JP2015030302A - 車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を低下させている状態で、路面の凹凸が急に増加しても、プーリと伝動ベルトとの滑りが発生することを抑制することができる車両用駆動装置の制御装置が求められる。【解決手段】車輪の回転速度の変動が少ない安定状態であると判定されている場合に、第1プーリ及び第2プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、通常目標変速比よりも変速比が小さい特定目標変速比を前記無段変速装置に実現させ、通常目標変速比と特定目標変速比との変速比の差に応じた、内燃機関から車輪に伝達されるトルクの減少分に応じて、回転電機の出力トルクを増加させる車両駆動装置の制御装置。【選択図】図7
Description
本発明は、内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に設けられる無段変速装置と、車輪に駆動連結される回転電機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
上記のような制御装置として、例えば、下記の特許文献1に記載された装置が既に知られている。特許文献1の技術では、車輪の回転速度の変化に応じて、路面の凹凸が少ない良路であるか、路面の凹凸が多い非良路であるかを判定し、非良路と判定された場合は、路面から伝達される外乱トルクにより、各プーリと伝動ベルトとが滑らないように、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を、良路と判定されている場合よりも増加させるように構成されている。
プーリと伝動ベルトの滑りが生じると部分的な摩耗が生じて劣化するため、滑りが生じないように、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を増加させる必要がある。一方、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を増加させると、狭持圧の増加に応じて、狭持圧を生じさせるオイルポンプなどの駆動損失が大きくなり、燃費の悪化を招来する。そのため、燃費の向上のため、伝動ベルトの滑りが生じない範囲内で、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を低下させることが望まれる。
特許文献1では、良路と判定されている場合に、路面の凹凸が急に増加すると、伝動ベルトが滑るおそれがあるため、良路と判定されている場合においても、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧の低下には限界があった。
特許文献1では、良路と判定されている場合に、路面の凹凸が急に増加すると、伝動ベルトが滑るおそれがあるため、良路と判定されている場合においても、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧の低下には限界があった。
そこで、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を低下させている状態で、路面の凹凸が急に増加しても、プーリと伝動ベルトとの滑りが発生することを抑制することができる車両用駆動装置の制御装置の実現が望まれる。
本発明に係る、内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に設けられる無段変速装置と、車輪に駆動連結される回転電機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置の特徴構成は、
前記無段変速装置は、伝動ベルトと、前記伝動ベルトが巻掛けられると共に当該伝動ベルトの巻掛け部分を挟持する第1プーリと、前記動力伝達経路における前記第1プーリよりも前記車輪側に設けられ、前記伝動ベルトが巻掛けられると共に当該伝動ベルトの巻掛け部分を挟持する第2プーリと、を備え、前記第1プーリ及び前記第2プーリのそれぞれに対する前記ベルトの巻掛け径に応じて前記第1プーリの回転速度と前記第2プーリの回転速度との間の変速比を無段階に変化させる構成であり、
前記車輪の回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定部と、
前記安定状態でないと判定されている場合に、その場合における前記無段変速装置の目標変速比である通常目標変速比を、少なくとも前記車両の速度及びアクセル開度を含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、前記通常目標変速比を前記無段変速装置に実現させる通常変速制御部と、
前記安定状態であると判定されている場合に、前記第1プーリ及び前記第2プーリにおける前記伝動ベルトの狭持圧を前記安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の前記通常変速比決定要因に基づく前記通常目標変速比よりも変速比が小さい前記特定目標変速比を前記無段変速装置に実現させる特定変速制御部と、
前記通常目標変速比と前記特定目標変速比との変速比の差に応じた、前記内燃機関から前記車輪に伝達されるトルクの減少分に応じて、前記回転電機の出力トルクを増加させるトルク増加制御部と、を備える点にある。
前記無段変速装置は、伝動ベルトと、前記伝動ベルトが巻掛けられると共に当該伝動ベルトの巻掛け部分を挟持する第1プーリと、前記動力伝達経路における前記第1プーリよりも前記車輪側に設けられ、前記伝動ベルトが巻掛けられると共に当該伝動ベルトの巻掛け部分を挟持する第2プーリと、を備え、前記第1プーリ及び前記第2プーリのそれぞれに対する前記ベルトの巻掛け径に応じて前記第1プーリの回転速度と前記第2プーリの回転速度との間の変速比を無段階に変化させる構成であり、
前記車輪の回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定部と、
前記安定状態でないと判定されている場合に、その場合における前記無段変速装置の目標変速比である通常目標変速比を、少なくとも前記車両の速度及びアクセル開度を含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、前記通常目標変速比を前記無段変速装置に実現させる通常変速制御部と、
前記安定状態であると判定されている場合に、前記第1プーリ及び前記第2プーリにおける前記伝動ベルトの狭持圧を前記安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の前記通常変速比決定要因に基づく前記通常目標変速比よりも変速比が小さい前記特定目標変速比を前記無段変速装置に実現させる特定変速制御部と、
前記通常目標変速比と前記特定目標変速比との変速比の差に応じた、前記内燃機関から前記車輪に伝達されるトルクの減少分に応じて、前記回転電機の出力トルクを増加させるトルク増加制御部と、を備える点にある。
なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
また、本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
上記の特徴構成によれば、安定状態判定部により、車輪の回転速度の変動が少ない安定状態であるか、車輪の回転速度の変動が多い安定状態でないか判定することができる。
安定状態であると判定されている場合は、特定変速制御部による特定変速制御により、通常目標変速比よりも変速比が小さい特定目標変速比が無段変速装置に実現される。変速比を低下させているので、特定変速制御中に路面の凹凸などが急に増加した場合でも、プーリ及び伝動ベルトに作用する路面の凹凸などによる外乱トルクが小さくなる。なぜならば、路面の凹凸などにより生じた車輪の回転速度の変化が、変速比の低下に比例し、減速されて内燃機関などに伝達されるので、内燃機関などの慣性モーメントにより生じるイナーシャ―トルクが小さくなり、第1プーリに伝達されるイナーシャトルクの反力トルクが小さくなるためである。また、更に、変速比の低下に応じて、イナーシャトルクの反力トルクによる、プーリと伝動ベルトとの滑りが生じ始めるときの滑り限界狭持力の増加が小さくなるためである。よって、変速比の低下に応じて、路面の凹凸などによる滑り限界狭持力の増加が小さくなる。よって、特定変速制御中に、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を低下させていても、路面の凹凸などの急な増加により伝動ベルトが滑り難くなる。そのため、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を、変速比を低下させない通常変速制御の場合よりも更に低下させることができる。
従って、プーリと伝動ベルトの滑りが生じることを抑制しつつ、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を、変速比を低下させない通常変速制御の場合よりも低下させて燃費を向上させることできる。
また、変速比の低下により、内燃機関から無段変速装置を介して車輪に伝達されるトルクが減少するが、このトルクの減少分に応じて回転電機の出力トルクが増加されるので、車輪に伝達されるトルクを維持することができ、車両の走行性能を確保できる。
安定状態であると判定されている場合は、特定変速制御部による特定変速制御により、通常目標変速比よりも変速比が小さい特定目標変速比が無段変速装置に実現される。変速比を低下させているので、特定変速制御中に路面の凹凸などが急に増加した場合でも、プーリ及び伝動ベルトに作用する路面の凹凸などによる外乱トルクが小さくなる。なぜならば、路面の凹凸などにより生じた車輪の回転速度の変化が、変速比の低下に比例し、減速されて内燃機関などに伝達されるので、内燃機関などの慣性モーメントにより生じるイナーシャ―トルクが小さくなり、第1プーリに伝達されるイナーシャトルクの反力トルクが小さくなるためである。また、更に、変速比の低下に応じて、イナーシャトルクの反力トルクによる、プーリと伝動ベルトとの滑りが生じ始めるときの滑り限界狭持力の増加が小さくなるためである。よって、変速比の低下に応じて、路面の凹凸などによる滑り限界狭持力の増加が小さくなる。よって、特定変速制御中に、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を低下させていても、路面の凹凸などの急な増加により伝動ベルトが滑り難くなる。そのため、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を、変速比を低下させない通常変速制御の場合よりも更に低下させることができる。
従って、プーリと伝動ベルトの滑りが生じることを抑制しつつ、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を、変速比を低下させない通常変速制御の場合よりも低下させて燃費を向上させることできる。
また、変速比の低下により、内燃機関から無段変速装置を介して車輪に伝達されるトルクが減少するが、このトルクの減少分に応じて回転電機の出力トルクが増加されるので、車輪に伝達されるトルクを維持することができ、車両の走行性能を確保できる。
ここで、前記特定目標変速比は、前記無段変速装置によって実現され得る最小の変速比を含む予め定められた範囲内に決定されると好適である。
この構成によれば、路面の凹凸などの急な増加による伝動ベルトの滑りを、最大限に抑制できる。よって、各プーリにおける伝動ベルトの狭持圧を、最小限に低下させることができ、更に燃費を向上させることができる。
本発明に係る車両用駆動装置1の制御装置30(以下、単に制御装置30と称す)の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30の概略構成を示す模式図である。この図において、実線は駆動力の伝達経路を示し、破線は作動油の供給経路を示し、一点鎖線は信号の伝達経路を示している。車両用駆動装置1は、内燃機関ENGと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に設けられた無段変速装置CVTと、車輪Wに駆動連結される回転電機MGと、を備えている。
本実施形態では、内燃機関ENGと無段変速装置CVTとを結ぶ動力伝達経路2に、内燃機関ENG側から、トルクコンバータTC、前後進切替装置RVの順に設けられている。回転電機MGは、内燃機関ENGとトルクコンバータTCとを結ぶ動力伝達経路2に設けられている。そして、内燃機関ENGと回転電機MGとを結ぶ動力伝達経路2に、機関分離クラッチSSCが設けられている。よって、内燃機関ENGと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に、内燃機関ENGの側から、機関分離クラッチSSC、回転電機MG、トルクコンバータTC、前後進切替装置RV、無段変速装置CVTの順に設けられている。
本実施形態では、内燃機関ENGと無段変速装置CVTとを結ぶ動力伝達経路2に、内燃機関ENG側から、トルクコンバータTC、前後進切替装置RVの順に設けられている。回転電機MGは、内燃機関ENGとトルクコンバータTCとを結ぶ動力伝達経路2に設けられている。そして、内燃機関ENGと回転電機MGとを結ぶ動力伝達経路2に、機関分離クラッチSSCが設けられている。よって、内燃機関ENGと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に、内燃機関ENGの側から、機関分離クラッチSSC、回転電機MG、トルクコンバータTC、前後進切替装置RV、無段変速装置CVTの順に設けられている。
無段変速装置CVTは、伝動ベルトBLと、伝動ベルトBLが巻掛けられると共に当該伝動ベルトBLの巻掛け部分を挟持する第1プーリP1と、動力伝達経路2における第1プーリP1よりも車輪W側に設けられ、伝動ベルトBLが巻掛けられると共に当該伝動ベルトBLの巻掛け部分を挟持する第2プーリP2と、を備えている。無段変速装置CVTは、第1プーリP1及び第2プーリP2のそれぞれに対するベルトの巻掛け径に応じて第1プーリP1の回転速度と第2プーリP2の回転速度との間の変速比Rgを無段階に変化させる。
ハイブリッド車両には、図2に示すように、車両用駆動装置1を制御対象とする制御装置30が備えられている。本実施形態に係わる制御装置30は、回転電機MGの制御を行う回転電機制御ユニット32と、無段変速装置CVT、前後進切替装置RV、ロックアップクラッチLC、及び機関分離クラッチSSCの制御を行う動力伝達制御ユニット33と、これらの制御装置を統合して車両用駆動装置1の制御を行う車両制御ユニット34と、を有している。また、ハイブリッド車両には、内燃機関ENGの制御を行う内燃機関制御装置31も備えられている。
制御装置30は、安定状態判定部44、通常変速制御部45、特定変速制御部46、及びトルク増加制御部47を備えている。
安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する。
通常変速制御部45は、安定状態でないと判定されている場合に、その場合における無段変速装置CVTの目標変速比Rgtである通常目標変速比Rgtoを、少なくとも車両の速度(以下、車速Vsとも称す)及びアクセル開度Apを含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、通常目標変速比Rgtoを無段変速装置CVTに実現させる。
特定変速制御部46は、安定状態であると判定されている場合に、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の通常変速比決定要因に基づく通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを無段変速装置CVTに実現させる。
トルク増加制御部47は、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比Rgの差に応じた、内燃機関ENGから車輪Wに伝達されるトルクの減少分に応じて、回転電機MGの出力トルクを増加させる。
以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30について、詳細に説明する。
安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する。
通常変速制御部45は、安定状態でないと判定されている場合に、その場合における無段変速装置CVTの目標変速比Rgtである通常目標変速比Rgtoを、少なくとも車両の速度(以下、車速Vsとも称す)及びアクセル開度Apを含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、通常目標変速比Rgtoを無段変速装置CVTに実現させる。
特定変速制御部46は、安定状態であると判定されている場合に、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の通常変速比決定要因に基づく通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを無段変速装置CVTに実現させる。
トルク増加制御部47は、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比Rgの差に応じた、内燃機関ENGから車輪Wに伝達されるトルクの減少分に応じて、回転電機MGの出力トルクを増加させる。
以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30について、詳細に説明する。
1.車両用駆動装置1の構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド車両の車両用駆動装置1の構成について説明する。図1に示すように、ハイブリッド車両は、車両の駆動力源として内燃機関ENG及び回転電機MGを備えている。ハイブリッド車両は、無段変速装置CVTを備えており、当該無段変速装置CVTにより、変速入力軸Iに伝達された内燃機関ENG及び回転電機MGの回転速度を変速すると共にトルクを変換して変速出力軸Oに伝達する。
まず、本実施形態に係るハイブリッド車両の車両用駆動装置1の構成について説明する。図1に示すように、ハイブリッド車両は、車両の駆動力源として内燃機関ENG及び回転電機MGを備えている。ハイブリッド車両は、無段変速装置CVTを備えており、当該無段変速装置CVTにより、変速入力軸Iに伝達された内燃機関ENG及び回転電機MGの回転速度を変速すると共にトルクを変換して変速出力軸Oに伝達する。
内燃機関ENGは、燃料の燃焼により駆動される熱機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種内燃機関を用いることができる。本例では、内燃機関ENGのクランクシャフト等の内燃機関出力軸Eoが、機関分離クラッチSSCを介して、回転電機MGに駆動連結された動力入力軸Ipと選択的に駆動連結される。すなわち、内燃機関ENGは、摩擦係合装置である機関分離クラッチSSCを介して回転電機MGに選択的に駆動連結される。
回転電機MGは、車両用駆動装置1を収容するケースCsに固定されたステータStと、このステータStと対応する位置で径方向内側に回転自在に支持されたロータRoと、を有している。この回転電機MGのロータRoは、動力入力軸Ipと一体回転するように駆動連結されている。すなわち、本実施形態においては、動力入力軸Ipに内燃機関ENG及び回転電機MGの双方が駆動連結される構成となっている。回転電機MGは、直流交流変換を行うインバータを介して蓄電装置としてのバッテリに電気的に接続されている。そして、回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。すなわち、回転電機MGは、インバータを介してバッテリからの電力供給を受けて力行し、或いは内燃機関ENGや車輪Wから伝達される回転駆動力により発電し、発電された電力は、インバータを介してバッテリに蓄電される。
トルクコンバータTCは、動力入力軸Ipに伝達された駆動力源の回転駆動力を、内部に充填された作動油を介して、前後進切替装置RVに駆動連結される中間軸Mに伝達する装置である。このトルクコンバータTCは、動力入力軸Ipに駆動連結された入力側回転部材としてのポンプインペラTCaと、中間軸Mに駆動連結された出力側回転部材としてのタービンランナTCbと、これらの間に設けられ、ワンウェイクラッチを備えたステータTCcと、を備えている。そして、トルクコンバータTCは、内部に充填された作動油を介して、駆動側のポンプインペラTCaと従動側のタービンランナTCbとの間で駆動力の伝達を行う。オイルポンプOPは、ポンプインペラTCaと一体回転するように駆動連結されており、動力入力軸Ipと一体回転する構成となっている。
トルクコンバータTCは、ロックアップ用の係合装置として、ロックアップクラッチLCを備えている。このロックアップクラッチLCは、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとの間の回転差(滑り)をなくして伝達効率を高めるために、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとを一体回転させるように連結するクラッチである。したがって、トルクコンバータTCは、ロックアップクラッチLCが係合した状態では、作動油を介さずに、駆動力源の駆動力を直接中間軸Mに伝達する。
前後進切替装置RVは、前進クラッチC1と、後進ブレーキB1と、遊星歯車機構PGとを備えている。遊星歯車機構PGは、中間軸Mと同軸に配置されたダブルピニオン型の遊星歯車機構である。すなわち、この遊星歯車機構PGは、複数対のピニオンギヤを支持するキャリアCAと、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤSと、リングギヤRとの3つの回転要素として有している。そして、サンギヤSは、中間軸Mと一体回転するように接続されている。リングギヤRは、後述する後進ブレーキB1を介してケースCsに選択的に固定される。キャリアCAは、無段変速装置CVTの変速入力軸Iと一体回転するように接続されている。
前進クラッチC1は、サンギヤSとキャリアCAとを選択的に接続するクラッチとされている。後進ブレーキB1は、リングギヤRをケースCsに選択的に固定するブレーキとされている。この後進ブレーキB1によりリングギヤRをケースCsに固定した状態では、サンギヤSの回転は反転されてキャリアCAに伝達される。本実施形態においては、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1は、いずれも2つの部材間を接触させて摩擦力により係合させる摩擦係合要素であり、油圧により動作する多板式クラッチや多板式ブレーキを用いることができる。
前進クラッチC1を係合状態とし、後進ブレーキB1を解放状態とすると、遊星歯車機構PGの全体が一体回転する直結状態となり、中間軸Mに伝達された駆動力源の回転はそのまま変速入力軸Iに伝達される。よって、この状態では、前後進切替装置RVは、駆動力源の回転をそのまま無段変速装置CVTへ伝達する前進走行状態となる。また、前進クラッチC1を解放状態とし、後進ブレーキB1を係合状態とすると、中間軸Mに伝達された駆動力源の回転は遊星歯車機構PGにより反転されて変速入力軸Iに伝達される。よって、この状態では、前後進切替装置RVは、駆動力源の回転を反転して無段変速装置CVTへ伝達する後進走行状態となる。また、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1の双方を解放状態とすると、サンギヤSとキャリアCAとが互いに自由に回転可能な状態となり、中間軸Mと変速入力軸Iとの間での回転の伝達が行われない状態となる。よって、この状態では、前後進切替装置RVは、駆動力源と無段変速装置CVTとの間で回転の伝達が行われないように分離する分離状態となる。すなわち、前後進切替装置RVは、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1の係合状態を切り替えることにより、変速入力軸I(駆動力源)の回転をそのまま伝達する前進走行状態と、回転方向を反転して伝達する後進走行状態と、伝達しない分離状態とを切り替え可能な構成となっている。
無段変速装置CVTは、変速入力軸I及びこれと一体回転する第1プーリP1の回転を変速して第2プーリP2及びこれと一体回転する変速出力軸Oに伝達する。変速入力軸Iは、遊星歯車機構PGのキャリアCAと一体回転するように接続されている。また、変速出力軸Oには、変速出力ギヤ60が固定されている。なお、無段変速装置CVTの詳細な構成については後述する。
そして、変速出力軸Oの回転は、カウンタ減速機構Ct及び出力用差動歯車装置DFを介して左右二つの車軸AXに分配されて伝達され、各車軸AXに駆動連結された車輪Wに伝達される。
カウンタ減速機構Ctは、第一カウンタギヤ61、第二カウンタギヤ62、及び第一カウンタギヤ61と第二カウンタギヤ62とを一体回転するように接続するカウンタ軸63を備えている。第一カウンタギヤ61は、変速出力ギヤ60に噛み合っている。第二カウンタギヤ62は、出力用差動歯車装置DFの差動入力リングギヤ71に噛み合っている。出力用差動歯車装置DFは、差動入力リングギヤ71の回転及び駆動力を左右両側の車軸AXに分配する。左右の車軸AXにはそれぞれ車輪Wが接続されている。
そして、変速出力軸Oの回転は、カウンタ減速機構Ct及び出力用差動歯車装置DFを介して左右二つの車軸AXに分配されて伝達され、各車軸AXに駆動連結された車輪Wに伝達される。
カウンタ減速機構Ctは、第一カウンタギヤ61、第二カウンタギヤ62、及び第一カウンタギヤ61と第二カウンタギヤ62とを一体回転するように接続するカウンタ軸63を備えている。第一カウンタギヤ61は、変速出力ギヤ60に噛み合っている。第二カウンタギヤ62は、出力用差動歯車装置DFの差動入力リングギヤ71に噛み合っている。出力用差動歯車装置DFは、差動入力リングギヤ71の回転及び駆動力を左右両側の車軸AXに分配する。左右の車軸AXにはそれぞれ車輪Wが接続されている。
1−1.無段変速装置CVTの構成
無段変速装置CVTは、変速入力軸Iと変速出力軸Oとの間の変速比Rgを無段階に変化させることができる変速装置である。
変速入力軸Iは、第1プーリP1と一体回転するように連結され、変速出力軸Oは、第2プーリP2と一体回転するように連結されている。伝動ベルトBLは、第1プーリP1と第2プーリとの間に掛け渡されている。第1プーリP1及び第2プーリP2は、それぞれ伝動ベルトBLの巻掛け部分を狭持する。第1プーリP1及び第2プーリP2は、それぞれ伝動ベルトBLの巻掛け径を変化させることができ、巻掛け径の変化に応じて第1プーリP1の回転速度と第2プーリP2の回転速度との間の変速比Rgを無段階に変化させる。
無段変速装置CVTは、変速入力軸Iと変速出力軸Oとの間の変速比Rgを無段階に変化させることができる変速装置である。
変速入力軸Iは、第1プーリP1と一体回転するように連結され、変速出力軸Oは、第2プーリP2と一体回転するように連結されている。伝動ベルトBLは、第1プーリP1と第2プーリとの間に掛け渡されている。第1プーリP1及び第2プーリP2は、それぞれ伝動ベルトBLの巻掛け部分を狭持する。第1プーリP1及び第2プーリP2は、それぞれ伝動ベルトBLの巻掛け径を変化させることができ、巻掛け径の変化に応じて第1プーリP1の回転速度と第2プーリP2の回転速度との間の変速比Rgを無段階に変化させる。
第1プーリP1及び第2プーリP2は、V字状溝を備えており、V字状溝の溝幅W1、W2を変化させることにより、伝動ベルトBLを狭持することができると共に、伝動ベルトBLの巻掛け径を変化させることができる。
第1プーリP1は、変速入力軸Iと一体的に回転する第1可動シーブ11及び第1固定シーブ12を有して構成されている。第1可動シーブ11及び第1固定シーブ12は、変速入力軸I上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。第1可動シーブ11と第1固定シーブ12との間の対向する円錐面間に第1プーリP1のV字状溝が形成される。ここで、第1固定シーブ12は、変速入力軸Iに一体的に固定されている。一方、第1可動シーブ11は、その回転軸である変速入力軸Iの軸方向に移動可能に構成されている。第1プーリP1は、第1可動シーブ11を軸方向に移動させるための駆動機構として、第1可動シーブ11の背面に、油圧が供給される第1油圧室R1を備えている。そして、第1可動シーブ11を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である第1プーリ幅W1を変化させる。第1可動シーブ11を作動させるための油圧は、油圧制御装置PCから供給される。
第1プーリP1は、変速入力軸Iと一体的に回転する第1可動シーブ11及び第1固定シーブ12を有して構成されている。第1可動シーブ11及び第1固定シーブ12は、変速入力軸I上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。第1可動シーブ11と第1固定シーブ12との間の対向する円錐面間に第1プーリP1のV字状溝が形成される。ここで、第1固定シーブ12は、変速入力軸Iに一体的に固定されている。一方、第1可動シーブ11は、その回転軸である変速入力軸Iの軸方向に移動可能に構成されている。第1プーリP1は、第1可動シーブ11を軸方向に移動させるための駆動機構として、第1可動シーブ11の背面に、油圧が供給される第1油圧室R1を備えている。そして、第1可動シーブ11を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である第1プーリ幅W1を変化させる。第1可動シーブ11を作動させるための油圧は、油圧制御装置PCから供給される。
第2プーリP2は、変速出力軸Oと一体的に回転する第2可動シーブ21及び第2固定シーブ22を有して構成されている。第2可動シーブ21及び第2固定シーブ22は、変速出力軸O上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。第2可動シーブ21と第2固定シーブ22との間の対向する円錐面間に第2プーリP2のV字状溝が形成される。ここで、第2固定シーブ22は、変速出力軸Oに一体的に固定されている。一方、第2可動シーブ21は、その回転軸である変速出力軸Oの軸方向に移動可能に構成されている。第2プーリP2は、第2可動シーブ21を軸方向に移動させるための駆動機構として、第2可動シーブ21の背面に、油圧が供給される第2油圧室R2を備えている。そして、第2可動シーブ21を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である第2プーリ幅W2を変化させる。第2可動シーブ21を作動させるための油圧は、油圧制御装置PCから供給される。
無段変速装置CVTは、第1プーリP1の第1可動シーブ11を軸方向に移動させて第1プーリ幅W1を変化させるとともに、第2プーリP2の第2可動シーブ21を軸方向に移動させて第2プーリ幅W2を変化させることにより、変速比Rgを変化させる。ここで、第1プーリP1及び第2プーリP2のそれぞれについて、可動シーブ11、21を固定シーブ12、22から離れる側へ移動させればプーリ幅W1、W2は広くなり、当該プーリ幅W1、W2が広くなれば伝動ベルトBLが巻回される有効径は小さくなる。逆に、可動シーブ11、21を固定シーブ12、22に近づく側へ移動させればプーリ幅W1、W2は狭くなり、当該プーリ幅W1、W2が狭くなれば有効径は大きくなる。なお、各プーリP1、P2の有効径は、伝動ベルトBLが各プーリP1、P2のV字状溝に接触する位置の径である。そして、第1プーリP1の有効径を小さくして第2プーリP2の有効径を大きくすれば、変速比Rgが大きくなる。逆に、第1プーリP1の有効径を大きくして第2プーリP2の有効径を小さくすれば、変速比Rgが小さくなる。
ここで、変速比Rgは、変速出力軸O(第2プーリP2)の回転速度に対する変速入力軸I(第1プーリP1)の回転速度の比であり、本願では変速入力軸Iの回転速度を変速出力軸Oの回転速度で除算した値である。すなわち、変速入力軸Iの回転速度を変速比Rgで除算した回転速度が、変速出力軸Oの回転速度になる。また、変速入力軸Iから無段変速装置CVTに伝達されるトルクに、変速比Rgを乗算したトルクが、無段変速装置CVTから変速出力軸Oに伝達されるトルクになる。
ここで、変速比Rgは、変速出力軸O(第2プーリP2)の回転速度に対する変速入力軸I(第1プーリP1)の回転速度の比であり、本願では変速入力軸Iの回転速度を変速出力軸Oの回転速度で除算した値である。すなわち、変速入力軸Iの回転速度を変速比Rgで除算した回転速度が、変速出力軸Oの回転速度になる。また、変速入力軸Iから無段変速装置CVTに伝達されるトルクに、変速比Rgを乗算したトルクが、無段変速装置CVTから変速出力軸Oに伝達されるトルクになる。
図3には、第1プーリP1の第1プーリ幅W1を最大幅W1(max)とし、第2プーリP2の第2プーリ幅W2を最小幅W2(min)とした状態の例を示している。この状態では、無段変速装置CVTの変速比Rgが最大となる。また、図4には、第1プーリP1の第1プーリ幅W1を最小幅W1(min)とし、第2プーリP2の第2プーリ幅W2を最大幅W2(max)とした状態の例を示している。この状態では、無段変速装置CVTの変速比Rgが最小となる。
2.油圧制御系の構成
車両用駆動装置1の油圧制御系は、オイルポンプOPから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための油圧制御装置PCを備えている。油圧制御装置PCは、第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LC、SSCなどに対して供給される油圧を調整するための複数のリニアソレノイド弁などの油圧制御弁を備えている。油圧制御弁は、制御装置30から供給される油圧指令の信号値に応じて弁の開度を調整することにより、当該信号値に応じた油圧の作動油を第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LC、SSCなどに供給する。制御装置30から各リニアソレノイド弁に供給される信号値は電流値とされている。そして、各リニアソレノイド弁から出力される油圧は、基本的に制御装置30から供給される電流値に比例する。
油圧制御装置PCは、油圧調整用のリニアソレノイド弁などから出力される油圧(信号圧)に基づき一又は二以上の調整弁の開度を調整することにより、当該調整弁からドレインする作動油の量を調整して作動油の油圧を一又は二以上の所定圧に調整する。所定圧に調整された作動油は、それぞれ必要とされるレベルの油圧で、第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LC、SSCに供給される。
車両用駆動装置1の油圧制御系は、オイルポンプOPから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための油圧制御装置PCを備えている。油圧制御装置PCは、第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LC、SSCなどに対して供給される油圧を調整するための複数のリニアソレノイド弁などの油圧制御弁を備えている。油圧制御弁は、制御装置30から供給される油圧指令の信号値に応じて弁の開度を調整することにより、当該信号値に応じた油圧の作動油を第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LC、SSCなどに供給する。制御装置30から各リニアソレノイド弁に供給される信号値は電流値とされている。そして、各リニアソレノイド弁から出力される油圧は、基本的に制御装置30から供給される電流値に比例する。
油圧制御装置PCは、油圧調整用のリニアソレノイド弁などから出力される油圧(信号圧)に基づき一又は二以上の調整弁の開度を調整することにより、当該調整弁からドレインする作動油の量を調整して作動油の油圧を一又は二以上の所定圧に調整する。所定圧に調整された作動油は、それぞれ必要とされるレベルの油圧で、第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LC、SSCに供給される。
3.制御装置の構成
次に、車両用駆動装置1の制御を行う制御装置30及び内燃機関制御装置31の構成について、図2を参照して説明する。
制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている。そして、制御装置のROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置30の各機能部42〜50などが構成されている。また、制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、互いに通信を行うように構成されており、センサの検出情報及び制御パラメータ等の各種情報を共有するとともに協調制御を行い、各機能部41〜50の機能が実現される。
次に、車両用駆動装置1の制御を行う制御装置30及び内燃機関制御装置31の構成について、図2を参照して説明する。
制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている。そして、制御装置のROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置30の各機能部42〜50などが構成されている。また、制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、互いに通信を行うように構成されており、センサの検出情報及び制御パラメータ等の各種情報を共有するとともに協調制御を行い、各機能部41〜50の機能が実現される。
また、車両用駆動装置1は、センサSe1〜Se6を備えており(図1、図2参照)、各センサから出力される電気信号は制御装置30及び内燃機関制御装置31に入力される。制御装置30及び内燃機関制御装置31は、入力された電気信号に基づき各センサの検出情報を算出する。
動力入力回転速度センサSe1は、動力入力軸Ipの回転速度を検出するためのセンサである。動力入力軸Ipには回転電機MGのロータRoが一体的に駆動連結されているので、回転電機制御ユニット32は、動力入力回転速度センサSe1の入力信号に基づいて回転電機MGの回転速度(角速度)、動力入力軸Ipの回転速度を検出する。中間回転速度センサSe2は、中間軸Mの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、中間回転速度センサSe2の入力信号に基づいて中間軸Mの回転速度(角速度)を検出する。変速入力回転速度センサSe3は、変速入力軸Iの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、変速入力回転速度センサSe3の入力信号に基づいて変速入力軸Iの回転速度(角速度)を検出する。変速出力回転速度センサSe4は、変速出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて変速出力軸Oの回転速度(角速度)を検出する。また、変速出力軸Oの回転速度は車速Vsに比例するため、動力伝達制御ユニット33は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて車速Vsを算出する。
動力入力回転速度センサSe1は、動力入力軸Ipの回転速度を検出するためのセンサである。動力入力軸Ipには回転電機MGのロータRoが一体的に駆動連結されているので、回転電機制御ユニット32は、動力入力回転速度センサSe1の入力信号に基づいて回転電機MGの回転速度(角速度)、動力入力軸Ipの回転速度を検出する。中間回転速度センサSe2は、中間軸Mの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、中間回転速度センサSe2の入力信号に基づいて中間軸Mの回転速度(角速度)を検出する。変速入力回転速度センサSe3は、変速入力軸Iの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、変速入力回転速度センサSe3の入力信号に基づいて変速入力軸Iの回転速度(角速度)を検出する。変速出力回転速度センサSe4は、変速出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。動力伝達制御ユニット33は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて変速出力軸Oの回転速度(角速度)を検出する。また、変速出力軸Oの回転速度は車速Vsに比例するため、動力伝達制御ユニット33は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて車速Vsを算出する。
機関回転速度センサSe5は、内燃機関出力軸Eo(内燃機関ENG)の回転速度を検出するためのセンサである。内燃機関制御装置31は、機関回転速度センサSe5の入力信号に基づいて内燃機関ENGの回転速度(角速度)を検出する。アクセル開度センサSe6は、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量を検出することによりアクセル開度Apを検出するためのセンサである。制御装置30は、アクセル開度センサSe6の入力信号に基づいてアクセル開度Apを検出する。
3−1.内燃機関制御装置31
内燃機関制御装置31は、内燃機関ENGの動作制御を行う内燃機関制御部41を備えている。本実施形態では、内燃機関制御部41は、車両制御ユニット34又は動力伝達制御ユニット33から内燃機関要求トルクが指令されている場合は、指令された内燃機関要求トルクを出力トルク指令値に設定し、内燃機関ENGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御するトルク制御を行う。
内燃機関制御装置31は、内燃機関ENGの動作制御を行う内燃機関制御部41を備えている。本実施形態では、内燃機関制御部41は、車両制御ユニット34又は動力伝達制御ユニット33から内燃機関要求トルクが指令されている場合は、指令された内燃機関要求トルクを出力トルク指令値に設定し、内燃機関ENGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御するトルク制御を行う。
3−2.回転電機制御ユニット32
回転電機制御ユニット32は、回転電機MGの動作制御を行う回転電機制御部42を備えている。本実施形態では、回転電機制御部42は、車両制御ユニット34又は動力伝達制御ユニット33から回転電機要求トルクが指令されている場合は、指令された回転電機要求トルクを出力トルク指令値に設定し、回転電機MGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御する。具体的には、回転電機制御部42は、インバータが備える複数のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、回転電機MGの出力トルクを制御する。
回転電機制御ユニット32は、回転電機MGの動作制御を行う回転電機制御部42を備えている。本実施形態では、回転電機制御部42は、車両制御ユニット34又は動力伝達制御ユニット33から回転電機要求トルクが指令されている場合は、指令された回転電機要求トルクを出力トルク指令値に設定し、回転電機MGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御する。具体的には、回転電機制御部42は、インバータが備える複数のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、回転電機MGの出力トルクを制御する。
3−3.車両制御ユニット34
車両制御ユニット34は、内燃機関ENG、回転電機MG、無段変速装置CVT、及び機関分離クラッチSSC等に対して行われる各種トルク制御、及び各係合装置の係合制御等を車両全体として統合する制御を行う機能部を備えている。
車両制御ユニット34は、内燃機関ENGに対して要求する出力トルクである内燃機関要求トルク、回転電機MGに対して要求する出力トルクである回転電機要求トルク、機関分離クラッチSSCに供給する油圧の目標である油圧指令を算出し、それらを他の制御ユニット32、33及び内燃機関制御装置31に指令して統合制御を行う。なお、特定変速制御中は、変速制御部43が、内燃機関要求トルク及び回転電機要求トルクを算出して指令するように構成されている。
車両制御ユニット34は、内燃機関ENG、回転電機MG、無段変速装置CVT、及び機関分離クラッチSSC等に対して行われる各種トルク制御、及び各係合装置の係合制御等を車両全体として統合する制御を行う機能部を備えている。
車両制御ユニット34は、内燃機関ENGに対して要求する出力トルクである内燃機関要求トルク、回転電機MGに対して要求する出力トルクである回転電機要求トルク、機関分離クラッチSSCに供給する油圧の目標である油圧指令を算出し、それらを他の制御ユニット32、33及び内燃機関制御装置31に指令して統合制御を行う。なお、特定変速制御中は、変速制御部43が、内燃機関要求トルク及び回転電機要求トルクを算出して指令するように構成されている。
車両制御ユニット34は、車輪Wの駆動又は制動のために要求されているトルクであって、駆動力源から無段変速装置CVTを介して車輪W側に伝達させるトルクである車両要求トルクを算出する。車両制御ユニット34は、アクセル開度Ap、車速Vs、及びバッテリの充電量等に応じて、車両要求トルクを算出するとともに、内燃機関ENG及び回転電機MGの運転モードを決定する。運転モードとして、回転電機MGのみを駆動力源として走行する電動モードと、少なくとも内燃機関ENGを駆動力源として走行するパラレルモードと、を有する。例えば、アクセル開度Apが小さく、バッテリの充電量が大きい場合に、運転モードとして電動モードが決定され、それ以外の場合、すなわちアクセル開度Apが大きい、もしくはバッテリの充電量が小さい場合に、運転モードとしてパラレルモードが決定される。また、車両制御ユニット34は、車両要求トルク、運転モード、及びバッテリの充電量等に基づいて、内燃機関要求トルク及び回転電機要求トルクを算出する。なお、基本的に、内燃機関要求トルクと回転電機要求トルクの合計が、車両要求トルクに一致するように設定される。
3−4.動力伝達制御ユニット33
動力伝達制御ユニット33は、無段変速装置CVTの制御を行う変速制御部43と、前後進切替装置RVの制御を行う前後進切替制御部48と、ロックアップクラッチLCの制御を行うロックアップ制御部49と、機関分離クラッチSSCの制御を行う機関分離制御部50と、を備えている。
動力伝達制御ユニット33は、無段変速装置CVTの制御を行う変速制御部43と、前後進切替装置RVの制御を行う前後進切替制御部48と、ロックアップクラッチLCの制御を行うロックアップ制御部49と、機関分離クラッチSSCの制御を行う機関分離制御部50と、を備えている。
3−4−1.前後進切替制御部48
前後進切替制御部48は、シフト位置が前進走行レンジである場合は、前進クラッチC1が係合し、後進ブレーキB1が解放するように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。前後進切替制御部48は、シフト位置が後進走行レンジである場合は、前進クラッチC1が解放し、後進ブレーキB1が係合するように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。前後進切替制御部48は、シフト位置が非走行レンジである場合は、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1が解放するように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。特定変速制御中は、基本的に、シフト位置は前進走行レンジであり、前進クラッチC1は係合され、後進ブレーキB1は解放されている。
前後進切替制御部48は、シフト位置が前進走行レンジである場合は、前進クラッチC1が係合し、後進ブレーキB1が解放するように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。前後進切替制御部48は、シフト位置が後進走行レンジである場合は、前進クラッチC1が解放し、後進ブレーキB1が係合するように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。前後進切替制御部48は、シフト位置が非走行レンジである場合は、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1が解放するように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。特定変速制御中は、基本的に、シフト位置は前進走行レンジであり、前進クラッチC1は係合され、後進ブレーキB1は解放されている。
3−4−2.ロックアップ制御部49
ロックアップ制御部49は、ロックアップクラッチLCの係合状態を制御する。ロックアップ制御部49は、車速Vs、アクセル開度Ap、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいてロックアップクラッチLCを係合させるか解放させるかを決定する。そして、ロックアップ制御部49は、ロックアップクラッチLCが係合又は解放するように、油圧制御装置PCにロックアップクラッチLCの目標油圧(油圧指令)を指令する。特定変速制御中は、基本的に、ロックアップクラッチLCは係合されている。
ロックアップ制御部49は、ロックアップクラッチLCの係合状態を制御する。ロックアップ制御部49は、車速Vs、アクセル開度Ap、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいてロックアップクラッチLCを係合させるか解放させるかを決定する。そして、ロックアップ制御部49は、ロックアップクラッチLCが係合又は解放するように、油圧制御装置PCにロックアップクラッチLCの目標油圧(油圧指令)を指令する。特定変速制御中は、基本的に、ロックアップクラッチLCは係合されている。
3−4−3.機関分離制御部50
機関分離制御部50は、機関分離クラッチSSCの係合状態を制御する。本実施形態では、機関分離制御部50は、機関分離クラッチSSCに供給される油圧が、車両制御ユニット34から指令された機関分離クラッチSSCの油圧指令に一致するように、油圧制御装置PCに備えられた各リニアソレノイド弁に供給される信号値を制御する。特定変速制御中は、基本的に、機関分離クラッチSSCは係合されている。
機関分離制御部50は、機関分離クラッチSSCの係合状態を制御する。本実施形態では、機関分離制御部50は、機関分離クラッチSSCに供給される油圧が、車両制御ユニット34から指令された機関分離クラッチSSCの油圧指令に一致するように、油圧制御装置PCに備えられた各リニアソレノイド弁に供給される信号値を制御する。特定変速制御中は、基本的に、機関分離クラッチSSCは係合されている。
3−4−4.変速制御部43
変速制御部43は、無段変速装置CVTを制御する機能部である。変速制御部43は、車速Vs、アクセル開度Ap、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて無段変速装置CVTに形成させる目標変速比Rgtを決定する。そして、変速制御部43は、油圧制御装置PCを介して無段変速装置CVTに備えられた第1油圧室R1、第2油圧室R2に供給される油圧を制御することにより、目標とされた変速比Rgを無段変速装置CVTに実現させる。具体的には、変速制御部43は、油圧制御装置PCに各油圧室R1、R2に供給する目標油圧(油圧指令)を指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)の油圧を各油圧室R1、R2に供給する。本実施形態では、変速制御部43は、油圧制御装置PCが備えた各リニアソレノイド弁に供給される信号値を制御することにより、各油圧室R1、R2に供給される油圧を制御するように構成されている。
変速制御部43は、無段変速装置CVTを制御する機能部である。変速制御部43は、車速Vs、アクセル開度Ap、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて無段変速装置CVTに形成させる目標変速比Rgtを決定する。そして、変速制御部43は、油圧制御装置PCを介して無段変速装置CVTに備えられた第1油圧室R1、第2油圧室R2に供給される油圧を制御することにより、目標とされた変速比Rgを無段変速装置CVTに実現させる。具体的には、変速制御部43は、油圧制御装置PCに各油圧室R1、R2に供給する目標油圧(油圧指令)を指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)の油圧を各油圧室R1、R2に供給する。本実施形態では、変速制御部43は、油圧制御装置PCが備えた各リニアソレノイド弁に供給される信号値を制御することにより、各油圧室R1、R2に供給される油圧を制御するように構成されている。
本実施形態では、変速制御部43は、安定状態判定部44、通常変速制御部45、特定変速制御部46、及びトルク増加制御部47を備えている。
安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定を行う。
通常変速制御部45は、安定状態でないと判定されている場合に、その場合における無段変速装置CVTの目標変速比Rgtである通常目標変速比Rgtoを、少なくとも車速Vs及びアクセル開度を含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、通常目標変速比Rgtoを無段変速装置CVTに実現させる通常変速制御を行う。
特定変速制御部46は、安定状態であると判定されている場合に、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の通常変速比決定要因に基づく通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを無段変速装置CVTに実現させる特定変速制御を行う。
トルク増加制御部47は、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比Rgの差に応じた、内燃機関ENGから車輪Wに伝達されるトルクの減少分に応じて、回転電機MGの出力トルクを増加させるトルク増加制御を行う。
以下、各機能部について詳細に説明する。
安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定を行う。
通常変速制御部45は、安定状態でないと判定されている場合に、その場合における無段変速装置CVTの目標変速比Rgtである通常目標変速比Rgtoを、少なくとも車速Vs及びアクセル開度を含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、通常目標変速比Rgtoを無段変速装置CVTに実現させる通常変速制御を行う。
特定変速制御部46は、安定状態であると判定されている場合に、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の通常変速比決定要因に基づく通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを無段変速装置CVTに実現させる特定変速制御を行う。
トルク増加制御部47は、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比Rgの差に応じた、内燃機関ENGから車輪Wに伝達されるトルクの減少分に応じて、回転電機MGの出力トルクを増加させるトルク増加制御を行う。
以下、各機能部について詳細に説明する。
3−4−4−1.安定状態判定部44
安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定を行う。
本実施形態では、図7に示すように、安定状態判定部44は、変速出力軸Oの回転速度ωoに基づいて、安定状態判定を行うように構成されている。
安定状態判定部44は、路面の凹凸により生じた車輪Wの回転速度の変動成分を抽出するために、変速出力軸Oの回転速度ωoに対して、バンドパスフィルタ処理を行うように構成されている。路面の凹凸による変速出力軸Oの回転速度ωoの変動は、通常の車両の加速又は減速よる変速出力軸Oの回転速度ωoの変化よりも周波数が高く、ノイズ成分よりも周波数が低い。よって、バンドパスフィルタ処理における通過周波数帯域は、路面の凹凸による回転速度変動の周波数帯域に対応して設定される。
安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定を行う。
本実施形態では、図7に示すように、安定状態判定部44は、変速出力軸Oの回転速度ωoに基づいて、安定状態判定を行うように構成されている。
安定状態判定部44は、路面の凹凸により生じた車輪Wの回転速度の変動成分を抽出するために、変速出力軸Oの回転速度ωoに対して、バンドパスフィルタ処理を行うように構成されている。路面の凹凸による変速出力軸Oの回転速度ωoの変動は、通常の車両の加速又は減速よる変速出力軸Oの回転速度ωoの変化よりも周波数が高く、ノイズ成分よりも周波数が低い。よって、バンドパスフィルタ処理における通過周波数帯域は、路面の凹凸による回転速度変動の周波数帯域に対応して設定される。
安定状態判定部44は、バンドパスフィルタ処理後の回転速度の絶対値を、移動平均又は区間積算する。移動平均は、予め定めた期間内に入力された入力信号の平均値を算出する処理であり、区間積算は、予め定めた期間内に入力された入力信号の積算値を算出する処理である。安定状態判定部44は、平均値又は積算値が、予め定めた判定基準値である安定状態判定値を下回った場合は、車輪Wの回転速度の変動が少ない安定状態であると判定し、平均値又は積算値が安定状態判定値を上回った場合は、安定状態でないと判定する。
3−4−4−2.通常変速制御部45
通常変速制御部45は、安定状態でないと判定されている場合に、その場合における無段変速装置CVTの目標変速比Rgtである通常目標変速比Rgtoを、少なくとも車速Vs及びアクセル開度Apを含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、通常目標変速比Rgtoを無段変速装置CVTに実現させる通常変速制御を行う。
本実施形態では、通常変速制御部45は、図7に示すように、通常目標変速比設定部80、通常入力トルク算出部83、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89、通常安全率設定部90を備えている。なお、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89は、特定変速制御部46との間で共通して備えられている。
通常変速制御部45は、安定状態でないと判定されている場合に、その場合における無段変速装置CVTの目標変速比Rgtである通常目標変速比Rgtoを、少なくとも車速Vs及びアクセル開度Apを含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、通常目標変速比Rgtoを無段変速装置CVTに実現させる通常変速制御を行う。
本実施形態では、通常変速制御部45は、図7に示すように、通常目標変速比設定部80、通常入力トルク算出部83、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89、通常安全率設定部90を備えている。なお、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89は、特定変速制御部46との間で共通して備えられている。
<通常目標変速比設定部80>
通常目標変速比設定部80は、車速Vs、アクセル開度Ap、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて無段変速装置CVTに形成させる通常目標変速比Rgtoを決定する。
本実施形態では、通常目標変速比設定部80は、車速Vs(変速出力軸Oの回転速度)、アクセル開度Apに基づいて、変速入力軸Iの目標回転速度である目標入力回転速度を決定し、目標入力回転速度を変速出力軸Oの回転速度で除算して通常目標変速比Rgtoを算出する。
図8に、シフト位置が前進走行レンジに設定されている場合の、車速Vs及びアクセル開度Apに応じて決定される目標入力回転速度の特性の例を示す。図8には、同じアクセル開度Apとなる等アクセル開度線を示している。
通常目標変速比Rgtoは、車速Vs及びアクセル開度Apの変化に応じて、最小変速比Rgminと最大変速比Rgmaxとの間を連続的に変化する。例えば、最小変速比Rgminは0.4とされ、最大変速比Rgmaxは2.5とされる。
通常変速制御中は、通常目標変速比Rgtoが目標変速比Rgtに設定される(切替器82)。
通常目標変速比設定部80は、車速Vs、アクセル開度Ap、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて無段変速装置CVTに形成させる通常目標変速比Rgtoを決定する。
本実施形態では、通常目標変速比設定部80は、車速Vs(変速出力軸Oの回転速度)、アクセル開度Apに基づいて、変速入力軸Iの目標回転速度である目標入力回転速度を決定し、目標入力回転速度を変速出力軸Oの回転速度で除算して通常目標変速比Rgtoを算出する。
図8に、シフト位置が前進走行レンジに設定されている場合の、車速Vs及びアクセル開度Apに応じて決定される目標入力回転速度の特性の例を示す。図8には、同じアクセル開度Apとなる等アクセル開度線を示している。
通常目標変速比Rgtoは、車速Vs及びアクセル開度Apの変化に応じて、最小変速比Rgminと最大変速比Rgmaxとの間を連続的に変化する。例えば、最小変速比Rgminは0.4とされ、最大変速比Rgmaxは2.5とされる。
通常変速制御中は、通常目標変速比Rgtoが目標変速比Rgtに設定される(切替器82)。
<通常入力トルク算出部83>
通常入力トルク算出部83は、通常変速制御中に、駆動力源から無段変速装置CVTの変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinである通常入力トルクTinoを算出する。
本実施形態では、通常入力トルク算出部83は、車両制御ユニット34が算出した車両要求トルクを、通常入力トルクTinoとして算出するように構成されている。
通常変速制御中は、通常入力トルクTinoが入力トルクTinに設定される(切替器85)。
通常入力トルク算出部83は、通常変速制御中に、駆動力源から無段変速装置CVTの変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinである通常入力トルクTinoを算出する。
本実施形態では、通常入力トルク算出部83は、車両制御ユニット34が算出した車両要求トルクを、通常入力トルクTinoとして算出するように構成されている。
通常変速制御中は、通常入力トルクTinoが入力トルクTinに設定される(切替器85)。
<通常安全率設定部90>
通常安全率設定部90は、通常変速制御中に、滑り限界狭持力F1min、F2minに乗算される安全率Ksfである通常安全率Ksfoを設定する。
通常安全率Ksfoは、予め定められた1より大きい値(例えば、1.5)に設定される。通常安全率設定部90は、入力トルクTin及び目標変速比Rgtなどに応じて、通常安全率Ksfoを設定するように構成されてもよい。
通常変速制御中は、通常安全率Ksfoが安全率Ksfに設定される(切替器92)。
通常安全率設定部90は、通常変速制御中に、滑り限界狭持力F1min、F2minに乗算される安全率Ksfである通常安全率Ksfoを設定する。
通常安全率Ksfoは、予め定められた1より大きい値(例えば、1.5)に設定される。通常安全率設定部90は、入力トルクTin及び目標変速比Rgtなどに応じて、通常安全率Ksfoを設定するように構成されてもよい。
通常変速制御中は、通常安全率Ksfoが安全率Ksfに設定される(切替器92)。
<滑り限界狭持力算出部86>
滑り限界狭持力算出部86は、無段変速装置CVTが、変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinを、目標変速比Rgtの変速比Rgで、変速出力軸Oに伝達する場合に、伝動ベルトBLと第1プーリP1との滑りが生じ始めるときの第1プーリの狭持力である第1滑り限界狭持力F1minと、伝動ベルトBLと第2プーリP2との滑りが生じ始めるときの第2プーリの狭持力である第2滑り限界狭持力F2minと、を算出する。
滑り限界狭持力算出部86は、入力トルクTinと目標変速比Rgtとに基づいて、次式に示すように、各滑り限界狭持力F1min、F2minを算出する。
F1min=Tin×cosα/(2×μ×Rd1)
F2min=To×cosα/(2×μ×Rd2) ・・・(1)
To=Tin×Rgt
Rd2=Rd1×Rgt
ここで、Toは、変速出力軸Oに伝達されるトルクであり、αは、プーリのシーブ角であり、μは、伝動ベルトBLとプーリとの間の摩擦係数であり、Rd1は、伝動ベルトBLの第1プーリP1への巻掛け径であり、Rd2は、伝動ベルトBLの第2プーリP2への巻掛け径である。
滑り限界狭持力算出部86は、無段変速装置CVTが、変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinを、目標変速比Rgtの変速比Rgで、変速出力軸Oに伝達する場合に、伝動ベルトBLと第1プーリP1との滑りが生じ始めるときの第1プーリの狭持力である第1滑り限界狭持力F1minと、伝動ベルトBLと第2プーリP2との滑りが生じ始めるときの第2プーリの狭持力である第2滑り限界狭持力F2minと、を算出する。
滑り限界狭持力算出部86は、入力トルクTinと目標変速比Rgtとに基づいて、次式に示すように、各滑り限界狭持力F1min、F2minを算出する。
F1min=Tin×cosα/(2×μ×Rd1)
F2min=To×cosα/(2×μ×Rd2) ・・・(1)
To=Tin×Rgt
Rd2=Rd1×Rgt
ここで、Toは、変速出力軸Oに伝達されるトルクであり、αは、プーリのシーブ角であり、μは、伝動ベルトBLとプーリとの間の摩擦係数であり、Rd1は、伝動ベルトBLの第1プーリP1への巻掛け径であり、Rd2は、伝動ベルトBLの第2プーリP2への巻掛け径である。
式(1)を整理すると、次式となり、第1滑り限界狭持力F1minと第2滑り限界狭持力F2minとが等しくなる。
F1min=Tin×cosα/(2×μ×Rd1)
F2min=Tin×cosα/(2×μ×Rd1) ・・・(2)
F1min=Tin×cosα/(2×μ×Rd1)
F2min=Tin×cosα/(2×μ×Rd1) ・・・(2)
滑り限界狭持力算出部86は、第1プーリの巻掛け径Rd1と変速比Rgとの関係が予め設定された巻掛け径特性fr()を用い、次式に示すように、目標変速比Rgtに基づいて、第1プーリの巻掛け径Rd1を算出する。
Rd1=fr(Rgt) ・・・(3)
第1プーリの巻掛け径Rd1は、次式に示すように、目標変速比Rgtに概ね反比例する特性を有する。
Rd1∝1/Rgt ・・・(4)
よって、第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minは、入力トルクTin及び目標変速比Rgtに応じて変化する。
Rd1=fr(Rgt) ・・・(3)
第1プーリの巻掛け径Rd1は、次式に示すように、目標変速比Rgtに概ね反比例する特性を有する。
Rd1∝1/Rgt ・・・(4)
よって、第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minは、入力トルクTin及び目標変速比Rgtに応じて変化する。
<安全率狭持力算出部87>
安全率狭持力算出部87は、外乱などにより滑りが生じないように、第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minのそれぞれに、次式に示すように安全率Ksfを乗算して、第1安全率狭持力F1sf及び第2安全率狭持力F2sfを算出する。
F1sf=F1min×Ksf
F2sf=F2min×Ksf ・・・(5)
通常変速制御中は、安全率Ksfは、特定変速制御中より大きい値に設定されている(例えば、1.5)。
安全率狭持力算出部87は、外乱などにより滑りが生じないように、第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minのそれぞれに、次式に示すように安全率Ksfを乗算して、第1安全率狭持力F1sf及び第2安全率狭持力F2sfを算出する。
F1sf=F1min×Ksf
F2sf=F2min×Ksf ・・・(5)
通常変速制御中は、安全率Ksfは、特定変速制御中より大きい値に設定されている(例えば、1.5)。
<変速比実現狭持力算出部88>
変速比実現狭持力算出部88は、目標変速比Rgtを無段変速装置CVTに実現させるために、第1プーリP1の狭持力である第1狭持力F1と、第2プーリP2の狭持力である第2狭持力F2と、をバランスさせる。
変速比実現狭持力算出部88は、次式に示すように、第1安全率狭持力F1sfにバランス比Kbを乗算して、第1プーリP1の狭持力である第1狭持力F1を算出し、第2安全率狭持力F2sfをバランス比Kbで除算して第2狭持力F2を算出する。
F1=F1sf×Kb
F2=F2sf/Kb ・・・(6)
変速比実現狭持力算出部88は、目標変速比Rgtを無段変速装置CVTに実現させるために、第1プーリP1の狭持力である第1狭持力F1と、第2プーリP2の狭持力である第2狭持力F2と、をバランスさせる。
変速比実現狭持力算出部88は、次式に示すように、第1安全率狭持力F1sfにバランス比Kbを乗算して、第1プーリP1の狭持力である第1狭持力F1を算出し、第2安全率狭持力F2sfをバランス比Kbで除算して第2狭持力F2を算出する。
F1=F1sf×Kb
F2=F2sf/Kb ・・・(6)
変速比実現狭持力算出部88は、バランス比Kbと変速比Rgなどとの関係が予め設定されたバランス比特性fb()を用い、次式に示すように、目標変速比Rgtなどに基づいて、バランス比Kbを算出する。
Kb=fb(Rgt) ・・・(7)
バランス比Kbは、1.0付近に設定され、次式に示すように、目標変速比Rgtに概ね比例する特性を有する。
Kb∝Rgt ・・・(8)
Kb=fb(Rgt) ・・・(7)
バランス比Kbは、1.0付近に設定され、次式に示すように、目標変速比Rgtに概ね比例する特性を有する。
Kb∝Rgt ・・・(8)
<供給圧算出部89>
供給圧算出部89は、第1狭持力F1を実現する、第1油圧室R1に供給される第1目標油圧Pr1と、第2狭持力F2を実現する、第2油圧室R2に供給される第2目標油圧Pr2とを算出する。
供給圧算出部89は、次式に示すように、第1狭持力F1を第1油圧室R1の受圧面積A1で除算して第1目標油圧Pr1を算出し、第2狭持力F2を第2油圧室R2の受圧面積A2で除算して第2目標油圧Pr2を算出する。
Pr1=F1/A1
Pr2=F2/A2 ・・・(9)
供給圧算出部89は、算出した第1目標油圧Pr1及び第2目標油圧Pr2を、油圧制御装置PCに指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)の油圧を各油圧室R1、R2に供給する。
供給圧算出部89は、第1狭持力F1を実現する、第1油圧室R1に供給される第1目標油圧Pr1と、第2狭持力F2を実現する、第2油圧室R2に供給される第2目標油圧Pr2とを算出する。
供給圧算出部89は、次式に示すように、第1狭持力F1を第1油圧室R1の受圧面積A1で除算して第1目標油圧Pr1を算出し、第2狭持力F2を第2油圧室R2の受圧面積A2で除算して第2目標油圧Pr2を算出する。
Pr1=F1/A1
Pr2=F2/A2 ・・・(9)
供給圧算出部89は、算出した第1目標油圧Pr1及び第2目標油圧Pr2を、油圧制御装置PCに指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)の油圧を各油圧室R1、R2に供給する。
3−4−4−3.特定変速制御部46
特定変速制御部46は、安定状態であると判定されている場合に、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の通常変速比決定要因に基づく通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを無段変速装置CVTに実現させる特定変速制御を行う。
特定変速制御部46は、安定状態であると判定されている場合に、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の通常変速比決定要因に基づく通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを無段変速装置CVTに実現させる特定変速制御を行う。
<特定変速制御のねらい>
車輪Wの回転速度の変動が少ない安定状態であると判定されている場合は、路面の凹凸などにより動力伝達経路2に生じる外乱トルクが小さく、安定状態でないと判定されている場合よりも第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を低下させても、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとが滑る可能性が低い。
しかし、特定変速制御中は、伝動ベルトBLの狭持圧を低下させているので、路面の凹凸が急に増加した場合に、伝動ベルトBLが滑るおそれがある。そこで、特定変速制御中に路面の凹凸が急に増加した場合でも、伝動ベルトBLが滑ることを抑制するために、変速比Rgを通常目標変速比Rgtoよりも低下させている。この点について以下で説明する。
車輪Wの回転速度の変動が少ない安定状態であると判定されている場合は、路面の凹凸などにより動力伝達経路2に生じる外乱トルクが小さく、安定状態でないと判定されている場合よりも第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧を低下させても、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとが滑る可能性が低い。
しかし、特定変速制御中は、伝動ベルトBLの狭持圧を低下させているので、路面の凹凸が急に増加した場合に、伝動ベルトBLが滑るおそれがある。そこで、特定変速制御中に路面の凹凸が急に増加した場合でも、伝動ベルトBLが滑ることを抑制するために、変速比Rgを通常目標変速比Rgtoよりも低下させている。この点について以下で説明する。
図5に、変速比Rgを最小変速比Rgminまで低下させている場合を示している。路面の凹凸により変速出力軸Oの回転角速度が変化した場合にした場合の影響について説明する。このときの変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtは、次式に示すように、変速出力軸Oの回転角速度の変化d(ωo)/dtに、無段変速装置CVTの変速比Rgを乗算した変化になる。
d(ωin)/dt=d(ωo)/dt×Rg ・・・(10)
変速比Rgが低下されているので、変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtが小さくなる。
d(ωin)/dt=d(ωo)/dt×Rg ・・・(10)
変速比Rgが低下されているので、変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtが小さくなる。
そして、次式に示すように、変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtに、内燃機関ENG及び回転電機MGなどの駆動力源側の慣性モーメントJpを乗算したイナーシャトルクTjが生じる。
Tj=Jp×d(ωin)/dt ・・・(11)
変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtが小さくなっているで、イナーシャトルクTjも小さくなる。
Tj=Jp×d(ωin)/dt ・・・(11)
変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtが小さくなっているで、イナーシャトルクTjも小さくなる。
イナーシャトルクTjの反力トルクが、無段変速装置CVTを介して車輪Wに伝達される。
この時、第1プーリP1の巻掛け径Rd1は増加されているので、式(2)に示すように、イナーシャトルクTjの反力トルクにより生じる第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minの増加分は小さくなる。
この時、第1プーリP1の巻掛け径Rd1は増加されているので、式(2)に示すように、イナーシャトルクTjの反力トルクにより生じる第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minの増加分は小さくなる。
従って、特定変速制御中は、変速比Rgの低下に比例して、路面の凹凸による駆動力源側で生じるイナーシャトルクTjの増加が小さくなり、第1プーリP1に伝達されるイナーシャトルクTjの反力トルクが小さくなる。また、変速比Rgの低下に応じて、路面の凹凸により生じたイナーシャトルクTjの反力トルクによる滑り限界狭持力F1min、F2minの増加が小さくなる。よって、変速比Rgの低下に応じて、路面の凹凸による滑り限界狭持力F1min、F2minの増加が小さくなり、プーリP1、P2及び伝動ベルトBLが滑り難くなる。よって、特定変速制御中に、伝動ベルトBLの狭持圧を低下させていても、路面の凹凸の急な増加により伝動ベルトBLが滑ることを効果的に抑制できる。
一方、図6に、変速比Rgを最大変速比Rgmaxまで増加させている場合を示している。変速比Rgが増加されているので、変速入力軸Iの回転角速度の変化d(ωin)/dtが大きくなり、イナーシャトルクTjも大きくなる。第1プーリP1の巻掛け径Rd1は減少されているので、イナーシャトルクTjの反力トルクにより生じる滑り限界狭持力F1min、F2minの増加分は大きくなる。従って、変速比Rgを増加させている場合は、変速比Rgの増加に応じて、路面の凹凸による滑り限界狭持力F1min、F2minの増加が大きくなり、路面の凹凸の急な増加により伝動ベルトBLが滑りやすくなる。
<特定目標変速比設定部81>
本実施形態では、図7に示すように、特定変速制御部46は、特定目標変速比設定部81、特定入力トルク算出部84、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89、特定安全率設定部91を備えている。なお、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89は、通常変速制御部45との間で共通して備えられている。
特定目標変速比設定部81は、通常目標変速比設定部80により算出される通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを算出する。
本実施形態では、特定目標変速比Rgtsは、無段変速装置CVTによって実現され得る最小の変速比Rgminを含む予め定められた範囲内に決定されるように構成されている。ここでは、特定目標変速比Rgtsは、予め定められた固定値とする。
例えば、特定目標変速比Rgtsは、最小変速比Rgminに1.0から1.3を乗算した範囲内に決定される。最小変速比Rgminが0.4の場合は、特定目標変速比Rgtsは、0.4から0.52の範囲内に決定される。
なお、特定目標変速比Rgtsは、最小変速比Rgmin(例えば、0.4)に設定されてもよい。
通常目標変速比Rgtoが特定目標変速比Rgts以下に設定されている場合は、特定目標変速比Rgtsは通常目標変速比Rgtoより小さくならないが、この場合は例外とする。
特定変速制御中は、特定目標変速比Rgtsが目標変速比Rgtに設定される(切替器82)。
本実施形態では、図7に示すように、特定変速制御部46は、特定目標変速比設定部81、特定入力トルク算出部84、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89、特定安全率設定部91を備えている。なお、滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89は、通常変速制御部45との間で共通して備えられている。
特定目標変速比設定部81は、通常目標変速比設定部80により算出される通常目標変速比Rgtoよりも変速比Rgが小さい特定目標変速比Rgtsを算出する。
本実施形態では、特定目標変速比Rgtsは、無段変速装置CVTによって実現され得る最小の変速比Rgminを含む予め定められた範囲内に決定されるように構成されている。ここでは、特定目標変速比Rgtsは、予め定められた固定値とする。
例えば、特定目標変速比Rgtsは、最小変速比Rgminに1.0から1.3を乗算した範囲内に決定される。最小変速比Rgminが0.4の場合は、特定目標変速比Rgtsは、0.4から0.52の範囲内に決定される。
なお、特定目標変速比Rgtsは、最小変速比Rgmin(例えば、0.4)に設定されてもよい。
通常目標変速比Rgtoが特定目標変速比Rgts以下に設定されている場合は、特定目標変速比Rgtsは通常目標変速比Rgtoより小さくならないが、この場合は例外とする。
特定変速制御中は、特定目標変速比Rgtsが目標変速比Rgtに設定される(切替器82)。
<特定入力トルク算出部84>
特定入力トルク算出部84は、特定変速制御中に、駆動力源から無段変速装置CVTの変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinである特定入力トルクTinsを算出する。
本実施形態では、特定入力トルク算出部84は、トルク増加制御部47も構成している。
特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsに変速比Rgを低下させた場合でも、変速出力軸Oに伝達される出力トルクToが通常変速制御を行う場合と同じになるように、駆動力源から変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinを増加させる。
To=Tino×Rgto
To=Tins×Rgts
Tins=Tino×Rgto/Rgts ・・・(12)
すなわち、特定入力トルク算出部84は、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比の差(比)に応じて、入力トルクTinを増加させる。
特定入力トルク算出部84は、特定変速制御中に、駆動力源から無段変速装置CVTの変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinである特定入力トルクTinsを算出する。
本実施形態では、特定入力トルク算出部84は、トルク増加制御部47も構成している。
特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsに変速比Rgを低下させた場合でも、変速出力軸Oに伝達される出力トルクToが通常変速制御を行う場合と同じになるように、駆動力源から変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinを増加させる。
To=Tino×Rgto
To=Tins×Rgts
Tins=Tino×Rgto/Rgts ・・・(12)
すなわち、特定入力トルク算出部84は、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比の差(比)に応じて、入力トルクTinを増加させる。
特定入力トルク算出部84は、特定入力トルクTinsを実現するように、内燃機関要求トルク及び回転電機要求トルクを増加させる。
本実施形態では、特定入力トルク算出部84は、通常入力トルクTinoから特定入力トルクTinsへの増加分だけ、回転電機MGの出力トルクTmを増加させ、内燃機関要求トルクを変化させないように構成されている。特定入力トルク算出部84は、回転電機MGの出力トルクTmの増加分ΔTmを、次式に示すように算出する。
ΔTm=Tins−Tino ・・・(13)
そして、特定入力トルク算出部84は、車両制御ユニット34が算出した回転電機要求トルクを、増加分ΔTmだけ増加させた回転電機要求トルクを、車両制御ユニット34に代わって回転電機制御ユニット32に指令するように構成されている。
特定変速制御中は、特定入力トルクTinsが入力トルクTinに設定される(切替器85)。
本実施形態では、特定入力トルク算出部84は、通常入力トルクTinoから特定入力トルクTinsへの増加分だけ、回転電機MGの出力トルクTmを増加させ、内燃機関要求トルクを変化させないように構成されている。特定入力トルク算出部84は、回転電機MGの出力トルクTmの増加分ΔTmを、次式に示すように算出する。
ΔTm=Tins−Tino ・・・(13)
そして、特定入力トルク算出部84は、車両制御ユニット34が算出した回転電機要求トルクを、増加分ΔTmだけ増加させた回転電機要求トルクを、車両制御ユニット34に代わって回転電機制御ユニット32に指令するように構成されている。
特定変速制御中は、特定入力トルクTinsが入力トルクTinに設定される(切替器85)。
<特定安全率設定部91>
特定安全率設定部91は、特定変速制御中に、滑り限界狭持力F1min、F2minに乗算される安全率Ksfである特定安全率Ksfsを設定する。
特定安全率Ksfsは、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧が安定状態でないと判定されている場合よりも低下するように、1より大きい値であって、通常安全率Ksfoより小さい値に設定される。特定安全率Ksfsは、例えば、1.2に設定される。
車輪Wの回転速度の変動が少ないことに基づいて路面の凹凸が少ない安定状態であると判定されているので、路面の凹凸により生じる外乱トルクが小さく、安定状態でないと判定されている場合よりも、安全率Ksfを減少させても、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとが滑る可能性が低い。また、変速比Rgを通常目標変速比Rgtoよりも低下させているので、上記のように、伝動ベルトBLが滑る可能性が低く、安全率Ksfを減少させることができる。
特定変速制御中は、特定安全率Ksfsが安全率Ksfに設定される(切替器92)。
特定安全率設定部91は、特定変速制御中に、滑り限界狭持力F1min、F2minに乗算される安全率Ksfである特定安全率Ksfsを設定する。
特定安全率Ksfsは、第1プーリP1及び第2プーリP2における伝動ベルトBLの狭持圧が安定状態でないと判定されている場合よりも低下するように、1より大きい値であって、通常安全率Ksfoより小さい値に設定される。特定安全率Ksfsは、例えば、1.2に設定される。
車輪Wの回転速度の変動が少ないことに基づいて路面の凹凸が少ない安定状態であると判定されているので、路面の凹凸により生じる外乱トルクが小さく、安定状態でないと判定されている場合よりも、安全率Ksfを減少させても、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとが滑る可能性が低い。また、変速比Rgを通常目標変速比Rgtoよりも低下させているので、上記のように、伝動ベルトBLが滑る可能性が低く、安全率Ksfを減少させることができる。
特定変速制御中は、特定安全率Ksfsが安全率Ksfに設定される(切替器92)。
<滑り限界狭持力算出部86から供給圧算出部89>
滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89は、特定変速制御中も通常変速制御中と同様の処理を行うので説明を省略する。
滑り限界狭持力算出部86、安全率狭持力算出部87、変速比実現狭持力算出部88、供給圧算出部89は、特定変速制御中も通常変速制御中と同様の処理を行うので説明を省略する。
式(2)及び式(4)を用いて説明したように、第1滑り限界狭持力F1min及び第2滑り限界狭持力F2minは、入力トルクTin及び目標変速比Rgtに応じて変化する。
特定変速制御中は、入力トルクTinは、式(12)に示したように、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsへの減少に反比例して増加される。一方、目標変速比Rgtは、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsに減少される。よって、入力トルクTinの増加と目標変速比Rgtの減少とが打ち消し合うように作用するため、通常変速制御を行う場合からの、滑り限界狭持力F1min、F2minの増加は抑制される。
よって、通常変速制御を行う場合より、安全率Ksfを低下させたことにより(例えば、1.5から1.2)、通常変速制御を行う場合より、第1目標油圧Pr1及び第2目標油圧Pr2を低下させることができる。これにより、油圧を発生させるためのポンプの駆動のためのエネルギを低減でき、車両用駆動装置1のエネルギ効率を高めることができる。
特定変速制御中は、入力トルクTinは、式(12)に示したように、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsへの減少に反比例して増加される。一方、目標変速比Rgtは、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsに減少される。よって、入力トルクTinの増加と目標変速比Rgtの減少とが打ち消し合うように作用するため、通常変速制御を行う場合からの、滑り限界狭持力F1min、F2minの増加は抑制される。
よって、通常変速制御を行う場合より、安全率Ksfを低下させたことにより(例えば、1.5から1.2)、通常変速制御を行う場合より、第1目標油圧Pr1及び第2目標油圧Pr2を低下させることができる。これにより、油圧を発生させるためのポンプの駆動のためのエネルギを低減でき、車両用駆動装置1のエネルギ効率を高めることができる。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態においては、回転電機MGと無段変速装置CVTとの間の動力伝達経路2に、トルクコンバータTCと前後進切替装置RVとが備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、回転電機MGと無段変速装置CVTとの間の動力伝達経路2に、トルクコンバータTC及び前後進切替装置RVの一方又は双方が備えられていなくともよい。また、トルクコンバータTC及び前後進切替装置RVの双方が備えられていない場合は、代わりにクラッチが備えられてもよい。
(2)上記の実施形態においては、回転電機MGが、内燃機関ENGとトルクコンバータTCとの間の動力伝達経路2に備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、図9に示すように、回転電機MGが、変速出力軸Oと一体回転するように備えられていてもよい。
この場合は、特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsに変速比Rgを低下させた場合でも、変速出力軸Oに伝達される出力トルクToが通常変速制御を行う場合と同じになるように、内燃機関ENGから変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinを増加させずに、変速出力軸Oに直接伝達される回転電機MGの出力トルクを増加させる。
具体的には、特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、特定入力トルクTinsに、通常入力トルクTinoと同じ値を設定するように構成される。特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、内燃機関ENGから変速出力軸Oに伝達されるトルクの減少分ΔTo(絶対値)だけ、回転電機MGの出力トルクTmを増加させるように構成されている。減少分ΔToは、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比の差に応じたトルクとなる。
Tins=Tino
ΔTm=ΔTo=Tino×(Rgto−Rgts) ・・・(14)
そして、特定入力トルク算出部84は、車両制御ユニット34が算出した回転電機要求トルクを、増加分ΔTmだけ増加させた回転電機要求トルクを、車両制御ユニット34に代わって回転電機制御ユニット32に指令するように構成されている。
この場合は、特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、通常目標変速比Rgtoから特定目標変速比Rgtsに変速比Rgを低下させた場合でも、変速出力軸Oに伝達される出力トルクToが通常変速制御を行う場合と同じになるように、内燃機関ENGから変速入力軸Iに伝達される入力トルクTinを増加させずに、変速出力軸Oに直接伝達される回転電機MGの出力トルクを増加させる。
具体的には、特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、特定入力トルクTinsに、通常入力トルクTinoと同じ値を設定するように構成される。特定入力トルク算出部84は、次式に示すように、内燃機関ENGから変速出力軸Oに伝達されるトルクの減少分ΔTo(絶対値)だけ、回転電機MGの出力トルクTmを増加させるように構成されている。減少分ΔToは、通常目標変速比Rgtoと特定目標変速比Rgtsとの変速比の差に応じたトルクとなる。
Tins=Tino
ΔTm=ΔTo=Tino×(Rgto−Rgts) ・・・(14)
そして、特定入力トルク算出部84は、車両制御ユニット34が算出した回転電機要求トルクを、増加分ΔTmだけ増加させた回転電機要求トルクを、車両制御ユニット34に代わって回転電機制御ユニット32に指令するように構成されている。
(3)或いは、回転電機MGが、内燃機関ENG及び無段変速装置CVTなどが駆動連結されていない他の車軸と一体回転するように備えられていてもよい。
この場合は、特定入力トルク算出部84は、式(14)において、車速を基準にした場合の変速出力軸Oと回転電機MGの回転軸との間の回転速度比Komを反映させた、次式を用いて、回転電機MGの出力トルクTmの増加分ΔTmを算出する。
ΔTm=Kom×ΔTo=Kom×Tino×(Rgto−Rgts)
・・・(15)
この場合は、特定入力トルク算出部84は、式(14)において、車速を基準にした場合の変速出力軸Oと回転電機MGの回転軸との間の回転速度比Komを反映させた、次式を用いて、回転電機MGの出力トルクTmの増加分ΔTmを算出する。
ΔTm=Kom×ΔTo=Kom×Tino×(Rgto−Rgts)
・・・(15)
(4)上記の実施形態においては、安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度として、変速出力軸Oの回転速度ωoに基づいて、安定状態判定を行うように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、安定状態判定部44は、車輪Wの回転速度として、変速入力軸Iの回転速度ωinなどの車輪Wと一体回転する他の回転部材の回転速度に基づいて、安定状態判定を行うように構成されてもよい。
(5)上記の実施形態においては、特定目標変速比Rgtsを固定値としたが、可変値としてもよい。例えば、特定目標変速比Rgtsを、通常目標変速比Rgtoに、予め定めた1より小さい値(例えば、0.8)を乗算した値に設定する等、通常目標変速比Rgtoの変化に合わせて変化する値としてもよい。
本発明は、内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に設けられる無段変速装置と、車輪に駆動連結される回転電機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に好適に利用することができる。
1 :車両用駆動装置
30 :車両用駆動装置の制御装置
44 :安定状態判定部
45 :通常変速制御部
46 :特定変速制御部
47 :トルク増加制御部
80 :通常目標変速比設定部
81 :特定目標変速比設定部
83 :通常入力トルク算出部
84 :特定入力トルク算出部
86 :滑り限界狭持力算出部
87 :安全率狭持力算出部
88 :変速比実現狭持力算出部
89 :供給圧算出部
90 :通常安全率設定部
91 :特定安全率設定部
CVT :無段変速装置
ENG :内燃機関
F1 :第1狭持力
F1min:第1滑り限界狭持力
F1sf :第1安全率狭持力
F2 :第2狭持力
F2min:第2滑り限界狭持力
F2sf :第2安全率狭持力
I :変速入力軸
O :変速出力軸
Jp :慣性モーメント
Kb :バランス比
Ksf :安全率
Ksfo :通常安全率
Ksfs :特定安全率
MG :回転電機
P1 :第1プーリ
P2 :第2プーリ
PC :油圧制御装置
Pr1 :第1目標油圧
Pr2 :第2目標油圧
R1 :第1油圧室
R2 :第2油圧室
Rd1 :第1プーリの巻掛け径
Rd2 :第2プーリの巻掛け径
Rg :変速比
Rgmax:最大変速比
Rgmin:最小変速比
Rgt :目標変速比
Rgto :通常目標変速比
Rgts :特定目標変速比
Tin :入力トルク
Tino :通常入力トルク
Tins :特定入力トルク
Tj :イナーシャトルク
Vs :車速
ωin :変速入力軸の回転速度
ωo :変速出力軸の回転速度
30 :車両用駆動装置の制御装置
44 :安定状態判定部
45 :通常変速制御部
46 :特定変速制御部
47 :トルク増加制御部
80 :通常目標変速比設定部
81 :特定目標変速比設定部
83 :通常入力トルク算出部
84 :特定入力トルク算出部
86 :滑り限界狭持力算出部
87 :安全率狭持力算出部
88 :変速比実現狭持力算出部
89 :供給圧算出部
90 :通常安全率設定部
91 :特定安全率設定部
CVT :無段変速装置
ENG :内燃機関
F1 :第1狭持力
F1min:第1滑り限界狭持力
F1sf :第1安全率狭持力
F2 :第2狭持力
F2min:第2滑り限界狭持力
F2sf :第2安全率狭持力
I :変速入力軸
O :変速出力軸
Jp :慣性モーメント
Kb :バランス比
Ksf :安全率
Ksfo :通常安全率
Ksfs :特定安全率
MG :回転電機
P1 :第1プーリ
P2 :第2プーリ
PC :油圧制御装置
Pr1 :第1目標油圧
Pr2 :第2目標油圧
R1 :第1油圧室
R2 :第2油圧室
Rd1 :第1プーリの巻掛け径
Rd2 :第2プーリの巻掛け径
Rg :変速比
Rgmax:最大変速比
Rgmin:最小変速比
Rgt :目標変速比
Rgto :通常目標変速比
Rgts :特定目標変速比
Tin :入力トルク
Tino :通常入力トルク
Tins :特定入力トルク
Tj :イナーシャトルク
Vs :車速
ωin :変速入力軸の回転速度
ωo :変速出力軸の回転速度
Claims (2)
- 内燃機関と車輪とを結ぶ動力伝達経路に設けられる無段変速装置と、車輪に駆動連結される回転電機と、を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
前記無段変速装置は、伝動ベルトと、前記伝動ベルトが巻掛けられると共に当該伝動ベルトの巻掛け部分を挟持する第1プーリと、前記動力伝達経路における前記第1プーリよりも前記車輪側に設けられ、前記伝動ベルトが巻掛けられると共に当該伝動ベルトの巻掛け部分を挟持する第2プーリと、を備え、前記第1プーリ及び前記第2プーリのそれぞれに対する前記ベルトの巻掛け径に応じて前記第1プーリの回転速度と前記第2プーリの回転速度との間の変速比を無段階に変化させる構成であり、
前記車輪の回転速度の変動が予め定めた判定基準値よりも少ない安定状態であるか否かを判定する安定状態判定部と、
前記安定状態でないと判定されている場合に、その場合における前記無段変速装置の目標変速比である通常目標変速比を、少なくとも前記車両の速度及びアクセル開度を含む通常変速比決定要因に基づいて決定し、前記通常目標変速比を前記無段変速装置に実現させる通常変速制御部と、
前記安定状態であると判定されている場合に、前記第1プーリ及び前記第2プーリにおける前記伝動ベルトの狭持圧を前記安定状態でないと判定されている場合よりも低下させると共に、その時点の前記通常変速比決定要因に基づく前記通常目標変速比よりも変速比が小さい前記特定目標変速比を前記無段変速装置に実現させる特定変速制御部と、
前記通常目標変速比と前記特定目標変速比との変速比の差に応じた、前記内燃機関から前記車輪に伝達されるトルクの減少分に応じて、前記回転電機の出力トルクを増加させるトルク増加制御部と、
を備える車両用駆動装置の制御装置。 - 前記特定目標変速比は、前記無段変速装置によって実現され得る最小の変速比を含む予め定められた範囲内に決定される請求項1に記載の車両用駆動装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013159163A JP2015030302A (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 車両用駆動装置の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013159163A JP2015030302A (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 車両用駆動装置の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015030302A true JP2015030302A (ja) | 2015-02-16 |
Family
ID=52516028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013159163A Pending JP2015030302A (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 車両用駆動装置の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015030302A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015033194A (ja) * | 2013-08-01 | 2015-02-16 | 日産自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
WO2016152260A1 (ja) * | 2015-03-20 | 2016-09-29 | ジヤトコ株式会社 | 無段変速機の制御装置 |
-
2013
- 2013-07-31 JP JP2013159163A patent/JP2015030302A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015033194A (ja) * | 2013-08-01 | 2015-02-16 | 日産自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
WO2016152260A1 (ja) * | 2015-03-20 | 2016-09-29 | ジヤトコ株式会社 | 無段変速機の制御装置 |
JPWO2016152260A1 (ja) * | 2015-03-20 | 2017-10-19 | ジヤトコ株式会社 | 無段変速機の制御装置 |
KR20170118162A (ko) * | 2015-03-20 | 2017-10-24 | 쟈트코 가부시키가이샤 | 무단 변속기의 제어 장치 |
CN107429837A (zh) * | 2015-03-20 | 2017-12-01 | 加特可株式会社 | 无级变速器的控制装置 |
KR102004635B1 (ko) | 2015-03-20 | 2019-07-26 | 쟈트코 가부시키가이샤 | 무단 변속기의 제어 장치 |
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