JP2015040539A - 電動送風機及びこれを備えた電気掃除機 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明の課題は、従来のものと比べて送風効率を確実に向上させることができる電動送風機を提供する。【解決手段】本発明の電動送風機７は、羽根車及びディフューザ４２を外方から覆うように設けられるファンケーシング４３と、ディフューザ４２とファンケーシング４３との間に配置されるリング状部材４８と、を備え、ディフューザ４２は、略円環状の仕切板４２ｂと、仕切板４２ｂの板面からリング状部材４８側に向けて立ち上がる板体で形成される複数のディフューザベーン４２aと、を有し、ディフューザベーンの先端には面取り部４２ｈが形成されており、リング状部材４８には、ディフューザベーン４２ａの端部が挿入されるベーン挿入溝４８ａが複数形成され、ディフューザベーン４２ａの端部は、ベーン挿入溝４８ａ内でリング状部材４８に対して接合されていることを特徴とする。【選択図】図７

Description

本発明は、電動送風機及びこれを備えた電気掃除機に関する。

一般に電気掃除機に使用される電動送風機は、電動機の回転軸に接続された羽根車と、この羽根車の外周側に固定設置されるディフューザと、を備え、これらがファンケーシング内に収められた構成となっている。
羽根車は、遠心力を利用する遠心型羽根車であり、高速回転するとファンケーシングに形成された所定の吸込部からファンケーシング内に空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、羽根車の外周側に向かう空気流を形成する。
ディフューザは、羽根車の外周側を囲い、羽根車から送り出される空気流を外周方向に導く空気流路を形成する。この空気流路を流れた空気流は、電動機へと導かれる。

ところで、ディフューザの空気流路は、仕切板とファンケーシングの内壁と仕切板上に複数立設されるディフューザベーンの板面とで区画されて形成される。そして、仕切板から立ち上がるディフューザベーンのファンケーシング側の端縁は、ファンケーシングの内壁に対して単に当接した状態となっており、接続されてはいない。しかしながら、電動送風機の送風効率を考慮するとディフューザベーンとファンケーシングの内壁とは気密に接触し合っていることが望ましい。

従来、ファンケーシングの内壁にディフューザベーンの端縁の形状に対応する溝が形成され、この溝内にディフューザベーンの端縁が嵌入された電動送風機が知られている（例えば、特許文献１参照）。
このような電動送風機によれば、溝のない平坦なファンケーシングの内壁に対してディフューザベーンの端縁が単に当接しているものに比べてディフューザベーンとファンケーシングとの間の気密性は高まると考えられる。

特開平６−１９３５９５号公報

しかしながら、従来の電動送風機（例えば、特許文献１参照）おいては、一般に、ファンケーシングは金属板のプレス成形品であるために、その板厚が不均一になったり歪みを生じたりする場合がある。また、ディフューザは樹脂成形品であるために、ファンケーシングには、ヒケ、ショートモールド、変形等が生じる場合がある。したがって、従来の電動送風機においては、ファンケーシングの溝内でディフューザベーンとファンケーシングとの間に隙間が生じて気密性が維持できずに送風効率が低下するおそれがある。

そこで、本発明の課題は、従来のものと比べて送風効率を確実に向上させることができる電動送風機及びこれを備えた電気掃除機を提供することにある。

前記課題を解決する本発明の電動送風機は、電動機によって回転して空気流を送出する羽根車と、前記電動機を収納するハウジングと、前記羽根車の外周側を囲むように配置されて前記羽根車から送出される空気流を前記ハウジング内の通風路に導くディフューザと、前記羽根車及び前記ディフューザを外方から覆うように設けられるファンケーシングと、リング状に形成され、前記ディフューザと前記ファンケーシングとの間に配置されるリング状部材と、を備え、前記ディフューザは、前記リング状部材に対して板面が向き合うように配置される略円環状の仕切板と、前記仕切板の板面から前記リング状部材側に向けて立ち上がる板体で形成される複数のディフューザベーンと、を有し、前記ディフューザベーンの先端には面取り部が形成されており、前記リング状部材には、前記ディフューザベーンの端部が挿入されるベーン挿入溝が複数形成され、前記ディフューザベーンの端部は、前記ベーン挿入溝内で前記リング状部材に対して接合されていることを特徴とする。

また、本発明に係る電気掃除機は、前記電動送風機を備えたことを特徴とする。

本発明によれば、従来のものと比べて送風効率を確実に向上させることができる電動送風機及びこれを備えた電気掃除機を提供することができる。

実施形態に係る電気掃除機の構成を示す斜視図である。 実施形態に係る電気掃除機に内設された電動送風機の配置構成を示す概略図である。 実施形態に係る電動送風機の構成を示す斜視図である。 実施形態に係る電動送風機の内部構成を示す縦断面図である。 （ａ）は、ディフューザの構成を示す斜視図であり、（ｂ）は、（ａ）のＢ部拡大図である。 （ａ）は、実施形態で用いるリング状部材の設置構成を示す斜視図であり、（ｂ）は、リング状部材の下面の構成を示す斜視図である。 ディフューザベーンとリング状部材とが溶着した様子を示す図４のＡ部拡大図である。 図７のＣ部拡大図である。

次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態（以下、実施形態という）に係る電気掃除機及び電動送風機について説明する。
なお、本発明の電気掃除機は、後に詳しく説明する電動送風機（図２中、符号７）を有するものであれば、サイクロン式の電気掃除機であっても紙パック式の電気掃除機であっても構わない。以下に、本発明の一例としてサイクロン式の電気掃除機について説明する。

≪電気掃除機の全体構成≫
図１は、実施形態に係る電気掃除機の構成を示す斜視図であり、図２は、実施形態に係る電気掃除機に内設された電動送風機の配置構成を示す概略図である。
図１に示すように、本実施形態に係る電気掃除機１は、掃除機本体２と、ホース３と、操作管４と、延長管５と、吸込具６とを含んで構成されている。

掃除機本体２は、吸引力を発生させる後記の電動送風機７（図２参照）、この電動送風機７の吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部１１等を備えている。
ホース３の一端は、掃除機本体２の集塵部１１と連通するように掃除機本体２の吸込口２０に接続されている。また、ホース３の他端は、操作管４の一端に接続されている。
電気掃除機１は、操作管４の手元操作スイッチＳＷを操作することによって、電動送風機７（図２参照）の運転の強弱切り替え等が可能となっている。

延長管５は、外管と内管とを備え、外管の他端部に内管の一端部が挿入されて伸縮自在になっている。なお、図１は、延長管５が最短の状態を図示している。
吸込具６は、例えば、床面等の被清掃面と接触する回転式のブラシ（図示省略）を収容するケース６ａ、このケース６ａと回動自在に連結され、延長管５と着脱可能に接続される継手部６ｂ等で構成されている。

この電気掃除機１は、ゴミや塵埃等を、掃除機本体２内に設けた後記の電動送風機７（図２参照）による送風を利用した吸引力で吸込具６から延長管５及びホース３を介して掃除機本体２内の集塵部１１に収集する。

図２に示すように、掃除機本体２は、前記の集塵部１１と、吸引力を発生させる電動送風機７を内在する電動送風機室１２とを有している。掃除機本体２は、清掃作業を行う横置き状態において、前側に吸込口２０及び集塵部１１が配置され、後側に電動送風機室１２が配置されている。

集塵部１１は、サイクロン式のものであり、公知の技術を適用でき、塵埃分離部１１ａと、塵埃収容部１１ｂとを備えている。塵埃分離部１１ａは、遠心力によって軽い塵埃と重い塵埃とに分離される。塵埃収容部１１ｂは、集塵かご１１ｃを備え、重い塵埃を捕集するものである。

このような集塵部１１においては、塵埃分離部１１ａによって分離された軽い塵埃に同伴した空気は、塵埃収容部１１ｂを通らずにフィルタＦに向かい、塵埃分離部１１ａによって分離された重い塵埃は、塵埃収容部１１ｂの集塵かご１１ｃに捕集され、捕集後の空気が集塵かご１１ｃを通過してフィルタＦに向かう。そして、フィルタＦを通過した空気は、次に説明する電動送風機７の送風機入口１７に吸い込まれる。なお、フィルタＦは、例えば、高密度のＨＥＰＡフィルタ（High Efficiency Particulate Air Filter）を用いることができる。

≪電動送風機の構成≫
図３は、実施形態に係る電動送風機の構成を示す斜視図であり、図４は、実施形態に係る電動送風機の内部構成を示す縦断面図である。
図３に示すように、電動送風機７は、ファンケーシング４３と、ハウジング３３とが一体に設けられた略円筒形状の外郭を有すると共に、この外郭内に後記の電動機２１（図４参照）と、送風機２２（図４参照）とを備えて構成されている。図３中、符号１７は送風機入口であり、符号１８は送風機出口であり、符号４２はディフューザであり、符号４２ａはディフューザベーンであり、符号４２ｂは仕切板であり、符号４８はリング状部材であり、符号４９は気密部材である。

なお、ここでは、電動送風機７が、掃除機本体２（図２参照）に対して、上下方向に配置されているものとして（すなわち、掃除機本体２に対して、ファンケーシング４３を上側に配置し、電動機２１を下側に配置された状態になっているものとして）、説明している。そのため、電動送風機７を構成する各構成要素の方向は、この電動送風機７の上下方向の配置に準じて説明されている。しかしながら、電動送風機７は、例えば、掃除機本体２に対して、前後方向に配置することもできる。この場合は、電動送風機７を構成する各構成要素の方向は、電動送風機７の前後方向の配置に準じて読み替えられるものとする。

＜電動機の構成＞
まず、電動送風機７の構成要素のうち電動機２１の構成について説明する。
図４に示すように、電動機２１は、回転軸２６に固定された羽根車４０を回転させるための電動モータである。この電動機２１は、回転子２３、固定子２４、整流子２５、回転軸２６及び軸受２７，２８を備えている。また、電動機２１は、それぞれ後記するカーボンブラシ２９、バネ３０、ピグテール３１、ハウジング３３、ブラシホルダ３４及びエンドブラケット３５を備えている。

回転子２３は、電機子あるいはロータともいわれる部材であり、回転軸２６の中央部分に固定されている。
固定子２４は、外周が角形の固定子鉄心に固定子巻線を巻装して構成され、ハウジング３３内の回転子２３の外側に固定されている。
整流子２５は、回転子２３の下側に設けられている。
回転軸２６は、回転子２３と整流子２５と羽根車４０とが取り付けられて、電動機２１が回転駆動したときに一体に回転する。
軸受２７，２８は、回転子２３の上側の回転軸２６の一端部と、整流子２５の下側の他端部とをそれぞれ軸支する一対の部材から成る。

カーボンブラシ２９は、整流子２５に摺接するように整流子２５の外周側に配置されている。
バネ３０は、カーボンブラシ２９の外周側に配置されて、カーボンブラシ２９を整流子２５側に押圧する付勢手段である。
ピグテール３１は、カーボンブラシ２９と電気的に接続されている。

ハウジング３３は、電動機２１を収納すると共に軸受２７を保持する略カップ形状の金属製ケースからなる。このハウジング３３の周壁には、排気口である送風機出口１８が形成されている。前記の送風機入口１７から吸い込まれた空気はこの送風機出口１８から排出されることとなる。
送風機２２側の開口の周縁部には、エンドブラケット３５の外周縁部とファンケーシング４３の下側開口部とが連結されている。

ハウジング３３の内側には、その内周壁と固定子２４との間に、軸方向の通風路Ｒ１が形成されている。さらに、固定子２４と回転子２３との間にも軸方向の通風路Ｒ２が形成されている。この通風路Ｒ２には、送風機入口１７から空気流路（ディフューザ流路）４７と曲がり流路４３ａとリターン流路４２ｇとを通って流れて来た空気の一部が、カバー体４４によってハウジング３３の後方（流れ方向下流側）へ導かれて流れるようになっている。

ブラシホルダ３４は、カーボンブラシ２９を保持してハウジング３３に固定する部材であり、ハウジング３３の外周に設けられている。
エンドブラケット３５は、軸受２８を保持するための金属製部材であり、中央部に回転軸２６が挿通された軸受２８を収容する凹形状部と、回転軸２６に外嵌されたカバー体４４とを有している。エンドブラケット３５は、ハウジング３３とファンケーシング４３とからなる筐体において、この筐体を、電動機２１側と送風機２２側とに区画するように設置されている。

＜送風機の構成＞
次に、電動送風機７の構成要素のうち送風機２２の構成について説明する。
図４に示すように、送風機２２は、電動機２１の回転軸２６に直結されて回転する羽根車４０と、この羽根車４０の外周側に固定設置されるディフューザ４２と、このディフューザ４２のディフューザベーン４２ａに接合されるリング状部材４８と、羽根車４０、ディフューザ４２及びリング状部材４８を覆うと共に送風機入口１７が形成されるファンケーシング４３と、を備えている。

（羽根車）
羽根車４０は、遠心力を利用する略環状形状の遠心型羽根車であり、回転が高速になると、羽根車４０の内側の圧力上昇が大きくなり、送風機入口１７から空気を吸い込むように構成されている。吸い込まれた空気は、羽根車４０を通じて外周側に高速の空気流となってディフューザ４２側に送出される。羽根車４０は、ナット４１で回転軸２６の上端に取り付けられ、回転軸２６と一体に回転する。

（ディフューザ）
ディフューザ４２は、羽根車４０の回転で流動した空気のもつ運動エネルギーを圧力エネルギーに変換する空気流路４７を形成すると共に、このディフューザ４２とその周囲に配置されたファンケーシング４３の内壁とでその空気を電動機２１側に送る流路（曲がり流路４３ａ及びリターン流路４２ｇ）を形成する部材である。
ディフューザ４２は、略円環状の仕切板４２ｂと、この仕切板４２ｂの板面に沿う方向に細長の板体で形成され、この仕切板４２ｂの板面上に立設されるディフューザベーン４２ａとが、一体形成された構成となっている。このディフューザベーン４２ａについては、後に詳しく説明する。
また、ディフューザ４２は、ディフューザベーン４２ａに対して仕切板４２ｂを挟んで対面に配置される複数のリターンベーン４２ｆが仕切板４２ｂと一体に形成されている。つまり、本実施形態でのディフューザ４２は、ディフューザベーン４２ａと仕切板４２ｂとリターンベーン４２ｆとが一体になった樹脂成形品である。ディフューザ４２を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が望ましく、特に結晶化するポリスチレンであるシンジオタクチックポリスチレン樹脂（ＳＰＳ）が望ましい。

（ディフューザベーン）
図５（ａ）は、ディフューザの構成を示す斜視図であり、図５（ｂ）は、図５（ａ）のＢ部拡大図である。ちなみに、図５（ａ）及び（ｂ）は、後記するリング状部材４８（図６（ｂ）参照）と超音波溶着する前の状態を示す斜視図及びＢ部拡大図である。
図５（ａ）に示すように、ディフューザベーン４２ａは、仕切板４２ｂの半径方向外側に僅かに凸となるように湾曲する細長矩形の板体で構成され、仕切板４２ｂの外周縁に沿って複数並ぶように仕切板４２ｂの板面上に立設されている。

更に詳しく説明すると、仕切板４２ｂの周方向に隣接し合うディフューザベーン４２ａ同士は、仕切板４２ｂの周方向に所定の間隔を開けて重なる部分を設けながら、仕切板４２ｂの周方向に相対的にずれるように配置されている。そして、ディフューザベーン４２ａの板面の延在する方向（細長矩形の長辺方向）が、仕切板４２ｂの接線方向に対して傾斜するように配置されることで、周方向に隣接し合うディフューザベーン４２ａ同士の間隔は、仕切板４２ｂの半径方向外側に向かうほど広くなっている。

つまり、ディフューザベーン４２ａ間に形成されることとなる空気流路（ディフューザ流路）４７は、空気流の上流側となる仕切板４２ｂの半径方向内側から、空気流の下流側となる仕切板４２ｂの半径方向外側に向けて徐々に広がるように形成されている。
このようなディフューザ４２は、空気流路４７の入口から出口に向けて断面積を徐々に拡大することにより、空気の流速を落として、空気の圧力を増加させる機能を有することとなる。

ディフューザベーン４２ａには、ボス４２ｅが形成されている。このボス４２ｅは、後記するリング状部材４８（図６（ｂ）参照）の位置決め孔４８ｃ（図６（ｂ）参照）に嵌入させるものである。そして、ボス４２ｅは、図５（ａ）及び（ｂ）に示すように、仕切板４２ｂの板面から立ち上がるディフューザベーン４２ａの頂面４２ｄ（仕切板４２ｂの板面と対向する面）から突出するように形成されている。このボス４２ｅの突出高さは、後記する溶着リブ４２ｃの高さよりも高くなるように設定されている。

本実施形態でのボス４２ｅは、仕切板４２ｂの半径方向で互いに対向する１組のディフューザベーン４２ａにそれぞれ設けられている。なお、ボス４２ｅは、複数のディフューザベーン４２ａのうちの少なくとも２つに設けられていれば、特に制限はなく、３つ以上のディフューザベーン４２ａに設けられることもできる。
これらのボス４２ｅは、図５（ｂ）に示すように、ディフューザベーン４２ａ間に形成される空気流路４７の中央部よりも出口側に寄った位置に形成され、特に空気流路４７の出口に隣接するように設けられるものが望ましい。

また、図５（ａ）及び（ｂ）に示すように、後記のリング状部材４８と接合する前のディフューザベーン４２ａには、溶着リブ４２ｃ及び面取り部４２ｈが形成されている。これら溶着リブ４２ｃ及び面取り部４２ｈは全てのディフューザベーン４２ａに設けられている。
溶着リブ４２ｃは、ディフューザベーン４２ａの頂面４２ｄから突出するように形成される。本実施形態での溶着リブ４２ｃは、ディフューザベーン４２ａの長辺の長さ方向の全体にわたって延在するように設けられている。ちなみに、この溶着リブ４２ｃは、ディフューザベーン４２ａの厚さ方向の略中央に設けられていることが望ましいが、後記するディフューザベーン４２ａとリング状部材４８との溶着を阻害しないかぎり、厚さ方向のいずれかに偏倚して設けることもできる。
また、溶着リブ４２ｃの断面形状は、特に制限はないが、後記する三角形の溶着リブ４２ｃ（図８参照）、台形の溶着リブ４２ｃ（図示省略）、半円形の溶着リブ４２ｃ（図示省略）、半楕円形の溶着リブ４２ｃ（図示省略）が望ましい。
本実施形態での面取り部４２ｈは、頂面４２ｄの全周縁にわたってその角部が面取り加工されて形成されたものである。この面取り部４２ｈは、後記するようにリング状部材４８とディフューザベーン４２ａとを溶着する際に、溶融した溶着リブ４２ｃが溶着部からはみ出てバリが形成されるのを防止するものであり、溶融した溶着リブ４２ｃを逃がすように面取り加工されたものである。

（リング状部材）
図６（ａ）は、実施形態で用いるリング状部材の設置構成を示す斜視図であり、図６（ｂ）は、リング状部材の下面の構成を示す斜視図である。
図６（ａ）に示すように、リング状部材４８は、前記したように略円環状の部材であって、ディフューザ４２のディフューザベーン４２ａと接合されることにより、図３に示すように、ディフューザ４２とファンケーシング４３との間に介在することとなる。
そして、リング状部材４８は、前記したように、仕切板４２ｂとの間で複数のディフューザベーン４２ａに区画されて空気流路４７を形成している。図６（ａ）中、符号４８ｃは、次に説明するベーン挿入溝４８ａ内に穿たれてリング状部材４８の表裏を貫通する位置決め孔４８ｃである。

図６（ｂ）に示すように、リング状部材４８の下面、つまりディフューザベーン４２ａ（図６（ａ）参照）と対向する側には、複数のベーン挿入溝４８ａが形成されている。
このベーン挿入溝４８ａは、ディフューザベーン４２ａ（図６（ａ）参照）に対応する位置で、ディフューザベーン４２ａの頂面４２ｄ（図５（ａ）参照）側の端部が収まる形状を呈している。

ベーン挿入溝４８ａ内には、ディフューザベーン４２ａのボス４２ｅが嵌入される位置決め孔４８ｃが形成されている。つまり、位置決め孔４８ｃは、図６（ａ）に示す空気流路４７の中央部よりも出口側に寄った位置に形成されることとなる。

本実施形態でのリング状部材４８の材料としては、熱可塑性樹脂が望ましく、前記のディフューザに使用される熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂が望ましい。ここで、樹脂は電動機より発生する熱による変形等を防ぐため、繊維強化されたもの、例えば、マトリックスとなる樹脂にガラス繊維が１５〜４０質量％程度含まれているものであるとより望ましい。

＜ディフューザとリング状部材との接合＞
前記したように、ディフューザベーン４２ａ（図５（ａ）参照）の頂面４２ｄ（図５（ａ）参照）側の端部が、ベーン挿入溝４８ａ（図６（ｂ））内に挿入されると共に、ボス４２ｅ（図５（ａ）参照）が、位置決め孔４８ｃ（図６（ｂ））内に嵌入される。これにより、図６（ａ）に示すように、ディフューザ４２に対するリング状部材４８の溶着位置が設定される。

次に、図６（ａ）のリング状部材４８側からディフューザ４２側に振動が伝達されるように、リング状部材４８に超音波溶着機のホーン（図示省略）が押し当てられると、図５（ａ）に示す溶着リブ４２ｃは、摩擦熱により溶融する。
図７は、ディフューザベーンとリング状部材とが溶着した様子を示す図４のＡ部拡大図であり、図８は、図７のＣ部拡大図である。
図７に示すように、ディフューザ４２のディフューザベーン４２ａの頂面４２ｄは、ベーン挿入溝４８ａ内で溶融した溶着リブ４２ｃ（図５（ａ））がその後に冷却されて硬化することによってリング状部材４８と溶着する。なお、図７中、符号４２ｂは仕切板であり、符号４９はファンケーシング４３とリング状部材４８との間をシールする気密部材である。

また、溶融した溶着リブ４２ｃは、図８に示すように、ディフューザベーン４２ａとリング状部材４８との間に溶着分を残し、この溶着分以外の余剰分が面取り部４２ｈに受け入れられ、この面取り部４２ｈを埋める。

そして、ベーン挿入溝４８ａの幅をａ１とし、ベーン挿入溝４８ａの深さをｂ１とし、ディフューザベーン４２ａの厚さをａ２とし、ディフューザベーン４２ａに形成された面取り部４２ｈの高さ方向の長さをｂ２とすると、ａ１、ａ２、ｂ１、及びｂ２は、
ａ１＞ａ２、かつｂ１＞ｂ２
の関係式を満たすことが望ましい。

また、ベーン挿入溝４８ａへディフューザベーン４２ａを挿入した際の隙間の断面積Ｓは、（ベーン挿入溝４８ａの断面積）−（ディフューザベーン４２ａが溝へ挿入される面積）＋（面取り部４２ｈの断面積）となるため、Ｓ＝（ａ１×ｂ１）−（ａ２×ｂ１）＋（ａ３×ｂ２）で表すことができる。本実施形態によれば、溶着リブ４２ｃの断面積が前記Ｓよりも小さく、（溶着リブ４２ｃの断面積）＜Ｓ＝（ａ１×ｂ１）−（ａ２×ｂ１）＋（ａ３×ｂ２）という関係を有している。これにより、溶着リブ４２ｃが溶融した際にベーン挿入溝４８ａ及びディフューザベーン４２ａ間の隙間に収まることが可能となる。
なお、ベーン挿入溝４８ａとディフューザベーン４２ａのどの箇所の断面積においても前記の関係が成り立つため、体積で考慮した際もベーン挿入溝４８aとディフューザベーン４２ａ間にできる体積よりも溶着リブ４２ｃの体積が小さくなる。
また、ベーン４８ａ挿入溝の深さｂ１は、ディフューザベーン４２ａの先端に設けた面取り部４２ｈの高さｂ２よりも大きくｂ１＞ｂ２となっていることより、ディフューザ４２と４２とリング状部材４８の溶着後において、ベーン挿入溝４８ａ内へディフューザベーン４２ａの先端に設けた面取り部４２ｈが位置することより、主流路上に面取り部４２ｈが位置することが無く、空気の流れに悪影響を及ぼすことはない。

次に、本実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１の奏する作用効果について説明する。
本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、ディフューザベーン４２ａの端部がリング状部材４８のベーン挿入溝４８ａ内で溶着しているので、ディフューザベーン４２ａとリング状部材４８との間には、従来の電動送風機及びこれを備えた電気掃除機と異なって、気密性が確実に得られることとなる。よって、本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、吸引時の送風効率を従来と比較してより確実に向上させることができる。

また、本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、ディフューザベーン４２ａの端部は、溶着リブ４２ｃが超音波溶着装置等によって振動溶融することでリング状部材４８と接合されるので、より確実にかつ簡単な工程でディフューザベーン４２ａとリング状部材４８との間の気密性が得られることとなる。

また、本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、ディフューザベーン４２ａのボス４２ｅをリング状部材４８の位置決め孔４８ｃに嵌入することで、リング状部材４８に対するディフューザベーン４２ａの位置決めを容易にかつ迅速に行うことができる。

また、本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、ディフューザベーン４２ａの端部に面取り部４２ｈを有しているので、振動摩擦により溶着リブ４２ｃが溶融し、これによりリング状部材４８とディフューザベーン４２ａとが溶着される際に、はみ出た余剰の溶融物が面取り部４２ｈに収まることとなる。よって、はみ出た余剰の溶融物がバリとなって形成されるのを防止することができる。

ここで、ボス４２ｅの存在により、万一このボス４２ｅの近傍に位置する溶着リブ４２ｃの溶融が不十分になって、仮にリング状部材４８とディフューザベーン４２ａとの間に隙間が形成された場合を想定する。この場合において、ボス４２ｅ及び位置決め孔４８ｃが空気流路４７の下流側に設けられた電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、空気流路４７の下流側は、空気流が低速になっているので、この隙間から漏れ出る空気量は低減される。よって、この隙間の形成による送風効率の低下は抑制される。

また、本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１においては、ベーン挿入溝４８ａの幅をａ１とし、ベーン挿入溝４８ａの深さをｂ１とし、ディフューザベーン４２ａの厚さをａ２とし、ディフューザベーン４２ａに形成された面取り部４２ｈの高さ方向の長さをｂ２とすると、ａ１、ａ２、ｂ１、及びｂ２は、
ａ１＞ａ２、かつｂ１＞ｂ２
の関係式を満足するものが想定される。
この電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、面取り部４２は、ベーン挿入溝４８ａ内に完全に収まることとなる。よって、万一、面取り部４２から前記溶融物がはみ出て、バリを形成したとしても、このバリはベーン挿入溝４８ａ内に収まることが多い。つまり、このバリによって空気流路４７における空気の流れが阻害することが防止される。

また、本発明の実施形態に係る電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１においては、面取り部４２ｈの幅方向の長さをａ３とすると、ａ３は、
ａ３<ｂ２
（但し、式中、ｂ２は前記と同義である）
の関係式を満たすものが想定される。
この電動送風機７及びこれを備えた電気掃除機１によれば、はみ出た前記溶融物は、重力によって面取り部４２内に収まりやすくなる。よって、万一、バリが形成されたとしても横方向に張り出すバリの形成は防止される。つまり、このバリによって空気流路４７における空気の流れが阻害することが防止される。

本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

１ 電気掃除機
２ 掃除機本体
７ 電動送風機
２１ 電動機
２２ 送風機
３３ ハウジング
４０ 羽根車
４２ ディフューザ
４２ａ ディフューザベーン
４２ｂ 仕切板
４２ｃ 溶着リブ
４２ｄ 頂面
４２ｅ ボス
４２ｈ 面取り部
４３ ファンケーシング
４７ 空気流路
４８ リング状部材
４８ａ ベーン挿入溝
４８ｃ 位置決め孔
Ｒ１ 通風路
Ｒ２ 通風路

Claims (5)

1. 電動機によって回転して空気流を送出する羽根車と、
   前記電動機を収納するハウジングと、
   前記羽根車の外周側を囲むように配置されて前記羽根車から送出される空気流を前記ハウジング内の通風路に導くディフューザと、
   前記羽根車及び前記ディフューザを外方から覆うように設けられるファンケーシングと、
   リング状に形成され、前記ディフューザと前記ファンケーシングとの間に配置されるリング状部材と、を備え、
   前記ディフューザは、前記リング状部材に対して板面が向き合うように配置される略円環状の仕切板と、
   前記仕切板の板面から前記リング状部材側に向けて立ち上がる板体で形成される複数のディフューザベーンと、を有し、
   前記ディフューザベーンの先端には面取り部が形成されており、
   前記リング状部材には、前記ディフューザベーンの端部が挿入されるベーン挿入溝が複数形成され、
   前記ディフューザベーンの端部は、前記ベーン挿入溝内で前記リング状部材に対して接合されている
   ことを特徴とする電動送風機。
2. 請求項１に記載の電動送風機において、
   前記面取り部の高さをｂ２とし、前記ベーン挿入溝の深さをｂ１とした際に、ｂ１＞ｂ２の関係となることを特徴とする電動送風機。
3. 請求項１に記載の電動送風機において、
   前記ディフューザベーンの端部には、予め溶着リブが形成され、前記ディフューザベーンは、振動摩擦により前記溶着リブが溶融されて、前記リング状部材と接合されることを特徴とする電動送風機。
4. 請求項１に記載の電動送風機において、
   前記ディフューザベーンには、前記リング状部材に設けられた位置決め孔に嵌入される少なくとも２つのボスが形成されていることを特徴とする電動送風機。
5. 請求項１ないし請求項４のいずれか１項に記載の電動送風機を備えることを特徴とする電気掃除機。

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