JP2014530217A - バニリン誘導体の調製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は塩基の存在下でバニリンとバニリルアルコールを反応させる工程を含む、式(I)の化合物を調製する方法に関する。

Description

本発明の主題は、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドと呼ばれる、二量体タイプのバニリン誘導体を調製する方法である。
バニリンは、香味料および/または芳香剤として多くの利用分野で広く使用されている製品である。
したがって、バニリンは、食品及び動物産業で大量に消費されているが、それはまた、他の分野、例えば、製剤業または香料製造業でも用途を有する。
バニリンを調製するために現在使用されている方法は、微量の副生成物を生じることがあり、それらのうちに、特に3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドがある。
偶然にも、この式3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドの副生成物は、有利な感覚特性を有する。
しかしながら、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドをそのままで満足な収率で調製する方法は現時点で存在しない。
本発明の目的は、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドを調製する新規な方法を提供することである。
本発明の目的は、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドを満足な収率で得ることを可能にする方法を提供することである。
したがって、本発明は、以下の式(I):
の化合物を調製する方法であって、塩基の存在下でバニリンとバニリルアルコールを反応させる工程を含む方法に関する。
バニリン、すなわち、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドは、以下の式:
に相当する、従来技術で周知の分子である。
バニリルアルコール、すなわち、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルアルコールは、以下の式:
に相当する、従来技術で周知の分子である。
本発明は、塩基の存在下でのバニリルアルコール(VOH)とバニリン(VA)との付加反応に基づく。
驚くべきことに、バニリンのアルデヒド官能基は変化せずにそのままであることが認められた。本発明の方法の文脈において、この官能基は、バニリルアルコールのアルコール官能基と反応しない。
一実施形態によれば、塩基は、無機塩基、有機塩基、無機不均一塩基、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
有機塩基としては、特に第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−プロピルモルホリンおよび1−メチルピロリドンを挙げることができる。含窒素アニオン性塩基、例えば、シリル化されていても、されていなくてもよい、アミンの塩、特にアルカリまたはアルカリ土類金属塩、およびまたシリルアミンも用いることができる。塩形成されたジシリルアミン、とりわけ、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)の塩、特にアルカリまたはアルカリ土類金属塩も適当である。
無機不均一塩基としては、特に二酸化マグネシウムMgOを挙げることができる。
好ましくは、この方法の反応工程は、無機塩基の存在下で行われる。
一実施形態によれば、塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩およびアルカリ土類金属リン酸水素塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましい無機塩基としては、LiOH、CsOH、NaOH、KOH、NaCOまたはNaHCOを挙げることができる。好ましくは、NaCOが塩基として用いられる。
本発明の方法によれば、上述の反応工程は、溶媒の存在下で行うことができる。
溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
好ましくは、本発明の方法は、水性媒体中で行われる:本発明による方法は、好ましくは溶媒として水の存在下で行われる。
本発明の方法の文脈において、用いられる塩基が有機塩基である場合、反応は有機溶媒の存在下で行われる。反応条件下で不活性な溶媒が選択される。前記溶媒は、例えば、非極性有機溶媒、例えば、脂肪族炭化水素(好ましくは式C2n+2(n=6〜14である)のアルカン)、脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、芳香族炭化水素(好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼンまたはクメン)、脂肪族または芳香族ハロゲン化炭化水素、特にペルクロロ炭化水素(好ましくはトリクロロメタンまたはテトラクロロメタン)および部分塩素化炭化水素(ジクロロメタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼンまたはジクロロベンゼンなど)から選択される。前記有機溶媒はまた、極性非プロトン性有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドから有利には選択される。それはまた、極性プロトン性溶媒、例えば、アルコール、特にエタノールから非常に好ましくは選択されてもよい。
一実施形態によれば、本発明の方法は、いずれかの2相媒体、すなわち、水および有機溶媒(好ましくは不溶性有機溶媒)の存在下で行われる。この実施形態によれば、有機溶媒の体積と水の体積との比は、0.1〜10、好ましくは0.5〜1.5に含まれる。
本発明の方法の反応は、0℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃に含まれる温度で行われる。
好ましくは、本発明の文脈において、反応は、7〜14、好ましくは8〜10に含まれるpHで行われる。
本発明はまた、上に定義されたとおりの調製方法であって、バニリンのモル数とバニリルアルコールのモル数との比([VA/VOH]モル)は、0.5〜20、好ましくは1〜15、好ましくは2〜5、特に3〜5に含まれる方法に関する。
本発明の方法の有利な一実施形態によれば、塩基のモル数と、バニリンのモル数およびバニリルアルコールのモル数の合計との比は、0.1〜10、好ましくは0.5〜6、好ましくは0.7〜2に含まれる。好ましくは、この比は、1の領域にあり、非常に好ましくは1に等しい。
一実施形態によれば、本発明の方法の文脈において、反応が水の存在下で行われる場合、ベニリンおよびバニリルアルコールの重量と、水の重量との比は、0.05〜0.5、好ましくは0.1〜0.3に含まれる。
本発明の方法は、塩基の存在でのバニリンとバニリルアルコールの反応からなる。これらの様々な反応物質、すなわち、バニリン、バニリルアルコールおよび塩基は、当業者に知られたいずれかの手段によって一緒にすることができる。
同様に、これらの反応物質は、任意の順序で導入することができる。
溶媒も、反応物質に対して任意の順序で導入してもよい。
反応物質および溶媒も、1回で、または数回で、すなわち、少しずつ、導入してもよい。
一実施形態によれば、溶媒、特に水は、塩基およびバニリンを含む混合物に添加することができ、次いで、アルコールをその後に添加することができる。
別の実施形態によれば、塩基は、数回で添加することができる。例えば、溶媒、特に水は、塩基およびバニリンを含む混合物に添加することができ、次いで、アルコールおよび塩基をその後に同時に添加することができる。
本発明の方法後、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドを含む液体溶液が得られる。
次いで、この化合物は、その後の慣用分離工程、特に蒸留による分離にかけることができる。
本発明の方法によって得られた化合物は、有利には食品組成物、すなわち、ヒトにより消費されることが意図された組成物で使用される。
それは、口中の充足の効果を有し、このような効果は、脂肪および砂糖の含有量の低い多くの食品製品の味気ない性質を補うために求められている。この口中の充足の効果は、特にクリームのような性質、乳脂肪の性質および/または甘い性質によって、口中の心地よい感覚を消費者に与える。
それは、例えば、バニリンまたはエチルバニリンなどの化合物を含む香味料、特に食品香味料の組合せで使用することができる。本発明の方法によって得られた化合物は、液体形態、特に飲料、ミルクおよびスープ類で、または半固体もしくは固体形態、特にヨーグルト類、マーガリン類、即席デザートおよびアイスクリーム類、クッキーおよびケーキ類、菓子製品ならびにチョコレート製品である食品組成物中に、有利には取り込まれる。
したがって、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドは、有利にはある種の味覚を与え、または強めるために使用される。
本発明を例証する実施例は、何らの限定的性質もなしに、以下に示される。
実施例において、言及するパーセントは、重量で表す。
用いる反応物質、すなわち、バニリン、バニリルアルコールおよび炭酸ナトリウムNaCOは、同時に導入する。
反応は、水の存在下で行う。
以下の表は、実施した操作条件、および用いた様々な反応物質の量を示す。
したがって、本発明の方法は、非常に満足な収率で化合物3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒドを得ることを可能にする。

Claims (11)

  1. 以下の式(I):
    の化合物を調製する方法であって、塩基の存在下でバニリンとバニリルアルコールを反応させる工程を含む、方法。
  2. 前記塩基が、無機塩基、有機塩基、無機不均一塩基、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩およびアルカリ土類金属リン酸水素塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記反応が、溶媒の存在下で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記溶媒が、水性溶媒および有機溶媒、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記溶媒が、水である、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記反応が、0℃〜100℃に含まれる温度で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記反応が、7〜14に含まれるpHで行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記バニリンのモル数と前記バニリルアルコールのモル数との比が、0.5〜20に含まれる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記塩基のモル数と、前記バニリンのモル数および前記バニリルアルコールのモル数の合計との比が、0.1〜10に含まれる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記バニリンおよび前記バニリルアルコールの重量と、前記水の重量との比が、0.05〜0.5に含まれる、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
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