JP2015007114A - 安定化させたインターロイキン2 - Google Patents
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Abstract
Description
分野: 本発明は一般的に薬剤学的調剤(pharmaceutical formulation)の分野に関する。より具体的には、本発明はT細胞(PHA−芽細胞)を選択的に活性化可能でありそして、非常に好ましくは、ナチュラルキラー(「NK」)細胞の減じられた活性化を示すIL−2ムテインを含む安定化させた治療上活性なインターロイキン−2調剤に関する。好ましい性質を有する安定化させた組成物は以下に記載されているIL−2の変種を含む。
3で論じられたように、インターロイキン2(IL−2)はT細胞、B細胞、および単球を包含する免疫系の多様な細胞を活性化する有効な免疫刺激剤である。IL−2はまた、T細胞の有効で且つ決定的な成長因子でもある。これらの活性に基づき、IL−2を癌を処置するその能力に関して試験した。ヒトIL−2は転移性腎臓癌および転移性黒色腫の処置のためのFDAが認可した薬品である。適格な患者におけるIL−2の使用はIL−2療法に伴う重い毒性のために制限され、適格な患者の最良でも20%だけが実際に療法を受けることが推定される。IL−2療法に伴う毒性は重い発熱、悪心、嘔吐、脈管漏出およびひどい低血圧を包含する。しかしながら、これらの毒性にもかかわらず、IL−2はその認可された適応症に関して有効である。減じられた毒性を有するIL−2の変種は特許文献1の主題である。
る調剤を記載している。調剤の賦形剤は非イオン性重合体状洗剤、例えばトライトン(Triton)X405、トライトンX305、PEG(4000)モノステアレート、ツィーン(Tween)80およびツィーン20を約0.001%〜約5%の濃度で、増量/安定剤、例えばスクロース、フルクトース、デキストロース、マルトース、グルコース、デキストラン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、キシリトール、ラクトー
ス、トレハロース、ヒト血清アルブミンおよび牛血清アルブミン、並びに緩衝剤、例えばグリシン、クエン酸塩または燐酸塩を約10mM〜50mMの濃度範囲で、約3〜約7の範囲のpHで含む。ポリオール糖増量剤の濃度(重量/容量)は約0.025%〜約10
%の範囲である。
〜0.3Mの間である。
献7)は、ヒト血清アルブミン(0.1−50mg/ml)を還元性賦形剤、例えばグル
タチオン、チオクト酸、N−アセチルシステイン、またはアスコルビン酸(0.05−2
0mg/mlの濃度)と共にまたはそれらなしに3〜5.5の間のpHで含有する安定な
水性調剤を記載している。アルブミン調剤はモノアミノ脂肪族アミノ酸、環式アミノ酸、単糖、糖アルコールまたはモノアミノ脂肪族アミノ酸を含有できる(5〜50mg/mlの濃度)。
スクロースおよびNaClを含むアルブミンを含まない安定化させたFVIII調剤を記載している。
本発明は、ヒスチジンで安定化させたIL−2またはその変種(ムテイン類)の薬剤学的組成物または調剤である。好ましくは、組成物は低いイオン強度(例えば<0.1)の
溶液を生ずる混合物を含んでなりそして他の安定剤、例えば糖類およびアミノ酸類、好ましくはスクロースおよびグリシン、を含む。調剤は0〜0.9重量%のNaClを含むこ
とができる。組成物はアルブミンを含まずそして凍結乾燥形態での調剤は水を用いて急速(<1分間)に再形成することができる。組成物は生理学的に許容可能なpH条件下で、好ましくは約5.0〜約6.5の範囲のpHにおいて、界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウムを使用せずに溶解する。再形成された溶液はほぼ等張性であり且つ皮下および静脈内の両方で投与することができる。非常に好ましい態様では、組成物のIL−2は単一アミノ酸置換を有するムテイン、好ましくはWO 99/60128に記載された変種、
である。
IL−2 0.1−0.5重量%
ヒスチジン 0.08−1.6重量%
NaCl 0−0.9重量%
スクロース 1−10重量%および
グリシン 0−3重量%
を水性形態で(重量/重量基準で)5〜6.5のpHにおいて含んでなる。
ここで使用される用語IL−2は、活性な野生型IL−2およびその生物学的に活性な変種またはムテイン類、例えばWO 99/60128に記載されているもの、の両方を
包含する。以下の実施例では、我々はアミノ酸蛋白質88の位置でアルギニン(R)に突然変異したアスパラギン(N)を有するヒトIL−2の組み換えムテインであるIL−2(N88R)として知られるIL−2を使用した。このムテインはチャイニーズ・ハムスターの卵巣(CHO)細胞から発現されそしてグリコシル化されたおよびグリコシル化されていない両方の形態の混合物を含んでなっていた。それは以上で関連出願として引用されたWO 99/60128に記載されている。
物学的検定法は安定性の非感受性(insensitive)測定値であったため、我々は安定性指示
検定法として逆相HPLCによる可溶性IL−2の定量化を使用した。ここで使用される用語「安定な」または「安定化させた」は、40℃における4カ月間にわたる貯蔵後に逆相HPLCによる可溶性IL−2量が元の可溶性量の90%より少ない量に減少しないことを意味する(以下の表3および4参照)。使用された追加の安定性指示検定法は凝集指数、UV/VIS分光光度法による凝集体の測定およびサイズ排除HPLCによる可溶性凝集体の測定を包含した。安定な生成物の他に、凍結乾燥物質の急速な(1分間以内の)再形成(reconstitute)が非常に好ましい。最後に、製造用凍結乾燥機中で容易に凍結乾燥させうる許容可能な安定性を有する凍結乾燥薬用量形態の調剤が所望されていた。
するIL−2(N88R)溶液中20mMの濃度で評価された。これらの試料を25℃から95℃に毎分1℃で加熱しそして沈澱をUV分光光度法により350nmで監視した。図2に示されているように、我々にとっては驚異的であるが、沈澱の開始温度における増加により示されるようにヒスチジンはpH5.5においてIL−2(N88R)を他の緩
衝賦形剤よりIL−2を有意に安定化させた。クエン酸塩、酢酸塩、およびヒスチジンの存在下における開始温度はそれぞれ62℃、64℃、および70℃であった。例えばこれらのような試験は、ヒスチジンを緩衝剤としてだけでなく水性条件下でIL−2用の安定剤としても使用できることを示した。
乾燥調剤の製造用に選択された。
のNaClを含有するIL−2(N88R)溶液中20mMで使用された。これらの安定性試料を、UV/VIS分光光度法により監視しながら、25℃から95℃に毎分1℃で
加熱した。ヒスチジンは酢酸塩およびクエン酸塩と比べて、沈澱温度を高めることによりそして沈澱速度を減ずることによりIL−2(N88R)を有意に安定化させた(図2)。表1は、これらの3種の緩衝剤の存在下におけるIL−2(N88R)の開始沈澱温度を示す。開始沈澱温度は350nmにおける光学密度(OD350)がある水準(OD350の場合には0.2および1.0)に達する温度として任意に設定された。ヒスチジンの存在下におけるIL−2(N88R)の沈澱温度は他の2種の緩衝剤の存在下におけるものより数度ほど高かった。この実施例は、ヒスチジンが液体状態のIL−2(N88R)用の緩衝剤として使用されることに加えて特異的な安定剤でありえることを示した。
た。両方とも0.1重量%の2種の界面活性剤であるツィーン80およびプルロニック(Pluronic)F68を蛋白質表面吸着及び凝集の防止に関して評価した。全ての調剤はヒスチ
ジンまたはクエン酸塩を緩衝剤として5.5に調節されたpHで含有していた。pH5.5におけるヒスチジンの安定化効果をクエン酸塩のものと区別するためにクエン酸塩が含まれた。これらの凍結乾燥調剤を40℃において貯蔵しそしてUV/VIS分光光度法、SEC−HPLC、およびRP−HPLCを包含する多くの分析方法により分析した。
の含有が安定な生成物を生じたことを示唆している。
4カ月間にわたる凍結乾燥調剤の貯蔵後に可溶性凝集体の検出可能な生成を示さず、ここでもIL−2(N88R)がヒスチジンにより安定化されたことを示唆している。
含有する調剤AおよびF中では約92%のIL−2(N88R)が回収された。これらのデータ(調剤AおよびFに関する90%より高いIL−2(N88R)の回収率)も、界面活性剤が蛋白質を不安定化させるがヒスチジンがIL−2(N88R)を安定化させることを示唆している。
ヒトIL−2は6の螺旋構造(A−F)を形成する133個のアミノ酸類を有する。これらの螺旋の4個は四螺旋束モチーフ(tetra-helix bundle motif)と称するものを形成する。cys58およびcys105の間の分子内ジスルフィド結合は螺旋間の伸びたループ上
に位置する。遊離cys125はアミノ酸類117−133を組み入れる螺旋F上に位置す
る。
−2と水性および凍結乾燥状態の両方で分子を安定化させるような特異的な方法で相互作用しうることを示唆している。IL−2の不安定性の主要機構の1つは、チオール−ジスルフィド交換反応によるオリゴマー類の生成から生ずる凝集である。従って、そのヒスチジンが実際にIL−2中のチオール−ジスルフィド交換反応を抑制または減少させうると仮説をたてることができる。野生型IL−2、IL−2(N88R)並びにことによると他のIL−2変種分子は1個のジスルフィド結合および遊離スステイン(Cys125)を
有するため、Cys125上の遊離−SH基はチオール/ジスルフィド交換経路を介してジ
スルフィド結合と容易に反応することができ、それにより凝集/沈澱事象を生ずる。
速度は静電力並びに蛋白質の二次構造に感受性であることが示された。チオール中の硫黄原子周辺の電子分布はチオールのpKaを変更しうる近くの電荷および結合内誘導効果(through-bond inductive effect)の存在により影響を受けうる。例えば、チオール/ジスルフィド交換中のチオールの増加した反応性は近くの正電荷の存在または近くのアルファ−螺旋構造からのペプチド双極の貢献のいずれかによるそのpKaの低下に起因しうる。対
照的に、チオール基近くの負電荷はチオールのpKaを上昇させ且つより低いチオール/
ジスルフィド反応速度を生じうる。この提唱された機構は他の研究によっても支持され、そこでは付近の正に荷電された基による高反応性チオレートイオンの安定化が蛋白質チロシンホスファターゼ(Zhang and Dixon, 1993 Active site labeling of the Yersiniaprotein tyrosine phosphatase: the determination of the pKa of the active site cysteineand the function of the conserved histidine 402, Biochemistry 1993 Sep 14;32(36):9340-5)および蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(Kortemmeet al., Electrostaticinteractions in the active site of the N-terminal thioredoxin-like domain of protein disulfide isomerase. Biochemistry 1996 Nov 19;35(46):14503-11)に関して示
された。
ルタミン酸基(57、60、61、62、および106)がある。これらの負に荷電された基に対するヒスチジンの特異的な結合がチオール/ジスルフィド交換反応に関する速度論的妨害を生ずることができ、またはジスルフィド架橋近くのヒスチジンの結合がIL−2分子を熱力学的に安定化させて凝集反応傾向が少ない立体配座にすることができた。さらに、His−Guイオン性相互作用は3個の関係する硫黄原子間の中間的な遷移状態の生成であるチオール/ジスルフィド交換における速度決定段階をさらに減ずるであろう立体障害を生成しうる。ジスルフィド結合は蛋白質表面上の伸びたループ上に置かれているため、グルタミン酸基に対するヒスチジンの接近可能性は非常にあつらえむきである。
IL−2 0.1−5mg/ml
ヒスチジン 0.08−1.6重量%
NaCl 0−0.9重量%
スクロース 1−10重量%および
グリシン 0−3重量%
を5〜6.5のpHにおいて含んでなる安定な凍結乾燥組成物。
Claims (2)
- ヒスチジンで安定化させたヒトインターロイキン−2を含んでなる、水溶液である、安定な凍結乾燥薬剤学的組成物であって、グリシンおよびスクロースを含み、該IL−2が単一アミノ酸置換、N88R、を有するムテインであり、そして該ムテインが突然変異の結果として生じるタンパク質である、上記組成物。
- 水による再形成が以下のもの:
IL−2 0.1−5mg/ml
ヒスチジン 0.08−1.6重量%
NaCl 0−0.9重量%
スクロース 1−10重量%および
グリシン 0−3重量%
を5〜6.5のpHにおいて含んでなる安定な凍結乾燥組成物であって、
該IL−2が単一アミノ酸置換、N88R、を有するムテインである上記組成物。
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