JPH1192881A - ラスマルテンサイト組織のフェライト系耐熱鋼と その製造方法 - Google Patents

ラスマルテンサイト組織のフェライト系耐熱鋼と その製造方法

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JPH1192881A
JPH1192881A JP25648297A JP25648297A JPH1192881A JP H1192881 A JPH1192881 A JP H1192881A JP 25648297 A JP25648297 A JP 25648297A JP 25648297 A JP25648297 A JP 25648297A JP H1192881 A JPH1192881 A JP H1192881A
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正晃 五十嵐
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冨士雄 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 600℃を越える高温における長時間クリー
プ特性に優れたフェライト系耐熱鋼を提供する。 【解決手段】マルテンサイト組織を有するフェライト系
耐熱鋼であって、マルテンサイトラスの大きさが幅≦
0.5μm、長さ≦5μmで、かつ隣り合う個々のラス
方位が互いに2deg以内の類似方位を有する領域が5
μm以下である、微細かつランダム方位を有することを
特徴とするラスマルテンサイト組織のフェライト系耐熱
鋼とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ラスマル
テンサイト組織のフェライト系耐熱鋼とその製造方法に
関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明
は、ボイラ、原子力発電設備、化学工業設備等の高温、
高圧下で操業される装置用の材料、たとえば熱交換用の
鋼管、圧力容器用の鋼板、タービン用材料等として有用
な、長時間クリープ特性に優れた、新しいフェライト系
耐熱鋼とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】ボイラ、原子力発電設備、化
学工業装置等の装置は、高温、高圧下で長時間使用され
る。したがって、これらの装置に用いられる耐熱鋼は、
高温における強度、耐食性、耐酸化性および常温におけ
る靱性等に優れていることが要求される。これらの用途
には、従来、オーステナイト系ステンレス鋼(たとえ
ば、JIS−SUS321H、同SUS347H鋼)、
低合金鋼(たとえば、JIS−STBA24(2・1/
4Cr−1Mo))、さらには、9〜12Cr系の高C
rフェライト鋼(たとえば、JIS−STBA26(9
Cr−1Mo鋼))などが用いられてきている。なかで
も、高Crフェライト鋼は、500〜650℃の温度域
において、強度、耐食性の点で低合金鋼よりも優れ、ま
た、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて熱伝導率が
高く、かつ熱膨張率が小さいので、耐熱疲労性に優れて
いることや、スケール剥離が起こりにくい特性を備えて
いるといった特長がある。この他、高Crフェライト鋼
は、応力腐食割れを起こさないことなどの長所を持って
いるため、広く利用されている。
【0003】一方、近年では、火力発電においては、熱
効率の向上を図るために、ボイラの蒸気条件の高温化、
高圧化が進められている。すなわち、現状の超臨界圧条
件538℃、246気圧から、将来は650℃で350
気圧というような超々臨界圧条件での操業が計画されて
いる。このような蒸気条件の変化に伴って、ボイラ用鋼
管に対して要求される性能は、ますます過酷化してきて
いる。そのため、従来の高Crフェライト鋼では、高温
における長時間クリープ強度、耐酸化性等の特性、特に
耐水蒸気酸化性の点で630℃程度までが限界と考えら
れているのが実状である。水蒸気酸化とは、高温高圧の
水蒸気に曝されるボイラー用鋼管等の表面で生じる酸化
現象であるが、この酸化が起こり酸化皮膜(スケール)
が生成すると、ボイラーの温度変化にともなってスケー
スが剥離し、剥離したスケールは、鋼管内の詰まり等の
トラブルの原因にもなるので、水蒸気酸化の防止は重要
な課題の一つとなっている。
【0004】オーステナイト系ステンレス鋼は、耐水蒸
気酸化性の点では上記の要求に十分応える材質が既に開
発されているが、発電所の起動・停止に伴う熱歪みに起
因した熱疲労・熱衝撃特性や、靱性に劣るため、大径厚
肉の主蒸気配管等には適用できない。そこで高Crフェ
ライト鋼の特性を改良して、その使用限界温度を向上さ
せる努力が払われている。
【0005】たとえば、高Crフェライト鋼の特性の改
良対策として、従来の高Crフェライト鋼にWを含有さ
せた耐熱鋼が開発されている。特開平3−97832号
公報には、従来よりもW含有量を高くし、さらに、高温
における耐酸化性を向上させるためにCuを含有させた
高Crフェライト鋼が開示されている。また、特開平4
−371551号公報および特開平4−371552号
公報には、WおよびMoを含有させ、MoとWの含有量
の適正な割合を選択するとともに、CoおよびBの両者
を含有させることにより、高温における強度と靱性を高
めた高Crフェライト鋼が提案されている。
【0006】これらの高Crフェライト鋼は、Wを多量
に含有しているので、高温クリープ強度に優れている。
しかし、Wは、Mo、Cr等と共にフェライト生成元素
であるため、多量に含有する場合には、鋼中にδ−フェ
ライトが生成する。その結果、高Crフェライト鋼の靱
性が低下するという弊害が生じる。靱性低下の防止に
は、高Crフェライト鋼の組織をマルテンサイト組織単
相とすることが有効である。その点を考慮して、特開平
5−263196号公報には、Cr含有量を低くするこ
とにより、マルテンサイト組織単相とした耐熱鋼が開示
されている。また、特開平5−311342号、同5−
311343号、同5−311344号、同5−311
345号、同5−311346号公報には、高Crフェ
ライト鋼に対して、オーステナイト生成元素であるN
i、Cu、Co等を含有させることによって、靱性を向
上させた高Crフェライト鋼が提案されている。
【0007】しかしながら、上記の特開平5−2631
96号公報に開示されている高Crフェライト鋼におい
ては、Mo、Ni等が、鋼の表面に生成する緻密で安定
なコランダム型のCr2 3 からなるスケール層を破壊
するために、耐水蒸気酸化性に劣るという欠点がある。
また、特開平5−311342号公報等に開示されてい
る高Crフェライト鋼は、Ni、Cu等を多量に含有し
ているので、A1 変態点およびA3 変態点が低い。その
ために、焼きもどし軟化抵抗が小さいので、長時間クリ
ープ強度が低い。また、これらの元素が含まれると、C
2 3 を主体とする酸化物の構造が変わるので、高C
rフェライト鋼の耐水蒸気酸化性が悪くなるという欠点
がある。
【0008】以上のことからは、従来の知見を総合して
も、600℃を越える高温において長時間クリープ特性
が飛躍的に向上し、しかもその他の性能、たとえば靱性
や耐水蒸気酸化性等に何れも優れる鋼を実現することは
難しい状況にある。たとえば従来のボイラ用高Crフェ
ライト鋼では、600℃を越える高温での長時間クリー
プ強度はクリープ歪みがある程度大きくなりだすと、ラ
スマルテンサイトの合体・成長が急速に進行し、動的再
結晶の様相を呈し、加速クリープ域へ移行して早期破断
に至る。このようなクリープ強度の低下は焼き戻しマル
テンサイト組織を有する従来の高Crフェライト系耐熱
鋼では本質的な問題で、有効な対策がないのが現状であ
る。
【0009】この出願の発明は、以上のとおりの従来技
術の限界を克服し、600℃を超えるような高温におい
ても、マルテンサイト組織の最適化によって長時間クリ
ープ特性を著しく向上させることのできる高Crフェラ
イト系耐熱鋼を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、焼きならし、もしくは焼
入れ後必要に応じて焼き戻しされたマルテンサイト組織
を有するフェライト系耐熱鋼であって、マルテンサイト
ラスの大きさが幅≦0.5μm、長さ≦5μmで、かつ
隣り合う個々のラス方位が互いに2deg以内の類似方
位を有する領域が、5μm以下である、微細かつランダ
ム方位を有することを特徴とするラスマルテンサイト組
織のフェライト系耐熱鋼(請求項1)を提供する。
【0011】また、この発明は、上記耐熱鋼について、
マルテンサイト変態前のオーステナイト粒の平均径が2
0μm以上であるフェライト系耐熱鋼(請求項2)を提
供する。そして、この発明は、以上のフェライト系耐熱
鋼の態様として以下のものも提供する。重量%で、C:
0.06〜0.18%、Si:0〜1.0%、Mn:0
〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.015%
以下、Cr:8.0〜13.0%、W:0〜4.0%、
Mo:0〜2.0%、但しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼(請求項
3)。
【0012】重量%で、C:0.06〜0.18%、S
i:0〜1.0%、Mn:0〜1.5%、P:0.03
0%以下、S:0.015%以下、Cr:8.0〜1
3.0%、W:0〜4.0%、Mo:0〜2.0%、但
しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、さらに
Nb:0〜0.15%、およびTa:0〜0.30%の
割合で、その少なくとも1種を合計で0.02%≦Nb
+1/2 Ta≦0.15%を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼(請求項
4)。
【0013】重量%で、C:0.06〜0.18%、S
i:0〜1.0%、Mn:0〜1.5%、P:0.03
0%以下、S:0.015%以下、Cr:8.0〜1
3.0%、W:0〜4.0%、Mo:0〜2.0%、但
しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、さらに
Ti:0〜0.15%、Zr:0〜0.30%、および
HF:0〜0.30%の割合で、その少なくとも1種を
合計で0.02%≦Ti+ 1/2Zr+ 1/4Hf≦0.1
5%を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼(請求項
5)。
【0014】重量%で、C:0.06〜0.18%、S
i:0〜1.0%、Mn:0〜1.5%、P:0.03
0%以下、S:0.015%以下、Cr:8.0〜1
3.0%、W:0〜4.0%、Mo:0〜2.0%、但
しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、さらに
Nb:0〜0.15%、およびTa:0〜0.30%の
割合で、その少なくとも1種を合計で0.02%≦Nb
+ 1/2Ta≦0.15%、並びにTi:0〜0.15
%、Zr:0〜0.30%およびHf:0〜0.30%
の割合で、その少なくとも1種を合計で0.02%≦T
i+ 1/2Zr+ 1/4Hf≦0.15%を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼(請求項
6)。
【0015】さらにこの出願の発明は、以上のフェライ
ト系耐熱鋼の製造方法であって、1000℃〜1250
℃の温度範囲にてオーステナイト化処理後,Al変態点
〜500℃の温度範囲へ冷却後、断面変化率で15%以
上の引張、圧縮、捻りのいずれかのモードに対応する加
工を加え、引き続いてその加工方向に対して前の加工と
は異なる加工モードにて断面変化率で15%以上の加工
を施す多段多軸加工を1回以上繰り返し、その後冷却し
てマルテンサイト組織を得、必要に応じて焼き戻し処理
を施すことを特徴とするラスマルテンサイト組織を有す
るフェライト系耐熱鋼の製造方法(請求項7)をも提供
する。
【0016】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴を有するフェライト系耐熱鋼とその製造方法を提
供するものであるが、このものは、発明者らが、600
℃を超えるような高温において、マルテンサイト組織の
最適化によって長時間クリープ特性を著しく向上させた
高Crフェライト系耐熱鋼を提供することを目的として
研究開発を進め、高Crフェライト鋼の高温長時間クリ
ープ強度と、鋼の化学組成および金属組織(ミクロ組
織)との関係について詳細に検討し、その結果として得
られた次のような新たな知見に基づいて完成されてい
る。
【0017】 焼き戻しマルテンサイト組織を有する
フェライト系耐熱鋼では、高温におけるクリープ変形に
おいて、クリープ歪みがある程度集積し出すと、マルテ
ンサイトラスの合体・成長が起こり、急激に加速クリー
プ域へ移行する。 フェライト系耐熱鋼ではクリープ変形は、定常クリ
ープ域がほとんどなく、初期の遷移クリープ域から加速
クリープ域へ移行し、その寿命の大部分は加速クリープ
域の長さで支配される。
【0018】そのため、ラスマルテンサイト組織の合体
・成長をできるだけ遅延させることがクリープ寿命の向
上に繋がる。 マルテンサイト組織をラスの大きさが幅≦0.5μ
m、長さ≦5μmで、かつ隣り合う個々のラス方位が類
似(互いに2deg以内)の方位を有する領域が5μm
以下である、微細かつランダム方位を有する構造とする
ことによって、遷移クリープ域から加速クリープ域への
移行を大幅に遅延させ、長時間クリープ抵抗を維持する
ことができる。
【0019】 上記の組織であれば従来の鋼の組成範
囲であっても、600℃を越える高温におけるクリープ
強度が飛躍的に向上する。 この様な組織は特定の合金組成にて、既存のあるい
は新しい適当な加工法の組み合わせによって実現され
る。 そこで、この出願の発明のフェライト系耐熱鋼の組織と
鋼の特性の関係、さらには組成限定した場合の各合金元
素と鋼の特性との関係および各合金元素の含有量の範囲
とその限定理由について、以下に説明する。
【0020】まず、ラスマルテンサイトについて説明す
ると、通常の鋼ではC含有量とマルテンサイトの生成
(変態)温度によってマルテンサイト組織の形態が変化
するが、実用鋼(C含有量,0%〜1%の範囲)では大
部分がラスマルテンサイト組織となる。ラスマルテンサ
イトでは、通常同一、あるいは類似の方位をもった結晶
粒の最小単位がラスで、幅が約1〜2μm程度、長さが
5〜10μm程度の粒状、あるいは板状の結晶粒であ
る。このラスが集まってブロックを形成し、さらにいく
つかのブロックが集まってパケットを形成する。一つの
オーステナイト結晶粒がマルテンサイト変態すると、そ
の中にいくつかのパケットが形成され、そのパケットは
さらにブロック、さらにはラスによって構成されること
になる。
【0021】一般に、ラスマルテンサイトは焼き入れた
ままでは転位密度が高く、室温では硬くて(高強度)、
脆い(靱性が低い)特徴を有するため、通常は焼き戻し
処理によって転位密度を低下させ、あるいはラス・ブロ
ック・パケット界面、さらには処理前のオーステナイト
粒界にM23C6等の炭化物を析出させて軟化させて使
用される場合が多い。この焼き戻し処理により強度と靱
性を兼ね備えた鋼が得られる。しかしながら、高温で使
用される耐熱鋼では高温での長時間使用に伴い、クリー
プ変形と時効が重畳してさらに軟化が進行し、クリープ
強度が低下する。
【0022】このラスマルテンサイト組織のクリープ変
形においては、微細に析出した炭化物がクリープ変形の
抵抗として寄与することから、クリープ初期には主にラ
ス組織内部での転位密度の低下が進行するが、クリープ
変形の進行に伴いクリープ歪みがラス界面に蓄積してラ
スの合体・成長が起こる。この段階は加速クリープ域で
も初期に相当するが、その後、同一、あるいは類似の方
位を有するラスの合体が進行すると、今度はブロック、
およびパケット界面にクリープ歪みが急激に蓄積し、さ
らにクリープ変形の加速が進行する。最終的には旧オー
ステナイト粒界での動的再結晶の起点となり、また粒界
すべりが容易に進行することとなり急速にクリープ変形
して破断に至る。
【0023】このようなクリープ変形においては、
(1)ラスの合体・成長の抑制、(2)ブロック・パケ
ット界面へのクリープ歪みの蓄積抑止、(3)処理前の
オーステナイト粒界での動的再結晶抑制と、(4)処理
前のオーステナイト粒界での粒界すべり抑制がクリープ
抵抗の向上に重要である。(1)〜(3)に対してはラ
スの微細化およびランダム方位化により、クリープ歪み
が分散可能で、その結果ラスの合体・成長は抑制され、
ブロック・パケット界面への歪み蓄積も抑止可能であ
る。また、処理前のオーステナイト粒界での動的再結晶
も同様に歪みの蓄積によって生じることから、ラスの微
細化・ランダム化がその抑制に効果がある。ところが6
00℃を越えるような高温においては特に低応力下(使
用環境での応力状態により近い)では粒界すべりがクリ
ープ変形の大部分を担うようになり、これは結晶粒径が
小さいほど粒界すべりの寄与が増大し、急激にクリープ
抵抗を失う。したがって粒界すべりの寄与が大きい高温
においてはできるだけ旧オーステナイト粒径は大きい方
がクリープ強度には有利となる。この両者を同時に満足
できる組織として、マルテンサイトラスの大きさが幅≦
0.5μm、長さ≦5μmで、かつ隣り合う個々のラス
方位が類似(互いに2deg以内)の方位を有する領域
が5μm以下である、微細かつランダム方位を有するラ
スマルテンサイト組織とする。また、処理前のオーステ
ナイト粒の平均径は20μm以上とするのがよい。
【0024】次に合金組成を特定する場合の各成分元素
の選定理由、並びに限定範囲について示す。 C:Cは重要なオーステナイト生成元素としてδ−フェ
ライト相の抑制効果を有すると共に、鋼の焼き入れ性を
著しく高めてマルテンサイト相母相を形成するのに不可
欠の元素である。さらにMC型炭化物(MはV,Nb等
の合金元素、炭窒化物M(C,N)の形態をとる場合も
ある)、M7 3 、M236 型の炭化物を形成する。こ
れらの炭化物は、本発明鋼の特性に著しい影響を及ぼ
す。高Crフェライト鋼は、通常、焼きならしおよび焼
きもどし処理によって焼きもどしマルテンサイト組織と
して使用される。600℃を越えるような高温下で長時
間使用される場合には、VC、NbC等の微細な炭化物
の析出が進行する。これらの炭化物は、長時間クリープ
強度を維持する働きをする。この炭化物の効果を得るた
めには、0.06重量%(以下、化学組成の%表示は重
量%)以上のCが必要である。一方、C含有量が0.1
8%を超えると、高温下で使用される際、初期段階から
炭化物の凝集と粗大化が起こり、長時間のクリープ強度
が低下する。したがって、C含有量が0.06〜0.1
8%が適当である。
【0025】Si:Siは、溶鋼の脱酸剤として用いら
れる。この外、高温における耐水蒸気酸化性を向上させ
るのに有効な元素である。しかし、過剰な場合は、鋼の
靱性が低下するので、1%以下がよい。溶鋼が十分なA
l量で脱酸される場合には、特にSiを含む必要はな
い。 Mn:Mnは、通常、SをMnSとして固定し、鋼の熱
間加工性を向上させるために添加されてきたが、十分に
脱硫された鋼においては特に添加する必要はない。本発
明鋼においては、Mnは高圧力下での短時間クリープ強
度を向上させる効果もあるため、必要に応じて添加され
る。一方、Mn含有量が1.5%を超えると、鋼の靱性
が低下する。したがって、Mn含有量は0〜1.5%と
するのが好ましい。
【0026】Cr:Crは、本発明鋼の高温における耐
食性、耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性を確保するため
に、必要不可欠な元素である。Crを含有する場合に
は、鋼の表面にCr酸化物を主体とする緻密な酸化皮膜
が形成される。この酸化皮膜が、本発明鋼の高温におけ
る耐食性や耐酸化性、特に耐水蒸気酸化性を向上させ
る。また、Crは、炭化物を形成してクリープ強度を向
上させる働きを持っている。これらの効果を得るために
は、Cr含有量8.0%以上が必要である。一方、1
3.0%を超えると、δ−フェライトが生成しやすくな
るので、靱性の低下が起こる。したがって、Cr含有量
は8.0〜13.0%とするのが好ましい。
【0027】W:Wは、本発明鋼において、クリープ強
度を高める上で有効な元素の1つである。Wは、固溶状
態にあってはマルテンサイト相母相を強化し、さらに鋼
が高温下で使用される場合には、Fe7 6 型のμ相、
あるいはFe2 W型の Laves相などを主体とする金属間
化合物を形成し、微細析出相を通して、長時間クリープ
強度を向上させる。また、WはCr炭化物中にも一部固
溶し、炭化物の凝集、粗大化を抑制する働きがあるの
で、本発明鋼の高温における強度の維持にも有効な元素
である。Wのこの効果を得るためには、微量添加では固
溶強化、1%を越える添加では析出強化は顕著となる。
一方、4.0%を超えると、δ−フェライトが生成しや
すくなり、靱性が低下する。また、Mo(後述)と同時
に添加する場合はその含有量をW+2Mo≦4.0%と
するのがよい。さらに、他の強化元素で鋼が十分強化さ
れている場合はWを含有させなくても良い。
【0028】Mo:Moは、Wと同様に微量では固溶強
化、1%超では析出強化に寄与し、クリープ強度を高め
るが、析出強化の寄与する温度範囲はWに比べて低温側
(600℃以下)で顕著である。またMoを含むM23
6 、あるいはM7 3 型炭化物は、高温で安定であるた
めに、長時間クリープ強度の確保に対して有効な元素で
ある。一方、2.0%を超えるとδ−フェライトが生成
しやすくなり、靱性が低下する。また、W(前述)と同
時に添加する場合はその含有量をW+2Mo≦4.0%
の範囲とするのが適当である。さらに、他の強化元素で
鋼が十分強化されている場合はMoを含有させなくても
よい。
【0029】V:Vは、微細な炭窒化物を形成してクリ
ープ強度の向上に寄与する元素である。Vの効果は、含
有量0.10%以上で現れる。一方、含有量が0.50
%を超えると、その効果は飽和するので、V含有量は
0.10〜0.50%とするのが適当である。 Nb,Ta:Nb,Taは、窒化物および炭窒化物の形
成により、ラスマルテンサイトの合体・成長を遅延さ
せ、クリープ強度の向上に寄与するので、必要に応じて
Nb:0〜0.15%、Ta:0〜0.30%、の少な
くとも1種を0.02%≦Nb+ 1/2Ta≦0.15%
の範囲で添加するのが適当である。
【0030】Ti,Zr,Hf:Ti,Zr,Hfは、
窒化物および炭窒化物の形成により、ラスマルテンサイ
トの合体・成長を遅延させ、クリープ強度の向上に寄与
するので、必要に応じてTi:0〜0.15%、Zr:
0〜0.30%、Hf:0〜0.30%、の少なくとも
1種を0.02%≦Ti+ 1/2Zr+ 1/4Hf≦0.1
5%の範囲で添加するのが適当である。
【0031】N:NはC同様に重要なオーステナイト生
成元素としてδ−フェライト相の抑制効果を有すると共
に、鋼の焼き入れ性を高めてマルテンサイト相を形成す
る元素である。さらにM(C,N)型炭窒化物(Mは
V,Nb等の合金元素)を形成し、本発明鋼の特性に著
しい影響を及ぼすが、所望の性能に応じてCとNの添加
割合を制御するのが重要である。すなわち、本発明鋼に
おいては、C等によりδ−フェライト相を十分抑制可能
であり、かつ630℃を越える高温におけるクリープ強
度を重視する場合にはN添加は特に必要ない。一方、焼
き入れ性を十分高めてδ−フェライト相を抑制すること
を重視する場合にはNを添加するのが良い。その場合に
も多量添加により窒化物の粗大化が進行すると、靱性の
低下が著しくなるので、好ましくは、N含有量は0〜
0.10%とする。
【0032】B:Bが微量、鋼中に含まれると、主にM
236 型等の炭化物が微細に分散析出し凝集粗大化が抑
制されるため、高温長時間クリープ強度が向上する。ま
た、厚肉材などで熱処理後の冷却速度が遅い場合には、
焼き入れ性を高めて高温強度を向上させる働きがある。
本発明鋼では、Bを含有しなくてもよいが、高温強度を
高める目的で含有させてもよい。Bの効果は、0.00
05%以上で顕著となるので、含有させる場合は0.0
005%以上とするのが望ましい。しかし、0.030
%を超えると粗大な析出物を形成し、靱性を低下させる
ので、その上限は0.030%とするのが好ましい。
【0033】sol.Al:Alは、おもに溶鋼の脱酸
剤として添加される。鋼中には、酸化物としてのAl
と、酸化物以外の形態で存在するAlがあり、通常後者
のAlは分析上、塩酸可溶Al(sol.Al)として
区別されている。脱酸効果が得られれば、sol.Al
は特に必要ない。一方、0.050%を超えるとクリー
プ強度の低下を招く。したがって、通常sol.Al含
有量は、0〜0.050%が適当である。
【0034】O(酸素):Oは、不可避の不純物として
鋼中に含有され、粗大な酸化物として偏在すると靱性等
に悪影響を及ぼす元素である。特に、靱性を確保するた
めには、極力低い方がよい。O含有量0.020%以下
の場合には、本発明鋼の靱性への影響は小さいので、上
限は、0.020%とするのが好ましい。また、この発
明では、通常工業的に用いられている製造設備および製
造プロセスによって製造することができる。電気炉、転
炉などの炉によって精錬し、脱酸剤および合金元素の添
加によって成分調整すればよい。特に、厳密な成分調整
を必要とする場合には、合金元素を添加する前に、溶鋼
に真空処理を施す方法を採ってもよい。
【0035】所定の化学組成に調整された溶鋼は、連続
鋳造法または造塊法によって、スラブ、ビレットまたは
鋼塊に鋳造される。これらに対して、この発明では、た
とえば前記のように、1000℃〜1250℃の温度
範囲にてオーステナイト化処理後、Al変態点〜50
0℃の温度範囲へ冷却後、断面変化率で15%以上の
引張、圧縮、捻りのいずれかのモードに対応する加工を
加え、引き続いてその加工方向に対して前の加工とは
異なる加工モードにて断面変化率で15%以上の加工を
施す多段多軸加工を1回以上繰り返し、その後冷却
してマルテンサイト組織を得、必要に応じて焼き戻し
処理を施すことで、所要のラスマルテンサイト組織を持
つフェライト系耐熱鋼を製造することができる。
【0036】上記ではオーステナイト組織の均質化と
結晶粒度の調整が主目的で、好ましくは、マルテンサイ
ト変態前のオーステナイト結晶粒径を20μm以上に調
整する。加熱温度が1000℃よりも低い場合にはA3
変態点直上となり十分な均質化が不可能であり、また1
250℃を越えると不必要な結晶粒の粗大化を招く場合
があるためオーステナイト化温度は1000℃〜125
0℃が適当である。
【0037】上記ではその後オーステナイト状態のま
まで加工することを目的にAl変態点から500℃の範
囲へ冷却するが、冷却速度は空冷程度以上の冷却速度が
望ましい。これによって過度の析出もなくオーステナイ
ト単相組織が維持され、引き続く加工が均一に可能とな
る。上記ではオーステナイト状態で断面変化率15%
以上の引張、圧縮、捻りのいずれかの加工を加えるが、
加工度が15%に満たない場合は最終的に得られるラス
マルテンサイトの微細化・ランダム化が効率的に得られ
ない。
【0038】上記ではの加工に引き続いてその加工
方向に対して前の加工とは異なる加工モードにて断面変
化率で15%以上の加工を施すが、前の加工モードと異
なるモードで加工することによって、最終的に得られる
ラスマルテンサイト組織のランダム化・微細化が初めて
可能となる。さらに従来の加工熱処理ではマルテンサイ
ト変態前のオーステナイト結晶粒は一方向に伸長し、強
い異方性(集合組織)を示すが、この方法によれば異方
性はほとんどないオーステナイト粒が得られ、これは粒
界すべりの支配的になる高温でのクリープ抵抗をさらに
向上させる効果を有する。
【0039】上記に記載のごとく、−の加工を繰
り返すことはラスマルテンサイトの微細化に有利であ
り、必要に応じて実施する。上記の加工後の冷却は空
冷程度以上の冷却速度でマルテンサイト組織が得られ
る。焼き割れの生じない範囲で急冷することはラスマル
テンサイトの微細化に効果がある。
【0040】上記の焼き戻しについては必要に応じて
実施する。靱性の向上が必要な場合には通常の焼きなら
し焼き戻しと同様に700℃〜Al変態点の温度範囲に
再加熱し、数時間程度保持後空冷すれば良い。また、金
属間化合物を初期に微細析出させてさらにクリープ抵抗
を高めたい場合には500℃〜700℃の温度範囲に数
時間以上加熱保持後、空冷すれば良い。また加工時に適
当な析出が起こり焼き戻しと同じ効果が得られている場
合には、特に焼き戻し処理を実施しなくても良い。
【0041】さらに上記−、あるいはの加工前あ
るいは加工中において素材を500℃〜700℃の温度
範囲に数時間程度保持する処理を実施しても良い。これ
により高温安定な炭窒化物や金属間化合物の微細分散化
が図れ、さらにラスマルテンサイトの微細・ランダム化
が促進される場合がある。以下、実施例を示し、さらに
詳しくこの発明について説明する。
【0042】
【実施例】表1は、試験に用いた供試材の化学組成(重
量%)を示したものである。
【0043】
【表1】
【0044】各供試材の製造方法は次のとおりである。
まず、容量10Kgの真空高周波誘導炉によって原料を
溶解し、所定の化学組成に成分調整した後、80mm丸
の鋼塊に鋳造した。得られたインゴットを温度1250
℃〜1000℃で熱間鍛造して、40mm丸の試験材を
作製した。その後試験材は900℃〜1100℃にてオ
ーステナイト化処理を施し、そのまま500℃〜700
℃までファン空冷後直ちに押し出し加工して20mm丸
とした後、引き続きプレス鍛造にて30mm丸の試験材
とした。次いで、焼き戻し処理を実施してクリープ試験
片、組織観察試験片を採取した。
【0045】組織観察は主に透過電子顕微鏡によるラス
組織の定量を実施した。また、高温クリープ強度の評価
方法は下記のとおりとした。 〔高温クリープ強度〕高温クリープ強度は、下記の試験
条件によるクリープ破断試験によって評価した。
【0046】 試験片 :径8.0mm 標点距離 40mm 試験温度:(1)600℃、 (2)650℃、 (3)700℃ 応 力:(1)250MPa、(2)140MPa、(3)100MPa 測定項目:破断時間 図1は供試鋼No.3を種々のオーステナイト化温度に
て製造して得られたラス幅とクリープ破断時間との関係
を示している。一般にオーステナイト化温度が低くなる
とラス幅は小さくなるが、クリープ強度は600℃では
ラス幅の減少と共に急激に高くなるが、650℃、70
0℃の試験ではデータがばらつき、特に700℃ではラ
ス幅の減少と共に破断時間が短くなる傾向もある。従っ
てラス幅だけからは高温におけるクリープ強度をうまく
整理できないことが解る。
【0047】一方、図2は供試鋼No.5を種々の条件
で製造した場合の旧オーステナイト粒径とラス幅×長さ
の変化に対するクリープ破断時間(650℃×140M
Pa)を示す。この図2から明らかなように、焼き戻し
処理前の旧オーステナイト粒径が大きく、しかもラスの
微細な材料ほど破断時間が急激に増大することが明らか
となった。
【0048】また、表2は表1に示す種々の組成の供試
材について所定の組織調整をした場合のクリープ特性を
示したものである。所定の組織調整によりクリープ破断
時間は何れも2000時間以上となり、飛躍的なクリー
プ強度の向上が得られた。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】以上説明したとおり、この出願の発明の
フェライト系耐熱鋼では、600℃を越える高温におけ
る長時間クリープ特性に極めて優れ、ボイラ、原子力発
電設備、化学工業装置など従来のフェライト鋼の使用限
界温度と考えられていた600℃を越える高温、高圧下
で操業される装置用材料、たとえば具体的には、熱交換
用のボイラ関連鋼管あるいは圧力容器用の鋼板、タービ
ン用材料等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラス幅によるクリープ破断時間の変化を例示し
た図である。
【図2】ラス幅×長さ(μm2 )および旧オーステナイ
ト粒径(μm)とクリープ破断時間との関係を例示した
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宗木 政一 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルテンサイト組織を有するフェライト
    系耐熱鋼であって、マルテンサイトラスの大きさが幅≦
    0.5μm、長さ≦5μmで、かつ隣り合う個々のラス
    方位が互いに2deg以内の類似方位を有する領域が、
    5μm以下である、微細かつランダム方位を有すること
    を特徴とするラスマルテンサイト組織のフェライト系耐
    熱鋼。
  2. 【請求項2】 マルテンサイト変態前のオーステナイト
    粒の平均径が20μm以上である請求項1のフェライト
    系耐熱鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.06〜0.18%、Si:0〜1.0%、M
    n:0〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0
    15%以下、Cr:8.0〜13.0%、W:0〜4.
    0%、Mo:0〜2.0%、但しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
    0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
    l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
    〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
    する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C:0.06〜0.18%、Si:0〜1.0%、M
    n:0〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0
    15%以下、Cr:8.0〜13.0%、W:0〜4.
    0%、Mo:0〜2.0%、但しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
    0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
    l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
    〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、さらに
    Nb:0〜0.15%、およびTa:0〜0.30%の
    割合で、その少なくとも1種を合計で0.02%≦Nb
    +1/2 Ta≦0.15%を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
    する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼。
  5. 【請求項5】 重量%で、 C:0.06〜0.18%、Si:0〜1.0%、M
    n:0〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0
    15%以下、Cr:8.0〜13.0%、W:0〜4.
    0%、Mo:0〜2.0%、但しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
    0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
    l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
    〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、さらに
    Ti:0〜0.15%、Zr:0〜0.30%、および
    HF:0〜0.30%の割合で、その少なくとも1種を
    合計で0.02%≦Ti+ 1/2Zr+ 1/4Hf≦0.1
    5%を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
    する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼。
  6. 【請求項6】 重量%で、 C:0.06〜0.18%、Si:0〜1.0%、M
    n:0〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0
    15%以下、Cr:8.0〜13.0%、W:0〜4.
    0%、Mo:0〜2.0%、但しW+2Mo≦4.0% V:0.10〜0.50%、N:0〜0.10%、B:
    0〜0.030%、O:0.010%以下、sol.A
    l:0〜0.050%。Co:0〜5.0%、Ni:0
    〜0.50%、Cu:0〜1.0%、を含有し、さらに
    Nb:0〜0.15%、およびTa:0〜0.30%の
    割合で、その少なくとも1種を合計で0.02%≦Nb
    + 1/2Ta≦0.15%、並びにTi:0〜0.15
    %、Zr:0〜0.30%およびHf:0〜0.30%
    の割合で、その少なくとも1種を合計で0.02%≦T
    i+ 1/2Zr+ 1/4Hf≦0.15%を含有し、 残部:Feおよび不可避の不純物からなる化学組成を有
    する請求項1または2のフェライト系耐熱鋼。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかのフェライ
    ト系耐熱鋼の製造方法であって、1000℃〜1250
    ℃の温度範囲にてオーステナイト化処理後,Al変態点
    〜500℃の温度範囲へ冷却後、断面変化率で15%以
    上の引張,圧縮,捻りのいずれかのモードに対応する加
    工を加え、引き続いてその加工方向に対して前の加工と
    は異なる加工モードにて断面変化率で15%以上の加工
    を施す多段多軸加工を1回以上繰り返し、その後冷却し
    てマルテンサイト組織を得、必要に応じて焼き戻し処理
    を施すことを特徴とするラスマルテンサイト組織を有す
    るフェライト系耐熱鋼の製造方法。
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