JP2015018664A - 色素増感型太陽電池の製造方法および多孔質層形成用塗工液 - Google Patents

色素増感型太陽電池の製造方法および多孔質層形成用塗工液 Download PDF

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Abstract

【課題】多孔質層の形成における焼成時間の短縮化が図れ、短時間での製造が可能な色素増感型太陽電池の製造方法、及び多孔質層形成用塗工液を提供する。【解決手段】電極としての機能を有し、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層2が一方の表面上に形成されている色素増感型太陽電池用基材1と、色素増感型太陽電池用基材に対向する対向電極基材4を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、水溶性ポリカルボン酸塩が、金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い多孔質層形成用塗工液Aを用い、色素増感型太陽電池用基材1上に塗布または印刷し、焼成することにより多孔質層2を形成する多孔質層形成工程を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質層の形成における焼成時間の短縮化が図れ、短時間での製造が可能な色素増感型太陽電池の製造方法、および多孔質層形成用塗工液に関する。
近年、二酸化炭素の増加が原因とされる地球温暖化等の環境問題が深刻となり、世界的にその対策が進められている。中でも環境に対する負荷が小さく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池に関する積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、および化合物半導体太陽電池などが既に実用化されているが、これらの太陽電池は製造コストが高い等の問題がある。そこで、環境負荷が小さく、かつ製造コストを削減できる太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され、研究開発が進められている。
一般的な色素増感型太陽電池としては、基板上に電極を有する2枚の電極基板が封止部材を介して対向し、対向領域内に色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層および電解質層が上記封止部材の内側に形成された構成を有するものである。上記色素増感型太陽電池は、一方の電極基板の基板側から太陽光を受光すると、多孔質層における金属酸化物半導体微粒子の表面に吸着した色素増感剤が励起され、励起された電子が電極基板上の電極へ伝導し、外部回路を通じて対向する他方の電極基板へ伝導される。その後、酸化還元対を介して色素増感剤の基底準位に電子が戻ることよって発電するものである。このとき、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する能力、すなわち、光電変換効率が高い程、色素増感型太陽電池として優れた電池特性を有することができる。
上述の構成から成る色素増感型太陽電池においては、上記電解質層として液状の電解質、中でもヨウ素またはヨウ化物イオン等のヨウ素類を含有する電解液が一般的に使用されている。また、近年では、固体の電解質に代えた色素増感型太陽電池の開発も進められている(特許文献1参照)。固体の電解質から成る電解質層(以下、固体電解質層と称する場合がある。)は流動性を有さないことから、封止部材を用いて封止する必要がないため、色素増感型太陽電池を低コストで製造することが可能となる。また、固体の電解質を用いるため液漏れ等も生じない。さらに、封止部材による封止を必要としないことから、対向する2枚の電極基板を貼り合わせる位置および色素増感型太陽電池の各部材の形成位置に高い精度が要求されないため、液状の電解質を用いた色素増感型太陽電池よりも容易に製造することが可能である。
特開2000−228234号公報
ところで、上述のような色素増感型太陽電池の製造方法において、多孔質層の形成方法としては、一般的に、酸化チタン等の金属酸化物半導体微粒子およびバインダ成分を含む塗工液を電極基板上に塗布し、形成された塗布膜に対して300℃〜700℃程度の温度で焼成処理を行い、焼成後に色素増感剤を担持させる方法が用いられる。上述の焼成処理では、まず、金属酸化物半導体微粒子同士がバインダ成分により点接着され、焼成温度に達するにつれて上記バインダ成分が熱分解される。このとき、当該微粒子同士の接触界面が溶融して上記界面部分の金属酸化物分子が互いに当該微粒子中へと熱拡散することで、当該微粒子間の結合、いわゆるネッキングを形成する。これにより、色素増感剤から注入された電子が上記ネッキングを介してスムーズに伝導され、電池特性を向上させることができる。
しかし、層内全体に密にネッキングを形成し、良好な膜質を有する多孔質層を形成するためには、長時間にわたる焼成時間が必要となる。焼成時間が短いと、上記塗布膜中に含まれるバインダ成分が急激に熱分解されることで多孔質層に割れやクラック等の欠陥が生じる場合や、バインダ成分が十分に熱分解されず多孔質層内に残留物として多く存在することにより、電荷移動の際の抵抗となる場合があるからである。また、焼成時間が短いと、酸化チタンによるネッキングが十分に形成されない場合もある。これらの不具合が生じると、結果として色素増感型太陽電池の電池特性が低下するという問題がある。そのため、短時間で色素増感型太陽電池の製造を行うためには、多孔質層の焼成時間の短縮化が課題とされる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、多孔質層の形成における焼成時間の短縮化が図れ、短時間での製造が可能な色素増感型太陽電池の製造方法、および多孔質層形成用塗工液を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、電極としての機能を有し、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層が一方の表面上に形成されている色素増感型太陽電池用基材と、上記色素増感型太陽電池用基材に対向するように配置され、電極としての機能を有する対向電極基材と、上記色素増感型太陽電池用基材および上記対向電極基材の間に形成され、上記多孔質層と接するように形成された電解質層とを有し、上記色素増感型太陽電池用基材または上記対向電極基材の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、上記金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、上記水溶性ポリカルボン酸塩が、上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い多孔質層形成用塗工液を用い、上記色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷し、焼成することにより上記多孔質層を形成する多孔質層形成工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を示す水溶性ポリカルボン酸塩を多く含む多孔質層形成用塗工液を用いることにより、短い焼成時間で割れやクラック等の欠陥の無い良好な膜質の多孔質層を形成することができる。これにより、色素増感型太陽電池の製造時間の短縮化を図ることができる。
上記発明においては、上記多孔質層形成用塗工液が、バインダ成分を含まないことが好ましい。水溶性ポリカルボン酸塩は金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を発揮するだけでなく、バインダとしても機能することから、多孔質層形成用塗工液に別途バインダ成分を含まないことにより、さらに焼成時間の短縮化が図れるからである。
上記発明においては、上記多孔質層形成用塗工液が、バインダ成分として水溶性樹脂またはゴム系樹脂を含むことが好ましい。これらの樹脂材料は、少量の添加量で金属酸化物半導体微粒子同士を点接着させることが可能であることから、多孔質層の割れやクラック等の欠陥の発生をさらに抑制することができるからである。
上記発明においては、上記多孔質層形成工程における焼成時間が、1分〜60分の範囲内であることが好ましい。従来の焼成処理による多孔質層の形成においては、多孔質層の割れやクラック等の欠陥の発生を防ぎ、ネッキングを形成するために長い焼成時間を必要とするところ、本発明においては、上述の多孔質層形成用塗工液を用いることにより、短い焼成時間でも上述の欠陥を生じることなく多孔質層内にネッキングを形成することができるからである。
また、本発明は、金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、上記水溶性ポリカルボン酸塩が、上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多いことを特徴とする多孔質層形成用塗工液を提供する。
本発明によれば、金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を示す水溶性ポリカルボン酸塩を多く含む多孔質層形成用塗工液を用いることにより、短い焼成時間で割れやクラック等の欠陥の無い良好な膜質の多孔質層を形成することができる。
上記発明においては、上記多孔質層形成用塗工液が、バインダ成分を含まないことが好ましい。水溶性ポリカルボン酸塩は金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を発揮するだけでなく、バインダとしても機能することから、多孔質層形成用塗工液に別途バインダ成分を含まないことにより、さらに焼成時間の短縮化が図れるからである。
上記発明においては、上記多孔質層形成用塗工液が、バインダ成分として水溶性樹脂またはゴム系樹脂を含むことが好ましい。これらの樹脂材料は、少量の添加量で金属酸化物半導体微粒子同士を点接着させることが可能であることから、多孔質層の割れやクラック等の欠陥の発生をさらに抑制することができるからである。
本発明によれば、上記多孔質層形成工程において水溶性ポリカルボン酸塩を多く含む多孔質層形成用塗工液を用いることで、短い焼成時間で良好な膜質の多孔質層の形成が可能となることから、短時間で色素増感型太陽電池の製造が可能であるという効果を奏する。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明により製造される色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法および多孔質層形成用塗工液について説明する。
A.色素増感型太陽電池の製造方法
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、電極としての機能を有し、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層が一方の表面上に形成されている色素増感型太陽電池用基材と、上記色素増感型太陽電池用基材に対向するように配置され、電極としての機能を有する対向電極基材と、上記色素増感型太陽電池用基材および上記対向電極基材の間に形成され、上記多孔質層と接するように形成された電解質層とを有し、上記色素増感型太陽電池用基材または上記対向電極基材の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、上記金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、上記水溶性ポリカルボン酸塩が、上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い多孔質層形成用塗工液を用い、上記色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷し、焼成することにより上記多孔質層を形成する多孔質層形成工程を有することを特徴とする。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。図1で示されるように、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、色素増感型太陽電池用基材1を準備し、多孔質層形成用塗工液Aを上記色素増感型太陽電池用基材1上に塗布し(図1(a))、塗布膜2´を乾燥後、所定の温度下で焼成Bをすることにより多孔質層2を形成する(図1(b)〜(c))。このとき用いられる多孔質層形成用塗工液Aは、金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含むものであり、上記水溶性ポリカルボン酸塩が上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有するものである。また、多孔質層形成用塗工液Aに含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩は含有量が最も多いことを特徴とする。
次に、多孔質層2上に電解質層3を形成する(図1(d))。続いて、別途、対向電極基材4を準備し、色素増感型太陽電池用基材1と対向電極基材4とを、多孔質層2および電解質層3を挟持するように対向させて貼り合わせることにより色素増感型太陽電池10を製造することが出来る。なお、図1(a)〜(c)が、本発明における多孔質層形成工程に相当する。
図2は、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の他の例を示す工程図である。なお、図2(a)〜(c)は、上述した図1(a)〜(c)において説明したものと同様であり、本発明における多孔質層形成工程に相当する。
多孔質層形成工程後、別途、対向電極基材4上に触媒層5を設け、多孔質層2および触媒層5が対向するように上記色素増感型太陽電池用基材1および対向電極基材4を配置して、封止部材6で封止する(図2(d))。次いで、電解質層形成材料Cを色素増感型太陽電池用基材1および対向電極基材4の間に注入して電解質層3を形成することにより、色素増感型太陽電池10を製造することが出来る(図2(e)〜(f))。
本発明によれば、金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を示す水溶性ポリカルボン酸塩を多く含む多孔質層形成用塗工液を用いることにより、焼成により多孔質層を形成する際に、数分〜数十分程度の短い焼成時間で割れやクラック等の欠陥の無い良好な膜質の多孔質層を形成することができる。これにより、色素増感型太陽電池の製造時間の短縮化を図ることができる。
なお、本発明における焼成時間とは、色素増感型太陽電池用基材上に形成された常温の多孔質層形成用塗工液の塗布膜を、焼成炉内に入れてから取出すまでの合計時間、すなわち焼成炉内での滞在時間をいう。具体的な焼成時間については、後述する「1.多孔質層形成工程」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。
また、本発明における多孔質層形成用塗工液について、「溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い」とは、上記多孔質層形成用塗工液中に含まれる材料のうち、溶媒を除く有機材料の中で水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多いことをいう。また、上記有機固形分とは、上記水溶性ポリカルボン酸塩の他に、後述するバインダ成分等の有機材料等が含まれる。
ここで、上述の組成を有する多孔質層形成用塗工液を用いることにより、短い焼成時間で良好な膜質を有する多孔質層の形成が可能になる要因について、以下に説明する。
通常、多孔質層を形成する場合、多くの金属酸化物半導体微粒子間でネッキングを形成させ、焼成後の多孔質層の強度を高めるために、多孔質層形成用塗工液にバインダ成分を多く含有させる必要がある。しかし、バインダ成分自体は分散性を有さないことから、塗布膜内においてバインダ成分が疎に存在する領域(疎領域)と密に存在する領域(密領域)とが混在すると想定される。このような塗布膜を短時間で焼成させると、上記塗布膜内のバインダ成分を均一に熱分解させることができないと推量される。
例えば、焼成炉内に入れてから取出すまでを数分程度の時間で行った際に、上記疎領域では全てのバインダ成分が熱分解されているのに対し、上記密領域ではバインダ成分の一部が熱分解されずに残留物として多孔質層内に存在してしまう。上記残留物は、色素増感型太陽電池において電荷移動の際に抵抗となり、電池特性の低下を招く恐れがある。また、昇温速度を速めて上記バインダ成分を急激に熱分解させると、上記塗布膜において温度差や収縮差が生じ、得られる多孔質層に割れやクラック等の欠陥が生じてしまう場合もある。このため、従来の多孔質層の形成方法においては、焼成炉内に入れてから取出すまでの時間として数時間から数十時間といった長時間が必要であり、1時間以内で行うことは難しかった。
これに対し、本発明において上記多孔質層形成用塗工液に多く含まれる水溶性ポリカルボン酸塩は、分散剤としての機能を有する。すなわち、水溶性ポリカルボン酸塩は、塗布膜内に均一に金属酸化物半導体微粒子を分散させることができ、自身も上記塗布膜内において均一に分散された状態で存在する。このような塗布膜を焼成すると、数分程度の短い焼成時間であっても、塗布膜全体にわたり水溶性ポリカルボン酸塩を均一かつ十分に熱分解させることができるため、焼成時間の短縮を図ることが可能になると推測される。
また、上記水溶性ポリカルボン酸塩がカルボキシル基を有するため、表面に水酸基を有する金属酸化物半導体微粒子に吸着しやすいことが予想される。つまり、上記水溶性ポリカルボン酸塩はバインダとしても機能するため、多量のバインダ成分を用いる必要がない。上述したように水溶性ポリカルボン酸塩および金属酸化物半導体微粒子は、上記塗布膜内において均一に分散して存在するため、上記塗布膜を焼成させることにより水溶性ポリカルボン酸塩がバインダとなって金属酸化物半導体微粒子同士を結合させ、多孔質層全体に渡って強固かつ密にネッキングを形成することができる。これにより、割れやクラック等の欠陥が発生しにくい良好な膜質の多孔質層が形成されるものと推測される。
さらに、通常多孔質層の形成に用いられるバインダ成分は、例えば分子量が数十万単位からなる高分子量のものが多いが、このようなバインダ成分が塗布膜内に多量に存在すると、熱分解させるために大きな熱エネルギーが必要となるため、高温で長時間焼成する必要がある。一方、水溶性ポリカルボン酸塩は一般的に従来のバインダ成分よりも低分子量であるため、熱分解に大きな熱エネルギーを必要としない。そのため、数分程度の短い焼成時間でも水溶性ポリカルボン酸塩を十分に熱分解させることが可能であると推測される。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、少なくとも多孔質層形成工程を有するものである。
以下、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について各工程を説明する。
1.多孔質層形成工程
本発明における多孔質層形成工程は、上記金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、上記水溶性ポリカルボン酸塩が、上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い多孔質層形成用塗工液を用い、上記色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷し、焼成することにより上記多孔質層を形成する工程である。
(1)多孔質層形成用塗工液
まず、本工程において用いられる多孔質層形成用塗工液について説明する。本工程において用いられる多孔質層形成用塗工液は、金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、上記水溶性ポリカルボン酸塩が、上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多いことを特徴とするものである。
以下、上記多孔質層形成用塗工液における各材料について説明する。
(a)水溶性ポリカルボン酸塩
水溶性ポリカルボン酸塩は、カルボキシル基を2つ以上有するものであり、また、金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有する。このような水溶性ポリカルボン酸塩としては、ポリカルボン酸アルカリ金属塩、ポリカルボン酸アルカリ土類金属塩、ポリカルボン酸アミン塩等のカルボキシル基の一部が金属塩化されたもの、ポリカルボン酸アンモニウム塩、およびこれらの塩のアニオン等が挙げられる。中でも、ポリカルボン酸ナトリウム塩アニオン、ポリカルボン酸アンモニウム塩アニオンが好ましい。
また、上記水溶性ポリカルボン酸塩は、多孔質層のバインダ成分として一般的に用いられる樹脂材料と比較して低分子量であることが好ましい。多孔質層のバインダ成分として一般的に使用される樹脂材料の好適とされる重量平均分子量(Mw)については、例えば、ポリビニルピロリドンでは120000以上、中でも630000程度が好適とされており、また、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類では数十万を超えるものが好適とされる。このような高分子量の材料を用いると、多孔質層形成用塗工液の塗布膜を短時間で焼成する際に、熱分解しにくく残留物として多孔質層内に存在し、上記残留物が電荷移動の際に抵抗となり色素増感型太陽電池の発電性能が低下すると考えられる。そのため、上記水溶性ポリカルボン酸塩を低分子量、例えば重量平均分子量(Mw)を5000〜50000の範囲内とすることが好ましい。なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定したポリスチレン換算値である。
上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量としては、多孔質層形成用塗工液中に含有される全有機固形分の中で最も多ければよく、具体的には、上記多孔質層形成用塗工液中の全有機固形分100質量%中の水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が、50質量%〜100質量%の範囲内であることが好ましく、中でも50質量%〜70質量%の範囲内が好ましい。
また、このとき、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量は、金属酸化物半導体微粒子を十分に分散させることができ、焼成処理により当該微粒子を十分に結合させることが可能な量であることが好ましい。具体的には、上記多孔質層形成用塗工液中の金属酸化物半導体微粒子の含有量を100質量部としたときの水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が、1質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましく、中でも5質量部〜10質量部の範囲内が好ましい。
(b)金属酸化物半導体微粒子
金属酸化物半導体微粒子としては、半導体特性を備える金属酸化物からなるものであれば特に限定されるものではない。上記金属酸化物半導体微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、TiO、ZnO、SnO、ITO、ZrO、MgO、Al、CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物半導体微粒子は、多孔性の多孔質層を形成するのに適しており、光電変換効率の向上、コストの削減を図ることができるため好適に用いられる。
上記金属酸化物半導体微粒子は、すべて同一の金属酸化物からなるものであってもよく、異なる金属酸化物からなるものが2種類以上用いられていてもよい。また、本発明に用いられる金属酸化物半導体微粒子は、一種をコア微粒子とし、他の金属酸化物半導体により、コア微粒子を包含してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。中でも本発明においてはTiOからなる金属酸化物半導体微粒子を用いることが最も好ましい。TiOは特に半導体特性に優れるからである。
上記金属酸化物半導体微粒子の平均粒径としては、通常、1nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が上記範囲よりも小さいと各々の金属酸化物半導体微粒子が凝集し二次粒子を形成してしまう場合があり、また平均粒径が上記範囲より大きいと多孔質層が厚膜化してしまうだけでなく、多孔質層の多孔度、すなわち比表面積が減少してしまう可能性があるからである。ここで、多孔質層の比表面積が小さくなると、例えば、光電変換するのに十分な色素増感剤を多孔質層に担持させることが困難になる場合がある。なお、上記金属酸化物半導体微粒子の平均粒径は一次粒径を意味するものとする。
上記金属酸化物半導体微粒子は、すべて同一の平均粒径のものを用いてもよく、平均粒径の異なる複数の金属酸化物半導体微粒子を2種類以上用いてもよい。平均粒径の異なる金属酸化物半導体微粒子を併用することにより、多孔質層における光散乱効果を高めることができ、本発明の色素増感型太陽電池をより発電効率に優れたものにできるという利点がある。
(c)その他の材料
上記多孔質層形成用塗工液は、上述の金属酸化物半導体微粒子および水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含むものであるが、その他の材料としてバインダ成分を含んでいても良く、含まなくても良い。上記多孔質層形成用塗工液はバインダ成分を含まなくても、上述したように、水溶性ポリカルボン酸塩がバインダとしての機能を有するため、焼成の際にバインダ成分の熱分解を考慮する必要が無く、さらに焼成時間を短くすることができる。一方、上記多孔質層形成用塗工液がバインダ成分を含む場合、焼成および乾燥後における多孔質層の割れやクラック等の欠陥の発生をさらに抑制することができるため、多孔質層の強度の向上が図れる。
上記バインダ成分としては、焼成により熱分解されるものであれば特に限定されるものではなく、通常の多孔質層の形成に用いられるバインダ成分を用いることができるが、上記バインダ成分が焼成温度以下の分解温度を有するものであることが好ましい。焼成温度以下の分解温度を有することにより、焼成時に分解しきれないバインダ成分が殆どないものとすることができるからである。この様なバインダ成分としては、中でも水溶性樹脂またはゴム系樹脂が好ましい。これらの樹脂は、少量の添加量で金属酸化物半導体微粒子同士を焼成により点接着させることが可能であることから、焼成による多孔質層の割れやクラック等の欠陥の発生をさらに抑制することができるからである。
水溶性樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、スチレンアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、ポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、カルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等を挙げることができる。上述の水溶性樹脂は単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、ゴム系樹脂としては、例えば、ブチル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)及びその変性体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム及びその変性体、アクリル系ゴム、ニトリル系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。上述のゴム系樹脂は単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、上記多孔質層形成用塗工液は上述の材料の他に、例えば、水溶性ポリカルボン酸塩以外の分散剤等を含むものであっても良い。このような分散剤としては、通常、多孔質の形成に用いられる材料が挙げられる。
(d)多孔質層形成用塗工液
上記多孔質層形成用塗工液に用いられる溶媒は、上述した各材料を分散させることができ、自然乾燥または熱処理により除去することが可能であれば特に限定されるものではない。このような溶媒としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、tert−ブチルアルコール等を用いることができ、2種類以上の溶剤を混合して用いても良い。中でも、成膜後の揮発分の環境への影響等の点から水やアルコール系溶剤を用いることが望ましい。
(2)多孔質層の形成方法
本工程における多孔質層の形成方法は、少なくとも、上述した多孔質層形成用塗工液を用いて色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷し、焼成することにより多孔質層を形成するものであればよい。
本工程において、多孔質層形成用塗工液を用い、色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷し、焼成することを「焼成処理」として、以下に説明する。
(i)焼成処理
本工程の焼成処理において、多孔質層形成用塗工液の塗布方法、および印刷方法については、色素増感型太陽電池用基材上に所望の膜厚および形状で均一な塗布膜を形成出来る方法であればよく、多孔質層を形成する際に一般的に用いられる塗布方法および印刷方法を用いることができる。
また、多孔質層形成用塗工液を色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷後、焼成前に上記塗布膜を乾燥させることが好ましい。なお、乾燥時間および乾燥温度については、多孔質層形成用塗工液の種類に応じて適宜設定することができる。
本工程においては、焼成時間が短いことを特徴する。上述したように、金属酸化物半導体微粒子およびポリカルボン酸塩が上記塗布膜内に均一に分散されるため、焼成時間を短くしても、上記塗布膜全体において水溶性ポリカルボン酸塩が均一に熱分解されるとともに、金属酸化物半導体微粒子間でネッキングを強固かつ密に形成することができる。そのため、従来の焼成時間から大幅に時間短縮を図ることが可能である。具体的には、焼成温度が300℃〜700℃の範囲内、好ましくは400℃〜550℃の範囲内であるときに、焼成時間が1分〜60分の範囲内が好ましく、中でも5分〜10分の範囲内であることが好ましい。
本工程においては、多孔質層形成用塗工液の塗布膜が焼成温度に達するまでの昇温速度を速くすることが可能である。通常、欠陥を有さない均質な多孔質層を得るために、上記塗布膜を常温から徐々に焼成温度まで昇温させる必要がある。しかし、本発明で用いられる水溶性ポリカルボン酸塩が良好な分散性を有することから、上記塗布膜内において、金属酸化物半導体微粒子およびポリカルボン酸塩が均一に分散して存在することとなる。このため、予め内部温度を焼成温度に設定した焼成炉内に直接上記塗布膜を入れて急激に昇温させても、上記塗布膜全体において水溶性ポリカルボン酸塩が均一に熱分解されるとともに、金属酸化物半導体微粒子間でネッキングが強固かつ密に形成されるため、上記欠陥が生じにくくなると推量される。
昇温速度については、焼成時間が上述の範囲内となるように、使用する焼成炉の機能や外部環境等に応じて適宜設定されるものである。例えば、焼成温度が300℃〜700℃の範囲内であるとき、焼成炉内に投入直後の塗布膜の温度から上記焼成温度に達するまでの昇温速度が50℃/分〜100℃/分の範囲内であることが好ましい。
なお、本工程において用いられる焼成炉は、色素増感型太陽電池における一般な多孔質層の形成の際に用いられるものと同様とすることができる。
(ii)その他の処理
本工程においては、上述した焼成処理後に、金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させる担持処理を行うことが好ましい。
焼成処理後の金属酸化物半導体微粒子に色素増感剤を担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、色素増感剤を含む溶液(以下、色素担持用塗工液とする。)を焼成後の多孔質層に塗布し浸透させた後、乾燥する塗布方法、色素担持用塗工液に焼成後の多孔質層を浸漬して浸透させた後、乾燥する浸漬方法(ディップコート)等がある。
また、色素担持用塗工液を焼成後の多孔質層に塗布する方法としては、グラビアロール等のロール周面に付着保持された色素担持用塗工液を転写するロールコート方法、焼成処理後の金属酸化物半導体微粒子に向けてノズルから色素担持用塗工液を吐出して塗布するダイコート方法、または、金属細線を巻き付けた棒からなるワイヤーバーを利用したワイヤーバー方法等が挙げられる。
上記色素増感剤としては、光を吸収して起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定されない。このような色素増感剤としては、有機色素または金属錯体色素を挙げることができる。上記有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系、インドリン系、カルバゾール系の色素が挙げられる。本発明においてはこれらの有機色素の中でも、クマリン系色素を用いることが好ましい。また、上記金属錯体色素としてはルテニウム系色素を用いることが好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素を用いることが好ましい。このようなルテニウム錯体は吸収する光の波長範囲が広いため、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができるからである。
上記色素担持用塗工液の溶媒としては、上記色素増感剤を分散または溶解できれば特に限定されない。例えば、メタノール,エタノール等のアルコール類、アセトン,ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル,ベンゾニトリル等のニトリル化合物類、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種類以上を混合して用いることができる。
上記色素担持用塗工液中の色素増感剤の濃度は、使用する色素増感剤および溶媒の種類により適宜調整することができるが、金属酸化物半導体微粒子への吸着機能を向上させるために高濃度であることが好ましい。
(3)多孔質層
本工程において形成される多孔質層は、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含むものである。
上記金属酸化物半導体および色素増感剤については、上述した「(1)多孔質層形成用塗工液」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記多孔質層には、色素増感剤および金属酸化物半導体微粒子の他に、任意の成分が含まれていてもよい。例えば、上述の多孔質層形成用塗工液にバインダ成分が含有される場合、焼成により熱分解しきれず残留した残留バインダ成分が、色素増感型太陽電池の電池特性を低下させない程度に含まれていても良い。また、上述した水溶性ポリカルボン酸塩については、通常、焼成により熱分解されることにより、焼成後の多孔質層内には残留しないことが好ましい。
本工程において形成される多孔質層の厚みは、目的とする色素増感型太陽電池の用途に応じて、適宜決定できるものであり特に限定されるものではい。中でも、上記多孔質層の厚みとしては、通常、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。多孔質層の厚みが上記範囲よりも厚いと、多孔質層自体の凝集破壊が起りやすく、膜抵抗となる場合があるからである。また、多孔質層の厚みが上記範囲よりも薄いと、均一な膜厚の多孔質層を形成するのが困難になる可能性や、色素増感剤が担持される量が少なくなり太陽光を十分に吸収できないために性能不良になる可能性があるからである。
2.色素増感型太陽電池の製造方法
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、少なくとも上述の多孔質層形成工程を有するものであれば特に限定されず、必要な工程を適宜選択し行うことができる。
以下、本発明において想定される工程について説明する。
(1)色素増感型太陽電池用基材準備工程
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、色素増感型太陽電池用基材準備工程を有していてもよい。
(a)色素増感型太陽電池用基材
本工程において形成される色素増感型太陽電池用基材は、電極としての機能を備えるものである。また、上記色素増感型太陽電池用基材の一方の表面上には上述の多孔質層が形成されるものである。
上記色素増感型太陽電池用基材は、フレキシブル性を有していてもよく、フレキシブル性を有していなくてもよいが、中でもフレキシブル性を有するものであることが好ましい。目的とする色素増感型太陽電池を加工性に優れたものとすることができるからである。なお、「フレキシブル性」とは、JIS R1601のファインセラミックスの曲げ試験方法で、5KNの力をかけたときに曲がることを指す。
このような色素増感型太陽電池用基材としては、基材と上記基材上に形成された第1電極層とを有する態様(以下、第1の態様とする。)、および、金属箔からなる態様(以下、第2の態様とする。)の2つの態様が考えられる。以下、それぞれについて説明する。なお、第1の態様においては、第1電極層上に上述した多孔質層が形成されるものとする。
(i)第1の態様
本態様の色素増感型太陽電池用基材は、基材と上記基材上に形成された第1電極層とを有するものである。
(基材)
本態様における基材としては、後述する第1電極層および上述の多孔質層を支持することが可能な程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、無機基材、樹脂製基材等を用いることができるが、中でも樹脂製基材であることが好ましい。樹脂製基材は軽量かつ加工性に優れ、色素増感型太陽電池の製造コストの低減が図れるからである。
上記無機基材としては、例えば、合成石英基材やガラス基板等を挙げることができる。
また、上記樹脂製基材としては、例えば、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂からなる基材等を挙げることができる、なかでも本発明においては二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂からなる基材が用いられることが好ましい。
また、上記基材は透明性を有していてもよく、透明性を有さなくてもよいが、透明性を有することが好ましい。光透過性を有する第1電極層との併用により透明性を有する色素増感型太陽電池用基材となるからである。
また、上記基材の厚みは適宜選択することができるものであるが、通常、5μm〜2000μmの範囲内であることが好ましく、中でも10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、特に25μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。
また、上記基材はガスバリア性に優れたものであることが好ましい。上記基材がガスバリア性を有することにより、色素増感型太陽電池の経時安定性を高いものとすることができるからである。上記基材のガスバリア性については、例えば、特開2012−54238号公報に記載の色素増感型太陽電池用基材における基材の酸素透過率および水蒸気透過率と同等であることが好ましい。
なお、ガスバリア性を達成するために、上記基材上に任意のガスバリア層を有していてもよい。
(第1電極層)
本態様に用いられる第1電極層の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、導電性高分子材料や金属酸化物等を用いることができる。
上記金属酸化物としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、中でも太陽光に対して透過性を有するものであることが好ましい。具体的には、SnO、ZnO、酸化インジウムにスズを添加した化合物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を添加した化合物(IZO)等を挙げることができる。中でもフッ素ドープしたSnO(以下、FTOと称する。)、ITOを用いることが好ましい。FTOおよびITOは、導電性および光透過性の両方に優れているからである。
一方、上記導電性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリエチレンスルフォン酸(PSS)、ポリアニリン(PA)、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等を挙げることができる。これらの材料は単独で用いても良く、2種以上混合して用いることもできる。
上記第1電極層は、単一の層からなる構成であってもよく、また、複数の層が積層された構成であってもよい。複数の層が積層された構成としては、例えば、仕事関数が互いに異なる材料からなる層が積層された態様や、互いに異なる金属酸化物からなる層が積層された態様を挙げることができる。
上記第1電極層の厚みは、所望の導電性を実現できる範囲内であれば特に限定されない。中でも、上記第1電極層の厚みとしては、通常5nm〜2000nmの範囲内が好ましく、特に10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。第1電極層の厚みが上記範囲よりも大きいと、均質な第1電極層を形成することが困難となる場合や、全光線透過率が低下して良好な光電変換効率を得ることが難しくなる場合がある。一方、第1電極層の厚みが上記範囲よりも小さいと、第1電極層の導電性が不足する可能性があるからである。
なお、上記厚みは、第1電極層が複数の層から構成される場合には、すべての層の厚み
を合計した総厚みを指すものとする。
上記第1電極層が透過性を有する場合、全光線透過率は85%以上であることが好ましく、中でも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。第1電極層の全光線透過率が上記範囲であることにより、第1電極層にて光を十分に透過することができ、多孔質層にて光を効率よく吸収することができるからである。
なお、上記全光線透過率は、可視光領域において、スガ試験機株式会社製 SMカラーコンピュータ(型番:SM−C)を用いて測定した値である。
また、上記第1電極層はシート抵抗が小さいことが好ましい。シート抵抗が大きい場合、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない可能性があるからである。具体的なシート抵抗値については、例えば、特開2012−54238号公報に記載の色素増感型太陽電池用基材における第1電極層のシート抵抗と同等であることが好ましい。
(任意の構成)
本態様の色素増感型太陽電池用基材は、必要に応じて他の任意の構成を有してもよい。任意の構成としては、例えば、上記第1電極層に接するように形成され、導電性材料からなる補助電極を挙げることができる。上記補助電極が形成されていることにより、上記第1電極層の導電性が不足する場合に補充することができるため、色素増感型太陽電池をより発電効率に優れたものにできるという利点がある。
(ii)第2の態様
本態様の色素増感型太陽電池用基材は、金属箔からなるものである。本態様に用いられる色素増感型太陽電池用基材は、金属箔それ自体が電極としての機能を有するため、他の構成を有することは必須としない。
本態様に用いられる金属箔の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、白金、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、亜鉛、各種ステンレスおよびそれらの合金等が挙げられ、好ましくはチタン、クロム、タングステン、各種ステンレスおよびそれらの合金等が挙げられる。
また、上記金属箔の厚みとしては、色素増感型太陽電池用基材として上述した多孔質層を形成することが可能な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、通常、5μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜500μmの範囲内であることがより好ましく、20μm〜200μmの範囲内であることがさらに好ましい。
(b)色素増感型太陽電池用基材準備工程
本工程において形成される色素増感型太陽電池用基材が上述した第1の態様のものである場合は、基材上に第1電極層を形成することができる方法であれば特に限定されない。
上記形成方法としては、例えば、基材上に金属マスクを用いて第1電極層をスパッタ法等の蒸着法により形成する方法、上記第1電極層の材料の金属ペーストを用いて基材上に印刷する方法等を挙げることができる。
また、本工程において形成される色素増感型太陽電池用基材が上述した第2の態様のものである場合は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法等の蒸着法により成膜する方法等を挙げることができる。
(2)電解質層形成工程
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、上記色素増感型太陽電池用基材および上記対向電極基材の間に、上記多孔質層と接するように電解質層を形成する電解質層形成工程を有していても良い。
(a)電解質層
まず、本工程において形成される電解質層について説明する。本工程において形成される電解質層は、通常、酸化還元対を含むものである。
上記電解質層における酸化還元対としては、一般的に電解質層において用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。例えば、ヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せを挙げることができる。また、臭素および臭化物の組み合わせとしては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
上記電解質層に占める酸化還元対の割合としては、電解質層を形成できる量であればよく、具体的には、電解質層の全体量(100重量%)に対し、1質量%〜50重量%の範囲内、中でも、5重量%〜35重量%の範囲内であることが好ましい。酸化還元対の含有量を上記範囲内とすることにより、多孔質層へ電荷を輸送する機能を十分に得ることができるからである。
本工程において形成される電解質層は、ゲル状、固体状または液状のいずれの形態からなる電解質層であってもよいが、中でも固体状、すなわち固体電解質層であることが好ましい。固体電解質層であることが好ましい理由については、既述の通りである。
(i)ゲル状の電解質層
本工程において形成される電解質層がゲル状である場合には、物理ゲルと化学ゲルのいずれであってもよい。ここで、物理ゲルは物理的な相互作用により室温付近でゲル化しているものであり、化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものである。
(ii)液状の電解質層
本工程において形成される電解質層が液状である場合には、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、炭酸プロピレン等の溶媒に酸化還元対を含むものや、同じくイミダゾリウム塩をカチオンとするイオン性液体を溶媒とすることができる。
(iii)固体状の電解質層(固体電解質層)
本工程において形成される電解質層が固体状、すなわち固体電解質層である場合は、上述した酸化還元対を高分子成分により固体化したもの、一般的な色素増感型太陽電池に用いられる電解質溶液中に酸化チタン粒子、シリカ粒子等を添加することによって流動性を低下させたもの等が挙げられるが、中でも酸化還元対を高分子成分により固体化したものが好ましい。固体電解質層を容易に形成することができ、経時劣化が少ないからである。また、上記固体電解質層の場合、酸化還元対を含まずに自身が正孔輸送剤として機能するものであってもよく、例えばCuI、ポリピロール、ポリチオフェンなどを含む正孔輸送剤であってもよい。
上記固体電解質層に用いられる高分子成分としては、例えば、特開2012−54238号公報に記載される固体電解質層における高分子成分等を用いることができる。
また、上記固体電解質層における高分子成分の含有量としては特に限定はされないが、例えば、固体電解質層中に5重量%〜60重量%の範囲内で含有させることが好ましい。高分子成分の含有量が小さ過ぎると、多孔質層との密着性が十分に得られない場合や、固体電解質層の機械的強度の低下に繋がる場合がある。一方、高分子成分の含有量が大き過ぎると、絶縁性である高分子成分が多量に存在することから、電荷の移動が阻害されて光電変換効率が低下する場合がある。
上記固体電解質層は、上述した材料の他に、イオン性液体を含んでいても良い。イオン性液体は、イオンの伝導性を改善して光電変換効率を向上させるものである。イオン性液体は蒸気圧が極めて低く、室温では実質的に殆ど蒸発せずに一般的な有機溶媒のように揮発や引火の心配がないことから、固体電解質層の物性低下を防止することができる。
上記イオン性液体としては、例えば、特開2012−54238号公報に記載されるイオン性液体等を用いることができる。また、固体電解質層に含まれるイオン性液体の割合については、イオン性液体の種類等に応じて適宜設定することができる。
(iv)電解質層
本工程において形成される電解質層は、その他の材料として、架橋剤、光重合開始剤、増粘剤、常温融解塩等の添加剤を含有していてもよい。
上記電解質層の膜厚としては、一般的な電解質層における膜厚であれば特に限定されないが、例えば0.5μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも2μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。電解質層の膜厚が上記範囲よりも薄いと、上述した多孔質層と対向電極基材とが接触しやすくなるため短絡の原因となる可能性がある。一方、電解質層の膜厚が上記範囲よりも厚いと、色素増感型太陽電池の内部抵抗が大きくなり性能が低下する場合がある。
(b)電解質層形成工程
本工程において電解質層を形成する方法としては、所望の膜厚で電解質層を上記多孔質層に接するように形成することができるのであれば特に限定はされない。例えば、図2で例示したように、色素増感型太陽電池用基材および対向電極基材を封止部材等で封止した後、上述した電解質層の材料、または電解質の材料を適切な溶媒に分散または溶解させた溶液を注入することにより形成する方法等を用いることができる。
また、本工程において固体電解質層を形成する場合、上述した方法の他に、固体電解質層の材料を適切な溶媒に分散または溶解させた固体電解質層形成用塗工液を用いて、以下の方法で固体電解質層を形成することができる。
固体電解質層の形成方法として、具体的には、当該固体電解質層形成用塗工液を多孔質層上にパターン状に塗布した後、活性光線を照射することにより硬化させ形成する方法、対向電極基材上に固体電解質層を設け、これを多孔質層が設けられた色素増感型太陽電池用基材と、固体電解質層および多孔質層が接するように配置して貼り合わせる方法等がある。
また、対向電極基材上に第1固体電解質層を設け、色素増感型太陽電池用基材の多孔質層上に上記第1固体電解質層と同様の固体電解質層形成用塗工液からなる第2固体電解質層を設け、上記第1固体電解質層および上記第2固体電解質層多孔質層が接するように配置して貼り合わせることにより、1層の固体電解質層を形成することができる。
さらに、当該固体電解質層形成用塗工液を用いて、固体電解質層を別個に固体高分子フィルムとして形成し、上記多孔質層上に配置することによって形成することにより、固体電解質層を形成することができる。
なお、上記固体電解質層形成用塗工液に用いられる溶媒、および塗布方法については、固体電解質層を有する色素増感型太陽電池の一般的な製造方法において、固体電解質層の形成の際に使用される溶媒および塗布方法と同様とすることができる。
(3)対向電極基材形成工程
また、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、電極としての機能を有する対向電極基材を形成する対向電極基材形成工程を有していても良い。
(a)対向電極基材
まず、本工程において得られる対向電極基材について説明する。本工程において準備される対向電極基材は、電極としての機能を有するものである。また、上記対向電極基材は、上述した色素増感型太陽電池用基材と同等のフレキシブル性を有することが好ましい。
上記対向電極基材は透明性を有するものであってもよく有さないものであってもよいが、上述した色素増感型太陽電池用基材の透明性の有無に応じて適宜選択する必要がある。すなわち、色素増感型太陽電池用基材が透明性を有する場合は、対向電極基材の透明性は問わない。一方、上色素増感型太陽電池用基材が透明性を有さない場合は、対向電極基材は透明性を有するものが用いられる。
上記対向電極基材の態様としては、金属箔からなる態様(第3の態様)、対向基材上に第2電極層が形成された構成を有する態様(第4の態様)等を挙げることができる。上記対向電極基材が第4の態様である場合は、第2電極層上に電解質層が位置することとなる。
上記対向電極基材が第3の態様である場合、金属箔としては上述した「(1)色素増感型太陽電池用基材準備工程 (ii)第2の態様」で記載した金属箔を用いることができる。
上記対向電極基材が第4の態様である場合、対向基材および第2電極層の材料としては、上述した「(1)色素増感型太陽電池用基材準備工程」の項で説明した基材および第1電極層の材料を用いることができる。なお、上記対向電極基材が透明性を有する場合、対向基材および第2電極層の材料は透明性を有するものとする。
上記第2電極層は、単一の層からなる構成であってもよく、複数の層が積層された構成であってもよい。なお、上記第2電極層の厚みは、上述した「(1)色素増感型太陽電池用基材準備工程」の項で説明した第1電極層の厚みと同様である。
(b)対向電極基材形成工程
本工程における対向電極基材の形成方法としては、上記対向電極基材の態様に応じて適宜選択することができるが、例えば、上述した「(1)色素増感型太陽電池用基材準備工程」の項で説明した方法を用いて形成することができる。
(4)触媒層形成工程
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、対向電極基材上に触媒層を形成する触媒層形成工程等を有していても良い。上記触媒層は、色素増感型太陽電池の発電効率の向上に寄与する働きを有するものである。
上記触媒層の例としては、例えば、特開2012−54238号公報に記載される触媒層とすることができる。なお、対向電極基材が第4の態様である場合、上記触媒層は第2電極層上に形成されることになる。
なお、上記触媒層の膜厚としては、5nm〜500nmの範囲内、中でも10nm〜300nmの範囲内、特に15nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
(5)貼り合わせ工程
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、色素増感型太陽電池用基材と対向電極基材とを、多孔質層および電解質層を挟持するように対向させて貼り合わせる貼り合わせ工程を有していても良い。
本工程における貼り合わせ方法としては色素増感型太陽電池用基材と、上記対向電極基材とを上記多孔質層および電解質層を挟持するように対向させて貼り合わせることができるのであれば特に限定されるものではなく、一般的な色素増感型太陽電池の製造方法に用いられる方法と同様とすることができる。
(6)その他の工程
本発明におけるその他の工程として、例えば、色素増感型太陽電池を所望の大きさに断裁する断栽工程等が挙げられる。
3.色素増感型太陽電池
次に、本発明によって製造される色素増感型太陽電池について説明する。本発明により製造される色素増感型太陽電池は、電極としての機能を有し、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層が一方の表面上に形成されている色素増感型太陽電池用基材と、上記色素増感型太陽電池用基材に対向するように配置され、電極としての機能を有する対向電極基材と、上記色素増感型太陽電池用基材および上記対向電極基材の間に形成され、上記多孔質層と接するように形成された電解質層とを有するものである。
本発明によって製造される色素増感型太陽電池について図面を参照しながら説明する。図3は本発明により製造される色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。図3に例示するように、色素増感型太陽電池10は、色素増感型太陽電池用基材1、上記色素増感型太陽電池用基材1上に形成され、色素増感剤を担持した金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層2、上記多孔質層2上に形成され酸化還元対を含有する電解質層3、および、対向電極基材4が積層されたものである。なお、図3における色素増感型太陽電池10は、上記対向電極基材4と電解質層3との間に触媒層5を有する態様を例示したものである。
また、本発明によって製造される色素増感型太陽電池の他の例として、図2(f)で例示されるように、封止部材を有する態様であっても良い。
本発明により製造される色素増感型太陽電池は、従来よりも短い焼成時間であっても、割れやクラック等の欠陥を有さない良好な膜質の多孔質層を備えることから、従来と同等以上の発電特性および耐久性を有することができる。
B.多孔質層形成用塗工液
次に、本発明の多孔質層形成用塗工液について説明する。本発明の多孔質層形成用塗工液は、金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、上記水溶性ポリカルボン酸塩が、上記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多いことを特徴とする。
本発明によれば、金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を示す水溶性ポリカルボン酸塩を多く含む多孔質層形成用塗工液を用いることにより、焼成により多孔質層を形成する際に、数分〜数十分程度の短時間の焼成時間で割れやクラック等の欠陥の無い良好な膜質の多孔質層を形成することができる。
なお、上述の組成を有する多孔質層形成用塗工液を用いることにより、短い焼成時間で良好な膜質を有する多孔質層の形成が可能になる要因については、上述した「A.色素増感型太陽電池の製造方法」の項で説明した内容と同様である。
本発明の多孔質層形成用塗工液については、上述の「A.色素増感型太陽電池の製造方法 1.多孔質層形成工程 (1)多孔質層形成用塗工液」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明の多孔質層形成用塗工液は、焼成処理を伴う多孔質層を形成する際に好適に用いることができる。例えば、各種太陽電池における多孔質層の形成の際に用いることができる。また、太陽電池以外の用途において、多孔質層が用いられる部材を形成する際に、本発明の多孔質層形成用塗工液を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
(多孔質層形成用塗工液の調製)
多孔質酸化チタン微粒子(製品名:P25、日本アエロジル社製)10g、およびポリカルボン酸アンモニウム塩アニオン40wt%水溶液(製品名:ノプコスパース5600、サンノプコ社製)2.0gをイオン交換水15gに投入し、ホモジナイザーにより攪拌して多孔質層形成用塗工液を調製した。
(多孔質層形成工程)
上述した多孔質層形成用塗工液を、色素増感型太陽電池用基材としての厚さ0.050mmのチタン箔(210mm×300mm)上にドクターブレード法により12mm×12mmの面積で塗布し、その後120℃で10分間乾燥させ、多数の多孔質酸化チタン微粒子を含む膜厚8μmの塗布膜を形成した。上記塗布膜に対し、プレス機を用いて0.1t/cmの圧力で加圧し、その後、焼成温度を500℃に設定された焼成炉内に入れて焼成を行った。焼成時間は5分であった。
次に、色素増感剤として有機色素(製品名:D358、三菱製紙社製)を濃度が3.0×10−4mol/Lとなるようにアセトニトリルおよびtert−ブチルアルコールの体積比1:1溶液に溶解させて色素担持用塗工液を調製した。この色素担持用塗工液中に対し、焼成後の色素増感型太陽電池用基材を3時間浸漬させた。その後、色素担持用塗工液から引き上げ、多孔質酸化チタン微粒子をアセトニトリルにより洗浄後、風乾した。これにより、色素増感型太陽電池用基材上に、多孔質酸化チタン微粒子の細孔表面に増感色素剤が担持した多孔質層を得た。
(対向電極基材形成工程)
透明なポリエチレンナフタレート(PEN)製の対向基材上に、第2電極としてインジウムドープ酸化スズ(ITO)対向電極基材を形成した。当該透明電極層上にポリチオフェン系導電性樹脂(BaytronPAI4083、スタルク社製)をワイヤーバーで塗布し、120℃で5分間乾燥することで厚さ0.1μmの触媒層を形成し、触媒層を備える対向電極基材とした。
(固体電解質層形成用塗工液の調製)
カチオン性ヒドロキシセルロース(製品名:ジェルナーQH200、ダイセル化学社製)0.14gをメタノール2.72gに分散させた溶液を攪拌した。次いで、当該溶液に1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(EMIm−B(CN)4)0.18g、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド(PMIm−I)0.5g、およびIを0.025g加えて撹拌して溶解させた。これにより、コーティング可能な固体電解質層形成用塗工液を調製した。
(固体電解質層形成工程)
色素増感型太陽電池用基材の多孔質層上に、上述した固体電解質層形成用塗工液をドクターブレード法により塗布して120℃で乾燥することにより、厚み6μmの第2固体電解質層を形成した。同様にして、対向電極基材の触媒層上に、上述の固体電解質層形成用塗工液を塗布して120℃で乾燥することにより、厚み6μmの第1固体電解質層を形成した。
(貼り合わせ工程)
色素増感型太陽電池用基材上の第2固体電解質層と対向電極基材上の第1固体電解質層とが対向するように配置し、25℃で0.1MPa加圧して貼り合わせることで色素増感型太陽電池を得た。
[実施例2]
ポリカルボン酸アンモニウム塩アニオンの代わりに、ポリカルボン酸ナトリウム塩アニオン40wt%水溶液(製品名:SNディスパーサント5045、サンノプコ社製)2.0gを含む多孔質半導体形成用塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
[実施例3]
実施例1の多孔質半導体形成用塗工液に、さらにバインダ成分としてポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K90)の10wt%水溶液が5g含まれていること以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
[実施例4]
実施例1の多孔質半導体形成用塗工液に、さらにバインダ成分としてスチレンブタジエンゴム40wt%分散液が1g含まれていること以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
[実施例5]
焼成時間を60分にしたこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
[比較例]
ポリカルボン酸アンモニウム塩アニオンの替わりに、バインダ成分としてポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名:K90)の10wt%水溶液が15g含有した多孔質半導体形成用塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
[評価]
実施例および比較例で得た色素増感型太陽電池について、擬似太陽光(AM1.5、入射光強度100mW/cm)を光源として、対向電極基材側から光照射し、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)を用いて電圧印加による電流電圧特性(電流値、電圧値、および光電変換効率値)を測定した。なお、測定に用いた多孔質層の面積は1cm(1cm×1cm)である。
また、65℃に調整したオーブン内に、実施例および比較例で得た色素増感型太陽電池を入れて、1000時間経過後の電流電圧特性を同様に測定し、初期値に対する光電変換効率維持率(%)を算出した。これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2015018664
実施例1〜4の結果から、金属酸化物半導体微粒子とポリカルボン酸アンモニウム塩アニオン等の水溶性ポリカルボン酸塩とを少なくとも含み、溶液中に含有される全有機固形分中で、上記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い多孔質半導体形成用塗工液を用いる場合、焼成時間が5分と短時間であっても高い光電変換効率を得ることが可能であった。このときの光電変換効率値は、焼成時間を長くした場合(実施例5)と同程度であり、焼成時間の短縮化が図れることが示唆された。また、65℃1000時間経過後の光電変換効率維持率についても、実施例1〜5は略同等の値を示すものであった。
一方、比較例の結果から、水溶性ポリカルボン酸塩を含まない多孔質半導体形成用塗工液を用いる場合、焼成時間を5分にすると実施例と比較して光電変換効率が低く、また、光電変換効率維持率についても実施例と比較して大幅な低下が見られた。
上述の結果は、以下の要因によるものと推量される。すなわち、金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質半導体形成用塗工液に添加した水溶性ポリカルボン酸塩は、金属酸化物微粒子を均一に分散するだけでなく、バインダとしても機能する。この水溶性ポリカルボン酸塩は、微粒子を均一に分散させることから焼成時間を短縮した場合に焼け残りも少なく、急激な焼成による応力も少ない。さらに上記水溶性ポリカルボン酸塩は、通常用いられるバインダ成分よりも低分子量のため焼成時に分解しやすいと考えられる。そのため、不純物の残存およびクラックや剥がれ等のない良質な多孔質層が形成されたと推測される。
よって、本発明により得られる色素増感型太陽電池は、焼成時間を短縮しても、従来と同等の発電特性を示すことが可能である。
1 … 色素増感型太陽電池用基材
2 … 電解質層
3 … 多孔質層
4 … 対向電極基材
10 … 色素増感型太陽電池

Claims (7)

  1. 電極としての機能を有し、色素増感剤が表面に坦持された金属酸化物半導体微粒子を含む多孔質層が一方の表面上に形成されている色素増感型太陽電池用基材と、
    前記色素増感型太陽電池用基材に対向するように配置され、電極としての機能を有する対向電極基材と、
    前記色素増感型太陽電池用基材および前記対向電極基材の間に形成され、前記多孔質層と接するように形成された電解質層とを有し、
    前記色素増感型太陽電池用基材または前記対向電極基材の少なくとも一方が透明性を有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
    前記金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、前記水溶性ポリカルボン酸塩が、前記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、前記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多い多孔質層形成用塗工液を用い、前記色素増感型太陽電池用基材上に塗布または印刷し、焼成することにより前記多孔質層を形成する多孔質層形成工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  2. 前記多孔質層形成用塗工液が、バインダ成分を含まないことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  3. 前記多孔質層形成用塗工液が、バインダ成分として水溶性樹脂またはゴム系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  4. 前記多孔質層形成工程における焼成時間が、1分〜60分の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  5. 金属酸化物半導体微粒子およびカルボキシル基を2つ以上有する水溶性ポリカルボン酸塩を少なくとも含み、前記水溶性ポリカルボン酸塩が、前記金属酸化物半導体微粒子に対して分散機能を有し、溶液中に含有される全有機固形分中で、前記水溶性ポリカルボン酸塩の含有量が最も多いことを特徴とする多孔質層形成用塗工液。
  6. バインダ成分を含まないことを特徴とする請求項5に記載の多孔質層形成用塗工液。
  7. バインダ成分として水溶性樹脂またはゴム系樹脂を含むことを特徴とする請求項5に記載の多孔質層形成用塗工液。
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