JP2015029674A - ガラス防煙壁構造 - Google Patents
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Abstract
Description
防煙垂壁は、天井部から適度な長さで吊り下げられ、シート状、プレート状など種々の材料が使用されているが、透過性のよさや不燃性の性質などからガラスが多く使用されている。
しかしながら、板ガラスは防煙効果の必要上、天井部の一側壁から他側壁まで隙間なく、連続して設けなければならない。よって、地震の発生時においては、ガラス板が、歪んだ状態で一側壁と他側壁との間に挟み込まれ、捻れや座屈などの負荷がかかるおそれがある。ガラスはワイヤーなどで強化されているものが使用されているが、ガラスの性質上、割れやすく何らかの対応がなされている。
特許文献2の防護垂壁によれば、天井部の一側壁(仕切壁)から他側壁との間に複数の板ガラスを設け、板ガラスは各板ガラス同士の間、若しくは板ガラスと一側壁との間、若しくは板ガラスと他側壁との間に隙間を設けている。そして、板ガラスの間、板ガラスの一側端面と一側壁(仕切壁)との間、あるいは板ガラスの他側端面と他側壁との間に可撓性の連結部材を設けている。地震発生時では、この可撓性の連結部材によって、板ガラスの連結部や板ガラスと一側壁又は他側壁との連結部に発生する応力を逃がすようにしている。
特許文献2の防護垂壁によると、板ガラスの側端面に可撓性の連結部材を設けることによって、板ガラスが延在する一側壁から他側壁側への揺れに対する免震対策を行っている。このような可撓性の連結部材による免震構造は、小さな揺れに対しては効果的であるが、大きな揺れに対しては、連結部材に対して大きな幅を有さなければならない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、一側壁側から他側壁側への揺れに対して、効果的な免震構造を備えたガラス防煙壁構造を提供することを目的とする。
また、仕切壁には、一般の壁の他、梁、柱などガラス防煙壁を間に仕切ることが可能なものを含むとする。
上記ガラス防煙壁構造の前記連結解除手段は、前記天井部に固定され周囲に係止溝が形成されている支持部材と、前記支持部材を上下方向に貫通し前記分離ガラスを吊り下げるロッドと、該吊り下げロッドに固定され地震動により揺れる揺動錘と、該揺動錘とともに前記吊り下げロッドに一体的に取付けられ、前記係止溝に係合部が係止されることによって、前記分離ガラスを上昇位置に配置する懸架部材と、を備え、前記係止溝と係合部の係止状態は前記揺動錘の揺れによって解除され、この解除によって前記分離ガラスを自重によって下降位置に降下させ、前記連結手段の連結を解除することができる。
上記ガラス防煙壁構造の前記吊り下げガラスと分離ガラスとの連結手段は、これらの吊り下げガラスと分離ガラスの下縁部に沿って装着されるいずれかのアンダーフレームであって、一方のガラスのアンダーフレームには、他方のガラス側へ突出させて該他方のガラスのアンダーフレームの欠落部を支持する連結部を形成し、前記連結解除手段は分離ガラスを下方へ降下させ、前記連結部と欠落部の連結を解除して前記吊り下げガラスと前記分離ガラスを分離することができる。
上記連結解除手段は、前記連結解除手段は、地震の揺れを検知する加速度センサーと、電気的手段を介して前記連結手段の連結を解除する制御部とを備え、前記連結手段は前記分離ガラスが下降位置に降下することによって前記吊り下げガラスと前記分離ガラスの連結が解除されることが好ましい。
上記ガラス防煙壁構造の前記連結解除手段は、非常時に作動する非常用電源に連結されていることが好ましい。
上記ガラス防煙壁構造は、前記天井部に前記懸架手段を回動させるガイド部材を形成し、前記分離ガラスの分離時に前記懸架手段が前記ガイド部材に案内されて、前記分離ガラスを前記ロッド軸周りに回動させることができる。
図1は、本発明のガラス防煙壁構造を備えた建物の天井板を省略した天井部の斜視図、図2はガラス防煙壁の吊り下げガラス側の断面図、図3はガラスの連結解除手段の断面図である。なお、本明細書では、図1のガラスの延在(左右)方向をガラスの幅方向とし、図1で示すガラス面の表側をガラスの前面側とする。
図1〜図3を参照にして、建物の天井部1の天井壁2には、該天井壁2から垂下するように、ガラス防煙壁(防煙垂壁)3が配設されている。ガラス防煙壁3は、天井壁2から垂下する一側壁側の仕切壁5と図示しない他側壁側の仕切壁の間に、吊り下げられるようにして配設されている。
ガラス防煙壁3は、天井壁2に設けられている金属製の支持フレーム9によって吊り下げられ、支持フレーム9は、仕切壁5間にわたって、天井壁2に組み込まれている(図2,図3)。支持フレーム9はほぼ矩形断面の空間を有するガラス支持部11と該ガラス支持部11の下側に位置し、下方に開口するガラス挿入部12が形成されている。
分離ガラス7は、向かい合う仕切壁5の一側壁側及び/又は他側壁側(図示せず)に隣接するように配置されている。
分離ガラス7のガラス本体7aの上縁部にも、ガラス本体6aを保持する金属製のアッパーフレーム15が設けられている(図3)。アッパーフレーム15は、ガラスの厚さ方向の断面が逆凹字形状であり、ガラス本体6aの上面と前後面の上縁側に接着剤などを塗布して装着される。
吊り下げガラス6及び分離ガラス7の両側縁部には樹脂製の緩衝部材20が上下方向に装着されている。緩衝部材20は、吊り下げガラス6と分離ガラス7の接続部の密閉性の向上を図ることができる。
連結解除手段21は、吊り下げロッド30、揺動錘22と、懸架部材23と、支持部材24とを備えている。これらのうち、支持部材24のみが硬質の樹脂製であって、これ以外の部材は金属製である。しかしながら、揺動錘22はある程度の重さがあればよく、材質はこだわらない。その他の部品の材質もこだわらない。
吊り下げロッド30は、円柱若しくは多角形状の軸状部材であって、下端部が分離ガラス7のアッパーフレーム15に固定され、分離ガラス7を保持できる強度を有する必要がある。
支持部材24は、吊り下げロッド30を貫通する内孔24aを形成し、上方側に位置させて環状溝からなる小径部24bが形成され、両面テープ29を介して底面が支持フレーム9の上面に接着されている。係止部としての小径部24bには、折り返し片28bの先端部が係止される。この小径部24bは折り返し片28bに対して完全に固定するのではなく、吊り下げアーム28の揺れによって折り返し片28bが小径部24bから脱落可能となるように深さなどを考慮して形成する。この小径部24bは環状溝としたが、環状に形成することなく単なる凹部形状の溝であってもよい。また、小径部24bの断面形状については、矩形断面にしたが、折り返し片28bに対応させた曲線形状であってもよい。
支持部材24の内孔24aの径は、錘本体26の小径柱26bの径よりも大きく、また内孔24aは吊り下げロッド30とは係合しない(半径方向へ間隔を空けている)。したがって、吊り下げロッド30は支持部材24と係合しないが、揺動錘22、懸架部材23、分離ガラス7とは一体となっている。
また、支持部材24の小径部24bと折り返し片28bとの係合が解除されると、分離ガラス7は下方位置となる。すなわち、分離ガラス7の下方位置では、図3のBに示すように、支持部材24の小径部24bと折り返し片28bとの係合が解除され、吊り下げロッド30、懸架部材23及び揺動錘22が一体となって落下する。そして、2本のアーム28aの折り返し片28bが天井壁2に当接するまで降下する。この分離ガラス7の下方位置においても、懸架部材23はやじろべえのように分離ガラス7を懸架し、分離ガラス7の重量によって、降下しても傾倒が免れる。
吊り下げガラス6と分離ガラス7は、ガラス板の上部において、支持フレーム9のガラス挿入部12が連結手段となって連結され、図4に示すように、下部では吊り下げガラス6のアンダーフレーム16が覆われていない欠落部16aと、分離ガラス7の連結部17aとが連結手段となって連結され、安定して天井部1に装着される。
上述したように、ガラス防煙壁3は天井壁2から垂下されているが、一般の防煙壁と同様に火災時においては、多方向への煙の流れを抑制する効果がある。
一方、本実施形態では、地震によって、連結解除手段21の懸架部材23と支持部材24との係合が解除される。詳しくは、吊り下げロッド30の上端側はフリーになっているので、地震による揺れが伝わると、揺動錘22が揺れ、同じく吊り下げロッド30に取付けられている懸架部材23も揺れる。支持部材24の軸方向中心部には内孔24aが形成され、吊り下げロッド30と内孔24aとの間には、吊り下げロッド30の半径方向に遊びがあるので、天井壁2に固定されている支持部材24に対して、懸架部材23は自由に揺れることができる。よって、地震の震度が大きいような状態では揺れも大きくなり、懸架部材23の折り返し片28bと支持部材24の小径部24bとの係合部が外れる。
図4に示すように、分離ガラス7は下降位置に落下すると、上部では支持フレーム9のガラス挿入部12から下方側へ外れ、下部では吊り下げガラス6の欠落部16aから、分離ガラス7の連結部17aが下方側へ外れ、分離ガラス7と吊り下げガラス6の係合が解除され、分離ガラス7は、懸架部材23を介して天井壁2に支持されることによって吊り下げられ、フリー状態になる(図3のB)。
しかしながら、ガラス防煙壁3の幅方向(長手方向)の揺れについては、仕切壁5が両側にあるので、仕切壁5間に挟まれてガラス破損の原因となる。図4に示すように、本実施形態においては、ガラス防煙壁3の両側に位置する分離ガラス7がフリー状態で吊りさげられるので、吊り下げガラス6が分離ガラス7に接触しても分離ガラス7が回動し、吊り下げガラス6に幅方向からの応力が回避される。フリー状態で吊り下げられている分離ガラス7が吊り下げガラス6に当たっても、分離ガラス7は吊り下げガラス6の緩衝部材20に当たるので、衝撃は少ない。よって、ガラス防煙壁3の破損が回避される。
地震が収まったときには、分離ガラス7を上方へ移動すれば、懸架部材23の折り返し片28bが支持部材24の小径部24bに係止される。
なお、分離ガラス7を吊り下げガラス6の下端位置よりも低く下降させると、さらに分離ガラス7と吊り下げガラス6との接触が回避できるが、地震と火災とが伴う場合も考慮すると、下降位置は最小限にした方が好ましい。
また、地震の感度については、揺動錘22の重さや懸架部材23のアーム28aの強さなどで調整可能である。例えば、本実施形態では、揺動錘22の錘本体26の高さ位置によって調整でき、錘本体26の、ネジ孔26cのネジ26dを緩めて高さ調整をすればよい。錘本体26の高さが高いほど地震の感度が向上し、低い位置に取付けるほど感度が悪くなる。ガラス防煙壁3に用いられるガラスは窓ガラスよりも強いが、一般的な窓ガラスの割れは震度5強程度から生じるので、これを目安にして感度を良くしたい場合は、その震度よりも弱い設定値にて分離ガラス7が降下するように、適宜錘本体26(揺動錘22)の高さ位置や重量、懸架部材23の係合状態などを決定すればよい。
本実施形態では、簡単な構成により費用も安価で実施が可能である。
さらに、本実施形態では、仕切壁間に既に配設されている既存の防煙ガラスについて、分離ガラスの幅だけ切断して、分離ガラスに連結解除手段を装備すればよいので、後付けも問題なく可能である。
なお、上記第1の実施形態と同じ部材については同一の符号を付して説明する。
上記第1の実施形態においては、機械式によって吊り下げガラス6から分離ガラス7を連結解除したが、本実施形態では連結解除手段を機械的な機構と電気制御を併せてそれを行うようした。
図5に示すように、連結解除手段31は、吊り下げロッド30、揺動錘22、懸架部材23、支持部材24、加速度センサー32、制御部33及びソレノイドコイル34を備えている。これらのうち、吊り下げロッド30と懸架部材23とが互いに固定されていれば、揺動錘22については省略してもよい。
ソレノイドコイル34は電源が供給されると、電磁石となり、懸架部材23のアーム28aを磁気によって引き寄せる。すると、懸架部材23の折り返し片28bと支持部材24の小径部24bとの係合が外れ、分離ガラス7は自身の重量による重力作用によって落下し下降位置に降下する。上述したように、揺動錘22は省略することができるが、停電や電気系統が故障したときのために、非常時対策として配設しておくとよい。
制御部33は、加速度センサー32から得られた加速度(震度)の大きさに合わせて敷居値を設けることができ、揺れに対する正確な制御が可能になる効果がある。
なお、上記第1の実施形態と同じ部材については同一の符号を付して説明する。
本実施形態におけるガラス防煙壁構造については、図1の上記第1の実施形態の全てを用いており、連結解除手段21に角度変更部材を設けている。
図4に示すように、分離ガラス7が吊り下げガラス6から分離された後は、分離ガラス7はフリー状態になって吊り下げられる、この際、分離ガラス7は地震の揺れに対して自然に回転するか、あるいは吊り下げガラス6に押されるようにして回転する。
しかしながら、吊り下げガラス6と分離ガラス7との接触部の密閉性を確保したり、その他事情によって緩衝部材20同士の当接部が外れにくい場合も想定でき、本実施形態では、そのような場合に、分離ガラス7を強制的に回転させるものである。
図6及び図7を参照にして、角度変更部材は、断面が三角形状の一対のガイド部材42であり、ガイド部材42はガイド部となる傾斜面42aを形成している。各々の傾斜面42aは、吊り下げロッド30を中心とする円周方向にかつ反時計回りの同一方向へ向くように形成されている。ガイド部材42が配設される箇所は、傾斜面42aが懸架部材23の吊り下げアーム28の折り返し片28bの直下に位置するように配置される。
分離ガラス7は降下したあと、ガイド部材42により確実に回動されて、ガラス防煙壁3の破損を防止することができる。
例えば、上記第1〜第3の実施形態では、分離ガラスを仕切壁側に配設したが、さらに、吊り下げガラス間の中間部に配設することができる。
上記第1〜第3の実施形態において、吊り下げガラスに対して分離ガラスを降下させて分離させたが、分離させる方法については、例えば、分離ガラス7を降下させないでそのままの状態で吊り下げロッドを所定角度回動させて分離してもよいし、構造は複雑になるが、仕切壁5側に分離ガラス6が入り込む余裕がある場合は、分離ガラス7を仕切壁5の内部にスライドさせてもよい。
上記第2の実施形態において、支持部材24を天井壁2に固定させ、懸架部材23を吊り下げロッド30に固定させたが、これに変えて、図8に示すような、連結解除手段に吊り下げロッド30と、吊り下げロッド30に固定され分離ガラス7が下降したろきに、下降位置を規制するストッパー45と、天井壁2若しくは天井部1のいずれかの固定部44に固定され、ストッパー45を支持する懸架部材23とを設け、ストッパー45を天井壁2から浮かせるようにして吊り下げロッド30に固定し、ストッパーを介して懸架部材23によって分離ガラス7を上昇位置に吊り下げるようにしてもよい(その他の構成については、上記第2の実施形態と同じである)。
2 天井壁
3 ガラス防煙壁
5 仕切壁
6 吊り下げガラス
7 分離ガラス
9 支持フレーム
16a 欠落部(連結手段)
17a 連結部(連結手段)
21,31 連結解除手段
22 揺動錘
23 懸架部材
24 支持部材
24b 小径部(係止溝)
25,26 錘本体
28 吊り下げアーム
28a アーム
28b 折り返し片(係合部)
30 吊り下げロッド
32 加速度センサー
33 制御部
34 ソレノイドコイル
42 ガイド部材
Claims (6)
- 天井部から降下し向かい合う仕切壁間にわたってガラス防煙壁が吊り下げられるガラス防煙壁構造において、
前記ガラス防煙壁は、中央側に位置する吊り下げガラスと前記仕切壁側に位置する分離ガラスとを設け、
該ガラス防煙壁には、前記天井部への装着時に前記吊り下げガラスと前記分離ガラスとを連結する連結手段と、地震を検知するとともに前記連結手段の連結を解除する連結解除手段とが装備され、
該連結解除手段は、所定以上の地震の揺れによって前記連結手段の連結を解除し、前記吊り下げガラスから前記分離ガラスを分離するようにしたガラス防煙壁構造。 - 前記連結解除手段は、
前記天井部に固定され周囲に係止溝が形成されている支持部材と、
前記支持部材を上下方向に貫通し前記分離ガラスを吊り下げるロッドと、
該吊り下げロッドに固定され地震動により揺れる揺動錘と、
該揺動錘とともに前記吊り下げロッドに一体的に取付けられ、前記係止溝に係合部が係止されることによって、前記分離ガラスを上昇位置に配置する懸架部材とを備え、
前記係止溝と係合部の係止状態は前記揺動錘の揺れによって解除され、この解除によって前記分離ガラスを下降位置に降下させ、前記連結手段の連結を解除する請求項1に記載のガラス防煙壁構造。 - 前記吊り下げガラスと分離ガラスとの連結手段は、これらの吊り下げガラスと分離ガラスの下縁部に沿って装着されるいずれかのアンダーフレームであって、
一方のガラスのアンダーフレームには、他方のガラス側へ突出させて該他方のガラスのアンダーフレームの欠落部を支持する連結部を形成し、
前記連結解除手段は分離ガラスを下方へ降下させ、前記連結部と欠落部の連結を解除して前記吊り下げガラスと前記分離ガラスを分離するようにした請求項1又は2に記載のガラス防煙壁構造。 - 前記連結解除手段は、地震の揺れを検知する加速度センサーと、電気的手段を介して前記連結手段の連結を解除する制御部とを備え、
前記連結手段は前記分離ガラスが下降位置に降下することによって前記吊り下げガラスと前記分離ガラスの連結が解除されるようにした請求項1〜3のいずれかに記載のガラス防煙壁構造。 - 前記連結解除手段は、非常時に作動する非常用電源に連結されている請求項1〜4のいずれかに記載のガラス防煙壁構造。
- 前記天井部に前記懸架手段を回動させるガイド部材を形成し、前記分離ガラスの分離時に前記懸架手段が前記ガイド部材に案内されて、前記分離ガラスを前記ロッド軸周りに回動させるようにした請求項1〜5のいずれかに記載のガラス防煙壁構造。
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