以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る漏電検出システム1000について説明する。漏電検出システム1000は、プラグ210とコンセント330の接触面近傍に発生するトラッキング現象による漏電を検出するシステムである。トラッキング現象は、プラグ210とコンセント330の隙間にホコリが蓄積し、このホコリが湿気を帯びて導通し、時間の経過とともにこのホコリが炭化し、炭化した部分がショートして発火する現象である。漏電検出システム1000は、このトラッキング現象をなるべく早い段階で検出し、火災などの事故を未然に防ぐのに好適なシステムである。なお、図1において、トラッキング現象は、破線の矢印で示す区間に発生する。
漏電検出システム1000は、漏電検出装置100と、2つの電気機器200と、分電盤300と、警報装置500とを備える。
漏電検出装置100は、電路に流れる電流や電路間の電位差に基づいて、トラッキング現象による漏電を検出する。以下、「トラッキング現象による漏電」を、適宜、単に「漏電」という。漏電検出装置100は、漏電を検出した場合、分岐ブレーカー320に遮断指示信号を供給し、分岐ブレーカー320に電路を遮断させる。また、漏電検出装置100は、漏電を検出した場合、警報装置500に警報指示信号を供給して、警報装置500に漏電を検出した旨を報知させる。
電気機器200は、プラグ210を介して電路から供給される電力により動作する。電気機器200は、コンセント330に挿入されるプラグ210を備える。電気機器200は、ブロードバンドルータ、エアコン、給湯器、電気ストーブ、炊飯器、照明装置、電気カーペットなどである。
分電盤300は、電力会社などから供給された電力を、需要家内で安全に使用できるように、電力を分配するための機器をまとめた箱である。分電盤300は、主幹ブレーカー310と、4つの分岐ブレーカー320と、を備える。
主幹ブレーカー310は、電力会社などから供給された電力を、分岐ブレーカー320に分配する。主幹ブレーカー310は、漏電を検出した場合、需要家内への電力の供給を遮断する機能を有する。例えば、主幹ブレーカー310は、電線401を介して分岐ブレーカー320に送出された電流の値と、電線403を介して分岐ブレーカー320から流入された電流の値とが、所定の閾値以上であるか否かにより、漏電があるか否かを判別する。なお、主幹ブレーカー310は、基本的に、トラッキング現象による漏電を検出することはできない。トラッキング現象により主幹ブレーカー310から分岐ブレーカー320に送出された電流(以下「トラッキング電流」という。)は、分岐ブレーカー320から主幹ブレーカー310に戻るためである。
本実施形態では、電線401(L1相)、電線402(L2相)、電線403(N相)の3本の電線を用いた単相3線式で、需要家内に電力が供給されるものとする。なお、L1相とN相との間の電位差、及び、L2相とN相との間の電位差は、いずれも100V(実効値)である。一方、L1相とL2相との間の電位差は、200V(実効値)である。本実施形態では、4つの分岐ブレーカー320のうち、2つの分岐ブレーカー320が、電線401と電線403とにより主幹ブレーカー310に接続される。4つの分岐ブレーカー320のうち、他の2つの分岐ブレーカー320が、電線402と電線403とにより主幹ブレーカー310に接続される。
2つの分岐ブレーカー320は、電線401と電線403とを介して、主幹ブレーカー310から供給された電力を、2つの電気機器200のうち、一方の電気機器200に供給する。他の2つの分岐ブレーカー320は、電線402と電線403とを介して、主幹ブレーカー310から供給された電力を、2つの電気機器200のうち、他の電気機器200に供給する。
ここで、漏電検出装置100が備える電力計17は、電流検出部171と、電流検出部172と、電位検出部173と、電位検出部174と、電位検出部175と、を備える。電流検出部171は、L1相の電流(電線401に流れる電流)を検出する。電流検出部172は、L2相の電流(電線402に流れる電流)を検出する。電位検出部173は、L1相の電位(電線401の電位)を検出する。電位検出部174は、L2相の電位(電線402の電位)を検出する。電位検出部175は、N相の電位(電線403の電位)を検出する。
2つのコンセント330のうち、一方のコンセント330は、電線401と電線403とにより分岐ブレーカー320に接続される。この一方のコンセント330は、プラグ210が挿入されると、プラグ210が備える2つの端子の間に、L1相の電位とN相の電位との電位差を印加する。2つのコンセント330のうち、他方のコンセント330は、電線402と電線403とにより分岐ブレーカー320に接続される。この他方のコンセント330は、プラグ210が挿入されると、プラグ210が備える2つの端子の間に、L2相の電位とN相の電位との電位差を印加する。
警報装置500は、漏電検出装置100から受信した警報指示信号に従って、漏電が発生している旨を警報する。警報装置500は、例えば、音、音声、画面表示などにより、漏電が発生していることを、ユーザに通知する。警報装置500は、例えば、スピーカーや液晶ディスプレイを備える。
次に、図2を参照して、漏電検出装置100の物理的な構成について説明する。図2に示すように、漏電検出装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、フラッシュメモリ14、RTC(Real Time Clock)15、タッチスクリーン16、電力計17、電力計インターフェース18、外部機器インターフェース19、宅内電気通信網インターフェース20を備える。漏電検出装置100が備える各構成要素は、バスを介して相互に接続される。
CPU11は、漏電検出装置100の全体の動作を制御する。なお、CPU11は、ROM12に格納されているプログラムに従って動作し、RAM13をワークエリアとして使用する。
ROM12には、漏電検出装置100の全体の動作を制御するためのプログラムやデータが記憶される。
RAM13は、CPU11のワークエリアとして機能する。つまり、CPU11は、RAM13にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
フラッシュメモリ14は、各種の情報を記憶する不揮発性メモリである。例えば、フラッシュメモリ14は、実安定期間を示す情報、非実安定期間を示す情報、予測安定期間を示す情報などを記憶する。
RTC15は、計時用のデバイスである。RTC15は、例えば、電池を内蔵し、漏電検出装置100の電源がオフの間も計時を継続する。RTC15は、例えば、水晶発振子を備える発振回路を備える。
タッチスクリーン16は、ユーザによりなされたタッチ操作を検知し、検知の結果を示す信号をCPU11に供給する。また、タッチスクリーン16は、CPU11などから供給された画像信号に基づく画像を表示する。このように、タッチスクリーン16は、漏電検出装置100のユーザインターフェースとして機能する。
電力計17は、主幹ブレーカー310から需要家に供給される電力を測定する。上述したように、電力計17は、電流検出部171と、電流検出部172と、電位検出部173と、電位検出部174と、電位検出部175とを備える。従って、電力計17は、各相に流れる電流を測定する電流測定機能を有するとともに、各相の間の電位差を測定する電圧測定機能とを有する。また、電力計17は、測定された電流値と測定された電圧値とに基づいて、電力値を算出する。電力計17は、測定された電流値を示す電流値情報、測定された電圧値を示す電圧値情報、測定された電力値を示す電力値情報を、電力計インターフェース18に供給する。なお、電力計17のサンプリング周期は、需要家内に供給される交流電流の周期よりも十分に短いものとする。
電力計インターフェース18は、電力計17を、漏電検出装置100が備える各構成要素と接続するためのインターフェースである。電力計インターフェース18は、電力計17から供給された、電流値情報、電圧値情報、電力値情報を、測定時刻と対応付けて、所定期間分記憶するバッファメモリを備える。電力計インターフェース18は、自動的に、もしくは、CPU11による指示に従って、バッファメモリに記憶されている、電流値情報、電圧値情報、電力値情報を、CPU11、RAM13、フラッシュメモリ14などに供給することができる。
外部機器インターフェース19は、漏電検出装置100に、分岐ブレーカー320や警報装置500を接続するためのインターフェースである。外部機器インターフェース19は、CPU11による制御に従って、遮断指示信号を分岐ブレーカー320に供給する。また、外部機器インターフェース19は、CPU11による制御に従って、警報指示信号を警報装置500に供給する。外部機器インターフェース19は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、特定小電力無線などの無線LANなどに接続するためのLANインターフェース、もしくは、RS(Recommended-Standards)−232C、RS−485、USB(Universal Serial Bus)、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394などのシリアル通信用のインターフェースである。
宅内電気通信網インターフェース20は、漏電検出装置100を宅内電気通信網に接続するためのインターフェースである。宅内電気通信網インターフェース20は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのLANインターフェースを備える。
次に、図3を参照して、漏電検出装置100の基本的な機能について説明する。漏電検出装置100は、機能的には、電流測定部101、予測安定期間設定部102、実効値取得部103、漏電有無判別部104、電圧測定部105、実安定期間検出部106、非安定報知部107、電路遮断部108、漏電報知部109を備える。
電流測定部101は、電気機器200に交流電流を供給するための電路を流れる電流を測定する。この電路は、電線401や電線402である。電流測定部101は、例えば、電流検出部171、電流検出部172、電力計17を備える。
予測安定期間設定部102は、電気機器200により消費される電力が安定することが予測される予測安定期間を設定する。予測安定期間設定部102は、例えば、電気機器200により消費された電力の実績や、電気機器200の運転モード(動作モード)のスケジュールに基づいて、予測安定期間を設定することができる。予測安定期間設定部102は、例えば、CPU11を備える。
実効値取得部103は、電流測定部101により測定された電流に基づいて、予測安定期間設定部102により設定された予測安定期間を交流電流の周期毎に区切ることにより得られる1周期期間毎に、電路を流れる電流の実行値を求める。実効値取得部103は、例えば、CPU11を備える。
漏電有無判別部104は、実効値取得部103により1周期期間毎に求められた実効値のうち、1周期期間毎に求められた実効値の平均値との差が所定の閾値以上である実効値の個数に基づいて、トラッキング現象による漏電の有無を判別する。漏電有無判別部104は、例えば、CPU11を備える。
電圧測定部105は、電気機器200に印加されている電圧を測定する。電圧測定部105は、例えば、電位検出部173、電位検出部174、電位検出部175、電力計17を備える。
実安定期間検出部106は、電流測定部101により測定された電流と電圧測定部105により測定された電圧とに基づいて、電気機器200により消費された電力の変動値が所定の閾値以下である実安定期間を検出する。実安定期間検出部106は、例えば、CPU11を備える。
ここで、予測安定期間設定部102は、実安定期間検出部106により検出された実安定期間に対応する期間を予測安定期間に設定することができる。実安定期間に対応する期間は、例えば、実安定期間と全く同じ期間、実安定期間のうちの一部の期間、実安定期間とは異なる日の実安定期間と同一の時間帯の期間、実安定期間の直前の期間、実安定期間の直後の期間である。
典型的には、予測安定期間設定部102は、実安定期間検出部106により検出された実安定期間以後に到来する、実安定期間と同一の時間帯の期間を予測安定期間に設定する。
もしくは、予測安定期間設定部102は、実安定期間検出部106により検出された実安定期間を予測安定期間に設定する。
非安定報知部107は、実安定期間検出部106により、所定の時間以上、実安定期間が検出されない場合、実安定期間が検出されない旨をユーザに報知する。非安定報知部107は、例えば、CPU11、タッチスクリーン16、外部機器インターフェース19を備える。
電路遮断部108は、漏電有無判別部104によりトラッキング現象による漏電があると判別された場合、電路に組み込まれている分岐ブレーカー320に電路を遮断させる。電路遮断部108は、例えば、CPU11、外部機器インターフェース19を備える。
漏電報知部109は、漏電有無判別部104によりトラッキング現象による漏電があると判別された場合、トラッキング現象による漏電がある旨をユーザに報知する。漏電報知部109は、例えば、CPU11、タッチスクリーン16、外部機器インターフェース19を備える。
次に、図4を参照して、電気機器200に流れる電流の値と、電気機器200に印加される電圧の値と、について説明する。図4(A)は、時間の経過とともに、電気機器200に流れる電流の値が変化する様子を示す図である。図4(B)は、時間の経過とともに、電気機器200に印加される電圧の値が変化する様子を示す図である。
図4(A)に示すように、電気機器200に流れる電流の値は、時間の経過とともに周期的に変化する。ここで、電気機器200に流れる電流の値は、電気機器200が有する負荷や電気機器200の運転モードなどに応じて、1周期分の期間(以下「1周期期間」という。)内において変化する。しかしながら、基本的に、電気機器200の運転モードが変更されない場合、どの1周期期間内においても、電気機器200に流れる電流の値は、ほぼ同じように変化する。つまり、電気機器200の運転モードが変更されない場合、どの1周期期間においても、電気機器200に流れる電流の値を示す波形は、ほぼ同じ波形となる。
なお、本実施形態では、交流電源の周波数が50Hzであり、交流電源の周期は20msecであるものとする。ここで、図4(A)は、電気機器200の運転モードが変更されない場合、1周期期間における電流の実効値が数アンペア程度の大きさであるとしても、1周期期間毎の電流の実効値の差は数十ミリアンペア程度の大きさである例を示している。
また、図4(B)に示すように、電気機器200に印加される電圧の値は、時間の経過とともに周期的に変化する。電気機器200に印加される電圧の値は、基本的に、電気機器200が有する負荷や電気機器200の運転モードなどには依存せず、正弦関数により表される値となる。なお、電気機器200に流れる電流の値を示す波形と、電気機器200に印加される電圧の値を示す波形との位相差は、基本的に、電気機器200が有する負荷や電気機器200の運転モードなどに依存する。
次に、図5を参照して、トラッキング現象により生じるトラッキング電流の値について説明する。図5(A)は、トラッキング現象の初期段階において、時間の経過とともに、トラッキング電流の値が変化する様子を示す図である。図5(B)は、トラッキング現象の末期段階において、時間の経過とともに、トラッキング電流の値が変化する様子を示す図である。
図5(A)に示すように、トラッキング現象の初期段階では、交流電源の電圧の変化に応じて、稀に、比較的小さな値(例えば、数百ミリアンペア程度)のトラッキング電流が流れる。なお、トラッキング現象の初期段階は、例えば、プラグ210とコンセント330との間の湿気を帯びたホコリにより、プラグ210が備える2つの端子の間が稀にショートして、火花を散らす段階である。
一方、図5(B)に示すように、トラッキング現象の末期段階では、交流電源の電圧の変化に応じて、頻繁に、比較的大きな値(例えば、数アンペア程度)のトラッキング電流が流れる。なお、トラッキング現象の末期段階は、例えば、プラグ210やコンセント330の筐体部分の炭化が進行し、プラグ210が備える2つの端子の間が頻繁にショートして、発火する段階もしくは発火する直前の段階である。
なお、電路には、電気機器200に流れる電流と、トラッキング電流とが、重畳して流れる。ここで、電気機器200の運転モードが変更されない場合、電気機器200に流れる電流の実効値は、どの1周期期間においても殆ど同じである。このため、1周期期間毎に求められる、電路に流れる電流の実効値のばらつきは、トラッキング電流に起因するものと考えることができる。
次に、図6を参照して、非実安定期間と実安定期間とについて説明する。
非実安定期間は、図6に示すように、実際に測定された電気機器200の消費電力の変動値が所定の閾値(例えば、50ワット)を超える期間である。非実安定期間は、典型的には、電気機器200の電源が投入された時刻や、電気機器200の運転モードが切り替わった時刻を含む期間である。このように、非実安定期間は、電気機器200の消費電力が実際に大きく変化した時刻を含む期間である。
一方、実安定期間は、図6に示すように、実際に測定された電気機器200の消費電力の変動値が所定の閾値以下である期間である。実安定期間は、典型的には、電気機器200の電源が投入された時刻や、電気機器200の運転モードが切り替わった時刻を含まない期間である。このように、実安定期間は、電気機器200の消費電力が実際に大きく変化した時刻を含まない期間である。
本実施形態では、漏電検出装置100は、所定の時間長(例えば、10秒)のチェック対象期間が終了したチェック時刻において、このチェック対象期間が非実安定期間であるのか実安定期間であるのかを判別する。具体的には、漏電検出装置100は、チェック対象期間内に測定された消費電力の最大値と、チェック対象期間内に測定された消費電力の最小値と、の差が、所定の閾値以下であると判別した場合、チェック対象期間が実安定期間であると判別する。一方、漏電検出装置100は、この差が所定の閾値を超えると判別した場合、チェック対象期間が非実安定期間であると判別する。
本実施形態では、漏電検出装置100が動作している間、所定の周期(例えば、10秒)毎にチェック時刻が到来し、どの時刻もいずれかのチェック対象期間に含まれるものとする。例えば、一日には、24(時間)×60(分)×60(秒)÷10(秒)=8640個のチェック対象期間が含まれるものとする。
図6は、最初のチェック対象期間が、電気機器200の運転モードの切り替えにより電気機器200の消費電力が大きく変化した時刻を含み、非実安定期間と判別された例を示している。また、図6は、次のチェック対象期間が、電気機器200の消費電力が安定している期間であり、実安定期間と判別された例を示している。
なお、所定の周期(チェック対象期間の時間長)は、電気機器200の種類などに応じて、適宜、調整することができる。例えば、掃除機などの機械系統を含む家電製品は、運転モードの変更時、消費電力が安定するのに、5秒程度の時間を要する。そこで、消費電力が安定しない期間を効率良く避けることができるように、所定の周期を10秒程度の期間に設定することができる。
次に、図7に示すフローチャートを参照して、漏電検出装置100が実行する漏電検出処理について説明する。なお、漏電検出装置100は、電源が投入されたことに応答して、図7に示す漏電検出処理を開始する。
まず、CPU11は、電流、電圧、電力の測定を開始する(ステップS101)。例えば、CPU11は、電力計インターフェース18を介して、電力計17に、測定開始指示信号を供給する。一方、電力計17は、測定開始指示信号を供給されたことに応答して、電流、電圧、電力の測定を開始する。
ここで、電力計インターフェース18は、電力計17から供給される、電流値情報、電圧値情報、電力値情報、を測定時刻と対応付けて、バッファメモリに記憶する処理を開始する。なお、電力計インターフェース18は、RTC15を参照して、測定時刻(現在時刻)を取得することができる。また、バッファメモリには、チェック対象期間の時間長(例えば、10秒)よりも長い時間分の情報が記憶される。
CPU11は、ステップS101の処理を完了すると、予測安定期間設定処理を実行する(ステップS102)。予測安定期間設定処理については、図8に示すフローチャートを参照して、詳細に説明する。
まず、CPU11は、現在時刻がチェック時刻であるか否かを判別する(ステップS201)。チェック時刻は、チェック対象期間において消費された電力が安定しているか否かをチェックする時刻である。本実施形態では、チェック時刻は、10秒毎に到来する時刻である。CPU11は、例えば、RTC15により示される現在時刻に基づいて、現在時刻がチェック時刻であるか否かを判別することができる。
CPU11は、現在時刻がチェック時刻でないと判別すると(ステップS201:NO)、予測安定期間設定処理を完了する。一方、CPU11は、現在時刻がチェック時刻であると判別すると(ステップS201:YES)、チェック対象期間における電力の変動幅を算出する(ステップS202)。
具体的には、まず、CPU11は、電力計インターフェース18が備えるバッファメモリに記憶されている、チェック対象期間分の電力値情報を取得する。そして、CPU11は、取得した電力値情報に基づいて、チェック対象期間における電力の最大値と、チェック対象期間における電力の最小値と、の差分(変動幅)を求める。
CPU11は、ステップS202の処理を完了すると、電力の変動幅が所定の閾値以下であるか否かを判別する(ステップS203)。なお、所定の閾値は、電気機器200が動作しているときの消費電力などに基づいて、調整することができる。
CPU11は、電力の変動幅が所定の閾値以下でないと判別すると(ステップS203:NO)、チェック対象期間を非実安定期間に設定する(ステップS204)。例えば、CPU11は、フラッシュメモリ14などに記憶されている実安定期間特定情報を更新することにより、チェック対象期間を非実安定期間に設定することができる。実安定期間特定情報は、例えば、チェック対象期間の先頭時刻(年月日時分秒)と、チェック対象期間の末尾時刻(年月日時分秒)と、判別結果(実安定期間、非実安定期間、又は、未判別)とを対応付ける情報である。
CPU11は、ステップS204の処理を完了すると、実安定期間が設定されずに所定の時間が経過したか否かを判別する(ステップS205)。CPU11は、例えば、フラッシュメモリ14などに記憶されている実安定期間特定情報を参照し、実安定期間である判別結果に対応付けられたチェック対象期間の末尾時刻のうち、最も新しい末尾時刻を特定する。そして、CPU11は、特定した最も新しい末尾時刻と、現在時刻との時間差が、所定の時間を超えているか否かを判別する。
CPU11は、実安定期間が設定されずに所定の時間が経過していないと判別すると(ステップS205:NO)、予測安定期間設定処理を完了する。一方、CPU11は、実安定期間が設定されずに所定の時間が経過したと判別すると(ステップS205:YES)、実安定期間が検出されない旨を報知する(ステップS206)。
なお、所定の時間は、電気機器200の種類などにより、適宜調整することができる。例えば、電気機器200が掃除機である場合、平均的な連続運転時間は、5分程度であると考えられる。そして、掃除機は、運転中、床面の状態により消費電力が変動することがある。そこで、所定の時間を、10分程度に設定することができる。この場合、10分以上、掃除機の消費電力が安定しない場合、プラグ210とコンセント330との接触不良などがあると考えられる。従って、CPU11は、実安定期間が設定されずに所定の時間が経過したことを報知する。
例えば、CPU11は、実安定期間が検出されない旨を報知する画像を表示するように、タッチスクリーン16を制御することができる。あるいは、CPU11は、実安定期間が検出されない旨を報知する音声を出力するように、警報装置500を制御することができる。この場合、CPU11は、外部機器インターフェース19を介して、警報指示信号を、警報装置500に送信する。一方、警報装置500は、受信した警報指示信号に従って、実安定期間が検出されない旨を報知する音や音声を出力する。なお、CPU11は、実安定期間が検出されない場合と、漏電が検出された場合とで、異なる音や音声を出力するように、警報装置500を制御することが好適である。CPU11は、ステップS206の処理を完了すると、予測安定期間設定処理を完了する。
CPU11は、電力の変動値が所定の閾値以下であると判別すると(ステップS203:YES)、チェック対象期間を実安定期間に設定する(ステップS207)。例えば、CPU11は、フラッシュメモリ14などに記憶されている実安定期間特定情報を更新することにより、チェック対象期間を非実安定期間に設定することができる。
CPU11は、ステップS207の処理を完了すると、実安定期間に基づいて予測安定期間を設定する(ステップS208)。なお、CPU11は、フラッシュメモリ14などに記憶されている実安定期間特定情報に基づいて、予測安定期間を設定することができる。CPU11が、予測安定期間を設定する手法は、適宜、調整することができる。
なお、予測安定期間は、電気機器200により消費される電力が安定していると予測される期間であって、漏電の検出を試みても誤検出しにくいと考えられる期間である。そこで、CPU11は、消費電力の変動に関わる過去の実績を示す実安定期間特定情報を参照して、電気機器200の消費電力が変動しにくいと考えられる期間を、予測安定期間に設定する。
例えば、1日に1回、漏電をチェックしたい場合、1日のうちで、実安定期間に設定された割合が最も高い時間帯を、予測安定期間に設定することができる。例えば、1日のうちで、実安定期間に設定された割合が最も高い時間帯が、午前02時00分00秒から午前02時00分10秒までの期間である場合、毎日における午前02時00分00秒から午前02時00分10秒までの期間が、予測安定期間に設定される。
また、例えば、1時間に1回、漏電をチェックしたい場合、1時間毎に、実安定期間に設定された割合が最も高い時間帯を、予測安定期間に設定することができる。例えば、午前00時00分00秒から午前01時00分00秒までの1時間のうちで、実安定期間に設定された割合が最も高い時間帯が、午前00時30分00秒から午前00時30分10秒までの期間である場合、毎日における午前00時30分00秒から午前00時30分10秒までの期間が、予測安定期間に設定される。また、例えば、午前01時00分00秒から午前02時00分00秒までの1時間のうちで、実安定期間に設定された割合が最も高い時間帯が、午前01時40分00秒から午前01時40分10秒までの期間である場合、毎日における午前01時40分00秒から午前01時40分10秒までの期間が、予測安定期間に設定される。以下、同様にして、1時間毎に、予測安定期間が設定される。
CPU11は、例えば、設定した予測安定期間を特定する予測安定期間特定情報を、フラッシュメモリ14に記憶することができる。予測安定期間特定情報は、例えば、予測安定期間の先頭時刻(年月日時分秒)と、予測安定期間の末尾時刻(年月日時分秒)とを対応付ける情報である。CPU11は、ステップS208の処理を完了すると、予測安定期間設定処理を完了する。
CPU11は、ステップS102の処理(予測安定期間設定処理)を完了すると、現在時刻が予測安定期間の末尾時刻であるか否かを判別する(ステップS103)。例えば、CPU11は、RTC15から取得される現在時刻が、フラッシュメモリ14に記憶されている予測安定期間特定情報により特定される予測安定期間の末尾時刻のいずれかと一致するか否かを判別する。
CPU11は、現在時刻が予測安定期間の末尾時刻ではないと判別した場合(ステップS103:NO)、ステップS102に処理を戻す。一方、CPU11は、現在時刻が予測安定期間の末尾時刻であると判別した場合(ステップS103:YES)、予測安定期間内の1周期期間毎の電流の実効値を算出する(ステップS104)。具体的には、CPU11は、電力計インターフェース18が有するバッファメモリに記憶されている、予測安定期間内の電流値情報に基づいて、予測安定期間内に含まれる全ての1周期期間のそれぞれについて、電流の実効値を求める。実効値は、例えば、RMS(Root Mean Square)である。CPU11は、求めた1周期期間毎の電流の実効値を、フラッシュメモリ14に記憶する。
CPU11は、ステップS104の処理を完了すると、予測安定期間内の1周期期間毎の電流の実効値の平均値を算出する(ステップS105)。この処理により、予測安定期間内における、電流の実効値の平均値が算出される。CPU11は、求めた実効値の平均値を、フラッシュメモリ14に記憶する。
CPU11は、ステップS105の処理を完了すると、電流の実効値が異常である1周期期間が所定の個数以上であるか否かを判別する(ステップS106)。各1周期期間における電流の実効値は、電流の実効値の平均値との差が所定の閾値以上である場合、異常であると判別される。所定の閾値や所定の個数は、電気機器200の種類や動作時における消費電力などにより、適宜、調整することができる。なお、なるべく早い段階でトラッキング現象を検出したい場合、所定の閾値を小さい値に設定し、所定の個数を少ない個数に設定することができる。一方、トラッキング現象の誤検出をなるべく減らしたい場合、所定の閾値を大きい値に設定し、所定の個数を多い個数に設定することができる。
なお、1周期期間内にトラッキング電流が流れた場合、電流の実効値が異常であると判別されるものと推定される。一方、1周期期間内にトラッキング電流が流れなかった場合、電流の実効値が異常であると判別されないものと推定される。つまり、電流の実効値が異常となる原因は、トラッキング電流であるものと推定される。
CPU11は、電流の実効値が異常である1周期期間が所定の個数以上でないと判別すると(ステップS106:NO)、ステップS102に処理を戻す。一方、CPU11は、電流の実効値が異常である1周期期間が所定の個数以上であると判別すると(ステップS106:YES)、漏電がある旨を報知する(ステップS107)。
例えば、CPU11は、外部機器インターフェース19を介して、警報指示信号を、警報装置500に送信する。一方、警報装置500は、受信した警報指示信号に基づいて、トラッキング現象により漏電がある旨もしくはその可能性が高い旨をユーザに知らせる音や音声や画像を出力する。CPU11は、警報指示信号を、タッチスクリーン16に供給してもよい。この場合、タッチスクリーン16は、供給された警報指示信号に従って、トラッキング現象により漏電がある旨などをユーザに知らせる画像を表示する。
CPU11は、ステップS107の処理を完了すると、電路を遮断する(ステップS108)。具体的には、CPU11は、外部機器インターフェース19を介して、遮断指示信号を、分岐ブレーカー320に送信する。一方、分岐ブレーカー320は、受信した遮断指示信号に従って、電路を遮断する。具体的には、分岐ブレーカー320は、例えば、主幹ブレーカー310とコンセント330との間に接続されている電線401及び電線403(もしくは、電線402及び電線403)を分断する。CPU11は、ステップS108の処理を完了すると、漏電検出処理を完了する。
本実施形態によれば、電気機器200により消費される電力が安定することが予測される予測安定期間に、トラッキング現象による漏電の検出が実行される。このため、本実施形態によれば、電気機器200が電力を消費している状態であっても、トラッキング現象による漏電を精度良く検出することが期待できる。
また、本実施形態によれば、電気機器200が消費した電力の実績に基づいて、漏電の検出に好適な予測安定期間が設定され、この予測安定期間に漏電の検出が実行される。このため、本実施形態によれば、漏電の検出の精度の向上がさらに期待できる。
また、本実施形態によれば、電気機器200が実際に消費した電力の変動が小さかった期間と同一の時間帯に、漏電の検出が実行される。このため、本実施形態によれば、漏電の検出の精度の向上がさらに期待できる。
また、本実施形態によれば、電気機器200が実際に消費した電力の変動が小さかった期間に、漏電の検出が実行される。このため、本実施形態によれば、漏電の検出の精度の向上がさらに期待できる。
また、本実施形態によれば、電気機器200が実際に消費した電力の変動が小さい期間を検出できない場合に、その旨が報知される。このため、本実施形態によれば、漏電の検出が難しい異常な状態である旨をユーザに知らせることができ、事故などのリスクを軽減することが期待できる。
また、本実施形態によれば、漏電があると判別された場合、電路が遮断される。このため、本実施形態によれば、火災などの事故のリスクを軽減することが期待できる。
また、本実施形態によれば、漏電があると判別された場合、ユーザに漏電がある旨が報知される。このため、本実施形態によれば、ユーザによる漏電の確認作業などを促し、火災などの事故のリスクを軽減することが期待できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、漏電を検出する期間が、電気機器200が消費した電力の実績に基づいて定められる例について説明した。本発明において、漏電を検出する期間を設定する手法は、この例に限定されない。以下、第2の実施形態では、電気機器200の動作状態を示す動作状態情報に基づいて、漏電を検出する期間が設定される例について説明する。なお、以下では、基本的に、第2の実施形態に係る漏電検出システム1100が第1の実施形態に係る漏電検出システム1000と異なる部分について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る漏電検出システム1100を示す図である。図9に示すように、漏電検出システム1100は、漏電検出装置100に代えて漏電検出装置150を備える点、宅内制御装置600を備える点、電気機器200が通信アダプタ220を備える点などが、漏電検出システム1000と異なる。
漏電検出装置150は、物理的な構成に関しては、漏電検出装置100と同様である。漏電検出装置150は、宅内電気通信網インターフェース20により、宅内制御装置600と通信することができる。漏電検出装置150は、例えば、図示しない宅内電気通信網を介して、宅内制御装置600との間で情報の授受が可能である。漏電検出装置150は、遮断指示信号や警報指示信号を、宅内制御装置600に供給することができる。また、漏電検出装置150は、電気機器200の動作状態を示す動作状態情報を、宅内制御装置600から取得することができる。
通信アダプタ220は、電気機器200を宅内制御装置600に接続するためのインターフェースである。通信アダプタ220は、例えば、図示しない宅内電気通信網を介して、宅内制御装置600との間で情報の授受が可能である。また、通信アダプタ220は、電気機器200との間で情報の授受が可能である。通信アダプタ220は、例えば、通信用のIC(Integrated Circuit)を備えたコンピュータを備える。
宅内制御装置600は、ユーザの指示や自動プログラムなどに従って、漏電検出装置150、通信アダプタ220、分岐ブレーカー320、警報装置500などを制御する。宅内制御装置600は、例えば、図示しない宅内電気通信網を介して、漏電検出装置150、通信アダプタ220、分岐ブレーカー320、警報装置500などとの間で情報の授受が可能である。
宅内制御装置600は、電気機器200をモニタリングしたり制御したりすることができる。従って、宅内制御装置600は、現在、過去、未来における、電気機器200の運転モードのスケジュールを把握することができる。宅内制御装置600は、このようなスケジュールを含む動作状態情報を、自ら作成し、または、電気機器200から取得することができる。
宅内制御装置600は、漏電検出装置150からの要求に従って、もしくは、自動的に、動作状態情報を、漏電検出装置150に送信することができる。宅内制御装置600は、漏電検出装置150から受信した遮断指示信号を分岐ブレーカー320に送信することができる。また、宅内制御装置600は、漏電検出装置150から受信した警報指示信号を、警報装置500に送信することができる。宅内制御装置600は、専用のコンピュータであってもよいし、パーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータであってもよい。
次に、図10を参照して、第2の実施形態に係る漏電検出装置150の機能について説明する。
図12に示すように、漏電検出装置150は、機能的には、電流測定部101、予測安定期間設定部102、実効値取得部103、漏電有無判別部104、電路遮断部108、漏電報知部109、動作状態情報受信部110を備える。ここで、予測安定期間設定部102ならびに動作状態情報受信部110以外の機能は、第1の実施形態で説明した機能と同様である。
動作状態情報受信部110は、電気機器200と通信する宅内制御装置600から、電気機器200の動作状態を示す動作状態情報を受信する。動作状態情報受信部110は、例えば、宅内電気通信網インターフェース20を備える。
ここで、予測安定期間設定部102は、動作状態情報受信部110により受信された動作状態情報に基づいて、予測安定期間を設定する。
漏電検出装置150が実行する漏電検出処理は、図7に示すステップS102において、図8に示す予測安定期間設定処理に代えて、図11に示す予測安定期間設定処理を実行する点を除き、基本的に、漏電検出装置100が実行する漏電検出処理と同様である。以下、図11を参照して、漏電検出装置150が実行する予測安定期間設定処理について説明する。
まず、CPU11は、動作状態要求情報を、宅内制御装置600に送信する(ステップS301)。具体的には、CPU11は、宅内電気通信網インターフェース20を介して、動作状態要求情報を、宅内制御装置600に送信する。ここで、宅内制御装置600は、動作状態要求情報を受信したことに応答して、電気機器200などから取得した動作状態情報を、漏電検出装置150に送信する。
CPU11は、ステップS301の処理を完了すると、宅内制御装置600から動作状態情報を受信したか否かを判別する(ステップS302)。CPU11は、例えば、宅内電気通信網インターフェース20から供給される制御信号を監視して、宅内電気通信網インターフェース20により動作状態情報が受信されたか否かを判別することができる。
CPU11は、宅内制御装置600から動作状態情報を受信していないと判別すると(ステップS302:NO)、ステップS302に処理を戻す。つまり、CPU11は、宅内制御装置600から動作状態情報を受信したと判別するまで、ステップS302の判別処理を繰り返す。
一方、CPU11は、宅内制御装置600から動作状態情報を受信したと判別すると(ステップS302:YES)、動作状態情報に基づいて、予測安定期間を設定する(ステップS303)。動作状態情報は、例えば、現在、過去、未来における、電気機器200の運転モードのスケジュールを示す情報を含むことができる。動作状態情報に基づいて予測安定期間を設定する手法は、適宜、調整することができる。
例えば、CPU11は、電気機器200の運転モードの切り替え時刻を含まない期間を、予定安定期間に設定することができる。あるいは、CPU11は、電気機器200が停止している期間を、予定安定期間に設定することができる。このように、CPU11は、電気機器200による電力の消費がなるべく安定している期間を、予定安定期間に設定することができる。CPU11は、ステップS303の処理を完了すると、予測安定期間設定処理を完了する。
なお、CPU11は、ステップS107において、宅内制御装置600を介して、漏電がある旨を報知することができる。例えば、CPU11は、宅内電気通信網インターフェース20を介して、警報指示信号を、宅内制御装置600に送信する。ここで、宅内制御装置600は、受信した警報指示信号を、警報装置500に送信する。警報装置500は、受信した警報指示信号に従って、漏電がある旨をユーザに報知する。なお、宅内制御装置600は、漏電がある旨を自らユーザに報知してもよい。
また、CPU11は、ステップS108において、宅内制御装置600を介して、電路を遮断することができる。例えば、CPU11は、宅内電気通信網インターフェース20を介して、遮断指示信号を、宅内制御装置600に送信する。ここで、宅内制御装置600は、受信した遮断指示信号を、分岐ブレーカー320に送信する。分岐ブレーカー320は、受信した遮断指示信号に従って、電路を遮断する。
本実施形態によれば、電気機器200の動作状態を示す動作状態情報に基づいて、漏電の検出に好適な予測安定期間が設定され、この予測安定期間に漏電の検出が実行される。このため、本実施形態によれば、漏電の検出の精度の向上がさらに期待できる。
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
本発明において、第1の実施形態や第2の実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
例えば、漏電検出装置100は、電路遮断部108を備えていなくてもよい。この場合、漏電検出装置100は、漏電を検出した場合、電路を遮断せずに、漏電を報知することができる。また、例えば、漏電検出装置100は、漏電報知部109を備えていなくてもよい。この場合、漏電検出装置100は、漏電を検出した場合、漏電を報知せずに、電路を遮断することができる。
第1の実施形態では、漏電検出装置100が、常時、電力を測定する例について説明した。本発明において、漏電検出装置100は、予め定められたスケジュールやユーザによる指示などに従って、適宜、電力を測定してもよい。この場合、漏電検出装置100は、電力の測定している間、チェック対象期間を実安定期間もしくは非実安定期間に設定することができる。
第1の実施形態では、漏電検出装置100が、常時、電流を測定する例について説明した。本発明において、漏電検出装置100は、予測安定期間内においてのみ、電流を測定してもよい。この場合でも、漏電検出装置100は、予測安定期間の終了後、予測安定期間内において発生した漏電を検出することができる。
第1の実施形態では、漏電の検出対象となる1つの系統(例えば、L1相とN相とにより電力が供給される系統、もしくは、L2相とN相とにより電力が供給される系統)に接続される電気機器200が1つである例について説明した。本発明において、漏電の検出対象となる1つの系統に接続される電気機器200が2つ以上であってもよい。この場合、2つ以上の電気機器200に流れる合計の電流が電路に流れることになる。しかしながら、この場合でも、電路により供給された電力の実績に基づいて実安定期間が設定されるため、第1の実施形態と同様の効果が期待できる。
一方、第2の実施形態のように、動作状態情報に基づいて予定安全期間が設定される場合、2つ以上の電気機器200のそれぞれに関わる動作状態情報に基づいて、2つ以上の電気機器200のいずれもが安定して電力を消費することが期待できる期間が予測安定期間に設定されることが望ましい。なお、2つ以上の電気機器200が存在する場合でも、主幹ブレーカー310部分の電路を測定するだけで、トラッキング現象による漏電の検出が可能である。
また、第2の実施形態のように、漏電検出装置150が宅内制御装置600と通信可能である場合、予測安定期間として適切な期間を設けることができる。例えば、電気機器200が消費する電力が安定する期間がない場合、漏電検出装置150は、電気機器200消費する電力が安定する期間が確保されるように、宅内制御装置600に電気機器200を制御させることができる。この場合、例えば、漏電検出装置150は、予測安定期間に設定したい期間を示す情報を、宅内制御装置600に送信する。一方、宅内制御装置600は、受信した情報により示される期間において電気機器200が消費する電力が安定するように、電気機器200を制御する。
あるいは、例えば、漏電検出装置150は、電気機器200が消費する電力が安定する期間の確保指示情報を、宅内制御装置600に送信する。一方、宅内制御装置600は、確保指示情報を受信したことに応答して、稼働効率等を考慮して、電気機器200が消費する電力が安定する期間を確保する。そして、宅内制御装置600は、確保した期間内において電気機器200が消費する電力が安定するように、電気機器200を制御する。ここで、宅内制御装置600は、確保した期間を示す情報を、漏電検出装置150に送信する。そして、漏電検出装置150は、受信した情報により示される期間を、予測安定期間に設定する。なお、宅内制御装置600は、電気機器200を停止させたり、電気機器200による運転モードの切り替えを禁止したりすることにより、このような期間を確保することができる。なお、2つ以上の電気機器200が存在する場合、宅内制御装置600は、このような期間を確保するために、2つ以上の電気機器200のうち、1つ以上の電気機器200を制御することができる。
第1の実施形態では、電流の実行値が異常である1周期期間の個数が所定の個数であると判別された場合、漏電の検出も報知せず電路も遮断しない状態から、漏電の検出を報知しさらに電路も遮断する状態に移行する例について説明した。本発明において、段階的に、漏電の検出の報知や電路の遮断が実行されてもよい。
例えば、電流の実行値が異常であるか否かを判別するための閾値として、第1の閾値と、第1の閾値よりも大きな第2の閾値とを設定することができる。ここで、電流の実行値と実効値の平均値との差が第1の閾値を超える1周期期間の個数が所定の個数であると判別された場合、第1段階として、漏電の検出が報知されてもよい。そして、電流の実行値と実効値の平均値との差が第2の閾値を超える1周期期間の個数が所定の個数であると判別された場合、第2段階として、漏電の検出の報知に加え、さらに、電路が遮断されてもよい。
もしくは、電流の実行値が異常である1周期期間の個数が、第1の閾値を超えたか、ならびに、第1の閾値よりも大きな第2の閾値を超えたかにより、漏電の検出の報知と、電路の遮断とが、段階的に実行されてもよい。
本発明に係る漏電検出装置100、150の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータや情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ等を本発明に係る漏電検出装置100、150として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。