JP2015004127A - 耐熱鋼及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】600℃超の高温において、10万時間以上に亘るクリープ強度が従来の9%Cr鋼に比較して良好なフェライト系耐熱鋼を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.07〜0.11%、Mn:0.30〜0.70%、Cr:8.00〜9.50%、W:2.00〜3.50%、Nb:0.02〜0.08%、V:0.10〜0.50%、N:0.005〜0.010%、Co:0.01〜3.00%、B:0.008〜0.020%を含有し、P:0.02%以下、S:0.01%以下、O:0.01%以下、Al:0.005%未満、Ni:0.10%以下、Cu:0.05%未満、Mo:0.05%未満に制限し、金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの一方又は両方からなり、ブロック結晶粒の幅が、0.2〜2.0μmであることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、高温で長期に亘って応力が負荷される鋼構造物、特に、発電プラント、化学プラントなどの部材に使用される耐熱鋼及びその製造方法に関する。
地球温暖化の防止は喫緊の課題であり、エネルギー資源を有効に活用するための技術開発は極めて重要である。特に、化石燃料や核燃料を電気エネルギーに変換する電力プラント、具体的には、石炭火力発電プラント、天然ガス直接燃焼式火力発電プラント、原子力発電プラントでは、資源寿命の問題もあり、効率を更に改善する必要性に迫られている。また、石油精製プラントや石炭ガス化プラントでも、効率の改善が必要とされている。
しかし、現状で、例えば、火力発電の効率は40〜50%、原子力発電の効率は30%で停滞しており、今後、二酸化炭素の排出や高レベル放射性廃棄物の増加を抑制するために、高効率化が求められている。発電プラントに限らず、効率は、プラントの操業温度と圧力でほぼ定まり、発電プラントでは、発電機のタービンを駆動させる蒸気の温度が高いほど、エネルギーの変換効率が上昇する。
現在、石炭火力発電所及び原子力発電所の蒸気温度は、それぞれ、620℃及び350℃であるが、各温度を100℃上昇させると、約5%、200℃上昇させると、約10%の効率向上を期待することができる。しかし、発電機のタービンを駆動させる蒸気の温度を高めるには、タービンの部材だけでなく、熱交換器や配管に使用する耐熱鋼の性能を向上させなければならない。
耐熱鋼に要求される性能のうち、クリープ特性は重要である。数十年間、プラントを稼働させることができるように、長期に亘ってクリープ破断しないことが必要である。これまでに、600℃を使用温度の上限として、9%Crフェライト系耐熱鋼の研究開発が行われ、JISでは、火STBA28や火STBA29などの高温用フェライト系耐熱鋼が開発され、実用化されている。
ところが、600℃を超える高温、例えば、650℃では、プラント用材料としてオーステナイト系耐熱鋼が使用され、フェライト系耐熱鋼の開発は進んでいない。
オーステナイト系耐熱鋼の金属組織はFCC構造であり、変態点がなく、鉄の自己拡散係数が小さいため、クリープ強度が高く、合金元素の選択の自由度も、フェライト系耐熱鋼に比べると高い。しかし、オーステナイト系耐熱鋼は、高価であり、熱膨張率が高いという欠点がある。
熱膨張率が高いと、プラントの温度の変化によって、配管等では、大きな熱応力が発生して、破損が生じる場合があり、また、水蒸気酸化スケールの剥離が生じ易く、タービン動翼にエロージョンが生起し易いという課題もある。したがって、クリープ破断強度が高いフェライト系耐熱鋼の開発に対する期待が高まっており、オーステナイト系耐熱鋼を代替するフェライト系耐熱鋼の開発が進められている。
フェライト系耐熱鋼の金属組織は、転位密度が高いマルテンサイトやベイナイトであり、600℃を超える高温でのクリープ特性を向上させるためには、回復の抑制が重要になる。高温では原子の拡散が速く、析出物が転位の移動の抑制に有効に作用するため、高温での転位の移動、即ち、クリープ変形を効果的に抑制する目的で、主に、鋼中に安定な析出物を導入するための成分組成及び製造方法の確立が求められてきた。
いわゆる「析出強化」に作用する結晶粒内の析出物については、各種添加元素の効果が解析され、ほぼ限界といえるまで効果を高めた成分組成及び製造方法が採用されている。
例えば、火STBA28は、NbとVを最適化して添加し、析出物を結晶粒内の転位の移動障害として機能させ、クリープ強度を改善した鋼材である。また、析出強化は結晶粒内だけでなく、結晶粒界でも極めて有効であり、最近では、M236の増加と、Fe2Wの組成を有する金属間化合物の析出により、更なる高強度化を実現しつつある。
一方、高温では格子振動が激しいため、結晶粒界が転位を吸収同化する効果が強く発現し、転位の蓄積は望めない。したがって、室温で鉄鋼材料を有効に強化する「加工硬化」が、高温ではほとんど期待できない。これに対して、結晶粒界の強化を主目的とした、粒界析出型高強度耐熱鋼の開発は、まだ実績が少ないものの、進みつつある。
例えば、M236やFe2Wは、初期のクリープ強度を上昇させるが、粗大化して、粒界の析出強化を損なうという問題がある。そのため、これらの析出物を安定化させるBを100ppm以上添加し、BNの析出を抑制するため、N量を制限した耐熱鋼が提案されている(例えば、特許文献1及び2、参照)。また、NdやTaの添加により、クリープ特性の改善を図った耐熱鋼が提案されている(例えば、特許文献3及び4、参照)。
特開2002−226946号公報 特開2004−300532号公報 国際公開第2006/109664号 特開2010−007094号公報
従来、金属組織がマルテンサイトやベイナイトであるフェライト系耐熱鋼のクリープ特性は、固溶状態(析出物を形成せず、粒界に偏析した状態を含む)のBによって発現すると考えられていた。そのため、Bを活用する場合は、BNの生成を防止するために、N量を低減して、クリープ特性を向上させていたが、より高温では、従来、想定していた期間を超えると、クリープ特性が低下する場合があることが明らかになった。
本発明者らの検討により、600℃を超える高温で荷重が負荷されるクリープ環境下で、Bは、Fe2Wなどの金属化合物やM236などの炭化物に吸収されたり、また、M32やM34などの硼化物を形成し、これらの析出物の粗大化を抑制していることが解った。
しかし、従来技術は、Nの添加によってBNを大量に析出させるものや、Nを徹底して低減して固溶状態で強度を上昇させようとするものであり、析出物の安定化を主目的としてBを用いる技術は提案されていない。そのため、フェライト系耐熱鋼におけるNの役割や、クリープ特性を向上させるメカニズムなどについて、改めて検討する必要が生じているのが実情である。
本発明は、このような実情に鑑み、600℃超の高温、特に、650℃において、少なくとも10万時間以上に亘るクリープ強度を得ることを課題とし、該課題を解決する、従来の9%Cr鋼に比べて優れたフェライト系耐熱鋼と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来、積極的に制御していなかった粒界析出物に着目し、非整合粒子と転位との吸収相互作用型強化機構による転位の移動障害を、長時間のクリープ特性の向上に、より有効に活用する検討を行った。
その結果、特に、NとBとの結合を防止し、粒内にVNを析出させ、Bを炭化物、金属間化合物、硼化物に吸収させて粗大化の進行を抑制するため、0.10〜0.50質量%のVに対し、Nを0.005〜0.010%に限定する必要があること知見した。
更に、クリープ環境下において、列状に密に並んだ粒内析出物を生成させるためには、熱処理条件を制御して、フェライト系耐熱鋼のブロック結晶粒の幅を微細化することが有効であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、
C :0.07〜0.11%、
Si:0.05〜0.45%、
Mn:0.30〜0.70%、
Cr:8.00〜9.50%、
W :2.00〜3.50%、
Nb:0.02〜0.08%、
V :0.10〜0.50%、
N :0.005〜0.010%、
Co:0.01〜3.00%、
B :0.008〜0.020%
を含有し、
P :0.02%以下、
S :0.01%以下、
O :0.01%以下、
Al:0.005%未満、
Ni:0.10%以下、
Cu:0.05%未満、
Mo:0.05%未満
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの一方又は両方からなり、
ブロック結晶粒の幅が、0.2〜2.0μm
であることを特徴とする耐熱鋼。
[2]窒素量[N]及びAl量[Al]が、下記式(1)を満足することを特徴とする前記[1]に記載の耐熱鋼。
[N]≧0.005+0.052[Al] ・・・(1)
[3]更に、質量%で
Ti:0.01〜0.10%、
Zr:0.01〜0.10%
の一方又は両方を含有することを特徴とする前記[1]に記載の耐熱鋼。
[4]窒素量[N]、Al量[Al]、Ti量[Ti]及びZr量[Zr]が、下記式(2)を満足することを特徴とする前記[1]に記載の耐熱鋼。
[N]≧0.005+0.052[Al]+0.015[Ti]+0.08[Zr]
・・・(2)
[5]更に、質量%で、
Ca:0.0005〜0.030%、
Mg:0.0005〜0.030%、
Y :0.0005〜0.030%、
Ce:0.0005〜0.030%、
La:0.0005〜0.030%
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の
耐熱鋼。
[6]前記ブロック結晶粒の粒界上の析出物の、下記式で定義する占有率POが、40〜70%であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の耐熱鋼。
PO=(ブロック結晶粒の粒界上の析出物長さの総和/粒界の長さの総和)×100%
[7]650℃に加熱し、100MPaの応力を負荷し、200時間保持するクリープ試験後、電解抽出残渣に含まれるB量が、上記クリープ試験前の鋼中の前記B量の50%以上であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の耐熱鋼。
[8]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の成分組成の鋼片を、厚みが40〜160mmの鋼板又は鋼管になるように熱間圧延し、その後、1050〜1120℃に加熱し、1〜15℃/sで冷却する焼準し処理を施し、更に、(Ac1変態点−80)℃〜(Ac1変態点−30)℃の範囲で、2〜5時間保持する焼戻し処理を施すに際し、保持時間を、(a)鋼材の厚みが40mm以上80mm未満の場合は2時間以上、
(b)鋼材の厚みが80mm以上120mm未満の場合は3時間以上、
(c)鋼材の厚みが120mm以上160mm以下の場合は4時間以上
とすることを特徴とする耐熱鋼の製造方法。
[9]前記焼戻し処理の後、700〜800℃に加熱し、2時間以上保持することを特徴とする前記[8]に記載の耐熱鋼の製造方法。
本発明によれば、フェライト系耐熱鋼において、600℃超、特に、650℃以上の高温で、鋼中の析出物、中でも、ブロック粒界に析出する炭化物、金属間化合物にBを固溶させるか、又は、硼化物を析出させることにより、析出物の粗大化を抑制し、クリープ破断強度を高めることができる。
BNの生成に要するB量(ppm)とN量(ppm)の関係を示す図である。 VとNの溶解度積を示す図である。 N量(ppm)と10万時間推定クリープ破断強度(MPa)の関係を示す図である。 ブロック結晶粒の態様を模式的に示す図である。(a)は、ブロック結晶粒の集合体の結晶粒を示し、(b)は、ブロック結晶粒の想定形状と、ブロック結晶粒の幅の測定態様を示す。 焼準し温度とブロック結晶粒の幅(ブロック幅)の関係を示す図である。 焼戻し温度とブロック粒界上析出率BPの関係を示す図である。 ブロック粒界上析出率BPと、650℃、10万時間の推定クリープ破断強度(MPa)の関係を示す図である。 ブロック粒界上の析出物の粒界長さ占有率POと、650℃、10万時間の推定クリープ破断強度の関係を示す図である。
550℃以上の高温で使用する、耐水蒸気酸化特性に優れた9%程度のCrを含有するフェライト系耐熱鋼は、高い焼入れ性を活用して、転位密度の高い低温変態組織、即ち、マルテンサイトやベイナイトを基本とする金属組織からなる。そして、従来、結晶粒内に、微細なNbC、VNなどの析出物を微細に分散させて転位の移動を抑制することにより、フェライト系耐熱鋼のクリープ特性が顕著に向上すると考えられていた。
しかし、5万時間以上のクリープ試験においては、NbC−VNの複合析出物にCrが固溶し、等温保持の環境下で、M2N、即ち、Z相への変態が生じることが、最近、明らかになった。このM2Nは、Cr量が多い耐熱鋼では粗大化が進行し易く、粒内析出強化機構が早期に減衰し、長時間のクリープ強度が低下することから、析出物の変態はともかく、その粗大化は極めて有害である。
また、従来、室温における鉄鋼材料の組織制御に基づいて、結晶粒界は、650℃のクリープ環境下でも移動しないと考えられていた。しかし、原子の熱活性化過程による拡散を駆動力として、粒界付近での原子位置の遷移が促され、その結果、特に、対応粒界近傍の原子並び替えによる実質的な粒界移動が生じることを本発明者らは知見した。
この粒界移動は、外部応力によって生じる内部応力の低下、つまり、組織回復過程での内部応力の緩和を伴い、クリープ特性が低下する原因となる。一方、結晶粒界上の析出物は、再固溶及び再析出に必要な駆動力がないため、650℃のクリープ環境下では、粒界移動に追従せず、分散状態を保持して列状に残置される。
従来、結晶粒界に存在する析出物は、高温で荷重が負荷されるクリープ環境下において、初期には転位との相互作用が大きくないため、注目されていなかった。しかし、2万時間以上になると、結晶粒界の粗大な析出物が、顕著にクリープ特性の向上に寄与することを、本発明者らは新たに知見した。
これは、耐熱鋼のクリープ変形においては、非整合粒子と転位の吸収相互作用型(引力型ともいう。)によって、材料強度を十分に担うことが可能であり、粗大な析出物であっても、転位の移動障害として十分に機能するためである。しかも、長時間クリープ変形においては、初期状態に粒内に微細に分散していた析出物が粗大化するため、極めて有効な転位の移動障害として機能することを、本発明者らは明らかにした。
また、析出物が過剰に粗大化するとクリープ特性は低下するが、Bの添加により、析出物の粗大化の進行が抑制されることも、本発明者らは知見した。これは、以下のメカニズムによると考えられる。
9%程度のCrを含有するフェライト系耐熱鋼にBを添加し、焼準し及び焼戻しを施すと、金属組織は焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの単独組織、又は、これらの混合組織となり、結晶粒界には、Crを主体とする炭化物(M236など)や窒化物(Cr2Nなど)が析出する。
なお、鋼中のBは、固溶状態の初期(高温における均質化処理の際)には均質に分布しているが、空孔との親和力が高いため、空孔の粒界への拡散に伴い、次第に、粒界にBが偏析する。
粒界上のM236は、クリープ中にCを置換してBが配位し、長時間のクリープ特性の向上に寄与するM23(CB)6となる。M23(CB)6は、熱力学的にM236よりも安定で、かつ、粗大化が著しく遅延するので、B添加によって、特に、650℃、数万時間におけるクリープ強度を向上させることができる。
23(CB)6の同定は、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属するエネルギー分散形X線分光器(EDS)及び電子線回折によって、M236型炭化物であることを確認し、更に、電子エネルギー損失分光(EELS)にて、Bの固溶を検出して行うことができる。
また、最近の高強度フェライト系耐熱鋼は、高温特性を高めるために、Wを含有している。Wは、拡散速度が遅く、Cとの親和力が弱いことから、製造直後に、W炭化物は析出しないが、650℃では、安定なFe2Wが粒界に析出する。
なお、WとFeは、Fe127型のμ相金属間化合物として析出する場合があるが、このμ相金属間化合物は、Fe2Wの熱的安定性とほぼ同一の熱的安定性を有する、化学量論比が異なるだけの金属間化合物である。したがって、本発明では、FeとWの金属間化合物を統一してFe2Wとして表記し、Laves相とも記載する。
フェライト系耐熱鋼の粒界上の析出物のうち、初期に存在する析出物の主体はM236(炭化物)であり、Fe2W(金属間化合物)はクリープ中に析出する。M236は、Fe236のFeの一部がCr、W、Moに置換された炭化物である。
23(CB)6の粗大化過程においてオストワルド成長が生じる時、Bは、再び、粒界近傍に固溶状態で放出されるが、粒界上にFe2Wが析出する場合、Bは、Fe2Wの格子内の欠陥位置周辺に取り込まれる。
この結果、Fe2W−Bの形で存在するか、更に多くのBを取り込み、M32又はM34の化学量論組成を有する硼化物に変態する場合がある。このような知見は、本発明者らが初めて見いだした知見である。
このように、長時間のクリープ試験においては、Bが、炭化物及び金属間化合物に吸収され、M23(CB)6や、Fe2W−Bとなり、M32及びM34の形態を有する硼化物が析出する。本発明のフェライト系耐熱鋼は、Moの含有を制限しているが、Mは、主に、Fe、Cr、Wであり、一部、希にMoが含まれる場合がある。
本発明者らが析出物を解析した結果、Cr32、Cr2WB2、Mo2FeB2、W2FeB2、Cr2FeB2等の存在も認められた。なお、必ずしも厳密な化学量論組成とはなっていなかったが、80%以上の硼化物は、これらの化学組成からなっていた。
Bを取り込んだFe2W、硼化物は、安定に存在し、Bを含まないFe2Wに比べて、著しく粗大化が遅延することを、本発明者らは、クリープ試験とその試験片の透過電子顕微鏡解析で確認した。
これらのFe2W−B、M32、及び、M34は、M23(CB)6とともに、粒界に不連続に析出する。この不連続析出は、粒界を挟んで交互に連続的に隙間なく生ずるものであり、粒界上の析出物の占有率を向上させる極めて望ましい析出形態である。
本発明者らは、これらの新たな知見を活用し、長時間のクリープ破断強度を改善する検討を行った。
長時間のクリープ試験において、吸収相互作用型強化機構による転位の移動障害をより有効に活用するためには、粒界上の析出物の粒界占有率を高め、かつ、粗大化を遅延させることが必要である。このため、本発明においては、Bの存在状態を制御する。
鋼中に固溶又は粒界に偏析したBを、粒界上の析出物中に固溶させるには、粒内にランダムに、又は、粒界に粗大析出し易いBNの生成を抑制することが必要である。
そこで、Bを10〜200ppmの範囲、Nを10〜600ppmの範囲で変化させた鋼材の厚板試験片を作製し、焼準し処理と、焼戻し処理を施し、電解抽出で得られた残渣をX線回折法及び化学分析を併用して解析し、BN量を同定した。
なお、電解抽出残渣法は一般に用いられる方法であり、本発明において、N量及びB量と、BNの析出量との関係を明確にできる手法である。
用いた鋼は、BとN以外は、質量%で、C:0.07〜0.11%、Si:0.05〜0.45%、Mn:0.30〜0.70%、Cr:8.00〜9.50%、W:2.00〜3.50%、Nb:0.02〜0.08%、V:0.10〜0.50%、Co:0.01〜3.00%を含有し、P:0.02%以下、S:0.01%以下、O:0.01%以下、Al:0.005%未満、Ni:0.10%以下、Cu:0.05%未満、Mo:0.05%未満に制限し、必要に応じて、Ti:0.01〜0.10%、Zr:0.01〜0.10%、Ca:0.0005〜0.030%、Mg:0.0005〜0.030%、Y:0.0005〜0.030%、Ce:0.0005〜0.030%、La:0.0005〜0.030%の1種又は2種以上を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
焼準し処理は、1050〜1120℃に2時間以上保持し、1〜15℃/sで冷却した。焼戻し処理は、(Ac1変態点−80)℃〜(Ac1変態点−30)℃に2〜5時間保持した。なお、N量が0.010%(100ppm)を超える鋼については、析出物の再固溶を促すために、焼準しの加熱温度を1150℃とした。
図1に、BNの生成に要するB量(ppm)とN量(ppm)の関係を示す。図1には、TEM観察で、BNが見られなかったものを■で、BNが100μm以上の粗大析出物であったものを□で、BNの大きさが100μm未満の場合に△で、BNの生成態様を表示した。■が、本発明の範囲に該当する。そして、図1に示すB量(ppm)とN量(ppm)の関係に基づいてBN生成領域を決定した。
図1から、例えば、B量が0.0080質量%(80ppm)以上の場合、BNの生成を抑制するには、N量を0.0100質量%(100ppm)以下に抑制する必要があることが解る。なお、以下、%は質量%を意味することとする。
また、Nは、Vと結合して、NbCに整合性よく複合析出し、2〜3万時間のクリープ特性の向上に大きく寄与するNbC−VNを形成する。
図2に、VとNの溶解度積を示す。この溶解度積は、V量と、VNの析出に要するN量の関係を示している。図2に示すように、VNを析出させるためには、N量を0.005%以上にすることが必要である。そして、図2において、N量:0.005〜0.010%の範囲は、V量が0.1〜0.5%の範囲(斜線部)で、VNを析出させるのに必要なN量である。
また、本発明者らの検討によれば、クリープ初期に粒界を緻密に被覆するCr2Nは、直ぐに粗大化して、粒界上の析出物の占有率を著しく低下させる。規格化されている従来の耐熱鋼は、0.035%以上のNを含有し、粒界に多くのCr2Nが析出しているが、この窒化物はBを固溶せず、析出物の粗大化を遅延させる効果を発現しない。
本発明のフェライト系耐熱鋼(以下「本発明鋼」ということがある。)では、Nを0.010%以下に制限して、CrとNの結合を抑制している。
NとBとの結合を抑制し、粒内にVNを析出させるために、N量を0.005〜0.010%に限定する必要があるとの知見は、本発明鋼において重要である。この知見は、従来のBを含有するフェライト系耐熱鋼に係る知見とは、技術的に異なる知見である。
Nと結合せず、鋼中に固溶又は粒界に偏析したBは、高温のクリープ環境で、鋼中の遷移元素(Fe、Cr、W)と結合し、熱的安定性が高い炭化物、金属間化合物、硼化物を形成して、クリープ特性の向上に寄与する。
上述の厚板試験片を用いて、650〜700℃にて約2万時間までのクリープ試験を行った。試験結果に基づいて、下記式を用いるLarson-Miller法で、10万時間後のクリープ破断強度(MPa)を推定した。
LMP=(絶対温度)×(log(tr)+32)
=a(log(σ))+b(log(σ))2+c(log(σ))3+d
なお、trは破断時間、a〜dは最小自乗法で求まる定数(ただし、各点のデータに依存して変化する)、σは負荷応力である。曲線形態を3次曲線に近似している。
図3に、N量(ppm)と10万時間推定クリープ破断強度(MPa)の関係を示す。従来に比べ多量のBを含有する鋼において、N量を0.005(50ppm)〜0.010%(100ppm)とすれば、クリープ破断強度(推定)が100MPa(目標値)を確実に超えることが解る。
650℃、200時間のクリープ試験の後、破断の有無にかかわらず、試験片から、電解法で析出物の残渣を抽出し、Bの質量を測定した。析出物中に含まれるB量を、試験片の質量で除し、析出物に含まれるBの質量%を求めた。その結果、図3で良好なクリープ特性を示す鋼から抽出した析出物に含まれるB量は、クリープ試験前の鋼中のB量の50%以上であることが解った。
この分析結果は、クリープ試験中に、Bが、炭化物及び金属間化合物に吸収され、熱的に安定なM23(CB)6やFe2W−Bとなり、クリープ特性の向上に寄与していることを裏付けている。
VNの析出には固溶Nが寄与するので、VよりもNとの親和性が高いAl、Ti、Zrを含む場合、これらの量とN量の関係を限定し、固溶N量を確保することが好ましい。Alのみを含む場合は、下記式(1)を満足することが好ましい。更に、Ti及びZrを含む場合は、下記式(2)を満足することが好ましい。なお、Ti及びZrの一方を含む場合は、含まない元素を0として、下記式(2)の右辺を計算すればよい。
[N]≧0.005+0.052[Al] ・・・(1)
[N]≧0.005+0.052[Al]+0.015[Ti]+0.008[Zr]
・・・(2)
Wは、体拡散律速で粒界に析出するので、析出までに必要な拡散距離が短いほど、Wの粒界析出頻度を高めることが可能となる。そのため、同じマルテンサイト構造であっても、大角粒界の最小単位であるブロック結晶粒の幅が狭いほど、粒界析出が促され、整列した析出物の粒内残留頻度が高まり、転位の移動障害が高まる結果となる。
ここで、ブロック結晶粒の幅(ブロック幅ともいう。)は、ブロック結晶粒(ブロック粒ともいう。)が、同一バリアントからなる直方体であると想定して、これを透過電子顕微鏡で観察したときの短径に当たる。
図4に、ブロック結晶粒の態様を模式的に示す。図4(a)に、ブロック結晶粒の集合体の結晶粒を示し、図4(b)に、ブロック結晶粒の想定形状と、ブロック結晶粒の幅の測定態様を示す。
ブロック幅をTEMで観察する場合、図4(b)の(2)に示すように、ブロック粒の横断面を観察するのが理想的であるが、図4(b)の(1)及び(3)に示すように、ブロック粒を斜めに切断した面を観察する場合も想定されるので、ブロック幅は平均値を採用する。ただし、ブロック幅はクリープ変形で拡幅するので、本発明鋼では、初期(製造直後)のブロック幅を指標とする。
本発明鋼では、ブロック幅を析出物間隔として、最低限、強化に寄与する距離を検討し、上限を2.0μmと決定した。一方、ブロック幅には最小値が存在する。これは、ラス幅そのものであり、内部にラス構造を持たないブロック粒は、粒内の応力を緩和できず、焼入れ時に、鋼材が割れる(焼割れ)ことがある。焼割れ時のブロック幅は、本発明鋼においては0.2μmであった。したがって、本発明鋼では、ブロック幅を0.2〜2.0μmとした。
マルテンサイトやベイナイトのブロック幅を狭くするためには、焼準しによる焼きを強くする必要がある。そのため、焼準し温度を限定する必要がある。本発明者らは、鋼をAc3点以上に加熱する場合において、ブロック幅が狭くなる焼準し条件を検討した。
図5に、焼準し温度とブロック結晶粒の幅(ブロック幅)の関係を示す。図5において、横軸は、焼準し温度、縦軸は、TEM観察で測定したブロック幅(平均値)である。本発明鋼ではブロック幅を0.2〜2.0μmに制限したので、この条件を満たす焼準し温度を実験的に決定した。
即ち、電解抽出法に用いた厚板試験片の焼準し条件を変え、焼戻しを施す前に(焼準したままの状態で)透過電子顕微鏡用薄膜を採取し、ブロック幅をTEM観察で測定した。
図5に示すように、ブロック幅を0.2〜2.0μmに制御する場合、焼準し温度を1050〜1120℃(図中、適正焼準し温度範囲)にする必要があることが解る。
焼準し温度を1120℃よりも高温にすると、旧γ粒径が大きくなり、同時に、ブロック幅も増大する。一方、焼準し温度を1050℃よりも低温にすると、各種元素の分解固溶が不十分となり、かつ、旧γ粒径が小さくなるので、鋼の焼入れ性が低下して、同時に、ブロック幅が増大する。
焼準しの冷却について、板厚が薄い場合は、そのまま放冷しても、十分に上記ブロック幅を有するマルテンサイト組織又は下部ベイナイト組織を得ることができるが、50mm以上の厚手鋼材においては、加速冷却を行うことが好ましい。
本発明鋼において、上限として想定する160mmの厚手鋼材では、1〜15℃/sの冷却速度によって、低温変態組織は変化せず、目的とするブロック幅を保持できることを、本発明者らは実験的に確認した。したがって、焼準し後の冷却速度は1〜15℃/sとした。
また、ブロック粒がクリープ変形中に移動した後、析出物が列状に残留するためには、当然、ブロック粒の移動前に析出物が粒界に析出していなければならない。最初に析出するM236型炭化物は、粒内の転位又はラス境界にも析出する傾向がある。析出物をブロック粒界(図4(a)、参照)に主として析出させるためには、析出過程である焼戻し工程を制御する必要がある。
粒界への体拡散律速析出を促すには、焼戻し温度を高めることが好ましいが、クリープ環境下におかれる前に析出物が粗大化すると、クリープ強度向上への寄与が小さくなる。焼戻し温度が低い場合、拡散が不十分になり、結果的に、転位上析出とラス境界上析出が増えることがある。
そこで、焼準し温度の検討と同様に、厚板試験片を作製し、焼準しを施した後、更に、焼戻しを施し、焼戻し温度を決定する検討を行った。焼戻し温度を変化させ、厚板試験片の組織をTEMで観察し、M236の析出位置の比率であるBP(ブロック粒界上析出率)を測定した。
BPは、一ブロック粒において、ブロック粒界上に析出したM236の数と、ラス内又はラス境界上に析出したM236の数を、透過型電子顕微鏡の明視野像上で20視野観察して測定して平均値を算出し、下記式(3)に示すように、両平均値の比で定義した。
BP=(ブロック粒界上に析出したM236の単位長さあたりの数)/
(ラス内又はラス境界上に析出したM236のブロック内の数) ・・・(3)
図6に、焼戻し温度とブロック粒界上析出率BPの関係を示す。横軸は、Ac1変態点を基準とする焼戻し温度である。BPが1.0の時、ブロック粒界の単位長さあたりのM236の析出数と、粒内のM236の析出数が一致する。BPが1.0より大きい場合、ブロック粒界上の析出が主体であることを意味し、粒内のM(例えばCr)が十分にブロック粒界まで移動したことを意味する。
したがって、図6に示すように、BPを1.0以上とする適正な焼戻し温度は、(Ac1−80)℃〜(Ac1−30)℃である。
更に、厚板試験片のクリープ試験を行った。結果を図7に示す。図7には、ブロック粒界上析出率BPと、650℃、10万時間の推定クリープ破断強度(MPa)の関係を示す。図7に示すように、BPが1.0以上となると、目標とする推定クリープ破断強度(100MPa)以上となる。
鋼材を焼戻し温度に加熱する際には、鋼材の中心部の温度が適正に昇温するように、処理時間を設定することが必要である。例えば、板厚40mm以上の厚鋼板の製造においては、焼戻し時間を2時間以上とすることが必要である。板厚が40mm増加すると、1時間の焼戻し時間を追加する必要があることが、本発明者らの実験結果で明らかとなった。また、焼戻し時間は、長すぎると析出物が粗大化するので、上限を5時間とする。
ブロック粒界上析出率BPを1.0以上とするとともに、ブロック粒界上の析出物の粒界長さ占有率を高めることにより、クリープ特性をより高めることができる。ブロック粒界上の析出物の粒界長さ占有率POを、下記式で定義する。
PO=(ブロック結晶粒の粒界上の析出物長さ総和/粒界の長さの総和)×100%
ブロック粒界上の析出物の粒界長さ占有率POは、透過電子顕微鏡で、最終熱処理直後の粒界長さ、及び、粒界上に占める析出物の長さを測定して求めることができる。
図8に、ブロック粒界上の析出物の粒界長さ占有率POと、650℃、10万時間の推定クリープ破断強度の関係を示す。POは、広範囲の面積を前提にする指標であり、BPは、一ブロック粒を対象とする指標であるが、図8と図7を対比すると、POが40%以上になると、BPを1.0以上にした場合と同様に、クリープ特性が向上することが解る。また、図8から、POは、40%以上が好ましく、70%以下が好ましいことが解る。
POが70%を超えると、M236が粗大化して、基材との整合性が極めて低下し、界面拡散によると推定される機構で早期に粗大化し、鋼材のクリープ破断強度が、長時間側で低下する。POが40%未満であると、M236の析出率が不足し、ブロック粒界の移動後に粒内に残留する列状の析出物の間隔が広くなり、クリープ破断強度が100MPaを超えない。
以下、本発明鋼について詳細に説明する。
まず、本発明鋼の成分組成について説明する。なお、前述したが、%は質量%を意味する。
C:0.07〜0.11%
Cは、炭化物を生成し、焼入れ性を高める元素である。本発明鋼では、クリープ破断強度を高めるために、0.07%以上とする。析出強化能を高める観点から、0.08%以上が好ましい。
Cが過剰であると、析出物が粗大になり、粒界の占有率が低下するので、上限を0.11%とする。また、C量が過剰であると、粒界に生成した炭化物が粗大化して、クリープ破断強度が低下するので、上限は0.10%が好ましい。
Si:0.05〜0.45%
Siは、脱酸元素である。添加効果を得るため、0.05%以上を添加する。脱酸効果を高める点から、0.10%以上が好ましい。また、Siは、耐酸化性の向上にも有効であり、0.20%以上がより好ましい。
一方、0.45%を超えると、Siを含む酸化物が脆性破壊の起点となって靭性を損なうことがあり、また、Siが固溶Wと置換してFe2Wの析出を促進し、クリープ破断強度を損なう場合があるので、上限を0.45%とする。靭性を高める観点から、上限は0.40%が好ましく、0.35%がより好ましい。
Mn:0.30〜0.70%
Mnは、脱酸元素である。添加効果を得るため、0.30%以上を添加する。脱酸が不十分であると靱性が低下するので、0.35%以上が好ましい。また、Mnは、オーステナイト生成元素である。転位の易動度を上げて、局部的に組織の回復を加速するため、過剰に添加すると、クリープ強度が低下する。
本発明鋼では、所要のクリープ強度を確保するため、上限を0.70%とする。クリープ破断強度を更に高めるには、上限は0.60%が好ましく、より好ましくは0.50%未満である。
Cr:8.00〜9.50%
Crは、鋼材の焼入れ性を高めるとともに、炭化物などを析出させる重要な元素である。650℃以上の高温で、高いクリープ破断強度を得るには、Crを主体とするM236型炭化物を所定量確保し、粗大化を促進するが、過剰な粗大化を抑制することが必要であり、8.00%以上を添加する。耐水蒸気酸化特性を考慮すると、8.50%以上が好ましい。
一方、過剰に添加すると、650℃で、M236の粗大化が加速し、クリープ特性が劣化するので、上限を9.50%とする。好ましい上限は9.00%であり、より好ましい上限は8.88%である。
W:2.00〜3.50%
Wは、Feとの金属間化合物を形成し、クリープ特性の向上に寄与する元素である。2.00%以上で、長期間の使用中に金属間化合物が析出し、クリープ破断強度が大きく向上する。粒界析出密度の向上の点から、2.50%以上が好ましく、2.70%以上がより好ましい。
一方、Wを過剰に添加すると、Fe2W型金属間化合物(Laves相)の粗大化が速くなるので、上限を3.50%とする。Laves相の粗大化をより効果的に抑制する点から、上限は3.30%が好ましく、より好ましくは3.20%である。
Nb:0.02〜0.08%
Nbは、炭化物を生成する元素であり、粒内に析出してクリープ破断強度の向上に寄与する元素である。NbC型炭化物がVNと複合析出すれば、転位の動きを効果的に抑制することができるので、比較的短時間のクリープ強度を維持するため、0.02%以上を添加する。NbCによる粒内析出強化能を向上させる点から、0.03%以上が好ましく、0.04%以上がより好ましい。
一方、0.08%を超えると、粗大なNbCが析出し、靱性が損なわれるので、上限を0.08%とする。NbCを微細に析出させる点から、上限は0.07%が好ましく、0.06%がより好ましい。
V:0.10〜0.50%
Vは、Nと結合して、粒内にNbCに整合して複合析出する窒化物を生成する元素である。クリープ破断強度を高めるために、0.10%以上を添加する。析出強化の効果を高める点から、0.15%以上が好ましく、0.17%以上がより好ましい。
一方、0.50%を超えると、粗大なVCが析出して靱性が損なわれるので、上限を0.50%とする。靱性を高める点から、上限は0.40%が好ましく、0.35%がより好ましい。
N:0.005〜0.010%
Nは、窒化物を形成する元素である。VNを析出させて、初期のクリープ強度を向上させるために、0.005%以上を添加する。耐火物等から混入するAlがNと結合する場合を考慮すると、0.006%以上が好ましい。
しかし、0.010%を超えると、BNが析出する場合があるので、上限を0.010%とする。また、Nは、中性子の照射により放射化して鋼を脆化させる元素でもあるので、原子力発電のプラントに使用する際は、上限は0.009%が好ましい。
Co:0.01〜3.00%
Coは、オーステナイト安定化元素であり、焼入れ性を向上させ、靱性を高める元素である。Coは変態点を変化させない唯一の元素であり、本発明者らは、転位の易動度を低下させるというCoの作用効果も知見した。
本発明鋼では、クリープ破断強度を高め、フェライト相(δフェライト)の生成を抑制するために、0.01%以上を添加する。添加効果をより高めるためには、0.10%以上が好ましく、0.50%以上がより好ましい。
一方、Coは、σ相の析出を促す効果を奏するので、上限を3.00%とする。上限は2.50%が好ましく、2.30%がより好ましい。また、原子力発電プラントなど、中性子が照射される環境では、Coが放射化するとともに、中性子照射脆化により靱性が損なわれるので、1.00%以下が好ましい。
B:0.008〜0.020%
Bは、固溶状態(粒界に偏析した状態を含む)で、鋼材の焼入れ性を高めて、転位密度の高いマルテンサイト組織、下部ベイナイト組織を生成させる元素である。本発明鋼で、Bは、炭化物、金属間化合物に固溶して熱的な安定性を高め、粗大化を遅延させる極めて重要な元素である。クリープ破断強度の向上のため、0.008%以上を添加する。好ましくは0.009%以上である。
一方、Bを過剰に添加すると、溶接性が劣化するので、上限を0.020%とする。溶接入熱を大きくする必要がある場合は、0.017%以下が好ましい。より好ましくは0.015%以下である。
本発明鋼では、スクラップなどの冷鉄源や、耐火物から不純物として混入するAl、Ni、Cu、及び、Moの混入量を制限する。
Al:0.005%未満
Alは、Nと結合し、VNによる析出強化を阻害し、粒内強化の効果を低下させるので、0.005%未満に制限する。微量のAlによってクリープ破断強度が低下するので、0.003%以下が好ましく、0.002%以下がより好ましい。
Ni:0.10%以下
Niは、靭性の向上や、オーステナイトの安定化に有効な元素であるが、転位の易動度を高め、クリープ破断強度を著しく低下させる。長時間のクリープ破断強度の低下を抑制するため、0.10%以下に制限する。クリープ特性をより高める点で、0.05%以下が好ましく、0.03%以下がより好ましい。
Cu:0.05%未満
Cuは、オーステナイトの安定化に有効な元素であるが、焼準し−焼戻しの工程をとる場合、鋼中に、ε−Cu(金属Cu)として単独で析出する。熱間加工時に鋼材を1100℃以上に加熱すると、Feが選択的に酸化されて、Cuが粒界に集まった場合には、局部的な低融点金属集積帯が形成され、粒界剥離割れ(赤熱脆性)が生じることがある。
Cuは、本発明鋼では、オーステナイト安定化への寄与が小さいので、0.05%未満に制限する。鋼の製造性を高める点で、0.03%以下が好ましく、0.01%以下がより好ましい。
Mo:0.05%未満
Moは、Fe2Wや炭化物M236に一部固溶し、Mo2C、Mo6C型の炭化物を生成させ、析出物の粗大化を促進し、長期のクリープ特性に悪影響を及ぼすので、0.05%未満に制限する。Moを主体とする硼化物は粗大化し易く、クリープ破断強度を低下させるので、0.03%以下が好ましい。
また、Moは、中性子照射により放射化して鋼を脆化させる元素であるので、原子力発電プラントに使用する際には、0.01%以下がより好ましい。
本発明鋼において、P、S、及び、Oは不純物であるので、極力低減する。
P:0.02%以下
Pは、不純物であり、粒界に偏析し、粒界破壊を助長して靱性を損なうので、0.02%以下に制限する。
S:0.01%以下
Sは、不純物であり、粗大なMnSを形成して靱性を損なうので、0.01%以下に制限する。
O:0.01%以下
Oは、不純物であり、脆性破壊の起点となる酸化物のクラスターを形成し、靭性を損なうので、0.01%以下に制限する。
本発明では、Nを固定するために、必要に応じて、Ti及びZrの一方又は両方を添加する。
Ti:0.01〜0.10%
Tiは、Bに比べてNとの親和力が極めて強い元素である。TiNの形成によってBNの析出を抑制し、炭化物の粗大化を抑制するBの効果を高めるために、0.01%以上を添加する。好ましくは0.012%以上である。
一方、過剰に添加すると、粗大なTiCが析出し、靭性が低下するので、0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.06%以下である。
Zr:0.01〜0.10%
Zrは、Tiよりも更にNとの親和力が強く、Bの効果を高めるために、0.01%以上を添加する。好ましくは0.015%以上である。一方、過剰に添加すると、粗大な酸化物が生じて、靭性を損なうので、0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
更に、本発明鋼においては、酸化物や硫化物などの介在物の形態を制御するため、Ca、Mg、Y、Ce、及び、Laの1種又は2種以上を添加してもよい。
Ca:0.0005〜0.030%
Mg:0.0005〜0.030%
Y :0.0005〜0.030%
Ce:0.0005〜0.030%
La:0.0005〜0.030%
Ca、Mg、Y、Ce、及び、Laは、硫化物の形態制御に用いられる元素であり、MnSによる熱間加工性や靭性の低下を抑制するため、1種又は2種以上を添加する。特に、板厚中心部において圧延方向に延伸したMnSの生成を防止するため、それぞれ、0.0005%以上を添加する。
一方、Ca、Mg、Y、Ce、及び、Laは、強力な脱酸元素でもあり、過剰に添加すると酸化物のクラスターが生成し、靱性が低下するので、それぞれ、0.030%以下とする。好ましいくは、それぞれ、0.020%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。
本発明鋼において、Al、Ti、及び、Zrを含有する場合、これらの量とN量との関係を限定し、VNの析出に寄与する固溶窒素量を確保することが好ましい。Alのみを含有する場合は、下記式(1)を満足し、Alに加えて、Ti及びZrの一方又は両方を含有する場合は、下記式(2)を満足することが好ましい。Ti及びZrの一方を含む場合は、含まない元素を0として、下記式(2)の右辺を計算すればよい。
[N]≧0.005+0.052[Al] ・・・(1)
[N]≧0.005+0.052[Al]+0.015[Ti]+0.008[Zr]
・・・(2)
次に、本発明鋼の金属組織について説明する。
本発明鋼では、高温での初期のクリープ強度を高めるため、金属組織を、高転位密度の低温変態組織である焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトのそれぞれの単独組織、又は、これらの複合組織とする必要がある。析出物は、低温変態組織の転位組織の回復を遅延させるものであるので、初期に高転位密度組織が得られないと、クリープ破断強度が極めて不安定となる。
また、比較的短時間のクリープ強度(約3万時間まで)を維持するには、粒内の転位の移動抑制に効果のあるNbCやVNの析出強化が有効に作用する。一方、3万時間以上の比較的長時間のクリープでは、転位組織の最小単位であるラス構造が回復、消失、移動する。このとき、外部応力に応じて、変形のために粒内に導入される転位が移動する障害となり得るのが、ブロック粒界の移動後に取り残される析出物列である。
大角粒界の最小単位であるブロック粒界の幅が狭いほど、粒界析出が促進され、粒界移動後は、整列した析出物の粒内残留の頻度が高くなり、転位の移動障害を高めることができるので、本発明鋼では、ブロック幅の上限を2.0μmとする。一方、ブロック幅の最低値は実質的なラス幅であり、0.2μmとする。好ましくは1.7μm以下、0.5μm以上である。
なお、大角粒界の定義は、隣接結晶粒との共通回転軸周りの結晶方位の回転角が15°以上である結晶粒界であり、後方散乱電子線回折法(EBSP)によって確認することができる。
析出物の転位移動障害としての指標について説明する。
本発明鋼では、下記式(3)で定義するPOを40.0〜70.0%とする。
PO=(ブロック結晶粒の粒界上の析出物長さの総和/粒界の長さの総和)×100%
・・・(3)
POを40.0%以上にすれば、粒界へのM236析出によって、ブロック粒界移動後のクリープ破断強度が顕著に向上する。一方、POを70.0%以下にすると、早期の析出物の粗大化が防止され、ブロック粒界移動後のクリープ破断強度の低下を抑制することができる。
650℃に加熱し、100MPaの応力を負荷し、200時間保持するクリープ試験を実施して、破断の有無にかかわらず、試験片から電解残渣を抽出し、測定した析出物中に含まれるB量は、クリープ試験前の鋼中のB量の50%以上であることが好ましい。
これは、クリープ試験中に、Bが、炭化物及び金属間化合物に吸収され、熱的に安定なM23(CB)6、Fe2W−Bとなり、クリープ特性の向上に寄与するからである。
電解抽出法は、非水溶媒中で鋼の母相を電解によって溶解させ、鋼中に含まれる析出物等を抽出する解析手法である。得られた残渣をX線回折法及び化学分析を併用して解析し、B量を同定することができる。
次に、本発明鋼の製造方法について説明する。
まず、常法で鋼を溶製し、鋳造した後、熱間加工にて、鋼鈑、鋼管などの最終製品形状とする。金属組織の制御は、熱間加工後の熱処理(焼準し、焼戻し)によって行うので、熱間加工の条件は特に制限しない。鋼鈑、鋼管などの最終製品形状の厚みは40〜160mmとする。
本発明鋼が適用可能な部材は、ボイラの配管、管寄せ、石油精製用反応塔の圧力容器用鋼である。これらの部材に要求される耐圧性と耐食性、更には、高温クリープ特性を同時に満足させるために、板厚を最低でも40mmとする必要がある。
40mmよりも薄い材料では、水、蒸気酸化や水素による浸食で、実質的な板厚が減少する場合に、実質的な応力が高くなり、その結果、長時間のクリープ特性を確保できない。極めて高いクリープ強度を実現するために、材料の強度のみならず、厚みの増加による部材としての強度上昇も必要であり、厚みは、50mm超、更には、60mm超が好ましい。
一方、160mmを超える極厚材については、鋼板の曲げ加工や鋼管の配管加工に多大な時間と手間を必要とする。したがって、高温用耐圧部材として必要な厚みを備えつつ、構造物を製造する上で必要な加工性の観点から、厚みは40〜160mmとする。
焼準し温度は、ブロック結晶粒の幅と相関があり、1120℃よりも高温にすると、旧γ粒径が大きくなり、ブロック幅が2.0μmを超える場合がある。一方、焼準し温度を1050℃よりも低温にすると、各種元素の分解固溶が不十分となり、かつ、旧γ粒径が小さくなるために、焼入れ性が低下して、ブロック幅が増大する場合がある。したがって、本発明鋼では、焼準し温度を1050〜1120℃に限定する。好ましくは1070〜1100℃である。
なお、本発明鋼では、焼準しの保持時間は特に制限しないが、鋼板の板厚中央部(鋼管の肉厚中央部)の温度を昇温するには、保持時間を1時間以上にすることが好ましい。また、生産性を考慮すると、保持時間を4時間以下とすることが好ましい。
焼準しの冷却速度を1〜15℃/sとすることによって、金属組織を低温変態組織であるマルテンサイト、下部ベイナイトの単独組織、又は、これらの混合組織とする。冷却速度が1℃/sよりも遅いと、ブロック幅が広くなる場合がある。また、冷却速度が15℃/sよりも速いと焼割れが生じる場合がある。好ましくは5〜10℃/sである。
焼戻し温度は、ブロック結晶粒界上の析出状態と相関がある。焼戻し温度が(Ac1−80)℃よりも低いと、ブロック粒移動後に生じる析出物列が転位の移動障害としては弱くなり、クリープ特性が劣化する場合がある。一方、焼戻し温度が(Ac1−30)℃よりも高いと、粒界上の析出物の粗大化し、クリープ環境下での析出強化が低下し、クリープ特性が劣化する場合がある。
焼戻しの保持時間は、厚みが40mm以上の鋼材の場合、中心部の温度を上昇させるために、2時間以上にすることが必要である。焼戻し時間が長すぎると析出物が粗大化するため、上限を5時間以下とする。更に、板厚が40mm増加すると、1時間の焼戻し時間を追加する必要がある。
即ち、焼戻し時間は、
(a)鋼材の厚みが40mm以上80mm未満の場合は2時間以上、
(b)鋼材の厚みが80mm以上120mm未満の場合は3時間以上、
(c)鋼材の厚みが120mm以上160mm以下の場合は4時間以上
とする。
なお、650℃で10万時間以上のクリープ破断強度に加えて、1万時間までの短時間のクリープ破断強度を向上させるために、析出促進処理を行ってもよい。析出促進処理は、初期の微細析出を強化する熱処理であり、これによって、結果的に、10万時間のクリープ破断強度を、更に高めることができる。
即ち、M236型炭化物やFe2W型金属間化合物の粒界上の微細な析出物は、整合析出又は半整合析出するので周囲に応力場を形成し、また、粗大化し難いので、長期間のクリープ破断強度も高めることが可能である。
析出促進処理の温度はM236型炭化物やFe2W型金属間化合物の析出し易い温度帯である600℃以上が好ましい。特に、Fe2Wについては650℃近傍、±20℃の温度範囲での析出促進がクリープ強度の向上に最も有効である。
ただし、700℃を超える高温では、Wが析出しない温度帯となり、析出促進処理を行っても組織回復のみが進行して、逆に、クリープ破断強度は低下する。したがって、析出促進処理を行う場合、加熱温度は700℃以下とする。また、析出促進を目的とするのであるから、一定の時間、保持する必要があり、M236型炭化物やFe2W型金属間化合物は、CrやWの拡散律速で生成するので、2時間以上の保持が好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
表1及び表2に示す成分組成の鋼を溶製し、鋳造し、得られた鋼片を1150〜1200℃に加熱して熱間加工し、厚鋼板又は厚手鋼管を製造した。厚鋼板又は厚手鋼管の板厚又は肉厚と、熱間加工前の鋼片の厚みとの比は、3.0以上とした。
Figure 2015004127
Figure 2015004127
ここで、表1及び表2の「N−[N]」は、式(1)又は式(2)の右辺の計算値と添加N量との差であり、この値が正であれば、式(1)又は式(2)を満足している。
厚鋼板又は厚手鋼管から小片を採取し、焼準し処理及び焼戻し処理を施し、必要に応じて、析出促進熱処理を施した。小片から試験片を採取して、クリープ特性及び靭性を評価した。
また、熱処理後の小片から試験片を採取し、TEM観察を行い、ブロック結晶粒の幅を測定し、ブロック結晶粒の粒界上の析出物の占有率POを求めた。ここで、POは、
PO=(ブロック結晶粒の粒界上の析出物長さの総和/粒界の長さの総和)×100%
である。
靱性は、冷間加工によって耐熱鋼を最終形状に加工する際の、加工性を評価する指標である。熱処理後の小片から、JIS Z 2242に準拠して、Vノッチ試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーを評価した。試験温度は、寒冷地での製造を考慮して、0℃で行い、吸収エネルギー(「CHO」と記載することがある)が27J以上である場合、良好と判断した。
クリープ試験片の平行部の直径は6mmφであり、最大2万時間までのクリープ破断試験を行った。試験結果とクリープ伸びのひずみ曲線を参照し、10万時間の推定クリープ破断曲線を温度−時間パラメータ法によって求めた。温度−時間パラメータ法は、具体的には、Larson-Miller-Parameter法によってマスターカーブを求め、マスターカーブ上では内挿によって、破断曲線上では外挿によって推定、クリープ破断曲線を求める方法である。
この時、650℃の適用を主な目的とする本発明鋼の特性として、100MPaをしきい値とし、これ以上の推定クリープ破断強度を示した場合に、本発明鋼の要件を満たす鋼材と判別した。また、クリープ破断試験、条件を加熱温度650℃、負荷応力100MPa、保持時間200時間とした試験片から、分析試料を採取し、電解抽出残渣分析を行い、B量を測定した。
表3(表1の続き)及び表4(表2の続き)に、板厚(肉厚)、熱処理条件、機械的特性、組織的性質及び析出物の特性を示す。
Figure 2015004127
Figure 2015004127
「<B%>」は、電解抽出残差分析によって測定されたクリープ破断試験後の析出物中に含まれるB量を、クリープ試験前(熱処理後)のB量で除した値を100分率で示したものである。
表1及び表3(表1の続き)に示す発明例(鋼No.1〜32)は、クリープ特性及び靭性が良好である。なお、鋼No.31及び鋼No.32の発明例は、本発明の範囲ではあるものの、式(1)又は式(2)を満足せず、VNの析出強化量が少ない例である。式(1)又は式(2)を満足する発明例に比べると、ややクリープ破断強度が低くなっている。
一方、表2及び表4(表2の続き)には、成分組成、製造条件、組織等が、本発明の範囲外である比較例を示した。
鋼No.51の比較例は、Cが少なく、十分な転位密度を有する初期組織が得られず、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.52の比較例は、Cが過剰で、炭化物が粗大になり、クリープ破断強度及び靱性が低下した例である。鋼No.53の比較例は、Siが不足し、鋼No.55の比較例は、Mnが不足し、いずれも、脱酸が不十分となって、鋼中に酸化物が多量に生成し、靱性が低下した例である。
鋼No.54の比較例は、Siが過多となり、酸化物クラスターによって靱性が低下し、また、SiがFe2Wの析出を促進して粗大化させ、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.56の比較例は、オーステナイト安定化元素であるMnが多いため、転位の易動度が高くなり、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.57の比較例は、Pが多く、低融点部位の形成や局所的な組織回復の促進によってクリープ破断強度が低下し、また、燐化物が粒界に沿って析出し、靱性が低下した例である。鋼No.58の比較例は、Sが多く、粒界が脆化した結果、クリープ変形に局所的に追従できない組織となって、クリープ破断強度が低下し、粗大な硫化物によって靱性が低下した例である。
鋼No.59の比較例は、Crが少なく、クリープ強化に必要なM236が不足し、鋼No.61の比較例は、Wが少なく、強化に必要なFe2Wの量が不足し、いずれも、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.60の比較例は、Crが多く、M236が早期に粗大化し、鋼No.62の比較例は、Wが多く、Fe2Wが早期に粗大化し、いずれも、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.63の比較例は、Nbが少ないためNbCの析出量が不足し、鋼No.65の比較例は、Vが少ないためVNの析出量が不足し、いずれも、粒内の強化が不十分となって、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.64の比較例は、Nbが過剰で、粗大なNbCが析出し、鋼No.66の比較例は、Vが過剰で、粗大なVNが析出して、いずれも、靱性が低下し、析出物の密度が低いために、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.67は、N量が少なく、式(1)が満足できず、粒内のVN析出強化が十分に発揮されなかったために、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.68は、N量が多く、VNの粗大化が著しく、分散粒子密度の低下によるクリープ破断強度が生じ、同時に粗大析出物によって靱性が低下した例である。
鋼No.69の比較例は、Coが不足し、転位密度の低いδフェライトが断面の光学顕微鏡観察によって27%を組織上で占め、δフェライトが変形してクリープ破断強度が低下し、また、δフェライト相が粗大であるために、靱性も低下した例である。鋼No.70の比較例は、Coが過剰であるため、クリープ試験中にσ相が15%生成し(クリープ破断試験片の電解抽出残渣試験で確認)、クリープ延性が低下した例である。
鋼No.71の比較例は、Bが少なく、クリープ強化に寄与する析出物へのBの固溶が少なく、Bの析出量が31%に留まり、析出物の粗大化を抑制できなかったため、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.72の比較例は、Bが多く、焼準し後の冷却時に焼割れが生じ、組織中に微小割れが発生して、クリープ破断強度及び靱性が著しく低下した例である。
鋼No.72の比較例においては、溶接性も低下し、溶接継手のボンドにおいて割れが多発して、構造体に組み上げることができなかった。
鋼No.73〜76の比較例は、本発明鋼では不純物元素であるAl、Ni、Cu、及び、Moが過剰な例である。鋼No.73の比較例は、Alが多く、式(1)を満足していない例であり、AlNが生成し、VNの十分な析出が達成できず、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.74は、Ni量が多く、転位の易動度が高まり、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.75の比較例は、Cuが多く、赤熱脆性が生じ、粒界に沿った割れが熱間加工中に生じ、クリープ破断強度及び靱性が低下した例である。鋼No.76の比較例は、Moが多く、M2C、M6Cの化学量論比を有する炭化物(いずれも主体であるMoを含み、Cr、Wを吸収する)が生成した例である。M2C、M6Cは、早期に粗大化し、M236とFe2Wの析出量が減少したため、クリープ破断強度が低下している。
鋼No.77〜83の比較例は、本発明鋼では選択元素であるTi、Zr、Ca、Mg、Y、Ce、及び、Laが過剰な例である。鋼No.77の比較例は、Tiが多く、粗大なTiCが析出し、鋼No.78の比較例は、Zrが多く、粗大なZrCが析出し、いずれも、靱性が低下するとともに、M236の析出量が減少して、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.79〜83の比較例は、いずれも、硫化物の形態を制御する元素が過剰な例であり、酸化物クラスターが生じて、靱性が低下した例である。鋼No.84の比較例は、板厚が極めて厚く、厚鋼板の板厚中心では、焼準しの冷却速度が遅くなり、組織が低温変態組織とならず(ベイニティックフェライトとなり)、クリープ強度と靱性が低下した例である。
鋼No.85の比較例は、焼準し温度が低く、二相域での焼準しとなり、均一な低温変態組織が得られず、クリープ破断強度及び靱性が低下した例である。鋼No.86の比較例は、焼準し温度が高く、オーステナイトの粒径が500μmを超え、焼入れ性が高くなり、焼割れによって微小クラックが生じ、クリープ破断強度及び靱性が低下した例である。
鋼No.87の比較例は、焼準し後の冷却速度が小さく、完全な低温変態組織が得られず(ベイニティックフェライトとなり)、クリープ強度と靱性が低下した例である。鋼No.88の比較例は、焼準し後の冷却速度が速すぎ、ブロック幅が小さくなり、過剰に焼入れ時の残留応力が組織に蓄えられて、焼割れが生じ、クリープ破断強度と靱性がともに低下した例である。
鋼No.89の比較例は、鋼No.88の比較例ほどではないが、焼準し後の冷却速度が速い例である。鋼No.90の比較例は、焼準し温度がやや低く、冷却速度がやや遅いため、ブロック幅が大きくなり、析出強化量が減少して、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.91の比較例は、焼戻し温度が高く、組織回復が進みすぎ、かつ、M236の析出と粗大化が促進されて、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.92の比較例は、焼戻し温度が低すぎて、強化に必要なM236の析出が不十分となり、組織回復が不十分となって、可動転位が結晶粒に多く残留し、クリープ中の転位の合一消滅が助長されて、結果的に、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.93の比較例は、焼戻し時間が6.0時間と長く、焼準しで得た定温変態組織の回復が進みすぎて、鋼中転位密度が低下し、結果的に、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.94の比較例は、さらに焼戻し温度が低下した結果、粒界上の析出が少なく、析出物占有率も40%未満となり、さらに、BPが1を下回り、粒内析出が増加した結果、析出強化の効果が低下して、クリープ破断強度が低下した例である。
鋼No.95の比較例は、析出促進熱処理温度が高すぎ、組織回復が進行して、初期の高転位密度組織が回復したこと、及び、析出物の粗大化が促進されてしまったことにより、クリープ破断強度が低下した例である。鋼No.96の比較例は、Cr及びWが僅かに少なくて、クリープ破断強度が低下している例である。鋼No.97の比較例は、O(酸素)が多く、生成した酸化物クラスターに起因して靱性が低下した例である。
前述したように、本発明によれば、600℃超、特に、650℃以上の高温において、鋼中の析出物、中でも、ブロック粒界に析出する炭化物、金属間化合物にBを固溶させるか、又は、硼化物を析出させることにより、従来の鋼材に比較して析出物の粗大化を抑制し、クリープ破断強度を高めたフェライト系耐熱鋼を提供することができる。
即ち、本発明の耐熱鋼は、従来の9%Cr鋼に比べて、クリープ破断強度に優れているので、効率を高めた発電プラントや化学プラントの構造部材として長時間に亘って使用することができる。よって、本発明は、産業上の貢献が極めて顕著なものである。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C :0.07〜0.11%、
    Si:0.05〜0.45%、
    Mn:0.30〜0.70%、
    Cr:8.00〜9.50%、
    W :2.00〜3.50%、
    Nb:0.02〜0.08%、
    V :0.10〜0.50%、
    N :0.005〜0.010%、
    Co:0.01〜3.00%、
    B :0.008〜0.020%
    を含有し、
    P :0.02%以下、
    S :0.01%以下、
    O :0.01%以下、
    Al:0.005%未満、
    Ni:0.10%以下、
    Cu:0.05%未満、
    Mo:0.05%未満
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    金属組織が、焼戻しマルテンサイト及び焼戻しベイナイトの一方又は両方からなり、
    ブロック結晶粒の幅が、0.2〜2.0μm
    であることを特徴とする耐熱鋼。
  2. 前記窒素量[N]及びAl量[Al]が、下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の耐熱鋼。
    [N]≧0.005+0.052[Al] ・・・(1)
  3. 更に、質量%で、
    Ti:0.01〜0.10%、及び、
    Zr:0.01〜0.10%
    の一方又は両方を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐熱鋼。
  4. 前記窒素量[N]、Al量[Al]、Ti量[Ti]、及び、Zr量[Zr]が、下記式(2)を満足することを特徴とする請求項3に記載の耐熱鋼。
    [N]≧0.005+0.052[Al]+0.015[Ti]+0.008[Zr]
    ・・・(2)
  5. 更に、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.030%、
    Mg:0.0005〜0.030%、
    Y :0.0005〜0.030%、
    Ce:0.0005〜0.030%、
    La:0.0005〜0.030%
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
  6. 前記ブロック結晶粒の粒界上の析出物の、下記式で定義する占有率POが、40〜70%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
    PO=(ブロック結晶粒の粒界上の析出物長さの総和/粒界の長さの総和)×100%
  7. 650℃に加熱し、100MPaの応力を負荷し、200時間保持するクリープ試験の後、電解抽出残渣に含まれるB量が、前記クリープ試験前の鋼中のB量の50%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱鋼。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成分組成の鋼片を、厚みが40〜160mmの鋼板又は鋼管に熱間圧延し、その後、1050〜1120℃に加熱し、1〜15℃/sで冷却する焼準処理を施し、更に、(Ac1変態点−80)℃〜(Ac1変態点−30)℃の範囲で、2〜5時間保持する焼戻し処理を施すに際し、保持時間を、
    (a)鋼材の厚みが40mm以上80mm未満の場合は2時間以上、
    (b)鋼材の厚みが80mm以上120mm未満の場合は3時間以上、
    (c)鋼材の厚みが120mm以上160mm以下の場合は4時間以上
    とすることを特徴とする耐熱鋼の製造方法。
  9. 前記焼戻し処理の後、600〜700℃に加熱し、2時間以上、保持することを特徴とする請求項8に記載の耐熱鋼の製造方法。
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