JP2015001123A - 鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造 - Google Patents
鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】構造躯体となる構造部21と構造部21の外周にコンクリートが増し打ちされて形成されたふかし部22とを備えるコンクリート柱2に鉄骨梁1が接合されている鉄骨梁1とコンクリート柱2の接合構造において、ふかし部22には、鉄骨梁1の周面に沿って目地4が設けられている。
【選択図】図1
Description
この鉄骨梁とコンクリート柱の接合部では、鉄骨梁がコンクリート柱に埋込まれた構造となっていて、通常の設計において想定される限界層間変形角(R=1/100〜1/50rad.)よりも小さな層間変形角の変形が生じた場合でも、鉄骨梁がコンクリート柱表面のコンクリートを支圧してしまい、ひび割れが生じてしまう場合がある。
このため、鉄骨梁とコンクリート柱の接合部において、超高強度繊維補強コンクリートを用いた変形可能なプレキャストブロックをコンクリート柱の鉄骨梁に接する部分に設置し、このプレキャストブロックに層間変形による鉄骨梁の変形を吸収させることでコンクリート柱表面のコンクリートのひび割れを防止する方法がある(例えば特許文献1参照)。
また、鉄骨梁とコンクリート柱の接合部において、コンクリート柱の無筋部分にL字形またはコの字形の差し筋を配筋して補強し、ひび割れを抑制する方法もある(例えば特許文献2参照)。
また、特許文献2のような方法においても、差し筋の配筋にコストや労力がかかるという問題がある。更に、この方法は差し筋によってひび割れ幅を低減させる方法であるためひび割れ発生自体は防止できないとともに、差し筋が設置された部分では鉄筋が密集するためコンクリートの充填性が悪くなるという問題もある。
また、ひび割れ防止の構造が目地を設けるという簡易な構成であるため、材料の支給や施工を容易に行うことができ、少ないコストや労力でコンクリート柱のコンクリートのひび割れを防止することができる。
図1(a)乃至(c)に示すように、本実施形態による鉄骨梁1とコンクリート柱2との接合構造では、鉄骨梁1とコンクリート柱2との接合部3において鉄骨梁1の端部1a(図1(a)参照)がコンクリート柱2に埋込まれている。
鉄骨梁1には、例えばH形鋼やI形鋼などが使用されている。
ふかし部22は、構造躯体とはならず仕上げ施工上必要な部分であり、コンクリートが所定の厚さに増し打ちされることで形成されている。
本実施形態では、ふかし部22の厚さを10〜40mm程度としている。
そして、このふかし部22には、鉄骨梁1の周面1b(フランジ11およびウェブ12の周面)に沿って目地4が形成されている。
目地4は、ふかし部22における設計上想定される鉄骨梁1の鉛直変形を吸収可能に構成されていて、その幅Wが設計変形角Ru時に鉄骨梁1のフェイス位置(鉄骨梁1のコンクリート柱2の表面と接する位置)1cにおける鉛直変形量fδuの値以上となるように設定されている。鉄骨梁1のフェイス位置1cにおける鉛直変形量fδuは、ふかし部22における鉄骨梁1の鉛直変形量となっている。
なお、目地4の深さHについては目地4の幅Wと同等としている。
設計変形角Ru時の鉄骨梁1のフェイス位置1cの鉛直変形量fδuは次の数式によって算出される。なお、各記号の定義については図2に示す。
図3(b)に示す鉄骨梁1のスパン中央部1fにせん断力Qをかけた場合の鉄骨梁1のフェイス位置1cの鉛直変形量fδおよび鉄骨梁1全体の鉛直変形量bδは次式で算定できる。
図4に示すように、評価指標(Es/Ec×d/h)の増加に伴いI2/I1は減少している。
ここで、図4に基づき求めたI2/I1の回帰式を以下に示す。
架構および鉄骨梁1の変形が進行し、鉄骨梁1のフェイス位置1c近傍が塑性化すると、鉄骨梁1のフェイス位置1cの鉛直変形量fδは増大する。実験で得られた梁変形角bR(=bδ/L)と鉄骨梁1のフェイス位置1cの鉛直変形量fδの関係および(解−2)式による計算値を図5に示す。
図5に示すように、(解−5)式による計算値は、鉄骨梁1の全塑性耐力以降も実験結果と良い対応を示している。設計では鉄骨梁1の全塑性耐力による場合わけをせず、鉄骨梁1の全塑性耐力前の変形領域においても一律にα=2.5として計算すれば、安全性の評価として簡略化できる。
鉛直変形量fδの略算式を以下の(解−6)式に示す。
実建物を想定し,各部材寸法は以下のように設定する。鉄骨梁1はH−800×250×12×22,埋込み長さdは1150mm,梁スパン7200mm,SRC壁柱は幅2500mm,厚さ550mmとする。コンクリートの設計規準強度は36N/mm2とする。鉄骨梁1の梁クリアスパンはl=(7200−2500)/2=2350mmとする。想定する鉄骨梁1の終局変形角Ru=2.0%とし,鉄骨梁1全体の鉛直変形量bδu=7200/2×2/100=72mmとする。
目地4の幅Wの算出式を以下に示す。
このように、必要な目地4の幅Wを20mmとした場合、上述したように目地4の深さHも幅Wと同等で20mmに設定することができ、例えばコンクリート柱2のふかし部22の厚さ内の範囲に目地4が設けられることになり、コンクリート柱2の断面欠損に影響しない構造を実現することができる。
図1(a)乃至(c)に示すように、本実施形態による鉄骨梁1とコンクリート柱2との接合構造によれば、構造物の層間変形により鉄骨梁1が変形したときに、ふかし部22において目地4が鉄骨梁1の変形を吸収できるため、ふかし部22のコンクリートに支圧ひび割れが生じる事を確実に防止することができるという作用効果を奏する。
また、構造躯体とならないふかし部22に目地4を設けていることにより、構造躯体の断面欠損にならず建物の強度に影響がないため、目地4の設計を行いやすい。
また、ひび割れ防止の構造が目地4を設けるという簡易な構成であるため、材料の支給や施工を容易に行うことができ、少ないコストや労力でふかし部22のコンクリートのひび割れを防止することができる。
例えば、上述した実施形態では、目地4の幅Wを計算式を基に算出しているが、計算を行わずに構造実験の結果から設定してもよい。
また、本実施形態では目地4の深さHを目地4の幅Wと同等としているが、異なる寸法としてもよい。なお、鉄骨梁1のコンクリート柱2への埋込み部分1dの長さが一定であれば目地4の深さHが深いほど鉄骨梁1の変形によるコンクリート柱2の表面へのひび割れ進展が回避される。また、かぶりが厚い場合は、目地4の深さHの最低限の目安としては、一般的なひび割れ誘発目地と同じように20mm程度とすることが好ましい。
また、図7のように鉄骨梁1の上下のフランジ11,11間にふさぎ板5が設けられている場合は、ふさぎ板5の外周に沿って目地4を設けてもよい。
1a 端部
1c フェイス位置
2 コンクリート柱
3 接合部
4 目地
5 ふさぎ板
11 フランジ
12 ウェブ
21 構造部
22 ふかし部
H 目地の深さ
W 目地の幅
Claims (3)
- 構造躯体となる構造部を有するコンクリート柱の内部に端部を埋め込むことにより鉄骨梁が接合されている鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造において、
前記コンクリート柱の外周には、前記鉄骨梁の周面に沿って目地が設けられていることを特徴とする鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造。 - 前記コンクリート柱は、前記構造部の外周にコンクリートが増し打ちされて形成されたふかし部と、を備え、
前記目地は、前記ふかし部の厚さ内の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造。 - 前記目地の幅は、前記ふかし部における前記鉄骨梁の設計上想定される鉛直変形量の値以上とすることを特徴とする請求項2に記載の鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造。
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JP2013126955A JP2015001123A (ja) | 2013-06-17 | 2013-06-17 | 鉄骨梁とコンクリート柱の接合構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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