JP2015013526A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】異常発生時でも安定した操作性を維持できる車両用ブレーキシステムを提供する。【解決手段】車両用ブレーキシステムAは、マスタシリンダ10と、ボールねじ軸33bとともにピストン35a,35bを移動させることでブレーキ液圧を発生させるスレーブシリンダ30と、スレーブシリンダ30とマスタシリンダ10とを遮断/連通する常開型のマスタカットバルブ50a,50bと、電動モータ31が制御可能であるか否かを判定する第1判定部と、異常時に第1判定部によって電動モータ31が制御可能であると判定された場合、電動モータ31を駆動してボールねじ軸33bを後退させる制御装置と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ブレーキシステムに関する。
運転者によるブレーキペダルの踏力を検出して電気信号に変換し、当該電気信号に応じてスレーブシリンダでブレーキ液圧を発生させることで車両を制動する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、ブレーキペダルに連結されるマスタシリンダと、ブレーキペダルの踏力に応じて作動するスレーブシリンダと、スレーブシリンダに接続されるVSA(Vehicle Stability Assist:登録商標)装置と、を備えるブレーキ装置について記載されている。
なお、マスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する配管チューブには、遮断弁(マスタカットバルブ)が設置されている。
特開2009−227023号公報
特許文献1に記載のブレーキ装置においてスレーブシリンダを自動的に作動させる追従制御や低車速追従制御、衝突軽減ブレーキ等のシステム作動中に異常が発生した場合、制御装置は遮断弁を開弁し、ブレーキペダルの踏込みを直接的に車両の制動に反映させる。遮断弁を開弁すると、スレーブシリンダの圧力室がマスタシリンダの圧力室(大気圧に略等しい)と連通する。その結果、スレーブシリンダのピストンの上流側が大気圧まで低下し、ピストンが戻り切らない(後退し切らない)場合がある。
また、スレーブシリンダの圧力が比較的低圧の状態で異常が生じ、遮断弁を開弁すると、機械的な摩擦によってスレーブシリンダのピストンが戻り切らない可能性がある。
したがって、特許文献1に記載の発明では、遮断弁を開弁した後のブレーキペダルの初回踏込み時、マスタシリンダで発生したブレーキ液圧が、戻り切っていないスレーブシリンダのピストンを戻し切るのに消費される。つまり、前記した初回踏込み時、運転者によるブレーキペダルの踏込みのうち所定量がスレーブシリンダのピストンを戻すために使われるという液損(無効ストローク)が発生する。この液損が大きい場合、運転者が空走感をおぼえる可能性がある。
そこで本発明は、異常発生時でも安定した操作性を維持できる車両用ブレーキシステムを提供すること課題とする。
前記した課題を解決するための手段として、本発明に係る車両用ブレーキシステムは、運転者のブレーキ操作が入力されるマスタシリンダと、シリンダ本体内で所定位置まで後退可能な軸部材を有する電動アクチュエータを駆動し、前記軸部材によってピストンを移動させることでブレーキ液圧を発生するスレーブシリンダと、前記スレーブシリンダと、前記マスタシリンダと、を遮断/連通する常開型のマスタカットバルブと、前記電動アクチュエータ及び前記マスタカットバルブを含む機器の異常を判別し、前記電動アクチュエータが制御可能であるか否かを判定する第1判定手段と、前記電動アクチュエータ及び前記マスタカットバルブに制御指令を出力する制御手段と、を備える車両用ブレーキシステムであって、前記制御手段は、異常時に前記第1判定手段によって前記電動アクチュエータが制御可能であると判定された場合、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材を後退させることを特徴とする。
このような構成によれば、異常時に第1判定手段によって電動アクチュエータが制御可能であると判定された場合、制御手段は電動アクチュエータを駆動して軸部材を後退させる。
なお、軸部材を「後退」させるとは、上流側からのブレーキ液圧によってピストンが押し戻される向きに軸部材を移動させることを意味している。
したがって、例えば、前記した異常発生後に常開型のマスタカットバルブを開弁し、運転者によるブレーキ操作で直接的に車両を制動する際、軸部材を戻し切るのに要する液損を少なくすることができる。その結果、運転者は、マスタカットバルブが開弁した後の初回のブレーキ操作から空走感を感じることなく、安定して車両を操作できる。
また、前記制御手段は、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材の後退を開始してから所定時間経過後、前記電動アクチュエータの駆動を停止することが好ましい。
このような構成によれば、異常が発生した後、軸部材の後退を終えるまでの時間を制限することで、運転者によるブレーキ操作を速やかに車両の制動に反映させることができる。したがって、本発明によれば、異常発生時でも安定した操作性を維持できる。
また、前記軸部材が前記所定位置まで後退したか否かを判定する後退位置判定手段を備え、前記制御手段は、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材の後退を開始してから所定時間が経過した場合、及び前記軸部材が前記所定位置まで後退したと前記後退位置判定手段によって判定された場合、のうち少なくとも一方に該当したとき、前記電動アクチュエータの駆動を停止することが好ましい。
このような構成によれば、例えば、軸部材の後退を開始してから所定時間が経過する前に、後退位置判定手段によって「軸部材が所定位置まで後退した」と判定された場合、制御手段は電動アクチュエータの駆動を停止する。
つまり、制御手段は、軸部材の後退を開始してから所定時間が経過する時点、及び、軸部材が所定位置まで後退した時点のうち、早いほうのタイミングで電動アクチュエータの駆動を停止する。したがって、無駄な電力消費を回避しつつ、適切に軸部材を後退させることができる。
また、前記電動アクチュエータ及び前記マスタカットバルブを含む機器の異常を判別し、前記マスタカットバルブが制御可能であるか否かを判定する第2判定手段を備え、前記制御手段は、異常時に前記第2判定手段によって前記マスタカットバルブが制御可能であると判定された場合、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材を後退させた後、前記マスタカットバルブを開弁することが好ましい。
このような構成によれば、異常時に第2判定手段によってマスタカットバルブが制御可能であると判定された場合、少なくとも軸部材を後退させている間はマスタカットバルブの閉弁状態を維持できる。したがって、電動アクチュエータの駆動に伴う軸部材の後退中、スレーブシリンダのピストンの上流側(つまり、軸部材の上流側)を比較的高圧で維持できる。その結果、電動アクチュエータによって軸部材をスムーズに後退させることができる。
本発明によれば、異常発生時でも安定した操作性を維持する車両用ブレーキシステムを提供できる。
本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキシステムの油圧回路図であり、通常モードの状態を示している。 車両用ブレーキシステムが備える制御装置のブロック構成図である。 制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。 車両用ブレーキシステムの油圧回路図であり、システムフェールモードの状態を示している。 通常モードからシステムフェールモードに移行する過程での波形図であり、(a)はブレーキペダルの変位の波形図であり、(b)はモータ駆動デューティの波形図であり、(c)はモータ電流実効値の波形図であり、(d)はボールねじ軸の変位の波形図であり、(e)はスレーブシリンダ圧の検出値(実線)及びマスタシリンダ圧の検出値(破線)の波形図である。
本発明を実施するための形態(以下、実施形態と記す)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
≪実施形態≫
<車両用ブレーキシステムの構成>
図1に示す車両用ブレーキシステムAは、ブレーキ液圧を発生させることで各車輪のホイールシリンダ71FR,71RL,71RR,71FLを作動させ、車両を制動するシステムである。
車両用ブレーキシステムAは、主として、マスタシリンダ10と、ストロークシミュレータ20と、スレーブシリンダ30と、VSA装置40と、マスタカットバルブ50a,50bと、制御装置60(図2参照)と、を備えている。
(マスタシリンダ)
マスタシリンダ10は、少なくとも配管チューブ81a,81b内において、ブレーキペダルPの踏力に応じたブレーキ液圧を発生させる装置である。
マスタシリンダ10は、例えば、図1に示すタンデム型のシリンダであり、主として、シリンダ本体11と、プッシュロッド12と、ピストン13a,13bと、ばね部材15a,15bと、を有している。
シリンダ本体11は、開口にプッシュロッド12が挿入される有底円筒状を呈しており、その筒内には紙面右側から順に、プッシュロッド12、ピストン13a、ばね部材15a、ピストン13b、及びばね部材15bが略同軸で収容されている。
プッシュロッド12は、ブレーキペダルPを介して作用する運転者の踏力をピストン13aに伝達するロッドであり、一端がブレーキペダルPに連結し、他端がピストン13aに連結している。ちなみに、ブレーキペダルPには、その変位(つまり、運転者による踏力)を検出するためのストロークセンサSが設置されている。
ピストン13a,13bは円柱状を呈しており、軸線方向において摺動可能となるようにシリンダ本体11に収容されている。ピストン13aの周面は径方向内向きに凹んでおり、当該周面とシリンダ本体11の内周面との間で環状の背室Eaが形成されている。なお、背室Eaは、サプライポートSaを介してリザーバ14内に連通している。同様に、ピストン13bの周面とシリンダ本体11の内周面と間に形成される背室Ebは、サプライポートSbを介してリザーバ14内に連通している。
ピストン13a,13bの間には、出力ポートTaに連通する第1圧力室Faが形成されている。ピストン13bとシリンダ本体11の内壁面との間には、出力ポートTbに連通する第2圧力室Fbが形成されている。
なお、第1圧力室Faは、ピストン13aが紙面右側に後退した状態で、リリーフポートRaを介してサプライポートSa及びリザーバ14に連通するようになっている。同様に、第2圧力室Fbは、ピストン13bが紙面右側に後退した状態で、リリーフポートRbを介してサプライポートSb及びリザーバ14に連通するようになっている。
ピストン13a,13bの周面にはピストンパッキンKが装着され、背室Ea、第1圧力室Fa、背室Eb、及び第2圧力室Fbを区画している。
リザーバ14は、ブレーキ液を貯留する容器であり、前記したサプライポートSa,Sb及びリリーフポートRa,Rbに連通している。なお、リザーバ14内は大気圧に略等しい。
ばね部材15aは、ピストン13a,13bから受ける力に応じて伸縮可能な圧縮コイルばねであり、ピストン13aとピストン13bとの間に介装されている。ばね部材15bは、ピストン13bから受ける力に応じて伸縮可能な圧縮コイルばねであり、ピストン13bとシリンダ本体11の内壁面との間に介装されている。
(ストロークシミュレータ)
ストロークシミュレータ20は、ブレーキペダルPの踏力に応じた操作反力を発生させる装置であり、シリンダ本体21と、ピストン22と、ばね部材23,24と、ばね座部材25と、を有している。
シリンダ本体21は有底円筒状を呈しており、その筒内には紙面左側から順にピストン22、ばね部材23、ばね座部材25、及びばね部材24が略同軸で収容されている。
ピストン22は円柱状を呈しており、入力ポートUを介して印加されるブレーキ液圧に応じて、シリンダ本体21内で軸線方向に摺動可能となっている。
ばね部材23は、ピストン22とばね座部材25との間に介装される圧縮コイルばねである。ばね部材24は、ばね座部材25とシリンダ本体21の内壁面との間に介装される圧縮コイルばねである。
なお、ばね部材24のばね定数は、ばね部材23のばね定数よりも大きい。したがって、運転者がブレーキペダルPの踏力を徐々に増加させた場合、まず、ばね定数の小さいばね部材23が圧縮変形した後、ばね定数の大きいばね部材24が圧縮変形する。これによって、運転者に、あたかも自分の踏力で制動力を発生させているかのように感じさせることができる。
ばね座部材25は、ばね部材23,24による付勢力を受けるための板状部材であり、軸線方向においてばね部材23,24間に介装されている。
(スレーブシリンダ)
スレーブシリンダ30は、電動アクチュエータ(電動モータ31等)によってピストン35a,35bを移動させることでブレーキ液圧を発生させる装置である。スレーブシリンダ30は、主として、電動モータ31と、ギヤ機構32と、ボールねじ構造体33と、シリンダ本体34と、ピストン35a,35bと、ばね部材37a,37bと、を有している。
電動モータ31は、制御装置60から入力される指令信号に応じて駆動するモータである。電動モータ31には、回転子(図示せず)の機械角を検出するホールセンサ31aが内蔵されている。
ギヤ機構32は、電動モータ31の回転駆動力をボールねじ構造体33に伝達する機構である。ボールねじ構造体33は、電動モータ31の回転駆動力に応じて転動するボール33aと、ボール33aの転動に伴って進退するボールねじ軸33bと、を有している。
ボールねじ軸33b(軸部材)はピストン35aを押し出すことが可能であり、シリンダ本体34内で基準位置L0(所定位置)まで後退可能となっている。なお、前記した基準位置L0とは、シリンダ本体34の規制部34sにピストン35aが当接し、その後退(紙面右側への移動)が規制された状態でのボールねじ軸33bの位置を意味している。図1では、ボールねじ軸33bが基準位置L0から変位ΔL1だけ左側に移動した状態を図示している。
なお、シリンダ本体34内で基準位置L0まで後退可能なボールねじ軸33bを有する「電動アクチュエータ」は、電動モータ31と、ギヤ機構32と、ボール33aと、ボールねじ軸33bと、を含んで構成される。
シリンダ本体34は、紙面右側から順に、ボールねじ軸33b、ピストン35a、ばね部材37a、ピストン35b、及びばね部材37bを略同軸で収容する殻状部材である。シリンダ本体34の内壁には、径方向内向きに突出する規制部34sが形成されている。規制部34sは、紙面右向きに後退するピストン35aに当接することで、ピストン35aの後退を規制する機能を有している。
ピストン35a,35bは円柱状を呈しており、軸線方向で摺動可能となるようにシリンダ本体34に収容されている。ピストン35aの周面は径方向内向きに凹んでおり、当該周面とシリンダ本体34の内周面との間で環状の背室Gaが形成されている。なお、背室Gaは、リザーバポートVaを介してリザーバ36内に連通している。同様に、ピストン35bの周面とシリンダ本体34の内周面と間に形成される背室Gbは、リザーバポートVbを介してリザーバ36内に連通している。
ピストン35a,35bは、ばね部材37aを介して軸線方向で離間するように設置されている。ピストン35a,35bの間には、出力ポートWaに連通する第1圧力室Haが形成されている。ピストン35bとシリンダ本体34の内壁面との間には、出力ポートWbに連通する第2圧力室Hbが形成されている。
なお、ピストン35a,35bの周面にはピストンパッキンKが装着され、背室Ga、第1圧力室Ha、背室Gb、及び第2圧力室Hbを区画し、他室に油が漏れることを防止している。また、スレーブシリンダ30には、ピストン35a,35bの相対的な移動を規制することで最大ストローク及び最小ストロークを設定するための規制部材38,39が設置されている。
リザーバ36は、ブレーキ液を貯留する容器であり、前記したリザーバポートVa,Vbに連通している。また、リザーバ36は、配管チューブ86を介してマスタシリンダ10のリザーバ14に連通しており、その室内は大気圧に略等しい。
ばね部材37aは、ピストン35a,35bから受ける圧力に応じて伸縮可能な圧縮コイルばねであり、ピストン35a,35bの間に介装されている。ばね部材37bは、ピストン35bから受ける圧力に応じて伸縮可能な圧縮コイルばねであり、ピストン35bとシリンダ本体34の内壁面との間に介装されている。
(VSA装置)
VSA装置40(車両挙動安定化装置)は、上流側がマスタカットバルブ50a,50bに接続され、運転者によるブレーキ操作に関わらずブレーキ液圧を発生させ、車両の挙動を安定化させる機能を有している。
具体的には、VSA装置40は、車輪のロック状態を解消したり(ABS(Antilocked Braking System)制御:)、各車輪に対して最適な制動力を配分したりする(EBD(Electronic Brake force Distribution)制御)。
VSA装置40は、各種のブレーキアクチュエータを有し、ホイールシリンダ71FR,71RL,71RR,71FLに接続されている。ちなみに、ホイールシリンダ71FRはブレーキ液圧に応じた制動力をディスクブレーキ70FRに作用させ、右側前輪を制動する機能を有している(他のホイールシリンダ71RL,71RR,71FLについても同様)。
なお、VSA装置40の構成は周知であるため、詳細な説明を省略する。
(接続関係)
次に、マスタシリンダ10、ストロークシミュレータ20、スレーブシリンダ30、及びVSA装置40の接続関係について説明する。
マスタシリンダ10の出力ポートTaは、配管チューブ81a、マスタカットバルブ50a、配管チューブ82a,84aを介してVSA装置40に接続されている。配管チューブ82a,84aの接続箇所は、配管チューブ83aを介してスレーブシリンダ30の出力ポートWaに接続されている。当該系統(配管チューブ81a〜84aを含む)は、右側前輪のホイールシリンダ71FR、及び左側後輪のホイールシリンダ71RLに対応している。
配管チューブ81aには、マスタカットバルブ50aよりも上流側でのブレーキ液圧を検出する圧力センサPmが設置されている。配管チューブ82bには、マスタカットバルブ50bよりも下流側のブレーキ液圧を検出する圧力センサPpが設置されている。
また、配管チューブ81bは、遮断弁50cが設けられた配管チューブ85を介して、ストロークシミュレータ20の入力ポートUに接続されている。
なお、右側後輪のホイールシリンダ71RR、及び左側前輪のホイールシリンダ71FLに対応する他方の系統(配管チューブ81b〜84bを含む)については、前記した一方の系統と同様であるから説明を省略する。
(マスタカットバルブ)
マスタカットバルブ50aは、制御装置60からの指令に応じて配管チューブ81a,82bを遮断/連通する常開型のソレノイドバルブである。つまり、通電時においてマスタカットバルブ50aは閉弁し、マスタシリンダ10とスレーブシリンダ30とを遮断する。一方、非通電時においてマスタカットバルブ50aは、自身が内蔵するばね部材の付勢力によって開弁し、マスタシリンダ10とスレーブシリンダ30とを連通させる。
マスタカットバルブ50bは、制御装置60からの指令に応じて配管チューブ81b,82bを遮断/連通する常開型のソレノイドバルブである。マスタカットバルブ50bについては、前記したマスタカットバルブ50aと同様の構成であるから説明を省略する。
なお、図1では、マスタカットバルブ50a,50bが閉弁した状態を図示している(網掛け部分のブレーキ液圧は略同一である)。
(制御装置)
制御装置60(制御手段)は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースなどの電子回路を備えて構成され、その内部に記憶したプログラムに従って各種機能を発揮する。
図2に示すように、制御装置60は、VSA制御部61と、第1判定部62aと、第2判定部62bと、スレーブシリンダ制御部63と、バルブ制御部64と、を有している。
VSA制御部61は、VSA装置40を制御することで車両の挙動を安定化させる機能を有している。すなわち、VSA制御部61は、ストロークセンサS、圧力センサPm,Pp,Phの他、車両に設置される車速センサ91、操舵角センサ92等から入力される検出信号に応じて、前記したABS制御、EBD制御等を実行する(車両挙動安定化モード)。
前記した「車両挙動安定化モード」とは、マスタカットバルブ50a,50bを閉弁した状態で、運転者によるブレーキペダルPの踏込みに関わらず、スレーブシリンダ30及びVSA装置40によってブレーキ液圧を発生させる制御モードである。
例えば、車両がロック状態になった場合、制御装置60はスレーブシリンダ30とVSA装置40とを協調制御し、各車輪に所定の制動力を付与することで車両の挙動を安定させる。
なお、VSA制御部61の処理内容については、詳細な説明を省略する。
第1判定部62a(第1判定手段)は、故障センサ93から入力される信号に応じて、電動モータ31及びマスタカットバルブ50a,50bを含む機器の異常を判別し、電動モータ31が制御可能であるか否かを判定する機能を有している。
なお、図2に示す故障センサ93とは、電動モータ31、マスタカットバルブ50a,50b、圧力センサPm,Pp,Ph、ストロークシミュレータS等の故障を検出するために設置される各センサを意味している。
第1判定部62aは、例えば、電動モータ31に設置される三相交流線(図示せず)の断線を検出する故障センサ93からの信号に基づき、電動モータ31が制御可能であるか否かを判定する。そして、第1判定部62aは、その判定結果をスレーブシリンダ制御部63に出力する。
第2判定部62b(第2判定手段)は、電動モータ31及びマスタカットバルブ50a,50bを含む機器の異常を判別し、マスタカットバルブ50a,50bが制御可能であるか否かを判定する機能を有している。
例えば、マスタカットバルブ50aの弁体の開故障(閉弁指令を入力しても弁体が開いたままの状態となる故障)を検知する故障センサ93からの信号に基づき、第2判定部62bはマスタカットバルブ50aが制御可能であるか否かを判定する。そして、第2判定部62bは、その判定結果をバルブ制御部64に出力する。
スレーブシリンダ制御部63は、車両の状況に応じて、通常モード、システムフェールモード、又は前記した車両挙動安定モードを実行する。前記した「通常モード」とは、マスタカットバルブ50a,50bを閉弁した状態で、運転者によるブレーキペダルPの踏込みに応じてスレーブシリンダ30を作動させる制御モードである。なお、図1では、通常モードの状態を図示した(図1の網掛部分は、略同圧であることを示している)。
一方、車両用ブレーキシステムAにおいて故障(電動モータ31、マスタカットバルブ50a,50b、圧力センサPm,Pp等の故障)が発生した場合、スレーブシリンダ制御部63はシステムフェールモードに移行する。前記した「システムフェールモード」とは、車両用ブレーキシステムAの異常発生時に、マスタカットバルブ50a,50bを開弁した状態で、運転者によるブレーキペダルPの踏込みによって直接的にブレーキ液圧を発生させる制御モードである。なお、図4では、システムフェールモードの状態を図示した(図4の網掛部分は、略同圧であることを示している)。
システムフェールモードにおいてスレーブシリンダ制御部63は、ボールねじ軸33bを後退させるように電動モータ31を駆動した後、バルブ制御部64に開弁指令を出力する。なお、当該制御の詳細については後記する。
バルブ制御部64は、システムフェールモードにおいて第2判定部62bによりマスタカットバルブ50a,50bが制御可能であると判定され、かつ、スレーブシリンダ制御部63から開弁指令が入力された場合、マスタカットバルブ50a,50bを開弁する。これによって、運転者によるブレーキペダルPの踏込みが車両の制動に直接的に反映される。また、バルブ制御部64は、前記した通常モードにおいて遮断弁50cを開弁する。
なお、前記した通常モード(図1参照)及び車両挙動安定化モードにおいて、バルブ制御部64は電源回路(図示せず)に通電指令を出力し、マスタカットバルブ50a,50bを閉弁する。
この場合、ストロークシミュレータ20で運転者に操作反力を与えつつ、スレーブシリンダ30(及び、必要に応じてVSA装置40)によってブレーキ液圧を発生し、車両を制動させる。
<車両用ブレーキシステムの動作>
図3は、制御装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS101において制御装置60は、システム‐ON信号が入力されたか否かを判定する。前記したシステム‐ON信号は、例えば、ドアスイッチ(図示せず)によって車両のドアが開かれたことを検知した場合や、イグニッションスイッチIGがONされた場合、制御装置60に入力される。
システム‐ON信号が入力された場合(S101→Yes)、制御装置60の処理はステップS102に進む。一方、システム‐ON信号が入力されない場合(S101→No)、制御装置60はステップS101の処理を繰り返す。
ステップS102において制御装置60は、バルブ制御部64(図2参照)によって遮断弁50cを開弁する。その他、制御装置60は、ストロークセンサSによってブレーキペダルPの踏込みが検出された場合、バルブ制御部64によってマスタカットバルブ50a,50bを閉弁する。これによって、ブレーキペダルPの踏力に応じた操作反力を発生させることができる。
ステップS103において制御装置60は、通常モードを実行する。すなわち、制御装置60は、ストロークセンサSから入力されるブレーキペダルPの踏込量に応じて電動モータ31を駆動し、所定のブレーキ液圧を発生させる。なお、通常モードにおいて遮断弁50cは開弁している。
図1に示すように、運転者によってブレーキペダルPが踏み込まれると、ピストン13a,13bが進出してリリーフポートRa,Rbが遮断される。ストロークシミュレータ20は、ブレーキペダルPの踏力に応じた操作反力を発生させる。
また、電動モータ31の駆動によってピストン35a,35bが進出することで、第1圧力室Haのブレーキ液圧がホイールシリンダ71FR,71RLに作用し、第2圧力室Hbのブレーキ液圧がホイールシリンダ71RR,71FLに作用する。
このように、通常モードにおいて制御装置60は、マスタカットバルブ50a,50bを閉弁することで、その上流側と下流側とを遮断しつつ、電動モータ31によって運転者の踏力に応じたブレーキ液圧を発生させる。
なお、制御装置60は、必要に応じてVSA制御部61により車両挙動安定化モードを実行し、一時的に不安定になった車両の挙動を安定化させる。
図3のステップS104において制御装置60は、故障センサ93(図2参照)から入力される信号に基づいて、車両用ブレーキシステムAで異常が発生したか否かを判定する。異常が発生した場合(S104→Yes)、制御装置60の処理はステップS106に進む。一方、異常が発生していない場合(S104→No)、制御装置60の処理はステップS105に進む。
ステップS105において制御装置60は、システム-OFF信号が入力されたか否かを判定する。システム-OFF信号が入力された場合(S105→Yes)、制御装置60の処理は終了する(END)。一方、システム-OFF信号が入力されていない場合(S105→No)、制御装置60は通常モードを継続する(S103)。
ステップS106〜S112において制御装置60は、前記したシステムフェールモードを実行する。
ステップS106において制御装置60は、第1判定部62a(図2参照)によって、電動モータ31が制御可能であるか否かを判定する。電動モータ31が制御可能である場合(S106→Yes)、制御装置60の処理はステップS107に進む。一方、電動モータ31が制御不能である場合(S106→No)、制御装置60の処理はステップS110に進む。
ステップS107において制御装置60は、電動モータ31を駆動してボールねじ軸33bを後退させる。なお、ボールねじ軸33bの変位は、電動モータ31に内蔵されたホールセンサ31a(図4参照)からの検出信号に基づいて算出できる。
次に、ステップS108において制御装置60は、ボールねじ軸33bの後退を開始してから所定時間Δt(例えば、0.2sec)が経過したか否かを判定する。
前記した所定時間Δtは、異常発生時におけるボールねじ軸33bの変位が大きい場合でも(変位ΔL1:図1参照)、基準位置L0又はその近傍まで後退させることが可能な時間である。所定時間Δtは事前の実験によって予め設定され、記憶装置(図示せず)に格納されている。
なお、システムフェールモード移行後の初回踏込み時から所定の制動力が発生可能であれば、後退したボールねじ軸33bが基準位置L0から離間していてもよい。
また、シリンダ本体34の規制部34sによって、その後退が規制される(つまり、基準位置L0に戻り切る)までボールねじ軸33bを後退させるように、所定時間Δtを設定してもよい。
図3のステップS108において所定時間Δtが経過した場合(S108→Yes)、制御装置60の処理はステップS109に進む。一方、所定時間Δtが経過していない場合(S108→No)、制御装置60はステップS108の処理を繰り返す。ステップS109において制御装置60は、電動モータ31の駆動を停止する。この時点において、ボールねじ軸33bは基準位置L0まで、又はその近傍まで後退している。
なお、ステップS103〜S109の間、マスタカットバルブ50a,50bは(開故障でない限り)閉弁状態で維持されている。
ステップS110において制御装置60は、第2判定部62b(図2参照)によって、マスタカットバルブ50a,50bが制御可能であるか否かを判定する。マスタカットバルブ50a,50bの両方が制御可能である場合(S110→Yes)、制御装置60の処理はステップS111に進む。一方、マスタカットバルブ50a,50bのうち少なくとも一方が制御不能である場合(S110→No)、制御装置60の処理はステップS112に進む。
ステップS111において制御装置60は、マスタカットバルブ50a,50bを開弁(通電を停止)し、遮断弁50cを閉弁する。これによって、図4に示すように、運転者によるブレーキペダルPの踏込みが車両の制動力に直接的に反映される。
ステップS112において制御装置60は、遮断弁50cを閉弁する。なお、マスタカットバルブ50a,50bのうち一方のみが制御不能(例えば、開故障)である場合(S110→No)、制御装置60は制御可能である方のマスタカットバルブに開弁指令を出力する。
なお、制御装置60は、ステップS106〜S109の処理と、ステップS110〜S112の処理と、を並行して実行してもよい。
図4に示すように、マスタカットバルブ50a,50bが開弁すると、スレーブシリンダ30の第1圧力室Haは、配管チューブ83a,82a,81a、及びマスタシリンダ10の第1圧力室Faを介してリザーバ14内と連通する。
そうすると、相対的に低圧であるマスタシリンダ10側にブレーキ液が流入し、スレーブシリンダ30の第1圧力室Haの圧力が低下する(第2圧力室Hbについても同様)。その結果、ギヤ機構32及びボールねじ構造体33の摩擦力とつり合う位置でボールねじ軸33bの移動(紙面右向きの後退)が停止する。
ところで、前記したステップS107の処理によって、ボールねじ軸33bは異常発生時の位置から後退(紙面右向きに移動)する。つまり、マスタカットバルブ50a,50bが開弁した時点においてボールねじ軸33bは、基準位置L0又はその近傍に位置することになる。
したがって、システムフェールモードに移った後、ブレーキペダルPの初回踏込時において、ボールねじ軸33bを基準位置L0まで後退させる際の液損を抑制できる。その結果、運転者は、空走感を感じることなく初回の踏込みからスムーズにブレーキ操作を行うことができる。
図3のステップS113において制御装置60は、システム-OFF信号が入力されたか否かを判定する。システム-OFF信号が入力された場合(S113→Yes)、制御装置60の処理は終了する(END)。一方、システム-OFF信号が入力されていない場合(S113→No)、制御装置60はステップS113の処理を繰り返す。
次に、一例として、スレーブシリンダ30のブレーキ液圧を検出する圧力センサPp(図4参照)が地絡故障した場合について説明する。
図5に示す時刻t0〜t2の間では異常がないため、制御装置60は通常モードで動作する(S103:図3参照)。図5(a)の時刻t1から運転者によってブレーキペダルPが踏み込まれると、制御装置60はストロークセンサSの検出値に応じて電動モータ31を駆動する(図5(b)、(c)参照)。
電動モータ31の駆動に伴い、ボールねじ軸33bは図1の紙面左向きに前進する(図5(d))。なお、図5(d)に示す変位は、前記した基準位置L0からボールねじ軸33bが前進する向きを正としている。ボールねじ軸33bの前進に伴いピストン35a,35bも前進し、圧力センサPpによって検出されるスレーブシリンダ圧も上昇する(図5(e)参照)。
時刻t2において圧力センサPpが地絡故障した場合、圧力センサPpによって検出されるスレーブシリンダ圧がゼロまで急落する(図5(e)参照)。制御装置60は、スレーブシリンダ圧を昇圧・増圧するように電動モータ31を駆動するため(図5(b)、(c)参照)、ボールねじ軸33bの変位はさらに大きくなる(図5(d)参照)。
なお、ストロークセンサSが天絡故障した場合も同様に、制御装置60はスレーブシリンダ圧を昇圧・増圧させるように電動モータ31を駆動する。
このような異常が生じた場合、時刻t2の直後に制御装置60は異常ありと判定し(S104→Yes:図3参照)、システムフェールモードに移行する。制御装置60は電動モータ31が制御可能であると判定し(S106→Yes)、ボールねじ軸33bを後退させるようにモータ駆動デューティとして負の値を出力する(図5(b)参照)。その結果、ボールねじ軸33bの変位が基準位置L0(ゼロ位置)に近づく。
ちなみに、図5(d)に示すように、後退した後のボールねじ軸33bの変位がL2(>0)になっている。これは、ボールねじ軸33bが基準位置L0に戻り切る前に所定時間Δtが経過し(S108→Yes)、電動モータ31が停止したためである(S109)。この場合でも、その後にブレーキペダルPが踏み込まれた際、ボールねじ軸33bを戻し切るのに要する液損を抑制できる(つまり、当該液損が許容範囲となるように、所定時間Δtが予め設定されている)。
<効果>
本実施形態に係る車両用ブレーキシステムAによれば、制御装置60は、異常時に第1判定部62aによって電動モータ31が制御可能であると判定した場合(S106→Yes)、電動モータ31を駆動してボールねじ軸33bを後退させる(S107)。また、電動モータ31を駆動(逆回転)する所定時間Δtは、異常発生時において制御装置60がマスタカットバルブ50a,50bを開弁した状態で、運転者によるブレーキ操作に応じて所定の制動力を発生可能な範囲で予め設定されている。
したがって、ボールねじ軸33bを基準位置L0又はその近傍まで後退させることができ、システムフェールモード移行後に発生し得る液損を抑制できる。また、運転者は、システムフェールモード移行後の初回踏込時から空走感を感じることなくブレーキペダルPを操作でき、充分な制動力を発生させることができる。
また、本実施形態では、ボールねじ軸33bを後退させるように電動モータ31を駆動(逆回転)する時間を、所定時間Δtに制限する。このように電動モータ31の駆動時間を制限することで、マスタカットバルブ50a,50bを開弁するタイミングを早めることができる。その結果、異常が発生した際、運転者によるブレーキ操作が制動力として直接的に反映されない時間を少なくし、ブレーキペダルPの踏込みに応じて速やかに車両を制動できる。
また、本実施形態では、電動モータ31を駆動してボールねじ軸33bを後退させた後(S107)、マスタカットバルブ50a,50bを開弁する(S111)。したがって、ボールねじ軸33bを後退させる間、スレーブシリンダ30の第1圧力室Ha及び第2圧力室Hbを比較的高圧に維持できる。その結果、ピストン35aを後退させる向きの力が作用し、このピストン35aに固定されているボールねじ軸33bをスムーズに後退させることができる。
なお、システムフェールモード移行後、初回のブレーキペダルPの踏込みで、ボールねじ軸33bは完全に基準位置L0まで戻る。したがって、運転者は2回目以後も違和感なくブレーキ操作を継続できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る車両用ブレーキシステムAについて前記実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、電動モータ31を駆動してボールねじ軸33bを後退させる際の時間を予め設定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、ホールセンサ31a(角度センサ)の検出値に基づいてボールねじ軸33bの変位を算出し、当該変位をゼロ又は所定値以下とするように電動モータ31を駆動してもよい。
すなわち、ホールセンサ31a等からの検出信号に基づいて、ボールねじ軸33bが基準位置L0(所定位置)まで後退したか否かを判定する「後退位置判定手段」を備える構成にしてもよい。
また、電動モータ31を駆動してボールねじ軸33bの後退を開始してから所定時間が経過した場合、及び前記した「後退位置判定手段」によってボールねじ軸33bが基準位置L0(所定位置)まで後退した場合、のうち少なくとも一方に該当したとき、制御装置60が電動モータ31の駆動を停止するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、マスタカットバルブ50a,50bが制御可能であるか否か判定する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、図3に示すステップS110,S112の処理を省略してもよい。この場合、電動モータ31を停止した後(S109)、制御装置60がマスタカットバルブ50a,50bの状態に関わらず開弁指令を出力し(通電を停止し)、遮断弁50cに閉弁指令を出力する。
このような制御でも、制御可能であればマスタカットバルブ50a,50bを開弁することができ、運転者によるブレーキ操作を車両の制動に直接的に反映できる。
また、前記実施形態では、ホールセンサ31aによってボールねじ軸33bの変位を間接的に検出する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、位置センサ等を用いてボールねじ軸33bの変位を直接的に検出してもよい。
また、前記実施形態では、電動モータ31の回転駆動力をボールねじ構造体33によって軸方向の移動に変換する場合について説明したが、ボールねじ構造体33以外のねじ部材を用いて前記変換を行ってもよい。
また、前記実施形態では、運転者によるブレーキ操作を受ける部材がブレーキペダルPである場合について説明したが、これに限らない。例えば、ブレーキレバーを介して運転者によるブレーキ操作を受ける構成としてもよい。
A 車両用ブレーキシステム
10 マスタシリンダ
20 ストロークシミュレータ
30 スレーブシリンダ
31 電動モータ(電動アクチュエータ)
31a ホールセンサ(変位検出手段)
32 ギヤ機構(電動アクチュエータ)
33 ボールねじ構造体(電動アクチュエータ)
33b ボールねじ軸(軸部材)
34 シリンダ本体
34s 規制部
35a,35b ピストン
40 VSA装置(車両挙動安定化装置)
50a,50b マスタカットバルブ
60 制御装置(制御手段)
62a 第1判定部(第1判定手段)
62b 第2判定部(第2判定手段)
P ブレーキペダル

Claims (4)

  1. 運転者のブレーキ操作が入力されるマスタシリンダと、
    シリンダ本体内で所定位置まで後退可能な軸部材を有する電動アクチュエータを駆動し、前記軸部材によってピストンを移動させることでブレーキ液圧を発生するスレーブシリンダと、
    前記スレーブシリンダと、前記マスタシリンダと、を遮断/連通する常開型のマスタカットバルブと、
    前記電動アクチュエータ及び前記マスタカットバルブを含む機器の異常を判別し、前記電動アクチュエータが制御可能であるか否かを判定する第1判定手段と、
    前記電動アクチュエータ及び前記マスタカットバルブに制御指令を出力する制御手段と、を備える車両用ブレーキシステムであって、
    前記制御手段は、異常時に前記第1判定手段によって前記電動アクチュエータが制御可能であると判定された場合、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材を後退させること
    を特徴とする車両用ブレーキシステム。
  2. 前記制御手段は、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材の後退を開始してから所定時間経過後、前記電動アクチュエータの駆動を停止すること
    を特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
  3. 前記軸部材が前記所定位置まで後退したか否かを判定する後退位置判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材の後退を開始してから所定時間が経過した場合、及び前記軸部材が前記所定位置まで後退したと前記後退位置判定手段によって判定された場合、のうち少なくとも一方に該当したとき、前記電動アクチュエータの駆動を停止すること
    を特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキシステム。
  4. 前記電動アクチュエータ及び前記マスタカットバルブを含む機器の異常を判別し、前記マスタカットバルブが制御可能であるか否かを判定する第2判定手段を備え、
    前記制御手段は、異常時に前記第2判定手段によって前記マスタカットバルブが制御可能であると判定された場合、前記電動アクチュエータを駆動して前記軸部材を後退させた後、前記マスタカットバルブを開弁すること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用ブレーキシステム。
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