<第1実施形態>
図1は、信号伝達装置の第1実施形態を示すブロック図である。本実施形態の信号伝達装置1は、GND1基準で動作する一次側回路(不図示)からの入力信号INに応じて、GND2基準で動作する二次側回路(不図示)への出力信号OUTを生成する半導体集積回路装置であり、第1回路100、第2回路200、及び、第3回路300を有する。なお、信号伝達装置1は、一次側回路と二次側回路との間を電気的に絶縁しながら相互間の信号伝達を行う必要のあるアプリケーション全般(高電圧を取り扱うモータドライバやDC/DCコンバータなど)に広く適用することが可能である。
第1回路100は、GND1基準で動作する回路ブロックであり、一次側送信部110と、一次側受信部120と、入出力比較部130を含む。第2回路200は、GND2基準で動作する回路ブロックであり、二次側受信部210と二次側送信部220とを含む。第3回路300は、第1回路100と第2回路200との間(延いてはGND1とGND2との間)を電気的に絶縁しながら相互間の信号伝達を行う回路ブロックであり、トランス310及び320を含む。
一次側送信部110は、第1回路100から第2回路200に対して入力信号INがハイレベルである旨を通知するときに、トランス310の一次巻線311に印加される第1信号S11のパルス駆動(単発または複数発の送信パルス出力)を行う。一方、一次側送信部110は、第1回路100から第2回路200に対して入力信号INがローレベルである旨を通知するときに、トランス320の一次巻線321に印加される第2信号S12のパルス駆動を行う。すなわち、一次側送信部110は、入力信号INの論理レベルを第2回路200に通知する際、入力信号INの論理レベルに応じてトランス310及び320の一方を選択した上で、その一次巻線311及び321を駆動する。
なお、一次側送信部110は、入力信号INの論理レベルが切り替えられたときだけでなく、第2回路200から通知される出力信号OUTの論理レベルが入力信号INの論理レベルと不一致であるときにも、入力信号INの論理レベルを第2回路200に対して通知する。その際、一次側送信部110は、入出力比較部130で生成される比較信号S14に応じて入力信号INの論理レベルを第2回路200に再通知するか否かを決定する。
二次側受信部210は、第1信号S11のパルス駆動を受けてトランス310の二次巻線312に現れる第3信号S21の誘起パルスを検出したときに出力信号OUTをハイレベルとする。一方、二次側受信部210は、第2信号S12のパルス駆動を受けてトランス320の二次巻線322に現れる第4信号S22の誘起パルスを検出したときに出力信号OUTをローレベルとする。すなわち、二次側受信部210は、第1回路100から通知される入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替える。
二次側送信部220は、出力信号OUTの論理レベルを第1回路100に対して定期的に、及び/または、出力信号OUTの論理レベルが切り替わる毎に通知する。より具体的に説明すると、二次側送信部220は、出力信号OUTがハイレベルである旨を通知するときに、トランス310の二次巻線312に印加される第3信号S21のパルス駆動を行う。一方、二次側送信部220は、出力信号OUTがローレベルである旨を通知するときに、トランス320の二次巻線322に印加される第4信号S22のパルス駆動を行う。このように、二次側送信部220は、出力信号OUTの論理レベルを第1回路100に通知する際、出力信号OUTの論理レベルに応じてトランス310及び320の一方を選択した上で、その二次巻線312及び322を駆動する。
一次側受信部120は、第3信号S21のパルス駆動を受けてトランス310の一次巻線311に現れる第1信号S11の誘起パルスを検出したときに帰還信号S13をハイレベルとする。一方、一次側受信部120は、第4信号S22のパルス駆動を受けてトランス320の一次巻線321に現れる第2信号S12の誘起パルスを検出したときに帰還信号S13をローレベルとする。
入出力比較部130は、入力信号INの論理レベルと帰還信号S13の論理レベル(延いては出力信号OUTの論理レベル)とを比較して、入出力論理の一致/不一致を示す比較信号S14を生成する。入出力論理が不一致である場合、比較信号S14にはトリガパルスが立てられる。
まず、一次側送信部110と二次側受信部210に着目して基本的な信号伝達動作の説明を行う。図2は、信号伝達動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、第1信号S11、第2信号S12、第3信号S21、第4信号S22、及び、出力信号OUTが描写されている。なお、本図では、説明の便宜上、信号遅延の描写が省略されている。
一次側送信部110は、時刻t1における入力信号INの立上りエッジで第1信号S11のパルス駆動を行う一方、時刻t2における入力信号INの立下りエッジで第2信号S12のパルス駆動を行う。二次側受信部210は、第1信号S11のパルス駆動により生じる第3信号S21の誘起パルスを検出して出力信号OUTをハイレベルとする一方、第2信号S12のパルス駆動により生じる第4信号S22の誘起パルスを検出して出力信号OUTをローレベルとする。その結果、入力信号INの論理レベルが切り替わると、これに合わせて出力信号OUTの論理レベルも切り替わる。
次に、二次側送信部220、一次側受信部120、及び、入出力比較部130に着目して、入出力論理の不一致解消動作の説明を行う。図3Aは、入出力論理の不一致解消動作の第1例(入力信号INがローレベルに固定されているにも関わらず、出力信号OUTが意図せずハイレベルに立ち上がった場合)を示すタイミングチャートであり、上から順に入力信号IN、第1信号S11、第2信号S12、帰還信号S13、比較信号S14、第3信号S21、第4信号S22、及び、出力信号OUTが描写されている。なお、本図では、説明の便宜上、信号遅延の描写が省略されている。
二次側送信部220は、時刻t11〜t15各々において、出力信号OUTの論理レベルを第1回路100に対して定期的(周期T1毎)に通知する。ここで、時刻t11や時刻t12で示すように、出力信号OUTがローレベルであるときには、二次側送信部220によって第4信号S22のパルス駆動が行われるので、第2信号S12に生じる誘起パルスが一次側受信部120で検出されて帰還信号S13がローレベルとされる。従って、入力信号INと帰還信号S13とが同一の論理レベルとなるので、比較信号S14にトリガパルスが立てられることはなく、延いては、第1回路100から第2回路200に対して入力信号INの論理レベルが再通知されることもない。
一方、時刻t12と時刻t13との間において、出力信号OUTの論理レベルが意図せずハイレベルに立ち上がると、時刻t13では、二次側送信部220によって第3信号S21のパルス駆動が行われるので、第1信号S11に生じる誘起パルスが一次側受信部120で検出されて帰還信号S13がハイレベルとされる。このとき、入力信号INと帰還信号S13とが異なる論理レベルとなるので、比較信号S14にトリガパルスが立てられる。その結果、一次側送信部110では、入力信号INがローレベルである旨を再通知すべく、第2信号S12のパルス駆動が行われるので、第4信号S22に生じる誘起パルスが二次側受信部210で検出されて出力信号OUTが速やかにローレベルに戻される。
時刻t14以降では、時刻t11や時刻t12と同様、入力信号INと帰還信号S13が同一の論理レベルとなるので、入力信号INの論理レベルが再通知されることはない。
なお、図3Aの第1例では、出力信号OUTの論理レベルを第2回路200から第1回路100に対して定期的(周期T1毎)に通知する構成を例に挙げたが、通知タイミングはこれに限定されるものではなく、図3B(図3Aにおける時刻t12〜t13の拡大図に相当)で示すように、定期的な通知に加えて(または定期的な通知に代えて)、出力信号OUTの論理レベルが切り替わる毎に通知を行う構成としてもよい。このような構成とすることにより、入出力論理の不一致をより速やかに解消することが可能となる。
図4Aは、入出力論理の不一致解消動作の第2例(入力信号INがハイレベルに固定されているにも関わらず、出力信号OUTが意図せずローレベルに立ち下がった場合)を示すタイミングチャートであり、先出の図3Aと同様、上から順に、入力信号IN、第1信号S11、第2信号S12、帰還信号S13、比較信号S14、第3信号S21、第4信号S22、及び、出力信号OUTが描写されている。なお、本図においても、説明の便宜上、信号遅延の描写は省略されている。
先と同じく、二次側送信部220は、時刻t21〜t25各々において、出力信号OUTの論理レベルを第1回路100に対して定期的(周期T1毎)に通知する。ここで、時刻t21や時刻t22で示すように、出力信号OUTがハイレベルであるときには、二次側送信部220によって第3信号S21のパルス駆動が行われるので、第1信号S11に生じる誘起パルスが一次側受信部120で検出されて帰還信号S13がハイレベルとされる。従って、入力信号INと帰還信号S13とが同一の論理レベルとなるので、比較信号S14にトリガパルスが立てられることはなく、延いては、第1回路100から第2回路200に対して入力信号INの論理レベルが再通知されることもない。
一方、時刻t22と時刻t23との間において、出力信号OUTの論理レベルが意図せずローレベルに立ち下がると、時刻t23では、二次側送信部220によって第4信号S22のパルス駆動が行われるので、第2信号S12に生じる誘起パルスが一次側受信部120で検出されて帰還信号S13がローレベルとされる。このとき、入力信号INと帰還信号S13とが異なる論理レベルとなるので、比較信号S14にトリガパルスが立てられる。その結果、一次側送信部110では、入力信号INがハイレベルである旨を再通知すべく、第1信号S11のパルス駆動が行われるので、第3信号S21に生じる誘起パルスが二次側受信部210で検出されて出力信号OUTが速やかにハイレベルに戻される。
時刻t24以降では、時刻t21や時刻t22と同様、入力信号INと帰還信号S13が同一の論理レベルとなるので、入力信号INの論理レベルが再通知されることはない。
なお、図4Aの第2例では、出力信号OUTの論理レベルを第2回路200から第1回路100に対して定期的(周期T1毎)に通知する構成を例に挙げたが、通知タイミングはこれに限定されるものではなく、図4B(図4Aにおける時刻t22〜t23の拡大図に相当)で示すように、定期的な通知に加えて(または定期的な通知に代えて)、出力信号OUTの論理レベルが切り替わる毎に通知を行う構成としてもよい。このような構成とすることにより、入出力論理の不一致をより速やかに解消することが可能となる。
<一次側送信部>
図5は、一次側送信部110の一構成例を示すブロック図である。本構成例の一次側送信部110は、エッジ検出部111と、ORゲート112と、パルス生成部113と、デマルチプレクサ114と、を含む。
エッジ検出部111は、入力信号INのパルスエッジ(立上りエッジ及び立下りエッジの両方)を検出することによりエッジ検出信号S31にトリガパルスを生成する。なお、入力信号INは、後述するようにデマルチプレクサ114の切替信号としても用いられている。これを鑑みると、エッジ検出部111は、入力信号INのパルスエッジを検出してから所定の遅延時間d1が経過した時点で、エッジ検出信号S31にトリガパルスを生成する構成としておくことが望ましい。
ORゲート112は、エッジ検出信号S31と比較信号S14との論理和演算を行ってOR信号S32を生成する。OR信号S32は、エッジ検出信号S31と比較信号S14の少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、双方がローレベルであるときにローレベルとなる。
パルス生成部113は、OR信号S32のパルスエッジ(例えば立上りエッジ)をトリガとして、パルス信号S33に単発または複数発のパルス生成を行う。すなわち、パルス生成部113は、エッジ検出部111で入力信号INのパルスエッジが検出されたとき、若しくは、入出力比較部130で入出力論理の不一致が検出されたときに、パルス信号S33のパルス生成を行う。
デマルチプレクサ114は、入力信号INに応じてパルス信号S33の出力先を切り替える。具体的に述べると、デマルチプレクサ114は、入力信号INがハイレベルであるときにパルス信号S33を第1信号S11として出力する一方、入力信号INがローレベルであるときにパルス信号S33を第2信号S12として出力する。
図6は、一次側送信部110の一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、入力信号IN、比較信号S14、エッジ検出信号S31、OR信号S32、パルス信号S33、第1信号S11、及び、第2信号S12が描写されている。
時刻t31において、入力信号INがハイレベルに立ち上がると、エッジ検出信号S31にトリガパルスが生成される。その結果、OR信号S32にパルスが立ち上がるので、そのパルスエッジをトリガとしてパルス信号S33にパルスが生成される。このとき、入力信号INはハイレベルとなっているので、第1信号S11がパルス駆動される。
また、入力信号INのハイレベル期間中(時刻t32)において、出力信号OUTが意図せずローレベルに立ち下がった結果、比較信号S14にトリガパルスが生成されると、OR信号S32にパルスが立ち上がるので、そのパルスエッジをトリガとしてパルス信号S33にパルスが生成される。このとき、入力信号INはハイレベルとなっているので、第1信号S11がパルス駆動される。
また、時刻t33において、入力信号INがローレベルに立ち下がると、エッジ検出信号S31にトリガパルスが生成される。その結果、OR信号S32にパルスが立ち上がるので、そのパルスエッジをトリガとしてパルス信号S33にパルスが生成される。このとき、入力信号INはローレベルとなっているので、第2信号S12がパルス駆動される。
また、入力信号INのローレベル期間中(時刻t34)において、出力信号OUTが意図せずハイレベルに立ち上がった結果、比較信号S14にトリガパルスが生成されると、OR信号S32にパルスが立ち上がるので、そのパルスエッジをトリガとしてパルス信号S33にパルスが生成される。このとき、入力信号INはローレベルとなっているので、第2信号S12がパルス駆動される。
このように、一次側送信部110は、入力信号INの論理レベルを第2回路200に通知する際、入力信号INの論理レベルに応じてトランス310及び320の一方を選択した上で、その一次巻線311及び321を駆動する。
<一次側受信部>
図7は、一次側受信部120の一構成例を示すブロック図である。本構成例の一次側受信部120は、比較処理部121と、マスク処理部122及び123と、RSフリップフロップ124と、を含む。
比較処理部121は、第1信号S11及び第2信号S12と所定の閾値電圧Vthとを各々比較して受信信号S41a及びS41bを生成する回路部であり、コンパレータ121a及び121bを含む。コンパレータ121aは、非反転入力端(+)に印加される第1信号S11と反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vthとを比較して、受信信号S41aを生成する。受信信号S41aは、第1信号S11が閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベルとなり、第1信号S11が閾値電圧Vthよりも低いときにローレベルとなる。コンパレータ121bは、非反転入力端(+)に印加される第2信号S12と反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vthとを比較して、受信信号S41bを生成する。受信信号S41bは、第2信号S12が閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベルとなり、第2信号S12が閾値電圧Vthよりも低いときにローレベルとなる。
マスク処理部122は、一次側送信部110による第1信号S11及び第2信号S12のパルス駆動を無視するための回路部(第1マスク処理部に相当)であり、マスク回路122a及び122bを含む。マスク回路122a及び122bは、それぞれ、第1信号S11及び第2信号S12に生じたパルスが一次側送信部110のパルス駆動によるものか否かに応じて受信信号S41a及びS41bにマスク処理を施すことにより、受信信号S42a及びS42bを生成する。なお、マスク回路122a及び122bの構成及び動作については後ほど詳述する。
マスク処理部122を含む一次側受信部120は、第2回路200への送信パルスを無視して、第2回路200からの受信パルスのみを受信することができる。また、後ほど詳述するように、二次側受信部210も基本的に一次側受信部120と同様の構成であり、第1回路100への送信パルスを無視して、第1回路100からの受信パルスのみを受信することができる。このような構成とすることにより、第1回路100から第2回路200への信号伝達時と第2回路200から第1回路100への信号伝達時の双方において、共通のトランス310及び320を用いることができるので、信号伝達装置1のパッケージサイズを大型化することなく、第1回路100と第2回路200との双方向通信を実現することが可能となる。
マスク処理部123は、第1信号S11と第2信号S12に同時発生するパルス(ノイズパルスなど)を無視するための回路部(第2マスク処理部に相当)であり、マスク回路123a及び123bを含む。マスク回路123aは、受信信号S42bにパルスが生じているか否かに応じて受信信号S42aにマスク処理を施すことにより、受信信号S43aを生成する。一方、マスク回路123bは、受信信号S42aにパルスが生じているか否かに応じて受信信号S42bにマスク処理を施すことにより、受信信号S43bを生成する。なお、マスク回路123a及び123bの構成及び動作については後述する。
RSフリップフロップ124は、受信信号S43aのパルスエッジをトリガとして帰還信号S13をハイレベルにセットする一方、受信信号S43bのパルスエッジをトリガとして帰還信号S13をローレベルにリセットする。すなわち、帰還信号S13の論理レベルは、第2回路200から第1回路100に通知された出力信号OUTの論理レベルに対応したものとなる。
図8は、一次側受信部120の一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に第1信号S11、第2信号S12、受信信号S41a及びS41b、受信信号S42a及びS42b、受信信号S43a及びS43b、及び、帰還信号S13が描写されている。なお、本図では、説明の便宜上、信号遅延の描写が省略されている。
時刻t41では、一次側送信部110による第1信号S11のパルス駆動に伴い、第1信号S11に送信パルスが生成された場合を示している。この場合、受信信号S41aには、第1信号S11の送信パルスに対応したパルスが生成される。ただし、当該パルスはマスク処理部122によってマスクされるので、受信信号S42aはローレベルのままとなり、これを受けて生成される受信信号S43aもローレベルに維持される。従って、帰還信号S13がハイレベルにセットされることはない。
時刻t42では、一次側送信部110による第2信号S12のパルス駆動に伴い、第2信号S12に送信パルスが生成された場合を示している。この場合、受信信号S41bには、第2信号S12の送信パルスに対応したパルスが生成される。ただし、当該パルスはマスク処理部122によってマスクされるので、受信信号S42bはローレベルのままとなり、これを受けて生成される受信信号S43bもローレベルに維持される。従って、帰還信号S13がローレベルにリセットされることはない。
時刻t43では、二次側送信部220による第3信号S21のパルス駆動に伴い、第1信号S11に誘起パルスが生成された場合を示している。この場合、受信信号S41aには、第1信号S11の誘起パルスに対応したパルスが生成される。当該パルスは、マスク処理部122によってマスクされることなくスルー出力されるので、受信信号S42aにパルスが立ち、これを受けて生成される受信信号S43aにもパルスが立つ。従って、帰還信号S13がハイレベルにセットされる。
時刻t44では、二次側送信部220による第4信号S22のパルス駆動に伴い、第2信号S12に誘起パルスが生成された場合を示している。この場合、受信信号S41bには、第2信号S12の誘起パルスに対応したパルスが生成される。当該パルスは、マスク処理部122によってマスクされることなくスルー出力されるので、受信信号S42bにパルスが立ち、これを受けて生成される受信信号S43bにもパルスが立つ。従って、帰還信号S13がローレベルにリセットされる。
時刻t45では、第1信号S11及び第2信号S12の双方にノイズパルスが同時発生した場合を示している。この場合、受信信号S41a及びS41bには、それぞれ、第1信号S11及び第2信号S12各々のノイズパルスに対応したパルスが生成される。当該パルスは、マスク処理部122によってマスクされることなくスルー出力されるので、受信信号S42a及びS42bの双方にもパルスが同時発生する。ただし、マスク処理部123では、受信信号S42aのパルスに応じて受信信号S42bのパルスがマスクされ、受信信号S42bのパルスに応じて受信信号S42aのパルスがマスクされるので、受信信号S43a及びS43bは、いずれもローレベルに維持される。従って、帰還信号S13の論理レベルが不必要に切り替わることはない。
図9は、マスク回路122aの一構成例を示すブロック図である。本構成例のマスク回路122aは、パルス生成部122a1と、遅延部122a2と、ANDゲート122a3と、を含む。なお、マスク回路122bは、マスク回路122aと全く同一の構成であり、以下の説明において、第1信号S11を第2信号S12に読み替え、受信信号S41a及びS42aを受信信号S41b及びS42bに読み替えれば足りるので、重複した説明は割愛する。
パルス生成部122a1は、一次側送信部110による第1信号S11のパルス駆動を検出したとき、マスク時間w1に亘ってハイレベルとなるマスク信号S51を生成する。なお、第1信号S11に生じるパルスが一次側送信部110のパルス駆動によるものであるか否かを判別するための手法としては、例えば、第1信号S11に生じるパルスが閾値電圧Vth2(>Vth)を上回っているか否かを判定することが考えられる。
遅延部122a2は、受信信号S41aを遅延時間d2(<w1)だけ遅らせることにより、遅延信号S52を生成する。
ANDゲート122a3は、反転極性の第1入力端に入力されるマスク信号S51と、非反転極性の第2入力端に入力される遅延信号S52との論理積演算を行うことにより、受信信号S42aを生成する。マスク信号S51がローレベルであるときには、受信信号S42aとして遅延信号S52がスルー出力される。一方、マスク信号S51がハイレベルであるときには、受信信号S42aが遅延信号S52に依らずローレベルとなる。
図10は、マスク回路122aの一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、第1信号S11、受信信号S41a、マスク信号S51、遅延信号S52、及び、受信信号S42aが描写されている。
時刻t51では、一次側送信部110による第1信号S11のパルス駆動に伴い、第1信号S11に送信パルスが生成された場合を示している。この場合、受信信号S41aには、第1信号S11の送信パルスに対応したパルスが立つので、遅延信号S52にも遅延時間d2だけ遅れてパルスが立つ。ここで、第1信号S11に生じたパルスは、一次側送信部110のパルス駆動によるものであるので、マスク信号S51がマスク時間w1に亘ってハイレベルに立ち上げられる。従って、遅延信号S52のパルスは、マスク信号S51にマスクされるので、受信信号S42aはローレベルに維持される。
時刻t52では、二次側送信部220による第3信号S21のパルス駆動に伴い、第1信号S11に誘起パルスが生成された場合を示している。この場合、受信信号S41aには、第1信号S11の誘起パルスに対応したパルスが立つので、遅延信号S52にも遅延時間d2だけ遅れてパルスが立つ。ここで、第1信号S11に生じた誘起パルスは、一次側送信部110のパルス駆動によるものではないので、マスク信号S51がハイレベルに立ち上げられることはない。従って、遅延信号S52のパルスは、マスク信号S51にマスクされないので、受信信号S42aにパルスが立つ。
図11は、マスク回路123aの一構成例を示すブロック図である。本構成例のマスク回路123aは、パルス生成部123a1と、遅延部123a2と、ANDゲート123a3と、を含む。なお、マスク回路123bは、マスク回路123aと全く同一の構成であり、以下の説明において、受信信号S42aを受信信号S42bに読み替え、受信信号S42bを受信信号S42aに読み替え、受信信号S43aを受信信号S43bに読み替えれば足りるので、重複した説明は割愛する。
パルス生成部123a1は、受信信号S42bのパルスエッジ(例えば立上りエッジ)を検出したとき、マスク時間w1に亘りハイレベルとなるマスク信号S61を生成する。
遅延部123a2は、受信信号S42aを遅延時間d2だけ遅らせることにより、遅延信号S62を生成する。
ANDゲート123a3は、反転極性の第1入力端に入力されるマスク信号S61と、非反転極性の第2入力端に入力される遅延信号S62との論理積演算を行うことにより、受信信号S43aを生成する。マスク信号S61がローレベルであるときには、受信信号S43aとして遅延信号S62がスルー出力される。一方、マスク信号S61がハイレベルであるときには、受信信号S43aが遅延信号S62に依らずローレベルとなる。
図12は、マスク回路123aの一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に、受信信号S42a及びS42b、マスク信号S61、遅延信号S62、及び、受信信号S43aが描写されている。
時刻t61では、受信信号S42a及びS42bの双方にパルスが立った場合を示している。受信信号S42aにパルスが立つと、遅延信号S62にも遅延時間d2だけ遅れてパルスが立つ。一方、受信信号S42bにパルスが立つと、マスク信号S61がマスク期間w1に亘ってハイレベルとなる。従って、遅延信号S62のパルスは、マスク信号S61にマスクされるので、受信信号S43aはローレベルに維持される。
時刻t62では、受信信号S42aのみにパルスが立った場合を示している。受信信号S42aにパルスが立つと、遅延信号S62にも遅延時間d2だけ遅れてパルスが立つ。一方、受信信号S42bにはパルスが立っていないので、マスク信号S61がハイレベルに立ち上げられることはない。従って、遅延信号S62のパルスは、マスク信号S61にマスクされないので、受信信号S43aにパルスが立つ。
時刻t63では、受信信号S42bのみにパルスが立った場合を示している。受信信号S42bにパルスが立つと、マスク信号S61がマスク期間w1に亘ってハイレベルとなる。一方、受信信号S42aにはパルスが立っていないので、遅延信号S62はローレベルのままとなり、この遅延信号S62が受信信号S43aとしてスルー出力される。
<二次側送信部>
図13は、二次側送信部220の一構成例を示すブロック図である。本構成例の二次側送信部220は、発振部221と、遅延部222と、パルス生成部223と、デマルチプレクサ224と、Dフリップフロップ225と、を含む。
発振部221は、周期T1でパルス駆動される発振信号S71を生成する。
遅延部222は、発振信号S71を遅延時間d3だけ遅らせることにより、遅延発振信号S72を生成する。
パルス生成部223は、遅延発振信号S72のパルスエッジ(例えば立上りエッジ)をトリガとして、パルス信号S73に単発または複数発のパルス生成を行う。
デマルチプレクサ224は、切替信号S74に応じてパルス信号S73の出力先を切り替える。具体的に述べると、デマルチプレクサ224は、切替信号S74がハイレベルであるときにパルス信号S73を第3信号S21として出力する一方、切替信号S74がローレベルであるときにパルス信号S73を第4信号S22として出力する。
Dフリップフロップ225は、クロック端に入力される発振信号S71のパルスエッジ(例えば立上りエッジ)をトリガとして、データ端(D)に入力される出力信号OUTをラッチし、出力端(Q)から切替信号S74として出力する。
図14は、二次側送信部220の一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に、出力信号OUT、発振信号S71、遅延発振信号S72、パルス信号S73、切替信号S74、第3信号S21、及び、第4信号S22が描写されている。
時刻t71〜t73の各々において、発振信号S71にパルスが立つと、遅延発振信号S72にも遅延時間d3だけ遅れてパルスが立ち、そのパルスエッジをトリガとしてパルス信号S73にパルスが生成される。なお、時刻t71及びt73では、発振信号S71にパルスが立った時点で出力信号OUTがローレベルであることから、切替信号S74がローレベルにラッチされている。従って、パルス信号S73は、第4信号S22として出力される。一方、時刻t72では、発振信号S71にパルスが立った時点で出力信号OUTがハイレベルであることから、切替信号S74がハイレベルにラッチされている。従って、パルス信号S73は、第4信号S22として出力される。
このように、二次側送信部220は、出力信号OUTの論理レベルを第1回路100に通知する際、出力信号OUTの論理レベルに応じてトランス310及び320の一方を選択した上で、その二次巻線312及び322を駆動する。
<二次側受信部(第1構成例)>
図15は、二次側受信部210の第1構成例を示すブロック図である。本構成例の二次側受信部210は、比較処理部211と、マスク処理部212及び213と、RSフリップフロップ214と、動作状態判定部215と、を含む。
比較処理部211は、第3信号S21及び第4信号S22と所定の閾値電圧Vthとを各々比較して受信信号S81a及びS81bを生成する回路部であり、コンパレータ211a及び211bを含む。コンパレータ211aは、非反転入力端(+)に印加される第3信号S21と反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vthとを比較して、受信信号S81aを生成する。受信信号S81aは、第3信号S21が閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベルとなり、第3信号S21が閾値電圧Vthよりも低いときにローレベルとなる。コンパレータ211bは、非反転入力端(+)に印加される第4信号S22と反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vthとを比較して、受信信号S81bを生成する。受信信号S81bは、第4信号S22が閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベルとなり、第4信号S22が閾値電圧Vthよりも低いときにローレベルとなる。
マスク処理部212は、二次側送信部220による第3信号S21及び第4信号S22のパルス駆動を無視するための回路部(第1マスク処理部に相当)であり、マスク回路212a及び212bを含む。マスク回路212a及び212bは、それぞれ、第3信号S21及び第4信号S22に生じたパルスが二次側送信部220のパルス駆動によるものか否かに応じて受信信号S81a及びS81bにマスク処理を施すことにより、受信信号S82a及びS82bを生成する。なお、マスク回路212a及び212bの構成及び動作については、一次側のマスク回路122a及び122bと基本的に同一であるので、重複した説明は割愛する。
マスク処理部213は、第3信号S21と第4信号S22に同時発生するパルス(ノイズパルスなど)を無視するための回路部(第2マスク処理部に相当)であり、マスク回路213a及び213bを含む。マスク回路213aは、受信信号S82bにパルスが生じているか否かに応じて受信信号S82aにマスク処理を施すことにより、受信信号S83aを生成する。一方、マスク回路213bは、受信信号S82aにパルスが生じているか否かに応じて受信信号S82bにマスク処理を施すことにより、受信信号S83bを生成する。なお、マスク回路213a及び213bの構成及び動作については、一次側のマスク回路123a及び123bと基本的に同一であるので、重複した説明は割愛する。
RSフリップフロップ214は、受信信号S83aのパルスエッジをトリガとして出力信号OUTをハイレベルにセットする一方、受信信号S83bのパルスエッジをトリガとして出力信号OUTをローレベルにリセットする。すなわち、出力信号OUTの論理レベルは、第1回路100から第2回路200に通知された入力信号INの論理レベルに対応したものとなる。
動作状態判定部215は、マスク処理部212で生成される受信信号S82a及びS82bを監視し、第3信号S21及び第4信号S22の少なくとも一方に誘起パルス(第1回路100からの受信パルス)が生じたか否かを検出することにより、第1回路100の動作状態を判定し、その判定結果に応じた判定信号S84をRSフリップフロップ214に出力する。判定信号S84が異常時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときにはRSフリップフロップ214がリセットされるので、出力信号OUTの生成動作が強制的に停止される。
なお、動作状態判定部215の導入に伴い、一次側送信部110には、入力信号INの論理レベルが固定されたままで所定期間T2が経過する毎に、第1信号S11と第2信号S12を同時にパルス駆動する機能を追加することが望ましい。この点については、後ほど詳細に説明する。
図16は、二次側受信部210の第1動作例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、入力信号IN、第1信号S11、第2信号S12、第3信号S21、第4信号S22、受信信号S81a及びS81b、受信信号S82a及びS82b、受信信号S83a及びS83b、及び、出力信号OUTが描写されている。本図では、説明の便宜上、信号遅延の描写が省略されている。また、本図では、第2回路200から第1回路100に対する信号送信(出力論理レベルの通知)の描写が割愛されている。
まず、第1回路100と第2回路200との基本的な信号伝達動作について説明する。時刻t81及びt82で示したように、一次側送信部110は、入力信号INの立上りエッジで第1信号S11のパルス駆動を行う一方、入力信号INの立下りエッジで第2信号S12のパルス駆動を行う。二次側受信部210は、第1信号S11のパルス駆動により生じる第3信号S21の誘起パルスを検出して出力信号OUTをハイレベルとする一方、第2信号S12のパルス駆動により生じる第4信号S22の誘起パルスを検出して出力信号OUTをローレベルとする。その結果、入力信号INの論理レベルが切り替わると、これに合わせて出力信号OUTの論理レベルも切り替わる。
二次側受信部210の内部動作について詳述する。時刻t81において、受信信号S81aには、第3信号S21の誘起パルスに対応したパルスが生成される。当該パルスは、マスク処理部212によってマスクされることなくスルー出力されるので、受信信号S82aにパルスが立ち、これを受けて生成される受信信号S83aにもパルスが立つ。従って、出力信号OUTがハイレベルにセットされる。
一方、時刻t82において、受信信号S81bには、第4信号S22の誘起パルスに対応したパルスが生成される。当該パルスは、マスク処理部212によってマスクされることなくスルー出力されるので、受信信号S82bにパルスが立ち、これを受けて生成される受信信号S83bにもパルスが立つ。従って、出力信号OUTがローレベルにリセットされる。
次に、第2回路200側で第1回路100の動作状態(正常状態/異常状態)を正確かつ迅速に判定するための新たな手法について、図16を適宜参照しながら詳述する。先に述べたように、動作状態判定部215は、第3信号S21及び第4信号S22の少なくとも一方に誘起パルス(第1回路100からの受信パルス)が生じたか否かを検出することにより、第1回路100の動作状態を判定する。すなわち、動作状態判定部215は、第1回路100からの受信パルスが判定期間内に検出されれば第1回路100が正常状態であると判定する一方、第1回路100からの受信パルスが判定期間内に検出されなければ第1回路100が異常状態(例えば電源遮断状態または低電源状態)であると判定する。
しかしながら、第1回路100からの受信パルスが判定期間内に検出されない状況としては、第1回路100が異常状態である場合のほか、入力信号INの論理レベルが長期間に亘って切り替えられない場合もあり得る。そのため、上記の判定期間が短過ぎると、第1回路100が正常状態であるにも関わらずこれを異常状態であると誤判定してしまうおそれがあり、逆に、上記の判定期間が長過ぎると、第1回路100が異常状態であるにも関わらずその判定が遅れてしまうおそれがある。
そこで、本構成例の信号伝達装置1において、一次側送信部110は、入力信号INの論理レベルが固定されたままで所定期間T2が経過する毎に、第1信号S11と第2信号S12を同時にパルス駆動する機能(すなわち、通常の信号伝達動作と異なり、入力信号INの論理レベルを示さない特別なパルス駆動を行う機能)を備えた構成とされている。
図16に即して説明すると、一次側送信部110は、時刻t81における入力信号INの立上りエッジで第1信号S11のパルス駆動を行った後、入力信号INがハイレベルに固定されたままで所定期間T2が経過する毎に、第1信号S11と第2信号S12を同時にパルス駆動する。また、一次側送信部110は、時刻t82における入力信号INの立下りエッジで第2信号S12のパルス駆動を行った後、入力信号INがローレベルに固定されたままで所定期間T2が経過する毎に、第1信号S11と第2信号S12を同時にパルス駆動する。
このとき、受信信号S81a及びS81bには、それぞれ、第3信号S21及び第4信号S22各々の誘起パルスに対応したパルスが生成される。当該パルスは、マスク処理部212によってマスクされることなくスルー出力されるので、受信信号S82a及びS82bの双方にパルスが同時発生する。従って、動作状態判定部215では、当該パルスの少なくとも一方を検出することにより、第1回路100が正常状態であると判定することができる。これに対して、第1回路100が異常状態であるときには、第3信号S21及び第4信号S22のいずれにも誘起パルスが生じないので、当該誘起パルスが判定期間内に検出されなければ、第1回路100が異常状態であると判定することができる。また、動作状態判定部215の判定期間としては、所定期間T2(またはこれよりも若干長い期間)に設定すれば足りるので、第1回路100が異常状態であるときにはこれを遅滞なく判定することが可能となる。
このように、本構成例の信号伝達装置1であれば、第2回路200側で第1回路100の動作状態を正確かつ迅速に判定することができるので、第1回路100及び第2回路200に対する電源投入シーケンスを考慮する必要がなくなる。
なお、マスク処理部213では、受信信号S82a及びS82bの同時パルスがマスクされるので、受信信号S83a及びS83bは、ローレベルに維持される。従って、出力信号OUTの論理レベルが不必要に切り替わることはない。また、先にも述べたように、一次側受信部120にも、受信信号S42a及びS42bの同時パルスをマスクするマスク処理部123が設けられているので、帰還信号S13の論理レベルが不必要に切り替わることもない。
<第2実施形態>
図17は、信号伝達装置の第2実施形態を示すブロック図である。第2実施形態の信号伝達装置1は、基本的に先出の第1実施形態と同様であるが、第3回路300にトランス330が追加されている点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
第3回路300にトランス330が追加されたことに伴い、先出の一次側受信部120及び二次側送信部220は、それぞれ、一次側送受信部140及び二次側送受信部230に変更されている。
一次側送受信部140は、トランス330経由でクロック信号CLKを二次側送受信部230に送信し、二次側送受信部230はこれを受信する。一方、二次側送受信部230は、クロック信号CLKに同期してトランス330経由で出力信号OUTの論理レベルを一次側送受信部140に送信し、一次側送受信部140はこれを受信する。
上記の双方向通信について時系列順に説明する。まず、一次側送受信部140は、所定周波数のクロック信号CLKに応じて、トランス330の一次巻線331に印加される第5信号S15のパルス駆動を行う。次に、二次側送受信部230は、第5信号S15のパルス駆動によりトランス330の二次巻線332に現れる第6信号S23の誘起パルスを検出し、出力信号OUTの論理レベルに応じて第6信号S23のパルス駆動を行う。そして、一次側送受信部140は、第6信号S23のパルス駆動によりトランス330の一次巻線331に現れる第5信号S15の誘起パルスを検出して帰還信号S13を生成する。
このように、第2実施形態の信号伝達装置1では、出力監視専用のトランス330を設けたことにより、トランス310及び320を入力伝達時と出力監視時の双方で共用していた第1実施形態と比べて、信号伝達のタイミング制約を低減することが可能となる。
なお、二次側送受信部230は、出力信号OUTの論理レベルを一次側送受信部140に通知する際に、出力信号OUTの論理レベルに応じた周波数で第6信号S23のパルス駆動を行う。以下では、パルス駆動の具体例を挙げて詳細に説明する。
図18は、出力信号OUTの論理レベルに応じたパルス駆動の一例を示す図である。本図の上段(OUT=L)及び下段(OUT=H)で示したように、一次側送受信部140は、出力信号OUTの論理レベルに依ることなく、定期的に第5信号S15のパルス駆動(Pa)を行う。従って、第6信号S23にはこれに伴う誘起パルスが定期的に現れる。
ここで、出力信号OUTがローレベルである場合には、第6信号S23の誘起パルスが検出される度に欠かさず第6信号S23のパルス駆動(Pb)が行われる。一方、出力信号OUTがハイレベルである場合(本図の下段)には、第6信号S23の誘起パルスが2回検出される毎に1回の割合で第6信号S23のパルス駆動(Pb)が行われる。すなわち、出力信号OUTがハイレベルであるときには、出力信号OUTがローレベルであるときに比べて、パルス駆動(Pb)の周波数が1/2に引き下げられる。
上記したように、出力信号OUTの論理レベルに応じた周波数で第6信号S23のパルス駆動(Pb)を行うことにより、一次側送受信部140では、第5信号S15に生じる誘起パルスの周波数に応じて出力信号OUTの論理レベルを検出することが可能となる。
なお、パルス駆動(Pb)の周波数が低いほど、二次側送受信部230の消費電流を抑えることができる。従って、出力信号OUTがノーマリーハイであれば、出力信号OUTがハイレベルであるときにパルス駆動(Pb)の周波数を引き下げる構成とすることが望ましい。逆に、出力信号OUTがノーマリーローであれば、出力信号OUTがローレベルであるときにパルス駆動(Pb)の周波数を引き下げる構成とすることが望ましい。
また、二次側送受信部230の省電力化を優先するのであれば、パルス駆動(Pb)の周波数をさらに低く設定してもよい。ただし、パルス駆動(Pb)の周波数が低いほど、一次側送受信部140での出力論理判定に要する時間が延びる点に留意が必要である。
<一次側送受信部>
図19は、一次側送受信部140の一構成例を示すブロック図である。本構成例の一次側送受信部140は、パルス生成部141と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ142と、CMOS比較部143と、マスク処理部144と、帰還信号生成部145と、を含む。
パルス生成部141は、クロック信号CLKに応じてゲート信号S91のパルス駆動を行う。より具体的に述べると、パルス生成部141は、クロック信号CLKのパルスエッジ(例えば立上りエッジ)をトリガとして、ゲート信号S91にパルスを生成する。
トランジスタ142は、一次側送受信部140の出力スイッチである。トランジスタ142のソース及びバックゲートは、いずれも電源電圧Vccの印加端に接続されている。トランジスタ142のドレインは、第5信号S15の印加端(一次巻線331の一端)に接続されている。トランジスタ142のゲートは、パルス生成部141の出力端(ゲート信号S91の印加端)に接続されている。トランジスタ142は、ゲート信号S91がローレベルであるときにオンし、ゲート信号S91がハイレベルであるときにオフする。
CMOS比較部143は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ143a及び143bと、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ143cとを含むCMOS段であり、第5信号S15の入力を受けて受信信号S92を生成する。トランジスタ143aのソース及びバックゲートは、電源端に接続されている。トランジスタ143aのドレインは、トランジスタ143bのソース及びバックゲートに接続されている。トランジスタ143b及び143cのドレインは、いずれも受信信号S92の出力端に接続されている。トランジスタ143cのソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ143a〜143cのゲートは、いずれも、第5信号S15の印加端(一次巻線331の一端)に接続されている。受信信号S92は、第5信号S15がCMOS比較部143の論理反転閾値(先出の閾値電圧Vthに相当)よりも高いときにローレベルとなり、第5信号S15がCMOS比較部143の論理反転閾値よりも低いときにハイレベルとなる。なお、先出のコンパレータ121a及び121b(図7)やコンパレータ211a及び211b(図15)をオペアンプ型からCMOS型に変更することも任意である。
マスク処理部144は、ゲート信号S91のパルスを用いて受信信号S92にマスク処理を施すことにより、マスク処理済みの受信信号S93を生成する。マスク処理部144を含む一次側送受信部140は、自ら生成した第2回路200への送信パルスを無視して第2回路200からの受信パルスのみを受信することができる。なお、先出のマスク処理回路122a及び122b(図7)についても、本構成と同じく、一次側送信部110の内部信号(例えば、図5のパルス信号S33)を用いて受信信号S41a及びS41bにそれぞれマスク処理を施す構成とすることができる。また、先出のマスク処理回路212a及び212b(図15)についても同様である。
帰還信号生成部145は、クロック信号CLKとマスク処理済みの受信信号S93の入力を受けて帰還信号S13を生成する。帰還信号S13は、先の第1実施形態と同じく、入出力比較部130に出力され、入出力論理の一致/不一致判定に供される。
図20は、帰還信号生成部145の一構成例を示すブロック図である。本構成例の帰還信号生成部145は、Dフリップフロップ145a〜145dを含む。
Dフリップフロップ145aのデータ端(D)は、電源端に接続されている。Dフリップフロップ145aの出力端(Q)は、Dフリップフロップ145bのデータ端(D)に接続されている。Dフリップフロップ145a及び145bのクロック端は、いずれもクロック信号CLKの印加端に接続されている。Dフリップフロップ145a及び145bのリセット端は、いずれも受信信号S93の印加端に接続されている。Dフリップフロップ145cのデータ端(D)は、電源端に接続されている。Dフリップフロップ145cの出力端(Q)は、Dフリップフロップ145dのデータ端(D)に接続されている。Dフリップフロップ145c及び145dのクロック端は、いずれも受信信号S93の印加端に接続されている。Dフリップフロップ145c及び145dのリセット端は、いずれもDフリップフロップ145bの出力端(Q)に接続されている。Dフリップフロップ154dの反転出力端(QB)は、帰還信号S13の出力端に相当する。
なお、本図では明示されていないが、帰還信号生成部145には、内部信号処理のタイミング調整を行う手段として、任意の信号経路上に遅延段(バッファやインバータなど)を設けてもよい。
図21は、帰還信号生成動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、出力信号OUT、クロック信号CLK、受信信号S93、ラッチ信号S101〜S103(Dフリップフロップ145a〜145cの各出力信号)、及び、帰還信号S13が描写されている。なお、本図の例では、出力信号OUTが時刻t91〜t92の間でローレベルからハイレベルに立ち上がっており、時刻t97〜t98の間でハイレベルからローレベルに立ち下がっている。
クロック信号CLKは、所定の周波数でパルス駆動されている。なお、本図の例では、時刻t90〜t99のそれぞれでクロック信号CLKがハイレベルに立ち上がっている。
受信信号S93は、出力信号OUTの論理レベルに応じた周波数でパルス駆動されている。なお、本図では、先の図18に倣い、出力信号OUTがローレベルである場合には、クロック信号CLKがパルス駆動される度に欠かさず受信信号S93もパルス駆動される一方、出力信号OUTがハイレベルである場合には、クロック信号CLKが2回パルス駆動される毎に1回の割合で受信信号S93がパルス駆動される様子が描写されている。
Dフリップフロップ145aは、クロック信号CLKの立上りエッジで入力信号(=ハイレベル固定)をラッチし、受信信号S93の立上りエッジで出力信号(=ラッチ信号S101)をリセットする。従って、ラッチ信号S101は、クロック信号CLKの立上りエッジでハイレベルとなり、受信信号S93の立上りエッジでローレベルとなる。
Dフリップフロップ145bは、クロック信号CLKの立上りエッジで入力信号(=ラッチ信号S101)をラッチし、受信信号S93の立上りエッジで出力信号(=ラッチ信号S102)をリセットする。従って、ラッチ信号S102は、クロック信号CLKの立上りエッジでその直前のラッチ信号S101と同一の論理レベルとなり、受信信号S93の立上りエッジでローレベルとなる。
Dフリップフロップ145cは、受信信号S93の立上りエッジで入力信号(=ハイレベル固定)をラッチし、ラッチ信号S102の立上りエッジで出力信号(=ラッチ信号S103)をリセットする。従って、ラッチ信号S103は、受信信号S93の立上りエッジでハイレベルとなり、ラッチ信号S102の立上りエッジでローレベルとなる。
Dフリップフロップ145dは、受信信号S93の立上りエッジで入力信号(=ラッチ信号S103)をラッチし、ラッチ信号S102の立上りエッジで反転出力信号(=帰還信号S13)をリセットする。従って、帰還信号S13は、受信信号S93の立上りエッジでその直前のラッチ信号S103と反対の論理レベルとなり、ラッチ信号S102の立上りエッジでハイレベルとなる。
上記した帰還信号生成動作により、帰還信号S13は、出力信号OUTがハイレベルであればハイレベルとなり、出力信号OUTがローレベルであればローレベルとなる。ただし、出力信号OUTの論理レベルが切り替わってから帰還信号S13の論理レベルが切り替わるまでには、上記の帰還信号生成動作に伴う遅延が生じる。従って、入出力比較部130における入出力論理の一致/不一致判定処理は、当該遅延を考慮して適切なタイミングで実施することが望ましい。
<二次側送受信部>
図22は、二次側送受信部230の一構成例を示すブロック図である。本構成例の二次側送受信部230は、パルス生成部231と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ232と、コンパレータ233と、マスク処理部234と、動作状態判定部235と、を含む。なお、二次側送受信部230の導入に伴い、二次側受信部210では、図15のマスク処理部212と動作状態判定部215が削除されている。
パルス生成部231は、マスク処理済みの受信信号S113(第1回路100から伝達されたクロック信号CLKに相当)に同期して、出力信号OUTの論理レベルに応じたゲート信号S111のパルス駆動を行う。先の図18に倣うと、パルス生成部231は、出力信号OUTがローレベルである場合には、マスク処理済みの受信信号S113にパルスが現れる度に欠かさずゲート信号S111をパルス駆動する一方、出力信号OUTがハイレベルである場合には、マスク処理済みの受信信号S113に2回パルスが現れる毎に1回の割合でゲート信号S111をパルス駆動する。
トランジスタ232は、二次側送受信部230の出力スイッチである。トランジスタ232のソース及びバックゲートは、いずれも電源端に接続されている。トランジスタ232のドレインは、第6信号S23の印加端(二次巻線332の一端)に接続されている。トランジスタ232のゲートは、パルス生成部231の出力端(ゲート信号S111の印加端)に接続されている。トランジスタ232は、ゲート信号S111がローレベルであるときにオンし、ゲート信号S111がハイレベルであるときにオフする。
コンパレータ233は、反転入力端(−)に印加される第6信号S23と非反転入力端(+)に印加される閾値電圧Vth2とを比較して受信信号S112を生成する。受信信号S112は、第6信号S23が閾値電圧Vth2よりも高いときにハイレベルとなり、第6信号S23が閾値電圧Vth2よりも低いときにローレベルとなる。なお、コンパレータ233をオペアンプ型からCMOS型(図19のCMOS比較部143を参照)に変更することも可能である。
また、上記の閾値電圧Vth2は、高低2値のヒステリシスを持っており、受信信号S112の論理レベルに応じて、上側閾値Vth2Hと下側閾値Vth2L(ただしVth2H>Vth2L>Vth)のいずれか一方に切り替わる。
より具体的に述べると、受信信号S112がローレベルに維持されているときには、閾値電圧Vth2が上側閾値Vth2Hに設定される。従って、第6信号S23に上側閾値Vth2Hを上回る誘起パルスが現れない限り、受信信号S112はローレベルに維持されたままとなる。第6信号S23に上側閾値Vth2Hを上回る誘起パルスが現れて、受信信号S112がハイレベルに立ち上がると、閾値電圧Vth2が下側閾値Vth2Lに切り替わる。これ以後、受信信号S112のパルスが所定期間内に生じている限り、閾値電圧Vth2は下側閾値Vth2Lに維持される。第6信号S23に下側閾値Vth2Lを上回る誘起パルスが現れなくなり、受信信号S112が所定期間に亘ってローレベルに維持されると、閾値電圧Vth2が再び上側閾値Vth2Hに切り替わる。
マスク処理部234は、ゲート信号S111のパルスを用いて受信信号S112にマスク処理を施すことにより、マスク処理済みの受信信号S113を生成する。マスク処理部234を含む二次側送受信部230は、自らが生成した第1回路100への送信パルスを無視して、第1回路100からの受信パルスのみを受信することができる。
動作状態判定部235は、マスク処理済みの受信信号S113を監視して、第1回路100の動作状態に応じた判定信号S114を生成する。より具体的に述べると、動作状態判定部235は、受信信号S113のパルス(第1回路100からの受信パルス)が判定期間内に検出されれば、第1回路100が正常状態であると判定して判定信号S114を正常時の論理レベル(例えばローレベル)とする一方、受信信号S113のパルスが判定期間内に検出されなければ、第1回路100が異常状態(例えば電源遮断状態または低電源状態)であると判定して判定信号S114を異常時の論理レベル(例えばハイレベル)とする。判定信号S114が異常時の論理レベルであるときには、RSフリップフロップ214がリセットされるので、出力信号OUTの生成動作が強制的に停止される。
図23は、二次側受信部210及び二次側送受信部230の一動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、第1信号S11(実線)及び第2信号S12(破線)、第3信号S21(実線)及び第4信号S22(破線)、出力信号OUT、第5信号S15、第6信号S23、受信信号S112(マスク処理済みの受信信号S113も実質的に同一)、並びに、判定信号S114が描写されている。なお、本図では、説明の便宜上、信号遅延の描写が省略されている。また、本図では、第2回路200から第1回路100に対する信号送信(出力論理レベルの通知)の描写が割愛されている。
まず、期間T11(時刻t101〜t102)に着目して説明する。期間T11は、例えば、信号伝達装置1の起動直後状態(第1回路100に供給される電源電圧Vccが殆ど立ち上がっていない状態)に相当する。期間T11では、入力信号INのパルスエッジで第1信号S11及び第2信号S12を各々パルス駆動しても、その信号レベル(電源電圧Vccに依存)が低過ぎるので、第3信号S21及び第4信号S22に各々現れる誘起パルスが閾値電圧Vthを上回らない。従って、二次側受信部210で出力信号OUTの論理レベルが切り替えられることはなく、出力信号OUTはローレベルに維持されたままとなる。また、期間T11では、クロック信号CLKに応じて第5信号S15をパルス駆動しても、その信号レベルが低過ぎるので、第6信号S23に現れる誘起パルスが上側閾値Vth2Hを上回らない。従って、二次側送受信部230で受信信号S112(延いては受信信号S113)のパルスが検出されることはなく、判定信号S114はハイレベル(異常時の論理レベル)に維持されたままとなる。
次に、期間T12(時刻t102〜t103)、及び、期間T13(時刻t103〜t104)に着目して説明する。期間T12及び期間T13は、例えば、信号伝達装置1の起動途中状態(電源電圧Vccがある程度上昇しているものの未だ目標値に達していない状態)に相当する。期間T12及び期間T13では、入力信号INのパルスエッジで第1信号S11及び第2信号S12を各々パルス駆動することにより、第3信号S21及び第4信号S22の各々に閾値電圧Vthを上回る誘起パルスが現れる。従って、二次側受信部210は、判定信号S114がローレベル(正常時の論理レベル)でありさえすれば、入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替えられる状態となる。しかしながら、期間T12及び期間T13では、第5信号S15のパルス駆動に応じて第6信号S23に現れる誘起パルスが上側閾値Vth2Hを上回るほど大きくなっていないので、二次側送受信部230では、未だ受信信号S112(延いては受信信号S113)のパルスが検出されない。従って、判定信号S114がハイレベル(異常時の論理レベル)に維持されるので、二次側受信部210による出力信号OUTの生成動作は、強制的に停止されたままとなる(出力信号OUTの破線を参照)。
次に、期間T14(時刻t104〜t105)、及び、期間T15(時刻t105〜t106)に着目して説明する。期間T14及び期間T15は、例えば、信号伝達装置1の起動完了状態(電源電圧Vccが目標値に到達している状態)に相当する。期間T14では、第5信号S15のパルス駆動に応じて第6信号S23に現れる誘起パルスが上側閾値Vth2Hを上回っているので、二次側送受信部230で受信信号S112(延いては受信信号S113)のパルスが検出され、判定信号S114がローレベル(正常時の論理レベル)に切り替わる。従って、二次側受信部210では、入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルが切り替えられる。
また、二次側送受信部230で受信信号S112のパルスが検出されたことに伴い、閾値電圧Vth2は、上側閾値Vth2Hから下側閾値Vth2Lに切り替わる。従って、期間T15で示したように、電源電圧Vccがその目標値から低下し、第6信号S23の誘起パルスが上側閾値Vth2Hを下回ったとしても、当該誘起パルスが下側閾値Vth2Lを上回っている限り、二次側送受信部230における受信信号S112(延いては受信信号S113)のパルス検出が継続されるので、判定信号S114がローレベル(正常時の論理レベル)に維持される。従って、期間T15では、二次側受信部210による出力信号OUTの生成動作が継続される。
次に、期間T16(時刻t106〜t107)、及び、期間T17(時刻t107〜t108)に着目して説明する。期間T16及び期間T17は、例えば、信号伝達装置1の減電状態(電源電圧Vccがその目標値から大幅に低下した状態)に相当する。期間T16では、期間T15よりも更に電源電圧Vccが低下し、第6信号S23の誘起パルスが下側閾値Vth2Lを下回る状態となっている。このような状態になると、二次側送受信部230では、もはや受信信号S112(延いては受信信号S113)のパルスが検出されなくなるので、判定信号S114がハイレベル(異常時の論理レベル)に切り替わり、二次側受信部210による出力信号OUTの生成動作が再び禁止状態となる。ただし、期間T16では、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが未だ閾値電圧Vthを上回っているので、二次側受信部210は、判定信号S114がハイレベル(正常時の論理レベル)でありさえすれば、入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替えられる状態にある。
一方、期間T17では、期間T16よりも更に電源電圧Vccが低下した結果、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが閾値電圧Vthさえも下回る状態となっている。このような状態では、先述の期間T11と同様、入力信号INのパルスエッジで第1信号S11及び第2信号S12を各々パルス駆動しても、その信号レベル(電源電圧Vccに依存)が低過ぎるので、第3信号S21及び第4信号S22に各々現れる誘起パルスが閾値電圧Vthを上回らない。従って、二次側受信部210は、もはや出力信号OUTの論理レベルを切り替えることができない状態となる。
このように、第2実施形態の信号伝達装置1において、二次側受信部210は、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが閾値電圧Vthを上回っていれば、出力信号OUTの論理レベルを切り替えるための内部信号処理を行う一方、二次側送受信部230は、第6信号S23の誘起パルスが閾値電圧Vthよりも高い閾値電圧Vth2(上側閾値Vth2H及び上側閾値Vth2L)を上回っていなければ、二次側受信部210による出力信号OUTの出力動作を禁止する構成とされている。
このような構成とすることにより、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが完全に検出できなくなる前に、予め出力信号OUTの生成動作を禁止することができる。従って、判定信号S114のハイレベル遷移(出力禁止)が多少遅れたとしても、出力信号OUTの論理レベルが意図しない不定状態とはならないので、信号伝達処理の信頼性を高めることが可能となる。
また、閾値電圧Vth2に高低2値のヒステリシスを持たせることにより、減電限界付近でのチャタリング(出力動作の許可/禁止が不必要に繰り返される状態)を防止することができるので、信号伝達処理の安定性を高めることが可能となる。
<二次側受信部(第2構成例)>
図24は、二次側受信部210の第2構成例を示すブロック図である。本構成例の二次側受信部210は、第1実施形態の信号伝達装置1(図1)に用いられるものであって、先に説明した図22の構成に倣い、出力論理切替用の閾値電圧Vthと動作状態判定用の閾値電圧Vth2(上側閾値Vth2H/下側閾値Vth2L)とを個別に設けた構成とされている。
より具体的に述べると、本構成例の二次側受信部210は、図15の動作状態判定部215に代えて、比較処理部216と、マスク処理部217と、動作状態判定部218と、を含む。
比較処理部216は、第3信号S21及び第4信号S22と所定の閾値電圧Vth2とを各々比較して受信信号S85a及びS85bを生成する回路部であり、コンパレータ216a及び216bとORゲート216cを含む。
コンパレータ216aは、非反転入力端(+)に印加される第3信号S21と反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vth2とを比較して、受信信号S85aを生成する。受信信号S85aは、第3信号S21が閾値電圧Vth2よりも高いときにハイレベルとなり、第3信号S21が閾値電圧Vth2よりも低いときにローレベルとなる。コンパレータ216bは、非反転入力端(+)に印加される第4信号S22と反転入力端(−)に印加される閾値電圧Vth2とを比較して受信信号S85bを生成する。受信信号S85bは、第4信号S22が閾値電圧Vth2よりも高いときにハイレベルとなり、第4信号S22が閾値電圧Vth2よりも低いときにローレベルとなる。なお、コンパレータ216a及び216cをオペアンプ型からCMOS型(図19のCMOS比較部143を参照)に変更することも可能である。
ORゲート216cは、受信信号S85aと受信信号S85bとの論理和信号S85cを生成する。論理和信号S85cは、受信信号S85a及びS85bの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなり、受信信号S85a及びS85bの双方がローレベルであるときにローレベルとなる。
なお、上記の閾値電圧Vth2は、高低2値のヒステリシスを持っており、論理和信号S85cの論理レベルに応じて、上側閾値Vth2Hと下側閾値Vth2L(ただしVth2H>Vth2L>Vth)のいずれか一方に切り替わる。
より具体的に述べると、論理和信号S85cがローレベルに維持されているときには、閾値電圧Vth2が上側閾値Vth2Hに設定される。従って、第3信号S21及び第4信号S22の少なくとも一方に上側閾値Vth2Hを上回る誘起パルスが現れない限り、受信信号S85a及びS85bはローレベルに維持されたままとなる。第3信号S21及び第4信号S22の少なくとも一方に上側閾値Vth2Hを上回る誘起パルスが現れて、受信信号S85a及びS85bの少なくとも一方がハイレベルに立ち上がると、論理和信号S85cがハイレベルに立ち上がるので、閾値電圧Vth2が下側閾値Vth2Lに切り替わる。これ以後、受信信号S85a及びS85bのパルスが所定期間内に生じている限り、閾値電圧Vth2は下側閾値Vth2Lに維持される。一方、第3信号S21及び第4信号S22のいずれにも下側閾値Vth2Lを上回る誘起パルスが現れなくなり、受信信号S85a及びS85bがいずれも所定期間に亘ってローレベルに維持された結果、論理和信号S85cが所定期間に亘ってローレベルに維持されると、閾値電圧Vth2が再び上側閾値Vth2Hに切り替わる。
マスク処理部217は、二次側送信部220の内部信号(例えば、図13のパルス信号S73)を用いて受信信号S85a及びS85bにマスク処理を施すことにより、マスク処理済みの受信信号S86a及びS86bを生成する。マスク処理部217を含む二次側受信部210は、第2回路200から第1回路100への送信パルスを無視して、第1回路100から第2回路200への受信パルスのみを受信することができる。
動作状態判定部218は、マスク処理済みの受信信号S86a及びS86bを監視して第1回路100の動作状態に応じた判定信号S87を生成する。より具体的に述べると、動作状態判定部218は、受信信号S86a及びS86bのパルス(第1回路100からの受信パルス)が判定期間内に検出されれば、第1回路100が正常状態であると判定して判定信号S87を正常時の論理レベル(例えばローレベル)とする一方、受信信号S86a及びS86bのパルスが判定期間内に検出されなければ、第1回路100が異常状態(例えば電源遮断状態または低電源状態)であると判定して判定信号S87を異常時の論理レベル(例えばハイレベル)とする。判定信号S87が異常時の論理レベルであるときには、RSフリップフロップ214がリセットされるので、出力信号OUTの生成動作が強制的に停止される。
図25は、二次側受信部210の第2動作例を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、第1信号S11、第2信号S12、第3信号S21、第4信号S22、出力信号OUT、受信信号S85a及びS85b(マスク処理済みの受信信号S86a及びS86bも実質的に同一)、並びに、判定信号S87が描写されている。本図では説明の便宜上、信号遅延の描写が省略されている。また、本図では、第2回路200から第1回路100に対する信号送信(出力論理レベルの通知)の描写が割愛されている。
まず、期間T21(時刻t111〜t112)に着目して説明する。期間T21は、例えば、信号伝達装置1の起動直後状態(第1回路100に供給される電源電圧Vccが殆ど立ち上がっていない状態)に相当する。期間T21では、入力信号INのパルスエッジで第1信号S11及び第2信号S12を各々パルス駆動しても、その信号レベル(電源電圧Vccに依存)が低過ぎるので、第3信号S21及び第4信号S22に各々現れる誘起パルスが閾値電圧Vthさえ上回らない。従って、二次側受信部210で出力信号OUTの論理レベルが切り替えられることはなく、出力信号OUTはローレベルに維持されたままとなる。なお、第1信号S11及び第2信号S12の定期的な同時パルス駆動(詳細は先の図16を参照)についても同様であり、第3信号S21及び第4信号S22に現れる誘起パルスは閾値電圧Vthさえ上回らない。従って、二次側受信部210で受信信号S85a及び85b(延いては受信信号S86a及びS86b)のパルスが検出されることはなく、判定信号S87はハイレベル(異常時の論理レベル)に維持されたままとなる。
次に、期間T22(時刻t112〜t113)、及び、期間T23(時刻t113〜t114)に着目して説明する。期間T22及び期間T23は、例えば、信号伝達装置1の起動途中状態(電源電圧Vccがある程度上昇しているものの未だ目標値に達していない状態)に相当する。期間T22及び期間T23では、入力信号INのパルスエッジで第1信号S11及び第2信号S12を各々パルス駆動することにより、第3信号S21及び第4信号S22の各々に閾値電圧Vthを上回る誘起パルスが現れる。従って、二次側受信部210は、判定信号S87がローレベル(正常時の論理レベル)でありさえすれば、入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替えられる状態となる。しかしながら、期間T22及び期間T23では、第1信号S11及び第2信号S12のパルス駆動(入力信号INのパルスエッジに応じたパルス駆動のほか、定期的な同時パルス駆動も含む、以下も同様)に応じて第3信号S21及び第4信号S22に現れる誘起パルスが上側閾値Vth2Hを上回るほど大きくなっていないので、二次側受信部210では、未だ受信信号S85a及びs85b(延いては受信信号S86a及びS86b)のパルスが検出されない。従って、判定信号S87がハイレベル(異常時の論理レベル)に維持されるので、二次側受信部210による出力信号OUTの生成動作は、強制的に停止されたままとなる(出力信号OUTの破線を参照)。
次に、期間T24(時刻t114〜t115)、及び、期間T25(時刻t115〜t116)に着目して説明する。期間T24及び期間T25は、例えば、信号伝達装置1の起動完了状態(電源電圧Vccが目標値に到達している状態)に相当する。期間T24では、第1信号S11及び第2信号S12のパルス駆動に応じて第3信号S21及び第4信号S22に現れる誘起パルスが上側閾値Vth2Hを上回っているので、二次側受信部210で受信信号S85a及びS85b(延いては受信信号S86a及びS86b)のパルスが検出され、判定信号S87がローレベル(正常時の論理レベル)となる。従って、二次側受信部210では、入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルが切り替えられる。
また、二次側受信部210で受信信号S85a及びS85bのパルスが検出されると、閾値電圧Vth2は上側閾値Vth2Hから下側閾値Vth2Lに切り替わる。従って、期間T25で示したように、電源電圧Vccがその目標値から低下し、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが上側閾値Vth2Hを下回ったとしても、当該誘起パルスが下側閾値Vth2Lを上回っている限り、二次側受信部210における受信信号S85a及びS85b(延いては受信信号S86a及びS86b)のパルス検出が継続されるので、判定信号S87がローレベル(正常時の論理レベル)に維持される。従って、期間T25では、二次側受信部210による出力信号OUTの生成動作が継続される。
次に、期間T26(時刻t116〜t117)、及び、期間T27(時刻t117〜t118)に着目して説明する。期間T26及び期間T27は、例えば、信号伝達装置1の減電状態(電源電圧Vccがその目標値から大幅に低下した状態)に相当する。期間T26では、期間T25よりも更に電源電圧Vccが低下し、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが下側閾値Vth2Lを下回る状態となっている。このような状態になると、二次側受信部210では受信信号S85a及びS85b(延いては受信信号S86a及びS86b)のパルスが検出されなくなるので、判定信号S87がハイレベル(異常時の論理レベル)に切り替わり、二次側受信部210による出力信号OUTの生成動作が再び禁止状態となる。ただし、期間T26では、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが未だ閾値電圧Vthを上回っているので、二次側受信部210は、判定信号S87がハイレベル(正常時の論理レベル)でありさえすれば、入力信号INの論理レベルに応じて出力信号OUTの論理レベルを切り替えられる状態にある。
一方、期間T27では、期間T26よりも更に電源電圧Vccが低下した結果、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが閾値電圧Vthさえも下回る状態となっている。このような状態では、先述の期間T21と同様、入力信号INのパルスエッジで第1信号S11及び第2信号S12を各々パルス駆動しても、その信号レベル(電源電圧Vccに依存)が低過ぎるので、第3信号S21及び第4信号S22に各々現れる誘起パルスが閾値電圧Vthを上回らない。従って、二次側受信部210は、もはや出力信号OUTの論理レベルを切り替えることができない状態となる。
このように、第2構成例の二次側受信部210は、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが閾値電圧Vthを上回っていれば、出力信号OUTの論理レベルを切り替えるための内部信号処理を行う一方、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが閾値電圧Vthよりも高い閾値電圧Vth2(上側閾値Vth2H及び上側閾値Vth2L)を上回っていなければ、出力信号OUTの出力動作を禁止する構成とされている。
このような構成とすることにより、第3信号S21及び第4信号S22の誘起パルスが完全に検出できなくなる前に、予め出力信号OUTの生成動作を禁止することができる。従って、判定信号S87のハイレベル遷移(出力禁止)が多少遅れたとしても、出力信号OUTの論理レベルが意図しない不定状態とはならないので、信号伝達処理の信頼性を高めることが可能となる。
また、閾値電圧Vth2に高低2値のヒステリシスを持たせることにより、減電限界付近でのチャタリング(出力動作の許可/禁止が不必要に繰り返される状態)を防止することができるので、信号伝達処理の安定性を高めることが可能となる。
以上で説明したように、出力論理切替用の閾値電圧Vthと動作状態判定用の閾値電圧Vth2(上側閾値Vth2H/下側閾値Vth2L)を個別に設ける構成については、第1実施形態(図1)と第2実施形態(図17)のいずれにも適用することができる。
<車両への適用>
図26は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、種々の電子機器X11〜X18を搭載している。なお、図26における電子機器X11〜X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
電子機器X14は、車両Yの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Yに組み込まれている電子機器である。
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Yに装着される電子機器である。
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
なお、先に説明した信号伝達装置1は、電子機器X11〜X18のいずれにも組み込むことが可能である。
<その他の変形例>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。