JP2015034542A - オイルポンプの取り付け構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータの円周方向に穿設される吐出ポートと吸入ポートの間に形成されるシールランドを備えるオイルポンプにおいて、シールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止するオイルポンプの取り付け構造を提供する。【解決手段】ハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28に収容されるロータの円周方向に穿設される吐出ポートと吸入ポートの間に形成されるシールランドと、ハウジングと蓋部材の周縁に配置される第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を備え、蓋部材を取り付け面として取り付け先12に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、第1ねじ締結部に挿通される第1おねじ50aが螺合すべき第1めねじ50bを蓋部材に、第2、第3ねじ締結部62,60に挿通される第2、第3おねじ62a,60aが螺合すべき第2、第3めねじ62b,60bを取り付け先に形成する。【選択図】図8

Description

この発明はインナロータとアウタロータからなるロータを備えた内接型のオイルポンプ(油圧ポンプ)の取り付け構造に関する。
この発明に近い技術として、これまでに特許文献1記載の技術が知られている。特許文献1記載の技術は、オイルポンプの吸入ポートと吐出ポートの間に形成されるシールランド(間仕切り部)にポートと隔離された状態で窪み部を設け、インナロータの歯底部とアウタロータの歯先部の間に形成されるセル(ポンプ室)が吐出ポートから吸入ポートに向かう際、セルの容積が減少するのに吐出できないために生じる局所的な高圧の発生を防止し、振動や騒音を低減するように構成している。
また、特許文献2記載の技術において、アウタロータとインナロータの周面側の少なくとも一部に面取り部を設け、高圧側のセルと低圧側のセルを略二等辺三角形状の断面を有する油路で接続し、よって隣接するセル間の急激な圧力変動を抑えて騒音の発生を低減すると共に、ロータの上面と下面に油膜をより確実に形成して焼き付きに対する耐性を上げるように構成している。
特開2008−274870号公報 特開平6−81774号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、オイルポンプのセルが吐出ポートから吸入ポートに向かう際、吸入ポートで開口する寸前にセルが隔離されている状態で理論容積の増加を開始するときに生じる圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを勘案していない。
そのため、オイルポンプの運転条件やオイルポンプの各部のクリアランスの設定によってはシールランドの径方向外側に油膜切れが発生し、騒音や効率低下を招く恐れがある。
特許文献2記載の技術にあっても、シールランドの径方向外側と略二等辺三角形状の断面を有する油路の半径方向の位置がずれていることから、この油路をもってしても、シールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することは困難と考えられる。また、そもそもこの種の油路は、オイルポンプの円周方向に形成される圧力の異なるセル同士を恒常的に連通するため、オイルポンプの運転効率を低下させる不都合がある。
従って、この発明の目的は上記した不都合を解消し、ロータの円周方向に穿設される吐出ポートと吸入ポートの間に形成されるシールランドを備えるオイルポンプにおいて、圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止するようにしたオイルポンプの取り付け構造を提供することにある。
上記した目的を達成するため、請求項1にあっては、ハウジングと、前記ハウジングを閉鎖する蓋部材と、前記ハウジングと蓋部材の間に形成される空間に回転自在に収容されるインナロータとアウタロータからなるロータと、前記ハウジングと蓋部材の少なくとも一方において前記ロータの円周方向に穿設されるオイル吸入用の吸入ポートとオイル吐出用の吐出ポートと、前記吐出ポートの円周方向終端部と前記吸入ポートの円周方向始端部の間に形成されるシールランドと、前記ハウジングと蓋部材の周縁において、前記吸入ポートの外側に配置される第1ねじ締結部と、前記シールランドの外側に配置される第2ねじ締結部と、前記吐出ポートの外側に配置される第3ねじ締結部とを少なくとも備え、前記蓋部材を取り付け面として前記ねじ締結部を介して取り付け先に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、前記第1ねじ締結部を構成する第1おねじが螺合すべき第1めねじを前記蓋部材に形成すると共に、前記第2、第3ねじ締結部を構成する第2、第3おねじが螺合すべき第2、第3めねじを前記取り付け先に形成する如く構成した。
請求項2にあっては、ハウジングと、前記ハウジングを閉鎖する蓋部材と、前記ハウジングと蓋部材の間に形成される空間に回転自在に収容されるインナロータとアウタロータからなるロータと、前記ハウジングと蓋部材の少なくとも一方において前記ロータの円周方向に穿設されるオイル吸入用の吸入ポートとオイル吐出用の吐出ポートと、前記吐出ポートの円周方向終端部と前記吸入ポートの円周方向始端部の間に形成されるシールランドと、前記ハウジングと蓋部材の周縁において、前記吸入ポートの外側に配置される第1ねじ締結部と、前記シールランドの外側に配置される第2ねじ締結部と、前記吐出ポートの外側に配置される第3ねじ締結部と、前記第2ねじ締結部に対向して前記第1、第3ねじ締結部の間に配置される第4ねじ締結部とを少なくとも備え、前記蓋部材を取り付け面として前記ねじ締結部を介して取り付け先に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、前記第1、第2、第3ねじ締結部を構成する第1、第2、第3おねじが螺合すべき第1、第2、第3めねじを前記蓋部材と取り付け先の一方に全て形成し、前記第4ねじ締結部を構成する第4おねじが螺合すべき第4めねじを前記取り付け先に形成すると共に、前記第1おねじまたは第1めねじの上部の強度と、前記第2、第3おねじまたは第2、第3めねじの上部の強度とを相違させる如く構成した。
請求項3に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記第1おねじの強度を、前記第2、第3おねじの強度よりも強める如く構成した。
請求項4に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記第1めねじの上部の強度を、前記第2、第3めねじの上部の強度よりも弱める如く構成した。
請求項5に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記第1、第2、第3めねじの上部は、前記第1、第2、第3おねじの周囲の部分で、前記第1、第2、第3めねじと前記第1、第2、第3おねじの頭部の間の部分からなる如く構成した。
請求項6に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記シールランドが、前記蓋部材に形成される如く構成した。
請求項7に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記ハウジングが前記ロータを収容するロータ収容空間を形成する第1ハウジングと前記ロータ収容空間を閉鎖する第2ハウジングとからなると共に、前記シールランドが前記第2ハウジングに形成される如く構成した。
請求項1にあっては、ハウジングと蓋部材の間に形成される空間に回転自在に収容されるロータの円周方向に穿設される吸入ポートと吐出ポートの間に形成されるシールランドと、ハウジングと蓋部材の周縁において吸入ポートとシールランドと吐出ポートの外側に配置される第1、第2、第3ねじ締結部とを少なくとも備え、蓋部材を取り付け面としてねじ締結部を介して取り付け先に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、第1ねじ締結部を構成する第1おねじが螺合すべき第1めねじを蓋部材に形成すると共に、第2、第3ねじ締結部を構成する第2、第3おねじが螺合すべき第2、第3めねじを取り付け先に形成する如く構成したので、圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができ、それによる効率低下や異音発生を防止することができる。
即ち、工場においてオイルポンプの取り付け時、第1、第2、第3おねじは適宜設定される均一の締め付けトルク(荷重)で対応する第1、第2、第3めねじに螺合(締め付け)されることになるが、第1おねじが螺合すべき第1めねじを蓋部材に形成する一方、第2、第3おねじが螺合すべき第2、第3めねじを(蓋部材を取り付け面として取り付けられる)取り付け先に形成するように構成したので、換言すれば第1めねじを第2、第3めねじのように取り付け先に形成するのではなく、蓋部材に形成するように構成したので、均一の締め付けトルクで螺合されると、第1ねじ締結部において蓋部材はハウジング側に引きつけられて全体として第1ねじ締結部側に傾き、それによってハウジングと蓋部材の間に形成される空間は第3、第2、第1ねじ締結部の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少する。
その結果、オイルが吐出ポートで吐出されてシールランドを経て吸入ポートに向かうとき、ハウジングと蓋部材の間に形成される空間は第3ねじ締結部の吐出ポート、第2ねじ締結部のシールランド、第1ねじ締結部の吸入ポートの順で回転方向に沿って体積が減少させられるため、オイルポンプのセルが吐出ポートから吸入ポートに向かう際、吸入ポートで開口する寸前にセルが隔離されている状態で生じる理論容積の増加が抑制される。
これにより、吸入ポートで開口する寸前に理論容積の増加を開始するときに生じる圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、機械加工によってハウジングや蓋部材などのオイルポンプの構成部品の厚みを変更することで空間を減少するのではなく、ねじ締結による構成部品の機械的な変形によって空間を減少するため、所望の変形が生じるように弾性変形を考慮して構成部品の素材や形状を予め決定しておけば足りることから、機械加工によるコスト上昇を招くこともない。
また、オイルポンプのロータの円周方向に形成される圧力の異なるセル同士を恒常的に連通するような油路を設けることがないため、オイルポンプとしての運転効率を低下させることもない。
請求項2にあっては、ハウジングと蓋部材の間に形成される空間に回転自在に収容されるロータの円周方向に穿設される吸入ポートと吐出ポートの間に形成されるシールランドと、ハウジングと蓋部材の周縁において吸入ポートとシールランドと吐出ポートの外側に配置される第1、第2、第3、第4ねじ締結部とを少なくとも備え、蓋部材を取り付け面としてねじ締結部を介して取り付け先に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、第1、第2、第3ねじ締結部を構成する第1、第2、第3おねじが螺合すべき第1、第2、第3めねじを蓋部材と取り付け先の一方に全て形成し、第4ねじ締結部を構成する第4おねじが螺合すべき第4めねじを取り付け先に形成すると共に、第1おねじまたは第1めねじの上部の強度と、前記第2、第3おねじまたは第2、第3めねじの上部の強度とを相違させる如く構成したので、同様に圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができ、それによる効率低下や異音発生を防止することができる。
即ち、工場においてオイルポンプの取り付け時、第1、第2、第3、第4おねじは均一の締め付けトルクで対応する第1、第2、第3、第4めねじに螺合(締め付け)されることになるが、第1、第2、第3おねじが螺合すべき第1、第2、第3めねじを蓋部材と取り付け先の一方に全て形成すると共に、第1おねじまたはめねじの上部の強度と、第2、第3おねじまたはめねじの上部の強度とを相違させる如く構成したので、例えば第1おねじの強度を第2、第3おねじのそれよりも強めることで、第1ねじ締結部において蓋部材がハウジング側に引きつけられて全体として第1ねじ締結部側に傾き、それによってハウジングと蓋部材の間に形成される空間は第3、第2、第1ねじ締結部の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少し、吸入ポートで開口する寸前に生じる理論容積の増加を抑制することで圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、例えば第1めねじの上部の強度を第2、第3めねじの上部のそれよりも局所的に弱めることで、第1ねじ締結部において局所的に強度が弱められた部位が微小に圧潰して締結方向長さが僅かに減少することで蓋部材がハウジング側に引きつけられて全体として第1ねじ締結部側に傾き、それによってハウジングと蓋部材の間に形成される空間は第3、第2、第1ねじ締結部の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少し、吸入ポートで開口する寸前に生じる理論容積の増加を抑制することで圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
請求項3に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、第1おねじの強度を、第2、第3おねじの強度よりも強める如く構成したので、上記した如く、第1おねじの強度を第2、第3おねじのそれよりも強めることで、第1ねじ締結部において蓋部材がハウジング側に引きつけられて全体として第1ねじ締結部側に傾き、それによってハウジングと蓋部材の間に形成される空間は第3、第2、第1ねじ締結部の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少し、吸入ポートで開口する寸前に生じる理論容積の増加を抑制することで圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
請求項4に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、第1めねじの上部の強度を、第2、第3めねじの上部の強度よりも弱める如く構成したので、上記した如く、第1めねじの上部の強度を第2、第3めねじの上部のそれよりも弱める、より具体的には局所的に弱めることで、第1ねじ締結部において局所的に強度が弱められた部位が微小に圧潰して締結方向長さが僅かに減少することで蓋部材がハウジング側に引きつけられて全体として第1ねじ締結部側に傾き、それによってハウジングと蓋部材の間に形成される空間は第3、第2、第1ねじ締結部の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少し、吸入ポートで開口する寸前に生じる理論容積の増加を抑制することで圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
請求項5に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、第1、第2、第3めねじの上部は、第1、第2、第3おねじの周囲の部分で、第1、第2、第3めねじと第1、第2、第3おねじの頭部の間の部分からなる如く構成したので、吸入ポートで開口する寸前に生じる圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを確実に防止することができる。
請求項6に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、シールランドが、蓋部材に形成される如く構成したので、上記した効果に加え、ねじ締結部による変形を蓋部材で許容することができ、よって所望の変形が生じるように蓋部材の素材や形状を予め決定しておけば足りるので、コスト上昇を招くことがない。
請求項7に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、ハウジングがロータを収容するロータ収容空間を形成する第1ハウジングとロータ収容空間を閉鎖する第2ハウジングとからなると共に、シールランドが第2ハウジングに形成される如く構成したので、上記した効果に加え、ねじ締結部による変形を第2ハウジングで許容することができ、よって所望の変形が生じるように第2ハウジングの素材や形状を予め決定しておけば足りるので、コスト上昇を招くことがない。
この発明の第1実施例に係るオイルポンプの取り付け構造が前提とするオイルポンプをカバーとロータとベースプレートなどを含めて全体的に示す分解斜視図である。 図1に示すオイルポンプを反対側から見たときの分解斜視図である。 図1などに示すオイルポンプを組み立て、カバーを外してボディ側を見たときの平面図である。 図1に示すカバーの内面側の平面図である。 図1に示すベースプレートの平面図である。 図1に示すオイルポンプを組み立てたときの斜視図である。 図6に示すオイルポンプを反対側から見たときの斜視図である。 この発明の第1実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。 この発明の第2実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。 同様にこの発明の第2実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。 この発明の第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。 同様にこの発明の第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。 同様にこの発明の第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。
以下、添付図面に即してこの発明に係るオイルポンプの取り付け構造を実施するための形態を説明する。
図1はこの発明の第1実施例に係るオイルポンプの取り付け構造が前提とする、オイルポンプをカバーとロータとベースプレートなども含めて全体的に示す分解斜視図、図2は図1に示すオイルポンプを反対側から見たときの分解斜視図、図3は図1などに示すオイルポンプを組み立て、カバーを外してボディ側を見たときの平面図、図4はカバーの内面側の平面図、図5はベースプレートの平面図、図6はオイルポンプの斜視図、図7は図6に示すオイルポンプを反対側から見たときの斜視図、図8は第1実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を模式的に示す説明断面図である。
図1などにおいて符号10はオイルポンプ(油圧ポンプ)を示す。オイルポンプ10は内接型のギヤポンプからなり、車両の自動変速機を収容する変速機ケース(取り付け先。図6に示す)12の内部に収容され、エンジンなどの駆動源にベルトなどを介して機械的に接続されて駆動され、変速機ケース12の重力方向において下方位置に形成されるオイルパン(図示せず)からオイル(作動油。ATF)を汲み上げて自動変速機の各部に圧送する。
図1と図2に示す如く、オイルポンプ10は、カバー14とボディ16からなるハウジング20と、ベースプレート22とベース24からなると共に、ハウジング20を閉鎖する蓋部材26を備え、ハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28にはロータ30が収容される。
図3に示す如く、ロータ30は、外周に6個のトロコイド曲線からなる内歯が形成されたインナ(ドライブ)ロータ30aと、インナロータ30aの外周側に、インナロータ30aの内歯と部分的に噛合う7個の同様にトロコイド曲線からなる外歯が形成されたアウタ(ドリブン)ロータ30bとを備える。
インナロータ30aはエンジンなどの駆動源の駆動軸に接続される軸32に接続されて図3と図4において矢印で示すように半時計方向に回転駆動される。インナロータ30aとアウタロータ30bからなるロータ30の円周方向には大略円弧状のスリットからなる、オイル吸入用の吸入ポート34と、オイル吐出用の吐出ポート36が穿設される。
アウタロータ30bはインナロータ30aの外周に7個の外歯がインナロータ30aの6個の内歯と部分的に噛合しつつ、インナロータ30bの回転に応じて従動するように配置される。より詳しくは、インナロータ30aとアウタロータ30bは内歯と外歯が互いに接近し合うことでその間にセル(ポンプ室)30cが形成される。
図3に示すようにインナロータ30aはアウタロータ30bと組み合わされ、インナロータ30aとアウタロータ30bの回転によってオイルは吸入流路40を通って吸入ポート34から吸込まれ、内歯と外歯の間を通って吐出ポート36から吐出流路42(図7に示す)を介して吐出される。
図4などに示す如く、吸入ポート34の円周方向終端部と吐出ポート36の円周方向始端部の間には隆起された平坦面からなる第1シールランド(ブリッジ)44が形成されると共に、吐出ポート36の円周方向終端部と吸入ポート34の円周方向始端部の間にも同様に隆起された平坦面からなる第2シールランド(ブリッジ)46が形成される。第1、第2シールランド44,46は間仕切りとして機能する。
図4と図5に示す如く、第1、第2シールランド44,46はハウジング20、より具体的には第2ハウジングとして機能するカバー(第2ハウジング)14に形成されると共に、蓋部材26として機能するベースプレート22にも形成される。
図1から図7に示す如く、オイルポンプ10はハウジング20と蓋部材26の周縁において、吸入ポート34の径方向の外側(ロータ30の軸32から見て)に配置される3個のねじ締結部、即ち、ねじ締結部(第1ねじ締結部)50とねじ締結部52とねじ締結部54と、第1シールランド44の径方向の外側に配置される1個のねじ締結部56と、吐出ポート36の径方向の外側に配置される1個のねじ締結部(第3ねじ締結部)60と、第2シールランド46の径方向の外側に配置される1個のねじ締結部(第2ねじ締結部)62からなる6個のねじ締結部を備える。
図1と図2に示す如く、6個のねじ締結部50,52,54,56,60,62は、第1おねじ(ボルト)50a、第2おねじ(ボルト)62a、第3おねじ(ボルト)52a,54a,56a,60aと、それらおねじが螺合すべき第1めねじ(ボルト穴)50b、第2めねじ(ボルト穴)62b、第3めねじ(ボルト穴)52b,54b,56b,60bとで構成される。
図6に示す如く、オイルポンプ10は、蓋部材26を取り付け面として変速機ケース12に取り付けられる。図1と図2に示す如く、カバー14とボディ16とベースプレート22とベース24とロータ30は相互の接触面がそれぞれ平坦に形成される。
より具体的には、カバー14とボディ16とベースプレート22とベース24とはロータ30を内部に収容して蓋部材26を取り付け面として変速機ケース12にねじ締結部50,52,54・・・などでおねじ50a,52a,54a・・・などで取り付けられたとき、カバー14とボディ16とベースプレート22とベース24の接触面がロータ30の上面(カバー14側の面)あるいは底面(ベースプレート22側の面)とほぼ(あるいは厳密に)平行となるように構成される。
先に述べたように、オイルポンプ10のセル30cが吐出ポート36から吸入ポート34に向かう際、吸入ポート34で開口する寸前にセル30cが隔離されている状態で理論容積の増加を開始するときに生じる圧力低下に起因して第2シールランド46の(ロータ30の出力軸(軸32)方向から見た)径方向外側に油膜切れが発生し、騒音や効率低下を招く恐れがある。
そこで、この実施例においては、図8に示す如く、ねじ締結部50を構成するおねじ50aが螺合すべきめねじ50bをベースプレート22とベース24からなる蓋部材26に形成すると共に、ねじ締結部62,60を構成するおねじ62a,60aが螺合すべきめねじ62b,60bを変速機ケース(取り付け先)12に形成するようにした。
即ち、車両の製造工場においてオイルポンプ10の取り付け時、おねじ50a,52a,54a,56a,60a,62aは適宜設定される均一の締め付けトルクで対応するめねじ50b,52b,54b,56b,60b,62bに螺合(締め付け)されることになるが、そのうちのおねじ50aが螺合すべきめねじ50bを蓋部材26に形成する一方、残余のおねじ52a,54a,56a,60a,62aが螺合すべきめねじ52b,54b,56b,60b,62bを(平坦な接触面を有する蓋部材26を取り付け面として取り付けられる)変速機ケース12に形成するように構成した(図8でねじ締結部52,54,56の図示省略)。
このうち、第2シールランド46付近のねじ締結部についてねじ締結部50を第1、ねじ締結部62を第2、ねじ締結部60を第3とすると、図8に示す如く、第1めねじ50bを第2、第3めねじ62b,60bのように変速機ケース12に形成するのではなく、蓋部材26に形成するように構成したので、ねじが均一の締め付けトルクで螺合されると、第1ねじ締結部50において蓋部材26はハウジング20側に引きつけられ、矢印で示すように第1ねじ締結部側に引きつけられることで第1ねじ締結部50側に傾き、それによってハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間(より正確にはロータ30とベースプレート22との間に形成される空間)28は体積が第3、第2、第1ねじ締結部50,62,60の順で矢印で示す回転方向に沿って徐々に減少する。尚、図8で空間28の変形などを誇張して示す。
その結果、オイルが吐出ポート36で吐出されて第2シールランド46を経て吸入ポート34に向かうとき、ハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28は第3ねじ締結部60の径方向の内側に位置する吐出ポート36、第2ねじ締結部62の径方向の内側に位置する第2シールランド46、第1ねじ締結部50の径方向の内側に位置する吸入ポート34の順で体積が回転方向に沿って徐々に減少させられる。
これにより、オイルポンプ10のロータ30で形成されるセル30cが吐出ポート36から吸入ポート34に向かう際、吸入ポート34で開口する寸前にセル30cが隔離されている状態で生じる理論容積の増加が抑制され、理論容積の増加を開始するときに生じる圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因って第2シールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、特許文献2のようにオイルポンプ10のロータ30の円周方向に形成される圧力の異なるセル30c同士を恒常的に連通する油路を設けることがないため、オイルポンプ10としての運転効率を低下させることもない。
また、第1、第2シールランド44,46、特に第2シールランド46はハウジング20、より具体的には第2ハウジングとして機能するカバー14に形成されると共に、蓋部材26として機能するベースプレート22にも形成されるので、所望の変形が生じるようにそれらの素材や形状を予め決定しておけば足りるため、コスト上昇を招くことがない。
即ち、機械加工によってハウジング20や蓋部材26などのオイルポンプ10の構成部品の厚みを変更することで空間を減少するのではなく、ねじ締結による構成部品の機械的な変形によって空間を減少するため、所望の変形が生じるように弾性変形を考慮して構成部品の素材や形状を予め決定しておけば足りることから、機械加工によるコスト上昇を招くこともない。
図9は、この発明の第2実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を示す、図8と類似するねじ締結部付近の断面図である。
第1実施例で述べた第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60に加え、第2実施例にあっては、残余のねじ締結部52,54,56を第4ねじ締結部とするとき、第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を構成する第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aが螺合すべき第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bを蓋部材26と変速機ケース12の一方、より具体的には、変速機ケース12に全て形成し、第4ねじ締結部52,54,56を構成する第4おねじ52a,54a,56aが螺合すべき第4めねじ52b,54b,56bを変速機ケース12に形成すると共に(図示省略)、第1おねじ50aの強度と、第2、第3おねじ62a,60aの強度を相違させる、より具体的には図9に示す如く、第1おねじ50aの太さを第2、第3おねじ62a,60aのそれよりも太く構成することで、第1おねじ50aの強度を、第2、第3おねじ62a,60aの強度よりも強める如く構成した。
尚、ここで、「第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bを蓋部材26と変速機ケース12の一方に全て形成し」とは、第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bの全てを同一の部材(蓋部材26または変速機ケース12)に形成し、一部を蓋部材26、残余を変速機ケース12に形成するのではないことを意味する。
第2実施例にあっては上記のように構成したので、50aから62aまでの全てのおねじが均一の締め付けトルクで50bから62bまでのめねじに螺合されると、図9に示す如く、第1ねじ締結部50において蓋部材26はハウジング20側に引きつけられ、矢印で示すように第1ねじ締結部50側に引きつけられることで第1ねじ締結部50側に傾き、それによってハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間(より正確にはロータ30とベースプレート22との間に形成される空間)28は体積が第3、第2、第1ねじ締結部60,62,50の順で回転方向に沿って徐々に減少する。
その結果、オイルが吐出ポート36で吐出されて第2シールランド46を経て吸入ポート34に向かうとき、ハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28は第3ねじ締結部60の径方向の内側の吐出ポート36、第2ねじ締結部62の径方向の内側の第2シールランド46、第1ねじ締結部50の径方向の内側の吸入ポート34の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少させられる。
それにより、オイルポンプ10のロータ30で形成されるセル30cが吐出ポート36から吸入ポート34に向かう際、吸入ポート34で開口する寸前にセル30cが隔離されている状態で理論容積の増加が抑制され、理論容積の増加を開始するときに生じる圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因って第2シールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、第1おねじ50aの太さを第2、第3おねじ62a,60aのそれよりも太く構成することで、若干取り付け作業効率は低下するものの、機械加工によるコスト上昇を招くこともない。
図10は第2実施例に係るオイルポンプの取り付け構造の変形例を示す、図9と類似するねじ締結部付近の断面図である。
図10に示す変形例の場合、第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を構成する第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aが螺合すべき第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bを蓋部材26と変速機ケース12の一方、より具体的には、蓋部材26に全て形成するように構成した。残余の構成と効果は図9に示す場合と異ならない。
尚、第2実施例においては第1おねじ50aの太さを変えることで第1おねじ50aの強度を第2、第3おねじ62a,60aのそれよりも強める如く構成したが、材質を変えることで第1おねじ50aの強度を第2、第3おねじ62a,60aのそれよりも強めるようにしても良い。
図11は、この発明の第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造を示す、図8と類似するねじ締結部付近の断面図である。
第1実施例で述べた第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60に加え、第3実施例にあっては、第2実施例と同様に残余のねじ締結部52,54,56を第4ねじ締結部とするとき、第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を構成する第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aが螺合すべき第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bを蓋部材26と変速機ケース12の一方、より具体的には、変速機ケース12に全て形成し、第4ねじ締結部52,54,56を構成する第4おねじ52a,54a,56aが螺合すべき第4めねじ52b,54b,56bを変速機ケース12に形成すると共に(図示省略)、第1おねじ50aまたは第1めねじ50bの上部50b1の強度と、第2、第3おねじ62a,60aまたは第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1の強度を相違させる、より具体的には図11に示す如く、第1めねじ50bの上部50b1の強度を局所的、即ち、ボディ16において第2、第3おねじ62a,60aの上部62b1,60b1のそれよりも弱めるように構成することで、第1めねじ50bの上部50b1の強度を、第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1の強度よりも弱める如く構成した。
ここで、第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bの上部50b1,62b1,60b1は、第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aの周囲の部分で、第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bと第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aの頭部50a1,62a1,60a1の間の部分、例えばボディ16に相当する部分を意味する。
第3実施例にあっては上記のように構成したので、50aから62aまでの全てのおねじが均一の締め付けトルクで50bから62bまでのめねじに螺合されると、図11に示す如く、上記したように、第1めねじ50bの上部50b1の強度を第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1のそれよりも弱める、より具体的にはボディ16において局所的に弱めることで、第1ねじ締結部50において局所的に強度が弱められたボディ16の部位が微小に圧潰することで蓋部材26がハウジング20側に引きつけられ、矢印で示すように第1ねじ締結部50側に引きつけられることで第1ねじ締結部50側に傾き、それによってハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間(より正確にはロータ30とベースプレート22との間に形成される空間)28は体積が第3、第2、第1ねじ締結部60,62,50の順で矢印で示す回転方向に沿って徐々に減少する。
その結果、オイルが吐出ポート36で吐出されて第2シールランド46を経て吸入ポート34に向かうとき、ハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28は第3ねじ締結部60の径方向の内側の吐出ポート36、第2ねじ締結部62の径方向の内側の第2シールランド46、第1ねじ締結部50の径方向の内側の吸入ポート34の順で体積が減少させられ、オイルポンプ10のロータで形成されるセル30cが吐出ポート36から吸入ポート34に向かう際、吸入ポート34で開口する寸前にセル30cが隔離されている状態で生じる理論容積の増加が抑制される。
それにより、吸入ポート34で開口する寸前に理論容積の増加を開始するときに生じる圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因って第2シールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、第1めねじ50bの上部50b1の強度を第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1のそれよりも弱めることで、若干取り付け作業効率は低下するものの、機械加工によるコスト上昇を招くこともない。
図12は第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造の変形例を示す、図11と類似するねじ締結部付近の断面図である。
図12に示す変形例の場合、第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を構成する第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aが螺合すべき第1、第2、第3めねじ50b、62b、60bを蓋部材26と変速機ケース12の一方、より具体的には、蓋部材26に全て形成するように構成した。第4ねじ締結部52,54,56を構成する第4めねじ52b,54b,56bが変速機ケース12に形成されることも含め、残余の構成と効果は図11に示す場合と異ならない。
図13は第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造の別の変形例を示す、図11と類似するねじ締結部付近の断面図である。
図13に示す変形例の場合、第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を構成する第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aが螺合すべき第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bを蓋部材26と変速機ケース12の一方、より具体的には、変速機ケース12に全て形成するように構成すると共に、第1めねじ50bの上部50b1の強度を局所的、即ち、蓋部材26において第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1のそれよりも弱めるように構成することで、第1めねじ50bの上部50b1の強度を、第2、第3めねじ62b、60bの上部62b1,60b1の強度よりも弱める如く構成した。
それにより、50aから62aまでの全てのおねじが均一の締め付けトルクで50bから62bまでのめねじに螺合されると、図13に示す如く、第1ねじ締結部50において局所的に強度が弱められた蓋部材26の部位が微小に圧潰することで蓋部材26がハウジング20側に引きつけられ、矢印で示すように第1ねじ締結部50側に引きつけられることで第1ねじ締結部50側に傾き、それによってハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28は体積が第3、第2、第1ねじ締結部50,62,60の順で矢印で示す回転方向に沿って徐々に減少する。残余の構成と効果は図11に示す場合と異ならない。
上記した如く、第1実施例にあっては、ハウジング20と、前記ハウジングを閉鎖する蓋部材26と、前記ハウジングと蓋部材の間に形成される空間28に回転自在に収容されるインナロータ30aとアウタロータ30bからなるロータ30と、前記ハウジングと蓋部材の少なくとも一方において前記ロータの円周方向に穿設されるオイル吸入用の吸入ポート34とオイル吐出用の吐出ポート36と、前記吐出ポートの円周方向終端部と前記吸入ポートの円周方向始端部の間に形成される(第2)シールランド46と、前記ハウジングと蓋部材の周縁において、前記吸入ポートの外側に配置される第1ねじ締結部50と、前記シールランドの外側に配置される第2ねじ締結部62と、前記吐出ポートの外側に配置される第3ねじ締結部60とを少なくとも備え、前記蓋部材26を取り付け面として前記ねじ締結部を介して取り付け先(変速機ケース)12に取り付け自在としたオイルポンプ10の取り付け構造において、前記第1ねじ締結部50を構成する第1おねじ50aが螺合すべき第1めねじ50bを前記蓋部材26に形成すると共に、前記第2、第3ねじ締結部62,60を構成する第2、第3おねじ62a,60aが螺合すべき第2、第3めねじ62b,60bを前記取り付け先に形成する如く構成したので、圧力低下に因って第2シールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを防止することができ、それによる効率低下や異音発生を防止することができる。
第2、第3実施例、特に第3実施例にあっては、ハウジング20と、前記ハウジングを閉鎖する蓋部材26と、前記ハウジングと蓋部材の間に形成される空間28に回転自在に収容されるインナロータ30aとアウタロータ30bからなるロータ30と、前記ハウジングと蓋部材の少なくとも一方において前記ロータの円周方向に穿設されるオイル吸入用の吸入ポート34とオイル吐出用の吐出ポート36と、前記吐出ポートの円周方向終端部と前記吸入ポートの円周方向始端部の間に形成される(第2)シールランド46と、前記ハウジングと蓋部材の周縁において、前記吸入ポートの外側に配置される第1ねじ締結部50と、前記シールランドの外側に配置される第2ねじ締結部62と、前記吐出ポートの外側に配置される第3ねじ締結部60と、前記第2ねじ締結部に対向して前記第1、第3ねじ締結部の間に配置される第4ねじ締結部52,54,56とを少なくとも備え、前記蓋部材を取り付け面として前記ねじ締結部を介して取り付け先(変速機ケース)12に取り付け自在としたオイルポンプ10の取り付け構造において、前記第1、第2、第3ねじ締結部50,62,60を構成する第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aが螺合すべき第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bを前記蓋部材と取り付け先の一方に全て形成し、前記第4ねじ締結部52,54,56を構成する第4おねじ52a,54a,56aが螺合すべき第4めねじ52b,54b,56bを前記取り付け先に形成すると共に、前記第1おねじ50aまたは第1めねじ50bの上部50b1の強度と、前記第2、第3おねじ62a,60aまたは第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1の強度とを相違させる如く構成したので、同様に圧力低下に因ってシールランドの径方向外側に発生する油膜切れを防止することができ、それによる効率低下や異音発生を防止することができる。
また、第2、第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記第1おねじ50aの強度を、前記第2、第3おねじ62a,60aの強度よりも強める如く構成したので、第1おねじ50aの強度を第2、第3おねじ62a,60aのそれよりも強めることで、第1ねじ締結部50において蓋部材26がハウジング20側に引きつけられて全体として第1ねじ締結部50側に傾き、それによってハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28は第3、第2、第1ねじ締結部60,62,50の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少し、吸入ポートで開口する寸前に生じる圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因って第2シールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、第2、第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記第1めねじ50bの上部50b1の強度を、前記第2、第3めねじ62b,60bの上部62b1,60b1の強度よりも弱める如く構成したので、上記した如く、第1めねじ50bの上部50b1の強度を第2、第3おねじ62b,60bの上部62b1,60b1のそれよりも弱める、より具体的には局所的に弱めることで、第1ねじ締結部50において局所的に強度が弱められた部位が微小に圧潰することで蓋部材26がハウジング20側に引きつけられて第1ねじ締結部50側に傾き、それによってハウジング20と蓋部材26の間に形成される空間28は第3、第2、第1ねじ締結部60,62,50の順で回転方向に沿って徐々に体積が減少し、吸入ポート34で開口する寸前に生じる理論容積の増加を抑制することで圧力低下を抑制することができ、よって圧力低下に因って第2シールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを防止することができる。
また、前記第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bの上部50b1,62b1,60b1は、前記第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aの周囲の部分で、前記第1、第2、第3めねじ50b,62b,60bと前記第1、第2、第3おねじ50a,62a,60aの頭部50a1,62a1,60a1の間の部分からなる如く構成したので、吸入ポート34で開口する寸前に生じる圧力低下に因ってシールランド46の径方向外側に発生する油膜切れを確実に防止することができる。
また、第1から第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記(第2)シールランド46が、前記蓋部材26に形成される如く構成したので、上記した効果に加え、第1ねじ締結部50などのねじ締結部による変形を蓋部材26で許容することができ、よって所望の変形が生じるように蓋部材26の素材や形状を予め決定しておけば足りるので、コスト上昇を招くことがない。
また、第1から第3実施例に係るオイルポンプの取り付け構造にあっては、前記ハウジング20が前記ロータ30を収容するロータ収容空間(空間28)を形成する第1ハウジング(ボディ)16と前記ロータ収容空間を閉鎖する第2ハウジング(カバー)14とからなると共に、前記(第2)シールランド46が前記第2ハウジングに形成される如く構成したので、上記した効果に加え、第1ねじ締結部50などのねじ締結部による変形を第2ハウジング(カバー)14で許容することができ、よって所望の変形が生じるように第2ハウジングの素材や形状を予め決定しておけば足りるので、コスト上昇を招くことがない。
尚、上記においてねじ締結部において全てのおねじが均一の締め付けトルクで全てのめねじに螺合されることを前提とした構成を説明したが、それに加え、第1ねじ締結部の締め付けトルクを第2、第3締め付けトルクよりも強くしても良い。
また、カバー14とボディ16からなるハウジング20と、ベースプレート22とベース24からなる蓋部材26を備え、その間に形成される空間にロータ30が収容されるように構成したが、ハウジング20と蓋部材26の構成要素はそれに限られるものではなく、例えばカバー14とボディ16を一体化させてハウジング20を構成しても良く、ベースプレート22とベース24を一体化して蓋部材26を構成しても良い。
また、自動変速機の変速機ケース12を取り付け先としたが、それに限られるものではなく、オイルポンプ10が取り付け可能な部材であれば、どのようなものであっても良い。
10 オイルポンプ、12 変速機ケース(取り付け先)、14 カバー、16 ボディ、20 ハウジング、22 ベースプレート、24 ベース、26 蓋部材、28 空間、30 ロータ、30a インナロータ、30b アウタロータ、30c セル、32 軸、34 吸入ポート、36 吐出ポート、40 吸入流路、42 吐出流路、44 第1シールランド、46 第2シールランド、50,52,54,56,60,62 ねじ締結部、50a,52a,54a,56a,60a,62a おねじ(ボルト)、50a1,62a1,60a1 おねじの頭部、50b,52b,54b,56b,60b,62b めねじ(ボルト穴)、50b1,60b1,62b1 めねじの上部

Claims (7)

  1. ハウジングと、前記ハウジングを閉鎖する蓋部材と、前記ハウジングと蓋部材の間に形成される空間に回転自在に収容されるインナロータとアウタロータからなるロータと、前記ハウジングと蓋部材の少なくとも一方において前記ロータの円周方向に穿設されるオイル吸入用の吸入ポートとオイル吐出用の吐出ポートと、前記吐出ポートの円周方向終端部と前記吸入ポートの円周方向始端部の間に形成されるシールランドと、前記ハウジングと蓋部材の周縁において、前記吸入ポートの外側に配置される第1ねじ締結部と、前記シールランドの外側に配置される第2ねじ締結部と、前記吐出ポートの外側に配置される第3ねじ締結部とを少なくとも備え、前記蓋部材を取り付け面として前記ねじ締結部を介して取り付け先に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、前記第1ねじ締結部を構成する第1おねじが螺合すべき第1めねじを前記蓋部材に形成すると共に、前記第2、第3ねじ締結部を構成する第2、第3おねじが螺合すべき第2、第3めねじを前記取り付け先に形成したことを特徴とするオイルポンプの取り付け構造。
  2. ハウジングと、前記ハウジングを閉鎖する蓋部材と、前記ハウジングと蓋部材の間に形成される空間に回転自在に収容されるインナロータとアウタロータからなるロータと、前記ハウジングと蓋部材の少なくとも一方において前記ロータの円周方向に穿設されるオイル吸入用の吸入ポートとオイル吐出用の吐出ポートと、前記吐出ポートの円周方向終端部と前記吸入ポートの円周方向始端部の間に形成されるシールランドと、前記ハウジングと蓋部材の周縁において、前記吸入ポートの外側に配置される第1ねじ締結部と、前記シールランドの外側に配置される第2ねじ締結部と、前記吐出ポートの外側に配置される第3ねじ締結部と、前記第2ねじ締結部に対向して前記第1、第3ねじ締結部の間に配置される第4ねじ締結部とを少なくとも備え、前記蓋部材を取り付け面として前記ねじ締結部を介して取り付け先に取り付け自在としたオイルポンプの取り付け構造において、前記第1、第2、第3ねじ締結部を構成する第1、第2、第3おねじが螺合すべき第1、第2、第3めねじを前記蓋部材と取り付け先の一方に全て形成し、前記第4ねじ締結部を構成する第4おねじが螺合すべき第4めねじを前記取り付け先に形成すると共に、前記第1おねじまたは第1めねじの上部の強度と、前記第2、第3おねじまたは第2、第3めねじの上部の強度とを相違させたことを特徴とするオイルポンプの取り付け構造。
  3. 前記第1おねじの強度を、前記第2、第3おねじの強度よりも強めたことを特徴とする請求項2記載のオイルポンプの取り付け構造。
  4. 前記第1めねじの上部の強度を、前記第2、第3めねじの上部の強度よりも弱めたことを特徴とする請求項2または3記載のオイルポンプの取り付け構造。
  5. 前記第1、第2、第3めねじの上部は、前記第1、第2、第3おねじの周囲の部分で、前記第1、第2、第3めねじと前記第1、第2、第3おねじの頭部の間の部分からなることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のオイルポンプの取り付け構造。
  6. 前記シールランドが、前記蓋部材に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオイルポンプの取り付け構造。
  7. 前記ハウジングが前記ロータを収容するロータ収容空間を形成する第1ハウジングと前記ロータ収容空間を閉鎖する第2ハウジングとからなると共に、前記シールランドが前記第2ハウジングに形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオイルポンプの取り付け構造。
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