JP2007320797A - 複合構造物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 ガスが徐々に放出されるような微小な隙間が極めて少ない複合構造物を提供する。
【解決手段】 複合構造物10は、金属やセラミックス、樹脂あるいはこれらの複合材料からできている基材11と、この表面にエアロゾルデポジション法によって形成される脆性材料からなる構造物12と、さらにこの表面に形成されるセセラミック膜13とからなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材表面に脆性材料の構造物と絶縁性の膜を形成した複層構造の複合構造物とその製造方法に関する。
基材表面に脆性材料の構造物を加熱工程なしに形成する方法として、エアロゾルデポジション法と呼ばれる手法が認知されている。
このエアロゾルデポジション法は、特許文献1にその詳細が記載されている。即ち、脆性材料などの微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子を変形や破砕を起さしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる構造物をダイレクトで形成させることを特徴としており、特に加熱手段を必要としない常温で構造物が形成可能であり、焼成体同等の機械的強度を保有する構造物を得ることができる。
また、粒径が10nmから5μmの範囲にあるセラミックスなどの超微粒子をガスに分散させてエアロゾルとした後、ノズルより高速の超微粒子流として基板に向けて噴射して堆積物を形成する製造方法が特許文献2に開示されている。この特許文献2にあっては、基板に、イオン、原子、分子ビームや低温プラズマなどの高エネルギー原子などを照射して、作製される構造物を強固なものとする工夫を行っている。
上記エアロゾルデポジション法に用いられる装置は、基本的にエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、エアロゾルを基材に向けて噴射するノズルとからなり、ノズルの開口よりも大きな面積で構造物を作製する場合には、基材とノズルを相対的に移動・揺動させる位置制御手段を有し、減圧下で作製を行う場合には構造物を形成させるチャンバーと真空ポンプを有し、またエアロゾルを発生させるためのガス発生源を有することが一般的である。
エアロゾルデポジション法のプロセス温度は常温であり、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち数百℃以下で構造物形成が行われるところにひとつの特徴がある。
また使用される微粒子はセラミックスや半導体などの脆性材料を主体とし、同一材質の微粒子を単独であるいは混合させて用いることができるほか、異種の脆性材料微粒子を混合したり、複合して用いることが可能である。また一部金属材料や有機物材料などを脆性材料微粒子に混合したり、脆性材料微粒子表面にコーティングして用いることも可能である。これらの場合でも構造物形成の主となるものは脆性材料である。
このエアロゾルデポジション法によって形成される構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、構造物の脆性材料部分は、その結晶子サイズが原料微粒子のそれに比べて小さい多結晶体であり、その結晶は実質的に結晶配向性がない場合が多く、脆性材料結晶同士の界面にはガラス層からなる粒界層が実質的に存在しないと言え、さらに構造物の一部は基材表面に食い込むアンカー層を形成することが多いという特徴がある。
またエアロゾルデポジション法により形成される構造物は、微粒子同士が圧力によりパッキングされ、物理的な付着で形態を保っている状態のいわゆる圧粉体とは明らかに異なり、十分な強度を保有している。また、構造物形成において、脆性材料微粒子が破砕・変形を起していることは、原料として用いる脆性材料微粒子および形成された脆性材料構造物の結晶子サイズをX線回折法で測定することにより判断できる。すなわちエアロゾルデポジション法で形成される構造物の結晶子サイズは、原料微粒子の結晶子サイズよりも小さい値を示す。微粒子が破砕や変形をすることで形成されるずれ面や破面には、もともと内部に存在し別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となった新生面が形成される。この表面エネルギーが高い活性な新生面が、隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基板表面と接合することにより構造物が形成されるものと考えられる。また微粒子の表面に水酸基が程よく存在する場合では、微粒子の衝突時に微粒子同士や微粒子と構造物との間に生じる局部のずり応力により、メカノケミカルな酸塩基脱水反応が起き、これら同士が接合するということも考えられる。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、これらの現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料構造物が成長するものと考えられる。
また、脆性材料の焼成体であるセラミック基板の上にこのエアロゾルデポジション法により脆性材料の構造物を形成させた技術が特許文献3に開示されている。ここでは、表面ポアを多数有するセラミック材料の表面に構造物を形成させて、耐磨耗性や耐食性を向上させることを挙げている。
特許第3348154号公報 特開2000−212766号公報 特開2002−309383号公報
従来から各種基材上にエアロゾルデポジション法で脆性材料を主体とする成分から構成される構造物を形成した複合構造物の提案は多くなされている。エアロゾルデポジション構造物は、基材上に数十μm、場合によっては数百μmまでの形成高さで形成されるため、例えば数kV以上の高い電圧が印加される用途に用いられる絶縁膜や、材料の誘電特性を利用した回路基板用誘電体膜や耐食膜などの利用が考えられる。
エアロゾルデポジション法は脆性材料の微粒子を基材上に衝突させて、微粒子の破砕・変形によって微粒子の構成材料同士を接合して堆積させることで形成されるが、絶縁材料を原料として用いる場合は、形成条件によっては体積抵抗率で1014Ω・cm以上の抵抗を有する緻密な構造物の形成が達成される。あるいは形成条件によっては微小な隙間を持つポーラスな構造体となり、室温大気中での体積抵抗率がこれを下回る場合も生じる。この理由は、破砕・変形の状況によっては、もともとは微粒子であった構造要素同士の間に微小な隙間が存在し、この隙間にガス成分、水蒸気成分が侵入して表面に付着し、これが電圧印加時に移動して抵抗値を下げるものと考えられる。連続気孔を形成しているなど状況によっては、抵抗率の値は10Ω・cm程度まで低下することもある。ここでいう微小な隙間とは、例えば透過型電子顕微鏡でようやく観察されるような数〜数十nm程度の隙間である。またさらに内部に大きなポアを持つ構造物の形成あるいは、連続気孔を有する多孔体の形成が可能である。
一方、エアロゾルデポジション法では、一般的に微小な隙間を持つポーラスな構造体を形成させる場合の方が、緻密体を形成させる場合に較べて、構造体の内部応力を小さくしたり、形成速度が速く、形成高さを大きくできたり、あるいは見かけの誘電率を低下させられるなどの利点は存在する。例えば金属板の表面にエアロゾルデポジション法により緻密な構造物を形成させるような場合、構造物の内部応力が高いために、基材が反ったり、あるいは形成高さを大きくしすぎると膜の剥離や割れが生じたり、また形成高さそのものをかせぐことが出来なくなるなどのことがあった。このようなことはアルミナや窒化アルミ、イットリア、ジルコニアなどの、エアロゾルデポジション法で形成が確認されている構造物種のなかで比較的硬度が高い構造物において、また大面積の製膜を必要とする場合において顕著に現れる。
構造物の放射特性(輻射特性)や遮熱特性などの特性の利用の場合は、構造物形成厚みが大きく関与するとともに、構造内の微小な隙間が特性向上に寄与する場合が多々ある。従って、微小な隙間を持ちかつ内部応力が小さくて形成高さを高くできる構造物の方が、この用途では有利となる。
しかしながら、真空環境で使用される機器や、ガスやプラズマなどの腐食性環境に使用されるような部品へ、前述の機能を利用しようとしてエアロゾルデポジション法で形成した構造体を利用しようとする場合、微小な隙間を持つ構造体では、真空用途では、微小の隙間から徐々に放出されるガスによって、いつまでも機器内の真空度が上昇しなかったり、忌避されるべき水蒸気が放出されるような不具合、あるいは耐食環境での使用では、微小な隙間からガスが侵入し、構造物の比表面積の大きさから、腐食が進行しやすいなどの問題がある。
一方、PVDやCVD、ゾルゲル法で形成するセラミック膜は、緻密質を得やすい一方、厚い構造体を形成することが難しかったり、薄膜の場合は、基材の表面粗さの影響を受けて構造物に欠陥を有し、基材部分を表出させてしまうなどの不具合がある。
すなわち、材料の表面機能からくるガス放出性、耐食性、および主に表面被覆物の形成高さからくる放射特性、絶縁性など、これら諸機能を満足させることを目的として、表面機能を高める材料デザインとしてある程度の厚みの脆性材料の構造物を基材の表面に有しつつ、表面を緻密化してバリア特性を確保し、さらに基材のそりや基材がもともと持つ表面粗さ由来の不具合についての現実的な解決を試みようとするとき、エアロゾルデポジション法で形成した構造物のみ、あるいはPVDやCVD、ゾルゲル法で形成したセラミック膜のみを適用しただけでは十分で無かった場合が存在した。
上記課題を解決すべく本発明に係る複合構造物は、基材表面に脆性材料からなる構造物が形成され、この構造物の表面に絶縁性の膜が形成された複合構造物であって、前記構造物は脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを前記基材表面に噴射して衝突させて形成させた多結晶構造物であり、前記絶縁性の膜はPVD法、CVD法、ゾルゲル法のいずれかの手法で形成させたセラミック膜である構成とした。
エアロゾルデポジション法を適用することで、例えば基材として金属やガラスを用いる場合、前記構造物の一部は前記基材表面に食い込むアンカー部となる。
また基材がセラミックスである構成も挙げられる。この場合はアンカー部が明確に観察されない場合が多い。
このような構成の構造物を得ることで、例えば厚い脆性材料の構造物にて基材のポア封止、大きな絶縁破壊特性値や放射特性、遮熱特性、低誘電率特性などを発現させ、表面に緻密質の膜を形成させて、ガスバリヤ特性、耐食性などを発現させることが可能となる。
例えば、具体的には真空機器用セラミック部材への適用が挙げられる。ひとつはアルミ合金板などの金属材料を基材として選択し、表面に形成させた脆性材料構造物の高い放射特性(真空中での熱放射や熱吸収)を利用し、かつ真空中でのガス放出性を低くし、あるいはプラズマ耐食性などを向上させる用途である。このような場合、アルミ合金板の表面にエアロゾルデポジション法のみで緻密な構造物を形成させた機能複合材料も勿論考えられるものの、厚膜形成による基材のそりや製膜速度を考慮した大面積製膜時のコスト上昇などの理由で実現が困難な場合においては、この複層構造が好適である。例えば構造物を10μm以上100μm未満で形成し、緻密なセラミック膜を膜厚0.1μm以上5μm未満で形成させることが考えられる。
また別のひとつは、基体としてはセラミック焼成体を用いた真空機器用セラミック部材である。従来焼成体は表面に微細な凹凸やポアが存在するために比表面積が大きくなり、表面に吸着しているガス成分量が多いために真空引きしてからの所望真空度到達時間が長くなり、プロセス速度を低下させるという問題があるが、このセラミック焼成体の表面にエアロゾルデポジション法により脆性材料の構造物を形成させて表面をフラットとさせて比表面積を小さくし、さらにこの上にPVD法、CVD法、ゾルゲル法のいずれかの手法で形成させたセラミック膜を形成させることで良好な真空機器用セラミック部材が得られる。
エアロゾルデポジション法では、セラミック焼成体を基材として、その表面に数〜十数μmの径のポアが存在している場合でも、このポアの上部に構造物形成がなされ、3〜5μm程度の形成高さであっても基材の表面をフラットにさせることができる。この場合基体の表面平坦化を主として担うために、構造物中に数nmレベルの微細な隙間が存在してもよく、セラミック焼成体へ構造物形成を行う場合には、このようなあまり緻密でない構造物を形成させる方が容易である。一方、基体に直接PVDやCVD、ゾルゲル法などで形成される薄膜を形成させても、基体の凹凸にならって薄膜が成長するばかりであり、表面の粗面度が低下しなかったり、比表面積の低下にはつながらず、また複雑な形状ゆえに膜の欠損部などが残ることが考えられる。従ってエアロゾルデポジション法で5μm以上の形成高さで構造物を形成させ、さらにPVDやCVD、ゾルゲル法などで膜厚0.1μm以上5μm未満のセラミック膜を形成させることなどが考えられる。
これらは基材上にエアロゾルデポジション法で構造物を形成させた後、この表面を研磨して表面粗さを小さくすることが適用できる。この手法の場合、その上に形成させるセラミック膜の欠陥の保有を減少させるのに好適である。
本発明における複合構造物の製造方法は、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材表面に向けて噴射し、基材表面に微粒子の構成材料である脆性材料の多結晶構造物を形成する工程の後に、PVD法、CVD法、ゾルゲル法のいずれかの手法によりこの構造物の表面に絶縁性の膜(セラミック膜)を形成する工程を経て複合構造物を得る。
前記PVD法としては、スパッタリング法、エレクトロンビーム蒸着法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティングなどが挙げられ、CVD法としては、熱CVD法、MOCVD法、プラズマCVD法、レーザーCVD法などが挙げられる。
ここで、本件明細書で使用する語句の説明を以下に行う。
(微粒子)
一次粒子が緻密質粒子である場合は、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡で同定される平均粒径が10μm以下であるものを言う。また一次粒子が衝撃によって破砕しやすい多孔質粒子である場合は、平均粒径が50μm以下であるものを言う。
(エアロゾル)
ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらの混合ガスなどのガス中に前述の微粒子を分散させたものであり、一次粒子が分散している状態が望ましいが、通常はこの一次粒子が凝集した凝集粒を含む。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を20℃と換算した場合に、ノズルから噴射される時点において0.0003mL/L〜0.06mL/Lの範囲内であることが構造物の形成にとって望ましい。
(多結晶)
本件では結晶子が接合・集積してなる構造体を指す。結晶子は実質的にそれひとつで結晶を構成しその径は通常5nm以上である。ただし、微粒子が破砕されずに構造物中に取り込まれるなどの場合がまれに生じるが、実質的には多結晶である。
エアロゾルデポジション法によると、比較的大きな厚さの膜を短時間のうちに形成することができるが、結晶レベルは数〜数十nmと小さく、場合によっては微小な隙間を有しており、この場合は真空中でのガス放出時間が長かったり、耐食性が劣る。しかしながら、本願発明のようにその表面にPVD法、CVD法、ゾルゲル法のいずれかの手法で絶縁性の膜(セラミック膜)を形成すれば、真空環境特性や放射特性、耐食性などの諸機能の面で見て、有利となる。
図1は、本発明に係る複合構造物の断面図であり、複合構造物10は、金属やセラミックス、あるいはこれらの複合材料からできている基材11と、この表面にエアロゾルデポジション法によって形成される脆性材料からなる構造物12と、さらにこの表面に形成されるセラミック膜13とからなる。
基材11の形状や構造は任意であり、表面に形成される構造物12とセラミック膜13の形成位置、形成面積、形成パターンもまた任意である。必要部分にのみ、これらが形成されていればよい。
図2はエアロゾルデポジション装置20の一例を示したものであり、窒素ガスボンベ201の先にガス搬送管202を介してエアロゾル発生器203が設置され、その下流側に例えば直径2mmのエアロゾル搬送管204を介して構造物形成室205内に配置された例えば直径2mmの導入開口と10mm×0.4mmの導出開口をもつノズル206に接続されている。エアロゾル発生器203内には脆性材料微粒子例えば酸化アルミニウム微粒子粉体が充填されている。ノズル206の開口の先には、XYステージ207に保持された基材208が配置されている。構造物形成室205は真空ポンプ209と接続されている。基材208には上述したような複合材料などが採用される。
以下に上記エアロゾルデポジション装置20の作用を述べる。窒素ガスボンベ201を開栓し、ガス搬送管202を通じてガスをエアロゾル発生器203内に送り込み、同時にエアロゾル発生器203を運転させて脆性材料微粒子と窒素ガスが適当比で混合されたエアロゾルを発生させる。また真空ポンプ209を稼動させ、エアロゾル発生器203と構造物形成室205の間に差圧を生じさせる。エアロゾルはこの差圧に乗って下流側のエアロゾル搬送管204に導入されて加速し、ノズル206より基材208に向けて噴射する。基材208はXYステージ207により2軸に揺動され、エアロゾル衝突位置を変化させつつ、微粒子の衝突により基材208上に膜状の脆性材料構造物が形成されていく。
なお、内部に微小な隙間を持つものの、構造物の内部応力が小さく、形成速度が高く、形成高さを大きくできる構造物形成法としては、酸化アルミニウム粉体に対して予め遊星ミルによる粉砕処理を施すことが好適である。このような処理にて粉体内部に内部歪を印加させておくことで、構造物形成そのものを行い易くすることができ、またセラミック基材のような硬度の高い材料、また表面にポアを有する材料上にも構造物形成を行い易くする効果がある。
図3は、本発明に係る複合構造物を真空機器用セラミック部材として適用した例の部分断面構造模式図である。真空機器用セラミック部材とは、真空チャンバーの壁面部材やアクチュエータ機能を持つステージ、静電チャックなどの周辺部材や固定部材などにあたる。
真空機器用セラミック部材30の表面部断面は、基体であるアルミナ焼成体31の上に、アルミナの脆性材料構造物32が形成されており、その表面にアルミナのセラミック膜33が被覆されている。ここでアルミナ焼成体31は内部に気孔を有する場合が多いが、図ではこれを省略して、表面に近い部位のみこれを表現している。アルミナ焼成体は例えば80〜96%の酸化アルミニウム純度の構造体であり、原料粉体粒度や焼成方法により表面には数百nm〜数十μmの大きさのポアを無数に有する。従ってガス成分の吸着サイトとなる表面積が大きくなる。そこで、この表面にポアの大きさに応じて5μm程度の形成高さでエアロゾルデポジション法によりアルミナの構造物を形成させる。もちろんこれ以上の形成高さでもよい。これによりアルミナ焼成体31のポアを完全に封止でき、この表面を研磨することにより表面積を最も小さくすることができる。この表面にアルミナのセラミック膜をイオンプレーティング法により例えば数百nmの薄膜で形成する。このような複合構造物により、真空中での脱ガス速度が向上した真空機器用セラミック部材が得られる。
本発明に係る複合構造物の断面図 エアロゾルデポジション装置20の一例を示した図 本発明に係る複合構造物としての真空機器用セラミック部材の断面図
符号の説明
10…複合構造物、11…基材、12…構造物、13…セラミック膜。
20…エアロゾルデポジション装置、201…窒素ガスボンベ、202…ガス搬送管、203…エアロゾル発生器、204…エアロゾル搬送管、205…構造物形成室、206…ノズル、207…XYステージ、208…基材、209…真空ポンプ。
30…真空機器用セラミック部材、31…アルミナ焼成体、32…アルミナの脆性材料構造物、33…アルミナのセラミック膜。

Claims (4)

  1. 基材表面に脆性材料からなる構造物が形成され、この構造物の表面に絶縁性の膜が形成された複合構造物であって、前記構造物は脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを前記基材表面に噴射して衝突させて形成させた多結晶構造物であり、前記絶縁性の膜はPVD法、CVD法、ゾルゲル法のいずれかの手法で形成させたセラミック膜であることを特徴とする複合構造物。
  2. 請求項1に記載の複合構造物であって、前記構造物の一部は前記基材表面に食い込むアンカー部からなっていることを特徴とする複合構造物。
  3. 請求項1に記載の複合構造物であって、前記基材がセラミックスであることを特徴とする複合構造物。
  4. 脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材表面に向けて噴射し、基材表面に微粒子の構成材料である脆性材料の多結晶構造物を形成する工程の後に、PVD法、CVD法、ゾルゲル法のいずれかの手法によりこの構造物の表面に絶縁性の膜を形成する工程を経て請求項1乃至請求項3に記載の複合構造物を得ることを特徴とする複合構造物の製造方法。
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