JP2015014257A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】EGRの切替わり時に点火時期を目標点火時期に補正するまでの時間を運転状態に応じて変更することにより、点火時期を好適なタイミングで目標点火時期に切り替えることができる内燃機関の点火時期制御装置を提供すること。【解決手段】エンジンECU25は、クランク角センサ11からのクランクパルス信号に基づきエンジン1の回転数を算出し、吸気量センサ14からの信号に基づきエンジン1の負荷を検出する。エンジンECU25は、EGRのオフ/オン切替わり時にエンジン回転数と負荷とに基づいて目標点火時期を求める。エンジンECU25は、インテークマニホールド3内のEGR率を予測して予測EGR率を求める。エンジンECU25は、目標点火時期に到達するまで、エンジン回転数、エンジン負荷、予測EGR率で決まる係数により点火時期の変更量を制御して点火時期を変更する。【選択図】図1

Description

本発明は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置を備えた内燃機関の点火時期を制御する点火時期制御装置に関する。
内燃機関において、排気ガスをEGRガスとして吸気側に還流させるEGR装置を備えることにより、排気ガスのNOx低減および燃費の改善を実現するシステムが知られている。
このシステムでは、内燃機関の運転状態に応じてEGRガスの制御目標流量が設定され、この制御目標流量に基づいて生成された開度指令値に従ってEGRバルブが制御される。
特に小排気量内燃機関においては、燃費と出力性能を両立させるために、高負荷領域までEGRガスを大量に導入し、出力要求の全負荷(最大吸気量)の領域ではEGRをオフにする必要がある。
このような内燃機関において、出力要求によってEGRをオフにした状態から、大量にEGRガスを導入する状態に運転状態が変化し、EGRオフ用の点火時期マップからEGRオン用の点火時期マップに切り替わった際に、ノッキングが発生する場合がある。
このような場合には、ノックセンサー等でノッキングの発生を検知し、点火時期を遅角させてノッキングを回避することが行われている。
しかし、ノッキングの発生を検知して点火時期を遅角させる方法では、EGRのオフ/オンで要求点火時期の差が大きい場合、ノッキング発生を抑えるための制御が追いつかず(点火時期の遅角量が最大量で維持され続け)内燃機関に過度の負荷を与える恐れがあった。
このような問題に対応するため、特許文献1では、内燃機関の運転状態に応じた目標EGR率に基づきEGRバルブを開度制御するEGR制御手段と、内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関のEGR率を推定するEGR率推定手段と、を備え、推定EGR率と目標EGR率との比に基づいて点火時期のリタード量を設定し、このリタード量に基づき点火時期を遅角側に補正する技術が開示されている。これにより、EGR率が変化する過渡状態での過進角によるノッキングの発生を防止することができる。
特許第4069361号公報
しかしながら、特許文献1では、点火時期を目標EGR率に対応する目標点火時期に補正するまでの所要時間については考慮されておらず、目標点火時期に変化させるまでの時間を制御していない。
このため、点火時期を好適なタイミングで目標点火時期に切り替えることができず、EGR率が変化する過渡状態でのノッキングの発生を解消できていない。
そこで、本発明は、EGRの切替わり時に点火時期を目標点火時期に補正するまでの時間を運転状態に応じて変更することにより、点火時期を好適なタイミングで目標点火時期に切り替えることができる内燃機関の点火時期制御装置を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様は、内燃機関の排気ガスの一部をEGRガスとして吸気側へ還流させる排気還流装置と、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記EGRガスの還流量を調整するEGRガス還流量調整部と、を備える内燃機関の点火時期制御装置であって、前記EGRガスの還流の開始時または停止時に、前記内燃機関の運転状態に応じて目標点火時期を設定し、前記内燃機関の点火時期を前記目標点火時期に変更するまでの間、前記内燃機関の運転状態に応じて前記点火時期の変更量を制御することを特徴とするものである。
本発明の第2の態様としては、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記点火時期の変更量を制御して点火時期を求める点火時期変更量制御部と、前記点火時期変更量制御部が求めた点火時期に基づいて前記内燃機関の点火時期を切り換える点火時期切換部と、を備えるのが好ましい。
本発明の第3の態様としては、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記内燃機関のEGR率を予測するEGR率予測部を備え、前記点火時期変更量制御部は、前記内燃機関の回転数と、前記内燃機関の吸入空気量と、前記EGR率予測部が予測した予測EGR率と、に基づいて前記要求点火時期の変更量を制御し、前記内燃機関の回転数が小さくなるほど、または前記内燃機関の吸入空気量が多くなるほど、または前記予測EGR率と前記目標点火時期の時のEGR率との差が大きくなるほど、前記点火時期の時間に対する変更量を少なくするのが好ましい。
このように、上記の第1の態様によれば、EGRの開始または停止で内燃機関の点火時期に変更が必要になったとき、内燃機関の運転状態に応じて点火時期を変更する量が制御されるため、点火時期と、目標点火時期に到達するまでの時間と、が内燃機関の運転状態により変化し、好適なタイミングで点火時期を目標点火時期に切り替えることができるとともに、好適な点火時期で内燃機関を稼動させることができる。
上記の第2の態様によれば、点火時期変更量制御部によって点火時期を変更する量が制御され、点火時期切換部によって点火時期が切り換えられるため、好適なタイミングで点火時期を目標点火時期に切り替えることができるとともに、好適な点火時期で内燃機関を稼動させることができる。
上記の第3の態様によれば、内燃機関の運転状態に応じてEGR率が予測され、内燃機関の回転数と、内燃機関の吸入空気量と、内燃機関の予測EGR率と、に基づいて点火時期の変更量が制御され、内燃機関の回転数が小さくなるほど、内燃機関の吸入空気量が多くなるほど、内燃機関の予測EGR率と目標点火時期の時のEGR率との差が大きくなるほど、点火時期の時間に対する変更量が少なくなり、内燃機関の運転状態に応じて目標点火時期に到達するまでの所要時間を変更することができ、好適なタイミングで点火時期を変更できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る点火時期制御装置を示す図であり、その概念ブロック図である。 図2は、その処理手順を説明するフローチャートである。 図3は、その処理手順によるEGR率と点火時期の変化を示すタイムチャートである。 図4は、本発明の第2実施形態に係る点火時期制御装置を示す図であり、その処理手順を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図3は本発明の第1実施形態に係る点火時期制御装置を示す図である。
(第1実施形態)
図1において、エンジン(内燃機関)1は、吸気管噴射型の直列4気筒ガソリンエンジンとして構成されており、不図示の車輪を転動して走行させる駆動源として車両に搭載されている。
エンジン1は、ピストンが気筒2a〜2d内を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および排気行程からなる一連の4行程を行うとともに、圧縮行程および膨張行程の間に点火を行う4サイクルのエンジンによって構成されている。
このエンジン1は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気側に還流させるEGRを行うことにより、排気ガスのNOx低減および燃費の改善を実現している。
ここで、エンジン1は、エンジンECU(electronic control unit)25を備えており、エンジンECU25がエンジン1の各部を統括制御して、エンジン1を効率よく駆動させるようになっている。
エンジン1は、4つの気筒2a〜2dを備えていて、各気筒2a〜2dの頂部に形成される燃焼室には点火プラグ21a〜21dが設けられている。
エンジン1の本体には、エンジン出力軸の回転角を検出するクランク角センサ11、カム角を検出するカム角センサ12および冷却水温度を検知する水温センサ13が設けられている。
各気筒2a〜2dの吸気側は、インテークマニホールド3のブランチ3a〜3dが接続されている。各気筒2a〜2dの吸気側は、インテークマニホールド3を介して共通の吸気通路4に連結されている。
吸気通路4の最上流には吸気を浄化するエアクリーナー5が設けられている。吸気通路4の下流には吸気量を検出する吸気量センサ14、および吸気圧を検出する吸気圧センサ15が設けられている。吸気通路4の最下流には吸気量を調節するスロットルバルブ23が設けられている。
また、インテークマニホールド3の各ブランチ3a〜3dには燃料を噴射するインジェクタ22a〜22dが設けられている。
一方、各気筒2a〜2dの排気側は、排気通路6が接続されている。排気通路6の下流には、排気を浄化する触媒7、および排気管8が設けられている。なお触媒7の上流側および下流側には排気中の酸素濃度を検出する触媒前排気センサ16、触媒後排気センサ17が設けられている。
このエンジン1は、インテークマニホールド3と排気管8を連通する排気還流管9を備え、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気側に還流させることにより、EGRを行うようになっている。すなわち、排気還流管9が排気還流装置を構成する。
この排気還流管9には、排気管8から流れるEGRガスの量を調整する排気還流弁24が設けられ、排気還流弁24よりも排気管8側にEGRガスの温度を低下させる冷却装置10が設けられている。すなわち、排気還流弁24がEGRガス還流量調整部を構成する。
エンジンECU25は、予め格納されている制御プログラムを実行して、各種センサ類からの検出情報に基づいて、燃料噴射量、EGR率、点火時期等の目標値を設定し、この目標値に基づいて点火プラグ21a〜21d、インジェクタ22a〜22d、スロットルバルブ23、排気還流弁24を制御してエンジン1を効率よく駆動させるようになっている。
エンジンECU25の入力側には、クランク角センサ11、カム角センサ12、水温センサ13、吸気量センサ14、吸気圧センサ15、排気センサ16、17等の各種センサ類が接続されている。
また、エンジンECU25の出力側には、点火プラグ21a〜21d、インジェクタ22a〜22d、スロットルバルブ23、排気還流弁24等の各種デバイスが接続されている。
このようなエンジン1において、エアクリーナー5を経て吸気通路4内に導入された吸気は、スロットルバルブ23の開度に応じて流量調整された後にインテークマニホールド3の各ブランチ3a〜3d内を通過して、インジェクタ22a〜22dから燃料を噴射された後、図示しない吸気弁の開弁に伴って各気筒2a〜2dの筒内に導入される。
筒内に導入された噴射燃料は、各気筒2a〜2dの点火プラグ21a〜21dにより点火され燃焼する。
燃焼後の排気ガスは、図示しない排気弁の開弁に伴って筒内から排出され、排気通路6、触媒7、排気管8を経て排出される。
排気ガスの一部は、EGRガスとして排気還流弁24の開度に応じて排気還流管9からインテークマニホールド3内に還流される。
エンジンECU25は、エンジン1の運転状態(例えば、回転数と負荷)からEGRの実行可否を判断するようになっている。例えば、エンジンECU25は、回転数と負荷とのマップによりEGRをオンにするかオフにするかを判断する。
具体的には、エンジンECU25は、クランク角センサ11からのクランクパルス信号に基づきエンジン1の回転数を算出する。
またエンジンECU25は、吸気量センサ14からの信号に基づき単位時間当たりの吸入空気の量(吸入空気量)を算出し、この吸入空気量によりエンジン1の負荷を検出する。
エンジン1の回転数と負荷とのマップは、EGRをオンにするEGRオン領域と、EGRをオフにするEGRオフ領域とに分けられていて、回転数と負荷とによってどちらの領域に入るかが決まるようになっている。
エンジンECU25は、エンジン1の回転数と負荷との値がマップのEGRオン領域であるとき、EGRを実行すべきと判断し、排気還流弁24を開弁する。すると、EGRガスが排気還流管9を通してインテークマニホールド3に還流される。
このとき、エンジンECU25は、例えば、エンジン1の回転数と負荷との状態に最適なEGR率が設定されたマップにより、目標EGR率を求め、インテークマニホールド3に導入されるEGR率が目標EGR率になるように排気還流弁24の開度を制御する。
また、エンジンECU25は、例えば、インテークマニホールド3のEGR率に最適な点火時期が設定されたマップにより、目標EGR率から目標点火時期を求め、点火時期を目標点火時期に変化させる。
他方、エンジン1の回転数と負荷との値がマップのEGRオフ領域であるとき、エンジンECU25は、EGRを実行すべきでないと判断し、排気還流弁24を全閉とする。
また、エンジンECU25は、EGR率予測部31と、目標点火時期決定部32と、点火時期変更量制御部33と、点火時期切換部34と、を備える点火時期制御装置として機能することにより、EGRがオフからオンになったときの点火時期の変更制御を実行するようになっている。
EGR率予測部31は、EGRがオフからオンになったとき、インテークマニホールド3内のEGR率を予測するようになっている。
なお、以下に述べるEGR率の予測処理は、予め設定されたサンプリング周期に従って繰り返し実行されるようになっており、処理実行時に算出した予測EGR率などを記憶しておき、次回実行時に利用するようになっている。
具体的に、EGR率予測部31は、インテークマニホールド3の中の空気が全て入れ替わるのに掛かる時間を表わす時定数τ1を以下の式(1)により算出する。
時定数τ1[s]=インテークマニホールド容積[L]÷体積効率÷{(排気量[L]÷2)×(エンジン回転数[rpm]÷60[s])}…(1)
ここで、インテークマニホールド容積および排気量はエンジン1の諸元値等により一意に決まる値である。体積効率は、吸気量センサ14からの信号に基づき算出される吸入空気量を排気量で割ったものである。
EGR率予測部31は、時定数τ1から予測EGR率を算出するための係数k2を以下の式(2)により算出する。
係数k2=サンプリング周期[s]÷時定数τ1[s]…(2)
ここで、サンプリング周期とは、このEGR率予測処理を実行する時間間隔のことである。
この係数k2は、1サンプリング周期の間に入れ替わる空気のインテークマニホールド容積に対する比率である。
EGR率予測部31は、この係数k2を使い、予測EGR率を以下の式(3)で算出する、
予測EGR率(i)=予測EGR率(i-1)+k2×(目標EGR率−予測EGR率(i-1))…(3)
ここで、予測EGR率(i-1)は前回実行時に算出した予測EGR率の値である。なお、EGRがオンに切り替わった直後の実行時には、前回の予測EGR率は記憶されていないので、EGRオフ時のEGR率として例えばエンジン回転数と負荷とのマップにより求めるようになっている。ここではEGRオフからオンへの切り替わり時のため、EGRオフ時に対応したEGR率をマップにより求めている。
また、目標EGR率は、上述したように、例えばエンジン回転数と負荷とのマップにより求めるようになっている。なお、目標EGR率は、EGR導入時に求め、その値を記憶しておいて使用してもよい。
EGR率予測部31は、式(3)により、1サンプリング周期の間に入れ替わった空気のEGR率によりEGR率を予測している。
目標点火時期決定部32は、上述したようにして求めた目標EGR率を使い、EGR率に最適な点火時期が設定されたマップにより、目標EGR率から目標点火時期を決定するようになっている。なお、目標点火時期は、EGR導入時に求め、その値を記憶しておいて使用してもよい。
点火時期変更量制御部33は、EGR率予測部31が予測した予測EGR率と、エンジン1の回転数と、エンジン1の負荷とに基づいて、エンジン1の点火時期の変更量を制御し、変更後の点火時期である要求点火時期を算出するようになっている。
なお、以下に述べる要求点火時期の算出処理は、上述のEGR率予測部31のEGR率予測処理に続いて実行するようになっている。すなわち、上述のEGR率予測処理と同じサンプリング周期に従って繰り返し実行されるようになっており、処理実行時に算出した要求点火時期などを記憶しておき、次回実行時に利用するようになっている。
具体的に、点火時期変更量制御部33は、要求点火時期を算出するための係数k3を、EGR率予測部31が算出した係数k2を使って以下の式(4)で算出する。
係数k3=係数k2×α×β…(4)
ここで、α、βは、点火時期の徐変感度である。αは、エンジン1の回転数と負荷とにより値を変えるようになっており、例えば、エンジン回転数と負荷とにより決まるマップにより値を決めるようになっている。
βは、EGR率予測部31が予測した予測EGR率により値を変えるようになっており、例えば、予測EGR率により決まるテーブル(マップ)により、予測EGR率に対応して値が決まるようになっている。
点火時期の変化量に対するノッキングの感度は、エンジン回転数、エンジン負荷および導入するEGR率によって異なるため、上述のようにα、βの値を変えるようになっている。
αはエンジン回転数が低いほど小さい値をとり、エンジン負荷(吸入空気量)が高いほど小さい値をとるようにする。βは予測EGR率と目標点火時期の時のEGR率との差が大きいほど小さい値をとるようにする。
点火時期変更量制御部33は、上記係数k3と目標点火時期決定部32が決定した目標点火時期を使い、要求点火時期を以下の式(5)で算出する。
要求点火時期(i)=要求点火時期(i-1)+k3×(目標点火時期−要求点火時期(i-1))…(5)
ここで、要求点火時期(i-1)は前回実行時に算出した要求点火時期の値である。なお、EGRがオンに切り替わった直後の実行時には、前回の要求点火時期は記憶されていないので、EGRオフ時の要求点火時期として例えばエンジン回転数と負荷とのマップにより求めるようになっている。ここではEGRオフからオンへの切り替わり時のため、EGRオフ時に対応した要求点火時期をマップにより求めている。
点火時期変更量制御部33は、式(5)により、前回の要求点火時期に、徐変係数α、βにより変更量を制御して要求点火時期を算出している。
式(5)で算出する要求点火時期は、係数k3が大きいほど変更量が多く(感度が高く)なり、目標点火時期に到達するまでの所要時間が短くなる。すなわち、エンジン回転数が低いほど、エンジン負荷が高いほど、予測EGR率と目標点火時期の時のEGR率との差が大きいほど、時間に対する変更量が小さくなり、目標点火時期に到達するまでの所要時間が長くなるようになっている。
点火時期切換部34は、点火時期変更量制御部33が算出した要求点火時期に従って点火プラグ21a〜21dを制御して、好適な点火時期でエンジン1を稼動させる。
このような構成を備えて、エンジンECU25は、上記制御プログラムを実行することにより、EGRがオフからオンになったときの点火時期の変更制御を実現するようになっている。具体的には、図2のフローチャートに示す制御処理(制御方法)を実行する。
なお、図2のフローチャートの処理は、その処理内で予め設定されたサンプリング周期に従って繰り返されるようになっており、サンプリング周期で処理を繰り返すために、1回の処理実行後にサンプリング周期に対応した時間だけ処理の実行を待機し、設定された時間経過後、処理を再開するようになっている。
図2のフローチャートに示すように、エンジンECU25は、まず、EGRオフ領域であることを確認してから、EGRオフからオンに変わったことを検出する(ステップS11、S12)。
なお、エンジンECU25は、ステップS11においてEGRオフ領域であることが確認できなければ確認できるまで処理を繰り返す。また、エンジンECU25は、ステップS12においてEGRオフからオンに変わったことを検出できなければ検出できるまで処理を繰り返す。
ステップS11、S12において、EGRオフからオンに変わったことを検出した場合、EGR率予測部31は、インテークマニホールド3内のEGR率を予測するための時定数τ1を算出する(ステップS13)。
次いで、EGR率予測部31は、時定数τ1から予測EGR率を算出するための係数k2を算出し、この係数k2を使って予測EGR率を算出する(ステップS14)。
次いで、点火時期変更量制御部33は、係数k2から要求点火時期を算出するための係数k3を算出する。
そして、点火時期変更量制御部33は、この係数k3を使って要求点火時期を算出する(ステップS15)。
点火時期切換部34は、その要求点火時期を点火時期として点火プラグ21a〜21dを制御してエンジン1を稼動させる。
次いで、エンジンECU25は、算出した要求点火時期が目標点火時期と同じになったか否かを判定し(ステップS16)、同じになっていないと判定した場合、サンプリング周期に応じた時間だけ処理を待機した後、ステップS14に戻って処理を繰り返す。
ステップS16において、要求点火時期が目標点火時期と同じになっていると判定した場合、エンジンECU25は、点火時期の変更制御処理が終了したと判断し、処理結果として記憶している値を初期化して(ステップS17)、サンプリング周期に応じた時間だけ処理を待機した後、ステップS11に戻ってEGRの切り替わりの検出から処理を繰り返す。
以上のように説明した本実施形態の作用について、図3を参照して説明する。
図3の上のグラフは、EGRがオフからオンに切り替わってからのEGR率予測部31によるインテークマニホールド3内の予測EGR率の変化を示したグラフである。
図3の下のグラフは、EGRがオフからオンに切り替わってからの点火時期変更量制御部33による要求点火時期の変化を示したグラフである。
時刻T1において、EGRがオフからオンに切り替わると、点火時期は直ぐに目標点火時期に向かって変更が始まり、予測EGR率が目標EGR率になるとともに点火時期が目標点火時期になるT2まで、徐々に目標点火時期まで変化している。
本実施形態においては、EGRの切り替わり直後から点火時期が好適な値に変更される。また、点火時期が目標点火時期になるT2までの時間も好適な値に制御される。
したがって、点火時期を目標点火時期に変更させるとき、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR率で決まる係数k3により点火時期を変えているため、好適な点火時期でエンジン1を稼動させることができる。
また、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR率で決まる係数k3により変更量(変更感度)を変えているため、EGRがオフからオンに切り替わった時点から、点火時期が目標点火時期になるまでの時間を、その間のエンジン1の運転状態に応じて変えることができ、点火時期を好適なタイミングで目標点火時期に切り替えることができる。
なお、本実施形態においては、吸気管噴射型の直列4気筒ガソリンエンジン用の点火時期制御装置について示したが、エンジンの形式等はこれに限ることはなく、例えば筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射型ガソリンエンジンに適用したり、V型エンジン等へ適用したりしてもよい。
(第2実施形態)
次に、図4は本発明の第2実施形態に係る点火時期制御装置を示す図である。ここで、本実施形態は上述実施形態と略同様に構成されているので、図面を流用して同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
図1においてエンジンECU25は、図4のフローチャートに示す処理を実行して、EGRがオンからオフになったとき(EGR停止時)、インテークマニホールド3内のEGR率を予測し、予測結果により点火プラグ21a〜21dの点火時期を制御するようになっている。
なお、図4のフローチャートの処理は、その処理内で予め設定されたサンプリング周期に従って繰り返されるようになっており、処理実行時に算出した予測EGR率や要求点火時期などを記憶しておき、次回実行時に利用するようになっている。
具体的には、図4のフローチャートに示すように、エンジンECU25は、まず、EGRオン領域であることを確認してから、EGRオンからオフに変わったことを検出する(ステップS21、S22)。
なお、エンジンECU25は、ステップS21においてEGRオン領域であることが確認できなければ確認できるまで処理を繰り返す。また、エンジンECU25は、ステップS22においてEGRオンからオフに変わったことを検出できなければ検出できるまで処理を繰り返す。
ステップS21、S22において、EGRオンからオフに変わったことを検出した場合、EGR率予測部31は、インテークマニホールド3内のEGR率を予測するための時定数τ1を算出する(ステップS13)。
次いで、EGR率予測部31は、予測EGR率を算出する(ステップS23)。なお、EGRがオフに切り替わった直後の実行時には、前回の予測EGR率は記憶されていないので、EGRオン時のEGR率として例えばエンジン回転数と負荷とのマップにより求めるようになっている。ここではEGRオンからオフへの切り替わり時のため、EGRオン時に対応したEGR率をマップにより求めている。
次いで、点火時期変更量制御部33は、係数k3を使って、要求点火時期を算出する(ステップS24)。なお、EGRがオフに切り替わった直後の実行時には、前回の要求点火時期は記憶されていないので、EGRオン時の要求点火時期として例えばエンジン回転数と負荷とのマップにより求めるようになっている。ここではEGRオンからオフへの切り替わり時のため、EGRオン時に対応した要求点火時期をマップにより求めている。
点火時期切換部34は、その要求点火時期を点火時期として点火プラグ21a〜21dを制御してエンジン1を稼動させる。
次いで、エンジンECU25は、上述の実施形態と同様に、算出した要求点火時期が目標点火時期と同じになったか否かを判定し(ステップS16)、同じになっていないと判定した場合、サンプリング周期に応じた時間だけ処理を待機した後、ステップS14に戻って処理を繰り返す。
ステップS16において、要求点火時期が目標点火時期と同じになっていると判定した場合、エンジンECU25は、点火時期の変更制御処理が終了したと判断し、処理結果として記憶している値を初期化して(ステップS17)、サンプリング周期に応じた時間だけ処理を待機した後、ステップS11に戻ってEGRの切り替わりの検出から処理を繰り返す。
したがって、点火時期を目標点火時期に変更させるとき、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR率で決まる係数k3により変更量を変えているため、点火時期が目標点火時期になるまでの時間を、その間のエンジン1の運転状態に応じて変えることができ、点火時期を好適なタイミングで目標点火時期に切り替えることができる。
また、例えば、EGRがオンからオフになった直後は、インテークマニホールド3内にEGRガスが残留している場合があり、EGRが残留している間は目標点火時期に比べて点火時期を進角することができるため、燃費向上を図ることができる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 エンジン
3 インテークマニホールド
3a〜3d ブランチ
9 排気還流管
10 冷却装置
11 クランク角センサ
14 吸気量センサ
21a〜21d 点火プラグ
24 排気還流弁
25 エンジンECU
31 EGR率予測部
32 目標点火時期決定部
33 点火時期変更量制御部
34 点火時期切換部

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気ガスの一部をEGRガスとして吸気側へ還流させる排気還流装置と、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて前記EGRガスの還流量を調整するEGRガス還流量調整部と、を備える内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記EGRガスの還流の開始時または停止時に、前記内燃機関の運転状態に応じて目標点火時期を設定し、前記内燃機関の点火時期を前記目標点火時期に変更するまでの間、前記内燃機関の運転状態に応じて前記点火時期の変更量を制御することを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
  2. 前記内燃機関の運転状態に基づいて前記点火時期の変更量を制御して点火時期を求める点火時期変更量制御部と、
    前記点火時期変更量制御部が求めた点火時期に基づいて前記内燃機関の点火時期を切り換える点火時期切換部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 前記内燃機関の運転状態に基づいて前記内燃機関のEGR率を予測するEGR率予測部を備え、
    前記点火時期変更量制御部は、前記内燃機関の回転数と、前記内燃機関の吸入空気量と、前記EGR率予測部が予測した予測EGR率と、に基づいて前記点火時期の変更量を制御し、前記内燃機関の回転数が小さくなるほど、または前記内燃機関の吸入空気量が多くなるほど、または前記予測EGR率と前記目標点火時期の時のEGR率との差が大きくなるほど、前記点火時期の時間に対する変更量を少なくすることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
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