JP2015042468A - スクラッチカード - Google Patents

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Abstract

【課題】スクラッチカードにおいて、秘密情報を秘匿する手段はスクラッチ隠蔽層のみであって、不正者が容易にその偽造品を作製したり、覗き見できるという問題を有していた。また、その偽造を防止するため、最上層にホログラム層を設けたスクラッチカードも開発されたが、第三者がそのホログラム層を視認できるため、不正者が容易に類似の光学的効果を持つスクラッチカードを偽造できるという問題があった。
【解決手段】スクラッチカードの基材の中に、スクラッチ隠蔽部を埋め込んで面一としており、ホログラム層及びスクラッチ隠蔽部をスクラッチして初めて、秘密情報を視認できる、偽造防止効果の高いスクラッチカードを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カード基材上の秘密情報表示部を隠蔽するためのスクラッチ隠蔽層及びホログラム層が設けられたスクラッチカードであって、カード基材上の秘密情報表示部を覆うようにスクラッチ隠蔽層及びホログラム層を設けることで、その秘密情報を隠蔽することができ、そのスクラッチ隠蔽層及びホログラム層をスクラッチにより削り取ると、その秘密情報を視認できるようになるスクラッチカードに関する。
特に、スクラッチ隠蔽層が部分形成され、且つ、カード基材に埋め込まれており、その上にカード全体を覆うホログラム層が設けられていることから、その正規な配置を知り得ない第三者が、その背後にある秘密情報を覗き見ることを意図して、ホログラム層やスクラッチ隠蔽層を剥がそうとしても、そもそも、そのスクラッチ隠蔽層の位置を見分けることが困難であって、やみくもにホログラム層を削らざるを得なくなっている。
しかも、そのスクラッチ隠蔽層はカード基材に埋め込まれているため、その断面に爪を入れることができず、結局、スクラッチ隠蔽層を削り出す他に手段は無く、一旦、削り出してしまうと、もはや、その凹部に、スクラッチ隠蔽層を復元することが非常に困難であって、それらの貼り替えなどの変造や、偽造を物理的に不可能とするスクラッチカードに関する。
しかも、秘密情報表示部は、「白濁層」で覆われているため、ホログラム層及びスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしただけでは、秘密情報を視認することができず、その「白濁層」を「ドライヤー等による加熱」という「透明化処理」を施して初めて、その背後にある秘密情報を判読でき、さらには、その「透明化した白濁層」が自然冷却した後は、「白濁状態」に戻って、再び、「秘密情報」表示部を秘匿するという、秘密情報の覗き見をも阻止する、高い偽造防止性を有するスクラッチカードに関する。
本発明において、「白濁層」とは、常温時には、「白濁状態」である「不透明な層」となって、その背後にある秘密情報表示部を隠蔽し、所定の温度への加熱によって「透明状態」である「透明な層」となって、その背後にある秘密情報表示部を視認可能とするものである。さらに、この変化を可逆的に実施可能な「白濁層」を選定することにより、一旦、「透明状態」となった「透明な層」を、冷却して常温に戻すと、再び、「白濁状態」に戻って、「不透明な層」となり、再び、その背後にある秘密情報表示部を隠蔽することを可能とすることができる。
本発明において、「カード基材」とは、秘密情報表示部を設けることができるプラスチックカードそのもの、もしくは、秘密情報を記録可能な種々のシート状、カード状、その他の形状を有するものを意味し、その素材も、プラスチック材料、金属材料、その他あらゆる材料を用いたものでよいが、少なくとも、本発明のスクラッチカードとして、その秘密情報を形成、且つ、隠蔽することができ、さらに、スクラッチ隠蔽層をカード基材内へ埋め込むことができるものである。
また、本発明において、「秘密情報」とは、「その秘密情報を知り得る正当な権利者にのみ開示されるべき情報」を意味し、その「秘密情報」をカード基材上に設ける手段は、適宜な印刷方法や、個別情報を形成できるインクジェット方式を用いた方法、さらには、レーザー印字等、その「情報」としての文字、図形、記号、その他の、少なくとも目視認識可能な、あらゆる「情報」を形成可能な方法を用いることができるものである。
もちろん、そのカード基材上の「秘密情報」と、スクラッチカードが担持する別の「情報」(秘匿されていても開示されていてもよい。)との単なる組み合わせや、それらの「情報」を各種の情報合成手段等(暗号化処理も含まれる。)により合成して、「正当な権利者に開示される情報が形成される」ものであってもよい。
カード基材上に「秘密情報」を設けた部分を、「秘密情報」表示部、「秘密情報」印字部、または、「秘密情報」形成部と、適宜、表現する。
さらに、本発明において、「スクラッチ」とは、コインや爪等によって「対象となる層」を削り取る行為であって、「対象となる層」を部分的、もしくは、全面的に除去する行為を意味する。特に、「対象となる層」の背後にあるものを視認することが目的であるため、「部分的な削り取り」であっても、「削り取った領域」においては、「対象となる層」の全てを、削り残し無く、除去することとなる。(これ以下、このスクラッチ操作を「スクラッチオフ」とも言う。)
また、本発明において、「光学的な鏡面」とは、ある「層」の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。そして、この「光学的な鏡面」をその表面に有する「ある層」の上に、その表面平滑性を維持した状態(その表面形状に何らの変化を及ぼさないことを意味する。)で、「別の層」を重ねた際に、この「ある層」と「別の層」との界面が、「光学的な鏡面」であるという。
また、本発明において、「高屈折率層」とは、「高い屈折率を持つ樹脂層」を意味し、ここでは、屈折率nが2.3を超える樹脂層をいう。
屈折率nは、、真空中の光速度(c)を媒質中の光速度(v)(より正確には位相速度)で割った値であらわされ、特に断らない限り、屈折率の値は、ナトリウムのD線波長589.3nmの光に対するものである。そして、「この光」を「透過しない層」に対しての屈折率nは、真空中において、その「透過しない層」の表面における、その光の反射光の性質により定義するものとする。
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、「ホログラム」は、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)通信網やコンピュータネットワークの普及に加え、データを送受信するコンピュータ端末の普及及びその携帯化が進むとともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者、さらには、公的機関によっても、様々なサービスの提供が行われている。
第三次産業とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究または専門技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育または学習支援業、医療または福祉関連、電気事業、ガス事業、熱供給事業、水道業、公務、理容美容関連、複合サービス業、レジャーサービス、レンタルサービス、アウトソーシングサービス、交通サービス、外食サービス、エネルギー、エンターテインメント、コンサルティング、その他サービス業と位置づけられているが、このような第三次産業に携わる業者や公的機関は、物品の販売のみならず、特定のサービスの提供によっても対価を得ているため、物品を販売する形態とは異なる形態によっても、顧客や消費者へのサービス提供、もしくは、顧客や消費者(以下、顧客等ともいう。)からの料金や対価(以下、料金等ともいう。)の回収を行っていることが多い。
例えば、その料金や対価の回収方法として、顧客等の銀行口座から、利用したサービスに相当する対価を自動的に引き落とす方法や、信販会社に対してクレジット契約を予め締結しておき、信販会社を介して利用料金を決済する方法などは、ごく一般的な料金等の回収の形態であり、電気料金、ガス料金、水道料金などの公共サービスや、種々の情報提供サービスなどにおける料金等の決済の手法として広く利用されている。そして、プリペイドカードの販売という形式により、将来提供されるべきサービスに対して、料金等の回収を先に行ってしまう方法も普及している方法であり、料金や、運賃、その他の対価の回収に広く利用されている。
さらに、販売する「物品」そのものが、データ端末装置、パーソナルコンピュータ、デスクトップパソコン、オンライン対応ゲーム機、電話回線機器、ファクシミリ、モデム等のデータ回線終端装置、ラジオ受信機や、テレビ受像機等の通信機器(情報機器)、特に携帯して利用可能な通信機器である携帯通信機器(端末)や、携帯して利用可能な情報機器である携帯情報機器(端末)、すなわち、携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、ポケットコンピュータ、スマートブック、タブレットPC、PDA、電卓、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ラップトップコンピュータ、ノートパソコン、ハンドヘルドパソコン、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム、電子辞書、電子手帳、電子書籍、ポータブルデータターミナル、携帯電話端末、PHS端末、ポケットベル端末、携帯ラジオ、携帯テレビ、ワンセグ、腕時計、懐中時計、補聴器、ハンドヘルドGPS、防犯ブザー、テレビ電話、GPS受信機、カーナビゲーション端末、リモコン端末、電子マネー、デジタルキー、デジタルロックやポイントカード用のICカード等を用いて顧客に届けられるものとなり、音楽、映画、ゲームソフト等の文字、画像、映像、動画、音声、映画の著作物や、Webアニメ等のマルチメディア関連のコンテンツを、これらの「物品」として、ダウンロード販売、クラウドコンピューティング、音楽配信、IP放送、インターネット放送、インターネットテレビ、インターネット放送ネットワーク、インターネットラジオ、ポッドキャスト、ビデオ・オン・デマンド、動画共有サービス等の手段を用いて配信する方法も広く利用されている。
そして、これらの付加価値の対象である「物品」そのものや、上記した様な種々の「サービス」を受けることができる「資格」や「権利」を顧客に付与するもの、すなわち、それらの付加価値の受領、または、利用を要求している者が、正当な「資格」、または、「権利」を保有している者であるか否かを判定する媒体として、各種のカード類が広く一般的に用いられている。
これらカード類は、身分を証明するIDカード、会員カードや、金銭的価値を有するキャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、定期券、もしくは、回数券等として多くの分野で使用されており、その数は増加の一途をたどっている。この中で、前払い方式でサービスを提供する際の前払証票、いわゆるプリペイドカードは、特に数量的な増加率が高く、一定単位の金額を予め支払い、その金額分の価値情報を利用できるものとして広く普及している。
そして、そのカード上には、価値情報や識別情報が、カード基材に印字または印刷表示した絵柄や文字情報として記録され、また、カード基材上に設けられた磁気記録部または光学記録部、場合によってはICチップに機械読み取り情報として記録されており、用途に応じた様々な情報を保持し、様々な場面でそれらの情報を利用可能とするものである。
そのプリペイドカードの代表とも言えるテレホンカードにおいては、価値情報や識別情報がテレホンカードそのものに記録され、電話端末においてテレホンカードを使用する都度、その通話料金をテレホンカードに記録してある価値情報から減額し、その残金を再びテレホンカードに記録しておくものであったが、その後、テレホンカードの偽造や変造に対処する方式として、テレホンカード上にはランダムな「番号」のみを印字しておいて、テレホンカードの発行、登録、販売、利用、減額処理、登録抹消等を管理しているホストコンピュータ上にその「番号」に対応した価値データを持たせ、テレホンカードの使用者が、そのホストコンピュータにアクセスした時に利用金額分の通話を行うことができるという、いわゆる「スクラッチオフ方式のテレホンカード」、すなわち、秘匿性の許可番号(秘密情報。)を交付する形式のテレホンカードを使用する方式が実用化され、そのカード発行数量も多くなってきている。
この方式では、流通段階において許可番号の漏洩が発生すると、その許可番号を不正に入手した者による不正サービス受給や、正規購入者に対して正当な利用を提供できなくなる等のトラブルを招くのみならず、もはや、「実際にその許可番号を利用した行為」が、正規購入者による行為なのか、もしくは、不正入手者による行為なのかを判別する手段も無くなってしまい、不正行為の特定ができず、従って、その損害額の特定、そして、その特定に基づく損害賠償請求も不可能となる。
このため、テレホンカードにその許可番号を印字した後、その許可番号が第三者に簡単に盗まれることを防止する目的で、削り取り(スクラッチ)が可能な隠蔽層でその許可番号を一旦覆って流通させ、テレホンカード購入者(正規購入者)が、その隠蔽層をスクラッチして除去して、その下に隠蔽されている許可番号を読み取り、その許可番号を利用するという方式である、「スクラッチオフ方式」の採用が必須となっている。
例えば国際電話のアクセス方式として、中継基地となる電話会社(中継会社という。)と契約し、料金先払いで所定の金額(例えば、千円。)を支払うことによりその契約者個有のナンバーが記載されたカードが発行され、国際電話を掛ける際にはカードに表示されたアクセスナンバー(フリーダイヤル。これが秘密情報となる。)を入力して中継会社にアクセスし、次いで契約者個人に与えられた個人ナンバーを入力したのち、相手方の電話番号を入力することによって通話ができるシステムが、国際電話を低料金で掛けられ、且つ、中継会社へアクセスした際に所定秒時コマーシャルを流すことによる宣伝媒体としての利用を図ることができる方式として広く普及しつつある。
このシステムに加入すると、個人に与えられた個人ナンバーはスクラッチ加工(スクラッチ可能な隠蔽処理という意味。)により外部からは完全に見えないように処理されており、このスクラッチ加工部分を削るようにして剥すことにより初めて個人ナンバーが現われるようになされている。
また、従来より、イベントくじやゲーム用カード等において、秘密情報である、例えば、「あたり」又は「はずれ」に相当する絵柄や文字や番号などのくじの結果をスクラッチが可能な隠蔽層で一時的に隠蔽した後、このスクラッチが可能な隠蔽層を爪やコインなどで擦ることで、その隠蔽層の下に表示された秘密情報の内容を見ることができるようにしたスクラッチが可能な隠蔽層付き印刷物は知られている。これらの印刷物は、一般的に複数個所にスクラッチが可能な隠蔽層を設けておき、その中から「あたり」と思われる1ヶ所の隠蔽層をコイン等で削り取ることで、下層に表示された秘密情報の表示を目視で確認するもので、もし仮に2ヶ所以上の隠蔽層を削り取った場合は、無効とするなどの規則とする場合が多い。
さらに、スピードくじや、ファーストフード店等においてサービス的に用いられているチケットは、カード基材に数字や文字等(秘密情報)を印刷した後、その上にスクラッチが可能な隠蔽層を印刷して、下地の印刷が見えないように構成され、くじの購入者やチケットを受け取った者が、爪や硬貨を用いてその隠蔽層を擦り取ると、下地に印刷されている数字や文字等が出現する。この出現した数字や文字を、予め決定されている数字や文字等と比較して、合致した場合には当選が決まるシステム(秘密情報がある意味において暗号情報となっており、他の情報との照合、いわば、解読により、「当たり」が決まる仕組み。)となっている
また、抽せんコードの如き機密の個別データをスクラッチが可能な隠蔽層で隠蔽してあるインスタント抽選付ゲームカードやインスタント抽選付商品等においては、機密の個別データを複雑なゲームにも利用できるものとし、その隠蔽層を擦り取ると、「あたり」の文字や懸賞番号等のメッセージが浮かび上がるように構成されている
このように「スクラッチ方式」は、いわば「簡易くじ」としても用いられており、その用途としては、宝くじなどの各種くじ等の他、商品の購入時の景品提供の手段、教習具や、ケームカード等があるが、より具体的には、携帯電話ショップで、スクラッチ枠を11か所設け、その内5か所だけを擦って、自分の携帯電話番号といくつ一致するかでもらえる景品が決まり、裏面には新規契約の方への特別割引クーポン券がついているもの、大手ドラッグストアで、ポイントカード会員獲得のために、ポイント5倍などのスクラッチに使用するもの、会員登録したその日からクーポン券として利用可能で、クーポン券の利用期間を設けるもの、大手鶏卵メーカーで、大手スーパー量販店様への卵パックの中に封入し、当たりが出たら「当たり券」をハガキに貼って裏面記載の係りあてに応募すると、購入先で使用できる商品券がプレゼントされるもの、住宅展示場、ファーストフードショップ、遊園地、観光スポット、スポーツ観戦に使用されるもの等、さらには、食品業界、ファッション業界、美容業界や医療関係等用の、擦った後に削りカスが出にくいもの等、または、被封くじであって、当せんパターンがスクラッチ印刷され、これを削ることにより抽せんを行う、インスタントくじ、スクラッチ宝くじ等、スクラッチ可能な隠蔽層をパターン状に複数設けて、それらの何れかを削って、所定のマークを出すことができた場合に「当たり」とするもの、そのマークを出すまでの削り回数や、削った軌跡で「当たり」のレベル(例えば商品価格)を定めるもの、そのパターンが、縦横マス目状に設けられ、そのマークがそのマス目のどの位置にあるかによって、「当たり」のレベルを定めるもの等がある。
また、抽選用品としてのスクラッチ三角くじやおみくじ用、キャラクター抽選会、おもちゃの抽選会、菓子等食品の抽選会、生活用品の抽選会等の抽選会景品セット用、サイコロを使う景品セット、輪なげや射的景品セット、おもちゃ釣りや千本つり景品セット、穴あけ宝箱景品セット、ガチャガチャやカプセル景品セット、つかみどりやすくいどり景品セット、詰め放題や玉入れ遊び景品セット、季節の抽選セットや景品抽選セット、夏の花火景品セット、夏の縁日景品抽選セット、夏のサマーグッズ抽選セット、クリスマス景品抽選セット、お正月景品抽選セット、年末年始景品抽選セット等のイベント景品セット用として、
さらには、来店促進のためのお買物券や割引券等、店頭でのイベントなどに用いられる名刺サイズやハガキサイズのもの、イベント案内のダイレクトメールにスクラッチを活用するもの、店頭への誘導にハガキだけでなく、V折やZ折などの圧着ハガキDMへスクラッチ印刷したもの等、1日に1回で、数十回スクラッチすると、その回数に応じて、景品引換券や、家具や洋服等の店頭で販売している商品が手に入るものや、スクラッチカードの四つ角に決まったアイテムが用意され、これを参考にすれば、欲しいアイテムを効率良く集めることができるように構成されているもの等がある。
このような「スクラッチ方式」の普及により、その「秘密情報」として、単純な「あたり」または「はずれ」の文字や、シリアルナンバー等の番号類のみならず、バーコードや二次元バーコード等の機械認識コード類、顧客データ、メッセージ等、あらゆる語句や記号、もしくは特定のマーク等の図形を固定もしくは可変で構成するもの、さらには、これらの「情報」が発色機構や消色機構を利用して浮き出るものや、特定の光源によってのみ、その「秘密情報」を読み取ることができるものなども提案されている。
(先行技術)上記したように、銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題があり、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではなく、利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。
そのため、プリペイドカードを用いた料金回収方法が、非常に手軽な方法であり、サービスによっては非常に有効な方法であることから、すなわち、通常の物品を購入する場合と同じ形態で、サービスに対する対価の支払いを行うことができ、かつ、プリペイドカードを購入した時点からそのサービスを利用できるようになることから、いわゆる「プリペイドカード方式」が拡大したが、その半面、プリペイドカードの偽造や変造という問題が生じるに至り、すなわち、一般的なプリペイドカードは、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているため、この磁気的な記録の改竄という方法による不正利用が蔓延する結果となり、従来の磁気記録を利用した「プリペイドカード方式」は、安全性の面で些か問題があるのではないかとの認識が広がった。
このような理由も追い風となり、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを「秘密情報」として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができるという新規な「プリペイドカードサービス」が普及した。この「番号等」は、「秘密情報」として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等により隠蔽されているため、従来の磁気型プリペイドカードに対して、番号型プリペイドカードとも呼ばれる。
この番号型プリペイドカードには、公衆電話用カード、携帯電話用カード、国際電話用カード等の通信系、ゲームソフトや音楽ソフト、その他有料ソフトの決済カード等の決済系、ショッピングカード、ギフトカード、コインカード等の物品購入系等が実用化されている。
本発明のスクラッチカードは、このような、付加価値のある「秘密情報」が設けられたカード等の「カード基材」、すなわち、そのカード等を構成している「カード基材」であってその上に「秘密情報」が設けられているものに対して、その「秘密情報」を覆うようにスクラッチ隠蔽層を設けて、その「秘密情報」を第三者に対して秘匿し、その「秘密情報」の開示を受けられる正当な権利を有する者のみが、そのスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層をスクラッチして初めて、その「秘密情報」を確認することができるようにするものである。
この目的を達成するための技術として、特許文献1には、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその「番号等」を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる、これらのプリペイドカードサービスとして、この「番号等」を、秘密情報として秘匿するために、スクラッチが可能な隠蔽層等で隠蔽する技術が開示されている。
また、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ可能な隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が既に広く用いられているが、これらのスクラッチ可能な隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。
例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ可能な隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ可能な隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも物理的に可能であるため、この対策として、スクラッチ可能な隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ可能な隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献2参照。)
以上のごとき、カムフラージュ行為を直接的に阻止する方法として、スクラッチ可能な隠蔽層の上、または、スクラッチ可能な隠蔽層とカード基材とに跨るように、ホログラム画像を形成したホログラム層を設け、不正を行おうとする者にホログラム画像の存在を認識させて、「ホログラム層」を形成することの困難さを持って不正行為を阻止しようとする技術も開発されている。(例えば、特許文献3または4参照。)
しかし、これらの技術は、ホログラム層の存在や、そのホログラムデザインが第三者にあらかじめ開示されていることから、そのホログラム再生像に類似した光学効果を有するものを十分な時間を掛けて偽造したり、もともと、この構成自体がホログラム層とスクラッチ可能な隠蔽層を同時に削る仕様となっていることから、「ホログラム層もろともスクラッチ可能な隠蔽層を全て削ってしまった」と偽ることにより、ホログラム層が全く存在しない変造品を持参しながら、あたかも正規品であったかの如く振る舞う等の不正を防ぐことができないという欠点を有していた。
特開平10−214320号公報 特開2001−47777号公報 特開平11−34565号公報 特開2005−305844号公報
本発明は、スクラッチ隠蔽層を、カード基材の中に埋め込んでしまい、その埋め込んだ部分を含め、カード基材の一方の表面全体を覆うようにホログラム層が設けられているため、これらの層を注意深く剥離するなどの変造を阻止し、その偽造を困難なものとした、スクラッチカードを提供する。
しかも、カード基材上に設けた秘密情報を覆うように「白濁層」を設け、スクラッチオフ後にさらに加熱処理を要する仕組みとし、秘密情報の秘匿性を向上させた、スクラッチカードを提供する。
また、ホログラム層を透過型として、ホログラム層を透過する光によってホログラム再生像が出現するタイプとし、ホログラム層とスクラッチ隠蔽層の界面からの反射光によって、ホログラム再生像を視認する構造として、その偽造を困難なものとした、スクラッチカードを提供する。
特に、ホログラム層とスクラッチ隠蔽層の界面を「光学的な鏡面」とし、また、このスクラッチ隠蔽層を「高屈折率層」とすることで、その透過型のホログラム再生像の鮮明度を確保し、もしくは、反射型のホログラム層の背後に黒色層を配して、透過する光をほぼ吸収させ、その反射型のホログラム再生像の鮮明度を確保して、これを偽造することを非常に困難とし、さらには、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、不正な目的でカードを湾曲させたりしたときに、その剥離痕を発生させ、もはや、その剥離痕を修復することは不可能となる構造として、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチカードを提供する。
上記の目的を達成するために、
本発明のスクラッチカードの第1の態様は、
カード基材の一方の表面に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、前記カード基材の前記表面の一部に、前記秘密情報を覆うように、白濁層及びスクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、且つ、前記カード基材の前記表面と前記スクラッチ隠蔽層の表面が面一となっており、さらに、前記カード基材の前記一方の表面全体に、前記スクラッチ隠蔽層を覆うように体積ホログラム形成層がこの順序で設けられ、前記体積ホログラム形成層及び前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去し、且つ、前記白濁層を加熱により透明化することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするものである。
上記第1の態様のスクラッチカードによれば、
カード基材の一方の表面に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、前記カード基材の前記表面の一部に、前記秘密情報を覆うように、白濁層及びスクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、且つ、前記カード基材の前記表面と前記スクラッチ隠蔽層の表面が面一となっており、さらに、前記カード基材の前記一方の表面全体に、前記スクラッチ隠蔽層を覆うように体積ホログラム形成層がこの順序で設けられ、前記体積ホログラム形成層及び前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去し、且つ、前記白濁層を加熱により透明化することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチカードを提供することができ、その「秘密情報」の覗き見や、偽造及び変造を困難としたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第2の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とするものである。
上記第2の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とする第1の態様のスクラッチカードを提供することができ、より鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その偽造防止性と意匠性を高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第3の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層が高屈折率層であって、前記スクラッチ隠蔽層の屈折率が、前記体積ホログラム形成層の屈折率より、1.0以上大きいことを特徴とするものである。
上記第3の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層が高屈折率層であって、前記スクラッチ隠蔽層の屈折率が、前記体積ホログラム形成層の屈折率より、1.0以上大きいことを特徴とする第1の態様または第2の態様のスクラッチカードを提供することができ、さらに鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その偽造防止性と意匠性をより高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第4の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との間に、黒色層が設けられていることを特徴とするものである。
上記第4の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との間に、黒色層が設けられていることを特徴とする第1から第3の態様のスクラッチカードを提供することができ、非常に鮮明なホログラム再生像を出現可能とし、その偽造防止性と意匠性をより高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードの第5の態様は、
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とするものである。
上記第5の態様のスクラッチカードによれば、
前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする第1から第4の態様のスクラッチカードを提供することができ、その偽造防止性を著しく高めたスクラッチカードを提供することができる。
本発明のスクラッチカードに用いられる、体積ホログラムが形成された体積ホログラム形成層は、フォトポリマーフィルム等の透明なフィルムそのものを、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」とする方法、または、適宜な透明基材面に、フォトポリマー等の感光材料をコーティングして、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」を設けた積層体とし、その体積ホログラム形成層をスクラッチする直前に、その適宜な透明基材を剥離して用いる方法等により得られる。
本発明のスクラッチカードに用いられるカード基材としては、秘密情報表示部、及びその秘密情報表示部を覆うように白濁層を設けることができ、且つ、スクラッチ隠蔽層をそのカード基材内に埋め込むことができるものであって、体積ホログラム形成層との接着性を有するものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたものなどを用いることができる。
ここで、「スクラッチ隠蔽層をそのカード基材内に埋め込む」とは、最終的に、「体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との界面となる、スクラッチ隠蔽層の最表面が、カード基材表面と面一になっている」ことをいう。
一例としては、「10μm厚さでクレジットカードサイズの面積を有する体積ホログラム形成層の面の一部に、厚さ10μm、幅10mm×長さ30mmのスクラッチ隠蔽層を部分的に積層した2層積層体」であって、最大厚さ20μmの積層シート(カードサイズで厚さ10μmの非常に薄い直方体状のシートの上に、幅10mm×長さ30mm×高さ20μmの直方体状の小片を重ねた形状。)を、クレジットカードサイズで、厚さ760μmの軟質塩化ビニルシートからなるカード基材の表面に、2層積層体のスクラッチ隠蔽層が挟み込まれるように、且つ、そのスクラッチ隠蔽層が、そのカード基材の中央部に配置されるように重ね(カード基材のその中央部に設けられている「秘密情報」及び「白濁層」を覆うように重ねる。)、この積層体を、常温→150度→常温の加熱サイクル(1サイクル30分〜90分。)により、且つ、表面鏡面仕上げステンレス板に挟んだ平板加圧状態で、1.0MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)の圧力を掛けつづけて、そのスクラッチ隠蔽層の全厚さを、その760μmの軟質塩化ビニルシート内に埋め込むことをいう。
結果として、体積ホログラム形成層が、カード基材の全面に形成されている状態となる。
このとき、カード基材の全面に形成されている体積ホログラム形成層の最表面を、触針式表面粗さ計を用いて、スクラッチ隠蔽層を埋め込んだ部分の境界領域を測定し、その境界における段差が、1.0μm以下である状態が「面一」となっている状態である。
さらに、「スクラッチ隠蔽層をそのカード基材内に埋め込む」ために、予め、カード基材表面に、深さ20μm、幅10.2mm、長さ30.2mmの凹みを設けておき(プラスチック等であれは、その成形加工時に「凹み」を設けても良いし、カード基材表面を切削加工などにより削り込んで、凹みを設けてもよい。その凹みの底部に「秘密情報」及び「白濁層」が形成されている。)、その凹みに、上記したスクラッチ隠蔽層が入り込むようにして固定することも、その製造安定性から好適である。この場合には、上記したような、高温加熱や、高圧プレスの必要がないため、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層、さらには、「秘密情報」に対する変形や歪みが発生し難いという利点がある。
但し、偽造や変造を防止する観点からは、加熱及び加圧によりカード基材に埋め込む方式が望ましい。
また、カード基材の形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。従って、「カード基材の一方の面全体に、スクラッチ隠蔽層を覆うように体積ホログラム形成層が設けられる」とは、「プラスチックカード」や、「プリペイドカード」等のカード基材に対しては、「その一方の面の全体(全面)」を指すが、上記したような「種々の形状を持つカード基材」を採用した場合には、「『種々の形状を持つカード基材』の所定の面の所定の領域を覆って、且つ、『(その領域の中の一部の領域を占める)スクラッチ隠蔽層を覆うように』、体積ホログラム形成層が設けられる」ことを指すものとする。
その厚さも、秘密情報表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのカード基材上に設けた秘密情報をスクラッチ隠蔽層で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層を設けた側面とは、反対の側面から、カード基材に対して、強度の大きい可視光線や、赤外線、紫外線、X線等、さらには、電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その秘密情報そのものや、スクラッチ隠蔽層の位置を読み取ろうという試みに対抗するため、そのカード基材の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有することが望ましい。
これらカード基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられているカード基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられているカード基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。すなわち、その「埋め込み適正」及び「汎用性」(加工汎用性を含む。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
本発明のスクラッチカードが秘匿する「秘密情報」としては、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号または記号や、抽選番号または記号、管理番号または記号等、もしくは、単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードのカード基材を作製するときに発生させ作製者も含め誰もその番号の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードのシステム設計者や、スクラッチカード発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号または記号等がある。
また、そのスクラッチカードの用途により、番号または記号のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードの供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できる体積ホログラム再生像の中にも、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることができて、いずれも、その偽造防止性を高めるために好適である。
この「秘密情報」をスクラッチカードのカード基材上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
また、カード基材そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるカード基材や、基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、カード基材として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認するときのみ「秘密情報」が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」の視認を阻止することができる。
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
また、カード基材上へ「秘密情報」を設ける位置、もしくは、配置についても、特に制限は無いが、プリペイドカード等のように、薄く強靭な素材を用いた場合には、そのカード基材を容易に湾曲させることができるため、そのカード基材の中央部分に設けることを避け、その右端、もしくは、左端、さらには、上端、もしくは、下端に設けることが望ましい。(湾曲した際に、スクラッチ隠蔽層にその変形圧力が掛からないように配慮するという意味。)もしくは、湾曲した際の比較的曲がっていない部分に、2箇所またはそれ以上の箇所に分散して設けてもよい。
また、磁気カード仕様や、ICカード仕様上のいわゆる「禁止エリア」(磁気部エリアやIC部エリアのように、印刷やエンボス加工等を禁止しているエリアのこと。所定の機能以外のものを設けることを禁止しているエリアを意味する。)を避けて設けたり、さらには、カードに加える様々な加工処理、例えば、エンボッシング処理、磁気記録処理、接触タイプのICチップ加工処理、非接触タイプのICチップやアンテナ類の加工処理、サインパネル加工処理やホログラム加工処理において、不具合が発生しない位置に設ける。
また、「秘密情報」を一つの位置に設けるのみ(一つの情報として読み取ることができるものが一か所に固まっているという意味。)ならず、カード基材上に、分散して複数の位置に設けたり、カード基材の表裏に設けることも、その秘匿性が向上し好適である。もちろん、その場合には、それぞれの位置に、それぞれのスクラッチ隠蔽層を設けることは言うまでもない。
そして、カード基材上に設けた「秘密情報」形成部を覆うように、且つ、その「秘密情報」を隠蔽できるように、「白濁層」を設ける。
「白濁層」は、カード基材や、その上に設けてある「秘密情報」形成部を溶解したり、変質させたりしない溶剤等(水系が最も望ましい。)を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、3.0μm〜30μmの厚さで形成する。特には、5.0μm〜20μmとする。
「白濁層」は、3.0μm未満であると、「秘密情報」の隠蔽性が不十分となり、また、体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に、同時にスクラッチオフされてしまい、一部「秘密情報」形成部が露出して、その秘匿性に劣るものとなる。
「白濁層」の厚さが30μmを超えると、加熱処理の熱伝導が不十分となったり、「透明化処理」が不完全となりやすく、また、カード基材に埋め込む層の総厚さが大きくなりすぎ、「面一」化処理に支障をきたすものとなる。
また、その形成パターンも、「秘密情報」形成部の全面を覆うように、長方形その他の多角形や、円形、もしくは、楕円形の「ベタ状」の「形成パターン」としてもよいが、「秘密情報」を隠蔽できればよく、例えば、「秘密情報」形成部が一文字ずつ飛び飛びに形成されているものである場合には、その一文字ずつを「個々に覆うよう」に設ける「形成パターン」としてもよい。もちろん、「秘密情報」形成部の全てを覆うものでなく、その一部をおおうものであってもその目的を達成することができる。
さらには、「白濁層」は、例えば、その「層全体」を「所定の温度A」まで上昇させて、「層全体」を一様に透明化処理し、「層全体」を「透明な層」とすることができるように設定してもよいが、「層の一部」を「所定の温度Aで透明化する」層とし、「層の他部」を「所定の温度B(B>A)で透明化する」層とし、「所定の温度A」への加熱では、その「層の一部」のみが透明となり、さらに加温して、層全体を「所定の温度B」とすることで、初めて、「秘密情報」形成部の全てを視認可能となるように設定することも、その「秘密情報」の覗き見防止性を向上させることができ、好ましい。
この「所定の温度A」と、「所定の温度B」との差は、20℃〜50℃とすることが好適である。
この温度差を、20℃未満とすると、「白濁層」を加熱する際に、同時に全ての層を「透明化」してしまう可能性が高まり、また、50℃を超えるものとすると、「所定の温度B」の設定温度が高くなり過ぎ、不適である。
また、この「不透明な層」→「透明な層」への変化を、繰り返し行うことができる「可逆的なもの」、すなわち、「不透明な層」→加熱→「透明な層」→冷却→「不透明な層」→加熱→「透明な層」→冷却→「不透明な層」・・・と、繰り返すことができるもとすることは(この変化を10回以上100回程度まで繰り返しても、その「不透明性」や、「透明性」に、その目的を逸脱するような、大きな劣化がみられないことを意味する。)、正規購入者のみが「秘密情報」を確認するときのみ、その「秘密情報」を露出させ、それ以外の場合には、常に「秘密情報」を隠蔽した状態とすることができ、特に好ましい。
このように「白濁層」に「可逆的なもの」を用いると、カード基材へのスクラッチ隠蔽層の埋め込みの際の加熱や加圧によって、「白濁層」が、「透明な層」となったままとなることを防ぎ、さらに好適である。
「白濁層」としては、その「不透明な層」が、いわゆる「ブラッシング現象」により「白化」しているもの、
「不透明な層」内に屈折率の異なる微細な領域が、多数、分散して存在し、この領域間の屈折や、界面反射で「光散乱性」を帯びているもの、すなわち、「所定の加熱」により、微細領域と、その周辺領域の屈折率が均一化して「透明化」し、「透明な層」となるもの、
「不透明な層」内に微細な空隙が、多数、分散して存在し、この空隙の界面での屈折や、界面反射で「光散乱性」を帯びているもの、すなわち、「所定の加熱」により、空隙がつぶれて、層内が均一化し、「透明化」し、「透明な層」となるもの、
「不透明な層」のスクラッチオフにより露出する面が「粗面」であって、その面を通過する光を散乱させるもの、すなわち、「所定の加熱」によりその「粗面」がならされて略平面化し、「透明化」し、「透明な層」となるもの等、を用いることができる。
「白濁層」を加熱により透明化するために、「所定の加熱」を行う、加熱手段としては、正規購入者が、その「所定の加熱」を行う場合を想定すると、一般家庭に広く普及している加熱手段とする必要がある。
その加熱手段として、金属製や、樹脂製の熱板や熱ロールの接触による加熱、赤外線照射器による赤外線照射加熱、高周波加熱装置による高周波加熱、レーザー光線照射や、紫外線照射加熱等、その加熱時間として、0.1秒〜10分等、その結果、「白濁層」が昇温される温度として、40℃〜200℃、特に、好適には、50℃〜100℃、且つ、その温度が保持される時間としては、0.1秒〜60秒等とする
一般家庭においての「所定の加熱」には、家庭用ドライヤー、家庭用アイロン、ガス機器等で沸かした熱湯、湯沸かし器等による熱湯、熱こて、ヘアードレッサー、虫眼鏡(太陽光等の集光)、家庭用炬燵、電子レンジ、家庭用オーブン等、さらには、コイン等で擦ることによる摩擦熱を利用することとなるため、その目安となる条件を提示しておく必要がある。これらの手段を用いると、過剰な加熱を施して、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層の劣化を招く可能性が高いため、これらのトラブルを防ぐ目的で、体積ホログラム形成層上に、耐熱性を有する保護層を設けたり、透明性及び耐熱性を有し、且つ、容易に剥離可能な、適宜な剥離性フィルムを貼付して、本発明のスクラッチカードを製品化することも好適である。例えば、この適宜な剥離性フィルムに、適宜な剥離性を付与した、厚さ12μm〜100μmのポリエチレンテレフタレート(融点250℃)を用いる
「白濁層」用のインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれも用いることができ、その具体例として、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、さらには、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
さらに、「白濁層」用インキ組成物として、上記した樹脂を用い、その樹脂に対して、セルソルブ系溶剤、第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の、比較的沸点が高く(沸点が、100℃以上、好ましくは、150℃以上。)、且つ、極性の大きいもの(アルコール類の極性より大きいもの。)を、0.1%〜5.0%添加し、且つ、「白濁層」形成時の乾燥条件を冷風乾燥等の低温にて行うことにより、接着層に対して、「白化処理(ブラッシング処理、もしくは、白濁化処理ともいう。)」を施す。
この「白化処理」によって、「白濁層」を「不透明な層」とし、本発明のスクラッチカードのカード基材上に設けた「秘密情報」表示部の「秘密情報」を隠蔽する。
この「白化処理」では、その「白濁層」用インキ組成物に、マイクロシリカ等の平均粒径0.01μm未満の微粒子紛体を3%〜10%程度混入させると、その「白化度」が助長される。
さらに、体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層を、爪等でスクラッチオフした際に、このスクラッチ隠蔽層と「白濁層」との界面において、その爪等が滑り易く、「白濁層」を確実に残すことができるように、この「白濁層」用インキ組成物に、シリコーンオイルや、シリコン樹脂、フッ素樹脂、シリコンパウダーやフッ素系パウダー等の離形性を有するオイル(油性成分)、樹脂、紛体などの成分を、3%〜10%程度混入させることも好適である。
特に、シリコンパウダーやフッ素系パウダーの紛体の平均粒径を、「白濁層」の厚さとほぼ同一とすると、それらの紛体が「白濁層」内にとどまらず、「白濁層」からその一部が飛び出す状態となって、これらの紛体が、スクラッチオフ時の爪等の「白濁層」への侵入(この侵入により、「白濁層」が削れることとなる。)を阻害して、「白濁層」そのものがスクラッチオフされることを阻止するように機能するため、さらに好適である。
上記した方法、または、方式により、その「秘密情報」及び「白濁層」をスクラッチカードのカード基材上に形成し、そして、スクラッチ隠蔽層、及び体積ホログラム形成層を適宜な配置で、その「秘密情報」及び「白濁層」を覆うように設けて埋め込み、積層体とした後、その体積ホログラム再生像を出現させている体積ホログラム形成層と、その背後の一部領域にあるスクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去する(体積ホログラム形成層の背後にあるスクラッチ隠蔽層の位置は、体積ホログラム形成層のホログラムデザインとの位置関係により定めることができ、その位置関係に基づき、スクラッチを実施することとなる。)と、「不透明な層」である「白濁層」が露出し、この「白濁層」に所定の加熱処理である「透明化処理」を施すことで、その「秘密情報」が視認可能となるスクラッチカードを作成することにより、その「秘密情報」を第三者が目視によって判読したり、不正者が盗読することを防ぎ、且つ、正当な使用者がその体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層をスクラッチし、且つ、所定の加熱処理を施して、その「秘密情報」を判読できるスクラッチカードを構成することができる。
ここで、カード基材及び「秘密情報」形成部と、「白濁層」との間、もしくは、スクラッチ隠蔽層との間、さらには、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との間に、接着層を設けて、カード基材、「秘密情報」、(接着層)、「白濁層」、(接着層)、スクラッチ隠蔽層、(接着層)、及び体積ホログラム形成層という順序として(接着層は、これらの位置の何れか、もしくは、複数の位置に設けることができるという意味で、「(接着層)」と表現した。この接着層は、スクラッチ隠蔽層形成領域に対応した領域〈形成位置を意味する。〉に設けてもよいし、スクラッチ隠蔽層領域を含んで、体積ホログラム形成層全体に対応する領域に設けてもよい。)、そのスクラッチ適正を確実なものとしたり、また、体積ホログラム形成層の背後、すなわち、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との間に黒色層を設けて、体積ホログラム再生像を非常に鮮明なものとすることができる。いずれも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
また、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との間に地紋印刷を施したり、もちろん、体積ホログラム形成層上に(最上層の上に)、地紋印刷を施すことも、その偽造防止性を高めたり、意匠性を高める効果があり、好適である。
本発明に用いられる体積ホログラムは、その体積ホログラム形成層の層中に、種々の屈折率のパターンとして、そのホログラム画像を形成する(ホログラム記録ともいう。体積ホログラム形成層は、ホログラム記録用媒体にホログラム画像を形成した際の記録層を意味する。)、いわゆる、位相ホログラムであって、この体積ホログラムが透過型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあて、これを透過させるとき、光の位相は、「屈折率のパターン」により変調され、その先においてホログラム再生像を観察することができる。また、この体積ホログラムが反射型ホログラムである場合には、その体積ホログラム形成層に光をあてると、この体積ホログラム形成層に侵入した光の位相は、「屈折率のパターン」により変調されると同時に反射され、その戻り光においてホログラム再生像を観察することができる。
ホログラム画像として画像化される「物体」(一般的には、3次元物体、もしくは2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであれば、「光学系」であっても、別途作成したホログラムからの「ホログラム再生像」であってもよい。)は、レーザー等が発振するコヒーレントな光によって照明され、そして感光性の記録用媒体が、この「物体」から反射(発散)された光を受けるように配置される。「物体」上の各点は記録媒体の全体に対して光を反射し、また記録用媒体上の各点は「物体」全体からの光を受け入れる。この反射(発散)された光束は「物体光」といわれている。
同時に、コヒーレントな光の一部は「物体」をバイパスし(「物体」を避けて通るという意味。)、反射鏡等により、記録用媒体に向けられる。この光束は「参照光」といわれている。
記録用媒体上に記録されるものは、媒体上に当たった「参照光」と「物体光」との相互作用で生ずる「干渉パターン」であり、この記録が、ホログラムとなる。
この記録用媒体、すなわち、記録されたホログラムが、照明され、適切に観察されるとき、照明光源からの光は、「物体」から記録用媒体にもともと到達した波面を再生するように、そのホログラムにより回折され(透過、または、反射され)、それにより、ホログラムは、透過側、または、反射側からの観察者に対して、「物体」の虚像を、記録媒体という「窓」を通して、完全な遠近差をもつ3次元の「物体」を見たように、認識させる。
本発明のスクラッチカードに用いられる体積ホログラム形成層には、その「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」のいずれをも記録することができる。
「反射型ホログラム」を記録した場合には、本発明のスクラッチカードを外観した際、体積ホログラム形成層にて反射されて観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を、そのカード全面に視認することができる。
また、「透過型ホログラム」を記録した場合には、体積ホログラム形成層を透過した光が、体積ホログラム形成層の背後にある、スクラッチ隠蔽層やカード基材との界面にて正反射して、もしくは、黒色層との界面にて吸収されなかった光が正反射して、観察側に戻ってくる「体積ホログラム再生像」を視認することとなる。
「透過型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を同一の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ同じ方向に進行するようにして形成したホログラムであって、体積ホログラム形成層自体を透明なものとすることにより、その「位相分布」のみを記録として残したものである。
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、「物体光」と「参照光」とが対称な角度で入射する場合には、ほぼ垂直なフリンジとなる。そして、その「物体光」と「参照光」とが非対称な角度で入射する場合には、そのフリンジは、記録用媒体の面に対して、やや傾いたものとなる。
また、「反射型ホログラム」は、「参照光」と「物体光」を反対の側から記録用媒体中に入射させ、両者がほぼ反対方向に進行するようにして形成したホログラム、いわゆる、「リップマンホログラム」である。(以下、体積ホログラムであって、反射型ホログラムとしたものを「リップマンホログラム」ともいう。)
この場合において、記録媒体中の「物体光」と「参照光」との相互作用は、屈折率の変化する材料の屈折率変化という「フリンジ(干渉縞)」を形成するが、このフリンジは、記録用媒体の面に対して、ほぼ平行な面となる。
このリップマンホログラムを再生するとき、これらの各フリンジは入射光を観察者に向けて反射する「鏡」として作用し、それで、このリップマンホログラムは、「透過」よりもむしろ「反射」で観察される。
このように形成された「ホログラム」は、「波長感度」が甚だ高いため(波長選択性のこと。特定の波長にのみ作用するという意味。)、その再生には、「白色光」を用いることができるものである。
すなわち、ホログラムを記録した際の光源に用いた波長の光をあらかじめ準備してその光で再生しなくとも、容易に得られる、広い波長領域を持つ光(例えば、波長範囲が可視光線波長[400nm〜800nm]をカバーするような太陽光や、ハロゲンランプ光など。)を、その再生光として用いたとしても、その「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長の光(「ホログラム記録に用いた波長」以外の波長成分という意味。)は、ほとんど位相変化を受けずそのまま透過し、「ホログラム記録に用いた波長」の光(該当する波長成分という意味。)のみ反射して、その光の像(該当する波長成分により作られる、リップマンホログラム再生像)を、視認することができる。
これらの「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を「体積ホログラム形成層」に記録するには、上記したように、光学系を用いて、直接、「体積ホログラム形成層」にホログラムの干渉縞を記録することもできるが、予め、「反射型ホログラム」、または、「透過型ホログラム」を記録した「マスター版(「未記録感光材料」と「記録済み感光材料」をマッチング液等を介在して積層し、両層にレーザー照射を行う等の、光学的な複製を行うための『複製用マスター』という意味。)」を準備し、その「マスター版」を用いて、「体積ホログラム形成層」に光学的手段によって「複製」することも好適である。もちろん、その併用も望ましい。
そして、それらの「直接的なホログラム記録」または「複製によるホログラム記録」を、カード基材上に設けてある状態の「体積ホログラム形成層」に施すこともでき、この方法は、多様なホログラムデザインを用いたり、個々のスクラッチカードに個別のホログラム記録を施す場合に好適である。この記録の際には、体積ホログラム形成層と、スクラッチ隠蔽層、カード基材、さらには、黒色層との界面の状態、すなわち、これらの界面から反射する光の状態が、そのホログラム記録や複製の、精度や品質(すなわち、体積ホログラム再生像の鮮明度。)に大きな影響を及ぼすため、スクラッチ隠蔽層とカード基材との高い精度での「面一」性が必須であって、さらに、それらの層の界面が「光学的な鏡面」であることや、その界面における屈折率差が大きいことが求められる。
但し、体積ホログラム再生像に「ぼかし効果」等の特殊効果を付与する場合には、敢えて、それらの層の界面(体積ホログラム形成層と、スクラッチ隠蔽層、カード基材、さらには、黒色層との界面)を0.1〜5.0μm程度の「粗面」とすることも好適である。この「粗面」化処理は、カード基材表面とスクラッチ隠蔽層の表面を「面一」にする際、例えば、2枚の「表面鏡面仕上げのステンレス板」にカード基材とスクラッチ隠蔽層を挟み込んで、適宜な加熱、及び適宜な加圧処理を行う際に、その「表面鏡面仕上げ」を「上記の粗面仕上げ」としたステンレス板に挟みこむことで、施すことができる。(この処理によってできる「粗面」の凸部頂点を結ぶ面は、「面一」となっている。)
ホログラムの原理で作製される「ホログラフ鏡」は、「反射型ホログラム」のもっとも簡単なものである。これは、2つのコヒーレントな平面波を、記録用媒体に対して反対の方向から投射し、記録用媒体中でその2つのコヒーレントな平面波が交差する、ホログラムである。これは単一のレーザー光を分割し記録用媒体の所で両光を合体させるか、あるいは分割しないレーザー光を、記録用媒体を通して、その後ろの「平面鏡」上に投射することにより作ることができる。これにより均一な間隔のフリンジの「一組」が形成され、投射された2つの光間の鈍角の2等分線に対して平行に配列され、三角関数の強度を有することになる。
この鈍角が、「180度」であり、2つの投射した光の波面が媒体の面に対して直角であるならば、各フリンジは媒体の面に対して平行となる。
そして、この鈍角が、「180度以下」であるか、または2つの光が媒体の面に対して直角でないときは、反射性のフリンジは媒体の面に関して鋭角に傾いて形成される。ホログラフ鏡はその反射効率、屈折率変調、および反射光の分光帯域と分光特性などにより特性化される。
「反射ホログラム」を形成する実質的に水平なフリンジは、「透過型ホログラム」を形成する垂直なフリンジよりも、記録することが困雌である。
その第1の理由は、より高い解像性、すなわち、単位長さ当りに、より多数のフリンジが必要であって、フリンジの間隔は非常に小さくなる。「反射型ホログラム」は「透過型ホロクラム」よりも単位長さ当り約3倍〜約6倍多いフリンジを必要とする。
その第2の理由は、記録用媒体の収縮に対する水平なフリンジの敏感性である。露光中の記録用媒体の収縮はフリンジの消失を招き、もし収縮がひどいときはホログラムの形成が妨げられる。これは「透過型ホログラム」の場合とは対照的なものであり、「透過型ホログラム」では収縮はほとんど影響がないか、あるいはフリンジが媒体の面に対して直角ならば影響がなく、フリンジが媒体の面から45度以上傾いているときに、比較的僅かな画像の歪みを生ずるだけである。
従って、透過型ホログラムの再生像を真正性判定に使用することは好ましい。
そのような、体積ホログラムを形成する、体積ホログラム形成層には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムがある。
銀塩写真乳剤としては、高感度及び、高解像度が求められる。
フォトレジストには、ポジ型フォトレジストと、ネガ型フォトレジストをいずれも用い得る。
フォトポリマー材料としては、架橋型フォトポリマー、ラジカル重合型フォトポリマー、カチオン重合型フォトポリマー、化学増幅型フォトポリマー、ナノ粒子分散系フォトポリマー等を用いることができ、その取り扱い適正は、特に優れる。
フォトクロミック材料は、光や熱等の特定の環境下において、その色調が変化するため、その意匠性はさらに高いものとなる。
重クロム酸ゼラチンは、その屈折率変調の高さ(すなわち、高い回折効率、帯域幅対応性)から、「反射ホログラム」の製作に選ばれる材料である。但し、重クロム酸ゼラチンは保存性に課題があり、「反射ホログラム」形成後に、湿式処理を必要とする。このため、この材料はホログラム記録の直前に新たに調製しなければならず、あるいは、予備硬化させたゼラチンを使用しなければならず、画像の再生効率を低下させる。
湿式処理は、ホログラム形成に際し、付加的工程をもち込むことになり、そして処理中に材料が膨潤し、ついで収縮する際に寸法的な変化を生じやすい。これらの寸法的な変化はフリンジの間隔に影響する。従って、重クロム酸ゼラチンによって高品質の「反射ホログラム」を作製することは、時間がかかり、かつ、困難である。
いくつかの処理工程を必要とする、銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンに対して、1回処理工程のみを必要とする固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、好適である。
フォトポリマー材料の例としては、固体の光重合性組成物であって、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物が挙げられる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であるが、単独で、又は、互に組合せて使用することができ、例えば、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリビニルエステル、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、ポリアミド等、並びに、それらの混合物を使用できる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル等を用いることができる。
光開始剤としは、遊離ラジカル発生付加重合開始剤等を使用することができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤を有する、光重合性組成物を用いることができる。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーが挙げられる。
コヒーレント光による露光によって、このモノマーは、未露光域とは異なる屈折率とレオロジー的性質をもつ、高分子量のフォトポリマーを形成するように(光)重合する。この高分子量のフォトポリマーは実質的に固体ではあるが、各成分は電離放射線による一様、且つ、全面に渡る露光、または、高温度で熱処理することで「定着」されるまでは、コヒーレント光による露光中、および、露光後も、内部拡散をする。
このフォトポリマーは、その厚さと屈折率変調とにより決定される、所定の中心波長、及び、波長領域(分散帯域)をもつ光を反射する。そこで、その厚さは、用途、および、光学系の光学的な要請、すなわち使用中にホログラムを照明(再生)するのに用いる光の帯域幅、に対して一致させられる。一般的に狭い帯域幅用の応用には、比較的厚いフォトポリマーが選ばれ、広い帯域幅用の応用には比較的薄いフォトポリマーが選ばれる。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
「実質的に固体」とは塗布された皮膜が、溶剤を除去した後に、一般的に固体材料の有している諸特性(例えば寸法安定性)を有していることを意味している。
フッ素含有ポリマー中のフッ素の存在は、一般に、フォトポリマーの屈折率を低下させ、これによりホログラム画像化後のフォトポリマーにおいて、増加した(「より大きな」という意味。)屈折率変調が達成される。屈折率変調は、フッ素含有量の増加とともに増大するが、フォトポリマーに不透明化を起こさせないためには、そのフッ素の存在量は限定される。
従って、フッ素の含有量は、その効果が、1%のような低レベルにあっても達成されるものの、代表的には、10〜20%の範囲内とされる。フッ素の含有量は、用途に応じた屈折率変調を達成するために調整可能である。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入する。例えば、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などが使用できる。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類等を用いることができる。
以上のフッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなる、光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、大きな屈折率変調を有するため、高い透明性と、鮮明なホログラムの再生を必要とする、本発明のスクラッチカードに好適である。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、及び上記特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
この光重合性組成物は、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光等の光とは別の波長の光を照射することによりリップマンホログラムが記録される。レーザー光等の光の照射(以下、第1露光)によってラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合性化合物は、その次に行う全面露光(以下、後露光)によって組成物中の光カチオン重合開始剤系を分解させて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合するものである。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル等が例示される。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が例示される。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明体積ホログラムとする場合には、シアニン系色素が好ましい。
シアニン系色素は、一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより、体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
このような無色透明性は、体積ホログラム再生像の鮮明度を向上させるのみならず、体積ホログラム形成層の背後に設けた地紋印刷や、デザイン印刷等を視認する際に好適となる。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。
その体積ホログラム形成層の厚さは、5.0μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmである。もちろん、この厚さは薄い方がコスト面や、透明性を確保するためには有利であるが、5.0μm未満では、十分な光選択性が得られず、また、鮮明なホログラム再生像を得ることが困難である。
しかし、50μmを超えると、コスト面で不利となるだけでなく、その熱変形によるホログラム再生像の歪みが顕著となり、また、その加工適性も劣化する。
以上の方法は、樹脂を担持するための「適宜な透明基材」を介することなく、直接樹脂から形成することができるため、あらかじめそのような透明基材に樹脂をコーティングしておく工程を不要とすることも可能で、この場合には、コスト面及び、管理面において優れるものとなる。
但し、「適宜な透明基材」を用いると、そのハンドリング適正が著しく向上するため、本発明のスクラッチカードの使用目的や用途によっては、敢えて、「適宜な透明基材」を用いることも好適である。
その場合には、その透明基材の一方の面に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラムを有する「体積ホログラム形成層」を設けた積層体を、一旦、形成することとなる。
体積ホログラム形成層は、光重合性組成物の塗布液(例えば、固形分15〜25%)を、透明基材が、1枚毎のシート状であればバーコート、スピンコート、または、ディッピング等により塗布形成され、また、透明基材が、ロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、または、コンマコート等により塗布する。体積ホログラム形成層は、塗布液に合わせた乾燥、乃至、硬化の手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、一例として、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とするとよく、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じてメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機を使用して混合することにより調製される。
この光重合性組成物は、その透明性を維持しつ、鮮明な体積ホログラムを再生でき、且つ、高い破断強度、小さい破断伸度、さらには、高い鉛筆硬度を有するため、高い透明性と、引張り耐性や耐摩耗性等の強靭な物理特性などの高い信頼性を必要とする偽造防止用途に、好適である。
光重合性組成物そのものからなるシートや、フィルム、さらには、透明基材上にコーティングした光重合性組成物、すなわち、体積ホログラム形成層に、上記した方法を用いて体積ホログラムを形成することができる。
体積ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を上記したような、いわゆる、体積ホログラムの原理でホログラムを記録したものであり、例えば、フレネルホログラムなどのレーザー再生ホログラム、イメージホログラム及び白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、ホログラフィックステレオグラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などとすることができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
ここで、本発明のスクラッチカードを観察する者に、このスクラッチカードの全面に、「単なるリップマンホログラム」が設けられていると思わせるためには、自然光下では視認できない透過型ホログラムに加えて、それらの観察者が自然光下で目視にて鑑賞可能な反射型ホログラム、すなわち、リップマンホログラムを、少なくとも1種類は、多重記録しておくことが必須である(隠しホログラムである透過型ホログラムの記録に重ねて、反射型ホログラムを記録するという意味。)。
この際、透過型ホログラムの再生効率(ホログラムとして、回折格子を記録した際の回折効率に相当する。)を反射型ホログラムの再生効率よりも小さくすることが、その透過型ホログラムの隠し効果を高める上で、好適である。
体積ホログラム形成層は、いわゆる「ホログラフィー露光装置」による所定の波長範囲のレーザー光等の光を使用し、ラジカル重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、体積ホログラムが形成されるが、体積ホログラム形成層として、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料を用いた場合には、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を更に重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば波長200〜800nm)を全面照射して体積ホログラムを固定化するとよい。なお、後露光の前に体積ホログラム形成層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることもできる。
体積ホログラムを形成した体積ホログラム形成層は、そのホログラムを形成したときに使用したレーザー等の光源波長(これが、上記した「参照光」や、「物体光」となる。)によって、その「層」の中に、フリンジ(干渉縞)を「屈折率の部分的な変化(屈折率変調)」という形で、「3次元的」に記録したもの(フリンジ全体が立体的構造となるという意味。)である。
このフリンジは、上記したホログラム形成時に使用した光源波長で照明したときにのみ、「干渉現象」を発生し、観察者の目に視認可能となる反射再生像(体積ホログラム再生像)を出現させる。
しかしながら、このフリンジを、上記の波長以外の光で照明したときは、上記した「干渉現象」が発生せず、わずかな散乱現象が生じるのみで、その光はそのまま透過することになる。
例えれば、可視光線領域内である、発振波長442nmの固体レーザー(HeCdレーザー。)を用いて体積ホログラムを形成し、体積ホログラム形成層とすると、その体積ホログラム形成層に、470nmや、520nm等の可視光線領域に別の発光波長を有する光源の光を投射しても、体積ホログラムを再生せず、しかも、反射光をも発生しない(層表面と空気との界面でのわずかな界面反射は存在するが、フリンジによる反射光は発生しない。)。
これらの体積ホログラムを形成する際に用いられる光源としては、可視光波長領域にあるコヒーレントな光を発振(発光)するものであれば、いずれも用いることができるが、例えば、ガスレーザーとして、HeNeレーザーLGシリーズ(発振(発光)波長は、594nm、633nm、0.5mW〜30mW)、HeNeレーザーLHシリーズ(同、594nm、604nm、612nm、633nm、0.3mW〜4.0mW)、アルゴンレーザー(同、488nm、40mW)、HeCdレーザーIKシリーズ(同、442nm、20mW〜200mW)、窒素/色素レーザーGL−301、窒素/色素レーザーGL−302(同、360nm〜990nmから選択可能。)等、固体レーザーとして、ルビーレーザー(同、694nm、パルスレーザー)、小型CWレーザー(Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4レーザー)Direct(同、405nm、445nm、447nm、488nm、638nm、643nm、655nm、690nm)、小型CWレーザー(同)Crystal(同、473nm、593nm、657nm、660nm、671nm)、波長変換レーザーOptiシリーズ(同、488nm、589nm)、TOL90色素レーザー(同、420nm〜900nmから選択可能。)等、半導体レーザーとして、SWL−7513H(同、633nm、660nm、8mW〜20mW)、FK LA−100(同、457nm、1W)、LDM(同、405nm、440nm、473nm、635nm、665nm、690nm、10mW〜200mW)等を用いることができる。
本発明のスクラッチカードは、スクラッチカードのカード基材上に、「秘密情報」及び「白濁層」が設けられ、その「秘密情報」及び「白濁層」を覆うように、スクラッチ隠蔽層、体積ホログラム形成層、もしくは、各層の間に適宜設けた接着層を含むもの、または、そのスクラッチ隠蔽層上や、体積ホログラム形成層上にさらに地紋印刷を設けたもの、及び、その体積ホログラム形成層に黒色層を付加したもので構成され、且つ、その「スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層」、「各層の間に適宜設けた接着層を含むもの、そのスクラッチ隠蔽層上にさらに地紋印刷を設けたもの、または、スクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との間に、さらに地紋印刷を設けたもの」や「その体積ホログラム形成層に黒色層を付加したもの」などの積層体に対して、そのスクラッチ隠蔽層部分を、カード基材に埋め込み、その部分を覆って、少なくとも体積ホログラム形成層をそのカード基材全面に形成したものである。
従って、「黒色層」を、体積ホログラム形成層の領域に対してその領域全面に対応して形成してもよいし、少なくともスクラッチ隠蔽層を覆う形として、いわゆる「パターン形状」に形成してもよい。(但し、「秘密情報」を視認できるように、「秘密情報」形成部に対応する位置は除いて形成する。)
このことは、「接着層」の形成位置や形成パターンについても同様として、「接着層」を形成することができることは言うまでもない。
体積ホログラム形成層は、スクラッチ隠蔽層を溶解したり、変質させたりしない溶剤を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段を用いて、乾燥後の厚さとして、5.0μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。
もしくは、適宜な透明基材に、予め上記の厚さで、体積ホログラム形成層を設けておき、その体積ホログラム形成層(体積ホログラム記録前、もしくは、記録後)の露出面を、カード基材面に接するように積層する手順としたり、さらに、その透明基材を体積ホログラム形成層との界面で剥離して、体積ホログラム形成層を最表面とする手順とすることもできるが、この際も、上記の形成手段を適宜用いることができる。
この厚さが、5.0μm未満であると体積ホログラムの記録が困難となり、50μmを超える厚さでは、この体積ホログラム形成層の上に部分的に設けるスクラッチ隠蔽層の厚さとのバランスが悪化し、スクラッチ隠蔽層のカード基材への埋め込みに支障をきたしたり(埋め込みのための圧力が、スクラッチ隠蔽層部分に集中せず、分散してしまうことを意味する。)、または、スクラッチカードのカード基材上のスクラッチ隠蔽部分(「秘密情報」を隠蔽するための、体積ホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層等の積層部分をいう。)の総厚さが大きくなりすぎ、そのスクラッチ適正が低下する。
記録する体積ホログラムのデザインは、単独のホログラムデザインでも、複数のホログラムデザインの集合体でもよい。この「集合体」とは、記録領域が異なるホログラムの集合体、もしくは、記録領域が同一のホログラム多重記録による集合体でもよい。
さらには、リップマンホログラムである反射型ホログラムを通常の観察角度で鮮明に視認される鑑賞用として記録しておき、これに加えて、透過型ホログラムをその観察角度とは、大きく異なる角度(その角度差を30度〜60度とする。)で多重記録して、特殊な観察角度のみで視認可能とすることで、本発明のスクラッチカードの偽造防止性を高めることも好適である。
上記した、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との界面からの反射光の強度を十分なものとするには、この界面における屈折率差が大きければ大きいほど望ましく、このため、スクラッチ隠蔽層を、「高屈折率層」とする。
但し、体積ホログラム形成層側から観察して、その背後にあるスクラッチ隠蔽層の位置を「隠蔽」するためには、「体積ホログラム形成層に設けるホログラムのデザイン」をもって、その位置を「カモフラージュ」するか(スクラッチ隠蔽層の領域にホログラム再生像の高輝度領域を配置するなど。)、もしくは、カード基材表面とスクラッチ隠蔽層の色調を実質的に同一としたり、それらの「屈折率」をも「高屈折率」であって、且つ、実質的に同一(それらの屈折率の差が、0.1以下であることを意味する。)とする。
もちろん、黒色層を設けることが、その「隠蔽」に最も好適であることは言うまでもない。
ここで、「高屈折率層」とは、「高い屈折率を持つ樹脂層」であって、屈折率nが2.3を超える樹脂層をいう。スクラッチ隠蔽層を、「高屈折率層」、すなわち、屈折率nが1.7〜2.3という高い屈折率を示す樹脂材料を用い、この樹脂材料に、より高い屈折率を有する顔料や微粒子顔料を含めることで、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の界面における屈折率差を、1.0以上とすることができ、上記した反射光の強度を非常に大きなものとして、より鮮明な体積ホログラム再生像(特に、透過型ホログラム再生像)を出現させることを可能とする。
「樹脂材料の光学的透明性を維持した上での高屈折化」については、鋭意、研究が進められているが、ホログラム再生像の観察に悪影響を及ぼさず(「光学的に透明」であることを意味する。)、体積ホログラム形成層を通して、その配下にある「秘密情報」を十分、且つ、確実に視認できる「透明性」を保持しつつ、「《樹脂層》としての屈折率」を高くすることには限界があり、比較的屈折率の高い樹脂の高分子構造の中に、原子屈折率の高い「硫黄原子」や、塩素原子やフッ素原子等の「ハロゲン成分」、さらには、高屈折率構造を持つ「芳香環基」を分子レベルで導入する方法や、TiOxやZrOx等の高屈折率金属酸化物の超微粒子(平均粒径:0.0003μm〜0.03μm)を樹脂材料に高度に分散させる方法、さらには、高分子材料の分子構造の中に、所定の金属塩を取り込ませる方法等によって、屈折率n=1.9を超える材料を見出したものの、それでも、金属化合物微粒子(または薄膜。)の例であるZnSの屈折率n=2.3を超えるような「透明な」樹脂はまだ発見されていない。
但し、面は、体積ホログラム形成層の下側、すなわち、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との界面にあるので、この界面での反射光が、体積ホログラム再生像の鮮明度に影響するため、スクラッチ隠蔽層そのものには、光学的な透明性の要求は無く、むしろ、「秘密情報」を隠蔽するための「不透明性(隠蔽性)」が求められる。
しかし、反射面の背後であっても、着色していたり、白色となって光を散乱する性質が強いものとなると、体積ホログラム再生像の鮮明度にも悪影響を及ぼすため、むしろ、体積ホログラム再生像をより鮮明とするため、スクラッチ隠蔽層の面を「光学的な鏡面」とする(すなわち、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の界面が「光学的な鏡面」となる。)。
これは、比較的屈折率の高い透明な樹脂材料に、屈折率の高い顔料(顔料の屈折率が2.5以上、さらには、3.0以上のもの等。屈折率が3.0を超えると、光散乱性や光遮蔽性が発現する。)を30〜70%程度、混入させることで、透明性がやや低下するものの、「高い屈折率を持つ樹脂層」、すなわち、「高屈折率層」とすることができる。
そして、スクラッチ隠蔽層は、カード基材上、及び、カード基材上の「秘密情報」形成部の上に、その「秘密情報」を覆うように設けた後、カード基材に「面一」に埋め込むことで得られる。
または、体積ホログラム形成層上に、スクラッチ隠蔽層を形成して、2層積層体とした後、その2層積層体を、カード基材上の「秘密情報」形成部の上に、そのスクラッチ隠蔽層形成部分が「秘密情報」を覆うように設けた後、そのスクラッチ隠蔽層部分をカード基材に埋め込み、体積ホログラム形成層全体をカード基材に積層することで得られる。
従って、スクラッチ隠蔽層の露出面を「光学的な鏡面」とした場合には、その上に設ける体積ホログラム形成層のインキ組成物としては、スクラッチ隠蔽層を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。
スクラッチ隠蔽層用インキ組成物としては、例えば、ゴム系天然樹脂、ジエン系樹脂、アクリル系樹脂や、ビニル系樹脂の中から選定したものを樹脂成分とし、隠蔽性とスクラッチ性を得るために、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等の顔料成分を固形分全体の20〜80%の割合で含有するものを用いる。また、スクラッチ隠蔽層の隠蔽性を向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層は、このインキ組成物を、基材、「秘密情報」形成部、さらには、「白濁層」を部分的に溶解したり、膨潤させたり、上記のような変形や変質を生じさせない溶剤で希釈したもの(以下では、これを含めて、「スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物」という。)を、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用いて、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで、基材上(「秘密情報」形成部及び「白濁層」の上)や、その形成手順によっては体積ホログラム形成層上に形成する。
スクラッチ隠蔽層の厚さが5μm未満では、「秘密情報」が透けて見える可能性があり、50μmを超える厚さでは、やはり、スクラッチカードのカード基材上のスクラッチ隠蔽部分の総厚さが大きくなりすぎ、カード基材への埋め込みに支障をきたす。さらにその厚さが、10μm以上あれば「秘密情報」の隠蔽性は十分であり、30μm以下であれば形成作業性に優れ、スクラッチカードを1000枚重ねた際の突出量は皆無であって、自搬送処理等に適するものとなる。また、スクラッチ隠蔽層の厚さがこの範囲であれば、コインや、指もしくは爪で容易に粉砕可能である。
但し、このスクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との界面は、反射型ホログラム再生像の「背景」そのものであって、また、この界面からの反射光が透過型ホログラム再生像を出現させるため、この界面を「光学的な鏡面」とする必要がある。
このスクラッチ隠蔽層と体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」とならず、いわゆる「ランダムな散乱光を発する粗面状」となっている場合には、この「粗面状の界面」を体積ホログラム再生像を視認するための照明光で照明したときに、その「光の位相」が乱され、透過型ホログラム再生像に対しては、位相の揃った光の干渉により発生するホログラムの再生そのものを阻害し、反射型ホログラム再生像に対しては、その背景が「明るい壁」のように見えて、そのホログラムの視認性を低下させ、体積ホログラム再生像を確認することすらできないものとしてしまう。
このような「光学的な鏡面」とは、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層の表面の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味するものであって、あるべき面から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」であることを言い、敢えて定義すれば、「比較的小さい領域であってその領域内では、ほぼ平面と近似できる面領域における平均表面粗さRaの値が、どの領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義できる。
通常、スクラッチ隠蔽層を上記のような印刷方式を用いて、基材上(「秘密情報」形成部上)、体積ホログラム形成層上に形成すると、その最表面(その形成直後の露出面)は、1.0μm〜30.0μm程度、場合によってはそれ以上の「粗さ」となり、その「粗さ」が、コインや、指もしくは爪で粉砕することを容易なものとし、スクラッチオフ適正という点では望ましいとされている。(スクラッチオフとは、コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)
しかし、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層と接している面は、本発明の目的より、上記したように「光学的な鏡面」とする必要があるため、適宜な剥離性フィルム上に、スクラッチ隠蔽層を形成後、上記した「光学的な鏡面」以上の平滑な表面を有する、「表面平滑化処理を施した金属板」等を用いて、100〜200℃の加熱、及び、107〜109Paでの加圧をする平板プレス処理、もしくは、「表面平滑化処理を施した金属ロール」等を用いてロール幅1cmに対して1.0kg以上の線圧を掛けるロールプレス処理により、一旦、スクラッチ隠蔽層の体積ホログラム形成層と接する面を「光学的な鏡面」とし、その面を埋めるように、体積ホログラム形成層を設けて、2層積層体を形成後、その適宜な剥離性フィルムを剥がして、スクラッチカードのカード基材上の所定の位置に配置後、カード基材に埋め込む手順とすることも好適である。
このとき、スクラッチ隠蔽層に体積ホログラム形成層を設ける前に、そのスクラッチ隠蔽層の面上に、黒色層を設ける手順としてもよいし、スクラッチ隠蔽層の露出面を「光学的な鏡面」とした後に、黒色層を形成し、その後、を形成する手順としてもよい。
もちろん、適宜な剥離性フィルム上に、体積ホログラム形成層(「光学的な鏡面」である面を有する。)、その上の一部分にスクラッチ隠蔽層を設けたもの、もしくは、全面に黒色層、その上の一部分にスクラッチ隠蔽層を設けたものを準備し、スクラッチカードの基材上の「秘密情報」形成部がそのスクラッチ隠蔽層によって覆われるように配置して、その剥離性フィルムを有するまま、基材ごと平板プレス処理を行うことでも、同様の状態とすることができる。
また、スクラッチカードのカード基材上に設けた所定の深さを持つ凹部に、上記のようにスクラッチ隠蔽層を所定の高さに設けて、基材表面と面一になる高さとし、その「面一な面」の全面を覆うように、黒色層、さらに、その全面を覆うように、体積ホログラム形成層を設ける手順としてもよい。
このため、スクラッチ隠蔽層の「平坦な面」、または、体積ホログラム形成層の「平坦な面」の物理特性を、このような体積ホログラム形成層形成段階や、スクラッチ隠蔽層形成段階において、その面を「光学的な鏡面として維持できるレベル」まで向上させる必要がある。
例えば、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層のインキ組成物に2液硬化性樹脂や、熱硬化樹脂を用いた場合には、「平坦な面」形成時に、その平板、もしくは、ロールそのものを加熱して、「平坦な面」近傍の硬化度を促進し、完結させたり、体積ホログラム形成層のインキ組成物に、電離放射線樹脂を用いた場合には、平板やロール処理後、または、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層形成後、さらに、電離放射線を追加照射(ポストキュア。)して、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層全体の架橋度を98%以上とする。
さらには、その平板、もしくは、ロールを電離放射線透過性の素材を用いて作製し、その平板、もしくは、ロールを体積ホログラム形成層に押し当てたまま、電離放射線を十分に照射して、「平坦な面」形状を高い精度に保ったまま、その物理特性を上記したレベルまで向上させることも好適である。
そして、いずれの層においても、上記の印刷方式のみならず、ロールコーティング方式や、レジスト処理方式を用いることも以上の目的のためには好適である。
または、スクラッチ隠蔽層を、体積ホログラム形成層の面上に、所定の厚さで形成後、「乾燥、さらには、硬化する段階」において、スクラッチ隠蔽層に用いるスクラッチ隠蔽層用インキ組成物の中の顔料成分の移動や、樹脂成分の移動を十分に起こすために、その「乾燥条件や硬化条件」を通常の処理時間の2倍〜10倍の処理時間とすることも、スクラッチ隠蔽層の固まった界面そのものを「光学的な鏡面」として仕上げることができ好適である(この界面付近に粒径の小さい顔料が集まったり、顔料と顔料の隙間に樹脂成分が十分に充填されることを意味する。)。
もちろん、予め、その「『平坦な面』を持つ適宜なフィルム」上に、スクラッチ隠蔽層を仮形成して、スクラッチ隠蔽層の「平坦な面」と接している面を「光学的な鏡面」とし、これを適宜な仮転写用フィルム上に仮転写(転移)して、その「平坦な面」を露出させ、これを、ある意味で新たな「平板、もしくは、ロール」と見立てて、体積ホログラム形成層に押し当てて、その適宜な仮転写用フィルムから転写(スクラッチ隠蔽層の転移。)して、スクラッチ隠蔽層の「平坦な面」付近の鏡面性を高めた状態で、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の積層体とすることも、また、この積層体のスクラッチ隠蔽層形成層側を、カード基材上の「秘密情報」形成部に押し当て、もしくは、接着層を介して、その「秘密情報」を覆うようにカード基材上に積層させる方法も、「光学的な鏡面」を高い精度で確実に得ることができる手段として好ましい。
黒色層は、微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.2〜2.0μm)や、超微粒子カーボンブラック(一次粒子径:0.01〜0.1μm)、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等のように、観察する光(可視光)の全波長領域に対する吸収性を有する顔料や染料を、熱可塑性樹脂、または、熱硬化性樹脂に分散したもの(顔料や染料の含有率:20〜70質量%)からなるものであって、且つ、観察する光の波長である約0.5μmの5倍〜50倍、すなわち、2.5μm〜25μmの厚さ、さらには、10倍〜40倍、5.0μm〜20μmの厚さを有していることにより、反射型ホログラムを記録した体積ホログラム形成層を透過した光(反射型ホログラム再生像を再生する光を含んでいない。)をほぼ全て吸収して、その体積ホログラム再生像の鮮明度を非常に高いものとする。または、透過型ホログラムを記録した体積ホログラム形成層を透過した光(透過型ホログラム再生像を再生する光を含んでいる。)をパターン状に吸収して、その体積ホログラム形成層のホログラムデザインをより意匠性の高いものとする。
さらには、上記した種々の手段を採用して、この黒色層の表面を「光学的な鏡面」とし、この面で全反射する角度(ブリュスター角より大きい角度を意味する。)に入射する観察光を、「正反射光」として反射し、その偽造防止性の確保に寄与することもできる。
その厚さが、観察光の波長の5倍以下では、光の吸収が不十分であり、50倍以上では、スクラッチ隠蔽層との厚さのバランスが悪化して、カード基材へスクラッチ隠蔽層の埋め込みに支障をきたす。
黒色層の表面を「光学的な鏡面」とする場合には、超微粒子黒色顔料を用い、且つ、3本ロールミルや、ニーダー等の、インキに対する顔料の高分散処理が可能な装置を用いてインキ化することが望ましい。

黒色層の形成方法は、上記のインキを用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式等、形成パターンに適宜な方式を用いることができる。さらには、にじみや、インキダレを抑えるため、フレキソ印刷方式を用いることが望ましい。
黒色層を形成する位置は、体積ホログラム形成層の背後、すなわち、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との間、または、体積ホログラム形成層とカード基材(カード基材上の「秘密情報」形成部を含む。)との間であって、カード基材全面に亘るサイズとして形成してもよいし、複数の領域に適宜なパターンで形成してもよい。
それぞれ、体積ホログラムデザインとの同調性、各層厚さとのバランス、使用する樹脂層の屈折率差、接着性を考慮して形成方法、形成パターン形状を定める。
また、スクラッチ隠蔽層をスクラッチカードのカード基材上の「秘密情報」及び「白濁層」を覆うように設ける際、そのカード基材(及び、「秘密情報」)とスクラッチ隠蔽層との間に、接着層を設けることができる。もしくは、カード基材(「秘密情報」及び「白濁層」)と、「スクラッチ隠蔽層及び体積ホログラム形成層」、または、「スクラッチ隠蔽層及び黒色層」との間に、接着層を設けることができる。
接着層を設けることで、カード基材、「秘密情報」及び「白濁層」と、スクラッチ隠蔽層、体積ホログラム形成層、または、黒色層との接着力を高めることができ、スクラッチオフの際や、体積ホログラム形成層を不正に剥がそうとする場合に、不要なスクラッチ隠蔽層や、体積ホログラム形成層の剥がれを防止することができ、且つ、「秘密情報」の改ざんや改変を阻止することができる。
また、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層からなる「積層体」を予め作成した後、その「積層体」をこの接着層を介して、カード基材、「秘密情報」及び「白濁層」上に、加熱、及び加圧プレス処理により、そのスクラッチ隠蔽層部分の埋め込みと同時に固着させる手順とすることもでき、その作成手順の自由度を高めることができる。もちろん、この際に、「白濁層」が可逆性を有しているか否かに拘わらず、その「白濁層」を、結果として「不透明な層」としておける条件を設定することが必要であることは言うまでもない。
接着層は、乾燥後の厚さとして、1.0μm〜30μmの厚さで形成する。
この接着層用のインキ組成物としては、カード基材及び「秘密情報」及び「白濁層」を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。もちろん、この接着層用インキ組成物を、スクラッチ隠蔽層、体積ホログラム形成層、または、黒色層上に設ける手順とする場合には、それらの層を部分的に溶解したり、膨潤させたり、変形や変質を生じさせないものを用いる。
そのインキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれの接着剤をも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体や、天然ゴムなどのゴム系樹脂などを挙げることができる。また、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス等の天然素材から作製されたものを用いることが好適である。
接着層は、1.0μm未満であると、スクラッチカードのカード基材、「秘密情報」及び、「白濁層」との接着性(「秘密情報」との接着性とは、その「秘密情報」形成部との接着性という意味。)が不十分となり、30μmを超えると、やはり、カード基材への埋め込み等に支障をきたす。もちろん、カード基材に予め凹みを設ける場合には、その凹みを深くすれば、これらの厚さをより厚く設定可能であるが、カード基材の一部に設ける凹みを深くすればするほど、そのカード基材の物理的強度が損なわれるため、偽造防止媒体として好ましくない。
但し、「秘密情報」をインクジェット方式でカード基材上に設けた際に、その「秘密情報」印字部の高さ(印字部の盛り上がりを意味する。)が、5.0μm〜20μmと高くなった場合には、その「秘密情報」及び「白濁層」の上に、体積ホログラム形成層やスクラッチ隠蔽層を設けるときに、接着層が、その「高い」印字部を柔らかく包み込むように適宜な変形を生じ、その「高さ」を吸収して、「秘密情報」印字部の盛り上がりパターンを体積ホログラム形成層や、スクラッチ隠蔽層の盛り上がりに繋がらないようにすることができ好適である。この目的のためには、接着層の厚さを、インクジェット方式で設けた「秘密情報」の盛り上がり高さ(印字部のカード基材面から印字部表面までの距離を意味する。)の2.0倍〜5.0倍とすることが好適であって、上記した厚さの上限を超えることもやむを得ない。
この厚さが、その盛り上がり高さの2.0倍未満であると、その吸収性が不十分となり、5.0倍を超えると、不必要な厚さとなり、やはり、カード基材への埋め込みに支障をきたしたり、カード基材そのものの物理的強度を低下させることとなる。
接着層の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートや、スクリーン印刷などの方法で、塗布し乾燥して形成することができる。
接着層の接着力は、スクラッチカードのカード基材、「秘密情報」形成部及び、「白濁層」との接着力、また、スクラッチ隠蔽層との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。特に、カード基材、カード基材上の「秘密情報」形成部、及び「白濁層」との接着力は、本発明の目的より、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層をカード基材、カード基材上の「秘密情報」形成部及び「白濁層」から剥がすことが困難となるレベルまで大きいものとする必要があるが、その接着層と、カード基材、カード基材上の「秘密情報」形成部及び「白濁層」との界面の剥離強度よりも、接着層と体積ホログラム形成層との界面の剥離強度を、より大きいものとなるように設計する。
このようにして、スクラッチカードのカード基材、その上に設けた「秘密情報」及び「白濁層」、その「秘密情報」及び「白濁層」を覆うようにして設けた、スクラッチ隠蔽層、さらにそれらの層を覆うように設けられた体積ホログラム形成層からなる本発明のスクラッチカードを得る。
または、スクラッチカードのカード基材、その上に設けた「秘密情報」及び「白濁層」、その「秘密情報」及び「白濁層」を覆うようにして設けた、接着層、スクラッチ隠蔽層及び体積ホログラム形成層(さらに黒色層が設けられている場合もある。)からなる本発明のスクラッチカードを得る。
また、体積ホログラム形成層を、一旦、剥離性フィルムに設ける手順とする場合に、その剥離性フィルムの表面の一部(「正規購入者のみが知り得るスクラッチ位置」を表示するような「パターン」状として設けたり、バーコード状、網点状、市松模様状に設ける。)を、平均表面粗さRaで、1.0μm〜30μm、もしくはそれ以上の粗さに設定した「粗い粗面」としておくことも(この「粗い粗面」部分からは体積ホログラム再生像を視認することはできない。)、スクラッチ時の破壊性を均一、且つ、容易化することができ、スクラッチオフ適正の向上に寄与する。
もちろん、体積ホログラム形成層をスクラッチ隠蔽層上に設ける際に、その印刷版に上記した「粗い粗面」を予め設けておいてもよく、さらには、体積ホログラム形成層を形成後、上記した「粗い粗面」を有する平板やロールを用いて、加熱、且つ、加圧して、体積ホログラム形成層の最表面を所定の「粗い粗面」とすることも好適である。
さらには、このような「粗い粗面」部分の導入を、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層の界面に実施しても、そのスクラッチ適正の向上や、意匠性の向上に好適である。
さらに、体積ホログラム形成層のスクラッチ隠蔽層が形成されている面とは反対の面に、または、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との界面に、さらには、スクラッチ隠蔽層と面一となっているカード基材面上に、地紋印刷を施して、その「地紋」が存在することによる偽造防止性の向上のみならず、不正にスクラッチした際にその「地紋」も同時に削れてしまうことによって、偽造や変造を防止する効果を高めることができる。
また、その地紋印刷のデザインが、そのスクラッチ隠蔽層とカード基材表面の境界を跨るものであって、スクラッチ隠蔽層を剥がそうとすると、その境界を跨っている部分が破断されるように設定することも、その偽造防止性を高めることができ、好適である。
この地紋印刷は、主要なデザイン模様の背景となる淡色系のパターンや彩文の印刷のことであり、単色の印刷用インキを使用してもよいが、より偽造防止性を高めるため、多色の印刷用インキを使用することも好ましい。この多色の地紋印刷には、オフセット印刷や、グラビア印刷も使われるが、オルロフ印刷やシムルタン印刷などの特殊な印刷方式もその高い偽造防止性から好適である。
オルロフ印刷とは、凸版多色集合印刷のことであり、それぞれの色のインキに対応する部分版(パターンローラ)に転移したそれぞれの色のインキを中間のローラに集合し、その集合ローラから一つの凸版版面にそれらのインキを同時に着肉する。凸版版面から直接印刷する場合(オルロフ印刷)とゴム胴(ブランケット胴)にインキを転移してから印刷する方法(オフセット・ザンメル)とがある。版面は一つであるが、一つの画線の途中から色を何色かに変化させることが出来るものである。
また、シムルタン印刷とは、複数の版面(平版や樹脂版、もしくは金属版などの凸版版面)を一つのゴム胴(ブラン胴)の周りに配置して、各版面からのインキをゴム胴に集合してから印刷する。印刷位置精度は版胴への版面の取り付け精度でほとんど決まり、カード基材の伸縮などの影響が少ないため、高い見当合わせが安定して可能となるものである。
この地紋印刷のデザインとしては、装飾的効果をあげるための図形であって、規則正しく繰り返される「文様」や、紋章的な感じを含む図文である「紋様」、その他染織等に用いられる「型」として繰り返される意匠等を用いることができる。
特に、スクラッチによって、容易にそのデザインが破壊されることを目的として、それらの画線の幅を非常に細く、30〜100μm程度とした「細線」、もしくは、「細紋」とすることも好適である。
地紋印刷における「地紋」の形成厚さは、1.0〜10.0μmとする。
ここで、体積ホログラム形成層の表面は比較的平滑であるため、その上への地紋印刷には、種々の方法を比較的任意に選択し得るが、スクラッチ隠蔽層の表面は「粗い」面であるため、この凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷を行ってもよい。さらに、このような転写方式を用いて、スクラッチ隠蔽層の凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷が破壊されるようにすることも好適である。
特に、昇華転写方式は、スクラッチ隠蔽層を構成する樹脂層にのみ浸透し、独特の風合いを醸し出すとともに、同一のものを偽造することが困難であるため好ましい。
また、この地紋印刷のデザイン及び、形成位置を、体積ホログラム形成層の上下で同一とすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。
そして、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料の両方を含んでいるものとすると、スクラッチカードを不正な目的で曲げたり、湾曲させたりした際に、さらには、そのスクラッチ隠蔽層部分そのものを剥がそうとした際に、スクラッチ隠蔽層に対して、いわゆる「剥離痕」を残すことが可能となり、その偽造防止性を著しく高めることが可能となる。しかも、この「剥離痕」は、体積ホログラム形成層とスクラッチ隠蔽層との界面において発生することとなるため、体積ホログラム形成層を通して鮮明に判別でき、一旦、発生すると、もはや、その「剥離痕」を修復する手段はないため、その偽造防止性を著しく高めることとなる。
スクラッチ隠蔽層用のインキ組成物に含める顔料成分としては、上記したごとく、金属系微粉末やそれらの酸化微粉末等(もちろん、窒化物やその他の化合物微粉末でもよい。)の顔料成分を20〜80%含有するものを用いるが、この顔料成分として、平均粒子径1.0μm〜10μmの比較的粒子径の大きい顔料、または、顔料群(「群」とは、複数の顔料を混合することも含める意味。以下、「顔料、または、顔料群」を略して、「顔料(群)」ともいう。)と、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料、または、顔料群を準備し、これらの混合系を用いることで、粒子径の大きい顔料(群)の隙間に微粒子顔料(群)が入り込む構造とし、スクラッチ隠蔽層が極度の変形を受けた際に、微粒子顔料(群)が粒子径の大きい顔料間の滑り剤の役目を果たして、粒子径の大きい顔料の層内移動を容易かつ不可逆なものとする(塑性変形を生じることを意味する。)。さらに、この「滑り」効果を助長するためにシリコーンオイルやタルク等の滑り性付与剤を1%〜5%添加することも好適である。
スクラッチカードを不正な目的で、90度から180度の「折れ曲がり変形」させると、スクラッチ隠蔽層自体も同様の変形を受け、スクラッチ隠蔽層の一方の面は、カード基材と固着してズレ変形を生じ難い状態となっていることから、スクラッチ隠蔽層の他方の面にその変形圧力が集中し、上記の塑性変形を大きくして、そのスクラッチ隠蔽層の他方の面に不規則な凹凸や、不規則な裂け目を発生させ、この不規則な凹凸や、不規則な裂け目が、「剥離痕」として視認されることとなる。
このような「剥離痕」をより確実に発生させるためには、粒子径の大きい顔料(群)と、微粒子顔料(群)の比率を、10対1〜10対30、特には、10対5〜10対10とすることが好ましい。
「粒子径の大きい顔料(群)」10に対して、「微粒子顔料(群)」の比率が1未満であると、スクラッチ隠蔽層に「剥離痕」が発生し難くなり、「微粒子顔料(群)」の比率が30を超えても、やはり「剥離痕」が発生し難くなる。
さらには、スクラッチ隠蔽層用インキ組成物に用いる樹脂として、凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を用いることもこの「剥離痕」の発生を確実なものとするが、この場合には、スクラッチオフ(コインや爪によるスクラッチによりスクラッチ隠蔽層を部分的に除去することを意味する。)を容易とする効果も発現するため好適である。
また、そのインキ組成物に、粒子径の大きい顔料(群)と、微粒子顔料(群)の比率を、10対1〜10対5として配合することで、スクラッチ隠蔽層の塑性変形をし易くすることは、スクラッチ隠蔽層の最表面に上記したような平圧プレスやロールプレス処理を施すことにより「光学的な鏡面」とする際にも望ましいものとなる。
さらに、体積ホログラム形成層のスクラッチ隠蔽層が積層されている領域以外の領域において、体積ホログラム形成層とカード基材との接着強度に「所定パターン」状の変化(例えば、積層層の材料を代えて、「接着の強い部分」と「積層の弱い部分」を設け、その強度比を、2/1〜5/1とすることを意味する。)を持たせたり、または、スクラッチ隠蔽層の「秘密情報」形成部以外の領域において、スクラッチ隠蔽層を部分的に、例えば、文字状にスクラッチし難い層として、すなわち、「不正」や「開示」等の文字状にスクラッチ隠蔽層をカード基材上に固着させて、むやみに体積ホログラム形成層をスクラッチオフしようとしたり、スクラッチ隠蔽層を隅から隅までスクラッチオフしようとする行為に対する牽制とすることも好ましい。
この場合には、例えば、スクラッチ隠蔽層を、上層と下層の2層構成とし、スクラッチ隠蔽層の下層を設ける際に、予め、スクラッチカードのカード基材面に固着し、且つ、爪等によっては剥がすことができない強度(硬度)を有する樹脂層を用いて、「文字パターン」の印刷を行っておき、このパターン部分を除いて、通常のスクラッチ隠蔽層の下層を設け、それらを全て覆うように、スクラッチ隠蔽層の上層を設ける等の工夫が必要となる。
このようにして得られた、本発明のスクラッチカードを、その外観から観察した場合には、体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層に覆われた「秘密情報」を視認することはできなかったが、スクラッチカードの体積ホログラム形成層及びスクラッチ隠蔽層をコインで一部削り取り、且つ、その削りとった領域に所定の加熱処理を施すことにより、その加熱した領域から、「秘密情報」を視認することができた。
また、スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいる本発明のスクラッチカードのカード基材を湾曲させて、何とかスクラッチ隠蔽層の断面を露出させようとすると、スクラッチ隠蔽層の表面に「剥離痕」が発生し、不正を働こうとした痕跡を残さずスクラッチ隠蔽層を元の状態に戻すことはもとより、スクラッチカードに何らかの変造を加えようとすることは困難と思われた。
さらには、本発明のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層を、その下にある「秘密情報」形成部の位置を知らずに一部スクラッチオフしたところ、その領域には「秘密情報」が現れず、結局、やみくもに全てのスクラッチ隠蔽層を剥がすこととなり、正規購入者によるスクラッチオフでないことが一目瞭然となった。このことは、スクラッチカードの正規購入者でない者が、「秘密情報」を覗き見する等の不正を働くことに対する牽制効果を有すると思われた。
本発明によれば、スクラッチ隠蔽層を、カード基材の中に埋め込み、その埋め込んだ部分を含め、カード基材の一方の表面全体を覆うようにホログラム層が設けているため、これらの層を注意深く剥離するなどの変造を阻止し、その偽造を困難なものとした、スクラッチカードを提供することができる。
しかも、カード基材上に設けた秘密情報を覆うように「白濁層」を設け、スクラッチオフ後にさらに加熱処理を要する仕組みとして、秘密情報の秘匿性を向上させた、スクラッチカードを提供することができる。
特に、本発明によれば、ホログラム層とスクラッチ隠蔽層の界面、または、ホログラム層とその背面にある黒色層との界面を「光学的な鏡面」とし、また、このスクラッチ隠蔽層を「高屈折率層」とすることで、そのホログラム再生像の鮮明度を確保して、これを偽造することを困難とし、さらには、スクラッチ隠蔽層に平均粒径の異なる顔料を配して、不正な目的でカードを湾曲させたときに、その剥離痕を発生させ、もはや、その剥離痕を修復することは不可能となる構造として、その偽造防止性を著しく高めることを可能としたスクラッチカードを提供することができる。
従って、本発明は、偽造や変造を著しく困難とした新規なスクラッチカードを提供することを可能とし、第三次産業においてそのカード保持者が正当な権利を有する者であるとの証明や、「スクラッチくじ」などの用途のみならず、高額商品や高額サービスを提供するシステムにおいて、いわゆる「鍵」の役割を担う用途に有用である。
本発明の一実施例を示すスクラッチカードH1の断面図である。 本発明の他の実施例を示すスクラッチカードH2の断面図である。 本発明のさらに他の実施例を示すスクラッチカードH3の断面図である。 本発明のスクラッチカード9のカード基材1の所定の位置に、「秘密情報」2 を覆うように、白濁層3及び、スクラッチ隠蔽層4(図中では「長方形」。) を形成して、カード基材1に「面一」に埋め込んでおり、そのスクラッチ隠蔽 層4を覆うように、カード基材1の全面に、黒色層6及び体積ホログラム形成 層5を形成した図である。ここで、(a)は、スクラッチカード9を上から見 た図であり、(b)は、そのA−A断面図である。((a)図中、各層の積層 状態は表示していない。) スクラッチカード9のカード基材1の上に「秘密情報:12345678」2 を印字した図。(「秘密情報」を囲む枠は便宜上記載してあるのみ。) カード基材1の所定の位置に、「秘密情報」2を覆うように、白濁層3、接着 層7、スクラッチ隠蔽層4、体積ホログラム形成層5、及び、黒色層6を形成 し、接着層7、白濁層3及びスクラッチ隠蔽層4は、カード基材1に埋め込ん である(図中では「長方形」。)、本発明のスクラッチカード9の、そのスク ラッチ隠蔽層4と対応する位置に(最上層に)、さらに、地紋印刷8を設けた 図である。(図中、地紋印刷8のみを強調して図示している。)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(カード基材、及び、「秘密情報」形成部)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9に用いられるカード基材1としては、「秘密情報」2形成部及び白濁層3を設けることができ、且つ、少なくともスクラッチ隠蔽層4をそのカード基材1内に埋め込むことができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。且つ、その表面や裏面に、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図1〜図6参照。図4〜図6では、カード基材1の表面に「☆スクラッチカード☆」などの印刷を施しているが、この「印刷デザイン」を、体積ホログラム形成層5の上に設けてもよいし、また、この「印刷デザイン」を体積ホログラム形成層5に記録する「ホログラムデザイン」として、体積ホログラム形成層5に記録しておいてもよい。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもカード基材1として採用することができる。
その厚さも、「秘密情報」2表示部を支持することができ、且つ、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
但し、これらのカード基材1上に設けた「秘密情報」2をスクラッチ隠蔽層4で秘匿することとなるが、そのスクラッチ隠蔽層4を設けた側、もしくは、その反対側から、カード基材1に対して、1000ルクスを超える強度の大きい可視光線照射や、0.5W/平方センチメートル以上の赤外線照射、0.1W/平方センチメートル以上の紫外線照射、1ギール/分以上のX線照射等、さらには、100kV以上の電子線等の粒子線(以上を総称して「光線」と称する。)を照射して、その「透過『光線』」や「反射『光線』」、さらには、特性X線等から、その「秘密情報」や「スクラッチ隠蔽層4の位置や形状」を読み取ろうという試みに対抗するため、そのカード基材1の性質として、これらの「光線」を「遮蔽」したり、「反射」、もしくは、「散乱」させる性質を保有するものを採用することができる。
すなわち、可視光線照射に対しては、可視光線を遮蔽したり散乱させたりする隠蔽性の高い顔料や、鱗片状の金属材料、さらには、金属板そのもの等をカード基材1中に混入させたり、カード基材1に用いる基紙にコーティングしたり、ラミネートしたり、複合化したりする(以上を総合して、「混在させる」と称する。)。(図示せず。)
赤外線照射に対しては、さらに赤外線吸収剤等を、紫外線照射に対しては、さらに紫外線吸収剤等を、X線照射に対しては、金属板の中でも鉛材料等を、電子線等の粒子線照射に対しては、それらの粒子線を吸収する素材を混在させることで、その効果を増すことができる。
また、これらカード基材1の代表例として、いわゆる「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状や、「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状、特に、JIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)やISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
その中でも、その「埋め込み適正」(接着層7やスクラッチ隠蔽層4の積層体をそのカード基材1内に安定して埋め込むことができると共に、そのスクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面とを再現性良く「面一」とすることができる性質をいう。)及び「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、「保護層/磁気層/接着層」からなる磁気ストライプをカード基材に埋め込んだり、カード基材を積層体とする等の製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、それらをハンドリングしたり、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器(入退室用ゲート端末、駅務ゲート端末、クレジットカード端末その他のカード利用機器を意味する。)や、関連グッズ(カードを携帯するためのカード入れや、カード用装飾品等を意味する。)等も既に普及しているため、これらのものに対する適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
そして、少なくともスクラッチ隠蔽層4をそのカード基材1内に、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paの条件下で、「面一」に埋め込むことが可能なものが用いられる。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなるカード基材1の厚さは、通常、3.0μm〜1.0mmであるが、スクラッチカードH1〜H3としての加工適正や取り扱い適正から50〜300μmとすることが望ましい。
この厚さが、3.0μm未満であると、このカード基材1上にスクラッチ隠蔽層4を設けたり、もしくは、体積ホログラム形成層5を設けたりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図1〜図6参照。)
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの軟質塩化ビニルシートや硬質塩化ビニルシート、もしくは、その組み合わせ(積層体という意味。)が好適である。
カード基材1として、100μmの軟質塩化ビニルシートを用いて、厚さ25μmのスクラッチ隠蔽層4(幅10mmの帯状。カード基材1の厚さの約1/4の厚さを有する。)を、150℃の加温、及び106Paの加圧にて、3mm厚さの表面鏡面仕上げのステンレス板で挟み込み、「常温→加温→150℃→冷却→常温」の加熱&冷却サイクル(1サイクル30分〜90分。)を通した場合には、スクラッチ隠蔽層4が全て、カード基材1内に埋め込まれ、スクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面が面一となった。
同様の条件下においては、カード基材1の厚さ100μmに対して、5μm〜50μmまでのスクラッチ隠蔽層4を「面一」とすることができるが、50μmを超える厚さのスクラッチ隠蔽層4に対しては、その境界における段差が、1.0μmを超えるものとなり、「面一」とするためには、より高温、且つ、高圧の条件とする必要が生じる。
しかしながら、上記の条件をより過酷な条件に設定することは、カード基材1の大きな変形や、変質を招き、スクラッチカード9としての用途には不向きであり、カード基材1の厚さに対する「埋め込み深さ」は、「カード基材1の厚さの1/20〜1/2」とする。
また、「面一」の状態とは、上記したように、その境界における段差が、1.0μm以下となった状態を意味するが、「埋め込む小片(埋め込む対象層、もしくは、対象物を意味し、ストライプ状のもの等を含む。)」のサイズによって、その「小片」全体が均一に埋め込まれる場合(その「小片」を含むカード基材1の厚さが、「小片」のある個所や、その他の箇所で同一となっている状態。)や、「小片」の埋め込み量に偏りがある場合(「小片」の端部(境界に近い部分)に対して「小片」の中央部の埋め込み量が少なくなっている状態。)、さらには、カード基材1の材料が「小片」の断面を覆い隠すように流動した場合等を含むものとし、結果として、その「小片」が面一に埋め込まれた状態となることを指す。
この「面一」となった、カード基材1及びスクラッチ隠蔽層4の最表面の上に、黒色層6を「カード基材1の全面」、もしくは、「少なくともスクラッチ隠蔽層4上を含むカード基材1の一部領域(複数領域であってもよい。)」に形成し、その黒色層6を覆うように体積ホログラム形成層5を設けるか、または、カード基材1及びスクラッチ隠蔽層4の最表面の上に、予め体積ホログラムを記録してある体積ホログラム形成層5を、その「カード基材1の全面」、もしくは、「少なくともスクラッチ隠蔽層4上を含むカード基材1の一部領域」にラミネートする。このときに、「体積ホログラム形成層5」に代えて、「所定の位置に黒色層6を設けてある体積ホログラム形成層5」を用いてもよいことは当然である。
さらには、この「面一」の状態から、敢えて、「凹んだ状態」とすることもその偽造防止性を高めることや、スクラッチカード9の利便性向上に効果があり、そのためには、「耐熱性を有する剥離性フィルム(10μm)/スクラッチ隠蔽層4(15μm)」の2層積層体を、同一条件下でカード基材1に埋め込み、その剥離性フィルムを剥離することで、スクラッチ隠蔽層4の最表面が、カード基材1の表面より、10μm凹んだ状態とすることができる。
すなわち、この積層体における「剥離性フィルム」の厚さだけ、カード基材1の表面より凹ませることができることとなる。
この「凹み」は、カード基材1の厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。
また、このような「剥離性フィルム」は、スクラッチ隠蔽層4の保護層の代用となるため、製造工程中、体積ホログラム形成層5をその上に設けるまでは残しておくことで、スクラッチ隠蔽層4の最表面の汚れや傷の発生を防止できる。
しかも、その剥離性フィルムの裏面に、「所定の加熱」処理の条件等を記載しておくと、正規購入者がスクラッチオフをする直前にその内容を確認でき、好適である。
そして、上記したように、カード基材1上の全面を覆うように体積ホログラム形成層5を積層した際には、この凹みが、その体積ホログラム形成層5の凹みとなり、このような凹みをスクラッチカード9を外観した際にも観察可能となり、正規購入者がスクラッチをする際のスクラッチ箇所を示唆する手段として利用できるものとなる。
さらには、このような凹みをカード基材1面上の他の箇所にも設けて、「秘密情報」2形成部の「真」の位置をカモフラージュすることも好適である。(凹んだ状態や、「剥離性フィルム」を付加した状態は、図示せず。)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9が秘匿する「秘密情報」2としては、文字、図形、記号、模様、マーク、形状、立体、もしくは、これらの結合、または、これらと色彩との結合その他、さらには、識別コード、識別番号、識別文字等のあらゆる識別情報、その他何らかの手段によって識別することが可能なものであれば、特に制限はなく、採用することができる。(図1〜図6参照。)
この識別手段としては、目視識別、携帯カメラ認識やバーコード認識等の光学的識別、機械識別、その他の物理的識別手段等をいう。
識別可能であれば、全てが同一のものであっても、全てが個別のものであってもよく、また、個人や企業、さらには、特定の業界特有のものであってもよい。
また、「意匠」のごとく、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるもの、または、これと類似のものであってもよく、「商標」のごとく、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、または業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの、または、これと類似のものであってもよい。その他、「称号」や、「商号」、さらには、種々の場面において照合の対象となるものでもよい。
そして、「文字」には、楷書体、隷書体等のあらゆる書体の文字が含まれ、「記号」には、特殊文字記号、顔文字記号、電気文字記号、地図記号等も含まれ、HTML記号等の限られた業種の限られた場面においてのみ用いられる記号もその特殊性から好ましい。
また、英文字、ギリシャ文字その他各国で使用されている文字や、シンボル、数学記号等も、不正者が瞬間的に覗き見した程度では暗記できないものとなり、好ましい。
さらには、これらの情報の中に、目視等の単なる情報読取手段では判別できない隠し情報や、暗号情報を含ませて、スクラッチカードH1〜H3、及び9の運用を管理する者のみが所定の情報処理手段によって、それらの隠し情報や、暗号情報を判読することができるものとすることも好適である。
このような特殊性を有するものは、正規購入者によってもその登録や照合等の場面で、誤記や誤入力の原因となるため、携帯カメラ認識等の自動認識手段を併用することが好ましい。
以下、これらのものを総称して、「番号等」という。
さらに「秘密情報」2には、暗証番号等、個人認証番号等、口座番号等、その他の個人特有の番号等や、何らかの個別番号等、抽選番号等、管理番号等、もしくは、単なる連続番号等であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号等、さらには、全くの乱数であってスクラッチカードH1〜H3、及び9のカード基材1を作製するときに発生させ作製者含め誰もその番号等の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者(正規な購入者等を意味する。もちろん、スクラッチカードH1〜H3、及び9のシステム設計者や、スクラッチカードH1〜H3、及び9の発行者等が含まれる場合もある。)のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号等を含めることができる。
また、そのスクラッチカードH1〜H3、及び9の用途により、上記した番号等のみならず、文字、図形、マークその他、個人及びそのスクラッチカードH1〜H3、及び9の供給者が共通に認識できるもの(この対象は、いわゆる「情報」全てとなる。)であれば何れも用いることができる。
そして、その認識方法も、少なくとも目視確認により認識できる情報を有しながら、目視以外の認識方法、例えば、光学読取方法、磁気的読取方法、その他、あらゆる物理的もしくは化学的読取方法を採用することができ、且つ、秘密情報と重ねて視認できる体積ホログラム再生像の中にも、マシンリーダブルホログラム等の、ホログラム再生原理を利用した光学読取方法を含めることもその偽造防止性を高めるために好適である。(認識方法や手段は図示せず。)
これらの「秘密情報」2をスクラッチカードH1〜H3、及び9のカード基材1上に設ける方法としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、光学的もしくは物理的直接描画方式、電子写真方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。(図1〜図6参照。)
もちろん、電子端末のディスプレー上に「秘密情報」2を表示するものであってもよい。
また、カード基材1そのものを発色材料や消色材料で構成し、その発色原理や消色原理を用いて、可変情報や固定情報を記録する方法を用いてもよい。
すなわち、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色材料からなるカード基材1や、そのカード基材1を構成する基紙となる紙材料やフィルム材料上に、電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱発色層を設けたもの、さらには、それらの基紙上に、カプセル内包の発色剤と顕色剤とからなる感圧発色層を設けたものを、カード基材1として用いることができる。
また、発色と消色を繰り返して操作できる、感温材料等を用いたサーマルリライタブル層や、フルギド系やスピロピラン系などのフォトクロミック材料等を用いる光リライタブル層を同様の目的で、さらには、別の位置に単なる情報表示の目的で設けることも、その意外性や偽造防止性が高まり、好ましい。
特に、これらの「リライタブル層」を設けて、「秘密情報」2を表示させると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認するときのみ「秘密情報」2が現れ、それ以外のときには「非表示」とすることで、不要な第三者による「秘密情報」2の視認を阻止することができる。(カード基材1の種々の構成は図示せず。)
感熱発色材料としては、発色剤、顕色剤、及び、増感剤からなる系を用いることができ、発色剤としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、クリスタルバイオレットラクトン等のフタリド化合物等、顕色剤としては、4−4´ビフェノール、1−ナフトール等の酸など、さらに、増感剤としては、4−ベンジルビフェニル、フルオレン等を用いる。
感熱記録とは,基紙上の層に分散させた発色剤及び顕色剤を熱により溶融させ、接触させることにより発色させる仕組みである。その高感度化のために、低融点の増感剤を添加するが、様々な酸発生方法とこの発色機構を組み合わせることにより、繰り返しの書き込みや消去が可能なリライタブル感熱記録を実現できるものである。例えば、低い熱エネルギーにて発色する赤色感熱記録層と,高い熱エネルギーにて発色する黒色感熱記録層を積層させることにより,その印加エネルギーを使い分けることで赤/黒の2色での記録を可能にする2色発色感熱記録材料を用いてもよい。
これらのロイコ系感熱発色材料や、フォトクロミック系光発色材料は、その発色機構である「紫外領域または赤外領域→可視領域への変化」を、「可視領域→紫外領域または赤外領域への変化」とすべく材料選定をすることにより、消色記録材料として用いることができる。
このような消色機構を用いると、正規購入者が、その「秘密情報」2を確認した後、正規購入者の判断により、速やかに、もしくは、適宜なタイミングで、「秘密情報」2を消色(消去)することを可能とし、その偽造防止性を高めることを可能とする。
このようにしてカード基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、スクラッチ隠蔽層4をカード基材1上に設ける。(図1〜図4参照。)
但し、これらの発色、または、消色機構を用いる場合には、上記したカード基材1への埋め込み条件下ではそれらの変化を示さない材料を使用するか、または、その条件下で変化したとしても、常温に戻すことで元に戻る可逆変化性を有する材料を使用する。
(白濁層)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9のカード基材1上に「秘密情報」2形成部を設け、その「秘密情報」2形成部を覆うように、白濁層3を、そのカード基材1上に設ける。
白濁層3は、カード基材1や、その上に設けてある「秘密情報」2形成部を溶解したり、変質させたりしない溶剤等(水系が最も望ましい。)を用いて、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式や、スピンコーティング方式、カーテンコート方式、フォトレジスト処理方式等の形成手段、特に、その簡易性や、高い位置精度の実現性から、ステンレススクリーン印刷方式を用いて、乾燥後の厚さとして、3.0μm〜30μmの厚さで形成する。特には、5.0μm〜20μmとする。
白濁層3は、常温では、「不透明な層」であって、「所定の加熱」により、「透明な層」へと変化するものであって、この変化が「『不可逆的』に生じるもの」、すなわち、一旦、「所定の加熱」を施すと、「不透明な層」から、「透明な層」へと変化し、「不透明な層」のままとなるもの、または、この変化が「『可逆的』に生じるもの」、すなわち、一旦、「所定の加熱」を施すと、「不透明な層」から、「透明な層」へと変化し、さらに、その材料に特有の処理(より高温の加熱処理等。)を施すことで、「不透明な層」から、元の「不透明な層」へと戻るもの、のいずれをも選択できる。
白濁層3用インキ組成物としては、溶剤系及び水系のいずれも用いることができ、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂など、及び、それらの共重合体、が挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。
白濁層3に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、炭化水素類(n−ヘキサン、シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)等を用いることができる。
白濁層3の形成厚さは、3.0μm〜30μm、特には、5.0μm〜20μmとする。
白濁層3の形成方法としては、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いて、カード基材1上、及び、カード基材1上に設けた秘密情報」2形成部を応用に、設けることができる。(図1〜図3参照。)
白濁層3のカード基材1及び「秘密情報」2形成部に対する接着力は、その界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
この様な強い接着力により、本発明のスクラッチカードH1〜H3、または9の最初のスクラッチオフ(体積ホログラム形成層5及びスクラッチ隠蔽層4を削る作業。)の際に、白濁層3が、しっかり、カード基材1上、及び「秘密情報」2形成部上に残って、その「秘密情報」2形成部の「秘密情報」2を隠蔽する。
白濁層3には、体積ホログラム形成層5、もしくは、スクラッチ隠蔽層4に用いられる樹脂を適宜選択して用いることもできるが、その層の内部凝集力を高めるために、微粒子透明顔料や超微粒子顔料を添加することも好適である。
その微粒子透明顔料や超微粒子顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。特に、顔料そのものの屈折率が2.0〜3.0であるものは、その光散乱性が高く好ましい。この屈折率が3.0を超えるものは、金属光沢が発現し始めるため、その透明性に欠けるものとなるため好ましくない。
具体例としては、超微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55N:屈折率n=2.4)を適宜な樹脂に分散した場合に、白濁層3としての屈折率は、1.9〜2.0であり、また、超微粒子酸化ジルコニウム(動的光散乱法における平均粒径0.0001μm〜0.05μm)を適宜な樹脂に分散した場合に、白濁層3としての屈折率は、1.7〜1.9である。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常、1%〜20%添加が好適であり、適宜な溶剤または水に溶かして選定した樹脂に分散して用いる。

以下に、白濁層3に「光散乱性」等の「不透明」性を有する「不透明な層」とする手段を述べるが、選定する樹脂中に、白濁層3としての基本機能である「接着強度」、「耐熱性」及び、「スクラッチオフに耐える特性」等を持つものを選定した上で、以下の手段を講じるものとすることは言うまでもない。(層構成は、図1〜図3参照。この手順等及び、得られる「光散乱性」等の「不透明」性が付与された状態は図示せず。)
「光散乱性」を有し、加熱により「透明化」する白濁層3用インキ組成物として、上記した樹脂を用い、その樹脂に対して、セルソルブ系溶剤、第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の、比較的沸点が高く(沸点が、100℃以上、好ましくは、150℃以上。)、且つ、極性の大きいもの(アルコール類の極性より大きいもの。)を、0.1%〜5.0%添加し、且つ、白濁層3形成時の乾燥条件を冷風乾燥等の低温にて行うことにより、上記の厚さの白濁層3に対して、「白化処理(ブラッシング現象により白化もしくは、白濁化している状態とすること。)」を施すことができる。
この「不透明」性(「光散乱性」)を付与した白濁層3を形成したカード基材1を、その白濁層3側から観察しても、その白濁層3の背後にある「秘密情報」2形成部を視認することはできず、「秘密情報」2形成部の存在を秘匿できるものとなる。
そして、この「不透明」性(「光散乱性」)を付与した白濁層3を形成したカード基材1のその白濁層3の露出面に対して、100℃〜150℃に加熱した金属熱板を、1.0kg〜100kg/平方センチメートルで加圧して、3秒〜10秒の間、その白濁層3の露出面に接触させて加熱することにより、その白濁層3を「透明化」し、その背後にある「秘密情報」2を視認することができる。
このことは、本発明のスクラッチカードH1〜H3、または9の体積ホログラム形成層5及びスクラッチ隠蔽層4をスクラッチオフして、白濁層3を露出させた後、同様の操作を行うことで、白濁層3で隠蔽されている「秘密情報」2を確認することができることを意味する。
この「白化処理」では、その白濁層3用インキ組成物に、マイクロシリカ等の平均粒径0.01μm未満の微粒子紛体を3%〜30%程度混入させると、その「白化度」が助長される。
また、白濁層3内に屈折率の異なる微細な領域が、多数、分散して存在し、「所定の加熱」により、「透明化」する白濁層3用インキ組成物として、上記した樹脂の中から、その融点、もしくは、軟化点、さらには、ガラス転移点が、40℃〜100℃の材料であって、互いの屈折率が0.1以上、特には、0.3以上異なるものを、固層状態から粉砕して平均粒径0.1〜10μmの微粒子とし、これらの樹脂に対する溶解度の低い溶剤や、相溶性の低い樹脂に分散したものを用い、同様の印刷方式等を用いて、上記の厚さで形成できる。
このようにして設けた白濁層3も、上記と同様の効果を持つ。
そして、白濁層3内に微細な空隙が、多数、分散して存在し、「所定の加熱」により、「透明化」する白濁層3用インキ組成物として、上記した樹脂、その溶剤、及び、その樹脂を溶解し難い低沸点溶剤(沸点40〜80℃)と高沸点溶剤(沸点が100℃〜200℃。)との混合系(混合比1/10〜10/1)を用いて、インキ組成物の粘度を、1〜100パスカル秒とし、高粘度インキ対応のインキ攪拌機や、インキ混練機を用いて、そのインキ組成物を十分攪拌、もしくは混練し、それらの溶剤を微粒子状態でインキ中に分散させたものを用い、そのインキ組成物をステンレススクリーン印刷方式、カーテンコート方式やグラビア印刷方式を用いて、上記の厚さで塗布した後、真空乾燥を施して、高沸点溶剤を蒸発させて、微細な空隙が、多数、分散して存在し、「光散乱性」を持つ白濁層3を得ることができる。
このようにして設けた白濁層3も、上記と同様の効果を持つ。
白濁層3の露出面を「粗面」とする手段は、材料面からは、上記したブラッシング現象を利用したり、互いに相溶性の無い樹脂の組み合わせを用いる等により得ることができるが、単純に、白濁層3を形成後に、その表面が「粗面」となった金属板等(平均表面粗さRaとして、5.0〜30μmを有し、ランダムな形状を持つ。金属板を適宜な酸で腐食させたり、サンドブラッシング処理することで得られる。)を、その白濁層3の露出面に、その「粗面」となっている面を押し当て、50〜100℃の加熱、及び、1.0〜10.0kg/平方センチメートルの加圧処理を施して、その金属板等と同様の「粗面」を白濁層3上に設けることができる。
さらには、このようにして、露出面を「粗面」化した白濁層3を別途、適宜な剥離性フィルム上に設けておき、この「粗面」化面を、カード基材1上(「秘密情報」2形成部を覆うように。)に接するように重ねて、適宜な加熱及び加圧により、カード基材1上にしっかりと固着して、カード基材1の表面と、白濁層3との間に、微細な空隙を多数発生させ、これによって、「秘密情報」2を視認できないものとすることもできる。
そして、この白濁層3の露出面側から、80℃〜150℃の加熱、及び、1.0〜100kg/平方センチメートルの加圧処理を施すことで、ここで発生した微細な空隙を埋める(空隙をつぶすことを意味する。)ことにより、「秘密情報」2を視認できるレベルまで「透明化」することができる。もちろん、同様の加熱、加圧処理によって、「粗面」が露出している白濁層3のその露出面を平坦化して、「透明化」できることは当然である。
また、本発明の白濁層3には、その白濁層3を「黒色を含む、濃い色調」を帯びて、その「色調」が「秘密情報」2の認識を阻害し、「所定の加熱」によって、「秘密情報」2を認識できるようにできるものも除外するものではない。
そのためには、白濁層3に、「加熱分解性の色素」、「加熱相転移性の色素」や、「加熱異性化性の色素」、さらには、「サーモクロミック材料」や、「フォトクロミック材料」をその樹脂成分の10%〜30%添加して、それぞれの色素や材料に適合する加熱手段、及び加熱方法により、白濁層3の色調を変化させたり、もしくは、消色させることができる。
さらに、白濁層3内に屈折率の異なる微細な領域が存在し、「所定の加熱」により「透明化」する白濁層3用インキ組成物として、白濁層3内に、上記した樹脂の中から、その融点、もしくは、軟化点、さらには、ガラス転移点が、40℃〜100℃の材料であって、互いの屈折率が0.1以上、特には、0.3以上異なるものを、サイズ10〜30μmの市松模様状(平面パターン)に形成し、もしくは、3次元格子状に形成し、その回折現象により、この白濁層3を透過する「『秘密情報』2の情報を担持した光」を歪ませて視認できないものとすることができ、この白濁層3に、上記したと同様に、100℃〜150℃に加熱した金属熱板等を、1.0kg〜10kg/平方センチメートルで加圧して、3秒〜10秒の間、そのスクラッチ隠蔽層4に接触させて加熱することにより、それらの成分を溶解し、流動化させて層内に均一に分散(分布)させることで、その白濁層3を「透明化」し(「歪み」の程度を改善させることを意味する。)、「秘密情報」2を視認することを可能とすることができる。
白濁層3を加熱により透明化するために、「所定の加熱」を行う、加熱手段としては、正規購入者が、その「所定の加熱」を行う場合を想定すると、一般家庭に広く普及している加熱手段とする必要がある。
その加熱手段として、金属製や、樹脂製の熱板や熱ロールの接触による加熱、赤外線照射器による赤外線照射加熱、高周波加熱装置による高周波加熱、レーザー光線照射や、紫外線照射加熱等、その加熱時間として、0.1秒〜10分等、その結果、「白濁層」が昇温される温度として、40℃〜200℃、特に、好適には、50℃〜100℃、且つ、その温度が保持される時間としては、0.1秒〜60秒等とする
一般家庭においての「所定の加熱」には、家庭用ドライヤー、家庭用アイロン、ガス機器等で沸かした熱湯、湯沸かし器等による熱湯、熱こて、ヘアードレッサー、虫眼鏡(太陽光等の集光)、家庭用炬燵、電子レンジ、家庭用オーブン等、さらには、コイン等で擦ることによる摩擦熱を利用することとなるため、その目安となる条件を提示しておく必要がある。これらの手段を用いると、過剰な加熱を施して、スクラッチ隠蔽層や体積ホログラム形成層の劣化を招く可能性が高いため、これらのトラブルを防ぐ目的で、体積ホログラム形成層上に、耐熱性を有する保護層を設けたり、透明性及び耐熱性を有し、且つ、容易に剥離可能な、適宜な剥離性フィルムを貼付して、本発明のスクラッチカードを製品化することも好適である。例えば、この適宜な剥離性フィルムに、適宜な剥離性を付与した、厚さ12μm〜100μmのポリエチレンテレフタレート(融点250℃)を用いる
さらに、体積ホログラム形成層5及びスクラッチ隠蔽層4を、爪等でスクラッチオフした際に、このスクラッチ隠蔽層4と白濁層3との界面において、その爪等が滑り易く、白濁層3を確実に残すことができるように、この白濁層3用インキ組成物に、シリコーンオイルや、シリコン樹脂、フッ素樹脂、シリコンパウダーやフッ素系パウダー等の離形性を有するオイル(油性成分)、樹脂、紛体などの成分を、3%〜10%程度混入させることも好適である。
特に、シリコンパウダーやフッ素系パウダーの紛体の平均粒径を、白濁層3の厚さとほぼ同一とすると、それらの紛体が白濁層3内にとどまらず、白濁層3からその一部が飛び出す状態となって、これらの紛体が、スクラッチオフ時の爪等の白濁層3への侵入(この侵入により、白濁層3が削れることとなる。)を阻害して、白濁層3そのものがスクラッチオフされることを阻止するように機能するため、さらに好適である。
(スクラッチ隠蔽層)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9のカード基材1上に「秘密情報」2形成部及び白濁層3を設け、その「秘密情報」2形成部及び白濁層3を覆うように、スクラッチ隠蔽層4を、そのカード基材1上に設け、そのスクラッチ隠蔽層4をカード基材1に埋め込んで、その最表面をカード基材1の表面と「面一」とする。この際、スクラッチ隠蔽層4は、白濁層3と同一の形状で、同一の位置に設けてもよいし、白濁層3より大きいサイズで、白濁層3を全て覆うように設けてもよい。これらの形成形態は、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9の目的による。(図1〜図4参照。図1〜図4では、「スクラッチ隠蔽層4を、白濁層3と同一の形状で、同一の位置に設けた例」を示している。)
この際、スクラッチ隠蔽層4の最表面を、カード基材1の最表面より、所定の深さだけ凹ませることも好適である。(図示せず。)
本発明のスクラッチカードH1〜H3のスクラッチ隠蔽層4に用いるインキ組成物としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂を用いることができる。
特には、上記したカード基材1への埋め込み条件下において、変形し難い、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独あるいは共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のビニル共重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミドや、ポリイミド等を挙げることができる。また、スクラッチオフ性を満足する範囲でこれらの樹脂に硬化剤等を混合して、擦れ等によるスクラッチ隠蔽層4の表面の不要な剥離や、剥がれを防止してもよい。(図1〜図4参照。)
また、熱硬化性樹脂としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂等をあげることができ、シリコン樹脂として、シリコンゴム(シロキサン結合が5000〜10000の直鎖構造分子。)や、ケイ素樹脂、ゴム系天然樹脂として、天然ゴム、塩酸ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等を用いることができる。
さらには、スクラッチオフするという行為における環境影響を考慮して、スクラッチ隠蔽層4に用いるインキ組成物として、生分解性プラスチックを用いることも好適である。
生分解プラスチックとしては、化学合成系として、εーカプロラクトン等のラクトン系樹脂、ポリブチレンサクシネート−アジペート等のポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリ乳酸等、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂等、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物等、または、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものなどが、また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など、または、ポリヒドロキシブチレート等の微生物生産系物質などが好適である。
スクラッチ隠蔽層4に用いるインキ組成物としては、これらの樹脂成分を含む固形分全体に対して、隠蔽性とスクラッチ性を付与するために、金属系微粉末(アルミニウム粉末、黄銅微粉末、銅微粉末等)やそれらの酸化微粉末、窒化微粉末、その他の化合物微粉末等の顔料成分を20〜80%含有するものを用いる。
また、スクラッチ隠蔽層4の隠蔽性をさらに向上させるために、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の隠蔽性の強い顔料成分を1〜10%含有させてもよい。スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を以上の組成物から構成することにより、印刷適性とスクラッチ性との双方を満足することができるようになる。
スクラッチ隠蔽層4は、この組成物を適宜な溶剤で希釈したものを、カード基材1上に、「秘密情報」2形成部を覆うように、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、凹版印刷方式、インクジェット印刷方式等の印刷方式を用い、乾燥後の厚さとして、5μm〜50μm、さらには10μm〜30μmの厚さで形成する。(図1〜図4参照。)
さらに、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物として、金属ペースト、樹脂材料及び助剤を、水と低級アルコールに分散せしめて水性エマルジョンインキとしたものも使用でき、特に、体積ホログラム形成層5の上にスクラッチ隠蔽層4を設ける際に、その体積ホログラム形成層5の表面に不要な変形や変質を与えないため好適である。
その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーや、アルミニウムパウダーを用いる。また、アルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤( ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストとしてもよい。
これに、一般の印刷インキに使用する黄、マゼンタ、シアンまたは墨用の着色顔料、チタン白等体質顔料を、適宜、含めて着色タイプとしてもよい。
その樹脂材料としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂や、ポリアクリル酸系樹脂等を用いることができ、このこれら樹脂材料のエマルジョンをインキ組成物の25 〜50%としてアルミニウムペーストや、着色顔料などに、10〜35%の水と5%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとするものである。これに消泡剤や界面活性剤、もしくは防腐剤等の助剤を0.1〜3%添加することもできる。
この水性エマルジョンインキ組成物を用いたスクラッチ隠蔽層4の形成は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが全面印刷あるいは部分印刷に好適な方法として適用され得る。
また、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物として、層内にて凝集破壊し易い脆弱性の樹脂を溶剤に溶かしたものに、隠蔽性の顔料としてアルミニウム粉末(銀色)、真鍮粉末(金色)、銅粉末(赤色)など金属粉末、あるいはタルク、カオリンなどの白色の体質顔料を混合したもの、あるいは、これに適宜色の着色顔料や染料を混合して着色したものを使用できる。
その凝集破壊し易い樹脂としては、異種の樹脂を適宜な配合比率でブレンドしたブレンド樹脂が使用でき、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体などの樹脂のうちのいずれか2種以上を適宜比率にて配合したブレンド樹脂が使用できる。
この樹脂を溶解する溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体など、又はこれらの混合溶剤が使用できる。
スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物に用いられる顔料としては、さらに、有機顔料として、キナクリドン系レッド・マゼンタ、アンスラキノン系レッド・イエロー、ポリアゾ系イエロー、ベンズイミダゾロン系イエロー・オレンジ、フタロシアニン系顔料として、銅フタロシアニンブルー(α型、β型)、銅フタロシアニングリーン、異種金属フタロシアニンブルー、スレン系ブルー、アゾ系顔料として、溶性アゾ顔料(カーミン6B、パーマネントレッド2B他)、不溶性アゾ顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系他)、不溶性多環式顔料(赤:キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、橙:ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、黄:キノフタロン、イソインドリノン、緑:フタロシアニン、青:フタロシアニン、インダンスレン、紫:ジオキサジン他)、不溶性レーキ顔料(赤:レーキレッドC、ウォチュングレッド他)等がある。
無機顔料としては、複合酸化物系顔料、微粒子複合酸化物系顔料、紺青、ハイブリッド型顔料等があるが、さらに、弁柄、モリブデンレッド、カドミウムレッド、鉛丹(以上、赤色。)、黄鉛(赤口)、モリブデンオレンジ(橙色)、カドミウムオレンジ(橙色)、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、コバルトブルー、セルリアン、マンガン青(以上、青色。)、アンバー(茶色。)、黄鉛、カドミウムイエロー、チタン黄、黄色酸化鉄(以上、黄色。)、酸化クロム、コバルトグリーン、ビリジアン、ピーコック(以上、緑色。)、マルス紫、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット(以上、紫色。)その他、体質顔料や、金属粉顔料等が用いられる。
これらの顔料の粒径を、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料(群)、もしくは、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料(群)として仕上げる。特に、微粒子顔料(群)は、二次凝集しやすく、再分散処理等を施す必要がある。
もちろん、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物として、カード基材1、及び、カード基材1上に設けた「秘密情報」2形成部との接着性を考慮して材料選定を行う。
さらに、スクラッチ隠蔽層4の「秘密情報」2形成部から「はみ出す部分」は、特にスクラッチオフ適正を持つ必要がないため、カード基材1に強固に接着させて、スクラッチ隠蔽層4のスクラッチオフの際に、カード基材1上に残る部分として設計してよい。
そして、その固着して残る部分を、「所定のパターン状」、すなわち、「不正」、「覗き見」、「削り済み」や「開示」等の「既に削られたことを示す文字や情報を表すパターン状」としてその偽造防止性を高めることができる。
この目的でのスクラッチ隠蔽層4の形成は、上記と同様の印刷方式等を用いることができる。
但し、上記した「所定のパターン状」での固着部分を設けるため、スクラッチ隠蔽層4の形成を2段階に分け、その第一段階として、その「所定のパターン状」にあらかじめ、2液硬化型の樹脂材料における硬化剤等を所定の割合の2倍〜5倍程度添加したスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物で、一旦、目的の厚さより薄く設けておき(例えば、目的の厚さの1/5〜3/5等。)、第二段階において、その「所定のパターン状」部分を覆うように(他の部分を埋めるように。)、残りの厚さだけ、スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を上乗せする方法を用いてもよい。
そして、少なくともスクラッチ隠蔽層4をそのカード基材1内に、少なくとも「面一」に埋め込む条件は、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paとする。
また、スクラッチ隠蔽層4を、「高い屈折率を持つ樹脂層」、すなわち、「高屈折率層」とすることで、スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層5との界面における反射率を高め、この界面による反射率を高めて、さらには、この界面が「光学的な鏡面」となり、この界面での正反射光を高めて、不要な散乱光の発生を抑制し、体積ホログラム再生像をより鮮明にすることができる。
このスクラッチ隠蔽層4用のインキ組成物には、上記した樹脂や顔料を用いて、その「スクラッチオフ適正」を維持しつつ、その樹脂成分として、比較的高い屈折率を有する樹脂を代用し、且つ、複素屈折率を含め、その屈折率が、2.5以上、さらには、3.0以上と非常に高い顔料を、30〜70%程度、追加して混入させることで、透明性がやや低下するものの、「高い屈折率を持つ樹脂層」、すなわち、「高屈折率層」を構成することができる。
そのような高い屈折率を有する樹脂には、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
用いる樹脂の屈折率は、熱可塑性樹脂では、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等である。
電離放射線硬化性樹脂では、エポキシアクリレート(n=1.55)、ウレタンアクリレート(n=1.54)、アクリル変性ポリエステル(n=1.64)等である。
さらに、環境に配慮して、上記したと同様の生分解性プラスチックを用いることもできる。
そして、屈折率nが1.7〜2.3という高い屈折率を示す樹脂材料としては、比較的屈折率の高い樹脂の高分子構造の中に、原子屈折率の高い「硫黄原子」や、塩素原子やフッ素原子等の「ハロゲン成分」、さらには、高屈折率構造を持つ「芳香環基」を分子レベルで導入する方法、さらには、高分子材料の分子構造の中に、所定の金属塩を取り込ませる方法等によって、屈折率n=1.9を超える材料を見出したもの等がある。
また、高い屈折率を持つ顔料としては、複素屈折率も含めて、例えば、二酸化チタン(ルチル)(n=2.62〜2.90)、ヘマタイト(n=2.94)、亜鉛(複素屈折率n=2.4−5.5i)、チタン酸鉛(n=2.7)、テルル化亜鉛(n=2.92)、酸化クロム(n=2.5)、硫化カドミウム(カドミウムレッド:n=2.6)、タングステン(複素屈折率n=2.76−1.0i)、鉄(n=2.36)、酸化第二鉄(n=3.0)、三酸化第二鉄(n=3.1)、酸化銅(2.71)、アンチモン(複素屈折率n=3.2−5.0i)、ニッケル(複素屈折率n=1.8−3.6i)、白金(複素屈折率n=2.9−4.5i)等を用いることができる。
(体積ホログラム形成層)
本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9のカード基材1の一方の表面に「秘密情報」2形成部及び白濁層3を設け、その「秘密情報」2形成部及び白濁層3を覆って、埋め込まれたスクラッチ隠蔽層4を覆うように、カード基材1の全面に、すなわち、カード基材1のその一方の表面全体に、もしくは、その一部に、体積ホログラム形成層5を設ける。(図1〜図4参照。図では、カード基材1の全面に設けた場合のみを表示している。)
この際、体積ホログラム形成層5を、カード基材1及びスクラッチ隠蔽層4の上にラミネートする手順、または、予め、スクラッチ隠蔽層4を、体積ホログラム形成層5の上に、部分的に形成し、その体積ホログラム形成層5のスクラッチ隠蔽層4やが設けてある側を、カード基材1の「秘密情報」2形成部及び白濁層3のある側に接するように、そして、その「秘密情報」2形成部及び白濁層3の位置と、そのスクラッチ隠蔽層4とが対面するように重ね合わせた後、ラミネート(「一体化」、すなわち、積層体とすることを意味する。)する手順等により設けることができる。(図1〜図4参照。)
体積ホログラム形成層5には、各種の透明な材料又は、透明なフィルムが用いられる。
すなわち、銀塩写真乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト、フォトポリマー材料、無機材料からなるフォトリフラクティブ材料、フォトクロミック材料等及び、それらの材料からなるフィルムを用い得る。
銀塩写真乳剤としては、高感度、高解像度が求められ、超微粒子銀塩や、金―カルコゲン増感や、還元増感を施した材料等が用い得る。
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストとして、ノボラック−DNQ系、又は、化学増幅型フォトレジスト、ネガ型フォトレジストとして、光架橋型フォトレジスト、又は、光重合型フォトレジスト等を用いることができる。
銀塩写真乳剤、或いは、重クロム酸ゼラチンは、処理工程が多く煩雑であるが、固体光重合性材料、すなわち、フォトポリマー材料は、処理工程が1回のみであるため、好適である。
これは、1工程で、固体の光重合性フィルムから、安定な高解像度のホログラムを作成することができ、ホログラフ情報をもつコヒーレントな光源に対する1回の露光により、「屈折率変調を固定化した画像」が得られることを意味する。このようにして形成されたホログラムは、光に対するその後の均一な露光によっても破壊されることなく、むしろ定着されまたは強化される。
フォトポリマー材料は、熱可塑性重合体結合剤、付加重合可能なエチレン系不飽和単量体、及び、不飽和単量体の重合を活性化する光開始剤からなる、屈折率変調を有する光重合性組成物を用いる。
熱可塑性重合体結合剤は、溶媒可溶性の熱可塑性重合体であり、単独で、又は、組合せて使用する。具体的には、
〔アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、例えば、ポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、〕、〔ポリビニルエステル、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル;エチレン/酢酸ビニル共重合体〕、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジェン及びイソプレン重合体及び共重合体、エポキシ化物、例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物、〔ポリアミド、例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアシツクアミド〕、〔セルロースエステル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート〕、〔セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、並びにエチルセルロース〕、ポリカーボネート等、並びに、〔ポリビニルアセタール、例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール〕等。
特に好適には、セルロースアセテートラクテート重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸及びメタクリル酸メチル/アクリル酸共重合体を含むアクリル系重合体及びプレポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸又はメタクリル酸(C2〜C4)アルキル/アクリル酸又はメタクリル酸の3元重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等、並びに、それらの混合物である。
さらに、ポリスチレン、ポリ(スチレン/アクリロニトリル)、ポリ(スチレン/メタクリル酸メチル)、並びに、ポリビニルペンデル、及び、それらの混合物を含むこともできる。
エチレン系不飽和単量体は、単一の単量体として、又は、組合せて使用することができる単量体として、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、又はジメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノール−Aジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−A−ジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ジフェノール酸−ジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ベンゼン・フォールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、ベンゾキノンモノメタクリレート、並びにアクリル酸2−〔β−(N−カルバジル)プロピオニロキシ〕エチル等、を用いることができる。
この単量体が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「単量体配向型系」と称することができる。
この単量体配向型系に好適な単量体は、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−A−ジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ヒスフェノール−Aジアクリレート、並びにアクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、である。
そして、エチレン系不飽和カルバゾール単量体;アクリル酸2−ナフチル;アクリル酸インタクロロフエ=ル;ビスフェノール−Aジアクリレート;アクリル酸2−(2−ブチロキシ)エチル; 並びに、N−フェニルマレイミドのような第2の固体単量体と混合して使用してもよい。
また、予め形成された重合体材料(プレポリマーを意味する。)が、置換又は非置換フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフトキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素、臭素、よりなる群から選択される、1つ又はそれ以上の部分を含有する場合には、これらを含む光重合性組成物は、いわば「結合剤配向型系」と称することができる。
この系に使用される単量体には、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチロキシ、3つまでの芳香族環を有するヘテロ芳香族、塩素及び臭素よりなる群からとられる部分を含まないものを使用する。
「結合剤配向型系」に好適な単量体は、付加重合することができ、100℃より高い沸点を有する液体、エチレン系不飽和化合物である。単一の単量体としてか又は他の単量体と組合せて使用することができるこの型の適当な単量体は、次のものを含む。
すなわち、アクリル酸一ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソーホルニル、1,5−ベンタンジオールジアクリレート、N、N´−エチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールノアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロノぐンジオール・クアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレー)、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパンジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロ−−ルプロJRントリメタクリレート、1,5−ベンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸パーフロロオクチル、メタクリル酸フロロオクチル、並びに1−ビニル−2−ピロリジノン等。
上記のエチレン系不飽和単量体の外、少なくとも300の分子量を有する、1種又はそれ以上の遊離ラジカル開始型、連鎖生長性、付加重合可能、エチレン系不飽和化合物も含有することができる。
また、単量体は、2〜15の炭素原子のアルキレングリコール又は1〜10のエーテル結合のポリアルキレンエーテルグリコールから製造されるアルキレン又はポリアルキレングリコールジアクリレート、並びに、末端結合として存在する時、複数の付加重合可能なエチレン結合を有するものであってもよい。
さらに、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリフールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロノンのトリアクリレートエステル、等である。また、同じ型の第2の固体単量体、例えば、N−ビニルカプロラクタムと混合して使用してよい。
光開始剤として適当な、遊離ラジカル発生付加重合開始剤は、共役炭素環状環系中、2つの環内炭素原子を有する化合物である置換又は非置換多核キノン、例えば、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、2−メチルアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−三級−ブチルアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンスレンキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、2,3−ベンズアンスラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、2−フェニルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、アンスラキノンアルファースルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアンスラキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、を含む。
また、ベンゾイン、ピパロイン、アシロインエーテル、例えば、ベンゾインメチル及びエチルエーテル;α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、及び、α−フェニルベンゾインを含む、α−炭化水素置換芳香族アシロインを含んでもよい。
さらに好適な光開始剤には、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体;1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ヒス(0−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニルー:並びに、1H−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−3,4−・ジメトキシフェニル−2量体(そのおのおのは、典型的には水素ドナー、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾールと共に使用される)を挙げることができる。
フォトポリマー材料としては、さらに、フッ素含有ポリマー、付加重合可能なエチレン性不飽和モノマー、及び、光開始剤からなり、画像化(光記録)されたとき、0.001よりも大きな屈折率変調を有する、光重合性組成物を用いることができる。これには、さらに、可塑剤を含めてもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンまたはへキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーとビニルアセテートとから作られたポリマーを用いることができ、他のモノマーを含むこともできる。例えば、10〜20%のフッ素を含有しているものを使用する。
使用されるフッ素含有ポリマーは、フォトポリマーのその他の各成分と両立し得るフッ素含有ポリマーであり、塗布されたときに実質的に固体の透明な皮膜を作るものである。
フッ素は、フッ素含有ポリマーを構成する他のモノマーとフッ素含有モノマーとを共重合するか、または、フッ素含有ポリマーとの反応により導入し、フッ素含有ポリマーが、アルコール、または、酸置換基のような官能基を含むとき、フッ素を導入するためには縮合、アセタール化、ケタール化、またはエステル化反応などを使用する。
フッ素含有ポリマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルアセタール/ブチラール、またはプレポリマー類あるいはこれらの混合物と、フッ素化モノマーとのポリマー類を含む。例えば、フッ素含有ポリマーは、ビニルアセテートとフッ素化モノマーとのポリマーとすることができ、必要に応じ、このポリマーのアセテート置換基は、加水分解によりとり除き、フッ素化したポリ(ビニルアルコール)誘導体を得ることもできる。このフッ素化ポリ(ビニルアルコール)は、例えば、ブチルアルデヒドと縮合させ、フッ素化したポリ(ビニルブチラール)誘導体にすることができる。
フッ素化したポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルアセタール)など、または、これらの混合物も同じ方法で作ることができる。フッ素化モノマーは、テトラフルオロエチレン、および/または、へキサフルオロプロピレンのような、過フッ素化モノマーが好適であるが、ビニルフロライドまたはビニリデンフロライドのような、その他のモノマーも特定の用途のために選定することができる。
必要に応じ、他のモノマー類も存在させることができる。例えば、フォトポリマーの溶解性、接着性、柔軟性、または硬さなどのような、化学的、もしくは、物理的諸性質を調整するために、モノマー混合物中にエチルビニルエーテルを混在させることができる。このようなフォトポリマーは通常のフリーラジカル重合法を用いて製造される。
フッ素化したフッ素含有ポリマーは、また適切に置換されているポリマーと、フッ素化された化合物との反応により作ることもできる。ヒドロキシルまたはカルボキシル基のような、潜在的な反応位置をもったポリマーは、フッ素化された化合物との反応によりフッ素化されたフッ素含有ポリマーに変換することができる。例えば、フッ素化されたポリ(ビニルブチラール)は、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアルデヒドと、ポリ(ビニルアルコール)の縮合により調製することができる。カルボキシル酸を含むポリマー類はフッ素化したアルコール類でエステル化することができ;ポリ(ビニルアルコール)、部分ケン化されたポリ(ビニルアセテート)、またはフッ素化されたモノマーとビニルアセテートとのポリマー類の部分ケン化またはケン化されたものなどのような、ヒドロキシル基含有のポリマー類は、フッ素化されたカルボキシル酸によりエステル化することができる。
フルオロオレフィン類は標準的なグラフト化技術を用いて、適切に置換されているポリマー上にグラフト化することができる。ビニルエステル、少なくとも、1つのフッ素化されたモノマー、および、得られるポリマーの物理的性質を調整するための任意の他のモノマーとのポリマーが好ましい。
一般に、フッ素含有量が低下するとその効果も減少するから、フッ素含有ポリマーは少なくとも10%のフッ素を含有するようにされる。しかしながら、フッ素含有量が余りにも高すぎると、得られるフォトポリマーは不透明となる傾向があり、体積ホログラム形成層の調製のためには有用でない。さらには、窓用フィルムとして用いる場合に、再接着用の糊との接着性が著しく低下する。従って、好ましいフッ素含有ポリマーは、10〜20%のフッ素含有量を有している。
フッ素含有ポリマーのビニルエステル成分としては、ビニルアセテートが特に好ましいが、他のビニルエステルおよび類似の結果を与える構造的に関連した化合物も、これに加えて、またはビニルアセテートの代りに選定することができる。例えば、ビニルピバレート、ビニルプロピオネート、ビニルステアレート、ビニルアルコール、または、n−ブチルビニルエーテルなどを選ぶことができる。テトラフルオロエチレン、または、へキサフルオロプロピレンのような過フッ素化モノマー類は、フッ素化モノマー成分として特に有用であると認められているが、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、フルオロオレフィン類、フロロアルキルアクレリートおよびメタアクリレートなどのようなその他の化合物も、特定の用途のためには選ぶことができる。
フッ素化されていない対応物よりも、フッ素化されているフッ素含有ポリマーを選ぶことは屈折率変調を劇的に増加させ、それでホログラムの回折効率も増加させる。
例えば、他のすべての成分を同じにして、ポリビニルアセテートによって達成されるのは約0.025〜0、031の範囲の値であるのに反して、ビニルアセテート/過フッ素化物モノマーのフォトポリマーの使用では0.040を超え、0.076の高い屈折率変調の値が達成される。
フッ素化フッ素含有ポリマーは、全フッ素含有ポリマーの1部分だけに選択することができる。この場合、フッ素含有ポリマーのフッ素化されていない対応物は、2つのフッ素含有ポリマーが互いに両立し、そして塗布用溶剤および他のフォトポリマー成分とも両立し、そしてフォトポリマーの透明性、機械的諸性質などを不当に犠牲としないならば、その他の成分として選択することができる。
フォトポリマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含み、これはフリーラジカルで開始される重合し得るもので、100℃以上の沸点を有し、塗布溶剤および選ばれたフッ素含有ポリマーと両立し得るものである。このモノマーは通常末端位置に不飽和性基を含んでいる。一般に液体のモノマーが選定されるが、固体のモノマーが実質的に固体のフォトポリマー組成物中で内部拡散し得るならば、固体のモノマーも1個または数個の液体モノマーと組み合わせて用いることができる。
モノマーは、付加重合をすることができかつ100℃以上の沸点をもつ液体の、エチレン性不飽和化合物であり、これは3個までの芳香環;塩素;および臭素を含む、置換または未置換のフェニル、ビフェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチルオキシ、およびヘテロ芳香基、よりなる群から選ばれた1個または数個の部分を含んでいる。モノマーはこのような部分を少なくとも1つ含み、またモノマーが液体でとどまるならば、同一または異なるこのような部分を2個またはそれ以上含むことができる。低級アルキル、アルキオキシ、ヒドロキシ、フェニル、フェノキシ、カルボキシ、カルボニルイミド、シアノ、クロロ、ブロモまたはこれらの組み合わせのような置換基を、モノマーが液体モノマーにとどまり、かつ光重合性層中で拡散し得るならば存在させることができる。
代表的な液体モノマーには、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2− (p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレ−1−、2− (1−ブチルオキシ)エチルアクリレート、0−ビフェニルメタアクリレート、0−フェニルアクリレート、およびこれらの混合物などが含まれる。
モノマーは、通常、液体であるが、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーのような、1個または数個のエチレン性不飽和固体モノマーと混合して使用することもできる。
カルバゾール部分の窒素原子に結合したビニル基を含んだ、エチレン性不飽和カルバゾールモノマーは代表的に固体である。このタイプの好適なモノマーには、N−ビニルカルバゾールと3、6−ジプロモー9−ビニルカルバゾールとが含まれる。特に好ましいエチレン性不飽和モノマーの混合物は、N−ビニルカルバゾールと液体モノマーの1個または数個、特に2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、またはこれらの混合物などとの組み合わせからなるものである。
フォトポリマーを架橋化(光重合)するときは、組成物中に2個または数個の末端エチレン性不飽和基を含む、多官能性モノマーの少なくとも1つを5%まで加えることができる。この多官能性モノマーは、組成物の他の成分と両立し得るものでなければならず、また好ましくは液体である。多官能性モノマーには、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびその他が含まれる。エトキシレートビスフェノール−Aジアクリレートは、特に好ましい。
光開始剤系は、電離放射線により活性化されたときに、フリーラジカルを直接に与える1個または数個の化合物からなるものである。「電離放射線」は、モノマー材料の重合を開始するのに必要な、フリーラジカルを生成させるような活性な放射線を意味している。
この系はまた複数の化合物から構成されることもでき、その1つは別の化合物、または増感剤が放射線により活性化された後に、フリーラジカルを生ずるものである。
有用な開始剤系は、種々の増感剤を含んでいてもよく、多数のフリーラジカル生成化合物を利用できる。特に色素を含むレドックス系、例えばローズベンガル/2−ジブチルアミノエタノールを用いることもできる。光還元性色素および還元剤、オギサジン、およびキノン系の各色素、色素−オウ酸塩コンブレックス、色素増感されたアジニウム塩、およびトリクロロメチルトリアジンなどを、光重合を開始させるために用いることができる。
好ましい光開始剤系は、可視光線用増感剤で増感され、連鎖移転剤または水素供与剤、およびこれらの混合物をもった、2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーである。 これには、2−(0−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−イミダゾールダイマー;1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(0−クロロフェニル’)−4,4’5,5’−テトラフェニル;およびIH−イミダゾール、2,5−ビス(0−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル〕−タイマーなどが含まれ、それぞれ代表的に水素供与体とともに用いられる。
増感剤には、ビス(p−ジアルキルアミノベンジリジン)ケトン類、および、アリーリチンアリールケトン類が含まれる。
水素供与体の適当なものには、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−1−リアゾール−3−チオール、およびその他が含まれる。
N−ビニルカルバゾールモノマーを含む組成物に対して好ましい、この他の水素供与体は、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール;2−メルカプトベンゾチアゾール、 IH−1,2、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、1−ドデカンチオール、およびこれらの混合物などである。
その他の成分として、フォトポリマー組成物に一般に添加されるその他の各成分はフォトポリマーの物理的特性を変えるだめのものである。このような成分には可塑剤、熱安定剤、光学的増白剤、紫外線安定剤、接着性変更剤、塗布助剤、および剥離剤などが含まれる。
可塑剤は、フォトポリマーの接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の物理的緒特性を変えるために存在させられる。可塑剤には、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセパケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、イソゾロビルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ポリ(プロピレングリコール)、トリ酪酸グリセリル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、スペリン酸・ノブチル、燐酸トリブチル、燐酸トリス(2−エチルヘキシル)、などが含まれる。
有用な熱安定剤には、ハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、ベータナフトール、塩化第一銅、2,6−ジーt−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、レジン酸銅、ナフチルアミン、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、フロラニール、およびクロルアニールなどが含まれる。ジニトロソダイマー類もまた有用である。
塗布助剤として、非イオン性界面活性剤を光重合性組成物に加えることができる。好ましい塗布助剤は、フッ素化された非イオン性活性剤である。
有用な光学増白剤は、7−(4’−クロロ−6′−ジエチルアミノ−1’,3’,5’−トリアジン−4′イル)アミノ3−フェニルクマリンである。さらに、紫外線吸収材料を適宜用いることができる。
また、透明な樹脂、すなわち、光重合性組成物としては、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤系、及び、カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系からなる感光性材料が用いられる。
カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が終始比較的低粘度の組成物中で行なわれるように室温液状のものが用いられる。そのようなカチオン重合性化合物としてはジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が用いられる。
ラジカル重合性化合物は、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は上記カチオン重合性化合物のそれよりも大きく、好ましくは0.02以上大きいとよく、小さいと屈折率変調が不十分となり好ましくない。ラジカル重合性化合物としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等が用いられる。
光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム作製のための第1露光によって活性ラジカルを生成し、その活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いる。
光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明な体積ホログラムとする場合にはシアニン系色素が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することにより体積ホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムが得られる。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3'−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2'チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3',9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3',9−トリエチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3'−カルボキシメチル−2,2'−チアカルボシアニン・ヨウ素塩等が例示される。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、ジアリールヨードニウム類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム類としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム等が例示される。また、2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が例示される。
光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光とは異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類あるいは鉄アレン錯体類等を挙げることができる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては、光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウム類のテトラフルオロボレート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩およびヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
光重合性組成物には、必要に応じてバインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤などを併用してよい。バインダー樹脂は、体積ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダー樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性組成物と相溶性のよいものであれば良く、その具体例としては塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。バインダー樹脂は、その側鎖または主鎖にカチオン重合性基などの反応性を有していても良い。
その体積ホログラム形成層5の厚さは、5.0μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmとする。
カード基材1上に、透明な樹脂をコーティングして、体積ホログラム形成層5を設ける場合には、体積ホログラム形成層5は、光重合性組成物の塗布液を、バーコート、スピンコート、又はディッピング等、または、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布し、形成する。体積ホログラム形成層5は、乾燥ないし硬化手段を用いて固化される。
その光重合性組成物としては、組成物全体に対してカチオン重合性化合物を10〜50%、ラジカル重合性化合物を40〜70%、光ラジカル重合開始剤系を1〜5%、及び、光カチオン重合開始剤系を1〜5%とし、全量を100%となるように配合する。
光重合性組成物は、必要に応じて、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族系溶媒、セロソルブ系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒等と配合し、冷暗所にて、高速撹拌機で混合し調製する。
上記の樹脂材料を用い、キャスティング法や、ダイコート法等を用いて、体積ホログラム形成層5をカード基材1上に設けることもできる。
これらの体積ホログラム形成層5に、適宜な光学系を用いて、体積ホログラムである、透過型ホログラムや、反射型ホログラムを記録する。または、その両方を多重記録する。(図示せず。)
以下に、その方法を説明する。
まず、ホログラム画像として画像化される「物体」を準備する。
「物体」としては、彫刻や模型等の実在する、3次元物体(高名な作者のものであれば、その意匠性は非常に高いものとなる。)、もしくは、絵画やブランドデザイン等の2次元物体が用いられる。もしくは、「物体光」を与え得るものであって、空間変調器等のような電子的にセル変換が可能な光学素子を用いた光学系によって、記録用媒体面に投影されるような「光の像」であってもよい。
もちろん、あらかじめ作成した「ホログラム」からの「ホログラム再生像」(立体的な光の像となる。)を用いることもできる。
この「物体」を、所定の波長を選択した、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、各種色素レーザー等のコヒーレント光を用いて照明し、所定の光学系を準備し(図示せず。)、透過型ホログラムを記録する。
もしくは、適宜なホログラム記録用のフォトレジストに、同様な光学系を準備し、マスターホログラムを記録し、現像処理する。
次いで、このマスターホログラムを所定の光学系を用いて、「物体」の体積ホログラムを、上記で使用した光源を再度用いて、体積ホログラム形成層5に、「反射型ホログラム」として記録する。
透過型ホログラムに上記の光学系で用いた参照光と同一の照明を行うと、その参照光が透過した方向からの観察により、体積ホログラム形成層5を通して、その向こう側に「物体」の像、すなわち、透過型ホログラム再生像を視認することができる。この「物体」の像から観察者の目の方向へ向かう角度が、「再生角度」である。(図示せず。)
また反射型ホログラムの場合には、参照光を用いずとも、その波長選択性により、所定の波長でのみ再生された「物体」の像、すなわち反射型ホログラム再生像を視認することができる。この場合の「再生角度」も同様である。
以上の方法を用いる際、「物体」を2つ準備し、2つの光源(第1の波長、及び第2の波長を有する2つのレーザー光源)を用いて、それぞれ体積ホログラム形成に各々、角度を変えて記録して、2つの体積ホログラムを多重記録することができる。
もちろん、上記した透過型ホログラムと反射型ホログラムを同一の体積ホログラム形成層5に記録し、「透過型ホログラムと反射型ホログラムを多重記録」することも可能である。
このときに用いる体積ホログラム形成層5は、例えば、2つの光源に感度を持つように、2種類の増感剤を含めたものとする。
また、体積ホログラム形成層5を単層として、その一つの層に多重記録するのみならず、体積ホログラム形成層5を多層として、それぞれの層に、それぞれのフォトポリマーを用い、それぞれの体積ホログラムを記録することも、個々のホログラム再生像の鮮明度を高めるため好適である。
2つの体積ホログラムを多重記録した場合には、2つの観察方向に、各々の「物体」像を見ることができる。(図示せず。)
ホログラムとしては、レーザー再生ホログラム、白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子、複合回折格子で構成されるホログラムなどを、適宜、記録することができる。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し、「秘密情報」2として、もしくは、「秘密情報」2の一部構成情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
体積ホログラムは、「上記のようにして記録した体積ホログラム形成層5(単独の層。)」上に、「まだ体積ホログラムを記録していないカード基材1と体積ホログラム形成層5の積層体」のその体積ホログラム形成層5面上に、「単独の層である記録済み体積ホログラム形成層5」を密着させて重ねたものに(インデックスマッチング液等をその間に挿入してもよい。)、その「記録済み体積ホログラム形成層5」側から、適宜なレーザー光を照射する方法により、大量に複製することができる。(図示せず。)
これらの体積ホログラム形成層5、及び/または、スクラッチ隠蔽層4の上に、さらには、黒色層6の上に、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9の用途に応じた印刷デザインや、ホログラムデザインにより、オフセット印刷や、グラビア印刷等を用いて、1.0〜10.0μmの厚さで地紋印刷8を施す。(図6参照。体積ホログラム形成層5上に幾何学模様の地紋印刷8を施している。)
体積ホログラム形成層5、及び/または、スクラッチ隠蔽層4の上に、さらには、黒色層6の上に、この地紋印刷8以外の通常デザイン(主要なデザイン模様等)の印刷を施し、その意匠性を高めることができることは言うまでもない。
さらに、体積ホログラム形成層5の上に、または、体積ホログラム形成層5及び地紋印刷8の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには電離放射線硬化樹脂等の保護層を、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で、1〜3μm厚さに形成して、「秘密情報」2の隠蔽をさらに強化してもよい。(図示せず。)
但し、体積ホログラム形成層5の表面の一部が、上記したように、意図して「粗い粗面」を設けた部分である場合には、この大きな凹凸に追従して印刷可能なインクジェット方式や、この凹凸に影響され難い感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて地紋印刷8を行ってもよい。さらに、このような感熱転写方式、もしくは、昇華転写方式を用いて、その大きな凹凸の凸部のみに印刷を行い、不正なスクラッチにより非常に容易に地紋印刷8が破壊されるようにすることもできる。
特に、昇華転写方式は、体積ホログラム形成層5を構成する樹脂層に浸透し、独特の風合いを醸し出すことができる。
地紋印刷8を形成する位置は、体積ホログラム形成層5上の全面に均一に設けてもよいし(図示せず。)、敢えて、スクラッチ隠蔽層4に対応する位置に設けてもよく(図6参照。)、さらには、複数の領域に分散して設けてもよい。(図示せず。)
そして、この地紋印刷8を、スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層5との間の両方に設け、且つ、そのデザイン及び、形成位置を体積ホログラム形成層5の上下で、位置を異ならせたり、同一としたりすることも、その意外性や偽造防止性を高めるため好適である。(図示せず。)
(黒色層)
本発明のスクラッチカードH2において、スクラッチ隠蔽層4を埋め込んだカード基材1上に、そのカード基材1の全面を覆うように、黒色層6を設け、その黒色層6の全面を覆うように、体積ホログラム形成層5を設ける。(図2参照。)
ここで、黒色層6は、少なくともそのスクラッチ隠蔽層4を覆うようにして、部分的、且つ、離散的に複数形成してもよい。そして、この黒色層6のパターンによって、何らかのデザインを表すものとしてもよい。(図示せず。)
黒色層6は、微粒子カーボンブラックや、超微粒子カーボンブラック、その他の炭素系黒色顔料や酸化物系黒色顔料の微粒子や超微粒子、さらには、含金属黒色染料(金属錯塩染料)等を、含有率で20〜70質量%として、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、インクジェット方式さらには、フレキソ印刷方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。
この場合、体積ホログラム形成層5、または、スクラッチ隠蔽層4との密着性の高いものを選定する。
もちろん、黒色層6として、上記の顔料や染料を同様の割合含んだプラスチックフィルムを用いることも好適である。
この場合には、予め、そのフィルムの表面を「光学的な鏡面」として仕上げておくことができ、且つ、屈折率を調整し易く、さらには、その厚さムラも高い精度で制御することが可能となる。
黒色層の厚さは、2.5μm〜25μmとし、好適には、5.0μm〜20μmとする。
(接着層)
本発明のスクラッチカードH3に用いる接着層7としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良い。(図3参照。)
但し、白濁層3の上に設ける場合には、その白濁層3の「不透明な層」の状態に不要な変化を与えないものを選定する。
接着層7に用いられる溶剤としては、溶剤類、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等を用いることができる。
接着層7の形成厚さは、1.0μm〜30μmとする。
接着層7の形成方法としては、グラビアコート、ロールコート、コンマコートなどの方法で、上記した各層間に、塗布し乾燥して形成することができる。また、より精密な印刷を要する場合には、ステンレススクリーン印刷方法や、活版印刷方式、オフセット印刷方式、フォトレジスト処理方式等を用いることができる。(図1〜図4参照。図3では、白濁層3とスクラッチ隠蔽層4の間に設けた例を示している。)
または、カード基材1上にスクラッチ隠蔽層4を埋め込む前に、そのスクラッチ隠蔽層4のカード基材1側に、接着層7を設け、スクラッチ隠蔽層4とともに、カード基材1に埋め込む手順、さらには、体積ホログラム形成層5の(この上に黒色層6が設けられていてもよい。)の一部に設けたスクラッチ隠蔽層4の露出面を含んで、体積ホログラム形成層5の全体、もしくは、その一部分に、接着層7を設け、スクラッチ隠蔽層4をカード基材1に埋め込むと同時に、体積ホログラム形成層5等とカード基材1とを一体化する手順、において、それぞれ、同様の形成方法を用い、同様の厚さとすることができる。
接着層7の接着力は、白濁層3と接着層7との界面の剥離強度、さらには、少なくともスクラッチ隠蔽層4と接着層7との界面の剥離強度として、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、1.0〜3.0kg/25mm巾の範囲にすることが望ましい。もちろん、それ以上の剥離強度を有していても、本発明の目的には適合している。
接着層7には、その接着強度やその堅さ(層としての堅牢度を意味する。)及び耐熱性を調整する目的で、微粒子透明顔料や超微粒子顔料を添加することができる。
その微粒子透明顔料や超微粒子顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、珪藻土、石膏、タルク、珪石粉等の体質顔料を細かく粉砕したものや、マイクロシリカ等の無機微粒子、シリコン樹脂やフッ素樹脂粉末等の微粒子樹脂紛体、その他、平均粒径で、0.1μm〜0.01μmとした微粒子顔料や、0.01μm以下とした超微粒子顔料を使用する。
具体的には、天然に産する方解石、氷州席、アラゴナイト、石灰岩、大理石、貝殻、チョーク、重晶石、石膏、ギブス石などを微粉砕したものや、その合成物において平均粒径を調整したもの、さらには、一般的に用いられる無機顔料、や有機顔料においても、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化ジルコニウム等、その平均粒径を、0.01μm以下としたもの等は、適宜な樹脂材料との混合において、透明となるため、好適である。
具体例としては、超微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55N:屈折率n=2.4)を適宜な樹脂に分散した場合に、その屈折率は、1.9〜2.0であり、また、超微粒子酸化ジルコニウム(動的光散乱法における平均粒径0.0001μm〜0.05μm)を適宜な樹脂に分散した場合に、「層」としての屈折率は、1.7〜1.9となる。
但し、この粒径のものは、二次凝集しやすく、ニーダー等の適宜な分散処理機に繰り返し通すなどの再分散処理等を施す必要がある。添加量は、屈折率の向上度合いと透明性とのバランスで決められるが、通常、1%〜20%添加が好適である。
その形成方法、及び、厚さは、上記した方法、及び、厚さとする。
このように、接着層7をも、高い屈折率を持つものとすると、接着層7と体積ホログラム形成層5とが直接接している界面における反射率を高くすることができ、この界面上に位置する体積ホログラム形成層5から再生される体積ホログラム再生像をより鮮明なものとすることができ好適である。
このようにして形成した本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9を、通常の照明光下で、観察したところ、「ホログラム付きスクラッチカード」であると判断できたが、その体積ホログラム形成層5の下に隠されていると推定される「秘密情報」2は、全く視認できないものであった。(図1〜図4参照。)
この際、カード基材1上の所定の位置に、「秘密情報」2として、連続数字1〜8が印字されており(図5参照。図5には、その所定の位置を示す枠が便宜上表示されている。)、その「秘密情報」2を覆うように、白濁層3が設けられており、埋め込まれたスクラッチ隠蔽層4及び体積ホログラム形成層5が設けられている。(図1〜図4参照。)
また、本発明のスクラッチカード9の体積ホログラム形成層5上に、幾何学模様からなる地紋印刷8を施した。(図6参照。図6における地紋印刷8の位置は、その一例として、スクラッチ隠蔽層4の形成領域に対応した位置としたものを表示している。)
いずれの場合も、目視では、体積ホログラム形成層5、及び、スクラッチ隠蔽層4で覆われた「秘密情報」2を、視認することはできず、また、スクラッチ隠蔽層4が、カード基材1内に埋め込まれているため、この層を、爪等で破断なくきれいに剥がすことは、到底、不可能であると思われた。
そして、本発明のスクラッチカードH1〜H3、及び9の体積ホログラム形成層5、黒色層6及びスクラッチ隠蔽層4、もしくは、地紋印刷8と体積ホログラム形成層5、黒色層6及びスクラッチ隠蔽層4を、コインを用いて部分的に削り取ると、その削り取った領域から、白濁層3が現れ、この段階でも「秘密情報」2を視認することができなかったが、その白濁層3を一般家庭用ドライヤーを用い、そのドライヤーの熱風を所定の距離を置いて所定の時間当てることで、「所定の加熱」を施し、白濁層3を「透明化」処理し、その下に隠れていた「秘密情報」2が視認可能としたが、同時に、このようなスクラッチカードH1〜H3、及び9を偽造することは非常に困難であると思われた。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)
スクラッチカード9のカード基材1として、厚さ560μmの硬質塩化ビニルシートを、厚さ100μmの軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ760μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)を用いる。
所定のデザイン印刷は、その硬質塩化ビニルシート上にオフセット印刷にて施した後、所定のラミネート条件にて、3層積層体とした。(図1及び、図4参照。カード基材1の積層状況は図示せず。)
このカード基材1の所定の領域に、インクジェットプリンターにて、「秘密情報」2として、「12345678」の番号(各数字文字の高さ4mm、幅2mm、文字間隔1mm。)を印字した。(図1及び、図5参照。)
このカード基材1上に、且つ、その「秘密情報」2形成部を覆うように、縦10mm×横30mmのサイズの長方形(ベタ状)で、下記組成の白濁層3用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて、乾燥条件を「低温乾燥」として、白濁層3に「白化処理」を施しつつ、乾燥後の厚さ10μmの「不透明」性を有する白濁層3を形成した。(図1参照。剥離性フィルムは図示せず。「不透明」な状態も図示せず。)
・<白濁層3用インキ組成物>
塩化ビニルー酢酸ビニル樹脂 20部
アクリル樹脂 10部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
メチルエチルケトン 5部
トルエン 5部
エチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 10部
酢酸エチル 30部
第3級アミン 1部
ブチルセルソルブ 9部
さらに、その白濁層3を覆うように、その白濁層3と同一の位置に、下記組成のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を、ステンレススクリーン印刷方式にて形成し、乾燥後の厚さとして、スクラッチ隠蔽層4を15μmの厚さで形成した積層体を、表面を鏡面仕上げしたステンレス板に挟みこみ、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、スクラッチ隠蔽層4の最表面とカード基材1の表面を「面一」とした。(図1参照。)
<スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 40部
顔料リーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末 10部
イソシアネート系硬化剤 1部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 9部
ここで、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム上に、膜厚20μmのフォトポリマー(「体積ホログラム形成層5」となる層。)を積層され、その上に保護フィルムとして、厚さ23μmポリエチレンテレフタレートフイルムが積層されたフォトポリマー(デュポン社製「HRF705」)を用い、反射型ホログラムとして、クリプトンレーザー(発光波長647nm)を光源とし、所定の反射型ホログラム撮影光学系(図示せず。)を用いて、30mm×70mmサイズの「絵画モチーフ」を反射型ホログラムとして、その結像位置を、記録面から2mmの位置として撮影した。
この時、露光強度2.0mWにて、記録角度(参照光の角度。「物体」である「絵画モチーフ」は、そのシート面の垂線方向に対しその参照光と対称の方向にある。)を体積ホログラム形成層5に対して、(そのシート面の垂線方向に対し)20度とし、50mJ/cm2の露光量となるように照射した後、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射し、更に120℃で120分間加熱処理し、その後、上記保護フィルムを剥離して、「体積ホログラム形成層5が積層されている厚さ70μmのシート」を作製した。このときの回折効率は、50%とした。
次に、この厚さ70μmのシートの体積ホログラム形成層5の露出面と、表面が「面一」となったカード基材1の表面とが接するように、且つ、30mm×70mmサイズの「絵画モチーフ」がこのカード基材1のほぼ中央に位置するように、このシートとカード基材1をラミネートし、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを剥離して、カード基材1のスクラッチ隠蔽層4を含む、「面一」となった表面の全面を覆うように、体積ホログラム形成層5を転写形成し、実施例1のスクラッチカードH1、もしくは9を得た。(図1参照。)(この時、フォトポリマーのカード基材1のサイズからはみ出る部分は、厚さ70μmのシート側に接着したまま残っていた。)
この実施例1のスクラッチカードH1、もしくは9を、通常の蛍光灯下で観察したところ、スクラッチカードH1、もしくは9上にて、「カード全面に亘る、意匠性の高い体積ホログラム再生像と、埋め込まれた銀色の印刷層」を観察できるのみであり、その下に形成されている、「秘密情報」2の存在を窺い知ることはできなかった。(図1及び図4参照。図4において、「3、4、7」は「3、4」と、「5、6」は「5」となる。)
次いで、このスクラッチカードH1、もしくは9上の「意匠性の高い体積ホログラム再生像を観察できる、埋め込まれた銀色の印刷層」部分をコインで引っ掻く(「体積ホログラム形成層5、及びスクラッチ隠蔽層4」が積層されている領域の一部をスクラッチにより除去する)と、体積ホログラム形成層5及びスクラッチ隠蔽層4が部分的に削れ、その削れた部分から、白濁層3の一部が露出したが、この白濁層3が「不透明な層」であるため、依然として、「秘密情報」2を視認できなかった。
次いで、この露出した白濁層3に対して、家庭用アイロンを用いて、100℃、10秒間の加熱を施したところ、白濁層3の加熱部分が透明化して「透明な層」となり、その部分を通して、「秘密情報」2の一部を視認できたが、このような埋め込まれた特殊な印刷層を含む、このスクラッチカードH1、もしくは9を偽造することは、困難と思われた。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1において、適宜な剥離性フィルム(厚さ38μの表面離形処理ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、一旦、スクラッチ隠蔽層4を形成し、その露出面と、その剥離性フィルムを、厚さ3mmのステンレス板2枚(その表面に樹脂コートを施して、平均表面粗さRaで、0.1μmとした「光学的な鏡面」に仕上げたもの。)の間に挟み込み、その両側から、200℃、109Paでの加圧をする平板プレス処理を施して、スクラッチ隠蔽層4の露出面を「光学的な鏡面」とし、この露出面を、「体積ホログラム形成層5が積層されている厚さ70μmのシート」の体積ホログラム形成層5面上の所定の位置(「秘密情報」2形成部に対応する位置。)に接するようにラミネートし、その「適宜な剥離性フィルム」を剥離して、スクラッチ隠蔽層4を体積ホログラム形成層5上に転写形成した。
この時、スクラッチ隠蔽層4と体積ホログラム形成層5との界面が、「光学的な鏡面」となっている。
そして、この「『体積ホログラム形成層5が積層されている厚さ70μmのシート』上にスクラッチ隠蔽層4が設けられたもの」を、そのスクラッチ隠蔽層4が、カード基材1の「秘密情報」2形成部を覆う位置にあたるように調整した後、それらを積層し、且つ、この積層体を、表面を鏡面仕上げしたステンレス板に挟みこみ、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、スクラッチ隠蔽層4をカード基材1の「秘密情報」2を覆う位置に「面一」に埋め込むと同時に、体積ホログラム形成層5をカード基材1に積層し、「厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム」を剥離した。
それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2のスクラッチカードH1、もしくは9得た。(図1及び図4参照。図1において、「光学的な鏡面」となっている状態は図示していない。)
このスクラッチカードH1、もしくは9を、実施例1と同様に評価したところ、スクラッチ隠蔽層4上における、による体積ホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」がより鮮明に観察でき(図示せず。)、このシートを偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例3)
実施例1の体積ホログラム形成層5のスクラッチ隠蔽層4と接している面とは反対の面(体積ホログラム形成層5の露出している面)上に、昇華転写プリンターにて幾何学模様からなる黄色の地紋印刷8を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のスクラッチカードH1、もしくは9を得た。(図1、図4及び図6参照。図1及び図4において、地紋印刷8は図示していない。図4において、「秘密情報」2を覆う層は、「3、4、7」でなく、「3、4」となる。また、「5、6」は「5」となる。)
このとき、昇華転写プリンターの印字部分、すなわち、地紋印刷8の部分は体積ホログラム形成層5に浸透しており、体積ホログラム形成層5の最表面と、地紋印刷8の表面は同一面を形成している。
このスクラッチカードH1、もしくは9を実施例1と同様に評価したところ、地紋印刷8が独特の風合いを呈して金色に観察されたこと、及び、コインでスクラッチしたところ、地紋印刷8と体積ホログラム形成層5及びスクラッチ隠蔽層4が同時に削れ、このスクラッチカードH1、もしくは9の偽造が、より困難と思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例4)
実施例1において、スクラッチ隠蔽層4に下記組成のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を用いて、「高屈折率層」とし、体積ホログラム形成層5に、屈折率n=1.44のフォトポリマーを用いて形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のスクラッチカードH1、もしくは9を得た。(図1及び図4参照。)
<スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物:屈折率n=2.50>
ウレタン樹脂(屈折率n=1.63) 5部
超微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.001μm、屈折率n=2.30)
30部
顔料ノンリーフィングアルミペースト アルミニウム微粉末(n=3.50)15部
トルエン 5部
イソプロピルアルコール 15部
ブチルセルソルブ 25部
この実施例4のスクラッチカードH1、もしくは9を、実施例1と同様に評価したところ、スクラッチ隠蔽層4の上に位置する体積ホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」がより鮮明に観察でき、このスクラッチカードH1、もしくは9を偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例5)
実施例1において、黒色層6に下記組成の黒色層6用インキ組成物を用いて、「体積ホログラム形成層5が積層されている厚さ70μmのシート」の体積ホログラム形成層5上に、スクリーン印刷方式を用いて、乾燥後の厚さ10μmでその全面に形成して、「体積ホログラム形成層5及び黒色層6が積層されている厚さ80μmのシート」としたこと、及び、この「シート」の黒色層6面を、「面一」となったカード基材1の表面に接するようにして、積層したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のスクラッチカードH2、もしくは9を得た。(図2及び図4参照。図4において、「3、4、7」は「3、4」となる。)
<黒色層6用インキ組成物>
ウレタン樹脂 25部
カーボンブラック 20部
トルエン 15部
イソプロピルアルコール 15部
ブチルセルソルブ 25部
この実施例5のスクラッチカードH2、もしくは9を、実施例1と同様に評価したところ、体積ホログラム再生像「意匠性の高いホログラム」が非常に鮮明に観察でき、このスクラッチカードH2、もしくは9を偽造することは、より困難と思われたこと以外は実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例6)
実施例1において、そのカード基材1、その上に設けた「秘密情報」2形成部及び白濁層3を覆うように、下記組成の接着層7用接着剤組成物をステンレススクリーン印刷方式にて、スクラッチ隠蔽層4を形成する領域に形成し、乾燥後の厚さとして、接着層7を3.0μmの厚さで形成し、(図3及び図5参照。接着層7の形成領域は、図5の「『秘密情報』を囲む枠の領域」となる。)その上に、スクラッチ隠蔽層4を設けたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のスクラッチカードH3、もしくは9を得た。(図3、及び図4参照。図4において、「5、6」は、「5」となる。)
このスクラッチカードH3、もしくは9を実施例1と同様に評価したところ、スクラッチ隠蔽層4が接着層7で、カード基材1以上にしっかりと固定されており、スクラッチカードH3、もしくは9の偽造防止カードとしての信頼性が高いと思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
・<接着層7用接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30部
イソホロンジイソシアネート 0.1部
トルエン 10部
イソプロピルアルコール 20部
酢酸エチル 30部
エチルセルソルブ 10部
(実施例7)
実施例1において、下記組成のスクラッチ隠蔽層4用インキ組成物を用いて、同様の方式、同様の厚さで、スクラッチ隠蔽層4を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のスクラッチカードH1、もしくは9を得た。(図1及び図4参照。)
<スクラッチ隠蔽層4用インキ組成物>
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体 20部
アクリル樹脂 5部
顔料アルミペースト アルミニウム微粉末(平均粒径8μm) 30部
微粒子酸化ジルコニウム(平均粒径:0.01μm) 20部
シリコーンオイル 5部
トルエン 10部
酢酸エチル 5部
エチルセルソルブ 5部
このスクラッチカードH1、もしくは9を実施例1と同様に評価し、さらに、そのスクラッチ隠蔽層4を、その「層全体」を剥がす試みとして、カード基材1を90度近く湾曲させたところ、実施例1と同様の良好な結果に加え、スクラッチ隠蔽層4のスクラッチオフしていない部分に「剥離痕」状のシワが発生し、そのシワがカード基材1を再び平らな状態に戻しても消えず(逆に、シワが発生した部分に、一部、裂け目まで発生。)、固定化してしまったことから、このスクラッチカードH1、もしくは9の偽造が非常に困難であると思われたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
実施例1において、体積ホログラム形成層5を設けず、また、スクラッチ隠蔽層4のカード基材1への埋め込み処理も行わず、スクラッチカードを形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例のスクラッチカードを得た。
このスクラッチカードを実施例1と同様に評価したところ、スクラッチオフにより、「秘密情報」2を視認することはできたが、カード基材1上に突出しているスクラッチ隠蔽層4をその断面に爪を入れて、「層全体」を剥がすことが可能と思われ、また、ホログラム(再生像)も存在しないことから、このスクラッチカードの偽造や変造が容易と推定された。
H1〜H3、9 スクラッチカード
1 カード基材
2 「秘密情報」
3 白濁層
4 スクラッチ隠蔽層
5 体積ホログラム形成層
6 黒色層
7 接着層
8 地紋印刷

Claims (5)

  1. カード基材の一方の表面に設けられた秘密情報を隠蔽するスクラッチカードであって、
    前記カード基材の前記表面の一部に、前記秘密情報を覆うように、白濁層及びスクラッチ隠蔽層がこの順序で設けられ、且つ、前記カード基材の前記表面と前記スクラッチ隠蔽層の表面が面一となっており、さらに、前記カード基材の前記一方の表面全体に、前記スクラッチ隠蔽層を覆うように体積ホログラム形成層がこの順序で設けられ、
    前記体積ホログラム形成層及び前記スクラッチ隠蔽層をスクラッチにより除去し、且つ、前記白濁層を加熱により透明化することにより、前記秘密情報が視認可能となることを特徴とするスクラッチカード。
  2. 前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との界面が、「光学的な鏡面」であることを特徴とする請求項1に記載のスクラッチカード。
  3. 前記スクラッチ隠蔽層が高屈折率層であって、前記スクラッチ隠蔽層の屈折率が、前記体積ホログラム形成層の屈折率より、1.0以上大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のスクラッチカード。
  4. 前記スクラッチ隠蔽層と前記体積ホログラム形成層との間に、黒色層が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスクラッチカード。
  5. 前記スクラッチ隠蔽層が、平均粒子径1.0μm〜10μmの顔料及び、平均粒径0.01μm〜0.1μmの微粒子顔料を含んでいることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のスクラッチカード。
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