成>
チオグリセロール(東京化成工業(株)製)15gをTHF(和光純薬工業(株)製)50gに溶解させた。溶解後、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成工業(株)製)28.7gを加え0℃に冷却した。冷却後、ジアザビシクロウンデセン(和光純薬工業(株)製)0.8gを添加し、暗所で5時間反応させた。反応後、蒸留水(200g)を加え希釈した後、ジエチルエーテル(和光純薬工業(株)製)250gを加え抽出した。抽出後、MgSO4で脱水して溶剤を除去することにより中間体を得た。構造の同定は1H−NMR、IRスペクトルにより行った。
得られた中間体15gをTHFに溶解させカレンズAOI(昭和電工(株)製)10.8gを加え氷冷下で均一に溶解させた。溶解後、ジラウリン酸ジブチルスズ(和光純薬工業(株)製)を0.1g加え50℃で4時間反応させることによりB1−5を得た。
<合成例8:B2−1の合成>
2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業(株)製)15gをTHF(テトラヒドロフラン、和光純薬工業(株)製)50gに溶解させた。溶解後、カレンズAOI(2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート、昭和電工(株)製)15.1gを添加して溶解させた。均一に溶解後、ジラウリン酸ブチルスズ0.3gを添加して、70℃で5時間反応させた。構造の同定は1H−NMR、IRスペクトルにより行った。
(成分C)
・パーブチルZ(t−ブチルパーオキシベンゾエート、日本油脂(株)製)
(成分D)
・カーボンブラック#45(三菱化学(株)製、粒子径(算術平均径):24nm、比表面積(窒素吸着量からS−BET式で求めた比表面積、JIS K 6217):125m2/g、DBP吸油量:45cm3/100g)
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、表1〜表3に記載の成分Aを表1〜表3に記載の質量部、表1〜表3に記載の成分Bを表1〜表3に記載の質量部、成分CとしてパーブチルZを1質量部、成分Dとしてカーボンブラック#45を10質量部入れ、この混合液を撹拌しながら70℃で30分間加熱した。
2.レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた実施例1〜72、及び、比較例1〜57の各レーザー彫刻用樹脂組成物をそれぞれ、スペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、120℃のオーブン中で加熱して、厚さがおよそ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をそれぞれ作製した。この時、120℃のオーブン中で表面のベトツキが完全になくなるまで加熱し、熱架橋を行った。
3.フレキソ印刷版の作製
架橋後の架橋レリーフ形成層に対し、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又はファイバー付き半導体レーザーにより彫刻し、フレキソ印刷版を得た。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、CO2レーザー彫刻機((株)コムテックス製、Adflex250)を用いた。レーザー彫刻用印刷版原版1から保護フィルムを剥離後、炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1〜10%の網点を作成した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備した、レーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1〜10%の網点を作成した。
(評価)
<膨潤率の評価(インキ耐性)>
フレキソ印刷版原版を約1cm角に切り、サンプル瓶に入れた。そこに、各種インクを2mL加え、20℃で静置した。24時間後、フレキソ印刷版原版を取り出し、表面をふき取ったあとの質量を測定し、以下の式によって求めた。
膨潤率(wt%)=(浸漬後の質量)/(浸漬前の質量)×100
この値が100wt%に近いほど好ましい。
なお、インクとしては、下記のインクを使用した。
・溶剤インキ:XA−55(藍) RE−28(サカタインクス(株)製)、SP値8.5〜11.5
・UVインキ:UVフレキソ藍PHA((株)T&K TOKA製)、SP値9.2〜11.1
・水性インキ:アクアSPZ16紅(東洋インキ製造(株)製)、SP値11.5〜23.4
評価基準は、以下の通りである。
4:膨潤率が105%未満
3:膨潤率が105%以上110%未満
2:膨潤率が110%以上115%未満
1:膨潤率が115%以上
なお、評価が3以上であれば、実用上問題はない。
<彫刻カスリンス性>
レーザー彫刻した版をリンス液に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(ライオン(株)製、クリニカハブラシ フラット)で10回擦った。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。なお、全ての実施例及び比較例において、半導体レーザーにて彫刻を行った結果を示しているが、CO2レーザーを用いて、同様の結果となった。
評価基準は、以下の通りである。
4:カスがない
3:カスがほとんどない
2:少し残存している
1:カスが除去できていない
なお、評価が3以上であれば、実用上問題はない。
リンス液は、下記の2種を使用した。
−pHが10未満のリンス液−
リンス液は、水、水酸化ナトリウム10質量%水溶液、及び、下記ベタイン化合物(1−A)を混合し、pHが9、かつベタイン化合物(1−A)の含有量がリンス液全体の1質量%になるように調製した。
Figure 2015047745
−pHが10以上のリンス液−
リンス液は、水、水酸化ナトリウム10質量%水溶液、及び、下記ベタイン化合物(1−B)を混合し、pHが12、かつベタイン化合物(1−B)の含有量がリンス液全体の1質量%になるように調製した。
Figure 2015047745
Figure 2015047745
Figure 2015047745
Figure 2015047745

Claims (16)

  1. (成分A)共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー、
    (成分B)酸基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物、及び、
    (成分C)重合開始剤、を含有することを特徴とする
    レーザー彫刻用樹脂組成物。
  2. 前記成分Aがブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を含有する、請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  3. 前記成分Bが下記式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
    Figure 2015047745
    (式(1)中、Raはエチレン性不飽和結合を表し、mは1〜3の整数を表し、Rbは酸基を表し、nは1又は2を表し、Lは単結合又は結合性基と酸基とを連結する(m+n)価の有機連結基を表す。)
  4. 前記成分Bが2以上のエチレン性不飽和結合を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. 前記成分Bが有する酸基がカルボキシル基、スルホン酸基、及び、リン酸基よりなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  6. 前記成分Bが有する酸基がカルボキシル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  7. 前記成分AのSP値が9.0以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  8. (成分D)光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を、熱及び/又は光により架橋した架橋レリーフ形成層を有することを特徴とする
    レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  10. 前記架橋レリーフ形成層が熱により架橋されている請求項9に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、
    前記レリーフ形成層を熱及び/又は光により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含むことを特徴とする
    レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  12. 前記架橋工程において、レリーフ形成層を熱により架橋する、請求項11に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  13. 請求項9若しくは10に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、又は、請求項11若しくは12に記載の製造方法により得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を準備する工程、並びに、
    前記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程を含むことを特徴とする
    フレキソ印刷版の製版方法。
  14. 前記彫刻工程後、前記レリーフ層表面を水系リンス液によりリンスするリンス工程を更に含む、請求項13に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  15. 前記水系リンス液のpHが10以上である、請求項14に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  16. 請求項13〜15のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたフレキソ印刷版。
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