JP2015018910A - 予備電離放電装置及びレーザ装置 - Google Patents

予備電離放電装置及びレーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性の高い予備電離放電装置を提供する。
【解決手段】予備電離を利用したレーザ装置のレーザチャンバに用いられる予備電離放電装置において、誘電体パイプと、前記誘電体パイプの内側に設置された予備電離内電極と、前記誘電体パイプの外側に設置された予備電離外電極と、を含み、前記予備電離外電極は、前記誘電体パイプと接触する接触プレート部と、前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える弾性部と、を備える。
【選択図】図5

Description

本開示は、予備電離放電装置及びレーザ装置に関する。
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置においては解像力の向上が要請されている。半導体露光装置を、以下、「露光装置」という。このため露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在、露光用のガスレーザ装置としては、波長248nmの紫外線を放出するKrFエキシマレーザ装置ならびに、波長193nmの紫外線を放出するArFエキシマレーザ装置が用いられている。
次世代の露光技術としては、露光装置側の露光用レンズとウェハ間を液体で満たして、屈折率を変えることによって、露光用光源の見かけの波長を短波長化する液浸露光が研究されている。ArFエキシマレーザ装置を露光用光源として液侵露光が行われた場合は、ウェハには水中における波長134nmに相当する紫外光が照射される。この技術をArF液浸露光又はArF液浸リソグラフィーという。
KrF、ArFエキシマレーザ装置の自然発振幅は、約350〜400pmと広いため、これらの投影レンズが使用されると色収差が発生して解像力が低下する。そこで色収差が無視できる程度となるまでガスレーザ装置から放出されるレーザビームのスペクトル線幅を狭帯域化する必要がある。スペクトル線幅を、以下、「スペクトル幅」という。このためガスレーザ装置のレーザ共振器内にはエタロンやグレーティング等の狭帯域化素子を有する狭帯域化モジュール(Line Narrow Module)が設けられ、スペクトル幅の狭帯域化が実現されている。このようにスペクトル幅が狭帯域化されるレーザ装置を狭帯域化レーザ装置という。
特開2001−7424号公報 特開平10−242553号公報 特許第3428632号公報 特許第2980985号公報 特許第3359838号公報 特許第4104935号公報 特許第4367886号公報
概要
予備電離放電装置は、予備電離を利用したレーザ装置のレーザチャンバに用いられる予備電離放電装置において、誘電体パイプと、前記誘電体パイプの内側に設置された予備電離内電極と、前記誘電体パイプの外側に設置された予備電離外電極と、を含み、前記予備電離外電極は、前記誘電体パイプと接触する接触プレート部と、前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える弾性部と、を備える。
また、レーザ装置は、レーザガスが入れられているレーザチャンバと、前記レーザチャンバ内に設置されている1対の放電電極と、予備電離放電装置と、を含み、予備電離放電装置は、誘電体パイプと、前記誘電体パイプの内側に設置された予備電離内電極と、前記誘電体パイプの外側に設置された予備電離外電極と、を含み、前記予備電離外電極は、前記誘電体パイプと接触する接触プレート部と、前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える弾性部と、前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える付加弾性部と、を備える。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、予備電離電極部の説明図を示す。 図2は、本開示の一態様における例示的なレーザ装置の概略構成図(1)を示す。 図3は、図2のレーザチャンバ10の断面図を示す。 図4は、予備電離電極部の斜視図を示す。 図5は、本開示の第1の実施の形態における予備電離電極部の説明図を示す。 図6は、本開示の第2の実施の形態における予備電離電極部の説明図を示す。 図7は、本開示の第2の実施の形態における他の予備電離電極部の説明図を示す。 図8は、本開示の第3の実施の形態における予備電離電極部の説明図を示す。 図9は、本開示の第4の実施の形態における予備電離電極部の説明図を示す。 図10は、本開示の第5の実施の形態における予備電離電極部の説明図を示す。 図11は、本開示の第6の実施の形態における予備電離電極部の説明図を示す。 図12は、本開示の第6の実施の形態の予備電離電極部に形成される保護膜の説明図(1)を示す。 図13は、本開示の第6の実施の形態の予備電離電極部に形成される保護膜の説明図(2)を示す。 図14は、本開示の一態様における例示的なレーザ装置に用いられる充放電回路の説明図を示す。
実施形態
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示の一例を示し、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。尚、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
目次
1.用語の説明
2.レーザ装置
2.1 課題
2.2 構成
2.3 動作
2.4 その他
3.予備電離放電部
3.1 第1の実施の形態
3.2 第2の実施の形態
3.3 第3の実施の形態
3.4 第4の実施の形態
3.5 第5の実施の形態
3.6 第6の実施の形態
4.充放電回路
1.用語の説明
本開示において使用される用語を、以下のように定義する。「光路」とは、レーザ光が通過する経路である。光路は、レーザ光の進行方向に沿ってレーザ光のビーム断面の略中心を通る軸であってもよい。
2.レーザ装置
2.1 課題
ところで、KrF、ArF等のエキシマレーザ装置においては、ガスを励起するための主放電を行う前に、コロナ放電等による予備電離が行われており、この予備電離は、予備電離放電部において行われる。尚、予備電離放電部は、円筒状の誘電体パイプの筒の内部に予備電離内電極が設けられており、誘電体パイプの外側において、誘電体パイプと予備電離外電極とが接触している構造のものである。予備電離放電部の詳細については後述する。また、本願においては、予備電離放電部を予備電離放電装置と記載する場合がある。
予備電離放電部における予備電離外電極は、コロナ放電等を繰り返し行うことにより消耗するが、消耗量が均一ではないため、誘電体パイプと予備電離外電極との間隔が広くなる部分が所々に生じてしまう。具体的には、予備電離外電極が消耗していない時点では、図1(a)に示されるように、誘電体パイプ42と予備電離外電極43における接触プレート部53とが、接触するように設置されている。しかしながら、予備電離放電部においてコロナ放電等を繰り返すことにより、図1(b)に示されるように、予備電離外電極43は不均一に削れ、誘電体パイプ42と予備電離外電極43との間で、所々広い隙間が生じてしまう。このように、誘電体パイプ42と予備電離外電極43との間で、所々広い隙間が生じてしまうと、後に行われる主放電が不安定となり、パルスレーザ光におけるエネルギ安定性等の特性の低下やビームプロファイル形状が所望の形状と異なる形状となる場合がある。この場合には、レーザチャンバを交換する必要があり、レーザチャンバの交換間隔が短いと、ランニングコストが増加するとともに、交換の際には装置を止める必要があるため、好ましくない。
このため、予備電離を繰り返し行っても、誘電体パイプと外電極との間に、広い隙間が生じることを抑制し、長期間予備電離を行うことのできる耐久性の高い予備電離放電部または予備電離放電装置が好ましい。
2.2 構成
図2及び図3は、本開示の一態様であるエキシマレーザ装置を示す。尚、本願においては、「エキシマレーザ装置」を単に「レーザ装置」と記載する場合がある。図2は、レーザ装置の概略構成図としての、パルスレーザ光の光路に平行な面における一部断面図を示す。図3は、パルスレーザ光の光路に垂直なA−A面におけるレーザ装置のレーザチャンバの断面図を示す。
本開示のレーザ装置は、制御部30、レーザチャンバ10、レーザ共振器、パルスエネルギ計測器17、充電器12、パルスパワーモジュール(PPM:Pulse Power Module)13、レーザガス供給部23、レーザガス排気部24を含んでいてもよい。
レーザチャンバ10は、1対の放電電極11a、11b、電気絶縁部20、予備電離放電部40、クロスフローファン21、熱交換器26、モータ22、レーザ共振器の光を透過する2つのウインド10a、10b、圧力センサ16を含んでいてもよい。尚、本願明細書においては、1対の放電電極11a、11bのうちの一方を第1の放電電極11aと記載し、他方を第2の放電電極11bと記載する場合がある。
レーザチャンバ10は、レーザ共振器の光路上に配置されてもよい。レーザ共振器は、出力結合ミラー(OC:Output Coupler)15、狭帯域化モジュール(LNM:Line Narrowing Module)14を含んでいてもよい。狭帯域化モジュール14は、ビームを拡大するプリズム14aとグレーティング14bを含んでいてもよい。グレーティング14bは、入射角度と回折角度が同じ角度となるリトロー配置にしてもよい。
出力結合ミラー15は、一部のパルスレーザ光を反射し、他のパルスレーザ光を透過する部分反射ミラーであってもよい。パルスエネルギ計測器17は、ビームスプリッタ17a、集光レンズ17b、光センサ17cを含んでいてもよい。ビームスプリッタ17aは、出力結合ミラー15を透過し出射されたパルスレーザ光の光路上に配置されていてもよい。集光レンズ17b及び光センサ17cは、ビームスプリッタ17aにおいて反射されたパルスレーザ光の光路上に配置されてもよい。
パルスパワーモジュール13は、不図示の充電コンデンサを含み、フィードスルー28等を介し、第1の放電電極11aに接続されていてもよい。また、第1の放電電極11aと第2の放電電極11bとの間で放電をさせるためのスイッチ13aを含んでいてもよい。充電器12は、パルスパワーモジュール13内における不図示の充電コンデンサと接続されていてもよい。
レーザチャンバ10内には、レーザガスが入れられていてもよい。レーザガスは、たとえば、レアガスとしてのArまたはKrと、ハロゲンガスとしてのFガスと、バッファガスとしてのNeまたはHeまたはそれらの混合ガスとを含んでもよい。レーザガス供給部23は、不図示のバルブと流量制御弁を含んでいてもよい。レーザガス供給部23は、不図示のレーザガスを含むガスボンベと接続されていてもよい。レーザガス排気部24は、不図示のバルブと排気ポンプを含んでいてもよい。
予備電離放電部40は、予備電離内電極41、誘電体パイプ42、予備電離外電極43を含んでいてもよい。
図4に示されるように、予備電離外電極43は、固定プレート部51、ラダー部52、接触プレート部53を含んでいてもよい。ラダー部52は、固定プレート部51と接触プレート部53とを接続するものであって、複数の細長い接続部52aが所定の間隔で形成されていてもよい。ラダー部52において、隣り合う接続部52aと接続部52aとの間は、開口部52bとなっていてもよい。予備電離外電極43は、主成分として銅を含む金属材料、例えば、無酸素銅、リン青銅、黄銅等により形成されていてもよい。誘電体パイプ42はAl等の誘電体により形成されていてもよい。
尚、接続部52aは弾性を有しており、接続部52aにおける弾性の復元力により、接触プレート部53が、誘電体パイプ42を押す方向に力が加わるように形成されていてもよい。本願においては、接続部52aを含むラダー部52を弾性部、または、第1の弾性部と記載する場合がある。
誘電体パイプ42は、第2の放電電極11bの近傍の位置に、固定パイプ44を介して配置してもよい。誘電体パイプ42は、筒状の形状で形成されており、筒状の形状の内側には、円柱形の棒構造の予備電離内電極41が入れられていてもよい。予備電離内電極41は、パルスパワーモジュール13の高圧側と、フィードスルー28及び固定パイプ44内に設けられている配線を介して接続されていてもよい。固定パイプ44及び固定パイプ44内の配線は、予備電離内電極41の両端部に各々接続されてもよい。
図4に示されるように、予備電離外電極43は、接触プレート部53の先端において、誘電体パイプ42が設けられている側に所定の力が加わるように設置されていてもよい。
図3に示されるように、第2の放電電極11b及び予備電離放電部40は、電極ホルダ25に設置されていてもよい。第2の放電電極11b及び予備電離放電部40は、電力を供給するための配線27が接続されていてもよい。電極ホルダ25には、第2の放電電極11b及び予備電離放電部40を固定するよう構成され、絶縁体等により形成されたガイド部45が設けられていてもよい。予備電離外電極43は、ボルト46によりガイド部45に固定されていてもよい。予備電離外電極43は、接地されていてもよい。
2.3 動作
制御部30は、露光装置100における露光装置コントローラ110より、目標のパルスエネルギEtと発振トリガとを受信してもよい。レーザ装置は、制御部30による制御により、目標のパルスエネルギEtとなるように、充電器12に所定の充電電圧Vhvを設定してもよい。そして、発振トリガに同期させてパルスパワーモジュール13内におけるスイッチ13aを動作させてもよい。スイッチ13aが動作することにより、予備電離放電部40における予備電離内電極41と予備電離外電極43との間と、及び1対の放電電極11a、11bの間とに、高電圧が印加され得る。
これにより、まず、予備電離放電部40においてコロナ放電が発生し、UV光が生成されてもよい。主放電をさせるための1対の放電電極11a、11bの間におけるレーザガスに、生成されたUV光が照射されると、放電電極11a、11bの間のレーザガスが予備電離され得る。この後、1対の放電電極11a、11bの間で放電が生じることにより、レーザガスは励起されうる。励起されたレーザガスから放出される光は、出力結合ミラー15と狭帯域化モジュール14とにより形成されるレーザ共振器内を往復することによってレーザ発振に至ってもよい。レーザ共振器内を往復するレーザ光は、プリズム14aとグレーティング14bによって、狭帯域化され、一部が出力結合ミラー15より出射されてもよい。
出力結合ミラー15より出射されたパルスレーザ光の一部は、パルスエネルギ計測器17に入射してもよい。パルスエネルギ計測器17に入射したパルスレーザ光は、ビームスプリッタ17aにより一部は反射され、集光レンズ17bを介して光センサ17cに入射してもよい。そして、光センサ17cが、入射したパルスレーザ光のパルスエネルギを計測してもよい。また、パルスエネルギ計測器17に入射したパルスレーザ光のうち、ビームスプリッタ17aを透過したパルスレーザ光は、露光装置100に入射してもよい。このように、パルスエネルギ計測器17は、出力結合ミラー15より出射されたパルスレーザ光のパルスエネルギEを計測してもよい。
制御部30は、パルスレーザ光を生成する際の充電電圧Vhvと出射されたパルスエネルギEを記憶してもよい。制御部30は、目標パルスエネルギEtと実際に出力されたエネルギEとの差ΔEに基づいて、目標パルスエネルギEtとなるように充電電圧Vhvを調整するフィードバック制御を行ってもよい。このように、制御部30が行う制御によって、充電電圧Vhvが変動してもよい。
制御部30は、充電電圧Vhvが許容範囲の最大値よりも高くなった場合には、レーザガス供給部23を制御して、所定の圧力となるまでレーザガスをレーザチャンバ10内に供給してもよい。また、制御部30は、充電電圧Vhvが許容範囲の最小値よりも低くなった場合には、レーザガス排気部24を制御して、所定の圧力となるまでレーザガスをレーザチャンバ10内から排気してもよい。
2.4 その他
レーザ装置は、必ずしも狭帯域化レーザ装置でなく、自然発振光を出力するレーザ装置であってもよい。例えば、狭帯域化モジュール14に代えて、高反射ミラーを配置してもよい。また、上記においては、エキシマレーザ装置の例を示したが、レーザガスとしてフッ素ガスとバッファガスを含むガスを用いたF分子レーザ装置であってもよい。
3.予備電離放電部
図1(b)に示されるように、予備電離放電部40において、予備電離外電極43における接触プレート部53が不均一に削れ、誘電体パイプ42と予備電離外電極43における接触プレート部53の間において、広い隙間が生じる理由について検討を行った。
誘電体パイプ42の外側表面には、約0.35mmのうねり等が生じている場合がある。このため、予備電離外電極43における接触プレート部53の剛性が高く、接触プレート部53を誘電体パイプ42表面に押し付ける力が弱い場合、接触プレート部53と誘電体パイプ42との間において、所々若干の隙間が生じうる。
このような隙間が生じてしまうと、コロナ放電させた際に生じる電子が、予備電離外電極43における接触プレート部53に衝突し、接触プレート部53を形成している材料が電子衝突等により損傷することがある。このため、コロナ放電を繰り返すことにより、接触プレート部53と誘電体パイプ42との間における隙間が徐々に広がり、例えば、1.5mmの隙間が生じてしまう。このように、接触プレート部53と誘電体パイプ42との間において広い隙間が生じてしまうと、前述したように、主放電において悪影響を与える。
このため、予備電離外電極43においては、適切な柔軟性と押し付け力とが求められている。予備電離外電極43において、柔軟性を高める方法としては、ラダー部52における開口部52bを広くし接続部52aの本数を減らす方法、または、接続部52aの幅を狭くする方法があるが、この場合、押し付け力が減ってしまう可能性がある。
また、押し付け力を高める方法としては、ラダー部52における開口部52bを狭くし接続部52aの本数を増やす方法、または、接続部52aの幅を広くする方法があるが、この場合、柔軟性は失われてしまう。
このように、予備電離外電極43において、柔軟性と押し付け力とは、トレードオフの関係にあるため、双方の要求を満たすことは容易ではなかった。
3.1 第1の実施の形態
第1の実施の形態について、図5に基づき説明する。尚、図5(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図5(b)は側面図を示す。本実施の形態は、予備電離外電極43に板バネ部60を設け、板バネ部60の付加的な弾性力によって接触プレート部53が誘電体パイプ42を押す力を強めた構造の予備電離放電部40を含むものである。板バネ部60は、黄銅等により形成されている板バネを複数積層することにより形成したものであってもよい板バネ部60は、下端部において、ボルト46により固定プレート部51とともにガイド部45に固定されていてもよい。本実施の形態においては、板バネ部60の弾性力により、予備電離外電極43における接触プレート部53は、所定の押し付け力以上の力で、誘電体パイプ42に押し付けられ得る。板バネ部60を形成する材料の材質は、黄銅が好ましいが、ステンレスにニッケルメッキしたものであってもよい。これにより、誘電体パイプ42の外側表面にうねりや凹凸があったとしても、接触プレート部53の長手方向のほぼ全域において、所定の押し付け力以上の力で押し付けることができるため、誘電体パイプ42と予備電離外電極43との間において隙間が生じることを抑制することができる。尚、本願においては、板バネ部60を付加弾性部と記載する場合がある。
3.2 第2の実施の形態
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図6に示されるように、板バネに代えて巻バネを設けた構造のものであってもよい。尚、図6(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図6(b)は側面図を示す。本実施の形態は、引っ張りバネとなる巻バネ61を設けた構造のものであり、巻バネ61の一方の端は、予備電離外電極43のラダー部52における接続部52aと接続されており、他方の端は、電極ホルダ25に設けられた突起部25aの端部と接続されている。このように設置された巻バネ61は、縮む方向に力が働くものであり、接触プレート部53が誘電体パイプ42を押す力を強めることができる。尚、巻バネ61は、ステンレスにニッケルメッキをしたものであってもよく、また、ラダー部52におけるすべての接続部52aに巻バネ61を設けてもよい。
また、本実施の形態は、図7に示されるように、圧縮バネとなる巻バネ62を用いたものであってもよい。尚、図7(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図7(b)は側面図を示す。本実施の形態は、圧縮バネとなる巻バネ62を設けた構造のものであり、巻バネ62の一方の端は、予備電離外電極43のラダー部52における接続部52aと接続されており、他方の端は、ガイド部45の一部と接続されている。このように設置された巻バネ62は、伸びる方向に力が働いており、接触プレート部53が誘電体パイプ42を押す力を強めることができる。尚、巻バネ62は、ステンレスにニッケルメッキをしたものであってもよく、また、ラダー部52におけるすべての接続部52aに巻バネ62を接続してもよい。
以上より、本実施の形態は、誘電体パイプ42の外側表面にうねりや凹凸があったとしても、所定の押し付け力以上の力で押すことができるため、誘電体パイプ42と予備電離外電極43との間において隙間が生じることを防ぐことができる。尚、本願においては、巻バネ61または巻バネ62を付加弾性部と記載する場合がある。
3.3 第3の実施の形態
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図8に示されるように、ラダー部52における開口部52bをひし形や三角形で形成し、接続部52aの長さを長くした構造のものであってもよい。言い換えるならば、接触プレート部53及び固定プレート部51の長手方向に対し、接続部52aの長手方向が傾斜し、各長手方向が垂直以外の角度なすように形成した構造のものであってもよい。尚、図8(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図8(b)は側面図を示す。本実施の形態は、全体の大きさを大きくすることなく、予備電離外電極43において、弾性変形範囲内でのストローク量Xを増やすことができる。即ち、ストローク量Xを増やすためには、一般的には、接続部52aの長さを長くすればよいが、この場合、予備電離外電極43の大きさが大きくなってしまう。従って、本実施の形態においては、接続部52aが斜めとなるように形成することにより、予備電離外電極43の大きさを大きくすることなく、ストローク量Xを増やすことができる。例えば、接触プレート部53及び固定プレート部51の長手方向と、接続部52aの長手方向とのなす角が30°の場合では、接続部52aの長さを約2倍にすることができ、この分ストローク量Xを増やすことができる。また、本実施の形態においては、部品点数が増えることもない。
本実施の形態は、誘電体パイプ42の外側表面にうねりや凹凸があったとしても、ストローク量Xを増やすことにより、うねり等の形状に対する対応性を高めることができ、誘電体パイプ42と予備電離外電極43との間において隙間が生じることを防ぐことができる。
3.4 第4の実施の形態
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図9に示されるように、押し付け力を高めるために、接触プレート部53に近い側から固定プレート部51に近い側に向かって、接続部52aにおける長手方向に直交する面の断面積が徐々に大きくなるように形成したものであってもよい。尚、図9(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図9(b)は側面図を示す。本実施の形態は、接触プレート部53に近い側から固定プレート部51に近い側に向かって、接続部52aの断面積が徐々に大きくなるように形成することにより、押し付け力を高めることができる。即ち、接続部52aの断面積を部分的に大きくすることにより、押し付け力を高めることができ、接続部52aの太さを部分的に従来並みとすることにより、柔軟性を確保することができる。本実施の形態においては、例えば、接続部52aの幅は、接触プレート部53に近い側が1.0mm、固定プレート部51に近い側が3.0mmとなるように形成してもよい。
3.5 第5の実施の形態
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図10に示されるように、柔軟性と押し付け力との双方を高めるために、第4の実施の形態の構造に加えて、接触プレート部53の厚さを、ラダー部52における接続部52a及び固定プレート部51よりも薄くした構造のものであってもよい。尚、図10(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図10(b)は側面図を示す。本実施の形態は、板状に形成される接触プレート部53の厚さを、ラダー部52における接続部52a及び固定プレート部51よりも薄くすることにより、柔軟性と押し付け力との双方を高めることができる。即ち、接触プレート部53の厚さを薄くすることにより、柔軟性を高めることができ、ラダー部52における接続部52aの断面積を部分的に大きくすることにより、押し付け力を高めることができる。本実施の形態においては、例えば、接触プレート部53の厚さa1は、約0.3mmで形成されており、ラダー部52における接続部52a及び固定プレート部51の厚さa2は、0.5mmで形成してもよい。
3.6 第6の実施の形態
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図11に示されるように、予備電離外電極43における接触プレート部53の先端に誘電体等により保護膜150を成膜してもよい。保護膜150は、接触プレート部53の先端において、少なくともコロナ放電する領域に成膜してもよい。図11(a)は本実施の形態における予備電離外電極43部分の斜視図を示し、図11(b)は側面図を示す。
レーザガスとしてフッ素ガスを含む放電励起ガスレーザ装置に用いられる予備電離外電極43においては、予備電離外電極43における接触プレート部53に成膜される誘電体膜としては、フッ化物が好ましい。
例えば、予備電離外電極43が、銅または銅を主成分とする材料により形成されている場合は、接触プレート部53の押付け力が、1.8kgf以上で、約1×10回コロナ放電させると、長手方向において均一にフッ化銅(CuF)の膜が形成される。このように、長手方向において均一にフッ化銅の膜が形成されると、コロナ放電させても接触プレート部53が殆ど削れなくなる。成膜される保護膜150の厚さは、0.005mm以上、1.5mm以下が好ましく、更には、0.1mm以上、1.0mm以下が好ましい。本実施の形態においては、予備電離外電極43における消耗量を減少させることができる。
保護膜150を形成する材料の例としては、フッ化銅(CuF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化ストロンチウム(SrF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化ニッケル(NiF)、フッ化コバルト(CoF)、フッ化鉄(FeF)等のフッ化物が挙げられる。これらのフッ化物のうち、蒸気圧の低いCaF、SrFがより好ましい。
保護膜150は、単一のフッ化物を均一で緻密に形成した膜でもよい。例えば、保護膜150は、厚さが約0.1mmのフッ化銅の膜により形成されてもよい。また、保護膜150を形成する材料としては、耐フッ素性を持つ酸化アルミニウム(Al)や窒化アルミニウム(AlN)等を用いてもよい。保護膜150の成膜方法としては、溶射、爆射、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、プラズマ蒸着等が挙げられる。
また、図12に示されるように、保護膜150は、酸化アルミニウム(Al)等の誘電体膜に、導電性を確保するために、電気伝導性の良い金属の微粒子を混ぜた混合材料により形成されているものであってもよい。この際用いられる金属は、予備電離外電極43を形成している金属と同じ金属であってもよく、予備電離外電極43を形成している金属とは異なる金属であってもよい。具体的には、用いられる金属は、銅、アルミニウム、コバルト、ニッケル、ストロンチウム、鉄等であってもよい。このような保護膜150は、予備電離外電極43における接触プレート部53に、例えば、Cuを主成分とする金属粒子と、例えば、Alを主成分とする誘電体とを溶射することにより形成することができる。この場合、例えば、保護膜150は、AlにCuの微粒子をドープした膜を約0.1mmの厚さとなるように形成してもよい。
また、レーザガスにフッ素が含まれる場合には、金属は、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等であってもよい。これらの金属材料は、フッ化することにより強いフッ化膜が形成されるからである。誘電体にドープされる金属の割合は、誘電体に対して0.01〜50%が好ましい。
また、保護膜150は、直径が0.1mm程度の空孔が不均一に分散して形成されているような膜であってもよい。空孔は、保護膜150を貫通していなくともよい。何故ならば、保護膜150において、空孔が存在して薄くなっている部分が順次、絶縁破壊されて、保護膜150において導電性を得ることができるからである。
また、図13に示されるように、保護膜150は、例えばAl等により形成される誘電体膜150aと、例えばCu等により形成される金属膜150bとを交互に積層形成することにより形成された多層膜であってもよい。
本実施の形態では、予備電離外電極43における消耗量を減少させ、予備電離における放電を長期間均一化させることができるため、主放電における放電も長期間均一化させることができる。結果として、放電電極11a、11bにおける消耗量を減らすことができる。
4.充放電回路
次に、図14に基づきパルスパワーモジュール13を含む充放電回路の構成について説明する。
パルスパワーモジュール13は、上述したスイッチ13aである半導体スイッチ、トランスTC、磁気スイッチMS、MS、MS、充電コンデンサC、コンデンサC、C、C、を含んでいてもよい。尚、磁気スイッチに印加される電圧の時間積分値が、しきい値に達すると、その磁気スイッチに電流が流れ易くなる。本願においては、磁気スイッチに電流が流れ易くなっている状態を、磁気スイッチが閉じていると記載する場合がある。しきい値は磁気スイッチ毎に異なる値である。
また、スイッチ13aは充電コンデンサCとトランスTCの1次側との間に設けられていてもよい。磁気スイッチMSはトランスTCの2次側とコンデンサCとの間に設けられていてもよい。磁気スイッチMSはコンデンサCとコンデンサCとの間に設けられていてもよい。磁気スイッチMSはコンデンサCとコンデンサCとの間に設けられていてもよい。
トランスTCは、1次側と2次側が電気的に絶縁されていてもよい。また、1次側と2次側の巻き線の方向が逆であってもよい。
レーザチャンバ10と電極11bとは電気的に接続されており、ともに接地されていてもよい。
1対の電極11a、11bと並列に接続される、コンデンサC11及びC12、インダクタンスLを含む分圧回路を設けてもよい。この分圧回路は、コンデンサC11及びC12、インダクタンスLが、直列に接続されているものであってもよい。
次に、充電器12及びパルスパワーモジュール13の動作について説明する。
充電器12は、制御部30による制御により、充電電圧Vhvが設定されてもよい。また、充電器12は、設定された充電電圧Vhvに基づき、充電コンデンサCを充電してもよい。
パルスパワーモジュール13においては、制御部30よりスイッチ13aにレーザ発振させるための信号が送信されると、スイッチ13aが閉じ、充電コンデンサCよりトランスTCの1次側に電流が流れてもよい。
トランスTCにおいては、トランスTCの1次側に電流が流れることにより、電磁誘導により、トランスTCの2次側において、逆の方向に電流が流れてもよい。
この後、トランスTCの2次側において電流が流れることにより生じた起電力により、磁気スイッチMSが閉じ、トランスTCの2次側からコンデンサCへ電流が流れ、コンデンサCが充電されてもよい。
この後、コンデンサCが充電されることにより、磁気スイッチMSが閉じ、コンデンサCからコンデンサCへ電流が流れて、コンデンサCが充電されてもよい。この際、コンデンサCを充電する際の電流のパルス幅よりも短いパルス幅で、コンデンサCが充電されてもよい。
この後、コンデンサCが充電されることにより、磁気スイッチMSが閉じ、コンデンサCからコンデンサCへ電流が流れて、コンデンサCが充電されてもよい。この際、コンデンサCを充電する際の電流のパルス幅よりも短いパルス幅で、コンデンサCが充電されてもよい。
このように、コンデンサCからコンデンサC、コンデンサCからコンデンサCへと電流が順次流れることにより、パルス幅が短くなり、コンデンサCに電荷が充電されてもよい。
この後、コンデンサCからレーザチャンバ10内に設けられた第1の電極11aと第2の電極11bとの間に電圧が印加され、第1の電極11aと第2の電極11bとの間におけるレーザガスにおいて放電が生じてもよい。この際、第1の電極11aには、負の電位(−HV)が印加されてもよい。
1対の電極11a、11bと並列に設けられたコンデンサC11及びC12、インダクタンスLからなる分圧回路により、1対の電極11a、11bの間に加わるパルス電圧を分圧してもよい。分圧される範囲は、1対の電極11a、11bの間に加わるパルス電圧の25%〜75%の範囲であってもよい。分圧された電圧は、予備電離放電部40における予備電離内電極41と予備電離外電極43に印加されてもよい。
分圧回路における分圧比、コンデンサC11、C12の容量、インダクタンスLの値を調整することにより、時定数を所望の値にして、主放電に対する予備電離放電のタイミングを調整してもよい。この分圧回路における合成容量は、コンデンサCの容量の10%以下であってもよい。
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
10 レーザチャンバ
10a ウインド
10b ウインド
11a 放電電極(第1の放電電極)
11b 放電電極(第2の放電電極)
12 充電器
13 パルスパワーモジュール
13a スイッチ
14 狭帯域化モジュール
14a プリズム
14b グレーティング
15 出力結合ミラー
16 圧力センサ
17 パルスエネルギ計測器
17a ビームスプリッタ
17b 集光レンズ
17c 光センサ
20 電気絶縁部
21 クロスフローファン
22 モータ
23 レーザガス供給部
24 レーザガス排気部
25 電極ホルダ
26 熱交換器
27 配線
28 フィードスルー
30 制御部
40 予備電離放電部(予備電離放電装置)
41 予備電離内電極
42 誘電体パイプ
43 予備電離外電極
44 固定パイプ
45 ガイド部
46 ボルト
51 固定プレート部
52 ラダー部(弾性部、第1の弾性部)
52a 接続部
52b 開口部
53 接触プレート部
60 板バネ部(付加弾性部)
61 巻バネ(付加弾性部)
62 巻バネ(付加弾性部)
100 露光装置
110 露光装置制御部
150 保護膜

Claims (10)

  1. 予備電離を利用したレーザ装置のレーザチャンバに用いられる予備電離放電装置において、
    誘電体パイプと、
    前記誘電体パイプの内側に設置された予備電離内電極と、
    前記誘電体パイプの外側に設置された予備電離外電極と、
    を含み、
    前記予備電離外電極は、前記誘電体パイプと接触する接触プレート部と、前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える弾性部と、を備える予備電離放電装置。
  2. 前記予備電離外電極には、前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える付加弾性部がさらに設けられている請求項1に記載の予備電離放電装置。
  3. 前記付加弾性部は、板バネまたは巻バネである請求項2に記載の予備電離放電装置。
  4. 前記弾性部には、前記接触プレート部と接続されている接続部が複数設けられており、
    前記接続部が弾性を有することにより前記弾性部となっている請求項1に記載の予備電離放電装置。
  5. 前記弾性部は板状であり、前記接触プレート部よりも厚く形成されている請求項4に記載の予備電離放電装置。
  6. 前記接触プレート部の長手方向に対し、前記接続部の長手方向が傾斜するように形成されている請求項4に記載の予備電離放電装置。
  7. 予備電離を利用したレーザ装置のレーザチャンバに用いられる予備電離放電装置において、
    誘電体パイプと、
    前記誘電体パイプの内側に設置された予備電離内電極と、
    前記誘電体パイプの外側に設置された予備電離外電極と、
    を含み、
    前記予備電離外電極は、前記誘電体パイプと接触する接触プレート部を備え、
    前記接触プレート部の表面には、誘電体を含む材料により保護膜が形成されている予備電離放電装置。
  8. 前記保護膜は、フッ化物を含む材料により形成されている請求項7に記載の予備電離放電装置。
  9. 前記保護膜は、誘電体膜と金属膜とを交互に積層することにより形成されている請求項7に記載の予備電離放電装置。
  10. レーザガスが入れられているレーザチャンバと、
    前記レーザチャンバ内に設置されている1対の放電電極と、
    予備電離放電装置と、を含み、
    予備電離放電装置は、
    誘電体パイプと、
    前記誘電体パイプの内側に設置された予備電離内電極と、
    前記誘電体パイプの外側に設置された予備電離外電極と、
    を含み、
    前記予備電離外電極は、
    前記誘電体パイプと接触する接触プレート部と、
    前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える弾性部と、
    前記接触プレート部において、前記誘電体パイプを押す方向に力を加える付加弾性部と、
    を備えるレーザ装置。
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