JP2015005371A - 硫化物系固体電解質の製造方法 - Google Patents

硫化物系固体電解質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硫化物系固体電解質の元素組成を精密に制御できる硫化物系固体電解質の製造方法を提供する。【解決手段】アルカリ金属硫化物と硫化物、又は、アルカリ金属と単体リン及び単体硫黄を溶媒中で接触させ硫化物系固体電解質前駆体を得る第一の工程、前記硫化物系固体電解質前駆体の元素組成を分析する第二の工程、及び追加のアルカリ金属硫化物又は硫化物を溶媒中に添加して前記硫化物系固体電解質前駆体と接触させる第三の工程を含む硫化物系固体電解質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、硫化物系固体電解質の製造方法に関する。
全固体電池の分野において、従来から、硫化物系固体電解質材料が知られている。例えば、特許文献1には、硫化リチウムと他の硫化物から固体電解質を製造する方法が開示されている。原料である硫化リチウムは、例えば、特許文献2に、水酸化リチウムと硫化水素をトルエン中で接触させて、スラリーの形態で得られることが開示されている。
しかし、原料がスラリーの形態で与えられる場合、特に大規模生産の際には使用量が多くスラリー中である程度の濃度勾配が生じることは避けられないため、スラリー中の硫化リチウムの濃度を正確に測定することが難しく、目的とする使用量と実際の使用量とが相違し、結果として目的とする固体電解質の元素組成からズレが生じるおそれがある。
無機固体電解質は、わずかな組成のズレによって性能が大きく変わることから、元素組成を精密に制御して硫化物系固体電解質を製造できる方法が求められている。
特開2010−140893号公報 特開平7−330312号公報
本発明の目的は、硫化物系固体電解質の元素組成を精密に制御できる硫化物系固体電解質の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の硫化物系固体電解質の製造方法が提供される。
1.アルカリ金属硫化物と硫化物、又は、アルカリ金属と単体リン及び単体硫黄を溶媒中で接触させ硫化物系固体電解質前駆体を得る第一の工程、
前記硫化物系固体電解質前駆体の元素組成を分析する第二の工程、及び
追加のアルカリ金属硫化物又は硫化物を溶媒中に添加して前記硫化物系固体電解質前駆体と接触させる第三の工程
を含む硫化物系固体電解質の製造方法。
2.前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである1記載の製造方法。
3.前記アルカリ金属硫化物がスラリーの形態の硫化リチウムである1又は2記載の製造方法。
4.前記アルカリ金属硫化物が、水酸化リチウムと硫化水素をトルエン中で接触させて得られたスラリーの形態の硫化リチウムである1〜3のいずれか記載の製造方法。
5.前記硫化物が硫化リンである1〜4のいずれか記載の製造方法。
6.前記硫化物が五硫化二リンである1〜5のいずれか記載の製造方法。
7.前記溶媒が炭化水素である1〜6のいずれか記載の製造方法。
8.前記溶媒がトルエンである1〜7のいずれか記載の製造方法。
9.少なくとも第三の工程を、粉砕機を用いて溶媒中の固形成分を粉砕しながら行う1〜8のいずれか記載の製造方法。
10.前記第二の工程をICP発光分光分析により行う1〜9のいずれか記載の製造方法。
11.前記第二の工程で分析した硫化物系固体電解質前駆体の元素組成と、目的とする硫化物系固体電解質の元素組成との相違から、前記第三の工程において添加するアルカリ金属硫化物又は硫化物とその添加量を決定する1〜10のいずれか記載の製造方法。
12.前記第三の工程の後に、さらに第二の工程と第三の工程を繰り返して行うことを含む1〜11のいずれか記載の製造方法。
13.さらにハロゲン化物を原料として用いる1〜12のいずれか記載の製造方法。
14.前記アルカリ金属硫化物と前記硫化物のモル比が69.5〜30.5:30.5〜29.5、又は74.5〜75.5:25.5〜24.5である1〜13のいずれか記載の製造方法。
本発明によれば、硫化物系固体電解質の元素組成を精密に制御できる硫化物系固体電解質の製造方法が提供できる。
図1は本発明の製造方法において使用できる固体電解質製造装置の一実施形態を示す図である。 図2は本発明の製造方法において使用できる固体電解質製造装置の他の実施形態を示す図である。
本発明の硫化物系固体電解質の製造方法は、アルカリ金属硫化物と硫化物、又は、アルカリ金属と単体リン及び単体硫黄を溶媒中で接触させ硫化物系固体電解質前駆体を得る第一の工程、前記硫化物系固体電解質前駆体の元素組成を分析する第二の工程、及び追加のアルカリ金属硫化物又は硫化物を溶媒中に添加して前記硫化物系固体電解質前駆体と接触させる第三の工程を含む。
本発明の製造方法により、硫化物系固体電解質の元素組成を精密に制御して製造することができる。また、目的とする硫化物系固体電解質の元素組成が得られることで、所望とする性能を安定的に得ることができる。
[原料]
本発明の製造方法における原料は、アルカリ金属硫化物と硫化物、又は、アルカリ金属と単体リン及び単体硫黄である。使用できるアルカリ金属硫化物と硫化物は、特に限定されない。アルカリ金属としてはリチウムが好ましい。硫化物は、製造する硫化物系固体電解質の構成元素に照らして適宜選択することができる。
アルカリ金属としてリチウムを使用する場合、原料は、例えば、硫化リチウム(LiS)と硫化リン(好ましくは、五硫化二リン(P))、硫化リチウムと単体リン及び単体硫黄、又は、硫化リチウムと、硫化リン(好ましくは、五硫化二リン)と、単体リン及び/又は単体硫黄を好適に使用することができる。
アルカリ金属硫化物と硫化物のモル比、又は、アルカリ金属と単体リン及び単体硫黄のモル比は、特に限定されず、製造する硫化物系固体電解質の構成元素のモル比に照らして適宜選択することができる。アルカリ金属硫化物と硫化物のモル比は、例えば、69.5〜30.5:30.5〜29.5、又は74.5〜75.5:25.5〜24.5である。
アルカリ金属としてリチウムを使用する場合、原料中のリチウムとリンの比は、例えば、60:40<Li:P≦85:15(モル比)であり、好ましくは、65:35<Li:P≦83:17(モル比)であり、さらに好ましくは、67:33<Li:P≦81:19(モル比)である。
尚、リチウム、リンの比は、上記の範囲に含まれていればよいが、最適な電導度性能を発現するためには、上記の組成を精密に制御する必要がある。本発明の製造方法により硫化物系固体電解質の元素組成を精密に制御して製造することができる。この点については後述する。
以下、アルカリ金属としてリチウムを使用する場合の態様を説明する。
本発明の製造方法において使用できる硫化リチウムは、特に限定されず、工業的に入手可能なものであればよい。高純度のものが好ましい。
硫化リチウム中、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量は、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下であり、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量は、好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、水酸化リチウムの含有量は、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、炭酸リチウムの含有量は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、水硫化リチウムの含有量は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、リチウム以外の金属(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄等)の総含有量は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
硫化リチウムの製造方法としては、上記説明したような不純物の含有量を低減できる方法であれば特に限定されない。例えば、以下のa〜cの製造方法により製造された硫化リチウムを製造し、さらに後述する方法により精製すればよい。以下のa〜cの製造方法の中では、a又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性極性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0℃〜150℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150℃〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報参照)。
b.非プロトン性極性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150℃〜200℃で反応させ、硫化リチウムを直接生成する方法(特開平7−330312号公報参照)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130℃〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報参照)。
上記のようにして得られた硫化リチウムはさらに精製して使用する。精製方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2005/40039号に記載された精製方法等が好ましい。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、a又はbの製造方法を使用した場合、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性極性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等が挙げられ、これらは単独溶媒又は混合溶媒として好適に使用できる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましい。
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で用いられる硫化リチウムを得ることができる。
尚、本発明の硫化物系固体電解質の製造方法において、トルエン、キシレン等の不活性溶媒を用いて反応を行う場合、乾燥処理を行わずにスラリー溶液のまま、保管して、使用してもよい。
上記のa〜cの製造方法のほか、次のdの製造方法によっても硫化リチウムを製造することができる。
d.水酸化リチウムと炭化水素系有機溶媒からなるスラリー中に、硫化水素ガスを吹き込み、水酸化リチウムと硫化水素を反応させ、反応により生じる水をスラリーから除去しながら反応を継続し、系内の水分が実質的に無くなった後、硫化水素の吹き込みを止め、不活性ガスを吹き込む方法(特開2010−163356号公報参照)。
使用できる炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、又は芳香族炭化水素が挙げられる。飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これらのうち特にトルエン、キシレンが好ましい。
dの方法で調製した硫化リチウムは、一旦乾燥してから使用してもよいが、スラリー溶液のまま、使用してもよい。
硫化リチウムは、上記のa〜dの製造方法で得られたものを直接使用してもよいが、さらに以下の方法で事前に微粒化(改質)処理を施してもよい。
硫化リチウムの微粒化処理の方法としては、ミル装置等を用いて物理的に粉砕する方法、あるいは、極性基を1個以上もつ極性溶媒を硫化リチウムに添加して撹拌する方法が挙げられる。
ミル装置等を用いた物理的に粉砕する方法は、ボールミル、遊星ボールミル、転動ミル、ジェットミル装置等を用いて、乾式又は湿式で行うことができる。
湿式の場合、用いることのできる溶媒は、非水系溶媒であり、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル等が挙げられる。
極性基を1個以上もつ極性溶媒を硫化リチウムに添加して撹拌する方法において用いる、極性基を1個以上もつ極性溶媒としては、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル(−O−)結合、−Si−O−結合、ケトン(−C(=O)−)結合、エステル(−C(=O)−O−)結合、カーボネート(−O−C(=O)−O−)結合、−S(=O)−結合、クロロ、及びフルオロから選ばれる1種類以上の極性基をもつ溶媒であることが好ましい。
極性基を1種類含む極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、水、エチレングリコール、蟻酸、酢酸、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、フマロニトリル、ベンゾニトリル、トリメチルシリル=シアニド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二硫化炭素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、フェニルメチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、酢酸エチル、無水酢酸、メチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、メチレンクロライド、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ヘキサフロオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。
極性基を2種類含む極性溶媒としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフロオロイソプロパノール、2−アミノエタノール、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、シアノ酢酸メチル、ジフルオロアセトニトリル、2−ニトロトルエン等が挙げられる。
微粒化処理は、上記の極性溶媒のみを用いて行うことも可能であるが、非極性溶媒を併用して、スラリーとすることが望ましい。
上記の極性溶媒は脱水する必要はないが、水分量により、得られる微粒化物中に複製する水酸化アルカリ金属の量に影響を与えるおそれがあるため、微粒化処理において使用する全溶媒中の水分量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。
極性溶媒の全溶媒中における濃度は、好ましくは0.1wt%以上100wt%以下である。より好ましくは0.2wt%以上、さらにより好ましくは0.5wt%以上である。
極性溶媒の沸点は、常圧下で、好ましくは40℃〜300℃、より好ましくは45℃〜280℃である。この範囲であると、加熱真空下で溶媒を除去する際、乾燥容易性から好ましい。
微粒化(改質)処理の際、全溶媒に対し、アルカリ金属硫化物を0.5wt%〜1000wt%とすることが望ましい。
改質処理温度は、使用する溶媒の沸点、凝固点により異なるが、好ましくは−100℃以上100℃以下、より好ましくは−80℃以上80℃以下である。高温での改質処理は、望ましい結果が得られないおそれがある。
改質時間は、好ましくは5分から1週間、より好ましくは1時間から5日である。
改質処理は、連続相、バッチ相のいずれにおいても可能である。バッチ反応の場合、撹拌は一般的な翼が使用可能であり、好ましくはアンカー翼、ファドラー翼、ヘリカル翼、マックスブレンド翼である。ラボスケールでは、一般的にスターラーによる撹拌子が用いられる。また、バッチ反応では、ボールミルを用いた反応槽も使用可能である。
改質処理を行った後、必要により溶媒を除去する。極性溶媒を除去する場合、例えば真空下での加熱により行うことができる。また、非極性溶媒に置換することもできる。改質後の工程がスラリー状態を要求する場合、この溶媒置換を行った後、スラリー状態のままで保管することもできる。
改質した微粒化物は、残存溶媒を除去するため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は好ましくは窒素気流下又は真空下で行う。乾燥温度は好ましくは室温〜300℃である。
使用する溶媒の種類によっては、改質時にアルカリ金属水酸化物が副生することがある。この水酸化物は、硫化水素ガスを微粒化物スラリー溶液へ導入することで硫化物へ再変換することができる。
本発明の製造方法において使用できる硫化リンは、特に限定されないが、五硫化二リン(P)が好ましい。
五硫化二リンは、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用できる。純度は、95%以上が好ましく、さらに好ましくは99%以上である。
尚、硫化リンの一部又は全部に代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン及び単体硫黄は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
また、イオン伝導性を発現させるため、アルカリ金属硫化物と硫化物に加えて、原料にハロゲン化物を添加してもよい。好ましくは、リチウム又はリンのハロゲン化物である。
ハロゲン化物としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、三臭化リンが挙げられる。
ハロゲン化物の添加量は、アルカリ金属硫化物と硫化物の合計に対して、例えば、1重量%〜40重量%である。
[第一の工程]
本発明の硫化物系固体電解質の製造方法においては、第一に、アルカリ金属硫化物と硫化物を溶媒中で接触させ硫化物系固体電解質前駆体を得る工程を行う。
第一の工程により、目的とする元素比に近い硫化物系固体電解質前駆体を得ることができる。
アルカリ金属硫化物及び硫化物の使用量は、製造する硫化物系固体電解質の目的とする元素比に照らして、適宜、選択することができる。
溶媒は、非水系溶媒を用いることができ、例えば有機溶媒、より具体的には炭化水素系有機溶媒を用いることができる。炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、又は芳香族炭化水素の炭化水素溶媒などが挙げられる。
具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル等が挙げられる。好ましくは、トルエンである。
本発明の製造方法において、反応は、バッチ反応のみで行う手法を用いてもよく、ミル粉砕反応のみで行う手法を用いてもよく、バッチ反応とミル粉砕反応を順に行う手法を用いてもよい。少なくとも第三の工程はミル粉砕反応を含むことが好ましい。ここで、バッチ反応は、適当な反応槽中で回分式で反応を行うことを意味し、ミル粉砕反応は、適当な粉砕機を用いて溶媒中の固形成分を粉砕しながら反応を行うことを意味する。
ミル粉砕反応を行うことにより、原料又は製造される硫化物系固体電解質がより細かく粉砕される。原料として、硫化リチウムスラリーを使用する場合でも、粉砕により微粒化するので溶媒中でより均一に分布させることができ、また表面積が増えるので反応をより進行させることができる。
後述する第二の工程において分析する際も、硫化物系固体電解質の一部を採取する際の試料のばらつきを小さくすることができ、分析精度を向上させることができる。
反応温度は、例えば50℃〜210℃、好ましくは60℃〜180℃である。
温度が高い場合、反応と結晶化が同時に進行するため、反応率が向上しなくなり、残存硫化リチウムが多くなり好ましくない。また、温度が低い場合、反応が進行しないため、好ましくない。
反応時間は、例えば1時間〜200時間、好ましくは4時間〜180時間である。
時間が短い場合は、反応が進行しない。時間が長い場合は、結晶化が部分的に進行して、イオン伝導度等の性能が低下するため好ましくない。
反応基質である固体成分(アルカリ金属硫化物及び硫化物、及び任意にハロゲン化物)の溶媒中の濃度は、好ましくは0.1〜70重量%であり、より好ましくは0.5〜50重量%である。
これよりも濃度が高い場合、通常の撹拌翼では、均一の撹拌が困難となり、好ましくない。これよりも濃度が低い場合、生産性が低下して好ましくない。
[第二の工程]
本発明の硫化物系固体電解質の製造方法においては、第二に、第一の工程により得られた硫化物系固体電解質前駆体の元素組成を分析する工程を行う。
第二の工程により、第一の工程により得られた硫化物系固体電解質前駆体の元素組成が、目的とする硫化物系固体電解質の元素組成とどれだけ相違するかを知ることができる。
元素組成の分析は、ICP発光分光分析により行うことができる。ICP分析は、第一の工程により得られた反応物を採取し、水に溶解し、定容した後、リチウム、リン、及び、必要に応じてハロゲンの元素量をICP分析装置により測定して行う。
硫化物系固体電解質前駆体の元素組成を知ることで、目的とする硫化物系固体電解質の元素組成に到達させるために必要な、硫化リチウム、硫化リン、さらにハロゲン化物の量を計算することができる。この際、原料硫化リチウム中の不純物に含まれるリチウム量は、調整の反応に寄与しないとして除外する。
[第三の工程]
本発明の硫化物系固体電解質の製造方法においては、第三に、追加のアルカリ金属硫化物又は硫化物を溶媒中に添加して硫化物系固体電解質前駆体と接触させる工程を行う。
第三の工程により、硫化物系固体電解質前駆体を追加のアルカリ金属硫化物又は硫化物と反応させることにより、目的とする元素組成の硫化物系固体電解質を得ることができる。
アルカリ金属硫化物又は硫化物のどちらを追加して添加するか、またその添加量は、第二の工程で分析した硫化物系固体電解質前駆体の元素組成と、目的とする硫化物系固体電解質の元素組成との相違から、適宜決定することができる。
例えば、硫化リチウムを添加する場合はスラリー溶液の形態で添加してもよい。
また、上記の第二の工程と第三の工程は、必要に応じて、適宜繰り返してもよい。
図1に、本発明の製造方法において使用できる固体電解質製造装置の一実施形態を示す図である。
固体電解質製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させて固体電解質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。本実施形態では反応槽20は容器22と撹拌翼24からなる。撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
粉砕機10には、粉砕機10内を20℃〜80℃に保つために、粉砕機10の周りに温水を通すことのできるヒータ30(第1の温度安定手段)が設けられている。反応槽20は、反応槽20内を60℃〜300℃に保つために、オイルバス40(第2の温度安定手段)に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。
粉砕機10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52(連結手段)で連結されている。第1の連結管50は、粉砕機10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕機10内に移動させる。原料等を連結管50,52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)(循環手段)が、第2の連結管52に設けられている。
この装置1を用いて、固体電解質を製造するときは、溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を20℃〜80℃に保ちながら、原料を溶媒中で粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を60℃〜300℃に保ちながら、原料を溶媒中で反応させて固体電解質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20で固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50,52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
粉砕機10は、硫化リチウムと他の硫化物を粉砕混合しながら反応させ、硫化物系固体電解質を製造することができるものであればどのような粉砕機でもよい。例えば、回転ミル(転動ミル)、揺動ミル、振動ミル、ビーズミルを挙げることができる。原料を細かく粉砕できる点でビーズミルが好ましい。原料が細かいほど、反応性が高くなり、短時間で固体電解質を製造できる。
粉砕機がボールを含むとき、ボールと容器とが磨耗することによる固体電解質への混入を防止するため、ボールはジルコニウム製、強化アルミナ製、アルミナ製であることが好ましい。
また、粉砕機10から反応槽20へのボールの混合を防ぐため、必要に応じて粉砕機10又は第1の連結管50にボールと原料及び溶媒を分離するフィルタを設けてもよい。
粉砕機での粉砕温度は、20℃以上80℃以下、好ましくは20℃以上60℃以下である。粉砕機での処理温度が20℃未満の場合、固体電解質製造に要する反応時間を短縮する効果が小さく、80℃を超えると、容器、ボールの材質であるジルコニア、強化アルミナ、アルミナの強度低下が著しく起こるため、容器、ボールの磨耗、劣化や電解質へのコンタミが生じるおそれがある。
反応槽20は、硫化リチウムと他の硫化物を反応させ、硫化物系固体電解質を製造することができるものであればどのような反応槽でもよい。通常、反応槽は、容器と、撹拌機等の混合手段、冷却手段を有する。混合手段は、容器内の原料と溶媒からなるスラリーを混合し、スラリーが沈殿しないようにする。冷却手段は、蒸発した溶媒を冷却して容器に戻す。
容器22は、金属製又はガラス製であることが好ましい。溶媒の沸点以上の反応温度で反応する場合には耐圧仕様の容器を用いることが好ましい。
容器22内の反応温度は60℃〜300℃である。80℃〜200℃が好ましい。60℃未満ではガラス化反応に時間がかがり生産効率が十分ではない。300℃を超えると、好ましくない結晶が析出する場合がある。
反応は温度が高い領域が速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機を80℃を超える温度にすると磨耗等の機械的な問題が発生する。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つ必要がある。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。
図2は、本発明の製造方法において使用できる固体電解質製造装置の他の実施形態を示す図である。
この固体電解質製造装置2は、第2の連結部52に熱交換器60(熱交換手段)を設けた他は、固体電解質製造装置1と同じである。固体電解質製造装置1と同じ部材には同じ符号を付して説明は省略する。
熱交換器60は、反応槽20から送り出される高温の原料と溶剤を冷却して、撹拌機10に送り込む。例えば、反応槽20において、80℃を超える温度で反応を行った場合、原料等の温度を80℃以下に冷却して、撹拌機10に送り込む。
本発明の製造方法により得られた硫化物系固体電解質は、スラリー溶液のまま用いる場合は、反応後、上澄みを除去するか、あるいは、非水系溶剤を追加して、別の容器に移送して使用することができる。非水系溶剤としては、例えば、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、又は芳香族炭化水素の炭化水素溶媒が挙げられる。飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。不飽和炭化水素としては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これらのうち特にトルエン、キシレンが好ましい。
また、乾燥粉末として使用する場合は、非水系溶剤を除去する必要がある。これは、真空下、あるいは、窒素流通下において、室温、又は加温処理にて行うことができる。加温条件で行う場合は、40℃〜200℃、好ましくは、50℃〜160℃がよい。これよりも温度が高い場合、結晶化が進行して、伝導度性能が低下するため、好ましくない。また、温度が低い場合、残存溶媒が除去しきれないため、好ましくない。
上記の乾燥処理により、得られる硫化物系固体電解質中の残存溶媒は、5重量%以下である。残存溶媒は3重量%以下とすることが好ましい。残存溶媒が多い場合、電解質中の非導電体が存在することになり、抵抗成分となり、電池性能の低下をきたすおそれがある。
本発明の製造方法により得られる硫化物系固体電解質は、加熱処理によりガラスの状態から結晶化することができる。加熱処理の温度、時間等の条件は、当技術分野において通常知られているとおりであり、適宜選択することができる。結晶化する際、硫化物系固体電解質はスラリーであっても乾燥状態であってもよい。
本発明の製造方法により製造される硫化物系固体電解質の平均粒径は、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.10μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは0.15μm以上12μm以下である。
平均粒径が20μmを超える場合、電池を組む際の電解質層等の薄膜化が困難になるため、好ましくない。
粗大粒子が存在する場合、電池を組む際、電解質層の薄膜化に影響を与え、また、短絡の危険性が増大するため、50μm以上の粒径の粒子が3重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1重量%以下である。
粒径は、例えば、レーザーを用いて測定することができる。具体的には、レーザー回折法により、MALVERN社Mastersizer2000を用いて測定し、体積基準平均粒径から算出する。粒径の測定は、乾燥状態を経由せず、直接スラリー状態で測定することが望ましい。一旦、乾燥を行うと、乾燥時に粒子の凝集が発生し、みかけ大きな粒径となるおそれがあるからである。
製造例1
窒素気流下でトルエン(広島和光製試薬)270gを600mlセパラブルフラスコに加え、続いて水酸化リチウム30g(本荘ケミカル製)を入れ、フルゾーン撹拌翼300rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。
スラリー中に硫化水素(巴商会製)を300ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコからは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。
この後、硫化水素を窒素に切り替え300ml/分で1時間流通した。
得られたスラリー溶液の一部をろ過・乾燥して得た白色粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は97.5%であった。乾燥処理に供したスラリー液量と乾燥処理後の固形分残量より、乾燥のために採取したスラリー中の固形分量は10.4重量%であった。白色粉末についてX線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。硫化リチウム粉末の平均粒径は420μm、比表面積は12.6m/g、細孔容積は0.12ml/gであった。
比表面積は、AUTOSORB6(シスメックス株式会社製)を用いて窒素法BETにより測定し、細孔容積は、同じ装置を用いて、相対圧P/Pが0.99以上の測定点から、0.99に内挿して求めたものを使用した。
製造例2
製造例1の硫化リチウムのトルエンスラリー38.5gをグローブボックス内でシュレンクビンに秤量した。これに窒素雰囲気下、脱水トルエン(和光純薬製)38ml、脱水メタノール(和光純薬製)13.8mlをこの順に加え、室温で4時間、テフロン製アンカー翼で撹拌して、微粒化(改質)処理を行った。改質処理後、硫化水素ガスを300ml/分で流通させながら、オイルバスの温度を120℃まで昇温した。さらに硫化水素ガスを90分流通させて、必要に応じて脱水トルエンを追加して処理を行い、トルエンスラリーを得た。硫化水素ガス処理後、スラリーの一部について室温窒素気流下で溶媒を留去し、さらに真空下、室温で2時間乾燥して、微粒化した硫化リチウム回収した。
得られた硫化リチウムの純度は94.6%、水酸化リチウム量は0.9%、平均粒径は104μm、比表面積は36m/g、細孔容積は0.23ml/gであった。また、乾燥のために採取したトルエンスラリー中の固形分量は、4.0重量%であった。
純度、水酸化リチウム含量は滴定法によりそれぞれ定量した。尚、分析値合計が、100%とならないのは、炭酸リチウム、他のイオン塩や残存溶媒を含んでいるためである。
実施例1 Li/P(モル比)=70/30である固体電解質の製造
(工程1)
製造例2で製造した硫化リチウムのトルエンスラリー5780g(固形分分布が完全には均一でない製造例3のスラリーの一部についての測定値である4.0重量%から計算したLi 70mol%に相当する量)とアルドリッチ社製P(粉末)454g(P 30mol%)、脱水トルエン240gを加えた混合物を、窒素で置換した撹拌翼付10Lオートクレーブに封入した。150℃で72時間反応させ、非晶質固体電解質スラリー溶液を得た。
(工程2)
このスラリー溶液の一部を採取し、150℃で2時間真空乾燥を行った。回収した固形分のICP分析を行った結果、Li/P(モル比)は、70.8/29.2であった。
固形分量は、9.8重量%であった。
(工程3)
工程1で得られた非晶質固体電解質スラリー溶液5500gに脱水トルエン5000gを添加した。さらに、Li/P(モル比)が70.8/29.2から70.0/30.0となるように計算した量の硫化リン(アルドリッチ社製P(粉末))17.0gを添加して、これを図1に示す装置1の反応槽20及びミル10に充填した。
ポンプ54により内容物を400mL/分の流量で循環させ、反応槽20を80℃になるまで昇温した。
粉砕機10は、内部の液温を70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速8m/sの条件で運転し、5時間反応させた。
反応後に得られた非晶質固体電解質を含むスラリーを抜き取り、固体部分を分離し、真空乾燥した。得られた固体電解質のICP測定を行った結果、Li/P(モル比)は、70.1/29.9であった。
この非晶質固体電解質を真空下、300℃で2時間熱処理を行ない、イオン伝導度を測定した。結果を表1に示す。
実施例2 Li/P(モル比)=75/25である固体電解質の製造
Li/P(モル比)=75/25である固体電解質を製造するため、原料におけるLi/P(モル比)が75/25となることを目標にさらに臭化リチウム(粉末)133gを添加したほかは実施例1と同様に工程1、工程2を行った。
工程2のLi/P(モル比)の分析値は74.5/25.5であった。Li/P(モル比)を74.5/25.5から75/25とするために必要な量のLiSスラリー(製造例2)を添加したほかは実施例1と同様に工程3を行った。結果を表1に示す。
実施例3 Li/P(モル比)=75/25である固体電解質の製造
実施例1と同様に工程1、工程2を行った。工程2のLi/P(モル比)の分析値は69.9/30.1であった。
Li/P(モル比)を69.9/30.1から75/25とするために必要な量のLiSスラリー(製造例2)を添加したほかは実施例1と同様に工程3を行った。工程3の後のLi/P(モル比)の分析値は75.8/24.2であった。
さらに、Li/P(モル比)を75.8/24.2から75/25とするために必要な量の硫化リン(アルドリッチ社製P(粉末))を添加したほかは実施例1と同様に工程3を繰り返した。再度の工程3の後のLi/P(モル比)の分析値は75.1/24.9であった。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の工程1、2のみを行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例2の工程1、2のみを行った。結果を表1に示す。
Figure 2015005371
本発明の製造方法により製造される硫化物系固体電解質は、二次電池等に使用できる。
1 装置
10 粉砕機(粉砕合成手段)
20 反応槽(合成手段)
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ(第1の温度安定手段)
40 オイルバス(第2の温度安定手段)
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54 ポンプ(循環手段)
60 熱交換器(熱交換手段)

Claims (14)

  1. アルカリ金属硫化物と硫化物、又は、アルカリ金属と単体リン及び単体硫黄を溶媒中で接触させ硫化物系固体電解質前駆体を得る第一の工程、
    前記硫化物系固体電解質前駆体の元素組成を分析する第二の工程、及び
    追加のアルカリ金属硫化物又は硫化物を溶媒中に添加して前記硫化物系固体電解質前駆体と接触させる第三の工程
    を含む硫化物系固体電解質の製造方法。
  2. 前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである請求項1記載の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属硫化物がスラリーの形態の硫化リチウムである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属硫化物が、水酸化リチウムと硫化水素をトルエン中で接触させて得られたスラリーの形態の硫化リチウムである請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. 前記硫化物が硫化リンである請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 前記硫化物が五硫化二リンである請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
  7. 前記溶媒が炭化水素である請求項1〜6のいずれか記載の製造方法。
  8. 前記溶媒がトルエンである請求項1〜7のいずれか記載の製造方法。
  9. 少なくとも第三の工程を、粉砕機を用いて溶媒中の固形成分を粉砕しながら行う請求項1〜8のいずれか記載の製造方法。
  10. 前記第二の工程をICP発光分光分析により行う請求項1〜9のいずれか記載の製造方法。
  11. 前記第二の工程で分析した硫化物系固体電解質前駆体の元素組成と、目的とする硫化物系固体電解質の元素組成との相違から、前記第三の工程において添加するアルカリ金属硫化物又は硫化物とその添加量を決定する請求項1〜10のいずれか記載の製造方法。
  12. 前記第三の工程の後に、さらに第二の工程と第三の工程を繰り返して行うことを含む請求項1〜11のいずれか記載の製造方法。
  13. さらにハロゲン化物を原料として用いる請求項1〜12のいずれか記載の製造方法。
  14. 前記アルカリ金属硫化物と前記硫化物のモル比が69.5〜30.5:30.5〜29.5、又は74.5〜75.5:25.5〜24.5である請求項1〜13のいずれか記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016207421A (ja) * 2015-04-21 2016-12-08 トヨタ自動車株式会社 硫化物固体電解質材料の製造方法
CN108075182A (zh) * 2016-11-16 2018-05-25 现代自动车株式会社 通过湿式工艺制造基于硫化物的固体电解质的方法

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