JP5288227B2 - リアクトル磁心およびリアクトル - Google Patents
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よって本発明は、ギャップ数が計8個以上(片側の磁心脚部のブロック数が3個以上)の複数ギャップ構造を用いた環状のリアクトル磁心、リアクトルにおいて、各磁心部の形状を最適化し銅損の増大を極力抑制したものを提供することを課題とする。
前記nが4の場合、前記A/Bは0.5以上3.5以下であることが好ましい。
前記nが5の場合、前記A/Bは0.6以上3.3以下であることが好ましい。
すなわち、比A/Bが0.3より小さい場合は、一方の突出部(21、22)から磁心継部1を介して他方の突出部(23、24)に流れるまでの磁束の還流が停滞しやすく、最外部ギャップでの漏れ磁束量が大きくなり、コイル交流抵抗が増大する。また、比A/Bが4.0より大きい場合は、突出部が長いために磁心脚部の複数のギャップが中央に集中して配置されるため、この部分の磁気抵抗が大きくなり、全体的にフリンジング磁束量が大きくなって、コイル交流抵抗が増大する。従って比A/Bを0.3以上4.0以下に設定することで、フリンジング磁束が小さくなり、コイルに生じる渦電流損失を小さくすることができる。この磁心を用いることにより、低損失のリアクトルを実現できる。
また、本発明において、「磁心ブロックの磁路方向の平均長さB」とは、各磁心ブロックの長さの平均値とする。
また、磁心継部5の磁路方向の断面積は、突出部2の磁路方向の断面積、磁心ブロック3の磁路方向の断面積と同じか、それよりも大きいことが好ましい。この寸法で形成することで、上記と同様に、銅損の増加を抑制できる。
また、磁心ブロック3は磁心の組み立てや、プレス成形を容易にするために直方体状のI型磁心ブロックとすることが好ましい。台形形状などのものを適用した場合、磁心ブロックの磁路方向の平均長さBは、磁路の中央部(磁路断面の重心部)に沿った長さである。
(実施例1)
本発明のリアクトル磁心として、まず図4に示す形状の環状リアクトル磁心を作成した。図4中、磁心継部5は、端部11、および突出部21、23からなるU字状磁心であり、他端に備えられた磁心継部5は、端部12、および突出部22、24からなるU字状磁心である。このときの端部11の形状を図5に別途示す。端部11と突出部21、23は固着させて、磁気的に一体の磁心継部5とした。端部12と突出部22、24も同様である。尚、端部11と突出部21,23は別々に構成した後固着される場合のほか、最初から一体のものとして構成してもよい。
また、磁心脚部6は各々磁心脚部5との間にギャップGを形成し、また、突出部21と同じ寸法形状にI型磁心ブロック31〜36を形成し、片方の磁心脚部6に3つずつ(31,32,33、及び、34,35,36)直列させた。また、磁心脚部6のI型磁心ブロック3は両端にギャップG1〜G4、G5〜G8が形成されるように配置した。また、ギャップG1〜G8は各I型磁心ブロック間、およびI型磁心ブロック3と突出部2間に設けているものであり、図示されていないが、板状セラミックをギャップ材として使用している。
このギャップG1〜G8の長さを全て足した総ギャップ長は、10.8mmとした。
磁心継部5と磁心脚部6の各I型磁心ブロック3は、Fe−6.5%Si系合金粉にカオリン1.5重量部、水ガラス1.5重量部を添加したものを用い、常温にて成形圧力1200MPaで圧縮成形し、その後窒素雰囲気中で成形体に温度1073Kの熱処理を施したものである。この圧粉体の透磁率μrは50であった。磁心継部11,12間の距離(突出部21,22、ギャップG1〜G4、I型磁心ブロック31〜33を足した長さ)は87.9mmとした。
磁心継部5の端部11,12は、突出部21〜24が固着される反対側の形状は、磁路にそって円弧を描くように外部が丸くなっている形状とした。この端部11,12と、突出部21〜24、および磁心脚部6のI型磁心ブロック31〜36の磁路に直行する断面積は全て同じになるようにした。端部11の寸法は、高さhを32mm、縦幅wを60mm、横幅dを20.5mmとし、端部の曲面rは半径20.5である。また、突出部21〜24の寸法は、長さAが16.5mm、高さが32mmである。突出部の長さAとI型磁心ブロックの磁路方向の平均長さBとの比A/Bは1.0である。(表1中番号1-4)
実施例1において、磁心脚部5の3つのI型磁心ブロックの寸法を各々変えることにより、比A/Bとコイル交流抵抗との関係がどのように変化するかを検討した。
実施例1と同様に、環状リアクトル磁心を作成した。磁心継部5は、図4と同様に、11の端部、および21,23の突出部からなるU字状磁心と、他端に備えられた12の端部、および22,24の突出部からなるU字状磁心である。
一方、磁心脚部6はI型磁心ブロックを形成し、片方の磁心脚部6に3つ直列させたものを用いたが、各々寸法が異なるように形成した。磁心脚部6のI型磁心ブロックは両端にギャップが形成されるように配置した。磁心継部11,12間の距離(突出部21,22、ギャップG1〜G4、I型磁心ブロック31〜33を総和した長さ)は、実施例1と同じく87.9mmとした。ギャップ長(G1〜G8を総和した長さ)も一定の10.8mm(片側5.4mm)とした。
その他の寸法、磁心継部5と磁心脚部6の材質、製造方法などは実施例1と同じである。
図6にリアクトル磁心の、突出部21,22とI型磁心ブロック31〜36の配置を模式的に示す。突出部とI型磁心ブロックの間、およびI型磁心ブロック同士の間はギャップである。
図6(2−1)に示すものは、I型磁心ブロック31,32,33の長さの比を1.5:1.0:1.5にしたものである。図6(2−2)に示すものは、I型磁心ブロック31,32,33の長さの比を1.0:1.5:1.0にしたものである。図6(2−3)に示すものは、I型磁心ブロック31,32,33の長さの比を1.0:1.2:1.44にしたものである。
各I型磁心ブロック31,32,33の寸法比と、比A/Bとコイル交流抵抗の値を表2に示す。なお、I型磁心ブロックの長さBは各I型磁心ブロック31,32,33の平均長さであり、総I型磁心ブロック長をブロック数で割ったものである。
表中、番号2−1は、3つのI型磁心ブロックのうち、両側のブロックを中央のブロックより1.5倍の大きさにした図6(2−1)に示すもの、番号2−2は、3つのI型磁心ブロックのうち、中央のブロックを両側のブロックより1.5倍の大きさにした図6(2−2)に示すもの、番号2−3は、3つのI型磁心ブロックを片側から順に、1.2倍づつ大きくした図6(2−3)に示すものである。
その他は実施例1と同様にして、このリアクトル磁心の磁心脚部に同一線材の76回巻コイルを装着し、直流重畳電流60A時でインダクタンス約275マイクロHとなるリアクトルを作製し、比A/Bによりコイル交流抵抗がどのように変わるかを比較した。
表2の結果を実施例1の図1と重ねてグラフにしたものを、図2として示す。
磁心脚部6のI型磁心ブロックの個数により、比A/Bとコイル交流抵抗との関係にどのような影響が有るかを調べた。
使用した環状リアクトル磁心の模式図を図7に示す。磁心継部5は、実施例1と同様に、11の端部、および21、23の突出部からなるU字状磁心と、他端に備えられた12の端部、および22,24の突出部からなるU字状磁心である。
一方、磁心脚部6はI型磁心ブロックを、片方の磁心脚部6に3つから5つ直列させて配置したもの(図7(a)〜(c))を用いた。各I型磁心ブロックの長さを均等の長さにし、また、I型磁心ブロックは両端にギャップが形成されるように配置した。磁心継部11,12間の距離(突出部21,22、各ギャップ(図番表示せず)、各磁心脚部内のI型磁心ブロック31〜40を足した長さ)は、実施例1と同じく87.9mmとした。各ギャップ長も一定の10.8mm(片側5.4mm)とした。
その他の寸法、磁心継部5と磁心脚部6の材質、製造方法などは実施例1と同じである。
実施例1と同様にして、このリアクトル磁心の磁心脚部に同一線材の76回巻コイルを装着し、直流重畳電流60A時でインダクタンス約275マイクロHとなるリアクトルを作製し、比A/Bによりコイル交流抵抗がどのように変わるかを比較した。
比A/Bとコイル交流抵抗の値を表3に示す。また、それのグラフを図3に示す。
I型磁心ブロックの数が3つである場合、前記磁心継部の突出部の長さAと前記I型磁心ブロックの磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が、0.3以上4.0以下であれば、磁心継部に突出部を設けない場合(比A/B=0の場合)に比べて、15%以上もコイル交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bの範囲が0.6以上2.4以下であれば、磁心継部に突出部を設けない場合(比A/B=0の場合)に比べて、25%以上もコイル交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bは0.8以上2.0以下であれば、30%以上もコイル交流抵抗を低下できる。
また、I型磁心ブロックの数が4つである場合、前記磁心継部の突出部の長さAと前記I型磁心ブロックの磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が、0.3以上4.0以下であれば、磁心継部に突出部を設けない場合(比A/B=0の場合)に比べて、10%以上もコイル交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bの範囲が0.5以上3.5以下であれば、15%以上もコイル交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bの範囲が0.8以上2.2以下であれば、20%以上もコイル交流抵抗を低下できる。
また、I型磁心ブロックの数が5つである場合、前記磁心継部の突出部の長さAと前記I型磁心ブロックの磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が、0.3以上4.0以下であれば、磁心継部に突出部を設けない場合(比A/B=0の場合)に比べて、7%以上もコイル交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bの範囲が、0.6以上3.3以下であれば、13%以上もコイル交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bは0.8以上2.8以下であれば、15%以上もコイル交流抵抗を低下できる。
実施例1〜3と同様の検討を、磁場解析ソフトを用いて検証したところ、コイル交流抵抗の値に差は発生するが、コイル交流抵抗と比A/Bとの大小関係については相関が取れていることが確認できた。
また、他の軟磁性粉末(純鉄の粉、Fe−Al合金粉、Fe−Si−Al合金粉、Fe−Ni合金粉、Fe−Co合金粉、アモルファス軟磁性粉、ナノ結晶質軟磁性粉)を用いたと仮定し、磁場解析ソフトにてコイル交流抵抗と比A/Bとの関係を解析したところ、コイル交流抵抗の値に多少の差は出るが、比A/Bとコイル交流抵抗の大小関係については同様の結果が得られた。環状リアクトル磁心に圧粉体を用いる場合には、上記の合金粉末のいずれを用いても、比A/Bについては本発明の範囲内とすることが望ましい。
Claims (5)
- 2つの対向する磁心継部5と、前記磁心継部5の間に配置された複数の磁心脚部6からなる環状のリアクトル磁心であって、
前記磁心継部5は前記磁心脚部6に向けた突出部を有し、
前記磁心脚部6は前記磁心継部5との間にギャップが形成され、かつn個(nは3、4、5のいずれかであり)の磁心ブロックから構成され、
前記磁心継部5の突出部の長さAと前記磁心ブロック3の磁路方向の平均長さBとの比A/Bが、0.8から2.0の領域で、前記領域でコイル交流抵抗が最小となることを特徴とするリアクトル磁心。 - 前記磁心継部5及び磁心脚部6が、磁性粉末と樹脂を含む圧粉体からなることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル磁心。
- 前記圧粉体の透磁率が200以下であることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル磁心。
- 請求項1乃至請求項3に記載のリアクトル磁心を用いたリアクトルであって、前記磁心脚部の周囲にコイルが巻回されたことを特徴とするリアクトル。
- ハイブリッド自動車用である請求項4に記載のリアクトル。
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