JP2015031755A - 定着加圧ロール及び定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低硬度及び低熱容量のシリコーンゴムを備えた定着加圧ロール及び定着装置を提供する。
【解決手段】定着装置の定着部に用いられる加圧ロール1は、芯体10と、芯体10の周囲に設けられた弾性層11とを具備し、弾性層11は、シリコーンゴム原料と、ガラスバルーンと、前記シリコーンゴム原料と前記ガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とを混合した後、シリコーンゴム原料を硬化することにより得られたシリコーンゴムで構成され、シリコーンゴムは、加圧によるガラスバルーンの破壊で形成された空隙を含む。
【選択図】図1
【解決手段】定着装置の定着部に用いられる加圧ロール1は、芯体10と、芯体10の周囲に設けられた弾性層11とを具備し、弾性層11は、シリコーンゴム原料と、ガラスバルーンと、前記シリコーンゴム原料と前記ガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とを混合した後、シリコーンゴム原料を硬化することにより得られたシリコーンゴムで構成され、シリコーンゴムは、加圧によるガラスバルーンの破壊で形成された空隙を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、定着加圧ロール及びそれを具備する定着装置に関し、画像形成装置に搭載して好適に用いられる。
複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンター等の画像形成装置には定着装置が搭載されている。定着装置の定着機構では、加熱された定着ロール等の定着部材がこれと対向する加圧ロールの回転によって従動回転される。このような定着機構では通紙時に圧力と熱によってトナーを固着させるため、加圧ロールと定着部材との間のニップ部を大きく設けることが必要であり、加圧ロールに低硬度のシリコーンゴムを用いることで定着幅を広く確保することができる。このため、加圧ロールには、低硬度で且つ熱源からの熱を失いにくい低熱容量の発泡シリコーンゴムが用いられている。
このような発泡シリコーンゴムを更に低硬度化するため、シリコーンゴムにマイクロ樹脂バルーン又はガラスバルーンを配合し、これらのバルーンでセルを形成する手法が提案されている(特許文献1,2参照)。
しかしながら、マイクロ樹脂バルーンでセルを形成する手法では、樹脂バルーンの破壊によるセルの形成が不均一になされ、十分な低硬度化が図れないという問題がある。また、ガラスバルーンでセルを形成する手法では、ガラスバルーンの充填量に比例して硬度が上昇するため、低硬度化と低熱容量化の両立が達成できないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑み、低硬度及び低熱容量のシリコーンゴムを備えた定着加圧ロール及び定着装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、定着装置の定着部に用いられる定着加圧ロールであって、芯体と、該芯体の周囲に設けられた弾性層とを具備し、前記弾性層は、シリコーンゴム原料と、ガラスバルーンと、前記シリコーンゴム原料と前記ガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とを混合した後、前記シリコーンゴム原料を硬化することにより得られたシリコーンゴムで構成され、前記シリコーンゴムは、加圧による前記ガラスバルーンの破壊で形成された空隙を含むことを特徴とする定着加圧ロールにある。
かかる発明によれば、シリコーンゴムがガラスバルーンの破壊で形成された空隙を含むことにより低硬度となり、ガラス(ガラスバルーン)を含むことにより低熱容量となるため、低硬度及び低熱容量の定着加圧ロールが実現される。
ここで、前記加圧は、水圧であることが好ましい。
これによれば、ガラスバルーンの多くを割れた状態にすることができ、多くの空隙を含むことにより、シリコーンゴムがさらに低硬度となる。
ここで、前記離型剤は、フッ素樹脂及びオイルの少なくとも一方であることが好ましい。
これによれば、離型剤の存在により、ガラスバルーンがシリコーンゴムから剥離されやすくなり、加圧で割れやすくなる。これにより、シリコーンゴムがより一層低硬度となる。
ここで、前記弾性層の周囲に設けられた離型層を具備することが好ましい。
これによれば、定着性に優れた定着加圧ロールとなる。
本発明の他の態様は、前記何れかの態様に記載する定着加圧ロールを具備することを特徴とする定着装置にある。
かかる発明によれば、低硬度及び低熱容量のシリコーンゴムを備えた定着加圧ロールを具備するため、定着性に優れた信頼性の高い定着装置となる。
本発明によれば、低硬度及び低熱容量のシリコーンゴムを備えた定着加圧ロール及び定着装置が実現される。
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
本発明に係る定着加圧ロールは、画像形成装置の定着部において未定着トナー像を熱と圧力で記録媒体に定着するために用いられるものであり、後述する加圧ロール及び定着ロール等が例示される。本実施形態では、定着加圧ロールの一例として、加圧ロールを例示する。
本発明に係る定着加圧ロールは、画像形成装置の定着部において未定着トナー像を熱と圧力で記録媒体に定着するために用いられるものであり、後述する加圧ロール及び定着ロール等が例示される。本実施形態では、定着加圧ロールの一例として、加圧ロールを例示する。
図1は、本実施形態に係る加圧ロールの横断面図及び縦断面図である。加圧ロール1は、芯体10と、芯体10の周囲に設けられた弾性層11と、弾性層11の周囲に設けられた離型層12とを具備する。
本発明に係る弾性層11は、シリコーンゴム原料と、ガラスバルーンと、シリコーンゴム原料とガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とを混合した後、シリコーンゴム原料を硬化することにより得られたシリコーンゴムで構成される。かかるシリコーンゴムは、加圧によるガラスバルーンの破壊で形成された空隙を含む。具体的に、弾性層11は、ガラスバルーンと、シリコーンゴム原料とガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とが混合されたシリコーンゴム原料を加熱(一次硬化)してシリコーンゴムとし、このシリコーンゴムを加圧して、含有されるガラスバルーンを破壊させ、さらにシリコーンゴムを加熱(二次硬化)することにより得られる。
ここで、加圧とは、ガラスバルーンを破壊するためにシリコーンゴムに圧力をかけることをいう。破壊とは、通常は、ガラスバルーンが割れた状態になることをいうが、例えば、ひび割れる又は収縮する等、加圧によりシリコーンゴムを硬化する前の状態とは異なった状態になることも含む。本発明では、加圧によりガラスバルーンを破壊させることで、ガラスバルーンの大部分を割れた状態にすることができる。
シリコーンゴムを加圧することで、含有されるガラスバルーンの破壊が生じ、ガラスバルーンが存在していた部分は空隙となる。即ち、ガラスバルーンの破壊で形成された空隙とは、シリコーンゴムを加圧する前にはガラスバルーンが存在し、加圧した後にガラスバルーンが破壊されることで形成される空間をいう。
ガラスバルーンは、シリコーンゴム原料の一次硬化後は、シリコーンゴム中にそのままの状態で存在するが、シリコーンゴムを加圧することで破壊される。このような加圧による破壊は、シリコーンゴム全体に亘って生じ、ガラスバルーンの大部分を割れた状態にすることができる。このような破壊で形成された空隙は、分散具合のばらつきが小さく、均一に形成される。
離型剤は、シリコーンゴム原料とガラスバルーンとの密着力を弱める作用を有する。このため、離型剤を含有するシリコーンゴムを加圧すると、ガラスバルーンがシリコーンゴムから剥離されやすくなり、ガラスバルーンが割れることによる破壊を促進することができる。これにより、弾性層11中には、ガラスバルーンが割れてできた空隙がより多く形成されるため、弾性層11は多孔性に優れた低硬度の層となる。また、弾性層11は、ガラスを主成分とするガラスバルーンを含有するため、熱容量を小さくすることができる。
よって、本発明によれば、低硬度及び低熱容量を同時に達成できる弾性層11を実現することができる。このような低硬度及び低熱容量の弾性層11を具備する加圧ロール1は、ニップ幅を広く確保でき、定着性に優れたものとなる。
加圧ロール1を構成する芯体10は、金属又は樹脂材料からなる。金属又は樹脂材料は、加圧ロール1の芯体として用いることができるものであれば、特に制限はない。また、芯体10の形状についても制限はなく、中空であっても、中空でなくてもよい。
弾性層11を構成するシリコーンゴムは、加熱により硬化して弾性体を生成するシリコーンゴムであれば特に制限されない。具体的には、液状シリコーンゴムやミラブル型シリコーンゴムが挙げられるが、液状シリコーンゴムが好ましい。このようなシリコーンゴムは市販されているものを用いることができ、勿論、2種類以上を併用してもよい。
シリコーンゴム原料に混合されるガラスバルーンは、ガラスを主成分とする微小中空球のことである。本実施形態に係るガラスバルーンは、加圧によりガラスバルーンの外殻が破壊され、弾性層11中で空隙を形成する。このようなガラスバルーンの耐圧強度は、20.0MPa以下が好ましく、10.0MPa以下がさらに好ましい。加圧力は、ガラスバルーンを破壊できる強さであれば特に制限はなく、ガラスバルーンの種類等により適宜選択することができる。なお、加圧力は、通常、1.0MPa〜40.0MPaが好ましく、5.0MPa〜25.0MPaがより好ましい。加圧方法としては、水、油等の液体による加圧や、空気、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、水素及び酸素等の気体による加圧が挙げられる。加圧方法は、液圧が好ましく、これらの中でも水圧がより好ましい。本実施形態では、水圧によりガラスバルーンを破壊する。
ガラスバルーンの平均粒径は、約5μm〜135μmの範囲にある。ガラスバルーンの破壊により形成された空隙の内径は、破壊前の平均粒径と同程度である。例えば、平均粒径5μm〜70μmのガラスバルーンを用いた場合、ガラスバルーンの破壊により形成された空隙の内径は、約5μm〜70μmの範囲となる。
ここで、本実施形態のガラスバルーンの平均粒径とは、レーザー回折散乱式粒度分布計により測定されたメジアン径(D50)の値のことである。上述したガラスバルーンは、市販されているものを用いることができ、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ガラスバルーンの配合量は、粒径等に応じて適宜選択することができる。ガラスバルーンの配合量は、通常、シリコーンゴム100体積部に対して、10体積部〜50体積部が好ましい。これは、弾性層11中でガラスバルーンが均一に安定して分散できる量である。
離型剤は、シリコーンゴム原料とガラスバルーンとの密着力を弱めるものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂及びオイル等が挙げられる。フッ素樹脂としては、後述する離型層12で用いられるものと同様なものを用いることができる。シリコーン樹脂としては、例えば、縮合反応型、付加反応型、紫外線若しくは電子線硬化型のものが挙げられる。オイルとしては、シリコーンオイル、フッ素オイル及び各種変性オイルが挙げられる。これらの中でも、シリコーンゴム原料とガラスバルーンとの離型性に鑑みると、フッ素樹脂及びオイルの少なくとも一方が好ましい。
弾性層11の厚さは、例えば、0.5mm〜20mmであり、好ましくは、2mm〜6mmである。これは、トナーの定着性を向上させ、画像の高画質化を図るためである。
離型層12は、高い離型性の合成樹脂材料からなるのが好ましく、フッ素樹脂等を挙げることができる。フッ素樹脂としては、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)等を挙げることができ、特にパーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)が好ましい。離型層12の厚さは、加圧ロールに高い離型性を付与できる厚さであれば、特に制限はないが、例えば、1μm〜100μmであり、好ましくは、30μm〜70μmである。なお、離型層12は設けなくてもよい。離型層12を設けない場合は、例えば、後述する実施形態3に示すような定着ベルト20の定着ロール30Aとして用いることが好ましい(図5参照)。
次に、本実施形態の加圧ロールを製造する方法について説明する。
本実施形態では、シリコーンゴム原料として液状シリコーンゴムを用いて加圧ロール1を製造する場合について例示する。まず、液状シリコーンゴムに、ガラスバルーンと、シリコーンゴム原料とガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とを混合して、シリコーンゴム組成物を調製する。
次に、金型に芯体10を配置し、芯体10の周りにシリコーンゴム組成物を充填し、シリコーンゴム組成物を加熱し(一次硬化)、冷却して金型から脱型する。具体的には、液状シリコーンゴムの硬化温度以上で、ガラスバルーン殻、即ち、熱可塑性高分子の軟化温度以下で加熱し、ガラスバルーンを破壊させずに、シリコーンゴム組成物を硬化させてシリコーンゴムとする。
次いで、シリコーンゴムを圧力容器に入れて水圧をかけ、ガラスバルーンの多くを割れた状態に破壊させる。
ここで、水圧によるガラスバルーンの破壊工程について説明する。図2に、ガラスバルーンが破壊される工程を説明するための概念図を示す。まず、シリコーンゴム組成物を一次硬化した後のシリコーンゴム101を圧力容器102に入れ、圧力容器102を水で満たす(図2(a))。次に、圧力容器102内を水圧で加圧する。この水圧処理により、シリコーンゴム101は圧縮され、ガラスバルーン103の多くが割れて空隙105となる(図2(b))。次に、圧力容器102を大気圧に戻し、水を抜く(図2(c))。次いで、圧力容器102内からシリコーンゴム101を取り出し、恒温槽104にて加熱することで、圧縮されたシリコーンゴム101を元の状態に戻す(図2(d))。シリコーンゴム101が元の状態に戻される際、ガラスバルーン103が割れてできた空隙105は、水圧がかけられる前の体積になるまで膨張する。これにより、水圧がかけられる前にガラスバルーン103が存在していた部分は空隙105となる。(図2(e))。その後、シリコーンゴム101をさらに加熱して、弾性層11を作製する(二次硬化)。
次に、弾性層11の周囲に離型層12を形成する。離型層12は、PFAチューブを用いる他、例えばコーティング液の塗布により形成してもよい。なお、一次硬化後のシリコーンゴム101上に離型層12を形成した後に、水圧処理及び二次硬化を行ってもよい。
水圧処理は、一次硬化後のシリコーンゴム101に行うのが好ましいが、シリコーンゴム組成物の硬化(一次硬化)と同時に行っても良く、二次硬化の後に行っても良い。また、水圧時の加圧条件及び加圧回数を適宜調整することにより、ガラスバルーンの破壊のタイミングや破壊の状態を制御することが可能である。このように加圧方法及び加圧回数は制限されない。
次に、定着装置について説明する。図3に、本実施形態に係る定着装置の断面図を示す。図3に示すように、定着装置2は、加圧ロール1と、加圧ロール1に対向して配置される定着ベルト20と、加圧ロール1に対向する位置で定着ベルト20を内側から加圧ロール1に対して押圧して所定のニップ部を形成する押圧部材21と、定着ベルト20を所定温度まで加熱する加熱手段22とを具備するものである。
定着ベルト20は、対向する加圧ロール1との圧接により所定のニップ部を形成できるものであればよく、例えば、シームレス電鋳ベルトを少なくとも一層有する金属基体と、金属基体の外周面に形成された弾性層と、弾性層の外周面に形成された離型層とを具備する。
押圧部材21は、ゴム等の弾性体、樹脂及び金属等から構成される。表面には、必要に応じてフッ素樹脂等からなる層が形成されたり、摺動シートや溝等が設けられていてもよい。なお、摺動シートの表面に凹凸加工が施されていてもよい。
加熱手段22は、定着ベルト20を加熱できるものであればよく、定着ベルト20の外側に設けられていてもよい。加熱手段22としては、ハロゲンヒーター、電熱線ヒーター、赤外線ヒーター、励磁コイル(熱源)による電磁誘導発熱等を挙げることができる。
本実施形態に係る定着装置2は、上述したように低硬度及び低熱容量が同時に達成された加圧ロール1を具備するものである。これにより、定着性に優れた信頼性の高い定着装置を実現することができる。
(実施形態2)
実施形態2では、定着加圧ロールの一例として、定着ロール及び加圧ロールを例示する。なお、実施形態1と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
実施形態2では、定着加圧ロールの一例として、定着ロール及び加圧ロールを例示する。なお、実施形態1と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図4に、実施形態2に係る定着ロール及び加圧ロールを具備する定着装置の断面図を示す。図4に示すように、定着装置2Aは、加圧ロール1と、加圧ロール1に対向して配置される定着ベルト20と、押圧部材の代わりに、定着ベルト20を内側から加圧ロール1に対して押圧する定着ロール30とを具備する。定着ロール30には、図示されない加熱手段が外側に配置されている。本実施形態の定着加圧ロールは、図4に示す定着ロール30としても、加圧ロール1としても使用することができる。
(実施形態3)
実施形態3では、定着加圧ロールの一例として、定着ロール及び加圧ロールを例示する。なお、実施形態1と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
実施形態3では、定着加圧ロールの一例として、定着ロール及び加圧ロールを例示する。なお、実施形態1と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図5に、実施形態3に係る定着ロール及び加圧ロールを具備する定着装置の断面図を示す。図5に示すように、定着装置2Bは、加圧ロール1と、加圧ロール1に対向して配置される定着ベルト20と、定着ベルト20を内側から加圧ロール1に対して押圧する定着ロール30Aと、加熱手段22を内蔵する加熱ロール23とを具備する。定着ベルト20の内側には、定着ロール30Aと加熱ロール23とが配置され、これらの定着ロール30Aと加熱ロール23とで定着ベルト20を回転駆動するものである。本実施形態の定着加圧ロールは、図5に示す定着ロール30Aとしても、加圧ロール1としても使用することができる。
(実施形態4)
実施形態4では、定着加圧ロールの一例として、定着ロール及び加圧ロールを例示する。実施形態1と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
実施形態4では、定着加圧ロールの一例として、定着ロール及び加圧ロールを例示する。実施形態1と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図6に、実施形態4に係る定着ロール及び加圧ロールを具備する定着装置の断面図を示す。図6に示すように、定着装置2Cは、加圧ロール1と、加圧ロール1に対向して配置される定着ロール30Bとを具備する。定着ロール30Bには、図示されない加熱手段が内蔵されている。本実施形態の定着加圧ロールは、図6に示す定着ロール30Bとしても、加圧ロール1としても使用することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
以下の手順で、加圧ロール1を製造した。液状シリコーンゴム(東レダウコーニング製:DY35−796)100質量部に、ガラスバルーン(住友スリーエム製:K25)27.5質量部と、離型剤(AGCセイミケミカル製:モールドスパットMRW−6833)27.5質量部とを混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。なお、ガラスバルーンと離型剤は予め混合して90℃×60分間乾燥したものを液状シリコーンゴムに添加した。
以下の手順で、加圧ロール1を製造した。液状シリコーンゴム(東レダウコーニング製:DY35−796)100質量部に、ガラスバルーン(住友スリーエム製:K25)27.5質量部と、離型剤(AGCセイミケミカル製:モールドスパットMRW−6833)27.5質量部とを混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。なお、ガラスバルーンと離型剤は予め混合して90℃×60分間乾燥したものを液状シリコーンゴムに添加した。
次に、液状シリコーンゴム用プライマー(モメンティブ製:XP81−405)を塗布乾燥した直径18mmの鉄製芯体を下フランジに立て、金型と上フランジを載せ固定した。その後、下フランジ側から注型機にて調製したシリコーンゴム組成物を金型に注ぎ込み、90℃の恒温槽に90分間入れて加熱し、液状シリコーンゴムを硬化させてシリコーンゴムとした(一次硬化)。その後、冷却して脱型した加圧ロールの半製品を圧力容器に入れ、圧力容器を水で満たし、20MPaの水圧で10分間圧縮した後、水を除いて大気圧に戻した。次いで、シリコーンゴムをさらに210℃の恒温槽で8時間加熱した(二次硬化)。
その後、シリコーンゴムの表面に接着剤を塗布しPFAチューブを被せた。これにより、芯体10と、シリコーンゴムからなる弾性層11と、PFAチューブからなる離型層12とを備えた外径φ30mmの加圧ロール1を得た。
また、加圧ロール1の作製と共に、以下の手順でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。実施例1と同様の手順で調製したシリコーンゴム組成物を、12mm厚のテストピース型に流し込み、90℃の恒温槽に90分間入れて加熱し、液状シリコーンゴムを硬化させてシリコーンゴムとした(一次硬化)。その後、脱型したテストピースを圧力容器に入れ、圧力容器を水で満たし、20MPaの水圧で10分間圧縮した後、水を除いて大気圧に戻した。次いで、210℃の恒温槽で8時間加熱した(二次硬化)。
(比較例1)
比較例1では、水圧処理を行わない以外は実施例1と同様の工程でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。
比較例1では、水圧処理を行わない以外は実施例1と同様の工程でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。
(比較例2)
比較例2では、離型剤を混合しない以外は実施例1と同様の工程でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。
比較例2では、離型剤を混合しない以外は実施例1と同様の工程でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。
(比較例3)
比較例3では、水圧処理を行わず、離型剤を混合しない以外は実施例1と同様の工程でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。
比較例3では、水圧処理を行わず、離型剤を混合しない以外は実施例1と同様の工程でシリコーンゴムからなるテストピースを作製した。
(試験例1)
実施例1、比較例1〜3に基づき作製したテストピース(以下、「弾性体」という。)のアスカーC硬度を測定した。
実施例1、比較例1〜3に基づき作製したテストピース(以下、「弾性体」という。)のアスカーC硬度を測定した。
アスカーC硬度の測定はアスカーC硬度計(高分子計器社製)を用いて行った。表1に、実施例1、比較例1〜3のシリコーンゴム組成物の構成、アスカーC硬度の測定結果を示す。
実施例1と比較例1の比較から、水圧処理を行った実施例1の弾性体は、水圧処理を行わなかった比較例1よりも硬度が半分に低減した。また、実施例1と比較例2の比較から、離型剤を含有する実施例1の弾性体は、離型剤を含有しない比較例2よりも硬度が低くなった。また、実施例1と比較例3の比較から、離型剤を含有し、且つ水圧処理を行った実施例1の弾性体は、離型剤を含有せず、且つ水圧処理を行わなかった比較例3よりも硬度が半分に低減した。
以上の結果から、離型剤を含有する弾性体に水圧処理を行うことで、弾性体は低硬度となることがわかった。これは、離型剤を含有することでガラスバルーンがシリコーンゴムから剥離されやすくなり、水圧処理を行うことによりガラスバルーンが割れることによる破壊が促進されたためである。さらに弾性体はガラスを含有するため熱容量を小さくすることができる。よって、本発明によれば、低硬度及び低熱容量を同時に達成できる弾性体を得ることができる。このような弾性体を具備する加圧ロール及び定着装置は、定着性に優れ信頼性の高いものとなる。
1 加圧ロール
2,2A,2B,2C 定着装置
10 芯体
11 弾性層
12 離型層
20 定着ベルト
21 押圧部材
22 加熱手段
23 加熱ロール
30,30A,30B 定着ロール
101 シリコーンゴム
102 圧力容器
103 ガラスバルーン
104 恒温槽
105 空隙
2,2A,2B,2C 定着装置
10 芯体
11 弾性層
12 離型層
20 定着ベルト
21 押圧部材
22 加熱手段
23 加熱ロール
30,30A,30B 定着ロール
101 シリコーンゴム
102 圧力容器
103 ガラスバルーン
104 恒温槽
105 空隙
Claims (5)
- 定着装置の定着部に用いられる定着加圧ロールであって、
芯体と、該芯体の周囲に設けられた弾性層とを具備し、
前記弾性層は、シリコーンゴム原料と、ガラスバルーンと、前記シリコーンゴム原料と前記ガラスバルーンとの密着力を弱める離型剤とを混合した後、前記シリコーンゴム原料を硬化することにより得られたシリコーンゴムで構成され、
前記シリコーンゴムは、加圧による前記ガラスバルーンの破壊で形成された空隙を含むことを特徴とする定着加圧ロール。 - 請求項1に記載する定着加圧ロールにおいて、
前記加圧は、水圧であることを特徴とする定着加圧ロール。 - 請求項1又は2に記載する定着加圧ロールにおいて、
前記離型剤は、フッ素樹脂及びオイルの少なくとも一方であることを特徴とする定着加圧ロール。 - 請求項1〜3の何れか一項に記載する定着加圧ロールにおいて、
前記弾性層の周囲に設けられた離型層を具備することを特徴とする定着加圧ロール。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載する定着加圧ロールを具備することを特徴とする定着装置。
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