JP2015023753A - 車両挙動制御装置及び車両挙動制御方法 - Google Patents

車両挙動制御装置及び車両挙動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】旋回走行時における車体の上屋挙動を抑制する制御と、車両の操舵特性を安定させる制御を行うことが可能な、車両挙動制御装置及び車両挙動制御方法を提供する。
【解決手段】車両が備える複数の車輪のうち駆動力を発生可能な車輪を検出し、車両の旋回状態を判定し、判定した旋回状態に応じ、検出した車輪に発生させる駆動力により旋回走行時における車両の操舵特性がニュートラルステア特性となるように、車両が備える車体の挙動を抑制するためのフリクションを車体と各車輪とを連結するサスペンションに発生させるために必要な、車輪の制動力と車輪の駆動力との制駆動力配分比を算出し、算出した車輪の制動力の配分比に応じて算出した制動力指令値に基づいて、車輪に制動力を付与し、算出した車輪の駆動力の配分比に応じて算出した駆動力指令値に基づいて、車輪に駆動力を付与する。
【選択図】図34

Description

本発明は、サスペンションに発生するフリクションを用い、走行路面の状態に応じて車両の上屋挙動を制御する車両挙動制御装置及び車両挙動制御方法に関する。
従来、車両の上屋挙動(車体の挙動)を制御する技術として、例えば、特許文献1に記載されている技術がある。
特許文献1に記載されている技術では、車両に作用する横力に基づいて、サスペンションに発生するフリクションを検出する。そして、車体の上屋挙動を抑制するための抑制目標値から、検出したフリクションを減算して、車体の上屋挙動を抑制するためにサスペンションで発生させるフリクションの目標値を算出する。さらに、サスペンションに目標値のフリクションを発生させるために、アクチュエータの駆動を制御する。
特開2010−137796号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、車両の駆動方式、すなわち、駆動力(駆動トルク)を発生可能な車輪を考慮せずに、車体の上屋挙動を抑制するためにサスペンションで発生させるフリクションの目標値を算出する。このため、車体の上屋挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションに発生させるための駆動力を、駆動力を実際に発生可能な車輪へ、車両の操舵特性を安定させる割合で配分することが困難となる場合がある。これにより、車両の操舵特性がアンダーステア特性やオーバーステア特性となりやすい旋回走行時において、車両の操舵特性を安定させることが困難となるという問題が発生するおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、旋回走行時における車体の上屋挙動を抑制する制御と、車両の操舵特性を安定させる制御を行うことが可能な、車両挙動制御装置及び車両挙動制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の車輪のうち駆動力を発生可能な車輪を検出し、車両の旋回状態を判定する。そして、判定した車両の旋回状態に応じ、検出した車輪に発生させる駆動力により旋回走行時における車両の操舵特性がニュートラルステア特性となるように、制駆動力配分比を算出する。
ここで、制駆動力配分比は、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションに発生させるために必要な、車輪の制動力と駆動力との配分比である。
本発明によれば、旋回走行時において、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションに発生させるとともに、複数の車輪のうち駆動力を発生可能な車輪に対し、車両の操舵特性がニュートラルステア特性となるような駆動力を発生させる。
これにより、旋回走行時において、車体の上屋挙動を抑制するためのフリクションと、車両の操舵特性を安定させるためのフリクションとをサスペンションに発生させるための制御を、駆動力を発生可能な車輪に応じて適切に行うことが可能となる。
本発明の第一実施形態の車両挙動制御装置を備える車両の概略構成を示すブロック図である。 ブレーキアクチュエータの構成を示すブロック図である。 フリクション検出ブロックの概略構成を示すブロック図である。 制動力算出部の概略構成を示すブロック図である。 駆動力算出部の概略構成を示すブロック図である。 サスペンション状態算出部の概略構成を示すブロック図である。 サスペンション横力算出部の概略構成を示すブロック図である。 制動力フリクション算出マップを示す図である。 駆動力フリクション算出マップを示す図である。 ストローク位置フリクション算出マップを示す図である。 ストローク速度フリクション算出マップを示す図である。 横力フリクション算出マップを示す図である。 乗り心地制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。 操縦安定性制御ブロックの概略構成を示すブロック図である。 駆動方式検出ブロックの概略構成を示すブロック図である。 旋回状態判定ブロックの概略構成を示すブロック図である。 制動力側挙動制御用フリクション算出マップを示す図である。 駆動力側挙動制御用フリクション算出マップを示す図である。 指令液圧換算マップを示す図である。 駆動トルク補正値換算マップを示す図である。 四輪個別駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 四輪個別駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 前輪駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 前輪駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 後輪駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 後輪駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 四輪並列駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 四輪並列駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両の、左旋回時における挙動を示す図である。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、駆動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、制動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の一部を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、前輪駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の一部を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、後輪駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の一部を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、四輪並列駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の一部を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、四輪トルクベクトル駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の一部を示すフローチャートである。 車両挙動制御装置を用いて行なう動作のうち、四輪個別駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の一部を示すフローチャートである。 車両の走行中において、車両挙動制御装置が行なう処理を示すタイムチャートであり、各サスペンションに対して発生させるフリクションの変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の車両挙動制御装置1を備える車両Vの概略構成を示すブロック図である。
図1中に示すように、車両挙動制御装置1を備える車両Vは、Gセンサ2と、ヨーレートセンサ4と、操舵角センサ6と、ドライバブレーキ液圧センサ8と、アクセル開度センサ10を備える。これに加え、車両Vは、シフトポジションセンサ12と、ストロークセンサ14と、走行支援モードスイッチ16と、車輪速センサ18と、駆動方式選択スイッチ140と、制駆動力コントローラ20と、ブレーキペダル22と、マスタシリンダ24を備える。さらに、車両Vは、ブレーキアクチュエータ26と、動力コントロールユニット28と、動力ユニット30と、ホイールシリンダ32と、車輪W(右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRL)と、サスペンションSPを備える。
Gセンサ2は、バネ上上下加速度センサの機能を有するブロックと、バネ下上下加速度センサの機能を有するブロックと、横加速度センサの機能を有するブロックと、前後加速度センサの機能を有するブロックを備える。
バネ上上下加速度センサの機能を有するブロックは、車両Vに対し、車体のバネ上部分における上下方向への加速度を検出する。そして、検出した加速度を含む情報信号(以降の説明では、「バネ上上下加速度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
バネ下上下加速度センサの機能を有するブロックは、車両Vに対し、車体のバネ下部分における上下方向への加速度を検出する。そして、検出した加速度を含む情報信号(以降の説明では、「バネ下上下加速度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
横加速度センサの機能を有するブロックは、車両Vに対し、車体の横方向(車幅方向)への加速度(以降の説明では、「実測横加速度」と記載する場合がある)を検出する。そして、検出した実測横加速度を含む情報信号(以降の説明では、「実測横加速度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
前後加速度センサの機能を有するブロックは、車両Vに対し、車体の前後方向(車両前後方向)への加速度を検出する。そして、検出した加速度を含む情報信号(以降の説明では、「前後加速度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
ヨーレートセンサ4は、車両Vのヨーレート(車体が旋回する方向への回転角の変化速度)を検出し、検出したヨーレートを含む情報信号(以降の説明では、「ヨーレート信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
操舵角センサ6は、例えば、図示しない操舵操作子(例えば、ステアリングホール)を回転可能に支持するステアリングコラム(図示せず)に設ける。
また、操舵角センサ6は、中立位置を基準とした操舵操作子の現在の回転角度(操舵操作量)である、現在操舵角を検出する。そして、操舵角センサ6は、検出した現在操舵角を含む情報信号(以降の説明では、「現在操舵角信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
ドライバブレーキ液圧センサ8は、マスタシリンダ24で発生する液圧(ブレーキ液圧)のうち、運転者によるブレーキペダル22の踏込み操作により発生する液圧(ドライバブレーキ液圧)を検出する。そして、検出したドライバブレーキ液圧を含む情報信号(以降の説明では、「ドライバブレーキ液圧信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
アクセル開度センサ10は、図示しないアクセルペダルの開度を検出し、検出した開度を含む情報信号(以降の説明では、「アクセル開度信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
シフトポジションセンサ12は、シフトノブやシフトレバー等、車両Vのギヤ位置(例えば、「P」、「D」、「R」等)を変更する部材の位置を検出する。そして、検出した位置を含む情報信号(以降の説明では、「ギヤ位置信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
ストロークセンサ14は、サスペンションSPの実測ストローク量(実測変位量)を検出し、検出した実測ストローク量を含む情報信号(以降の説明では、「実測ストローク量信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。なお、ストロークセンサ14は、各車輪Wに対して設置したサスペンションSPの実測ストローク量を、それぞれ個別に検出して、実測ストローク量信号を生成する。
走行支援モードスイッチ16は、VDCの制御及びTCSの制御の「ON」または「OFF」を、運転者の操作により、それぞれ、個別に切り替えるスイッチである。また、走行支援モードスイッチ16は、VDCの制御及びTCSの制御が「ON」または「OFF」である状態を含む情報信号(以降の説明では、「走行支援モード状態信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。なお、VDCとは、「Vehicle Dynamics Control」の略称であり、TCSとは、「Traction Control System」の略称である。
車輪速センサ18は、車輪Wの回転速度を検出し、検出した回転速度を含む情報信号(以降の説明では、「車輪速信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
なお、図1中では、右前輪WFRの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18FRと示し、左前輪WFLの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18FLと示す。同様に、図1中では、右後輪WRRの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18RRと示し、左後輪WRLの回転速度を検出する車輪速センサ18を、車輪速センサ18RLと示す。また、以降の説明においても、各車輪Wや各車輪速センサ18を、上記のように示す場合がある。
駆動方式選択スイッチ140は、各車輪Wを駆動させるための駆動方式(車両Vの駆動方式)を、運転者の操作により切り替えるスイッチである。また、駆動方式選択スイッチ140は、運転者の操作により選択した駆動方式を含む情報信号(以降の説明では、「選択済み駆動方式信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
本実施形態では、車両Vの構成を、以下に示す五種類の駆動方式(D1〜D5)から、車両Vの駆動方式を選択可能な構成とする。
D1.四輪個別駆動:右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRLの回転数及び駆動トルクを、個別に制御可能な駆動方式
D2.前輪駆動:右前輪WFR及び左前輪WFLの回転数及び駆動トルクを制御し、右後輪WRR及び左後輪WRLには駆動力を付与しない駆動方式
D3.後輪駆動:右後輪WRR及び左後輪WRLの回転数及び駆動トルクを制御し、右前輪WFR及び左前輪WFLには駆動力を付与しない駆動方式
D4.四輪並列駆動:右前輪WFR及び左前輪WFLからなる一対の車輪と、右後輪WRR及び左後輪WRLからなる一対の車輪に対して、それぞれ、回転数及び駆動トルクの指令値を同値に制御する駆動方式
D5.四輪トルクベクトル駆動:右前輪WFR及び右後輪WRRからなる一対の車輪と、左前輪WFL及び左後輪WRLからなる一対の車輪に対して、それぞれ、回転数及び駆動トルクの指令値を同値に制御する駆動方式
制駆動力コントローラ20は、車両V全体を制御するものであり、マイクロコンピュータで構成する。なお、マイクロコンピュータは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えた構成である。
また、制駆動力コントローラ20は、入力される各種の情報信号に基づいて後述する各種の処理を行い、ブレーキアクチュエータ26及び動力ユニット30を制御するための指示信号(制動力指令値、駆動力指令値)を出力する。すなわち、制駆動力コントローラ20は、車両Vの運転者による加減速要求に応じて、駆動用モータ及び摩擦ブレーキを制御する。
また、制駆動力コントローラ20は、フリクション検出ブロック34と、乗り心地制御ブロック36と、操縦安定性制御ブロック38と、駆動方式検出ブロック142と、旋回状態判定ブロック144を備える。
なお、フリクション検出ブロック34、乗り心地制御ブロック36、操縦安定性制御ブロック38、旋回状態判定ブロック144の構成については、後述する。
駆動方式検出ブロック142は、駆動方式選択スイッチ140から入力を受けた選択済み駆動方式信号に基づき、車両Vの現在の駆動方式(上述したD1〜D5のうちいずれか)を検出する。そして、検出した駆動方式を含む情報信号(以降の説明では、「駆動方式検出結果信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御ブロック38へ出力する。
なお、車両Vの駆動方式は、運転者によりD2やD3等、前輪または後輪のみが駆動輪として選択されている場合であっても、車輪Wにスリップが発生している状態では、自動的に、D1、D4、D5、すなわち、全ての車輪Wを駆動輪に切り替える場合がある。なお、車輪Wに発生しているスリップは、例えば、車輪速センサ18が検出した回転速度の速度差等に基づいて検出する。
したがって、駆動方式検出ブロック142が検出する車両Vの現在の駆動方式は、選択済み駆動方式信号に基づく駆動方式、すなわち、運転者の意思により選択した駆動方式に限定せず、車両Vにより自動的に設定した駆動方式を含む。また、本実施形態では、運転者の意思により選択した駆動方式と、車両Vにより自動的に設定した駆動方式では、車両Vにより自動的に設定した駆動方式を優先する場合を説明する。
以上により、駆動方式検出ブロック142は、複数の車輪Wのうち、駆動力を発生可能な車輪Wを検出する。さらに、駆動方式検出ブロック142は、駆動力を発生可能であると検出した車輪Wに基づいて、車両Vの駆動方式を検出する。
ブレーキペダル22は、車両Vの運転者が制動操作を行う際に踏込むペダルであり、運転者によるペダル踏力を、マスタシリンダ24に伝達する。
マスタシリンダ24は、運転者のペダル踏力に応じて、二系統の液圧を生成する(タンデム式)。なお、本実施形態では、一例として、マスタシリンダ24が、プライマリ側を左前輪・右後輪のホイールシリンダ32に伝達し、セカンダリ側を右前輪・左後輪のホイールシリンダ32に伝達する方式(ダイアゴナルスプリット方式)を用いる場合を説明する。
ブレーキアクチュエータ26は、マスタシリンダ24と各ホイールシリンダ32との間に介装した液圧制御装置である。また、ブレーキアクチュエータ26は、制駆動力コントローラ20から入力を受けた制動指令信号に応じて、各ホイールシリンダ32の油圧を変化させ、各車輪Wに制動力を付与する。なお、ブレーキアクチュエータ26の具体的な構成については、後述する。
また、ブレーキアクチュエータ26は、ABS制御が作動しているか否かを示すフラグ情報信号(以降の説明では、「ABS作動フラグ信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。なお、ABSとは、「Antilocked Braking System」の略称である。
また、ブレーキアクチュエータ26は、車両Vが備えるシステムにより車輪Wに加わるブレーキ液圧の指令値を含む情報信号(以降の説明では、「付加機能ブレーキ液圧信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
なお、車両Vが備えるシステムとは、例えば、先行車追従走行制御を行なうシステムであり、車両Vと先行車との車間距離を、車両Vの車速に応じた距離に制御するためのシステムである。
また、ブレーキアクチュエータ26は、上述したVDC制御により車輪Wに加わるブレーキ液圧の指令値を含む情報信号(図中では、「VDC液圧信号」と示す)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
動力コントロールユニット28は、制駆動力コントローラ20から入力を受けた駆動指令信号に応じて、動力ユニット30が発生させる駆動力を制御する。
なお、本実施形態では、後述するように、動力ユニット30を、各車輪Wに内蔵した四つの駆動用モータを用いて形成する。このため、動力コントロールユニット28は、各駆動用モータが発生させる駆動力に関する値(例えば、モータ駆動トルク、モータ回転数)を制御する。
また、動力コントロールユニット28は、上述したTCS制御が作動しているか否かを示すフラグ情報信号(以降の説明では、「TCS作動フラグ信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
また、動力コントロールユニット28は、前輪及び後輪に対するトルクの制御値(トルクコントロール値)を含む情報信号(以降の説明では、「トルクコントロール信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
なお、前輪に対するトルクの制御値とは、例えば、右前輪WFRと左前輪WFLに対し、動力ユニット30が発生させているトルクを配分する比率である。また、前輪に対するトルクの制御値とは、例えば、上述したVDC制御により右前輪WFRと左前輪WFLに加わるトルクである。
また、後輪に対するトルクの制御値とは、例えば、右後輪WRRと左後輪WRLに対し、動力ユニット30が発生させているトルクを配分する比率である。また、後輪に対するトルクの制御値とは、例えば、上述したVDC制御により右後輪WRRと左後輪WRLに加わるトルクである。
また、動力コントロールユニット28は、動力ユニット30が発生させている現在のトルクを含む情報信号(以降の説明では、「現在トルク信号」と記載する場合がある)を、制駆動力コントローラ20へ出力する。
動力ユニット30は、車両Vの駆動力を発生させる構成であり、各車輪Wに内蔵し、内蔵された車輪Wに駆動力を付与する四つの駆動用モータにより形成する。すなわち、本実施形態の車両挙動制御装置1を備える車両Vは、車輪Wの駆動源を駆動用モータにより形成する、電気自動車(EV:Electric Vehicle)である。
なお、図1中では、右前輪WFRに内蔵した動力ユニット30を、動力ユニット30FRと示し、左前輪WFLに内蔵した動力ユニット30を、動力ユニット30FLと示す。同様に、図1中では、右後輪WRRに内蔵した動力ユニット30を、動力ユニット30RRと示し、左後輪WRLに内蔵した動力ユニット30を、動力ユニット30RLと示す。また、以降の説明においても、各動力ユニット30を、上記のように示す場合がある。
駆動用モータは、例えば、ロータに永久磁石を埋設し、ステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータを用いて形成する。また、駆動用モータは、動力コントロールユニット28から入力を受けた制御指令に基づき、インバータ(図示せず)で作り出した三相交流を印加することで制御可能である。さらに、駆動用モータは、バッテリ(図示せず)からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することも可能である(この状態を「力行」と呼ぶ)。
ホイールシリンダ32は、ディスクブレーキを構成するブレーキパッド(図示せず)を、各車輪Wと一体に回転するディスクロータ(図示せず)に押し付けるための押圧力を発生する。
なお、図1中では、右前輪WFRに対して配置したホイールシリンダ32を、ホイールシリンダ32FRと示し、左前輪WFLに対して配置したホイールシリンダ32を、ホイールシリンダ32FLと示す。同様に、図1中では、右後輪WRRに対して配置したホイールシリンダ32を、ホイールシリンダ32RRと示し、左後輪WRLに対して配置したホイールシリンダ32を、ホイールシリンダ32RLと示す。また、以降の説明においても、各ホイールシリンダ32を、上記のように示す場合がある。
サスペンションSP(サスペンション装置)は、各車輪Wと車両Vの車体との間に設置した懸架装置である。
また、サスペンションSPは、具体的に、車体と各車輪W側の部材とを連結するリンク部材と、各車輪Wと車体との相対運動を緩衝させるバネと、各車輪Wと車体との相対運動を減衰させるショックアブソーバを有する。
なお、図1中では、右前輪WFRに対して設置したサスペンションSPを、サスペンションSPFRと示し、左前輪WFLに対して設置したサスペンションSPを、サスペンションSPFLと示す。同様に、図1中では、右後輪WRRに対して設置したサスペンションSPを、サスペンションSPRRと示し、左後輪WRLに対して設置したサスペンションSPを、サスペンションSPRLと示す。また、以降の説明においても、各サスペンションSPを、上記のように示す場合がある。
(ブレーキアクチュエータの構成)
次に、図1を参照しつつ、図2を用いて、ブレーキアクチュエータ26の構成を説明する。
図2は、ブレーキアクチュエータ26の構成を示すブロック図である。
ブレーキアクチュエータ26は、上述したABS制御、TCS制御、VDC制御等に用いる制動流体圧制御回路を用いて形成する。
また、ブレーキアクチュエータ26は、運転者のブレーキ操作に係らず、各ホイールシリンダ32FR、32FL、32RR、32RLの液圧を、増圧・保持・減圧可能に形成する。
また、ブレーキアクチュエータ26は、P(プライマリ)系統とS(セカンダリ)系統との二系統を有しており、いわゆる、X配管と呼ばれる配管構造である。なお、図2中及び以降の説明では、P系統を「プライマリ側」と記載し、S系統を「セカンダリ側」と記載する場合がある。
プライマリ側は、第一ゲートバルブ122Aと、インレットバルブ124FLと、インレットバルブ124RRと、アキュムレータ126Aを備えている。これに加え、プライマリ側は、アウトレットバルブ128FLと、アウトレットバルブ128RRと、第二ゲートバルブ1と、ポンプ132と、ダンパー室134Aを備えている。
第一ゲートバルブ122Aは、マスタシリンダ24とホイールシリンダ32FL及びホイールシリンダ32RRとの間の流路を閉鎖可能な、ノーマルオープン型のバルブである。
インレットバルブ124FLは、第一ゲートバルブ122Aとホイールシリンダ32FLとの間の流路を閉鎖可能な、ノーマルオープン型のバルブである。
インレットバルブ124RRは、第一ゲートバルブ122Aとホイールシリンダ32RRとの間の流路を閉鎖可能な、ノーマルオープン型のバルブである。
アキュムレータ126Aは、シリンダのピストンに圧縮バネを対向させたバネ形のアキュムレータであり、ホイールシリンダ32FL及びホイールシリンダ32RRとインレットバルブ124FL及びインレットバルブ124RRとの間を連通している。
アウトレットバルブ128FLは、ホイールシリンダ32FLとアキュムレータ126との間の流路を開放可能な、ノーマルクローズ型のバルブである。
アウトレットバルブ128RRは、ホイールシリンダ32RRとアキュムレータ126との間の流路を開放可能な、ノーマルクローズ型のバルブである。
第二ゲートバルブ1は、マスタシリンダ24と第一ゲートバルブ122Aとの間と、アキュムレータ126とアウトレットバルブ128FL及びアウトレットバルブ128RRとの間と、を連通した流路を開放可能な、ノーマルクローズ型のバルブである。
ポンプ132は、負荷圧力に係りなく略一定の吐出量を確保可能な、歯車ポンプ、ピストンポンプ等、容積形のポンプを用いて形成する。
また、ポンプ132は、アキュムレータ126とアウトレットバルブ128FL及びアウトレットバルブ128RRとの間に、吸入側を連通している。また、ポンプ132は、第一ゲートバルブ122Aとインレットバルブ124FL及びインレットバルブ124RRとの間に、吐出側を連通している。
ダンパー室134Aは、ポンプ132の吐出側に配設されており、ポンプ132から吐出されたブレーキ液の脈動を抑制して、ペダル振動を低減させる。
セカンダリ側は、第一ゲートバルブ122Bと、インレットバルブ124FRと、インレットバルブ124RLと、アキュムレータ126Bを備えている。これに加え、セカンダリ側は、アウトレットバルブ128FRと、アウトレットバルブ128RLと、第二ゲートバルブ130Bと、ポンプ132と、ダンパー室134Bを備えている。すなわち、プライマリ側とセカンダリ側は、ポンプ132を共有している。また、セカンダリ側が備える各種の構成は、プライマリ側が備える構成と対応する。
各第一ゲートバルブ122、各インレットバルブ124、各アウトレットバルブ128、各第二ゲートバルブ130は、それぞれ、2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式の電磁操作弁である。
また、各第一ゲートバルブ122及び各インレットバルブ124は、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、各アウトレットバルブ128及び各第二ゲートバルブ130は、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように形成する。
以上の構成により、プライマリ側を例に説明すると、マスタシリンダ24からの液圧が、ダイレクトにホイールシリンダ32FL及び32RRに伝達されて、通常ブレーキとなる。これは、第一ゲートバルブ122A、インレットバルブ124FL及び124RR)、アウトレットバルブ128FL及び128RR、第二ゲートバルブ1が全て非励磁のノーマル位置である状態で発生する。
また、ブレーキペダルが非操作状態であっても、マスタシリンダ24内のブレーキ液を、第二ゲートバルブ1を介して吸入する。さらに、吐出される液圧を、インレットバルブ124FL及び124RRを介して、ホイールシリンダ32FL及び32RRに伝達して、増圧させることが可能である。これは、インレットバルブ124FL及び124RRと、アウトレットバルブ128FL及び128RRを非励磁のノーマル位置にしたまま、第一ゲートバルブ122Aを励磁して閉鎖する。これに加え、第二ゲートバルブ1を励磁して開放し、更にポンプ132を駆動することで可能となる。
また、ホイールシリンダ32FL及び32RRから、マスタシリンダ24及びアキュムレータ126へのそれぞれの流路を遮断して、ホイールシリンダ32FL及び32RRの液圧を保持することが可能となる。これは、第一ゲートバルブ122Aと、アウトレットバルブ128FL及び128RRと、第二ゲートバルブ1が非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ124FL及び124RRを励磁して閉鎖すると可能である。
さらに、ホイールシリンダ32FL及び32RRの液圧をアキュムレータ126に流入させて減圧させることが可能となる。これは、第一ゲートバルブ122A及び第二ゲートバルブ1が非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ124FL及び124RRを励磁して閉鎖すると共に、アウトレットバルブ128FL及び128RRを励磁して開放すると可能となる。
そして、アキュムレータ126に流入した液圧は、ポンプ132によって吸入され、マスタシリンダ24に戻される。
なお、セカンダリ側に関しても、通常ブレーキ・増圧・保持・減圧の動作は、上述したプライマリ側の動作と同様であるため、その説明は省略する。
したがって、制駆動力コントローラ20は、各第一ゲートバルブ122、各インレットバルブ124、各アウトレットバルブ128、各第二ゲートバルブ130、ポンプ132を駆動制御して、各ホイールシリンダ32の液圧を、増圧・保持・減圧する。
(フリクション検出ブロック34の構成)
次に、図1及び図2を参照しつつ、図3から図12を用いて、フリクション検出ブロック34の構成を説明する。
図3は、フリクション検出ブロック34の概略構成を示すブロック図である。
図3中に示すように、フリクション検出ブロック34は、制動力算出部40と、駆動力算出部42と、サスペンション状態算出部44と、サスペンション横力算出部46を備える。これに加え、フリクション検出ブロック34は、制動力フリクション算出部48と、駆動力フリクション算出部50と、サスペンション状態フリクション算出部52と、横力フリクション算出部54と、総フリクション算出部56を備える。
図4は、制動力算出部40の概略構成を示すブロック図である。
図4中に示すように、制動力算出部40は、ブレーキ液圧合算部58と、ブレーキ液圧値選択部60と、車輪制動力算出部62を備える。
ここで、ブレーキ液圧合算部58、ブレーキ液圧値選択部60及び車輪制動力算出部62で行なう処理は、各車輪W(右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRL)に対して個別に行なう。
ブレーキ液圧合算部58は、ドライバブレーキ液圧センサ8から、ドライバブレーキ液圧信号(図中では、「ドライバブレーキ液圧」と示す)の入力を受ける。また、ブレーキ液圧合算部58は、ブレーキアクチュエータ26から、付加機能ブレーキ液圧信号(図中では、「付加機能ブレーキ液圧」と示す)と、VDC液圧信号(図中では、「VDC液圧」と示す)の入力を受ける。
そして、ブレーキ液圧合算部58は、入力を受けたドライバブレーキ液圧信号が含む液圧と、付加機能ブレーキ液圧信号及びVDC液圧信号が含む指令値に応じた液圧を合算する。そして、合算した液圧を含む情報信号(以降の説明では、「液圧合算値信号」と記載する場合がある)を、ブレーキ液圧値選択部60へ出力する。
なお、VDC液圧信号が含む指令値に応じた液圧を他の液圧に合算する際には、例えば、走行支援モードスイッチ16が出力した走行支援モード状態信号を参照する。そして、VDCの制御が「ON」である状態が走行支援モード状態信号に含まれている場合のみ、VDC液圧信号が含む指令値に応じた液圧を他の液圧に合算する処理を行ってもよい。
ブレーキ液圧値選択部60は、例えば、マルチプレクサ(multiplexer)回路を用いて形成する。また、ブレーキ液圧値選択部60は、ブレーキアクチュエータ26から、ABS作動フラグ信号(図中では、「ABS作動フラグ」と示す)の入力を受ける。また、ブレーキ液圧値選択部60は、ブレーキ液圧合算部58から、液圧合算値信号の入力を受ける。また、ブレーキ液圧値選択部60は、予め記憶しているブレーキ液圧が「0」である場合の液圧値を示す情報信号(図中では、「液圧ゼロ」と示す)の入力を受ける。
そして、ABS作動フラグ信号が、ABS制御が作動している(「ON」)フラグ情報信号である場合、ブレーキ液圧が「0」である場合の液圧値を示す情報信号を選択する。一方、ABS作動フラグ信号が、ABS制御が作動していない(「OFF」)フラグ情報信号である場合、液圧合算値信号を選択する。さらに、選択した信号を、現在のブレーキ液圧を示す情報信号(以降の説明では、「現在液圧信号」と記載する場合がある)として、車輪制動力算出部62へ出力する。
車輪制動力算出部62は、ブレーキ液圧値選択部60から入力を受けた現在液圧信号が含むブレーキ液圧を、予め記憶している制動力算出マップに適合させて、車輪Wの制動力を算出する。そして、算出した各車輪W別の制動力と、制動力を算出した車輪Wの個別ID(右前輪、左前輪、右後輪、左後輪)を含む情報信号(以降の説明では、「個別車輪制動力信号」と記載する場合がある)を、制動力フリクション算出部48へ出力する。さらに、個別車輪制動力信号を、操縦安定性制御ブロック38へ出力する。
ここで、制動力算出マップは、図中に示すように、横軸にブレーキ液圧(図中では、「液圧」と示す)を示し、縦軸に車輪Wの制動力(図中では、「制動力」と示す)を示すマップである。また、制動力算出マップ中に示すブレーキ液圧と車輪Wの制動力との関係は、車輪Wを形成するタイヤのグリップ能力に応じて、その関係度合いが変化する。具体的には、ブレーキ液圧が増加して、車輪Wの制動力がタイヤのグリップ能力の限界に近づくほど、車輪Wの制動力は、その増加度合いが減少する。
以上により、制動力算出部40は、各車輪Wに対し、その制動力を個別に算出する。
また、制動力算出部40は、車両Vの走行制御に基づく車輪Wの制動力を算出する。ここで、車両Vの走行制御とは、車両Vの運転者による制動力要求の制御と、運転者による駆動力要求の制御と、車両Vのシステム制御を含む。また、車両Vのシステム制御とは、例えば、上述した先行車追従走行制御や、車線維持走行制御(レーンキープ制御)等である。
図5は、駆動力算出部42の概略構成を示すブロック図である。
図5中に示すように、駆動力算出部42は、推定トルク算出部64と、トルク値選択部66と、車輪駆動力算出部68を備える。
ここで、推定トルク算出部64、トルク値選択部66及び車輪駆動力算出部68で行なう処理は、各車輪Wに対して個別に行なう。
推定トルク算出部64は、アクセル開度センサ10から、アクセル開度信号(図中では、「アクセル開度」と示す)の入力を受ける。また、推定トルク算出部64は、動力コントロールユニット28から、現在トルク信号(図中では、「現在トルク」と示す)と、トルクコントロール信号(図中では、「トルクコントロール機能」と示す)の入力を受ける。
そして、推定トルク算出部64は、入力を受けたアクセル開度信号が含むアクセル開度と、現在トルク信号が含むトルクと、トルクコントロール信号が含むトルクに基づき、推定トルクを算出する。そして、算出した推定トルクを含む情報信号(以降の説明では、「推定トルク信号」と記載する場合がある)を、トルク値選択部66へ出力する。
トルク値選択部66は、例えば、ブレーキ液圧値選択部60と同様、マルチプレクサ回路を用いて形成する。また、トルク値選択部66は、動力コントロールユニット28から、TCS作動フラグ信号(図中では、「TCS作動フラグ」と示す)の入力を受ける。また、トルク値選択部66は、推定トルク算出部64から、推定トルク信号の入力を受ける。また、トルク値選択部66は、予め記憶しているトルクが「0」である状態を示す情報信号(図中では、「トルクゼロ」と示す)の入力を受ける。
そして、TCS作動フラグ信号が、TCS制御が作動している(「ON」)フラグ情報信号である場合、トルクが「0」である情報信号を選択する。一方、TCS作動フラグ信号が、TCS制御が作動していない(「OFF」)フラグ情報信号である場合、推定トルク信号を選択する。さらに、選択した信号を、現在のトルクを示す情報信号(以降の説明では、「現在トルク信号」と記載する場合がある)として、車輪駆動力算出部68へ出力する。
車輪駆動力算出部68は、トルク値選択部66から入力を受けた現在トルク信号が含むトルクを、予め記憶している駆動力算出マップに適合させて、右前輪WFR及び左前輪WFLの駆動力を算出する。そして、算出した車輪W別の駆動力と、駆動力を算出した車輪Wの個別IDを含む情報信号(以降の説明では、「個別車輪駆動力信号」と記載する場合がある)を、駆動力フリクション算出部50及び操縦安定性制御ブロック38へ出力する。
ここで、駆動力算出マップは、図中に示すように、横軸にトルクを示し、縦軸に車輪Wの駆動力(図中では、「駆動力」と示す)を示すマップである。また、駆動力算出マップ中に示すトルクと車輪Wの駆動力との関係は、車輪Wを形成するタイヤのグリップ能力に応じて、その関係度合いが変化する。具体的には、トルクが増加して、車輪Wの駆動力がタイヤのグリップ能力の限界に近づくほど、車輪Wの駆動力は、その増加度合いが減少する。
以上により、駆動力算出部42は、各車輪Wに対し、その駆動力を個別に算出する。
また、駆動力算出部42は、車両Vの走行制御に基づく車輪Wの駆動力を算出する。なお、車両Vの走行制御とは、上述した制動力算出部40の説明と同様である。
図6は、サスペンション状態算出部44の概略構成を示すブロック図である。
図6中に示すように、サスペンション状態算出部44は、バネ上側積分処理部70と、バネ下側積分処理部72と、上下加速度加減算処理部74を備える。これに加え、サスペンション状態算出部44は、ストローク速度積分処理部76と、ストローク速度微分処理部78と、車輪ストローク選択部80と、車輪ストローク速度選択部82を備える。
ここで、バネ上側積分処理部70、バネ下側積分処理部72、上下加速度加減算処理部74、ストローク速度積分処理部76で行なう処理は、各サスペンションSPに対して個別に行なう。これに加え、ストローク速度微分処理部78、車輪ストローク選択部80、車輪ストローク速度選択部82で行なう処理は、各サスペンションSPに対して個別に行なう。
バネ上側積分処理部70は、バネ上上下加速度センサの機能を有するブロック(図中では、「バネ上上下Gセンサ」と示す)から、バネ上上下加速度信号の入力を受ける。そして、バネ上側積分処理部70は、入力を受けたバネ上上下加速度信号が含むバネ上部分における上下方向への加速度を積分し、バネ上部分における上下方向へのサスペンションSPの変位速度を算出する。そして、算出したバネ上部分における上下方向へのサスペンションSPの変位速度を含む情報信号(以降の説明では、「バネ上上下速度信号」と記載する場合がある)を、上下加速度加減算処理部74へ出力する。
バネ下側積分処理部72は、バネ下上下加速度センサの機能を有するブロック(図中では、「バネ下上下Gセンサ」と示す)から、バネ下上下加速度信号の入力を受ける。そして、バネ下側積分処理部72は、入力を受けたバネ下上下加速度信号が含むバネ下部分における上下方向への加速度を積分し、バネ下部分における上下方向へのサスペンションSPの変位速度を算出する。さらに、算出したバネ下部分における上下方向へのサスペンションSPの変位速度を含む情報信号(以降の説明では、「バネ下上下速度信号」と記載する場合がある)を、上下加速度加減算処理部74へ出力する。
上下加速度加減算処理部74は、バネ上側積分処理部70からバネ上上下速度信号の入力を受け、バネ下側積分処理部72からバネ下上下速度信号の入力を受ける。そして、入力を受けたバネ上上下速度信号が含む変位速度から、入力を受けたバネ下上下速度信号が含む変位速度を減算し、サスペンションSPの推定ストローク速度を算出する。さらに、算出した推定ストローク速度を含む情報信号(以降の説明では、「推定ストローク速度信号」と記載する場合がある)を、ストローク速度積分処理部76及び車輪ストローク速度選択部82へ出力する。
ストローク速度積分処理部76は、上下加速度加減算処理部74から入力を受けた推定ストローク速度信号が含む推定ストローク速度を積分し、サスペンションSPの推定ストローク量(推定変位量)を算出する。そして、算出したサスペンションSPの推定ストローク量を含む情報信号(以降の説明では、「推定ストローク量信号」と記載する場合がある)を、車輪ストローク選択部80へ出力する。
ストローク速度微分処理部78は、ストロークセンサ14から入力を受けた実測ストローク量信号が含むサスペンションSPの実測ストローク量を単位時間で微分し、サスペンションSPの実測ストローク速度を算出する。そして、算出したサスペンションSPの実測ストローク速度を含む情報信号(以降の説明では、「実測ストローク速度信号」と記載する場合がある)を、車輪ストローク速度選択部82へ出力する。
車輪ストローク選択部80は、実測ストローク量信号が含む実測ストローク量と、推定ストローク量信号が含む推定ストローク量のうち一方を、サスペンションSPのストローク量として選択する。そして、選択したストローク量とサスペンションSPの中立位置に基づき、サスペンションSPのストローク位置を算出する。ここで、サスペンションSPの中立位置とは、無負荷の状態におけるサスペンションSPの位置である。また、サスペンションSPのストローク位置とは、無負荷の状態におけるサスペンションSPの位置を基準として、選択したストローク量だけ変位した位置である。
さらに、車輪ストローク選択部80は、算出したストローク位置を含む情報信号(以降の説明では、「サスペンションストローク位置信号」と記載する場合がある)を、サスペンション状態フリクション算出部52へ出力する。なお、サスペンションストローク位置信号は、ストローク量を選択したサスペンションSPを設置した車輪Wの個別IDを含む。
ここで、車輪ストローク選択部80は、例えば、ストロークセンサ14に故障等の異常が発生している場合に、推定ストローク量をサスペンションSPのストローク量として選択する処理を行う。
車輪ストローク速度選択部82は、推定ストローク速度信号が含む推定ストローク速度と、実測ストローク速度信号が含む実測ストローク速度のうち一方を、サスペンションSPのストローク速度として選択する。そして、選択したストローク速度を含む情報信号(以降の説明では、「サスペンションストローク速度信号」と記載する場合がある)を、サスペンション状態フリクション算出部52へ出力する。なお、サスペンションストローク速度信号は、ストローク速度を選択したサスペンションSPを設置した車輪Wの個別IDを含む。
ここで、車輪ストローク速度選択部82は、例えば、ストロークセンサ14に故障等の異常が発生している場合に、推定ストローク速度をサスペンションSPのストローク速度として選択する処理を行う。
以上により、サスペンション状態算出部44は、各サスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL、サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に対し、そのストローク位置を個別に算出する。
また、サスペンション状態算出部44は、各サスペンションSPに対し、そのストローク速度を個別に算出する。
図7は、サスペンション横力算出部46の概略構成を示すブロック図である。
図7中に示すように、サスペンション横力算出部46は、車両状態算出部84と、横加速度選択部86と、第一車輪サスペンション横力算出部88と、第二車輪サスペンション横力算出部90と、横力決定部92を備える。
ここで、車両状態算出部84、横加速度選択部86、第一車輪サスペンション横力算出部88、第二車輪サスペンション横力算出部90、横力決定部92で行なう処理は、各サスペンションSPに対して個別に行なう。
車両状態算出部84は、車輪速センサ18から、車両Vの速度(車速)を検出するための車輪Wの回転速度を含む車輪速信号(図中では、「車速」と示す)の入力を受ける。また、車両状態算出部84は、操舵角センサ6から現在操舵角信号(図中では、「舵角」と示す)の入力を受ける。
そして、車両状態算出部84は、車輪速信号が含む車輪Wの回転速度に基づく車速と、現在操舵角信号が含む現在操舵角を用いて、推定横加速度を算出する。そして、算出した推定横加速度を含む情報信号(以降の説明では、「推定横加速度信号」と記載する場合がある)を、横加速度選択部86へ出力する。
ここで、推定横加速度の算出は、入力を受けた車速と操舵角を、予め記憶している運動方程式に代入して行なう。なお、運動方程式は、例えば、車両Vの構成が二輪駆動車(2WD)の場合と、四輪駆動車(4WD)の場合の二通りを記憶させておく。
また、車両状態算出部84は、車輪速信号が含む車輪Wの回転速度に基づく車速と、現在操舵角信号が含む現在操舵角を用いて、例えば、車輪Wに対し、予め設定した荷重当たりのスリップ角を、車両状態として算出する。そして、算出した車両状態を含む情報信号(以降の説明では、「算出車両状態信号」と記載する場合がある)を、第二車輪サスペンション横力算出部90へ出力する。
横加速度選択部86は、車両状態算出部84から推定横加速度信号の入力を受け、横加速度センサの機能を有するブロック(図中では、「横Gセンサ」と示す)から実測横加速度信号の入力を受ける。そして、推定横加速度信号が含む推定横加速度と、実測横加速度信号が含む実測横加速度のうち一方を、車体の横方向の加速度として選択する。さらに、選択した横方向の加速度を含む情報信号(以降の説明では、「選択横方向加速度信号」と記載する場合がある)を、第一車輪サスペンション横力算出部88へ出力する。
ここで、横加速度選択部86は、例えば、Gセンサ2(横加速度センサの機能を有するブロック)に故障等の異常が発生している場合に、推定横加速度を車体の横方向の加速度として選択する処理を行う。
第一車輪サスペンション横力算出部88は、横加速度選択部86から入力を受けた選択横方向加速度信号が含む横方向の加速度を、予め記憶している横力算出マップに適合させて、サスペンションSPの横力を算出する。そして、算出した各サスペンションSP別の横力を含む情報信号(以降の説明では、「第一個別車輪横力信号」と記載する場合がある)を、横力決定部92へ出力する。なお、第一個別車輪横力信号は、横力を算出したサスペンションSPを設置した車輪Wの個別IDを含む。
ここで、横力算出マップは、図中に示すように、横軸に横方向の加速度(図中では、「横G」と示す)を示し、縦軸にサスペンションSPの横力(図中では、「サスペンション横力」と示す)を示すマップである。また、横力算出マップ中に示す横方向の加速度と横力との関係は、車輪Wを形成するタイヤのグリップ能力に応じて、その関係度合いが変化する。具体的には、トルクが増加して、サスペンションSPの横力がタイヤのグリップ能力の限界に近づくほど、サスペンションSPの横力は、その増加度合いが減少する。
第二車輪サスペンション横力算出部90は、車両状態算出部84から入力を受けた算出車両状態信号が含む車両状態を、予め記憶している車輪Wの諸元(タイヤモデル)に代入して、サスペンションSPの横力を算出する。そして、算出した各サスペンションSP別の横力を含む情報信号(以降の説明では、「第二個別車輪横力信号」と記載する場合がある)を、横力決定部92へ出力する。なお、第一個別車輪横力信号は、第二個別車輪横力信号と同様、横力を算出したサスペンションSPを設置した車輪Wの個別IDを含む。
なお、第二車輪サスペンション横力算出部90に記憶している車輪Wの諸元は、車両Vの走行距離等に応じて更新・変更してもよい。
横力決定部92は、第一個別車輪横力信号が含む横力と、第二個別車輪横力信号が含む横力のうち少なくとも一方に基づき、各サスペンションSP別の横力を算出する。そして、算出した各サスペンションSP別の横力を含む情報信号(以降の説明では、「各輪横力信号」と記載する場合がある)を、横力フリクション算出部54へ出力する。
ここで、横力決定部92が行なう処理では、例えば、第一個別車輪横力信号が含む横力と第二個別車輪横力信号が含む横力のうち一方を、各サスペンションSP別の横力として算出してもよい。また、二つの横力の平均値を、各サスペンションSP別の横力として算出してもよい。
以上により、サスペンション横力算出部46は、各サスペンションSPに対し、その横力を個別に算出する。
制動力フリクション算出部48は、制動力算出部40から入力を受けた個別車輪制動力信号が含む制動力を、予め記憶している制動力フリクション算出マップに適合させる。これにより、制動力によって、各サスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「制動力フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、制動力によりサスペンションSPに発生するフリクションを、「制動力フリクション」と記載する場合がある。
ここで、制動力フリクション算出マップは、図8中に示すように、横軸に車輪Wの制動力(図中では、「制動力[N]」と示す)を示すマップである。さらに、制動力フリクション算出マップは、縦軸に、制動力によりサスペンションSPに発生するフリクション(図中では、「フリクション‐制動力[N]」と示す)を示すマップである。なお、図8は、制動力フリクション算出マップを示す図である。また、図8中では、制動力により前輪WFと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL)に発生するフリクションを実線(図中では、「フリクション‐前軸制動力[N]」と示す)で示す。また、図8中では、制動力により後輪WRと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に発生するフリクションを破線(図中では、「フリクション‐後軸制動力[N]」と示す)で示す。
以上により、制動力フリクション算出部48は、制動力算出部40が算出した制動力に基づいて発生する制動力フリクションを、各サスペンションSPに対して個別に算出する。なお、制動力フリクションは、制動力算出部40が算出した制動力に基づいてサスペンションSPに発生するフリクションの推定値である。
駆動力フリクション算出部50は、駆動力算出部42から入力を受けた個別車輪駆動力信号が含む駆動力を、予め記憶している駆動力フリクション算出マップに適合させる。これにより、駆動力によって、各サスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「駆動力フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、駆動力によりサスペンションSPに発生するフリクションを、「駆動力フリクション」と記載する場合がある。
ここで、駆動力フリクション算出マップは、図9中に示すように、横軸に車輪Wの駆動力(図中では、「駆動力[N]」と示す)を示すマップである。さらに、駆動力フリクション算出マップは、縦軸に、駆動力によりサスペンションSPに発生するフリクション(図中では、「フリクション‐駆動力[N]」と示す)を示すマップである。なお、図9は、駆動力フリクション算出マップを示す図である。また、図9中では、駆動力により前輪WFと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL)に発生するフリクションを実線(図中では、「フリクション‐前軸駆動力[N]」と示す)で示す。
また、二輪駆動車の構成としては、右後輪WRR及び左後輪WRLが従動輪であり、右前輪WFR及び左前輪WFLが駆動輪である構成とすることも可能である。同様に、二輪駆動車の構成としては、右前輪WFR及び左前輪WFLが従動輪であり、右後輪WRR及び左後輪WRLが駆動輪である構成とすることも可能である。このため、図9中では、駆動力により後輪WRと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に発生するフリクションを破線(図中では、「フリクション‐後軸駆動力[N]」と示す)で示す。さらに、図9中に示す駆動力フリクション算出マップでは、マップの右半分を加速状態の領域として用い、マップの左半分を回生制動状態の領域として用いる。
以上により、駆動力フリクション算出部50は、駆動力算出部42が算出した駆動力に基づいて発生する駆動力フリクションを、各サスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL)に対して個別に算出する。なお、駆動力フリクションは、駆動力算出部42が算出した駆動力に基づいてサスペンションSPに発生するフリクションの推定値である。
サスペンション状態フリクション算出部52は、サスペンション状態算出部44から入力を受けたサスペンションストローク位置信号が含むストローク位置を、予め記憶しているストローク位置フリクション算出マップに適合させる。これにより、サスペンション状態フリクション算出部52は、ストローク位置に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「ストローク位置フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、ストローク位置に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを、「ストローク位置フリクション」と記載する場合がある。
ここで、ストローク位置フリクション算出マップは、図10中に示すように、横軸にサスペンションSPのストローク位置(図中では、「ストローク位置[mm]」と示す)を示すマップである。さらに、ストローク位置フリクション算出マップは、縦軸に、ストローク位置に応じてサスペンションSPに発生するフリクション(図中では、「フリクション‐ストローク位置[N]」と示す)を示すマップである。なお、図10は、ストローク位置フリクション算出マップを示す図である。また、図10中では、ストローク位置に応じて前輪WFと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL)に発生するフリクションを実線(図中では、「フリクション‐前軸ストローク位置[mm]」と示す)で示す。また、ストローク位置に応じて後輪WRと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に発生するフリクションを破線(図中では、「フリクション‐後軸ストローク位置[mm]」と示す)で示す。さらに、図10中に示すストローク位置フリクション算出マップでは、マップの右半分を上方への変位を示す領域として用い、マップの左半分を下方への変位を示す領域として用いる。
また、サスペンション状態フリクション算出部52は、サスペンション状態算出部44から入力を受けたサスペンションストローク速度信号が含むストローク速度を、予め記憶しているストローク速度フリクション算出マップに適合させる。これにより、サスペンション状態フリクション算出部52は、ストローク速度に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「ストローク速度フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、ストローク速度に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを、「ストローク速度フリクション」と記載する場合がある。
ここで、ストローク速度フリクション算出マップは、図11中に示すように、横軸にサスペンションSPのストローク速度(図中では、「ストローク速度[m/s]」と示す)を示すマップである。さらに、ストローク速度フリクション算出マップは、縦軸に、ストローク速度に応じてサスペンションSPに発生するフリクション(図中では、「フリクション‐ストローク速度[N]」と示す)を示すマップである。なお、図11は、ストローク速度フリクション算出マップを示す図である。また、図11中では、ストローク速度に応じて前輪WFと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL)に発生するフリクションを実線(図中では、「フリクション‐前軸ストローク速度[m/s]」と示す)で示す。また、ストローク速度に応じて後輪WRと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に発生するフリクションを破線(図中では、「フリクション‐後軸ストローク速度[m/s]」と示す)で示す。さらに、図11中に示すストローク速度フリクション算出マップでは、マップの右半分を上方への変位を示す領域として用い、マップの左半分を下方への変位を示す領域として用いる。
以上により、サスペンション状態フリクション算出部52は、サスペンション状態算出部44が算出したストローク位置に基づいて発生するストローク位置フリクションを、各サスペンションSPに対して個別に算出する。なお、ストローク位置フリクションは、サスペンション状態算出部44が算出したストローク位置に基づいてサスペンションSPに発生するフリクションの推定値である。
また、サスペンション状態フリクション算出部52は、サスペンション状態算出部44が算出したストローク速度に基づいて発生するストローク速度フリクションを、各サスペンションSPに対して個別に算出する。なお、ストローク速度フリクションは、サスペンション状態算出部44が算出したストローク速度に基づいてサスペンションSPに発生するフリクションの推定値である。
横力フリクション算出部54は、サスペンション横力算出部46から入力を受けた各輪横力信号が含む各サスペンションSP別の横力を、予め記憶している横力フリクション算出マップに適合させる。これにより、横力フリクション算出部54は、横力に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを算出する。そして、算出した各サスペンションSP別のフリクションを含む情報信号(以降の説明では、「横力フリクション信号」と記載する場合がある)を、総フリクション算出部56へ出力する。なお、以降の説明では、横力に応じてサスペンションSPに発生するフリクションを、「横力フリクション」と記載する場合がある。
ここで、横力フリクション算出マップは、図12中に示すように、横軸に、サスペンションSPの横力(図中では、「横力[N]」と示す)を示すマップである。さらに、横力フリクション算出マップは、縦軸に、横力に応じてサスペンションSPに発生するフリクション(図中では、「フリクション‐横力[N]」と示す)を示すマップである。なお、図12は、横力フリクション算出マップを示す図である。また、図12中では、横力に応じて前輪WFと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPFR、サスペンションSPFL)に発生するフリクションを実線(図中では、「フリクション‐前軸横力[N]」と示す)で示す。また、横力に応じて後輪WRと車体とを連結するサスペンションSP(サスペンションSPRR、サスペンションSPRL)に発生するフリクションを破線(図中では、「フリクション‐後軸横力[N]」と示す)で示す。さらに、図12中に示す横力フリクション算出マップでは、マップの右半分を、車両Vを車両前後方向後方から見た右側への横力に対応した領域として用い、マップの左半分を、車両Vを車両前後方向後方から見た左側への横力に対応した領域として用いる。
以上により、横力フリクション算出部54は、サスペンション横力算出部46が算出した横力に基づいて発生する横力フリクションを、各サスペンションSPに対して個別に算出する。なお、横力フリクションは、サスペンション横力算出部46が算出した横力に基づいてサスペンションSPに発生するフリクションの推定値である。
なお、上述した制動力フリクション算出マップ、駆動力フリクション算出マップ、ストローク位置フリクション算出マップ、ストローク速度フリクション算出マップ、横力フリクション算出マップは、台上走行や路上走行等で計測したデータを用いて形成する。ここで、台上走行とは、例えば、シャシーダイナモメーター(chassis dynamometer)上の走行である。
総フリクション算出部56は、制動力フリクション算出部48から制動力フリクション信号の入力を受け、駆動力フリクション算出部50から駆動力フリクション信号の入力を受ける。これに加え、サスペンション状態フリクション算出部52からストローク位置フリクション信号及びストローク速度フリクション信号の入力を受け、横力フリクション算出部54から横力フリクション信号の入力を受ける。そして、制動力フリクションと、駆動力フリクションと、ストローク位置フリクションと、ストローク速度フリクションと、横力フリクションを合算する。
これにより、一つのサスペンションSPの総フリクション(以降の説明では、「各輪総フリクション」と記載する場合がある)を算出する。さらに、算出した各輪総フリクションを含む情報信号(以降の説明では、「各輪総フリクション信号」と記載する場合がある)を、乗り心地制御ブロック36及び操縦安定性制御ブロック38へ出力する。
(乗り心地制御ブロック36の構成)
次に、図1から図12を参照しつつ、図13を用いて、乗り心地制御ブロック36の構成を説明する。
図13は、乗り心地制御ブロック36の概略構成を示すブロック図である。
図13中に示すように、乗り心地制御ブロック36は、乗り心地制御側車両挙動算出部94と、挙動抑制フリクション算出部112と、乗り心地制御側目標フリクション算出部96を備える。これに加え、乗り心地制御ブロック36は、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98と、制動力指令値算出部100Aと、駆動力指令値算出部102Aを備える。
乗り心地制御側車両挙動算出部94は、上述した車輪速信号(図中では、「車速」と示す)、現在操舵角信号(図中では、「舵角」と示す)の入力を受ける。これに加え、乗り心地制御側車両挙動算出部94は、バネ上上下加速度信号、バネ下上下加速度信号及び実測ストローク量信号(図中では、「サスペンション」と示す)の入力を受ける。また、乗り心地制御側車両挙動算出部94には、予め、車両Vの諸元(車重、車重のバランス等、以降の説明では、「車両諸元」と記載する場合がある)を記憶させてある。
また、乗り心地制御側車両挙動算出部94は、バネ上上下加速度、バネ下上下加速度、実測ストローク量を用いて、車両Vの上下方向への挙動の推定値である、推定上下挙動を算出する。そして、算出した推定上下挙動を含む情報信号(以降の説明では、「推定上下挙動信号」と記載する場合がある)を、挙動抑制フリクション算出部112へ出力する。なお、推定上下挙動を算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。すなわち、乗り心地制御側車両挙動算出部94は、車体に発生する上下方向への挙動である、車体の上下挙動を算出する。
また、乗り心地制御側車両挙動算出部94は、車速と現在操舵角を用いて、車両Vのヨーレートの推定値である、推定ヨーレートを算出する。そして、算出した推定ヨーレートを含む情報信号(以降の説明では、「推定ヨーレート信号」と記載する場合がある)を、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98へ出力する。なお、推定ヨーレートを算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。
挙動抑制フリクション算出部112は、乗り心地制御側車両挙動算出部94から推定上下挙動信号の入力を受け、推定上下挙動信号が含む推定上下挙動を、予め記憶している目標フリクション算出マップに適合させて、挙動抑制フリクションを算出する。そして、算出した挙動抑制フリクションを含む情報信号(以降の説明では、「挙動抑制フリクション信号」と記載する場合がある)を、乗り心地制御側目標フリクション算出部96へ出力する。
ここで、目標フリクション算出マップは、図中に示すように、横軸に推定上下挙動(図中では、「上下挙動」と示す)を示し、縦軸に挙動抑制フリクション(図中では、「フリクション」と示す)を示すマップである。また、目標フリクション算出マップに示す推定上下挙動と挙動抑制フリクションとの関係は、予め、台上走行や路上走行等で計測したデータを用いて形成する。
また、挙動抑制フリクションとは、車両Vの上下挙動を抑制するために必要な、各サスペンションSPに発生させるフリクションである。
乗り心地制御側目標フリクション算出部96は、挙動抑制フリクション算出部112から挙動抑制フリクション信号の入力を受け、総フリクション算出部56から各輪総フリクション信号の入力を受ける。また、乗り心地制御側目標フリクション算出部96は、上述した車輪速信号の入力を受ける。
そして、乗り心地制御側目標フリクション算出部96は、挙動抑制フリクションと、各輪総フリクションと、車速を用いて、乗り心地制御用各輪目標フリクションを算出する。具体的には、挙動抑制フリクションから各輪総フリクションを減算したフリクションを、乗り心地制御用各輪目標フリクションとして算出する。
ここで、乗り心地制御用各輪目標フリクションとは、車両Vの上下挙動を抑制するために、各サスペンションSPに発生させるフリクションの目標値である。
さらに、乗り心地制御側目標フリクション算出部96は、乗り心地制御用各輪目標フリクションと各輪総フリクションとの差分値である乗り心地制御用フリクション差分値を算出する。そして、算出した乗り心地制御用フリクション差分値を含む情報信号(以降の説明では、「乗り心地制御用フリクション差分値信号」と記載する場合がある)を、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98へ出力する。
乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、乗り心地制御側目標フリクション算出部96から乗り心地制御用フリクション差分値信号の入力を受け、総フリクション算出部56から各輪総フリクション信号の入力を受ける。また、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、乗り心地制御側車両挙動算出部94から推定ヨーレート信号の入力を受ける。
そして、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、各輪総フリクション及び乗り心地制御用各輪目標フリクションを用いて、全てのサスペンションSPに対し、乗り心地制御用各輪目標フリクションに対する総フリクションの過不足分を個別に算出する。
ここで、過不足分の算出は、総フリクション算出部56が算出した総フリクションと、乗り心地制御側目標フリクション算出部96が算出した乗り心地制御用各輪目標フリクションに基づいて行なう。具体的には、例えば、総フリクションが乗り心地制御用各輪目標フリクション未満である場合に、乗り心地制御用各輪目標フリクションから総フリクションを減算して、乗り心地制御用各輪目標フリクションに対する総フリクションの不足分を算出する。
また、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、推定ヨーレート、各輪総フリクション及び乗り心地制御用各輪目標フリクションを用いて、制駆動力分配指令値を演算する。
ここで、制駆動力分配指令値とは、制動力によるフリクション及び駆動力によるフリクションのうち少なくとも一方を、各サスペンションSPに発生させる指令値である。
また、駆動力によるフリクションには、駆動用モータが発生させる駆動力によるフリクションがある。
さらに、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、制駆動力分配指令値と過不足分のフリクションに基づき、フリクションを発生させるサスペンションSPにおける、制動力によるフリクションと駆動力によるフリクションの配分比を算出する。これにより、乗り心地制御側制駆動力配分比を算出する。
ここで、乗り心地制御側制駆動力配分比とは、乗り心地制御用各輪目標フリクションに対する総フリクションの過不足分に相当するフリクションをサスペンションSPに発生させるために必要な、車輪Wの制動力と車輪Wの駆動力との配分比である。
したがって、乗り心地制御用各輪目標フリクションは目標値であり、乗り心地制御用各輪目標フリクションに対する各車輪Wのフリクションは実際値である。また、上述した過不足分の補正は、車輪Wの制動力及び車輪Wの駆動力のうち少なくとも一方によりサスペンションSPに発生させるフリクションで行う。
さらに、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、算出した乗り心地制御側制駆動力配分比を含む情報信号(以降の説明では、「乗り心地制御側制駆動力配分比信号」と記載する場合がある)を、制動力指令値算出部100Aへ出力する。これに加え、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、乗り心地制御側制駆動力配分比信号を、駆動力指令値算出部102Aへ出力する。
制動力指令値算出部100Aは、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98から入力を受けた乗り心地制御側制駆動力配分比信号が含む乗り心地制御側制駆動力配分比のうち、車輪Wの制動力の配分比に基づいて、乗り心地制御側駆動力指令値を算出する。
ここで、乗り心地制御側制動力指令値は、乗り心地制御側制駆動力配分比信号が含む乗り心地制御側制駆動力配分比に基づくフリクションを、車輪Wの制動力によりサスペンションSPに発生させるための最終指令値である。
乗り心地制御側制動力指令値を算出した制動力指令値算出部100Aは、算出した乗り心地制御側制動力指令値を指令液圧(ブレーキ液圧)に換算する。そして、換算した指令液圧を含む情報信号である制動指令信号を、ブレーキアクチュエータ26へ出力する。
駆動力指令値算出部102Aは、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98から入力を受けた乗り心地制御側制駆動力配分比信号が含む制駆動力配分比のうち、車輪Wの駆動力の配分比に基づいて、乗り心地制御側駆動力指令値を算出する。そして、算出した乗り心地制御側駆動力指令値を駆動トルクの補正値(駆動トルク補正値)に換算し、この換算した駆動トルク補正値を含む情報信号である駆動指令信号を、動力コントロールユニット28へ出力する。
ここで、乗り心地制御側駆動力指令値は、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が算出した車輪Wの駆動力の配分比に基づくフリクションを、車輪Wの駆動力によりサスペンションSPに発生させるための最終指令値(車輪Wの駆動力の指令値)である。また、乗り心地制御側駆動力指令値は、後述するように、車両Vの上下挙動を抑制するためのフリクションを車輪Wの駆動力により各サスペンションSPに発生させるための最終指令値となる。
(操縦安定性制御ブロック38の構成)
次に、図1から図13を参照しつつ、図14を用いて、操縦安定性制御ブロック38の構成を説明する。
図14は、操縦安定性制御ブロック38の概略構成を示すブロック図である。
図14中に示すように、操縦安定性制御ブロック38は、推定前後力算出部104と、操縦安定性制御側車両挙動算出部106と、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108を備える。これに加え、操縦安定性制御ブロック38は、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110と、制動力指令値算出部100Bと、駆動力指令値算出部102Bを備える。
推定前後力算出部104は、制動力算出部40から個別車輪制動力信号の入力を受け、駆動力算出部42から個別車輪駆動力信号の入力を受ける。そして、算出した各車輪W別の制動力及び個別IDと、算出した各車輪W別の駆動力及び個別IDを用いて、車両Vに作用する力のうち、車両前後方向への力の推定値である、推定前後力を算出する。
また、推定前後力算出部104は、算出した推定前後力を含む情報信号(以降の説明では、「推定前後力信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側車両挙動算出部106へ出力する。
操縦安定性制御側車両挙動算出部106は、上述した車輪速信号(図中では、「車速」と示す)、現在操舵角信号(図中では、「舵角」と示す)、推定前後力信号の入力を受ける。また、操縦安定性制御側車両挙動算出部106には、予め、車両諸元を記憶させてある。
また、操縦安定性制御側車両挙動算出部106は、車速と現在操舵角を用いて、車両Vのロールレートの推定値である推定ロールレートを算出する。そして、算出した推定ロールレートを含む情報信号(以降の説明では、「推定ロールレート信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108へ出力する。なお、推定ロールレートを算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。
また、操縦安定性制御側車両挙動算出部106は、推定前後力を用いて、車両Vのピッチレートの推定値である推定ピッチレートを算出する。そして、算出した推定ピッチレートを含む情報信号(以降の説明では、「推定ピッチレート信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108へ出力する。なお、推定ピッチレートを算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。
また、操縦安定性制御側車両挙動算出部106は、車速と現在操舵角を用いて、車体に発生する横加速度の推定値である推定横Gを算出する。そして、算出した推定横Gを含む情報信号(以降の説明では、「推定横G信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110へ出力する。なお、推定横Gを算出する処理は、車両諸元を参照して行なってもよい。また、推定横Gを算出する処理は、上述した横加速度センサの機能を有するブロックが出力した実測横加速度信号を参照して行ってもよい。
操縦安定性制御側目標フリクション算出部108は、操縦安定性制御側車両挙動算出部106から推定ロールレート信号及び推定ピッチレート信号の入力を受け、総フリクション算出部56から各輪総フリクション信号の入力を受ける。また、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108は、上述した車輪速信号の入力を受ける。
そして、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108は、推定ロールレートと、推定ピッチレートと、各輪総フリクションと、車速を用いて、操縦安定性制御用各輪目標フリクションを算出する。
ここで、操縦安定性制御用各輪目標フリクションとは、運転者の運転操作や上述したTCS制御等により車両Vに発生する上屋挙動(ピッチ挙動、ロール挙動)を抑制するために、各サスペンションSPに発生させるフリクションの目標値である。
さらに、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108は、操縦安定性制御用各輪目標フリクションと各輪総フリクションとの差分値である操縦安定性制御用フリクション差分値を算出する。そして、算出した操縦安定性制御用フリクション差分値を含む情報信号(以降の説明では、「操縦安定性制御用フリクション差分値信号」と記載する場合がある)を、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110へ出力する。
操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108から操縦安定性制御用フリクション差分値信号の入力を受け、総フリクション算出部56から各輪総フリクション信号の入力を受ける。また、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、操縦安定性制御側車両挙動算出部106から推定横G信号の入力を受ける。
これに加え、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、駆動方式検出ブロック142から駆動方式検出結果信号の入力を受け、旋回状態判定ブロック144から旋回状態判定結果信号の入力を受ける。なお、駆動方式検出結果信号及び旋回状態判定結果信号の説明は、後述する。
そして、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、推定横G、各輪総フリクション、操縦安定性制御用各輪目標フリクション、駆動方式検出結果及び旋回状態判定結果を用いて、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。
ここで、操縦安定性制御側制駆動力配分比とは、車両Vに発生する上屋挙動のうち、車両Vの操縦に関する挙動(ピッチ挙動、ロール挙動)を抑制するための、車輪Wの制動力と車輪Wの駆動力との配分比である。すなわち、操縦安定性制御側制駆動力配分比は、操縦安定性制御用各輪目標フリクション(目標値)に対する各車輪Wのフリクション(実際値)の過不足分を補正するために、車輪Wの制動力及び駆動力を制御するための配分である。
さらに、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、算出した操縦安定性制御側制駆動力配分比を含む情報信号(以降の説明では、「操縦安定性制御側制駆動力配分比信号」と記載する場合がある)を、制動力指令値算出部100Bへ出力する。これに加え、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、操縦安定性制御側制駆動力配分比信号を、駆動力指令値算出部102Bへ出力する。
なお、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110の詳細な構成と、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理の説明は、後述する。
制動力指令値算出部100Bは、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110から入力を受けた操縦安定性制御側制駆動力配分比信号が含む操縦安定性制御側制駆動力配分比のうち、車輪Wの制動力の配分比に基づいて、操縦安定性制御側制動力指令値を算出する。
ここで、操縦安定性制御側制動力指令値は、操縦安定性制御側制駆動力配分比信号が含む操縦安定性制御側制駆動力配分比に基づくフリクションを、車輪Wの制動力によりサスペンションSPに発生させるための最終指令値である。
操縦安定性制御側制動力指令値を算出した制動力指令値算出部100Bは、算出した操縦安定性制御側制動力指令値を指令液圧(ブレーキ液圧)に換算する。そして、換算した指令液圧を含む情報信号である制動指令信号を、ブレーキアクチュエータ26へ出力する。なお、操縦安定性制御ブロック38が備える制動力指令値算出部100Bは、乗り心地制御ブロック36が備える制動力指令値算出部100Aと共用してもよく、また、別個の構成としてもよい。
なお、操縦安定性制御側制動力指令値を指令液圧に換算する処理の説明については、後述する。
駆動力指令値算出部102Bは、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110から入力を受けた操縦安定性制御側制駆動力配分比信号が含む操縦安定性制御側制駆動力配分比を参照する。そして、操縦安定性制御側制駆動力配分比のうち、車輪Wの駆動力が含む、駆動用モータで発生させる駆動力の配分比を取得する。
次に、取得した配分比に基づいて操縦安定性制御側モータ駆動力指令値を算出し、この算出した操縦安定性制御側モータ駆動力指令値を、モータ駆動トルク補正値に換算する。さらに、換算したモータ駆動トルク補正値を含む情報信号である駆動指令信号を、動力コントロールユニット28へ出力する。なお、操縦安定性制御ブロック38が備える駆動力指令値算出部102Bは、乗り心地制御ブロック36が備える駆動力指令値算出部102Aと共用してもよく、また、別個の構成としてもよい。
ここで、操縦安定性制御側駆動力指令値は、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が算出した車輪Wの駆動力の配分比に基づくフリクションを、車輪Wの駆動力によりサスペンションSPに発生させるための最終指令値(車輪Wの駆動力の指令値)である。また、操縦安定性制御側駆動力指令値は、後述するように、車両Vの操縦に関する挙動(ピッチ挙動、ロール挙動)を抑制するためのフリクションを、車輪Wの駆動力により各サスペンションSPに発生させるための最終指令値となる。
(旋回状態判定ブロック144の構成)
次に、図1から図14を参照しつつ、図15を用いて、旋回状態判定ブロック144の構成を説明する。
図15は、旋回状態判定ブロック144の概略構成を示すブロック図である。
図15中に示すように、旋回状態判定ブロック144は、旋回状態判定用車両挙動算出部146と、第一舵角判定部148と、第二舵角判定部150と、旋回時間算出部152と、舵角遅延処理部154と、旋回時間判定部156を備える。これに加え、旋回状態判定ブロック144は、横加速度判定部158と、第一旋回初期フラグ変換部160と、第二旋回初期フラグ変換部162と、定常旋回判定部164と、定常旋回フラグ変換部166と、旋回脱出判定部168を備える。
旋回状態判定用車両挙動算出部146は、上述した車輪速信号に基づく車速(図中では、「車速」と示す)と、上述した現在操舵角信号に基づく舵角(図中では、「舵角」と示す)の入力を受ける。また、旋回状態判定用車両挙動算出部146には、予め、車両諸元を記憶させてある。
そして、旋回状態判定用車両挙動算出部146は、上記の入力を受けた車速及び舵角と、記憶している車両Vの諸元に応じて、舵角絶対値と、推定横G絶対値を算出する。さらに、算出した舵角絶対値を含む情報信号を、第一舵角判定部148及び第二舵角判定部150へ出力する。これに加え、算出した推定横G絶対値を含む情報信号を、横加速度判定部158へ出力する。
ここで、舵角絶対値は、現在操舵角の絶対値である。また、舵角絶対値は、例えば、中立位置を基準として右回り(時計回り)方向への操舵角を正の操舵角とし、中立位置を基準として左回り(反時計回り)方向への操舵角を負の操舵角として算出する。
また、推定横G絶対値は、車体に発生する横方向の加速度(横加速度)を推定し、その推定した横加速度の絶対値に基づいて算出する。
第一舵角判定部148は、旋回状態判定用車両挙動算出部146から入力を受けた情報信号が含む舵角絶対値と、予め記憶している旋回舵角判定値とを比較する。
ここで、旋回舵角判定値は、操舵操作子の遊び(ガタ)分を超える操舵角であり、例えば、車両Vの諸元に基づいて設定する。
そして、第一舵角判定部148は、舵角絶対値が旋回舵角判定値を超えていると判定すると、その判定結果を含む情報信号(以降の説明では、「第一舵角判定信号」と記載する場合がある)を、旋回時間算出部152及び定常旋回判定部164へ出力する。
第二舵角判定部150は、第一舵角判定部148と同様、旋回状態判定用車両挙動算出部146から入力を受けた情報信号が含む舵角絶対値と、予め記憶している旋回舵角判定値とを比較する。
そして、第二舵角判定部150は、舵角絶対値が旋回舵角判定値以下であると判定すると、その判定結果を含む情報信号(以降の説明では、「第二舵角判定信号」と記載する場合がある)を、舵角遅延処理部154へ出力する。
旋回時間算出部152は、第一舵角判定部148から第一舵角判定信号の入力を受けた時点から第一舵角判定信号の入力が停止した時点までに経過した時間を計測する。これにより、旋回時間算出部152は、車両Vが旋回走行している時間である旋回時間を算出する処理を行う。そして、算出した旋回時間を含む情報信号(以降の説明では、「旋回時間信号」と記載する場合がある)を、旋回時間判定部156へ出力する。
また、旋回時間算出部152は、舵角遅延処理部154から、後述する算出処理リセット信号の入力を受けると、算出した旋回時間を初期化(リセット)する処理を行う。
舵角遅延処理部154は、第二舵角判定部150から第二舵角判定信号の入力を受けると、第二舵角判定信号の入力を受けた時点から、予め設定した遅延時間分だけ遅らせた時点で、算出処理リセット信号を旋回時間算出部152へ出力する。
ここで、算出処理リセット信号とは、旋回時間算出部152で行う、旋回時間を算出する処理を初期化(リセット)する指令を含む情報信号である。また、遅延時間は、旋回時間算出部152が、第一舵角判定部148からの第一舵角判定信号の入力が停止してから、旋回時間を算出する処理と、旋回時間信号を旋回時間判定部156へ出力する処理を完了するまでに要する時間である。また、遅延時間は、例えば、車両Vの諸元に基づいて設定する。
旋回時間判定部156は、旋回時間算出部152から入力を受けた旋回時間信号が含む旋回時間と、予め記憶している旋回初期状態判定時間とを比較する。
ここで、旋回初期状態判定時間は、車両Vの走行状態が、直進状態から旋回状態へ移行し、さらに、推定したロール角の絶対値が後述する最大ロール判定値に達するまでに経過すると推定される時間であり、例えば、車両Vの諸元に基づいて設定する。
そして、旋回時間判定部156は、旋回時間が旋回初期状態判定時間以下であると判定すると、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行していると判定する。そして、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む情報信号として、旋回状態判定結果信号を生成する。さらに、生成した旋回状態判定結果信号を、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110と、第一旋回初期フラグ変換部160及び第二旋回初期フラグ変換部162へ出力する。
横加速度判定部158は、旋回状態判定用車両挙動算出部146から入力を受けた情報信号が含む推定横G絶対値と、予め記憶している定常旋回判定値とを比較する。
ここで、定常旋回判定値は、旋回状態で推定した横加速度の絶対値が、予め設定した横加速度閾値未満の範囲で変化していると推定される値である。また、定常旋回判定値及び横加速度閾値は、例えば、車両Vの諸元に基づいて設定する。
そして、横加速度判定部158は、推定横G絶対値が定常旋回判定値未満であると判定すると、その判定結果を含む情報信号(以降の説明では、「定常旋回判定信号」と記載する場合がある)を、定常旋回判定部164へ出力する。
第一旋回初期フラグ変換部160は、旋回時間判定部156から、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む旋回状態判定結果信号の入力を受ける。そして、旋回状態判定結果信号の入力が停止すると、旋回状態判定結果信号の入力が停止している状態を含む情報信号(以降の説明では、「旋回初期状態停止判定信号」と記載する場合がある)を、定常旋回判定部164へ出力する。
第二旋回初期フラグ変換部162は、旋回時間判定部156から、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む旋回状態判定結果信号の入力を受ける。そして、旋回状態判定結果信号の入力が停止すると、第一旋回初期フラグ変換部160と同様の旋回初期状態停止判定信号を、旋回脱出判定部168へ出力する。
定常旋回判定部164は、第一舵角判定部148からの第一舵角判定信号の入力を受けているか否かの判定と、第一旋回初期フラグ変換部160から旋回初期状態停止判定信号の入力を受けているか否かの判定を行う。これに加え、定常旋回判定部164は、横加速度判定部158から定常旋回判定信号の入力を受けているか否かの判定を行う。
そして、定常旋回判定部164は、第一舵角判定信号、旋回初期状態停止判定信号及び定常旋回判定信号の入力を受けていると判定すると、車両Vの旋回状態が旋回初期状態から定常旋回状態に移行していると判定する。そして、車両Vの旋回状態が旋回初期状態から定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む情報信号として旋回状態判定結果信号を生成する。さらに、生成した旋回状態判定結果信号を、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110及び定常旋回フラグ変換部166へ出力する。
定常旋回フラグ変換部166は、定常旋回判定部164から、車両Vの旋回状態が旋回初期状態から定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む旋回状態判定結果信号の入力を受ける。そして、旋回状態判定結果信号の入力が停止すると、旋回状態判定結果信号の入力が停止している状態を含む情報信号(以降の説明では、「定常旋回状態停止判定信号」と記載する場合がある)を、旋回脱出判定部168へ出力する。
旋回脱出判定部168は、第二旋回初期フラグ変換部162から旋回初期状態停止判定信号の入力を受けているか否かの判定と、定常旋回フラグ変換部166から定常旋回状態停止判定信号の入力を受けているか否かの判定を行う。
そして、旋回脱出判定部168は、車両Vの旋回状態が定常旋回状態から旋回脱出状態に移行していると判定する。この判定は、第二旋回初期フラグ変換部162から旋回初期状態停止判定信号の入力を受けているとともに、定常旋回フラグ変換部166から定常旋回状態停止判定信号の入力を受けていると判定すると行う。そして、車両Vの旋回状態が定常旋回状態から旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含む情報信号として旋回状態判定結果信号を生成する。さらに、生成した旋回状態判定結果信号を、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110へ出力する。
以上により、旋回状態判定ブロック144では、旋回時間が旋回初期状態判定時間以下であると、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行していると判定する。
また、旋回状態判定ブロック144では、旋回時間が旋回初期状態判定時間未満であり、舵角絶対値が旋回舵角判定値を超え、推定横G絶対値が定常旋回判定値未満であると、車両Vの旋回状態が旋回初期状態から定常旋回状態に移行していると判定する。
また、旋回状態判定ブロック144では、車両Vの旋回状態が定常旋回状態である条件が不成立となると、車両Vの旋回状態が定常旋回状態から旋回脱出状態に移行していると判定する。
(操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110の構成)
次に、図1から図15を参照しつつ、図16を用いて、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110の構成を説明する。
図16は、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110の概略構成を示すブロック図である。
図16中に示すように、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110は、モード選択部170と、モード別配分比算出部172と、指令値分配比選択部174を備える。
モード選択部170は、上述した駆動方式検出結果信号、推定横G信号及び旋回状態判定結果信号を参照して、操縦安定性制御側制駆動力配分比の算出に用いる配分比算出モードを選択する。そして、選択した配分比算出モードを含む情報信号を、指令値分配比選択部174へ出力する。
ここで、配分比算出モードは、車両Vの駆動方式と、横加速度の推定値と、車両Vの旋回状態に応じて、予め、複数パターン設定し、記憶しておく。また、各配分比算出モードの説明については、後述する。
本実施形態では、車両Vの駆動方式を、五種類(D1〜D5)とし、横加速度の推定値に応じた区分を、横加速度閾値により区分した二種類とし、車両Vの旋回状態を、上述した三種類(旋回初期状態、定常旋回状態、旋回脱出状態)とする。すなわち、本実施形態では、30パターンの配分比算出モードを設定する。
なお、本実施形態では、30パターンの配分比算出モードに、重複するパターンが存在する場合を説明する。
モード別配分比算出部172は、モード選択部170と同様、予め、複数パターン設定した配分比算出モードを記憶する。これに加え、モード別配分比算出部172は、上述した操縦安定性制御用フリクション差分値信号及び各輪総フリクション信号を参照し、全ての配分比算出モードに対して、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。
指令値分配比選択部174は、モード選択部170から入力を受けた情報信号が含む、選択した配分比算出モードを参照し、この参照した配分比算出モードに対して算出した操縦安定性制御側制駆動力配分比を、モード別配分比算出部172から取得する。そして、指令値分配比選択部174は、取得した操縦安定性制御側制駆動力配分比を含む操縦安定性制御側制駆動力配分比信号を、制動力指令値算出部100B及び駆動力指令値算出部102Bへ出力する。
(乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が乗り心地制御側制駆動力配分比を算出する処理)
以下、図1から図16を参照しつつ、図17及び図18を用いて、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が乗り心地制御側制駆動力配分比を算出する処理を算出する処理について説明する。
まず、制動力によるフリクション及び駆動力によるフリクションのうち少なくとも一方を発生させるサスペンションSPに対し、過不足分のフリクションのうち、制動力によるフリクションと駆動力によるフリクションの配分比を算出する。なお、以降の説明では、上記の制動力によるフリクションを、「乗り心地制御用制動力フリクション」と記載する場合がある。同様に、以降の説明では、上記の駆動力によるフリクションを、「乗り心地制御用駆動力フリクション」と記載する場合がある。
乗り心地制御用制動力フリクションは、過不足分のフリクションを、例えば、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が予め記憶している制動力側挙動制御用フリクション算出マップに適合させて算出する。
ここで、制動力側挙動制御用フリクション算出マップは、図17中に示すように、横軸に車輪Wの制動力(図中では、「制動力」と示す)を示し、縦軸に過不足分のフリクション(図中では、「フリクション」と示す)を示すマップである。また、制動力側挙動制御用フリクション算出マップ中に示す制動力とフリクションとの関係は、車輪Wの制動力と車両Vの挙動との関連に応じて、その関係度合いが変化する。具体的には、車輪Wの制動力が増加しても、車両Vの挙動が急制動とならない限界値に近づくほど、車輪Wの制動力は、その増加度合いが減少する。なお、図17は、制動力側挙動制御用フリクション算出マップを示す図である。
また、乗り心地制御用制動力フリクションは、車輪Wの制動力に、制動力側挙動制御用フリクション算出マップ中に示す係数Kbを乗算した値である。ここで、係数Kbは、車輪Wの制動力が予め設定した制動力の限界値であるFb_max以下の領域における、車輪Wの制動力と過不足分のフリクションとの関係を示す傾きである。なお、Fb_maxは、車輪Wの制動力が増加しても、車両Vの挙動が急制動とならない限界値に基づき、予め、台上走行や路上走行等で計測したデータを用いて設定する。
乗り心地制御用駆動力フリクションは、過不足分のフリクションを、例えば、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が予め記憶している駆動力側挙動制御用フリクション算出マップに適合させて算出する。
ここで、駆動力側挙動制御用フリクション算出マップは、図18中に示すように、横軸に車輪Wの駆動力(図中では、「駆動力」と示す)を示し、縦軸に過不足分のフリクション(図中では、「フリクション」と示す)を示すマップである。また、駆動力側挙動制御用フリクション算出マップ中に示す駆動力とフリクションとの関係は、車輪Wの駆動力と車両Vの挙動との関連に応じて、その関係度合いが変化する。具体的には、車輪Wの駆動力が増加しても、車両Vの挙動が急加速とならない限界値に近づくほど、車輪Wの駆動力は、その増加度合いが減少する。なお、図18は、駆動力側挙動制御用フリクション算出マップを示す図である。
また、乗り心地制御用駆動力フリクションは、車輪Wの駆動力に、駆動力側挙動制御用フリクション算出マップ中に示す係数Kaを乗算した値である。ここで、係数Kaは、車輪Wの駆動力が予め設定した駆動力の限界値であるFa_max以下の領域における、車輪Wの駆動力と過不足分のフリクションとの関係を示す傾きである。なお、Fa_maxは、車輪Wの駆動力が増加しても、車両Vの挙動が急加速とならない限界値に基づき、予め、台上走行や路上走行等で計測したデータを用いて設定する。
また、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が乗り心地制御側制駆動力配分比を算出する際には、例えば、車輪Wの制動力が、車輪Wの駆動力以上となるように、乗り心地制御側制駆動力配分比を算出する処理を行う。
具体例としては、以下の式(1)から(3)が成立している状態では、過不足分のフリクションと、車輪Wの制動力と、車輪Wの駆動力との関係を、以下の式(4)で示す関係とする。
過不足分のフリクション<Kb×Fb_max+Ka×Fa_max … (1)
車輪Wの制動力<Fb_max … (2)
車輪Wの駆動力<Fa_max … (3)
車輪Wの制動力=車輪Wの駆動力=過不足分のフリクション/Kb+Ka … (4)
また、定常旋回時等、車両Vの減速度を「±0」に近づける処理を行う場合には、以下の式(5)が成立している状態において、車輪Wの駆動力を、以下の式(6)で示す関係とする。そして、過不足分のフリクションと車輪Wの制動力との関係を、以下の式(7)で示す関係とする。
車輪Wの駆動力>Fa_max … (5)
車輪Wの駆動力=Fa_max … (6)
車輪Wの制動力=過不足分のフリクション−Fa_max/Kb … (7)
以上により、本実施形態の乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98は、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させるフリクション発生源を選択する処理と、乗り心地制御側制駆動力配分比を算出する処理を行なう。
(操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理)
以下、図1から図18を参照して、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理について説明する。
操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理では、まず、駆動方式検出ブロック142から駆動方式検出結果信号の入力を受けているか否かと、旋回状態判定ブロック144から旋回状態判定結果信号の入力を受けているか否かを判定する。
そして、駆動方式検出結果信号の入力を受けておらず、且つ旋回状態判定結果信号の入力を受けていない場合、過不足分のフリクションのうち、制動力によるフリクションと駆動力によるフリクションの配分比を算出する。この算出は、例えば、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が行う処理と同様に行う。
なお、以降の説明では、上記の制動力によるフリクションを、「操縦安定性制御用制動力フリクション」と記載する場合がある。同様に、以降の説明では、上記の駆動力によるフリクションを、「操縦安定性制御用駆動力フリクション」と記載する場合がある。
また、駆動方式検出結果信号の入力を受けておらず、且つ旋回状態判定結果信号の入力を受けている場合、旋回状態判定結果信号が含む判定結果に応じて、操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する。
一方、駆動方式検出結果信号の入力を受けているとともに、旋回状態判定結果信号の入力を受けていない場合、上述した操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する。この算出は、例えば、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98が行う処理と同様に行う。
また、駆動方式検出結果信号の入力を受けているとともに、旋回状態判定結果信号の入力を受けている場合、旋回状態判定結果信号が含む判定結果に応じて、操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する。
以下、駆動方式検出結果信号の入力を受けている場合に、旋回状態判定結果信号が含む判定結果に応じた、操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する例について説明する。なお、以下の説明では、比較のために、駆動方式検出結果信号の入力を受けていない場合に、旋回状態判定結果信号が含む判定結果に応じた、操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する例についても記載する。
まず、駆動方式検出結果信号の入力を受けている場合に、操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する例について説明する。
旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態であるとの判定結果である場合、旋回方向で内輪となる前輪に対して設置したサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションを発生させる。
旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態から定常旋回状態に移行しているとの判定結果である場合、二つの車輪Wに対して設置したサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションを発生させる。ここで、二つの車輪Wとは、二つの前輪のうち旋回方向で内輪となる前輪と、二つの後輪のうち旋回方向で外輪となる後輪である。また、旋回方向で外輪となる後輪に対して設置したサスペンションSPに発生させるフリクションは、旋回方向で内輪となる前輪に対して設置したサスペンションSPに発生させるフリクションよりも大きな値とする。
また、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態から旋回脱出状態に移行しているとの判定結果である場合、二つの後輪のうち一方に対して設置したサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションを発生させる。ここで、二つの後輪のうち一方とは、旋回初期状態及び定常旋回状態において、旋回方向で内輪となる後輪である。
また、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、上述した、旋回初期状態、定常旋回状態及び旋回脱出状態のいずれでもないとの判定結果である場合、駆動方式検出結果信号の入力を受けていない場合と同様の制御を行う。
次に、駆動方式検出結果信号の入力を受けていない場合に、操縦安定性制御用制動力フリクションと操縦安定性制御用駆動力フリクションとの配分比を算出する例について説明する。
旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果である場合、旋回方向で内輪となる前輪及び後輪に対して設置したサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションを発生させる。
また、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態から定常旋回状態に移行しているとの判定結果である場合、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションを発生させる。ここで、旋回方向で内輪となる前輪及び後輪に対して設置したサスペンションSPに発生させるフリクションは、旋回方向で外輪となる前輪及び後輪に対して設置したサスペンションSPに発生させるフリクションよりも大きな値とする。
また、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態から旋回脱出状態に移行しているとの判定結果である場合、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションを発生させる。ここで、全てのサスペンションSPに発生させるフリクションの大きさは、同じ値とする。
なお、操縦安定性制御用制動力フリクションは、例えば、上述した制動力側挙動制御用フリクション算出マップと同様のマップを用いて算出してもよい。同様に、操縦安定性制御用駆動力フリクションは、例えば、上述した駆動力側挙動制御用フリクション算出マップと同様のマップを用いて算出してもよい。
(制動力指令値を指令液圧に換算する処理)
以下、図1から図18を参照しつつ、図19を用いて、制動力指令値を指令液圧に換算する処理について説明する。
制動力指令値を指令液圧に換算する際には、制動力指令値を、例えば、乗り心地制御ブロック36が備える制動力指令値算出部100Aが予め記憶している指令液圧換算マップに適合させる。
ここで、指令液圧換算マップは、図19中に示すように、横軸に制動力指令値を示し、縦軸に指令液圧を示すマップである。なお、図19は、指令液圧換算マップを示す図である。
また、指令液圧は、以下の式(8)で算出してもよい。
指令液圧=(制動力指令値[N]×タイヤ動半径[m])
/(4×パッドμ×パッド面積×有効径) … (8)
(駆動力指令値をモータ駆動トルク補正値に換算する処理)
以下、図1から図19を参照しつつ、図20を用いて、駆動力指令値をモータ駆動トルク補正値に換算する処理について説明する。
駆動力指令値をモータ駆動トルク補正値に換算する際には、駆動力指令値を、例えば、乗り心地制御ブロック36が備える駆動力指令値算出部102Aが予め記憶している駆動トルク補正値換算マップに適合させる。
ここで、駆動トルク補正値換算マップは、図20中に示すように、横軸に駆動力指令値を示し、縦軸に駆動トルク補正値を示すマップである。なお、図20は、駆動トルク補正値換算マップを示す図である。
また、駆動トルク補正値は、以下の式(9)で算出してもよい。
駆動トルク補正値=(駆動力指令値[N]×タイヤ動半径[m]) … (9)
(配分比算出モードの説明)
以下、図1から図20を参照しつつ、図21から図30を用いて、複数パターンの配分比算出モードについて説明する。
上述したように、本実施形態では、車両Vの駆動方式、横加速度の推定値に応じた区分及び車両Vの旋回状態に応じて、重複するパターンが存在する30パターンの配分比算出モードを設定する。以下、五種類の駆動方式毎に、配分比算出モードを説明する。
・D1.四輪個別駆動における配分比算出モード
四輪個別駆動における配分比算出モードは、横加速度の推定値が横加速度閾値未満の状態(以降の説明では、「非高G状態」と記載する場合がある)において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。これに加え、四輪個別駆動における配分比算出モードは、横加速度の推定値が横加速度閾値以上の状態(以降の説明では、「高G状態」と記載する場合がある)において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。
四輪個別駆動且つ非高G状態における配分比算出モードは、図21中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図21は、四輪個別駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図21(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図21(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図21(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
また、図21中では、車両Vに発生しているヨーモーメントを符号「Ym」を付した矢印で示す。これは、図22中から図30中においても、同様とする。
図21(a)に示すように、四輪個別駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪個別駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図21(b)に示すように、四輪個別駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBと等しい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、右前輪WFR及び右後輪WRRに対して駆動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪個別駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図21(c)に示すように、四輪個別駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪個別駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、駆動力によるフリクションFrDのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、加速状態となる。
四輪個別駆動且つ高G状態における配分比算出モードは、図22中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図22は、四輪個別駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図22(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図22(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図22(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図22(a)に示すように、四輪個別駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪個別駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図22(b)に示すように、四輪個別駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrB及び駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、全ての車輪Wに対して制動力と駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制して、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪個別駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図22(c)に示すように、四輪個別駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。これに加え、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、駆動力によるフリクションFrDよりも小さい指令値で、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪個別駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
・D2.前輪駆動における配分比算出モード
前輪駆動における配分比算出モードは、四輪個別駆動における配分比算出モードと同様、非高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンと、高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。
前輪駆動且つ非高G状態における配分比算出モードは、図23中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図23は、前輪駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図23(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図23(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図23(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図23(a)に示すように、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図23(b)に示すように、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPFL及びサスペンションSPFRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、左前輪WFL及び右前輪WFRに対して駆動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図23(c)に示すように、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPFL及びサスペンションSPFRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、右前輪WFR及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、左前輪WFL及び右前輪WFRに対して駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制する。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
前輪駆動且つ高G状態における配分比算出モードは、図24中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図24は、前輪駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図24(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図24(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図24(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図24(a)に示すように、前輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、前輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図24(b)に示すように、前輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPFL及びサスペンションSPFRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、全ての車輪Wに対して制動力と駆動力を付与するとともに、左前輪WFL及び右前輪WFRに対して駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制する。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、前輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図24(c)に示すように、前輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPFL及びサスペンションSPFRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、右前輪WFR及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、左前輪WFL及び右前輪WFRに対して駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制する。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、前輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
ここで、前輪駆動における配分比算出モード(D2)は、以下の駆動力FFDPを前輪WFへ付与するような操縦安定性制御側制駆動力配分比の算出に用いるモードである。
FFDP.全ての車輪Wに対して算出した操縦安定性制御側制駆動力配分比に応じて前輪WFへ付与するために算出した駆動力に加え、全ての車輪Wに対して算出した操縦安定性制御側制駆動力配分比に応じて後輪WRへ付与するために算出した駆動力
・D3.後輪駆動における配分比算出モード
後輪駆動における配分比算出モードは、四輪個別駆動における配分比算出モードと同様、非高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンと、高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。
後輪駆動且つ非高G状態における配分比算出モードは、図25中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図25は、後輪駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図25(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図25(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図25(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図25(a)に示すように、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図25(b)に示すように、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPRL及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、左後輪WRL及び右後輪WRRに対して駆動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図25(c)に示すように、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFRに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPRL及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、右前輪WFRに対して制動力を付与するとともに、左後輪WRL及び右後輪WRRに対して駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制する。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
後輪駆動且つ高G状態における配分比算出モードは、図26中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図26は、後輪駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図26(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図26(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図26(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図26(a)に示すように、後輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、後輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図26(b)に示すように、後輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。ここで、サスペンションSPRL及びサスペンションSPRRに対しては、サスペンションSPFL及びサスペンションSPFRよりも小さい指令値で、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これに加え、サスペンションSPRL及びサスペンションSPRRに対し、サスペンションSPFL及びサスペンションSPFRに対する制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、全ての車輪Wに対して制動力を付与するとともに、左後輪WRL及び右後輪WRRに対して駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制する。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、後輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図26(c)に示すように、後輪駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPRL及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、右前輪WFL及び右後輪WRRに対して制動力を付与するとともに、左後輪WRL及び右後輪WRRに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、後輪駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
ここで、後輪駆動における配分比算出モード(D3)は、以下の駆動力FFDPを後輪WRへ付与するような操縦安定性制御側制駆動力配分比の算出に用いるモードである。
FFDP.全ての車輪Wに対して算出した操縦安定性制御側制駆動力配分比に応じて前輪WFへ付与するために算出した駆動力に加え、全ての車輪Wに対して算出した操縦安定性制御側制駆動力配分比に応じて前輪WFへ付与するために算出した駆動力
・D4.四輪並列駆動における配分比算出モード
四輪並列駆動における配分比算出モードは、四輪個別駆動における配分比算出モードと同様、非高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンと、高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。
四輪並列駆動且つ非高G状態における配分比算出モードは、図27中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図27は、四輪並列駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図27(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図27(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図27(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図27(a)に示すように、四輪並列駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪並列駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図27(b)に示すように、四輪並列駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrBよりも小さい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、全ての車輪Wに対して駆動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪並列駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図27(c)に示すように、四輪並列駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrBの合計値よりも大きい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、右前輪WFL及び右後輪WRRに対して制動力を付与するとともに、全ての車輪Wに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪並列駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBの合計値よりも大きい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、加速状態となる。
四輪並列駆動且つ高G状態における配分比算出モードは、図28中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図28は、四輪並列駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図28(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図28(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図28(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図28(a)に示すように、四輪並列駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪並列駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図28(b)に示すように、四輪並列駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrB及び駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、全ての車輪Wに対して制動力と駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制して、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪並列駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図28(c)に示すように、四輪並列駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrBの合計値よりも大きい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、右前輪WFL及び右後輪WRRに対して制動力を付与するとともに、全ての車輪Wに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪並列駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBの合計値よりも大きい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、加速状態となる。
・D5.四輪トルクベクトル駆動における配分比算出モード
四輪トルクベクトル駆動における配分比算出モードは、四輪個別駆動における配分比算出モードと同様、非高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。これに加え、四輪トルクベクトル駆動における配分比算出モードは、四輪個別駆動における配分比算出モードと同様、高G状態において、車両Vの旋回状態に応じて区分した三つのパターンを含む。
四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態における配分比算出モードは、図29中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図29は、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図29(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図29(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図29(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図29(a)に示すように、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図29(b)に示すように、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。これに加え、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、制動力によるフリクションFrBと等しい指令値で、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与するとともに、右前輪WFR及び右後輪WRRに対して駆動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図29(c)に示すように、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪トルクベクトル駆動且つ非高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、駆動力によるフリクションFrDのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、加速状態となる。
四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態における配分比算出モードは、図30中に示すように、車両Vの旋回状態に応じて、三つのパターン(a)、(b)、(c)に区分する。なお、図30は、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態における配分比算出モードで制御する車両Vの、左旋回時における挙動を示す図である。また、図30(a)には、旋回初期状態における車両Vの挙動を示し、図30(b)には、定常旋回状態における車両Vの挙動を示し、図30(c)には、旋回脱出状態における車両Vの挙動を示す。
図30(a)に示すように、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して制動力を付与し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにオーバーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制する。また、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBのみを発生させるため、車両Vの速度変化は、減速状態となる。
また、図30(b)に示すように、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、全てのサスペンションSPに対し、制動力によるフリクションFrB及び駆動力によるフリクションFrDを発生させる。
これにより、全ての車輪Wに対して制動力と駆動力を付与し、車両Vに対するヨーモーメントYmの発生を抑制して、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性及びオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態であり、左旋回時における定常旋回状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
また、図30(c)に示すように、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回脱出状態では、サスペンションSPFL及びサスペンションSPRLに対し、駆動力によるフリクションFrDを発生させる。これに加え、サスペンションSPFR及びサスペンションSPRRに対し、駆動力によるフリクションFrDよりも小さい指令値で、制動力によるフリクションFrBを発生させる。
これにより、左前輪WFL及び左後輪WRLに対して駆動力を付与し、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントYmを車両Vに付加して、車両Vにアンダーステア傾向の挙動を発生させる。したがって、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制する。また、四輪トルクベクトル駆動且つ高G状態であり、左旋回時における旋回初期状態では、制動力によるフリクションFrBと、駆動力によるフリクションFrDを発生させるため、車両Vの速度変化は、定速状態に近似する。
以上により、本実施形態では、車両Vの旋回状態が旋回初期状態であると判定すると、旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する。
また、本実施形態では、車両Vの旋回状態が定常旋回状態であると判定すると、少なくとも旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する。これに加え、少なくとも旋回方向で外輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、制駆動力配分比を算出する。
また、本実施形態では、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態であると判定すると、少なくとも旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、制駆動力配分比を算出する。
(動作)
次に、図1から図30を参照しつつ、図31から図40を用いて、本実施形態の車両挙動制御装置1を用いて行なう動作の一例を説明する。
図31は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のフローチャートである。なお、車両挙動制御装置1は、予め設定したサンプリング時間(例えば、50[msec])毎に、以下に説明する処理を行う。
図31中に示すように、車両挙動制御装置1が処理を開始(START)すると、まず、ステップS100において、車両Vの現在の状態を取得する処理(図中に示す「車両状態取得」)を行う。ステップS100において車両Vの現在の状態を取得する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS102へ移行する。
ここで、ステップS100において取得する車両Vの現在の状態とは、例えば、上述した車速、舵角、各車輪Wの回転速度である。
ステップS102では、ステップS100で取得した各種の状態に基づき、車両Vの挙動を算出する処理(図中に示す「車両挙動算出」)を行なう。ステップS102において、車両Vの挙動を算出する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS104へ移行する。
ここで、ステップS102において算出する車両Vの挙動とは、例えば、上述した推定ロールレート、推定ピッチレート、推定ヨーレート、推定横G、である。
ステップS104では、フリクション検出ブロック34で総フリクションを算出する処理(図中に示す「推定フリクション算出」)を行う。ステップS104において総フリクションを算出する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS106へ移行する。
なお、ステップS104では、例えば、制動力フリクション算出部48により制動力フリクションを算出する処理と、駆動力フリクション算出部50により駆動力フリクションを算出する処理を行う。これに加え、ステップS104では、例えば、サスペンション状態フリクション算出部52によりストローク位置フリクション及びストローク速度フリクションを算出する処理を行う。さらに、ステップS104では、例えば、各輪フリクションサスペンション横力算出部46により横力フリクションを算出する処理と、上記の算出した各種フリクションを総フリクションへ加算する演算を許可するか否かを判定する処理を行う。
ステップS106では、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させる制御の要否を判定する処理(図中に示す「フリクション制御要?」)を行なう。ここで、ステップS106の処理は、ステップS102で算出した車両Vの挙動とステップS104で算出した総フリクションに基づいて行う。
ステップS106において、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させる制御が必要である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS108へ移行する。
一方、ステップS106において、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させる制御が不要である(図中に示す「No」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS100へ移行する。
ステップS108では、乗り心地制御側目標フリクション算出部96で乗り心地制御用各輪目標フリクションを算出し、操縦安定性制御側目標フリクション算出部108で操縦安定性制御用各輪目標フリクションを算出する。これにより、ステップS108では、目標フリクションを算出する処理(図中に示す「目標フリクション算出」)を行なう。ステップS108において、目標フリクションを算出する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS110へ移行する。
ステップS110では、ステップS100で取得した各種の状態に基づき、駆動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理(図中に示す「駆動指令許可?」)を行う。
なお、ステップS110で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS110において、駆動力指令値の出力を許可する(図中に示す「Yes」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS112へ移行する。
一方、ステップS110において、駆動力指令値の出力を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS114へ移行する。
ステップS112では、ステップS100で取得した各種の状態に基づき、制動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理(図中に示す「制動指令許可?」)を行う。
なお、ステップS112で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS112において、制動力指令値の出力を許可する(図中に示す「Yes」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS116へ移行する。
一方、ステップS112において、制動力指令値の出力を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS120へ移行する。
ステップS114では、ステップS112と同様、ステップS100で取得した各種の状態に基づき、制動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理(図中に示す「制動指令許可?」)を行う。
なお、ステップS114で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS114において、制動力指令値の出力を許可する(図中に示す「Yes」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS122へ移行する。
一方、ステップS114において、制動力指令値の出力を許可しない(図中に示す「No」)と判定した場合、車両挙動制御装置1が行なう処理を終了(END)する。
ステップS116では、乗り心地制御側制駆動力配分比信号及び操縦安定性制御側制駆動力配分比信号を出力する。これにより、ステップS116では、サスペンションSPのフリクションを実現するための手段に、乗り心地制御側制駆動力配分比及び操縦安定性制御側制駆動力配分比を分配する処理(図中に示す「フリクション実現手段に分配」)を行なう。ステップS116において、乗り心地制御側制駆動力配分比信号及び操縦安定性制御側制駆動力配分比信号を出力する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理は、ステップS118へ移行する。
なお、ステップS116で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS118では、制動力指令値を算出する処理と駆動力指令値を算出する処理(図中に示す「制駆動力指令値算出」)を行なう。さらに、ステップS118では、制動力指令値をブレーキアクチュエータ26へ出力する処理を行うとともに、駆動力指令値を動力コントロールユニット28へ出力する処理を行う。ステップS118において、制動力指令値をブレーキアクチュエータ26へ出力する処理と、駆動力指令値を動力コントロールユニット28へ出力する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理を終了(END)する。
ステップS120では、駆動力指令値を算出する処理(図中に示す「駆動力指令値算出」)を行なう。さらに、ステップS120では、駆動力指令値を動力コントロールユニット28へ出力する処理を行う。ステップS120において、駆動力指令値を動力コントロールユニット28へ出力する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理を終了(END)する。
ステップS122では、制動力指令値を算出する処理(図中に示す「制動力指令値算出」)を行なう。さらに、ステップS122では、制動力指令値をブレーキアクチュエータ26へ出力する処理を行う。ステップS122において、制動力指令値をブレーキアクチュエータ26へ出力する処理を行うと、車両挙動制御装置1が行なう処理を終了(END)する。
次に、図1から図31を参照しつつ、図32を用いて、ステップS110で行なう具体的な処理を説明する。
図32は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、駆動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理、すなわち、上述したステップS110で行なう処理を示すフローチャートである。
図32中に示すように、ステップS110で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS200において、上述したVDC制御またはTCS制御が作動しているか否かを判定する処理(図中に示す「VDC or TCS = ON?」)を行う。
ステップS200において、VDC制御またはTCS制御が作動している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS110で行なう処理は、ステップS200からステップS202へ移行する。
一方、ステップS200において、VDC制御及びTCS制御が作動していない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS110で行なう処理は、ステップS200からステップS204へ移行する。
ステップS202では、駆動力指令値の出力を許可しない処理(図中に示す「駆動力指令不許可」)を行う。ステップS202において、駆動力指令値の出力を許可しない処理を行うと、ステップS110で行なう処理は、ステップS202からステップS200の処理へ復帰(RETURN)する。
ステップS204では、駆動力指令値の出力を許可する処理(図中に示す「駆動力指令許可」)を行う。ステップS204において、駆動力指令値の出力を許可する処理を行うと、ステップS110で行なう処理は、ステップS204からステップS200の処理へ復帰(RETURN)する。
以上により、ステップS110で行なう処理では、上述したVDC制御またはTCS制御が作動している場合、すなわち、車両Vの走行に関する不安定な挙動を抑制する制御が作動している場合には、駆動力指令値の出力を許可しない処理を行う。
次に、図1から図32を参照しつつ、図33を用いて、ステップS112及びS114で行なう具体的な処理を説明する。
図33は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、制動力指令値の出力を許可するか否かを判定する処理、すなわち、上述したステップS112及びS114で行なう処理を示すフローチャートである。
図33中に示すように、ステップS112及びS114で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS300の処理を行う。
ステップS300では、上述したVDC制御またはABS制御が作動しているか否かを判定する処理(図中に示す「VDC or ABS = ON?」)を行う。
ステップS300において、VDC制御またはABS制御が作動している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS112及びS114で行なう処理は、ステップS300からステップS302へ移行する。
一方、ステップS300において、VDC制御及びABS制御が作動していない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS112及びS114で行なう処理は、ステップS300からステップS304へ移行する。
ステップS302では、制動力指令値の出力を許可しない処理(図中に示す「制動力指令不許可」)を行う。ステップS302において、制動力指令値の出力を許可しない処理を行うと、ステップS112及びS114で行なう処理は、ステップS302からステップS300の処理へ復帰(RETURN)する。
ステップS304では、制動力指令値の出力を許可する処理(図中に示す「制動力指令許可」)を行う。ステップS304において、制動力指令値の出力を許可する処理を行うと、ステップS112及びS114で行なう処理は、ステップS304からステップS300の処理へ復帰(RETURN)する。
以上により、ステップS112及びS114で行なう処理では、上述したVDC制御またはABS制御が作動している場合、すなわち、車両Vの走行に関する不安定な挙動を抑制する制御が作動している場合には、制動力指令値の出力を許可しない処理を行う。
次に、図1から図33を参照しつつ、図34から図39を用いて、ステップS116で行なう具体的な処理を説明する。
図34は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理、すなわち、上述したステップS116で行なう処理の一部を示すフローチャートである。
図34中に示すように、ステップS116で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS400において、駆動方式検出ブロック142から入力を受けている駆動方式検出結果信号が含む、車両Vの現在の駆動方式を参照する。そして、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が、上述したD2、すなわち、前輪駆動(一例として、FF:Front−engine Front−drive)であるか否かを判定する処理(図中に示す「FF?」)を行う。
ステップS400において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が前輪駆動である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS400からステップS402へ移行する。
一方、ステップS400において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が前輪駆動ではない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS400からステップS404へ移行する。
ステップS402では、前輪駆動に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FF用制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS402において、前輪駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS116で行なう処理を終了(END)する。
なお、ステップS402で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS404では、駆動方式検出ブロック142から入力を受けている駆動方式検出結果信号が含む、車両Vの現在の駆動方式を参照する。そして、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が、上述したD3、すなわち、後輪駆動(一例として、FR:Front−engine Rear−drive)であるか否かを判定する処理(図中に示す「FR?」)を行う。
ステップS404において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が後輪駆動である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS404からステップS406へ移行する。
一方、ステップS404において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が後輪駆動ではない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS404からステップS408へ移行する。
ステップS406では、後輪駆動に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FR用制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS406において、後輪駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS116で行なう処理を終了(END)する。
なお、ステップS406で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS408では、駆動方式検出ブロック142から入力を受けている駆動方式検出結果信号が含む、車両Vの現在の駆動方式を参照する。そして、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が、上述したD4、すなわち、四輪並列駆動(4WD:4Wheel Drive)であるか否かを判定する処理(図中に示す「4WD?」)を行う。
ステップS408において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が四輪並列駆動である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS408からステップS410へ移行する。
一方、ステップS408において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が四輪並列駆動ではない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS408からステップS412へ移行する。
ステップS410では、四輪並列駆動に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WD用制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS410において、四輪並列駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS116で行なう処理を終了(END)する。
なお、ステップS410で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS412では、駆動方式検出ブロック142から入力を受けている駆動方式検出結果信号が含む、車両Vの現在の駆動方式を参照する。そして、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が、上述したD5、すなわち、四輪トルクベクトル駆動(4WDトルクベクトル)であるか否かを判定する処理(図中に示す「4WDトルクベクトル?」)を行う。
ステップS412において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が四輪トルクベクトル駆動である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS412からステップS414へ移行する。
一方、ステップS412において、駆動方式検出結果信号が含む駆動方式が四輪トルクベクトル駆動ではない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS116で行なう処理は、ステップS412からステップS416へ移行する。
ステップS414では、四輪トルクベクトル駆動に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WDトルクベクトル駆動用制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS414において、四輪トルクベクトル駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS116で行なう処理を終了(END)する。
なお、ステップS414で行なう具体的な処理については、後述する。
ステップS416では、上述したD1、すなわち、四輪個別駆動に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「四輪個別駆動用制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS416において、四輪個別駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS116で行なう処理を終了(END)する。
なお、ステップS416で行なう具体的な処理については、後述する。
次に、図1から図34を参照しつつ、図35を用いて、ステップS402で行なう具体的な処理を説明する。
図35は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、前輪駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理、すなわち、上述したステップS402で行なう処理の一部を示すフローチャートである。
図35中に示すように、ステップS402で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS500において、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回初期?」)を行う。
ステップS500において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS402で行なう処理は、ステップS500からステップS502へ移行する。
一方、ステップS500において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS402で行なう処理は、ステップS500からステップS504へ移行する。
ステップS502では、前輪駆動及び旋回初期状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FF用旋回初期制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS502において、前輪駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS402で行なう処理を終了(END)する。
なお、前輪駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図23(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、前輪駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図24(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS504では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「定常旋回?」)を行う。
ステップS504において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS402で行なう処理は、ステップS504からステップS506へ移行する。
一方、ステップS504において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS402で行なう処理は、ステップS504からステップS508へ移行する。
ステップS506では、前輪駆動及び定常旋回状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FF用定常旋回制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS506において、前輪駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS402で行なう処理を終了(END)する。
なお、前輪駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図23(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、前輪駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図24(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS508では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回脱出?」)を行う。
ステップS508において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS402で行なう処理は、ステップS508からステップS510へ移行する。
一方、ステップS508において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS402で行なう処理は、ステップS508からステップS512へ移行する。
ステップS510では、前輪駆動及び旋回脱出状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FF用旋回脱出制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS510において、前輪駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS402で行なう処理を終了(END)する。
なお、前輪駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図23(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、前輪駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図24(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
次に、図1から図35を参照しつつ、図36を用いて、ステップS406で行なう具体的な処理を説明する。
図36は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、後輪駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理、すなわち、上述したステップS406で行なう処理の一部を示すフローチャートである。
図36中に示すように、ステップS406で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS600において、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回初期?」)を行う。
ステップS600において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS406で行なう処理は、ステップS600からステップS602へ移行する。
一方、ステップS600において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS406で行なう処理は、ステップS600からステップS604へ移行する。
ステップS602では、後輪駆動及び旋回初期状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FR用旋回初期制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS602において、後輪駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS406で行なう処理を終了(END)する。
なお、後輪駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図25(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、後輪駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図26(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS604では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「定常旋回?」)を行う。
ステップS604において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS406で行なう処理は、ステップS604からステップS606へ移行する。
一方、ステップS604において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS406で行なう処理は、ステップS604からステップS608へ移行する。
ステップS606では、後輪駆動及び定常旋回状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FR用定常旋回制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS606において、後輪駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS406で行なう処理を終了(END)する。
なお、後輪駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図25(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、後輪駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図26(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS608では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回脱出?」)を行う。
ステップS608において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS406で行なう処理は、ステップS608からステップS610へ移行する。
一方、ステップS608において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS406で行なう処理は、ステップS608からステップS612へ移行する。
ステップS610では、後輪駆動及び旋回脱出状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「FR用旋回脱出制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS610において、後輪駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS406で行なう処理を終了(END)する。
なお、後輪駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図25(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、後輪駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図26(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
次に、図1から図36を参照しつつ、図37を用いて、ステップS410で行なう具体的な処理を説明する。
図37は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、四輪並列駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理、すなわち、上述したステップS410で行なう処理の一部を示すフローチャートである。
図37中に示すように、ステップS410で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS700において、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回初期?」)を行う。
ステップS700において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS410で行なう処理は、ステップS700からステップS702へ移行する。
一方、ステップS700において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS410で行なう処理は、ステップS700からステップS704へ移行する。
ステップS702では、四輪並列駆動及び旋回初期状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WD用旋回初期制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS702において、四輪並列駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS410で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪並列駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図27(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪並列駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図28(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS704では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「定常旋回?」)を行う。
ステップS704において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS410で行なう処理は、ステップS704からステップS706へ移行する。
一方、ステップS704において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS410で行なう処理は、ステップS704からステップS708へ移行する。
ステップS706では、四輪並列駆動及び定常旋回状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WD用定常旋回制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS706において、四輪並列駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS410で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪並列駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図27(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪並列駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図28(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS708では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回脱出?」)を行う。
ステップS708において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS410で行なう処理は、ステップS708からステップS710へ移行する。
一方、ステップS708において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS410で行なう処理は、ステップS708からステップS712へ移行する。
ステップS710では、四輪並列駆動及び旋回脱出状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WD用旋回脱出制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS710において、四輪並列駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS410で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪並列駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図27(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪並列駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図28(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
次に、図1から図37を参照しつつ、図38を用いて、ステップS414で行なう具体的な処理を説明する。
図38は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、四輪トルクベクトル駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理、すなわち、上述したステップS414で行なう処理の一部を示すフローチャートである。
図38中に示すように、ステップS414で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS800において、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回初期?」)を行う。
ステップS800において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS414で行なう処理は、ステップS800からステップS802へ移行する。
一方、ステップS800において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS414で行なう処理は、ステップS800からステップS804へ移行する。
ステップS802では、四輪トルクベクトル駆動及び旋回初期状態に応じた、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WDトルクベクトル用旋回初期制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS802において、四輪トルクベクトル駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS414で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪トルクベクトル駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図29(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪トルクベクトル駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図30(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS804では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「定常旋回?」)を行う。
ステップS804において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS414で行なう処理は、ステップS804からステップS806へ移行する。
一方、ステップS804において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS414で行なう処理は、ステップS804からステップS808へ移行する。
ステップS806では、四輪トルクベクトル駆動及び定常旋回状態に応じた、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WDトルクベクトル用定常旋回制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS806において、四輪トルクベクトル駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS414で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪トルクベクトル駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図29(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪トルクベクトル駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図30(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS808では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回脱出?」)を行う。
ステップS808において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS414で行なう処理は、ステップS808からステップS810へ移行する。
一方、ステップS808において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS414で行なう処理は、ステップS808からステップS812へ移行する。
ステップS810では、四輪トルクベクトル駆動及び旋回脱出状態に応じた、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「4WDトルクベクトル用旋回脱出制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS810において、四輪トルクベクトル駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS414で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪トルクベクトル駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図29(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪トルクベクトル駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図30(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
次に、図1から図38を参照しつつ、図39を用いて、ステップS416で行なう具体的な処理を説明する。
図39は、車両挙動制御装置1を用いて行なう動作のうち、四輪個別駆動に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理、すなわち、上述したステップS416で行なう処理の一部を示すフローチャートである。
図39中に示すように、ステップS416で行なう処理を開始(START)すると、まず、ステップS900において、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回初期?」)を行う。
ステップS900において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS416で行なう処理は、ステップS900からステップS902へ移行する。
一方、ステップS900において、旋回状態判定結果信号が、旋回初期状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS416で行なう処理は、ステップS900からステップS904へ移行する。
ステップS902では、四輪個別駆動及び旋回初期状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「四輪個別駆動用旋回初期制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS902において、四輪個別駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS416で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪個別駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図21(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪個別駆動及び旋回初期状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図22(a)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS904では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「定常旋回?」)を行う。
ステップS904において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS416で行なう処理は、ステップS904からステップS906へ移行する。
一方、ステップS904において、旋回状態判定結果信号が、定常旋回状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS416で行なう処理は、ステップS904からステップS908へ移行する。
ステップS906では、四輪個別駆動及び定常旋回状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「四輪個別駆動用定常旋回制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS906において、四輪個別駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS416で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪個別駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図21(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪個別駆動及び定常旋回状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図22(b)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
ステップS908では、旋回状態判定ブロック144から入力を受けている旋回状態判定結果信号が含む判定結果を参照する。そして、旋回状態判定結果信号が含む判定結果が、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態に移行しているとの判定結果であるか否かを判定する処理(図中に示す「旋回脱出?」)を行う。
ステップS908において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含む(図中に示す「Yes」)と判定した場合、ステップS416で行なう処理は、ステップS908からステップS910へ移行する。
一方、ステップS908において、旋回状態判定結果信号が、旋回脱出状態に移行しているとの判定結果を含まない(図中に示す「No」)と判定した場合、ステップS416で行なう処理は、ステップS908からステップS912へ移行する。
ステップS910では、四輪個別駆動及び旋回脱出状態に応じた、サスペンションSPに対してフリクションを発生させるための操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理(図中に示す「四輪個別駆動用旋回脱出制駆動力配分比算出」)を行なう。ステップS910において、四輪個別駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理を行うと、ステップS416で行なう処理を終了(END)する。
なお、四輪個別駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、非高G状態においては、図21(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。また、四輪個別駆動及び旋回脱出状態に応じた操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する処理は、高G状態においては、図22(c)中に示すフリクションをサスペンションSPに発生させるための処理である。
次に、図1から図39を参照しつつ、図40を用いて、車両挙動制御装置1が行なう処理の具体例を、タイムチャートを用いて説明する。なお、図40は、車両Vの走行中において、車両挙動制御装置1が行なう処理を示すタイムチャートであり、各サスペンションSPに対して発生させるフリクションの変化を示す図である。
具体的には、図40(a)は、サスペンションSPFLに対して発生させる制動力によるフリクションFrBの変化を示す図であり、図40(b)は、サスペンションSPFRに対して発生させる制動力によるフリクションFrBの変化を示す図である。また、図40(c)は、サスペンションSPRLに対して発生させる制動力によるフリクションFrBの変化を示す図であり、図40(d)は、サスペンションSPRRに対して発生させる制動力によるフリクションFrBの変化を示す図である。
また、図40(e)は、サスペンションSPFLに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDの変化を示す図であり、図40(f)は、サスペンションSPFRに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDの変化を示す図である。また、図40(g)は、サスペンションSPRLに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDの変化を示す図であり、図40(h)は、サスペンションSPRRに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDの変化を示す図である。
ここで、図40中には、一例として、車両Vの走行状態が、直進状態から左旋回状態(旋回初期状態から定常旋回状態へ移行した後、定常旋回状態から旋回脱出状態へ移行)へ移行し、再度、直進状態へ移行した場合の動作を示す。また、図40中には、一例として、非高G状態における動作を示す。
図40中に示すように、車両挙動制御装置1が行なう処理では、車両Vの走行中に、旋回時間と旋回初期状態判定時間とを比較する。
そして、旋回時間が旋回初期状態判定時間以下となった時点(図中に示す「t1」の時点)から、図40(a)中に示すように、サスペンションSPFLに対して発生させる制動力によるフリクションFrBを、目標フリクションに応じて算出する。これに加え、図40(c)中に示すように、サスペンションSPRLに対して発生させる制動力によるフリクションFrBを、目標フリクションに応じて算出する。
すなわち、時点t1では、車両Vの旋回状態が旋回初期状態に移行していると判定する。そして、旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPのみに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図21(a)を参照)。
時点t1以降、旋回時間が旋回初期状態判定時間未満であり、舵角絶対値が旋回舵角判定値を超え、推定横G絶対値が定常旋回判定値未満となった時点(図中に示す「t2」の時点)から、時点t1と同様に、制動力によるフリクションFrBを算出する。これに加え、時点t2からは、駆動方式検出ブロック142で検出した駆動方式に応じて、駆動力によるフリクションFrDを算出する。
具体的には、駆動方式検出ブロック142で検出した駆動方式が、上述したD1またはD5である場合は、図40(f)中に示すように、サスペンションSPFRに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDを、目標フリクションに応じて算出する。これに加え、図40(h)中に破線で示すように、サスペンションSPRRに対して発生させる駆動力によるフリクションFrD‐4WDを、目標フリクションに応じて算出する。
一方、駆動方式検出ブロック142で検出した駆動方式が、上述したD2である場合は、図40(e)中に示すように、サスペンションSPFLに対して発生させる駆動力によるフリクションFrD‐FFを、目標フリクションに応じて算出する。これに加え、図40(f)中に示すように、サスペンションSPFRに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDを、目標フリクションに応じて算出する。
すなわち、時点t2では、車両Vの旋回状態が、旋回初期状態から定常旋回状態に移行していると判定する。そして、車両Vの駆動方式がD1またはD5である場合は、旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPのみに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図21(b)を参照)。これに加え、旋回方向で外輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPのみに駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図21(b)を参照)。
一方、車両Vの駆動方式がD2である場合は、旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPのみに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図23(b)を参照)。これに加え、右前輪WFR及び左前輪WFLに対して設置したサスペンションSPのみに駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図23(b)を参照)。
時点t2以降、車両Vの旋回状態が定常旋回状態である条件が不成立となった時点(図中に示す「t3」の時点)から、駆動方式検出ブロック142で検出した駆動方式に応じて、制動力によるフリクションFrB及び駆動力によるフリクションFrDを算出する。
具体的には、駆動方式検出ブロック142で検出した駆動方式が、上述したD1またはD5である場合は、図40(e)中に示すように、サスペンションSPFLに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDを、目標フリクションに応じて算出する。これに加え、図40(g)中に破線で示すように、サスペンションSPRLに対して発生させる駆動力によるフリクションFrD‐4WDを、目標フリクションに応じて算出する。
一方、駆動方式検出ブロック142で検出した駆動方式が、上述したD2である場合は、図40(e)中に示すように、サスペンションSPFLに対して発生させる駆動力によるフリクションFrDを、目標フリクションに応じて算出する。これに加え、図40(f)中に示すように、サスペンションSPFRに対して発生させる駆動力によるフリクションFrD‐FFを、目標フリクションに応じて算出する。さらに、図40(b)中に示すように、サスペンションSPFRに対して発生させる制動力によるフリクションFrB‐FFを、目標フリクションに応じて算出する。これに加え、図40(c)中に示すように、サスペンションSPRLに対して発生させる制動力によるフリクションFrB‐FFを、目標フリクションに応じて算出する。
すなわち、時点t3では、車両Vの旋回状態が、定常旋回状態から旋回脱出状態に移行していると判定する。そして、車両Vの駆動方式がD1またはD5である場合は、旋回方向で外輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPのみに駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図21(c)を参照)。
一方、車両Vの駆動方式がD2である場合は、旋回方向で外輪となる右前輪WFRに対して設置したサスペンションSPに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図23(c)を参照)。さらに、旋回方向で内輪となる左後輪WRLに対して設置したサスペンションSPに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図23(c)を参照)。これに加え、右前輪WFR及び左前輪WFLに対して設置したサスペンションSPのみに駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、制駆動力配分比を算出する(例えば、図23(c)を参照)。
以上により、本実施形態では、車両Vの旋回走行時において、車体の上屋挙動を抑制するとともに、車両Vの駆動方式(D1〜D5)に応じて、各サスペンションSPに目標値のフリクションを発生させるための制御を行う。
具体的には、車両Vの旋回状態に応じて、駆動力を発生可能な車輪Wに発生させる駆動力により旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように、制駆動力配分比を算出する。そして、算出した制駆動力配分比に基づく駆動力を、駆動力を発生可能な車輪Wに付与する。
これにより、全ての車輪Wに対して個別に制駆動力配分比を算出した後に、検出した駆動方式に応じて、駆動が不可能な車輪Wに対して既に算出した、制駆動力配分比に応じた駆動力指令値に基づく駆動力を、駆動可能な車輪Wへ付与することが可能となる。このため、制駆動力配分比及び駆動力指令値の算出に関し、演算工程・演算負荷の増加を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、全ての車輪Wに対する制駆動力配分比を算出し、従動輪に駆動力を付与するために算出した駆動力指令値に基づく駆動力を、駆動輪へ付与するように、制駆動力配分比を算出する。この算出は、駆動方式検出ブロック142が検出した駆動方式が前輪駆動または後輪駆動であるときに行う。
なお、上述した駆動方式検出ブロック142は、駆動力発生可能輪検出部に対応する。
また、上述したサスペンション横力算出部46は、車体横加速度推定部に対応する。
また、上述した旋回状態判定ブロック144は、車両旋回状態判定部に対応する。
また、上述した操舵角センサ6は、操舵角検出部に対応する。
また、上述したブレーキアクチュエータ26、マスタシリンダ24、各ホイールシリンダ32は、制動力付与部に対応する。
ここで、本実施形態の制動力付与部は、上述したように、運転者による制動力要求の制御に応じた制動力及び車両Vのシステム制御に応じた制動力に、制動力指令値に基づく制動力を合算して、車輪Wに制動力を付与する。
なお、運転者による制動力要求の制御に応じた制動力とは、運転者によるブレーキペダル22の操作に応じて制御する制動力である。また、車両Vのシステム制御に応じた制動力とは、例えば、上述した先行車追従走行制御や車線維持走行制御等に応じて制御する制動力である。
また、上述した動力コントロールユニット28、動力ユニット30は、駆動力付与部に対応する。
ここで、本実施形態の駆動力付与部は、上述したように、運転者による駆動力要求の制御に応じた駆動力及び車両Vのシステム制御に応じた駆動力に、駆動力指令値に基づく駆動力を合算して、車輪Wに制動力を付与する。
なお、運転者による駆動力要求の制御に応じた駆動力とは、運転者によるアクセルペダルの操作に応じて制御する駆動力である。また、車両Vのシステム制御に応じた駆動力とは、例えば、上述した先行車追従走行制御や車線維持走行制御等に応じて制御する駆動力である。
また、上述したサスペンション状態算出部44は、ストローク位置算出部と、ストローク速度算出部に対応する。
また、上述したサスペンション状態フリクション算出部52は、ストローク位置フリクション算出部と、ストローク速度フリクション算出部に対応する。
また、上述したように、本実施形態の車両挙動制御装置1の動作で実施する車両挙動制御方法では、旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように、制駆動力配分比を算出する。ここで、制駆動力配分比は、判定した車両Vの旋回状態に応じ、駆動力を発生可能な車輪Wに発生させる駆動力により旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように算出する。
(第一実施形態の効果)
本実施形態の車両挙動制御装置1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が、旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。ここで、操縦安定性制御側制駆動力配分比は、旋回状態判定ブロック144が判定した旋回状態に応じ、駆動方式検出ブロック142が検出した車輪Wに発生させる駆動力により旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように算出する。
このため、旋回走行時において、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させるとともに、駆動力を発生可能な車輪Wに対し、車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるような駆動力を発生させることが可能となる。
その結果、旋回走行時において、車体の上屋挙動を抑制するためのフリクションと、車両Vの操舵特性を安定させるためのフリクションとをサスペンションSPに発生させるための制御を、駆動力を発生可能な車輪Wに応じて適切に行うことが可能となる。
(2)操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が、全ての車輪Wに対する制駆動力配分比を算出する。そして、全ての車輪Wに対して算出した制駆動力配分比に応じて駆動輪へ付与するために算出した駆動力に加え、全ての車輪Wに対して算出した制駆動力配分比に応じて従動輪へ付与するために算出した駆動力を駆動輪へ付与するように、制駆動力配分比を算出する。この算出は、駆動方式検出ブロック142が検出した駆動方式が前輪駆動または後輪駆動であるときに行う。
その結果、駆動力指令値の算出負荷を変化させることなく、車両Vの駆動方式に応じて、前輪駆動または後輪駆動で駆動輪となる車輪Wへ、駆動力指令値に基づく駆動力を付与することが可能となる。
また、全ての車輪Wに対して個別に制駆動力配分比を算出した後に、検出した駆動方式に応じて、駆動が不可能な車輪Wに対して既に算出した、制駆動力配分比に応じた駆動力指令値に基づく駆動力を、駆動可能な車輪Wへ付与することが可能となる。これにより、制駆動力配分比及び駆動力指令値の算出に関し、演算工程・演算負荷の増加を抑制することが可能となる。
(3)操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が、旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに制動力によるフリクションFrBを発生させるように、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。この算出は、旋回状態判定ブロック144が、車両Vの旋回状態が旋回初期状態であると判定すると行う。
このため、旋回走行の初期状態において、車両Vに対し、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントを付加することが可能となり、車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制することが可能となる。
その結果、旋回走行の初期状態において、車両Vの操舵特性をニュートラルステア特性側への傾向とし、旋回走行の初期状態における操縦安定性の低下を抑制することが可能となる。
(4)操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が、少なくとも旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに、制動力によるフリクションFrBを発生させるように、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。これに加え、少なくとも旋回方向で外輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに、駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。これらの算出は、旋回状態判定ブロック144が、車両Vの旋回状態が定常旋回状態であると判定すると行う。
このため、旋回走行において変化する車両Vのロール角が定常状態となると、旋回方向で内側へ向かうヨーモーメントを付加することが可能となり、車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となることを抑制することが可能となる。
その結果、旋回走行において変化する車両Vのロール角が定常状態となると、車両Vの操舵特性をニュートラルステア特性側への傾向とし、旋回走行の初期状態における操縦安定性の低下を抑制することが可能となる。
(5)操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110が、旋回方向で内輪となる車輪Wに対して設置したサスペンションSPに、駆動力によるフリクションFrDを発生させるように、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出する。この算出は、旋回状態判定ブロック144が、車両Vの旋回状態が旋回脱出状態であると判定すると行う。
このため、車両Vの走行状態が旋回走行から直進走行へ移行する状態となると、旋回方向で外側へ向かうヨーモーメントを付加することが可能となり、車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となることを抑制することが可能となる。
その結果、車両Vの走行状態が旋回走行から直進走行へ移行する状態となると、車両Vの操舵特性をニュートラルステア特性側への傾向とし、旋回走行の初期状態における操縦安定性の低下を抑制することが可能となる。
(6)総フリクション算出部56が、制動力フリクション算出部48が算出した制動力フリクションと、駆動力フリクション算出部50が算出した駆動力フリクションとを合算する。そして、サスペンションSPに発生する総フリクションを、各サスペンションSPに対して個別に算出する。
このため、横力が作用しにくい直進走行時等においても、車輪Wの制動力及び駆動力により、サスペンションSPが入力を受ける前後力に基づいて、サスペンションSPに発生するフリクションを適切に算出することが可能となる。
その結果、車両Vの走行状態に応じて適切に算出した、サスペンションSPに発生するフリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となり、車両Vの走行状態に応じた挙動制御をより適切に行うことが可能となる。
(7)総フリクション算出部56が、制動力フリクション及び駆動力フリクションに、ストローク位置フリクション算出部が算出したストローク位置フリクションを合算して、総フリクションを各サスペンションSPに対して個別に算出する。
このため、サスペンションSPが入力を受ける前後力に加え、車両Vの走行時に変化するサスペンションSPのストローク位置に基づいて、総フリクションを適切に算出することが可能となる。
その結果、サスペンションSPのストローク位置に基づいて車両Vの走行状態に応じた算出精度を向上させた総フリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となる。
(8)総フリクション算出部56が、制動力フリクション及び駆動力フリクションに、ストローク速度フリクション算出部が算出したストローク速度フリクションを合算して、総フリクションを各サスペンションSPに対して個別に算出する。
このため、サスペンションSPが入力を受ける前後力に加え、車両Vの走行時に変化するサスペンションSPのストローク速度に基づいて、総フリクションを適切に算出することが可能となる。
その結果、サスペンションSPのストローク速度に基づいて車両Vの走行状態に応じた算出精度を向上させた総フリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となる。
(9)総フリクション算出部56が、制動力フリクション及び駆動力フリクションに、サスペンション横力フリクション算出部54が算出した横力フリクションを合算して、総フリクションを各サスペンションSPに対して個別に算出する。
このため、サスペンションSPが入力を受ける前後力に加え、車両Vの旋回走行時においてサスペンションSPに作用する横力に基づいて、総フリクションを適切に算出することが可能となる。
その結果、サスペンションSPに作用する横力に基づいて車両Vの走行状態に応じた算出精度を向上させた総フリクションを用いて、制動力指令値や駆動力指令値を算出することが可能となる。
(10)制動力算出部40が、車両Vの走行制御に基づく車輪Wの制動力を算出し、駆動力算出部42が、車両Vの走行制御に基づく車輪Wの駆動力を算出する。
その結果、車体のロール挙動を抑制するための制御を反映しない車輪Wの制動力及び駆動力を算出することが可能となり、総フリクションを適切に算出することが可能となる。
(11)制動力付与部が、制動力指令値算出部100が算出した制動力指令値に基づいて、車輪Wに制動力を付与し、駆動力付与部が、駆動力指令値算出部102が算出した駆動力指令値に基づいて、車輪Wに駆動力を付与する。
その結果、車体の上屋挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させるための制動力を、車輪Wに付与することが可能となる。これに加え、旋回走行時において、車両Vの操舵特性を安定させるためのフリクションをサスペンションSPに発生させるための制動力及び駆動力を、車輪Wに付与することが可能となる。
(12)制動力付与部が、運転者による制動力要求の制御に応じた制動力及び車両Vのシステム制御に応じた制動力に、制動力指令値に基づく制動力を合算して、車輪Wに制動力を付与する。
その結果、車体の挙動を抑制するための制御を反映しない制動力に加え、車体の挙動を抑制するための制御を反映した制動力を、車輪Wに付与することが可能となる。
(13)駆動力付与部が、運転者による駆動力要求の制御に応じた駆動力及び車両Vのシステム制御に応じた駆動力に、駆動力指令値に基づく駆動力を合算して、車輪Wに駆動力を付与する。
その結果、車体の挙動を抑制するための制御を反映しない駆動力に加え、車体の挙動を抑制するための制御を反映した駆動力を、車輪Wに付与することが可能となる。
(14)本実施形態の車両挙動制御装置1の動作で実施する車両挙動制御方法では、旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように、制駆動力配分比を算出する。ここで、制駆動力配分比は、判定した車両Vの旋回状態に応じ、駆動力を発生可能な車輪Wに発生させる駆動力により旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように算出する。
このため、旋回走行時において、車体の挙動を抑制するためのフリクションをサスペンションSPに発生させるとともに、駆動力を発生可能な車輪Wに対し、車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるような駆動力を発生させることが可能となる。
その結果、旋回走行時において、車体の上屋挙動を抑制するためのフリクションと、車両Vの操舵特性を安定させるためのフリクションとをサスペンションSPに発生させるための制御を、駆動力を発生可能な車輪Wに応じて適切に行うことが可能となる。
(変形例)
(1)本実施形態では、操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部110により、検出した駆動方式と、推定した横加速度と、判定した旋回状態に応じて、操縦安定性制御側制駆動力配分比を算出したが、これに限定するものではない。すなわち、乗り心地制御側制駆動力配分比算出部98により、検出した駆動方式と、推定した横加速度と、判定した旋回状態に応じて、乗り心地制御側制駆動力配分比を算出してもよい。
(2)本実施形態では、車両Vの構成を、上述した五種類の駆動方式(D1〜D5)から、車両Vの駆動方式を選択可能な構成としたが、車両Vの構成は、これに限定するものではない。すなわち、車両Vの構成を、四輪駆動(四輪個別駆動、四輪並列駆動、四輪トルクベクトル駆動のうち少なくとも一つ)と、前輪駆動及び後輪駆動のうち少なくとも一方から、車両Vの駆動方式を選択可能な構成としてもよい。
(3)本実施形態では、車両Vを電気自動車とし、各車輪Wに駆動用モータとしてインホイールモータ(IWM:In‐Wheel Motor)を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、車両Vを電気自動車とし、例えば、動力ユニット30として一つの駆動用モータを備え、この駆動用モータが発生させる駆動力を、ドライブシャフト等を介して各車輪Wに付与する構成としてもよい。
(4)本実施形態では、車両Vを電気自動車としたが、車両Vは、これに限定するものではなく、車輪Wの駆動源を駆動用モータ及びエンジンにより形成する、ハイブリッド(HEV:Hybrid Electric Vehicle)車両としてもよい。また、車両Vを、車輪Wの駆動源をエンジンのみにより形成する車両としてもよい。
(5)本実施形態では、制動力フリクション、駆動力フリクション、ストローク位置フリクション、ストローク速度フリクション、横力フリクションを合算して、総フリクションを算出したが、これに限定するものではない。すなわち、少なくとも、制動力フリクション及び駆動力フリクションに基づいて、総フリクションを算出すればよい。
(6)本実施形態では、旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように、制駆動力配分比を算出したが、これに限定するものではない。すなわち、旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように算出した制駆動力配分比を、旋回走行時における車両Vの操舵特性がアンダーステア特性となるように変換してもよい。同様に、旋回走行時における車両Vの操舵特性がニュートラルステア特性となるように算出した制駆動力配分比を、旋回走行時における車両Vの操舵特性がオーバーステア特性となるように変換してもよい。これらの変換は、例えば、運転者の操作により車両Vの操舵特性を切り替えるスイッチを車室内に配置し、運転者の操作により選択した操舵特性を含む情報信号を参照して行う。
1 車両挙動制御装置
20 制駆動力コントローラ
24 マスタシリンダ
26 ブレーキアクチュエータ
28 動力コントロールユニット
30 動力ユニット
32 ホイールシリンダ
34 フリクション検出ブロック
36 乗り心地制御ブロック
38 操縦安定性制御ブロック
40 制動力算出部
42 駆動力算出部
44 サスペンション状態算出部
46 サスペンション横力算出部
48 制動力フリクション算出部
50 駆動力フリクション算出部
52 サスペンション状態フリクション算出部
54 横力フリクション算出部
56 総フリクション算出部
94 乗り心地制御側車両挙動算出部
96 乗り心地制御側目標フリクション算出部
98 乗り心地制御側制駆動力配分比算出部
100A 乗り心地制御ブロック36が備える制動力指令値算出部
100B 操縦安定性制御ブロック38が備える制動力指令値算出部
102A 乗り心地制御ブロック36が備える駆動力指令値算出部
102B 操縦安定性制御ブロック38が備える駆動力指令値算出部
106 操縦安定性制御側車両挙動算出部
108 操縦安定性制御側目標フリクション算出部
110 操縦安定性制御側制駆動力配分比算出部
112 挙動抑制フリクション算出部
140 駆動方式選択スイッチ
142 駆動方式検出ブロック
144 旋回状態判定ブロック
146 旋回状態判定用車両挙動算出部
148 第一舵角判定部
150 第二舵角判定部
152 旋回時間算出部
154 舵角遅延処理部
156 旋回時間判定部
158 横加速度判定部
160 第一旋回初期フラグ変換部
162 第二旋回初期フラグ変換部
164 定常旋回判定部
166 定常旋回フラグ変換部
168 旋回脱出判定部
170 モード選択部
172 モード別配分比算出部
174 指令値分配比選択部
V 車両
W 車輪
SP サスペンション
Ym ヨーモーメント
FrB 制動力によるフリクション
FrD 駆動力によるフリクション

Claims (14)

  1. 車体と、複数の車輪と、前記車体と各車輪とを連結するサスペンションと、を備える車両に対し、前記車体の挙動を制御する車両挙動制御装置であって、
    前記挙動を抑制するためのフリクションを前記サスペンションに発生させるために必要な、前記車輪の制動力と車輪の駆動力との制駆動力配分比を算出する制駆動力配分比算出部と、
    前記複数の車輪のうち前記駆動力を発生可能な車輪を検出する駆動力発生可能輪検出部と、
    前記車両の旋回状態を判定する車両旋回状態判定部と、を備え、
    前記制駆動力配分比算出部は、前記車両旋回状態判定部が判定した旋回状態に応じ、前記駆動力発生可能輪検出部が検出した車輪に発生させる駆動力により旋回走行時における前記車両の操舵特性がニュートラルステア特性となるように、前記制駆動力配分比を算出することを特徴とする車両挙動制御装置。
  2. 前記駆動力発生可能輪検出部は、前記検出した車輪に基づいて前記車両の駆動方式を検出し、
    前記複数の車輪は、前記車両の中心よりも車両前後方向前方に配列した二つの前輪と、前記車両の中心よりも車両前後方向後方に配列した二つの後輪と、を備え、
    前記駆動方式は、前記二つの前輪及び前記二つの後輪を駆動輪とする四輪駆動と、前記二つの前輪を駆動輪とする前輪駆動及び前記二つの後輪を駆動輪とする後輪駆動のうち少なくとも一方と、を含み、
    前記制駆動力配分比算出部は、全ての車輪に対する前記制駆動力配分比を算出し、さらに、前記駆動力発生可能輪検出部が検出した駆動方式が前記前輪駆動または前記後輪駆動であるときには、前記全ての車輪に対して算出した制駆動力配分比に応じて駆動輪とする車輪へ付与するために算出した駆動力に加え、前記全ての車輪に対して算出した制駆動力配分比に応じて従動輪とする車輪へ付与するために算出した駆動力を、前記駆動輪とする車輪へ付与するように、前記制駆動力配分比を算出することを特徴とする請求項1に記載した車両挙動制御装置。
  3. 前記車両旋回状態判定部は、直進状態の前記車両が旋回状態へ移行した時点からの経過時間である旋回時間が予め設定した旋回初期状態判定時間以下であるときには、前記車両の旋回状態が旋回初期状態であると判定し、
    前記制駆動力配分比算出部は、前記車両旋回状態判定部が前記車両の旋回状態が前記旋回初期状態であると判定すると、旋回方向で内輪となる車輪に対して設置した前記サスペンションに制動力によるフリクションを発生させるように、前記制駆動力配分比を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両挙動制御装置。
  4. 操舵操作子の操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記車体に発生する横加速度を推定する車体横加速度推定部と、を備え、
    前記車両旋回状態判定部は、直進状態の前記車両が旋回状態へ移行した時点からの経過時間である旋回時間が予め設定した旋回初期状態判定時間未満であり、前記操舵角検出部が検出した操舵角の絶対値である舵角絶対値が予め設定した旋回舵角判定値を超え、前記車体横加速度推定部が推定した横加速度の絶対値である推定横G絶対値が予め設定した定常旋回判定値未満であるときには、前記車両の旋回状態が定常旋回状態であると判定し、
    前記制駆動力配分比算出部は、前記車両旋回状態判定部が前記車両の旋回状態が前記定常旋回状態であると判定すると、少なくとも旋回方向で内輪となる車輪に対して設置した前記サスペンションに制動力によるフリクションを発生させるとともに、少なくとも旋回方向で外輪となる車輪に対して設置した前記サスペンションに駆動力によるフリクションを発生させるように、前記制駆動力配分比を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した車両挙動制御装置。
  5. 操舵操作子の操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記車体に発生する横加速度を推定する車体横加速度推定部と、を備え、
    前記車両旋回状態判定部は、直進状態の前記車両が旋回状態へ移行した時点からの経過時間である旋回時間が予め設定した旋回初期状態判定時間未満であり、且つ前記操舵角検出部が検出した操舵角の絶対値である舵角絶対値が予め設定した旋回舵角判定値未満である条件、及び前記車体横加速度推定部が推定した横加速度の絶対値である推定横G絶対値が予め設定した定常旋回判定値以上である条件のうち少なくとも一方の条件が成立するときには、前記車両の旋回状態が旋回脱出状態であると判定し、
    前記制駆動力配分比算出部は、前記車両旋回状態判定部が前記車両の旋回状態が前記旋回脱出状態であると判定すると、少なくとも旋回方向で内輪となる車輪に対して設置した前記サスペンションに駆動力によるフリクションを発生させるように、前記制駆動力配分比を算出することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した車両挙動制御装置。
  6. 前記車輪の制動力を算出する制動力算出部と、
    前記制動力算出部が算出した制動力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである制動力フリクションを算出する制動力フリクション算出部と、
    前記車輪の駆動力を算出する駆動力算出部と、
    前記駆動力算出部が算出した駆動力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである駆動力フリクションを算出する駆動力フリクション算出部と、
    前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクションと、前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションと、を合算して、前記サスペンションに発生するフリクションである総フリクションを、各サスペンションに対して個別に算出する総フリクション算出部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載した車両挙動制御装置。
  7. 前記サスペンションのストローク位置を算出するストローク位置算出部と、
    前記ストローク位置算出部が算出したストローク位置に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションであるストローク位置フリクションを算出するストローク位置フリクション算出部と、を備え、
    前記総フリクション算出部は、前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクション及び前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションに、前記ストローク位置フリクション算出部が算出したストローク位置フリクションを合算して、前記総フリクションを各サスペンションに対して個別に算出することを特徴とする請求項6に記載した車両挙動制御装置。
  8. 前記サスペンションのストローク速度を算出するストローク速度算出部と、
    前記ストローク速度算出部が算出したストローク速度に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションであるストローク速度フリクションを算出するストローク速度フリクション算出部と、を備え、
    前記総フリクション算出部は、前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクション及び前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションに、前記ストローク速度フリクション算出部が算出したストローク速度フリクションを合算して、前記総フリクションを各サスペンションに対して個別に算出することを特徴とする請求項6または7に記載した車両挙動制御装置。
  9. 前記サスペンションの横力を算出するサスペンション横力算出部と、
    前記サスペンション横力算出部が算出した横力に基づいて前記サスペンションに発生するフリクションである横力フリクションを算出するサスペンション横力フリクション算出部と、を備え、
    前記総フリクション算出部は、前記制動力フリクション算出部が算出した制動力フリクション及び前記駆動力フリクション算出部が算出した駆動力フリクションに、前記サスペンション横力フリクション算出部が算出した横力フリクションを合算して、前記総フリクションを各サスペンションに対して個別に算出することを特徴とする請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載した車両挙動制御装置。
  10. 前記制動力算出部は、前記車両の走行制御に基づく前記車輪の制動力を算出し、
    前記駆動力算出部は、前記車両の走行制御に基づく前記車輪の駆動力を算出することを特徴とする請求項6から請求項9のうちいずれか1項に記載した車両挙動制御装置。
  11. 前記制駆動力配分比算出部が算出した前記車輪の制動力の配分比に基づくフリクションを前記サスペンションに発生させるための車輪に対する制動力指令値を算出する制動力指令値算出部と、
    前記制駆動力配分比算出部が算出した前記車輪の駆動力の配分比に基づくフリクションを前記サスペンションに発生させるための車輪に対する駆動力指令値を算出する駆動力指令値算出部と、
    前記制動力指令値算出部が算出した制動力指令値に基づいて、前記車輪に制動力を付与する制動力付与部と、
    前記駆動力指令値算出部が算出した駆動力指令値に基づいて、前記車輪に駆動力を付与する駆動力付与部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載した車両挙動制御装置。
  12. 前記制動力付与部は、前記車両の運転者による制動力要求の制御に応じた制動力及び車両のシステム制御に応じた制動力に、前記制動力指令値算出部が算出した制動力指令値に基づく制動力を合算して、前記車輪に制動力を付与することを特徴とする請求項11に記載した車両挙動制御装置。
  13. 前記駆動力付与部は、前記車両の運転者による駆動力要求の制御に応じた駆動力及び車両のシステム制御に応じた駆動力に、前記駆動力指令値算出部が算出した駆動力指令値に基づく駆動力を合算して、前記車輪に駆動力を付与することを特徴とする請求項11または請求項12に記載した車両挙動制御装置。
  14. 車体と、複数の車輪と、前記車体と各車輪とを連結するサスペンションと、を備える車両に対し、前記車体の挙動を制御する車両挙動制御方法であって、
    前記複数の車輪のうち駆動力を発生可能な車輪を検出し、
    前記車両の旋回状態を判定し、
    前記判定した旋回状態に応じ、前記検出した車輪に発生させる駆動力により旋回走行時における前記車両の操舵特性がニュートラルステア特性となるように、前記挙動を抑制するためのフリクションを前記サスペンションに発生させるために必要な、前記車輪の制動力と車輪の駆動力との制駆動力配分比を算出することを特徴とする車両挙動制御方法。
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