以下、本発明のRFIDタグを適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のRFIDタグ100を示す図である。図1(A)はRFIDタグ100を示す斜視図であり、図1(B)はRFIDタグ100を示す分解図である。図2は、RFIDタグ100のインレイ110を示す図である。なお、以下では、図示するようにXYZ座標系を定義する。
RFIDタグ100は、インレイ110、及びカバー部120、130を含む。
インレイ110は、図1(B)に示すように、カバー部120と130との間に挟まれており、図1(A)に示すようにRFIDタグ100を組み立てた状態では、外部からは見えない。インレイ110は、IC(Integrated Circuit)チップとアンテナをシート状の部材で覆ったものである。なお、インレイ110の構成については図2を用いて後述する。
カバー部120は、インレイ110の一方の面(図1(B)では下面)を覆う外装部材の一例である。カバー部120は、例えば、可撓性及び弾性を有するゴム製の部材である。カバー部120は、インレイ110を保護するために設けられている。
カバー部130は、インレイ110の他方の面(図1(B)では上面)を覆う外装部材の一例であるとともに、枠部の一例でもある。カバー部130は、例えば、可撓性及び弾性を有する薄板状のゴム製の部材である。カバー部130は、インレイ110を保護するために設けられている。カバー部130の詳しい構成については図3乃至図5を用いて後述する。
次に、実施の形態1のRFIDタグ100のインレイ110について説明する。
図2は、インレイ110を示す図であり、(A)は長手方向の断面を示す図、(B)は平面図、(C)は短手方向の断面を示す図である。図2(A)に示す断面は、図2(B)におけるα−α矢視断面を示し、図2(C)に示す断面は、図2(B)におけるβ−β矢視断面を示す。
図2(A)〜(C)に示すように、インレイ110は、シート部10、アンテナ20、ICチップ30、及びシート部40を含む。
シート部10は、シート状の部材であり、第1シート部の一例である。シート部10の一方の面には、シート部40と貼り合わせる前に、アンテナ20が形成されるとともに、ICチップ30が実装される。
シート部10は、例えば、可撓性を有する材料、又は、可撓性及び弾性を有するゴム系の材料あるいはエラストマー弾性のあるエラストマー系の材料を用いることができる。
可撓性を有する材料としては、例えば、ポリイミドフィルム、又は、PET(polyethylene terephthalate)フィルムなどを用いることができる。
ゴム系の材料としては、例えば、シリコーン(シリカケトン)ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、又はウレタンゴムを用いることができる。
エラストマー系の材料としては、塩化ビニル系、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、又はアミド系のエラストマーを用いることができる。
なお、シート部10は、上述の材料で形成される部材に限定されず、他の材料で形成されていてもよい。
アンテナ20は、シート部10とシート部40とを貼り合わせる前に、シート部10の一方の表面に形成される。アンテナ20は、例えば、銀ペースト、銅箔、アルミニウム箔等によって形成される。アンテナ20は、ICチップ30の一対の端子に接続される。
ICチップ30は、シート部10とシート部40とを貼り合わせる前に、シート部10の一方の面に実装され、アンテナ20に接続される。
ICチップ30は、アンテナ20を介してRFIDタグ100のリーダライタからRF(Radio Frequency)帯域の読み取り用の信号を受信すると、受信信号の電力で作動し、アンテナ20を介して識別情報を発信する。これにより、リーダライタでRFIDタグの識別情報を読み取ることができる。
シート部40は、シート部10と同様のシート状の部材であり、第2シート部の一例である。シート部40の平面視でのサイズは、シート部10の平面視でのサイズと等しい。また、シート部40の厚さは、シート部10の厚さと等しいものとする。シート部40は、シート部10と同一のシート状の部材を用いることができる。
シート部40は、シート部10に張り合わされ、シート部10との間でアンテナ20及びICチップ30を覆う。
次に、図3乃至図5を用いて、実施の形態1のRFIDタグ100のカバー部130について説明する。
図3乃至図5は、カバー部130を示す図である。図3(A)はカバー部130を示す斜視図であり、図3(B)は図3(A)に対応する透視図である。
図4(A)はRFIDタグ100のカバー部130が重い物品500に当接した状態を示す断面図であり、図4(B)はカバー部130に応力がかかり始めた状態を示す図である。図4(C)はカバー部130の側壁部132が折れ曲がる様子を示す図である。物品500は、例えば、金属製の重い物品であるが、ここではカバー部130を押し潰す程度の重さがある重量物であればよく、金属以外の物品であってもよい。
図5(A)は、RFIDタグ100のカバー部130が折り畳まれた状態を示す図であり、図5(B)は図5(A)のA−A矢視断面を示す図である。
図3(A)、(B)に示すように、カバー部130は、底部131、及び側壁部132、133、134、135を有する。
RFIDタグ100は、XY平面と平行な方向、又は、XY平面と比較的平行に近い方向の応力に対しては、カバー部120及び底部131の面方向に力を受けるため、耐久性が高い。しかしながら、カバー部120及び底部131は、Z軸方向には薄いため、Z軸方向の応力に対する対策が必要である。
このため、RFIDタグ100は、Z軸方向の応力への対策として、カバー部130が底部131から起立する側壁部132〜135を有する。
底部131は、カバー部120(図1(B)参照)と同様のサイズを有する平面視で矩形状の薄板状の部分である。底部131は、外装部材の一例である。底部131の四辺には4つの側壁部132〜135が接続されている。底部131は、一例として、側壁部132〜135と一体的に形成される。
底部131は、4つの頂点131A、131B、131C、及び131Dを有する。頂点131Aは、4つの頂点131A〜131Dのうち、最もX軸負方向側かつY軸負方向側に位置する頂点であり、頂点131A〜131Dの順に、平面視で反時計回りに配置されている。
なお、底部131とカバー部120は、ともに外装部材の一例であるため、底部131とカバー部120を一つの外装部材として捉えた場合に、底部131の上面を外装部材の主面、カバー部120の下面を外装部材の裏面として取り扱うことができる。
側壁部132〜135は、底部131の四辺から枠状に起立して枠を構築する。側壁部132〜135は、枠部の一例である。側壁部132〜135は、一例として、底部131と一体的に形成されている。側壁部132〜135と底部131は、中空の直方体から上面を取り除いた形状を構築する。
側壁部132と134は、互いに向かい合っており、互いに等しい寸法を有する。また、側壁部133と135は、互いに向かい合っており、互いに等しい寸法を有する。
側壁部132〜135は、高さ(Z軸方向の長さ)は等しいが、側壁部132及び134の長手方向の長さ(Y軸方向の長さ)は、側壁部133及び135の長手方向の長さ(X軸方向の長さ)よりも長い。
なお、側壁部132及び134と、側壁部133及び135との長手方向の寸法は等しくてもよく、側壁部132及び134よりも、側壁部133及び135の方が長手方向の寸法が長くてもよい。
側壁部132と134の内側の面には、それぞれ、溝部132A及び132Bと、溝部134A、134Bが形成されている。側壁部132の内側の面とは、X軸正方向側の面であり、カバー部130の内側に位置する面である。同様に、側壁部134の内側の面とは、X軸負方向側の面であり、カバー部130の内側に位置する面である。
溝部132Aは、底部131の頂点131AからY軸正方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132Aの上端は、側壁部132の上辺にまで達している。溝部132Aの上端は、側壁部132のY軸方向の中点よりもY軸負方向側に位置する。
溝部132Bは、YZ平面視で、溝部132Aとは軸対称に形成されている。対称軸は、Z軸に平行で、側壁部132のY軸方向の長さの中点を通る軸である。溝部132Bは、底部131の頂点131DからY軸負方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132Bの上端は、側壁部132の上辺にまで達している。溝部132Bの上端は、側壁部132のY軸方向の中点よりもY軸正方向側に位置する。
溝部134A、134Bは、側壁部134の内側の面に、それぞれ、側壁部132の溝部132A、132Bと同様の位置に形成されている。
ここで、図4(A)に示すように、RFIDタグ100のカバー部130が重い物品500に当接した状態について考える。例えば、RFIDタグ100をストラップ等(図4(A)では図示を省略)を用いて物品500に取り付けた場合において、物品500が倉庫内で保管されているとき、又は、物品500が搬送されるとき等に、RFIDタグ100が物品500の下敷きになる、又は、複数の物品500の間に挟まれる場合等があり得る。
このような場合に、例えば、図4(A)に示すように、RFIDタグ100が物品500に当接し、さらに物品500によって押圧されることにより、カバー部130が側壁部132〜135の高さ方向の応力を受けることがあり得る。
このような場合に、カバー部130は、図4(B)に矢印で示すような応力を受けることにより、カバー部130の側壁部132及び134がそれぞれX軸負方向側及びX軸正方向側に変形し始める。このとき、側壁部132は、溝部132A及び132Bに沿って折り畳まれ、外側(Z軸負方向側)に倒れる。また、側壁部134は、溝部134A及び134Bに沿って折り畳まれ、外側(Z軸正方向側)に倒れる。
これは、図4(C)に示すように、側壁部132は、応力がかかると溝部132Aを内側にして折り曲がり易くなるからであり、溝部132Bについても同様である。また、溝部134A及び134Bを有する側壁部134についても同様である。
そして、カバー部130にさらに応力がかかると、図5(A)に示すように、側壁部132及び134が完全に折り畳まれ、側壁部133及び135は、底部131の上に折り重なった状態になる。図5(A)に示す状態は、カバー部130がZ軸方向に完全に折り畳まれ、Z軸方向の厚さが最も薄くなる状態である。
図5(A)に示すRFIDタグ100のA−A矢視断面は、図5(B)に示すように、側壁部132が底部131の上に完全に折り畳まれ、側壁部133及び135は、側壁部132の上に折り重なった状態になる。
ここで、ICチップ30を平面視で底部131の略中央に位置させておき、側壁部133及び135のZ軸方向の長さ(図3(A)参照)を、それぞれ、図5(A)、(B)に示すように、完全に折り畳まれた状態でも、ICチップ30に重ならない長さに設定しておくことが望ましい。
このようにしておけば、図5(A)、(B)に示すように、側壁部132及び134が完全に折り畳まれ、側壁部133及び135が底部131の上に折り重なっても、ICチップ30の上側に、空間を確保することができる。この空間には、側壁部132〜135は位置していない。
従って、物品500(図4(A)参照)によってRFIDタグ100のカバー部130が完全に押し潰され、側壁部132〜135が完全に折り畳まれた状態でも、ICチップ30の上側に空間を確保することができ、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
なお、図3乃至図5には、カバー部130の側壁部132及び134に溝部132A、132B、134A、134Bが形成される形態について説明したが、溝部132A、132B、134A、134Bは形成されていなくてもよい。
溝部132A、132B、134A、134Bが形成されている方が、カバー部130は、Z軸正方向側から応力を受けた場合に変形し易いが、溝部132A、132B、134A、134Bが形成されていなくても、カバー部130が同様に変形できる場合は、溝部132A、132B、134A、134Bを形成しなくてもよい。
ここで、図6を用いて、比較例のRFIDタグ100Aについて説明する。
図6は、比較例のRFIDタグ100Aに応力がかかった状態を示す図である。図6に示す比較例のRFIDタグ100Aは、カバー部130Aの構成が、図3乃至図5に示すRFIDタグ100のカバー部130と異なる。
図6(A)に示すカバー部130Aは、Z軸方向の長さ(高さ)が図3乃至図5に示すカバー部130のZ軸方向の長さよりも長く、折り畳まれた状態で、ICチップ30に重なる長さである。なお、図6(A)〜(C)には、図3乃至図5に示すカバー部130の側壁部133及び135に対応する側壁部133A及び135Aを示す。
物品500Aから太い矢印で示すように押圧されて、側壁部133Aが図6(B)に破線の矢印で示すように倒れ始め、図6(C)に示すように、底部131の上に折り重なった場合に、側壁部133Aは、ICチップ30の上方に位置する。
このような場合には、側壁部133Aが底部131の上に折り重なった状態で、ICチップ30の真上に位置しているため、物品500Aによって側壁部133Aが押圧されると、側壁部133A及び底部131を介してICチップ30に直接的に応力がかかり、ICチップ30が破損する可能性がある。あるいは、ICチップ30とアンテナ20の接続箇所が断線する可能性がある。ICチップ30とアンテナ20の接続箇所はICチップ30の真下にある。
従って、図5に示すように、側壁部133及び135のZ軸方向の長さ(図3(A)参照)を、それぞれ、ICチップ30に重ならない長さに設定しておくことが望ましい。
また、図5には、側壁部133及び135が内側に倒れ、側壁部132及び134が外側に倒れる形態について説明した。これは、側壁部132及び134の内側の面に、溝132A及び132Bと溝134A及び134Bとが形成されており、側壁部132及び134が外側に倒れ易いからである。
しかしながら、応力のかかり方によっては、側壁部132及び134が内側に倒れるとともに、側壁部133及び135が外側に倒れる場合もあり得る。また、側壁部132〜135がそれぞれ、内側、外側、又は任意の方向に倒れる場合もあり得る。
このため、側壁部133及び135に加えて、側壁部132及び134のZ軸方向の長さも、それぞれ、ICチップ30に重ならない長さに設定しておくことが望ましい。
なお、ある一定の条件を満たす場合には、側壁部132〜135のZ軸方向の長さは、ICチップ30に重なる長さであってもよい。例えば、図6(B)に示す状態から、図6(C)に示すように完全に折り畳まれることがなく、ICチップ30の真上に空間を残せる場合には、側壁部132〜135のZ軸方向の長さは、ICチップ30に重なる長さであってもよい。
また、図7は、実施の形態1のRFIDタグ100が物品500Aによって押圧されている状態を示す図である。物品500Aは、例えば、球状の物品、あるいは、凸部を有する物品である。ここでは、一例として、物品500Aが球状であり、球面がRFIDタグ100に当接している場合について説明する。
例えば、図7に示すように、側壁部133及び135が底部131の上に完全に折り畳まれた状態で、球状の物品500AによってRFIDタグ100のカバー部130が押圧されている場合について考える。
このような場合に、側壁部133及び135の厚さ(図7におけるZ軸方向の厚さ)が薄い場合、又は、側壁部133及び135の上に完全に折り畳まれた状態における互いの間の間隔が広い場合には、物品500AがICチップ30の真上の底部131を直接的に押圧するおそれがある。
従って、側壁部133及び135の厚さ(図3におけるY軸方向の厚さ)と、側壁部133及び135のZ軸方向の長さ(図3参照)とは、物品500AがICチップ30の真上の底部131を直接的に押圧することがないような寸法に設定することが望ましい。このような寸法は、物品500Aの寸法との関係で設定すればよい。
また、以上では、RFIDタグ100が応力を受けた場合に、カバー部130で応力を吸収し、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することについて説明した。
しかしながら、RFIDタグ100は、カバー部130を有することにより、特に物品500が金属製である場合には、次のような効果を奏する。
例えば、図4(A)に示すように、RFIDタグ100のカバー部130が金属製の物品500に当接している状態では、ICチップ30と物品500との間には、カバー部130のZ軸方向の高さの分だけギャップが生じる。
一般に、アンテナは、金属物の表面に配設されると放射特性が低下し、通信を行うことが困難になる。金属物の近傍に配設されるアンテナが通信を行うためには、アンテナと金属物との間に、例えば、15mm程度のギャップがあることが望ましい。
この点において、実施の形態1のRFIDタグ100は、図4(A)に示すように、カバー部130が金属製の物品500に当接している状態では、ICチップ30と物品500との間に比較的大きなギャップが生じる。このため、カバー部130の高さを、例えば、15mm以上にすれば、金属製の物品500の近傍に配設されても、アンテナ20(図2参照)によって通信を行うことが可能である。
以上、実施の形態1のRFIDタグ100によれば、カバー部130に応力がかかっていないときに、カバー部130のZ軸正方向側の端部が物品500に当接している状態では、カバー部130の高さだけ、インレイ110を金属製の物品500から離間させることができ、RFIDタグ100は通信を行うことができる。
また、カバー部130のZ軸正方向側の端部側から物品500によって押圧された場合は、カバー部130の側壁部132〜135が折り畳まれることにより、応力を吸収するとともに、ICチップ30の真上に空間を形成するので、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
また、このように、物品500によって押圧されて、カバー部130の側壁部132〜135が折り畳まれている状態では、アンテナ20と金属製の物品500との間のギャップが小さくなるため、側壁部132〜135が起立している場合よりは通信性能が低下する。
しかしながら、金属製の物品500が移動されることにより、カバー部130の側壁部132〜135が物品500によって押圧される状態から解放されれば、側壁部132〜135は起立した状態に復元する。
このように、側壁部132〜135は起立した状態に復元した後は、カバー部130のZ軸正方向側の端部が物品500に当接していても、カバー部130の高さだけ、インレイ110を金属製の物品500から離間させることができ、RFIDタグ100の良好な通信状態を確保することができる。
なお、以上では、ICチップ30とアンテナ20がインレイ110に含まれる形態について説明した。すなわち、アンテナ20はシート部10に形成され、ICチップ30はシート部10に実装され、アンテナ20とICチップ30は、シート部40によって覆われている。
しかしながら、インレイ110は、シート部40を含まなくてもよい。また、RFIDタグ100は、シート部10とシート部40を含まずに、カバー部120と、カバー部130の底部131とのいずれかに、アンテナ20が形成され、ICチップ30が実装されてもよい。
また、実施の形態1のRFIDタグ100は、図8に示すように変形してもよい。
図8は、実施の形態1の第1変形例によるRFIDタグ100Bを示す断面図である。
図8に示すRFIDタグ100Bは、インレイ110と、カバー部120A及び130を含む。インレイ110とカバー部130の構成は、図1乃至図5に示すインレイ110及びカバー部130と同様である。
カバー部120Aは、底部121と4つの側壁部を有する。図8には、4つの側壁部のうちの側壁部123及び125のみを示す。底部121は、図1に示すカバー部120と同様であり、4つの底部121は、図3に示す側壁部132〜135と同様である。底部121と4つの側壁部は、それぞれカバー部130の底部131と側壁部132〜135と同様である。
すなわち、図8に示すカバー部120Aは、図1に示すカバー部120に、4つの側壁部によって構築される枠部を追加した構成を有する。
ここで、底部131とカバー部120を一つの外装部材として捉えるとともに、底部131の上面を外装部材の主面、カバー部120の下面を外装部材の裏面として捉えて考えると、図8に示すRFIDタグ100Bは、外装部材の主面と裏面にそれぞれ枠部を有することになる。
RFIDタグ100Bは、図8に示すように、インレイ110の上下両側に、枠部を有するカバー部120A及び130を含むので、重い物品500が上下のどちら側に位置しても、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
また、RFIDタグ100Bは、カバー部120A及び130の厚さを、例えば、15mm以上にしておけば、物品500が金属製である場合に、物品500が上下どちら側に当接した場合でも、アンテナ20(図2参照)によって通信を行うことが可能である。
また、実施の形態1のRFIDタグ100は、図9に示すように変形してもよい。
図9は、実施の形態1の第2変形例によるカバー部130E、130F、130Gを示す上面図である。
図9(A)に示すように、カバー部130Eは、底部131E、及び側壁部132E、133E、134E、135Eを有する。
カバー部130Eは、底部131Eの4つの角が丸く面取りされており、これに合わせて、側壁部132E、133E、134E、135Eの角部136E1、136E2、136E3、136E4は、平面視で弧を描くように湾曲されている。
図9(A)に示すカバー部130Eを図3に示すカバー部130の代わりに用いてもよい。
なお、カバー部130Eの角部136E1、136E2、136E3、136E4の厚さT1を、側壁部132E、133E、134E、135Eの湾曲していない部分の厚さT2よりも薄くしてもよい。
このように、側壁部132E、133E、134E、135Eの湾曲していない部分よりも、角部136E1、136E2、136E3、136E4を薄くすれば、カバー部130Eが応力を受けた場合に、より変形しやすくなる。
また、図9(B)、(C)に示すように、平面視で長い円形状、又は、円形状のカバー部130F、130Gを用いてもよい。
図9(B)に示すカバー部130Fは、底部131F、側壁部132F、133F、134F、135Fを有する。底部131Fは、平面視で四角形の両脇に半円を付け足したような形状(長い円形状)をしている。側壁部132Fと134Fは平板状であり、側壁部133Fと135Fは、それぞれ、円筒を中心軸に沿って二等分したような形状をしている。
なお、カバー部130Fに応力がかかったときに折れ曲がり易くするために、側壁部133Fと135Fの厚さを側壁部132Fと134Fの厚さよりも薄くしてもよい。
図9(B)に示すカバー部130Fを図3に示すカバー部130の代わりに用いてもよい。
図9(C)に示すカバー部130Gは、底部131Gと側壁部132Gを有する。底部131Fは、平面視で円形であり、側壁部132Fは円筒状である。なお、底部131Gと側壁部132Gは楕円形であってもよい。
図9(C)に示すカバー部130Fを図3に示すカバー部130の代わりに用いてもよい。
次に、図10を用いて、図3(A)に示した側壁部132の溝部132Aの幅と深さの関係について説明する。
図10は、側壁部132の溝部132Aの幅と深さの関係を説明する図である。図3(A)に示す溝部132Aは、側壁部132の矩形状の側面に斜めに形成されているが、図10では側壁部132の一部分を抜き出し、溝部132Aが水平方向に沿って形成されているものとして説明する。また、側壁部132のうち、溝部132Aよりも上側の部分を側壁部132Uと称し、溝部132Aよりも下側の部分を側壁部132Lと称す。
図10(A)には、左側に溝部132Aを拡大して示す。図10(A)に示す側壁部132は、太い矢印で示す応力がかかると、図10(B)に示すように、溝部132Aを内側にして側壁部132Lの上に側壁部132Uが重なるように折り畳まれる。
従って、図10(A)に示す溝部132Aの幅W1と深さD1とは、W1≧2×D1の関係を満たすように設定されることが望ましい。
溝部132Aの幅W1と深さD1とがW1≧2×D1の関係を満たせば、図10(C)に示すように、側壁部132Uと側壁部132Lは、溝部132Aの内部に収納されるため、側壁部132Uと側壁部132Lとが完全に重なり合うように折り畳まれる。
ところが、溝部132Aの幅W1と深さD1とがW1≧2×D1の関係を満たない場合は、図10(D)に示すように、側壁部132Uと側壁部132Lは、溝部132Aの内部に収まり切らないため、側壁部132Uと側壁部132Lとが干渉してしまい、側壁部132は完全に折り畳まれないおそれがある。
従って、溝部132Aの幅W1と深さD1とがW1≧2×D1の関係を満たすように、溝部132Aを形成することが望ましい。これは、溝部132B、134A、134Bについても同様である。
なお、溝部132Aの深さD1と幅W1については、折り畳まれる際の曲がり易さ、強度、及び耐久性等を考慮して最適な寸法に設定すればよい。
次に、図11を用いて、カバー部130の底部131と側壁部132〜135の各部の寸法と、ICチップ30の位置との関係について説明する。
図11は、カバー部130の底部131と側壁部132〜135の各部の寸法と、ICチップ30の位置との関係を示す図である。図11(A)は平面図であり、図11(B)は(A)のB−B矢視断面図である。なお、図11では、溝部132A、132B、134A、134Bを省略する。
図11(A)及び(B)に示すように、側壁部132〜135の各内側の面からICチップ30までの長さをLn(n=1〜4)とする。また、図11(B)に示すように、側壁部132〜135の底部131の表面からの高さ(Z軸方向の長さ)をH1とする。
図11(B)に破線で示すように側壁部132がカバー部130の内側に倒れたときに、側壁部132がICチップ30の真上に存在しないことが望ましいため、側壁部132の内側の面からICチップ30までの長さをL1は、L1>H1であることが望ましい。
同様に、側壁部133、134、135の内側の面からICチップ30までの長さをL2、L3、L4は、それぞれ、L2>H1、L3>H1、L4>H1であることが望ましい。
側壁部132、133、134、135の内側の面からICチップ30までの長さL1、L2、L3、L4が、側壁部132〜135の底部131の表面からの高さH1の寸法よりも長ければ、側壁部132〜135がカバー部130の内側に倒れたときに、ICチップ30の真上に側壁部132〜135が存在することを抑制できる。
従って、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を効果的に抑制することができ、より信頼性の高いRFIDタグ100を提供することができる。
次に、図12を用いて、実施の形態1の第3変形例のRFIDタグ100Hについて説明する。
図12は、実施の形態1の第3変形例のRFIDタグ100Hを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は折り畳まれた状態を示す斜視図、(C)は(B)のC−C矢視断面図である。
図12(A)、(B)、(C)に示すように、RFIDタグ100Hは、インレイ110、カバー部120、130Hを有する。インレイ110及びカバー部120の構成は、図3乃至図5に示すインレイ110及びカバー部120と同様である。
カバー部130Hは、底部131、及び側壁部132H、133H、134H、135Hを有する。
底部131は、カバー部120(図1(B)参照)と同様のサイズを有する平面視で矩形状の薄板状の部分である。底部131は、図3乃至図5に示す底部131と同様である。
側壁部132H〜135Hは、底部131の四辺から枠状に起立している。側壁部132H〜135Hは、図3乃至図5に示す側壁部132〜135と同様であるが、側壁部132Hと134Hの外側の面に、溝部132H1及び132H2と、溝部134H1及び134H2が形成される点が異なる。
溝部132H1は、底部131の頂点131AからY軸正方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132H1の上端は、側壁部132Hの上辺にまで達している。溝部132H1の上端は、側壁部132HのY軸方向の中点よりもY軸負方向側に位置する。溝部132H1は、図3に示す溝部132Aを外側の面に移動させた構成を有する。
溝部132H2は、YZ平面視で、溝部132H1とは軸対称に形成されている。対称軸は、Z軸に平行で、側壁部132HのY軸方向の長さの中点を通る軸である。溝部132H2は、底部131の頂点131DからY軸負方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132H2の上端は、側壁部132Hの上辺にまで達している。溝部132H2の上端は、側壁部132HのY軸方向の中点よりもY軸正方向側に位置する。溝部132H2は、図3に示す溝部132Bを外側の面に移動させた構成を有する。
溝部134H1、134H2は、側壁部134Hの外側の面に、それぞれ、側壁部132Hの溝部132H1、132H2と同様の位置に形成されている。
カバー部130Hに応力がかかると、図12(B)に示すように、側壁部132H及び134Hが完全に折り畳まれ、側壁部133H及び135Hは、底部131の上に折り重なった状態になる。図12(B)に示す状態は、カバー部130HがZ軸方向に完全に折り畳まれ、Z軸方向の厚さが最も薄くなる状態である。
図12(B)に示すRFIDタグ100HのC−C矢視断面は、図12(C)に示すように、側壁部132Hが底部131の上に完全に折り畳まれ、側壁部133H及び135Hは、側壁部132Hの上に折り重なった状態になる。
ここで、ICチップ30を平面視で底部131の略中央に位置させておき、側壁部133H及び135HのZ軸方向の長さ(図12(A)参照)を、それぞれ、図12(B)、(C)に示すように、完全に折り畳まれた状態でも、ICチップ30に重ならない長さに設定しておくことが望ましい。
このようにしておけば、図12(B)、(C)に示すように、側壁部132H及び134Hが底部131の上に完全に折り畳まれ、側壁部133H及び135Hが側壁部132H及び134Hの上に折り重なっても、ICチップ30の上側に、空間を確保することができる。この空間には、側壁部132H〜135Hは位置していない。
従って、物品500(図4(A)参照)によってRFIDタグ100Hのカバー部130Hが完全に押し潰された状態でも、ICチップ30の上側に空間を確保することができ、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
次に、図13を用いて、実施の形態1の第4変形例によるカバー130Iについて説明する。
図13は、実施の形態1の第4変形例によるカバー130Iを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のD−D矢視断面図、(C)は(A)のE−E矢視断面図である。
図13(A)に示すように、カバー部130Iは、底部131、及び側壁部132I、133I、134I、135Iを有する。
底部131は、カバー部120(図1(B)参照)と同様のサイズを有する平面視で矩形状の薄板状の部分である。底部131は、図3乃至図5に示す底部131と同様である。
側壁部132I〜135Iは、底部131の四辺から枠状に起立している。側壁部132I〜135Iは、図3乃至図5に示す側壁部132〜135と同様であり、側壁部132Iは、図3乃至図5に示す側壁部132の溝部132A、132Bと同様の溝部132I1、132I2を有する。また、側壁部134Iは、図3乃至図5に示す側壁部134の溝部134A、134Bと同様の溝部134I1、134I2を有する。
側壁部132I〜135Iは、側壁部132Iと134Iの外側の面の下側に、溝部137I1と137I2が形成されるとともに、側壁部133Iと135Iの内側の面の下側に、溝部138I1と138I2が形成されている点が図3乃至図5に示す側壁部132〜135と異なる。
溝部137I1と137I2は、それぞれ、側壁部132Iと134Iの外側の面の下側において、底部131の表面に沿って形成されている。溝部137I1と137I2の高さは、底部131の表面と等しい。溝部137I1と137I2は、ともにY軸に沿って形成されている。溝部137I1は、溝部132I1及び132I2の下端と連通していてもよい。溝部137I2は、溝部134I1及び134I2の下端と連通していてもよい。
溝部138I1と138I2は、それぞれ、側壁部133Iと135Iの内側の面の下側において、底部131の表面に沿って形成されている。溝部138I1と138I2の高さは、底部131の表面と等しい。溝部138I1と138I2は、ともにX軸に沿って形成されている。
このように、溝部137I1と137I2と溝部138I1と138I2を有するカバー部130Iは、側壁部132I〜135Iが、より折れ曲がり易いので、応力がかかった場合に、応力をより吸収し易い構造を得ることができる。
なお、図14(A)〜(C)に示すように、溝部132I1、132I2、134I1、134I2は、それぞれ、側壁部132I、134Iの外側の面に形成されていてもよい。
図14は、図13に示すカバー部130Iを変形したカバー部130Jを示す図である。図14に示すカバー部130Jは、図13に示すカバー部130Iの溝部132I1、132I2、134I1、134I2を側壁部132I、134Iの外側の面に移すとともに、溝部137I1と137I2を側壁部132I、134Iの内側に移した構成を有する。
側壁部132J、134Jの外側の面には、それぞれ、溝部132J1、132J2、134J1、134J2が形成されている。また、側壁部132J、134Jの内側の面には、それぞれ、溝部137J1と137J2が形成されている。
図13に示すように、側壁部132I、134Iの内側の面に溝部132I1、132I2、134I1、134I2を形成するか、図14に示すように側壁部132J、134Jの外側の面に溝部132J1、132J2、134J1、134J2を形成するかは、応力のかかり方、又は、用途等に応じて適宜決めればよい。
なお、例えば、図9(B)に示したカバー部130Fに溝部を形成してもよい。
図15は、カバー部130Kを示す図である。カバー部130Kは、図9(B)に示すカバー部130Fに、溝部132K1、132K2、134K1、134K2を追加した構成を有する。図15(A)は斜視図、(B)は折り畳まれた状態を示す斜視図、(C)は(B)のH−H矢視断面図である。
カバー部130Kは、底部131F、側壁部132F、133F、134F、135Fを有する。底部131F、側壁部132F、133F、134F、135Fは、図9(B)に示すカバー部130Fと同様のものである。
溝部132K1、132K2は、側壁部132Fの内側の面に形成されている。溝部132K1の下端は、側壁部132Fと側壁部133Fとの境界の下端から、Y軸正方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132K1の上端は、側壁部132Fの上辺にまで達している。溝部132K1の上端は、側壁部132FのY軸方向の中点よりもY軸負方向側に位置する。
溝部132K2は、YZ平面視で、溝部132K1とは軸対称に形成されている。対称軸は、Z軸に平行で、側壁部132FのY軸方向の長さの中点を通る軸である。溝部132K2は、側壁部132Fと側壁部135Fの境界の下端からY軸負方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132K2の上端は、側壁部132Fの上辺にまで達している。溝部132K2の上端は、側壁部132FのY軸方向の中点よりもY軸正方向側に位置する。
溝部134K1、134K2は、側壁部134Fの内側の面に、それぞれ、側壁部132Fの溝部132K1、132K2と同様の位置に形成されている。
このようなカバー部130Kに図15(A)に太い矢印で示すような応力がかかると、図15(B)に示すように、側壁部133Fと135Fとが底部131Fに向かって内側に倒れるとともに、側壁部132Fと134Fはカバー部130Kの外側に倒れる。
このとき、側壁部132F〜135Fの高さの寸法が、側壁部132F〜135Fの内側の面からICチップ30までの長さよりも短くなるように設定しておけば、図15(B)、(C)に示すように、側壁部132F〜135Fが折り畳まれても、底部131Fの中央部に側壁部132F〜135Fが位置しない部分を設けることができる。
これにより、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
また、ここで、実施の形態1の最後に、第5変形例によるRFIDタグ100Lについて説明する。
図16は、実施の形態1の第5変形例によるRFIDタグ100Lを示す斜視図である。
RFIDタグ100Lは、カバー部120及び130Lを含む。図16にはインレイを図示しないが、図1(B)及び図2に示すインレイ110と同様のインレイは、図16に示すカバー部120と130Lとの間に配設される。
カバー部130Lは、底部131、及び側壁部132L、133L、134L、135Lを有する。
側壁部132L〜135Lは、底部131の四辺から枠状に起立している。側壁部132L〜135Lは、図3に示す側壁部132〜135と同様であるが、互いの境界部(角部131A〜131Dの上に位置する境界部)は、平面視で湾曲した形状になっている。
なお、側壁部132〜135の互いの境界部の湾曲した部分の厚さは、側壁部132〜135の平面視で直線的な部分の厚さよりも薄くてもよい。これは、実施の形態1の第2変形例によるカバー部130E(図9(A)参照)と同様である。
側壁部132L〜135Lの内側の面には、それぞれ、溝部132L1及び132L2、溝部133L1及び133L2、溝部134L1及び134L2、溝部135L1及び135L2が形成されている。
溝部132L1は、底部131の頂点131AからY軸正方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132L1の上端は、側壁部132Lの上辺にまで達している。溝部132L1の上端は、側壁部132LのY軸方向の中点よりもY軸負方向側に位置する。
溝部132L2は、YZ平面視で、溝部132L1とは軸対称に形成されている。対称軸は、Z軸に平行で、側壁部132LのY軸方向の長さの中点を通る軸である。溝部132L2は、底部131の頂点131DからY軸負方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部132L2の上端は、側壁部132Lの上辺にまで達している。溝部132L2の上端は、側壁部132LのY軸方向の中点よりもY軸正方向側に位置する。
側壁部134Lの内側の面に形成される溝部134L1及び134L2は、側壁部132Lの内側の面に形成される溝部132L1及び132L2と同様である。
また、溝部133L1は、底部131の頂点131BからX軸負方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部133L1の上端は、側壁部133Lの上辺にまで達している。溝部133L1の上端は、側壁部133LのX軸方向の中点に位置し、溝部133L2と繋がっている。
溝部133L2は、XZ平面視で、溝部133L1とは軸対称に形成されている。対称軸は、Z軸に平行で、側壁部133LのX軸方向の長さの中点を通る軸である。溝部133L2は、底部131の頂点131AからX軸正方向側かつZ軸正方向側に伸延しており、溝部133L2の上端は、側壁部133Lの上辺にまで達している。溝部133L2の上端は、側壁部133LのY軸方向の中点に位置し、溝部133L1と繋がっている。
側壁部135Lの内側の面に形成される溝部135L1及び135L2は、側壁部133Lの内側の面に形成される溝部133L1及び133L2と同様である。
また、側壁部132L〜135Lの外側の面には、それぞれ、溝部132L3及び132L4、溝部133L3及び133L4、溝部134L3及び134L4、溝部135L3及び135L4が形成されている。
溝部132L3及び132L4は、それぞれ、側壁部132の外側の面において、溝部132L1及び132L2に対応する位置に形成される。すなわち、溝部132L3及び132L4は、それぞれ、YZ面視で、溝部132L1及び132L2と重なる位置に形成されている。
この関係は、溝部133L3及び133L4と溝部133L1及び133L2、溝部134L3及び134L4と溝部134L1及び134L2、溝部135L3及び135L4と溝部135L1及び135L2において同様である。
また、側壁部132L〜135Lの外側の面の底部には、底部131の表面と同じ高さの位置に、溝部132L5、133L5、134L5、135L5が形成されている。溝部132L5、133L5、134L5、135L5は、それぞれ、側壁部132L〜135Lの下端に沿って、各長手方向に伸延している。
以上のように、カバー部130Lの側壁部132L〜135Lには、内側と外側の両方の面に溝部132L1〜135L1、132L2〜135L2、132L3〜135L3、132L4〜135L4が形成され、かつ、外側の面の下端に、溝部132L5〜135L5が形成されている。
従って、カバー部130Lに応力がかかっていないときに、カバー部130LのZ軸正方向側の端部が物品500に当接している状態では、カバー部130Lの高さだけ、インレイ110を物品500から離間させることができ、RFIDタグ100Lは通信を行うことができる。
また、カバー部130LのZ軸正方向側の端部側から物品500によって押圧された場合は、カバー部130Lの側壁部132L〜135Lが折り畳まれることにより、応力を吸収するとともに、インレイ110に含まれるICチップ30の真上に空間を形成するので、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
<実施の形態2>
図17は、実施の形態2のRFIDタグ200を示す図である。図17(A)は斜視図、図17(B)は(A)に示すRFIDタグ200に応力がかかって折り畳まれた状態を示す図である。
実施の形態2のRFIDタグ200は、カバー部230の構成が実施の形態1のRFIDタグ100と異なる。以下、実施の形態1のRFIDタグ100と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図17(A)に示すように、RFIDタグ200は、カバー部120と230を含む。なお、インレイ110(図1(B)参照)は、カバー部120と230との間に挟まれているため、図17(A)では図示を省略する。実施の形態2のRFIDタグ200は、実施の形態1のRFIDタグ100のカバー部130(図1(B)参照)の代わりに、カバー部230を用いたものである。
カバー部230は、底部131、及び側壁部232、233、234、235を有する。
RFIDタグ200は、XY平面と平行な方向、又は、XY平面と比較的平行に近い方向の応力に対しては、カバー部120及び底部131の面方向に力を受けるため、耐久性が高い。しかしながら、カバー部120及び底部131は、Z軸方向には薄いため、Z軸方向の応力に対する対策が必要である。
このため、RFIDタグ200は、Z軸方向の応力への対策として、カバー部230が底部131から起立する側壁部232〜235を有する。
側壁部232〜235は、底部131の四辺から枠状に起立している。側壁部232〜235は、枠部の一例である。側壁部232〜235は、一例として、底部131と一体的に形成されている。側壁部232〜235と底部131は、中空の直方体から上面を取り除いた形状を構築する。
側壁部232と234は、互いに向かい合っており、互いに等しい寸法を有する。また、側壁部233と235は、互いに向かい合っており、互いに等しい寸法を有する。
側壁部232〜235は、高さ(Z軸方向の長さ)は等しいが、側壁部232及び234の長手方向の長さ(Y軸方向の長さ)は、側壁部233及び235の長手方向の長さ(X軸方向の長さ)よりも長い。
なお、側壁部232及び234と、側壁部233及び235との長手方向の寸法は等しくてもよく、側壁部232及び234よりも、側壁部233及び235の方が長手方向の寸法が長くてもよい。
側壁部232〜235の外側の面には、それぞれ、溝部232A〜235Aが形成されている。
溝部232Aは、側壁部232の高さの中央において、Y軸正方向側に伸延しており、両端は側壁部232の両端にまで達している。溝部233Aは、側壁部233の高さの中央において、X軸正方向側に伸延しており、両端は側壁部233の両端にまで達している。
溝部234Aは、側壁部234の外側の面に、側壁部232の溝部232Aと同様の位置に形成されている。溝部235Aは、側壁部235の外側の面に、側壁部233の溝部233Aと同様の位置に形成されている。
また、カバー部230には、さらに、スリット236A、236B、236C、236Dが形成されている。
スリット236Aは、側壁部232と233との間に位置し、底部131の角部131Aの真上に位置する。スリット236Aは、実施の形態1の側壁部132と133との合わせ目を、Z軸に沿ってくり抜いたような形状をしている。スリット236Aは、カバー部230の下端と上端237Aを残して形成されている。
換言すれば、スリット236Aは、カバー部230の下端と上端237Aを残して、側壁部232のY軸負方向側の端部をY軸方向に所定の長さだけ切り欠くとともに、側壁部233のX軸負方向側の端部をX軸方向に所定の長さだけ切り欠くことによって形成されている。
スリット236Bは、側壁部233と234との間に位置し、底部131の角部131Bの真上に位置する。スリット236Bは、実施の形態1の側壁部133と134との合わせ目を、Z軸に沿ってくり抜いたような形状をしている。スリット236Bは、カバー部230の下端と上端237Bを残して形成されている。
換言すれば、スリット236Bは、カバー部230の下端と上端237Bを残して、側壁部233のX軸正方向側の端部をX軸方向に所定の長さだけ切り欠くとともに、側壁部234のY軸負方向側の端部をY軸方向に所定の長さだけ切り欠くことによって形成されている。
スリット236Cは、側壁部234と235との間に位置し、底部131の角部131Cの真上に位置する。スリット236Cは、実施の形態1の側壁部134と135との合わせ目を、Z軸に沿ってくり抜いたような形状をしている。スリット236Cは、カバー部230の下端と上端237Cを残して形成されている。
換言すれば、スリット236Cは、カバー部230の下端と上端237Cを残して、側壁部234のY軸正方向側の端部をY軸方向に所定の長さだけ切り欠くとともに、側壁部235のX軸正方向側の端部をX軸方向に所定の長さだけ切り欠くことによって形成されている。
スリット236Dは、側壁部235と232との間に位置し、底部131の角部131Dの真上に位置する。スリット236Dは、実施の形態1の側壁部135と132との合わせ目を、Z軸に沿ってくり抜いたような形状をしている。スリット236Dは、カバー部230の下端と上端237Dを残して形成されている。
換言すれば、スリット236Dは、カバー部230の下端と上端237Dを残して、側壁部235のX軸負方向側の端部をX軸方向に所定の長さだけ切り欠くとともに、側壁部232のY軸正方向側の端部をY軸方向に所定の長さだけ切り欠くことによって形成されている。
このようなスリット236A、236B、236C、236Dは、カバー部230がZ軸方向の応力を受けた際に、側壁部232〜235が変形し易くするために設けられている。
実施の形態2のRFIDタグ200は、図17(A)に太い矢印で示すように、Z軸負方向の応力がかかると、図17(B)に示すように、カバー部230が折り畳まれる。
側壁部232〜234の外側の面には、それぞれ溝部232A〜235Aが形成されているため、側壁部232〜235は、Z軸負方向の応力がかかると、溝部232A〜235Aを内側にして折れ曲がり易くなっている。
従って、RFIDタグ200にZ軸負方向の応力がかかると、図17(B)に示すように、溝部232A〜235Aを谷として谷折りになるように、側壁部232〜235が折り畳まれる。このとき、側壁部232〜235は、それぞれの両端が干渉するため、図17(B)には、側壁部233と235の両端が、側壁部232と234の両端の上に重なっている状態を示す。しかしながら、これとは逆に、側壁部232と234の両端が、側壁部233と234の両端の上に重なることによってカバー部230が折り畳まれる場合もある。
なお、側壁部232〜235が折り畳まれる際には、上端237A、237B、237C、237Dにせん断力がかかる。また、側壁部232〜235が折り畳まれる際に、上端237A、237B、237C、237Dが破断すると、側壁部232〜235が起立した状態に復元しにくくなる。
従って、上端237A、237B、237C、237Dの強度については、側壁部232〜235が折り畳まれる際に破断しないように、長さ、幅、又は太さ等を設定しておいてもよい。
なお、用途によっては、側壁部232〜235が折り畳まれる際に上端237A、237B、237C、237Dが破断した方が、ICチップ30に格納される識別情報を保護する等の観点から好ましい場合もあり得る。このような場合には、上端237A、237B、237C、237Dが破断し易いような長さ、幅、又は太さ等に設定すればよい。
ここで、図18を用いて、側壁部232〜235に形成される溝部232A〜235Aの底部131からの高さについて説明する。
図18は、溝部232Aの底部131からの高さと、側壁部232の内側の面からICチップ30までの距離との関係を示す図である。ここでは、便宜的に、側壁部232を溝部232Aよりも上側の側壁部232Uと、溝部232Aよりも下側の側壁部232Lとに分けて説明する。
図18(A)に示すように、底部131の表面から溝部232Aの下端(側壁部232Lの上端)までの高さをH2とし、側壁部232の内側の面からICチップ30までの距離をLmとする。
側壁部232は、太い矢印で示すようにZ軸負方向の応力がかかると、図18(B)に示すように、溝部232Aを内側にして、溝部232Aを谷とする谷折りになるように折り畳まれる。
このように側壁部232が折り畳まれる際に、側壁部232がICチップ30と重ならないようにするためには、図18(A)に示す底部131の表面から側壁部232Lの上端までの高さH2の寸法が、側壁部232の内側の面からICチップ30までの距離Lmよりも
短いことが必要である。すなわち、H2<Lmが成立することが必要である。
そして、このような関係は、側壁部233〜235についても成立する必要がある。
従って、側壁部232〜235のすべてについて、H2<Lmが成立するように、溝部232A〜235Aの高さと、側壁部232〜235の内側の面からICチップ30までの距離を設定すればよい。
なお、溝部232A〜235Aの位置は、側壁部232〜235の高さのうちのどこに設定してもよい。すなわち、溝部232A〜235Aの高さ方向における位置(底部131の表面からの高さ)は、どのように設定してもよい。
溝部232A〜235Aの高さ方向における位置(底部131の表面からの高さ)は、側壁部232〜235の高さ方向の長さの中点であってもよいし、中点からオフセットしていてもよい。
また、側壁部232〜235が折り畳まれる際に、上端237A、237B、237C、237Dが破断し易くなるように、溝部232A〜235Aの高さ方向における位置を設定してもよい。上端237A、237B、237C、237Dに応力が集中するような位置に、溝部232A〜235Aの高さ方向における位置を設定すれば、カバー部230が折り畳まれる際に、上端237A、237B、237C、237Dが破断し易くなり、応力を効果的に吸収することができる。
なお、溝部232A、232B、234A、234Bが形成されている方が、カバー部230は、Z軸正方向側から応力を受けた場合に変形し易い。しかしながら、溝部232A、232B、234A、234Bが形成されていなくても、カバー部230が同様に変形できる場合は、溝部232A、232B、234A、234Bを形成しなくてもよい。
また、スリット236A、236B、236C、236Dが形成されている方が、カバー部230は、Z軸正方向側から応力を受けた場合に変形し易い。しかしながら、スリット236A、236B、236C、236Dが形成されていなくても、カバー部230が同様に変形できる場合は、スリット236A、236B、236C、236Dを形成しなくてもよい。
以上、実施の形態2のRFIDタグ200によれば、カバー部230に応力がかかっていないときに、カバー部230のZ軸正方向側の端部が物品500に当接している状態では、カバー部230の高さだけ、インレイ110を金属製の物品500から離間させることができ、RFIDタグ200は通信を行うことができる。
また、カバー部230のZ軸正方向側の端部側から物品500によって押圧された場合は、カバー部230の側壁部232〜235が折り畳まれることにより、応力を吸収するとともに、ICチップ30の真上に空間を形成するので、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
また、このように、物品500によって押圧されて、カバー部230の側壁部232〜235が折り畳まれている状態では、アンテナ20と金属製の物品500との間のギャップが小さくなるため、側壁部232〜235が起立している場合よりは通信性能が低下する。
しかしながら、金属製の物品500が移動されることにより、カバー部230の側壁部232〜235が物品500によって押圧される状態から解放されれば、側壁部232〜235は起立した状態に復元する。
このように、側壁部232〜235は起立した状態に復元した後は、カバー部230のZ軸正方向側の端部が物品500に当接していても、カバー部230の高さだけ、インレイ110を金属製の物品500から離間させることができ、RFIDタグ200の良好な通信状態を確保することができる。
図19は、実施の形態2の第1変形例のRFIDタグ200Aを示す図である。図19(A)は斜視図、図19(B)は(A)に示すRFIDタグ200Aに応力がかかって折り畳まれた状態を示す図である。図19(C)は(B)のI−I矢視断面を示す図である。図19(D)は、第2変形例のRFIDタグ200Bを示す断面図である。
実施の形態2のRFIDタグ200Aは、図17に示すカバー部230の代わりに、カバー部230Aを含む。カバー部230Aは、実施の形態2のRFIDタグ200のカバー部230の側壁部232〜235の外側の面に形成される溝部232A〜235A(図17(A)参照)の代わりに、側壁部232〜235の内側の面に形成される溝部232B〜235Bを有する。
その他の構成は、実施の形態2のRFIDタグ200(図17参照)と同様であるため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
側壁部232〜235の内側の面には、それぞれ、溝部232B〜235Bが形成されている。
溝部232Bは、側壁部232の高さの中央において、Y軸正方向側に伸延しており、両端は側壁部232の両端にまで達している。溝部233Bは、側壁部233の高さの中央において、X軸正方向側に伸延しており、両端は側壁部233の両端にまで達している。
溝部234Bは、側壁部234の内側の面に、側壁部232の溝部232Bと同様の位置に形成されている。溝部235Bは、側壁部235の内側の面に、側壁部233の溝部233Bと同様の位置に形成されている。
RFIDタグ200Aは、Z軸負方向の応力がかかると、図19(B)、(C)に示すように、カバー部230Aが折り畳まれる。
側壁部232〜234の内側の面には、それぞれ溝部232B〜235Bが形成されているため、側壁部232〜235は、Z軸負方向の応力がかかると、溝部232B〜235Bを外側にして折れ曲がり易くなっている。
従って、RFIDタグ200AにZ軸負方向の応力がかかると、図19(B)に示すように、溝部232B〜235Bを山として山折りになるように、側壁部232〜235が折り畳まれる。
また、このときに、側壁部232〜235の溝部232B〜235Bよりも下側の部分は、平面視で底部131よりも外側に折り曲げられるため、折り曲げられた状態の側壁部232〜235は、平面視で底部131よりも外側に位置する。このため、図19(B)に示すように、側壁部232〜235のそれぞれの両端は干渉しない。
なお、側壁部232〜235が折り畳まれる際には、上端237A、237B、237C、237Dにせん断力がかかるのは図17に示すカバー部230と同様であるため、上端237A、237B、237C、237Dの強度については、側壁部232〜235が折り畳まれる際に破断しないように、長さ、幅、又は太さ等を設定しておいてもよい。
また、上述のように、折り曲げられた状態の側壁部232〜235は、平面視で底部131よりも外側に位置するため、側壁部232〜235が折り曲げられた状態では、底部131の上には側壁部232〜235は存在しない。すなわち、側壁部232〜235が折り曲げられた状態では、ICチップ30の上に、側壁部232〜235は存在しない。
従って、物品500(図4(A)参照)又は物品500A(図7参照)によって押圧された場合に、物品500又は500Aが側壁部232〜235に当接し、かつ、底部131に当接しないように、側壁部232〜235のサイズ又は強度等を設定しておけば、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。側壁部232〜235が折り畳まれても、図19(C)に示すように、ICチップ30が配設する場所の上には、側壁部232〜235は位置しない。
なお、図17及び図19には、それぞれ、側壁部232〜235の外側の面及び内側の面に溝部232A〜235A及び232B〜235Bを形成する形態について説明した。しかしながら、図19(D)に示すように、このような溝部を側壁部232〜235の外側の面及び内側の面の両方に形成してもよい。
図19(D)には、実施の形態2の第2変形例のRFIDタグ200BのYZ平面に平行な断面を示す。図19(D)に示すように、RFIDタグ200Bのカバー部230Bの側壁部233と235には、それぞれ、溝部233A及び233Bと、溝部235A及び235Bが形成されている。溝部233A及び233Bと、溝部235A及び235Bとは、それぞれ、サイズが等しく、高さ方向の位置も等しい。
このような構成のカバー部230BにZ軸負方向の応力がかかった場合に、側壁部232〜235がカバー部230Bの内側に畳まれるか、外側に畳まれるかは、溝部232A〜235A及び232B〜235Bのサイズ又は位置等によって左右される。従って、側壁部232〜235が内側に畳まれても、ICチップ30の真上に位置しないように、側壁部232〜235のサイズを設定すればよい。
なお、溝部233A及び233Bと、溝部235A及び235Bとの高さ方向の位置が異なるようにすることにより、側壁部232〜235がカバー部230Bの内側に畳まれるか、外側に畳まれるかを設定してもよい。
また、この際に、溝部233A及び233Bと、溝部235A及び235Bとの高さ方向の位置に加えて、溝部233A及び233Bと、溝部235A及び235Bとの高さ方向の幅あるいは深さを調整してもよい。
図20及び図21は、実施の形態2の第2変形例のRFIDタグ200Bを示す図である。図20(A)は斜視図、(B)は(A)のJ−J矢視断面を示す図である。
図21(A)は図20(A)に示すRFIDタグ200Bに応力がかかって折り畳まれた状態を示す図であり、(B)は(A)のK−K矢視断面を示す図である。
実施の形態2のRFIDタグ200Bは、カバー部230の構成が実施の形態2のRFIDタグ200(図17(A)参照)と異なる。以下、実施の形態2のRFIDタグ200(図17(A)参照)と同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
図20(A)に示すように、RFIDタグ200Bは、カバー部120と230Bを含む。カバー部230Bは、底部131、側壁部232〜235を有する。カバー部230Bは、図17(A)に示すスリット236A〜236Dの代わりに、スリット310A〜310Dを形成したものである。カバー部230Bのその他の構成は、図17(A)に示すカバー部230の構成と同様である。
スリット310A〜310Dは、図21(A)、(B)に示すように、カバー部230Bが折り畳まれた状態で、側壁部232〜235同士が干渉しないように開口されている。
スリット310Aは、図20に示す状態において、上端237AからYZ平面内でZ軸に対して45度の角度をなす方向に溝部232Aまで切り欠かれている。また、スリット310Aは、溝部232Aより下の部分については、底部131の角部131AからYZ平面内でZ軸に対して45度の角度をなす方向に溝部232Aまで切り欠かれている。
また、スリット310Aは、図20に示す状態において、上端237AからXZ平面内でZ軸に対して45度の角度をなす方向に溝部233Aまで切り欠かれている。また、スリット310Aは、溝部232Aより下の部分については、底部131の角部131AからXZ平面内でZ軸に対して45度の角度をなす方向に溝部233Aまで切り欠かれている。
スリット310B〜310Dは、スリット310Aと同様の構成を有する。
従って、図21(A)、(B)に示すように、カバー部230Bが折り畳まれた状態で、側壁部232〜235同士は、干渉しない。
また、側壁部232〜235が折り畳まれた状態でも、図21(B)に破線の円で示す底部131の平面視における中央の領域には側壁部232〜235は存在しないため、ICチップ30に応力がかかることを抑制することができる。
次に、図22を用いて、スリット310A〜310Dのように折り畳まれた状態で、互いに干渉しないスリットの作製の仕方について説明する。
図22は、折り畳まれた状態で互いに干渉しないスリットを作製するために切り欠く部分を示す図である。図22では、一例として、側壁部232に切り欠き部320、330、340を形成する形態について説明する。側壁部232は、図20(A)に示す側壁部232と同様である。
図22(A)に示すように、側壁部232の内側の面には、Y軸に沿って溝部232Aが形成されている。側壁部232のうち、溝部232Aよりも上側の部分を側壁部232U、溝部232Aよりも下側の部分を側壁部232Lとする。また、側壁部232Uの高さをH11、側壁部232Lの高さをH12とし、H11<H12であるとする。なお、高さH11、H12には、図22(A)に示すように、溝部232Aの高さを均等に含ませてある。
ここで、側壁部232のY軸正方向側の端部について、下端側の角RからZ軸に対して45°の負の傾きで伸延する直線が溝部232Aと交わる点をQ、点Qから正の傾きで45°の角度で伸延する直線が上端と交わる点をP、点Rから上端に対して垂直な直線が上端と交わる点を点Sとする。
このような側壁部232に対して、四角形PQRSで表される部分を除去することにより、切り欠き部320を作製する。これは、側壁部232のY軸負方向側においても同様である。
そして、図20(A)に示す側壁部233〜235についても同様の切り欠き部320を形成すればよい。図20(A)に示すスリット310A〜310Dは、側壁部232〜235について、溝部232A〜235Aの下側の高さ(H12)と、上側の高さ(H11)とが等しい場合に、切り欠き部320を切り欠くことによって得られるスリットである。
なお、側壁部232Uの高さH11と、側壁部232Lの高さH12が等しい場合は、図21(A)、(B)に示すように折り畳まれた場合に、上側の側壁部232Lと下側の側壁部232Uが均等に動く。これは、側壁部233〜235についても同様である。
このような場合には、図20(A)に示す上端237A〜237Dにかかるせん断力は最小となる。
これに対して、側壁部232Uの高さH11と、側壁部232Lの高さH12が異なる場合は、側壁部232が折り畳まれる場合に、上側の側壁部232Lと下側の側壁部232Uとが動く量は均等ではない。これは、側壁部233〜235についても同様である。
従って、側壁部232〜235の溝部232A〜235Aより上側の高さH11と、溝部232A〜235Aより下側の高さH12が異なる場合は、図20(A)に示す上端237A〜237Dにかかるせん断力は大きくなる。
このため、側壁部232〜235の溝部232A〜235Aより上側の高さH11と、溝部232A〜235Aより下側の高さH12との関係は、せん断力を考慮して決定すればよい。
また、図22(B)に示すように、側壁部232Uの高さH11と、側壁部232Lの高さH12とが、H11<H12であるときに、側壁部323の一端からY軸方向の長さH12の部分を切り欠くことによって切り欠き部330を形成してもよい。これは、側壁部233〜235についても同様である。
この場合には、側壁部232〜235のそれぞれに切り欠き部330が形成されるため、側壁部232〜235が折り畳まれても、側壁部232〜235が互いに重なり合うことはない。
また、図22(C)に示すように、側壁部232Uの高さH11と、側壁部232Lの高さH12とが、H12<H11であるときに、側壁部323の一端からY軸方向の長さH12で、側壁部232の下端から高さ2×H12の部分を切り欠くことによって切り欠き部340を形成してもよい。これは、側壁部233〜235についても同様である。
H12<H11であるときに、側壁部323の一端からY軸方向の長さH12で、側壁部232の下端から高さ2×H12の部分である切り欠き部340を形成し、側壁部233〜235についても同様の切り欠き部340を形成すれば、応力がかかることによって側壁部232〜235が折り畳まれても、互いに重なり合うことはない。
なお、図23(C)に示す場合とは逆に、側壁部232Uの高さH11と、側壁部232Lの高さH12とが、H11<H12であるときは、側壁部323の一端からY軸方向の長さH11で、側壁部232の上端から高さ2×H11の部分を切り欠くことによって切り欠き部340を形成すればよい。これは、側壁部233〜235についても同様である。
以下では、図23乃至図26を用いて、実施の形態1及び2を変形した形態について説明する。
図23は、実施の形態1のRFIDタグ100を物品500に貼り付けた状態を示す図である。図23に示すRFIDタグ100は、図3(A)に示すRFIDタグ100と同様であり、カバー部130の上端(Z軸正方向側の端部)を物品500に貼り付けてある。ここでは、物品500が金属製であることとする。
このようにRFIDタグ100のカバー部130の上端(Z軸正方向側の端部)を物品500に貼り付ければ、RFIDタグ100に応力がかかっていない状態において、金属製の物品500からカバー部130の高さ(Z軸方向の長さ)だけインレイ110を離間させることができる。
カバー部130の高さ(Z軸方向の長さ)が、インレイ110のアンテナ20(図2参照)が通信を行うのに十分な高さ(例えば、15mm)であれば、RFIDタグ100に応力がかかっていない状態において、RFIDタグ100Aは通信を行うことができる。
図24は、RFIDタグ200Cのカバー部230Cが折り畳まれた状態を示す斜視図である。カバー部230Cは、図17(A)に示す実施の形態2のRFIDタグ200のカバー部230を変形したものであり、側壁部232、234の外側にある溝部232A、234Aを側壁部232、234の外側に移動させたものである。
図24に矢印で示すように、カバー部230Cの側壁部232Cと234Cは、外側に折り畳まれ、側壁部233Cと235Cは、内側に折り畳まれる。
図25は、RFIDタグ200Dのカバー部230Dが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
カバー部230Dは、底部350と、側壁部360〜369とを有する。側壁部360〜369は、3つの四角を描くように配設されており、底部350は3つの底部351、352、353に分けられている。
より具体的には、側壁部360、361、362、363は、平面視で底部351を囲むように、この順に反時計回りに配置されている。また、側壁部364、363、365、366は、平面視で底部352を囲むように、この順に反時計回りに配置されている。また、側壁部367、366、368、369は、平面視で底部353を囲むように、この順に反時計回りに配置されている。
側壁部360、362、367、368は、矢印で示すように、底部351、353から見て内側に折り畳まれる。側壁部365と366は、底部352から見て内側に折り畳まれるが、底部351、353から見ると外側に折り畳まれる。側壁部361、369は、矢印で示すように、底部351、353から見て外側に折り畳まれる。側壁部364、365は、矢印で示すように、底部352から見て外側に折り畳まれる。
このように、内側に折り畳まれる側壁部と、外側に折り畳まれる側壁部とが混在していてもよい。
図26は、RFIDタグ200Eを示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のL−L矢視側面を示す図である。図26に示すRFIDタグ200Eは、インレイ110、カバー部230E1、230E2を含む。カバー部230E1と230E2は同様の構成を有する。
カバー部230E1は、側壁部360E1〜369E1を有する。側壁部360E1〜369E1は、図25に示す側壁部360〜369と同様に配列されており、底部351E1、352E1、353E1を囲むように配設されている。また、側壁部369E1には、Z軸方向に貫通する貫通孔370E1が形成されている。
カバー部230E2も同様に9つの側壁部を有するが、図26(B)には、9つの側壁部のうちの側壁部361E2、363E2、366E2、369E2を示す。9つの側壁部は、底部351E1、352E1、353E1を囲むように配設される。
また、側壁部369E2には貫通孔370E2が形成されている。貫通孔370E1と370E1は、図26(B)に示すようにカバー部230E1と230E2を貼り合わせた状態で、連通しており、図26(B)に破線で示すように、ストラップ400を通すことができる。
RFIDタグ200Eは、ストラップ400を用いて、物品500に取り付けることができる。
従って、RFIDタグ200Eを用いれば、カバー部230E1及び230E2に応力がかかっていないときには、カバー部230E1及び230E2の高さだけ、インレイ110を金属製の物品500から離間させることができ、RFIDタグ200Eは通信を行うことができる。
また、カバー部230E1及び230E2が物品500によって押圧された場合は、カバー部230E1及び/又は230E2が折り畳まれることにより、応力を吸収するとともに、ICチップ30の真上に空間を形成するので、ICチップ30、又は、ICチップ30とアンテナ20との接続部の破損を抑制することができる。
また、このように、物品500によって押圧されて、カバー部230E1及び/又は230E2が折り畳まれている状態では、アンテナ20と金属製の物品500との間のギャップが小さくなるため、側壁部232〜235が起立している場合よりは通信性能が低下するおそれがある。
しかしながら、金属製の物品500が移動されることにより、カバー部230E1及び230E2が物品500によって押圧される状態から解放されれば、カバー部230E1及び230E2は起立した状態に復元する。
このように、カバー部230E1及び230E2が起立した状態に復元した後は、カバー部230E1及び230E2に物品500が当接していても、カバー部230E1及び230E2の高さだけ、インレイ110を金属製の物品500から離間させることができ、RFIDタグ200Eの良好な通信状態を確保することができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態のRFIDタグについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
アンテナと、前記アンテナに電気的に接続されるICチップとを有するシート状のインレイと、
前記インレイを覆う平板状の外装部材と、
前記外装部材の主面又は裏面に平面視で前記ICチップを囲むように枠状に配設され、前記外装部材の厚さ方向に起立する枠部と
を含む、RFIDタグ。
(付記2)
前記枠部には、スリット又は溝が形成される、付記1記載のRFIDタグ。
(付記3)
前記溝は、前記外装部材の厚さ方向に対して角度を有するように、前記枠部に形成される、付記2記載のRFIDタグ。
(付記4)
前記溝の幅は、当該溝の深さの2倍以上である、付記2又は3記載のRFIDタグ。
(付記5)
前記溝は、前記枠部の平面視における内側の面又は外側の面に形成される、付記2乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記6)
前記溝は、前記外装部材の前記主面又は前記裏面に沿って形成される、付記2乃至5のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記7)
前記溝は、前記枠部の高さ方向の下側の位置又は途中の位置において、前記外装部材の前記主面又は前記裏面に沿って形成される、付記6記載のRFIDタグ。
(付記8)
前記溝は、前記枠部の高さ方向の真ん中の位置において、前記外装部材の前記主面又は前記裏面に沿って形成される、付記7記載のRFIDタグ。
(付記9)
前記枠部は平面視で矩形状であり、前記スリットは、前記枠部の四隅において、前記枠部が起立する方向に沿って形成される、付記2乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記10)
前記枠部は平面視で矩形状であり、前記スリットは、前記枠部の四隅において、前記枠部を高さ方向に対して折り畳んだ場合に、前記四隅で重複する部分が生じないように、形成される、付記2乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記11)
前記溝は、前記枠部の高さ方向の途中の位置において、前記外装部材の前記主面又は前記裏面に沿って形成されており、
前記枠部の前記溝の上下の高さ方向の寸法のうち、長い方をHL、短い方をHSとすると、
前記スリットは、
前記枠部の四隅から、前記枠部を上端から下端まで長さHLだけ切り欠くことによって形成される、
前記枠部の前記溝の上側に前記寸法HSが存在する場合は、前記枠部の四隅から前記枠部を、長さHSで、前記枠部の上端から高さ方向に前記寸法HSの2倍の長さだけ切り欠くことによって形成される、又は、
前記枠部の前記溝の下側に前記寸法HSが存在する場合は、前記枠部の四隅から前記枠部を、長さHSで、前記枠部の下端から高さ方向に前記寸法HSの2倍の長さだけ切り欠くことによって形成される、付記2乃至4のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記12)
前記枠部の前記外装部材の厚さ方向の長さは、前記枠部の平面視における内壁から前記ICチップまでの距離よりも短い、付記1乃至11のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記13)
前記枠部は、平面視で矩形状であり、四辺部と、四辺部を接続する円弧部とを有し、円弧部の厚さは、四辺部の厚さより薄い、付記1乃至12のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記14)
前記枠部は、平面視で向かい合う一対の直線部と、前記一対の直線部の両端を平面視で円弧状に接続する円弧部とを有し、円弧部の厚さは、直線部の厚さより薄い、付記1乃至13のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記15)
前記枠部は、平面視での形状が、円形又は楕円形である、付記1乃至14のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記16)
前記枠部は、前記外装部材の前記主面及び前記裏面にそれぞれ配設される、付記1乃至15のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記17)
前記インレイは、
第1シート部と、
前記第1シート部の表面に形成されるアンテナと、
前記アンテナに電気的に接続されるICチップと、
前記第1シート部との間で前記アンテナと前記ICチップを覆う第2シート部と
を有する、付記1乃至16のいずれか一項記載のRFIDタグ。
(付記18)
アンテナと、
前記アンテナに電気的に接続されるICチップと、
前記アンテナ及び前記ICチップを覆う平板状の外装部材と、
前記外装部材の主面又は裏面に平面視で前記ICチップを囲むように枠状に配設され、前記外装部材の厚さ方向に起立する枠部と
を含む、RFIDタグ。