JP2015046591A - 高周波リアクトルの設計方法及び製造方法 - Google Patents

高周波リアクトルの設計方法及び製造方法 Download PDF

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【課題】初期インダクタンスが不足することなく、且つ、製造コストを増加させることなく小型化が可能な高周波リアクトルの設計方法及び製造方法を提供すること。【解決手段】磁路にエアギャップ2が設けられた鉄心を磁性コアとして使用する高周波リアクトルの設計方法であって、定格インダクタンスを満足するようにエアギャップ2を有する鉄心を設計する第1工程と、第1工程において設計された鉄心のエアギャップ2にエアギャップ2を介して対向する鉄心同士を接続するブリッジ部3を設け、初期インダクタンスに対する要求仕様を満足するようにブリッジ部3の幅を調整する第2工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、磁路にエアギャップが設けられた鉄心を磁性コアとして使用する高周波リアクトルの設計方法及び製造方法に関するものである。
近年、パワーエレクトロニクス分野では、省エネルギーや省スペース等の観点から、スイッチング電源やインバータ電源の駆動周波数を高周波化することが進められている。また、スイッチング電源やインバータ電源に対しては、駆動周波数の高周波化に対応しつつ高効率化及び小型化することが求められており、例えば数kHz〜100kHz程度の高周波帯域に対応できる高周波リアクトルを安定的に大量供給することが強く求められている。なお、リアクトル用の鉄心材料としては、電磁鋼板等の軟磁性金属材料が用いられることが多い。
一方、昨今の環境問題に対する関心の高まりを受けてハイブリッド自動車が広く普及してきている。ハイブリッド自動車には走行駆動力源として高出力のモータが搭載されている。また、モータを駆動するための電源としてはインバータが使用されており、インバータ電源系にも高周波リアクトルが使用されている。自動車分野においては、燃費改善等のために部品の小型化及び軽量化がとりわけ強く志向される。このため、ハイブリッド自動車に搭載される高周波リアクトルに対しては、従来にも増して小型化が強く求められている。
電磁鋼板等の軟磁性金属材料を鉄心材料として用いたリアクトルでは、鉄心の磁気飽和を抑制するために磁路にエアギャップを設けることが一般的に行われている(特許文献1参照)。また、一般に、リアクトルのインダクタンスは、例えば特許文献2の図6に示されているような直流重畳特性で評価される。以下、本明細書中では、直流電流がゼロである時のリアクトルのインダクタンス値を初期インダクタンスL0、リアクトルを使用する時の最大電流と同じ直流電流値の時のインダクタンス値を定格インダクタンスLnと呼ぶこととする。
磁路にエアギャップが設けられたリアクトルでは、エアギャップのギャップ長を小さくすれば初期インダクタンスL0を大きくすることができる。しかしながら、この場合、鉄心の磁気飽和のために定格インダクタンスLnが小さくなり、実用に供し得ない。一方、エアギャップのギャップ長を大きくすれば定格インダクタンスLnを所望の値にすることができるが、この場合、初期インダクタンスL0が小さくなる。このように、エアギャップのギャップ長によるリアクトルのインダクタンス特性の調整を考える場合、初期インダクタンスL0と定格インダクタンスLnとはトレードオフの関係にある。
エアギャップのギャップ長をどのように調整しても初期インダクタンスL0と定格インダクタンスLnとを共に所望の値にすることができない場合、そのとき考慮していた鉄心よりもさらに大きな鉄心を考慮することにして、以下同様にしてエアギャップのギャップ長によるリアクトルのインダクタンス特性の調整を考えてゆく。リアクトルのインダクタンス特性にはコイルの巻き数も影響するので、実際にはさらに複雑な過程を経るのであるが、概念的には上記のような過程を経てリアクトルの鉄心寸法が決定される。
上記したような昨今の小型化要求に対応すべきリアクトルの小型化を図ろうとして鉄心を小さくすることを考えた場合、リアクトルの磁路長は短くなる方向にあるので、鉄心がより飽和しやすいことになる。これを避けるためにエアギャップのギャップ長は小型化を考えない場合よりも大きくとらなければならなくなり、初期インダクタンスL0が不足することになる。
これまでもリアクトルのインダクタンス特性を改善するための試みが幾つかなされている。例えば特許文献3には、コイル内に複数本の柱状体と空隙とを備え、空隙で磁束経路が分断されていることを特徴とするリアクトルが開示されている。しかしながら、特許文献3記載の技術は、コイル電流に対してインダクタンス比が安定する(値が安定する)効果は認められるが、逆にこのことは定格インダクタンスLnよりも大きな初期インダクタンスL0を改善する目的には供し得ない。
また、特許文献2には、コイルが巻回されていない非巻回部磁性体の断面積をコイルが巻回されていない巻回部磁性体のそれよりも大きくすることによってリアクトルの直流重畳特性を改善する技術が記載されている。しかしながら、特許文献2記載の技術は、大電流におけるインダクタンス値の改善効果は認められるが、初期インダクタンスL0を改善する目的には供し得ない。
特開平6−302442号公報 特開2007−243136号公報 特開2010−56237号公報 特開昭57−193007号公報
上述の通り、昨今の小型化要求に対応すべくリアクトルの小型化を図ろうとして鉄心を小さくすることを考えた場合、リアクトルの磁路長は短くなる方向にあるので、鉄心がより磁気飽和しやすくなる。このため、エアギャップのギャップ長は、小型化を考えない場合よりも大きくしなければならず、初期インダクタンスL0が不足することになる。しかしながら、従来の技術によれば、定格インダクタンスLnの改善を図ることはできるが、同時に初期インダクタンスL0をも改善することはできない。
なお、このような問題を解決するために、鉄心を構成している磁性体とは別の磁性体をエアギャップ付近に配置することによってインダクタンス特性を改善する方法を用いることが考えられる(特許文献4参照)。しかしながら、このような方法によれば、鉄心とエアギャップとを組み立てる工程に加えて、別の磁性体をエアギャップ付近に配置して固定するという新たな工程が別途必要になるために、リアクトルの製造コストが増加する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、初期インダクタンスが不足することなく、且つ、製造コストを増加させることなく小型化が可能な高周波リアクトルの設計方法及び製造方法を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る高周波リアクトルの設計方法は、磁路にエアギャップが設けられた鉄心を磁性コアとして使用する高周波リアクトルの設計方法であって、定格インダクタンスを満足するようにエアギャップを有する鉄心を設計する第1工程と、前記第1工程において設計された鉄心のエアギャップにエアギャップを介して対向する鉄心同士を接続するブリッジ部を設け、初期インダクタンスに対する要求仕様を満足するように前記ブリッジ部の幅を調整する第2工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る高周波リアクトルの設計方法は、上記発明において、前記第2工程は、前記ブリッジ部を通る磁路長が短くなるように磁性コアの磁路内周側に前記ブリッジ部を設ける工程を含むことを特徴とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る高周波リアクトルの製造方法は、磁路にエアギャップが設けられた鉄心を磁性コアとして使用する高周波リアクトルの製造方法であって、定格インダクタンスを満足するようにエアギャップを有する鉄心を設計する第1工程と、前記第1工程において設計された鉄心のエアギャップにエアギャップを介して対向する鉄心同士を接続するブリッジ部を設け、初期インダクタンスに対する要求仕様を満足するように前記ブリッジ部の幅を調整する第2工程と、打ち抜き加工、放電加工、又はレーザ加工によって薄鋼板から一体的に作製した前記ブリッジ部と前記鉄心とを含む形状の部材を積層、組み合わせることにより磁性コアを製造する第3工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、初期インダクタンスが不足することなく、且つ、製造コストを増加させることなく小型化が可能な高周波リアクトルの設計方法及び製造方法を提供することができる。
図1は、本発明に係る高周波リアクトルの鉄心の構成例を示す図である。 図2は、図1に示す高周波リアクトルの直流重畳特性を示す図である。 図3は、高周波リアクトルの直流重畳特性の一例を示す図である。 図4は、従来の高周波リアクトルの鉄心の構成例を示す図である。 図5は、図4に示す高周波リアクトルの直流重畳特性を示す図である。 図6は、従来の高周波リアクトルの鉄心の構成例を示す図である。 図7は、図6に示す高周波リアクトルの直流重畳特性を示す図である。 図8は、ギャップ・ブリッジ部を有さない鉄心及びギャップ・ブリッジ部を有する鉄心の構成例を示す模式図である。 図9は、ギャップ・ブリッジ部を有するI字型部材及びギャップ・ブリッジ部を有さないI字型部材の構成例を示す図である。 図10は、図9に示すI字型部材を積層することによって形成されたI字型鉄心を組み合わせることにより作製されたリアクトル鉄心の構成例を示す図である。 図11は、ギャップ・ブリッジ部を有するL字型部材の構成例を示す図である。 図12は、図11に示すL字型部材を積層することによって形成されたL字型鉄心を組み合わせることにより作製されたリアクトル鉄心の構成例を示す図である。
いま図3の曲線L1に示すインダクタンスの直流重畳特性を有する高周波リアクトルの鉄心を小型化した場合を考える。この場合、初期インダクタンスL0が同じ値になるようにエアギャップのギャップ長とコイルの巻き数とを調整した時、鉄心が小型化しているので、鉄心の磁路長が短くなり、磁気飽和が早く起こることによって、直流重畳特性は図3の曲線L2に示すようになる。また、磁気飽和が早く起こることを抑制するために、大電流域でもインダクタンスを確保できるように図3の曲線L2に示す直流重畳特性を有する高周波リアクトルのエアギャップのギャップ長を大きくすると、直流重畳特性は図3の曲線L3に示すようになる。すなわち、大電流域のインダクタンス値は確保できるものの、初期インダクタンスL0は小さくなってしまう。
上述したように、昨今の小型化要求に対応すべきリアクトルの小型化を図ろうとして鉄心を小さくすることを考えた場合、リアクトルの磁路長は短くなる方向にあるので、鉄心がより磁気飽和しやすいことになる。そして、これを避けるためには、小型化を考えない場合よりもエアギャップのギャップ長を大きくとらなければならなくなり、初期インダクタンスL0が不足することになる。このように、初期インダクタンスL0と定格インダクタンスLnとはいわばトレードオフの関係になる。昨今の小型化要求に対応すべくリアクトルの小型化を図ろうとして鉄心を小さくすることを考えた場合、従来の技術ではエアギャップのギャップ長を大きく設定して定格インダクタンスLnの確保を図るのと同時に、初期インダクタンスL0をも改善することはできない。
リアクトルを設計する場合、定格インダクタンスLnの要求仕様を満足することはいわば至上命題である。しかしながら、それに比して初期インダクタンスL0の仕様はそれほど厳密でなく、ある程度仕様を緩和する余地があるケースもあり、そのような場合にはエアギャップのギャップ長を大きく設定して定格インダクタンスLnの確保を図った小型化設計がそのまま採用されることもある。しかしながら、初期インダクタンスL0はインバータ出力が低出力の時に必要となるリアクトルのインダクタンス値であり、低出力時はリップル電流も小さい方が好ましく、リップル電流を抑制するためのインダクタンス値は大きな値である方が好ましいことは言うまでもない。
ところで、リアクトルの設計パラメータには、鉄心の形状や寸法、ギャップ長、ギャップ個数、及び銅コイル巻き数等、考慮すべきパラメータが多数ある。加えて、設計パラメータ相互の影響も考慮する必要があり(例えば銅コイル巻き数を増やす場合は、銅コイルを巻回する空間を確保するために鉄心の形状や寸法を変更する必要が生じる等)、設計が極めて複雑である。また、エアギャップにブリッジ部を有する鉄心構造の場合には、ブリッジ部の幅Wがさらに設計パラメータとして加わることになり、設計が一層複雑になるので、より効率的な設計方法が望まれる。
リアクトルの設計は、市販の設計ソフトウェアを用いて行うことができるが、エアギャップにブリッジ部を有する鉄心構造には対応していない。また、市販のFEM磁場解析ソフトウェアを利用することもできるが、上述のように設計パラメータが多数あるので、全ての設計パラメータを決定するまで解析モデルを何度も作り変えては計算するという繰り返し回数が膨大な数になり、極めて煩雑である。
このため、本発明の発明者らは、リアクトルの小型化を図ろうとして鉄心を小さくし、エアギャップのギャップ長を大きく設定して定格インダクタンスLnの確保を図った時に不足することになる初期インダクタンスL0を改善する方策を種々検討した。その結果、図8(b)に示すようにエアギャップ2を介して対向する鉄心を接続するブリッジ部3を設けることによって、インダクタンスの直流重畳特性を改善できることを見出した。ここで、図8(a)はエアギャップ2にブリッジ部3を有さない鉄心、図8(b)はエアギャップ2にブリッジ部3を有する鉄心の構成例を示す模式図である。鉄心は、複数の鉄心ブロック1a〜1dを備え、コイルはブロック1b,1dそれぞれに巻回される。対向する鉄心ブロック1bと鉄心ブロック1bとの間、鉄心ブロック1bと鉄心ブロック1bとの間、鉄心ブロック1dと鉄心ブロック1dとの間、及び鉄心ブロック1dと鉄心ブロック1dとの間にはエアギャップ2が形成されている。
ブリッジ部3によってインダクタンスの直流重畳特性が改善される理由は、定格インダクタンスLnが問題になるような大電流域では、ブリッジ部3が磁気飽和するので、インダクタンス値がブリッジ部3が存在しない場合とほぼ等しい値となり、初期インダクタンスL0が問題になるようなゼロ電流領域では、ブリッジ部3が磁気飽和しないので、インダクタンス値がブリッジ部3が存在しない場合と比較して高くなるためであると考えられる。本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明に係る高周波リアクトルの設計方法では、第1工程として、まずエアギャップ2にブリッジ部3を有さない従来の鉄心構造を前提として定格インダクタンスLnの仕様を満足し、且つ、小型化したリアクトルを設計し、その上でエアギャップ2にブリッジ部3を有する鉄心構造を前提として初期インダクタンスL0を満たすようにブリッジ部3の幅Wを最適化する第2工程を設けて、初期インダクタンスL0及び定格インダクタンスLn両方を満足するリアクトルを設計する。
一方、最初に初期インダクタンスL0を満たすようにリアクトルを設計してしまうと、次工程でエアギャップ2にブリッジ部3を追加してブリッジ部3の幅Wを調整しても、定格インダクタンスLnは増加しないので、初期インダクタンスL0を保ちつつ定格インダクタンスLnを満足させるためには、鉄心を大型化しなければならない。結局、エアギャップ2にブリッジ部3を有する鉄心構造の設計を最初からやり直さなければならないので、設計効率が極めて悪い。従って、設計の定格インダクタンスLnの仕様を満足するように鉄心構造を設計する第1工程と、初期インダクタンスL0を満たすようにブリッジ部3の幅Wを最適化する第2工程と、を備えることによって、エアギャップ2にブリッジ部3を有する鉄心構造を備え、小型化されたリアクトルを設計できる。
第1工程でリアクトルを設計する手段は特に限定されることはなく、種々の手段を用いることが可能である。すなわち、一般に使用されている市販の磁場解析ソフトウェア(例えばJ-SOL社のJMAG(登録商標))や市販のリアクトル設計ソフトウェア(例えばRale社の設計ソフト)を用いることも可能である。
次に、第2工程においてブリッジ部3の幅Wを最適化する手段について説明する。
第1工程で設計されたリアクトルの直流重畳特性を測定し、初期インダクタンスL0(L02とする)を求める。L02が初期インダクタンスL0の要求仕様(L01とする)に満たない場合、幅Wのブリッジ部3を付加して再度直流重畳特性を測定し初期インダクタンスL0(L03とする)を求める。L03がL01に達していない場合、さらにブリッジ部3の幅Wの最適化を行う。この時、L03とL01との差からさらに付加すべきブリッジ部3の幅Wを予測できる。つまり、ブリッジ部3の幅Wの最適化はわずかな回数試行するだけで実現可能である。しかもこの第2工程で変化させて試行する設計パラメータはブリッジ幅Wだけであるので、試行の煩雑さも大幅に軽減される。
ブリッジ部3の幅Wとブリッジ部3付加後の初期インダクタンスL03との関係は、使用する材料、リアクトルの大きさやエアギャップ2の距離によって異なるが、予めデータベースとして準備されていてもよい。L02の値を求めた後にこのデータベースを参照することにより、付加すべきブリッジ部3の幅Wの予測が容易になる。
〔実施例1〕
市販の6.5%ケイ素鋼板(板厚0.1mm)を鉄心材料として用いた高周波リアクトルの設計を市販の磁界解析ソフトウェアを用いて実施した。リアクトルの要求特性は、初期インダクタンス値250μH以上、定格インダクタンス値は電流値150Aの時に200μH以上、風速1.5m/sの強制冷却、コイルの許容最高温度160℃という仕様であった。
始めに、従来のリアクトルと同様に鉄心の磁路にエアギャップ2を有する構造を前提として検討した。検討の結果得られた鉄心寸法は、図4(a),(b)に示したものとなった。このとき、鉄心の総重量は1.653kgであった。また、鋼板の積層厚を44mmとし、コイルは0.8mm厚の銅フォイルを鉄心ブロック1b,1dにそれぞれ21ターンずつ、合計42ターン巻回すれば、図5に示すようなインダクタンスの直流重畳特性が得られることがわかった。これは前記仕様を満たすものである。
次に、鋼板の積層厚を減らすことによる鉄心の小型化を検討した。コイル巻数を変更するとコイルの許容最高温度160℃という要求仕様を満たすことが困難になるので、コイル巻数は変更しないで検討を行った。検討の結果、図6(a),(b)に示すように、エアギャップ2のギャップ長を2.7mmに変更すれば、鋼板の積層厚を41.5mmにまで減らしても電流値150Aの時に200μH以上という定格インダクタンスに対する要求仕様を満足できることがわかった。このとき、鉄心重量は1.559kgであった。しかし、図7に示すように初期インダクタンス値は229μHとなり、初期インダクタンス値250μH以上という要求仕様を満足することができない。
次に、図1に示すように、上記のリアクトル鉄心の鋼板積層厚を41.5mmのまま、エアギャップ2のギャップ長も2.7mmのままとして、エアギャップ2に図8(b)に示すようなブリッジ部3を初期インダクタンスが250μH以上になるように付加することを検討した。このとき、ブリッジ部3の幅を大きく取ると定格インダクタンスの値が小さくなってしまうので、ブリッジ部3の幅は初期インダクタンスを250μH以上にできる最小の値に調整した結果、ブリッジ部3の幅を0.3mmとすることによって、インダクタンスの直流重畳特性は図2に示すようになり、定格インダクタンス200μH以上という仕様をも満足することができた。
〔実施例2〕
本実施例では、市販の6.5%ケイ素鋼板(板厚0.1mm)から打ち抜きにより図9(a),(b)に示すようなギャップ・ブリッジ部を有するI字型部材A及びギャップ・ブリッジ部を有さないI字型部材Bを作製した。次に、これらの部材を41.5mmまで積層してI字型部材Aからなる鉄心A及びI字型部材Bからなる鉄心Bをそれぞれ2個ずつ作製した。そして最後に、鉄心A及び鉄心Bを図10(a)に示すように組み合わせて固定し、42ターンのコイルを巻回してインダクタンス特性を評価した。これをリアクトルAとする。次に、図10(b)に示すように鉄心を組み合わせて固定し、0.8mm厚の銅フォイルを鉄心Aにそれぞれ21ターン、合計42ターン巻回してインダクタンス特性を測定した。これをリアクトルBとする。
測定の結果、リアクトルAでは、図2に示すインダクタンス特性と同一のインダクタンス特性が得られることが確認できた。これに対して、リアクトルBでは、DCバイアス電流が低い領域では高インダクタンス値を示すものの、DCバイアス電流が高い領域ではインダクタンス値が低下して所望のインダクタンス特性が得られなかった(初期インダクタンス250μH以上は確保できたが、定格インダクタンスが200μHを下回った)。この理由は定かではないが、鉄心内の磁束流れを考えてみると、リアクトルAでは、ブリッジ部3は磁束が通る磁路の長さが短くなる磁性コアの磁路内周側に設けられているので、比較的低いDCバイアス電流値でブリッジ部3の磁気飽和が起こると考えられる。これに対して、リアクトルBでは、磁束が通る磁路の長さがリアクトルAより長くなるので、DCバイアス電流値がより高い値でないと磁気飽和しないと考えられる。
〔実施例3〕
実施例1の結果からリアクトル鉄心は図1に示す寸法とすればよいことがわかったので、本実施例では、生産性の観点での検討を進めた。始めに、図11に示すようにエアギャップの2ヶ所が細いブリッジ部で繋がったL字型部材を市販の6.5%ケイ素鋼板(板厚0.1mm)から打ち抜き製造した。次に、このL字型部材を積層して積層厚41.5mmのL字型鉄心を2個作製した。最後に、2個のL字型鉄心を図12に示すように組み合わせて図1に示すリアクトル鉄心と同じ寸法のリアクトル鉄心を作製した。このリアクトル鉄心に0.8mm厚の銅フォイルをそれぞれ21ターン、合計42ターン巻回してインダクタンス特性を測定したところ、図2に示すインダクタンス特性と同じインダクタンス特性が得られることが確認できた。
以上の結果から、薄鋼板から一体的に打ち抜き加工で作製したブリッジ部と鉄心部とを含む形状を有する部材を積層、組み合わせて磁性コアを形成することによって、組み立て部品点数が少なく(本例では組み立て部品点数は2)、また組み立て工程も少なくできることが確認できた。また、本実施例では、鋼板積層厚が41.5mmと比較的厚いため、ブリッジ部は細いのにも係わらず積層したL字型鉄心の機械的剛性も十分確保できてハンドリング性も良好であり、安定して所望のインダクタンス特性が得られた。一般に、ギャップ部を有する鉄心では、ギャップ部は樹脂等で充填され、その製造においてはギャップ部の寸法を精度よく管理する必要があるが、本実施例のようにブリッジ部と鉄心部とが一体的に製造される場合には、ギャップ部の寸法の精度管理も容易に行うことができる。
なお、本実施例では、鉄心ブロックを2個として例示したが、鉄心ブロックの数は必要に応じて適宜変更できる。また、ギャップ長及びブリッジ部の幅は、定格インダクタンスの仕様と初期インダクタンスの仕様とをそれぞれ満たすことができれば、任意の大きさに設計できることは言うまでもない。
1a,1b,1c,1d 鉄心ブロック
2 エアギャップ
3 ブリッジ部

Claims (3)

  1. 磁路にエアギャップが設けられた鉄心を磁性コアとして使用する高周波リアクトルの設計方法であって、
    定格インダクタンスを満足するようにエアギャップを有する鉄心を設計する第1工程と、
    前記第1工程において設計された鉄心のエアギャップにエアギャップを介して対向する鉄心同士を接続するブリッジ部を設け、初期インダクタンスに対する要求仕様を満足するように前記ブリッジ部の幅を調整する第2工程と、
    を含むことを特徴とする高周波リアクトルの設計方法。
  2. 前記第2工程は、前記ブリッジ部を通る磁路長が短くなるように磁性コアの磁路内周側に前記ブリッジ部を設ける工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の高周波リアクトルの設計方法。
  3. 磁路にエアギャップが設けられた鉄心を磁性コアとして使用する高周波リアクトルの製造方法であって、
    定格インダクタンスを満足するようにエアギャップを有する鉄心を設計する第1工程と、
    前記第1工程において設計された鉄心のエアギャップにエアギャップを介して対向する鉄心同士を接続するブリッジ部を設け、初期インダクタンスに対する要求仕様を満足するように前記ブリッジ部の幅を調整する第2工程と、
    打ち抜き加工、放電加工、又はレーザ加工によって薄鋼板から一体的に作製した前記ブリッジ部と前記鉄心とを含む形状の部材を積層、組み合わせることにより磁性コアを製造する第3工程と、
    を含むことを特徴とする高周波リアクトルの製造方法。
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