JP2015044692A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】媒体の搬送方向に対する斜行が検出されなかった場合において、同斜行の検出のための動作の開始から媒体に対する記録開始までの時間を短くすることができる印刷装置を提供する。【解決手段】記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出するためには、まずキャリッジ18を走査方向について第1位置まで移動させ、その状態のもとで用紙Pを搬送する。そして、第2センサー75によって用紙Pの搬送方向の先端が検出されると、第2センサー75が上記先端を検知しなくなる方向にキャリッジ18を第1位置から規定移動距離分だけ離れた第2位置まで移動させる。更に、その第2位置にて第2センサー75が用紙Pの上記先端を検知するまで用紙Pを搬送し、その搬送距離及び上記規定移動距離に基づき用紙Pの斜行を検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷装置に関する。
印刷装置は、シート状の媒体に対し記録(印刷)を行うための記録部と、その記録部に向けて媒体を搬送する搬送部とを備えている。同装置の記録部には、媒体の搬送方向と交差する走査方向に移動可能なキャリッジが設けられている。このキャリッジには、記録部に搬送された媒体に対し記録を行うことが可能な記録ヘッドが設けられている。同印刷装置においては、搬送部により媒体を記録部に搬送しつつ、キャリッジを走査方向に適宜移動させながら記録ヘッドによる媒体に対する印刷が行われる。こうした印刷が完了した後の媒体は搬送部により記録部の下流側に排出される。
ところで近年は、3D印刷(立体視可能な印刷)等、媒体に対する高精度の印刷が求められる場合がある。この場合、媒体の搬送方向についての斜行(スキュー)が生じないようにすることが重要になる。仮に、媒体の斜行が生じた状態で印刷が行われると、媒体に対する印刷位置が適正な位置からずれるおそれがある。特に、3D印刷を行うためには高価な専用の媒体を用いる必要があり、同媒体に対し適正でない位置での印刷が行われて立体視できなくなると、高価な専用の媒体を無駄に消費してしまうことになる。このため、特許文献1の技術を適用して媒体の搬送方向に対する斜行を検出し、その斜行の検出に基づいて対策を講じることが考えられる。
なお、特許文献1では、次のように媒体の搬送方向に対する斜行を検出するようにしている。すなわち、キャリッジに媒体の端部を検知可能なセンサーを設け、そのセンサーによって媒体における搬送方向に隔てられた二箇所での走査方向両端の位置をそれぞれ検知する。詳しくは、媒体が記録部に到達したときに同媒体の搬送を停止した状態で、キャリッジを媒体における走査方向についての幅全体に亘って一往復させることにより一箇所目での媒体の走査方向両端の位置を検知する。その後、所定量だけ媒体を搬送してから同搬送を停止し、その状態でキャリッジを上記と同様に走査方向に一往復させることにより二箇所目での媒体の走査方向両端の位置を検知する。そして、媒体における上記二箇所での走査方向の両端の位置に基づき、同媒体の搬送方向に対する斜行を検出する。
特開2009−6580公報
特許文献1の技術を適用することにより、記録部に搬送される媒体の搬送方向に対する斜行を検出することができるようにはなる。ただし、媒体の斜行が検出されなかった場合に同媒体に対し印刷(記録)を開始しようとすると、媒体の斜行を検出するための動作を開始してから印刷が開始されるまでに長い時間がかかる。これは、次の[1]及び[2]の理由による。
[1]媒体における搬送方向に隔てられた二箇所での走査方向両端の位置をそれぞれ検知するために、キャリッジを媒体における走査方向についての幅全体に亘って合計二往復させなければならず、それに要する時間が長くなる。
[2]媒体の斜行が検出されず、その検出のための動作を終えた後に媒体に対する印刷(記録)を開始するには、媒体を搬送方向と逆の方向に移動させて同媒体の搬送方向の先端を記録部よりも同搬送方向の上流に戻さなければならず、そのために余分な時間がかかる。
本発明の目的は、媒体の搬送方向に対する斜行が検出されなかった場合において、同斜行の検出のための動作の開始から媒体に対する記録開始までの時間を短くすることができる印刷装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する印刷装置は、シート状の媒体に対し記録を行う記録部に同媒体を搬送する搬送部と、記録部に設けられて搬送部による媒体の搬送方向に対し交差する走査方向に移動可能なキャリッジと、キャリッジに設けられて媒体の有無を検知可能なセンサーと、搬送部及びキャリッジの動作を制御する制御部と、搬送方向に対する媒体の斜行を検出する検出部と、を備える。そして、上記制御部は、媒体の搬送方向に対する斜行を検出するための動作として、以下のように搬送部及びキャリッジを動作させる。すなわち、上記制御部は、キャリッジをセンサーにより媒体における搬送方向の先端を検知可能な第1位置まで移動させ、その状態のもとで搬送部により記録部に搬送される媒体の搬送方向の先端がセンサーによって検出されると、センサーが上記媒体を検知しなくなる方向にキャリッジを第1位置から規定移動距離分だけ離れた第2位置に移動させ、その第2位置にてセンサーが媒体の搬送方向の先端を検知するまで同媒体を搬送部により搬送させる。また、上記検出部は、第1位置にてセンサーが媒体の搬送方向の先端を検知してから第2位置にて同センサーが媒体の搬送方向の先端を検知するまでの搬送部による媒体の搬送距離、及び、上記規定移動距離に基づき、媒体の搬送方向に対する同媒体の斜行を検出する。
上記構成によれば、第1位置と第2位置とのキャリッジの走査方向についての距離が規定移動距離となるが、この規定移動距離については媒体における上記走査方向についての幅全体に亘る距離よりも、短い値に設定することが可能である。このように規定移動距離を設定することにより、キャリッジの第1位置から第2位置への移動に要する時間が短くなる。更に、キャリッジが第2位置に変位した状態でセンサーが媒体の搬送方向の先端を検知したとき、同媒体の搬送方向に対する斜行が検出されない場合には、そのときの媒体の位置から同媒体を下流側に搬送して記録を開始することが可能である。また、仮に媒体を記録開始位置まで搬送方向上流側に戻す必要があるとしても、そのときの媒体の逆方向(搬送方向上流側)への搬送量は極めて少なくて済む。以上により、媒体の搬送方向に対する斜行が検出されなかった場合において、同斜行の検出のための搬送部及びキャリッジの動作の開始から媒体に対する記録開始までの時間を短くすることができる。
なお、上記制御部は、第1位置にてセンサーにより媒体の搬送方向の先端が検知された後、キャリッジを走査方向の一方側に移動させ、そのときにセンサーにより上記媒体が検知された場合には同キャリッジの移動方向を反転し、センサーにより上記媒体が検知されない場合には上記規定移動距離分のキャリッジの移動を行うものとすることが好ましい。
上記キャリッジを走査方向について第1位置から第2位置に移動させる際には、第1位置にあるキャリッジを最初に第2位置と逆の方向に移動させてしまうこともある。媒体が搬送方向に対し斜行している場合、このときのキャリッジの第2位置とは逆方向への移動開始後もセンサーにより媒体が検知される。制御部は、このようにセンサーにより媒体が検知されたときには、キャリッジの移動方向を反転させて同キャリッジが第2位置に向かうようにする。これにより、上記キャリッジを第1位置から第2位置と逆方向に移動させてしまったとしても、キャリッジの移動方向を第2位置に向けて反転させることで、媒体の斜行を検出できる。なお、キャリッジを第1位置から第2位置と逆方向に移動させてしまった場合において、センサーにより媒体が検知されたとき、キャリッジの移動方向を直ちに反転させて同キャリッジが第2位置に向かうようにすれば、第1位置から第2位置に移動する際のキャリッジの無駄な動きを極力抑制することができる。
なお、上記制御部は、上記検出部により媒体の斜行が検出されたとき、同媒体が搬送方向に排出されるよう搬送部を動作させるように構成することが好ましい。
上記構成によれば、媒体の斜行が同媒体に対する記録に支障を来すほど大きいとき、その媒体を搬送方向に排出することができる。従って、斜行する媒体に対し記録が行われてしまい、それによって媒体を無駄に消費してしまうことを回避できる。また、媒体の斜行が検出されたときには同媒体を搬送方向に排出するようにしたため、媒体を搬送方向と逆の方向には移動させられない構造の印刷装置に適用することが可能になる。
また、上記制御部は、検出部により媒体の斜行が検出されたとき、搬送部に媒体の斜行を解消するための斜行除去動作を実行させるように構成することが好ましい。
上記構成によれば、媒体の斜行が生じたとしても、その斜行を斜行除去動作によって解消し、その後に同媒体に対する記録を開始することができるため、斜行した媒体を排出してセットし直す手間を省くことができる。
上記制御部は、記録部に搬送される媒体が高精度の記録を必要とする媒体であるか、あるいは高精度の記録を必要としない媒体であるかに応じて、検出部によって媒体の搬送方向に対する斜行を検出するための搬送部及びキャリッジの動作を実行するかしないかを決定するように構成することが好ましい。すなわち、上記制御部は、記録部に搬送される媒体が高精度の記録を必要とする媒体であるとき、検出部によって媒体の搬送方向に対する斜行を検出するための搬送部及びキャリッジの動作を実行する。一方、上記制御部は、記録部に搬送される媒体が高精度の記録を必要としない媒体であるときには、検出部によって媒体の搬送方向に対する斜行を検出するための搬送部及びキャリッジの動作を実行しないようにする。
上記構成によれば、記録部に搬送される媒体が高精度の記録を必要とする媒体であるとき、すなわち媒体の搬送方向に対する斜行が同媒体に対する記録にとって問題になるとき、その斜行を検出するための搬送部及びキャリッジの動作を実行することができる。一方、記録部に搬送される媒体が高精度の記録を必要としない媒体であるとき、すなわち媒体の搬送方向に対する斜行が同媒体に対する記録にとって問題にはならないとき、その斜行を検出するための搬送部及びキャリッジの動作を行わないようにすることができる。従って、媒体の搬送方向に対する斜行の検出を、不必要に実行することなく、必要なときに限って実行することができる。また、媒体の搬送方向に対する斜行の検出を不必要に実行しないため、その不必要な実行に伴って媒体に対する記録の開始までにかかる時間が長くなることもない。
また、上記印刷装置は、前記媒体を支持するとともに前記走査方向に沿って設けられた複数の凸部によって形成された凹凸面を有する支持部を更に備え、前記第1位置と前記第2位置は、前記走査方向において前記凹凸面の形状の同じ位置にそれぞれ設定されることが好ましい。
この構成によれば、第1位置と第2位置は、キャリッジの移動方向において支持部における凹凸面の形状の同じ位置に設定される。このため、凹凸面の形状の同じ位置で反射してセンサーに入射される光反射量が第1位置と第2位置とで同程度になる。このため、第1位置と第2位置とでセンサーの光が凹凸面の形状の異なる位置に照射されることに起因するセンサーの受光量の相違によるその出力値がずれることに原因して、斜行の検出精度が低下することを抑制することができる。
上記印刷装置において、前記制御部は、前記キャリッジの基準位置を度当てにより取得し、前記基準位置を基準にして予め決められた前記第1位置と前記第2位置に前記キャリッジを移動させることにより、前記キャリッジを前記走査方向に位置決めすることが好ましい。
この構成によれば、制御部は、キャリッジの基準位置を度当てにより取得し、基準位置を基準にして、キャリッジを予め決められた第1位置と第2位置に移動させることで、キャリッジの走査方向における位置決めをする。センサーを第1位置と第2位置とに配置する際、どちらのときもセンサーを凹凸面の形状の同じ位置に配置できる。
さらに上記印刷装置において、前記制御部は、前記支持部上に前記媒体のない状態で前記キャリッジを移動させて前記センサーにより前記凹凸面上の形状の同じ位置を検出し、検出した当該位置に基づいて前記センサーを配置するべき前記第1位置と前記第2位置とを取得することが好ましい。
この構成によれば、制御部は、支持部上に媒体のない状態でキャリッジを移動させてセンサーにより凹凸面の形状の同じ位置を検出し、その検出結果に基づいてセンサーを配置するべき第1位置と第2位置とを取得する。よって、支持部の組付けのばらつき等に起因して凹凸面の位置に走査方向におけるばらつきがあっても、センサーを第1位置と第2位置とに比較的正確に配置することができる。
上記印刷装置において、前記第1位置と前記第2位置は、前記凸部の頂面上の位置に設定されていることが好ましい。
この構成によれば、第1位置と第2位置は、凹凸面の形状の同じ位置として、共に凸部の頂面上の位置に設定されている。例えば底部はインクが溜まったり流れたりするなどしてインクの影響で光反射率が変化し易いが、第1位置と第2位置が設定された凸部の頂面は光反射率が比較的安定し、斜行の誤検出を低減できる。
また、上記印刷装置において、前記第1位置と前記第2位置は、前記凹凸面の形状を規定する複数種の面部のうち、前記センサーから照射された光の反射光が当該センサーに受光される受光量の一番少ない面部上の位置に設定されていることが好ましい。
この構成によれば、第1位置と第2位置が、センサーから照射された光の反射光が当該センサーに受光される受光量の一番少ない面部上の位置に設定されているので、センサーの出力が閾値を超えるまでに媒体がセンサーの光スポット内に進入する搬送量が相対的に多くなり、センサーの光スポット内における媒体の占有割合を相対的に大きくすることができる。このため、例えば支持部の組付けのばらつき等に起因して、第1位置と第2位置とに配置されたセンサーの位置が凹凸面上の想定された位置から走査方向に多少ずれても、光スポット内における凹凸面の占有割合が相対的に小さいため、凹凸面のずれによる影響を相対的に小さくすることができる。よって、その位置ずれの割に斜行の誤検出を低減できる。
さらに上記印刷装置において、前記走査方向において、前記センサーから前記凹凸面に照射した光のスポット径は、前記頂面の幅よりも広いことが好ましい。
この構成によれば、例えば媒体粉(例えば紙粉)又はインクミスト等の付着に起因して、凹凸面上における検出対象の特定の面に局所的に光反射率が異常な箇所が発生する場合がある。このような場合でも、その異常な箇所の光スポット内における占有割合が相対的に小さいことから、この種の異常箇所に起因する斜行の誤検出を低減できる。
印刷装置の全体構成を示す略図。 印刷装置の電気的構成を示すブロック図。 用紙の斜行を検出する際のキャリッジ及び用紙の動きを示す略図。 用紙の斜行を検出する際のキャリッジ及び用紙の動きを示す略図。 用紙の斜行を検出する際のキャリッジ及び用紙の動きを示す略図。 用紙の斜行を検出する際のキャリッジ及び用紙の動きを示す略図。 用紙の斜行を検出する手順を示すフローチャート。 オフセット量ΔXと用紙Pに対するインク滴の噴射開始位置との関係を説明するための略図。 オフセット量ΔXと用紙Pに対するインク滴の噴射開始位置との関係を説明するための略図。 オフセット量ΔXを設定するための手順を説明するための略図。 印刷装置の記録部周辺を示す平面図。 (a)は上流側支持面部の部分平面図、(b)は同じく部分側面図。 斜行検出時の各位置が凹凸面の形状の異なる位置となった場合におけるセンサー出力を示す説明図。 (a)は凸部の頂面に光スポットの中心が位置する場合における用紙進入前の光スポットの様子を示す模式図、(b)は凸部の底面に光スポットの中心が位置する場合における用紙進入前の光スポットの様子を示す模式図。 (a)は凸部の頂面に光スポットの中心が位置する場合における用紙検知時の光スポットの様子を示す模式図、(b)は凸部の底面に光スポットの中心が位置する場合における用紙検知時の光スポットの様子を示す模式図。 光スポットの中心が凹凸面の形状の異なる位置にある場合において、用紙の先端が検知されるまでに光スポット内に進入する用紙の搬送量とセンサー出力との関係を示すグラフ。 光スポットの中心が凹凸面の形状の異なる位置にある場合において、センサー出力の閾値Thに達するまでの変化の様子を示すグラフ。 斜行検出時の各位置が凸部の頂面に位置する場合におけるセンサー出力を示す説明図。 斜行検出時の各位置が凹凸面に対して走査方向にずれた場合におけるセンサー出力を示す説明図。
(第1実施形態)
以下、印刷装置の一実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
図1に示す印刷装置11の本体12の前面(図中の右面)には、ユーザーにより操作される操作パネル13が設けられている。本体12における操作パネル13の下側には、印刷装置11による記録対象の媒体である用紙Pを複数枚収容可能な給送カセット16が取り外し可能な状態で装着されている。本体12における給送カセット16の上側には、揺動軸31を中心に揺動可能な揺動部材32が設けられている。この揺動部材32の先端に設けられたピックアップローラー17は、給送カセット16の内に収容された各用紙Pの最上位のものに接している。そして、ピックアップローラー17を回転駆動することにより、上記最上位の用紙Pが給送カセット16から給送方向下流側(図中の左側)に送り出される。
給送カセット16の給送方向下流側の先端部には、同給送カセット16からの用紙Pの送り出しの途中で、その用紙Pを給送カセット16内の下位の用紙Pと分離する分離部30が設けられている。本体12おける分離部30よりも給送方向下流側(図中の上側)には、回転駆動される給送駆動ローラー34と、その給送駆動ローラー34に接する分離ローラー35及び給送従動ローラー36とが設けられている。分離ローラー35は、分離部30から送り出された用紙Pに対し給送駆動ローラー34との間で再度分離を行い、確実に給送カセット16内の最上位の用紙Pのみを給送駆動ローラー34と給送従動ローラー36との間に送る。この用紙Pは、給送駆動ローラー34と給送従動ローラー36とに挟持された後に給送駆動ローラー34の回転駆動により、用紙Pに対し記録(印刷)を行う記録部28に向けて搬送される。
このときの給送駆動ローラー34及び給送従動ローラー36は、用紙Pを記録部28に搬送するための搬送部27として機能する。同搬送部27は、上記給送駆動ローラー34及び上記給送従動ローラー36を備える他、搬送駆動ローラー37、搬送従動ローラー38、排出駆動ローラー41、及び排出従動ローラー42も備えている。搬送従動ローラー38は、搬送駆動ローラー37に圧接されており、同搬送駆動ローラー37の回転駆動を通じて従動回転する。また、排出駆動ローラー41及び排出従動ローラー42は、搬送駆動ローラー37及び搬送従動ローラー38よりも搬送方向下流側(図中右側)に位置している。そして、排出従動ローラー42は、排出駆動ローラー41に対し圧接されており、同排出従動ローラー42の回転駆動を通じて従動回転する。
給送駆動ローラー34と給送従動ローラー36との間から搬送方向下流側に送り出された用紙Pは、搬送駆動ローラー37と搬送従動ローラー38との間に挟持され、同搬送駆動ローラー37の回転駆動により搬送方向の下流に送られる。更に、上記用紙Pは、排出駆動ローラー41と排出従動ローラー42との間にも挟持され、同排出駆動ローラー41の回転駆動により搬送方向の下流に送られる。用紙Pに対する印刷を行う上記記録部28は、ここでの用紙Pの搬送方向、すなわち図中の左から右に向かう方向に対し交差する方向(この例では紙面と直交する方向)に延びるガイド軸19に沿って移動可能なキャリッジ18を備えている。キャリッジ18の底部における搬送従動ローラー38と排出従動ローラー42との間に対応する部分には、用紙Pに対する印刷を行うための記録ヘッド20が同用紙Pと対向可能な状態で設けられている。
ガイド軸19に対するキャリッジ18の上下方向の相対位置は、高さ位置調整位置機構を通じて多段階(この例では四段階)に調節可能となっている。また、搬送駆動ローラー37と排出駆動ローラー41との間には、キャリッジ18の記録ヘッド20と対向した状態にある支持台39が設けられている。そして、高さ位置調整機構を通じてキャリッジ18をガイド軸19に対し上方に移動させるほど、すなわちキャリッジ18の高さ位置を高くするほど、記録ヘッド20と支持台39との間の距離が長くなる。従って、記録ヘッド20と支持台39との間の距離は、高さ位置調整機構によるキャリッジ18の高さ位置の調節を通じて、四段階に変化させることが可能となっている。
記録部28による用紙Pに対する印刷は、搬送部27により用紙Pを記録部28に搬送しつつ、キャリッジ18をガイド軸19の延びる方向(走査方向)に適宜移動させながら用紙Pに対し記録ヘッド20のノズルからインク滴を噴射することによって実現される。このとき、支持台39は用紙Pを支持し、用紙Pと記録ヘッド20との距離を規定する。この支持台39と記録ヘッド20との間の距離は、用紙Pの種類(厚さ)に応じて、キャリッジ18の高さ位置の調節によって四段階のうちのいずれかに調整される。なお、記録部28による印刷が行われた用紙Pは、搬送部27により搬送方向の下流側に送られることにより、本体12の前面寄り(図中右寄り)に配置された図1に二点鎖線で示すスタッカー23に排出される。
次に、印刷装置11の電気的構成について説明する。
図2に示すように、印刷装置11には、各種制御を司るコントローラー70が搭載されている。このコントローラー70は、CPU、ASIC(Application SpecificIC)、揮発性のRAM、不揮発性のRAM、及びROM等を備えて構成されている。コントローラー70には、入力系として、第1センサー74、第2センサー75、リニアエンコーダー72、及びロータリーエンコーダー73が接続されている。また、コントローラー70には、出力系として、キャリッジモーター40、搬送モーター33、及び記録ヘッド20も接続されている。
上記第1センサー74は、本体12(図1)における記録部28の上流側であって、且つ、給送従動ローラー36と搬送従動ローラー38との間に設けられている。この第1センサー74は用紙Pの有無を検知可能に構成されている。このため、搬送部27によって記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向(図1の右方向)の先端を、第1センサー74により検知することが可能になる。一方、上記第2センサー75は、キャリッジ18に設けられている。この第2センサー75も、第1センサー74と同じく、用紙Pの有無を検知可能に構成されている。このため、搬送部27によって記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向の先端を、第2センサー75により検知することが可能になる。
上記リニアエンコーダー72は、キャリッジ18の走査方向への移動に伴って、その移動量に比例する数のパルスを有するパルス信号を出力する。そして、コントローラー70は、リニアエンコーダー72から受信したパルス信号のパルスを計数し、その計数値に基づいてキャリッジ18のホーム位置を原点とする走査方向の移動位置を把握する。一方、上記ロータリーエンコーダー73は、用紙Pを記録部28に搬送すべく搬送モーター33を駆動するとき等、同搬送モーター33の駆動時の回転に伴って、その回転量に比例する数のパルスを有するパルス信号を出力するように構成されている。そして、コントローラー70は、ロータリーエンコーダー73から受信したパルス信号のパルスを計数し、その計数値に基づいて用紙Pを記録部28に搬送するとき等の同用紙Pの搬送量(搬送距離)を把握する。
コントローラー70は、印刷装置11に接続されたパーソナルコンピューター等のホスト装置71からの印刷ジョブデータを受信する。ホスト装置71は、ユーザーにより設定された印刷条件情報に基づき、印刷の実行が指定された印刷画像データを生成する。なお、上述した印刷条件情報には、用紙種、用紙サイズ、印刷色、及び印刷品質等が含まれている。そして、ホスト装置71は、生成した印刷画像データに印刷条件情報の一部を含むヘッダーを付け、それを上記印刷ジョブデータとしてコントローラー70に送信する。
コントローラー70は、受信した印刷ジョブデータに基づき、印刷装置11の印刷動作等を制御する。詳しくは、コントローラー70は、印刷装置11の印刷動作等にかかわる搬送モーター33、キャリッジモーター40、及び記録ヘッド20の制御を実施する。このときの搬送モーター33の制御を通じて、給送カセット16に収容された用紙Pが同給送カセット16から給送されるとともに、その給送後の用紙Pが記録部28及びその下流に搬送される。また、上記キャリッジモーター40の制御及び上記記録ヘッド20の制御を通じて、キャリッジ18を走査方向に適宜移動させながら記録ヘッド20によるインク滴の噴射が行われる。
こうした搬送モーター33、キャリッジモーター40、及び記録ヘッド20の制御により、記録部28に用紙Pを搬送しつつ、その記録部28での記録ヘッド20による用紙Pに対する印刷が行われる。詳しくは、上記印刷画像データに基づく画像等が、記録ヘッド20から用紙Pに対するインク滴の噴射を通じて同用紙Pに印刷される。更に、記録部28での印刷が完了した後の用紙Pは、上記搬送モーター33により制御される搬送部27の駆動力によりスタッカー23に排出される。
なお、コントローラー70は、搬送モーター33の制御を通じて搬送部27を動作させるとき、及び、キャリッジモーター40の制御を通じてキャリッジ18を動作させるとき、それら搬送部27及びキャリッジ18の動作を制御する制御部としての機能を有する。言い換えれば、コントローラー70は、上述したように機能する制御部70aを備えている。また、コントローラー70は、搬送部27により用紙Pを記録部28に搬送する際、その用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出する検出部70bも備えている。
図3〜図6は、上記斜行を検出するための搬送部27(用紙P)及びキャリッジ18の動きを示している。
用紙Pに対する印刷を行うべく搬送部27により用紙Pを記録部28に搬送する際、コントローラー70は、図3に示すようにキャリッジ18を走査方向(矢印X1,X2)に第1位置P1まで移動させる。この第1位置P1は、第2センサー75によって上記用紙Pの搬送方向の先端を検知可能な位置、詳しくは用紙Pにおける上記走査方向の略中央に対応する位置とされる。なお、この実施形態の印刷装置11では、記録部28に搬送される用紙Pにおける走査方向の中央が、用紙Pのサイズに関係なく常に走査方向における一定の位置に配置される構造が採用されている。このため、この実施形態での第1位置P1は、用紙Pのサイズに関係なく常に一定とされる。
キャリッジ18が第1位置P1に移動した状態のもとで、搬送部27により用紙Pが搬送されると、用紙Pの搬送方向(矢印Y方向)の先端が記録部28に近づいて第1センサー74に対応する位置に到達する。このとき、第1センサー74によって上記先端が検知される。コントローラー70は、第1センサー74によって検出された用紙Pの搬送方向の先端の位置をもとに、それ以後に搬送が進んだときの用紙Pの位置を把握する。そして、用紙Pの搬送が進み、図4に示すように用紙Pの搬送方向の先端が第2センサー75に対応して位置したとき、同第2センサー75により上記先端が検出される。そして、コントローラー70は、第2センサー75により用紙Pの搬送方向の先端が検出されたことに基づき、搬送部27による用紙Pの搬送を停止するとともに、キャリッジ18を図5に示す第2位置P2まで移動させる。
この第2位置P2は、図4の矢印X1、X2で示される走査方向のうち、第2センサー75が上記用紙Pを検知しなくなる方向(この例では矢印X1方向)に、キャリッジ18を第1位置P1から規定移動距離x分だけ離れた位置である。なお、規定移動距離xは、第1位置P1から用紙Pにおける走査方向の端(この例では矢印X1の方向の端)までの距離よりも短く、且つ、キャリッジ18が可能な限り上記端に近づく値に設定される。こうした規定移動距離xについては、ホスト装置71から送信された印刷ジョブデータに含まれる印刷条件に関する情報から用紙Pのサイズを把握し、その把握した用紙Pのサイズに応じて設定することが好ましい。
そして、キャリッジ18を第2位置P2に移動させた状態のもとで、搬送部27により用紙Pが搬送されると、図6に示すように用紙Pの搬送方向の先端が第2センサー75に対応して位置したとき、同第2センサー75により上記先端が検知される。コントローラー70(検出部70b)は、第2センサー75による第1位置P1での上記先端の検知から第2位置P2での上記先端の検知までに、搬送部27によって用紙Pが搬送された距離(以下、搬送距離yという)を求める。同コントローラー70は、その搬送距離yと上記規定移動距離xとに基づき、記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出する。そして、コントローラー70は、用紙Pの斜行を検出しないときには記録部28での用紙Pに対する印刷を行い、印刷後の用紙Pをスタッカー23に排出する。一方、コントローラー70は、用紙Pの斜行を検出したときには、記録部28での用紙Pの印刷を行わずに同用紙Pを搬送方向下流に搬送することにより、用紙Pをスタッカー23に排出する。
次に、印刷装置11の作用について説明する。
3D印刷等、用紙Pに対する高精度の印刷が求められる場合、用紙Pの搬送方向についての斜行が生じた状態で印刷が行われると、用紙Pに対する印刷位置が適正な位置からずれるおそれがある。特に、3D印刷等、用紙Pを専用の高価なものにする必要がある場合、用紙Pに対し適正な位置からずれて印刷が行われて同用紙Pが無駄に消費されると、それが無視できない問題となる。このことに対処するため、記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出し、その斜行の検出に基づいて用紙Pに対し印刷を行わずに同用紙Pを排出するようにしている。ただし、上記斜行の検出の仕方によっては、同斜行が検出されなかった場合に用紙Pに対する印刷を開始しようとするとき、用紙Pの斜行を検出するための動作を開始してから印刷が開始されるまでに長い時間がかかるという問題が生じる。
そこで、本実施形態の印刷装置11では、次のように用紙Pの斜行を検出する。すなわち、用紙Pの斜行を検出するに当たり、キャリッジ18を第1位置P1まで移動させ、その状態のもとで用紙Pを記録部28に搬送する。そして、第2センサー75によって用紙Pの搬送方向の先端が検出されると、第2センサー75が上記用紙Pを検知しなくなる方向にキャリッジ18を第1位置P1から規定移動距離x分だけ離れた第2位置P2に移動させる。更に、その第2位置P2にて第2センサー75が用紙Pの搬送方向の先端を検知するまで、同用紙Pを搬送部27により搬送させる。印刷装置11のコントローラー70は、第1位置P1にて第2センサー75が用紙Pの搬送方向の先端を検知してから第2位置P2にて第2センサー75が用紙Pの搬送方向の先端を検知するまでの搬送部27による用紙Pの搬送距離yを求める。そして、同搬送距離y及び上記規定移動距離xに基づき、用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出する。
ここで、第1位置P1と第2位置P2とのキャリッジ18の走査方向における距離は規定移動距離xとなる。この規定移動距離xについては、用紙Pの走査方向における幅全体に亘る距離よりも、短い値に設定することが可能である。このように規定移動距離xを設定することにより、キャリッジ18の第1位置P1から第2位置P2への移動に要する時間が短くなる。更に、キャリッジ18が第2位置P2に変位した状態で第2センサー75が用紙Pの搬送方向の先端を検知したとき、同用紙Pの搬送方向に対する斜行が検出されない場合には、そのときの用紙Pの位置から同用紙Pを下流側に搬送して記録部28にて印刷を開始することが可能である。また、仮に用紙Pを印刷開始位置まで搬送方向上流側に戻す必要があるとしても、そのときの用紙Pの逆方向(搬送方向上流側)への搬送量は極めて少なくて済む。以上により、用紙Pの搬送方向に対する斜行が検出されなかった場合において、斜行の検出のための搬送部27及びキャリッジ18の動作の開始から用紙Pに対する印刷開始までの時間を短くすることができる。
図7は、記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出する手順を示すフローチャートである。
同図のステップ101(S101)の処理で給送カセット16からの用紙Pの給送が行われると、S102の処理としてキャリッジ18が第1位置P1に移動される。更に、S103の処理として、搬送部27により搬送される用紙Pの搬送方向の先端が第1センサー74によって検知されたか否かが判断される。ここで肯定判断であれば、コントローラー70は、第1センサー74によって検出された用紙Pの搬送方向の先端の位置をもとに、それ以後の用紙Pの位置を把握する。
図7のS104以降の処理は、記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出するためのものである。この一連の処理を実行する前に、コントローラー70は、用紙Pの斜行を事前に解消しておくための動作として、次の(A)及び(B)に示す二種類の動作のうちのいずれかを行わせる。
(A)給送駆動ローラー34の回転を止めた状態のもとで、搬送駆動ローラー37を用紙Pの搬送時と逆方向に回転駆動することにより、用紙Pの搬送方向の先端を搬送駆動ローラー37と搬送従動ローラー38とに挟持される位置から、その位置よりも上流の位置まで戻すことが行われる。これにより、搬送駆動ローラー37と搬送従動ローラー38とに挟持された用紙Pの先端が搬送方向上流側(図1の左側)に吐き出され、用紙Pが撓むようになる。このように用紙Pが撓むと、用紙Pの搬送方向の先端が逆回転もしくは停止中の搬送駆動ローラー37と搬送従動ローラー38との間に突き当てられ、その突き当てを通じて用紙Pの搬送方向に対する斜行の解消が図られる。
(B)給送駆動ローラー34を用紙Pの搬送時の方向である正方向に回転駆動するとともに、搬送駆動ローラー37を用紙Pの搬送時とは逆方向に回転駆動、もしくは回転駆動を停止させた状態とする。これにより、用紙Pの搬送方向の先端が、上述したように逆回転もしくは回転停止する搬送駆動ローラー37と搬送従動ローラー38との間に突き当てられ、その突き当てを通じて用紙Pの搬送方向に対する斜行の解消が図られる。なお、この(B)の動作は、用紙Pが3D印刷用の用紙など比較的厚く硬いものである場合に採用することが好ましい。
上述した用紙Pの斜行を事前に解消しておくための動作が行われた後、コントローラー70は、用紙Pを搬送部27により記録部28に向けて搬送する。そして、上記動作では解消しきれない用紙Pの斜行の有無については、図7のS104以降の処理を通じて判断されることとなる。この一連の処理では、まず104の処理として第2センサー75によって用紙Pの搬送方向の先端が検知されたか否かが判断される。ここで肯定判断であれば、S105の処理として搬送部27による用紙Pの搬送が停止され、その後にS106の処理としてキャリッジ18が第2位置P2に移動される。
このS106の処理は、コントローラー70を通じて次のように行われる。すなわち、コントローラー70は、キャリッジ18を走査方向一方側(図4の矢印X1方向もしくは矢印X2方向)に移動させる。このとき、第2センサー75により用紙Pが検知されない場合、すなわち図4の例ではキャリッジ18を矢印X1方向に移動させた場合には、規定移動距離x分のキャリッジ18の移動を行う。これにより、キャリッジ18が図5に示すように第2位置P2に到達する。
一方、上述したように図4のキャリッジ18を走査方向一方側に移動させたとき、第2センサー75により用紙Pが検知され続けた場合には、同キャリッジ18の移動方向を反転させる。なお、図4の例ではキャリッジ18を矢印X2方向に移動させた場合、すなわちキャリッジ18を第2位置P2とは逆の方向に移動させた場合、第2センサー75により用紙Pが検知され続ける。この場合、コントローラー70は、キャリッジ18の移動方向を反転させ(図4の例では矢印X2方向から矢印X1方向に反転させ)、その後に規定移動距離x分のキャリッジ18の移動を行う。これにより、キャリッジ18が図5に示すように第2位置P2に到達する。
上述したS106(図7)の処理を通じてキャリッジ18が第2位置P2に移動した状態のもと、S107の処理として搬送部27による用紙Pの搬送が再開される。そして、S108の処理として、第2センサー75が用紙Pの搬送方向の先端を検知したか否かが判断される。ここで肯定判定であれば、S109の処理として、用紙Pの搬送方向に対する用紙Pの斜行角θが求められる。詳しくは、搬送距離y及び規定移動距離xに基づき、次の式「θ=arctan(y/x)」を用いて上記斜行角θが算出される。
続いて、S110の処理として、斜行角θが判定値以上であるか否かが判断される。なお、ここで用いられる判定値としては、3D印刷を適正に実施可能な斜行角θの許容上限値(例えば0.5°)を採用することが考えられる。そして、斜行角θが「+0.5°」に対し等しい、もしくはプラス方向に大きい場合にはS110で肯定判断がなされる。また、斜行角θが「−0.5°」に対し等しい、もしくはマイナス方向に大きい場合にもS110で肯定判断がなされる。
S110で肯定判断がなされた場合には用紙Pに斜行が生じている旨判断され、S111の処理として用紙Pに対する記録部28での印刷を行うことなく同用紙Pが搬送部27により搬送されてスタッカー23に排出される。一方、S110で否定判断がなされた場合には、S112の処理として記録部28での用紙Pに対する印刷が開始される。
なお、用紙Pの斜行がほとんどない場合(斜行角θがほぼ0°の場合)、S106の処理でキャリッジ18を矢印X1方向と矢印X2方向とのいずれの方向に移動させても、第2センサー75が検知状態のままになる可能性がある。この場合には、用紙Pの斜行なしと判断して用紙Pに対する印刷を開始する。
次に、印刷装置11にかかる次の[A]〜[C]の事項について、それぞれ個別に詳しく説明する。[A]キャリッジ18における第2センサー75の記録ヘッド20のノズルに対する走査方向のオフセット量の記憶。[B]第2センサー75の劣化時の検知精度確保。[C]斜行角θに応じた用紙Pに対するインクの着弾精度向上。
[A]印刷装置11のコントローラー70は、用紙Pに対する印刷を行うべく、キャリッジ18を走査方向に適宜移動させながら記録ヘッド20のノズルからインク滴を噴射させる。その際のノズルからのインク滴の噴射の開始タイミングは、第2センサー75によって検知される用紙Pにおける走査方向の端を基準にして定められる。コントローラー70は、第2センサー75の記録ヘッド20のノズルに対する走査方向のオフセット量ΔXを記憶しており、用紙Pにおける走査方向の端を基準に上記オフセット量ΔXに基づいて用紙Pに対するノズルからのインク滴の噴射の開始タイミングを決定する。
図8及び図9は、上記オフセット量ΔXと上記用紙Pに対するインク滴の噴射開始位置との関係を説明するための略図である。
仮に、コントローラー70が記憶している上記オフセット量ΔXが印刷装置11の製造誤差等に起因して実際値からずれている場合、用紙Pに対するノズルからのインク滴の噴射の開始タイミングが適正なタイミングからずれるおそれがある。ちなみに、3D印刷用の用紙Pの場合、第2センサー75によって用紙Pの走査方向の端Eを検出した後、その端Eを基準に上記オフセット量ΔXを考慮して、用紙P上のレンズの中心Mにインク滴が着弾するようノズルからのインク滴の噴射を開始することが求められる。しかし、コントローラー70が記憶したオフセット量ΔXが実際値からずれていると、用紙P上のレンズの中心Mにインク滴が着弾するようノズルからのインク滴の噴射を開始することが困難になる。
このことに対処するため、印刷装置11の製造過程において、以下の手順A1〜A3により、実際値に即したオフセット量ΔXをコントローラー70に記憶することが好ましい。
図10に示すように、手順A1では印刷装置11により調整用の用紙P(例えば調整専用の光沢紙)に対して低解像度にて階段状の画像の印刷が行われる。詳しくは、コントローラー70は、用紙Pの端Eに向けてキャリッジ18を走査方向に移動させ、端Eの手前の任意の位置「0」にて記録ヘッド20のノズルからのインク滴の噴射を開始し、その後のインク滴の噴射を通じて図中に示す階段状の画像の印刷を行う。このときの解像度としては、例えば1/360dpiといった低解像度を採用することが考えられる。そして、第2センサー75による端Eの検知に基づき、階段状の画像の段差部(この例では1〜3段目までを図示)のうち端Eに最も近い段差部が何段目であるかを把握し、その段差部と位置「0」との間の走査方向の距離を求め、その距離をオフセット量ΔXの仮設定値として設定する。
手順A2では、印刷装置11により手順A1で設定したオフセット量ΔX(仮設定値)を用いて用紙Pに対し高解像度(例えば1/1440dpi)にて手順A1と同様の階段状の画像の印刷が行われる。コントローラー70は、印刷された階段状の画像における複数の段差部のうち端Eに最も近い段差部が何段目であるかを把握し、その段差部と位置「0」との間の走査方向の距離を求め、その距離をオフセット量ΔXの新たな仮設定値として設定する。
手順A3では、手順A1及び手順A2を用紙Pの別々の三箇所で繰り返し行い、オフセット量ΔXの仮設定値を合計四つ取得する。そして、これら四つの仮設定値を平均して得られる平均値を正式なオフセット量ΔXとして設定する。コントローラー70は、このように設定された正式なオフセット量ΔXを記憶し、この記憶したオフセット量ΔXに基づいて以後の印刷(インク滴の噴射)を行う。なお、オフセット量ΔXの仮設定値を取得すべく手順A1及び手順A2を行う用紙Pの箇所としては、用紙Pの四隅、すなわち用紙Pにおける搬送方向上流の右端部左端部、並びに、搬送方向下流の右端部及び左端部を用いることが好ましい。
以上のように設定された正式なオフセット量ΔXをコントローラー70に記憶しておき、この記憶したオフセット量ΔXに基づいて印刷を行うことにより、3D印刷等のような高精度が要求される印刷に際しても、その要求を満たすことができるようになる。また、手順A2を行う前に手順A1を行うことにより、手順A1を行わない場合と比較して手順A2を効率化することができる。
[B]第2センサー75としては、用紙Pに向けた発光を行う一方で用紙Pからの反射光の受光を行い、そのときの受光量に基づいて用紙Pの検知を行うものを採用することが考えられる。ただし、こうした第2センサー75では、劣化による発光量の低下を招き、発光量の低下が用紙Pからの反射光の受光量の低下を招くため、第2センサー75により用紙Pの端を検知する際の精度低下に繋がる。このため、用紙Pに対する高精度の印刷が要求される3D印刷等では、第2センサー75による用紙Pの端の検知精度の低下に伴い、用紙Pに対する印刷精度の要求を満たすことができなくなるおそれが生じる。
このことに対処するため、以下の手順B1〜B4に従って第2センサー75の劣化に応じて発光量を調整し、それによって第2センサー75による用紙Pの端の検知精度の低下を抑制することが好ましい。
手順B1では、コントローラー70は、用紙Pの斜行を検出するための処理の実行後であってキャリッジ18が第2位置P2にある状態のもと、用紙Pを搬送方向下流側に搬送することにより第2センサー75を用紙P上に位置させる。
手順B2では、コントローラー70は、用紙P上に位置する第2センサー75において、受光量の増大に伴って低下する検出電圧が所定値(例えば0.4v)となるよう発光量を調整し、検出電圧が所定値になるときの発光量を記憶しておく。
手順B3では、コントローラー70は、キャリッジ18を第2位置P2から第1位置P1に移動させ、その位置にて手順B2と同様にして第2センサー75の発光量を調整する。そして、第2センサー75の検出電圧が所定値となるときの発光量を記憶しておく。
手順B4では、コントローラー70は、手順B2と手順B4とでそれぞれ記憶された発光量の平均値を第2センサー75における新たな発光量として設定する。これにより、以後に行われる第2センサー75による用紙Pの端の検知では、上述したように新たに設定された発光量でもって用紙Pに対する発光を行う。
なお、上記手順B1〜B4による第2センサー75の発光量の調整については、3D印刷等、用紙Pに対する高精度での印刷を行うときのみ行うようにしてもよい。この場合、用紙Pが汎用の印刷用といった高精度の印刷を必要としないものであるときには、手順B1〜B4による第2センサー75の発光量の調整は行われず、規定の発光量での発光が行われる。
[C]用紙Pの斜行角θが判定値未満であって用紙Pの斜行が検出されない場合、用紙Pに対する印刷が開始されるものの、斜行角θの分だけ用紙Pに対するインク滴の着弾精度が低下することは否めない。そして、3D印刷用の用紙Pに対する印刷を行う場合、そうしたインク滴の着弾精度の低下による印刷への悪影響が懸念される。このため、3D印刷用の用紙Pに対する印刷を行う場合であって斜行角θが「0」よりも大きいときには、用紙Pに対するインク滴の着弾精度の向上を図って良好な印刷を実現するうえで、何らかの対策を講じることが好ましい。こうした対策としては、記録ヘッド20のノズルからのインク滴の噴射によって用紙Pに印刷される画像が斜行角θ分だけ用紙Pと同様に傾くよう、ノズルからのインク滴の噴射タイミングをずらすことが考えられる。
ここで、図10に示すように、記録ヘッド20には、用紙Pの搬送方向(図中の上下方向)にノズルを並べることによりノズル列が形成されており、そうしたノズル列がキャリッジ18の走査方向に並ぶように複数形成されている。また、3D印刷では、用紙Pとして、図9に示すように、例えばレンチキュラーレンズの底面にインク吸収層が接合されたレンズシートが用いられる。用紙P上のレンズ(例えばシリンドリカルレンズ)が図9に示すように搬送方向(図9の上下方向)に延びた状態、すなわち図10に示すノズル列と平行に延びた状態のもとで、用紙Pの搬送が行われる。仮に斜行角θが「0」である場合には、ノズル列における各ノズルから同時にインク滴を噴射することにより、インク滴を用紙P上のレンズの中心Mに対し着弾させることができ、用紙Pに対し画像を傾くことなく印刷することができる。一方、斜行角θが「0」よりも大きい場合には、一つのノズル列におけるノズルからのインク滴の噴射タイミングを斜行角θに応じて各ノズル毎に徐々にずらすことにより、インク滴を斜行角θ分だけ傾いた用紙P上のレンズの中心Mに対し着弾させることができ、用紙Pに対し斜行角θ分だけ画像を傾けて印刷することができる。
なお、一つのノズル列におけるノズルからのインク滴の噴射タイミングを斜行角θに応じて各ノズル毎に徐々にずらすことは、斜行角θに応じた各ノズル毎のインク滴の噴射タイミングの遅延設定等を通じて実現することが可能である。また、一つのノズル列におけるノズルからのインク滴の噴射タイミングを斜行角θに応じて各ノズル毎に徐々にずらすことは、次のようにして実現することも可能である。すなわち、例えばホスト装置71から送信された印刷ジョブデータに基づく画像、すなわち用紙Pに対する印刷の行うための元画像を斜行角θ分だけ傾ける。この場合、斜行角θ分だけ傾けられた元画像に基づき、記録ヘッド20のノズル列の各ノズルからインク滴が噴射されるため、一つのノズル列の各ノズルからのインク滴の噴射タイミングを上述したようにずらすことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向に対する斜行が検出されなかった場合に、同斜行の検出のための搬送部27及びキャリッジ18の動作の開始から用紙Pに対する印刷開始までの時間を短くすることができる。
(2)用紙Pの搬送方向に対する斜行を検出するために、キャリッジ18を走査方向に第1位置P1から第2位置P2に移動させる際、第1位置P1にあるキャリッジ18を最初に第2位置P2と逆の方向に移動させてしまう可能性がある。用紙Pが搬送方向に対し斜行している場合、キャリッジ18の第2位置P2とは逆方向への移動を開始したときには第2センサー75により用紙Pが検知され続ける。このように第2センサー75により用紙Pが検知され続けたときには、キャリッジ18の移動方向を反転させて同キャリッジ18が第2位置P2に向かうようにされる。これにより、上記キャリッジ18を第1位置P1から第2位置P2と逆方向に移動させてしまったとしても、その後のキャリッジ18の移動方向の反転により用紙Pの斜行を検出できる。このとき、第2位置P2と逆方向に移動しようとするキャリッジ18の移動方向を直ちに第2位置P2に向けて反転させれば、第1位置P1から第2位置P2に移動する際のキャリッジ18の無駄な動きを極力抑制することができる。
(3)搬送距離y及び規定移動距離xに基づき用紙Pの搬送方向に対する斜行角θが求められる。この斜行角θが判定値以上であることに基づき、用紙Pに斜行が生じている旨判断される。言い換えれば、斜行角θが判定値以上であることに基づき、用紙Pの搬送方向に対する斜行が検出される。なお、上記判定値は3D印刷を適正に実施可能な斜行角θの許容上限値に設定される。そして、上述したように用紙Pの斜行が検出されたときには、同用紙Pが搬送方向に排出されるよう搬送部27が動作される。従って、用紙Pの斜行が同用紙Pに対する3D印刷に支障を来すほど大きいとき、その用紙Pを搬送方向に排出することができる。従って、斜行する用紙Pに対し3D印刷が行われてしまい、それによって用紙Pを無駄に消費してしまうことを回避できる。
(4)第2位置P2を定めるための規定移動距離xは、第1位置P1から用紙Pにおける走査方向の端(この例では矢印X1の方向の端)までの距離よりも短く、且つ、キャリッジ18が可能な限り上記端に近づく値に設定される。規定移動距離xについては、可能な限り大きくすることが同規定移動距離x等に基づき斜行角θを精度良く求めるうえで好ましい。上述したように規定移動距離xを設定すれば、同規定移動距離xを可能な限り大きくすることができ、斜行角θを精度良く求めることができる。なお、印刷条件情報のうちの用紙サイズに応じて第2位置P2(規定移動距離x)を決める構成とすれば、その第2位置P2を決めるための用紙サイズの検出を目的とするキャリッジ18(第2センサー75)の走査方向の移動が必要なくなる。
(第2実施形態)
次に図11〜図19を参照しつつ第2実施形態について説明する。本実施形態は、第2センサー75の検出域に用紙Pが存在しない場合に、第2センサー75から照射された光が当たる支持部の一例としての支持台39の部分が、光の当たる位置によって第2センサー75の受光量が異なることになる凹凸面の形状であっても、斜行の検出精度を高く確保できる例である。
図11に示すように、印刷装置11に設けられた支持台39は、キャリッジ18の移動経路(走査方向)に沿って長尺状に延びるとともに、記録ヘッド20による液体の噴射が行われる印刷領域PAに対応する部分を含む用紙Pの所定の範囲を支持する。支持台39には、搬送方向の上流側に位置する上流側支持面部81と、上流側支持面部81に対して搬送方向の下流側に位置する中段支持面部82と、中段支持面部82に対して搬送方向の下流側に位置する下流側支持面部83とを有している。中段支持面部82には印刷領域PAが配置されている。
図11に示すように、上流側支持面部81には、鉛直方向上側(図11の紙面手前側)に突出し、かつ搬送方向に沿って延びる第1リブ84が走査方向に所定の間隔をおいて複数形成されている。また、中段支持面部82には、鉛直方向上側に突出し、かつ搬送方向に沿って延びる第2リブ85が走査方向に一定の間隔をおいて複数形成されている。さらに、下流側支持面部83には、鉛直方向上側に突出し、かつ搬送方向に沿って延びる第3リブ86が走査方向に一定の間隔をおいて複数形成されている。用紙P(図1参照)は、第1〜第3リブ84〜86に裏面を支持された状態で搬送方向に搬送される。
また、図11に示すように、中段支持面部82には、印刷領域PAを含む走査方向に長い四角板形状のインク吸収材87が設けられている。インク吸収材87は、例えば縁なし印刷時に用紙Pの外側にはみ出して噴射されて着弾したインクを吸収する機能等を有する。用紙Pは複数の第2リブ85によって、インク吸収材87の表面から上方へ離間する状態で支持される。
図11に示すように、上流側支持面部81の第1リブ84以外の部分は、第1リブ84の頂面(上端面)よりも低い底面を有する凹部81aとなっている。凹部81aの底面は後述するように凹凸面81b(図12参照)となっている。一方、第2センサー75は、搬送方向において上流側支持面部81に対応する位置に配置された状態でキャリッジ18に設けられている。このため、用紙の斜行を検出する動作を行うとき、第2センサー75は、上流側支持面部81上に用紙が存在しない状態では、上流側支持面部81からの反射光を受光する。なお、リニアエンコーダー72は、走査方向に沿って一定ピッチで開口する多数のスリットを有する符号板72aと、投光部から出射されてスリットを通過した光を受光部で受光するセンサー72bとを有する。
図12(a),(b)に示すように、上流側支持面部81における凹部81aの底面には、第1リブ84よりも高さの低い複数の凸部88(リブ)が走査方向に一定ピッチで配列されている。図12(b)に示すように、凸部88は搬送方向から見た側面視が台形形状をなしており、一番高い頂面88a(上端面)と、頂面88aの走査方向の両側に一定の角度で斜めに延びそれぞれ傾きの向きの異なる二つの斜面88b,88cとを有している。そして、凸部88間に一番低い底面88dが位置している。このように凹部81aの底面は、図12(a),(b)に示すような複数の凸部88の存在により凹凸面81bとなっている。
このため、第2センサー75から凹部81aに照射された光は凹凸面81bによって乱反射し易く、第2センサー75へ入射する光量が相対的に少なくなるようになっている。これに対して用紙Pの光反射率は凹部81aのそれに比べて相対的に高い。よって、第2センサー75にとって、凹部81aは暗部領域となり、用紙Pは明部領域となる。このため、用紙Pの先端が第2センサー75の検知域(光スポット)内に達したとき、用紙Pと上流側支持面部81との境界の両側で第2センサー75に戻る光反射量の差が生じ易くなり、用紙Pの搬送方向の先端を比較的高い精度で検出できるようになっている。
また、第1リブ84の頂面84aは用紙Pが摺動することにより研磨されて次第に鏡面状になる。このため、頂面84aの光反射率は鏡面状になるまで徐々に上昇する側に変化する。このように光反射率が変化する第1リブ84に用紙Pの先端を検出するときの光スポットSPを当てることは、正確な搬送量を取得するうえであまり好ましくない。そこで、本実施形態では、第1リブ84よりも高さが低く用紙Pとの摺動がまず起こらず、光反射率の変化が相対的に少ない凹部81aに第2センサー75の光スポットSPを当てる。そのため、用紙Pの斜行を検出する動作を行う場合の第2センサー75の配置位置である、第1位置P1と、ホーム位置側の第2位置P2(以下「P2h」とも記す。)と反ホーム位置側の第2位置P2(以下「P2o」とも記す。)とを、凹部81aのエリア内に設定している。
用紙Pの斜行を検出する際に第2センサー75から凹部81aに照射された光スポットが、凸部88の三つの面88a〜88cと底面88dとのうち、どの面を中心として当たるかによって、第2センサー75の受光量が異なる。つまり、第2センサー75からの光スポットが、四つの面88a〜88dのうちどの面を中心として当たるかによって、第2センサー75の出力値が異なる。なお、本実施形態の第2センサー75は、凹部81aなどの暗部領域に光スポットが当たって受光量が少ないときにその出力値が大きくなり、用紙Pなどの明部領域に光スポットが当たって受光量が多いときにその出力値が小さくなる構成となっている。もちろん、第2センサー75は受光量が多いほど出力値が高くなる構成でもよい。
図13に示すように、本例では、頂面88aの幅L1、斜面88bの走査方向への投影幅L2、斜面88cの走査方向への投影幅L3、底面88dの幅L4とすると、一例として、L1=L2=L3=L4となっている。例えば頂面88aの幅L1は、0.1〜2mmの範囲内の値(一例として0.5mm)となっている。また、第2センサー75の光スポット径は、頂面88aの幅L1よりも長く、例えば0.5〜5mmの範囲内の値(一例として2mm)となっている。さらに記録ヘッド20においてノズルが開口するノズル形成面と、支持台39において用紙Pが載置される支持面(本例ではリブ85の頂面)との距離は、用紙Pの種類に応じて変更されるが、本実施形態の斜行の検出の対象とされる用紙Pの場合、1〜3mmの範囲内の値(一例として2mm)に設定されている。
このため、光スポットの中心を頂面88aの幅中心に一致させた場合、光スポット内には頂面88aと斜面88b,88cが含まれる。もちろん、光スポット径Dと頂面の幅L1との関係は、D≦L1でもよい。なお、各面88a〜88dの走査方向における各幅L1〜L4は、全て異なってもよいし、一部が異なり他の一部が同じであってもよい。
図14(a),(b)に示すように、D=4L1の例では、第2センサー75の光スポットSP内には、凸部88の複数の面88a〜88dの全てが含まれる。例えば図14(a)に示すように、光スポットSPの中心が頂面88aに位置する場合、光スポットSP内には、頂面88aとその両隣の斜面88b,88cと少しの底面88dとが含まれる。また、例えば図14(b)に示すように、光スポットSPの中心が底面88dに位置する場合、光スポットSP内には、底面88dとその両隣の斜面88b,88cと少しの頂面88aとが含まれる。
図13中のセンサー出力のグラフにおいて、黒点の位置は第2センサー75の光スポットSPの中心位置を示す。図13に示すように、光スポットSPの中心が凸部88の頂面88aに位置する場合(図14(a)に相当)、第2センサー75に受光される光反射量が相対的に少なくなり、センサー出力値が相対的に大きくなる。これに対して、光スポットSPの中心が底面88dに位置する場合(図14(b)に相当)、第2センサー75に受光される光反射量が相対的に多くなり、センサー出力値が相対的に小さくなる。これは、例えば斜面88bで反射した光が対向する斜面88cで更に反射して第2センサー75に入射する光によって、第2センサー75の受光量が相対的に多くなるからである。また、光スポットSPの中心が斜面88c(又は88b)に位置する場合、第2センサー75に受光される光反射量が、光スポットの中心が頂面88aにある場合と底面88dにある場合との中間の量となり、センサー出力値もこれらの中間の値をとる。
このように第2センサー75の光スポットSPの当たる位置が、キャリッジ18の走査方向の移動に伴い凹部81aの凹凸面81b上を移動することにより、センサー出力は、図13に示すように凸部88の形状に応じて周期的に変化する波形信号となる。そして、第2センサー75の光スポットSPの中心が、四つの面88a〜88dのうちどの面のどの位置にあるかによって、センサー出力は変化する。
例えば第1位置P1と第2位置P2o(又はP2h)とで、四つの面88a〜88dのうち光スポットの中心が位置する面が異なる場合、第2センサー75の出力値が異なることになる。この場合、用紙Pが、センサー出力値が紙ありと判定される閾値に達するまで搬送されるために必要な搬送量にばらつきが発生する。
図16は、第2センサー75が上流側支持面部81に光を照射している状態から、用紙Pが搬送されて第2センサー75が用紙Pの先端を検知する過程において、用紙Pが光スポットSP内に進入する搬送量(紙送り量)と第2センサー75の出力との関係を示すグラフである。このグラフでは、一例として図14(a),(b)に示すように、第2センサー75の光スポットSPが凹部81aの凹凸面81bのみに当たり、かつ用紙Pの先端が光スポットSPに外接しているときの位置を、搬送量「0」の基点位置としている。図16のグラフでは、光スポットSPの中心が、凸部88の頂面88a(図14(a))、斜面88b,88c、底面88d(図14(b))に位置するそれぞれの場合について、用紙Pが基点位置から光スポットSP内に進入する搬送量とセンサー出力との関係を示している。
図16のグラフにおいて、実線が光スポットの中心が頂面88aに位置する場合における搬送量とセンサー出力との関係を示すグラフ線LTを示し、一点鎖線が光スポットの中心が斜面88b,88cに位置する場合の同じくグラフ線LSを示し、二点鎖線が光スポットの中心が底面88dに位置する場合の同じくグラフ線LBを示す。また、図16のグラフ中の太い破線は第2センサー75が用紙Pを検知したとする閾値Thである。コントローラー70は、第2センサー75から入力する出力値がこの閾値Thに達したら、用紙Pが検知されたと判定する。
図16に示すように、基点位置(搬送量「0」)におけるセンサー出力値が、閾値Thに達するまでに必要な用紙Pの搬送量は、光スポットSPの中心が位置する場所が、頂面88a(実線)、斜面88b,88c(一点鎖線)、底面88d(二点鎖線)の順で多くなる。これは次の理由による。
図14(a)に示すように、光スポットSPの中心が凸部88の頂面88aにある場合、光スポットSP内が相対的に暗いため、図16に示すようにセンサー出力値aは相対的に大きくなる。また、図14(b)に示すように、光スポットSPの中心が凸部88の底面88dにある場合、光スポットSP内が相対的に明るいため、図16に示すようにセンサー出力値cは相対的に小さくなる。さらに光スポットSPの中心が凸部88の斜面88b,88cのうち一方にある場合、図16に示すようにセンサー出力値bは、出力値aと出力値cの間の値をとる。
図15(a)は、光スポットSPの中心が凸部88の頂面88aにある場合にセンサー出力が閾値Thに達したときの光スポットSP内の様子を示し、同図(b)は、光スポットSPの中心が凸部88の底面88dにある場合にセンサー出力が閾値Thに達したときの光スポットSP内の様子を示す。図14(a)に示すように、光スポットSPの中心が頂面88aに位置する場合、光スポットSP内が相対的に暗いため(低光反射量)、図15(a)に示すように、光反射率の高い用紙Pが、センサー出力値が閾値Thに達するまでに光スポットSP内に占める必要がある占有割合が相対的に多くなる。このため、センサー出力値が閾値Thに達するまでに必要となる用紙Pの搬送量が相対的に多くなる。
一方、図14(b)に示すように、光スポットの中心が底面88dに位置する場合、光スポットSP内が相対的に明るいため(高光反射量)、図15(b)に示すように、用紙Pが、センサー出力値が閾値Thに達するまでに光スポットSP内に占める必要がある占有割合が相対的に少なくなる。このため、センサー出力値が閾値Thに達するまでに必要な用紙Pの搬送量が相対的に少なくなる。
すなわち、図17に示すように、光スポットの中心が頂面88aに位置しセンサー出力が相対的に高い値「a」をとる場合(図14(a)に相当)、センサー出力が閾値Thに達するまでに相対的に多くの受光量ΔS1を増やす必要があり、このために必要な用紙Pの搬送量y1が相対的に多くなる。これに対して、図17に示すように、光スポットの中心が底面88dに位置しセンサー出力が相対的に低い値「c」をとる場合(図14(b)に相当)、センサー出力が閾値Thに達するまでに相対的に少ない受光量ΔS3を増やすだけで済み、このために必要な用紙Pの搬送量y3(<y1)が相対的に少なく済む。さらに、図17に示すように、光スポットSPの中心が斜面88c(又は88c)に位置しセンサー出力が中間の値「b」をとる場合は、センサー出力値bが閾値Thに達するまでにΔS1とΔS3の間の受光量ΔS2を増やす必要があり、このために必要な用紙Pの搬送量y2(但しy3<y2<y1)も中間の値になる。
ところで、第2センサー75を第1位置P1又は第2位置P2に配置した際、支持台39の組付けばらつき又はキャリッジ18に対する第2センサー75の組付け位置のばらつき等が原因で、走査方向に光スポットSPの中心位置が頂面88aの幅中心から僅かにずれる場合がある。図15(a)に示すように、用紙Pの先端が検知された際の光スポットSP内における用紙Pの占有割合が相対的に多い場合、光スポットSP内の凹凸面81bの位置が走査方向にずれても、光スポットSP内における凹凸面81bの占有割合が相対的に少ないため、そのずれに起因するセンサー出力への影響が相対的に少なく済む。
これに対して、図15(b)に示すように、用紙Pの先端が検知された際の光スポットSP内における用紙Pの占有割合が相対的に少ない場合、光スポットSP内の凹凸面81bの位置が走査方向にずれたとき、光スポットSP内における凹凸面81bの占有割合が相対的に多いため、そのずれに起因するセンサー出力への影響が相対的に大きくなる。
このような理由から、本実施形態では、第1位置P1と、ホーム位置側の第2位置P2hと、反ホーム位置側の第2位置P2oは、光スポットSPの中心が凸部88の頂面88aに配置される位置に設定されている。特に本例では、第1位置P1及び二つの第2位置P2h,P2oは、頂面88aの幅中心に設定されている。これらの各位置P1,P2h,P2oは、キャリッジ18の位置を把握するリニアエンコーダー72のパルス計数値相当のカウント値として、コントローラー70内の不図示の不揮発性メモリーに記憶されている。
また、コントローラー70は、キャリッジ18の走査方向における基準位置を度当てにより取得する。詳しくは、コントローラー70は、キャリッジモーター40を駆動させてキャリッジ18をホーム位置側のエンド位置に当たるまで移動させることで度当てをし、エンド位置に当たったときの位置でキャリッジ位置計数用のカウンターをリセットする。このようにキャリッジ18の基準位置(例えば計数値「0」)は度当てにより取得される。そして、コントローラー70は、予め決められた凹凸面81b上の第1位置P1と第2位置P2(P2h,P2o)との各設定位置を不揮発性メモリーから読み出す。キャリッジ18を走査方向に移動させ、基準位置でリセットされたキャリッジ位置計数用のカウンターの計数値がそのとき目標とする第1位置P1又は第2位置P2に達したらキャリッジ18を停止させる。これによりキャリッジ18は走査方向に第1位置P1又は第2位置P2に比較的正確に位置決めされる。
また、他の方法として、コントローラー70は、支持台39上に用紙Pのない状態でキャリッジ18を移動させて第2センサー75により凹凸面81bの形状の同じ位置(例えば頂面88a)を検出し、検出したその位置に基づいて、第1位置P1と第2位置P2として、頂面88aの幅中心に相当するカウンターの計数値を求める。例えば図13に示す第2センサー75の出力値を基に第1位置P1と第2位置P2のそれぞれに対応する各凸部88に対して予め設定された凹凸面81bの形状の同じ位置(例えば頂面88aの幅中心)を求め、その求めた位置を第1位置P1と第2位置P2に設定する。例えばこのような第1位置P1と第2位置P2の設定処理を、電源オン時の初期動作時、あるいは前回の設定処理時からの経過時間が所定時間に達したとき、又は前回の設定処理時からの印刷枚数が所定枚数に達したときに行うとよい。そして、キャリッジ18を移動させて第2センサー75をその設定した第1位置P1と第2位置P2とに配置する。
次に上記のように構成された印刷装置11の作用を説明する。
図18に示すように、第2センサー75が第1位置P1に配置されたとき、その光スポットSPはその中心が頂面88aの幅中心に位置する。また、第2センサー75が第2位置P2(P2h又はP2o)に配置されたとき、その第2位置P2がホーム位置側の位置P2hと反ホーム位置側の位置P2oとのどちらの場合も、光スポットSPはその中心が頂面88aの幅中心に位置する。この結果、図18に示すように、各位置P1,P2で用紙Pを検出したとき、凸部88のどの面に光スポットSPの中心が位置するかによって波状に変化するセンサー出力波形(波形信号)のうちいずれの場合も、センサー出力は最大値付近の値をとる。そして、用紙Pの先端を検知するためにセンサー出力が閾値Thに達するまで用紙Pが搬送された状態では、各位置P1,P2共に、光スポットSP内における用紙Pの占有割合が、図15(a)に示す同じ状態になるので、比較的正確な搬送量を取得できる。
これに対して、例えば、第1位置P1で用紙Pの先端を検知したときに光スポットSP内における用紙Pの占有割合が図15(a)に示すように相対的に多かったとする。そして、次の第2位置P2で用紙Pを搬送してその先端を検知したときに光スポットSP内における用紙Pの占有割合が図15(b)に示すように相対的に少なかったとする。この場合、この間の搬送距離yが光スポットSP内における用紙の占有割合の違いに応じた分だけばらつくことになる。しかし、本例では、各位置P1,P2が凹凸面81bの形状の同じ位置に設定され、各位置P1,P2において光スポットSP内における用紙Pの占有割合がほぼ同じなので、この間の搬送距離yを比較的正確に取得できる。よって、この搬送距離yと規定移動距離xとを用いて斜行角θを比較的精度よく求めることができる。
また、印刷装置11における支持台39の組付け位置のばらつき等が原因で、キャリッジ18の原点位置に対して凹凸面81bが設計上の位置に対して走査方向にずれている場合がある。この場合、不揮発性メモリーに記憶された第1位置P1と第2位置P2(P2h及びP2o)に第2センサー75を配置しても、その光スポットSPの中心が凸部88の頂面88aの幅中心からずれてしまう。しかし、図19に示すように、第1位置P1と二つの第2位置P2h,P2oは、それぞれ対応する凸部88の頂面88aの幅中心から走査方向において同じ向きに同じ距離だけずれるため、それぞれ凸部88の同じ面のほぼ同じ位置にずれることになる。つまり、各位置P1,P2は凹凸面81bの形状の同じ位置にずれることになる。このため、各位置P1,P2において用紙Pがないときのセンサー出力は同じになる。従って、いずれの位置P1,P2においても用紙Pが搬送されてセンサー出力値が閾値Thに達して用紙Pの先端が検知されたときの光スポットSP内における用紙の占有割合がほぼ同じになる。よって、その間の搬送距離yを比較的正確に取得できる。この結果、各位置P1,P2が凸部88の頂面88aに対して走査方向にずれた場合も、この搬送距離yを用いることで斜行角θを精度よく求めることができる。
位置P1,P2で用紙Pの先端が検知されたときの光スポットSPにおける用紙Pの占有割合がそれぞれ図15(a),(b)に示す状態であった場合に、取得される斜行角θの誤差が比較的大きくなる。これに対して、本実施形態では、位置P1,P2で用紙Pの先端が検知されたときの光スポットSPにおける用紙Pの占有割合が共に図15(a)に示す状態になることで、例えば約1/4の誤差で斜行角θを取得できるようになった。
以上詳述したように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、以下の効果が更に得られる。
(5)第1位置P1と第2位置P2を、凹凸面81bを形成する複数の面88a〜88dのうち同じ面の同じ位置とすることで、凹凸面81bの形状の同じ位置に設定したので、凸部88のどの面で用紙Pの先端を検知するかによって含まれる誤差の小さな搬送距離yを取得することができる。よって、この搬送距離yと規定移動距離xとを用いて斜行角θを精度よく算出することができる。
(6)支持台39の組付け位置のばらつき等に起因して、第2センサー75の位置P1,P2が凸部88の予め想定された面上の位置(例えば頂面88aの幅中心)からずれたとしても、そのずれが同じ向きにほぼ同じ距離となる。このため、各位置P1,P2共に用紙Pの搬送開始前の第2センサー75の出力値がほぼ同じになり、かつ第2センサー75に用紙Pの先端が検知された際の光スポットSP内の用紙Pの占有割合がほぼ同じになるので、比較的正確な搬送距離yを取得できる。よって、この搬送距離yを用いることで、比較的正確な斜行角θを取得することができる。
(7)制御部70aは、キャリッジ18の基準位置を度当てにより取得し、基準位置を基準にして、予め決められた第1位置P1と第2位置P2に配置することで、キャリッジ18を凹凸面81bに対する走査方向における相対的な位置決めをする。このため、第2センサー75を第1位置P1と第2位置P2とに配置する際、どちらのときも第2センサー75を凹凸面81bの形状の同じ位置に配置することができる。
(8)他の方法として、コントローラー70は、支持台39上に用紙Pのない状態でキャリッジ18を移動させて第2センサー75により凹凸面81bの形状の同じ位置を検出し、検出結果に基づいて第1位置P1と第2位置P2とを凹凸面81bの形状の同じ位置となるように設定する。そして、キャリッジ18を移動させてその設定した第1位置P1と第2位置P2に第2センサー75を配置する。この構成を採用した場合、支持台39の組付けのばらつき等があっても、第2センサー75を凹凸面81bの形状の同じ第1位置P1と第2位置P2とに配置することができる。
(9)第1位置P1と第2位置P2を共に凸部88の頂面88a上の位置に設定した。例えば底面88dは凹凸面81bにおいて一番低い部分なので、インクが溜まったり流れたりする場合があり、この場合にインクの影響で光反射率が変化し易い。しかし、本実施形態によれば、第1位置P1と第2位置P2が凸部88の頂面88a上の位置に設定されているので、光反射率が比較的安定し易く、誤検出を低減できる。また、用紙Pを搬送して第2センサー75の出力値が閾値Thに達してその先端を検知したときの光スポットSP内における用紙Pの占有割合を相対的に大きくすることができる。このため、位置P1,P2が凸部88の頂面88aの幅中心からずれても、用紙Pの先端を検知した際の光スポットSP内の凹凸面81bの占有割合が相対的に小さくなるので、そのずれによる影響が出にくく、その分、搬送距離yを比較的正確に取得できる。この結果、比較的正確な搬送距離yを用いて、斜行角θを比較的正確に求めることができる。
(10)第1位置P1と第2位置P2は、凹凸面81bの形状を規定する複数種の面部のうち、第2センサー75から照射された光を反射した反射光が第2センサー75に受光される受光量の一番少ない面部上の位置に設定されている。このため、第2センサー75の出力が閾値Thを超えるまで用紙Pが光スポットSP内に進入する搬送量が相対的に多くなるので、第2センサー75の光スポットSP内における用紙Pの占有割合を相対的に大きくすることができる。このため、例えば支持台39の組付けのばらつき等に起因して、第1位置P1と第2位置P2とに配置された第2センサー75の凹凸面81b上の位置が多少ずれても、そのずれによる影響を相対的に小さくすることができる。よって、その位置のずれの割に斜行の誤検出を低減できる。
(11)走査方向において、第2センサー75から凹凸面81bに照射した光のスポット径を、頂面88aの幅よりも広く設定した。例えば紙粉又はインクミスト等の付着に起因して、凹凸面81b上における検出対象の特定の面に局所的に光反射率が異常な箇所が発生する場合がある。このような場合でも、光スポットSPの径が頂面88aの幅よりも広いので、光スポットSP内におけるその異常箇所の占有割合が小さくなることから、斜行の誤検出を低減できる。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1位置P1は、第2センサー75によって記録部28に搬送される用紙Pの搬送方向の先端を検知可能な位置であればよく、必ずしも用紙Pにおける走査方向の中央である必要はない。
・印刷装置11は、記録部28に搬送される用紙Pにおける走査方向の中央位置が用紙Pのサイズに関係なく常に一定となる構造のものでなくてもよい。例えば、上記用紙Pを走査方向における端(基準端)に突き当ててセットする印刷装置に適用してもよい。この場合、記録部28に搬送される用紙Pにおける走査方向の中央位置が用紙Pのサイズによって変わるが、その中央位置の変化に合わせて、言い換えれば用紙Pのサイズの変化に合わせて第1位置P1を変更することによって対応可能である。
・規定移動距離xについては、第1位置P1から用紙Pにおける上記走査方向の端までの距離よりも短くなればよく、言い換えれば第2位置P2が用紙Pの上記端から走査方向外側にはみ出さなければよく、そうした条件を満たしつつ適宜変更することも可能である。
・用紙Pの斜行を検出するための搬送部27及びキャリッジ18の動作については、必ずしも記録部28に用紙Pが搬送される毎に実行する必要はなく、用紙Pの種類に応じて実行したりしなかったりするようにしてもよい。例えば、用紙Pが3D印刷用といった高精度の印刷を必要とするものであるときには同用紙Pの斜行を検出するための搬送部27及びキャリッジ18の動作を実行する一方、用紙Pが汎用の印刷用といった高精度の印刷を必要としないものであるときには上記動作を実行しないようにしてもよい。この場合、上記用紙Pが高精度の印刷を必要とするものであって用紙Pの斜行が同用紙Pに対する印刷にとって問題になるとき、言い換えればその斜行を検出する必要のあるときに限って、同検出のための搬送部27及びキャリッジ18の動作を実行することができる。一方、用紙Pが高精度の記録を必要としないものであって用紙Pの斜行が同用紙Pに対する印刷にとって問題にはならないとき、言い換えればその斜行の検出が不必要なときには、同検出のための搬送部27及びキャリッジ18の動作を行わないようにすることができる。また、用紙Pの斜行の検出を不必要に実行しないことにより、その不必要な斜行の検出の実行に伴って用紙Pに対する印刷の開始までにかかる時間が長くなることを抑制できるようにもなる。
・用紙Pの斜行が検出されたとき、その用紙Pを下流側に搬送してスタッカー23に排出する代わりに、搬送部27により用紙Pの斜行を解消するための斜行除去動作を行わせるようにしてもよい。このときの斜行除去動作としては、上述した(A)及び(B)の二種類の動作のうちのいずれかを行うことが考えられる。
詳しくは、記録部28に搬送される用紙Pの斜行が検出されたとき、給送駆動ローラー34及び搬送駆動ローラー37を用紙Pの搬送時と逆方向に回転駆動することにより、用紙Pの搬送方向の先端が搬送駆動ローラー37及び搬送従動ローラー38よりも搬送方向の上流に位置するよう用紙Pを戻す。その状態のもと、これら(A)及び(B)の二種類の斜行除去動作のうちのいずれかを行うことにより、再び用紙Pの斜行の解消が図られるようになる。そして、再度の斜行検出処理において実際に斜行が解消された場合(S111で肯定判断された場合)、その後に同用紙Pに対する記録部28での印刷を開始することができる。このため、斜行した用紙Pを一度スタッカー23に排出する場合のように、その排出した用紙Pを給送カセット16にセットし直す手間を省くことができる。
なお、上記実施形態のように、用紙Pの斜行が検出されたときに同用紙Pを搬送方向下流側(スタッカー23側)に排出する場合、印刷装置が給送駆動ローラー34を逆方向に回転駆動できない構造のものであっても適用が可能である。
・第2実施形態において、第1位置P1と第2位置P2は、凹凸面81bの同じ形状の位置に設定されていればよい。例えば第1位置P1と第2位置P2は、共に斜面88b上の位置に設定してもよいし、共に斜面88c上の位置に設定してもよい。また、第1位置P1と第2位置P2は、共に底面88d上の位置に設定してもよい。なお、第1位置P1と第2位置P2を、斜面88b,88c上の位置に設定する場合は、傾く向きの同じ斜面に揃えることが望ましいが、傾く向きの異なる斜面88b,88c上の各位置に設定してもよい。
・第2実施形態において、凸部は第1リブ84でもよい。第1リブ84の形状の同じ位置に第1位置P1及び第2位置P2を設定してもよい。この場合、凹部81aの底面が凹凸面でなくてもよい。
・印刷装置による記録の対象である媒体は用紙に限定されず、印刷装置の記録部による印刷(記録)が可能なシート状のものであれば何でもよい。例えば樹脂製のフィルム、紙と樹脂の複合体フィルム、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシートなどであってもよい。
11…印刷装置、12…本体、13…操作パネル、16…給送カセット、17…ピックアップローラー、18…キャリッジ、19…ガイド軸、20…記録ヘッド、23…スタッカー、27…搬送部、28…記録部、30…分離部、31…揺動軸、32…揺動部材、33…搬送モーター、34…給送駆動ローラー、35…分離ローラー、36…給送従動ローラー、37…搬送駆動ローラー、38…搬送従動ローラー、39…支持部の一例としての支持台、40…キャリッジモーター、41…排出駆動ローラー、42…排出従動ローラー、70…コントローラー、70a…制御部、70b…検出部、71…ホスト装置、72…リニアエンコーダー、73…ロータリーエンコーダー、74…第1センサー、75…第2センサー、81b…凹凸面、88a…頂面、SP…光スポット、D…スポット径、P…媒体の一例としての用紙。

Claims (11)

  1. シート状の媒体に対し記録を行う記録部に同媒体を搬送する搬送部と、
    前記記録部に設けられて前記搬送部による前記媒体の搬送方向に対し交差する走査方向に移動可能なキャリッジと、
    前記キャリッジに設けられて前記媒体の有無を検知可能なセンサーと、
    前記搬送部及び前記キャリッジの動作を制御する制御部と、
    前記搬送方向に対する前記媒体の斜行を検出する検出部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記キャリッジを前記センサーにより前記媒体における搬送方向の先端を検知可能な第1位置まで移動させ、その状態のもとで前記搬送部により前記記録部に搬送される前記媒体の搬送方向の先端が前記センサーによって検出されると、前記センサーが前記媒体を検知しなくなる方向に前記キャリッジを前記第1位置から規定移動距離分だけ離れた第2位置に移動させ、その第2位置にて前記センサーが前記媒体の搬送方向の先端を検知するまで同媒体を前記搬送部により搬送させるものであり、
    前記検出部は、前記第1位置にて前記センサーが前記媒体の搬送方向の先端を検知してから前記第2位置にて前記センサーが前記媒体の搬送方向の先端を検知するまでの前記搬送部による前記媒体の搬送距離、及び、前記規定移動距離に基づき、前記媒体の搬送方向に対する同媒体の斜行を検出する
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記制御部は、前記第1位置にて前記センサーにより前記媒体の搬送方向の先端が検知された後、前記キャリッジを前記走査方向の一方側に移動させ、そのときに前記センサーにより前記媒体が検知された場合には同キャリッジの移動方向を反転し、前記センサーにより前記媒体が検知されない場合には前記規定移動距離分の前記キャリッジの移動を行う請求項1記載の印刷装置。
  3. 前記制御部は、前記検出部により前記媒体の斜行が検出されたとき、同媒体が搬送方向に排出されるよう前記搬送部を動作させる請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記制御部は、前記検出部により前記媒体の斜行が検出されたとき、前記搬送部に前記媒体の斜行を解消するための斜行除去動作を実行させる請求項1又は2に記載の印刷装置。
  5. 前記制御部は、前記記録部に搬送される前記媒体が高精度の記録を必要とする媒体であるとき、前記検出部によって前記媒体の搬送方向に対する斜行を検出するための前記搬送部及び前記キャリッジの動作を実行する一方、前記記録部に搬送される前記媒体が高精度の記録を必要としない媒体であるときには、前記検出部によって前記媒体の搬送方向に対する斜行を検出するための前記搬送部及び前記キャリッジの動作を実行しない請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷装置。
  6. 前記媒体を支持するとともに前記走査方向に沿って設けられた複数の凸部によって形成された凹凸面を有する支持部を更に備え、
    前記第1位置と前記第2位置は、前記走査方向において前記凹凸面の形状の同じ位置にそれぞれ設定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  7. 前記制御部は、前記キャリッジの基準位置を度当てにより取得し、前記基準位置を基準にして予め決められた前記第1位置と前記第2位置に前記キャリッジを移動させることにより、前記キャリッジを前記走査方向に位置決めすることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  8. 前記制御部は、前記支持部上に前記媒体のない状態で前記キャリッジを移動させて前記センサーにより前記凹凸面上の形状の同じ位置を検出し、検出した当該位置に基づいて前記センサーを配置するべき前記第1位置と前記第2位置とを取得することを特徴とする請求項6又は7に記載の印刷装置。
  9. 前記第1位置と前記第2位置は、前記凸部の頂面上の位置に設定されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の印刷装置。
  10. 前記第1位置と前記第2位置は、前記凹凸面の形状を規定する複数種の面部のうち、前記センサーから照射された光の反射光が当該センサーに受光される受光量の一番少ない面部上の位置に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  11. 前記走査方向において、前記センサーから前記凹凸面に照射した光のスポット径は、前記頂面の幅よりも広いことを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
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