JP2015024970A - 化粧料用材料および化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】化粧品としての性能が高いのみならず、生体に対する安全性が高い化粧料用材料および化粧料を提供する。【解決手段】特定の材料によって形成されている粒子状の基材の表面の少なくとも一部が、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われている化粧料用材料を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料用材料および当該化粧料用材料を含む化粧料に関する。
近年、様々な特性(例えば、光反射特性など)を有する粉体を含有した化粧料の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、経時によって特殊機能粉体が局在化することを防ぐことができる化粧料が開示されている。具体的に、上記化粧料には、パーフルオロアルキルシランで表面処理された表面処理粉体と、特殊機能粉体とが含まれている。そして、表面処理粉体の例として、セリサイト、マイカおよびタルクが挙げられており、特殊機能粉体の例として、ハイドロキシアパタイト処理粉体が挙げられている。
特許文献2には、不自然なメークアップの仕上がりを防ぐことができるとともに、経時的な光学特性の変化を防ぐことができる粉体、および、当該粉体を含む化粧料が開示されている。具体的に、上記粉体は、二酸化チタンによって被覆された板状粉体を、シリカおよび/またはアルミナで被覆し、当該板状粉体を更にハイドロキシアパタイトで被覆したものである。そして、上記板状粉体として、タルク、マイカまたはセリサイトを用いることが開示されている。
非特許文献1には、リフトメーク効果を有する粉体を含有する化粧料が開示されている。当該粉体は、タルクと、当該タルクを覆っているハイドロキシアパタイトと、によって形成されている。
非特許文献2には、化粧くずれ防止効果を有する粉体を含む化粧料が開示されている。当該粉体は、セリサイトの上に針状の多孔質なハイドロキシアパタイトを被覆し、当該ハイドロキシアパタイトの上に更に酸化亜鉛を被覆したものである。
非特許文献3には、酸化チタンまたはマイカによって形成された板状粉体を更に硫酸バリウム微粒子によってコーティングした板状粉体を含有する化粧料が開示されている。
特開2008−143838号公報(2008年6月26日公開) 特開2006−241012号公報(2006年9月14日公開)
中村直生、「リフトメークの研究開発」、FRAGRANCE JOURNAL 1996-10、第64-68頁、1996年 堀野政章、「化粧効果の持続性に優れた粉体の開発」、FRAGRANCE JOURNAL 2003-4、第67-74頁、2003年 野口民生、「ファンデーションの新しい機能を考えるファンデーション薄片状顔料の開発」、Fragr. J., 28(5), 58-64(2000)
しかしながら、上述のような従来技術は、化粧品としての性能が十分ではないとともに、製造に用いるハイドロキシアパタイトがアモルファスであり使用中に溶解してアルカリ性を示すことが危惧されるため、生体に対する安全性が十分ではないという問題点を有している。
例えば、上述のような従来技術は、ショック症状、炎症などを引き起こす危険性を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、化粧品としての性能が高いのみならず、生体に対する安全性が高い化粧料用材料および化粧料を提供することにある。
従来の化粧品では、その成分としてハイドロキシアパタイトを用いる場合には、焼結体ではない、アモルファスなハイドロキシアパタイトを用いてきた。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ハイドロキシアパタイトの焼結体は生体に対する安全性が高いとともに、化粧品としての性能を高める様々な機能を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の化粧料用材料は、上記課題を解決するために、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、アルミナ、硫酸バリウム、合成雲母、パール光沢材料または有機粉体によって形成されている粒子状の基材の表面の少なくとも一部が、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われていることを特徴としている。
本発明の化粧料用材料では、上記ハイドロキシアパタイトの焼結体は、ハイドロキシアパタイトの単結晶を含有していることが好ましい。
本発明の化粧料材料では、上記ハイドロキシアパタイトの焼結体は、ハイドロキシアパタイトのアモルファスを500℃〜1800℃の温度にて焼成して得られるものであることが好ましい。
本発明の化粧料用材料では、上記基材と上記ハイドロキシアパタイトの焼結体とが、イオン的相互作用または共有結合を介して互いに連結されていることが好ましい。
本発明の化粧料用材料では、上記基材と上記ハイドロキシアパタイトの焼結体とが、上記基材に備えられているカルボキシル基、チオール基、硫酸基、リン酸基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、または、4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライド基を介して互いに連結されていることが好ましい。
本発明の化粧料用材料では、上記ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状は、球状またはロッド状であることが好ましい。
本発明の化粧料用材料では、上記ハイドロキシアパタイトの焼結体は、粒径が10nm〜150nmの粒子であることが好ましい。
本発明の化粧料用材料では、上記ハイドロキシアパタイトの焼結体による上記基材の表面の被覆率は、0.1%〜100%であることが好ましい。
本発明の化粧料用材料では上記基材は、板状または球状の粒子であることが好ましい。
本発明の化粧料は、上記課題を解決するために、本発明の化粧料用材料を含むことを特徴としている。
本発明の化粧料は、メークアップ化粧料、クリームまたはスキンケア化粧料あることが好ましい。
焼結体ではないハイドロキシアパタイトは、水などに溶解した場合にアルカリ性を示す。その結果、皮膚に刺激を与えて炎症などを発生させる。一方、ハイドロキシアパタイトの焼結体は、水などに対して溶解し難い。本発明は、ハイドロキシアパタイトの焼結体を用いるので、生体適合性が高く皮膚の炎症などを防止できるという効果を奏する。
ハイドロキシアパタイトの焼結体は、皮膚組織に含まれるコラーゲンの量を増加させる効果を有している。なお、当該効果は、焼結体であるハイドロキシアパタイトの方が、焼結体ではないハイドロキシアパタイトよりも高い。本発明は、ハイドロキシアパタイトの焼結体を用いるので、皮膚組織に含まれるコラーゲンの量を増加させることができるという効果を奏する。また、上述したようにハイドロキシアパタイトの焼結体は水などに溶解し難いので、当該効果を長時間持続させることができる。
基材の表面を、焼結体ではないハイドロキシアパタイトによって覆うと、基材の表面の滑らかさを低下させる傾向を示す。一方、基材の表面を、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆うと、基材の表面の滑らかさを向上させることができる。本発明は、ハイドロキシアパタイトの焼結体を用いるので、皮膚表面に対して滑らかな化粧料用材料および化粧料を提供することができるという効果を奏する。また、上述したようにハイドロキシアパタイトの焼結体は水などに溶解し難いので、皮膚表面の滑らかさを長時間持続させることができる。
ハイドロキシアパタイトの焼結体は皮脂吸着性が高い。本発明は、ハイドロキシアパタイトの焼結体を用いるので、皮脂吸着性が高い化粧料用材料および化粧料を提供することができるという効果を奏する。また、上述したようにハイドロキシアパタイトの焼結体は水などに溶解し難いので、化粧料の皮脂吸着能力を長時間持続させることができる。
ハイドロキシアパタイトの焼結体は、光の反射を調節する効果を有しており、特に、光の散乱を高める効果を有している。本発明は、ハイドロキシアパタイトの焼結体を用いるので、顔などに立体感を与える効果が高い化粧料用材料および化粧料を提供することができるという効果を奏する。また、上述したようにハイドロキシアパタイトの焼結体は水などに溶解し難いので、化粧効果を長時間持続させることができる。
本発明は、皮膚にとって親和性が高い化粧料用材料および化粧料を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施例における、ハイドロキシアパタイトの焼結体が付着していない状態のタルクの走査型電子顕微鏡の像である。 本発明の実施例における、ハイドロキシアパタイトの焼結体が付着している状態のタルクの走査型電子顕微鏡の像である。
本発明は、以下に説示する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本明細書において「A〜B」と記載した場合には、当該記載は「A以上B以下」を意図するものとする。
〔1.化粧料用材料〕
本実施の形態の化粧料用材料では、粒子状の基材の表面の少なくとも一部が、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われている。以下に、基材およびハイドロキシアパタイトの焼結体の各々について説明する。
〔1−1.基材〕
本実施の形態の化粧料用材料に用いられる基材は、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、アルミナ、硫酸バリウム、合成雲母、パール光沢剤(例えば、酸化チタン被覆雲母)、有機粉体(例えば、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダーまたはアクリル系球状パウダー)によって形成されているものである。上記基材は、これらの材料のうちの1つによって形成されているものであってよく、これらの材料のうちの複数のものによって形成されているものであってもよい。また、上記基材は、これらの材料のみによって形成されていてもよいし、これらの材料以外の材料を含んでいてもよい。
上記基材が上述した材料以外の材料を含んでいる場合、上述した材料以外の材料の含有量は、特に限定されないが、基材の90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下であることが更に好ましく、70重量%以下であることが更に好ましく、60重量%以下であることが更に好ましく、50重量%以下であることが更に好ましく、40重量%以下であることが更に好ましく、30重量%以下であることが更に好ましく、20重量%以下であることが更に好ましく、10重量%以下であることが更に好ましく、5重量%以下であることが更に好ましく、1重量%以下であることが最も好ましい。
上記構成であれば、化粧品としての性能がより高く、生体に対する安全性がより高い化粧料用材料を実現することができる。
上記基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状または球状であってもよい。更に具体的に、上記基材の形状は、板状または球状の粒子であってもよい。本実施の形態の化粧料用材料の効果をより高めるという観点(例えば、基材表面の滑らかさの向上、光の反射調節の向上など)からは、上記基材の形状は、板状であることが好ましい。
上記基材の表面の少なくとも一部は、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われている。ハイドロキシアパタイトの焼結体による基材の表面の被覆率は特に限定されないが、例えば、0.1%〜100%であることが好ましく、1%〜100%であることが更に好ましく、10%〜100%であることが更に好ましく、20%〜100%であることが更に好ましく、30%〜100%であることが更に好ましく、40%〜100%であることが更に好ましく、50%〜100%であることが更に好ましく、60%〜100%であることが更に好ましく、70%〜100%であることが更に好ましく、80%〜100%であることが更に好ましく、90%〜100%であることが更に好ましく、95%〜100%であることが最も好ましい。
本実施の形態の化粧料用材料の効果をより高めるという観点(例えば、コラーゲン量の増加、基材表面の滑らかさの向上、皮脂吸着性の向上、光の反射調節の向上など)からは、被覆率は、高いほど好ましいといえる。
なお、上述した被覆率は、周知の方法によって測定することが可能である。例えば、日本電子(株)製の電界放出型走査電子顕微鏡を用いて被覆率を測定することが可能である。
基材とハイドロキシアパタイトの焼結体とは、イオン的相互作用または共有結合を介して互いに連結され得る。
上記構成によれば、基材とハイドロキシアパタイトの焼結体とが強固に結合しているので、本願発明の効果を長期間持続させることができる。
基材とハイドロキシアパタイトの焼結体とは、直接連結されていてもよいし、間接的に連結されていてもよい。例えば、基材に備えられている官能基と、ハイドロキシアパタイトの焼結体とが直接結合していてもよい。また、基材を覆う物質に備えられている官能基と、ハイドロキシアパタイトの焼結体とが直接結合していてもよい。この場合、基材を覆う物質は基材と一体となっているので、当該物質を基材の一部と考えることも可能である。
上記官能基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、チオール基、硫酸基、リン酸基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、または、4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライド基を挙げることができる。なお、上述した官能基は、ハイドロキシアパタイトと結合することができる。
上述した官能基の中では、カルボキシル基が好ましいといえる。その理由は、カルボキシル基を有するポリマーによって基材を被覆すると、ハイドロキシアパタイトのカルシウムイオンとカルボキシル基とがイオン的な相互作用で結合し、容易にかつ均一に、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって基材を被覆できるからである。
〔1−2.ハイドロキシアパタイトの焼結体〕
本実施の形態の化粧料用材料では、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))の焼結体を用いる。
ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状は特に限定されないが、例えば、球状またはロッド状であってもよい。例えば、本実施の形態の化粧料用材料では、上述した基材の表面の少なくとも一部が、複数の、球状またはロッド状のハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われていてもよい。
更に具体的には、ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状は、粒子であってもよく、更に具体的には、球状またはロッド状の粒子であってもよい。
ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状が粒子である場合、当該粒子の平均粒子径は、10nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜500nmであることが更に好ましく、10nm〜400nmであることが更に好ましく、10nm〜300nmであることが更に好ましく、10nm〜250nmであることが更に好ましく、10nm〜200nmであることが更に好ましく、10nm〜150nmであることが更に好ましく、10nm〜100nmであることが更に好ましく、10nm〜50nmであることが更に好ましく、10nm〜30nmであることが更に好ましい。
上述した平均粒子径であれば、皮膚の表面から真皮層へ、ハイドロキシアパタイトの焼結体の粒子が浸透することができる。そして、当該ハイドロキシアパタイトの焼結体の粒子によって、真皮層中に含まれる線維芽細胞が活性化され、当該線維芽細胞によってコラーゲンが生産される。それ故に、上述した平均粒子径であれば、本実施の形態の化粧料用材料が有するコラーゲンの増量効果を、更に上昇させることができる。
皮膚の表面を形成している表皮細胞間の隙間が略250nmであるので、コラーゲンの増量効果を期待する場合には、上述した平均粒子径の中でも、10nm〜250nmであることが好ましく、10nm〜200nmであることが更に好ましく、10nm〜150nmであることが更に好ましく、10nm〜100nmであることが更に好ましく、10nm〜50nmであることが更に好ましく、10nm〜30nmであることが最も好ましい。
ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状が粒子である場合、当該粒子の粒子径の変動係数は、20%以下が好ましく、18%以下が更に好ましく、15%以下が最も好ましい。尚、平均粒子径および変動係数は、電子顕微鏡を用いて少なくとも100個以上の粒子について粒子径を測定して、当該粒子径に基づいて計算すればよい。
なお、「変動係数」は、標準偏差÷平均粒子径×100(%)で計算することができる粒子間の粒子径のバラツキを示す値である。なお、ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状がロッド状の粒子である場合、平均粒子径は、当該粒子の長径によって決定されるものとする。
ハイドロキシアパタイトの焼結体は、アモルファスなハイドロキシアパタイトを焼結させることにより得られる。具体的には、例えば、後述する方法で焼結させることにより、焼結されたハイドロキシアパタイトの粒子を得ることができる。また、ハイドロキシアパタイトの焼結体は、結晶性の高い、高結晶性ハイドロキシアパタイトを含んでいることが好ましい。結晶性の度合いは、X線回折法(XRD)により測定することができる。具体的には、各結晶面を示すピークの半値幅が狭ければ狭いほど結晶性が高い。例えば、「高結晶性」とは、d=2.814での半値幅が0.8以下(好ましくは、0.5以下)であってもよい。
次いで、ハイドロキシアパタイトの焼結体の製造方法について説明する。
ハイドロキシアパタイトの焼結体は、アモルファスなハイドロキシアパタイトを焼結させることによって得ることができる。アモルファスなハイドロキシアパタイトは、湿式法、乾式法、加水分解法または水熱法等の公知の製造方法によって、人工的に製造されたものであってもよく、また、骨、歯等から得られる天然由来のものであってもよい。
アモルファスなハイドロキシアパタイトを焼結する際の温度は特に限定されないが、例えば、100℃〜2000℃であることが好ましく、200℃〜2000℃であることが更に好ましく、300℃〜2000℃であることが更に好ましく、400℃〜2000℃であることが更に好ましく、500℃〜2000℃であることが更に好ましく、500℃〜1800℃であることが更に好ましく、500℃〜1500℃であることが更に好ましく、500℃〜1250℃であることが更に好ましく、500℃〜1200℃であることが最も好ましい。
焼結温度の下限値としては、500℃以上が好ましい。焼結温度が500℃よりも低いと、焼結が十分でない場合がある。それ故に、焼結温度が500℃以上である方が、より高い効果を得ることができる。
一方、焼結温度の上限値としては、1800℃以下が好ましく、1500℃以下が更に好ましく、1250℃以下が更に好ましく、1200℃以下が最も好ましい。焼結温度が1800℃よりも高いと、ハイドロキシアパタイトが分解する場合がある。それ故に、焼結温度が1800℃以下である方が、より高い効果を得ることができる。
アモルファスなハイドロキシアパタイトを焼結する際の時間としては、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。なお、焼結によって、ハイドロキシアパタイトの焼結体の粒子同士が融着してしまう場合もあるが、このような場合には、焼結後の粒子を粉砕して使用することが可能である。
ハイドロキシアパタイトの焼結体の製造方法は特に限定されないが、例えば、混合工程と焼結工程とを含む分散焼成(焼結)法であることが好ましい。分散焼成法によって得られるハイドロキシアパタイトの焼結体の粒子の粒径には、後述する一次粒子の粒径がそのまま反映される。それ故に、分散焼成法であれば、ハイドロキシアパタイトの焼結体の粒子の平均粒子径を、上述した範囲の平均粒子径に調製し易い。
ハイドロキシアパタイトの焼結体の製造方法は、上述した工程以外に、一次粒子生成工程、および/または、除去工程を含んでいてもよい。これらの工程は、例えば、一次粒子生成工程、混合工程、焼結工程、除去工程の順で行われ得る。以下に、各工程について説明する。
(A.一次粒子生成工程)
一次粒子生成工程は、アモルファスなハイドロキシアパタイトの粒子(一次粒子)を生成することができる工程であれば特に限定されるものではない。例えば、常温下において水酸化カルシウム懸濁液にリン酸(例えば、KHPOなど)を滴下すれば、リン酸カルシウム(具体的には、ハイドロキシアパタイト)の粒子を沈殿させることができる。
微細(ナノメートルサイズ)でかつ粒子径が均一な(粒度分布が狭い)ハイドロキシアパタイトの一次粒子群を生成する方法は特に限定されるものではないが、例えば、特開2002−137910号公報記載の方法が利用可能である。
つまり、界面活性剤/水/オイル系エマルジョン相にカルシウム溶液およびリン酸溶液を混合させ、界面活性剤の曇点以上の温度で反応させることで、微細でかつ粒子径が均一なハイドロキシアパタイトの一次粒子群を生成することができる。また、上記方法において、界面活性剤の官能基、および、界面活性剤の親水性/疎水性比を変えることにより、ハイドロキシアパタイトの一次粒子群の大きさを制御することができる。
ハイドロキシアパタイトの粒子を製造する原理を簡単に説明すれば、以下の通りである。界面活性剤/水/オイル系エマルジョン相にカルシウム溶液およびリン酸溶液を混合し、リン酸とカルシウムとを反応させてリン酸カルシウムの微粒子を合成する方法においては、界面活性剤のミセルの中でリン酸カルシウム(例えば、ハイドロキシアパタイト)の核が成長する。
このとき反応温度を変化させること(界面活性剤が非イオン系の界面活性剤である場合には、界面活性剤の曇点以上の温度にすること)により、ミセルの熱力学的安定性を制御することができる。例えば、反応温度を上げれば、界面活性剤のミセルを形成する力を下げることができる。この場合、ミセルという枠の中で制限を受けていたリン酸カルシウムの粒子成長の駆動力が、ミセルの枠を維持しようとする駆動力よりも大きくなると考えられる。そして、当該メカニズムを利用して粒子の形を制御することができる。
界面活性剤のミセルを形成する場合には、界面活性剤が有する官能基(親水性の官能基)、および、界面活性剤の親水性/疎水性比が重要であり、これらの違いによって、界面活性剤の雲点、および、ミセルの安定性が異なってくる。なお、界面活性剤の曇点は、界面活性剤の種類によって異なる。したがって、界面活性剤の種類を適宜変更することにより、界面活性剤の官能基および親水性/疎水性比を変えることができ、これによって、リン酸カルシウム(例えば、ハイドロキシアパタイト)の粒子の大きさを制御することができる。
上記方法に用いられる界面活性剤の種類は、特に限定されず、特開平5−17111号公報に開示されている公知の陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤から適宜選択して用いることができる。
非イオン性界面活性剤は、明確な曇点を有するので、上述したメカニズムを利用した粒子の形状制御が容易になる。
より具体的に、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、または、ポリオキシエチレンアルキルアミン等を挙げることができる。
陽イオン性界面活性剤としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
陰イオン性界面活性剤としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミンオキサイド型等を挙げることができる。
上述した界面活性剤は、1種類又は2種類以上の組み合わせで使用する。このなかで、曇点、溶解性の点から、特にペンタエチレングリコールドデシルエーテルを使用することが好ましい。
上記方法において利用可能なオイル相としては、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ドデカン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、クロロホルム等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル等)、アルコール類(例えば、ブタノール等)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)等を挙げることができる。
オイル相として用いる溶媒としては、使用する界面活性剤に応じて、水の溶解度が小さく、かつ、界面活性剤を溶解する溶媒を、1種または2種選択すればよい。オイル相として用いる溶媒としては、水の溶解度、界面活性剤の溶解性の点から、特にドデカンを使用することが好ましい。反応温度、反応時間、原料の添加量等は、一次粒子の組成に応じて適宜最適な条件を選択すればよい。ただし水溶液を用いた反応であるから、反応温度の上限は、当該水溶液が沸騰しない温度であれることが好ましく、具体的には90℃以下が好ましい。
また、一次粒子生成工程には、生成した一次粒子を水等で洗浄する工程、および/または、遠心分離またはろ過等で一次粒子を回収する工程、が含まれていてもよい。
(B.混合工程)
混合工程は、一次粒子と融着防止剤とを混合する工程である。一次粒子生成工程によって得られた一次粒子群の粒子間に、あらかじめ融着防止剤を介在させておくことで、その後の焼結工程における一次粒子同士の融着を防止することができる。なお、当該混合工程によって得られた一次粒子と融着防止剤との混合物を「混合粒子」と呼ぶ。
融着防止剤としては、一次粒子間の融着を防止できるものであれば特に限定されないが、後の焼結工程の焼結温度において、不揮発性であることが好ましい。焼結温度条件下で不揮発性であれば、焼結工程中に一次粒子間から融着防止剤が消失することは無く、一次粒子同士の融着を確実に防止することができる。ただし、焼結温度条件下において100%の不揮発性を有する必要は無く、焼結工程終了後に一次粒子間に10%以上残存する程度の不揮発性であればよい。
融着防止剤は、焼結工程において熱によって化学的に変化するものであってもよい。すなわち、融着防止剤が焼結工程終了後に何らかの形態にて残存していればよく、焼結工程の前後で、融着防止剤が同一の物質(化合物)である必要は無い。
融着防止剤は、溶媒(例えば、水系溶媒)に溶解する物質であることが好ましい。融着防止剤として、溶媒に溶解する物質を用いれば、融着防止剤が混在するハイドロキシアパタイトの粒子を溶媒に懸濁するだけで、融着防止剤(例えば、炭酸カルシウム等)を除去することができる。
融着防止剤が水系溶媒に溶解する物質であれば、融着防止剤を除去する際に有機溶媒を用いる必要が無いため、除去工程において、有機溶媒を使用するための設備、有機溶媒廃液処理などが不要となる。それ故に、より簡便に、ハイドロキシアパタイトの粒子から融着防止剤を除去することができる。上記溶媒の例として、例えば、水系溶媒としては、水、エタノール、メタノール等が挙げられ、有機溶媒としては、アセトン、トルエン等が挙げられる。
上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、キレート化合物(例えば、シュウ酸塩、エチレンジアミン、ビピリジン、エチレンジアミン四酢酸塩等)を含んでいてもよい。更に、上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、電解質イオン(例えば、塩化ナトリウム、硝酸アンモニウム、炭酸カリウム等)を含んでいてもよい。
融着防止剤の溶媒に対する溶解度は、高ければ高いほど、除去効率が高くなるので好ましいといえる。溶媒100gに対して溶解する融着防止剤の量(g)を溶解度と規定すれば、溶解度は、0.01g以上が好ましく、0.1g以上が更に好ましく、1g以上が更に好ましく、10g以上が最も好ましい。
融着防止剤の具体例としては、カルシウム塩(又は錯体)(例えば、塩化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム等)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、酸化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム等)、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム等)等を挙げることができる。
混合工程において一次粒子と融着防止剤とを混合させる方法は、特に限定されるものではなく、固体の一次粒子に固体の融着防止剤を混合した後、ブレンダーを用いて混合する方法であってもよいし、融着防止剤を含む溶液中に一次粒子を分散させる方法であってもよい。但し、固体と固体とを均一に混合することは一般的に困難であるため、一次粒子間に均一かつ確実に融着防止剤を介在させるためには、後者の方法が好ましい。後者の方法を採用する場合には、一次粒子を分散させた融着防止剤を含む溶液を乾燥させてもよい。乾燥させれば、一次粒子と融着防止剤とが均一に混合された状態を長期にわたって維持することができる。
混合工程は、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、または、これらの塩のいずれかを有する高分子化合物を含む溶液と、上記一次粒子とを混合し、金属塩(アルカリ金属塩、および/または、アルカリ土類金属塩、および/または、遷移金属塩)をさらに添加する工程であってもよい。
当該構成によれば、高分子化合物が一次粒子の表面に吸着することで混合工程における一次粒子同士の接触を確実に防ぐことができる。そして、その後にカルシウム塩を添加することで、一次粒子の表面に確実に融着防止剤を析出させることが可能となる。尚、以下の説明において、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、または、これらの塩のいずれかを有する高分子化合物のことを、単に「高分子化合物」と称する。
高分子化合物は、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、または、これらの塩のいずれかを有する化合物であれば特に限定されるものではない。
例えば、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。
側鎖に硫酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキル硫酸エステル、ポリメタクリル酸アルキル硫酸エステル、ポリスチレン硫酸等を挙げることができる。
側鎖にスルホン酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキルスルホン酸エステル、ポリメタクリル酸アルキルスルホン酸エステル、ポリスチレンスルホン酸等を挙げることができる。
側鎖にリン酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキルリン酸エステル、ポリメタクリル酸アルキルリン酸エステル、ポリスチレンリン酸、ポリアクリロイルアミノメチルホスホン酸等を挙げることができる。
側鎖にホスホン酸基を有する高分子化合物としては、ポリアクリル酸アルキルホスホン酸エステル、ポリメタクリル酸アルキルホスホン酸エステル、ポリスチレンホスホン酸、ポリアクリロイルアミノメチルホスホン酸、ポリビニルアルキルホスホン酸等を挙げることができる。
側鎖にアミノ基を有する高分子化合物としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリメタクリル酸アミノアルキルエステル、ポリアミノスチレン、ポリペプチド、タンパク質等を挙げることができる。
混合工程においては、高分子化合物のいずれか1種類を用いればよいが、複数種類の高分子化合物を混合して用いてもよい。
上記高分子化合物の分子量は特に限定されるものではないが、100g/mol以上1,000,000g/mol以下が好ましく、500g/mol以上500,000g/mol以下が更に好ましく、1,000g/mol以上300,000g/mol以下が最も好ましい。
上述した好ましい範囲未満であると、高分子化合物が一次粒子間に入り込む量が減少し、一次粒子同士の接触を阻止する効果が低くなる。一方、上述した好ましい範囲を超えると、高分子化合物の溶解度が低くなる、高分子化合物を含む溶液の粘度が高くなる、等のために、高分子化合物の操作性が悪くなる。
高分子化合物を含む溶液は、水溶液であることが好ましい。その理由は、ハイドロキシアパタイトの焼結体は、強い酸性条件下で溶解してしまうからである。高分子化合物を含む水溶液のpHは、5以上14以下であってハイドロキシアパタイトの焼結体が不溶な条件あれば特に限定されるものではない。高分子化合物を含む水溶液は、高分子化合物を蒸留水またはイオン交換水等に溶解し、当該水溶液を、アンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を用いてpHを調整して作製すればよい。
上記水溶液に含まれる高分子化合物の濃度は、0.001%w/v以上50%w/v以下が好ましく、0.005%w/v以上30%w/v以下が更に好ましく、0.01%w/v以上10%w/v以下が最も好ましい。
上述した好ましい範囲未満であると、高分子化合物が一次粒子間に入り込む量が減少し、一次粒子同士の接触を阻止する効果が低くなる。一方、上述した好ましい範囲を超えると、高分子化合物の溶解が困難になる、高分子化合物を含む溶液の粘度が高くなる、等のために、高分子化合物の操作性が悪くなる。
混合工程では、上記高分子化合物を含む溶液と、一次粒子とを混合する。例えば、混合工程では、高分子化合物を含む溶液中に一次粒子を投入し、撹拌操作によって、高分子化合物を含む溶液中に一次粒子を分散させればよい。当該混合工程によって、一次粒子の表面に高分子化合物が吸着し、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、または、これらの塩のいずれかを一次粒子の表面に付加することができる。このとき、当該カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基またはアミノ基は、溶液中でイオンの状態で存在している。
高分子化合物を含む溶液と一次粒子とを混合した溶液に、金属塩(アルカリ金属塩、および/または、アルカリ土類金属塩、および/または、遷移金属塩)を更に添加すれば、一次粒子の表面に存在するカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオンまたはアミノイオンと、金属イオン(アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオン及び/又は遷移金属イオン)とが結合し、一次粒子の表面にカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩が生じる。当該カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩が、上記融着防止剤として機能する。
従って、金属(アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属、および/または、遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩がその表面に生じた一次粒子が、いわゆる「混合粒子」である。
このような、金属(アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属、および/または、遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩は、沈殿する。したがって、当該沈殿物を回収、乾燥させた後、後述する焼結工程に供すればよい。
回収した沈殿物を乾燥させる方法としては、例えば、沈殿物を、減圧条件下(1×10Pa以上1×10−5Pa以下が好ましく、1×10Pa以上1×10−3Pa以下が更に好ましく、1×10Pa以上1×10−2Pa以下が最も好ましい。)で加熱(0℃以上200℃以下が好ましく、20℃以上150℃以下が更に好ましく、40℃以上120℃以下が最も好ましい。)する方法を挙げることができる。なお、乾燥温度を下げることができるので、上記乾燥を減圧条件下で行うことが好ましいが、上記乾燥を大気圧条件下で行なってもよい。
上記アルカリ金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ酸ナトリウム、酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化カリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ酸カリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、硫酸カリウム、チオ硫酸カリウム、セレン酸カリウム、亜硝酸カリウム、硝酸カリウム、リン化カリウム、炭酸カリウムまたは水酸化カリウム等を挙げることができる。
上記アルカリ土類金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化マグネシウム、次亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、セレン酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ酸カルシウム、酸化カルシウム、過酸化カルシウム、硫酸カルシウム、チオ硫酸カルシウム、セレン酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン化カルシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウム等を挙げることができる。
上記遷移金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化亜鉛、次亜塩素酸亜鉛、亜塩素酸亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、硫酸亜鉛、チオ硫酸亜鉛、セレン酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩化鉄、次亜塩素酸鉄、亜塩素酸鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、ヨウ酸鉄、酸化鉄、過酸化鉄、硫酸鉄、チオ硫酸鉄、セレン酸鉄、亜硝酸鉄、硝酸鉄、リン化鉄、炭酸鉄または水酸化鉄等を挙げることができる。上記遷移金属塩としては、ニッケル化合物であってもよい。
高分子化合物を含む溶液と一次粒子とを混合した溶液に添加する金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩)は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
添加される金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属)は、固体の状態であってもよいが、均一に添加することができること、および、添加する濃度を制御することができること、等の理由から、水溶液の状態であることが好ましい。
添加される金属塩(アルカリ金属塩、および/または、アルカリ土類金属塩、および/または、遷移金属塩)の量(濃度)は、一次粒子の表面に存在するカルボン酸イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、ホスホン酸イオン、アミノイオンと結合して、金属(アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属、および/または、遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩を生じる量(濃度)であればよく、特に限定されるものではない。
混合工程によって一次粒子の表面に生じた金属(アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属、および/または、遷移金属)のカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アミノ酸塩は、後述する焼結工程において熱分解を受け、金属(アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属、および/または、遷移金属)の酸化物になる。
例えば、一次粒子の表面にポリアクリル酸カルシウムが生じている場合には、焼結工程によって、当該ポリアクリル酸カルシウムから酸化カルシウムが生じる。尚、当該金属酸化物(アルカリ金属酸化物、および/または、アルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化カルシウム)、および/または、遷移金属酸化物)は水溶性であるため、後述する除去工程によって簡単に除去することが可能である。
ポリアクリル酸ナトリウムは水に可溶であるため、混合工程において融着防止剤としてそのまま利用可能である。一方、ポリアクリル酸カルシウムは水に不溶であるため、一旦ポリアクリル酸のみを一次粒子の表面に吸着させた後に、カルシウム塩等を添加することで、ポリアクリル酸カルシウムを一次粒子の表面に析出させることが好ましい。
高温(約300℃以上)にて一次粒子を仮焼する際に高分子化合物は分解するため、仮焼後も融着防止剤として機能するように、高分子化合物の金属塩を一次粒子の表面に析出させておくことが好ましい。但し、高分子化合物が分解しない(軟化しない)温度において一次粒子を仮焼(熱処理)する場合には、高分子化合物の金属塩を一次粒子の表面に析出させておく必要はない。
(C.焼結工程)
焼結工程は、上記混合工程によって得られた混合粒子を焼結温度に曝して、当該混合粒子を高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子(焼結体粒子)にする工程である。一次粒子の粒子間に融着防止剤が介在しているので、焼結工程における高温条件に曝された場合であっても、一次粒子同士の融着を防止することができる。
焼結工程における焼結温度は、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の硬度が所望の硬度となるように適宜設定すればよく、例えば、100℃〜2000℃であることが好ましく、200℃〜2000℃であることが更に好ましく、300℃〜2000℃であることが更に好ましく、400℃〜2000℃であることが更に好ましく、500℃〜2000℃であることが更に好ましく、500℃〜1800℃であることが更に好ましく、500℃〜1500℃であることが更に好ましく、500℃〜1250℃であることが更に好ましく、500℃〜1200℃であることが最も好ましい。
焼結温度の下限値としては、500℃以上が好ましい。焼結温度が500℃よりも低いと、焼結が十分でない場合がある。それ故に、焼結温度が500℃以上である方が、所望の効果をより高く得ることができる。
一方、焼結温度の上限値としては、1800℃以下が好ましく、1500℃以下が更に好ましく、1250℃以下が更に好ましく、1200℃以下が最も好ましい。焼結温度が1800℃よりも高いと、ハイドロキシアパタイトが分解する場合がある。それ故に、焼結温度が1800℃以下である方が、所望の効果をより高く得ることができる。
焼結工程の実施に用いられる装置は、特に限定されるものではなく、製造規模、製造条件等に応じて、適宜、市販の焼成炉を用いればよい。
(D.除去工程)
除去工程は、焼結工程によって得られた高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の粒子間に存在する融着防止剤を取り除く工程である。
除去工程の具体的な構成は、混合工程において採用した融着防止剤に応じて適宜選択することができる。例えば、溶媒に対して溶解性を有する融着防止剤を用いた場合には、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を溶解しない溶媒であって、かつ融着防止剤を溶解する溶媒を用いて、融着防止剤のみを溶媒に溶解して除去することができる。
用いる溶媒としては、上述した要件を満たす溶媒であれば特に限定されるものではなく、水系溶媒であってもよいし、有機溶媒であってもよい。例えば、水系溶媒としては、水、エタノール、メタノール等が挙げられ、有機溶媒としては、アセトン、トルエン等が挙げられる。
上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、キレート化合物(例えば、シュウ酸塩、エチレンジアミン、ビピリジン、エチレンジアミン四酢酸塩等)を含んでいてもよい。更に、上記水系溶媒は、融着防止剤の水への溶解性を上げるために、電解質イオン(例えば、塩化ナトリウム、硝酸アンモニウム、炭酸カリウム等)を含んでいてもよい。
有機溶媒の使用に対応する設備が不要になること、有機溶媒を含む廃液の処理が不要になること、製造作業の安全性が高いこと、環境に対するリスクが低いこと、等の理由から、使用する溶媒は水系溶媒が好ましい。
焼結体である高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子は、pH4.0未満の条件にて溶解するので、除去工程をpH4.0〜pH12.0で行なうことが好ましい。
溶媒を用いて融着防止剤を除去する場合には、焼結工程によって得られた融着防止剤を含む高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を溶媒に懸濁させた後、ろ過または遠心分離によって、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子のみを回収すればよい。当該操作は、1回に限られるものではなく2回以上行なってもよい。上記操作を複数回行なうことで、融着防止剤の除去率を向上させることができる。ただし、製造工程が複雑になること、製造コストが高くなること、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の回収率が低下すること、等の理由により、上記操作を必要以上に行なうことは好ましくない。上記操作の回数は、目標とする融着防止剤の除去率を基準にして適宜決定すればよい。
除去工程には、更に、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の粒子径を略均一にするための分級工程が含まれていてもよい。
融着防止剤を除去する方法として、上述した溶媒を用いて融着防止剤を除去する方法以外に、融着防止剤として磁性体を用い、当該融着防止剤をマグネットによって除去する方法を挙げることができる。
より具体的には、焼結工程によって得られた融着防止剤を含む高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を適当な溶媒(水等)に懸濁した後、当該懸濁液に磁力をかけて融着防止剤のみをマグネットに吸着させ、マグネットに吸着しなかった高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子のみを回収すればよい。
あるいは、焼結工程によって得られた融着防止剤を含む高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を溶媒に懸濁することなく、すりつぶして粉体にした後、マグネットによって融防止剤を除去することも可能である。
ただし、適当な溶媒(水等)を用いた方が、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子から融着防止剤が剥離しやすく、融着防止剤の除去率は高いといえる。
以上に説明した方法にて作製された焼結体である高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子は、融着防止剤の作用によって一次粒子同士の融着が防止されているために、その過半数が一次粒子の状態を維持している。したがって、当該高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子を溶媒中に懸濁すれば、高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子の過半数が、ハイドロキシアパタイトの単結晶からなる一次粒子(または、ハイドロキシアパタイトの単結晶を含む一次粒子)、または、ハイドロキシアパタイトの単結晶からなる一次粒子(または、ハイドロキシアパタイトの単結晶を含む一次粒子)がイオン的な相互作用を介して集合化した粒子塊(単結晶一次粒子)として、分散することができる。
本実施の形態に用いられる焼結体であるハイドロキシアパタイトの粒子は、その過半数が単結晶からなる一次粒子、または、単結晶からなる一次粒子がイオン的相互作用にて集合化した粒子塊(単結晶一次粒子)であり、溶媒中での分散性が良く、二次粒子を形成していないためにその表面積も大きい。
焼結体である高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子が一次粒子の状態で存在しているか否かを評価する方法としては、例えば、電子顕微鏡によって測定された粒子径と、溶媒に懸濁された粒子を動的光散乱法にかけて測定された粒子径と、を比較する方法を挙げることができる。両者の結果が略一致すれば、焼結体である高結晶性ハイドロキシアパタイト粒子のほとんどが一次粒子の状態であると判断することができる。一方、電子顕微鏡観察によって測定された粒子径よりも、動的光散乱法によって測定された粒子径が大きくなれば、一次粒子同士の融着が起こり、二次粒子が形成されていると判断することができる。
リン酸カルシウム原料、融着防止剤の種類、焼結の条件等によって異なる場合があるが、上述した方法によって作製される焼結体であるハイドロキシアパタイトの粒子群では、少なくとも50%以上の粒子が単結晶のハイドロキシアパタイトとして存在し、より好適な場合には60%以上の粒子が単結晶のハイドロキシアパタイトとして存在し、最も好適な条件下においては70%以上の粒子が単結晶のハイドロキシアパタイトとして存在する。
〔2.化粧料〕
本実施の形態の化粧料は、本発明の化粧料用材料を含むものである。なお、化粧料用材料については既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
本実施の形態の化粧料に含まれる化粧料用材料の量は、特に限定されないが、例えば、0.1重量%〜95重量%であってもよく、1重量%〜95重量%であってもよく、10重量%〜95重量%であってもよく、20重量%〜95重量%であってもよく、30重量%〜95重量%であってもよく、40重量%〜95重量%であってもよく、50重量%〜95重量%であってもよく、60重量%〜95重量%であってもよく、70重量%〜95重量%であってもよく、80重量%〜95重量%であってもよく、90重量%〜95重量%であってもよい。
なお、本実施の形態の化粧料に含まれる化粧料用材料の量の上限値は95重量%に限定されず、例えば、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%または90重量%であってもよい。つまり、本実施の形態の化粧料に含まれる化粧料用材料の量は、先に記載した範囲の上限値95重量%を、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%または90重量%に書き換えた範囲であってもよい。
上記構成であれば、効果の高い化粧料を実現することができる。
本実施の形態の化粧料は、上述した化粧料用材料以外に、通常の化粧料に用いられる成分を含んでいてもよい。
このような成分としては、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレインアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、ベへニン酸、牛脂、オリーブ油類、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリン、1,3ブチレングリコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、エタノール、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、または、色素を挙げることができる。
本実施の形態の化粧料は、メークアップ化粧料(例えば、ファンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、アイブロー、アイシャドー、まゆずみ、おしろい、フェイスパウダー)、クリーム、または、スキンケア化粧料(例えば、乳液、化粧水、ジェル、ボディパウダー)として用いることができる。
<1>ハイドロキシアパタイトの焼結体の作製
<1−1>一次粒子生成工程
連続オイル相としてドデカン〔CH(CH10CH〕、非イオン性界面活性剤として曇点31℃のペンタエチレングリコールドデシルエーテル〔CH(CH10CHO(CHCHO)CHCHOH〕を用いた。
室温において、上記非イオン性界面活性剤0.5gを含有している連続オイル相40mLを調製した。次に、調製した連続オイル相に、2.5mol/Lの水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕分散水溶液10mLを添加し、油中水滴型溶液(W/O溶液)を調製した。
上記W/O溶液を攪拌しながら、当該W/O溶液に1.5mol/Lのリン酸二水素カリウム〔(KHPO)〕溶液を10mL添加した。そして、24時間、室温で撹拌しながら反応させた。
次に、得られた反応物を遠心分離して分離洗浄することにより、ハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子を取得した。
<1−2>混合工程
1.0gのポリアクリル酸ナトリウム(ALDRICH社製、重量平均分子量15,000g/mol)を含むpH12.0の水溶液100mLに、1.0gのハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子を分散させることで、ハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子の表面にポリアクリル酸ナトリウムを吸着させた。なお、水溶液のpHは株式会社 堀場製作所製pHメータD−24SEを用いて測定した。
次に、調製した分散液に、0.12mol/Lの硝酸カルシウム〔Ca(NO〕水溶液100mLを添加することで、ハイドロキシアパタイト(HAp)一次粒子の表面にポリアクリル酸カルシウムを析出させた。当該ポリアクリル酸カルシウムは、融着防止剤として機能する。生じた沈殿物を回収し、当該沈殿物を減圧下(約0.1Pa)80℃にて乾燥させることで、混合粒子を取得した。
<1−3>焼結工程
上記混合粒子をルツボに入れ、800℃にて1時間の焼結を行なった。この際、ポリアクリル酸カルシウムは熱分解して、酸化カルシウム〔CaO〕となった。焼結工程終了後の酸化カルシウム〔CaO〕の残存率は25%以上であった。
<1−4>除去工程
融着防止剤の水への溶解性を上げるために、50mmol/Lの硝酸アンモニウム〔NHNO〕水溶液を調製した。次に、当該水溶液500mLに、上記焼結工程にて得られた焼結体を懸濁し、遠心分離により分離洗浄し、さらに蒸留水に懸濁し、同様に遠心分離により分離洗浄を行なうことによって、融着防止剤および硝酸アンモニウムを除去し、高結晶性ハイドロキシアパタイト(HAp)微粒子を回収した。これらの工程により得られたハイドロキシアパタイト微粒子の詳細な情報について、以下にまとめた。
・XRDの半値幅:0.2(d=2.814)
・形状:球状
・平均粒径(電子顕微鏡より):28nm
・変動係数:14%
<2>化粧料用材料の作製
図1に、本実施例に用いたタルク(日本タルク株式会社製、商品名:タルクリア LH(登録商標))の走査型電子顕微鏡の像を示す。図1に示すように、当該タルクの表面には未だハイドロキシアパタイト微粒子が付着していない。以下では、当該タルクの表面にハイドロキシアパタイト微粒子を付着させる工程について説明する。
まず、0.3gのポリアクリル酸(和光純薬製、分子量25,000)を100gの水に添加し、当該水溶液に対して、10分間の超音波処理および10分間の撹拌処理を行った。これらの処理によって、ポリアクリル酸が溶解した水溶液を作製した。
上記水溶液を撹拌しながら、当該水溶液に対して、10分間かけて1.0gのタルクを加え、タルク懸濁液を作製した。
上記タルク懸濁液を更に1時間撹拌することによって、ポリアクリル酸とタルクとの複合粉体を形成した。
PTFEフィルタ(孔径3μm)を用いて複合粉体を濾過し、当該複合粉体を一昼夜乾燥させた。
次いで、0.336gの上記<1>にて説明したハイドロキシアパタイト微粒子を200gの無水エタノールに添加して、微粒子分散溶液を作製した。
上記微粒子分散溶液を35℃の温度に保った状態で、当該微粒子分散溶液に対して上述した複合粉体を加えて、1時間撹拌した。これによって、ハイドロキシアパタイト微粒子によって覆われた複合粉体を形成した。なお、以下では、ハイドロキシアパタイト微粒子によって覆われた複合粉体を、化粧料用材料と呼ぶ。
PTFEフィルタ(孔径3μm)を用いて、化粧料用材料を濾過した。
上記化粧料用材料を40gのエタノールに懸濁し、その後、当該懸濁液を1500rpmの条件下で遠心分離をして化粧料用材料を分離した。当該工程を2回行うことによって、化粧料用材料を洗浄した。
2回目の遠心分離によって分離された化粧料用材料を一昼夜乾燥させて、最終生成物を得た。
上記最終生成物の収量は1.06gであり、その収率は91%であった。
図2に、上記最終生成物の走査型電子顕微鏡の像を示す。図2に示すように、上記最終生成物の表面には、ハイドロキシアパタイト微粒子が付着していた。
また、上記最終生成物の表面の52%以上が、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われていた。なお、日本電子(株)製の電界放出型走査電子顕微鏡を用いて生成物の表面を撮影し、その写真を元にアドビシステムズ(株)のソフトウェア(フォトショップ(登録商標))を用いてハイドロキシアパタイトの焼結体による表面被覆率を算出した。
本発明は、様々な化粧料(メークアップ化粧料(例えば、ファンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、アイブロー、アイシャドー、まゆずみ、おしろい、フェイスパウダー)、クリーム、または、スキンケア化粧料(例えば、乳液、化粧水、ジェル、ボディパウダー))の材料となる化粧料用材料に利用することができる。

Claims (11)

  1. タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、アルミナ、硫酸バリウム、合成雲母、パール光沢材料または有機粉体によって形成されている粒子状の基材の表面の少なくとも一部が、ハイドロキシアパタイトの焼結体によって覆われていることを特徴とする化粧料用材料。
  2. 上記ハイドロキシアパタイトの焼結体は、ハイドロキシアパタイトの単結晶を含有していることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用材料。
  3. 上記ハイドロキシアパタイトの焼結体は、ハイドロキシアパタイトのアモルファスを500℃〜1800℃の温度にて焼成して得られるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料用材料。
  4. 上記基材と上記ハイドロキシアパタイトの焼結体とが、イオン的相互作用または共有結合を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧料用材料。
  5. 上記基材と上記ハイドロキシアパタイトの焼結体とが、上記基材に備えられているカルボキシル基、チオール基、硫酸基、リン酸基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、または、4−メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライド基を介して互いに連結されていることを特徴とする請求項4に記載の化粧料用材料。
  6. 上記ハイドロキシアパタイトの焼結体の形状は、球状またはロッド状であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧料用材料。
  7. 上記ハイドロキシアパタイトの焼結体は、粒径が10nm〜150nmの粒子であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の化粧料用材料。
  8. 上記ハイドロキシアパタイトの焼結体による上記基材の表面の被覆率は、0.1%〜100%であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の化粧料用材料。
  9. 上記基材は、板状または球状の粒子であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の化粧料用材料。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の化粧料用材料を含むことを特徴とする化粧料。
  11. 上記化粧料は、メークアップ化粧料、クリームまたはスキンケア化粧料であることを特徴とする請求項10に記載の化粧料。
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