JP5978108B2 - 混合膜の製造方法、及び多孔質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、この分散液を用いる方法では、数百℃の焼成処理が必要であるため、熱に弱いプラスチック基材、低融点の金属基材、熱によって物性が劣化する部位を有する基材等を用いることが難しかった。
(2)前記(1)に記載の混合膜の製造方法を用いた多孔質膜の製造方法であって、下記除去処理により除かれ難い粒子Aと下記除去処理により除かれ易い粒子Bとが混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける前記粒子B/前記粒子Aの混合比を、連続的に又は段階的に変化させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記粒子Aからなる非除去部と前記粒子Bからなる除去部とによって構成される混合膜を形成し、前記除去部を溶解、分解、揮発、昇華又は焼失させて除去する除去処理を行うことによって多孔質膜を形成することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
(3)前記混合比を連続的に又は段階的に増加させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けることを特徴とする前記(2)に記載の多孔質膜の製造方法。
(4)前記混合比を連続的に又は段階的に減少させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けることを特徴とする前記(2)に記載の多孔質膜の製造方法。
(5)ロールトゥロール方式で前記基材を移動し、前記基材の所定領域に対して、第一の混合比の前記エアロゾルを吹き付けた後、同じ所定領域に対して、前記第一の混合比よりも前記混合比が高い第二の混合比の前記エアロゾルを吹き付けることを特徴とする前記(2)に記載の多孔質膜の製造方法。
(6)ロールトゥロール方式で前記基材を移動し、前記基材の所定領域に対して、第一の混合比の前記エアロゾルを吹き付けた後、同じ所定領域に対して、前記第一の混合比よりも前記混合比が低い第二の混合比の前記エアロゾルを吹き付けることを特徴とする前記(2)に記載の多孔質膜の製造方法。
(7)前記ノズルを前記基材の平面方向に移動させながら前記吹き付けを連続的に行うことを特徴とする前記(2)〜(4)の何れか一に記載の多孔質膜の製造方法。
(8)前記除去処理が、水、酸又は塩基による溶解、光又は熱による分解、減圧による揮発又は昇華、或いは燃焼による焼失であることを特徴とする前記(2)〜(7)の何れか一に記載の多孔質膜の製造方法。
(9)前記粒子Aが、酸化チタンからなる粒子であることを特徴とする前記(2)〜(8)の何れか一に記載の多孔質膜の製造方法。
(10)前記(2)〜(9)の何れか一に記載の多孔質膜の製造方法によって製造されたことを特徴とする多孔質膜。
(11)前記(1)に記載の混合膜の製造方法によって製造されたことを特徴とする混合膜。
(12)複数の粒子供給器と、前記複数の粒子供給器から供給される各粒子を混合してエアロゾルを発生するエアロゾル発生器と、前記複数の粒子供給器から前記エアロゾル発生器に供給する各粒子の供給量をそれぞれ独立して制御する制御器と、前記エアロゾルを吹き付けるノズルと、を備えたことを特徴とする成膜装置。
本発明の第一態様の混合膜の製造方法は、互いに異なる種類の粒子αと粒子βとが混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける前記粒子β/前記粒子αの混合比を、連続的に又は段階的に変化させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記粒子αからなる第一部分と前記粒子βからなる第二部分とによって構成される混合膜を形成する混合膜の製造方法である。この製造方法は、第二態様の多孔質膜の製造方法に利用可能である。
このような除去性が異なる粒子α及び粒子βの組み合わせとしては、後述する第二態様の粒子A及び粒子Bの組み合わせが好ましい。以下、第二態様を説明する。
本発明の第二態様の多孔質膜の製造方法は、下記除去処理により除かれ難い粒子Aと下記除去処理により除かれ易い粒子Bとが混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける前記粒子B/前記粒子Aの混合比を、連続的に又は段階的に変化させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記粒子Aからなる非除去部と前記粒子Bからなる除去部とによって構成される混合膜を形成し、前記除去部を溶解、分解、揮発、昇華又は焼失させて除去する除去処理を行うことによって多孔質膜を形成する方法である。
前記粒子Bは、前記除去処理により、前記粒子Aよりも10倍以上速く除去される粒子であってもよい。
本発明の第二態様の多孔質膜の製造方法においては、前記混合比を連続的に又は段階的に減少させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けてもよい。
第一実施形態において、前記粒子Aとして不溶性粒子を使用し、前記粒子Bとして可溶性粒子を使用する。したがって、第一実施形態の多孔質膜の製造方法は、不溶性粒子と可溶性粒子が混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける、(前記可溶性粒子)/(前記不溶性粒子)の混合比を、連続的に又は段階的に、増加又は減少させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記不溶性粒子からなる不溶部(非除去部)及び前記可溶性粒子からなる可溶部(除去部)によって構成される混合膜を形成し、前記可溶部を溶解して除去することにより多孔質膜を形成する方法である。
前記基材としては、前記エアロゾルを高速で基材に吹き付けることにより、前記基材上に前記混合膜を形成可能なものであれば特に限定されない。例えば、ガラス基材、各種プラスチックからなる基材、各種金属からなる基材が挙げられる。
前記基材の形状は特に制限されず、例えば、板状、フィルム状、シート状が挙げられる。前記基材の種類及び形状が、ロールトゥロール方式で搬送可能な種類及び形状であってもよい。
前記基材に前記エアロゾルを吹き付けることにより成膜する方法(以下、「吹き付け法」と略記する。)は、公知の方法が適用可能である。例えば、溶射法、コールドスプレー法、エアロゾルデポジション法(以下、「AD法」と略記する。)等が挙げられる。
前記不溶性粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、硫化アンチモン等からなる粒子が挙げられる。本実施形態の多孔質膜の製造方法を、色素増感太陽電池の光電極製造に利用する場合には、酸化チタンが好ましい。
ここで「不溶性」とは、前記混合膜の可溶部を溶解させる溶解液に対して全く溶解しないこと、又は、前記溶解液に対する溶解速度が前記可溶性粒子の当該溶解速度に比べて充分に小さいことを意味する。この「不溶性」の条件を満たす、吹き付け可能な粒子であれば、前記不溶性粒子として如何なる粒子でも特に制限なく使用できる。
本実施形態の多孔質膜を、色素増感太陽電池の光電極に利用する場合には、酸化チタンの結晶型を、例えば、アナターゼ型とすることにより、ルチル型よりも電気化学的な反応活性を高くでき、増感色素からの電子注入が一層効率的になる。また、ルチル型の屈折率はアナターゼ型の屈折率よりも高いため、一次粒子径が大きいルチル型の酸化チタンを適量混合することにより、光散乱効果及び光利用効率を一層高めることができる。
前記可溶性粒子の「可溶性」とは、前記混合膜の可溶部を溶解する溶解液に対して容易に溶解すること、又は、前記溶解液に対する溶解速度が前記不溶性粒子の当該溶解速度に比べて充分に大きいことを意味する。この「可溶性」の条件を満たす、吹き付け可能な粒子であれば、前記可溶性粒子として如何なる粒子でも特に制限なく使用できる。
ここで例示した金属酸化物からなる粒子及び金属水酸化物からなる粒子は、通常、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は硫化アンチモンからなる前記不溶性粒子よりも、酸又は塩基の水溶液に対して10倍以上の溶解速度を有する。
前記可溶性粒子として、水溶性の粒子を用いた場合、前記混合膜を構成する可溶部を水又は温水によってエッチングすることにより、不溶性粒子からなる不溶部だけで構成された多孔質膜を形成できる。
前記不溶性粒子の粒子径と前記可溶性粒子の粒子径の比は特に制限されないが、エアロゾル中に各粒子を均一に分散させるために、各粒子の粒子径が同程度であることが好ましい。具体的には、(不溶性粒子の粒子径)/(可溶性粒子の粒子径)=10/1〜1/50であることが好ましい。
前記エアロゾルを構成する不溶性粒子と可溶性粒子の混合比(体積比)を連続的に又は段階的に増加させる方法は、特に制限されない。
例えば、単一のエアロゾル発生器に、不溶性粒子を供給する第一粒子供給器及び可溶性粒子を供給する第二粒子供給器を接続し、各粒子供給器から供給する各粒子の体積比を制御する方法が挙げられる。エアロゾル発生器に供給された各粒子は、空気、窒素、アルゴン等のガスと共に均一に混合されてエアロゾルになる。具体的には、成膜開始時点では第一粒子供給器から供給される不溶性粒子の体積(量)を第二粒子供給器から供給される可溶性粒子の体積(量)よりも大きくする。次に、成膜を継続する間に、連続的に又は段階的に、第一粒子供給器から供給される不溶性粒子の体積(量)を減少させ、更に第二粒子供給器から供給される可溶性粒子の体積(量)を増加させることにより、エアロゾル中の粒子の合計体積(合計量)を変動させることなく、前記混合比を連続的に又は段階的に増加させることができる。
・第一の吹き付け例
図1の混合比で構成されたエアロゾルをノズルから基材に吹き付ける際、ノズルと基材との相対位置をほぼ固定した状態で吹き付けを連続的に行うことにより、膜の厚み方向であって基材から離れる方向に連続的に可溶性粒子の体積比が増加した(不溶性粒子の体積比が減少した)混合膜が得られる(図2参照)。成膜する混合膜の厚みは特に制限されず、例えば膜厚が1〜100μmの混合膜を形成できる。また、前記吹き付けの際、ノズルを揺動することにより、吹き付け面積及び成膜面積を増加させてもよい。
図1の混合比で構成されたエアロゾルをノズルから基材に吹き付ける際、ノズルを基材の平面方向に移動させながら吹き付けを連続的に行うことにより、成膜開始位置を基点として膜の平面方向(膜の拡がり方向)に連続的に可溶性粒子の体積比が増加した(不溶性粒子の体積比が減少した)混合膜が得られる(図5参照;図における矢印は基板に対するノズルの移動方向を示す)。成膜する混合膜の平面方向の直径(長さ)は特に制限されず、例えば直径が10〜1000μmの混合膜を形成できる。
図7に示すように、可溶性粒子(粒子B)/不溶性粒子(粒子A)の混合比を段階的に(ステップワイズに)増加させたエアロゾルを発生させて成膜する方法も例示できる。図における成膜時間(2)を4等分に分割し、4段階で混合比を上げる場合を以下に説明する。この段階的に混合比を下げる方法は、基材をロールトゥロール方式で搬送する場合に特に効果的である。以下、詳細に説明する。
このように同一の所定領域に対して、混合比を段階的に増加させたエアロゾルを重ねて均一に吹き付ける場合、大面積の基材をロールトゥロール方式で搬送させることにより、製造効率を向上させることができる。
図14に示すように、成膜時間(2)において前記混合比を連続的に増加させ、次いで成膜時間(4)において前記混合比を連続的に減少させてもよい。図14の混合比で構成されたエアロゾルをノズルから基材に吹き付ける際、ノズルと基材との相対位置をほぼ固定した状態で吹き付けを連続的に行うことにより、膜の厚み方向であって基材から離れる方向に、連続的に可溶性粒子の体積比が増加し(不溶性粒子の体積比が減少し)、次いで連続的に可溶性粒子の体積比が減少した(不溶性粒子の体積比が増加した)混合膜が得られる(図15参照)。成膜する混合膜の厚みは特に制限されず、例えば膜厚が1〜100μmの混合膜を形成できる。また、前記吹き付けの際、ノズルを揺動することにより、吹き付け面積及び成膜面積を増加させてもよい。
前記混合膜の可溶部を溶解して除去することより、膜の厚み方向であって基材から離れる方向に連続的に空隙率が増加又は減少した多孔質膜を基材上に形成できる。
第二実施形態において、前記粒子Aとして不揮発性粒子を使用し、前記粒子Bとして揮発性粒子を使用する。したがって、第二実施形態の多孔質膜の製造方法は、不揮発性粒子と揮発性粒子が混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける、(前記揮発性粒子)/(前記不揮発性粒子)の混合比を、連続的に又は段階的に、増加又は減少させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記不揮発性粒子からなる不気化部(非除去部)と前記揮発性粒子からなる気化部(除去部)とによって構成される混合膜を形成し、前記気化部を気化又は焼失させて除去することにより多孔質膜を形成する方法である。
本実施形態の基材としては、上述の第一実施形態と同様の基材が適用可能である。
基材に不揮発性粒子と揮発性粒子が混合されたエアロゾルを吹き付ける方法としては、上述の第一実施形態と同様の方法が適用可能である。
前記不揮発性粒子としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、硫化アンチモン等が挙げられる。
ここで「不揮発性」とは、前記混合膜の気化部を気化又は焼失させて、除去する処理に対して全く除去されないこと、又は、前記処理に対する気化速度(焼失速度)が前記揮発性粒子の当該気化速度に比べて充分に小さいことを意味する。この「不揮発性」の条件を満たす、吹き付け可能な粒子であれば、前記不揮発性粒子として如何なる粒子でも特に制限なく使用できる。
前記不揮発性粒子の粒子径(一次粒子径)は、特に限定されず、製造する多孔質膜の強度、空隙率(嵩密度)を考慮して適宜調整すればよい。例えば、5nm〜1μmの粒子径を有する酸化チタンを前記不揮発性粒子として使用できる。
前記不揮発性粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記揮発性粒子の「揮発性」とは、前記混合膜の気化部を気化又は焼失させて、除去する処理に対して容易に除去されること、又は、前記処理に対する気化速度(焼失速度)が前記不揮発性粒子の当該気化速度に比べて充分に大きいことを意味する。この「揮発性」の条件を満たす粒子であれば、前記揮発性粒子として如何なる粒子でも特に制限なく使用できる。
前記揮発性粒子として、昇華性の粒子を用いた場合、例えば、昇華性の粒子の物性に応じた減圧処理及び加温処理を行うことにより、混合膜を構成する気化部を容易に除去して、不揮発性粒子からなる不気化部だけで構成された多孔質膜を形成できる。
前記揮発性粒子として、炭素又は炭化水素からなる粒子を用いた場合、例えば、混合膜に対して低温酸素プラズマ処理を行うことにより、当該粒子を、一酸化炭素、二酸化炭素などのガス、或いは、エタン、エチレン、メタンなどの低級炭化水素に分解して除去できる。この結果、不揮発性粒子からなる不気化部だけで構成された多孔質膜を形成できる。
前記揮発性粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記不揮発性粒子の粒子径と前記揮発性粒子の粒子径の比は特に制限されないが、エアロゾル中に各粒子を均一に分散させるために、各粒子の粒子径が同程度であることが好ましい。具体的には、(不揮発性粒子の粒子径)/(揮発性粒子の粒子径)=10/1〜1/50であることが好ましい。
本実施形態の製法によれば、第一実施形態と同様の吹き付け方法によって、膜の厚み方向であって基材から離れる方向に、連続的又は段階的に、空隙の体積比(空隙率)が増加又は減少した(不揮発性粒子の体積比が減少又は増加した)多孔質膜(図2,4参照);又は、成膜開始位置を基点として膜の平面方向(膜の拡がり方向)に、連続的又は段階的に、空隙の体積比(空隙率)が増加又は減少した(不揮発性粒子の体積比が減少又は増加した)多孔質膜(図5,6参照)が得られる。
本発明の第三態様の多孔質膜は、第一態様の製法により製造された多孔質膜である。当該多孔質膜は、色素増感太陽電池や二次電池の分野に利用することができる。例えば、前記基材として、表面にITO、FTO等の導電層を備えた透明基材を用い、その導電層の上に酸化チタン等の酸化物半導体層からなる多孔質膜を形成することにより、色素増感太陽電池の光電極として使用可能な部材が得られる。本発明の第三態様の多孔質膜の空隙率分布は連続的(漸次的)又は段階的に変化しているため、当該多孔質膜に入射する光の透過、吸収、散乱を効率的に制御することが可能である。前記透過、吸収、散乱の効率を制御することにより、光電極の光電変換効率を向上させることも可能である。
本発明の第四態様の混合膜は、第一態様の製法により製造された混合膜である。当該混合膜は、第二態様の多孔質膜の製造方法に利用可能である。
本発明の第五態様の成膜装置を図9を参照して説明するが、本発明の成膜装置はこれに限定されない。成膜装置60は、複数の粒子供給器68,69と、前記複数の粒子供給器から供給される各粒子を混合してエアロゾルを発生するエアロゾル発生器65と、前記複数の粒子供給器から前記エアロゾル発生器に供給する各粒子の供給量をそれぞれ独立して制御する制御器66,67と、前記エアロゾルを吹き付けるノズル52と、を備えている。成膜装置60は、AD法による成膜に適用可能である。
図9に示す成膜装置60を用いて、エアロデポジション法(AD法)により、ガラス基板53上に多孔質膜を次のように成膜した。
不溶性粒子(粒子A)である直径約30nmの酸化チタン粒子と、可溶性粒子(粒子B)である直径約20nmの酸化亜鉛粒子をそれぞれ別の粒子供給器68,69に入れた。エアロゾル発生器65に供給する各粒子の量を調整する制御器66,67により、各粒子の混合比を調整し、粒子Aと粒子Bを混合したエアロゾルを発生させた。成膜室51を20Paに減圧し、搬送ガスとして窒素ガスを用いた。室温(約25℃)において、マスフロー制御器57を介して供給される搬送ガスにより、粒子A及び粒子Bが混合されたエアロゾルをノズル52からガラス基板に吹き付けて混合膜を成膜した。
エアロゾルを吹き付ける際にステージ63を水平に一方向に移動して、ガラス基板53とノズル52との相対位置を連続的に水平移動させた以外は、実施例1と同様に行った。図5の矢印は基板に対するノズルの移動方向を示す。成膜開始地点(図5の(1))から終了地点(図5の(3))に向けて、ガラス基板に対して平行に粒子Bの存在比が連続的に増加する混合膜を得た。また、エッチング後に得られた酸化チタンからなる多孔質膜において、ガラス基板の平面と平行な方向に連続的に空隙率が高まるグラデーション(空隙の濃度勾配が漸次増加する構造)を形成できた(図5参照)。
図9に示す成膜装置60を用いて、エアロデポジション法(AD法)により、ガラス基板53上に混合膜を次のように成膜した。
粒子αである直径約20nmの酸化チタン粒子と、粒子βである直径約40nmの酸化マグネシウム粒子をそれぞれ別の粒子供給器68,69に入れた。エアロゾル発生器65に供給する各粒子の量を調整する制御器66,67により、各粒子の混合比を調整し、粒子αと粒子βを混合したエアロゾルを発生させた。成膜室51を20Paに減圧し、搬送ガスとして窒素ガスを用いた。室温(約25℃)において、マスフロー制御器57を介して供給される搬送ガスにより、粒子α及び粒子βが混合されたエアロゾルをノズル52からガラス基板に吹き付けて混合膜を成膜した。
得られた混合膜において、厚み方向に連続的に粒子βの占有率(体積比)が高まるグラデーション構造(粒子βの濃度勾配が漸次増加する構造)を形成できた(図2参照;本実施例では、黒色部が粒子αの存在を示し、白色部が粒子βの存在を示す)。
図5に示すように、エアロゾルを吹き付ける際にステージ63を水平に一方向に移動して、ガラス基板53とノズル52との相対位置を連続的に水平移動させた以外は、実施例3と同様に行った。図5の矢印は基板に対するノズルの移動方向を示す。成膜開始地点(図5の(1))から終了地点(図5の(3))に向けて、ガラス基板に対して平行に粒子βの体積比が連続的に増加する混合膜を得た。
得られた混合膜において、ガラス基板の平面と平行な方向に連続的に粒子βの占有率(体積比)が高まるグラデーション(粒子βの濃度勾配が漸次増加する構造)を形成できた。なお、本実施例では、図5の黒色部が粒子αの存在を示し、白色部が粒子βの存在を示す。
Claims (9)
- 互いに異なる種類の粒子αと粒子βとが混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける前記粒子β/前記粒子αの混合比を、連続的に又は段階的に変化させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記粒子αからなる第一部分と前記粒子βからなる第二部分とによって構成される混合膜を形成する混合膜の製造方法であって、
(前記粒子αの粒子径)/(前記粒子βの粒子径)=10/1〜1/50であり、
成膜を継続する間に連続的又は段階的に、前記エアロゾル中の前記粒子αの体積を減少させ、更に前記粒子βの体積を増加させる、或いは、前記エアロゾル中の前記粒子αの体積を増加させ、更に前記粒子βの体積を減少させることによって、前記エアロゾル中の前記粒子αと前記粒子βの合計体積を一定に保つことを特徴とする混合膜の製造方法。 - 請求項1に記載の混合膜の製造方法を用いた多孔質膜の製造方法であって、
下記除去処理により除かれ難い粒子Aと下記除去処理により除かれ易い粒子Bとが混合されたエアロゾルを発生させ、前記エアロゾルにおける前記粒子B/前記粒子Aの混合比を、連続的に又は段階的に変化させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けて、前記粒子Aからなる非除去部と前記粒子Bからなる除去部とによって構成される混合膜を形成し、前記除去部を溶解、分解、揮発、昇華又は焼失させて除去する除去処理を行うことによって多孔質膜を形成することを特徴とする多孔質膜の製造方法。 - 前記混合比を連続的に又は段階的に増加させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けることを特徴とする請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記混合比を連続的に又は段階的に減少させながら、前記エアロゾルをノズルから基材に吹き付けることを特徴とする請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
- ロールトゥロール方式で前記基材を移動し、前記基材の所定領域に対して、第一の混合比の前記エアロゾルを吹き付けた後、同じ所定領域に対して、前記第一の混合比よりも前記混合比が高い第二の混合比の前記エアロゾルを吹き付けることを特徴とする請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
- ロールトゥロール方式で前記基材を移動し、前記基材の所定領域に対して、第一の混合比の前記エアロゾルを吹き付けた後、同じ所定領域に対して、前記第一の混合比よりも前記混合比が低い第二の混合比の前記エアロゾルを吹き付けることを特徴とする請求項2に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記ノズルを前記基材の平面方向に移動させながら前記吹き付けを連続的に行うことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記除去処理が、水、酸又は塩基による溶解、光又は熱による分解、減圧による揮発又は昇華、或いは燃焼による焼失であることを特徴とする請求項2〜7の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記粒子Aが、酸化チタンからなる粒子であることを特徴とする請求項2〜8の何れか一項に記載の多孔質膜の製造方法。
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