JP2015020107A - 配向cnt生成用触媒層形成方法 - Google Patents

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尊 矢嶋
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Toru Sakai
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Abstract

【課題】本発明は、揮発性が高く、かつ低粘度とされた湿式触媒溶液を用いて均一な厚さで塗布層を形成することが可能で、かつ塗布層中の溶質の濃度分布のばらつきを低減可能で、さらに、基板の面積が大きい場合でも配向CNT生成用触媒層の生産性を向上させることの可能な配向CNT生成用触媒層形成方法を提供することを課題とする。【解決手段】溶媒に溶質となる硝酸鉄が溶解され、かつ粘度が1.0〜8.2mPa・sの範囲とされた湿式触媒溶液を準備し、次いで、スリットコート法により、基板上に湿式触媒溶液を塗布することで、液状とされた塗布層を形成する塗布層形成工程と、塗布層の形成開始から乾燥開始までの所要時間を120秒以内とし、塗布層を均一に乾燥させることで、配向CNT生成用触媒層を形成する乾燥工程と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、基板に対して略垂直に配向した多数のカーボンナノチューブ(以下、「配向CNT」という)が形成される配向CNT生成用触媒層形成方法に関する。
配向CNTを製造する場合、熱により原料ガスを分解して成長させる化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition(CVD)法)が用いられている(以下、「熱CVD処理」という)。また、配向CNTを製造するための熱CVD処理には、触媒を使用する方法が多く用いられる。
配向CNTを製造する場合、例えば、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法等の物理蒸着法(Physical Vapor Deposition(PVD)法)により、基板上に鉄触媒層を形成する。この鉄触媒層の厚さを制御することにより、単層CNT(SWCNT)、2層CNT(DWCNT)、多層CNT(MWCNT)の作り分けが可能となる。
また、鉄触媒層の厚さを制御することにより、所望の直径とされた配向CNTを製造することが可能となる。
ところで、上記PVD法を用いて、鉄触媒よりなる触媒金属層を形成するためには、高真空蒸着装置等の高価な装置が必要となるため、触媒金属層の製造コストや該装置の維持費の増大や、スループットの低下を招いてしまう。
特許文献1には、熱CVD処理により基板上に高配向カーボンナノ構造物を成長させるための触媒層を水分濃度1000ppm以上の含有雰囲気中で形成する触媒層形成方法であって、基板上に、該基板との濡れ性に富んだ溶媒に触媒金属を含む金属化合物を分散または溶解させた液を塗布することで金属化合物を含む塗膜層を形成する塗布工程と、金属化合物を加熱して触媒層を形成する加熱処理工程と、を有し、溶媒が、水との相溶性を有し、かつ沸点が水より高い性質を具備する特性溶媒であるか、または特性溶媒を含有する混合溶媒とされた触媒層形成方法が開示されている。
また、特許文献1には、上記塗布工程において、スピンコート法、スプレー法、ディップコート法等の方法を用いることが開示されている。
さらに、特許文献1には、ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という)とエタノールの混合液(溶媒)に硝酸鉄を溶解させた湿式触媒溶液を使用することで、PVD法により成膜された触媒層と同様の配向CNTをシリコン基板上に製造可能なことが開示されている。
また、触媒金属層の製造コストを低減可能な技術として、例えば、特許文献2がある。
特許文献2には、触媒金属を溶媒に溶解させて湿式触媒溶液を調整する工程と、湿式触媒溶液をインクジェット法によって基板に塗布する工程と、基板を熱処理して溶媒を除去する工程と、を備えた高配向カーボンナノチューブの製造方法が開示されている。
国際公開第WO2009/038172号公報 特開2012−211034号公報
しかしながら、特許文献1に記載のスピンコート法を用いて塗布層を形成した場合、湿式触媒溶液のロスが多い(言い換えれば、触媒金属層とならない湿式触媒溶液の量が多い)という問題や、円形以外の形状とされた基板上に均一な厚さで塗膜層を形成することが困難であるという問題があった。
また、特許文献1に記載のスプレー法を用いて塗布層を形成した場合、スプレー法が気流の影響を受けやすい方法であるため、基板面内において塗膜層の厚さがばらついてしまうため、配向CNTの成長に適した配向CNT生成用触媒層の厚さ(具体的には、15nm以下の厚さ)となるように、均一な厚さとされた配向CNT生成用触媒層を形成することが困難であるという問題があった。
さらに、特許文献1に記載のディップコート法を用いて塗布層を形成した場合、塗布層の厚さの再現性が乏しいという問題があった。
また、ディップコート法を用いて塗布層を形成した場合、塗膜層を均一な厚さにするために、基板の引き上げ速度を非常に遅くする必要があるため、配向CNT生成用触媒層の形成工程におけるスループット(生産性)が低下してしまうという問題があった。
特許文献2に記載のインクジェット法を用いて、例えば、シリコンウエハのような溶液が浸透しない基板に対して、数十μmの厚さの塗布層を形成する場合、既塗布溶液を次にノズルから吐出される液滴が押し広げ、一方向へ既塗布溶液を偏らせてしまうため、均一な厚さで塗布層を形成することが困難であった。
また、該インクジェット法を用いて、大面積の基板に塗布する場合、多数のノズルが必要となる上、塗布速度が遅いため生産性の低さが問題となる。
ところで、本発明者らは、湿式触媒溶液の溶媒として、揮発性が高く、かつ低粘度(10mPa・s以下)の溶媒を用いて、配向CNT生成用触媒層を形成する実験を行った。
具体的には、揮発性が高く、かつ低粘度の溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミドと1−エトキシ−2−プロパノールとを混合させた溶媒、またはN,N−ジメチルホルムアミドとエタノールとを混合させた溶媒を用い、特許文献1,2に記載された塗布方法を用いて、該溶媒及び溶質を含む湿式触媒溶液を用いて塗布層を形成した。
その結果、塗布工程に要する時間が長い場合、湿式触媒溶液が均一に塗布された場合であっても塗布層内において溶媒の揮発によって生じる流動により、溶質の濃度勾配が発生し、溶媒乾燥後に形成される配向CNT生成用触媒層の溶質が不均一になってしまうという問題を見出した。
そこで、本発明は、基板上に、揮発性が高く、かつ低粘度とされた湿式触媒溶液を用いて均一な厚さで塗布層を形成することが可能で、かつ塗布層中の溶質の濃度分布のばらつきを低減可能で、さらに、基板の面積が大きい場合でも配向CNT生成用触媒層の生産性を向上させることの可能な配向CNT生成用触媒層形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、基板上に配向CNT生成用触媒層を形成する配向CNT触媒層形成方法であって、溶媒に溶質となる硝酸鉄が溶解され、かつ粘度が1.0〜8.2mPa・sの範囲とされた湿式触媒溶液を準備する湿式触媒溶液準備工程と、スリットコート法により、前記基板上に前記湿式触媒溶液を塗布することで、液状とされた塗布層を形成する塗布層形成工程と、前記塗布層の形成開始から乾燥開始までの所要時間を120秒以内とし、該塗布層を均一に乾燥させることで、配向CNT生成用触媒層を形成する乾燥工程と、を含むことを特徴とする配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項2に係る発明によれば、前記溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドと1−エトキシ−2−プロパノールとを混合させることで形成することを特徴とする請求項1に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項3に係る発明によれば、前記溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドとエタノールとを混合させることで形成することを特徴とする請求項1に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項4に係る発明によれば、前記硝酸鉄として、硝酸鉄(III)九水和物を用いることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項5に係る発明によれば、前記湿式触媒溶液中における前記硝酸鉄の濃度を0.5〜15mass%の範囲内にすることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項6に係る発明によれば、前記塗布層形成工程では、前記湿式触媒溶液の塗布開始から塗布終了までの時間を60sec以内にすることを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項7に係る発明によれば、前記塗布層形成工程では、前記塗布層の厚さを0.5〜15μmの範囲内にすることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項8に係る発明によれば、前記乾燥工程では、前記塗布層の平均の昇温速度が30〜150℃/minの範囲内となるように、前記塗布層の下面全体を均一に加熱することを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項9に係る発明によれば、前記基板として、シリコン基板、シリコン基板の表面にシリコン酸化膜を有する酸化膜付きシリコン基板、シリコン基板の表面にシリコン窒化膜を有する窒化膜付きシリコン基板のうち、いずれか1つの基板を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項10に係る発明によれば、前記基板として、石英ガラス基板を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
また、請求項11に係る発明によれば、前記配向CNT生成用触媒層の厚さを0.5〜15nmの範囲内にすることを特徴とする請求項1ないし10のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法が提供される。
本発明の配向CNT生成用触媒層形成方法によれば、基板上に、揮発性が高く、かつ低粘度とされた湿式触媒溶液を用いて均一な厚さで塗布層を形成することができ、かつ塗布層中の溶質の濃度分布のばらつきを低減でき、さらに、基板の面積が大きい場合でも配向CNT生成用触媒層の生産性を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法を説明するための図(その1)であり、湿式触媒溶液準備工程を示す図である。 本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法を説明するための図(その2)であり、基板を準備する工程を示す図である。 本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法を説明するための図(その3)であり、塗布層形成工程を示す図である。 本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法を説明するための図(その4)であり、乾燥工程を示す図である。 本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法により形成された配向CNT生成用触媒層上に配向CNTを形成する工程を示す図である。 実施例のサンプル1Aの塗布層の写真を示す図である。 実施例のサンプル4Aの配向CNTの断面SEM写真を示す図である。 参考例のサンプル11Aの配向CNTの断面SEM写真を示す図である。 比較例のサンプル15Aの塗布層の写真を示す図である。 比較例のサンプル20Aの配向CNTの断面SEM写真を示す図である。 比較例のサンプル20Aの配向CNTの断面SEM写真を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の寸法関係とは異なる場合がある。
(実施の形態)
図1〜図4は、本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法を説明するための図である。図1は、湿式触媒溶液準備工程を示す図であり、図2は、基板を準備する工程を示す図である。図3は、塗布層形成工程を示す図であり、図4は、乾燥工程を示す図である。
図5は、本発明の実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法により形成された配向CNT生成用触媒層上に配向CNTを形成する工程を示す図である。図1〜図5において、同一構成部分には、同一符号を付す。
図1〜図5を参照して、本実施の形態に係る配向CNT生成用触媒層形成方法、及び配向CNTの形成方法について説明する。
始めに、図1に示す工程では、撹拌容器11内において、所定の量とされた溶媒12を作成し、次いで、溶媒12に溶質である硝酸鉄13(触媒金属塩)を所定の量添加し、撹拌機14を用いて、溶媒12に硝酸鉄13を完全に溶解させることで、溶媒12及び硝酸鉄13を含み、かつ粘度が1.0〜8.2Pa・sの範囲内とされた湿式触媒溶液15(低粘度とされた湿式触媒溶液)を作製する(湿式触媒溶液準備工程)。
湿式触媒溶液15は、揮発性が高く、かつ低粘度とされた溶媒12を含む容液である。
溶媒12は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、以下、単に「DMF」という)と、1−エトキシ−2−プロパノール(別名、プロピレングリコールモノエチルエーテルやPGEともいう。以下、単に「PGE」という)と、を混合させることで作製してもよいし、これに替えて、DMFとエタノールとを混合させることで作製してもよい。
PGE及びDMFを用いて溶媒12を形成する際のPGEとDMFとの混合質量比は、PGE:DMF=95:5〜5:95の範囲内で適宜選択することができる。
また、好ましくは、PGEとDMFとの混合質量比は、PGE:DMF=95:10〜60:40の範囲内にするとよい。これにより、水分の混入をより抑制でき、溶媒の安定性を向上させることができる。
より好ましくは、PGEとDMFとの混合質量比は、PGE:DMF=90:10〜80:20の範囲内にするとよい。これにより、さらに基板との濡れ性が良い混合範囲を選択できる。
エタノールとDMFを用いて溶媒12を形成する際のエタノールとDMFとの混合質量比は、エタノール:DMF=95:5〜5:95の範囲内で適宜選択することができる。
また、好ましくは、エタノールとDMFとの混合質量比は、エタノール:DMF=95:10〜60:40の範囲内にするとよい。これにより、水分の混入をより抑制することが可能となるので、溶媒の安定性を向上させることができる。
より好ましくは、エタノールとDMFとの混合質量比は、エタノール:DMF=80:20〜70:30の範囲内にするとよい。これにより、さらに基板との濡れ性が良い混合範囲を選択できる。
硝酸鉄13としては、例えば、硝酸鉄(III)九水和物を用いるとよい。湿式触媒溶液15中における硝酸鉄13の濃度は、0.5〜15mass%の範囲内にするとよい。温度が40℃以下において、溶媒12に硝酸鉄13が溶解しうる上限の濃度は、15mass%である。また、湿式触媒溶液15中の硝酸鉄13の濃度が0.5mass%を下回ると塗布した後の均一性が確保できない。
よって、湿式触媒溶液15中における硝酸鉄13の濃度は、0.5〜15mass%の範囲内にするとよい。
また、カーボンナノチューブの生成効率を向上させ、またカーボンナノチューブの長さをより長くするために、湿式触媒溶液15中における硝酸鉄13の濃度は、1〜5mass%の範囲内がより好ましい。
次いで、図2に示すように、図1に示す湿式触媒溶液15が塗布される基板17を準備する。具体的には、基板17としては、例えば、図2に示すように、シリコン基板18の表面18aにシリコン酸化膜19(反応防止膜として機能する膜)を有する酸化膜付きシリコン基板を準備する。
なお、基板17の形状は、円形でもよいし、四角形でもよいが、本実施の形態では、塗布装置としてスリットコーター23(図3参照)を用いるため、基板17の形状は、四角形が好ましい。
基板17の形状を四角形とすることで、基板17の形状が円形の場合と比較して、塗布層21(図3参照)を形成する際の基板17の未使用面積(無駄)を小さくすることができる。
以下、湿式触媒溶液15が塗布される基板の一例として、図2に示す構造とされた基板17を用いる場合を例に挙げて説明するが、これに替えて、シリコン基板、シリコン基板の表面にシリコン窒化膜(反応防止膜として機能する膜)を有する窒化膜付きシリコン基板、石英ガラス基板等を用いてもよい。
また、反応防止膜として機能するシリコン酸化膜19上及びシリコン窒化膜上に、図3に示す塗布層21を形成することで、後述する図5に示す配向CNT38の生産効率を向上させることができる。
なお、石英ガラス基板は、シリコン酸化膜19上及びシリコン窒化膜と同様な機能を有する。よって、基板として石英ガラス基板を用いることで、後述する図5に示す配向CNT38の生産効率を向上させることができる。
また、石英ガラス基板は、容易に四角形に形成可能であるため、基板の形状の観点からも好ましい。
次いで、図3に示すように、スリットコート法により、基板17の上面17a(言い換えれば、シリコン酸化膜19の上面19a)に粘度が1.0mPa・s〜8.2Pa・Sの湿式触媒溶液15を塗布することで、液状とされた塗布層21(図4に示す配向CNT生成用触媒層29の母材)を形成する(塗布層形成工程)。
具体的には、スリットコーター23のステージ24上に図2に示す基板17を載置する。このとき、シリコン基板18の裏面18bがステージ24と接触するように、基板17を載置する。
次いで、基板17の上面17aに、スリットノズル25の吐出口27から溶液供給ライン26を介して供給された湿式触媒溶液15(図1参照)を吐出させ、ステージ24をA方向に移動させることで、湿式触媒溶液15よりなる塗布層21を形成する。
塗布装置としてスリットコーター23を用いることにより、低粘度の湿式触媒溶液15を薄く且つ均一に塗布できる。
ところで、塗布層21の厚さM1が0.5μmよりも薄いと、基板17の上面17aに塗布層21が形成されない領域が発生してしまう。また、塗布層21の厚さM1が15μmよりも厚いと、後述する乾燥工程(図4参照)において、溶媒12(図1参照)の乾燥に多くの時間を要するため、塗布層21中における硝酸鉄13の分布が不均一となってしまう。よって、塗布層21の厚さM1は、0.5〜15μmの範囲内が好ましい。
上記塗布層形成工程における塗布速度は、基板15の大きさにもよるが、1cm/sec以上が好ましく、5cm/secがより好ましい。
上述の塗布層形成工程の次に乾燥工程に移行するが、上記塗布層形成工程において湿式触媒溶液15を塗布した後、自然乾燥による悪影響が生じる前に乾燥工程を開始することが好ましい。自然乾燥が進行すると、塗布層21に含まれる溶媒12の揮発及び流動が生じて硝酸鉄13の濃度勾配が発生し、硝酸鉄13の濃度が不均一になることにより、厚さが不均一な配向CNT生成用触媒層29が形成されてしまうからである。
具体的には、塗布層形成工程の開始時点、すなわち基板17への触媒溶液15の塗布を開始した時点から、乾燥工程を開始する時点、例えば、基板17を介して塗布層21の加熱を開始する時点を、120sec以内、より好ましくは60sec以内とする。これにより、均一な厚さの配向CNT生成用触媒層29を形成することができる。
乾燥工程においては、例えば基板17の下面から加熱することにより塗布層21に含まれる溶媒を除去し、配向CNT生成用触媒層29を形成する。
乾燥工程では、例えば、以下の方法を用いて、塗布層21を均一に乾燥させる。図4に示すように、始めに、グローブボックス31内に、ステージ32内にヒーター33を内蔵したホットプレート34を準備する。次いで、ホットプレート34の温度が所定の温度(例えば、300℃)となるように予備加熱する。
次いで、ステージ32の上面32aに、粘着防止用のグラスファイバー製の不織布36を配置し、アルミナ製の板(図示せず)上に図3に示す塗布層21が形成された基板17を載置する。次いで、該アルミナ製の板を不織布36上に配置することで、基板18の裏面18a側全体を所定の時間均一に加熱する。これにより、塗布層21に含まれる溶媒12が除去され、配向CNT生成用触媒層29が形成される。
上記乾燥工程では、より具体的には、例えば、配向CNT生成用触媒層29(塗布層21)の最終到達温度を200〜300℃とし、空気中において20sec〜6minの時間をかけて塗布層21を昇温し、乾燥工程の時間が合計で5〜15min間の乾燥処理を行う。
上記乾燥工程において、塗布層21の平均の昇温速度が30℃/minよりも遅いと、自然乾燥と同じ現象が生じてしまう。また、塗布層21の平均の昇温速度が150℃/minよりも速いと、塗布層21内の溶媒の沸騰が発生し、乾燥後の溶質、すなわち配向CNT生成用湿式触媒層29が不均一となってしまう。
よって、塗布層21の平均の昇温速度は、30〜150℃/minの範囲内が好ましい。
なお、実際の塗布層21の乾燥では、昇温速度を一定とした乾燥を実施することは難しく、乾燥初期の数十sec間は非常に速い昇温速度となる。
塗布層21の乾燥開始から10sec程度の初期昇温速度として1200℃/minを超えると、湿式触媒溶液内で突沸が発生し、溶媒12が乾燥することで形成される配向CNT生成用触媒層29の外観にムラが生じるため、初期の昇温速度が1200℃/minを超えないことが好ましい。
具体的には、例えば、平均の昇温速度が260℃、10min間の空気中での乾燥処理の場合、最初の5minでホットプレート34の温度を常温から260℃まで昇温し、残りの5minではホットプレート34の温度が260℃となるように維持し、塗布層21の乾燥処理を行う。
上記説明した乾燥工程を行うことで、厚さM2とされたCNT生成用触媒層29が形成される。CNT生成用触媒層29の厚さM2は、例えば、0.5〜15nmの範囲内にすることができる。
次いで、図4に示すグローブボックス31からCNT生成用触媒層29が形成された基板17を取り出し、基板17を冷却することで、基板17の温度を常温にする。次いで、熱CVD処理を行うことで、図5に示すように、CNT生成用触媒層29に複数の配向CNT38を形成(合成)する。
具体的には、例えば、以下の方法により、配向CNT38を形成する。
始めに、内径が50mmとされたCVD装置(図示せず)の石英反応管(図示せず)内に、CNT生成用触媒層29が形成された基板17を配置し、次いで、石英反応管内に、200sccmとされたキャリアガス(例えば、窒素)を供給させながら、石英反応管をヒーター(図示せず)により加熱して、石英反応管の温度を600〜900℃程度まで昇温させる。
次いで、石英反応管内の温度が700℃に到達後、上記キャリアガス中に原料ガス(例えば、炭化水素系ガス)を20sccmの供給量で導入させる。このとき、反応時間は、15sec以上とする。その後、原料ガスの導入を停止し、石英反応管内の温度を常温まで冷却する。
上記方法で形成される配向CNT38の平均長さは、例えば、50〜600μmの範囲内であることが好ましい。
本実施の形態の配向CNT生成用触媒層形成方法によれば、溶媒12に溶質となる硝酸鉄13が溶解され、かつ粘度が1.0〜8.2mPa・sの範囲とされた湿式触媒溶液15を準備する湿式触媒溶液準備工程と、インクジェット法及びスピンコータ法よりも処理速度の速い方法であるスリットコート法により、基板17上に湿式触媒溶液15を塗布することで、液状とされた塗布層21を形成する塗布層形成工程と、塗布層21を構成する溶媒12が自然乾燥する前に、塗布層21を均一に乾燥させることで、配向CNT生成用触媒層29を形成する乾燥工程と、を含むことにより、溶媒12として、揮発性が高く、かつ低粘度とされた溶媒(具体的には、N,N−ジメチルホルムアミドと1−エトキシ−2−プロパノールとを混合させた溶媒、またはN,N−ジメチルホルムアミドとエタノールとを混合させた溶媒)を用いた場合でも、湿式触媒溶液15を用いて均一な厚さとされた塗布層21を形成することができ、かつ塗布層21中の硝酸鉄13の濃度分布のばらつきを低減でき、さらに、基板17の面積が大きい場合でも配向CNT生成用触媒層29の生産性を向上させることができる。
また、スリットコート法を用いることで、湿式触媒溶液15のロス(無駄)が低減でき、さらに円形以外の形状とされた基板17に対しても均一な厚さで、かつ硝酸鉄13の濃度分布のばらつきが低減された塗布層21を形成することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(実験例1)
湿式触媒溶液の溶媒としてサンプル1〜22を作成した。表1に示すように、サンプル1〜11としては、PGE(東京化成工業株式会社製)とDMF(キシダ化学株式会社製)とを混合させたものを用いた。このときのPGE及びDMFの濃度は、表1に示す濃度とした。
粘度測定器としてRION社製のビスコテスター(型式VT−03F)を用いて、サンプル1〜11の粘度を測定した結果を表1に示す。
表2に示すように、サンプル12〜22としては、エタノールとDMFとを混合させたものを用いた。このときのエタノール及びDMFの濃度は、表2に示す濃度とした。
サンプル1〜11の粘度を測定に使用した粘度測定器を用いて、サンプル12〜22の粘度を測定した結果を表2に示す。
次に、6インチの単結晶シリコンウェハの表面に、厚さ0.1μmのシリコン酸化膜を形成された基板を22枚準備し、東レエンジニアリング株式会社製のスリットコーター(マルチ・ラボ・コーター)を用いて、該基板に対して、5.0cm/secの塗布速度で、サンプル1〜22を塗布した。
この結果、粘度が1.0mPa・sよりも小さいサンプル(具体的には、サンプル1〜3,12〜16)において、スリットノズルの吐出口から該吐出口の外側に該サンプルの濡れ広がりや、液滴落ち等が確認された。このため、サンプル1〜3,12〜16では、安定した塗布を実施することができなかった。
これにより、スリットコーターを用いて、安定した塗布が可能な粘度は、1.0mPa・s以上であることが確認できた。
(実験例2)
次に、現実的な室内作業環境を考慮して、表1及び表2に示すサンプル1〜22の温度を10〜40℃の範囲内で変化させ、各サンプルに和光純薬工業株式会社製の硝酸鉄(III)九水和物(溶質)を少しずつ加えて撹拌し、硝酸鉄(III)九水和物を溶解させることで、表3及び表4に示すサンプル23〜44(湿式触媒溶液)を作製した。
このとき、サンプルの温度が10℃のときには、硝酸鉄(III)九水和物の濃度が15wt%を超えると1時間以上撹拌しても硝酸鉄(III)九水和物を完全に溶解させることはできなかった。よって、表3及び表4に示すように、硝酸鉄(III)九水和物の濃度の上限は、15wt%とした。
その後、サンプル1〜11の粘度を測定に使用した粘度測定器を用いて、サンプル23〜44の粘度を測定した。この結果を表3及び表4に示す。
次に、6インチの単結晶シリコンウェハの表面に、厚さ0.1μmのシリコン酸化膜を形成された基板を22枚準備し、実験例1で使用したスリットコーターを用いて、該基板に対して、5.0cm/secの塗布速度で、サンプル23〜44を塗布した。
この結果、粘度が1.0mPa・sよりも小さいサンプル(具体的には、サンプル23,24,34,35)において、スリットノズルの吐出口から該吐出口の外側に該サンプルの濡れ広がりや、液滴落ち等が確認された。このため、サンプル23,24,34,35では、安定した塗布を実施することができなかった。
また、最も粘度の高いサンプル33を塗布したところ、安定した塗布を行うことができた。このことから、スリットコーターを用いて湿式触媒溶液を安定して塗布することが可能な湿式触媒溶液の粘度の範囲は、1.0〜8.2mPa・sの範囲内であることが確認できた。
(実施例及び参考例)
実施例として、以下の方法により、表5に示すサンプル1A〜7Aを作製し、参考例として表6に示すサンプル8A〜14Aを作製した。なお、表5及び表6では、配向CNT生成用触媒層を単に「触媒層」と記載した。
先ず実施例としてサンプル1A〜7Aを作製した方法について説明する。サンプル1A〜7Aでは、スリットコート法により塗布層を形成し始めた時点から、20秒以内に、後述するホットプレート上に基板を載置し均一加熱を開始した例である。
始めに、7.86gのPGE(東京化成工業株式会社製)と、1.94gのDMF(キシダ化学株式会社製)と、十分に撹拌混合することで、溶媒を作製した。
続いて、0.3gの硝酸鉄(III)九水和物(和光純薬工業株式会社製)を用意し、上記溶媒に硝酸鉄(III)九水和物を加え、マグネチックスターラーを用いて硝酸鉄(III)九水和物が完全に溶けるまで30分撹拌した。
次いで、硝酸鉄(III)九水和物が溶解した溶媒をガラス製シリンジに吸引し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製でメッシュサイズが0.2μmのフィルター(日本ポール社製、エキクロディスク25CR)を使用して、硝酸鉄(III)九水和物が溶解した溶媒を濾過することで湿式触媒溶液を作製した。
実験例1で使用した粘度測定装置を用いて、上記湿式触媒溶液の粘度を測定したところ、1.98mPa・sであった。
次に、21枚の単結晶シリコンウェハ(口径が6インチ(152.4mm)、厚さが625μm)を準備し、21枚の単結晶シリコンウェハの表面に、熱酸化法を用いて、厚さ0.1μmのシリコン酸化膜を形成した。
次に、スリットコート法により、表5及び表6に示す条件で、上記単結晶シリコンウェハに形成されたシリコン酸化膜の上面に、上記湿式触媒溶液を塗布することで、表5〜表7に示す厚さとされた塗布層を形成した。
このとき、スリットノズルの吐出口(口金)の幅は、100mmとした。また、上記塗布層は、スリットコーターのステージ上に、シリコン酸化膜が形成された単結晶シリコンウェハを載置し、吐出口をシリコン酸化膜の近傍の位置に移動させ、吐出口から上記湿式触媒溶液を吐出させ、ステージを1軸方向に100mm移動させることで、□100mmのエリアに塗布層を形成した。
塗布層の厚さの調整は、ステージの移動速度を5cm/secで固定した状態で、吐出口から吐出される湿式触媒溶液の吐出速度を調整することで行った。
その後、実施例のサンプル1Aの塗布層の写真を撮った。この写真を図6に示す。
図6を参照するに、実施例のサンプル1Aでは、外観上、四隅においても湿式触媒溶液の広がりはなく、直角が保たれており、全体的に均一な厚さとされた塗布層であることが確認できた。
次いで、ホットプレートを用いて、表5に示すサンプル1A〜7Aに形成された塗布層を乾燥させることで、配向CNT生成用触媒層を形成した。
具体的には、以下の方法により、サンプル1A〜7Aの塗布層を乾燥させることで、配向CNT生成用触媒層を形成した。
始めに、グローブボックス内に設置されたホットプレート上に、粘着防止用のためのグラスファイバー製の不織布を敷いた。ホットプレートの設定温度を300℃とし、塗布層を形成する前から十分に予熱を行い、使用時には温度平衡している状態とした。
塗布層形成後、単結晶シリコンウェハを傾けることなく、かつ、速やかに□20cmで、厚さが5mmのアルミナ板上に、塗布層が形成された単結晶シリコンウェハを載せ、アルミナ板ごとホットプレート上に載せて、塗布層の乾燥を開始した。
乾燥開始から10minの間保持した後、単結晶シリコンウェハをホットプレートから降ろして、冷却を実施した。
この時、単結晶シリコンウェハ上の湿式触媒溶液の温度を測定したところ、乾燥開始時の27℃から5min後には260℃まで上昇し、260℃で温度平衡したまま10minが経過した。また、湿式触媒溶液の平均昇温速度は、47℃/minであった。
単結晶シリコンウェハの温度が常温程度まで冷えてから、精密天秤にて重量を測定してから導電性樹脂製のケースに収納した。
一方、参考例では、表6に示すサンプル8A〜14Aによる塗布層の形成完了後、120sec間放置して充分に自然乾燥させてからホットプレート上での加熱を開始することで、配向CNT生成用触媒層を形成した。
始めに、グローブボックス内に設置されたホットプレート上に、粘着防止用のためのグラスファイバー製の不織布を敷いた。ホットプレートの設定温度を260℃とし、塗布層を形成する前から十分に予熱を行い、使用時には温度平衡している状態とした。
塗布層形成後、120sec間放置することで自然乾燥を行った後、表5に示すサンプル1A〜7Aに形成された塗布層の乾燥方法と同様な乾燥処理を行った。
次いで、単結晶シリコンウェハの温度が常温程度まで冷えてから、精密天秤を用いて重量を測定し、その後、導電性樹脂製のケースに収納した。
次いで、サンプル1A〜14Aを構成する配向CNT生成用触媒層に配向CNTを形成した。
具体的には、大陽日酸製CVD装置を用いたCVD法により、配向CNT生成用触媒層上に配向CNTを形成した。
このとき、反応炉として石英ガラスチャンバーを使用し、抵抗加熱式ヒータを用いて窒素雰囲気下で700℃になるよう十分に予熱を実施した。
また、石英チャンバー内の温度が700℃以上に到達後、酸素濃度を0.3vol%未満に管理された状況下で、塗布層が形成された単結晶シリコンウェハを石英ガラスチャンバー内に設置した。
その後、石英チャンバー内の温度を保持したまま窒素雰囲気下において、6インチシリコンウエハの予熱を180sec実施し、その後、石英チャンバー内にアセチレンと窒素とが混合された混合ガスを30sec投入した。
次いで、ヒーターによる加熱を停止し、窒素雰囲気下で十分にパージを行ってから石英ガラスチャンバーから単結晶シリコンウェハを取り出した。
次いで、精密天秤を用いて、配向CNTが形成されたサンプル1A〜14Aの重さを測定し、CVD処理前後の重量差から配向CNTの生成量を算出した。この結果を表5及び表6に示す。
次いで、電界放出型走査電子顕微鏡(以下、単に「SEM」という)を用いて、各サンプル1A〜14Aに対して、塗布の始点、中間点、終点の3箇所における配向CNTを観察することで、配向CNTの各場所における密度及び高さを測定した。この結果を表5及び表6に示す。
また、実施例のサンプル4Aの断面SEM写真を図7に示し、参考例のサンプル11Aの断面SEM写真を図8に示す。
(比較例)
比較例では、以下の方法により、表7に示すサンプル15A〜21Aを作製した。なお、表7では、配向CNT生成用触媒層を単に「触媒層」と記載した。
比較例では、インクジェット塗布装置(株式会社マイクロジェット社製)を用いて、実施例で作製した湿式触媒溶液を、実施例で作製した単結晶シリコンウェハのシリコン酸化膜上に塗布することで、塗布層を形成した。
インクジェット塗布装置としては、ピエゾ方式で、ノズルを128本有する装置を用いた。また、塗布条件としては、周波数1000Hz、1つのノズルからの吐出量が28.3ng/dot、液滴速度が5.8m/secを用いた。
また、ステージ上に、シリコン酸化膜が形成された単結晶シリコンウェハを載置し、ノズルを目的とする塗布層の厚さに応じてドットピッチを変化させて、ノズルを移動させることで、□100mmのエリアに、表3に示す厚さとされた塗布層を形成した。
その後、比較例のサンプル15Aの塗布層の写真を撮った。この写真を図9に示す。
図9を参照するに、湿式触媒溶液が広がることで、塗布層の四隅が丸くなり、塗布層の厚さが不均一であることが分かった。
次いで、先に説明した表5に示すサンプル1A〜7Aに形成された塗布層の乾燥方法と同様な手法により、表7に示すサンプル15A〜21Aに形成された塗布層の乾燥を行った。
次いで、サンプル1A〜14Aの配向CNTの形成方法と同様な手法により、サンプル15A〜21Aの配向CNTを形成した。
次いで、精密天秤を用いて、配向CNTが形成されたサンプル15A〜21Aの重さを測定し、CVD処理前後の重量差から配向CNTの生成量を算出した。この結果を表7に示す。
次いで、実施例で使用したSEMを用いて、各サンプル15A〜21Aに対して、塗布の始点、中間点、終点の3箇所における配向CNTを観察することで、各場所における配向CNTの密度及び高さを測定した。この結果を表7に示す。
また、比較例サンプル20Aの中間点の断面SEM写真を図10に示し、比較例サンプル20Aの中間点の断面SEM写真を図11に示す。
(実施例、参考例、及び比較例の結果のまとめ)
全てのサンプルで配向CNTが形成されていることが確認できた。しかしながら、配向CNT生成用触媒層の厚さに依存することなく、均一な厚さとされた配向CNTが形成されたサンプルは、スリットコーターを用いて塗布層を形成したサンプルのうち、自然乾燥をさせないで強制乾燥させたサンプル(実施例のサンプル)のみであった。
自然乾燥をさせてから強制乾燥させた参考例のサンプルでは、塗布層の形成後の外観において、不均一性は確認されなかったが、僅か120secの自然乾燥であっても配向CNTに大きなスパンでの高さや密度の差が見られた。
また、比較例のサンプルでは、塗布後の外観観察において、小さなスパンでの不均一性が確認されたが、配向CNTにも小さいスパンでの高さや密度の差が見られ、かつ、端の方では配向状態が成立していない部分が確認された。
なお、溶媒としてエタノールとDMFとを混合させた溶媒を用いて、上記実施例、参考例、及び比較例と同様な実験を行ったところ、同じ傾向の結果が得られた。
本発明は、配向CNTが形成される配向CNT生成用触媒層の形成方法に適用可能である。
11…撹拌容器、12…溶媒、13…硝酸鉄、14…撹拌機、15…湿式触媒溶液、17…基板、17a,19a,32a…上面、18…シリコン基板、18a…表面、18b…裏面、19…シリコン酸化膜、21…塗布層、23…スリットコーター、24…ステージ、25…スリットノズル、26…容液供給ライン、27…吐出口、29…配向CNT生成用触媒層、31…グローブボックス、32…ステージ、33…ヒーター、34…ホットプレート、36…不織布、38…配向CNT、A…方向、M1,M2…厚さ

Claims (11)

  1. 基板上に配向CNT生成用触媒層を形成する配向CNT触媒層形成方法であって、
    溶媒に溶質となる硝酸鉄が溶解され、かつ粘度が1.0〜8.2mPa・sの範囲とされた湿式触媒溶液を準備する湿式触媒溶液準備工程と、
    スリットコート法により、前記基板上に前記湿式触媒溶液を塗布することで、液状とされた塗布層を形成する塗布層形成工程と、
    前記塗布層の形成開始から乾燥開始までの所要時間を120秒以内とし、該塗布層を均一に乾燥させることで、配向CNT生成用触媒層を形成する乾燥工程と、
    を含むことを特徴とする配向CNT生成用触媒層形成方法。
  2. 前記溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドと1−エトキシ−2−プロパノールとを混合させることで形成することを特徴とする請求項1に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  3. 前記溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドとエタノールとを混合させることで形成することを特徴とする請求項1に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  4. 前記硝酸鉄として、硝酸鉄(III)九水和物を用いることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  5. 前記湿式触媒溶液中における前記硝酸鉄の濃度を0.5〜15mass%の範囲内にすることを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  6. 前記塗布層形成工程では、前記湿式触媒溶液の塗布開始から塗布終了までの時間を60sec以内にすることを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  7. 前記塗布層形成工程では、前記塗布層の厚さを0.5〜15μmの範囲内にすることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  8. 前記乾燥工程では、前記塗布層の平均の昇温速度が30〜150℃/minの範囲内となるように、前記塗布層の下面全体を均一に加熱することを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  9. 前記基板として、シリコン基板、シリコン基板の表面にシリコン酸化膜を有する酸化膜付きシリコン基板、シリコン基板の表面にシリコン窒化膜を有する窒化膜付きシリコン基板のうち、いずれか1つの基板を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  10. 前記基板として、石英ガラス基板を用いることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
  11. 前記配向CNT生成用触媒層の厚さを0.5〜15nmの範囲内にすることを特徴とする請求項1ないし10のうち、いずれか1項に記載の配向CNT生成用触媒層形成方法。
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