JP2015017233A - 金属酸化物粒子、金属酸化物粒子含有組成物および光学部材 - Google Patents

金属酸化物粒子、金属酸化物粒子含有組成物および光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種有機化合物媒体に良好な分散性をする金属酸化物粒子を提供し、各種用途への展開が可能となる金属酸化物粒子含有組成物を提供すること。
【解決手段】 金属酸化物粒子の表面の少なくとも一部が、脂環構造を有するカルボン酸化合物(第1のカルボン酸化合物)、および(メタ)アクリロイル構造を有するカルボン酸化合物(第2のカルボン酸化合物)の少なくとも2種のカルボン酸化合物が被覆された金属酸化物粒子、及び該金属酸化物粒子を含む組成物により上記課題が解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種媒体に対して良好に分散される金属酸化物粒子、該金属酸化物粒子を含有する金属酸化物粒子含有組成物および光学部材に関する。
金属酸化物粒子は、光学材料、電子部品材料等に様々な機能を発現できる可能性を有しており、各種機能性材料の分野で注目を集めている。しかしながら、金属酸化物単独では有機媒体に対する分散性が不十分なため凝集する場合が多く、透明性の低下や機械強度の低下といった問題を生じていた。有機媒体に対して良好な分散性を付与するため、金属酸化物に有機基を化学的に結合させる方法が提案されている。
例えば、カルボン酸で被覆された酸化ジルコニウム粒子含有ナノ粒子の製造方法としては、有機カルボン酸と金属化合物とを特定の割合で反応させて得られた有機カルボン酸金属塩を合成する工程と該有機カルボン酸とジルコニウム化合物とを反応させてカルボン酸−ジルコニウム複合体を合成する工程と該複合体を水熱合成に供する工程とからなる方法が知られている(特許文献1)。
特開2009−096681号公報
有機基にて修飾された金属酸化物粒子は分散性に優れ、一部の材料の機能付与に有益であるが、各種媒体への分散性を確保することは容易ではなく、導入する有機基の選択によって利用用途が制限され、改善の余地があった。また、有機基の選択によっては製造工程が煩雑になり、コストが増加するとの課題があり、改善の余地があった。
本発明の目的は、各種有機化合物媒体に良好な分散性を有する金属酸化物粒子を提供し、各種用途への展開が可能となる金属酸化物粒子含有組成物を提供することにある。
本発明者らは金属酸化物粒子含有組成物について鋭意検討した結果、特定の構造を有するカルボン酸化合物により表面の少なくとも一部が被覆された金属酸化物粒子が各種有機化合物媒体への分散性能に優れることを見出した。
すなわち本発明は、金属酸化物粒子の表面の少なくとも一部が、脂環構造を有するカルボン酸化合物(第1のカルボン酸化合物)、および(メタ)アクリロイル構造を有するカルボン酸化合物(第2のカルボン酸化合物)の少なくとも2種のカルボン酸化合物が被覆された金属酸化物粒子である。本発明の第1のカルボン酸化合物が更に(メタ)アクリロイル構造を有することが好ましく、また、金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、前記記載の金属酸化物粒子と有機化合物媒体を含有する金属酸化物粒子含有組成物であり、記有機化合物媒体が、ケトン構造、エステル構造、芳香族構造、及び(メタ)アクリロイル構造から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明は、前記記載の金属酸化物粒子含有組成物を成型または硬化した光学部材である。
本発明の金属酸化物粒子含有組成物は、分散性能が極めて良好であり、凝集、沈降、白濁等の分散不良が生じないため、各種用途への応用が可能である。また、本発明に用いられる金属酸化物粒子は簡便な製造工程により製造可能であり、コストの低減が可能となる。
本発明では、特定の構造を有する有機基により被覆された金属酸化物粒子に最大の特徴を有し、従来技術では不十分だった分散性を改善し、高屈折率等の各種光学物性が飛躍的に向上した。以下に順を追って説明する。
1.金属酸化物粒子
本発明では、金属酸化物粒子はカルボン酸化合物により被覆された金属酸化物粒子が採用されるが、本発明においては、カルボン酸化合物は金属酸化物に化学結合するか、或いは水素原子やカチオン性原子と共にカルボン酸やその塩を形成して金属酸化物に付着するため、本発明において「被覆」とは、カルボン酸化合物が金属酸化物に化学的に結合した状態、カルボン酸化合物が金属酸化物に物理的に付着した状態の両方を包含する。
被覆に使用されるカルボン酸化合物は、脂環構造を有するカルボン酸化合物(以下、「第1のカルボン酸化合物」と称する場合がある)および(メタ)アクリロイル構造を有するカルボン酸化合物(以下、「第2のカルボン酸化合物」と称する場合がある)の少なくとも2種のカルボン酸化合物が採用される。
これらの2種のカルボン酸化合物を採用することにより金属酸化物粒子の疎水性・親水性のバランスが良くなり、親水性溶媒・新油性溶媒・各種モノマー・各種オリゴマー・各種ポリマー等の様々な媒体への分散性が向上する。特に後述のケトン構造、エステル構造、芳香族構造、及び(メタ)アクリロイル構造から選ばれる少なくとも1種を含む有機媒体に対する分散性能が顕著に優れる。
本発明の金属酸化物粒子は第1のカルボン酸化合物および第2のカルボン酸化合物をそれぞれ1種以上用いれば良く、複数種のカルボン酸を用いてもよい。また、同一分子内のカルボン酸基、脂環構造、または(メタ)アクリロイル基についても1つでもよく、複数有していても良い。
本発明の金属酸化物粒子は、分散性が顕著に優れているため、高濃度の金属酸化物粒子含有組成物(分散体)であっても、金属酸化物粒子含有組成物は良好な透明性を有する。金属酸化物粒子が高濃度に分散された組成物は、例えば、屈折率の向上に有利であり、各種用途に応じた屈折率の調整が可能となる。金属酸化物粒子を、高濃度の金属酸化物粒子組成物として用いる場合には、該金属酸化物粒子含有組成物中の金属酸化物粒子の量を、25質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。上限は特に限定されないものの、該金属酸化物粒子含有組成物中の金属酸化物粒子の量は、90質量%以下とするとよい。
前記第1または第2のカルボン酸化合物は、それぞれ、エステル基、エーテル基、アミド基、チオエステル基、チオエーテル基、カーボネート基、ウレタン基、およびウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸が好ましく採用され、エステル基、エーテル基、アミド基が入手性の観点から好ましく、更に好ましくはエステル基、エーテル基である。また第1または第2のカルボン酸化合物はそれぞれ炭素数8〜30が好ましく、より好ましくは10〜20である。
第1または第2のカルボン酸化合物はそれぞれ市販品を用いてもよいし、公知の合成方法により合成することも可能である。たとえば、脂環構造または(メタ)アクリレート基を有するアルコール化合物と二塩基酸または酸無水物の反応によりエステル化合物(ハーフエステル化合物など)を得る方法、脂環構造または(メタ)アクリレート基を有するエポキシ化合物またはグリジシル化合物と二塩基酸の反応によりエステル化合物(ハーフエステル化合物など)を得る方法、脂環構造または(メタ)アクリレート基を有するアミン化合物と二塩基酸または酸無水物の反応によりアミド化合物を得る方法、脂環構造または(メタ)アクリレート基を有するチオール化合物と二塩基酸または酸無水物の反応によりチオエステル化合物を得る方法などが代表的に例示できる。
第1または第2のカルボン酸化合物のカルボキシル基のα炭素は2級炭素、3級炭素、4級炭素、または芳香族炭素の何れであってもよい。また第1のカルボン酸化合物のカルボキシル基は1つでも複数でもよいが、金属酸化物粒子製造の際に粒子間架橋が起こるのを回避するためには、3つ以下が好ましく、2つがより好ましく、1つであることが最も好ましい。
本発明の金属酸化物粒子は極めて良好な分散性を付与するため、第1のカルボン酸化合物が脂環構造を有する。金属酸化物粒子の被覆成分に脂環構造を有することにより、親水性・親油性のバランスが良好となり、各種有機化合物媒体への分散性が極めて良好となる。第1のカルボン酸化合物はさらに(メタ)アクリロイル構造を有することが好ましい。(メタ)アクリロイル構造を有することにより、後述の第2のカルボン酸化合物のみによる(メタ)アクリロイル構造の導入量を遙かに上回る重合性基を導入することができ、硬化時により架橋密度の高い共重合が可能となる。第1のカルボン酸化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などの脂環式カルボン酸などが挙げられる。
第1のカルボン酸化合物の割合は、被覆後の金属酸化物粒子全体100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。このようにすることによって、製造時または製品中での金属酸化物粒子の溶媒等への分散性を向上できる。第1のカルボン酸化合物の量は、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1質量部以上である。被覆量が多いと、単位体積当たりに含有される金属酸化物粒子の量が少なくなるため、好ましくない。そこで前記カルボン酸化合物の量は、通常30質量部以下であり、好ましくは25質量部以下である。さらには、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
本願発明の金属酸化物粒子に硬化性を付与するため、第2のカルボン酸化合物が(メタ)アクリロイル構造を有する。金属酸化物粒子の被覆成分に(メタ)アクリロイル構造を有することにより、他の配合成分と共重合が可能となるため硬化時の凝集やブリードアウトといった問題を生じることなく、硬化物においても良好な分散状態を維持することが可能である。第2のカルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸などのC3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類;2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸などのC8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類などが挙げられる。
第2のカルボン酸化合物の割合は、被覆後の金属酸化物粒子全体100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。このようにすることによって、製造時または製品中での金属酸化物粒子の溶媒等への分散性を向上できる。第2のカルボン酸化合物の量は、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1質量部以上である。被覆量が多いと、単位体積当たりに含有される金属酸化物粒子の量が少なくなるため、好ましくない。そこで前記カルボン酸化合物の量は、通常30質量部以下であり、好ましくは25質量部以下である。さらには、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物の合計の被覆量の質量比は、第1のカルボン酸化合物/第2のカルボン酸化合物として、1/99〜99/1が好ましく、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70であってもよい。このような範囲に被覆量を調整することにより、親水性・疎水性等多種の媒体との親和性が向上し、分散性が向上する。
前記カルボン酸化合物を金属酸化物粒子の表面に被覆する方法としては、公知のいずれの方法も用いることができる。代表的にはカルボン酸化合物(以下、第3のカルボン酸化合物と称する場合がある。)により被覆された金属酸化物粒子のエステル交換により前記第1および第2のカルボン酸化合物が導入される。第3のカルボン酸化合物は特に限定されないが、製造工程の観点から、炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸(直鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖状飽和脂肪族カルボン酸など)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状脂肪族カルボン酸、好ましくは分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸など)、環状カルボン酸(脂環式カルボン酸、好ましくは不飽和二重結合を有さない脂環式カルボン酸など)のカルボン酸基を有する炭化水素類が好ましく採用される。例えば酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などの直鎖状カルボン酸;ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸などの分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの環状カルボン酸などを挙げることができ、1種のみを用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。金属酸化物粒子と、これを被覆する第3のカルボン酸化合物の割合は、被覆後の金属酸化物粒子全体100質量部に対して、第3のカルボン酸化合物が0.1質量部以上であることが好ましい。このようにすることによって、製造時または製品中での金属酸化物粒子の溶媒等への分散性を向上できる。第3のカルボン酸化合物の量は、より好ましくは0.2質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量部以上である。被覆量が多いと、単位体積当たりに含有される金属酸化物粒子の量が少なくなるため、好ましくない。そこで第3のカルボン酸化合物の量は、通常10質量部以下であり、好ましくは8質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
また第1、第2および第3のカルボン酸化合物の合計被覆量は、被覆後の金属酸化物粒子全体(各カルボン酸化合物と金属酸化物の合計)100質量部に対して、0.2質量部以上であることが好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上であり、また40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは35質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。さらには、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であってもよい。
第1および第2のカルボン酸化合物の合計量と第3のカルボン酸化合物の合計の被覆量の質量比は、第1および第2のカルボン酸化合物の合計量/第3のカルボン酸化合物として、1/99〜99/1が好ましく、好ましくは30/70〜99/1、さらに好ましくは50/50〜97/3、特に好ましくは70/30〜95/5であってもよい。このような範囲に被覆量を調整することにより、親水性・疎水性等多種の媒体との親和性が向上し、分散性が向上する。
2.金属酸化物
金属酸化物粒子を形成する金属としては、例えばTi、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Caなどが挙げられ、高屈折率の金属酸化物を提供できるという観点からはTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種(特にZr)が好ましい。金属酸化物としては、単一金属の酸化物であっても良いし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、或いは複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La23)、酸化イットリウム(Y23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、ITO、ATOなどが挙げられる。複合酸化物は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl24)などである。
X線回折解析により算出される金属酸化物粒子の結晶子径は、20nm以下であることが好ましい。このようにすることによって、該金属酸化物粒子を含有する組成物の透明率を向上できる。該結晶子径は、より好ましくは15nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。該結晶子径の下限は、通常1nm程度である。
金属酸化物粒子の粒子径は、各種電子顕微鏡観察によって得られた画像を処理することによって得られる平均粒子径によって評価でき、該平均粒子径(平均一次粒子径)は、50nm以下が好ましい。このようにすることによって、該金属酸化物粒子を含有する組成物の透明率を向上できる。平均一次粒子径は、より好ましくは30nm以下であり、さらに好ましくは20nm以下である。平均一次粒子径の下限は、通常1nm程度(特に5nm程度)である。
前記平均粒子径は、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)などで拡大観察し、無作為に100個の粒子を選択してその長軸方向の長さを測定し、その算術平均を求めることで決定できる。
金属酸化物粒子の形状としては球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状などが挙げられる。溶媒への分散性などを考慮すると、前記形状としては、球状、粒状、柱状などが好ましい。
3.金属酸化物粒子の製造方法
以下、本発明の金属酸化物粒子の代表的な製造方法について説明するが、各工程は適宜変更しても構わない。なお製法的特徴を考慮した場合、本明細書では、本発明の金属酸化物粒子を置換被覆型粒子と称する場合がある。該本発明の粒子(置換被覆型粒子)は、まず初めに第3のカルボン酸化合物で被覆された粒子(以下、被覆型粒子と称する場合がある)を調製し、次いでこの被覆型粒子表面の第3のカルボン酸を第1および第2のカルボン酸化合物で置換することで製造できる。
3.1 被覆型粒子の調製工程
被覆型粒子は、水存在下、金属成分と第3のカルボン酸化合物とを水熱反応を行なうことで得られる。
前記金属成分は、水熱反応により金属酸化物を生成する化合物に含まれている限り特に限定されない。金属成分を含む化合物としては、種々の金属酸化物前駆体が挙げられ、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれ、さらには各種金属と第3のカルボン酸の塩であってもよい。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等が挙げられる。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等が例示できる。
金属酸化物前駆体を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、Ti、Zrを含むことがより好ましく、Zrが更に好ましい。
前記第3のカルボン酸化合物は直鎖状カルボン酸、分枝鎖状カルボン酸、環状カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられるが特に限定されない。例えばヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などの直鎖状カルボン酸;2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸、ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸などの分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの環状カルボン酸などを挙げることができる。
本発明では、金属成分と第3のカルボン酸化合物とを水熱反応することによって第3のカルボン酸化合物で被覆された被覆型粒子を製造することができるが、
(i)第3のカルボン酸化合物と金属酸化物前駆体との塩
(ii)第3のカルボン酸化合物の金属塩、および
(iii)第3のカルボン酸化合物及び金属酸化物前駆体
から選ばれる少なくとも1種以上を水熱反応することが好ましい。
以下、前記金属酸化物前駆体として、各種金属のオキシ塩化物等の塩化物やオキシ硝酸物等の硝酸塩等の、水溶性で腐食性の高い金属酸化物前駆体を原料として用いるときに好適である前記(i)の場合について、詳述する。
尚、塩とは、カルボン酸と金属酸化物前駆体との量論比で構成される単種類の化合物だけでなく、複合塩や、未反応のカルボン酸または金属酸化物前駆体が存在する組成物であってもよい。
前記(i)において、第3のカルボン酸化合物と金属酸化物前駆体との塩とは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属により中和度が0.1〜0.8の範囲に中和された第3のカルボン酸化合物由来のカルボン酸塩含有組成物と金属酸化物前駆体とを反応させて得られた、第3のカルボン酸化合物と金属との塩であることが好ましい。
前記中和度が0.1〜0.8の範囲に中和されたカルボン酸塩含有組成物とは、第3のカルボン酸化合物を構成している全カルボキシル基1モルに対して0.1〜0.8モルのカルボキシル基がアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属で中和されている状態の有機カルボン酸塩含有組成物を言い、第3のカルボン酸化合物に適量のアルカリ金属の水酸化物等を加えて得る以外に、未中和の第3のカルボン酸化合物と完全及び/又は部分中和されたカルボン酸塩化合物とを混合することによっても得られる。該未中和、完全中和又は部分中和の第3のカルボン酸化合物は同一であっても、互いに異なっていてもよく、さらに異なるカルボン酸からなる組成物の未中和、完全中和又は部分中和物であっても良い。
前記中和度は0.1〜0.8が好ましく、0.2〜0.7がより好ましい。0.1未満では第3のカルボン酸化合物の溶解性が低いために前記塩が十分に形成できないことがあり、また0.8を超えると金属の水酸化物と推測される多量の白色沈殿が生成して金属酸化物粒子の収率が低下する場合がある。
前記カルボン酸塩含有組成物を得るために用いるアルカリ金属及びアルカリ土類金属はいずれであってもよいが、水溶性の高いカルボン酸塩を形成する金属が好ましく、アルカリ金属、特にナトリウム及びカリウムが好適である。
前記カルボン酸塩含有組成物と前記金属酸化物前駆体との割合は、金属酸化物前駆体1モルに対してカルボキシル基が1モル〜20モルであることが好ましく、1.2〜18モルがより好ましく、1.5〜15モルがさらに好ましい。
前記カルボン酸塩含有組成物と前記金属酸化物前駆体とを反応させるには、水溶液同士を混合させるのが好ましい。反応温度は水溶液を保持できる温度であれば特に問わないが、室温から100℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましい。
前記カルボン酸塩含有組成物と前記金属酸化物前駆体とを反応させて得られた前記塩は、そのまま水熱反応に供しても良いが、不溶性の副生物を濾過等により取り除いておくのが好ましい。
次に(ii)の場合について、詳細に説明する。
(ii)の実施形態では、事前に調製した第3のカルボン酸化合物の金属塩を用いるものである。上記の様な煩雑な工程を経ることなく、水熱反応に供することが出来る利点がある。但し、容易に入手できる化合物が限られているため、目的とする有機基で被覆された金属酸化物粒子が得られないことがある。金属は特に限定されないが、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
(ii)の実施形態で用いることが出来る金属塩としては、2−エチルヘキサン酸チタン、3,3−ジメチル酪酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、オクタン酸アルミニウム、オクタン酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、オクタン酸亜鉛、オクタン酸スズ、オクタン酸セリウム等を例示することが出来る。
金属塩の純度が低い場合には、精製を施してから用いることもあるが、市販品または事前に調製した塩をそのまま水熱反応に供することが出来る。
次に前記(iii)の場合について、詳細に説明する。
前記(iii)では、前記金属酸化物前駆体として、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が挙げられる。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等を用いる場合に好適な方法である。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ−n−ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等を用いる場合に好適な方法である。
前記第3のカルボン酸化合物については、前記(i)と同じである。
前記金属酸化物前駆体と前記第3のカルボン酸化合物とを、好ましくは水存在下で混合する。この時に、加熱や減圧下で行うことにより、アンモニアや酢酸等の前記金属酸化物前駆体に含まれる低沸点の化合物を系外へ追い出しておくと、次工程の水熱反応での圧上昇が抑えられるので、好適である。尚、後述の有機溶媒を添加した溶液中で前記反応を行ってもよい。
続いて、水熱反応について説明する。
前記(i)〜(iii)のいずれかを水熱反応に供することで金属酸化物粒子組成物が得られる。前記(i)〜(iii)だけでは、粘度が高く水熱反応が効率的に進行しない場合には、該(i)〜(iii)に対して良好な溶解性を示す有機溶媒を添加すると良い。
前記有機溶媒としては、炭化水素、ケトン、エーテル、アルコール等を用いることが出来る。水熱反応時に気化する溶媒では十分に反応が進行しない恐れがあるので、常圧下での沸点が120℃以上の有機溶媒が好ましく、180℃以上がより好ましく、210℃以上が更に好ましい。具体的には、デカン、ドデカン、テトラデカン、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、メタントリメチロール、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が例示され、ドデカン、テトラデカンが好ましい。
前記有機溶媒を添加したことにより2層に分離した場合には、界面活性剤等を添加して均一相状態や懸濁乳化状態にしてもよいが、通常は2層のまま水熱反応に供することが出来る。
前記組成物は原料に由来する十分な量の水を含有している場合もあるが、原料中に含まれる水分が無い又は少ない場合には、水熱反応に供する前に水分を添加しておく必要がある。
水熱反応の系内に存在する水分量は、系内に存在する金属酸化物前駆体のモル数に対する水のモル数(水のモル数/金属酸化物前駆体のモル数)で4/1〜100/1が好ましく、6/1〜70/1がより好ましく、8/1〜50/1が更に好ましい。4/1未満では水熱反応に長時間を要したり、得られた前記ナノ粒子の粒径が大きくなったりすることがある。一方、100/1超では、系内に存在する金属酸化物前駆体が少ないため生産性が低下する以外は特に問題は無い。
水熱反応は、2MPaG以下の圧力で行うのが好ましい。2MPaG以上でも反応は進行するが、反応装置が高価になるため工業的には好ましくない。一方、圧力が低すぎると反応の進行が遅くなり、また長時間の反応により前記ナノ粒子の粒径が大きくなったり、金属酸化物が複数の結晶系を持ったりすることがある為、0.1MPaG以上の圧力下で行うのが好ましく、0.2MPaG以上で行うのがより好ましい。
反応温度は反応容器内の圧力が適正な範囲に保たれるように調整するのが好ましいが、前記組成物中に含まれる水の飽和蒸気圧を考慮すると、200℃以下で行うのが好ましく、180℃以下がより好ましい。反応温度が低いと反応に長時間を要することがあるので、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。
反応容器の空間部を窒素などの不活性ガスで置換すると、前記有機カルボン酸や添加した有機溶媒の酸化等による副反応が抑制されるので好ましい。尚、加熱前に加圧状態にすると、十分な反応温度に到達する前に高圧になってしまうので、加熱前に常圧以上に加圧するのは好ましくない。
反応時間は、反応温度や圧力と収率の関係から適切値を定めればよく、通常は0.1〜50時間であり、1〜20時間がより好ましい。50時間を超えて加熱しても収率の向上は少なく、前記ナノ粒子の粒径が大きくなったり、含有されている金属酸化物が複数の結晶系を持つ場合がある。
前記水熱反応により、通常、第3のカルボン酸化合物で被覆された金属酸化物粒子(被覆型粒子)が容器下部に沈殿生成する。被覆型粒子は水熱反応で生成したカーボンなどの副生物や被覆型粒子の凝集体等を除去するための精製を施すことが出来る。例えば、沈殿生成物をろ別した後、トルエン等の溶媒に溶解させて、不溶物をろ別してから減圧濃縮などによりトルエン等の溶媒を除去することで被覆型粒子が得られる。
前記水熱反応時には塩基性化合物を用いることが好ましい。塩基性化合物は水に溶解させた時に塩基性を示すものであれば良く、ブレンステッド塩基やルイス塩基等形態は特に問わず、無機化合物、有機化合物いずれでも良い。中でも、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び1級から3級のアミンから選ばれる少なくとも1種以上の塩基性化合物であることが好ましく、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、カルボン酸のアルカリ金属塩、有機アミン化合物がより好ましく、特にアルカリ金属の水酸化物、有機アミン化合物が好ましい。塩基性化合物が存在することによって、生成する被覆型粒子の収率が向上する。さらに、広範な種類のカルボン酸を原料として利用可能となり、従来方法では製造が難しかった種類の有機基で被覆された被覆型粒子が得られる。
前記塩基性化合物の量は、該工程で用いられる金属酸化物前駆体1モルに対して0.03モル以上1.5モル以下であることが好ましい。前記範囲の塩基性化合物を添加することで、被覆型粒子の収率がより向上する。
3.2 被覆型粒子の置換工程
前記水熱反応で得られた被覆型粒子の第3のカルボン酸化合物を第1および第2のカルボン酸化合物で置換することによって本発明の置換被覆型粒子が得られる。この置換は、具体的には、被覆型粒子と第1および/または第2のカルボン酸化合物を含む混合物(特に混合液)を撹拌することによって行う。第1または第2のカルボン酸化合物と被覆型粒子の質量比は特に制限されないが、第1または第2のカルボン酸化合物/被覆型粒子として、5/100〜200/100が好ましい。5/100より少ない場合には第1のカルボン酸化合物の導入量が不十分となり、分散性が不十分となる恐れがあり、200/100よりも多い場合には置換被覆型粒子への導入量が飽和してしまい非効率となる恐れがある。より好ましくは10/100〜150/100である。
被覆型粒子の置換工程において、第1のカルボン酸化合物と第2のカルボン酸化合物は同時に置換反応を行ってもよいし、第1のカルボン酸化合物を先に置換を行い、その後第2のカルボン酸化合物により置換を行ってもよく、また第2のカルボン酸化合物を先に置換を行い、その後第1のカルボン酸化合物により置換を行ってもよい。
前記混合液の調製に使用する溶媒は前記水熱反応時の溶媒をそのまま用いても良く、他の溶媒を用いてもよい。好ましくは、後述する組成物(硬化性組成物など)で使用するのと同じ溶媒(組成物用溶媒)を用いる。この様な溶媒中で置換被覆型粒子を調製すると、得られる置換被覆型粒子は、組成物中での親和性がより向上し、分散ムラをより高度に防止できる。
撹拌温度は0〜100℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃、更に好ましくは20〜50℃であり、混合液中の被覆型粒子の濃度は5〜80質量%が好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。またボールミル等を用いて無溶媒やより高濃度での処理も可能である。反応時間は10分〜5時間が好ましく、より好ましくは20分〜2時間である。
組成物用溶媒中で置換被覆型粒子を調製する場合、置換被覆型粒子は、組成物溶媒中に溶解していることが好ましい。この場合、適当な貧溶媒(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒)を加えることで、置換被覆型粒子を析出させてもよい。析出物は適当な固液分離法(濾過法、遠心分離法など)によって溶媒と分離できる。一方、置換被覆型粒子が溶媒に溶解している場合も、濃縮などによって溶媒と分離できる。
上記方法により得られた本発明の被覆された金属酸化物粒子は洗浄することが好ましい。洗浄することにより副生成物や未反応の第1または第2のカルボン酸化合物や置換された第3のカルボン酸化合物が組成物中から除去され、後記の各種用途に用いたときに悪影響を及ぼすことがなくなる。洗浄溶媒としては、特に限定されないが、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メタノール、エタノールが好ましく用いられる。
4.金属酸化物粒子含有組成物
本発明の金属酸化物粒子は、各種媒体に対する顕著な分散性を有するため、多様な溶媒、モノマー(単官能モノマー及び/又は架橋性モノマー)、オリゴマー、ポリマー等への又はこれらの組合せへの添加が可能である。
代表的な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの変性エーテル類(好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性エーテル類、さらに好ましくはエーテル変性及び/又はエステル変性アルキレングリコール類);ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;水;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油などの油類を挙げることができる。これらのうち1種を選択して使用することもできるし、2種以上を選択し混合して用いることもできる。取扱性の面から、常圧での沸点が40℃以上、250℃以下程度の溶媒が好適である。
単官能モノマーは、重合可能な炭素−炭素二重結合を1つだけ有する化合物であればよく、(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。上記の(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキル;グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これら例示の単官能単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
架橋性モノマーは、モノマーが有する炭素−炭素二重結合と共重合可能な炭素−炭素二重結合を複数含有する化合物であればよい。該架橋性モノマーとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のネオペンチルグリコールポリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン等の多官能スチレン系単量体;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリルエステル系単量体等が挙げられる。
上記モノマーを含む組成物は、硬化性組成物に該当する。該硬化性組成物は、硬化後は、樹脂組成物を構成する。
また本発明の組成物は、上記ポリマー(樹脂)を含む樹脂組成物であってもよい。本発明の樹脂組成物を構成する場合、媒体であるポリマーは例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド類;ポリイミド類;ポリウレタン類;ポリエチレン、ポロプロピレンなどのポリオレフィン類;PET、PBT、PENなどのポリエステル類;ポリ塩化ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリスチレン類;(メタ)アクリル樹脂系ポリマー;ABS樹脂;フッ素樹脂;フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂などのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂などを挙げることができる。また、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂などの軟質樹脂や硬質樹脂、なども挙げられる。上記した中で、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、(メタ)アクリル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記組成物中に占める本発明の金属酸化物粒子の濃度は用途に応じて適宜設定することができるが、該組成物が未硬化の場合やポリマー(樹脂)を含む場合、通常、該組成物の全成分(金属酸化物粒子、溶媒、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及び後述するポリマー前駆体などのうち使用されているもの全ての合計)100質量%に対して、90質量%以下である。90質量%を超えると均一に分散し難くなり未硬化組成物が白濁するおそれがあり得る。一方、下限値は特に制限されないが、溶媒コストを考慮すると、例えば、1質量%以上である。より好ましくは5質量%以上、85質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上、80質量%以下である。
なお、本発明の樹脂組成物には、上記したポリマー(高分子化合物)と、本発明の金属酸化物粒子との組成物だけでなく、上記ポリマーを構成するモノマー(ポリマー前駆体)、例えば、ジカルボン酸とジアミンの混合物、アクリル酸やメタアクリル酸等の不飽和カルボン酸やそのエステル化合物等と、本発明の金属酸化物粒子との組成物も含まれる。また、本発明の樹脂組成物は、ポリマーとモノマーを両方含むものであっても良い。
本発明の金属酸化物粒子の濃度は用途に応じて適宜設定することができるが、該組成物が未硬化の場合やポリマー(樹脂)を含む場合、通常、該組成物の全成分(金属酸化物粒子、溶媒、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及び後述するポリマー前駆体などのうち使用されているもの全ての合計)100質量%に対して、90質量%以下である。90質量%を超えると均一に分散し難くなり未硬化組成物が白濁するおそれがあり得る。一方、下限値は特に制限されないが、溶媒コストを考慮すると、例えば、1質量%以上である。より好ましくは5質量%以上、85質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上、80質量%以下である。
なお、本発明の樹脂組成物には、上記したポリマー(高分子化合物)と、本発明の金属酸化物粒子との組成物だけでなく、上記ポリマーを構成するモノマー(ポリマー前駆体)、例えば、ジカルボン酸とジアミンの混合物、アクリル酸やメタアクリル酸等の不飽和カルボン酸やそのエステル化合物等と、本発明の金属酸化物粒子との組成物も含まれる。また、本発明の樹脂組成物は、ポリマーとモノマーを両方含むものであっても良い。
本発明の金属酸化物粒子含有組成物(硬化後の硬化物を含む)は、他の添加成分を配合してもよい。かかる添加成分としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、離型剤、カップリング剤、反応性希釈剤、可塑剤、安定化剤、難燃助剤、架橋剤などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物(硬化後の硬化性組成物を含む)の形状は特に制限されず、例えば、板、シート、フィルム、繊維などの成形体としても良い。
本発明の樹脂組成物(硬化後の硬化性組成物を含む)は、金属酸化物粒子が均一に分散しているので、透明性が高い。具体的には、10μmの厚さにおいて波長400nmの光の透過率を70%以上とすることができ、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。
本発明の樹脂組成物(硬化後の硬化性組成物を含む)は、金属酸化物粒子を所定量含有するので、屈折率も高い。具体的には、589nmの光に対する屈折率を1.5以上とすることができ、好ましくは1.6以上とすることができる。屈折率の上限は、例えば、1.8程度であってもよい。
本発明の硬化性組成物は、分散性のよい金属酸化物粒子を含有するため、流動性に優れておりかつ硬化性にも優れている。そのためナノインプリント技術においても、型の転写性に優れている。
5.好ましい用途
本発明の金属酸化物粒子は、その顕著な分散性から各種用途への展開が可能となった。高分散性を要する用途としてはレジスト用途、光学用途、塗布用途、接着用途が挙げられ、光学レンズ、光学フィルム用粘着剤、光学フィルム用接着剤、ナノインプリント用樹脂組成物、マイクロレンズアレイ、透明電極に使用する反射防止層、反射防止フィルムや反射防止剤、光学レンズの表面コート、有機EL光取り出し層、タッチパネル用インデックスマッチング層、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルムなどの各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサー、タッチパネル用保護膜等の光学材料に好適に用いられる。特に本発明の置換被覆型粒子は顕著な分散性に加え、高屈折率、高硬度、高安定性を有するため、光学レンズ、光学レンズの表面コート、各種ハードコート材、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜、タッチパネル用インデックスマッチング層に使用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.評価方法
下記実験例中の酸化ジルコニウム粒子の物性、重合体の特性、及び硬化性樹脂組成物の特性は、以下の方法により測定した。
1.1 酸化ジルコニウム粒子の物性
(1)結晶構造の解析
酸化ジルコニウム粒子の結晶構造は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて解析した。測定条件は以下の通りである。
X線源:CuKα(0.154nm)
X線出力設定:50kV、300mA
サンプリング幅:0.0200°
スキャンスピード:10.0000°/min
測定範囲:10〜75°
測定温度:25℃
(2)正方晶、単斜晶の割合の定量
X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて算出される値を元に、計算ソフト(リガク社製、PDXL)を用いて参照強度比法(RIR法)により定量した(ピークの帰属も計算ソフトの指定に従った)。
(3)X線回折解析による結晶子径算出
結晶子径は、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTRIII)を用いて解析することにより算出した。すなわち、2θ=30°のピークの半値幅を用いて、下記シェラーの式から結晶子径(L)を算出した。
L=Kλ/βcosθ
K:定数
λ:使用X線管球の波長
β:半値幅
2θ:回折角度
(4)電子顕微鏡による平均粒子径の測定
酸化ジルコニウム粒子の平均一次粒子径は、超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)で観察することによって測定した。倍率15万倍で酸化ジルコニウム粒子を観察し、任意の100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その平均値を平均一次粒子径とした。
(5)質量減少率の測定
TG−DTA(熱重量−示唆熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で酸化ジルコニウム粒子を昇温した。昇温開始前後での該粒子の質量減少率を測定した。
(6)1H−NMRの測定
被覆型酸化ジルコニウム粒子を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、Variann社製「Unity Plus」(共鳴周波数:400MHz、積算回数:16回)を用いて測定した。下記の化学シフト(テトラメチルシラン基準)のピークの積分比に基づき、各化合物のモル比を決定した。
i)2−エチルヘキサン酸(1.0−0.5ppm:6H)
ii)2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート(1.0−0.5ppm:6H)
iii)2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(6.7−5.7ppm:3H)
iv)2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(6.8−5.6ppm:3H、3.5−0.5ppm:10H)
(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認
被覆型酸化ジルコニウム粒子を7g、溶媒3gを蓋付きガラス瓶に仕込み、蓋をした後50℃にて加熱混合することで被覆型酸化ジルコニウムの溶媒への分散性を確認した。
○:透明分散、×:分散不可(白濁)
1.2 硬化性樹脂組成物の特性
(8)透明性評価
何も塗工されていないスライドグラスの厚み方向の光透過率(光波長:400nm)を、吸光光度計(島津製作所製分光光度計「UV−3100」)を用いて測定し、その透過率をT1%とした。次に、スライドグラス上に、硬化性樹脂組成物をバーコーター#20にて塗工し、80℃×15分加熱後、高圧水銀ランプで500mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化塗膜を得た。作製した硬化塗膜が形成されたスライドグラスの厚み方向の光透過率(光波長:400nm)を吸光光度計「UV−3100」を用いて測定し、その透過率をT2%とした。これらの値から透過率Tを下記式により算出した。
T(%)=100+T2(%)−T1(%)
製造例1:
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子)の製造
2−エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782g、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)に純水(268g)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウム粒子(被覆型ZrO2粒子)を回収した。
得られた被覆型ZrO2粒子の結晶構造を確認したところ、正方晶と単斜晶に帰属される回折線が検出され、回折線の強度から、正方晶と単斜晶の割合は54/46で、その粒子径(結晶子径)は5nmであった。
電子顕微鏡により測定して得られた被覆型ZrO2粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、12nmであった。また、得られた被覆型ZrO2粒子を、赤外吸収スペクトルによって分析したところ、C−H由来の吸収と、COOH由来の吸収が確認できた。当該吸収は、酸化ジルコニウム粒子に被覆されている2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートに起因するものと考えられる。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子の質量減少率は、12質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートは、酸化ジルコニウム粒子全体の12質量%であることが分かった。
実施例1:
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子1)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(0.6g)と2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(4g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(12g、以下「PGMEA」と称する)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子1)を調製した。
得られた置換被覆型ZrO2粒子1を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートと2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸の存在モル比率が17:36:48であることがわかった。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した置換被覆型ZrO2粒子1の質量減少率は、19質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは、酸化ジルコニウム粒子全体の19質量%であることが分かった。
得られた置換被覆型ZrO2粒子1について、「(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認」に従って溶媒への分散性を確認した。使用した溶媒、及び分散性の結果については表1に記す。
実施例2:
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子2)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(0.6g)と2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(2.7g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(12g、以下「PGMEA」と称する)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子2)を調製した。
得られた置換被覆型ZrO2粒子2を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートと2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸の存在モル比率が23:37:39であることがわかった。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した置換被覆型ZrO2粒子2の質量減少率は、18質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは、酸化ジルコニウム粒子全体の18質量%であることが分かった。
得られた置換被覆型ZrO2粒子2について、「(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認」に従って溶媒への分散性を確認した。使用した溶媒、及び分散性の結果については表1に記す。
実施例3:
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子3)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(1.2g)と2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(1.2g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(12g、以下「PGMEA」と称する)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子3)を調製した。
得られた置換被覆型ZrO2粒子3を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートと2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸の存在モル比率が18:62:20であることがわかった。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した置換被覆型ZrO2粒子3の質量減少率は、19質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、及び2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは、酸化ジルコニウム粒子全体の19質量%であることが分かった。
得られた置換被覆型ZrO2粒子3について、「(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認」に従って溶媒への分散性を確認した。使用した溶媒、及び分散性の結果については表1に記す。

比較例1:
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子4)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイルオキシエチルサクシネート(2g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(12g、以下「PGMEA」と称する)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートで表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子4)を調製した。
得られた置換被覆型ZrO2粒子4を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイルオキシエチルサクシネートの存在モル比率が10:90であることがわかった。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した置換被覆型ZrO2粒子4の質量減少率は、20質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、及び2−アクリロイルオキシエチルサクシネートは、酸化ジルコニウム粒子全体の20質量%であることが分かった。
得られた置換被覆型ZrO2粒子4について、「(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認」に従って溶媒への分散性を確認した。使用した溶媒、及び分散性の結果については表2に記す。
比較例2:
2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸で被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(置換被覆型ZrO2粒子5)の製造
製造例1にて得られた被覆型ZrO2粒子(10g)と2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(4g)をMEK(10g)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n−ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn−ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸で表面処理された酸化ジルコニウム粒子(置換被覆型ZrO2粒子5)を調製した。
得られた置換被覆型ZrO2粒子5を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H−NMRによる分析を行なった。その結果、2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸の存在モル比率が25:75であることがわかった。
さらに上記した「(5)質量減少率の測定」に従って測定した酸化ジルコニウム粒子の質量減少率は、19質量%だった。従って、酸化ジルコニウム粒子を被覆する2−エチルヘキサン酸及び/又は2−エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、及び2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸は、酸化ジルコニウム粒子全体の19質量%であることが分かった。
得られた置換被覆型ZrO2粒子5について、「(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認」に従って溶媒への分散性を確認した。使用した溶媒、及び分散性の結果については表2に記す。
比較例3:
製造例1で得られた被覆型ZrO2粒子について、「(7)被覆型酸化ジルコニウム粒子分散性の確認」に従って溶媒への分散性を確認した。使用した溶媒、及び分散性の結果については表2に記す。
Figure 2015017233
HOA−MS:2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、HOA−HH:2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、PGM:プロピレングルコールモノメチルエーテル、PGMEA:プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート、MEK:メチルエチルケトン、MIBK:メチルイソブチルケトン
Figure 2015017233

実施例4:
実施例1で得られた粒子 7g、ライトアクリレートTMP−A 3g、(トリメチロールプロパントリアクリレート、共栄社化学社製)、DAROCUR1173 0.2g(光ラジカル重合開始剤、チバジャパン製)、メチルエチルケトン 40gを茶色褐色ガラス瓶に仕込み、均一になるまで撹拌を行い、硬化性樹脂組成物1を得た。
得られた硬化性樹脂組成物1について「(8)透明性評価」に従って評価を行い、透過率Tを算出した。その透過率は90%であった。

Claims (6)

  1. 金属酸化物粒子の表面の少なくとも一部が
    脂環構造を有するカルボン酸化合物(第1のカルボン酸化合物)、および
    (メタ)アクリロイル構造を有するカルボン酸化合物(第2のカルボン酸化合物)
    の少なくとも2種のカルボン酸化合物が被覆された金属酸化物粒子。
  2. 前記第1のカルボン酸化合物が更に(メタ)アクリロイル構造を有することを特徴とする請求項1に記載の被覆された金属酸化物粒子。
  3. 前記金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、及びCeから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸化物粒子含有組成物。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の金属酸化物粒子と有機化合物媒体を含有する金属酸化物粒子含有組成物。
  5. 前記有機化合物媒体が、ケトン構造、エステル構造、芳香族構造、及び(メタ)アクリロイル構造から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載の被覆された金属酸化物粒子含有組成物。
  6. 請求項4または5に記載の金属酸化物粒子含有組成物を成型または硬化した光学部材。
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