JP2015045068A - 溶射材料およびその製造方法、溶射方法並びに溶射製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来扱うことが困難であった微粒子を用いて容易に溶射を行う。
【解決手段】平均粒径が25nm以上1000nm以下のセラミックスまたは金属の微粒子と、熱硬化性または光硬化性の樹脂とを混合し、液状の樹脂内に微粒子が均一に分散した混合物を得る(ステップS11〜S13)。混合物は加熱または光の照射により硬化され、微粒子よりも粒径が大きい粒子に粉砕される(ステップS14,S15)。これにより、微粒子を含む樹脂の粒子である溶射材料が得られる。得られた溶射材料により、従来、エア搬送にて取り扱いが困難であった微粒子を用いて、プラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射を行うことが実現される。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射にて基材上に被膜を形成する技術に関連する。
プラズマ溶射やフレーム溶射、レーザ溶射では、金属やセラミックス等の粉末材料を高温のプラズマ流や火炎流、集光したレーザビーム中に導入し、溶融した材料粒子を基材表面に吹き付けて堆積させることによって被膜を形成する。これらの溶射法は、工業的な製造技術として確立しており、対象物を密閉空間内に配置する必要がなく、また、大面積、長尺物への適用が可能である。
一方、ナノ粒子と呼ばれる微粒子を用いた層状構造物は、コーティング、素子等の様々な分野、製品に応用されている。これらは通常は、エアロゾル・デポジション法(AD法)、化学蒸着法(CVD法)等の方法により、精密な組成や構造を形成させる。しかしながら、これらの手法は、大気環境下で利用することができず、連続的な製造や、大型長尺物への適用、またそれらの量産に向かないのが現状である。
そこで、ナノ粒子を材料として既存の溶射法が利用可能であれば、緻密なコーティング層等の被膜を、より多くの製造数量に対して、またより長尺の大型物に対して、短時間で形成することが実現される。ナノ粒子を用いる溶射技術によって、緻密な被膜の形成の他に、ナノサイズで複数種の材料粒子が均一に混合した層の形成や、ナノサイズの気孔を包含する断熱機能等、従来の溶射では達成できなかった性能や機能を持った被膜を製造することも可能となる。
しかし、溶射熱源となるプラズマや火炎等の高温部に導入する材料粉末の粒径の下限は1〜5μm程度である。材料粉末の粒径が下限値よりも小さい場合、高温部に導入するための搬送チューブ内で閉塞をきたす場合がある。また、ナノ粒子は通常、室温、大気圧雰囲気下においては凝集して数10μmのサイズで存在している。このような凝集粒子がプラズマ流に導入されると、高温のプラズマ部で溶融された際に凝集した液滴となり、ナノ粒子として基材に到達しない。その結果、ナノ粒子としての特徴が活かせなくなる。
特許文献1に開示されるフレーム溶射では、予め粒径が0.1〜5μmのセラミックス粒子を、アルコールや灯油である溶媒中に分散させてスラリーが得られる。そして、スラリーがフレーム中に噴射されることにより、溶射が行われる。しかし、特許文献1の手法において、セラミック粒子の粒径が微小になると、溶媒中にセラミックス粒子を均一に分散させることは容易ではない。
一方、非特許文献1では、ナノ粒子を光硬化性のアクリル樹脂溶媒中に分散させ、この樹脂を紫外線を用いて線状に硬化させることにより、線状素材が得られる。線状素材中にはナノ粒子が均一に分散する。その後、線状素材はプラズマ中に導入され、プラズマ溶射が行われる。これにより、質の高い被膜を基材上に形成することが実現される。
特開2011−256465号公報
桐原 聡秀、外2名、「ナノ微粒子細線を用いたプラズマ溶射による実用合金基材へのセラミックス緻密被覆」、溶接学会全国大会講演概要、第91集、2012年9月3日、p.372−373
ところで、非特許文献1の手法では、線状素材の供給装置が必要となるほか、線状素材の断面積や供給速度等の最適化が必要となる。さらに、一回の溶射工程の最中に複数の材料を切り替えて使用することは容易ではない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、従来扱うことが困難であった微粒子を用いて容易に溶射を行うことを主たる目的としている。
請求項1に記載の発明は、プラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射に用いられる溶射材料の製造方法であって、a)セラミックスまたは金属の微粒子を液状の樹脂中に分散させる工程と、b)前記a)工程で得られた混合物を硬化させる工程と、c)前記b)工程で得られた硬化物を、前記微粒子よりも粒径が大きい粒子に粉砕して溶射材料を得る工程とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶射材料の製造方法であって、前記液状の樹脂が、光硬化性または熱硬化性を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の溶射材料の製造方法であって、前記a)工程において、前記微粒子と前記液状の樹脂との混合物の粘度特性の経時変化に基づいて、予め混合時間が定められている。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の溶射材料の製造方法であって、レーザ回折・散乱法または動的光散乱法による前記微粒子の平均粒径が、25nm以上1000nm以下である。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法にて製造された溶射材料である。
請求項6に記載の発明は、溶射方法であって、d)請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法にて製造された溶射材料を準備する工程と、e)前記溶射材料を用いてプラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射を行うことにより、加熱された前記微粒子を基材上にて結合させて被膜を形成する工程とを備える。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の溶射方法であって、f)請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法にて製造され、前記微粒子とは異なる材料にて形成された他の微粒子を含む他の溶射材料を準備する工程と、g)前記e)工程の後に、前記他の溶射材料を用いてプラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射を行うことにより、前記e)工程にて形成された前記被膜上にて、前記他の微粒子を結合させて他の被膜を形成する工程とをさらに備える。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の溶射方法により、基材上に被膜が形成された溶射製品である。
本発明によれば、従来扱うことが困難であった微粒子を用いて容易に溶射を行うことができる。
溶射装置の構成を示す図である。 溶射材料の製造の流れを示す図である。 微粒子を示す図である。 混合物の粘度曲線を示す図である。 混合物の無次元ヒステリシス面積を示す図である。 混合物を示す図である。 溶射作業の流れを示す図である。 被膜の断面を示す図である。 溶射装置の他の例を示す図である。 溶射作業の流れを示す図である。
図1は、溶射装置1の構成を示す図である。溶射装置1は、基材9上にプラズマ溶射を行う装置であり、溶射ガン11と、ガス供給部12と、材料貯溜部13と、エア供給部14と、材料搬送部15とを備える。溶射ガン11は、プラズマフレア8を発生する。ガス供給部12は溶射ガン11にアルゴンガスを供給する。ガス供給部12により供給されるガスはアルゴンガスには限定されず、ヘリウムガスや他のガスでもよい。材料貯溜部13は、溶射に用いられる溶射材料を貯溜する。エア供給部14は、材料搬送部15にエアを供給する。材料搬送部15は、エア供給部14からのエアを利用して溶射材料をプラズマフレア8内へと供給する。搬送に利用されるガス(以下、「キャリアガス」という。)は、エアには限定されない。
溶射ガン11は、溶射を行う噴出ノズルである。溶射ガン11内には、アルゴンガスの流路21が設けられる。流路21の中央に陰極22が配置され、陰極22の下流側に流路を囲うように陽極23が配置される。陰極22と陽極23との間の放電により、噴出口24からプラズマフレア8が噴出される。
材料搬送部15は、定量供給部31と、搬送管32とを備える。定量供給部31は、材料貯溜部13から単位時間当たり一定の量の溶射材料を切り出し、キャリアガスに合流させる。搬送管32の端部は噴出口33となっており、噴出口33から溶射材料がキャリアガスと共に噴出する。溶射材料は、プラズマフレア8の進行方向側方からプラズマフレア8の中央に向かって垂直に導入される。
溶射材料は粉体であり、各粒子は搬送管32を詰まらせない大きさを有する。後述するように、各粒子は、さらに微細な微粒子を含む樹脂である。微粒子は、セラミック粒子または金属粒子である。プラズマフレア8により溶射材料の樹脂が焼失し、溶融状態または半溶融状体の微粒子が基材9に向かってプラズマフレア8と共に流れる。その結果、基材9上に微粒子が堆積し、被膜が形成される。
次に、実際に製造を行った溶射材料の例(以下、「製造例」という。)を参照しつつ溶射材料の製造について説明する。図2は、溶射材料の製造の流れを示す図である。まず、微粒子としてセラミックス粒子が準備され、液状の樹脂として、熱硬化性樹脂が準備される。製造例にて使用されたものは、平均粒径が160nmの酸化アルミニウム粒子(大明化学工業株式会社製、商品名「タイミクロン」、品番「TM−DAR」)である。図3は電子顕微鏡にて撮像した微粒子を示す図である。ここでの平均粒径は、レーザ回折・散乱法により求めた粒度分布から算出されるメジアン径(d50)である。
微粒子の材料は様々に変更されてよい。例えば、微粒子のセラミックス材料としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ムライト(Al・SiO)、酸化ジルコニウム、ジルコン(ZrO・SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化銀、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化バリウム、等を含む酸化物および複合酸化物群;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等を含む窒化物群;炭化ケイ素等を含む炭化物群;WC/C、WC/Ni、WC/CrC/Ni、WC/Cr/Co、CrC/NiCr、サイアロン(SiN・Al)等を含むサーメット群の中から選択された一種または複数種が利用可能である。
金属の場合の微粒子の材料としては、アルミニウム、銅等の様々な金属が利用可能である。複数種類の金属が混合されてもよい。さらに、微粒子の材料として、セラミックスと金属とが混合されてもよい。
微粒子の粒径も様々に変更されてよい。ただし、微粒子の粒径は、溶射装置1におけるエア搬送にて微粒子をそのまま扱うことが困難な程度に小さく、いわゆるナノ粒子のサイズである。具体的には、レーザ回折・散乱法による平均粒径が、25nm以上1000nm以下(25×10−9m以上1000×10−9m以下)の微粒子である。微粒子の平均粒径が25nmを下回ると、樹脂中において単分散状態を保持できる微粒子の量が減少するために溶射材料の比重が小さくなり、プラズマフレアの中心部に供給することが難しくなる。また、微粒子の平均粒径が1000nmを上回ると、樹脂と混合する際に沈降しやすくなり、単分散状態を保持することが困難となる。好ましくは、平均粒径は、入手が容易な50nm以上500nm以下である。レーザ回折・散乱法による測定が困難な場合は、動的光散乱法により測定が行われてもよい。平均粒径は微粒子の製造メーカが示すものをそのまま採用してもよい。
また、製造例にて使用された液状の熱硬化性樹脂は、アクリル系の樹脂(JSR株式会社製、品番「KC1280」)である。液状の樹脂は、有機物を主体とするものであれば様々なものが採用されてよく、光硬化性であってもよい。もちろん、他の硬化性樹脂でもよい。硬化性樹脂としては様々なものが利用可能である。例えば、フェノール、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、カゼイン樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂等を含む熱硬化性プラスチック群の中から選択された一種または複数種が利用可能である。
微粒子および熱硬化性樹脂が準備されると、これらの混合が行われる(ステップS11)。混合時間は予め定められており、混合時間の経過により混合が終了すると、樹脂中に微粒子が均一に分散する(ステップS12,S13)。製造例では、まず、微粒子および液状の樹脂が、直径50mm、深さ80mmのプラスチック製容器内に充填される。このときの材料全体の体積に対する酸化アルミニウム粒子の体積比率は40%である。そして、自転および公転を伴う攪拌・脱泡装置により、いわゆるナノ粒子である微粒子を均一に単分散させたナノスラリーが得られる。攪拌・脱泡の条件は、自転は350rpm、公転は1060rpmであり、運転時間は90秒である。
混合に要する時間は予め実験により定められる。製造例における単分散の状態については、攪拌脱泡の複数の時間条件で調製した試料を粘弾性測定装置(Thermo Scientific製、商品名「HAAKE RheoStress 600」)により測定が行われた。本装置は、平行平板形回転粘度計である。図4は、日本工業規格(JIS)R1665(2005)に記載の方法にて評価を行った結果を示す図であり、攪拌時間による、攪拌速度と剪断応力との関係の変化を示すグラフである。図4から、30秒以上攪拌することにより、粘度曲線にヒステリシスが現れることが判る。右の縦軸は樹脂のみの場合に対応しており、樹脂のみの場合はヒステリシスは現れない。さらに、60秒以上攪拌することにより、混合物のヒステリシスの状態が変化しなくなることが判る。
図5は、攪拌時間と無次元ヒステリシス面積との関係を示す図である。なお、参考のために、樹脂のみの場合の無次元ヒステリシス面積も示している。ここで、無次元ヒステリシス面積とは、剪断速度の上昇過程の面積をA、下降過程の面積をB とし、((A−B)/(A+B))として求められる。図5から30秒経過後は無次元ヒステリシス面積が大きくは変化しないことが判る。図6は、30秒経過後、さらに90秒攪拌脱泡処理したものを走査型電子顕微鏡により観察したものである。微粒子が接触せずに単独で独立した状態で分散した単分散スラリーになっていることを確認することができる。
図4におけるチクソトロピー性を示す粘度曲線のヒステリシス、図5に示す無次元ヒステリシス面積の安定化、および、図6から、本製造例の場合、混合時間は30秒以上に設定すればよいことが判る。
微粒子と液状の樹脂との混合時間は様々に決定されてよい。例えば、チクソトロピー性の経時変化が現れなくなる時間として決定されてもよい。あるいは、無次元ヒステリシス面積が一定になる時間に予め定められた時間が加算された時間として決定されてもよい。このように、混合物の粘度特性の経時変化に基づいて、予め混合時間が定められる。
ここで、混合物に対する微粒子の体積比率は様々に変更可能であるが、体積比率が低ければ溶射による成膜速度が遅くなるために成膜効率に支障を来すことになる。体積比率の上限は、粒径、粒子間に入り込む溶媒分子の大きさに依存する。すなわち、例えば粒径が理想的に150nmの球体で、溶媒分子の厚さが15nm、各粒子が六方最密格子の格子点上に配置した場合では、約51%の充填率が最大となる。したがって、微粒子と溶媒の条件により充填率の最大値が変化する。ただし、実際には微粒子は有意な範囲で粒度分布を持っており、理想的な配置に収まることがないため、現実の充填率は理論値とは異なる。
混合が完了すると、いわゆるナノスラリーである混合物は、ホットプレート上で約100℃で加熱される。これにより、単分散状態を保ったまま硬化される(ステップS14)。硬化物は室温まで自然冷却される。液状の樹脂として光硬化性の樹脂が使用される場合は、混合物に紫外線等の光を照射することにより、硬化物が得られる。液状の樹脂は、硬化性を有すればよく、例えば、放置することにより自然に硬化する樹脂であってもよい。
その後、硬化物は、振動式のミルを用いて粉砕される(ステップS15)。粉砕後、篩を用いて分画される。これにより、溶射材料が得られる。本実施の形態では、粉砕物は、45μm以上75μm以下(45×10−6m以上75×10−6m以下)の粒度範囲で分画される。粒度範囲は、溶射装置1にて利用可能であれば様々に変更されてよい。粒度範囲は、分級に使用する篩の目開きにより定義可能である。硬化物の粉砕により得られる粒子の粒径は、含有する微粒子よりも大きいのであれば様々に決定されてよく、好ましくは、粒度範囲は、1μm以上100μm以下(1×10−6m以上100×10−6m以下)の間で適宜決定されてよい。さらに好ましくは、粉砕粒子の粒径は、微粒子の粒径の5倍以上であり、溶射装置にて容易にエア搬送を行うという観点からは、5μm以上100μm以下である。
図7に示すように、溶射材料が準備されると(ステップS21)、溶射材料が材料貯溜部13に充填され(ステップS22)、溶射が行われる(ステップS23)。これにより、加熱された微粒子が基材9上で結合し、基材9上に被膜が形成される。図8は、基材9としてステンレス鋼(SUS304)上に、上記製造例の溶射材料を用いて形成された被膜の断面を拡大して示す図である。図8の例では、微粒子が溶融結合し、緻密な被膜となっている。微粒子は半溶融状体で基材9に到達するように条件が設定されてもよく、この場合は、多孔質状の被膜が形成される。
以上のように、セラミックスまたは金属の微粒子を含む樹脂の粒子を溶射材料として用いることにより、従来と同様の構造を有する溶射装置を利用しつつ、従来扱うことが困難であった、いわゆるナノ粒子と呼ばれる大きさの微粒子であっても、この微粒子を用いて容易に溶射を行うことができる。その結果、溶射に要するコストの増大を抑えることができ、かつ、溶射作業の効率低下も防止される。すなわち、長大物であっても溶射技術により高い生産速度で施工が可能となる。さらに、ナノ粒子の利点を活かしたナノコンポジット材料やナノポーラス材料等の物理的・化学的特性を飛躍的に向上させた材料を工業材料として利用することも実現される。
図9は、溶射装置1aの他の例を示す図である。溶射装置1aは、2つの材料貯溜部13および2つの定量供給部31を有する。2つの定量供給部31から延びる搬送管32は、途中で合流する。2つの材料貯溜部13には異なる溶射材料がそれぞれ収納される。すなわち、2種類の溶射材料は上述の方法にて製造されるが、樹脂粒子に含まれる微粒子の材料が異なる。いずれの材料貯溜部13からの溶射材料が溶射ガン11に供給されるかは、搬送管32上に設けられた2つの弁34およびエア供給部14の制御により決定される。溶射装置1aの他の構成は、図1の溶射装置1と同様であり、同様の構成要素には同符号を付す。
図10は、図9の溶射装置1aにて溶射を行う際の作業の流れを示す図である。上述の製造方法にて2種類の溶射材料が準備されると(ステップS31)、これらは2つの材料貯溜部13にそれぞれ充填される(ステップS32)。そして、一方の溶射材料を用いて溶射を行うことにより、基材9上に微粒子を結合させて被膜が形成される(ステップS33)。次に、他方の溶射材料を用いて溶射を行うことにより、既存の被膜上に異なる種類の微粒子を結合させて他の被膜が形成される(ステップS34)。
このように、樹脂粒子に含まれる微粒子の材料を異なったものとすることにより、供給路の切り替えのみによる溶射材料の変更を容易に行うことが実現される。溶射装置1aでは、3以上の材料貯溜部13を設けて3種類以上の溶射材料により3層以上の被膜が積層されてもよい。また、2種類以上の被膜が繰り返し積層されてもよい。
上記実施の形態における溶射は、基材上に被膜が形成された様々な溶射製品の製造に利用することができる。さらには、被膜部分のみを製品として利用することも可能である。溶射による微粒子の結合を焼結に留めてナノポーラス構造を形成する場合、溶射は、触媒の担体、各種電池電極、添加剤、フィルタ、機能性インク、半導体デバイス、遮熱コーティング、断熱カバー等の製造に利用することができる。粒子を溶融させて結合することにより緻密な構造を形成する場合、溶射は、例えば、防食コーティング、機械加工部品(カッター等)、耐熱部品(るつぼやボイラ管等)の製造に利用することができる。
溶射装置1は、フレーム溶射を行う装置であってもよい。すなわち、溶射ガン11は、他のタイプの溶射ガンであってもよい。いずれの溶射方法であっても、既存の装置をほとんど変更することなく、または、全く変更することなく、いわゆるナノ粒子を容易に溶射に利用することができる。
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1,1a 溶射装置
9 基材
S11〜S15,S21〜S23,S31〜S34 ステップ

Claims (8)

  1. プラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射に用いられる溶射材料の製造方法であって、
    a)セラミックスまたは金属の微粒子を液状の樹脂中に分散させる工程と、
    b)前記a)工程で得られた混合物を硬化させる工程と、
    c)前記b)工程で得られた硬化物を、前記微粒子よりも粒径が大きい粒子に粉砕して溶射材料を得る工程と、
    を備えることを特徴とする溶射材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の溶射材料の製造方法であって、
    前記液状の樹脂が、光硬化性または熱硬化性を有することを特徴とする溶射材料の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の溶射材料の製造方法であって、
    前記a)工程において、前記微粒子と前記液状の樹脂との混合物の粘度特性の経時変化に基づいて、予め混合時間が定められていることを特徴とする溶射材料の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の溶射材料の製造方法であって、
    レーザ回折・散乱法または動的光散乱法による前記微粒子の平均粒径が、25nm以上1000nm以下であることを特徴とする溶射材料の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法にて製造されたことを特徴とするプラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射に用いられる溶射材料。
  6. 溶射方法であって、
    d)請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法にて製造された溶射材料を準備する工程と、
    e)前記溶射材料を用いてプラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射を行うことにより、加熱された前記微粒子を基材上にて結合させて被膜を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする溶射方法。
  7. 請求項6に記載の溶射方法であって、
    f)請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法にて製造され、前記微粒子とは異なる材料にて形成された他の微粒子を含む他の溶射材料を準備する工程と、
    g)前記e)工程の後に、前記他の溶射材料を用いてプラズマ溶射、フレーム溶射またはレーザ溶射を行うことにより、前記e)工程にて形成された前記被膜上にて、前記他の微粒子を結合させて他の被膜を形成する工程と、
    をさらに備えることを特徴とする溶射方法。
  8. 請求項6または7に記載の溶射方法により、基材上に被膜が形成されたことを特徴とする溶射製品。
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