JP2020065014A - リアクトル - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気飽和し難く、製造性にも優れるリアクトルを提供する。【解決手段】巻回部を有するコイルと、前記巻回部の内側と前記巻回部の外側とに配置される磁性コアとを備え、前記磁性コアは、複数のコア片を組み合わせて構成され、前記複数のコア片のうち、少なくとも一つのコア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と非磁性部材とを備える第一のコア片であり、前記非磁性部材は、前記複合材料の成形体に一体に保持されており、前記複合材料の成形体の外周面に沿って配置される基部と、前記基部から立設される突出片とを備え、前記突出片は、前記第一のコア片の軸方向に交差するように前記複合材料の成形体における前記巻回部の内側に配置される箇所の内部に挿入されるリアクトル。【選択図】図1

Description

本開示は、リアクトルに関する。
特許文献1は、車載コンバータ等に用いられるリアクトルとして、一対の巻回部を備えるコイルと、環状に組み合わせられる複数のコア片を有する磁性コアと、樹脂モールド部とを備えるものを開示する。上記複数のコア片は、各巻回部の内側にそれぞれ配置される複数の内コア片と、巻回部の外側に配置される二つの外コア片とを備える。上記樹脂モールド部は、磁性コアの外周を覆う。上記樹脂モールド部のうち、巻回部の内側に存在する箇所の一部は、隣り合う内コア片間に介在されて樹脂ギャップ部を構成する。
特開2017−135334号公報
磁気飽和し難く、製造性にも優れるリアクトルが望まれている。
上述のようにコア片間に樹脂ギャップ部を備えれば、使用電流値が大きい場合でも磁気飽和し難い。しかし、樹脂ギャップ部を形成するためには、隣り合うコア片の間隔を所定の大きさに支持する部材(特許文献1では内側介在部51)とコア片とを組み合わせる必要がある。そのため、組立時間が長くなり、リアクトルの製造性の低下を招く。
上述の樹脂ギャップ部に代えて、アルミナ板といったギャップ板を備える場合には、コア片とギャップ板とを接着剤で接合するために、接着剤の固化時間が必要である(特許文献1の明細書[0019])。このことから、リアクトルの製造性の低下を招く。
そこで、本開示は、磁気飽和し難く、製造性にも優れるリアクトルを提供することを目的の一つとする。
本開示のリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側と前記巻回部の外側とに配置される磁性コアとを備え、
前記磁性コアは、複数のコア片を組み合わせて構成され、
前記複数のコア片のうち、少なくとも一つのコア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と非磁性部材とを備える第一のコア片であり、
前記非磁性部材は、
前記複合材料の成形体に一体に保持されており、
前記複合材料の成形体の外周面に沿って配置される基部と、
前記基部から立設される突出片とを備え、
前記突出片は、
前記第一のコア片の軸方向に交差するように前記複合材料の成形体における前記巻回部の内側に配置される箇所の内部に挿入される。
本開示のリアクトルは、磁気飽和し難く、製造性にも優れる。
実施形態1のリアクトルを示す概略平面図である。 実施形態1のリアクトルに備えられる第一のコア片を示す概略斜視図である。 実施形態1のリアクトルに備えられる第一のコア片を示す概略平面図である。 実施形態1のリアクトルに備えられる第一のコア片を示す概略正面図である。 実施形態1のリアクトルに備えられる第一のコア片を、第一のコア片の軸方向からみた概略側面図である。 実施形態2のリアクトルを示す概略平面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係るリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側と前記巻回部の外側とに配置される磁性コアとを備え、
前記磁性コアは、複数のコア片を組み合わせて構成され、
前記複数のコア片のうち、少なくとも一つのコア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と非磁性部材とを備える第一のコア片であり、
前記非磁性部材は、
前記複合材料の成形体に一体に保持されており、
前記複合材料の成形体の外周面に沿って配置される基部と、
前記基部から立設される突出片とを備え、
前記突出片は、
前記第一のコア片の軸方向に交差するように前記複合材料の成形体における前記巻回部の内側に配置される箇所の内部に挿入される。
本開示のリアクトルは、以下に説明するように磁気飽和し難く、製造性にも優れる。
(磁気特性)
本開示のリアクトルにおいて第一のコア片は、第一のコア片の軸方向(長手方向)が巻回部の軸方向、即ちコイルの磁束方向に沿うように配置される。その結果、第一のコア片における非磁性部材の突出片は、上記磁束方向に交差するように配置される。このような非磁性部材の突出片は、磁気ギャップとして利用できる。従って、本開示のリアクトルは、使用電流値が大きい場合でも磁気飽和し難い。ひいては、本開示のリアクトルは、使用電流値が大きい場合でも、所定のインダクタンスを維持できる。
第一のコア片は複合材料の成形体を主体とする。複合材料の成形体は、電磁鋼板の積層体や圧粉成形体(圧粉磁心)に比較して、代表的には非磁性材料である樹脂を多く含む(例、10体積%以上)。複合材料中の樹脂が磁気ギャップとして機能することからも、本開示のリアクトルは磁気飽和し難い。
(製造性)
本開示のリアクトルは、第一のコア片自体に磁気ギャップとして機能する非磁性部材を備える。第一のコア片を構成する複合材料の成形体と非磁性部材とが一体物であるため、上述の隣り合うコア片の間隔を保持する部材やギャップ板等を省略できる。上記間隔を保持する部材やギャップ板と、コア片とを組み合わせる必要も無い。コア片とギャップ板とを接合する接着剤の固化時間も不要である。これらのことから、組立時間を短縮できるため、リアクトルの製造性に優れる。更に、第一のコア片は複合材料の成形体を主体とする。そのため、第一のコア片の製造過程では、複合材料の成形体を射出成形等で形成すると同時に、複合材料の成形体と非磁性部材とを一体化させられる。第一のコア片を容易に成形できることからも、リアクトルの製造性に優れる。
加えて、基部と突出片とを備える非磁性部材は、例えば汎用のギャップ板のような平板材に比較して、複合材料の成形体の所定の位置に突出片が配置された第一のコア片を精度よく成形できる。成形型に対する突出片の位置決めや、成形型内での突出片の保持に基部を利用できるからである。例えば、成形型の所定の位置に基部を配置する溝等を設けておけば、突出片が複合材料の成形体の原料である流動物に押圧されても、位置ずれし難い。成形型内の所定の位置に非磁性部材を支持する部材を省略できる又は簡素な構成にし易いことから、第一のコア片の製造性に優れる。更に、基部と突出片とを備える非磁性部材は、上述の平板材に比較して、突出片が上記流動物に押圧されても変形したり、折損したりし難い。このことからも、第一のコア片を精度よく成形できる。これらのことからも、リアクトルの製造性に優れる。
その他、本開示のリアクトルは、第一のコア片が複合材料の成形体を主体とするため、低損失で小型である。詳しくは、複合材料の成形体は、上述のように電磁鋼板の積層体や圧粉成形体に比較して磁気飽和し難い。そのため、非磁性部材の突出片の厚さを薄くし易い。上記突出片の厚さがある程度薄いことで、第一のコア片における突出片の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。巻回部と第一のコア片とを近接させても、上記漏れ磁束に起因する損失(例、銅損)を低減できる。この点から、低損失である。複合材料が樹脂を含み、電気絶縁性に優れるため、渦電流損失(鉄損)といった交流損失を低減できることからも、低損失である。更に、巻回部と第一のコア片との間隔を小さくできる点で、小型である。上述のように電気絶縁性に優れることからも、巻回部と第一のコア片との間隔を小さくし易い。なお、ここでの突出片の厚さとは、第一のコア片の軸方向に沿った最大長さである。
(2)本開示のリアクトルの一例として、
前記複合材料の成形体の外周面における前記突出片の先端側にゲート痕を有する形態が挙げられる。
上記形態は、以下に説明するように第一のコア片を精度よく成形し易く、製造性により優れる。上記形態は、代表的には、第一のコア片の製造過程で、上述の流動物を非磁性部材の突出片の先端側から基部側に向って導入することで製造できる。いわば、上記流動物の導入方向を突出片の突出方向に沿った方向とすることができる。上記流動物の導入方向が上記突出方向に沿っていることで、突出片が上記流動物に押圧されて位置ずれしたり、倒れたり、変形したり、折損したりすることを防止し易い。なお、突出片の突出方向は、突出片における複合材料の成形体への挿入方向に等しい。
(3)本開示のリアクトルの一例として、
前記突出片における前記基部からの突出長さは、前記第一のコア片の軸方向に直交する方向に沿った長さの1/2超であり、
前記突出片における前記軸方向に沿った最大長さは、2mm未満である形態が挙げられる。
上記形態における非磁性部材の突出片は、磁気ギャップとして良好に機能する。従って、上記形態は、磁気飽和し難い。また、上記突出片における第一のコア片の軸方向に沿った最大長さ、即ち厚さが2mm未満であり、薄い。そのため、第一のコア片における突出片の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。このような形態は、上述のように低損失で、小型である。
(4)本開示のリアクトルの一例として、
前記複合材料の成形体を前記第一のコア片の軸方向に直交する平面で切断した断面の外形を内包する最小の長方形を仮想し、
前記突出片の突出方向は、仮想の前記長方形の長辺に沿った方向である形態が挙げられる。
上記形態は、非磁性部材の突出片の突出方向が上記仮想の長方形の短辺に沿った方向である場合に比較して、突出片の突出長さを長くし易い。突出片の突出長さが長いほど、突出片は、磁気ギャップとして良好に機能する。そのため、上記形態は、より磁気飽和し難い。
(5)本開示のリアクトルの一例として、
前記コイルは、隣り合って並ぶ二つの前記巻回部を備え、
前記磁性コアは、前記二つの巻回部の内側にそれぞれ配置される前記突出片を含む前記第一のコア片を備え、
前記各第一のコア片は、前記基部が向かい合うと共に、前記突出片が離反するように配置される形態が挙げられる。
上記形態における非磁性部材の突出片は、突出片が向かい合うと共に基部が離反するように各第一のコア片が配置される場合に比較して、磁気ギャップとして良好に機能する。そのため、上記形態は、より磁気飽和し難い。
また、各巻回部の内側に配置される箇所を有するコア片はいずれも複合材料の成形体を主体とする。そのため、射出成形等で容易に形成できる。更に、各コア片として、同一組成、同一形状、同一の大きさのものを利用できる。つまり、複数のコア片を一つの成形型、同じ原料、同じ製造条件を用いて製造できる。これらのことから、上記形態は、製造性により優れる。
更に、各巻回部の内側に配置される箇所を有するコア片が複合材料の成形体を主体とするため、上述のように各巻回部と各コア片とを近接させても低損失である。また、上記近接配置によって、小型なリアクトルにできる。
(6)本開示のリアクトルの一例として、
前記複合材料の成形体の比透磁率は、5以上50以下であり、
前記巻回部の外側に配置される第二のコア片の比透磁率は、前記複合材料の成形体の比透磁率の2倍以上である形態が挙げられる。
上記形態は、複合材料の成形体の比透磁率(5〜50)と第二のコア片の比透磁率とが同じである場合に比較して、大きなインダクタンスを有しつつ、小型にし易い。
また、複合材料の成形体の比透磁率が比較的低い。このような低透磁率の複合材料の成形体を含む形態は、磁気飽和し難い。磁気飽和し難いため、非磁性部材の突出片の厚さを薄くし易い。突出片の厚さが薄ければ、第一のコア片における突出片の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。また、上述のように巻回部と第一のコア片とを近接させても、低損失である。このような形態は、上述のように低損失で、小型である。
更に、上記形態は、第二のコア片と第一のコア片との間での漏れ磁束を低減できる。このような形態は、上記漏れ磁束に起因する損失を低減でき、低損失である。
(7)上記(6)のリアクトルの一例として、
前記第二のコア片の比透磁率は、50以上500以下である形態が挙げられる。
上記形態は、第二のコア片と第一のコア片との比透磁率の差を大きく確保し易い。そのため、上記形態は、第二のコア片と第一のコア片との間での漏れ磁束をより低減し易く、より低損失である。
(8)上記のリアクトルの一例として、
前記磁性コアの少なくとも一部を覆う樹脂モールド部を備える形態が挙げられる。
上記形態は、複数のコア片を備えるものの、樹脂モールド部によって複数のコア片を保持できる。樹脂モールド部によって、磁性コアの一体物としての強度を高められるため、上記形態は、強度にも優れる。また、上記形態は、樹脂モールド部によって、コイルと磁性コアとの間の電気絶縁性の向上、外部環境からの保護、機械的保護等を図れる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
[実施形態1]
図1,図2を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
図1は、実施形態1のリアクトル1をコイル2の巻回部2a,2bの軸方向(図1では紙面左右方向)と、二つの巻回部2a,2bが並ぶ方向(図1では紙面上下方向)との双方に直交する方向(図1では紙面垂直方向)からみた平面図である。
〈概要〉
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、巻回部を有するコイル2と、巻回部の内側と巻回部の外側とに配置される磁性コア3とを備える。本例のコイル2は隣り合って並ぶ二つの巻回部2a,2bを有する。各巻回部2a,2bは、各軸が平行するように配置される。磁性コア3は、複数のコア片を組み合わせて構成される。本例の磁性コア3は、二つの巻回部2a,2bの内側にそれぞれ配置される箇所を含む第一のコア片31と、巻回部2a,2bの外側に配置される第二のコア片32とを備える。磁性コア3は、これらコア片31,32が環状に組み付けられて構成される。二つのコア片31は、各軸方向が巻回部2a,2bの軸方向に沿うように配置される。二つのコア片32が両コア片31を挟むように配置される。このようなリアクトル1は、代表的には、コンバータケース等の設置対象(図示せず)に取り付けられて使用される。
特に、実施形態1のリアクトル1では、磁性コア3を構成するコア片として、複合材料の成形体30と非磁性部材7とを備える第一のコア片31を含む。詳しくは、複数のコア片のうち、少なくとも一つのコア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体30と非磁性部材7とを備える第一のコア片31である。非磁性部材7は、複合材料の成形体30に一体に保持される。また、非磁性部材7は、複合材料の成形体30の外周面に沿って配置される基部70と、基部70から立設される突出片71とを備える。突出片71は、第一のコア片31の軸方向に交差するように複合材料の成形体30における巻回部2a,2bの内側に配置される箇所の内部に挿入される。
第一のコア片31は、第一のコア片31の軸方向(長手方向)が巻回部2a,2bの軸方向、即ちコイル2の磁束方向に沿うように配置される。その結果、非磁性部材7の突出片71は、コイル2の磁束方向に交差するように配置される。本例の突出片71は、コイル2の磁束方向に直交するように配置される。このような突出片71は、磁気ギャップとして機能し、リアクトル1を磁気飽和し難くすることに寄与する。また、非磁性部材7は、複合材料の成形体30に一体化されて第一のコア片31を構成しており、リアクトル1の組立部品点数の削減に寄与する。
以下、構成要素ごとに詳細に説明する。
〈コイル〉
本例のコイル2は、巻線(図示せず)が螺旋状に巻回されてなる筒状の巻回部2a,2bを備える。隣り合って並ぶ二つの巻回部2a,2bを備えるコイル2として、以下の形態が挙げられる。
(i)独立した2本の巻線によってそれぞれ形成される巻回部2a,2bと、以下の接続部(図示せず)とを備える。接続部は、巻回部2a,2bから引き出される巻線の両端部のうち、一方の端部同士が接続されて構成される。
(ii)1本の連続する巻線から形成される巻回部2a,2bと、巻回部2a,2bを連結する連結部(図示せず)とを備える。連結部は、巻回部2a,2b間に渡される巻線の一部から構成される。
いずれの形態も、各巻回部2a,2bから引き出される巻線の端部((i)では接続部に用いられていない他方の端部)は、電源等の外部装置が接続される箇所として利用される。(i)の接続部は、巻線の端部同士が直接接続される形態と、間接接続される形態とが挙げられる。直接接続には、溶接や圧着等が利用できる。間接接続には、巻線の端部に取り付けられる適宜な金具等を利用できる。
巻線は、導体線と、導体線の外周を覆う絶縁被覆とを備える被覆線が挙げられる。導体線の構成材料は、銅等が挙げられる。絶縁被覆の構成材料は、ポリアミドイミド等の樹脂が挙げられる。被覆線の具体例として、断面形状が長方形である被覆平角線、断面形状が円形である被覆丸線が挙げられる。平角線からなる巻回部2a,2bの具体例として、エッジワイズコイルが挙げられる。
本例の巻回部2a,2bは、四角筒状のエッジワイズコイルである。また、本例では、巻回部2a,2bの形状・巻回方向・ターン数等の仕様が等しい。巻線や巻回部2a,2bの形状、大きさ等は適宜変更できる。例えば、巻回部2a,2bを円筒状等としてもよい。又は、例えば、各巻回部2a,2bの仕様を異ならせてもよい。
〈磁性コア〉
《概要》
本例の磁性コア3は、上述のように二つのコア片31と、二つのコア片32との合計四つのコア片を環状に組み合わせて閉磁路を構成する。本例では、各第一のコア片31は複合材料の成形体30を主体とし、複合材料の成形体30において巻回部2a,2bの内側に配置される箇所に非磁性部材7を含む。また、本例では、各第二のコア片32は、巻回部2a,2bの外側に配置され、非磁性部材7を備えていない。主として巻回部2a,2bの内側に配置されるコア片31と、巻回部2a,2bの外側に配置されるコア片32とを独立したコア片とすることで、コア片の構成材料、特に第一のコア片31では複合材料の成形体30の構成材料の自由度を高められる。本例では、コイル2内のコア片31の構成材料とコイル2外のコア片32の構成材料とが異なる。両コア片31の構成材料は等しい。また、一つの巻回部2a(又は2b)の内側に配置されるコア片の個数が一つである。そのため、磁性コア3、ひいてはリアクトル1の組付部品点数が少ない。コア片の構成材料、個数は適宜変更できる。
《コア片の形状、大きさ》
本例では、二つのコア片31は、同一形状、同一の大きさである。各コア片31は細長い直方体状であり、上述のように長手方向が巻回部2a,2bの軸方向に沿うように配置される。各コア片31の外周形状は、巻回部2a,2bの内周形状に概ね相似である。各コア片31の端面311,312の形状は、長方形状である(短辺長さ<長辺長さ、図2D)。各コア片31の形状、大きさは、主体である複合材料の成形体30の形状、大きさに依存し、概ね同様である。本例の複合材料の成形体30は、上述のように細長い直方体状であり、外周面は、二つの端面311,312と、四つの周面313〜316とを含む(図2A)。以下、第一のコア片31又は複合材料の成形体30において、軸方向(長手方向)に直交する方向のうち、対向する周面313,315を貫通する方向を高さ方向と呼ぶ。また、上記軸方向に直交する方向のうち、対向する周面314,316を貫通する方向を幅方向と呼ぶ。
本例では、二つのコア片32は、同一形状、同一の大きさである。各コア片32は、直方体状である。各コア片32において二つのコア片31が接続される面は、二つの端面311(又は312)の合計面積よりも大きな面積を有する。
コア片31,32の大きさは、リアクトル1が所定の磁気特性を満たすように、構成材料や非磁性部材7の突出片71の大きさ等に応じて調整される。
なお、コア片31,32の形状、大きさ等は適宜変更できる。例えば、第一のコア片31を円柱状、多角柱状等としてもよい。又は、例えば、第二のコア片32を、ドーム状の面(特許文献1)又は台形状の面を有する柱状体としてもよい。その他、例えば、コア片の角部の少なくとも一部をC面取り又はR面取り(第二のコア片32参照)してもよい。面取りされた角部は欠け難く、機械的強度に優れるコア片にできる。
《非磁性部材》
≪概要≫
以下、主に図2を参照して、非磁性部材7を説明する。
第一のコア片31は、少なくとも一つの非磁性部材7を備える。非磁性部材7は、非磁性材料からなる成形体であり、基部70と、突出片71とを備える。本例の非磁性部材7は、基部70と突出片71とが一体に成形された一体物である。
基部70は、代表的には図2Aに示すように平板材から構成されて、複合材料の成形体30の外周面に沿って配置される。即ち、基部70は、複合材料の成形体30の外周面に実質的に平行するように配置される。基部70の表面の少なくとも一部、代表的には一面全体が複合材料の成形体30の外周面から露出される。上記の露出される面(以下、この面を外側面7oと呼ぶ)に対向する面は、複合材料の成形体30に接する又は埋設される(以下、この面を内側面7iと呼ぶ、図2B)。基部70は、複合材料の成形体30の所定の位置に突出片71を支持する部材として機能する。本例の基部70は、平面形状が長方形であり、一様な厚さを有する平板材から構成される。
突出片71は、代表的には図2Aに示すように平板材から構成されて、複合材料の成形体30内に挿入される。本例では、突出片71の側面を除いて、突出片71の全体が複合材料の成形体30に埋設される(図2Dも参照)。突出片71の側面は、複合材料の成形体30の外周面に露出される。その他、突出片71の側面を含む周縁近くの領域を複合材料の成形体30の外周面から露出させてもよいし、突出片71の全体を複合材料の成形体30に埋設させてもよい。本例の突出片71は、平面形状が長方形であり、一様な厚さを有する平板材から構成される。
また、突出片71は、基部70の内側面7iに対して所定の角度を有して、内側面7iから突出する。本例では、突出片71は内側面7iに直交するように設けられる(図2B)。突出片71における内側面7iに対する角度(以下、傾斜角度θと呼ぶ、図2B)は90°である。従って、本例の非磁性部材7は、T字状の部材である(図2A,図2B)。
本例では、直方体状である複合材料の成形体30の外周面の一面(ここでは周面313)に沿って、長方形の平板材からなる基部70が配置される。基部70を構成する平板材の幅は、複合材料の成形体30の幅に実質的に等しい。基部70の幅とは、複合材料の成形体30の幅方向に沿った長さとする。突出片71は、基部70の内側面7iにおける長さ方向(ここでは第一のコア片31の軸方向に沿った方向に平行な方向、図2Bでは紙面左右方向)の中央部から直交するように突出する。このようなT字状の非磁性部材7は、単純な形状であるため容易に成形でき、製造性に優れる。
≪形状≫
非磁性部材7の形状は適宜変更できる。非磁性部材7の形状は、例えば、基部70や突出片71を構成する部材の形状、一つの基部70における突出片71の個数、突出片71の傾斜角度θ等を調整することで、容易に変更できる。
例えば、基部70の平面形状を円形状、楕円状、多角形状等としてもよい。また、基部70は、複合材料の成形体30の外周形状に応じて曲面形状としてもよい。本例の基部70は複合材料の成形体30の周面313に対応して平坦な板材で構成されるが、例えば複合材料の成形体30が円柱状であれば、円弧状の板材で基部70を構成するとよい。又は、例えば複合材料の成形体30が多角柱状であれば、多角柱の外周面のうち、複数の周面に亘って配置される屈曲形状の部材で基部70を構成してもよい。上記屈曲形状の部材として、例えば、複数の平板材が上記多角柱の外周面のうち、隣り合う周面の内角に対応した角度で接続されたもの等が挙げられる。
例えば、突出片71の平面形状をU字状(長方形に半円を付加したような形状)等としてもよい。又は、例えば、突出片71の周縁を直線状の縁に代えて、波状やギザギザ状といった曲線状の縁としてもよい。又は、例えば、波付き板といった曲線形状の板材で突出片71を構成してもよい。又は、例えば、一様な厚さの平板材に代えて、厚さが異なる部材で突出片71を構成してもよい。上記厚さが異なる部材として、例えば、突出片71において基部70との接続側(根元側)から先端側に向って連続的又は段階的に厚さが異なる部材、溝又は貫通孔を有する部材等が挙げられる。上述の曲線状の縁を有する板材や曲線形状の板材、厚さが異なる部材といった異形状の部材で突出片71を構成すると、突出片71における複合材料の成形体30との接触面積を増大できる。そのため、非磁性部材7が複合材料の成形体30に強固に保持される。なお、突出片71が異形状の部材で構成される場合、傾斜角度θは例えば以下のように求める。異形状の部材を内包する最小の直方体をとる。上記直方体のうち、突出片71の突出方向に沿った一面をとる。基部70の内側面7iに対する上記直方体の一面との角度を傾斜角度θとする。
その他、基部70の内側面7i及び突出片71の少なくとも一方において、複合材料の成形体30に埋設される領域の表面が荒れていてもよい。例えば、表面粗さRaが25μm以上であれば、表面粗さRaが6.3μm未満の平滑な場合に比較して、内側面7iや突出片71における複合材料の成形体30との接触面積を増大できる。そのため、非磁性部材7が複合材料の成形体30に強固に保持される。表面粗さRaは市販の表面粗さ測定機で測定するとよい。
一つの基部70に対する突出片71の個数は適宜変更できる。例えば、一つの基部70に対して複数の突出片71を備えてもよい。一つの基部70に対して複数の突出片71を備えると、非磁性部材7における複合材料の成形体30との接触面積を増大できる。そのため、非磁性部材7が複合材料の成形体30に強固に保持される。例えば、基部70の長さ方向に離間して複数の突出片71を備えてもよい。この場合、基部70の長さをより長くしてもよい。又は、基部70の幅方向に離間して複数の細幅の突出片71を備えてもよい。この場合の各突出片71の幅は、基部70の幅及び突出片71の個数に応じて選択するとよい。一方、本例のように一つの基部70に一つの突出片71を備えると、非磁性部材7が単純な形状になり易い上に小型になり易い。そのため、非磁性部材7の製造性に優れる上に取り扱い易い。
突出片71の突出方向が第一のコア片31の軸方向に交差する方向、ひいてはコイル2の磁束方向に交差する方向となるように、基部70に対する突出片71の傾斜状態を調整する。代表的には、本例のように基部70の内側面7iは第一のコア片31の軸方向に沿って配置されて、突出片71の傾斜角度θは第一のコア片31の軸方向に対する交差角度に実質的に相当する。この場合、突出片71の突出方向は、基部70の内側面7iに対して傾斜角度θ傾いた方向である。
突出片71の突出方向は、第一のコア片31の軸方向に交差する方向、即ちコイル2の磁束方向に交差する方向であればよい。定量的には、傾斜角度θ(交差角度)は0°超180°未満から適宜選択すればよい。特に、突出片71の突出方向は、コイル2の磁束方向に直交する方向に近いほど、つまり傾斜角度θは90°に近いほど、磁気ギャップとして良好に機能して、磁気飽和し難い。本例では、上述のように傾斜角度θが90°であり、本例の突出片71の突出方向は、上記磁束方向に直交する方向である(図1,図2B)。突出片71を基部70の内側面7iに対して非直交に交差させて、突出片71の突出方向を第一のコア片31の軸方向に非直交に交差する方向としてもよい(後述の変形例A参照、傾斜角度θ≠90°)。
突出片71の突出方向は、複合材料の成形体30を第一のコア片31の軸方向に直交する平面で切断した断面の外形を内包する最小の長方形を仮想し、この仮想の長方形の長辺に沿った方向である形態が挙げられる。本例の複合材料の成形体30は直方体状である。そのため、第一のコア片31の軸方向に直交する平面で切断した複合材料の成形体30の断面形状は長方形である。この場合、上記仮想の長方形には、複合材料の成形体30の外形をそのまま利用できる。複合材料の成形体30が例えば楕円柱や、端面形状がレーストラック状である柱状体等であれば、上述の断面をとる。そして、断面の外形(例、楕円、レーストラック等)に対して、この断面の外形を内包する最小の長方形を仮想的にとればよい。
突出片71の突出方向が上述の仮想の長方形の長辺方向に沿っている場合は、上記仮想の長方形の短辺方向に沿っている場合に比較して、突出片71の突出長さを長くし易い。いわば、複合材料の成形体30における突出片71の挿入深さを深くし易い。突出片71が複合材料の成形体30に深く挿入されるほど、複合材料の成形体30は、突出片71によって磁気的に分断された状態になり易い。このような突出片71は、磁気ギャップとして機能し易く、磁気飽和し難いリアクトル1にできる。
ここでの突出片71における基部70からの突出長さL(図2B,図2D)とは、突出片71の突出方向に沿った最大長さである。本例では、突出長さLは、第一のコア片31の軸方向に直交する方向に沿った最大長さである。なお、後述する突出片71の厚さt(図2B,図2C)とは、突出片71における第一のコア片31の軸方向に沿った最大長さである。後述する突出片71の幅w(図2D)とは、第一のコア片31の軸方向及び突出方向の双方に直交する方向に沿った最大長さである。
≪大きさ≫
非磁性部材7の大きさ、特に突出片71の厚さt、突出長さL、幅w等は、リアクトル1が所定の磁気特性を満たす範囲で適宜選択できる。
厚さt、突出長さL、幅wが大きいほど、突出片71の体積を大きく確保し易い。そのため、磁気飽和し難いリアクトル1にできる。
一方、厚さtが小さいほど、第一のコア片31における突出片71の配置箇所からの漏れ磁束を低減し易い。本例のように突出片71の側面が複合材料の成形体30の外周面に露出される場合には突出長さLも小さいほど、上記漏れ磁束を低減し易い。この点から、巻回部2a,2bと第一のコア片31とを近接させても、上記漏れ磁束に起因する損失(例、銅損)を低減できる。また、上述の近接配置により、小型にし易い。従って、低損失で小型なリアクトル1にできる。更に、幅w,突出長さLが小さいほど、第一のコア片31の製造過程で、複合材料の成形体30の原料である流動物に押圧されても、突出片71が位置ずれしたり、変形したり、折損したりし難い。従って、第一のコア片31を精度よく成形でき、リアクトル1の製造性に優れる。
磁性コア3の大きさ等にもよるが、厚さtが例えば2mm未満であると、磁気飽和を低減しつつ、第一のコア片31における突出片71の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。ひいては、上述のように低損失で小型なリアクトル1にできる。損失の低減を望む場合等では、厚さtを1.5mm以下、更に1.0mm以下、0.8mm以下としてもよい。厚さtが例えば0.5mm以上であると、磁気飽和し難い。
幅wは、図2Dに例示するように複合材料の成形体30の幅に等しいと、磁気飽和し難い。また、突出片71の側面が複合材料の成形体30の外周面(本例では周面314,316)に実質的に面一になる。そのため、製造過程で、第一のコア片31を成形型から抜き取り易く、第一のコア片31の製造性に優れる。幅wを複合材料の成形体30の幅よりも大きくしてもよい(例えば、複合材料の成形体30の幅の1.0倍超1.2倍以下程度)。この場合、突出片71の周縁近くの領域は、複合材料の成形体30の外周面(本例では周面314,316の少なくとも一方)から突出する。上記周縁近くの領域の突出量によっては、この領域を巻回部2a,2bと複合材料の成形体30との間隔保持に利用できる。又は、幅wを複合材料の成形体30の幅よりも小さくしてもよい。この場合、突出片71の全体が複合材料の成形体30に埋設される。この場合も第一のコア片31を成形型から抜き取り易く、第一のコア片31の製造性に優れる。
突出長さLは、第一のコア片31の軸方向に直交する方向に沿った長さの1/2超であることが挙げられる。本例では、第一のコア片31の軸方向に直交する方向に沿った長さとは上述の高さ方向に沿った長さに相当し、高さhと呼ぶ。高さhは、対向配置される周面313,315間の距離に相当する。また、高さhは、長方形状の端面311,312の長辺方向に沿った長さに相当する(図2D)。本例の突出長さLは、第一のコア片31の高さhの1/2超である。
突出長さLが第一のコア片31の高さhの1/2(50%)超であれば、突出片71が磁気ギャップとして良好に機能する。そのため、磁気飽和し難いリアクトル1にできる。突出長さLが長いほど、磁気ギャップを大きく確保できて、磁気飽和し難い。磁気飽和の低減を望む場合等では、突出長さLをコア片31の高さhの55%以上、更に60%以上としてもよい。
突出長さLが第一のコア片31の高さhの1(100%)未満であれば、複合材料の成形体30と非磁性部材7とが一体化された状態を維持できる。複合材料の成形体30が突出片71の先端を覆う箇所を含み、突出片71によって二つに分断されることを防止できるからである。突出長さLが小さいほど、複合材料の成形体30における突出片71の先端を覆う箇所を多く確保でき、強度に優れるコア片31とし易い。また、上述のように突出片71の側面が複合材料の成形体30の外周面から露出される場合には、突出長さLが小さいほど、上述のように漏れ磁束を低減して低損失で小型なリアクトル1にできる。強度の向上、損失の低減、小型化を望む場合等では、突出長さLをコア片31の高さhの98%以下、更に95%以下、90%以下としてもよい。
基部70の大きさ、例えば厚さ、長さ、幅は、特に複合材料の成形体30の製造過程で突出片71を適切に支持可能な範囲で適宜選択できる。
本例では、基部70の厚さは、突出片71の厚さtと同等程度であるが、厚さtよりも薄くてもよいし、厚くてもよい。基部70の厚さが薄いほど、軽量な非磁性部材7にできる。基部70の厚さが厚いほど、第一のコア片31の製造過程で、上述の成形型の溝に対する基部70の挿入深さを大きく確保し易い。上記挿入深さが深いほど、成形型内で突出片71を安定して支持し易い。ひいては、第一のコア片31の成形性、製造性を高められる。また、基部70が肉厚であれば、基部70における複合材料の成形体30から露出される箇所の厚さを大きくし易い。この露出箇所の厚さによっては、上記露出箇所を巻回部2a,2bと複合材料の成形体30との間隔保持に利用できる。なお、基部70において、上述の第一のコア片31の製造過程で成形型の溝に挿入された箇所は、複合材料の成形体30から露出される。本例では、外側面7oを含めて、基部70における基部70の厚さ方向の外側の領域は、上記の露出箇所に相当する。内側面7iを含めて、基部70において基部70の厚さ方向の内側の領域は、複合材料の成形体30に埋設される。なお、基部70の外側面7o又は内側面7iを複合材料の成形体30の外周面に面一にしてもよい。
本例では、基部70の長さ(ここでは第一のコア片31の軸方向に沿った最大長さ)が突出片71の厚さtよりも十分に大きい。定量的には、基部70の長さは、厚さtの5倍以上であり、長い。基部70の長さが長いことで、第一のコア片31の製造過程で、上述の成形型の溝に対する基部70の挿入面積を大きく確保し易い。上記挿入面積が大きいほど、成形型内で突出片71を安定して支持し易い。ひいては、第一のコア片31の成形性、製造性を高められる。基部70の長さは、基部70の端部が巻回部2a(又は2b)から露出される長さとしてもよい。基部70の長さが短いほど、軽量な非磁性部材7にできる。基部70の長さは、厚さtの2倍以上20倍以下程度としてもよい。
本例では、基部70の幅(ここでは第一のコア片31の幅方向に沿った最大長さ)が突出片71の幅wと同等程度であるが、幅wよりも細くてもよいし、広くてもよい。基部70の幅が狭いほど、軽量な非磁性部材7にできる。基部70の幅が広いほど、上述の基部70の挿入面積を大きく確保し易い。ひいては、上述のように第一のコア片31の成形性、製造性を高められる。
≪個数≫
図1に示す第一のコア片31は、一つの突出片71を有する一つの非磁性部材7を備える。第一のコア片31は、複数の非磁性部材7を備えてもよい(図示せず)。リアクトル1が複数の非磁性部材7を備える場合、各非磁性部材7の突出片71は、第一のコア片31の軸方向の異なる位置に設けられて、複合材料の成形体30に対して同じ向き、又は異なる向きに挿入される。複数の突出片71の挿入方向(突出方向)が同じ形態の一例を以下の(1)に示す。複数の突出片71の挿入方向(突出方向)が異なる形態の一例を以下の(2)に示す。以下の例示の各非磁性部材7は、本例のようなT字状の部材とする。
(1)各非磁性部材7の基部70が配置される複合材料の成形体30の外周面は、周面313〜316から選択される一つである。例えば、全ての非磁性部材7の基部70が周面313に配置される。各非磁性部材7の突出片71は、周面313から周面315に突出する。各突出片71の先端は、周面315側に位置する。
(2)各非磁性部材7の基部70が配置される複合材料の成形体30の外周面は、周面313〜316から選択される二つ以上である。各非磁性部材7の突出片71は、基部70が配置された周面から、その周面に対向する周面に向かって突出する。各突出片71の先端は、対向する周面側に位置する。各突出片71は、複合材料の成形体30の軸方向の異なる位置で、各突出片71の先端部が向かい合うように配置される、又は突出片71が交差するように配置される。この形態の製造過程では、必要に応じて、成形型の所定の位置に非磁性部材7を支持する部材を用いてもよい。
一つの第一のコア片31が複数の非磁性部材7を備える場合、各非磁性部材7の形状、大きさは等しくすることもできるし、異ならせることもできる。非磁性部材7の形状、大きさが等しい場合、第一のコア片31は単純な形状といえ、成形し易い。また、例えば、複数の非磁性部材7を備える場合、非磁性部材7を一つのみ備える場合に比較して、各突出片71の厚さtを薄くし易い。非磁性部材7を一つのみ備える場合の突出片71の厚さを複数の突出片71で分割できるからである。そのため、複数の非磁性部材7を有すると、各非磁性部材7の配置箇所からの漏れ磁束、及びこの漏れ磁束に起因する損失を低減し易い。
≪形成位置≫
非磁性部材7は、複合材料の成形体30の軸方向の任意の位置に設けられる。本例では、第一のコア片31における非磁性部材7の形成位置は、第一のコア片31の軸方向の中心である。このような第一のコア片31は、第一のコア片31の軸方向に二等分する線分を軸として、対称形状である。
一つの第一のコア片31が複数の非磁性部材7を備える等して、複数の突出片71を備える場合、第一のコア片31の軸方向に隣り合う突出片71の間隔をある程度広く設けると、第一のコア片31の強度を高め易い。複数の突出片71によって、複合材料の成形体30が分断されることに起因する強度の低下を低減し易く、第一のコア片31の一体物としての強度を高め易いからである。隣り合う突出片71の間隔は、非磁性部材7の個数や基部70の大きさ等にもよるが、例えば、第一のコア片31の長さの10%以上、第一のコア片31の長さの50%未満が挙げられる。上記間隔は、例えば、第一のコア片31の長さ/(上記軸方向に並ぶ突出片71の個数+1)としてもよい。
≪ゲート痕≫
その他、第一のコア片31は、代表的には、複合材料の成形体30の外周面にゲート痕75(図2B〜図2D)を有する。ゲート痕75は、第一のコア片31の製造過程で、複合材料の成形体30を射出成形等で成形する場合、成形型のキャビティ内に原料の流動物を導入するゲート(図示せず)に充填された流動物の残存物である。ゲート痕75は、上記キャビティ内におけるゲートの設置位置に対応して、複合材料の成形体30に設けられる。そのため、複合材料の成形体30におけるゲート痕75の位置は、キャビティ内におけるゲートの配置位置を調整することで変更できる。なお、図2B,図2Dでは、分かり易いようにゲート痕75を誇張して示す。図2Cでは、ゲート痕75を太線の円形で示す。ゲート痕75の形状、大きさは、用いるゲート(例、ピンゲート、ファンゲート等)によって異なる。図2B〜図2Dのゲート痕75の形状、大きさは例示である。
ゲート痕75の配置位置の一例として、本例に示すように複合材料の成形体30の外周面における突出片71の先端側にゲート痕75を有する形態が挙げられる。詳しくは、突出片71をその突出方向に沿って延長させた仮想の延長部をとり、複合材料の成形体30の外周面における上記仮想の延長部との交点位置にゲート痕75を有する。このような第一のコア片31は、代表的には、製造過程で、複合材料の成形体30の原料である流動物を突出片71の先端側から基部70側(根元側)に向って導入することで製造できる。上記流動物の導入方向を突出片71の突出方向に沿った方向とすることで、突出片71が上記流動物に押圧されて位置ずれしたり、倒れたり、変形したり、折損したりすることを防止し易い。そのため、複合材料の成形体30の所定の位置に突出片71が挿入された第一のコア片31を精度よく成形し易い。ひいては、リアクトル1の製造性に優れる。
ゲート痕75の配置位置は適宜変更できる。非磁性部材7の突出片71の大きさや傾斜角度θ等によっては、ゲート痕75の配置位置を複合材料の成形体30の外周面における上述の交点位置からずれた位置にしてもよい。
≪巻回部に対する第一コア片の配置状態≫
本例のリアクトル1のようにコイル2が二つの巻回部2a,2bを備え、巻回部2a,2bの内側にそれぞれ配置される非磁性部材7の突出片71を含む第一のコア片31を備える場合、各第一のコア片31における基部70の向き、突出片71の向きは適宜選択できる。図1に示すように、各第一のコア片31は、基部70が向かい合うと共に、突出片71が離反するように配置される形態(以下、内寄り形態と呼ぶ)としてもよい。又は、各第一のコア片31は、突出片71が向かい合うと共に、基部70が離反するように配置される形態としてもよい(以下、外寄り形態と呼ぶ)。外寄り形態は、実施形態2として後述する。又は、主として一方の巻回部2a内に配置される第一のコア片31の突出片71と、主として他方の巻回部2b内に配置される第一のコア片31の突出片71とが交差するように、例えば直交するように配置される形態(以下、交差形態と呼ぶ)としてもよい。交差形態の一例として、以下が挙げられる。一方の第一のコア片31では、基部70が周面313に配置され、突出片71が周面313から対向する周面315に向かって配置される。他方の第一のコア片31では、基部70が周面314に配置され、突出片71が周面314から対向する周面316に向かって配置される。即ち、各コア片31における基部70の配置位置が90°ずれた位置となるように非磁性部材7が配置される。
ここで、図1に示すような環状の磁性コア3では、環の内周側の領域が環の外周側の領域に比較して磁束が密に通過し易い。基部70が向かい合い、突出片71が離反する内寄り形態は、磁束が密に通過し易い内周側の領域に突出片71が確実に存在する。そのため、内寄り形態は、外寄り形態や交差形態に比較して、磁気ギャップとして良好に機能し、磁気飽和し難い。
なお、二つの巻回部2a,2bのうち、少なくとも一方の内側に主として配置される第一のコア片31が複数の非磁性部材7を有する場合、上述の内寄り形態をなす非磁性部材7、外寄り形態をなす非磁性部材7、及び交差形態をなす非磁性部材7の少なくとも一つを含む。
≪構成材料≫
非磁性部材7を構成する非磁性材料は、非金属であることが好ましい。渦電流損等の損失を低減でき、低損失なリアクトル1にできるからである。非磁性の非金属材料の一例として、各種の樹脂、セラミックス等が挙げられる。非磁性部材7の構成材料が樹脂である場合、製造過程で、複合材料の成形体30の原料(流動物)に接しても変形したり、溶解したりしない程度の耐熱性を有する樹脂が好ましい。例えば、熱変形温度が200℃以上、好ましくは250℃以上の樹脂が挙げられる。
具体的な樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂の一例として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂の一例として、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。非磁性部材7の構成材料が樹脂であれば、セラミックスである場合と比較して、非磁性部材7を容易に成形し易く、非磁性部材7の製造性に優れる。
セラミックスの一例として、アルミナ等が挙げられる。非磁性部材7の構成材料がセラミックスであれば、剛性、強度に優れる。そのため、第一のコア片31の製造過程で、突出片71が上述の流動物に押圧されて位置ずれしたり、倒れたり、変形したり、折損したりすることを防止し易い。
《構成材料》
磁性コア3を構成する複数のコア片は、軟磁性材料を主体とする成形体等が挙げられる。軟磁性材料は、鉄や鉄合金(例、Fe−Si合金、Fe−Ni合金等)といった金属、フェライト等の非金属等が挙げられる。上記成形体は、複合材料の成形体、圧粉成形体、軟磁性材料からなる板材の積層体、焼結体等が挙げられる。複合材料の成形体は、磁性粉末と樹脂とを含む(詳細は後述する)。圧粉成形体の詳細は後述する。板材の積層体は、代表的には電磁鋼板等の板材が積層されたものが挙げられる。焼結体は、代表的には、フェライトコア等が挙げられる。全てのコア片の構成材料が等しい形態、全て異なる形態、構成材料が同じであるコア片を一部に含む形態(本例)のいずれも利用できる。但し、磁性コア3を構成する複数のコア片のうち、非磁性部材7を備える第一のコア片31は、複合材料の成形体からなるものとする。
≪複合材料の成形体≫
複合材料の成形体において、複合材料中の磁性粉末の含有量は、例えば、30体積%以上80体積%以下が挙げられる。複合材料中の樹脂の含有量は、例えば10体積%以上70体積%以下が挙げられる。磁性粉末の含有量が多く、樹脂の含有量が少ないほど、飽和磁束密度や比透磁率を高めたり、放熱性を高めたりし易い。飽和磁束密度や比透磁率の向上、放熱性の向上を望む場合等では、磁性粉末の含有量を50体積%以上、更に55体積%以上、60体積%以上としてもよい。磁性粉末の含有量が少なく、樹脂の含有量が多いほど、電気絶縁性を高められて渦電流損失を低減し易い。製造過程では、複合材料の流動性に優れる。損失の低減、流動性の向上を望む場合等では、磁性粉末の含有量を75体積%以下、更に70体積%以下としてもよい。又は樹脂の含有量を30体積%超としてもよい。
複合材料の成形体は、上述のように磁性粉末の含有量や樹脂の含有量の多寡だけでなく、磁性粉末の組成によっても、飽和磁束密度や比透磁率を容易に異ならせられる。リアクトル1が所定の磁気特性(例、インダクタンス)を有するように、上記磁性粉末の組成や磁性粉末の含有量、樹脂の含有量等を調整するとよい。
複合材料の成形体において複合材料中の樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、低温硬化性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂の一例として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂の一例として、PPS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6やナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等が挙げられる。その他、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴム等も利用できる。
複合材料の成形体は、磁性粉末及び樹脂に加えて、非磁性材料からなる粉末を含有してもよい。非磁性材料として、アルミナやシリカ等のセラミックス、各種の金属等が挙げられる。非磁性材料からなる粉末を含有することで、放熱性を高められる。また、セラミックスといった非金属かつ非磁性材料からなる粉末であれば、電気絶縁性にも優れて好ましい。非磁性材料からなる粉末の含有量は、例えば、0.2質量%以上20質量%以下が挙げられる。上記含有量は、更に0.3質量%以上15質量%以下、0.5質量%以上10質量%以下としてもよい。
複合材料の成形体は、射出成形や注型成形等の適宜な成形方法によって製造できる。代表的には、磁性粉末と樹脂とを含む原料を用意し、流動状態の原料(流動物)を成形型に充填した後、固化することが挙げられる。磁性粉末には、上述の軟磁性材料からなる粉末や、粉末粒子の表面に絶縁材料等からなる被覆層を備える粉末等が利用できる。
特に、非磁性部材7を備える第一のコア片31は、上述のように成形型として、キャビティ内に複合材料の成形体30を支持する溝が設けられたものを利用することが挙げられる。必要に応じて、非磁性部材7を支持する部材を別途成形型に取り付けてもよい。
≪圧粉成形体≫
圧粉成形体は、代表的には、磁性粉末(上述参照)とバインダーとを含む混合粉末を所定の形状に圧縮成形した後、熱処理を施したものが挙げられる。バインダーは樹脂等を利用できる。バインダーの含有量は30体積%以下程度が挙げられる。熱処理を施すと、バインダーが消失したり、熱変性物になったりする。そのため、圧粉成形体は、複合材料の成形体よりも磁性粉末の含有割合を高め易い(例えば80体積%超、更に85体積%以上)。磁性粉末の含有割合が多いことで、圧粉成形体は、樹脂を含有する複合材料の成形体よりも飽和磁束密度や比透磁率が高い傾向にある。
《磁気特性》
第一のコア片31において複合材料の成形体30の比透磁率は、例えば5以上50以下であることが挙げられる。複合材料の成形体30の比透磁率は、10以上45以下、更に40以下、35以下、30以下とより低くしてもよい。このような低透磁率の複合材料の成形体30を含む磁性コア3を備えるリアクトル1は、磁気飽和し難い。そのため、非磁性部材7の突出片71の厚さtを薄くし易い。突出片71の厚さtが薄ければ、突出片71の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。ひいては、上述のように低損失で小型なリアクトル1にできる。
巻回部2a,2bの外側に配置される第二のコア片32の比透磁率は、上述の複合材料の成形体30の比透磁率よりも大きいことが好ましい。第一のコア片31と第二のコア片32間での漏れ磁束を低減できるからである。ひいては、上記漏れ磁束に起因する損失を低減でき、低損失なリアクトル1にできる。また、第二のコア片32の比透磁率が複合材料の成形体30の比透磁率(例、5〜50)と等しい場合に比較して、大きなインダクタンスを有しつつ、小型なリアクトル1にできるからである。
特に、第二のコア片32の比透磁率が複合材料の成形体30の比透磁率の2倍以上であると、第一のコア片31と第二のコア片32間での漏れ磁束をより確実に低減できる。複合材料の成形体30の比透磁率と第二のコア片32の比透磁率との差が大きいほど、上記漏れ磁束を低減し易い。損失の低減を望む場合等では、第二のコア片32の比透磁率を複合材料の成形体30の比透磁率の2.5倍以上、更に3倍以上、5倍以上、10倍以上としてもよい。
第二のコア片32の比透磁率は、例えば50以上500以下であることが挙げられる。第二のコア片32の比透磁率は、80以上、更に100以上(複合材料の成形体30の比透磁率が50である場合の2倍以上)、150以上、180以上とより高くしてもよい。このような高透磁率のコア片32は、複合材料の成形体30の比透磁率との差をより大きくし易い。例えば、第二のコア片32の比透磁率を複合材料の成形体30の比透磁率の2倍以上にできる。上記比透磁率の差が大きいことで、上述のように第一のコア片31と第二のコア片32間での漏れ磁束をより低減し易く、より低損失なリアクトル1にできる。また、第二のコア片32の比透磁率が大きいほど、第二のコア片32を第一のコア片31に比較して小さくし易い。この点から、より小型なリアクトル1にできる。
ここでの比透磁率は以下のように求める。
第一のコア片31に備えられる複合材料の成形体30,第二のコア片32と同様の組成からなるリング状の試料(外径34mm、内径20mm、厚さ5mm)を作製する。
上記リング状の試料に一次側:300巻き、二次側:20巻きの巻線を施し、B−H初磁化曲線をH=0(Oe)〜100(Oe)の範囲で測定する。
得られたB−H初磁化曲線のB/Hの最大値を求める。この最大値を比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。
複合材料の成形体30の比透磁率の測定に用いるリング状の試料は、非磁性部材7が無いものとする。
本例の各第一のコア片31は複合材料の成形体30を主体とする。本例の第二のコア片32は圧粉成形体からなる。複合材料の成形体30の比透磁率は5以上50以下である。第二のコア片32の比透磁率は、50以上500以下であり、かつ複合材料の成形体30の比透磁率の2倍以上である。
なお、本例では、各第一のコア片31に備えられる複合材料の成形体30は同一組成である。そのため、両複合材料の成形体30の比透磁率は実質的に等しい。各第一のコア片31に備えられる複合材料の成形体30の組成を異ならせてもよい。
〈保持部材〉
その他、リアクトル1は、コイル2と磁性コア3との間に介在される保持部材5を備えてもよい。図1では、保持部材5を二点鎖線で仮想的に示す。
保持部材5は代表的には電気絶縁材から構成されて、コイル2と磁性コア3との間の電気絶縁性の向上に寄与する。また、保持部材5は、巻回部2a,2b及びコア片31,32を保持して、巻回部2a,2bに対するコア片31,32の位置決めに利用される。保持部材5は、代表的には、巻回部2a,2bに対して所定の隙間を設けるようにコア片31を保持する。リアクトル1が後述する樹脂モールド部6を備える場合、上記隙間は流動状態の樹脂の流路に利用できる。従って、保持部材5は、樹脂モールド部6の製造過程で上記流路を確保することにも寄与する。
図1に例示する保持部材5は、第一のコア片31の端部と第二のコア片32との接触箇所及びその近傍に配置される長方形の枠状の部材である。例えば、保持部材5は、以下の貫通孔と、支持片と、コイル側の溝部と、コア側の溝部とを備えるものが挙げられる。保持部材5の詳細は図示しない(類似の形状として特許文献1の外側介在部52参照)。貫通孔は、保持部材5において第二のコア片32が配置される側(以下、コア側と呼ぶ)から巻回部2a,2bが配置される側(以下、コイル側と呼ぶ)に貫通し、第一のコア片31が挿通される。支持片は、貫通孔を形成する内周面から部分的に突出して第一のコア片31の外周面の一部(例、角部)を支持する。第一のコア片31が支持片に保持されると、巻回部2a,2bと第一のコア片31との間には、支持片の厚さに応じた隙間が設けられる。コイル側の溝部は、保持部材5のコイル側に設けられ、各巻回部2a,2bの端面及びその近傍が嵌め込まれる。コア側の溝部は、保持部材5のコア側に設けられ、第二のコア片32における第一のコア片31との接触面及びその近傍が嵌め込まれる。
保持部材5は、上述の機能を有すれば、形状や大きさ等を適宜変更できる。また、保持部材5は、公知の構成を利用できる。例えば、保持部材5は、上述の枠状の部材とは独立した部材であって、巻回部2a,2bとコア片31との間に配置される部材を含んでもよい(類似の形状として特許文献1の内側介在部51参照)。
保持部材5の構成材料は、樹脂といった電気絶縁材料が挙げられる。樹脂の具体例は、上述の複合材料の成形体の項を参照するとよい。代表的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。保持部材5は、射出成形等の公知の成形方法によって製造できる。
〈樹脂モールド部〉
その他、リアクトル1は、磁性コア3の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部6を備えてもよい。図1では、樹脂モールド部6を二点鎖線で仮想的に示す。
樹脂モールド部6は、磁性コア3の少なくとも一部を覆うことで、磁性コア3を外部環境から保護したり、機械的に保護したり、磁性コア3とコイル2や周囲部品との間の電気絶縁性を高めたりする機能を有する。樹脂モールド部6は、図1に例示するように磁性コア3を覆い、巻回部2a,2bの外周を覆わず露出させると、放熱性にも優れる。巻回部2a,2bが液体冷媒等の冷却媒体に直接接触できるためである。
樹脂モールド部6の一例として、図1に示すように巻回部2a,2bの内側に存在し、第一のコア片31の少なくとも一部を覆う内側樹脂部61と、巻回部2a,2bの外側に存在し、第二のコア片32の少なくとも一部を覆う外側樹脂部62とを備える形態が挙げられる。また、樹脂モールド部6は、内側樹脂部61と外側樹脂部62とが連続する一体成形物であり、磁性コア3を構成するコア片31,32を一体に保持することが挙げられる。樹脂モールド部6によって磁性コア3を構成するコア片31,32が一体に保持されることで、磁性コア3の一体物としての剛性を高められ、強度に優れるリアクトル1とすることができる。
内側樹脂部61,外側樹脂部62の被覆範囲、厚さ等は適宜選択できる。例えば、樹脂モールド部6は磁性コア3の外周面の全面を覆ってもよい。又は、例えば、外側樹脂部62は第二のコア片32の一部を覆わずに露出させてもよい。又は、例えば、樹脂モールド部6は、概ね一様な厚さでもよいし、局所的に厚さが異なっていてもよい。その他、樹脂モールド部6は、内側樹脂部61が第一のコア片31における第二のコア片32との連結箇所及びその近傍のみを覆う、又は内側樹脂部61を備えておらず、実質的に第二のコア片32のみを覆うものであってもよい。
樹脂モールド部6の構成材料は、各種の樹脂が挙げられる。例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の一例として、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PBT樹脂等が挙げられる。上記構成材料は、樹脂に加えて、熱伝導性に優れる粉末、上述の非磁性材料からなる粉末を含有してもよい。上記粉末を含む樹脂モールド部6は、放熱性に優れる。その他、樹脂モールド部6の構成樹脂と保持部材5の構成樹脂とが同じ樹脂であれば、両者の接合性に優れる。また、両者の熱膨張係数が同じであるため、熱応力による樹脂モールド部6の剥離や割れ等を抑制できる。樹脂モールド部6の成形には、射出成形等が利用できる。
〈リアクトルの製造方法〉
実施形態1のリアクトル1は、例えば、コア片31,32を用意して、コイル2と組み付けることで製造できる。適宜、保持部材5を組み付ける。樹脂モールド部6を備える場合には、コイル2と磁性コア3と保持部材5とを組み付けたものを樹脂モールド部6の成形金型(図示せず)に収納し、流動状態の樹脂によって磁性コア3を被覆することで製造できる。
複合材料の成形体30と非磁性部材7とを備える第一のコア片31は、上述のようにキャビティ内に非磁性部材7の基部70を支持する溝を備える成形型等を利用して、射出成形等で製造するとよい。非磁性部材7は、所定の形状、大きさのものを別途製造して用意すればよい。成形型の溝に基部70を配置することで、キャビティ内に突出片71が立設した状態を維持できる。この立設状態で、上述のように突出片71の先端側等から、複合材料の成形体30の原料である流動物を導入するとよい。本例では、各第一のコア片31は同一形状、同一の大きさである。複合材料の成形体30は同一の形状、同一の大きさ、同一の組成である。非磁性部材7は同一の形状、同一の大きさ、同一の構成材料である。そのため、一つの成形型を共用して、複数の第一のコア片31を製造できる。また、複数の第一のコア片31を同じ原料、同じ製造条件で製造できる。
樹脂モールド部6の製造では、流動状態の樹脂を一方のコア片32から他方のコア片32に向かう一方向の充填を利用できる。又は二つのコア片32のそれぞれから巻回部2a,2b内に向かう二方向の充填を利用できる。
〈用途〉
実施形態1のリアクトル1は、電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品、例えば種々のコンバータや電力変換装置の構成部品等に利用できる。コンバータの一例として、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータ等が挙げられる。
〈主要な効果〉
実施形態1のリアクトル1は、第一のコア片31に備えられる非磁性部材7の突出片71を磁気ギャップとして利用できる。第一のコア片31が複合材料の成形体30を主体とし、複合材料中の樹脂が磁気ギャップとして機能することからも、磁気飽和し難い。従って、リアクトル1は、使用電流値が大きい場合でも磁気飽和し難い。
また、実施形態1のリアクトル1は、第一のコア片31を構成する複合材料の成形体30と非磁性部材7が一体物である。そのため、隣り合うコア片の間隔を保持する部材やギャップ板等が不要であり、組立部品点数が少なく、リアクトル1を組み立て易い。コア片とギャップ板とを接着剤で接合しなくてよく、接着剤の固化時間も省略できる。従って、リアクトル1は、製造性に優れる。
第一のコア片31が複合材料の成形体30を主体とすることで、複合材料の成形体30を射出成形等で成形する際に非磁性部材7を同時に一体化できる。また、非磁性部材7は基部70と突出片71とを備えることで、成形型内の所定の位置に非磁性部材7を支持し易く、別途、支持部材等を不要にできる。また、このような非磁性部材7は、複合材料の成形体30の原料となる流動物に押圧されても、突出片71の位置ずれや変形、折損等を防止し易い。これらのことから、第一のコア片31を容易に、かつ精度よく成形できる。このことからも、リアクトル1は、製造性に優れる。
更に、実施形態1のリアクトル1は、以下の効果を奏する。
(a)非磁性部材7の突出片71が巻回部2a,2bの内側に配置される。そのため、巻回部2a,2bの外側に配置される場合に比較して、突出片71の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。従って、リアクトル1は、所定のインダクタンスを良好に確保できる。
(b)複合材料の成形体30を主体とする第一のコア片31は、電磁鋼板の積層体や圧粉成形体に比較して磁気飽和し難い。この点から、非磁性部材7の突出片71の厚さtを薄くし易い。突出片71の厚さtが薄いことで、突出片71の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。巻回部2a,2bと第一のコア片31とを近接させても、上記漏れ磁束に起因する損失(例、銅損)を低減できる。第一のコア片31が樹脂を含むことで電気絶縁性に優れることからも、巻回部2a,2bと第一のコア片31とを近接させ易い。上述の近接配置によって、小型にし易い。従って、リアクトル1は、低損失で、小型である。
(c)複合材料の成形体30は、樹脂を含むことで、電気絶縁性に優れるため、渦電流損失(鉄損)といった交流損失を低減できる。この点から、リアクトル1は、低損失である。
更に、本例のリアクトル1は、以下の効果を奏する。
各巻回部2a,2bの内側に配置される箇所を有するコア片がいずれも第一のコア片31であり、複合材料の成形体30を主体とする。複数のコア片を射出成形等で容易に形成できることからも、製造性に優れる。また、各巻回部2a,2bの内側に配置される箇所を有するコア片が第一のコア片31であれば、上述のように非磁性部材7の突出片71の配置箇所からの漏れ磁束を低減できる。そのため、より低損失で小型である。
主として巻回部2a,2bに配置される各第一のコア片31の配置形態が上述の内寄り形態である。環状の磁性コア3において磁束が密に通過し易い内周側の領域に、両第一のコア片31の突出片71が磁束方向に直交するように配置される。そのため、磁気飽和をより確実に低減でき、磁気飽和し難い。
[実施形態2]
以下、主に図3を参照して、実施形態2のリアクトル1を説明する。
実施形態2のリアクトル1の基本的構成は、実施形態1と同様である。実施形態2における実施形態1との主な相違点は、主として各巻回部2a,2bの内側に配置される各第一のコア片31における非磁性部材7の配置状態にある。実施形態2のリアクトル1は、上述の外寄り形態である。以下、この相違点を詳細に説明し、実施形態1と重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
実施形態2のリアクトル1では、コイル2が二つの巻回部2a,2bを備え、磁性コア3は、巻回部2a,2bの内側にそれぞれ配置される非磁性部材7の突出片71を含む第一のコア片31を備える。各第一のコア片31は、突出片71が向かい合い、基部70が離反するように配置される。図3では、一方の巻回部2a内に配置される非磁性部材7について、基部70が紙面下側に位置し、他方の巻回部2b内に配置される非磁性部材7について基部70が紙面上側に位置する場合を例示する。
実施形態2のリアクトル1は、例えば、図3の紙面下側が設置対象(図示せず)に近い側となり、紙面上側が設置対象から離れる側となるように設置対象に取り付けられることが挙げられる。この場合、設置対象に近い側である一方の巻回部2a内の非磁性部材7において、突出片71は、設置対象に近い側に寄っているといえる。また、設置対象から離れる側である他方の巻回部2b内の非磁性部材7において、突出片71は、設置対象から離れるように設置されるといえる。
《主要な効果》
外寄り形態のリアクトル1は、以下に説明するように、設置対象に近い側に非磁性部材7の突出片71が寄せられた状態であると、放熱性に優れる。
一方の巻回部2aは、巻回部2a側の第一のコア片31に備えられる突出片71の配置箇所からの漏れ磁束に起因して発熱し易い。しかし、この突出片71は、巻回部2aにおいて設置対象に近い側の領域(ここでは図3の紙面下側、以下設置側の領域と呼ぶ)に近い。そのため、一方の巻回部2aにおける設置側の領域が設置対象によって冷却されると、第一のコア片31及び一方の巻回部2aは、上記設置対象に効率よく伝熱できる。本例では、各巻回部2a,2bと第一のコア片31とが同軸となるようにコイル2と磁性コア3とを配置している。一方の巻回部2aの軸に対して、巻回部2a側の第一のコア片31の軸が設置対象に近づくように第一のコア片31を偏心させてもよい。この場合、巻回部2a側の第一のコア片31に備えられる突出片71は、一方の巻回部2aにおける設置側の領域に近づく。そのため、第一のコア片31及び一方の巻回部2aは、上記設置対象に効率よく伝熱できる。
他方の巻回部2bは、巻回部2b側の第一のコア片31に備えられる突出片71の配置箇所からの漏れ磁束に起因して発熱し易い。しかし、この突出片71は、他方の巻回部2bにおいて設置対象から離れる側(ここでは図3の紙面上側)の領域に近い。他方の巻回部2bにおいて設置対象から離れる側は、巻回部2aに比較して外部環境に近く、外部環境から冷却され易い。冷却機構(図示せず)が巻回部2bに近接配置されていれば、第一のコア片31及び他方の巻回部2bは、この冷却機構に効率よく伝熱できる。この点からも、放熱性に優れる。上述のように他方の巻回部2bと第一のコア片31とを偏心させた場合でも、第一のコア片31及び他方の巻回部2bは、外部環境や冷却機構に効率よく伝熱できる。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の実施形態1,2に対して、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(変形例A)非磁性部材の突出片が第一のコア片の軸方向に対して非直交に交差する。
この場合、突出片における突出方向に沿った長さが長くなり易い。そのため、突出片における複合材料の成形体との接触面積を増大できる。従って、非磁性部材は、複合材料の成形体に強固に保持される。
(変形例B)磁性コアを構成するコア片が全て複合材料の成形体を主体とする。
この形態は、例えば、複合材料の成形体と圧粉成形体とを備える実施形態1に比較して、磁気飽和し難い。そのため、非磁性部材の突出片の厚さを薄くし易い。突出片の配置箇所からの漏れ磁束を低減できることで、低損失なリアクトルにできる。また、各コア片が電気絶縁性にも優れ、渦電流損失(鉄損)といった交流損失を低減できることからも、低損失である。
(変形例C)磁性コアを構成するコア片の個数が2個、3個、又は5個以上である。
コア片の個数が少ないほど、リアクトルの組立部品点数を削減でき、製造性に優れる。コア片の個数が多いと、実施形態1で説明したように各コア片の構成材料の自由度を高められ、磁気特性等を調整し易い。
コア片の個数が2個の場合、例えば、U字状のコア片を二つ備える形態、L字状のコア片を二つ備える形態、U字状のコア片とI字状のコア片とを備える形態等が利用できる。いずれの形態も、複合材料の成形体と非磁性部材とを備えるコア片を含み、このコア片において巻回部内に配置される箇所に非磁性部材の突出片を備えるとよい。
(変形例D)コイルが二つの巻回部を備える場合、一方の巻回部の内側に配置される箇所を有するコア片を、複合材料の成形体と非磁性部材とを備える第一のコア片とし、他方の巻回部の内側に配置される箇所を有するコア片を第一のコア片以外にする。
例えば、第一のコア片以外のコア片を圧粉成形体等としてもよい。
(変形例E)巻回部内に配置される箇所を含むコア片の外周形状が巻回部の内周形状に非相似である。
この形態は、巻回部とコア片との間隔を広く確保し易い。そのため、非磁性部材において突出片の配置箇所からの漏れ磁束に起因する損失(例、銅損)を低減できる。
(変形例F)リアクトルが以下の少なくとも一つを備える(いずれも図示せず)。
(F−1)温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサ等のリアクトルの物理量を測定するセンサ。
(F−2)コイルの巻回部の外周面の少なくとも一部に取り付けられる放熱板。
放熱板は、例えば金属板、熱伝導性に優れる非金属無機材料からなる板材等が挙げられれる。特に非磁性部材を備える第一のコア片が配置される巻回部に放熱板を設けると、放熱性に優れて好ましい。上述のように非磁性部材を有する第一のコア片が配置される巻回部は、非磁性部材における突出片の配置箇所からの漏れ磁束に起因して、発熱し易いからである。第一のコア片が配置されない巻回部に放熱板を設けてもよい。
(F−3)リアクトルの設置面と設置対象、又は上記の放熱板との間に介在される接合層。
接合層は、例えば接着剤層が挙げられる。電気絶縁性に優れる接着剤とすると、放熱板が金属板であっても、巻回部と放熱板との間の絶縁性を高められて好ましい。
(F−4)外側樹脂部に一体に成形され、リアクトルを設置対象に固定するための取付部。
1 リアクトル
2 コイル
2a,2b 巻回部
3 磁性コア
30 複合材料の成形体、31 第一のコア片、32 第二のコア片
311,312 端面、313,314,315,316 周面
5 保持部材
6 樹脂モールド部
61 内側樹脂部、62 外側樹脂部
7 非磁性部材
70 基部、7o 外側面、7i 内側面、71 突出片、75 ゲート痕

Claims (8)

  1. 巻回部を有するコイルと、
    前記巻回部の内側と前記巻回部の外側とに配置される磁性コアとを備え、
    前記磁性コアは、複数のコア片を組み合わせて構成され、
    前記複数のコア片のうち、少なくとも一つのコア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体と非磁性部材とを備える第一のコア片であり、
    前記非磁性部材は、
    前記複合材料の成形体に一体に保持されており、
    前記複合材料の成形体の外周面に沿って配置される基部と、
    前記基部から立設される突出片とを備え、
    前記突出片は、
    前記第一のコア片の軸方向に交差するように前記複合材料の成形体における前記巻回部の内側に配置される箇所の内部に挿入されるリアクトル。
  2. 前記複合材料の成形体の外周面における前記突出片の先端側にゲート痕を有する請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記突出片における前記基部からの突出長さは、前記第一のコア片の軸方向に直交する方向に沿った長さの1/2超であり、
    前記突出片における前記軸方向に沿った最大長さは、2mm未満である請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記複合材料の成形体を前記第一のコア片の軸方向に直交する平面で切断した断面の外形を内包する最小の長方形を仮想し、
    前記突出片の突出方向は、仮想の前記長方形の長辺に沿った方向である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記コイルは、隣り合って並ぶ二つの前記巻回部を備え、
    前記磁性コアは、前記二つの巻回部の内側にそれぞれ配置される前記突出片を含む前記第一のコア片を備え、
    前記各第一のコア片は、前記基部が向かい合うと共に、前記突出片が離反するように配置される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記複合材料の成形体の比透磁率は、5以上50以下であり、
    前記巻回部の外側に配置される第二のコア片の比透磁率は、前記複合材料の成形体の比透磁率の2倍以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. 前記第二のコア片の比透磁率は、50以上500以下である請求項6に記載のリアクトル。
  8. 前記磁性コアの少なくとも一部を覆う樹脂モールド部を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
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