JP2015025666A - 機能素子、電子機器、および移動体 - Google Patents
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Abstract
Description
第1配線部および第2配線部の少なくとも一方には分岐部が設けられており、分岐部から延びる一方の配線は第1固定電極部、または第2固定電極部に接続されている。また、分岐部から延びる他方の配線は第1配線部、または第2配線部に沿って、並行するように近接して配置されることで、外乱(静電ノイズ等)が略同一の位相、および略同一の大きさで、等しく入力される。ノイズが第1配線部、および第2配線部に入力される場合でも、差動をとることでノイズの影響を静電容量から打ち消すことが可能となる。これにより、静電容量にノイズが入力される場合でも、検出感度の誤差の要因であるノイズを静電容量から打ち消すことができる。このことより、第1配線部、および第2配線部の一部にノイズが入力される場合でも、差動をとることにより、機能素子の計測精度を向上させることが可能となる。
また、第1配線部と第2配線部とを、平面視において非対称に配置することで、各配線部の一部を近接して並行するように設けられることができ、ノイズが等しく入力されることが可能となる。これにより、第1配線部、および第2配線部の差動をとることで、検出感度の誤差の要因であるノイズを静電容量から打ち消すことが可能となる。
これらにより、検出感度の向上、および物理量の計測精度を高めることが可能な機能素子を提供することが可能となる。本発明においては、平板状の可動体を有するシーソー型センサー、櫛歯状の可動電極部を含む可動体を有する櫛歯型センサーまたは櫛歯型MEMS(Micro Electro Mechanical System)共振子等に適用可能である。
これにより、機能素子は、可動体の垂直方向と交差する方向に加えられる物理量を排除し、垂直方向に加えられる物理量の計測精度を高めることができる。
これにより、第1配線部と第2配線部との一部を並行させて略同一の長さで設けられ、略同一な電気的特性を有している第1配線部と第2配線部とに、外乱(静電ノイズ等)が略同一の位相、および略同一の大きさで等しく入力され、第1配線部と第2配線部との、差動をとることで検出感度の誤差の要因であるノイズの影響を静電容量から打ち消し、機能素子の計測精度を高めることができる。
第1実施形態にかかる機能素子を、たとえば物理量センサーとして用いた場合について、図1から図4を用いて説明する。
図1は、第1実施形態にかかる物理量センサー100の構成を示す平面図である。図2は、物理量センサー100の構成を示す断面図であり、図1において線分A−Aで示す部分の断面図である。図3は、物理量センサー100の構成を示す部分断面図であり、線分B−Bで示す部分が拡大されている断面図である。図4は、第1実施形態にかかる物理量センサーの動作を説明する模式図である。そして、図1から図4では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。なお、Z軸は、重力が作用する方向を示す軸である。
本実施形態においては、+Z軸方向から物理量センサー100を見ることを平面視として説明する。
本実施形態の物理量センサー100は、たとえば、慣性センサーとして用いることができる。具体的には、+Z軸方向の物理量、たとえば、加速度を測定するための加速度センサー(静電容量型加速度センサー、静電容量型MEMS加速度センサー)として用いることができる。
第1固定電極部21、および第2固定電極部22は、平面視において、少なくとも一部が可動体30と重なり、かつ固定部34を挟んで離間するように、基板10の主面12に設けられている。
第1固定電極部21、および第2固定電極部22は、導電性を有する材料によって設けられており、たとえば、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の導電性部材を用いることができる。
支持部36は、基板10の主面12に対し、垂直方向と交差する第1の方向であるY方向に延伸している仮想線である支持軸Qに沿って、可動体30と同じ材料で形成されている。
固定部34は、基板10の主面12上(凹部14)において、+Z方向に突出した凸部であり、たとえば、角錐台の形状となるように設けられている。平面視においては、開口部33の内側に位置するように設けられ、たとえば、主面12から所望の距離で、支持軸Qに沿って貫通している穴が形成されている。可動体30の支持部36は、固定部34の貫通している穴に嵌入され、固定部34に軸支(支持)されている。
可動体30と、第1固定電極部21、および第2固定電極部22と、は固定部34によって間隙を有し対向するように設けられ、支持部36が支持軸Qを中心軸として回転する回転方向に捻れることができるため、可動体30は回動可能となる。
なお、可動体30の材料は、特に限定されることはない。導電性を有する材料で形成することもでき、絶縁性を有する材料で形成することもできる。絶縁性を有する材料で可動体30を形成する場合には、第1固定電極部21、および第2固定電極部22と対向する面に導電性を有する電極膜を形成してもよい。
可動体30に対向する第1固定電極部21と第2固定電極部22は、主面12において、支持軸Qの−X軸方向に第1固定電極部21を、+X軸方向に第2固定電極部22を有している。
可動体30の可動領域31と少なくとも一部が重なる領域には、第1固定電極部21が設けられ、可動体30の可動領域32と少なくとも一部が重なる領域には、第2固定電極部22が設けられている。
可動体30は、可動領域31と可動領域32とが支持軸Qを基準に非対称に設けられていることで、たとえば、加速度が加わると、可動領域31と可動領域32とを比して、重い側に傾倒することが許容される。支持部36は、可動体30の中心位置を外して設けられていれば良い。
たとえば、傾倒可能な可動体30が基板10の主面12に対して水平である状態、即ち、支持軸Qを中心に可動領域31,32の両側に加速度等が加えられていない状態では、静電容量C1,C2の容量値は、等しくなる。換言すると、可動体30と第1固定電極部21との間隙の距離と、可動体30と第2固定電極部22との間隙の距離と、が等しく、また、平面視において、可動領域31と第1固定電極部21との重なる面積と、可動領域32と第2固定電極部22との重なる面積と、が等しくなるため、静電容量C1,C2の容量値も等しくなる。
第1配線部50は、電極56から第1方向である+X軸方向に延設されている第1共通線52と、第1共通線52に設けられている分岐部から第1固定電極部21に向かって−Y方向に延設され、第1固定電極部21に接続されている第1支線54とで構成されている。また、第2配線部60は、電極66から+X軸方向に延設されている第2共通線62と、第2共通線62から第2固定電極部22に向かって−Y軸方向に延設され、第2固定電極部22に接続されている第2支線64で構成されている。
第1配線部50と、第2配線部60とは、長さが略同一であるため、電気的特性が略同一である。また、平面視において第1配線部50と第2配線部60との形状は、非対称に配置されている。
第2共通線62と、第1支線54とは、平面視において交差している。図3で示すように第1支線54は、基板10の主面12に設けられている溝部18に敷設され、絶縁部材80で覆われている。絶縁部材80は、たとえば、シリコン酸化物などを用いることができる。
これにより、溝部18に設けられている第1支線54を、基板10の主面12に設けられている第2共通線62が跨いで空隙19をもって交差している。
このことにより、第1配線部50と第2配線部60とは、絶縁部材80と空隙19とによって、電気的に絶縁されることで、短絡などの影響を回避することができる。
また、第1共通線52と、第2共通線62とは、略同一な長さで、所望の間隔で近接して、並行するように、配設されている。
第1配線部50(第1共通線52)、第2配線部60(第2共通線62、および第2支線64)と、電極56、電極66とは、たとえば、クロム(Cr)を下地膜とし、下地膜に金(Au)などの金属を材料として形成される導電膜を用いることができる。
また、第1支線54は、たとえば、シリコン等で形成される導電性を有する構造体を用いることができる。
本実施形態の物理量センサー100の動作について説明する。
本実施形態の物理量センサー100は、たとえば、Z軸方向の加速度(たとえば、重力加速度)が可動体30に加えられた場合、可動体30の可動領域31、および可動領域32の各々に回転モーメント(力のモーメント)が生じ、回転モーメントに応じて、可動体30が傾倒するように設けられている。
図4(A)に示す状態において、可動体30と第1固定電極部21との間の距離、および可動体30と第2固定電極部22との間の距離が互いに等しくなるとともに、平面視において、可動領域31と第1固定電極部21との重なる面積、および可動領域32と第2固定電極部22との重なる面積が等しくなる。これらにより、静電容量C1とC2との容量値は、等しくなる。
これに伴い可動体30は、支持軸Qを回転軸とする+Y方向に向かって時計回りの力が作用し、可動体30に傾きが生じる。換言すると、可動体30は、支持軸Qを回転軸とするシーソー揺動によって可動領域32側が−Z軸方向に傾倒する。
これにより、第2固定電極部22と可動体30(可動領域32)との間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C2の容量値が、図4(A)に示した可動体30が均衡している場合の静電容量C2と比較して増加する。
他方、第1固定電極部21と、可動体30(可動領域31)と、の間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C1の容量値が、図4(A)に示した可動体30が均衡している場合の静電容量C1と比較して減少する。
これに伴い可動体30は、支持軸Qを回転軸とする+Y方向に向かって反時計回りの力が作用し、可動体30の傾きが生じる。換言すると、可動体30は、支持軸Qを回転軸とするシーソー揺動によって可動領域31側が−Z軸方向に傾倒する。
これにより、第1固定電極部21と、可動体30(可動領域31)と、の間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C1の容量値が、図4(A)に示した可動体30が均衡している場合の静電容量C1と比較して増加する。
他方、第2固定電極部22と、可動体30(可動領域32)と、の間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C2の容量値が、図4(A)に示した可動体30が均衡している場合の静電容量C2と比較して減少する。
たとえば、図4(A)の状態(可動体30に加速度が加えられていない状態)で得られる容量値を基準として、図4(B)の状態における容量値の変化を判定することによって、図4(B)の状態で、どの方向に、どの程度の加速度G1が作用しているかを検出することができる。即ち、図4(B)の状態で得られる静電容量C1,C2の容量値の変化に基づいて、その変化の程度から、加えられている加速度G1の値を検出することができる。
同様に、たとえば、図4(A)の状態で得られる容量値を基準として、図4(C)の状態における容量値の変化を判定することによって、図4(C)の状態で、どの方向に、どの程度の加速度G2が作用しているかを検出することができる。即ち、図4(C)の状態で得られる静電容量C1,C2の容量値の変化に基づいて、その変化の程度から、加えられている加速度G2の値を検出することができる。
このような物理量センサー100によれば、第1固定電極部21に接続されている第1配線部50と、第2固定電極部22に接続されている第2配線部60とが、非対称な形状に配置され、かつ、電気的特性が互いに略同一である。
そして、第1配線部50に接続されている第1共通線52(静電容量C1の容量値)と、第2配線部60に接続されている第2共通線62(静電容量C2の容量値)とが、並行するように略同一の長さで近接して設けられている。これにより、第1共通線52と、第2共通線62とに、外乱(静電ノイズ等)が略同一の位相、および略同一の大きさで等しく入力させることが可能となる。第1配線部50と第2配線部60との、差動をとることで、検出感度の誤差の要因であるノイズを容量値から打ち消し、加速度を求めることができる。
従って、第1配線部50と第2配線部60との一部を並行させて略同一の長さにすることで、物理量センサー100の計測精度を高めることができる。
第2実施形態にかかる機能素子をたとえば物理量センサーとして用いた場合について、図5から図7を用いて説明する。
図5は、第2実施形態にかかる物理量センサー200の構成を示す平面図である。図6は、物理量センサー200の構成を示す断面図であり、図5において線分C−Cで示す部分の断面図である。図7は、第2実施形態にかかる物理量センサー200の動作を説明する模式図である。そして、図5から図7では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。なお、Z軸は、重力が作用する方向を示す軸である。
本実施形態においては、Z軸方向から物理量センサー200を見ることを平面視として説明する。
第2実施形態にかかる物理量センサー200は、上述した物理量センサー100の構成が複数備えられた構成となっている。第1実施形態と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
図5から図7に示す物理量センサー200は、基板10aと、上述した物理量センサー100の検出素子20(20a,20b)と、第1配線部50a,50b、第2配線部60a,60bと、電極56a,56b、電極66a,66bと、固定部34a,34bと、を備えている。
図5に示すように、物理量センサー200は、X方向に長辺を有する長方の矩形状をした基板10aを備えている。基板10aには、2つの検出素子20を収容可能な凹部14aが設けられ、この凹部14aに2つの検出素子20が設けられている。
検出素子20は、Y方向に延在する線分D−Dを中心として、線対称の構成となるように、第1固定電極部21aと第1固定電極部21b、および第2固定電極部22aと第2固定電極部22bが、設けられている。
なお、線分D−Dから+X軸方向側に設けられている検出素子20を第1固定素子20a、線分D−Dから−X軸方向側に設けられている検出素子20を第2固定素子20bとする。
平面視において、第1固定電極部21a、第2固定電極部22aは、少なくとも一部が可動体30aと重なり、かつ固定部34aを挟んで離間するように設けられている。
換言すると、平面視において、第1固定電極部21aは、可動領域31aと少なくとも一部が重なるように対向して設けられており、第2固定電極部22aは、可動領域32aと少なくとも一部が重なるように対向して設けられている。
平面視において、第1固定電極部21b、第2固定電極部22bは、少なくとも一部が可動体30bと重なり、かつ固定部34bを挟んで離間するように設けられている。
換言すると、平面視において、第1固定電極部21bは、可動領域31bと少なくとも一部が重なるように対向して設けられており、第2固定電極部22bは、可動領域32bと少なくとも一部が重なるように対向して設けられている。
同様に、可動体30bは、たとえば、Z軸方向の加速度が加わると、支持軸Q2に沿った支持部36bを回転軸(揺動軸)として、シーソー揺動(シーソー動作)することができる。換言すると、支持部36bがトーションバネ(捻りバネ)として機能することで、可動体30bは、第1固定電極部21bと対向する可動領域31b側や、第2固定電極部22bと対向する可動領域32b側に傾倒することが許容される。
支持部36bは、可動体30bがシーソー揺動することにより生じる「ねじり変形」に対して復元力を有し、支持部36bが破損することを防止することができる。
可動体30aは、可動領域31aと可動領域32aとが支持軸Q1を基準として非対称に設けられていることで、たとえば、加速度が加わると、可動領域31aと可動領域32aとを比して、重い側に傾倒することが許容される。支持部36aは、可動体30aの中心位置を外して設けられていれば良い。
同様に、可動体30bは、可動領域31bと可動領域32bとが支持軸Q2を基準として非対称に設けられていることで、たとえば、加速度が加わると、可動領域31bと可動領域32bとを比して、重い側に傾倒することが許容される。支持部36bは、可動体30bの中心位置を外して設けられていれば良い。
同様に、間隙を介して配設されている第1固定電極部21bと、可動領域31b(可動体30b)と、の間には、静電容量(可変容量)C1bが構成されている。また、間隙を介して配設されている第2固定電極部22bと、可動領域32b(可動体30b)と、の間には、静電容量(可変容量)C2bが構成されている。
たとえば、静電容量C1a,C2aは、傾倒可能な可動体30aが水平である状態、即ち、支持軸Q1を中心に可動領域31a,32aに加速度等が加えられていない状態では同じ容量値となる。換言すると、可動体30aと第1固定電極部21aとの間隙の距離と、可動体30aと第2固定電極部22aとの間隙の距離と、が等しくなり、また、平面視において、可動領域31と第1固定電極部21との重なる面積と、可動領域32と第2固定電極部22との重なる面積と、が等しくなるため、静電容量C1a,C2aの容量値も等しくなる。
また、静電容量C1a,C2aは、可動体30aが支持軸Q1を回転軸として傾倒した状態、即ち、支持軸Q1を中心に可動領域31a,32aに対して加速度が加えられている状態では、可動体30aの傾倒に応じて、静電容量C1a,C2aの容量値が変化する。換言すると、可動体30aと第1固定電極部21aとの間隙の距離(大きさ)と、可動体30aと第2固定電極部22aとの間隙の距離(大きさ)と、が異なるため、静電容量C1a,C2aも間隙の距離(大きさ)に応じて容量値が異なる。
たとえば、静電容量C1b,C2bは、傾倒可能な可動体30bが水平である状態、即ち、支持軸Q2を中心に可動領域31b,32bの両側に加速度等が加えられていない状態では同じ容量値となる。換言すると、可動体30bと第1固定電極部21bとの間隙の距離と、可動体30bと第2固定電極部22bとの間隙の距離と、が等しくなり、また、平面視において、可動領域31と第1固定電極部21との重なる面積と、可動領域32と第2固定電極部22との重なる面積と、が等しくなるため、静電容量C1b,C2bの容量値も等しくなる。
また、静電容量C1b,C2bは、可動体30bが支持軸Q2を回転軸に傾倒した状態、即ち、支持軸Q2を中心に可動領域31b,32bに対して加速度が加えられている状態では、可動体30bの傾倒に応じて、静電容量C1b,C2bの容量値が変化する。換言すると、可動体30bと第1固定電極部21bとの間隙の距離と、可動体30bと第2固定電極部22bとの間隙の距離と、が異なるため、静電容量C1b,C2bも間隙の距離に応じて容量値が異なる。
また、第1配線部50aと第2配線部60aとは、長さが略同一であるため、電気的特性が略同一である。また、平面視において第1配線部50aと第2配線部60aとの形状は互いに非対称に配置されている。
第2共通線62aと、第1支線54aとは、平面視において交差している。第1支線54aは、基板10aの主面12aに設けられている溝部に敷設され、絶縁部材で覆われている。
これにより、溝部に設けられている第1支線54aを、基板10aの主面12aに設けられている第2共通線62aが跨いで空隙をもって交差している。
このことにより、第1配線部50aと第2配線部60aとは、絶縁部材と空隙とによって、電気的に絶縁されることで、短絡などの影響を回避することができる。
また、第1共通線52aと、第2共通線62aとは、略同一な長さで、所望の間隔で近接して、並行するように配設されている。
また、第1配線部50bと第2配線部60bとは、長さが略同一であるため、電気的特性が略同一である。また、平面視において第1配線部50bと第2配線部60bとの形状は互いに非対称に配置されている。
第1共通線52bと、第2支線64bとは、平面視において交差している。第2支線64bは、基板10aの主面12に設けられている溝部に敷設され、絶縁部材で覆われている。絶縁部材は、たとえば、シリコン酸化物などを用いることができる。
これにより、溝部に設けられている第2支線64bを、基板10aの主面12aに設けられている第1共通線52bが跨いで空隙をもって交差している。
このことにより、第1配線部50bと第2配線部60bとは、絶縁部材と空隙とによって、電気的に絶縁されることで、短絡などの影響を回避することができる。
また、第1共通線52bと、第2共通線62bとは、略同一な長さで、所望の間隔で近接して、並行するように配設されている。
また、静電容量C1bの容量値(容量変化)は、第1固定電極部21bに接続されている第1配線部50bを通して、電極56bから出力することができる。また、静電容量C2bの容量値(容量変化)は、第2固定電極部22bに接続されている第2配線部60bを通して、電極66bから出力することができる。
なお、第1配線部50a(第1共通線52a)、第2配線部60a(第2共通線62a、および第2支線64a)、電極56a、電極66a、第1配線部50b(第1共通線52b、および第1支線54b)、第2配線部60b(第2共通線62b)、電極56b、および電極66bは、たとえば、クロム(Cr)を下地膜とし、下地膜に金(Au)などの金属を材料として形成される導電膜を用いることができる。
また、第1支線54a、および第2支線64bは、たとえば、シリコン等で形成される導電性を有する構造体を用いることができる。
なお、可動体30a、および可動体30bの材料は、特に限定されることはない。導電性を有する材料で形成することもでき、絶縁性を有する材料で形成することもできる。絶縁性を有する材料で可動体30a、および可動体30bを形成する場合には、第1固定電極部21a、第2固定電極部22a、第1固定電極部21b、および第2固定電極部22bと対向する面に導電性を有する電極膜を形成すれば良い。
本実施形態の物理量センサー200の動作について説明する。
本実施形態の物理量センサー200は、たとえば、Z軸方向の加速度(たとえば重力加速度)が可動体30aと、可動体30bとに加えられた場合、可動体30aの可動領域31a、および可動領域32aと、可動体30bの可動領域31b、および可動領域32bと、の各々に回転モーメント(力のモーメント)が生じ、回転モーメントに応じて、可動体30a、および可動体30bが傾倒するように設けられている。
図7(A)に示す状態において、可動体30aと第1固定電極部21aとの間の距離、可動体30aと第2固定電極部22aとの間の距離、可動体30bと第1固定電極部21bとの間の距離、および可動体30bと第2固定電極部22bとの間の距離が等しくなる。これによって、静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの容量値も等しくなる。
これに伴い可動体30aは、支持軸Q1を回転軸とする+Y方向に向かって時計回りの力が作用し、可動体30aに傾きが生じる。換言すると、可動体30aは、支持軸Q1を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域32a側が−Z軸方向に傾倒する。また、可動体30bは、支持軸Q2を回転軸とする+Y方向に向かって反時計回りの力が作用することで、可動体30bに傾きが生じる。換言すると、可動体30bは、支持軸Q2を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域32b側が−Z軸方向に傾倒する。
これにより、第2固定電極部22aと可動体30a(可動領域32a)との間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C2aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C2aと比較して増加する。
他方、第1固定電極部21aと可動体30a(可動領域31a)との間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C1aの容量値が図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C1aと比較して減少する。
また、第2固定電極部22bと可動体30b(可動領域32b)との間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C2bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C2bと比較して増加する。
他方、第1固定電極部21bと可動体30b(可動領域31b)との間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C1bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C1bと比較して減少する。
これに伴い可動体30aは、支持軸Q1を回転軸とする+Y方向に向かって反時計回りの力が作用し、可動体30aに傾きが生じる。換言すると、可動体30aは支持軸Q1を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域31a側が−Z軸方向に傾倒する。また、可動体30bは、支持軸Q2を回転軸とする+Y方向に向かって時計回りの力が作用することで、可動体30bに傾きが生じる。換言すると、可動体30bは支持軸Q2を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域31b側が−Z軸方向に傾倒する。
これにより、第1固定電極部21aと可動体30a(可動領域31a)との間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C1aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C1aと比較して増加する。
他方、第2固定電極部22aと可動体30a(可動領域32a)との間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C2aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C2aと比較して減少する。
また、第1固定電極部21bと可動体30b(可動領域31b)との間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C1bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C1bと比較して増加する。
他方、第2固定電極部22bと可動体30b(可動領域32b)との間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C2bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C2bと比較して減少する。
これに伴い可動体30aは、支持軸Q1を回転軸とする+Y方向に向かって時計回りの力が作用し、可動体30aに傾きが生じる。換言すると、可動体30aは、支持軸Q1を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域32a側が−Z軸方向に傾倒する。また、可動体30bは、支持軸Q2を回転軸とする+Y方向に向かって時計回りの力が作用し、可動体30bに傾きが生じる。換言すると、可動体30bは支持軸Q2を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域31b側が−Z軸方向に傾倒する。
これにより、第2固定電極部22aと、可動体30a(可動領域32a)と、の間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C2aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C2aと比較して増加する。
他方、第1固定電極部21aと、可動体30a(可動領域31a)と、の間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C1aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C1aと比較して減少する。
また、第1固定電極部21bと、可動体30b(可動領域31b)と、の間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C1bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C1bと比較して増加する。
他方、第2固定電極部22bと、可動体30b(可動領域32b)と、の間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C2bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C2bと比較して減少する。
これに伴い可動体30aは、支持軸Q1を回転軸とする+Y方向に向かって反時計回りの力が作用し、可動体30aに傾きが生じる。換言すると、可動体30aは支持軸Q1を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域31a側が−Z軸方向に傾倒する。また、可動体30bは、支持軸Q2を回転軸とする+Y方向に向かって時計回りの力が作用し、可動体30bに傾きが生じる。換言すると、可動体30bは支持軸Q2を回転軸とするシーソー揺動によって可動領域31b側が+Z軸方向に傾倒する。
これにより、第1固定電極部21aと、可動体30a(可動領域31a)と、の間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C1aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C1aと比較して増加する。
他方、第2固定電極部22aと、可動体30a(可動領域32a)と、の間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C2aの容量値が、図7(A)に示した可動体30aが均衡している場合の静電容量C2aと比較して減少する。
また、第2固定電極部22bと、可動体30b(可動領域32b)と、の間隙が小さく(短く)なり、その結果、静電容量C2bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C2bと比較して増加する。
他方、第1固定電極部21bと、可動体30b(可動領域31b)と、の間隙が大きく(長く)なり、その結果、静電容量C1bの容量値が、図7(A)に示した可動体30bが均衡している場合の静電容量C1bと比較して減少する。
たとえば、図7(A)の状態(加速度が加えられていない状態)で得られる容量値を基準として、図7(B)の状態における容量値の変化を判定することによって、図7(B)の状態で、どの方向に、どの程度の加速度G1が作用しているかを検出することができる。即ち、図7(B)の状態で得られる静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの容量値の変化に基づいて、その変化の程度から、加わった加速度G1の値を検出することができる。
同様に、たとえば、図7(A)の状態で得られる容量値を基準として、図7(C)の状態における容量値の変化によって、図7(C)の状態で、どの方向に、どの程度の加速度G2が作用しているかを検出することができる。即ち、図7(C)の状態で得られる静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの容量値の変化に基づいて、その変化の程度から、加えられている加速度G2の値を検出することができる。
たとえば、可動体30a,30bに加速度G3が加えられているときは、静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの容量値の関係は、下記式で表わされる。
C1a<C1b,C2a>C2b
また、可動体30a,30bに加速度G4が加えられているとき、静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの容量値の関係は、下記式で表わされる。
C1a>C1b,C2a<C2b
静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの差動をとると、容量値の関係は、下記式で表わされる。
(C1a+C1b)−(C2a+C2b)=0
このような、静電容量C1a,C2a,C1b,C2bの容量値の関係から、加速度が加えられている方向を判断することが可能となり、加速度(G3,G4)の影響を受けずに加速度(G1,G2)の検出をすることが可能となる。
このような物理量センサー200によれば、第1固定電極部21aに接続されている第1配線部50aと、第2固定電極部22aに接続されている第2配線部60aとが、非対称な形状に配置され、かつ、電気的特性が互いに略同一である。そして、第1配線部50aに接続されている第1共通線52aと、第2配線部60aに接続されている第2共通線62aとが、略同一の長さで、所望の間隔で近接して、並行するように設けられているため、第1共通線52a(静電容量C1aの容量値)と、第2共通線62a(静電容量C2aの容量値)とに、外乱(静電ノイズ等)が略同一の位相、および略同一の大きさで等しく入力され、第1配線部50a、および第2配線部60aの差動をとることで、検出感度の誤差の要因であるノイズを容量値から打ち消し、加速度を求めることができる。
第1実施形態で説明をした物理量センサー100の変形例を、図8を参照して以下に説明する。図8は、物理量センサー101を示す平面図である。図8では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。なお、Z軸は、重力が作用する方向を示す軸である。
本変形例において、可動体30cの可動領域31c、および可動領域32cには、複数のスリット70がX方向に形成されている。
物理量センサー101によれば、可動体30cにスリット70が設けられることで、物理量センサー101に加速度が加わった場合に、可動体30cの傾倒時に空気抵抗の影響を抑制することが可能となり、可動体30cの傾倒動作を円滑に行うことができる。
よって、可動体30cに複数のスリット70が形成されることで物理量センサー101の計測精度を高めることができる。
次いで、本発明の一実施形態にかかる物理量センサー100を適用した実施例について、図9を参照して説明する。
図9(A)は、物理量センサー100が搭載されている電子機器であるビデオカメラを示す斜視図、図9(B)は、物理量センサー100が搭載されている電子機器である携帯電話機を示す斜視図であり、図9(C)は、物理量センサー100が搭載されている移動体である自動車を示す斜視図である。
図9(A)、(B)に示すように、電子機器としてのビデオカメラ500、および携帯電話機600は、本実施形態にかかる物理量センサー100が搭載されている。
図9(A)に示すビデオカメラ500は、受像部501と、操作部502と、音声入力部503と、表示ユニット504と、が搭載されている。このビデオカメラ500は、物理量センサー100が搭載されており、たとえば3つの物理量センサー100が搭載されていれば、X軸、Y軸、Z軸(不図示)の3方向の加速度あるいは傾斜等を検出して、手ぶれ等を補正する機能を発揮できる。これにより、ビデオカメラ500は、鮮明な動画映像を記録することができる。
次に、物理量センサー100を用いた移動体について説明する。図9(C)に示すように、移動体700は自動車であって、物理量センサー100が搭載されている。
移動体700において、物理量センサー100は、車体701に搭載されている電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)703に内蔵されている。電子制御ユニット703は、たとえば物理量センサー100が加速度センサーや傾斜センサーとして車体701の状態を検出することにより、移動体700の姿勢や移動状況等を把握し、サスペンション704、およびタイヤ702等の制御を的確に行うことができる。これにより、移動体700は、安全で安定した移動をすることができる。
Claims (9)
- 第1固定電極部および第2固定電極部を含む固定電極部と
第1固定電極部に接続されている第1配線部と、
第2固定電極部に接続されている第2配線部と、を備え、
前記第1配線部および前記第2配線部の少なくとも一方には分岐部が設けられ、前記分岐部から延びる一方の配線は前記固定電極部に接続され、前記分岐部から延びる他方の配線は前記第1配線部または前記第2配線部に沿って設けられていることを特徴とする機能素子。 - 請求項1に記載の機能素子において、
前記第1配線部と前記第2配線部とは、第1方向に並行して延びる部分を備え、
前記第1方向に延びる部分の長さは、前記第1配線部と前記第2配線部とで同じであることを特徴とする機能素子。 - 請求項1または請求項2に記載の機能素子において、
可動電極部を含む可動体を含み、
前記固定電極部は、前記可動電極部に対向して配置されることを特徴とする機能素子。 - 請求項3に記載の機能素子において、
前記可動体およびそれと対となる前記固定電極部が複数設けられていることを特徴とする機能素子。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の機能素子において、
前記第1配線部および前記第2配線部は、互いに交差する部分を備えることを特徴とする機能素子。 - 請求項5に記載の機能素子において、
前記交差する部分において、前記第1配線部と前記第2配線部との間に絶縁部材が設けられていることを特徴とする機能素子。 - 請求項5または請求項6に記載の機能素子において、
前記交差する部分において、前記第1配線部は基板に設けられた溝の内部に設けられ、前記第2配線部は前記溝上を交差して設けられていることを特徴とする機能素子。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の機能素子が搭載されていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の機能素子が搭載されていることを特徴とする移動体。
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