JP2015024953A - アルカリ金属硫化物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、硫化リチウムを原料に固体電解質を製造する技術としてメカニカルミリング法、炭化水素系溶媒中で合成するスラリー法、溶融法がある。
硫化リチウムを固体電解質以外の製造に使用する場合でも、他の原料との接触面積が小さいことから合成に時間がかかる。
また、特許文献1〜3の方法により硫化リチウム以外のアルカリ金属硫化物も製造することができるが、これらアルカリ金属硫化物を原料に用いて他の目的物を合成する場合にも同様の問題が生じる。
1.BET法で測定した比表面積が1.0m2/g以上であり、平均粒径が150μm以下であるアルカリ金属硫化物粒子を含むアルカリ金属硫化物。
2.細孔容積が0.002ml/g以上であり、平均粒径が150μm以下であるアルカリ金属硫化物粒子を含むアルカリ金属硫化物。
3.前記アルカリ金属硫化物粒子が、硫化リチウム粒子である1又は2に記載のアルカリ金属硫化物。
4.3に記載のアルカリ金属硫化物を用いて製造した硫化物系固体電解質。
5.溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を含む溶媒を用いて1〜3のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物粒子を製造するアルカリ金属硫化物粒子の製造方法。
6.前記溶媒が、前記溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を0.1wt%以上含む5に記載のアルカリ金属硫化物粒子の製造方法。
7.前記溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒が、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル結合、−O−Si−結合、ケトン結合、エステル結合、カーボネート結合、−S(=O)−結合、クロロ、フロオロから選ばれる1種類以上の極性基を有する溶媒である5又は6に記載のアルカリ金属硫化物粒子の製造方法。
8.溶解パラメーターが8.5以上の、カーボネート結合を有する極性溶媒を含む溶媒を用いて1〜3のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物粒子を製造するアルカリ金属硫化物粒子の製造方法。
9.前記溶媒が、前記溶解パラメーターが8.5以上の、カーボネート結合を有する極性溶媒を0.1wt%以上含む8に記載のアルカリ金属硫化物粒子の製造方法。
平均粒径が150μm以下であると、粒子表面から中心部までの距離が小さくなるため、アルカリ金属硫化物を合成原料とした場合に合成時間を短くでき、またアルカリ金属硫化物の中心部分が未反応になる可能性を低くすることができる。
平均粒径は、LASER回析法(例えば、MALVERN社Mastersizer200)により測定し、体積基準平均粒径から算出する。
改質とは、アルカリ金属硫化物の比表面積及び/又は細孔容積を大きくするように上記の溶媒により処理することをいう。
また、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒の沸点は、常圧下で好ましくは40℃〜300℃、より好ましくは45℃〜280℃である。この範囲であると、加熱真空下の溶媒除去での乾燥容易性から好ましい。
改質時間は、好ましくは5分から1週間、より好ましくは1時間から5日である。
尚、溶解パラメータが8.7以上のカーボネート結合を有する極性溶媒が好ましく、より好ましくは溶解パラメータが8.8以上のカーボネート結合を有する極性溶媒である。
ここで、溶解パラメータが8.5以上のカーボネート結合を有する極性溶媒には、上記したもの以外にジエチルカーボネートが含まれる。
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特許文献1の第1の発明(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpmで130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3L/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
(1)で得られた500mLのスラリ反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリ)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
このようにして精製したLi2Sを、以下の実施例1〜7で使用した。
ここで、微粒化アルカリ金属硫化物の添加量は、Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するバーグラフが規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることが出来なくなる。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定が出来ない。Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000では、微粒化アルカリ金属硫化物の添加量に基きバーグラフ粒子濃度が表示されるので、上記濃度範囲に入る添加量を見つけることになる。
ここで、トルエンに分散剤を添加するのは、微粒化アルカリ金属硫化物内の「凝集している固体電解質粒子」を一次粒子にする(分散させる)ためではなく、測定する微粒化アルカリ金属硫化物内の固体電解質粒子が凝集しないようにするためである。
細孔容積は比表面積と同じ装置で測定し、相対圧P/P00.99以上の測定点から、0.99に内挿して求めたものを使用した。装置の測定下限は0.001ml/gである。実施例と比較例においても同様に測定した。
(改質処理)
硫化リチウム2.0gをグローブボックス内でシュレンクビンに秤量した。これに窒素雰囲気下で脱水トルエン(和光純薬製)39ml、脱水メタノール(和光純薬製)1.4mlをこの順に加え、室温で4時間、スターラーで攪拌して改質処理をした。改質処理後、室温窒素気流下で溶媒を留去し、さらに真空下室温で2時間乾燥して、微粒化した硫化リチウムを回収した。得られた微粒化硫化リチウムの純度、水酸化リチウム含量、平均粒径、比表面積、細孔容積を測定した。結果を表1に示す。
表1に示した条件とした他は実施例1と同様にして改質処理を行い、微粒化硫化リチウムを評価した。結果を表1に示す。
ヘキサン(和光純薬製)は水分量10ppm以下、ジエチルカーボネート(和光純薬製)及びアセトニトリル(和光純薬製)は水分量30ppm以下であることをカールフィッシャー法にて確認し、それぞれ使用した。
(改質処理及び硫化水素ガス処理)
硫化リチウム4.0gをグローブボックス内でシュレンクビンに秤量した。これに窒素雰囲気下、脱水トルエン(和光純薬製)78ml、脱水メタノール(和光純薬製)13.8mlをこの順に加え、室温で4時間、テフロン(登録商標)製アンカー翼で攪拌した。改質処理後、硫化水素ガスを300ml/分で流通させながら、バス温を120℃まで昇温した。さらに90分硫化水素ガスを流通させて、処理を行った。硫化水素ガス処理後、室温窒素気流下で溶媒を留去し、さらに真空下、室温で2時間乾燥して微粒化した硫化リチウムを回収した。
実施例1と同様にして微粒化硫化リチウムを評価した。硫化リチウムは純度94.6%、水酸化リチウム量0.0%(測定下限以下)、平均粒径104μm、比表面積36m2/g、細孔容積0.231ml/gであった。
硫化リチウムの製造法(別法)
窒素気流下でトルエン(広島和光製試薬)270gを600mlセパラブルフラスコに加え、続いて水酸化リチウム30g(本荘ケミカル製)を投入し、フルゾーン撹拌翼300rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。
スラリー中に硫化水素(巴商会製)を300ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコからは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。尚、反応の間は、トルエン中に固体が分散して撹拌された状態であり、トルエンから分層した水分は無かった。
この後、硫化水素を窒素に切り替え300ml/分で1時間流通した。
アセトニトリル39ml中、室温で72時間とした他は実施例1と同様にして製造例2で合成した硫化リチウム2.0gの改質処理を行い、微粒化硫化リチウムを評価した。微粒化硫化リチウムは平均粒径5.7μm、比表面積15.0m2/g、細孔容積0.144ml/g、Li2S純度98.2%であった。
メタノールを使用しなかった他は実施例1と同様にして改質を行った。回収した硫化リチウムの粒子状態は処理前と同等であった。結果を表1に示す。
メタノールを使用しないで、改質温度を110℃とした他は実施例1と同様にして改質し、得られた微粒化硫化リチウムの評価をした。結果を表1に示す。
(電解質ガラスセラミックの調製)
攪拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、実施例6の微粒化Li2S1.55g、五硫化二りん3.46g、水分含有量10ppm以下に脱水した50mlのキシレン(和光純薬工業株式会社製)を仕込み、140℃で24時間反応させ、非晶質固体電解質を得た。非晶質固体電解質の一部を抜き取り、ろ過により固体部分を分離し、真空乾燥した。さらに、真空下で300℃、2時間の加熱処理を行った。この結晶化固体電解質は粉末状であり、イオン伝導度を測定したところ、1.41×10−6S/cmであった。
製造例2で合成した硫化リチウムを用いた他は、実施例8と同様にして微粒化処理を行い、微粒化硫化リチウムを調製し評価した。硫化リチウムは純度95.5%、平均粒径14.3μm、比表面積25m2/g、細孔容積0.325ml/gであった。
実施例11の微粒化硫化リチウム(Li2S)を用いた他は実施例10と同様にして電解質ガラスセラミックを調製した。イオン伝導度を測定したところ、6.41×10−4S/cmであった。
攪拌子入りオートクレーブを窒素で置換し、実施例11の微粒化硫化リチウム1.55g、五硫化二りん3.46g、脱水トルエン(和光純薬工業株式会社製)50mlを仕込み、150℃で72時間反応させ、非晶質固体電解質を得た。非晶質固体電解質の一部を抜き取り、ろ過により固体部分を分離し、真空乾燥した。さらに、真空下で300℃、2時間の加熱処理を行った。この結晶化固体電解質は粉末状であり、イオン伝導度を測定したところ、9.24×10−4S/cmであった。
Claims (9)
- 原料硫化リチウムを、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を含む溶媒中で、100℃以下で撹拌して、硫化リチウム粒子を得るアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 前記溶媒が、前記溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を0.1wt%以上含む請求項1に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 前記溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒が、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル結合、−O−Si−結合、ケトン結合、エステル結合、カーボネート結合、−S(=O)−結合、クロロ、フロオロから選ばれる1種類以上の極性基を有する溶媒である請求項1又は2に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 原料硫化リチウムを、溶解パラメーターが8.5以上の、カーボネート結合を有する極性溶媒を含む溶媒中で、100℃以下で撹拌して、硫化リチウム粒子を得るアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 前記溶媒が、前記溶解パラメーターが8.5以上の、カーボネート結合を有する極性溶媒を0.1wt%以上含む請求項4に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 前記得られる硫化リチウム粒子が、比表面積及び細孔容積の少なくとも一方を大きくした硫化リチウム粒子である請求項1〜5のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 前記溶解パラメーターが9.2以上である請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 前記極性溶媒の水分量が50ppm以下である請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法で製造されるアルカリ金属硫化物を用いる硫化物系固体電解質の製造方法。
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