JP2015032659A - 気相成長装置のクリーニング方法 - Google Patents

気相成長装置のクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015032659A
JP2015032659A JP2013160520A JP2013160520A JP2015032659A JP 2015032659 A JP2015032659 A JP 2015032659A JP 2013160520 A JP2013160520 A JP 2013160520A JP 2013160520 A JP2013160520 A JP 2013160520A JP 2015032659 A JP2015032659 A JP 2015032659A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas supply
reaction
reaction furnace
vapor phase
phase growth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013160520A
Other languages
English (en)
Inventor
克昌 鈴木
Katsumasa Suzuki
克昌 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Nippon Sanso Corp filed Critical Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority to JP2013160520A priority Critical patent/JP2015032659A/ja
Publication of JP2015032659A publication Critical patent/JP2015032659A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、反応炉、及び反応炉内に配置された部材の損傷を抑制した上で、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含んだ反応生成物を除去可能な気相成長装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】反応炉13を1000〜1400℃の温度に加熱した状態で、反応炉13の内面に付着した反応生成物に水素ガスを供給する水素ガス供給工程と、該水素ガス供給工程後、反応炉13の内面に残存する反応生成物にブローガスを吹き付けるブロー工程と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、気相成長装置のクリーニング方法に関し、特に、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、を積層させた窒化物半導体膜を形成する気相成長装置(例えば、MOCVD装置)のクリーニング方法に関する。
III−V族窒化物半導体は、バンドギャップが大きく、電圧耐性が高く、かつ電子の飽和速度が速いという特徴を有する。
このため、近年、III−V族窒化物半導体は、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)やレーザダイオード(LD;Laser Diode)等の光デバイス、電子デバイス、及びパワーデバイス等の材料として注目を集めている。
III−V族窒化物半導体のうちの1つである窒化ガリウム(GaN)系半導体膜(窒化物半導体膜のうちの1つ)は、社会インフラに必要不可欠なデバイスであり、青色LEDの材料として汎用化されていると共に、パワーデバイスの材料としても汎用化目前まできている。
窒化物半導体膜は、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって成膜される。
上記有機金属気相成長法に用いるMOCVD装置の反応炉の内壁や、窒化物半導体膜が成膜される基板(例えば、サファイア基板、GaN基板、単結晶Si基板等)を設置するサセプタ周辺には、成膜処理に伴って反応生成物(付着物)が付着していく。
このような反応生成物が成膜時に剥離するとパーティクルとなり、成長処理中の窒化物半導体膜内に混入して窒化物半導体膜の品質を低下させる原因となる。
このため、成膜処理の状況に応じて、反応炉を構成するパーツの定期的な交換や、反応炉に付着した付着物を除去するクリーニング処理を行う必要がある。
非特許文献1には、各種の窒化物半導体膜を積層する構造(例えば、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が交互に積層された構造)が開示されている。この場合、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が交互に積層された積層体が反応生成物(付着物)となる。
従来のクリーニング方法の1つとして、例えば、MOCVD装置の反応炉内から反応生成物が付着した洗浄対象部材を取り出して、洗浄対象部材に付着した反応生成物(堆積物)を除去する方法がある。
上記クリーニング方法としては、例えば、フッ酸やリン酸等の薬液を用いたウェットクリーニング、サンドブラスト処理等の物理的クリーニング、塩素ガスや塩化水素ガスを用いたドライクリーニング等を例示できる。
しかしながら、上記クリーニング方法を用いると、クリーニングの都度、洗浄対象部材の取り外し、クリーニング後に該洗浄対象部材を取り付け、大気解放に伴う反応炉内のドライダウン作業を行う必要があるため、窒化物半導体膜の生産性が低下してしまうという問題があった。
このような問題を解決可能な従来技術として、特許文献1〜4には、洗浄対象部材の取り外しを行わないで、反応炉内にクリーニングガスを供給させることで、反応生成物(堆積物)を除去するクリーニング方法(In−Situクリーニング方法)が開示されている。
具体的には、特許文献1には、基板上への成膜を行った後、反応管を抵抗加熱ヒーターによって、該基板上に成膜する際の温度以上の高温に加熱するとともに、付着物の気化を促進するクリーニングガスである水素ガスを、所定の熱伝達係数以下になるようにガス流量を調整して、該反応管に供給することによって、該反応管内の付着物を気化して除去する気相成長方法が開示されている。
特許文献2には、窒化物半導体製造装置内の汚染された部品を、反応管内で塩素系ガスを主成分とする洗浄ガスと接触させて汚染物質を除去する窒化物半導体製造装置部品の洗浄方法が開示されている。
特許文献3には、(III−V族)窒化物半導体を製造するための半導体製造装置の内部もしくは該半導体製造装置の内部で用いられる部材に付着した窒化物半導体からなる付着物を、熱触媒体により発生させた水素活性種によってクリーニングする際、該部材の温度を600〜900℃とする半導体製造装置のクリーニング方法が開示されている。
特許文献4には、MOCVD法により窒化物半導体を成膜するMOCVD装置の処理容器内の付着物に、水素ラジカル又はハロゲンラジカルを作用させることにより、該付着物を揮発成分に変化させて処理容器の外部へ排出させる工程を備えたクリーニング方法が開示されている。
特許第3824301号公報 特開2010−212400号公報 特許第4385027号公報 特開2012−59866号公報
江川孝志、「Si基板上へのGaN単結晶の成長とデバイス応用」、応用物理学会誌、「応用物理」第81巻 第6号(2012)、公益社団法人応用物理学会、2012年6月10日、p.485−488.
しかしながら、特許文献1,3,4に開示された水素ガスや水素活性種(水素ラジカル)を用いるクリーニング方法の場合、アルミニウム原子を含有した付着物(例えば、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN))を除去することが困難であるという問題があった。
一方、特許文献2,4に開示された塩素系ガスやハロゲンラジカルを用いたクリーニング方法の場合、アルミニウム原子を含有した付着物(例えば、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN))を十分に除去することは可能である。
しかし、塩素系ガスやハロゲンラジカルは、金属を腐食させる特性を有するため、大量の塩素系ガスやハロゲンラジカルを供給すると反応炉内の金属で構成された部材(例えば、接ガス部)を腐食させる恐れがあった。
反応炉内の金属で構成された接ガス部が腐食されると、腐食した接ガス部がパーティクルや水分の発生源になってしまう。したがって、塩素系ガスやハロゲンラジカルを大量に供給することが困難であった。
そこで、本発明は、反応炉、及び反応炉内に配置された部材の損傷を抑制した上で、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含んだ反応生成物(付着物)を除去可能な気相成長装置のクリーニング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、気相成長装置の反応炉の内面に付着した反応生成物を除去するクリーニング方法であって、前記反応炉を1000〜1400℃の温度に加熱した状態で、該反応炉の内面に付着した前記反応生成物に水素ガスを供給する水素ガス供給工程と、前記水素ガス供給工程後、前記反応炉の内面に残存する前記反応生成物にブローガスを吹き付けるブロー工程と、を含むことを特徴とする気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項2に係る発明によれば、前記ブロー工程後に、前記水素ガス供給工程での前記反応炉の加熱温度よりも低い温度で前記反応炉を加熱した状態で、前記反応炉の内面に残存する前記反応生成物に塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給工程を有することを特徴とする請求項1記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項3に係る発明によれば、前記ブロー工程に替えて、前記水素ガス供給工程での前記反応炉の加熱温度よりも低い温度で前記反応炉を加熱した状態で、前記反応炉の内面に残存する前記反応生成物に塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給工程を有することを特徴とする請求項1記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項4に係る発明によれば、前記水素ガス供給工程では、前記反応炉内の反応空間に露出された部材の表面に付着した前記反応生成物に水素ガスを供給し、前記ブロー工程では、前記部材の表面に残存する前記反応生成物に前記ブローガスを吹き付けることを特徴とする請求項1または2記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項5に係る発明によれば、前記塩素含有ガス供給工程では、前記反応炉内の反応空間に露出された部材の表面に残存する前記反応生成物に塩素含有ガスを供給することを特徴とする請求項3記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項6に係る発明によれば、前記ブロー工程では、前記反応生成物に吹き付ける前記ブローガスの流速が10m/sec以上であることを特徴とする請求項2記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項7に係る発明によれば、前記気相成長装置として、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含むプロセスガスを使用して窒化物半導体膜を成膜するMOCVD装置を用いることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
また、請求項8に係る発明によれば、前記反応生成物が、窒化ガリウム膜と、窒化ガリウムアルミニウム膜と、が交互に積層された構造体であることを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の気相成長装置のクリーニング方法が提供される。
本発明の気相成長装置のクリーニング方法によれば、例えば、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が積層され、表層に窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜が配置された反応生成物が付着した場合でも、反応炉を1000〜1400℃の温度に加熱した状態で、該反応炉の内面に付着した反応生成物に水素ガスを供給することで、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜の下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜を除去することが可能になると共に、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜とその下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜との結合を切ることが可能となる。
これにより、水素ガス供給工程後において、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜は、結合力の弱いファンデルワールス力により、反応炉の内面に付着することとなる。
よって、水素ガス供給工程後、反応炉13の内面に残存する反応生成物にブローガスを吹き付けることで、金属を腐食させる塩素系ガスやハロゲンラジカルを用いることなく、反応炉の内面に付着した窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を容易に剥がすことが可能となる。
つまり、本発明の気相成長装置のクリーニング方法によれば、反応炉、及び反応炉内に配置された部材の損傷を抑制した上で、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含んだ反応生成物(例えば、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜)を除去することができる。
本発明の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法を実施する際に使用する気相成長装置の主要部の概略構成を示す断面図である。 窒化ガリウム(GaN)膜を除去する際の水素ガス供給工程での試験片の温度とクリーニング速度との関係を示すグラフである。 比較例1のサンプルの表面のSEM写真である。 実施例1のサンプルの表面のSEM写真である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の気相成長装置の寸法関係とは異なる場合がある。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法を実施する際に使用する気相成長装置の主要部の概略構成を示す断面図である。図1では、気相成長装置10の一例として、MOCVD装置を図示する。
始めに、図1を参照して、気相成長装置10の構成について説明する。
気相成長装置10は、チャンバ11と、反応炉13と、サセプタ14と、ステージ16と、回転軸18と、加熱部19と、プロセスガス供給ライン22と、プロセスガス供給源23と、バルブ25,36〜38と、クリーニングガス供給ライン26と、第1ないし第3の分岐ライン27〜29と、水素ガス供給源32と、不活性ガス供給源33と、塩素系ガス供給源34と、排気ライン35と、を有する。
なお、第1の実施の形態では、ブローガスの一例として、不活性ガスを用いた場合を例に挙げて説明する。
チャンバ11は、気密性が高い構造であって、反応炉13、サセプタ14、ステージ16、回転軸18、及び加熱部19を収容している。反応炉13は、その一方の端がチャンバ11の一方の側壁の内面と接続されており、他方の端がチャンバ11の他方の側壁の内面と接続されている。
反応炉13は、ガス供給部13Aと、ガス排出部13Bと、を有する。ガス供給部13Aは、反応炉13の一方の端部に設けられている。ガス排出部13Bは、反応炉13の他方の端部に設けられている。反応炉13は、その底部にサセプタ14を収容するためのサセプタ収容部13Cを有する。
サセプタ14は、反応炉13内の反応空間Aに露出された部材であり、サセプタ本体14Aと、基板載置部14Bと、を有する。サセプタ本体14Aは、円形の板状とされており、回転可能なステージ16上に固定されている。サセプタ本体14Aは、サセプタ収容部13Cに配置されている。
基板載置部14Bは、サセプタ本体14Aの上面側に形成された凹部であり、基板15(例えば、サファイア基板、GaN基板、単結晶Si基板等)が収容される部分である。サセプタ収容部13Cに配置された基板15の表面は、例えば、サセプタ本体14Aの上面に対してほぼ同じ高さの同一平面上に配置することができる。
ステージ16は、サセプタ14の直下に配置されている。ステージ16は、回転可能な状態で回転軸18に支持されている。
回転軸18は、その上端がステージ16と接続されており、下他端が回転駆動装置(図示されていない)と接続されている。回転軸18は、回転駆動装置(図示せず)により回転させられた際、ステージ16と共に、サセプタ14を回転させる。これにより、サセプタ14に載置された基板15も回転する。
加熱部19は、ステージ16のうち、サセプタ14と接触する部分の下方に配置されている。加熱部19は、ステージ16及びサセプタ14を介して、サセプタ14に載置された基板15を所定の温度に加熱する。加熱部19としては、例えば、ヒーターを用いることができる。
プロセスガス供給ライン22は、その一端がプロセスガス供給源23と接続されており、他端がガス供給部13Aにプロセスガスを供給可能な状態でチャンバ11と接続されている。
プロセスガス供給源23は、チャンバ11の外部に配置されている。プロセスガス供給源23は、プロセスガス供給ライン22を介して、反応炉13内にプロセスガスを供給する。
プロセスガスとしては、例えば、窒素、水素、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム等を例示することができる。
バルブ25は、プロセスガス供給ライン22に設けられている。バルブ25は、反応炉13内に供給するプロセスガスの供給量を調節する。
クリーニングガス供給ライン26は、その一端が3つに分岐されており、他端がガス供給部13Aにクリーニングガスを供給可能な状態でチャンバ11と接続されている。
第1の分岐ライン27は、クリーニングガス供給ライン26から分岐されており、水素ガス供給源32と接続されている。
第2の分岐ライン28は、クリーニングガス供給ライン26から分岐されており、不活性ガス供給源33と接続されている。
第3の分岐ライン29は、クリーニングガス供給ライン26から分岐されており、塩素系ガス供給源34と接続されている。
水素ガス供給源32は、チャンバ11の外部に配置されている。水素ガス供給源32は、第1の分岐ライン27及びクリーニングガス供給ライン26を介して、反応炉13内に水素ガスを供給する。
不活性ガス供給源33は、チャンバ11の外部に配置されている。不活性ガス供給源33は、第2の分岐ライン28及びクリーニングガス供給ライン26を介して、反応炉13内に不活性ガス(例えば、ヘリウム・ネオン・アルゴンなど希ガス類や窒素等)を供給する。
塩素系ガス供給源34は、チャンバ11の外部に配置されている。塩素系ガス供給源34は、第3の分岐ライン29及びクリーニングガス供給ライン26を介して、反応炉13内に塩素系ガス(例えば、窒素ガスと塩化水素ガスとの混合ガス)を供給する。
なお、プロセスガス及びクリーニングガスにおいて、共通のガスが存在する場合には、プロセスガス供給ライン22から該共通のガスをクリーニングガスとして供給してもよいし、クリーニングガス供給ライン26から該共通のガスをプロセスガスとして供給してもよい。
排気ライン35は、反応炉13内のガスをガス排出部13Bから外部に排気するためのラインであり、一端がチャンバ11と接続されている。
バルブ36は、第1の分岐ライン27に設けられている。バルブ36は、反応炉13内に供給する水素ガスの供給量を調節する。
バルブ37は、第2の分岐ライン28に設けられている。バルブ37は、反応炉13内に供給する不活性ガスの供給量を調節する。
バルブ38は、第3の分岐ライン29に設けられている。バルブ38は、反応炉13内に供給する塩素系ガスの供給量を調節する。
なお、図1に示す気相成長装置10では、基板15を加熱する加熱部19を用いて、反応炉13の温度を調節するが、反応炉13が大型化された場合や反応炉13の形状によっては、加熱部19だけでは、反応炉13を十分に加熱することが困難な場合もある。
このような場合には、反応炉13の外壁面に沿って、別途、ヒーターを設けることで対処することが可能である。
次に、図1を参照して、上記構成とされた気相成長装置10を用いた成膜工程について説明する。ここでは、成膜工程の一例として、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、を順次成膜する場合について説明する。
窒化ガリウム(GaN)膜を成膜する工程では、予め、反応炉13内に窒素または水素を供給し、加熱部19を用いて基板15の温度が所定の温度(例えば、1000℃)となるように加熱する。
次いで、プロセスガス供給源23から反応炉13内にトリメチルガリウム(ガリウム原子を含むプロセスガス)及びアンモニアを供給する。次いで、所定の温度とされた基板15の上面近傍の気相中において、中間化学反応を生じさせ、さらに基板15上で化学吸着反応を生じさせることで、基板15の表面に窒化ガリウム(GaN)膜(例えば、厚さ0.1〜2μm)を形成する。
このとき、成膜反応に寄与しなかったガス成分は、排気ライン35から排出されるが、その一部は、基板15近傍に位置するサセプタ14の表面や反応炉13の内壁面に固形状の反応生成物(窒化ガリウム(GaN)よりなる付着物)として付着する。
次いで、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を成膜する工程では、基板15の温度を所定の温度(例えば、1100℃)に加熱させた状態で、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム(アルミニウム原子を含むプロセスガス)、及びアンモニアを供給する。
次いで、上記所定の温度とされた基板15の上面近傍の気相中において、中間化学反応を生じさせ、さらに基板15上で化学吸着反応を生じさせることで、基板15に形成された窒化ガリウム(GaN)膜上に、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜(例えば、厚さ10〜100nm)を成膜する。
このとき、成膜反応に寄与しなかったガス成分は、排気ライン35から排出されるが、その一部は、基板15近傍に位置するサセプタ14の表面や反応炉13の内壁面に固形状の反応生成物(窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)よりなる付着物)として付着する。
このように、気相成長装置10を用いて、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、を順次成膜すると、サセプタ14の表面や反応炉13の内壁面には、付着物である窒化ガリウム(GaN)膜と、付着物である窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が積層された構造体である反応生成物が付着してしまう。
次に、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法について説明する。
ここでは、サセプタ14(反応炉13内の反応空間Aに露出された部材)の表面や反応炉13の内壁面(内面)に付着し、かつ窒化ガリウム(GaN)膜と窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜とが順次積層された反応生成物を除去する場合を例に挙げて説明する。
始めに、加熱部19により、反応炉13及びサセプタ14の温度が1000〜1400℃の温度となるように加熱した状態で、水素ガス供給源32から反応炉13の内面、及びサセプタ14の表面に付着した反応生成物(図示せず)に対して水素ガスを供給する(水素ガス供給工程)。
これにより、反応生成物の下層を構成する窒化ガリウム(GaN)膜が除去され、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜とその下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜との結合を切ることが可能となる。
これにより、窒化ガリウム(GaN)膜の除去後において、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜は、結合力の弱いファンデルワールス力により、反応炉13の内面、及びサセプタ14の表面に付着することとなる。
上記水素ガス供給工程において、加熱された反応炉13及びサセプタ14の温度が1000℃よりも低いと、クリーニング性能の低下により、窒化ガリウム(GaN)膜の除去に多くの時間が必要となってしまう。
また、水素ガス供給工程において、加熱された反応炉13及びサセプタ14の温度が1400℃よりも高いと、加熱部19の特性や反応炉13の温度に対する耐性の観点から好ましくない。
したがって、水素ガス供給工程における加熱された反応炉13及びサセプタ14の温度は、1000〜1400℃の範囲内で適宜選択するとよい。
上記水素ガス供給工程における水素ガスの供給量は、反応炉の大きさや形状によっても異なるが、例えば、1〜50slm(=1〜50NL/min)にすることができる。また、反応炉13内の圧力は、例えば、10〜830Torr(≒1.3〜110kPa abs)とすることができる。
また、水素ガス供給工程における水素ガスの供給時間は、5〜60minの範囲内で適宜選択することができる。
次いで、反応炉13の内面、及びサセプタ14の表面に残存する反応生成物に不活性ガスを吹き付ける(ブロー工程)。
先に説明したように、窒化ガリウム(GaN)膜の除去後(水素ガス供給工程後)において、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜は、結合力の弱いファンデルワールス力により、反応炉13の内面、及びサセプタ14の表面に付着しているため、反応炉13の内面、及びサセプタ14の表面に残存する反応生成物に不活性ガスを吹き付けることで、金属を腐食させる塩素系ガスやハロゲンラジカルを用いることなく、反応生成物である窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を容易に剥がすことが可能となる。
上記ブロー工程では、反応生成物に吹き付ける不活性ガスの流速を10m/sec以上にするとよい。反応生成物に吹き付ける不活性ガスの流速を10m/sec未満にすると、反応生成物である窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を剥がすことが困難となってしまう。したがって、反応生成物に吹き付ける不活性ガスの流速は、10m/sec以上にするとよい。
上記ブロー工程において、反応生成物に不活性ガスを吹き付ける時間は、例えば、10〜120secの範囲内で適宜選択することができ、また、間欠的に複数回吹き付けることも可能である。
第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法によれば、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が積層され、表層に窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜が配置された反応生成物が付着した場合でも、反応炉13及びサセプタ14を1000〜1400℃の温度に加熱した状態で、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に付着した反応生成物に水素ガスを供給することで、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜の下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜を除去することが可能になると共に、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜とその下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜との結合を切ることが可能となる。
これにより、水素ガス供給工程後において、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜は、結合力の弱いファンデルワールス力により、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に付着することとなる。
よって、水素ガス供給工程後、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に残存する反応生成物に不活性ガスを吹き付けることで、金属を腐食させる塩素系ガスやハロゲンラジカルを用いることなく、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に付着した窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を容易に剥がすことが可能となる。
つまり、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法によれば、反応生成物が付着する反応炉13やサセプタ14等の部材(特に、反応空間Aに露出され、金属で構成された部材)の損傷を抑制した上で、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含んだ反応生成物(具体的には、例えば、反応生成物を構成する窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜)を除去することができる。
(第2の実施の形態)
図1を参照して、第2の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法について説明する。第2の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法は、図1に示す気相成長装置10を用いて実施することが可能である。
第2の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法では、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法を構成するブロー工程に替えて、塩素含有ガス供給工程を有すること以外は、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法と同様な手法により実施することができる。
始めに、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法で説明した水素ガス供給工程を実施する。次いで、水素ガス供給工程での反応炉13及びサセプタ14の加熱温度(例えば、1000〜1400℃)よりも低い温度(例えば、700〜1100℃)で反応炉13及びサセプタ14を加熱した状態で、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に残存する反応生成物に塩素含有ガスを供給する(塩素含有ガス供給工程)。
このとき、塩素含有ガスとしては、例えば、窒素ガスと塩化水素ガスとを混合させた混合ガスを用いることができる。また、窒素ガスと塩化水素ガスとの混合比は、塩化水素ガス:窒素ガス=1:0〜999とすることができる。
このように、窒素ガスと塩化水素ガスとの混合比を、塩化水素ガス:窒素ガス=1:9〜999にすることで、塩素水素ガスの濃度が10%以下となるため、反応炉13内の腐食を抑制できる。
さらには、窒素ガスと塩化水素ガスとの混合比は、塩化水素ガス:窒素ガス=1:49〜999であるとより好ましい。このような混合比にすることで、塩素水素ガスの濃度が2%以下となるため、反応炉13内の腐食をより抑制できる。
塩素含有ガス供給工程における塩素含有ガスの供給量は、反応炉13の大きさや形状によっても異なるが、0.1〜5slm(0.1〜5NL/min)の範囲内で適宜選択することができる。
水素ガス供給工程後に、塩素含有ガス供給工程を行うことで、該塩素含有ガス供給工程における塩素水素ガスの使用量は、塩素含有ガスのみを用いて反応生成物を除去する場合の25%程度に削減することができる。
また、塩素含有ガス供給工程における反応炉13内への塩素含有ガスの供給時間は、5〜10minの範囲内で適宜選択することができる。
第2の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法によれば、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が積層され、表層に窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜が配置された反応生成物が付着した場合でも、反応炉13及びサセプタ14を1000〜1400℃の温度に加熱した状態で、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に付着した反応生成物に水素ガスを供給することで、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜の下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜を除去することが可能になると共に、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜とその下層に配置された窒化ガリウム(GaN)膜との結合を切ることが可能となる。
これにより、水素ガス供給工程後において、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜は、結合力の弱いファンデルワールス力により、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に付着することとなる。
よって、水素ガス供給工程後、水素ガス供給工程での反応炉13及びサセプタ14の加熱温度(例えば、1000〜1400℃)よりも低い温度(例えば、700〜1100℃)で反応炉13及びサセプタ14を加熱した状態で、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に残存する反応生成物に塩素含有ガスを短時間供給することで、反応炉13の内面及びサセプタ14の表面に付着した窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を容易に剥がすことが可能となる。
つまり、第2の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法によれば、水素ガス供給工程後に、塩素含有ガスを短時間供給することで、反応生成物が付着する反応炉13やサセプタ14等の部材の損傷を抑制した上で、アルミニウム原子を含んだ反応生成物(具体的には、反応生成物を構成する窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜)を除去することができる。
(第3の実施の形態)
図1を参照して、第3の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法について説明する。第3の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法は、図1に示す気相成長装置10を用いて実施することが可能である。
第3の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法では、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法を構成するブロー工程後に、第2の実施の形態で説明した塩素含有ガス供給工程を行うこと以外は、第1の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法と同様な手法により実施できる。
第3の実施の形態に係る気相成長装置のクリーニング方法によれば、ブロー工程後に、塩素含有ガス供給工程を行うため、第2の実施の形態の塩素含有ガス供給工程での塩素含有ガスの供給時間よりも塩素含有ガスの供給時間を短くすることが可能となる。
これにより、サセプタ14を含む反応炉13内の反応空間Aに露出された部材(特に、金属で構成された部材)の腐食をさらに抑制することができる。
具体的には、第3の実施の形態での塩素含有ガスの供給時間は、例えば、0.1〜5minの範囲内で適宜選択することができる。
また、水素ガス供給工程とブロー工程とを順次行った後、塩素含有ガス供給工程を行うことで、塩素含有ガス供給工程における塩素水素ガスの使用量を、塩素含有ガスのみを用いて反応生成物を除去する場合の21%程度で済ませることができる。
また、水素ガス供工程及びブロー工程を行った後に、塩素含有ガス供給工程を行うことで、ブロー工程では、除去しきれなかった反応生成物である窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜を除去することが可能となるので、反応生成物の除去性能を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(反応生成物が付着した第1の評価サンプルの作製)
複数の試験片を準備し、図1に示す気相成長装置10の反応炉13内に該複数の試験片を固定した。
次いで、反応炉13内に窒素を供給し、加熱部19を用いて複数の試験片の温度が1000℃となるように加熱した。
次いで、プロセスガス供給源23から反応炉13内に、トリメチルガリウム、及びアンモニアを供給した。
次いで、1000℃とされた複数の試験片の近傍の気相中において、中間化学反応を生じさせ、さらに複数の試験片上で化学吸着反応を生じさせることで、複数の試験片の表面に窒化ガリウム(GaN)膜(例えば、厚さ1μm)を成膜した。
これにより、試験片の表面に窒化ガリウム(GaN)膜(この場合、除去すべき反応生成物)が成膜された複数の第1の評価サンプルを作成した。
(反応生成物が付着した第2の評価サンプルの作製)
複数の試験片を準備し、図1に示す気相成長装置10の反応炉13内に該複数の試験片を固定した。その後、上記第1の評価サンプルを作製する際と同じ成膜方法を用いて、第1の評価サンプルと同じ厚さの窒化ガリウム(GaN)膜を複数の試験片の表面に成膜した。
次いで、複数の試験片を1100℃に加熱させた状態で、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、及びのアンモニアを供給することで、複数の試験片に形成された窒化ガリウム(GaN)膜の表面に窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜(例えば、厚さ50nm)を成膜した。
これにより、試験片の表面に、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が順次積層された構造体(この場合、除去すべき反応生成物)が形成された複数の第2の評価サンプルを作成した。
(実験例1)
実験例1では、図1に示す気相成長装置10を使用し、3つの上記第1の評価サンプルを用いて、第1の評価サンプルに付着した、窒化ガリウム(GaN)膜を除去する際の水素ガス供給工程での試験片の温度の依存性を調べた。
実験例1では、反応炉13内の圧力を100Torr(13.3kPa abs)、水素ガスの供給量を2slm(2NL/min)、評価サンプルの加熱温度を1000℃、1150℃、1200℃とした。この結果を図2に示す。
図2に示すクリーニング速度は、評価サンプルの処理前後の膜厚および処理時間から算出した。
図2を参照するに、水素ガス供給工程における窒化ガリウム(GaN)膜の除去速度(言い換えれば、図2に示すクリーニング速度)は、温度依存性があり、クリーニング速度の対数は試験片の温度の逆数に比例することが分かった。
また、図2から水素ガス供給工程における処理時間を120分以内にするためには、試験片を1000℃以上に加熱する必要があることが分かった。
(実験例2)
実験例2では、図1に示す気相成長装置10を使用し、2つの上記第2の評価サンプルを用いて、一方の第2の評価サンプルに対して実験例1と同じ条件で水素ガス供給工程を実施(以下、このサンプルを「比較例1のサンプル」という)し、他方の第2の評価サンプルに対して実験例1と同じ条件で水素ガス供給工程を実施後、下記ブロー工程を実施(以下、このサンプルを「実施例1のサンプル」という)した。
実施例1及び比較例1では、水素ガス供給工程における第2の評価サンプルの加熱温度は、1200℃とした。また、実施例1のブロー工程では、反応炉13内に流速が10m/secとされた窒素を供給することで実施した。ブロー工程での処理時間(窒素を供給する時間)は、120secとした。
次いで、反応生成物の除去具合を確認するために、比較例1のサンプル、及び実施例1のサンプルの表面を日立ハイテク社製の走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)であるTM3000を用いて観察した。
この結果を図3A及び図3Bに示す。図3Aは、比較例1のサンプルの表面のSEM写真であり、図3Bは、実施例1のサンプルの表面のSEM写真である。
図3Aを参照するに、比較例1のサンプルでは、試験片の表面に、試験片の表面から浮いた状態で反応生成物の残渣があることが確認できた。このことから、水素ガス供給工程を行うことで、試験片に対する反応生成物の密着性が低下していることが確認できた。
また、日立ハイテク社製のSwiftED3000を用いたエネルギー分散型X線分光法(EDX;Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)により、比較例1のサンプルの残渣の組成を分析したところ、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)が検出された。
このことから、水素ガス供給工程のみの実施では、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)を除去することが困難であることが確認できた。
図3Bを参照するに、実施例1のサンプルでは、試験片の表面に付着した反応生成物の残渣は確認できなかった。このことから、水素ガス供給工程の後に、ブロー工程を実施することで、窒化ガリウム(GaN)膜と、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜と、が順次積層された反応生成物を除去できることが確認できた。
また、ブロー工程で使用した窒素に替えて、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガスを用いて、実施例1と同様な実験を実施したところ、実施例1と同様な結果が得られた。このことから、ブロー工程で使用するガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス、水素ガスが使用できることが確認できた。
(実験例3)
実験例3では、図1に示す気相成長装置10を使用して、上記第2の評価サンプルに対して、水素ガス供給工程と、塩素含有ガス供給工程と、を順次実施(以下、このサンプルを「実施例2のサンプル」という)した。
実施例2の水素ガス供給工程では、実施例1の水素ガス供給工程と同じ条件を用いた。塩素含有ガス供給工程では、反応炉13の温度(試験片の温度)を900度にした後、反応炉13内に2000sccm(2NL/min)の塩素含有ガスを供給した。
塩素含有ガスとしては、1980sccm(1.98NL/min)の窒素ガスと、20sccm(0.02NL/min)の塩化水素ガスと、を混合させたガスを用いた。
塩素含有ガス供給工程において、反応炉13内に供給する塩素含有ガスの供給時間は、10minとした。
実施例1の観察に使用した走査型電子顕微鏡を用いて、実施例2のサンプルの表面を観察したところ、反応生成物の残渣は確認できなかった。
また、実施例2の塩素含有ガス供給工程での塩化水素ガスの使用量は、水素ガス供給工程及び塩素含有ガス供給工程のみで反応生成物を除去する場合の塩化水素ガスの使用量を100%とした場合、25%程度になることが確認できた。
また、上記塩化水素ガスに起因する気相成長装置10の腐食は、ほとんど確認できなかった。
また、塩素含有ガス供給工程で使用した塩素含有ガスを構成する塩化水素ガスに替えて、該塩化水素ガスと同じ流量のクロロメチルガスを用いて実験をした場合にも第2の実施例と同様な効果が得られた。さらに、塩化珪素を使用した場合にも同様な効果が得られた。
また、塩素含有ガス供給工程で使用した塩素含有ガスを構成する塩化水素ガスに替えて、ジクロロメタンガス、或いはトリクロロメタンガスを用いると、塩化水素ガスよりも少ない流量で同等のクリーニング性能を得られることが確認できた。
(実験例4)
実験例4では、図1に示す気相成長装置10を使用して、上記第2の評価サンプルに対して、水素ガス供給工程と、ブロー工程と、塩素含有ガス供給工程と、を順次実施(以下、このサンプルを「実施例3のサンプル」という)した。
実施例3の水素ガス供給工程では、実施例1の水素ガス供給工程と同じ条件を用いた。実施例3のブロー工程では、流速を10m/sec、処理時間を30secに変更したこと以外は、実施例1のブロー工程と同様な処理を行った。
また、実施例3の塩素含有ガス供給工程では、処理時間を2minに変更したこと以外は、実施例2の塩素含有ガス供給工程と同様な処理を行った。
ブロー工程後の実施例3のサンプルの表面を、実施例1の観察に使用した走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ブロー工程前に比べて85%程度の残渣が見られた。
その後、塩素含有ガス供給工程を実施し、実施例1の観察に使用した走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、反応生成物の残渣は確認できなかった。
また、実施例3の塩素含有ガス供給工程での塩化水素ガスの使用量は、水素ガス供給工程及び塩素含有ガス供給工程のみで反応生成物を除去する場合の塩化水素ガスの使用量を100%とした場合、20%程度になることが確認できた。
また、上記塩化水素ガスに起因する気相成長装置10の腐食はほとんど確認できなかった。
(実験例5)
実験例5では、図1に示す気相成長装置10を使用して、上記第2の評価サンプルに対して、水素ガス供給工程と、ブロー工程と、塩素含有ガス供給工程と、を順次実施(以下、このサンプルを「実施例4のサンプル」という)した。
実施例4では、ブロー工程での流速を20m/sec、処理時間を60secに変更したこと以外は、実施例3のクリーニング処理と同様な処理を行った。
ブロー工程後の実施例4のサンプルの表面を、実施例1の観察に使用した走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ブロー工程前に比べて85%程度の残渣が見られた。
その後、塩素含有ガス供給工程を実施し、実施例1の観察に使用した走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、反応生成物の残渣は確認できなかった。
また、実施例4の塩素含有ガス供給工程での塩化水素ガスの使用量は、実施例2,3の塩素含有ガス供給工程での塩化水素ガスの使用量よりもさらに少なくできることが確認できた。
つまり、実施例4のクリーニング方法は、実施例2,3のクリーニング方法よりも塩化水素ガスに起因する気相成長装置10の腐食を抑制可能なことが分かった。
本発明は、反応炉、及び反応炉内に配置された部材の損傷を抑制した上で、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含んだ反応生成物(例えば、窒化ガリウムアルミニウム(AlGaN)膜)を除去可能な気相成長装置のクリーニング方法に適用できる。
10…気相成長装置、11…チャンバ、13…反応炉、13A…ガス供給部、13B…ガス排出部、13C…サセプタ収容部14…サセプタ、14A…サセプタ本体、14B…基板載置部、15…基板、16…ステージ、18…回転軸、19…加熱部、22…プロセスガス供給ライン、23…プロセスガス供給源、25,36〜38…バルブ、26…クリーニングガス供給ライン、27…第1の分岐ライン、28…第2の分岐ライン、29…第3の分岐ライン、32…水素ガス供給源、33…不活性ガス供給源、34…塩素系ガス供給源、35…排気ライン、A…反応空間

Claims (8)

  1. 気相成長装置の反応炉の内面に付着した反応生成物を除去するクリーニング方法であって、
    前記反応炉を1000〜1400℃の温度に加熱した状態で、該反応炉の内面に付着した前記反応生成物に水素ガスを供給する水素ガス供給工程と、
    前記水素ガス供給工程後、前記反応炉の内面に残存する前記反応生成物にブローガスを吹き付けるブロー工程と、
    を含むことを特徴とする気相成長装置のクリーニング方法。
  2. 前記ブロー工程後に、前記水素ガス供給工程での前記反応炉の加熱温度よりも低い温度で前記反応炉を加熱した状態で、前記反応炉の内面に残存する前記反応生成物に塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給工程を有することを特徴とする請求項1記載の気相成長装置のクリーニング方法。
  3. 前記ブロー工程に替えて、前記水素ガス供給工程での前記反応炉の加熱温度よりも低い温度で前記反応炉を加熱した状態で、前記反応炉の内面に残存する前記反応生成物に塩素含有ガスを供給する塩素含有ガス供給工程を有することを特徴とする請求項1記載の気相成長装置のクリーニング方法。
  4. 前記水素ガス供給工程では、前記反応炉内の反応空間に露出された部材の表面に付着した前記反応生成物に水素ガスを供給し、
    前記ブロー工程では、前記部材の表面に残存する前記反応生成物に前記ブローガスを吹き付けることを特徴とする請求項1または2記載の気相成長装置のクリーニング方法。
  5. 前記塩素含有ガス供給工程では、前記反応炉内の反応空間に露出された部材の表面に残存する前記反応生成物に塩素含有ガスを供給することを特徴とする請求項3記載の気相成長装置のクリーニング方法。
  6. 前記ブロー工程では、前記反応生成物に吹き付ける前記ブローガスの流速が10m/sec以上であることを特徴とする請求項2記載の気相成長装置のクリーニング方法。
  7. 前記気相成長装置として、ガリウム原子及びアルミニウム原子を含むプロセスガスを使用して窒化物半導体膜を成膜するMOCVD装置を用いることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の気相成長装置のクリーニング方法。
  8. 前記反応生成物が、窒化ガリウム膜と、窒化ガリウムアルミニウム膜と、が交互に積層された構造体であることを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の気相成長装置のクリーニング方法。
JP2013160520A 2013-08-01 2013-08-01 気相成長装置のクリーニング方法 Pending JP2015032659A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013160520A JP2015032659A (ja) 2013-08-01 2013-08-01 気相成長装置のクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013160520A JP2015032659A (ja) 2013-08-01 2013-08-01 気相成長装置のクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015032659A true JP2015032659A (ja) 2015-02-16

Family

ID=52517757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013160520A Pending JP2015032659A (ja) 2013-08-01 2013-08-01 気相成長装置のクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015032659A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016181893A1 (ja) * 2015-05-14 2016-11-17 東京エレクトロン株式会社 クリーニング方法及びプラズマ処理方法
JP2018037571A (ja) * 2016-09-01 2018-03-08 大陽日酸株式会社 窒化物半導体製造装置の洗浄方法
JP2022529100A (ja) * 2019-03-18 2022-06-17 サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ ドリルストリングロッド

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016181893A1 (ja) * 2015-05-14 2016-11-17 東京エレクトロン株式会社 クリーニング方法及びプラズマ処理方法
JP2016219451A (ja) * 2015-05-14 2016-12-22 東京エレクトロン株式会社 クリーニング方法及びプラズマ処理方法
JP2018037571A (ja) * 2016-09-01 2018-03-08 大陽日酸株式会社 窒化物半導体製造装置の洗浄方法
JP2022529100A (ja) * 2019-03-18 2022-06-17 サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ ドリルストリングロッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI674617B (zh) 用於在電漿清潔製程之後執行電漿處理製程的方法
CN104853855B (zh) 用于薄膜沉积反应器和薄膜层的原位干式清洁的过程和方法
CN107492490B (zh) 半导体设备的成膜方法、氮化铝成膜方法以及电子装置
CN101076614A (zh) 基底上的保护涂层及其制备方法
TWI768025B (zh) 成膜裝置及其洗淨方法
CN107488828B (zh) 形成薄膜的方法以及形成氮化铝薄膜的方法
JP5710433B2 (ja) 成膜装置のクリーニング方法および成膜装置
JP2015032659A (ja) 気相成長装置のクリーニング方法
JP2012188735A5 (ja)
JP2007227435A (ja) 半導体製造装置のクリーニング方法およびクリーニング装置ならびに半導体製造装置
JP6248359B2 (ja) 半導体層の表面処理方法
US8859314B2 (en) Method of manufacturing semiconductor light emitting device
US20200339424A1 (en) Graphene production method
TWI534885B (zh) A substrate processing apparatus, a peeling method of a bonded substrate, and a method of removing the adhesive
JP5860055B2 (ja) 窒化物半導体製造装置用部材の洗浄方法
JP2011100783A (ja) 気相成長装置
JP2008243948A (ja) エピタキシャル基板の製造方法
TW201630053A (zh) 氣相成長方法
JP6530356B2 (ja) 窒化物半導体製造装置の洗浄方法
JP2007012933A (ja) 半導体製造装置用部材及び半導体製造装置
JP2019153630A (ja) 気相成長方法
JP6996952B2 (ja) Iii族窒化物単結晶積層体の製造方法及びiii族窒化物単結晶積層体
JP5013686B2 (ja) 化合物半導体用サセプタ
KR101039771B1 (ko) 고방열 금속판을 이용한 피씨비 제조방법
JP2011124440A (ja) 化合物半導体製造装置および化合物半導体の製造方法