JP2015037097A - 太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれからなる太陽電池保護膜 - Google Patents

太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれからなる太陽電池保護膜 Download PDF

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Abstract

【課題】苛酷な自然環境に対する優れた耐久性(とくには耐加水分解性)とフッ素系樹脂を塗布する高温処理での平面安定性に優れた太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムの提供。【解決手段】ポリエチレンテレフタレートをポリマー成分とする二軸配向フィルムであり、該二軸配向フィルムの重量平均分子量が40,000〜55,000かつ末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンであり、融解サブピークTsmが200℃〜215℃、200℃で10分間熱処理したときのフィルム幅方向の熱収縮率が0.0%〜2.3%であって、温度85℃、湿度85%RHで2500時間エージングしたときの伸度保持率が50%以上である太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムによって得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれからなる太陽電池保護膜に関し、さらに詳しくはフッ素系樹脂塗布層がポリエステルフィルムの少なくとも片面に形成されてなる太陽電池保護膜に好適な太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれからなる太陽電池保護膜に関する。
近年、太陽光発電システムは、クリーンエネルギーを利用する発電手段の一つとして普及が進んでいる。太陽電池モジュールの構造は、一般的には受光側の透明前面基板と、充填材、太陽電池素子、充填材および裏面保護膜等を順に積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法にて製造される(例えば特許文献1)。この太陽電池モジュールには、さらに太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックスや、太陽電池モジュールの強度向上のために金属フレーム等が取り付けられる。
太陽電池モジュールの部材の裏面保護膜には、太陽電池モジュールの保護機能を有し、機械的特性に優れ、かつ耐候性、耐熱性および耐加水分解性等の諸特性を備えていることが必要とされる。現在、太陽電池用裏面保護膜として、強度特性に優れたプラスチックシートを複数枚積層した複合シートが一般的に使用され、中でも従来からポリエステル基材層(具体的にはポリエチレンテレフタレート、PET)とフッ素系樹脂層(具体的にはポリフッ化ビニル、PVF)の複合シートが広く用いられてきた。このような複合シートの製造方法としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に予備形成された2枚のPVFシートをラミネートする方法、ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にフッ化ビニル組成物をコーティングする方法(特表2010−513681)などが挙げられる。中でも、長年にわたる屋外暴露でも剥離しない良好な密着性が得られ、製造コストも安価であるという点から後者のコーティングによる方法が近年注目を集めている。
しかしながら、コーティングによる方法ではフッ素系ポリマー粒子が連続した膜へと凝集するのに十分に高い温度までフッ素系ポリマーを加熱することが必要であり、被膜中のフッ素系ポリマーは約150℃〜約250℃の温度まで加熱されるため、基材のポリエステルフィルムの平面性に影響を及ぼすこと、平面性を高めようとすると本来の耐久性、機械特性に影響することが新たに見出され、解決が望まれている。
特開2007−129014号公報 特表2010−513681号公報
本発明はかかる課題を解決する目的でなされたものであり、苛酷な自然環境に対する優れた耐久性(とくには耐加水分解性)とフッ素系樹脂を塗布する高温処理での平面安定性に優れた太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムに関する。
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、かかるフッ素系樹脂のコーティングはロールツーロール法で行われるため、フッ素系樹脂を高温で塗布する際、フィルムが拘束されていない幅方向にフィルムが歪み、平面性が損なわれること、かかる平面性を改良するために、熱固定時の温度調整により延伸フィルムの歪みを減らそうとすると耐久性の低下につながることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の目的は、ポリエチレンテレフタレートをポリマー成分とする二軸配向フィルムであり、該二軸配向フィルムの重量平均分子量が40,000〜55,000かつ末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンであり、融解サブピークTsmが200℃〜215℃、200℃で10分間熱処理したときのフィルム幅方向の熱収縮率が0.0%〜2.3%であって、温度85℃、湿度85%RHで2500時間エージングしたときの伸度保持率が50%以上である太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムによって達成される。
さらに本発明によれば、本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムの好ましい態様として5%伸長時応力(F5値)がフィルム長手方向、幅方向ともに100MPa以上であり、かつ破断点応力が長手方向、幅方向ともに240MPa以上であること、200℃で10分間熱処理したときのフィルム長手方向の熱収縮率が2.5%〜8.0%であること、の少なくともいずれかを具備する太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムも包含される。
また本発明には本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムを用いた太陽電池保護膜も包含され、その好ましい態様として該太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムの少なくとも片面にフッ素系樹脂塗布層が形成されてなる太陽電池保護膜も包含される。
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、フッ素系樹脂塗布層形成のための高温処理工程において優れた平面安定性をそなえ、しかも高温・多湿な環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が小さいことから、コーティング法によるフッ素系樹脂層の形成に適した太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれからなる太陽電池保護膜を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリエチレンテレフタレート二軸配向フィルム]
本発明の二軸配向フィルムはポリエチレンテレフタレートをポリマー成分とする二軸配向フィルムである。本発明におけるポリエチレンテレフタレートは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であるポリエステルである。主たる繰り返し単位とはポリエステルを構成する全繰り返し単位のうち90モル%以上、好ましくは95モル%以上、特に好ましくは97モル%以上の繰り返し単位をいう。エチレンテレフタレート単位の占める割合が下限に満たないと、フィルムの耐熱性や耐加水分解性が低下することがある。
本発明におけるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸をジカルボン酸成分とし、エチレングリコールをジオール成分としてなるが、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位である範囲で他の成分を共重合成分として含んでもよく、共重合成分はジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。
共重合成分のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を例示することができる。
共重合成分のジオール成分としては、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールを例示することができる。
本発明においてフィルムの製造に用いるポリエチレンテレフタレートの極限粘度数は、好ましくは0.64〜0.88dl/g、さらに好ましくは0.70〜0.85dl/gである。フィルムの製造に用いるポリエチレンテレフタレートの極限粘度数が下限に満たないと、得られるフィルムのポリエチレンテレフタレートの重量平均分子量を本発明で規定する下限値以上にすることが困難であり、太陽電池保護膜として十分な耐加水分解性が発現しないことがある。他方、フィルムの製造に用いるポリエチレンテレフタレートの極限粘度数が上限値より高いと、未延伸フィルムを得るための溶融押出が難しくなる。
かかるポリエチレンテレフタレートの極限粘度数は、試料を重量比6:4のフェノール:トリクロロエタン混合溶媒に溶解後、35℃での測定値から求めた値である。
また本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、太陽電池保護膜の基板として用いた場合の強度の観点から二軸配向フィルムであることを要する。
(重量平均分子量)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、該フィルムの重量平均分子量が40,000〜55,000であることが肝要である。重量平均分子量が40,000未満であるとフィルムの耐加水分解性が不十分となる。他方、重量平均分子量が55,000を超える二軸配向フィルムを作製するには、さらに高重合度のポリエステル原料が必要であり重合時間が長くなり、またフィルムの製造工程においても原料の溶融粘度が高いために生産効率が上がらず不経済となる。かかる重量平均分子量は40,000〜53,000であることが好ましく、より好ましくは41,000〜52,000、さらに好ましくは43,000〜52,000である。
かかる重量平均分子量は、二軸配向フィルムのポリエチレンテレフタレートについて後述する方法で測定した値である。本発明のポリエステルフィルムが複数のポリエステル層で構成される場合は、全層フィルムで測定した重量平均分子量が上述の範囲となることが肝要である。
(末端カルボキシル基濃度)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、該フィルムの末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンであり、好ましくは6〜27当量/トン、より好ましくは6〜23当量/トン、さらに好ましくは10〜23当量/トンの範囲である。
末端カルボキシル基濃度が上限を超えるとフィルムの耐加水分解性が十分ではなく、高温・多湿の条件下において長時間使用する場合にフィルムの物理的性質が低下し易くなるため、太陽電池保護膜として必要な耐久性が得られない。他方、末端カルボキシル基濃度6当量/トン未満のフィルムを得るためにはさらに末端カルボキシル基濃度の少ないポリエステルを原料とする必要があり、原料の重合時間が長く不経済である。
かかる末端カルボキシル基濃度は、二軸配向フィルムのポリエチレンテレフタレートについて後述する方法で測定した値である。本発明のポリエステルフィルムが複数のポリエステル層で構成される場合は、全層フィルムで測定した末端カルボキシル基濃度が上述の範囲となることが肝要である。
フィルムでの末端カルボキシル基濃度をかかる範囲にするためには、原料となるポリエチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度を調整することに加え、溶融押出温度を300℃を超えない範囲とすることが挙げられる。
(融解サブピーク(Tsm))
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムの融解サブピーク温度(Tsm)は200℃〜215℃であり、好ましくは200℃〜210℃、より好ましくは202℃〜210℃である。
融解サブピーク温度とは、示差走査熱量計測定による結晶融解前に現れる微小吸熱ピークであり、この融解サブピーク(Tsm)はフィルムの熱固定温度に相当する温度に微小ピークとして観測され、熱固定処理で形成された結晶構造のうち不完全な部分(擬結晶)が融解するために生じるものである。融解サブピーク温度がかかる範囲にあることによって、本発明の耐加水分解性およびフッ素系樹脂コーティング工程における平面安定性を得ることができる。かかる融解サブピークは後に述べる製造方法のとおり、特定温度範囲で熱固定処理を行うことで得られる。
融解サブピークが下限値に満たないと、200℃の温度領域での熱収縮率が高くなり、フッ素系樹脂をコーテッィングする工程においてポリエステルフィルムの平面性が損なわれる。他方、融解サブピークが上限値を超えると、フッ素系樹脂をコーテッィングする工程でのフィルム平面性は優れるもののフィルムの耐加水分解性が低下し、高温・多湿の条件下において長期使用をする場合にフィルムの物理的性質が低下し易くなる。
(フィルム幅方向の熱収縮率)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、該フィルムを200℃で10分間熱処理したときのフィルム幅方向の熱収縮率が0.0%〜2.3%、好ましくは0.2%〜1.8%、より好ましくは0.2%〜1.5%、さらに好ましくは0.2%〜1.3%である。フッ素樹脂コーティング工程における平面安定性の観点から、フィルム幅方向の熱収縮率はかかる範囲内で低いほど好ましい。200℃でのフィルム幅方向の熱収縮率が上限を超えると、このコーティング工程においてポリエステルフィルムが幅方向に収縮し、ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂塗布層との複合シートに撓みが発生して平面性が損なわれる。
かかるフッ素系樹脂のコーティングはロールツーロール方式で行うのが一般的であり、この場合、幅方向にはフィルムが拘束されていないため幅方向に熱収縮が起こり易く、本発明のポリエステルフィルムの幅方向の200℃での熱収縮率を低くすることが重要である。
200℃の高温加熱下で熱収縮率を本発明の範囲とするためには、ポリエステルフィルムの重量平均分子量を本発明の範囲にし、後に述べる製造方法にてフィルムを製造すればよい。
(フィルムの耐加水分解性)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、該フィルムを温度85℃、湿度85%RHで2500時間エージングしたときの伸度保持率が50%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。温度85℃、湿度85%RHの環境下において2500時間のエージングは、概ね25年間の屋外暴露状態に相当する加水分解性の加速試験であり、前記伸度保持率が50%未満であると、屋外での長期使用において劣化による強度低下により、太陽電池の保護膜としての機能が低下する可能性がある。
かかる伸度保持率特性を得るためには、ポリエステル二軸配向フィルムの重量平均分子量および末端カルボキシル基濃度、融解サブピークが本発明の範囲内となるよう、後に述べる製造方法でフィルムを製造すればよい。
(フィルム長手方向の熱収縮率)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、該フィルムを200℃で10分間熱処理したときのフィルム長手方向の熱収縮率が2.5%〜8.0%であることが好ましく、より好ましくは2.5%〜7.0%、さらに好ましくは2.5%〜6.0%である。
フィルム長手方向の熱収縮率が上限を超えると、得られたポリエステルフィルムとフッ素系樹脂塗布層との複合シートの長手方向の熱収縮率が高くなり、この複合シートを用いて太陽電池をユニット化する場合に配線が曲がったり、太陽電池素子にズレが発生する可能性がある。さらに優れた平面安定性を得るためには、長手方向の熱収縮率が幅方向よりも2.0%〜4.0%高いことが好ましく、さらには2.5%〜3.5%高いことが好ましい。そのため、長手方向の熱収縮率が下限に満たない場合は、かえってフィルム幅方向に熱収縮が起こり易くなり、平面性に影響することもありうるため、長手方向の熱収縮率は2.5%以上に調整するのが好ましい。フィルム長手方向の熱収縮率をかかる範囲にするためには後に述べる製造方法にてフィルムを製造すればよい。
(フィルムの機械強度)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向および幅方向ともに5%伸長時応力(F5値)が100MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは110MPa以上である。
また、本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、長手方向および幅方向ともに破断点応力が240MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは250MPa以上である。
5%伸長時応力および破断点応力が上述の下限値に満たない範囲ではフィルムの配向結晶化が十分でないために、熱収縮特性が好ましい範囲を満たしていても、フッ素系樹脂コーティング工程におけるフィルムの平面安定性に影響する可能性がある。
長手方向および幅方向についてかかる応力特性を得る方法としては、延伸温度、延伸倍率および熱固定温度が影響し、後に述べる製造方法にてフィルムを製造すればよい。
(フィルムの厚み)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムの厚みは特に制限されないが、好ましくは50〜300μm、より好ましくは100〜275μm、特に好ましくは125〜250μmである。フィルム厚みが下限に満たないと、高温のコーティング工程での平面性や耐加水分解性に影響する可能性がある。また、かかるフィルム厚みであることで太陽電池モジュール製造工程でのハンドリングが容易な複合シートを得ることができる。
(添加剤)
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、ハンドリング性を良好にするために滑剤を含有してもよい。滑剤としては、有機物、無機物いずれを用いてもよく、無機物の滑剤としては、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、アルミナの粒子を挙げることができる。分散性と滑り性の観点から、滑剤の平均粒径は、好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.2〜4.0μmである。滑剤の粒子の形状は、板状、球状のいずれでもよい。また、フィルムの隠蔽性を高める目的でも上述の粒子を含有させることができる。
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムには従来公知の添加剤を含有させてもよい。例えば酸化防止剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、難燃剤を含有させることができる。酸化防止剤として、例えばヒンダードフェノール系化合物を、耐加水分解剤としては、例えばカルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、エポキシ化合物が挙げられる。
滑剤や添加剤は、それらを含む塗剤をポリエステルフィルムに塗布する方法でも、ポリエステルフィルム自体に直接含有させる方法でもよく、さらにはポリエステルフィルムを多層構成としその少なくとも1層に滑剤や添加剤を含有させる方法でもよい。
[プライマーコーティング]
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、フッ素系樹脂層との密着性を向上させる目的で、フィルムの片面か両面に易接着性のプライマーコーティングを施してもよい。コーティングの構成材としては、ポリエステルフィルムとフッ素系樹脂の双方に優れた密着性を示す材であることが好ましく、例えばポリエステル樹脂やアクリル樹脂を例示することができ、さらに架橋成分を含有することが好ましい。コーティングには一般的な公知のコーティング方法を用いることができるが、好ましくは、延伸可能なポリエステルフィルムに前述のコーティング用構成成分を含む水性液を塗布した後、乾燥、延伸して、熱処理するインラインコーティング法で行うことが好ましい。形成された易接着性のプライマーコーティング塗膜の乾燥後の厚さは0.01〜1μmであることが好ましい。
[ポリエチレンテレフタレートの製造]
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムを製膜する際に原料として用いるポリエチレンテレフタレートは、従来公知の製造方法に準拠して製造することができる。以下にその一例を示す。
まず、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応により反応させた後に重縮合反応を行う。続いて、発生するアルコールを除去させつつエステル交換反応を実施した後、リン酸化合物などを添加して実質的にエステル交換反応を完了させ、次いで得られた反応生成物にアンチモン化合物などの重合触媒を添加し、重縮合反応を行う。
高い耐加水分解性を備える太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムを得るためには、原料のポリエチレンテレフタレートの極限粘度数が0.64〜0.88dl/gであることが好ましく、重縮合反応により得られた上述のポリエチレンテレフタレートにさらに固相重合を施したポリエチレンテレフタレートを原料として用いることが好ましい。
[ポリエステル二軸配向フィルムの製造]
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、従来公知の製膜法に準拠して製造することができる。以下にその一例を示す。
まず、原料ポリエステルとして用いるポリエチレンテレフタレートを、スリットダイよりフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、得られた未延伸シートを少なくとも2軸方向に延伸する。延伸方法は逐次2軸延伸法でも同時2軸延伸法でもよい。溶融押出温度は(Tm+20)℃〜(Tm+40)℃とするのが好ましく、(Tm+25)℃〜(Tm+25)℃とするのがさらに好ましい。
逐次2軸延伸法の場合を例に説明すると、未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、長手方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はTg〜(Tg+40)℃とするのが好ましく、Tg〜(Tg+30)℃とするのがさらに好ましい。縦延伸後のフィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はTgより高い温度から始める。そして(Tg+5)℃〜(Tg+50)℃に昇温しながら、好ましくは(Tg+5)℃〜(Tg+40)℃に昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
長手方向の延伸倍率は、好ましくは3.2〜3.8倍、さらに好ましくは3.4〜3.6倍である。長手方向の延伸倍率が下限に満たないと本発明の耐加水分解性が得られないことがあり、長手方向の延伸倍率が上限を超えるとフィルムの厚み斑が低下することがある。幅方向の延伸倍率は3.2〜4.2倍、好ましくは3.4〜4.0倍、より好ましくは3.5〜3.8倍である。幅方向の延伸倍率が下限に満たないと本発明の耐加水分解性が得られず、上限を超えるとフィルムの破断が多発し生産性の低下につながる。
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま、(Tm−55)℃〜(Tm−25)℃の温度で5秒間以上熱処理を行う(以下、熱固定と称することがある)。上限より高い温度で熱処理すると、熱収縮率が低くなりフッ素系樹脂コーティング時の平面安定性は良好であるが、耐加水分解性が低下して好ましくない。他方、下限より低い温度で熱処理すると、熱収縮率が大きくなり好ましくない。熱固定時間の上限は生産性およびフィルムの耐加水分解性の観点から1分程度、好ましくは30秒間程度である。
幅方向の熱収縮率を本発明の範囲にする方法として、上記熱処理後、把持したフィルム両端の幅を減少させる方法を用いることが肝要であり、両端の幅を減少させる割合(以下、幅入れと称することがある)は処理前のフィルム幅を基準として5.0%〜8.0%、好ましくは5.0%〜7.0%の範囲である。また幅入れ処理後から室温まで冷却させる工程は、フィルムを担持しながら行ってもよく、フィルム両端を切り落とした状態で行ってもよい。
[フッ素系樹脂塗布層]
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、その少なくとも片面にフッ素系樹脂がコーティング法により形成されたフッ素系樹脂塗布層を有することが好ましく、かかる構成の複合シートは太陽電池の保護膜として有用である。
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、フッ素系樹脂がコーティングされる200℃付近の加工温度でも幅方向の熱収縮率が小さいため、ロールツーロール法によりフッ素系樹脂がコーティングされた場合にフィルム表面に撓みやしわが生じることなく、フッ素系樹脂塗布層を形成することができる。さらに、かかる耐熱寸法安定性を有しながら、屋外で長期間使用可能な耐加水分解性も備えるため、本発明の複合シートを太陽電池モジュールの保護膜として用いた場合に長期にわたり、太陽電池モジュールの保護機能を発現することができる。フッ素系樹脂として、コーティング法で用いられる公知のフッ素系樹脂を用いることができ、フッ化ビニルコポリマーが例示される。フッ素系樹脂を塗布する際の塗布液も特に制限はなく、公知の溶媒を用いることができる。また必要に応じて架橋剤、界面活性剤を併用してもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、測定および評価は以下の方法で行った。
(1)フィルム厚み
フィルム試料をエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
(2)原料ポリエステルの極限粘度数(IV)
重量比が6:4のフェノール:トリクロロエタン混合溶媒に試料を溶解後、35℃の温度で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml)、Kはハギンス定数である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
(3)フィルムの重量平均分子量
フィルム試料1mgにHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール):クロロホルム(体積比1:1)0.5mlを加えて溶解(一晩)させ、測定直前にクロロホルムを9.5mlを加えて、メンブレンフィルター0.1μmでろ過しGPC分析を行った。測定機器、条件は以下のとおりである。
GPC:HLC−8020 東ソー製
検出器:UV−8010 東ソー製
カラム:TSK−gelGMHHR・M×2 東ソー製
移動相:HPLC用クロロホルム
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
検出器:UV(254nm)
注入量:200μl
較正曲線用試料:ポリスチレン(Polymer Laboratories製EasiCal “PS−1”)
(4)末端カルボキシル基濃度
試料10mgをHFIP:重クロロホルム=1:3の混合溶媒0.5mlに溶解してイソプロピルアミンを数滴添加し、H−NMR法(50℃、600MHz)により定量した。
(5)融解サブピーク(Tsm)
セイコ−電子工業(株)製DSC220を用い、フィルム試料20mg、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、結晶融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークを融解サブピーク温度とした。
(6)熱収縮率
ポリエステルフィルムの長手方向および幅方向がマーキングされ、あらかじめ正確な長さを測定した長さ30cm四方のフィルムを、200℃に設定されたオーブン中に無荷重で入れ、10分間静置した後に取り出し、室温に戻してからその寸法変化を読み取った。
熱処理前の長さ(L0)と熱処理による寸法変化量(ΔL)より、次式に従って長手方向および幅方向の熱収縮率をそれぞれ求めた。各方向の熱収縮率はそれぞれサンプル数n=5で評価を行い、その平均値を用いた。
熱収縮率(%)=(ΔL/L0)×100
(7)フィルムの応力特性
フィルムの5%伸長時応力(F5値)および破断点応力は、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、商品名「テンシロン」)を用いて、温度20℃、湿度50%に調節された室内において測定した。サンプルフィルムを幅10mm、長さ150mmに切り出し、チャック間100mmでサンプルを装着し、JIS−C2318 5.3.3に従って引張速度100mm/minの条件で引張試験を行い、荷伸曲線から5%伸長時および破断時の荷重を読み取った。それぞれの応力は、5%伸長時および破断時の荷重を試験前のサンプル断面積で割って算出した(単位;MPa)。なお、長手方向の応力とはフィルム長手方向を測定方向とした場合のものであり、幅方向の応力とはフィルムの幅方向を測定方向とした場合のものである。各応力測定はそれぞれサンプル数n=10で評価を行い、その平均値を用いた。
(8)耐加水分解性
フィルムの長手方向に100mm長、幅方向に10mm幅に切り出した短冊状のフィルム試料を、温度85℃、湿度85%RHに設定した環境試験機内に2500時間放置した。その後フィルム試料を取り出しフィルム試料の長手方向の破断伸度を5回測定して平均値を求めた。引張試験は東洋ボールドウィン社製(商品名「テンシロン」)を用いて行い、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minにて実施した。5点の平均値を放置前の破断伸度5点の平均値で割った値を破断伸度保持率(%)とし、下記基準にて耐加水分解性を評価した。なお、耐加水分解性は破断伸度保持率の高いものを良好と判断した。
破断伸度保持率(%)
=[(処理時間2500時間後の破断伸度)/(処理前の破断伸度)]×100
◎:伸度保持率が70%以上
○:伸度保持率が50%以上70%未満
×:伸度保持率が50%未満
××:劣化が激しく、試料が破損して破断伸度を測定することができなかった。
(9)押出性
フィルム製膜の際の押出性を以下の基準で評価した。
○:押出が容易である。
×:押出負荷が高く、フィルム作成に時間がかかる。
(10)フッ素系樹脂コーティング後の複合シートの平面性
◎:撓みが全くなく平面性に優れている。
○:やや撓みやシワがあるが、平面性良好。
×:撓みやシワが多く、平面性が悪い。
(参考例1)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−a)
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マンガン四水塩をマンガン含有量に換算して30ミリモル%(テレフタル酸ジメチルのモル数を基準とする)仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらフェニルホスホン酸を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後反応物を重合装置に移行し、重合触媒として酸化アンチモンと酢酸チタンをアンチモンとチタン含有量に換算して20ミリモル%、2ミリモル%、次いで平均粒径が1.5μmの真球状シリカ粒子0.08重量部をエチレングリコールスラリーにして添加した。その後、重合装置内の温度を235℃から290℃まで90分かけて昇温し、同時に重合装置内の圧力を大気圧から100Paまで90分かけて減圧した。重合装置の内容物の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスで大気圧に戻して重合を終了した。重合装置下部のバルブを開いて重合装置内部を窒素ガスで加圧し、重合の完了したポリエチレンテレフタレートをストランド状にして水中に吐出した。ストランドはカッターによってチップ化した。このようにして融点Tmが258℃、極限粘度数が0.59dl/g、末端カルボキシル基濃度が17当量/トンであるポリエチレンテレフタレートのポリマーを得た。得られたポリエステルをPET−aと称する。
(参考例2)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−b)
参考例1で得られたポリマー(PET−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で3時間固相重合を行った。固相重合後の融点Tmは258℃、極限粘度数は0.65dl/g、末端カルボキシル基濃度は15当量/トンであった。これをPET−bと称する。
(参考例3)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−c)
参考例1で得られたポリマー(PET−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で5時間固相重合を行った。固相重合後の融点Tmは258℃、極限粘度数は0.70dl/g、末端カルボキシル基濃度は13当量/トンであった。これをPET−cと称する。
(参考例4)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−d)
参考例1で得られたポリマー(PET−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で6時間固相重合を行った。固相重合後の融点Tmは258℃、極限粘度数は0.73dl/g、末端カルボキシル基濃度は11当量/トンであった。これをPET−dと称する。
(参考例5)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−e)
参考例1で得られたポリマー(PET−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で10時間固相重合を行った。固相重合後の融点Tmは258℃、極限粘度数は0.82dl/g、末端カルボキシル基濃度は8当量/トンであった。これをPET−eと称する。
(参考例6)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−f)
参考例1で得られたポリマー(PET−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で13時間固相重合を行った。固相重合後の融点Tmは258℃、極限粘度数は0.90dl/g、末端カルボキシル基濃度は7当量/トンであった。これをPET−fと称する。
[実施例1]
フィルムの原料ポリエステルとしてPET−bを回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した後、押出機に供給して285℃で溶融押出し、スリットダイよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを110℃にて長手方向(縦方向)に3.5倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き125℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で215℃に加熱された雰囲気中で35秒間熱固定を行い、続いて横方向に5.5%の幅入れを行った後、両端を切り落とし、室温まで冷やして、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであった。
[実施例2]
PET−bに代えてPET−cを用いる他は実施例1と同様に実施して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであった。
[実施例3]
PET−bに代えてPET−dを用い、溶融押出の温度を290℃とする他は実施例1と同様に実施して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであった。
[実施例4]
PET−bに代えてPET−eを用い、溶融押出の温度を295℃とする他は実施例1と同様に実施して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであった。
[実施例5]
熱固定を221℃に加熱された雰囲気中で35秒間行う他は実施例2と同様に実施し、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであった。
[実施例6]
熱固定を203℃に加熱された雰囲気中で35秒間行い、横方向に6.5%の幅入れを行う他は実施例2と同様に実施し、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであった。
[比較例1]
PET−bに代えてPET−aを用いる他は実施例1と同様に実施して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは重量平均分子量が低く、耐加水分解性に劣るものであった。
[比較例2]
実施例1にならいPET−bの替わりにPET−fを用いて製膜を実施したが、溶融押出時の押出機負荷が高く、実施例1と比較して樹脂の供給量を75%に下げなければならず、生産性に劣るものであった。また、幅方向の熱収縮率が高く、表面にフッ素系樹脂をコーティングする工程でフィルムの撓みが発生し、該コーティング基材としては不向きであった。耐加水分解性は非常に良好であった。
[比較例3]
PET−bに代えてPET−dを用い、溶融押出の温度を305℃とする他は実施例1と同様に実施して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムはCOOH末端基濃度が高く、耐加水分解性に劣るものであった。
[比較例4]
熱固定を228℃に加熱された雰囲気中で35秒間行い、横方向に4.5%の幅入れを行う他は実施例2と同様に実施し、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、両面にフッ素系樹脂コーティングを施しても撓みなどなく平面性は非常に良好であったが、融解サブピークTsmが高く耐加水分解性に劣るものであった。
[比較例5]
横方向の延伸までは実施例2と同様におこない、その後テンター内で215℃に加熱された雰囲気中で35秒間熱固定を行ったのち、横方向に3.0%の幅入れを行い、続いて両端を切り落として長手方向に2.9%の弛緩率で弛緩した後室温まで冷やして、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、耐加水分解性は大変良好であったが、横方向の熱収縮率が高くフッ素系樹脂コーティング工程においてシワが発生したため、該コーティング基材としては不向きであった。
[比較例6]
横方向の延伸までは実施例2と同様におこない、その後テンター内で221℃に加熱された雰囲気中で35秒間熱固定を行ったのち、横方向に3.0%の幅入れを行い、続いて両端を切り落として長手方向に2.2%の弛緩率で弛緩した後室温まで冷やして、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、耐加水分解性は良好であったが、比較例5同様に横方向の熱収縮率が高くフッ素系樹脂コーティング工程においてシワが発生したため、該コーティング基材としては不向きであった。
[比較例7]
未延伸フィルムを得るところまでは実施例2と同様に実施し、その後110℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き125℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.1倍延伸した。その後テンター内で215℃に加熱された雰囲気中で60秒間熱固定を行い、横方向に4.0%の幅入れを行った後室温まで冷やして、厚み250μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは配向が低く、耐加水分解性に劣るものであった。
[比較例8]
熱固定を238℃に加熱された雰囲気中で35秒間行い、横方向に3.0%の幅入れを行う他は実施例2と同様に実施し、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、両面にフッ素系樹脂コーティングを施しても撓みなどなく平面性は良好であったが、融解サブピークTsmが高く耐加水分解性に非常に劣るものであった。
Figure 2015037097
Figure 2015037097
本発明の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムは、フッ素系樹脂塗布層形成のための高温処理工程において優れた平面安定性をそなえ、しかも高温・多湿な環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が小さいことから、コーティング法によるフッ素系樹脂層の形成に適した太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれからなる太陽電池保護膜を提供することができる。

Claims (5)

  1. ポリエチレンテレフタレートをポリマー成分とする二軸配向フィルムであり、該二軸配向フィルムの重量平均分子量が40,000〜55,000かつ末端カルボキシル基濃度が6〜30当量/トンであり、融解サブピークTsmが200℃〜215℃、200℃で10分間熱処理したときのフィルム幅方向の熱収縮率が0.0%〜2.3%であって、温度85℃、湿度85%RHで2500時間エージングしたときの伸度保持率が50%以上であることを特徴とする太陽電池保護膜用ポリエステルフィルム。
  2. 5%伸長時応力(F5値)がフィルム長手方向、幅方向ともに100MPa以上であり、かつ破断点応力が長手方向、幅方向ともに240MPa以上である請求項1に記載の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルム。
  3. 200℃で10分間熱処理したときのフィルム長手方向の熱収縮率が2.5%〜8.0%である請求項1または2に記載の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムを用いた太陽電池保護膜。
  5. 前記太陽電池保護膜用ポリエステルフィルムの少なくとも片面にフッ素系樹脂塗布層が形成されてなる請求項4に記載の太陽電池保護膜。
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CN111093948A (zh) * 2017-11-28 2020-05-01 株式会社Lg化学 用于制备基于氟的树脂的多孔膜的方法
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