JP2014528474A - デクスメデトミジンを用いて小児患者を治療する方法 - Google Patents

デクスメデトミジンを用いて小児患者を治療する方法 Download PDF

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Abstract

本開示主題は、神経損傷の発生率を低減するために有効な量のデクスメデトミジンを小児患者に投与する方法に関する。さらに詳しくは、本開示主題は、デクスメデトミジンの注入量と必要に応じて負荷量とを投与することによって小児患者に鎮静又は鎮痛状態をもたらす方法に関する。手術前、手術中、又は手術後にデクスメデトミジンを投与することができる。【選択図】図1

Description

1. 関連出願の相互参照
この出願は、2011年10月14日に提出された米国仮出願第61/547,626号、2012年1月4日に提出された米国出願第13/343,693号、及び2012年5月14日に提出された米国出願第13/471,403号に対する優先権を主張する。なお、これらの出願の開示内容全体を参照によってここに援用する。
2. 発明の分野
本開示主題は、小児患者にとって安全かつ有効な鎮静薬及び/又は鎮痛薬を提供する方法に関する。さらに詳しくは、本開示主題は、デクスメデトミジンを投与することによって小児患者の神経損傷を低減、予防、及び/又は改善することに関する。
3. 発明の背景
鎮静作用は、小児患者の生理的幸福のためのみならず、患者の安全と介護者の安全のためにも集中治療室(ICU)内における小児患者の治療の重要な要素である。
ベンゾジアゼピン及びオピオイド、例えばフェンタニル又はモルヒネは、小児集中治療室(PICU)内で鎮静及び鎮痛状態をもたらすために頻繁に投与される。プロポフォールは、循環不全を含め、重篤な生命を危うくする代謝変調を子供に引き起こすことが分かっており、小児集団では継続的な集中治療の鎮静に適応とされない。(プロポフォール注射用エマルション[添付文書]. Lake Forest IL: Hospira, Inc.: 2008参照)。ベンゾジアゼピン及びオピオイドを長期投与すると、耐性及び身体依存が発現することがある。ミダゾラム鎮静が下位の鎮静及び奇異な興奮と交互になる過鎮静を引き起こす小児患者もいる。(ミダゾラム塩酸塩[添付文書]. Lake Forest, IL: Hospira, Inc.: 2005参照)。
新生児及び乳幼児期の動物モデルにおけるγ-アミノ酪酸(GABA)作動薬からのアポトーシス及び神経発生異常の最近の報告はベンゾジアゼピンで新生児及び乳幼児を鎮静することの懸念を強調している。(Young et al. Brit J Pharma 2005;146:189-197;及びSander et al. Brit J Anaesth 2008; 101 (5): 597-609参照)。オピオイドの併用投与は呼吸抑制作用のため小児患者への対応をさらに複雑にする。従って、小児患者の安全かつ有効な鎮静及び鎮痛について未だ対処されていない相当な要求がある。
デクスメデトミジン(Precedex(登録商標))は、鎮静、鎮痛、及び抗不安効果のある高度に選択的なα2アドレナリン作動薬である。デクスメデトミジンは現在、集中治療環境において最初に挿管され、人工呼吸器を装着された成人患者の鎮静のためFDAによって認可されており、手術又は診断手順中にモニターされる麻酔治療の構成要素として、挿管されていない成人患者の鎮静のためにも認可されている。デクスメデトミジンは、呼吸ドライブにはほとんど影響を与えないので、挿管されていないICU患者における持続注入として投与するために米国で認可されている唯一の鎮静薬である。
ICU内で成人患者に対してデクスメデトミジンを用いた鎮静は広く研究されている。オピオイド又はベンゾジアゼピンと併用すると、多くの場合デクスメデトミジンは他の薬剤の用量を減らすことができ、呼吸抑制のリスクを軽減する。
4. 発明の概要
本発明は、鎮静又は鎮痛が必要な小児患者の鎮静又は鎮痛方法において、患者にデクスメデトミジンを投与することを含む方法であって、神経損傷の発生率を低減するのに有効な量でデクスメデトミジンを投与する方法に関する。
一実施形態では、デクスメデトミジンを約0.01〜約2.5μg/kg/時間の濃度で投与し、小児は約17歳以下であり、デクスメデトミジンを約36時間未満の時間にわたって持続注入として投与し、かつ神経損傷の発生率を低減するのに有効な量でデクスメデトミジンを投与する。
特定の実施形態では、小児患者は早期新生児である。一実施形態では、小児患者の在胎期間は約7カ月〜約11カ月の範囲である。
ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンの投与前、投与中、又は投与後に小児患者に挿管する。一実施形態では、小児患者は重病である。
特定の実施形態では、デクスメデトミジンを非経口投与する。ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを静脈内注入によって投与する。
特定の実施形態では、神経損傷は細胞変性又は神経アポトーシス(neuroapoptosis)である。一実施形態では、神経損傷は、層I及び層IIから成る群より選択される皮質ラミナ層内で起こる。
ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを手術前に投与する。特定の実施形態では、デクスメデトミジンを手術後に投与する。具体的な実施形態では、デクスメデトミジンを心肺バイパス術後に投与する。一実施形態では、小児患者は、約12〜約17歳及び約2歳以下から成る群より選択される齢を有する。
特定の実施形態では、デクスメデトミジンの投与は救出薬(rescue medication)の必要性を低減する。一実施形態では、救出薬は鎮静薬である。具体的な実施形態では、救出薬は鎮痛薬である。
ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンの投与は維持量(maintenance dose)の前に初回負荷量(first loading dose)をさらに含み、この負荷量は約0〜約0.4μg/kgの範囲である。一実施形態では、初回負荷量を投与しない。
実施例3の完全評価可能集団の経時的なデクスメデトミジンの平均血漿中濃度を示す。 実施例3の完全評価可能集団の齢に関する血漿クリアランスを示す。 実施例3の完全評価可能集団の体重に関する血漿クリアランスを示す。 実施例3の完全評価可能集団の体重調整血漿クリアランス対齢を示す。 実施例3の完全評価可能集団の体重調整分布容積対齢を示す。 実施例3のために冪乗適合モデルを用いて生成されたAUC0-∞の予測平均曲線を示す。 実施例3のために冪乗適合モデルを用いて生成されたAUC0-tの予測平均曲線を示す。 実施例3のために冪乗適合モデルを用いて生成されたCmaxの予測平均曲線を示す。 実施例3のために冪乗適合モデルを用いて生成されたCssの予測平均曲線を示す。 完全評価可能集団の平均ラムゼイ鎮静スコア(Ramsay Sedation Score)(RSS)対AUC0-∞を示す。 完全評価可能集団の平均ラムゼイ鎮静スコア(RSS)対Cssを示す。 新生仔サルの前頭皮質のTUNEL染色の代表的な5倍及び10倍拡大顕微鏡写真を示す。 新生仔サルの前頭皮質の活性化カスパーゼ3染色の代表的な5倍及び10倍拡大顕微鏡写真を示す。 新生仔サルの前頭皮質の活性化カスパーゼ3染色の代表的な20倍拡大顕微鏡写真を示す。 新生仔サルの前頭皮質の銀染色の代表的な20倍拡大顕微鏡写真を示す。 実施例1、3、及び5の研究の治療群の各治療群について血漿中デクスメデトミジン濃度対負荷量注入開始以来の時間の折れ線グラフを示す。 実施例1、3、及び5の研究の治療群の各治療群について血漿中デクスメデトミジン濃度対負荷量注入開始以来の時間の折れ線グラフを示す。 実施例1、3、及び5の研究の治療群の各治療群について血漿中デクスメデトミジン濃度対負荷量注入開始以来の時間の折れ線グラフを示す。 実施例1、3、及び5の研究の治療群の各治療群についてデクスメデトミジン濃度対維持注入終了が示されて以来の時間の折れ線グラフを示す。 実施例1、3、及び5の研究の治療群の各治療群についてデクスメデトミジン濃度対維持注入終了が示されて以来の時間の折れ線グラフを示す。 実施例1、3、及び5の研究の治療群の各治療群についてデクスメデトミジン濃度対維持注入終了が示されて以来の時間の折れ線グラフを示す。 実施例1、3、及び5の研究について用量正規化デクスメデトミジン血漿中濃度対維持注入終了以来の時間の片対数散布図を示す。 実施例1、3、及び5の研究について用量正規化デクスメデトミジン血漿中濃度対維持注入終了以来の時間の片対数散布図を示す。 実施例1、3、及び5の統合データセットについて個々の予測デクスメデトミジンCp基本構造モデルの適合度(goodness-of-fit)プロットを示す。 実施例1、3、及び5の統合データセットについて個々の予測デクスメデトミジンCp基本構造モデルの適合度プロットを示す。 実施例1、3、及び5の観測デクスメデトミジン濃度対維持注入終了以来の時間に重ね合わせた、1000のシミュレートデータセットから導かれた90%予測区間を示す。 実施例1、3、及び5の予測補正観測データとモデルに基づいたシミュレーシトデータの第5、第50及び第95パーセンタイルの比較を示す。 実施例1、3、及び5のデータの集団全体について最終母集団薬物動態モデルの適合度プロットを示す。 実施例1、3、及び5のデータの集団全体について最終母集団薬物動態モデルの適合度プロットを示す。 実施例1、3、及び5のデータの集団全体について最終母集団薬物動態モデルの適合度プロットを示す。 実施例1、3、及び5のデータの集団全体について最終母集団薬物動態モデルの適合度プロットを示す。 各齢群の中点にプロットされるデクスメデトミジンクリアランスの個々のベイズ推定値(Bayesian estimate)の幾何平均及び95%信頼区間を示す。 デクスメデトミジンクリアランスに対応する体重調整推定値を示す(各プロットには各パラメータの母集団モデルに基づいた典型値対齢の直線を重ね合わせてある)。 各齢群の中点にプロットされるデクスメデトミジン分布容積の個々のベイズ推定値の幾何平均及び95%信頼区間を示す。 デクスメデトミジン分布容積に対応する体重調整推定値を示す(各プロットには各パラメータの母集団モデルに基づいた典型値対齢の直線を重ね合わせてある)。 実施例6の最終モデルからの個体間分散項のペアワイズ分散図を示す。 実施例6で行なった分析から決定した場合の各齢群についてのデクスメデトミジンの体重調整CLの幾何平均のパーセントとして表した個々のベイズ推定値の95%信頼区間を示す。 実施例6で行なった分析から決定した場合の各齢群についてのデクスメデトミジンの体重調整分布容積の幾何平均のパーセントとして表した個々のベイズ推定値の95%信頼区間を示す。 実施例8で行なった分析から決定した場合の各齢群についてのデクスメデトミジンの体重調整CLの幾何平均のパーセントとして表した個々のベイズ推定値の95%信頼区間を示す。 実施例8で行なった分析から決定した場合の各齢群についてのデクスメデトミジンの体重調整分布容積の幾何平均のパーセントとして表した個々のベイズ推定値の95%信頼区間を示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 実施例8のデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルについての適合度プロットを示す。 デクスメデトミジン濃度対IV終了以来の時間について予測補正した視覚的予測チェック結果を示す。 デクスメデトミジン濃度対IV終了後経過時間について予測補正した視覚的予測チェック結果を示す。 特定齢群のデクスメデトミジンクリアランス及び体重調整クリアランスのベイズ推定値についての幾何平均及び95%信頼区間を、クリアランス及び体重調整クリアランスの母集団モデルに基づいた典型値と重ね合わせて示す。 特定齢群のデクスメデトミジン分布容積及び体重調整分布容積のベイズ推定値についての幾何平均及び95%信頼区間を、分布容積及び体重調整分布容積の母集団モデルに基づいた典型値と重ね合わせて示す。 冪乗適合モデルを用いて生成されたAUC0-infの予測平均曲線を示す。 冪乗適合モデルを用いて生成されたAUC0-tの予測平均曲線を示す。 冪乗適合モデルを用いて生成されたCmaxの予測平均曲線を示す。 経時的な平均デクスメデトミジン濃度を図解するリニアプロットを示す(時点:1=投与前、2=ボーラス終了、3=注入開始後30分、4=注入開始後60分、5=注入開始後2時間、6=注入開始後4〜6時間、7=注入開始後6時間、8=注入開始後12時間、8.1=注入開始後23時間、9=注入終了前30〜15分、10=注入終了、11=注入終了後15分、12=注入終了後30分、13=注入終了後60分、14=注入終了後2時間、15=注入終了後4時間、16=注入終了後8時間、17=注入終了後12時間、18=注入終了後15〜18時間、19=注入終了後24時間)。 齢に関するクリアランスを示す。 齢に関する体重調整クリアランスを示す。
6. 発明の詳細な説明
本発明は、小児患者へのデクスメデトミジンの投与を含む鎮静又は鎮痛が必要な小児患者の鎮静又は鎮痛方法であって、神経損傷の発生率を低減するのに有効な量でデクスメデトミジンを投与する方法に関する。
明瞭さのため、かつ限定としてではなく、この詳細な説明を次の下位部分に分割する:
6.1 定義;
6.2 医薬製剤;
6.3 患者集団;及び
6.4 治療方法。
6.1 定義
この明細書で用いる用語は一般的に、本発明の文脈内及び各用語を使用する具体的文脈内では、当該技術におけるそれらの通常の意味を有する。本発明の組成物及び方法並びにそれらをどうやって作り、使用するかを述べる際に実務家にさらなる指針を提供するため、特定の用語については以下、又は本明細書の他のどこかで論じる。
本発明によれば、本明細書で使用する用語「デクスメデトミジン」は、遊離塩基又は医薬的に許容できる塩としての、メデトミジンの実質的に純粋な光学活性の右旋性立体異性体を意味する。1つの非限定実施形態では、デクスメデトミジンは式(S)-4-[1-(2,3-ジメチルフェニル)エチル]-3H-イミダゾールを有する。デクスメデトミジンの医薬的に許容できる塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、並びに酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸等の有機酸を含むことができる。好ましくは、デクスメデトミジン塩はデクスメデトミジンHClである。他の非限定実施形態では、デクスメデトミジンは下記式Iに示す構造を含む。
Figure 2014528474
式I
本発明に従って使用される用語「医薬組成物」は、1種以上の医薬的に許容できる担体又は賦形剤を用いていずれの通常の方法でも調合できる組成物に関する。本明細書では、「医薬的に許容できる」担体又は賦形剤は、連邦又は州政府の規制当局によって認可されれていること、或いは米国薬局方又は哺乳動物、さらに詳しくはヒト用の他の一般に認められている薬局方に記載されていることを意味する。
用語「投与量」は、μg/kg/時間、μg/kg/日、mg/kg/日、又はmg/kg/時間を単位として表される製剤を包含するように意図される。投与量は、特定の投与計画に従って投与される成分の量である。「用量」は、単位体積又は質量で哺乳動物に投与される薬剤の量、例えば、薬剤のmgで表される絶対単位量である。用量は、製剤中の薬剤の濃度、例えば、モル/リットル(M)、質量/体積(m/v)、又は質量/質量(m/m)に左右される。特定の投与量は1用量又は複数用量の製剤の投与計画から生じるので、これらの2つの用語は密接に関連する。いずれの場合も特定の意味は文脈から明らかになるであろう。
用語「治療的に有効な用量」、「有効量」及び「治療的に有効な量」は、所望の効果を生じさせるのに十分な量を意味する。いくつかの非限定実施形態では、「治療的に有効な用量」は、宿主の活動、機能及び反応の臨床的に有意な欠陥を少なくとも約15%、好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも90%減少させ、最も好ましくは予防するのに十分な量を意味する。或いは、治療的に有効な量は、宿主の臨床的に有意な状態に改善をもたらすのに十分である。これらのパラメータは治療する状態の重症度、食事改善等の実施される他の作用、対象の体重、年齢、及び性別、並びに当業者が標準的な良い医療行為により容易に決定できる他の基準によって決まるであろう。他の非限定実施形態では、治療反応は、使用者(例えば、臨床医)が該療法に対する有効な反応として認めるであろういずれの反応であってもよい。従って、治療反応は通常、所望効果、例えば、鎮静又は鎮痛等の誘発であろう。
本明細書では、用語「集中治療室」又は「ICU」は集中治療を提供するいずれの環境をも意味する。
本明細書では、用語「在胎期間」は、最終月経の初日から経過した時間として計算される。妊娠が生殖介助術を用いて達成された場合、在胎期間は上記で計算される在胎期間に2週間加えることによって計算される。
本明細書では、用語「小児患者」は17歳以下のヒト患者を意味する。ある一定の非限定実施形態では、患者は16歳以下、又は15歳以下、又は14歳以下、又は13歳以下、又は12歳以下、又は11歳以下、又は10歳以下、又は9歳以下、又は8歳以下、又は7歳以下、又は6歳以下、又は5歳以下、又は4歳以下、又は3歳以下、又は2歳以下、又は1歳以下、又は6カ月以下、又は4カ月以下、又は2カ月以下、又は1カ月以下である。特定の実施形態では、小児患者は、約12〜17歳である。一実施形態では、小児患者は約12〜約17歳及び約2歳以下から成る群より選択される齢を有する。一実施形態では、小児患者はデクスメデトミジンの投与直前に子宮から出た。
ある一定の実施形態では、「小児患者」は早期新生児である。本明細書では、用語「早期新生児」は最終月経の開始から37週間前に生まれる子供を意味する。妊娠が生殖介助術を用いて達成された場合、上記で計算される在胎期間に2週間加えることによって計算されれば子供は早期新生児である。
ある一定の実施形態では、小児患者は約20週間〜約44週間、又は約20週間〜約40週間、又は約20週間〜約38週間、又は約20週間〜約36週間、又は約20週間〜約34週間、又は約20週間〜約30週間、又は約20週間〜約28週間、又は約20週間〜約24週間の在胎期間を有する。ある一定の実施形態では、小児患者は約36週間〜約44週間、又は約36週間〜約42週間、又は約36週間〜約40週間、又は約36週間〜約38週間の在胎期間を有する。
本明細書では、用語「神経損傷」は、種々のタイプの神経認知、心理認知、及び/又は神経運動若しくは運動障害、或いはその組合せを意味し、これについては以下にさらに詳細に論じる。
本明細書では、用語「その発生率の低減」は、その重症度の低減、その数の減少、その1以上の発生率の発達の予防、又は遅延、或いはその組合せを意味する。
用語「約」又は「およそ」は、当業者が判定する場合に特定値に対して許容できる誤差範囲内であることを意味し、その一部は値をどのように測定又は判定するか、すなわち、測定システムの限界によって左右される。例えば、「約」は、当該技術の実務によって、3以内又は3超えの標準偏差を意味することがある。或いは、「約」は、与えられた値の20%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%まで、なおさらに好ましくは1%までの範囲を意味することがある。或いは、特に生物のシステム又はプロセスに関しては、この用語は、ある値の1桁増し以内、好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味することがある。
6.2 医薬組成物
非経口投与に適したデクスメデトミジンの医薬組成物は、油性若しくは水性ビヒクル中の座剤、液剤、又は乳剤の形態であってよく、かつ懸濁化剤、安定剤、可溶化剤、及び/又は分散剤等の製剤化剤を含むことができる。形態は無菌であってよく、流体であってよい。それは製造及び貯蔵の条件下で安定性があり、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に対して保護され得る。或いは、デクスメデトミジンは、使用前に適切なビヒクルで再構成するための無菌の粉末形態であってよい。医薬組成物がアンプル、又は他の単位用量容器、或いは複数用量容器内に単位用量形態で存在することができる。或いは、医薬組成物を凍結乾燥状態で貯蔵することができ、使用直前に無菌の液体担体、例えば、注射用水を添加する必要があるだけである。無菌の粉末、顆粒又は錠剤から即時注射液剤及び懸濁剤を調整することができる。
いくつかの非限定実施形態では、デクスメデトミジン組成物を液剤として製剤化する。ある一定の非限定実施形態では、デクスメデトミジン液体組成物はデクスメデトミジン、又はその医薬的に許容できる塩を約0.005μg/mL〜約100μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約50μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約25μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約15μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約10μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約7μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約5μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約4μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約3μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約2μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約1μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約0.5μg/mL、又は約0.005μg/mL〜約0.05μg/mLの濃度で含む。
ある一定の非限定実施形態では、デクスメデトミジン液体組成物はデクスメデトミジン、又はその医薬的に許容できる塩を約0.5μg/mL、又は約1.0μg/mL、又は約2.0μg/mL、又は約4.0μg/mLの濃度で含む。
一実施形態では、デクスメデトミジン組成物は、参照によってその内容全体をここに援用する2012年1月4日に提出された米国特許出願第13/343,672号(発明の名称「デクスメデトミジン前混合製剤」)に開示されているように、患者への投与前に再構成又は希釈する必要がない前混合製剤である。
デクスメデトミジン組成物に適した賦形剤として、保存剤、懸濁化剤、安定剤、色素、緩衝液、抗菌剤、抗真菌剤、及び等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムが挙げられる。本明細書では、用語「安定剤」は、亜硫酸塩の必要性を避けるため及び貯蔵寿命を延ばすために本発明の医薬組成物に任意に用いられる化合物を意味する。安定剤の非限定例には抗酸化剤がある。
医薬組成物は、1種以上の医薬的に許容できる担体を含むことができる。担体は溶媒又は分散媒であってよい。医薬的に許容できる担体の非限定例として、水、生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、油、及びこれらの適切な混合物が挙げられる。
非経口製剤を滅菌することができる。滅菌技術の非限定例としては、細菌保持フィルターを通すろ過、最終滅菌、滅菌剤の組み入れ、照射、加熱、真空乾燥、及び凍結乾燥が挙げられる。
6.3 患者集団
本開示主題は小児患者にデクスメデトミジンを投与することを含む。ある一定の実施形態では、小児患者に挿管する。デクスメデトミジンの投与前、投与中、又は投与後に小児患者に挿管することができる。経鼻、気管内、直接経口喉頭鏡検査又は光ファイバー経路によって、或いは気管切開術によって小児患者に挿管することができる。
特定の実施形態では、患者は重病である。一実施形態では、小児患者は1以上の医学的状態を患っている。ある一定の実施形態では、医学的状態は肺障害、脳障害、心臓障害、肝臓障害、腎臓障害、目若しくは耳障害、胃腸障害、又は皮膚障害である。肺障害の非限定例には、呼吸促迫症候群、肺炎、気管支肺異形成症、早産児無呼吸発作、及び気胸がある。脳障害の非限定例には、脳室内出血及び脳性麻痺がある。肝臓障害の非限定例には、黄疸がある。心臓障害の非限定例には、心虚血及び動脈管開存症がある。眼障害の非限定例には、早産児網膜症、近視、及び斜視がある。他の医学的状態の非限定例としては、ヘロイン離脱、コカイン離脱、胎児性アルコール症候群、HIV陽性状態、及びテイ・サックス病が挙げられる。
一実施形態では、患者は手術を受けたことがある。患者はデクスメデトミジンの投与前、投与中、及び/又は投与後に手術を受けてよい。ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを手術前に投与する。一実施形態では、神経損傷の発生率を低減する目的で手術前にデクスメデトミジンを投与する。いくつかの実施形態では、デクスメデトミジンを手術前と手術中に投与する。特定の実施形態では、デクスメデトミジンを手術の前後に投与する。ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを手術中と手術後に投与する。特定の実施形態では、デクスメデトミジンを手術前、手術中、及び手術後に投与する。
手術は、疾患、傷害又は奇形の治療又は予防のためのいずれの手作業若しくは術式又は操作をも意味する。手術は、通常は病院又は他の医療施設で医師、外科医又は歯科医によって行なわれる。手術を受ける小児患者は入院していてもよく又は通院、例えば、外来患者手術であってもよい。手術は保存的(例えば疾患若しくは傷害した器官、組織、又は四肢を最小リスクで保存又は除去するための手術)又は根治的(例えば局部的に広範な疾患及びリンパ排出の隣接ゾーンの全領域を摘出するようにデザインされた手術)であり得る。
手術の非限定例には、心臓及び血管を含めた心血管系に行なわれる手術;骨及び筋肉を含めた筋骨格系に行なわれる手術;気管及び肺を含めた呼吸器系に行なわれる手術;皮膚及び爪を含めた外皮系に行なわれる手術;縦隔及び横隔膜に行なわれる手術;食道、胃、胆嚢及び腸を含めた消化器系に行なわれる手術;腎臓及び膀胱を含めた泌尿器系に行なわれる手術;男性生殖器系に行なわれる手術;女性生殖器系に行なわれる手術;脳下垂体、副腎、及び内分泌甲状腺を含めた内分泌系に行なわれる手術;脳、脊髄及び末梢神経を含めた神経系に行なわれる手術;目及び眼付属器に行なわれる手術;聴覚系に行なわれる手術が挙げられる。
心血管系に行なわれる手術の非限定例には、出生及び心臓移植手術後の先天性心疾患の修復術がある。筋骨格系に行なわれる手術の非限定例には、骨折修復術、脊柱側弯症の手術及び腱延長術がある。呼吸器系に行なわれる手術の非限定例には、肺移植術、開胸術及び気胸の手術がある。外皮系に行なわれる手術の非限定例には、熱傷処置及び皮膚移植術がある。縦隔及び横隔膜に行なわれる手術の非限定例には、先天性横隔膜ヘルニアの治療及び縦隔嚢胞及び腫瘍の除去がある。消化器系に行なわれる手術の非限定例には、腸切除術及び幽門狭窄症の治療がある。泌尿器系に行なわれる手術の非限定例としては、腎臓移植術、及び膀胱憩室の治療が挙げられる。男性生殖器系に行なわれる手術の非限定例としては、停留精巣の治療が挙げられる。女性生殖器系に行なわれる手術の非限定例としては、卵巣嚢腫摘出術が挙げられる。内分泌系に行なわれる手術の非限定例としては、副甲状腺機能亢進の治療が挙げられる。神経系に行なわれる手術の非限定例としては、椎弓切除術及び脳梁離断術(corpus callosotomy)が挙げられる。目に行なわれる手術の非限定例としては、斜視の手術が挙げられる。聴覚系に行なわれる手術の非限定には、人工内耳手術がある。手術のさらなる非限定例には、扁桃摘出術、口唇裂及び口蓋の修復術、リンパ管腫の治療、気管食道瘻修復術、神経芽細胞腫の手術、及び食道閉鎖症の治療がある。一実施形態では、患者は心肺バイパス術を受けたことがある。
6.4 治療方法
上述したように、本発明の治療方法は、小児患者へのデクスメデトミジンの投与を含む小児患者の鎮静又は鎮痛方法であって、神経損傷の発生率を低減するのに有効な量でデクスメデトミジンを投与する方法に関する。
本発明で用いるデクスメデトミジンは非経口、静脈内、及び経口経路を含めたいずれの適切な経路によっても投与可能である。非経口投与経路の非限定例には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内又はくも膜下腔内経路がある。製剤の断続的なボーラス注射によって非経口投与を行なってよく、或いは外部(例えば、静脈内バッグ)又は内部(例えば、生分解性インプラント、バイオ人工臓器)にあるリザーバーからの静脈内又は腹腔内投与によって行なってよい。例えば、それぞれ参照によってその全体をここに援用する米国特許第4,407,957号及び第5,798,113号を参照されたい。肺内送達方法及び装置は例えば、それぞれ参照によってその内容全体をここに援用する米国特許第5,654,007号、第5,780,014号、及び第5,814,607号に記載されている。他の有用な非経口送達システムとしては、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入システム、ポンプ送達、カプセル化細胞送達、リポソーム送達、針送達注射、無針注射、噴霧器、エアロゾル発生器(aeorosolizer)、エレクトロポレーション、及び経皮パッチが挙げられる。無針注射装置は、参照によってその明細書全体をここに援用する米国特許第5,879,327号;第5,520,639号;第5,846,233号及び第5,704,911号に記載されている。
さらに別の非限定実施形態では、制御放出システム又は徐放システムで治療化合物を送達することができる。例えば、静脈内注入、持続注入、埋め込み型浸透圧ポンプ、又は他の投与様式を用いて化合物又は組成物を投与してよい。一実施形態では、ポンプを使用してよい(Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507; Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる(Langer and Wise eds., 1974, Medical Applications of Controlled Release, CRC Press: Boca Raton, Fla; Smolen and Ball eds., 1984, Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Wiley, N.Y.; Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 23:61; Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol., 25:351; Howard et al., 9189, J.Neurosurg. 71:105参照)。さらに別の実施形態では、制御放出システムを治療標的、すなわち脳の近傍に置くことができるので、全身用量の一部分しか必要ない(例えば、Goodson, 1984, in Medical Applications of Controlled Release, Vol. 2, pp. 115-138参照)。
ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを持続的静脈内用量として小児患者に約0.005μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約25μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約15μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約5μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約2μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約1.5μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約1μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約0.5μg/kg/時間、又は約0.005μg/kg/時間〜約0.25μg/kg/時間の濃度で投与する。好ましい非限定実施形態では、濃度は約0.025μg/kg/時間〜約2.0μg/kg/時間である。特定の実施形態では、デクスメデトミジンを持続的静脈内用量として小児患者に約0.005μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.025μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.05μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.01μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.2μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.25μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.5μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約0.7μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約1.0μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約1.5μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約2.0μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約5.0μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約10μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間、又は約20μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の濃度で投与する。
特定の実施形態では、デクスメデトミジンを持続的静脈内用量として小児患者に約0.01μg/kg/時間、又は約0.025μg/kg/時間、又は約0.05μg/kg/時間、又は約0.1μg/kg/時間、又は約0.2μg/kg/時間、又は約0.25μg/kg/時間、又は約0.3μg/kg/時間、又は約0.4μg/kg/時間、又は約0.5μg/kg/時間、又は約0.6μg/kg/時間、又は約0.7μg/kg/時間、又は約0.75μg/kg/時間、又は約0.8μg/kg/時間、又は約0.9μg/kg/時間、又は約1.0μg/kg/時間、又は約1.1μg/kg/時間、又は約1.2μg/kg/時間、又は約1.3μg/kg/時間、又は約1.4μg/kg/時間、又は約1.5μg/kg/時間、又は約1.6μg/kg/時間、又は約1.7μg/kg/時間、又は約1.8μg/kg/時間、又は約1.9μg/kg/時間、又は約2.0μg/kg/時間、又は約2.1μg/kg/時間、又は約2.2μg/kg/時間、又は約2.3μg/kg/時間、又は約2.4μg/kg/時間、又は約2.5μg/kg/時間の濃度で投与する。ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを持続的静脈内用量として約3.0μg/kg/時間、又は約3.5μg/kg/時間、又は約4.0μg/kg/時間、又は約4.5μg/kg/時間、又は約4.0μg/kg/時間、又は約4.5μg/kg/時間、又は約5.0μg/kg/時間、又は約5.5μg/kg/時間, 約6.0μg/kg/時間、又は約6.5μg/kg/時間、又は約7.0μg/kg/時間、又は約7.5μg/kg/時間, 約8.0μg/kg/時間、又は約8.5μg/kg/時間、又は約9.0μg/kg/時間、又は約9.5μg/kg/時間、又は約10μg/kg/時間、又は約11μg/kg/時間、又は約12μg/kg/時間、又は約13μg/kg/時間、又は約14μg/kg/時間、又は約15μg/kg/時間、又は約16μg/kg/時間、又は約17μg/kg/時間、又は約18μg/kg/時間、又は約19μg/kg/時間、又は約20μg/kg/時間、又は約21μg/kg/時間、又は約22μg/kg/時間、又は約23μg/kg/時間、又は約24μg/kg/時間、又は約25μg/kg/時間、又は約27.5μg/kg/時間、又は約30μg/kg/時間、又は約32.5μg/kg/時間、又は約35μg/kg/時間、又は約40μg/kg/時間、又は約45μg/kg/時間、又は約50μg/kg/時間の濃度で投与する。
特定の実施形態では、デクスメデトミジンを持続的静脈内用量として約1〜約10分、又は約1〜約20分、又は約1〜約30分、又は約1〜約2時間、又は約1〜約3時間、又は約1〜約4時間、又は約1〜約5時間、又は約1〜約6時間、又は約1〜約7時間、又は約1〜約8時間、又は約1〜約9時間、又は約1〜約10時間、又は約1〜約11時間、又は約1〜約12時間、又は約1〜約13時間、又は約1〜約14時間、又は約1〜約15時間、又は約1〜約16時間、又は約1〜約17時間、又は約1〜約18時間、又は約1〜約19時間、又は約1〜約20時間、又は約1〜約21時間、又は約1〜約22時間、又は約1〜約23時間、又は約1〜約24時間にわたって投与する。好ましい非限定実施形態では、デクスメデトミジンを約6〜約24時間にわたって投与する。ある一定の実施形態では、デクスメデトミジンを持続用量として約6時間、又は 約7時間、又は約8時間、又は約9時間、又は約10時間、又は約11時間、又は約12時間、又は約13時間、又は約14時間、又は約15時間、又は約16時間、又は約17時間、又は約18時間、又は約19時間、又は約20時間、又は約21時間、又は約22時間、又は約23時間、又は約24時間にわたって投与する。
ある一定の非限定実施形態では、デクスメデトミジンの投与は、2回目の維持量前に投与される初回負荷量を含む。負荷量として投与した後に維持量を投与するとき、負荷量は約0μg/kg〜約5μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約4.5μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約3μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約2.5μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約2μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約1.5μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約1μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約0.5μg/kg、又は約0.005μg/kg〜約0.25μg/kg、又は約0μg/kg〜約0.4μg/kgの用量であり得る。好ましい非限定実施形態では、負荷量は約0μg/kg〜約1.0μg/kgである。特定の実施形態では、負荷量は約0.01μg/kg、又は約0.025μg/kg、又は約0.05μg/kg、又は約0.1μg/kg、又は約0.2μg/kg、又は約0.25μg/kg、又は約0.3μg/kg、又は約0.35μg/kg、又は約0.4μg/kg、又は約0.5μg/kg、又は約0.6μg/kg、又は約0.7μg/kg、又は約0.8μg/kg、又は約0.9μg/kg、又は約1.0μg/kg、又は約1.1μg/kg、又は約1.2μg/kg、又は約1.3μg/kg、又は約1.4μg/kg、又は約1.5μg/kg、又は約1.6μg/kg、又は約1.7μg/kg、又は約1.8μg/kg、又は約1.9μg/kg、又は約2.0μg/kg、又は約2.1μg/kg、又は約2.2μg/kg、又は約2.3μg/kg、又は約2.4μg/kg、又は約2.5μg/kgである。ある一定の実施形態では、負荷量は約3.0μg/kg、又は約3.5μg/kg、又は約4.0μg/kg、又は約4.5μg/kg、又は約4.0μg/kg、又は約4.5μg/kg、又は約5.0μg/kg、又は約5.5μg/kg, 約6.0μg/kg、又は約6.5μg/kg、又は約7.0μg/kg、又は約7.5μg/kg, 約8.0μg/kg、又は約8.5μg/kg、又は約9.0μg/kg、又は約9.5μg/kg、又は約10μg/kg、又は約11μg/kg、又は約12μg/kg、又は約13μg/kg、又は約14μg/kg、又は約15μg/kg、又は約16μg/kg、又は約17μg/kg、又は約18μg/kg、又は約19μg/kg、又は約20μg/kg、又は約21μg/kg、又は約22μg/kg、又は約23μg/kg、又は約24μg/kg、又は約25μg/kg、又は約27.5μg/kg、又は約30μg/kg、又は約32.5μg/kg、又は約35μg/kg、又は約40μg/kg、又は約45μg/kg、又は約50μg/kgである。
ある一定の実施形態では、負荷量は約0.5μg/kg未満、又は約0.45μg/kg未満、又は約0.4μg/kg未満、又は約0.35μg/kg未満、又は約0.3μg/kg未満、又は約0.25μg/kg未満、又は約0.2μg/kg未満、又は約0.15μg/kg未満、又は約0.1μg/kg未満、又は約0.05μg/kg未満、又は約0.01μg/kg未満である。特定の実施形態では、負荷量を投与しない。
負荷量を約1〜約5分、又は約1〜約10分、又は約1〜約15分、又は約1〜約20分、又は約1〜約25分、又は約1〜約30分、又は約1〜約45分、又は約1〜約60分にわたって投与することができる。負荷量の後に、一回の持続用量について上述した時間にわたって維持量を投与することができる。好ましい非限定実施形態では、負荷量を約10〜約20分にわたって投与する。特定の実施形態では、負荷量を約5分、又は約7.5分、又は約10分、又は約12.5分、又は約15分、又は約20分、又は約25分、又は約30分、又は約35分、又は約40分, 約45分、又は約50分、又は約55分、又は約60分にわたって投与する。
ある一定の非限定実施形態では、一回の持続的な負荷量又は維持量として投与するとき、デクスメデトミジンを約1時間〜約7日、又は約1時間〜約4日、又は約1時間〜約48時間、又は約1時間〜約36時間、又は約1時間〜約24時間、又は約1時間〜約12時間にわたって投与する。特定の非限定実施形態では、デクスメデトミジンを持続注入として約72時間未満、又は約48時間未満、又は約36時間未満、又は約24時間未満、又は約18時間未満、又は約12時間未満、又は約6時間未満、又は約3時間未満、又は約1時間未満、又は約30分未満の間投与する。
ある一定の非限定実施形態では、本方法は、必要とされる救出薬の量を減らす。一実施形態では、救出薬は非デクスメデトミジン鎮静薬である。特定の実施形態では、本開示方法は、必要とされる鎮静救出薬の量を約5%〜約100%、又は約5%〜約75%、又は約5%〜約50%、又は約5%〜約25%、又は約5%〜約15%減らす。
特定の実施形態では、鎮静救出薬はベンゾジアゼピンである。ベンゾジアゼピンの非限定例としては、クロナゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、トリアゾラム、テマゼパム、クロルジアゼポキシド、及びアルプラゾラムが挙げられる。特定の実施形態では、鎮静薬はバルビタール系薬剤である。バルビタール系薬剤の非限定例としては、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、及びフェノバルビタールが挙げられる。鎮静薬の他の例としては、抱水クロラール、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、及びゾピクロンが挙げられる。
ある一定の実施形態では、救出薬は鎮痛薬である。ある一定の実施形態では、本方法は、必要とされる鎮痛救出薬の量を減らす。特定の実施形態では、本開示方法は、必要とされる鎮痛救出薬の量を約5%〜約100%、又は約5%〜約75%、又は約5%〜約50%、又は約5%〜約25%、又は約5%〜約15%減らす。
一実施形態では、鎮痛薬はオピオイドである。オピオイドの非限定例として、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、ブプレノルフィン、ヒドロモルホン、メタドン、トラマドール、メペリジン、オキシモルホン、及びペンタゾシンが挙げられる。ある一定の実施形態では、鎮痛薬はN-メチル-D-アスパラギン酸拮抗薬(NDMA)である。NDMAの非限定例として、ケタミン、亜酸化窒素、及びキセノンが挙げられる。鎮痛薬の他の例として、クロニジン、デスフルラン、イソフルラン、及びセボフルランが挙げられる。口周囲、非経口、経鼻(例えば、散剤)、直腸(例えば、座剤として)、又は局所投与によって救出薬を投与してよい。
一実施形態では、本開示方法は、神経損傷の発生率を低減する。特定の実施形態では、本開示方法は、脳の1つ以上の領域における神経損傷の発生率を低減する。神経損傷の発生率が低減される脳領域の非限定例には、大脳皮質、基底核、嗅球、視床下部、視床、視床上部、中脳、脳橋、小脳、及び髄質がある。
神経損傷の非限定原因としては、限定するものではないが、鎮静薬若しくは鎮痛薬の投与、発作、窒息、てんかん、脳振盪、脳出血、脊髄ショック(cord shock)、溺死、腫瘍、免疫療法、化学療法、医原性フリーラジカル毒性、傷害、運動失調、手術、心肺バイパス術、脳性麻痺、脳虚血、脳無酸素傷害、自己免疫性神経変性、心筋虚血、心筋梗塞、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、急性呼吸不全、冠動脈バイパス術、潰瘍性大腸炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脊髄性筋萎縮、椎骨疾患、減圧症、胎児性アルコール症候群、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱、デング熱、脳炎、肝疾患、原発性肝硬変、腎疾患、膵炎、多発性嚢胞腎疾患、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)関連胃疾患及び十二指腸潰瘍疾患、HIV感染、トキソプラズマ症、風疹、サイトメガロウイルス、結核、髄膜炎、若年性糖尿病、扁平苔癬、ぶどう膜炎、ベーチェット病、赤芽球ろう、再生不良性貧血、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、ネフローゼ症候群、及びその組合せが挙げられる。
特定の非限定実施形態では、結果として生じる神経損傷には種々のタイプの神経認知、心理認知、及び/又は神経運動若しくは運動障害、或いはその組合せが含まれる。このような障害は、機能又は能力遅延、機能又は能力破壊、機能又は能力の損失、新しい能力を発現又は学習できないこと等であり得る。神経認知及び/又は心理認知障害の非限定例には、学習、記憶、実行機能、及び視空間能力障害がある。神経運動障害の非限定例には、強度、バランス、移動度障害、及びその組合せがある。他の非限定実施形態では、神経損傷には、発育遅延、脳性麻痺、知的障害、視力障害、難聴、自閉症、運動麻痺、片麻痺、歪み状態、ストレス状態、神経機能不全、例えば痙攣、発作、筋硬直、神経緊張及び不安等、並びにその組合せがある(例えば、Hintz et al. Pediatrics. 2005 Jun; 115(6):1645-51参照)。
神経損傷障害は、限定するものではないが、知能検査(例えば、Wechsler, J. Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence. San Antonio: The Psychological Corp., 1989参照)、ラント(Randt)記憶検査のショートストーリーモジュール(Randt C, Brown E. Administration manual: Randt Memory Test. New York: Life Sciences, 1983参照)、改訂ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised)の数唱下位検査(Digit Span subtest)と符合作業下位検査(Digit Symbol subtest)(Wechsler D. The Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised (WAIS-R). San Antonio, Tex.: Psychological Corporation, 1981参照)、改訂ベントン視覚記銘検査(Benton Revised Visual Retention Test)(Benton A L, Hansher K. Multilingual aphasia examination. Iowa City: University of Iowa Press, 1978参照)、及びトレイルメイキングテスト(Trail Making Test)(パートB)(Reitan R M. Validity of the Trail Making Test as an indicator of organic brain damage. Percept Mot Skills 1958;8:271-6参照)といった十分に確立された基準によって評価可能である。神経損傷を判定するための十分に確立された基準の他の非限定例には、ベイリー乳幼児発達検査(Bayley Scales of Infant Development)(BSID-II)精神発達指数評価(Mental Development Index assessment)、BSID-II運動発達指数評価(Psychomotor Development Index assessment)、デンバー式発達検診検査(Denver Developmental Screening Test)、磁気共鳴画像法、視力検査、及び聴力検査がある。他の検査としては、標準化相互作用及び/又は観察、例えば社会化、視覚と手の協調、運動制御、音と言葉を理解及び使用する能力、並びに音と言葉を認識する能力の標準化評価が挙げられる。
神経損傷の発生率の低減の非限定例には、1以上の発生率の神経損傷の重症度の低減、1以上の発生率の神経損傷の数の減少、1以上の発生率の神経損傷の発現の予防、又は1以上の発生率の神経損傷の発現の遅延、又はその組合せが含まれる。1つの非限定実施形態では、神経損傷の発生率の低減には、上記検査又は評価の1つで測定した時の、小児患者に有効量のデクスメデトミジンを投与しなかった場合より良いスコア又は評価が含まれる。
特定の実施形態では、神経損傷は細胞変性又は神経細胞アポトーシスである。本明細書では、用語「細胞変性」は、刺激、外傷、医薬組成物、又は病理過程の結果としての細胞死を意味する。本明細書では、用語「神経アポトーシス」又は「神経細胞アポトーシス」は、プログラム細胞死と関連する神経細胞死を意味する。特定の実施形態では、本方法は神経アポトーシスの発生率を低減する。
本開示方法により保護できる細胞の非限定例には神経細胞及びグリア細胞がある。本開示方法により保護できる神経細胞の非限定例には、レンショウ細胞、プルキンエ細胞、海馬籠細胞、小脳籠細胞、皮質籠細胞、皮質介在神経細胞、小脳介在神経細胞、錐体細胞、顆粒細胞、前角細胞、及び運動神経細胞がある。本開示方法により保護できるグリア細胞の非限定例には、神経髄鞘細胞(neurolemmocyte)、衛星細胞、ミクログリア、オリゴデンドログリア、及びアストログリアがある。
ある一定の実施形態では、神経損傷に細胞萎縮、辺縁趨向によるクロマチン凝集、膜に囲まれたアポトーシス小体の形成、及びAsh神経細胞壊死が含まれる。
一実施形態では、デクスメデトミジンの投与は皮質ラミナ層における神経損傷の発生率を低減する。ある一定の実施形態では、この低減は皮質ラミナ層I〜IVの1つ以上で起こる。一実施形態では、神経損傷の減少は皮質ラミナ層Iで起こる。特定の実施形態では、神経損傷の減少は皮質ラミナ層IIで起こる。ある一定の実施形態では、この減少は皮質ラミナ層IでもIIでも起こる。
7. 実施例
下記実施例は本開示主題を単に説明するだけであり、決して本発明の範囲を限定するものとみなすべきでない。
実施例1:新生児におけるデクスメデトミジン研究
当初30名の患者の研究
集中治療環境で最短6時間の鎮静を必要とした≧28週間〜≦44週間の在胎期間の新生児についてデクスメデトミジンの30対象非盲検多施設安全性、効力及び薬物動態研究を行なった。本研究は、新生児集中治療室(NICU)、心臓集中治療室(CICU)、又はPICUにおいて負荷量後に最短6時間かつ24時間まで持続注入として投与された≧28週間〜≦44週間の在胎期間の新生児における3つの異なる用量レベルのデクスメデトミジンの効力、薬物動態、及び安全性を調査した。最終月経の初日から登録日までの経過時間として在胎期間(週間)を計算した。妊娠が生殖介助術を用いて達成された場合、上記計算値に2週間を加えて在胎期間を計算した。
本研究のために選択した患者は、最初に挿管され、人工呼吸器が装着された、≧28週間〜<36週間の在胎期間で生まれた早期新生児及び≧36週間〜≦44週間の在胎期間で生まれた満期新生児であった。前者を群Iに割り当て、後者を群IIに割り当てた。対象の体重は登録時に1000g超えであった。
この集団では新生児の心血管系は、デクスメデトミジンの使用が悪影響を与え得る特徴を有する。年長児、子供、及び成人と異なり、新生児の心筋は、代謝要求に応じて収縮性を増して心拍出量を増やすことができない。代わりに、新生児は心拍出量を増やすために自分のHRに非常に依存する。結果として、デクスメデトミジンの既知効果である徐脈作用が新生児の心拍出量を減らし得る。このため、この集団の研究用に選択した用量は、年長の小児患者の鎮静用に典型的に用いられる用量より意図的に少なくした。より少ない用量は、徐脈という有害作用を軽減すると予想されたが、デクスメデトミジンの高い脂質溶解度及び潜在的に高い脳脊髄液濃度のため、この集団の血液脳関門の未熟さがデクスメデトミジンの鎮静特性を促進する可能性があり;従って、この齢群の人工呼吸器装着対象に何らかの鎮静を及ぼすためには、10又は20分にわたる0.05μg/kgの負荷量後に0.05μg/kg/時間の維持量という最低用量を予想した。最高用量、0.2μg/kgの負荷量後に0.2μg/kg/時間は、徐脈作用を引き起こさないと予想した。
各対象は、10分又は20分にわたってデクスメデトミジンの負荷量を受けた後、最短6時間であるが24時間未満の間にデクスメデトミジンの適切な持続注入維持量を受けた。各対象に投与した用量レベルを下表1に示す。対象を用量レベルに順次割り当てた。
表1. 各齢群の用量レベル
Figure 2014528474
投与したデクスメデトミジンはHospira, Inc.製のPrecedex(登録商標)デクスメデトミジンHCl注射薬であった。デクスメデトミジン塩酸塩(HCl)注射薬(100μg/mL、ベース)は、注入調査現場にHospiraにより供給された。研究薬は現場薬局によって調製(希釈)された。デクスメデトミジンの負荷量を水中0.9%の塩化ナトリウム又はブドウ糖5%で下記濃度の1つに希釈した:4μg/mL溶液、2μg/mL溶液、1μg/mL溶液、又は0.5μg/mL溶液。制御注入装置を用いてデクスメデトミジンを注入した。正確な注入を保証するため、デクスメデトミジンを肺動脈に直接投与しなかった。
2段階注入としてデクスメデトミジンを投与した。デクスメデトミジンの10分又は20分の負荷量注入後に、最短6時間かつ手術後24時間までデクスメデトミジンの持続固定維持量注入を投与した。デクスメデトミジンの負荷量用と同じ濃度で維持注入用のデクスメデトミジンを希釈した。負荷注入でも維持注入でもIVカテーテルの挿入部位にデクスメデトミジンを投与して薬物を流さないようにした。デクスメデトミジン用に指定されたIVラインを介してデクスメデトミジンを投与した。
デクスメデトミジン開始前の最も最近測定した対象の体重を用いて鎮静薬投与量を計算した。デクスメデトミジン持続時間は最大24時間に及ぶので、日毎の体重変動のために投与量を調整する必要はなかった。
デクスメデトミジンへの曝露を胎在期間別に表2(負荷量)、表3(維持量)、及び表4(全用量/時間;曝露時間<6時間、<12時間、<24時間、>0〜<6時間、≧6〜<12時間、≧12〜<24時間、及び≧24時間)に要約する。デクスメデトミジンへの曝露中央値を下表2〜4に要約する。データの変動性のため中央値データを選択した。デクスメデトミジン曝露中央値は齢群II、用量レベル3で最高であった。齢群Iでは、2名の対象がそれぞれ>0〜<6時間、≧6〜<12時間、及び≧12〜<24時間持続する注入を受けた。齢群IIでは、対象の過半数(n=17、70.8%)が≧6〜<12時間持続する注入を受け、持続時間中央値は6時間あまり(370分)であった。用量レベル3の対象は、中央値が360.0〜365.0分(約6時間)の齢群IIの他の2つのコホートに比べて中央値が961.5分(16時間)で齢群IIにおける最長維持注入を受けた。全ての対象は、最短6時間の維持注入を受ける治療を完了した。
表2. デクスメデトミジン曝露の負荷量中央値
Figure 2014528474
a 齢群I=≧28〜<36週間の在胎期間;齢群II=≧36〜≦44週間。
b 単位は負荷量についてはμg/kg、維持投与(持続注入)についてはμg/kg/時間。
表3. デクスメデトミジン曝露の維持量中央値
Figure 2014528474
a 齢群I=≧28〜<36週間の在胎期間;齢群II=≧36〜≦44週間。
b 単位は負荷量についてはμg/kg、維持投与(持続注入)についてはμg/kg/h時間。
表4. デクスメデトミジン曝露の総用量中央値
Figure 2014528474
a 齢群I=≧28〜<36週間の在胎期間;齢群II=≧36〜≦44週間。
b 単位は負荷量についてはμg/kg、維持投与(持続注入)についてはμg/kg/時間。
齢群Iの対象は、持続時間中央値10分で総負荷量中央値0.07μg及び1407.5分(23.5時間)にわたって総維持量中央値1.30μgを受けた。齢群IIの対象は、10分にわたって総負荷量中央値0.18〜0.70μg及び360〜961.5分(6〜16時間)にわたって総維持量中央値1.08〜12.20μgを受けた。
新生児の鎮静及び疼痛/興奮を評価するために開発された新生児の疼痛、興奮、及び鎮静スケール(Neonatal Pain, Agitation, and Sedation Scale)(N-PASS)を用いて鎮静頻度を評価することによって効力評価を行なった。N-PASSには、新生児の鎮静レベル、疼痛、及び興奮を評価するための5つの基準が含まれる。指標は以下の通りである:1)泣き/易刺激性、2)行動/状態、3)顔の表情、4)四肢/緊張、及び5)生命徴候(すなわち、HR、RR、SBP、DBP、及びSpO2)。できる限り、同一の研究者又は被指名人が、表5に示す活動スケジュールに従ってN-PASSスコアを得た。
全てのN-PASS評価と共に奇異反応(著しく興奮状態)の存在の評価をモニターした。興奮状態はプロトコル定義され、泣き/易刺激性又は行動/状態評価基準のどちらかがスコア2に値するときに生じた。5つの評価基準のそれぞれについて、対象に1つの数値、すなわち、-2、-1、0、+1、又は+2を与えることになる。対象は、負の鎮静側に何らかの基準スコアを有し、かつ正の疼痛/興奮側に他の基準を有することがあり得るが、単一の基準については鎮静又は疼痛側の両方ではなくどちらかでスコアを得ることになる。対象の在胎期間が<30週間の場合、疼痛スコアに1を加えた。
表5. N-PASS−新生児の疼痛、興奮及び鎮静スケール
Figure 2014528474
総N-PASSスコア>3又は臨床判断によって適応があれば救出のためにモルヒネ又はフェンタニル及び/又はミダゾラムを与えることができる。対象から抜管中又はその後、デクスメデトミジン注入を継続することができるが、デクスメデトミジンの最小持続時間は6時間であり、注入の最大持続時間は24時間であった。効力の尺度には、デクスメデトミジン注入中の鎮静又は鎮痛用の救出薬の使用を含めた(頻度及び使用量)。
N-PASS鎮静/疼痛スケールの結果に基づいたデクスメデトミジン投与中に、必要に応じて鎮静(ミダゾラム)及び疼痛(フェンタニル又はモルヒネ)のために救出薬を投与した。N-PASS総スコア>3のときに救出療法の必要が示され、鎮静救出薬又は鎮痛救出薬の選択は研究者の自由裁量に委ねられた。救出療法のいずれのボーラス投与でも、下記順序の事象が起こった:救出薬の投与前かつミダゾラムの投与後5分以内にN-PASSスコアを得た。鎮静用救出薬はミダゾラムであり、疼痛用救出薬はフェンタニル又はモルヒネのどちらかであった。ミダゾラムは小児科用の標識に基づいて1用量当たり0.05〜0.15mg/kgの推奨用量で投与した。疼痛用の救出フェンタニルは0.5〜2μg/kgのボーラス又は1〜2μg/kg/時間の持続注入で投与した。フェンタニルの持続注入のためには、持続注入の開始直前にN-PASSを記録した。救出モルヒネは0.025〜0.1mg/kgのボーラス又は0.01〜0.02mg/kg/時間の持続注入として投与した。モルヒネの持続注入のためには、持続注入の開始直前にN-PASSを記録した。
デクスメデトミジンの負荷量及び維持注入量について要約統計を下表5Aに示す。
表5A. 用量関連データの要約統計
Figure 2014528474
安全性尺度には有害事象の収集(有害事象)、心拍数(1分当たりの拍動のHR[bpm])、収縮期血圧(ミリメートル水銀のSBP[mmHg])、拡張期血圧(ミリメートル水銀のDBP[mmHg])、平均動脈圧(ミリメートル水銀のMAP[mmHg])、パルスオキシメトリによる酸素飽和度(百分率のSpO2)、及び呼吸数(呼吸/分のRR[呼吸/分])又は人工呼吸器の設定、検査結果、及び心電図(ECG)モニタリングを含めた。
齢群Iの対象(≧28週間〜<36週間の在胎期間)では体重に応じて6又は7つのプロトコル指定時に、齢群IIの対象(≧36週間〜≦週間の在胎期間)では7つの指定時に薬物動態解析のため動脈、静脈、又は末梢血サンプル(それぞれ0.15mL)を得た。
下記スケジュールの研究活動に従う臨床検査のため化学、血液学及び尿検査サンプルを得た:検診時、維持の5時間後であるがデクスメデトミジンの中断前及びデクスメデトミジ注入の中断後24時間以内。さらに、s/p CPBである対象は、CPB後であるが、デクスメデトミジンの開始から1時間以内にALTレベルのためサンプルを採取した(これはベースラインのALTを構成した)。全ての血液及び尿サンプルを適宜ラベルを付けた管に収集し、分析のため地域の検査室に送った。
治療前後に肝機能検査(LFT)を得、肝機能不全の証拠について比較した。下記期間中に肝機能検査を得た:検診時、維持の5時間後であるが中断前、及び注入中断後24時間のごく近くか又は退院の日のいずれか早い方。さらに、s/p CPBである対象は、CPB後であるが、デクスメデトミジン注入開始から1時間以内にALTレベルのためサンプルを採取した。これはベースラインのALTを構成したので、排除基準に関してこれを用いなかった。肝機能検査を以下のように定義した:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALT、アルカリホスファターゼ、及び総ビリルビン量。ALT>156U/L又は検診値から≧30%増加のどちらか大きい方によって肝毒性を定義した。
SASTM統計ソフトウェアシステム(SAS Institute, Inc., Cary, NC)、バージョン9.1を用いて統計解析を行なった。特に指定のない限り、全ての統計検定は両側検定であり、四捨五入して少数第4位の概数にした後のp値≦0.0500を統計的に有意とみなした。一般に、欠測データは帰属させなかった。連続変量について、N、平均値、中央値、SD、最小値、Q1、Q3及び最大値を提示する。生の値だけでなく、少数第1位まで平均値及び中央値を表示した。生の値だけでなく、少数第2位の概数にして標準偏差(SD)を表示する。カテゴリー変数については、N及びパーセントを示す。全てのパーセンテージは少数第1位まで報告した。
最終統計のため、正規分布の仮定が妥当であるときは二元分散解析(ANOVA)を利用して、或いはこの仮定が適わないときはノンパラメトリック検定によって連続変量について齢群別に治療差異を評価した。規則正しい分類上の変量については、コクラン-マンテル-ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel)(CMH)検定を用いた。治療差異が有意な場合、用量レベル間のペアワイズ比較を行なった。全ての有効性変量をデクスメデトミジンについて解析した。
デクスメデトミジンは、重病で、最初に挿管され、人工呼吸器を装着された≧28〜<36週間の早産児を鎮静するのに有効であった。齢群Iの対象はデクスメデトミジン注入中は鎮静用の救出ミダゾラムを受けなかった。この治験で用いた0.2μμg/kg/時間までの用量では、デクスメデトミジンは満期新生児を鎮静するのに適度に有効であった。齢群IIでは、全部で4名の対象(16.7%)がデクスメデトミジン注入中に鎮静のために救出ミダゾラム(平均用量0.22mg/kg)を受けた。
齢群Iのほとんどの早産児は、デクスメデトミジン注入中に疼痛のための追加薬を必要としなかった。齢群Iの1名の対象(16.7%)は、試験注入中に鎮痛用の救出薬を受けた。対照的に、齢群IIの満期新生児の多く(58.3%)は試験注入中に鎮痛用の救出薬を受けた。齢群II、特に用量レベル3で鎮痛要求が増加したのは、おそらく術後外科対象の比率が高いことを反映している。
総N-PASSスコア>3では全ての用量レベルは短時間しか費やさず、ほとんどの対象が十分に鎮静されたことを示唆しており、疼痛/興奮の徴候は現れなかった。一般的に、生命徴候のベースラインからの平均的変化の傾向は臨床的に意味がなかった。
≦28〜<36週間の在胎期間の早産児は、より高い用量調整曝露という結果になる満期新生児より低いクリアランスを有するようであった。これらのパラメータについて齢群I(≧28〜<36週間の在胎期間)では1つの用量レベル(0.05μg/kg)、齢群II(≧36〜≦44週間の在胎期間)では全部で3つの用量レベル(0.05μg/kg、0.1μg/kg、及び0.2μg/kg)で十分に評価された。より若い対象は、より高い用量調整曝露という結果になる年長の対象(齢群IIの0.05μg/kgの用量レベルで0.61L/時間/kg)より低いクリアランス(齢群Iの0.05μg/kgで0.41L/時間/kg)を有するようであった。この知見は、より若い対象では0.1μg/kg及び0.2μg/kgの用量レベルで薬物動態データを入手できていないので解釈が困難である。
薬物動態解析の結果は、定常状態で体重調整した分布容積(Vssw)及び見かけの終末相半減期(t1/2)は用量レベルと齢群を通じて似ていることを示唆している。さらに、齢上の対象(齢群II)内ではデクスメデトミジン曝露は用量に比例するようであった。より若い対象(齢群I)内では用量比例性を評価できなかった。この知見は、より若い対象では0.1μg/kg及び0.2μg/kgで薬物動態データを入手できていないので解釈が困難である。この齢群の満期新生児(4名の対象が鎮静用のミダゾラムを必要とし、14名の対象が鎮痛用の救出薬を必要とした)に比べて低いクリアランスと高い濃度は、早産児で観察されるより高い効力と一致する(どの対象も鎮静用の救出ミダゾラムを必要とせず、1名の対象が鎮痛用の救出薬を必要とした)。Vssw及びt1/2は、用量レベルと齢群を通じて似ていた。
デクスメデトミジンは両齢群及び全ての用量で安全かつ耐容性良好であった。観察された有害作用プロファイルは重病の高リスク小児集団及び術後外科患者の典型である。齢群Iの2名の対象(33.3%)及び齢群IIの15名の対象(62.5%)が、治療下で発現した有害作用を経験した。齢群I、用量レベル1では1名の対象しか治療下で発現した有害作用を報告しなかった。齢群IIで1名の対象以外により報告された事象は、低カリウム血症、血中カリウム低下、怒り、無気肺、及び胸水であった。これらの事象は術後直視下心臓手術患者ではさらに一般的であり、予想された。
プレセデックス(Precedex)曝露対象でカプラン・マイヤー推定値を用いて抜管に成功するまでの時間を調査した。このセクションの結果は、病歴因子の高い変動性のため臨床的に意味がないので、さらに考察しなかった。
治療下で発現したほとんどの有害作用は治療と無関係であると判断され、本研究では2名の対象(齢群II)だけが治療に関係があると判断された治療下で発現した有害作用を経験した。治療下で発現した重度な有害作用は報告されなかった。各齢群の2名の対象が治療下で発現した中程度の有害作用を経験し、全ての他の対象は治療下で発現した軽度の有害作用を経験した。治療下で発現した死に至る重度の有害作用、治療下で発現したその他の重度の有害作用、及び治療下で発現したデクスメデトミジン中断につながる有害作用は存在しなかった。デクスメデトミジン中断につながる用量規制毒性(持続的徐脈作用、持続的低血圧、又は呼吸抑制作用)は存在しなかった。
一般に、検査パラメータ、生命徴候、理学的検査、又はECGについてはベースラインからの平均的変化は臨床的に有意でなかった。デクスメデトミジンは、重病の最初に挿管され、人工呼吸器を装着された早産児を鎮静するのに有効であった。齢群Iの対象は、研究注入中に鎮静のために救出ミダゾラムを受けなかった。この試験で用いた0.2μg/kg/時間までの用量で、デクスメデトミジンは満期新生児を鎮静する際に適度に有効であった。齢群Iのほとんどの早産児はデクスメデトミジン注入中に疼痛のために追加薬を必要としなかった。対照的に、齢群IIの満期新生児の多く(58.3%)は研究注入中に鎮痛のための救出薬を受けた。齢群II、特に用量レベル3の鎮痛要求の増加は、おそらく術後外科対象の率が高いことを反映している。早産児は、より高い用量調整曝露及びより大きい効力という結果になる満期新生児より低い血漿クリアランスを有するようであった。治療下に発現した副作用のために試験を中断した対象はいなかった。デクスメデトミジンは、両齢群及び全ての用量で安全かつ耐容性良好であった。観察された有害作用プロファイルは、研究した重病の高リスク小児集団の典型である。
追加の6名の患者コホート
当初の30名の患者で研究を開始した後、追加の6名の患者を登録して研究を完了した(以後「追加コホート」)。追加のコホートについて行なった研究の研究プロトコルは上述したとおりである。追加の6名の患者は、最短6時間の集中治療環境内で鎮静を必要とした≧28週間〜<36週間の在胎期間の新生児であった。これらの6名の患者は用量レベル2であり、0.1μg/kgの負荷量及び0.1μg/kgの維持量を受けた。この研究でデクスメデトミジンを受けた全部で36名の患者について各齢群の用量レベルを下表6に示す。
表6. 各齢群の用量レベル
Figure 2014528474
追加コホートの6名の対象の平均在胎期間は32.5週間であった。3名が男性で3名が女性であった。平均体重は1.71kgであり、平均身長は42.75cmであった。挿管の理由は、5名の対象は呼吸器疾患であり、1名の対象は敗血症であった。
追加コホートの6名の全対象は、この研究に入る前に前療法を受けていた;これらの最も一般的な療法は抗感染薬、栄養製品、及びミダゾラム又はフェンタニルであった。6名の全対象は併用療法を受けた:これらの最も一般的な療法は抗感染薬及び栄養製品であった。6名の全対象は、デクスメデトミジン注入後に種々多様の療法を受けた。
追加コホートの6名のどの対象もデクスメデトミジン注入中に救出ミダゾラム又はモルヒネを必要としなかった。1名の対象(16.7%)だけがデクスメデトミジン注入中に鎮痛用の救出薬を必要とし、20μg(0.98μg/kg)のフェンタニルを投与された。この対象のデクスメデトミジン注入の持続時間は6.5時間であった。この対象は、サイロ留置の手術を必要とする腹壁破裂のみならず、挿管を要する呼吸促迫症候群の病歴を有し、両方とも検診時に進行中であった。3未満の総N-PASSスコアを有するために救出鎮痛薬を必要とした対象は唯一の対象であり、この対象は浸潤I.V.のため0.25時間を有した。
研究補遺のコホート(齢群I、用量レベル2)で負荷量及び維持量後のデクスメデトミジンの血漿薬物動態パラメータの幾何平均を下表7に示す。
表7. 追加コホート患者の幾何平均血漿薬物動態パラメータ
Figure 2014528474
追加コホートで評価した2名の対象のDEXの体重調整クリアランス(CLw)は齢群I、用量レベル1で評価した1名の対象と同様であり、この場合もやはり齢群II対象で観察された値より低かった。クリアランスの差異と一致して、追加コホート(n=2)で評価したゼロ〜無限大の濃度-時間曲線下の用量調整面積、AUC(0-無限大)は、齢群IIについて全ての用量レベルにわたって(n=12)計算した値より4.6倍高かった(2102.55対461.04(pg/mL)時間)。同様に、定常状態濃度(Css)は、追加コホートの方が齢群IIの同用量レベルより高かった(369.67対170.53pg/mL)。しかしながら、最大濃度(Cmax)は実際に追加コホートの方が齢群IIの同用量レベルに対して低く、それぞれ107.22対122.43pg/mLであった。定常状態で体重調整した分布容積(Vssw)は、齢群IIの同用量レベルに比べて追加コホートの方がわずかに大きく(3.79対2.85L/kg)、見かけの終末消失半減期(t1/2)はそれぞれ8.32対4.77時間で、追加コホートの方が長かった。
デクスメデトミジンは、追加コホートを含めた両齢群及び全ての用量で安全かつ耐容性良好であった。追加コホートで観察された有害作用プロファイルは、重病の高リスク小児集団の典型である。
早期新生児からの限られた情報は、デクスメデトミジンの薬物動態に及ぼす齢の影響の解釈を困難にする。しかしながら、当初の30名の患者群の齢群I及び追加コホートで試験した2つの用量レベル(0.05及び0.1μg/kg)に基づいて、早期新生児(n=3)では満期新生児(n=12)よりクリアランスが低いようであり、4.4〜4.6倍大きい総曝露(AUC)をもたらした。この知見は満期新生児に比べて齢群I、用量レベル1及び2の早期新生児の高いCssとも一致する。早期新生児の低いクリアランス及び高い濃度は、満期新生児(4名の対象が鎮静用の救出ミダゾラムを必要とし、14名の対象が鎮痛用の救出薬を必要とした)に比べて両用量レベルの早産児で観察された大きい効力(どの対象も鎮静用の救出ミダゾラムを必要とせず、2名の対象が鎮痛用の救出薬を必要とした)と一致する。
Cmax及びAUC(0-最後)は、齢群II集団の同用量レベルに比べて追加コホートの方が低いようだった。これらの値は以下のとおりだった:Cmaxはそれぞれ107.22対122.43pg/mL及びAUC(0-最後)はそれぞれ708.09対813.26(pg/mL)。早期新生児の追加コホートでは低いクリアランス、高い濃度、及び大きい効力が観察され、当初の30名の患者集団の満期新生児に比べて他の早期死新生児コホートで観察されたことと一致した。
追加コホート及び当初の30名の患者集団データにおける齢群Iのほとんどの早期新生児は、デクスメデトミジン注入中に疼痛のための追加薬を必要としなかった。齢群Iの各用量レベルで1名の対象(13.7%)が研究注入中に鎮痛用の救出薬を受けた。対照的に、当初の30名の患者集団では、齢群IIの満期新生児の多く(58.3%)が研究注入中に鎮痛用の救出薬を受けた。齢群II、特に用量レベル3での高い鎮痛薬要求は、おそらく術後外科対象の比率が高いことを反映している。追加コホート及び当初の30名の患者集団データの対象は、総N-PASSスコア>3で短時間を費やしており、ほとんどの対象が十分に鎮静され、疼痛/興奮の徴候が現れていないことを示している。一般的に、追加コホート及び暫定解析データにおける生命徴候のベースラインからの変化の傾向は臨床的に意味がなかった。
デクスメデトミジンへの曝露中央値を下表8に要約する。データの変動性のため中央値データを選択した。齢群I、用量レベル2の対象は、暫定解析からの齢群I、用量レベル1に比べて低い総維持量中央値及びデクスメデトミジン曝露持続時間中央値を有した:具体的には、375.0分(6.25時間)対1407.5分(23.5時間)の持続時間中央値でそれぞれ1.14μg対1.30μgであった。齢群I、用量レベル2の対象は、同用量レベルの暫定解析からの齢群IIと比較して低い総維持量中央値を有したが、デクスメデトミジン曝露持続時間中央値は同様であった:具体的には、375.0分(6.25時間)対365.0分(6.1時間)の持続時間中央値でそれぞれ1.14μg対1.87μgであった。6名うち5名の対象が≧6〜<12時間持続する注入を受け、1.26μgの総用量中央値及び380分(6.3時間)の持続時間中央値であり、1名の対象は≧12〜<24時間持続する注入を受け、4.06μgの総用量中央値及び1285.0分(21.4時間)の持続時間中央値であった。全ての対象は、最短6時間の維持注入を受ける治療を完了した。
表8. 用量及びデクスメデトミジン曝露持続時間の中央値
Figure 2014528474
ほとんどの血液学的検査の対象間には変動性がった。一般に、いずれの血液学的変量、化学的変量、又は尿検査変量についても系統的変化の証拠は見出されなかった。治療下で発現した検査結果に属する有害事象は、低アルブミン血症(n=3)及びそれぞれ1名の対象で起こった下記事象であった:高ビリルビン血症、非抱合型血中ビリルビンの増加、低蛋白血症、低カルシウム血症、血尿、及び高血糖。これらの検査パラメータの全てはデクスメデトミジンに関係がないと判断された。これらはこの早期新生児集団の典型である。理学的検査データを収集した。検診及びデクスメデトミジン投与後の最もよく見られる異常な所見は肺/呼吸器系にあった。検診で、又はデクスメデトミジン投与中、若しくは投与後に異常な臨床的に有意な心電図結果はなかった。総流体インプットは49.1〜162.6mLに及び、総流体アウトプットは30〜224mLに及んだ。一般に、追加コホートの検査パラメータ、生命徴候、理学的検査、又は心電図結果についてベースラインからの変化は臨床的に意味がなかった。
追加コホートの全6名の対象が、治療下で発現した有害事象を経験した。これらを下表9に示す。治療下で発現した18の有害事象のうち、低アルブミン血症(n=3)のみが1名より多くの対象で報告された。治療下で発現した有害事象のほとんどが治療に関係がないと判断された。デクスメデトミジンに関係すると判断された治療下で発現した有害事象は軽度なものだけだった。1名の対象は、治療に関係すると判断された治療下で発現した2つの有害事象を経験した。1名の対象は、治療下で発現した3つの重度の有害事象を経験し;2名の対象は、治療下で発現した1つの中程度の有害事象をそれぞれ経験した。これらの重度又は中程度の事象はどれもデクスメデトミジンに関係がないと判断された。全ての他の事象は軽度であった。治療下で発現した死に至る重篤な有害事象は存在せず、1名の対象は治療下で発現した3つの重篤な有害作用を経験し、治療下で発現した有害事象の結果、デクスメデトミジンを中断した対象はいなかった。デクスメデトミジン中断につながる用量規制毒性(持続性徐脈作用、持続性低血圧、又は呼吸抑制作用)は治療下で発現しなかった。
表9. 器官別大分類及び基本語による治療下で発現した有害事象の要約
Figure 2014528474
群I-レベル1及び2の平均在胎期間は30.3週間及び32.5週間であり、群II-レベル1〜3の平均在胎期間は38.7週間であった。ほとんどの患者で十分レベルの鎮静が見られ、群IIの4名の患者(17%)にだけミダゾラム(0.22±0.26mg/kg)で救出鎮静が与えらた。群Iの2名(17%)の患者、及び群IIの11名(46%)の患者にフェンタニルで救出鎮痛が与えられた。さらに群IIの4名(21%)の患者は救出モルヒネを受けた。群I、レベル1及び2では、それぞれデクスメデトミジンクリアランス(CLw)が0.41及び0.29L/時間/kgであり、最大血漿中濃度(Cmax)が102及び107pg/mLであり、分布容積(Vssw)が2.7及び3.8L/kgであり、消失t1/2が3及び8時間であった。群2、レベル1、2及び3では、それぞれCLwが0.61、0.64及び0.73L/時間/kgであり、Cmaxが78、122、325pg/mLであり、Vsswが1.4、2.8及び2L/kgであり、t1/2が3、5及び3時間であった。群Iでは群IIより4.5倍長い総曝露(AUC)と共に低いCLwが観察された。観察された安全性プロファイルは重病の高リスク小児患者集団及び術後外科患者の典型であった。群Iの8名(67%)の患者及び群IIの15名(62%)の患者で有害事象が報告されたが、2名(8%)の患者でのみこれらの有害事象がデクスメデトミジンに関係があると判断された。いずれの患者もデクスメデトミジンに関係がある重篤な有害事象又はデクスメデトミジンの中断が必要な有害事象を持たなかった。
この研究の全体的な効力についての結論は、追加コホートによる更新の影響を受けなかった。デクスメデトミジンは、追加コホート及び当初の30名の患者集団において重病の最初に挿管され、人工呼吸器を装着された、≧28〜<36週の早産児を鎮静する際に有効であった。齢群I、用量レベル1又は2の当初の30名の患者集団又は追加コホートの対象は、デクスメデトミジン注入中に鎮静用の救出ミダゾラムを受けなかった。当初の30名の患者集団では、この試験で用いた0.2μg/kg/時間までの用量で、デクスメデトミジンは満期新生児を鎮静する際に有効であった。齢群IIでは、全部で4名の対象(16.7%)がデクスメデトミジン注入中に鎮静用の救出ミダゾラム(平均用量0.22mg/kg)を受けた。
追加コホート及び暫定解析データの齢群Iのほとんどの早期新生児はデクスメデトミジン注入中に疼痛のための救出追加薬を必要としなかった。齢群Iの各用量レベルの1名の対象(16.7%)は研究注入中に鎮痛用の救出薬を受けた。対照的に、暫定解析において、齢群IIの満期新生児の多く(58.3%)が研究注入中に鎮痛用の救出薬を受けた。齢群II、特に用量レベル3の鎮痛要求増加は、おそらく術後外科対象の比率が高いことを反映している。
追加コホート及び暫定解析データの対象は、総N-PASSスコア>3で短時間を費やしており、ほとんどの対象が十分に鎮静され、疼痛/興奮の徴候が現れていないことを示している。
早期新生児の追加コホートでは、暫定解析の満期新生児に比べて低いクリアランス、高い濃度、及び大きい効力が観察され、これは暫定解析の他の早期新生児コホートで観察されたことと一致した。
齢群I、用量レベル2の追加コホートの対象は、暫定解析の齢群I、用量レベル1に比べて低い総維持量及びデクスメデトミジン曝露持続時間の中央値を有した。この追加コホートの対象は、同用量レベルの齢群IIに比べても低い総維持量中央値を有したが、デクスメデトミジン曝露持続時間は同様であった。
実施例2:小児集中治療室対象のデクスメデトミジン研究
小児集中治療室環境で最初に挿管され、人工呼吸器を装着された小児対象についてデクスメデトミジンの175名の対象のランダム化二重盲検用量制御多施設研究を行なった。本研究は4つの異なる用量レベルのデクスメデトミジンの効力、薬物動態、及び安全性を検討した。対象は1カ月〜17歳未満の齢であった。早産で生まれた新生児については、在胎期間に基づいて実際の出生齢の3カ月まで齢を補正した。デクスメデトミジンの開始前及びその間に対象に人工呼吸器を装着し、対象は最短6時間の持続静脈内(IV)鎮静を必要とすると予測した。経鼻、気管内又は気管切開術によって対象に挿管できた。
対象はデクスメデトミジンの注入開始時に、1、2、3、又は4の麻酔科医学会(American Association of Anesthesiologists)(ASA)分類、及び1、2、3、又は4のミシガン大学鎮静スケール(UMSS)のスコアをも有していた。
対象を2つの治療群の1つにランダムに分けた。各治療群内では、心肺バイパス術(CPB)の存否に応じて層別化した。治療群を下表10に示す。全部で89名の対象をランダムに群1(低用量)に分け、86名の対象をランダムに群2(高用量)に分けた。当然に、低用量群の83名の対象及び高用量群の81名の対象は少なくとも6時間ランダム化デクスメデトミジンを受けた。
表10. デクスメデトミジンの用量
Figure 2014528474
総合齢群の齢中央値は、低用量群で10.7カ月(範囲:0.9ヶ月〜16.3年)であり、高用量群で14.7カ月(範囲:1.3ヶ月〜16.2年)であった。身長と体重は用量群を通じて、また基礎症状によって類似していた(総合齢群の身長中央値:低用量68.0cm、高用量76.5cm;総合齢群の体重中央値:低用量8.1kg、高用量8.5kg)。対象全体で男性が女性よりわずかに多かった(低用量、59.6%が男性;高用量、55.8%が男性)。ほとんどの対象が重度の先天性心肺疾患からの重病(ASA P3)である治療群間では人口統計が類似した。
患者をさらに齢群I又はIIに割り当てた。各部分群の対象数を下表11に示す。
表11. 各部分群の対象数
Figure 2014528474
Dx=診断
a Dex用量は負荷量(LD)=0.2/維持量(MD)=0.025〜0.5μg/kg/時間である。
b Dex用量はLD=0.3/MD=0.05〜0.5μg/kg/時間である。
c Dex用量はLD=0.5/MD=0.1〜0.7μg/kg/時間である。
d Dex用量はLD=0.6/MD=0.2〜1.4μg/kg/時間である。
e 齢群I=≧1カ月〜<24カ月;
f 齢群II=≧24カ月〜<17歳
齢群Iでは、齢中央値は8.51カ月(低用量)及び9.75カ月(高用量)であり;齢群IIでは、齢中央値は6.32年(低用量)及び7.57年(高用量)であった。両齢群及び両デクスメデトミジン用量群では対象は類似の検診ASA分類を有し、対象の大多数が重度全身疾患の高リスク、P3を有していた。直視下心臓手術を受けた対象はほとんど高リスクP3であり、同様の数の対象が低用量(72.2%)及び高用量(73.0%)デクスメデトミジン群に存在した。
高用量群の全ての対象(100.0%)及び低用量群の1名以外の全ての対象は研究中に少なくとも1種の併用薬を受け;併用薬の使用は用量群を通じて同様であった。用量群の少なくとも50.0%の対象がミダゾラム、フェンタニル、及びモルヒネ以外に摂取した併用薬(その使用はプロトコルによって救出薬として許容される)は、フロセミド、アセトアミノフェン、塩化カリウム、及びヘパリンであった。直視下心臓手術後のs/p CPB群で予測されるように、対象の>90%が術後は強心療法(inotropic support)に支えられた。ミルリノン及びドブタミンによる強心療法は、低用量及び高用量デクスメデトミジンの両s/p CPB群で同様であった。
対象は、デクスメデトミジンの任意の負荷量を10又は20分にわたって受けた後に適切な維持量のデクスメデトミジンを受けた。各対象は最短6時間であるが、24時間未満の時間デクスメデトミジンの持続注入維持量を受けた。
投与したデクスメデトミジンはHospira, Inc.製のPrecedex(登録商標)デクスメデトミジンHCl注射薬であった。対象s/p CPBについては、低用量デクスメデトミジン群を0.025〜0.5μg/kg/時間に用量設定し、高用量デクスメデトミジン群を0.1〜0.7μg/kg/時間に用量設定し;全ての他の診断対象については、低用量デクスメデトミジン群を0.05〜0.5μg/kg/時間に用量設定し、高用量デクスメデトミジン群を0.2〜1.4μg/kg/時間に用量設定した。デクスメデトミジンの持続注入液を最短6時間及び24時間の最長持続時間投与した。
投与したデクスメデトミジンはHospira, Inc.製のPrecedex(登録商標)デクスメデトミジンHCl注射薬であった。デクスメデトミジン塩酸塩(HCl)注射薬(100μg/mL、ベース)は、注入調査現場にHospiraにより供給された。研究薬は現場薬局によって調製(希釈)された。デクスメデトミジンの任意の負荷量は、水中0.9%の塩化ナトリウム又はブドウ糖5%で下記濃度の1つに希釈された:高用量群の4μg/mL溶液及び低用量群の2μg/mL溶液。制御注入装置を用いてデクスメデトミジンを注入した。デクスメデトミジン用に指定されたIVラインによってデクスメデトミジンを投与することができ、Y部位アダプターに取付けられたデクスメデトミジンの指定IVラインによって、或いは中心ラインを通して与える場合には指定側ポートを介してもデクスメデトミジンを投与することができた。デクスメデトミジン注入ラインを介しては他の薬物をボーラス投与しなかった。負荷量のために用いたのと同じ注射器又はバッグを注入速度を変えるだけで維持量のために使用できた。
救出ミダゾラムが必要な場合、デクスメデトミジン用量を上方に設定し、デクスメデトミジン投与後に追加のミダゾラムを投与する必要性を再評価した。救出疼痛薬が必要な場合、最初にデクスメデトミジン注入速度を増して治療した後に、フェンタニル又はモルヒネを齢特異的用量で、又は持続注入として投与した。ランダム化前にフェンタニル又はモルヒネの連続注入を受けている対象は、必要ならば研究薬投与の間じゅう、これらの注入を継続することができた。
薬物注入開始前に、UMSSに関するベースラインスコアを得た。UMSSスケールを下表12に示す。負荷量を投与する場合、負荷投与直前及び負荷投与中の5分及び10分にUMSSスコアを得た。20分にわたって負荷投与を行なう場合、15分でUMSSスコアを得た。負荷量を投与しない場合、維持注入の開始時並びに最初の1時間の5、10、15、30、及び60分でUMSSスコアを得た。残りの維持注入中は4時間毎にUMSSスコアを得た。救出薬を投与する場合、救出薬を投与する直前及び5分後にUMSSスコアを測定した。布でくるむこと、抱きしめること、又は揺り動かすこと等の非薬理学的介入の直前及び5分後にもUMSSスコアを得た。
表12. ミシガン大学鎮静スケール
Figure 2014528474
臨床検査用に化学、血液学及び尿検査サンプルを得た。デクスメデトミジン投与開始前にベースラインコルチゾールレベル検査を行なった。CPB対象では、この採血を術後デクスメデトミジンの開始後90分以内に得た。デクスメデトミジン注入の終わりにACTH刺激検査を行なった。
安全性尺度には、有害事象の収集(有害事象)、心拍数(1分当たりの拍動のHR[bpm])、収縮期血圧(ミリメートル水銀のSBP[mmHg])、拡張期血圧(ミリメートル水銀のDBP[mmHg])、平均動脈圧(ミリメートル水銀のMAP[mmHg])、パルスオキシメトリによる酸素飽和度(百分率のSpO2)、及び呼吸数(呼吸/分のRR[呼吸/分])又は人工呼吸器の設定、検査結果、及び心電図(ECG)モニタリングを含めた。
SASTM統計ソフトウェアシステム(SAS Institute, Inc., Cary, NC)、バージョン9.1を用いて統計解析を行なった。特に指定のない限り、全ての統計検定は両側検定であり、四捨五入して少数第4位の概数にした後のp値≦0.0500を統計的に有意とみなした。一般に、欠測データは帰属させなかった。連続変量、N、平均値、中央値、SD、最小値、Q1、Q3及び最大値を提示する。生の値だけでなく、少数第1位まで平均値及び中央値を表示した。生の値だけでなく、少数第2位まで標準偏差(SD)を表示する。カテゴリー変数では、N及びパーセントを示す。全てのパーセンテージは少数第1位まで報告した。
デクスメデトミジンへの曝露は高用量で最高であり、通常は他の診断群で大きかった。低用量デクスメデトミジンの平均維持量(μg/kg/時間)は、目標とする鎮静を維持するためにわずかに少ない維持注入を必要とするs/p CPB対象で0.33μg/kg/時間であった。同様に、高用量デクスメデトミジン群では、少ない維持注入を必要とするs/p CPB対象で平均維持注入が0.59μg/kg/時間であった。維持注入の持続時間中央値は、低用量群で1215.0分(20.3時間)、高用量群で1127.5分(18.8時間)であった。総負荷量中央値はASA分類P3及びP4の対象でP1及びP2の対象より高かった。総維持量中央値は、ASA分類P1及びP2、並びにP3及びP4の対象で同様であった。デクスメデトミジンへの曝露中央値を下表13に示す。曝露時間を下表14に示す。
Figure 2014528474
Figure 2014528474
Figure 2014528474
Figure 2014528474
全体的に高用量デクスメデトミジン群は低用量デクスメデトミジン群より臨床的によく鎮静され、低用量デクスメデトミジン群の44.6%に比べて救出ミダゾラムを必要としない高用量対象は54.3%であるが、これは統計的に有意でなかった(p=0.2751)。齢によって、両デクスメデトミジン用量群の齢群Iと比較して齢群IIでは少割合の対象が鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかったが、この差異は統計的に有意でなかった(p=0.6723)。両用量群においてCPBによる直視下心臓手術を経験している対象は他の診断群より多くの救出ミダゾラムを受けた。治療群間の最も大きい差異は心臓手術対象にあり、両齢群の多くの対象は低用量デクスメデトミジン群より高用量デクスメデトミジンを受け、ミダゾラム鎮静救出を必要としなかった。この差異は22.73%であったが、統計的に有意でなかった(p=0.0974)。表15は、治療中に鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかった対象の数とパーセントを含む。表16は、治療中に鎮静用ミダゾラムを必要としなかった対象の割合の治療群間の差異を含む。
表15. 挿管しながらの治療時間中に鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかった対象の数とパーセント
Figure 2014528474
a 挿管しながら1〜3の目標UNSS範囲を達成かつ維持することに基づいて鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかった対象の数とパーセント。
b 齢群I=≧1カ月〜<24カ月
c 齢群II=≧24カ月〜<17歳
表16. 挿管しながらの治療時間中に鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかった対象の割合の治療群間の差異
Figure 2014528474
a 挿管しながら1〜3の目標UNSS範囲を達成かつ維持することに基づいて鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかった対象。
b挿管しながら1〜3の目標UNSS範囲を達成かつ維持することに基づいて鎮静用の救出ミダゾラムを必要としなかった対象の割合の治療群間の平均差異。
c 連続性の補正でχ二乗検定からの2×2表に対するリスク差のP値。
d 齢群I=≧1カ月〜<24カ月
e 齢群II=≧24カ月〜<17歳
高用量のデクスメデトミジンを受けた全ての齢群及び診断群は、低用量デクスメデトミジン群の85.5〜99.0%の時間に比べて87.8〜99.2%の時間、目標UMSS範囲にあった。対象が目標鎮静範囲(UMSS 1〜3)にある絶対時間又は時間のパーセンテージにはデクスメデトミジン用量群間の統計的差異はなかった。低用量のデクスメデトミジンを受けた全ての齢群及び診断群は、高用量デクスメデトミジン群の0.8〜12.2%の時間に比べて1.0〜14.5%の時間、目標UMSS範囲外であった。対象が目標鎮静範囲外(UMSS<1又はUMSS>3)にある絶対時間又は時間のパーセンテージにはデクスメデトミジン用量群間の統計的差異はなかった。
全体的に、高用量デクスメデトミジン群より低用量デクスメデトミジン群で多くの鎮静用救出ミダゾラム(総用量及び用量/kg)が必要とされたが、その差異は統計的に有意でなかった。総合齢群については、高用量デクスメデトミジン群の37/81の対象(45.7%)に比べて低用量デクスメデトミジン群の46/83の対象(55.4%)が鎮静用の救出ミダゾラムを必要とした。鎮静救出ミダゾラムを必要とした対象について治療期間中に挿管しながら鎮静のために必要とした救出ミダゾラムの総量中央値は低用量群で1.965mg(範囲:0.19〜30.80mg)及び高用量群で2.00mg(範囲:0.10〜13.20mg)であり;kg当たりの救出ミダゾラム量の中央値は低用量群で0.266mg/kg(範囲:0.02〜1.49mg/kg)及び高用量群で0.179mg/kg(範囲:0.02〜1.11mg/kg)であった。結果は齢群別に類似していた。
総合齢群について、治療期間中に挿管しながら低用量デクスメデトミジン群の53/83の対象(63.9%)及び高用量デクスメデトミジン群の44/81の対象(54.3%)が鎮痛用の救出フェンタニルを受けた。救出フェンタニルを受けた対象について鎮痛のために必要とされた救出フェンタニルの総量中央値は低用量群で46.00μg(範囲:1.50〜593.00μg)及び高用量群で35.13μg(範囲:1.50〜750.00μg)であり;鎮痛のために必要とされた救出フェンタニルのkg当たりの量の中央値は低用量群で4.13μg/kg(範囲:0.10〜83.52μg/kg)及び高用量群で3.25μg/kg(範囲:0.08〜35.98μg/kg)であった。
総合齢群について、治療期間中に挿管しながら低用量群の35/83の対象(42.2%)及びデクスメデトミジン高用量群の32/81の対象(39.5%)が鎮痛用の救出モルヒネを受けた。救出モルヒネを受けた対象について鎮痛のために必要とされた救出モルヒネの総量中央値は低用量デクスメデトミジン群で1.80mg(範囲:0.25〜20.50mg)及び高用量デクスメデトミジン群で1.63mg(範囲:0.32〜15.00mg)であり;救出モルヒネのkg当たりの量の中央値は低用量デクスメデトミジン群で0.20mg/kg(範囲:0.03〜4.10mg/kg)及び高用量デクスメデトミジン群で0.17mg/kg(範囲:0.05〜0.57mg/kg)であった。最初の救出薬までの時間の差異は統計的に有意でなく;デクスメデトミジン注入開始から救出薬の初回投与までの時間中央値は低用量デクスメデトミジン群で1.6時間(95% CI:0.93、3.38)及び高用量群で2.0時間(95% CI:1.07、3.75)であった。
24時間の経過観察までのデクスメデトミジン注入時間内の人工呼吸の最初の終了から抜管までの時間を推定した。対象の人工呼吸器の設定を利用できず、もはや鎮静のために必要ないのでデクスメデトミジンを中断する場合、デクスメデトミジンの最後の日/時間として抜管時間を推定した。上述したように抜管までの時間を測定できない対象は解析から除外した。抜管が成功した場合、対象は該事象を有するとみなした。抜管しなかった対象は打ち切りにし;打ち切り時を対応評価可能期間中の対象の最終観察時に設定した。この打ち切り時は、対象の研究からの離脱時、死亡時、又は評価可能期間中の最終記録観察時のどれか最初に起こった時を表すことになる。良好な抜管までの時間の中央値は低用量デクスメデトミジン群で23.8時間(95% CI:18.55、N/A)及び高用量デクスメデトミジン群で20.5時間(95% CI:17.13、23.33)であり;その差異は統計的に有意でなかった。
一般に、中程度又は重度の有害事象は高用量デクスメデトミジン群より低用量デクスメデトミジン群で多く見られ、齢群IIより齢群Iで多くの現実の事象が報告され;齢群Iでは、低用量群及び高用量群でそれぞれ17名(27.0%;30事象)及び10名の対象(16.7%;17事象)が中程度及び重度の治療関連有害事象を経験し;齢群IIでは、低用量群及び高用量群でそれぞれ8名(30.8%;13事象)及び6名の対象(23.1%;9事象)が中程度及び重度の治療関連有害事象を経験した。全体的に、5/175の対象(2.9%)が全部で7つの重度の治療関連有害事象を報告し;全ての重度の治療関連有害事象は低用量デクスメデトミジン群で報告された。報告された重度の治療関連有害事象は心筋炎、発熱、てんかん重積状態、呼吸困難、心室細動、胸痛、及び喘鳴であった。重度の心筋炎事象は重篤な治療関連有害事象ともみなされた。
齢群Iの用量群で2名以上の対象が経験した治療関連有害事象は、低血圧(低用量及び高用量デクスメデトミジン群でそれぞれ3対象[4.8%]及び5対象[8.3%])、興奮(agitation)(2対象[3.2%]及び4対象[6.7%])、及び徐脈(2対象[3.2%]及び2対象[3.3%])、及び高血圧(低用量デクスメデトミジンで2対象[3.2%]);並びに齢群IIでは、低血圧(高用量群で2対象[7.7%])であった。
重篤な治療関連有害事象及びデクスメデトミジン又は研究中断につながった治療関連有害事象は齢群Iでのみ報告された。この研究では2つの重篤な治療関連有害事象、すなわち心筋炎(1対象、低用量)及び無呼吸(1対象、高用量)が報告され;両事象はおそらく又はほぼ確実にデクスメデトミジンに関連するとみなされた。7名の対象(4.0%)が、デクスメデトミジンの中断につながった全部で8つの治療関連有害事象を経験した(呼吸数減少及び呼吸性アシドーシス[それぞれ1対象、低用量]及び徐脈、医療機器電気的不具合(device electrical finding)、気管内挿管合併症、興奮、無呼吸、低血圧[各1対象、高用量])。2名の対象は、研究中断につながる治療関連有害事象を経験した(酸素飽和度低下及び興奮[1対象、高用量]及び低血圧[1対象、低用量])。4名が死亡したが、全てデクスメデトミジンに無関係であった。死亡のためにデクスメデトミジンを停止した対象はいなかった。
鎮静用救出ミダゾラム並びに救出フェンタニル及びモルヒネの量(合計及びkg当たり)の中央値は、低用量及び高用量デクスメデトミジン群間で統計的に有意な差異はなかったが、鎮静用救出ミダゾラム、鎮痛用救出フェンタニル、及び鎮痛用救出モルヒネの合計及びkg当たりの用量は、低用量デクスメデトミジン群でより高い傾向があった。
本研究は、デクスメデトミジンがCPBによる主要心臓手術及び非心臓手術後の重病の最初に挿管された乳児及び子供を鎮静する際に臨床的に有効であったことを実証する。齢と無関係に、有意でない(p=0.2751)用量反応効果が観察され、高用量デクスメデトミジン群では低用量デクスメデトミジン群(44.6%)より多くの対象(54.3%)が、目標とする鎮静を維持するために救出ミダゾラムを必要としなかった。高用量デクスメデトミジンは心臓手術対象(s/p CPB)に最も有効であり、低用量デクスメデトミジンより高用量デクスメデトミジンを受けた両齢群の多くの対象がミダゾラム鎮静救出を必要としなかった(p=0.0974、差異=22.73%)。高用量のデクスメデトミジンを受けた全ての齢群及び診断群は、低用量デクスメデトミジン群の85.5〜99.0%の時間に比べて87.8〜99.2%の時間、目標UMSS範囲(1〜3)内にあった;差異は統計的に有意でなかった。
実施例3:小児患者におけるデクスメデトミジンの薬物動態
本研究は、小児対象に静脈内(IV)負荷量後に持続IV注入として投与されるデクスメデトミジンの薬物動態及び薬力学的プロファイルを特徴づける。
集中治療環境下で鎮静を必要とし、かつ最短6時間を要するが、24時間の持続IV鎮静を超えないと予測された最初に挿管され、人工呼吸器を装着された小児対象についてデクスメデトミジンの56対象非盲検多施設漸増用量研究を行なった。本研究は、デクスメデトミジンの薬物動態及び薬力学を調査した。対象は少なくとも2歳かつ17歳未満であった。
対象を2つの齢群に分けた。群Iは少なくとも2歳かつ6歳未満の子供から成り、群IIは少なくとも6歳かつ17歳未満の子供から成った。各群内には4つの漸増用量レベルがあった(表17)。対象の素質及び本研究の人口統計を表18に示す。
総計69名の対象を研究に登録した。そのうち、59名はデクスメデトミジンを受け(いずれかの量)、安全性集団(群Iの26名、群IIの33名)に含めた。
総計56名の対象が本研究を完了した(群Iの26名及び群IIの30名)。群IIの3名の患者は、プロトコル逸脱のため研究から早期に中断された(用量レベル1、2及び3からそれぞれ1名の対象)。
完全評価可能集団は、少なくとも5時間研究薬注入を受けた57名の対象から成った(群Iの26名、群IIの31名)。群IIの2名の対象は完全評価可能集団から除外された。
群Iの対象は主に平均(SD)年齢3.7(1.12)歳の男性(57.7%)及び白人(88.5%)であった。表18に示すように、群IIの対象は主に平均(SD)年齢10.3(3.24)歳の女性(63.6%)及び白人(72.7%)であった。
表17. 研究デザイン
Figure 2014528474
略語:DEX=デクスメデトミジン
表18. 対象の人口統計−安全性集団
Figure 2014528474
略語:DEX=デクスメデトミジン
対象に投与したデクスメデトミジンはPrecedex(登録商標)デクスメデトミジンHCl注射薬であった(Hospira, Inc.により製造かつ供給された)。デクスメデトミジン塩酸塩(HCl)注射薬(100μg/mL、ベース)は注入調査現場に供給された。現場薬局により研究薬を0.9%塩化ナトリウム中4μg/mLに調製(希釈)し、冷蔵しなかった。制御注入装置を用いて指定IVラインを介して2段階IV注入としてデクスメデトミジンを投与したが、肺動脈に直接投与しなかった。
10分間の負荷量注入及び直後の最小6時間〜最大24時間の持続固定維持量を含む2段階IV注入として、4つの漸増用量レベルでデクスメデトミジンを投与した。各用量増加は以前の用量の耐容性によって決まった。対象がデクスメデトミジン維持注入を完了した後、注入後手順を開始し、24時間継続した。
一次評価は用量レベル別の各齢群のデクスメデトミジン薬物動態パラメータの推定であり、これにはAUC(血漿中濃度-時間曲線下面積)、Cmax(観測最大血漿中濃度)、Css(定常状態濃度)、CL(血漿クリアランス)、Vss(定常状態分布容積)及びt1/2(終末半減期)が含まれた。
安全性モニタリングには、治療下で発現した有害事象(TEAE)(重症度、研究薬との関連性)、生命徴候、臨床検査結果及び心電図(ECG)及び理学的検査所見が含まれた。
全ての他の鎮静薬及び鎮痛薬の中止後にデクスメデトミジン注入を開始し、対象は2、3、又は4のラムゼイ鎮静スケール(RSS)に達した。RSSは、麻酔深度を数値化するのに用いられる臨床誘導スケールであり、1カ月〜18歳の齢の範囲の子供に使用されている。RSSを下表19に示す。研究薬投与中に鎮静(RSS)及び鎮痛(顔、脚、活動、泣き声、及び機嫌(Face, Legs, Activity, Cry, and Consolability)[FLACC])スケールの結果に基づいて鎮静及び鎮痛の必要に応じてそれぞれ救出薬(ミダゾラム又はフェンタニル)を投与した。デクスメデトミジン注入の中断後は、標準治療によってさらなる鎮静及び鎮痛を与えた。
表19. ラムゼイ鎮静スケール
Figure 2014528474
まずRSS、次にRSSの完了直後にリッチモンド興奮・鎮静スケール(Richmond Agitation Sedation Scale)(RASS)を用いて鎮静レベルを評価した。RASSはICU環境下で成人の麻酔深度を数値化するために使用かつ検証されていたが、乳幼児及び子供では検証されていなかった。この研究でRASSを使用する目的は、2歳〜17歳未満の子供のRASSの適合性を評価することであった。RASSスケールを下表20に示す。
表20. リッチモンド興奮・鎮静スケール(RASS)
Figure 2014528474
RSS及びRASSスコア並びに臨床判断に基づいて、対象が完全に鎮静されない場合はIVミダゾラムで追加の救出鎮静を施した。6カ月〜5歳の対象では、ミダゾラム用量は0.05〜0.1mg/kgであった。6〜12歳の対象では、ミダゾラム用量は0.025〜0.05mg/kgであった。12歳を超える対象には1mg/kgのミダゾラムを投与した。
顔、脚、活動、泣き声、及び機嫌(FLACC)スケールを用いて疼痛を評価した。FLACCスケールは、2か月〜18歳の齢の範囲の子供の疼痛の尺度として用いられる妥当かつ信頼できる観察ツールである。FLACCスケールを下表21に示す。
表21. 顔、脚、活動、泣き声、及び機嫌スケール
Figure 2014528474
デクスメデトミジン注入を受けながら、臨床判断又は4より大きいFLACCスコアに基づいて疼痛を治療する必要に応じて救出フェンタニルIVを0.25〜1μg/kgの推奨用量で投与した。いずれの救出フェンタニルの投与の前と投与後5分以内にもFLACCスコアを記述した。5つのFLACCスケールカテゴリーのそれぞれについて0〜2のスコアを付け、結果として0〜10の総スコアを得た。
研究薬注入開始前48時間以内に受ける薬物と規定されている前治療薬を研究対象の96.6%が受けた。対象が用いるために報告された最も頻繁に使用された前治療薬は神経系(94.9%)、消化管及び代謝(83.1%)、並びに筋骨格系(79.7%)薬物分類からのものであり、以下のものが含まれた:フェンタニルクエン酸塩(81.4%)、ミダゾラム(66.1%)、硫酸マグネシウム(28.8%)、ラニチジン(28.8%)、及びベクロニウム(27.1%)。
研究薬注入期間乃至研究薬投与後期間を通じて受けた注入及び非注入薬と併用薬を定義した。登録集団の全ての対象(100%)が併用非注入薬を受け、39.0%の対象が注入薬を受けた。報告された最も頻繁に用いられた併用非注入薬は、神経系(100%)、消化管及び代謝(98.3%)、並びに全身使用の抗感染(96.6%)薬物分類からのものであり、以下のものが含まれた:フェンタニルクエン酸塩(88.1%)、ミダゾラム(67.8%)、硫酸マグネシウム(35.6%)、及びセファロチン(32.2%)。報告された最も頻繁に使用された併用注入薬は心血管系(30.5%)、血液及び血液形成器官(28.8%)、神経系(23.7%)、並びに消化管及び代謝(22.0%)薬物分類からのものであり、以下のものが含まれた:ミルリノン(23.7%)、パパベリン(20.3%)、ヘパリン(18.6%)、フェンタニルクエン酸塩(6.8%)、及びミダゾラム(5.1%)。
フェンタニルの持続IV注入を受ける対象は、デクスメデトミジン注入の開始後にこれらの注入を再開することができた。フェンタニルの持続注入を受けていた対象は、フェンタニル注入用量のいずれかの変化の直前及び変化後後5分以内に記録されたFLACCスコアを有した。
デクスメデトミジン治療を開始するとき最初に対象に挿管しなければならなかった。対象が部位特異的呼吸器基準を満たしたらすぐに、負荷量の開始後のいつでも対象は気管抜管を受けることができた。抜管過程中及びその後にデクスメデトミジン注入を継続することができた。抜管周辺期には鎮静レベル及び生命徴候をモニターして記録した。
モニターした薬物動態及び安全性尺度には以下のもが含まれた:鎮静レベル(RSS及びRASSスコアにより)、心拍数(HR)、血圧(BP)、呼吸数(RR)、及びパルスオキシメトリによる酸素飽和度(SpO2)。負荷投与前、負荷中の5分及び10分、並びに維持注入中の1時間毎に、予定された薬物動態サンプリング時間のできるだけ近く(その前5分まで)にBP、HR、SpO2、及びRRをRSS、RASS、及びFLACCスケールと同時に記録した。心臓モニタリングを継続した。維持注入の5時間後であるが、注を中断する前に12誘導ECGを得た。注入の中断後、最初の1時間に15分毎、2時間に30分毎、3時間に1時間毎、その後最後の薬物動態サンプルを得るまで4時間毎にHR、BP、RR、及びSpO2を記録した。薬物動態サンプルと共にその前5分までに生命徴候を得た。
この治験中はデクスメデトミジン注入速度について用量設定しなかった。デクスメデトミジン注入の中断後、標準治療によってさらなる鎮静及び鎮痛を施したが、最後の薬物動態サンプルを得る後までデクスメデトミジンを再開しなかった。
血漿中デクスメデトミジン濃度決定のため静脈又は動脈血液サンプルを収集した。末梢静脈、中心静脈、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(PICC)又は動脈ラインを介して薬物動態解析用のヘパリン処置したバキュテナー管に血液サンプルを収集した。動脈ラインは、サンプル収集に使用するため、既に標準治療の一部として適所になければならなかった。どんな場合でも動脈ラインが薬物動態サンプルの収集という唯一の理由で配置されることは決してなかった。さらに、研究の持続時間中は静脈又は動脈のどちらかのアクセスから一貫してして全ての薬物動態サンプルを採取し;静脈採血と動脈採血との互換性は許されなかった。下記各時点で血液サンプルを収集した:負荷量の開始前30分以内;負荷量が終了する前5分以内及び維持注入の開始と同時;維持注入の開始後0.5、1、2及び4〜6時間;維持注入の開始の24時間以内でなければならない維持注入の終了前30分以内;維持注入が終了した後10分;並びに維持注入が終了した後0.5、1、2、4及び10時間。
薬物動態解析のために、注入部位の反対部位で静脈血液サンプル(1mL)をヘパリン処置管に収集した(例えば、左腕対右腕)。薬物を投与したマルチルーメンカテーテルの2番目のルーメンからはサンプルを採取しなかった。動脈血液サンプル(1mL)を収集する場合、ヘパリン処置管をも使用した。
モデル非依存的方法を利用して薬物動態解析を行なった。主要評価は完全評価可能集団についてのデクスメデトミジン薬物動態の評価であった。本明細書では、「完全評価可能集団」は、少なくとも5時間のデクスメデトミジン注入を受けた小児対象を意味する。本明細書では、用語「安全性集団」は、いずれかの量のデクスメデトミジンを受けた小児対象を意味する。
ノンコンパートメント法で薬物動態パラメータを評価した。評価したパラメータには以下のものが含まれた:AUC(血漿中濃度-時間曲線下面積)、Cmax(観測最大血漿中濃度)、CL(血漿クリアランス)、Css(定常状態濃度)、Vss(定常状態分布容積)及びt1/2(終末半減期)。
適切であるとして追加パラメータを決定した。血漿中濃度と結果として生じた薬物動態パラメータを記述統計学、対象数、算術平均、SD、変動係数(CV)、中央値、及び範囲(最大と最小)によって要約した。
投与した用量レベルの間で用量比例性の評価をAUC及びCmaxについて行なった。この評価のためには検出力分析(Power Analysis)アプローチ及びデータの可視化手法を利用した。
主要評価はデクスメデトミジン薬物動態の評価であった。主要解析として、完全評価可能集団の用量レベル別の各齢群について薬物動態解析を要約した。この解析には全ての完全評価可能対象のデータを含めた。ノンコンパートメント法で薬物動態パラメータを評価した。薬物動態パラメータの要約統計を表にした。薬物動態及び薬力学的パラメータを計算するのに十分な薬物動態及び薬力学的データがある対象のみを解析集団に含めた。
異なる投与量レベル及び異なる齢群間の薬物動態の変動を同定するため、研究薬物注入期間中及び研究薬注入後の用量レベル別の平均血漿中デクスメデトミジン濃度対時間曲線のプロットを各齢群について作成した。個々の血漿中デクスメデトミジン濃度対時間の用量レベル別に重ね合わせプロットを生成した。Css、Сmax、Vss、CL、AUC、t1/2、最大濃度の時間(tmax)、終末消失速度定数(terminal elimination rate constant)(λz)、分布容積(Vd)、及び体重調整CL及びVdの記述統計を各齢群について用量レベル別に要約した。各用量レベル内では、2サンプルt検定を利用して齢群間のこれらの薬物動態パラメータの差異を評価した。二元配置分散分析(2-way analysis of variance)を用いて齢群別に全体的な用量レベルを評価した。さらに、各齢群内の全ての用量レベルからの統合データによってVss及びCLをも要約し、2サンプルt検定を利用して齢群間の差異を評価した。
全ての用量レベル及び齢群から統合したデータを用いてVssとCL対齢(年)及びVssとCL対体重(kg)の散布図を視覚的に作成した。体重又は用量について調整したこれらの薬物動態パラメータ間の関連を用量比例性分析の結果に基づいて線形又は非線形回帰分析により評価した。
一次解析として完全評価可能集団について、また二次解析として安全性集団について、薬物動態解析を各齢群について用量レベル別に要約した。各齢群について用量レベル別に下記記述統計を要約した:RSS5、RSSavg、救出ミダゾラムを受けた対象のN(%)、救出ミダゾラムの最初の使用までの時間、救出ミダゾラムの総量、救出フェンタニルを受けた対象のN(%)、救出フェンタニルの総量、代替鎮静又は鎮痛療法に変更した対象のN(%)、良好な抜管までの時間、並びに注入中及び注入後のHR、SBP、DBP、MAP、RR、SpO2の平均、最大、及び最小値のベースラインからの変化。本明細書では、用語「ベースライン」はデクスメデトミジンの負荷直前を意味する。
デクスメデトミジンのみを受けた対象及びミダゾラム又はフェンタニルの併用投与と共にデクスメデトミジンを受けた対象につてもそれぞれ下位記述統計を要約した:RSS5、RSSavg、代替鎮静又は鎮痛療法に変更した対象のN(%)、抜管までの時間、並びに注入中及び注入後のHR、SBP、DBP、MAP、RR、SpO2の平均、最大、及び最小値のベースラインからの変化。齢群内の全ての用量レベルから統合したデータによって各齢群についてこれらの解析を行なった。
さらに、鎮静のための最初の救出薬までの時間及び良好な抜管までの時間をカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)法で評価した。良好な抜管について治療群比較並びに/或いはデクスメデトミジンのみを受けた対象及びデクスメデトミジンとミダゾラム又はフェンタニルの併用投与を受けた対象をログランク(log-rank)及びウィルコクソン(Wilcoxon)検定で評価した。
鎮静レベルと血漿中濃度との関連性、追加の鎮静要求、並びにデクスメデトミジンのみと、ミダゾラム又はフェンタニルの併用投与がある場合の鎮静、HR、BPに対する影響を解析した。引き続き薬物動態及び薬力学的関連性評価及びモデリングを行なって、薬物動態及び薬力学的パラメータの個体間の変動性をさらに説明し得る共変量を同定した。
SAS(登録商標)ソフトウェア、バージョン9.1を用いて統計解析、要約表作成、及びデータリスティングを行なうか又は調製した。コンピュータプログラムWinNonlin(バージョン5.1以上−PharSight, Mountainview, CA)を用いて薬物動態パラメータを計算した。
完全評価可能集団について治療期間中に挿管され、同時に鎮静用の救出ミダゾラムを受けた用量レベル及び齢群によって層別化された対象の割合の要約を表22に示す。完全評価可能集団について治療期間中に挿管されながら鎮静及び鎮痛のために要した救出薬(ミダゾラム、フェンタニル)の体重調整総量の要約を表23に示す。完全評価可能集団について治療期間中に挿管されながら鎮静及び鎮痛のために要した救出薬(ミダゾラム、フェンタニル)の総量の要約を表24に示す。用量レベル4治療群を除き、完全評価可能集団の全ての治療群にわたって群Iと比較して少割合の群IIの対象が鎮静用の救出ミダゾラムを受けた(それぞれ群II対群Iのそれぞれ用量レベル1、2、3、及び4治療群の37.5%対50.0%、42.9%対66.7%、25.0%対50.0%、及び25.0%対16.7%)。救出ミダゾラムを受けた対象数の齢群間の差異は、完全評価可能集団と安全性集団の両方についていずれの治療群でも統計的に有意でなかった。安全性集団全体については、挿管された対象において鎮静又は鎮痛に要した救出薬の総量の用量レベル群間には統計的に有意な差異はなかった。
表22. 用量レベル及び齢群によって層別化された、挿管されながら治療期間中に鎮静用の救出ミダゾラムを受けた対象の割合の要約−完全評価可能集団
Figure 2014528474
略語:CMH=コックス・マンテル・ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel);ミダゾラム=ミダゾラム
a フィッシャー直接確率法を用いた用量レベル内の齢群I及びII間の差異。
b 齢群内のコクラン・アーミテッジの傾向検定(Cochran-Armitage trend test)のP値。
c 層齢群による全体的コックス・マンテル・ヘンツェル検定。
注記:群I:年齢≧2〜6歳;群II:年齢≧6〜17歳。
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
表23. 治療期間中に挿管されながら鎮静及び鎮痛のために要した救出薬(ミダゾラム、フェンタニル)の体重調整総量の要約−完全評価可能集団
Figure 2014528474
略語:CD=持続用量;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;MAX=最大;ミダゾラム=ミダゾラム;Min=最小
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
a 各用量レベル内で、挿管されながら治療期間中に鎮静のためにいずれかの量の救出薬を用いたか否かに関わらず対象の総数に基づいて記述統計値を計算した。
b 指定検定のProc NPAR1WAYから得たP値。
表24. 治療期間中に挿管されながら鎮静及び鎮痛のために要した救出薬(ミダゾラム、フェンタニル)の総量の要約−完全評価可能集団
Figure 2014528474
略語:CD=持続用量;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;MAX=最大;ミダゾラム=ミダゾラム;Min=最小
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
a 各用量レベル内で、挿管されながら治療期間中に鎮静のためにいずれかの量の救出薬を用いたか否かに関わらず対象の総数に基づいて記述統計値を計算した。
b 指定検定のProc NPAR1WAYから得たP値。
表25に示すように、完全評価可能集団における鎮静及び鎮痛のための最初の救出薬までの時間は、用量レベル2及び3治療群(2.2及び2.5時間)では、同様の時間間隔で用量レベルを増やすにつれて最初の救出薬までの時間中央値がより長いが、用量レベル1治療群では最初の救出薬までの時間が短かく(1.0時間)、用量レベル4治療群では長い(7.8時間)ことを反映する傾向を実証した。表26に示すように、この傾向は統計的に有意でなかった(P=0.2391ログランク(Log-Rank))。効果が単調的でないこと以外は、匹敵する傾向が安全性集団で観察された。用量レベル2治療群では救出薬までの時間(2.5時間)は用量レベル3治療群(2.4時間)よりわずかに長かった。
表25. 鎮静及び鎮痛用の救出薬の初回投与までの時間(時間)の要約
Figure 2014528474
略語:CD=持続量;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;MAX=最大;ミダゾラム=ミダゾラム;Min=最小
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
a 各用量レベル内で、挿管されながら治療期間中に鎮静のためにいずれかの量の救出薬を用いたか否かに関わらず対象の総数に基づいて記述統計値を計算した。
b 指定検定のProc NPAR1WAYから得たP値。
c 治療群間の差異についてのログランク及びウィルコクソン検定から得たP値(層用量レベルでPROC LIFETESTを用いて)。
d CI 下限のみ。上限なし
Figure 2014528474
群Iでは、平均総用量は、用量レベル1、2、3、及び4治療群についてそれぞれ30.9200、100.1147、94.0000、及び663.5800μgであり、わずかな減少を示した用量レベル3治療群を除き、通常は用量レベルが増えるにつれて曝露が増加した。群IIでは、平均総用量は、用量レベル1、2、3、及び4についてそれぞれ73.1150、236.9350、269.2444、及び586.2825μgであった。群IIの全ての治療群で、用量レベルが増えるにるれて曝露が増加した。安全性集団についてのデクスメデトミジンへの総曝露を下表27に示す。
表27. デクスメデトミジンに対する総曝露−安全性集団
Figure 2014528474
デクスメデトミジンの負荷量及び維持注入量の要約統計を下表27Aに示す。
表27A. 用量関連データの要約統計
Figure 2014528474


Figure 2014528474
用量レベル1及び2の平均デクスメデトミジン濃度プロファイル(経時的)は類似しており、図1に示すのと同じ時間にわたって一般的に安定していた。用量レベル3治療群では、平均血漿中デクスメデトミジン濃度は、他の用量レベルに比べて負荷量の最後に急増を示した。この急増は用量レベル3治療群の対象(対象123009)における負荷量の最後の過剰に高い血漿中デクスメデトミジン濃度の結果であった。対象123009は、時間ゼロから最後の測定可能濃度までの濃度-時間曲線下平均面積(AUC0-t)=116910.2μg/mL/時間及び時間ゼロから時間無限大までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)=117264.1μg/mL/時間、及びCmax=28804.30μg/mLを有した。デクスメデトミジンの平均血漿中濃度は、用量レベルが増えるつれて増加する傾向があった。最高平均血漿中濃度は用量レベル4治療群で観察された。維持注入の最後の平均濃度、AUC、Css、及びCmax値は、用量が増えるにつれて増加した。
用量レベル1、2、3、及び4治療群(齢群を問わず合わせた)の平均半減期値は、それぞれ1.546、1.743、2.045、及び2.145時間であった。用量レベル増加に伴う半減期の見かけの増加は、定量限界未満の低用量レベルについて半減期を計算するために用いられる多くの濃度に起因する。
表28に示すように、薬物動態パラメータVd(p=0.0046)、体重調整Vd(p=0.0040)、並びにCL(p=0.0078)、及び体重調整CL(p=0.0094)について各用量レベル内の群I及びII間では統計的に有意な差異が観察された。
表28. 薬物動態パラメータについて各用量レベル内の群Iと群IIの対象間の統計的に有意な差異の要約−完全評価可能集団
Figure 2014528474
略語:CD=持続量;CL=血漿クリアランス;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;PK=薬物動態;Vd=分布容積
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
PKパラメータの統計的に有意な差異(p<0.05)は、AUC0-t、Cmax、t1/2、AUC0-∞、Css及びλzについて用量レベル別に、またCss(p=0.0167)、Cmax(p=0.0053)、Vd(p=0.0089)及びCL(p=0.0125)、並びに体重調整Vd(p=0.0055)及びCL(p=0.0190)について齢別に観察された。
記述統計を利用して完全評価可能集団におけるデクスメデトミジンの薬物動態パラメータを要約し、表29に示す。心肺バイパス術を受けた対象で同様の結果が得られた。
表29. 薬物動態パラメータの要約−完全評価可能集団
Figure 2014528474

Figure 2014528474

Figure 2014528474
略語:λz=終末消失速度定数;AUC0-∞=時間ゼロから時間無限大までの濃度-時間曲線下面積;AUC0-t=時間ゼロから最後の測定可能濃度までの濃度-時間曲線下面積;CD=持続量;CL=血漿クリアランス;Cmax=観察された最大血漿中濃度;Css=定常状態濃度;CV=変動係数;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;Max=最大;Min=最小;Tmax=最大濃度の時間;t1/2=終末消失半減期;Vd=分布容積;Vss=定常状態分布容積。
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
齢に関する血漿クリアランス、齢に関する体重及び体重調整クリアランスをそれぞれ図2〜4に示す。2歳患者の体重調整クリアランスは約1L/時間/kgであり、成人で観察される近似値になるまで加齢に伴って減少した(0.6L/kg/時間)。
薬物動態解析は、用量レベル1、2、3、及び4治療群とAUC及びCmaxとの間の用量比例性及び直線関係を実証した。冪乗適合モデルを用いて生成したAUC0-∞、AUC0-t、Cmax、及びCssの予測平均曲線をそれぞれ図6〜9に示す。用量が増えるにつれて、比例してAUC及びCmaxは増加した(図1及び表29)。
デクスメデトミジンのAUC0-∞及びAUC0-tは、用量レベル1、2、3、及び4治療群間で正の直線性を呈した。デクスメデトミジンのCmaxは、用量レベル1、2、及び3治療群間で正の直線性を呈し、用量レベル4治療群ではわずかな減少を示した。デクスメデトミジンの見かけのt1/2は、用量レベル1、2、3、及び4についてそれぞれ1.546、1.743、2.045、及び2.145時間であった。統計的に有意な差異は、群I及びII間で薬物動態パラメータVd(p=0.0046)、体重調整Vd(p=0.0040)、CL(p=0.0078)、及び体重調整CL(p=0.0094)についてのみ観察された。体重調整クリアランスは、成人で観察される近似値になるまで加齢に伴って減少した。加齢又は体重増加に対してVd又は体重調整Vdの顕著な増減は観察されなかった。
二元分散分析(ANOVA)を用いて、用量レベルの主効果について薬物動態パラメータAUC0-t、AUC0-∞、Css、Cmax、λz、及びt1/2並びにCss、Cmax、Vd、体重調整Vd、CL、及び体重調整CLの齢の主効果について統計的に有意な差異が観察された。しかしながら、いずれの薬物動態パラメータについても齢群相互作用によっては統計的に有意な用量レベルはなかった。完全評価可能集団の重要な薬物動態パラメータの要約を下表30に示す。
表30. 完全評価可能集団の重要な薬物動態パラメータの要約
Figure 2014528474
略語:λz=終末消失速度定数;AUC0-∞=時間ゼロから時間無限大までの濃度-時間曲線下面積;AUC0-t=時間ゼロから最後の測定可能濃度の時間までの濃度-時間曲線下面積;CL=血漿クリアランス;Cmax=観察された最大血漿濃度;Css=定常状態濃度;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;t1/2=終末消失半減期;Vd=分布容積。
a PKパラメータについて齢群に関する用量レベルの効果を評価するための二元分散分析(ANOVA)の結果。
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
群I及びIIで測定した薬物動態パラメータは鎮静レベル、救出薬(ミダゾラム及びフェンタニル)を受けた対象数、鎮静及び鎮痛のために要した救出薬の量、生命徴候(HR、SBP、DBP、MAP、RR、及びSpO2)、良好な抜管までの時間、及びRSSavgとAUC0-∞及びCssの比較であった。RSSスコア(例えば、RSS5及びRSSavg)は用量レベルを問わず群I及びII間で一般的に類似していたが、群IIの用量レベル4治療群のRSS5及びRSSavgスコアは、群I及びIIの他の治療群に比べてわずかに高かった。デクスメデトミジンのみを受けた対象では、群Iに比べて群IIの治療群にわたってRSS5及びRSSavgスコアが高かった。デクスメデトミジンとミダゾラム又はフェンタニルの同時投与を受けた対象では、RSS5及びRSSavgスコアは一般的に全ての治療群の対象間及び群IIの用量レベル4治療群の対象以外は齢群を問わず同様であった。群IIの用量レベル4治療群のRSS5及びRSSavgスコア(RSS5=4.5及びRSSavg=4.5)は、完全評価可能集団の群I及びIIの他の治療群(RSS5スコア範囲=2.5〜3.7)に比べてわずかに高かった。同様の結果が安全性集団で観察された。
上述したように、用量レベル3治療群の1対象は負荷注入の最後に極端に高い血漿中濃度を有した。この対象の血漿中濃度データは、AUC及びCssの計算結果を歪めた。図10及び11は、RSSavgとそれぞれAUC及びCssとの関連性を示す。分析から除外した117264.1μg/時間/mLの平均AUC値及び5743.55μg/mLのCssを有したこの対象では、AUC及びCssの増加に伴ってRSSavgが増加した。
全ての治療群を通じて群Iに比べて少ない割合の群IIの対象が鎮静用の救出ミダゾラムを受けた。他の3つの用量レベル治療群に比し、用量レベル4治療群では少数の対象が救出薬を必要とした。この治療群の高い鎮静レベルのため、用量レベル4治療群のこの治療群では救出薬の初回用量の投与までの時間も長かった。救出ミダゾラムを受けた対象数のこれらの齢群間の差異はいずれの齢群のいずれの用量レベルでも統計的に有意でなかった。治療期間中に鎮静及び鎮痛のために必要とされた救出薬の量は、全ての用量レベルにわたって同様であった。安全性集団の治療群間で鎮静又は鎮痛用の救出薬として用いられたミダゾラム又はフェンタニルの量には統計的に有意な差異は観察されなかった。8対象のうち3名がミダゾラム又はフェンタニルの同時投与を受けた群IIの用量レベル4治療群を除き、一般に、齢群及び用量レベルを問わず治療を受けた対象の過半数がデクスメデトミジンと共にミダゾラム又はフェンタニルの同時投与を必要とした。
完全評価可能集団では、抜管までの時間中央値は用量と共に増加した。用量レベル1、2、及び3治療群では時間間隔が同様であったが(0.6〜1.7時間)、用量レベル4治療群の抜管までの時間は長かった(6.8時間)。この効果は統計的に有意でなかった(p=0.3041)。安全性集団について同様の結果が見られた。完全評価可能集団について良好な抜管までの時間の要約を下表31に示す。
表31. 良好な抜管までの時間の要約−完全評価可能集団
Figure 2014528474
略語:CD=持続量;CI=信頼区間;DEX=デクスメデトミジン;LD=負荷量;
注記:カプラン・マイヤー推定値、ログランク及びウィルコクソン検定を利用して良好な抜管までの時間の要約を行なった。
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
注記:抜管が良好だった場合、対象は該事象を有するとみなされる。対象が治療を完了せず/中断した場合、対象は打ち切られる。
a Dex注入開始から良好な抜管までの時間中央値(時間)。
b 中央値に対する95% CI。
c 治療群間の差異についてのログランク及びウィルコクソン検定によるP値(層用量レベルでPROC LIFETESTを用いて)。
注入中及び注入後の群I及び群II対象において、HR、SBP、DBP、MAP、RR、又はSpO2のベースラインからの平均変化には臨床的に意味のない傾向が観察された。同様に、心肺バイパス術を受けたか否かによって層別化した対象におけるHR、SBP、DBP、又はMAPのベースラインからの平均変化には臨床的に意味のない傾向が見られた。
治療関連有害事象は主に負荷投与中かつ用量レベル3及び4でのみ起こった。両齢群で最も頻繁に報告された治療下で発現した薬物と無関係の有害作用は、発熱、嘔吐、低カリウム血症、及び高血圧であった。群I(26対象)では、治療関連TEAEは徐脈作用(2対象)、低血圧(1対象)、鎮静作用(2対象)、高血圧(1対象)であった。群II(33対象)では、治療関連TEAEは徐脈作用(1対象)、鎮静作用(1対象)、高血圧(5対象)、及び悪寒(1対象)であった。
これらの有害作用の大部分は研究薬に無関係とみなされ、強度は軽度又は中程度であった。いくつかの血液学的、化学的、及び尿検査パラメータでは数値的差異が観察され、治療群間でリンパ球、好中球、血小板、ALP、AST、及びビリルビンの増加又は減少傾向があった。数値的変化は生じたが、治療群間のHR、SBP、DBP、MAP、RR、及びSpO2のベースラインからの平均変化の臨床的に意味のある傾向は治療群の間で観察されなかった。呼吸数は影響を受けなかった。心肺バイパス術を受けたか否かによって層別化された対象で同様の結果が得られた。
SBPのベースラインからの変化は、CPB手術を受けた対象について用量レベル1から4へ増加する傾向があった。これらの差異は統計的に有意でなかった。CPB手術を受けなかった対象では同様の観察は指摘されなかった。
用量レベル4治療群のCPB術を受けた対象で観察されたわずかに高いSBPを除き、研究したデクスメデトミジンの4つの用量レベルはこの研究で一般的に耐容性良好であり、デクスメデトミジンの安全性プロファイルでは用量レベル間で臨床的に意味のある差異は観察されなかった。
注入中及び注入後の臨床検査結果では治療群を問わずベースラインからの臨床的に意味のある変化は観察されなかった。ベースラインからの大きな数値的変化を示した血液学的結果には、リンパ球、好中球、及び血小板が含まれた。ベースラインからの大きな数値的変化を示した化学的結果には、ALP、AST、及びビリルビンが含まれた。
報告されたECG所見の大部分は正常であったか又は異常であったが臨床的に有意でなかった。対象の大部分は、心肺身体系を除く全ての身体系カテゴリーで平凡な理学的検査所見を有した。注入中及び注入後の生命徴候、臨床検査結果又はECGには治療群を問わず臨床的に意味のある変化は観察されなかった。一般に、この研究では、挿管され、人工呼吸器を装着された小児患者にデクスメデトミジンは良い耐容性を示した。
死亡は報告されなかった。1対象は、軽度かつ研究薬と無関係とみなされた痙攣を経験した。表32に示すように、薬物関連の治療下で発現した有害作用(TEAE)が用量レベル3及び4で報告された。
表32. 薬物関連の治療下で発現した事象(基本語別に)−安全性集団
Figure 2014528474
略語:DEX=デクスメデトミジン;TEAE=治療下で発現した有害事象。
医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)辞書第11.0版を用いて治験医師の有害事象(AE)用語を基本語にコード化した。
パーセンテージは齢群別の各治療群の対象の数に基づいている。
対象は各器官別大分類内又は各基本語について一度カウントされ、複数のTEAEを有することもある。
研究薬に対して未知の関係、関係なさそう、おそらく、たぶん/きっと又は確実に関連すると評価されたいずれの事象も関連する。
対象に同じTEAEが1回より多く起こった場合、研究薬への最も高い関連性が要約された。
注記:用量レベル1−Dex LD=0.25/CD=0.2μg/kg/時間
用量レベル2−Dex LD=0.50/CD=0.4μg/kg/時間
用量レベル3−Dex LD=1.00/CD=0.7μg/kg/時間
用量レベル4−Dex LD=1.00/CD=2.00μg/kg/時間
実施例4:出生前カニクイザル脳内におけるデクスメデトミジンの作用
妊娠中のサルにデクスメデトミジンを投与することによって出生前カニクイザル脳内におけるデクスメデトミジンの神経アポトーシス作用の可能性を決定するために本研究を行なった。この研究の全体的な目的は、イソフルラン又はケタミンとは異なる作用機序を有する麻酔薬であるデクスメデトミジンが出生前カニクイザル脳内で神経アポトーシスを引き起こさないことを実証することであった。この研究の免疫組織化学分析の目的は、関心領域を組織病理学的に評価及び特徴づけし、群間の被験物質誘発アポトーシスを特徴づけ及び比較することであった。
用いたサルモデルは、参照によってその内容全体をここに援用するSlikker et al. Tox. Sci. 2007; 98(1), 145-58に記載のものである。120±7日の妊娠期間の妊娠中のメスから、デクスメデトミジンの12時間の静脈内注入後に6時間の注入後観察期間後に胎仔を除去した。帝王切開術によって胎仔脳を収集した。治療群を下表33に示す。
Figure 2014528474
治療後、動物を屠殺し、脳組織を灌流によって10%中性緩衝ホルマリンに固定した。ビブラトームミクロトームを用いて50〜70μm厚さの連続的な未染色脳切片を作製し、脳当たり約800の切片を得た。20匹の動物から固定脳組織を処理加工した。各動物について、脳当たり約25の間欠(intervaled)切片を下記染料で染色した:ヘマトキシリン・エオシン(H&E)、銀染料、末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)、及び活性化カスパーゼ3(AC3)。TUNEL染色及びAC3染色切片内でアポトーシス細胞の発生率と分布を評価及び比較するための画像解析の使用を含め、米国獣医病理学専門家協会(American College of Veterinary Pathologists)(ACVP)の有資格病理学者が切片を評価した。
固定組織を肉眼トリミングし、処理加工し、方向づけ、パラフィンに包埋し、約35〜40μm厚さの薄片を作った。各脳を慎重に方向づけ、各ブロックに肉眼トリミングして動物間の相関対称性を保証した。各脳について6つの連続ブロックを調製し、ブロックを前頭皮質全体に及ばせた。1匹の動物当たり全部で約600切片について各ブロックで約100の未染色切片を極薄に切断した。各ブロックについて、染色のために切片レベル1、25、50及び100を選択した。選択した切片レベルを保証し、動物間で良く相関することを調べるために評価を行なった。Slikkerによって報告されたように全ての動物においてケタミン誘発病変が前頭皮質の1及び2層に限局していること及び病原がこの領域に一貫して分布していることを確認するためにも評価を行なった。各脳から得た約25の連続切片を下記技術の1つにより染色した。H&E染色を利用して一般組織学及び形態学を定義した。銀染色法を利用して神経変性を可視化した。TUNELは核酸の末端を標識することによってDNA断片を検出するための方法である。IHC抗体染色により検出されるAC3は、アポトーシス細胞のマーカーである。染色後、有資格獣医病理学者が光学顕微鏡で組織を評価した。全ての手順はCBI SOPと一致しており;詳細は研究記録に保存されている。
脳切片について改変銀染色法を利用した。参照によってその内容全体をここに援用するXuemin Ye et al. 2001, Brain Research Protocols 8, 104-112を参照されたい。簡潔に言えば、切片をキシレンで脱脂し、アルコールで再水和させる。下記工程を利用した:それぞれ少なくとも5分間50、75、及び97%の1-プロパノールで再水和させ;硫酸/1-プロパノール中56℃で16時間エステル化し;50及び25%の1-プロパノールで再水和させた後、それぞれ5分で2回蒸留水を変え;正確に10分間1%酢酸で洗浄し;切片が褐色に変わるまで(約6〜8分)現像液に入れ;1%酢酸で洗浄する(30分)ことによって現像を終わらせ;脱水し、きれいにしてカバーを掛ける。
活性化カスパーゼ3染色では、組織を脱パラフィンし、水和させ、加熱クエン酸緩衝液抗原回復に供した。組織をDAKO自動染色装置で染色した。組織をペルオキシダーゼ及び2つのタンパク質ブロックと反応させた。緩衝液ですすいだ後、組織を室温で60分間AC-3(Abcam)の1:275希釈液とインキュベートし、次にEnvisionヤギ抗ウサギ二次抗体(Envision)と30分間インキュベートした。免疫反応をDABで可視化し、ヘマトキシリンで逆染色した。無関係抗体及び生理食塩水で染色された組織に加えて、ポジティブ組織(ヒト扁桃腺)とネガティブ組織(ヒト子宮)が両方とも含まれた。
TUNEL染色法では、組織を脱パラフィンし、水和させ、加熱クエン酸緩衝液抗原回復に供した。組織をDAKO自動染色装置で染色するか又はTrevigen TACS 2TdT-DAB In Situアポトーシス検出キットを用いて手作業で染色した。無関係抗体及び生理食塩水で染色された組織に加えて、ポジティブ組織(ヒト扁桃腺)とネガティブ組織(ヒト子宮)が両方とも含まれた。
前頭皮質の広範領域及び前頭皮質全体の複数レベルをそのラミナに特に重点を置いて調査した。スライド上の脳組織残渣をもいずれの他の病変について調査した。代表的な顕微鏡写真を撮った。米国獣医病理学専門家協会(ACVP)によって認定された獣医病理学者である、本研究の病理学者がH&E-銀染色、TUNEL及びAC3切片を定性的に調査した。一般に認められている業界スコアリングシステムを用いて病変の発生率と重症度(アポトーシス及び細胞傷害の存在)をスコア化した:0=正常、1=最小、2=軽度、3=中程度;及び4=重度。
治療関連所見の重症度スコアリングを下表34に示す。ケタミン治療群には皮質の大量の神経アポトーシス病変が存在したが、デクスメデトミジン治療群、特に低(治療)用量群では最小の変化が見られた。
表34. 神経アポトーシス病変の重症度スコアリングの要約
Figure 2014528474
表34には治療関連所見の重症度スコアリングを示してある。前頭皮質のTUNEL染色の代表的顕微鏡写真を図12に示す。前頭皮質のAC3染色の代表的顕微鏡写真を図13及び14に示す。前頭皮質の銀染色の代表的顕微鏡写真を図15に示す。
群1、未治療脳では、前頭皮質からのHE、銀、TUNEL及びAC3染色切片の調査は、前頭皮質の層内には損傷細胞及びアポトーシス細胞が全くないか又はまれに散発的にあることを実証した。特に白質内にいくらか低強度のポジティブ核のAC3染色があり、これは正常な胎仔の発生を示している。脳の他の領域に少しのTUNELポジティブ細胞があったが、コントロールと治療脳との間に有意な差異はなかった。
群2、すなわちケタミン治療群では、前頭皮質からのHE、銀、TUNEL及びAC3切片の調査は、未治療及びデクスメデトミジン治療脳に比べて劇的に増加する中程度〜多数の損傷細胞及びアポトーシス細胞を実証した。AC3は、イソフラン等のアポトーシス誘導薬物への曝露後アポトーシス変性を受けている神経細胞を標識する。AC3染色細胞は、死亡しているか又は瀕死の細胞を標識する銀染料によって染色される同細胞でもある。AC3は、細胞が変性の早期状態にあるか又は進行状態にあるか及びどんなタイプの細胞が変性を受けるかをも明らかにする(Bambrink, 2010)。早期状態では、細胞体及びプロセスに大量のAC3タンパク質が存在するので、変性細胞を顕微鏡で可視化することができる。細胞死後、細胞体は凝縮及び寄せ集まるようになる。
これらの形態学は両方ともケタミン治療脳内では大量に目に見えるが、デクスメデトミジン治療群では最小に見えるだけだった。この研究で見られた病変は、層I及びIIに最も強い染色を有する皮質のI〜VIラミナの層内の中程度多巣的量の壊死融解デブリ、変性軸索並びに細胞体及びアポトーシス核を特徴とした。冒された細胞型には、γ-アミノ酪酸作動性抑制性介在神経細胞(層II)及び小さい錐体神経細胞の形態学及び分枝パターンを有する細胞(おそらく対側性半球の可視神経細胞に投射すると考えられるグルタミン酸作動性)(Bambrink, 2010)が含まれた。冒された大きい多極性神経細胞(一般的に層V及びVI内)、大小の錐体神経細胞(層IV及びV)並びに層II内の介在神経細胞も明白であった。
これらの観察は、イソフルラン治療アカゲザルを用いてBambrink, 2010によって記載された観察に非常に類似している。コントロールを含め、全ての群においてさらに深い白質内に点在する散発性のAC-3ポジティブ細胞もあった。
群3、すなわち、低用量デクスメデトミジン群では、前頭皮質からのHE、銀、TUNEL及びAC3染色切片は、ケタミン治療脳に比べて少数の損傷細胞及びアポトーシス細胞を実証した。病変は、皮質の第1及び第2層の軽度の多巣的量の壊死融解デブリ、変性軸索並びに細胞体及びアポトーシス核を特徴とした。ケタミンで見られたのと同じ細胞型が含まれたが、数だけはケタミンに比べて著しく少なかった。それらの発症率及び重症度も高用量のデクスメデトミジンで見られたより少なかった。
群4、すなわち、高用量デクスメデトミジン群では、前頭皮質からのHE、銀、TUNEL及びAC3染色切片は、ケタミン治療脳に比べて少数の損傷細胞及びアポトーシス細胞を実証した。病変は、皮質の第1及び第2層の軽度の多巣的量の壊死融解デブリ、変性軸索並びに細胞体及びアポトーシス核を特徴とした。ケタミンで見られたのと同じ細胞型が含まれたが、数だけはケタミンに比べて著しく少なかった。
この研究の結果は、20mg/kgのIM+20〜50mg/kg/時間のケタミンによる治療が皮質の主に層I及びIIにおける顕著な神経アポトーシス及び壊死による細胞損傷を伴うことを示している。これは、前頭皮質の層I〜VIを含めた前頭皮質全体、主に層1及び2内に広がる散在性かつ均一な多巣性〜散在性病変であった。未治療群には有意な神経アポトーシス病変は存在しなかった。デクスメデトミジンを受けた動物では、3μg/kg×10分+3μg/kg/時間又は30μg/kg×30分+3μg/kg/時間のどちらかの後に神経アポトーシスは存在しないか又は最小であった。病変は、低用量動物で重症度が低く、用量反応を暗示しており、重症度はケタミン治療動物より明らかにずっと低かった。これらの所見は、デクスメデトミジンが有意な神経アポトーシスを伴わないことを示唆している。特に、これらの所見はデクスメデトミジンが低用量では有意な神経アポトーシスを伴わないことを示唆している。
実施例5:1ヶ月〜24カ月の齢の小児患者におけるデクスメデトミジンの薬物動態
本研究は、静脈内(IV)負荷量後に持続IV注入として小児対象に投与されるデクスメデトミジンの薬物動態及び薬力学的プロファイルを特徴づける。
心臓手術の術後である小児対象についてデクスメデトミジンの36患者非盲検単一施設漸増用量研究を行なった。この研究はデクスメデトミジンの薬物動態及び薬力学を調査した。対象は1カ月〜24カ月齢で、手術直後期間に気管挿管又は人工呼吸器を装着され、手術後24時間以内に気管抜管を予定されていた。対象は、下表35に示す用量の1つを受けた。
この研究の主目的は以下のとおりであった:
・ 心臓手術後の乳幼児に静脈内ボーラス後に持続IV注入(CIVI)として投与されるデクスメデトミジンの漸増用量の薬物動態を明らかにすること。
・ 抜管前24時間の期間中、及び抜管中の術後外科患者である乳幼児(齢:1ヶ月〜2年)におけるデクスメデトミジンの薬物動態効果を説明すること。
副次的目的は以下のとおりであった:
・ 心臓手術の術後の乳幼児における鎮静のレベルとデクスメデトミジンの血漿中薬物濃度との関連性に関する相関データを得ること及び
・1カ月〜2歳の患者母集団の安全性を評価すること。
これは、心臓手術の手術直後であり、術後期間に気管挿管と人工呼吸器を必要とした乳幼児における、デクスメデトミジンの単回ボーラス投与後の24時間までの持続注入の単一施設相I用量漸増薬物動態研究であった。乳幼児におけるこのデクスメデトミジンの用量反応研究は、検診/登録相、及び用量漸増相の2相から成った。
その親又は法定後見人がインフォームドコンセントを与えた患者を登録前7日以内に検診した。最初に検診/登録相を行なった。手術後の乳幼児(1カ月〜2歳)を検診した。心臓手術の術後であり、術後期間に人工呼吸器を必要とし、術後の最初の24時間以内に気管抜管が予想された場合、乳幼児は本研究に適格であった。登録前7日以内に登録基準を満たしていなければならなかった。検診/登録相の後に用量漸増相が続いた。全ての患者は、経口で4mg/kgのペントバルビタール、20μg/kgのフェンタニルの手術中IV用量、バイパスの導入時に0.2mg/kgのパンクロニウムのIV用量及びバイパスの設置時にさらに0.2mg/kgのパンクロニウムを受けた。デクスメデトミジンの3種のボーラスと注入用量の組合せを以下のように投与した:12名の患者のコホートはそれぞれ低用量デクスメデトミジン(10分にわたって投与される0.35μg/kgのIVボーラス、0.25μg/kg/時間の持続IV注入)、中用量デクスメデトミジン(10分にわたって投与される0.7μg/kgのIVボーラス、0.5μg/kg/時間の持続IV注入)又は高用量デクスメデトミジン(10分にわたる1μg/kgのIVボーラス、0.75μg/kg/時間の持続IV注入)のどれかを受けた。抜管過程中デクスメデトミジン注入を継続し、患者が呼吸基準を満たしたときに気管抜管を行なった。患者間の用量漸増を表35に示す。
表35:患者間の用量漸増
Figure 2014528474
12名の患者を各用量レベルで研究した。ある用量レベルで2名より多くの患者が、おそらく、ほぼ確実に、又は確実に研究薬物に関連する用量制限毒性(DLT)を経験した場合、該薬物の最大耐量(MTD)を超えたであろうことから当該用量レベルではさらなる患者を研究しないこととした。MTDが第1用量レベルで超えた場合、その後の患者コホートは0.25μg/kgの負荷量及び0.14μg/kg/時間の注入で治療した。MTDが第2又は第3用量レベルで超えた場合、本プロトコルへの登録を中止した。
用量を漸増するという決定は、以前のコホートの全患者の安全性及び薬物動態の精査に基づいた。クリアランス中央値が成人集団で報告された値(35L/時間)の70%未満である場合には、研究への自然増加を中止した。
この用量漸増研究には1)0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入;2)0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入;又は3)1μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入の用量コホートを含めた。この研究は、重病の患者集団(心臓手術の術後であり、術後期間に人工呼吸器を必要とした乳幼児)において推奨される投与法の改善を可能にするであろう薬物動態データを提供した。この患者集団には、限定するものではないが、ファロー四徴症(Teratology of Fallo)、房室管欠損症(atrio-ventricular canal defect)、心室中隔欠損症、大動脈縮窄症、双方向性グレン(glen)、ヘミフォンタン(hemi-fontan)、及びフォンタン手術(fontan completion)と診断された乳幼児が含まれた。バイスペクトラルインデックススケール(Bispectral Index Scale)(BIS)を用いて、心臓手術の術後である乳幼児の鎮静を測定し、鎮静の非侵襲的測定の有用性を探究した。また、心臓手術の術後の乳幼児における鎮静レベルとデクスメデトミジンの血漿中薬物濃度との関連性に関する予備データを得るようにこの研究をデザインした。この研究では安全性をも評価した。
下記基準を満たせば患者は研究への参加に適格であった:≧1カ月かつ≦24カ月の齢;心臓手術の術後であり、手術直後の期間に気管挿管/人工呼吸器を伴った;術後24時間以内に気管抜管が予定されている;十分な腎機能(1カ月〜12カ月齢で血清クレアチニン≦0.6mg/dL又は>12カ月〜24カ月齢で血清クレアチニン≦1.0mg/dLと定義される);十分な肝機能(総ビリルビン≦1.5mg/dL並びに1か月〜12カ月齢では血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)≦165U/L及び12カ月〜24カ月齢ではSGPT≦90U/Lと定義される);孤立した心臓手術を有した;及び患者の全ての親又は法定後見人が書面によるインフォームドコンセントにサインをした。
下記基準のいずれかを満たした場合、患者は研究への参加に適格でなかった:過去30日以内に別の治験薬を受けたか又は術後環境下で筋弛緩薬の持続注入を受けた;進行中の重篤感染症の血液検査が陽性であり、その後陰性になっていないか又は他の証拠を有した;研究者の意見によれば、研究の要件をモニタリングする安全性に応じられないであろう;頭蓋内圧上昇の兆候又は症状(限定するものではないが、クッシング三徴候(Cushing’s triad)(高血圧、徐脈、及び徐呼吸が挙げられる)、嗜眠、泉門膨隆、及び発作を示した;齢に基づいて術後低気圧を有した(1カ月〜2カ月:収縮期≦45mmHg、拡張期≦25mmHg、又は平均動脈圧≦35mmHg;>2カ月〜6カ月:収縮期≦55mmHg、拡張期≦35mmHg、又は平均動脈圧≦45mmHg;及び>6カ月〜24カ月:収縮期≦65mmHg、拡張期≦45mmHg、又は平均動脈圧≦55mmHg);又は齢に基づいて既存徐脈を有した(1カ月〜2カ月:心拍数≦90bpm;2カ月〜12カ月:心拍数≦80bpm;>12カ月〜24カ月:心拍数≦70bpm);心ブロックを有した;体重<5kg;又は研究者の意見によれば、治験薬研究に適した候補でない。
以下のいずれかが起こった場合、その患者については研究を中止した:除脈、低血圧、過鎮静、又は重篤有害作用を含めたDLTがあった;患者の親/後見人がさらなるプロトコル治療を拒否した;研究者の意見によれば、研究への参加を継続できないノンコンプライアンス;及び休薬が患者の最善の利益であると研究者が判断した。
プロトコル治療を中止した患者は、治験薬の最終投与、死亡、追跡不能、又はいずれのさらなるデータ提出に対しても同意の撤回後30日と定義された研究中止基準を満たすまで追跡された。同意が撤回されない限り、追跡データが要求された。
全ての組み入れ基準を満たし、除外基準のない適格患者は、経口により4mg/kgのペントバルビタール前治療薬、20μg/kgのフェンタニルの手術中用量、並びに手術中の麻酔薬としてバイパス導入時に0.2mg/kgのパンクロニウム及びバイパス設置時に別の0.2mg/kgのパンクロニウムを受けた。この後に研究薬を投与した。すなわちデクスメデトミジン(0.35μg/kg、0.7μg/kg、又は1μg/kg)をIV負荷量として10分にわたって投与した後、持続維持IV注入0.25μg/kg/時間、0.5μg/kg/時間、又は0.75μg/kg/時間を投与した。患者は以下のとおりのデクスメデトミジンの3種の負荷/維持投与計画の1つを受けた:コホートの12名の患者は低用量デクスメデトミジン(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)、中用量(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)又は高用量デクスメデトミジン(1μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。抜管過程中にデクスメデトミジン注入を継続し、患者が呼吸基準を満たしたときに気管抜管を行なった。
研究薬は、水中試験薬(治験薬)、Precedex(登録商標)(デクスメデトミジンHCl注射薬)、118μgのデクスメデトミジン及び9μgの塩化ナトリウム、IVのから成った。pH4.5の清澄な無色等張溶液として研究薬を供給した。この溶液は保存剤が入っておらず、添加剤又は化学的安定剤を含有しなかった。それは7のpKaで自由に水に溶けた。本研究のための市販供給元からデクスメデトミジンを得、15℃〜30℃(59°F〜86°F)に制御した室温で薬局に貯蔵した。凍結を避けた。
選択基準を満たした患者を本研究に登録した。この研究では38名の患者が登録された。36名の患者:低用量、中用量及び高用量の各コホートに12名の患者が研究薬注入を完了した。この研究ではランダム化を行なわなかった:これは手術直後の乳幼児におけるデクスメデトミジンの単回ボーラス後に24時間までの持続IV注入という用量漸増研究であった。
気管挿入され、24時間以内に気管抜管が予定されている手術室から戻ってきた患者に、研究薬であるデクスメデトミジンをボーラス用量として10分にわたって投与した後に持続IV注入として投与した。各用量レベルで12名の患者を研究した。ある用量レベルで2名より多くの患者が、おそらく、ほぼ確実に、又は確実に研究薬に起因するDLTを経験した場合、該薬物のMTDを超えたとみなし、当該用量レベルではさらなる患者を調査しなかった。MTDが第1用量レベルで超えた場合には、その後の患者コホートは0.25μg/kgの負荷量及び0.14μg/kg/時間の注入で治療することとした。MTDが第2又は第3用量レベルで超えた場合、プロトコルへの登録を中止することとなる。各用量レベルの完了後に薬物動態解析と共に用量レベルを継続的に研究した。クリアランス中央値が成人集団で報告された値(35L/時間)の70%未満の場合、研究への自然増加を中止した。これは非盲検研究であった。
患者は、術後環境下で筋弛緩薬の持続注入を受ることが許されなかった。臨床用語で「鎮静状態にある(under sedated)」と確認された当該患者にはフェンタニル(0.25〜1μg/kg/用量)、モルヒネ(10〜100μg/kg/用量)、又はミダゾラム(10〜100μg/kg/用量)の形態で追加の鎮静又は鎮痛が許された。いずれの追加鎮静薬、用量、投与経路、及び投与のデータと時間も記録された。研究薬以外の研究中に摂取されたいずれの薬物も記録された。
用量がAUCとCmaxの両方で予想された比例的増加に伴って増加するという用量比例性を検出するために検出力(power)評価及び信頼区間を使用することは統計的に信頼性があり、臨床的に適している。ミシガン大学鎮静スコア(UMSS)は有効な小児鎮静スケールであり、実施例5の研究の薬物動態測定法として利用する。この研究では他の薬物動態、PD、及び安全性測定法が広く利用され、一般的に本研究にとって信頼性があり、正確、かつ適切と認められている。評価のための薬物動態変量には以下のものが含まれた:観測最大血漿中濃度(Cmax)、観測最大血漿中濃度の時間(Tmax)、時間ゼロから最後の定量可能時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)、時間ゼロから無限大までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)、終末消失速度定数(λz)、終末半減期(t1/2)、注入終了濃度(定常状態、Css)、血漿クリアランス(Cl)、体重調整クリアランス(Clw)、分布容積(Vd)、及び体重調整分布容積(Vdw)。主なPD変量はBISを用いて鎮静レベルを評価した。またミシガン大学鎮静スケールの安全性変量には、研究薬への曝露、有害事象(有害作用)、肝毒性、DLT、検査結果、生命徴候、併用薬の使用、及び12誘導心電図が含まれた。
薬物濃度測定のため、各患者から約14mLの血液(患者当たり14のサンプル)を採取した。血漿中デクスメデトミジンの薬物動態評価のため血液サンプル(1mL)をヘパリン処置管に採取した。低用量治療群では、ボーラス用量の時間ゼロ、ボーラス用量の最後、注入開始後0.5時間、維持注入の終了、並びに維持注入の終了後0.25、0.5、1、2、4、8、12、及び24時間で血液サンプルを採取した。残りのコホートでは、ボーラス用量前、注入開始後0.5、1、2、及び4〜6時間のごく近くで、注入終了(EOI)前15〜30分、並びにEOI後0.25、0.5、1、2、4、8、12、及び15〜18時間で血液サンプルを採取した。注入部位とは異なる部位でサンプルを採取した。薬物を投与したマルチルーメンカテーテルの2番目のルーメンからサンプルを採取しなかった。薬物を投与した正確な時間と共にサンプルを採取した正確な時間を記録した。血漿を分離し、アッセイするまで-80℃で貯蔵した。デクスメデトミジンでは血漿中の定量化の下限は≦4.24pg/mLである。各ヘパリン処置管に患者の研究番号、研究識別番号、及びサンプルを採取した日時を記入したラベルを付けた。薬物動態研究報告書にデータを記録し、サンプルに添付した。
主な薬物動態評価は、心臓手術の術後乳幼児にIVボーラス後に持続IV注入として投与されるデクスメデトミジンの漸増用量の薬物動態を明らかにすることであった。全ての完全評価可能患者(少なくとも2時間のデクスメデトミジン注入を受けた患者)からのデータを解析に含めた。
注入中止後24時間まで1時間毎に継続してモニターされる薬物動態評価には、心拍数、血圧、平均動脈圧、心調律、酸素飽和度、及び呼吸数が含まれた。バイスペクトラルインデックススケール(BIS, Aspect Medical Systems, Natick, MA)及びミシガン大学鎮静スケール(UMSS)を用いて鎮静レベルを評価した。
バイスペクトラルインデックススケール(BIS)は、種々の脳波(EEG)記述子を単一の変量に統合する。BIS測定情報は100〜0にスケーリングされた無次元数であり、100は覚醒EEGを表し、ゼロは完全な電気的沈黙(皮質抑制)を表す。BIS及び睡眠薬量は、臨床治験中の統計的に有意な線形単調様式に対応することが分かり、睡眠薬量が増えるにつれてBISは減少する。ボーラス用量前にBISモニターを患者の前頭部に装着して、EOIまでそのままにした。臨床チーム員を定期的にセンサーチェックして確かな信号品質及び正確な装着/付着を維持した。信号品質指標(SQI)を除いてBIS値は盲検であった。鎮静評価(又は非刺激時間中)のため予備刺激BIS値を記録した。刺激中に解読する最大BISをも記録した。「安静時」BIS値又は非刺激時のBIS値は、刺激によるBISの変化と共に鎮静薬効果のみならず、薬物の鎮痛特性の評価にも有用であるので、薬物のPDを評価するためにより良いデータを提供した。調査者は、研究の完了後までBIS測定情報に対して盲検であった。患者を研究中である各時間について最大BIS測定情報及び対応するSQIを記録した。注入を中断した後に患者の頭からBISセンサーを取り外し、臨床ケアチームが患者を覚醒と宣言した。
UMSSは、子供の鎮静深度の迅速かつ高頻度の評価及び文書化を促す簡単な有効かつ信頼できるツールである。UMSSは、1(すっかり目覚めている)〜5(深い刺激で覚醒できない)に及ぶ1〜5点スケールに基づいて覚醒レベルを評価する簡単な観察ツールである。BISセンサーを取り外すまで1時間毎に、患者をケアする臨床看護師がUMSSスコアを評価し、記録した。
治験中の予定時刻にルーチン様式で有害事象を報告した。ある一定の有害事象については迅速様式で報告をして、患者の安全とケアの最適なモニタリングをできるようにした。治験責任医師(principal investigator)(PI)、co-PI、及び研究コーディネーターにより隔週ミーティングで有害事象について精査した。有害作用又は重篤有害作用のどちらかに事象を分類した。
有害作用は、医薬品で治療又は投与中に現れたいずれもの厄介な医学的出来事と定義され、治療との因果関係を有するか否かにかかわらない。治療下で発現した有害事象(治療下で発現した有害作用)は、研究薬の初回用量を投与した時から研究薬投与中断後24時間が経過するまでに患者により報告された作用発現又は悪化を伴ういずれもの有害作用と定義された。治療期間中に起こった有害作用は、研究薬投与開始日時から研究薬中断日時までに患者により報告された作用発現又は悪化を伴ういずれもの有害作用と定義された。研究薬後に起こった有害事象は、特定期間内の研究薬中断日時以降の日時に患者により報告された作用発現又は悪化を伴ういずれもの有害作用と定義された。有害事象は重症度(軽度、中程度、又は重度)によっても分類された。重篤有害作用は、いずれの用量でも死に至ったか、生命を危うくしたか、入院患者の入院加療又は既存入院加療の延長を必要としたか、持続的又は著しい身体障害/無能力、又は先天性異常/出生時欠損を引き起こしたいずれもの厄介な医学的出来事と定義された。各事象についてMedWatchレポートが完成された。事象は治療を行なう臨床医及び研究コーディネーターによって分類された。事象は、研究薬に多分関連しないか、おそらく関連するか、又はほぼ確実に関連すると、また以前に記載された(予想された)か、又は記載されてない(予想されない)かのどちらかに分類された。いずれの重篤有害作用もポケットベル又は電話によりPIに通知された。24時間以内にPIは全ての薬物関連毒性及び以前に記載されていない毒性を精査した。外科手順のために予想される重篤有害作用は迅速な精査を必要とせず、隔週に精査された。以前に記載されていない毒性及び全ての重篤有害作用は、治験責任医師が該事象の72時間以内に記載する形でIRBに報告された。起こったいずれの有害反応又は事象、及び事象転帰をも要約したレターが記載された。研究薬に起因する1つ以上の予期しないか又は以前に記載された重篤有害作用が観察された場合、該プロトコルへの自然増加は保留された。PI、専門分科の治験主任医師、及び治験に参加していない少なくとも2名の超専門医を含む臨機応変な委員会が2回目の事象の24時間以内にPIにより開催された。患者へのリスクの評価を行ない、研究を続けるか又は治験を終えるかを精査するためにIRBに勧告された。治験を続けると決断した場合、プロトコルへの修正、危険及び利益の更新した評価、及び修正したインフォームドコンセントをIRBに提出するものとされた。
用量制限毒性(DLT)は、多分、ほぼ確実に、又は確実にデクスメデトミジンに起因し、かつ下記に該当するいずれかの事象と定義された:
・齢別に規定される徐脈:心拍数≦80bpm(1カ月〜2カ月);心拍数≦70bpm(>2カ月〜12カ月);心拍数≦60bpm(>12カ月〜24カ月)
・齢別に規定される低血圧:
・収縮期≦40mmHg、拡張期≦20mmHg、又は平均動脈圧(MAP)≦30mmHg(1カ月〜2カ月)
・収縮期≦50mmHg、拡張期≦30mmHg、又はMAP≦40mmHg(>2カ月〜6カ月)
・収縮期≦60mmHg、拡張期≦40mmHg、又はMAP≦50mmHg(>12カ月〜24カ月)
・徐呼吸:抜管患者で呼吸数≦14bpm
・臨床ケア提供者により臨床的に関連するとみなされたか又は治療介入が必要とみなされた観察。臨床徴候には、中程度の刺激で覚醒させる困難性、除呼吸(呼吸数≦14)、除脈、及び低血圧が含まれた;及び
・重篤有害事象。
研究中に標準治療を再検討するように臨床検査の検査データを収集した。これには動脈血ガス、血中乳酸、基本的な代謝パネル、マグネシウムパネル、リンパネル、凝固パネル、肝機能パネル、及び全血球数を含めた。研究中の臨床検査のために約14mLの血液を各患者から採取した。
理学的検査、12誘導心電図、肝毒性、及び鎮静/鎮痛補助薬漸増(用量設定)を含めたさらなる安全性評価を行なった。
SAS、バージョン9.1を用いて統計解析を行なった。WinNonlin Pro、バージョン5.1を用いてノンコンパートメント解析により薬物動態パラメータを決定した。特に指定のない限り、全ての統計データは両側データであり、p値≦0.05を統計的に有意とみなした(小数第5位で四捨五入した後)。記述統計量(患者数[N]、平均値、中央値、標準偏差(SD)、最小、及び最大)を用いて連続変量を要約した。連続薬物動態変量について変動係数(CV)を計算した。Tmax(離散変数)について、N、中央値、最小及び最大を表示した。平均値及び中央値は生の値ではなく少数第1位まで表示した。カテゴリー変数N及びパーセントを示した。全てのパーセンテージは少数第1位まで報告した。全ての収集及び記録データ並びに導変数(derived variable)の患者リストを提示した。プロトコルで定義された解析とSAPで定義された解析との間の変化には以下のものが含まれた:
研究とプロトコルとの間には2つの相違があった。1つの相違はDLTの定義に関係した。研究は、齢別に規定される徐脈及び低血圧、並びに臨床関連過鎮静、及び重篤有害作用をDLTとして含めるようにDLTを定義した。プロトコルは、齢別に規定される徐脈、齢別に規定される低血圧、及び呼吸数別に規定される徐呼吸のみを含めた。
別の相違はECGデータ収集への観点にあった。プロトコルは、治療前及び治療後にECGを得、新たな虚血の証拠について比較することを言明した。ECGチャート及びQT間隔を利用できず、ECGデータを解析する計画はなかった。
プロトコルは、薬理ゲノミクス試験用血漿サンプルの収集に言及したが、薬理ゲノミクス試験又は解析のためにサンプルを収集しなかった。
この研究では4つの患者集団を定義した。
登録集団:インフォームドコンセントにサインした全ての患者は登録集団となった。
包括解析(Intent-to-Treat)(ITT)集団:治療され、プロトコルを遵守した患者はITT集団に含められた。
安全性集団:研究薬を受けた全ての患者は安全性集団に含められた。全ての安全性解析でこの集団を用いた。
薬物動態解析集団:少なくとも2時間のデクスメデトミジン注入を受けた全ての患者は薬物動態解析集団に含められた。
血漿サンプルをデクスメデトミジン濃度についてアッセイした。各患者について下記パラメータを計算した:AUC0-t、AUC0-inf、Cmax、Tmax、Cl、Clw、Vd、体重調整分布容積(Vdw)、λz、t1/2、及びCss。血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)及びCmaxは主要な薬物動態パラメータであった。
Hospiraによる独立モデル法を利用して、WinNonlin、バージョン5.1(Pharsight, Mountain View CA, USA)のノンコンパートメント解析を用いて上記薬物動態パラメータを決定した。これらのパラメータの要約統計を表にした。AUC及びCmaxについて幾何平均及び変動係数を示した。
齢群内及び全体的に投与された用量レベル間でAUC及びCmaxについて用量比例性の評価を行なった。この評価では検出力分析(Power Analysis)アプローチ及びデータ可視化技術を利用した。
検出力モデルを用いて用量比例性を統計的に評価した。検出力モデルは下記形式を有した:パラメータ=a(用量)b×偶発誤差(a及びbは、方程式のそれぞれ係数及び指数部である)。下記方程式:ln(パラメータ)=ln(a)+b×ln(用量)+偶発誤差を用いて対数変換後に線形回帰を利用して検出力モデルを解析した。bについて95%信頼区間(CI)が1を含むか、又は用量正規化パラメータに当てはめたときにb=0(H0)が拒絶されない場合に用量比例性であると結論づけた。
データ可視化技術は、さらなる評価の必要性を示す傾向がデータ中に存在するかを決定するために投与用量に対して、齢に関しての重量調整クリアランス、AUC、及びCmaxをプロットすることを含んだ。
潜在的な薬物動態/PDの関連性の探索評価を行なった。鎮静レベル又は救出鎮静薬の必要性等のPDパラメータ及び薬物動態パラメータAUC又はCmaxの関連性を探索した。
ITT及び薬物動態集団について用量レベル別に薬力学的解析を要約した。PDパラメータは、注入中断後24時間まで1時間毎に連続的にモニターした鎮静レベル及び生命徴候を含有した。パラメータには心拍数、血圧、MAP、心調律、酸素飽和度及び呼吸数が含まれた。定量PDデータについてのみならず、ベースラインからの用量レベル別の変化についても記述統計値(算術平均、SD、中央値、最小及び最大)を計算した。BIS及びUMSSを用いて鎮静レベルを評価した。
用量レベル別の各鎮静レベルの患者の数とパーセンテージによってUMSSスコアを要約した。研究薬投与中にフェンタニル、モルヒネ、又はミダゾラムを用いた患者の数とパーセンテージを用量レベル別に要約し、治療差異をフィッシャー直接検定によって評価した。各用量レベルについて、各用量レベルにおける注入開始後の時間によってフェンタニル、モルヒネ、及びミダゾラムの総量を記述的に要約した。注入開始後の鎮静薬の総量について解析すべき時間枠は4時間、4〜8時間、8〜12時間、及び0〜24時間であった。薬物動態パラメータ(例えばAUC、Cmax、又はCss)の曝露と鎮静薬の使用(例えば総用量)との間の関連性について探索解析を行なった。
記述統計を利用して、ベースラインと比較した経時的な用量依存性様式の心拍数、血圧、温度、平均動脈圧(MAP)、呼吸数、及び末梢酸素の飽和度(SpO2)の生命徴候測定値を要約した。各時点でのベースラインからの平均変化の治療差異をモデルの治療因子を用いて一元配置分散分析(ANOVA)により評価した。
患者は全ての安全性データをリストアップした。安全性データには研究薬の曝露、有害作用、心虚血、肝機能検査、DLT評価、臨床検査評価、理学的検査、及び併用薬の使用が含まれた。適切な場合、定量的安全性データについてのみならず、ベースラインからの差異についても記述統計値(算術平均値、SD、中央値、最小値及び最大値)を計算した。
投与される研究薬のボーラス量及び維持量に従って研究薬への曝露を計算した。総用量及び投与の持続期間のパラメータを用いて負荷量(又はボーラス量)を要約した。総用量、投与の総持続期間(時間で)を用いて維持量を要約した。総用量は、負荷量+CIVI速度×投与の持続期間に等しかった。中断を除く投与の持続期間と投与の総時間は両方とも最後の投与時刻マイナス最初の投与時刻を用いてを計算された。用量計算で患者の体重の使用を推進した。
入手可能な医薬品規制用語集の最新バージョン(MedDRA、バージョン11.0)を用いて有害作用をコード化し、有害作用を報告した患者数及び報告された有害作用数について用量レベル別に有害作用を要約した。患者による有害作用データリストには逐語的用語、コード化用語、治療群、重症度、及び与えられた治療への関連性が含まれた。死と関連する重篤有害事象及び研究薬の中断につながる有害作用をも要約してリストアップした。治療下で発現した有害作用は、研究薬の初回用量が投与された時から研究薬の中断後に24時間が経過するまで患者によって作用発現又は悪化が報告されたいずれもの有害作用と定義された。重症度による要約については、患者が同一の器官別大分類(SOC)又は同一の基本語において起こった複数の事象を有した場合、最高の重症度の事象と要約された。重症度が分からないいずれの有害事象も重篤と要約された。同様の方法論を研究薬への関連性に適用した。 治療によるベースラインからの変化についての臨床検査結果を記述的に表にした。正常範囲外の全ての臨床検査値のデータリストにフラグを立てた。体組織により患者を評価し、正常又は異常に分類した。ECGチャート及びQT間隔が入手できなかったので、ECGデータを解析しなかった。予定された各来診において用量レベル別の患者の数とパーセンテージによって肝毒性の要約を示した。
サンプルサイズはデクスメデトミジンの薬物動態プロファイルの決定に基づいた。定常状態濃度について50%の推定患者間変動に基づいて、36名の評価可能患者というサンプルサイズは、3つの用量群間におけるAUC及びCssの差異を検出するのに十分であった(α0.05、検出力80%)。各用量群に12名の評価可能患者を登録することになった。臨床集中治療室(clinical intensive care unit)(CICU)患者人口調査に基づき、登録者数を達成するには15カ月が必要であると推定した。
患者の素質を表36に要約する。
表36. 患者の素質−登録患者
Figure 2014528474
a 低用量デクスメデトミジン(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)。
b 中用量デクスメデトミジン(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)。
c 高用量デクスメデトミジン(1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。
d 高デクスメデトミジン用量群の2患者は研究を中断したのでITT集団に含めなかった。
38名の患者を研究に登録し、3つの治療群の1つに割り当てた:低用量デクスメデトミジン(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)、中用量デクスメデトミジン(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)、又は高用量デクスメデトミジン(1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。38名の登録患者のうち、3(7.9%)名は研究を早期に中断した。低用量デクスメデトミジン治療群の1名の患者は研究薬注入を完了した後に研究を中断した。高用量デクスメデトミジン治療群の2名の患者は早期に研究を中断し;これらの患者は薬物動態集団に含めなかった。38名の登録患者のうちの36名(94.7%)が治療を完了した。
研究に登録された38名の全ての患者は少なくとも1用量の研究薬を受け、安全性集団に含められた。36名の患者は少なくとも2時間のデクスメデトミジン注入を受け、主要薬物動態パラメータを計算するのに十分な濃度データを有し;これらの患者は薬物動態集団に含められた。ITT集団の36名の患者は治療を完了した。
早期に治療を中断した患者について記録した。プロトコル逸脱をも記録した。患者母集団の人口統計を病歴及び出生歴と共に収集した。前治療薬及び併用薬をも記録した。
デクスメデトミジン負荷量及び維持注入量の要約統計を下表37に示す。
表37. 用量関連データの要約統計
Figure 2014528474
2名の患者を薬物動態解析から除外した。両患者は高デクスメデトミジン用量群であった。36名の患者は薬物動態パラメータを計算するのに十分な濃度データを有し、薬物動態解析セットに含められた。治療を受け、プロトコルを遵守した患者はITT集団に含められた。薬物動態集団とITT集団には同一患者が含められ;従って、ベースライン特性の解析はITT及び薬物動態プロファイルの解析と同一であった。安全性集団について安全性プロファイルを解析し;38名の患者は少なくとも1用量の研究薬を受け、安全性集団に含められた。
薬物動態プロファイルは、0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベル間の直線性及び用量比例性を実証し;用量が増えるにつれて、AUC及びCmaxが比例して増えた。平均用量は、0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベルに対してそれぞれ、20.5、40.4、及び65.1μgとして与えられ、図示するように、それに応じて曝露が増加した。デクスメデトミジンのAUC0-inf、AUC0-t及びCmaxは0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベル間でポジティブな直線性を呈した。デクスメデトミジンの見かけのt1/2は、低用量、中用量、及び高用量についてそれぞれ2.33時間、2.12時間、及び3.05時間であった。3つの用量レベル間の幾何平均勾配及び95%信頼区間は、AUC0-infについては1.263(0.820,1.706)、及びCmaxについては0.898(0.652,1.143)であった。3つの齢群1〜<6カ月、6〜<12カ月及び12〜24カ月間で同様のポジティブ線形傾向が示された。
デクスメデトミジンの3つの用量の用量比例性を評価するための統計解析を下表38に提示する。与えられたAUC0-t、AUC0-inf、及びCmaxについて用量比例性を計算することができ、勾配の95% CIにこれらのパラメータの1つが含まれた。
Figure 2014528474
a 低用量デクスメデトミジン:0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入。
b 中用量デクスメデトミジン:0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入。
c 高用量デクスメデトミジン:1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入。
d 用量範囲にわたってlog(PKパラメータ)対log(用量)の線形回帰からコンピュータで推定勾配を計算した。
CI=信頼区間
冪乗適合モデルを用いて生成したAUC0-inf、AUC0-t、及びCmaxの予測平均曲線を図34A〜34Cに示す。
経時的な平均デクスメデトミジン濃度を図解する線形プロットを図35に示す。図35に示すように、3つの治療群の平均デクスメデトミジン濃度プロファイル(経時的)は類似した。デクスメデトミジンの平均血漿中濃度はデクスメデトミジンの用量増加に伴って増加する傾向があった。最高平均血漿中濃度は高用量デクスメデトミジン治療群で観察された。用量を増やすにつれてAUC及びCmax値が増加した。半減期値は用量レベルと無関係であった。低用量、中用量及び高用量コンビネーションの平均半減期値はそれぞれ2.33、2.12及び3.05時間であった。記述統計を利用してデクスメデトミジンの薬物動態パラメータを要約して表39に提示する。
Figure 2014528474

Figure 2014528474
a 低用量デクスメデトミジン:(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)。
b 中用量デクスメデトミジン:(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)。
c 高用量デクスメデトミジン:(1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。
d Tmaxは中央値(最小,最大)としてのみ示す。
CV=変動係数、ITT=包括解析、max=最大、min=最小、N、n=患者数、SD=標準偏差
齢についてのクリアランス及び体重調整クリアランスを図36に示す。齢の増加に対してクリアランス又は体重調整クリアランスに顕著な増加又は減少は観察されなかった。齢と薬物動態パラメータとの間ではさらに回帰解析を行なわなかった。
登録集団について治療期間中の各時点でUMSSを用いて測定した鎮静レベルの要約を表40に示す。全ての用量レベルについて患者は投与前から注入後2時間までに深い鎮静(UMSS 3〜4)を有し、4時間の注入後から注入終了に至るまで中程度のレベルの鎮静(UMSS 1〜3)を維持した。低用量では注入開始後30分、中用量では注入終了後8時間、並びに高用量では注入終了前30〜15分及び注入終了後60分に血漿中濃度とUMSSとの間に相関関係があった。UMSSによれば、3つの全てのデクスメデトミジン用量群について、ボーラス前/ベースラインと比べて注入後1時間に「覚醒不能」と分類された患者は少なかった。デクスメデトミジンの注入後の1時間後には、全ての用量群で鎮静レベルが低下した。患者は、注入時から注入後6時間まで鎮静が低下してきた。このことはデクスメデトミジンの3つの全ての用量で明白であり;ボーラス前/ベースラインに「覚醒不能」であった患者の発生率は、低用量、中用量、及び高用量デクスメデトミジン群についてそれぞれ91.7%、91.7%、及び83.3%であった。注入後6時間で、「中程度に鎮静/傾眠状態」の患者の発生率は、デクスメデトミジン用量群のそれぞれについて58.3%、41.7%、及び50.0%であった。
表40. 治療期間中の鎮静時点での鎮静レベル(UMSS)の要約−ITT集団

Figure 2014528474

Figure 2014528474
a 低用量デクスメデトミジン:(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)。
b 中用量デクスメデトミジン:(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)。
c 高用量デクスメデトミジン:(1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。
d P値はコクラン・マンテル・ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel)検定による。
注記:神経筋ブロックの持続注入のため患者33のUMSSスコアは適用できなかった。
ITT=包括解析(Intent-to-Treat)、--=該当なし、N=患者数、UMSS=ミシガン大学鎮静スケール
ITT集団について治療期間中の各時点での鎮静レベル(BISスコア)の要約を精査した。患者は、注入時から注入後6時間までに鎮静が低下してきた。このことはデクスメデトミジンの低用量及び中用量でより明白であり;ベースライン最大BIS値からの注入前平均変化は、低用量群及び中用量群の患者についてそれぞれ-1.0±9.72及び-5.8±13.22であった。注入後6時間では、ベースライン最大BIS値からの平均変化は、低用量群及び中用量群の患者についてそれぞれ12.7±28.52及び14.2±12.21であった。最高用量のデクスメデトミジンを受けた患者も時間と共にますます覚醒してきたが、ベースラインから注入後6時間までの平均変化は、より低い用量で観察されたより少なく;ベースライン最大BISスコアからの注入前平均変化は-8.2±13.43であり、注入後6時間では2.3±14.86であった。ITT集団について治療期間中の各時点でのSQIを要約した。SQI値は、ボーラス後/注入前に3つのデクスメデトミジン用量群間で類似しており、注入後16時間に至るまで常に安定したままであり;デクスメデトミジンの注入後16時間後に変動が大きかった。
UMSSスコアとデクスメデトミジン血漿中濃度との間の相関関係の解析を表41に示す。ピアソン相関関係を利用して血漿中のデクスメデトミジンとUMSSスコアのゼロ点補正を検定し、下記時点で有意な相関関係を観察した:低用量デクスメデトミジンの注入開始後30分(p=0.0266)、中用量デクスメデトミジンのEOI後8時間(p=0.0423)、並びに高用量デクスメデトミジンのEOI前30〜15分(p=0.0255)及びEOI後60分(0.0502)。これらの時点を除き、デクスメデトミジン血漿中濃度はUMSS鎮静スコアと相関しなかった。
Figure 2014528474

Figure 2014528474

Figure 2014528474

注記:治療群内で評価した相関関係p値(ピアソンの積率(Pearson product moment))。
a 低用量デクスメデトミジン(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)。
b 中用量デクスメデトミジン(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)。
c 高用量デクスメデトミジン(1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。
DEX=デクスメデトミジン、ITT=包括解析、max=最大、min=最小、N、n=患者数、SD=標準偏差、
UMSS=ミシガン大学鎮静スケール
UMSSスコアとデクスメデトミジン血漿中AUC0-tとの間の相関関係の解析を行なった。データ提示は臨床的に意味がなかった。
UMSSスコアとデクスメデトミジンの血漿からのClwとの間の相関関係の解析を行なった。低用量で最強の相関関係が観察され;注入前(p=0.0015)、注入後1時間(p=0.0191)、及び注入後12時間(p=0.0385)で有意な相関関係が観察された。高用量のデクスメデトミジンについも注入を中断した時に有意な相関関係が観察された(p=0.0295)。UMSSスコアとデクスメデトミジンのClとの間の相関関係の解析を行なった。UMSSスコアとデクスメデトミジンのクリアランスとの間の有意な相関関係は、低用量デクスメデトミジンについて注入前及び注入後12時間で観察された(それぞれp=0.0371及びp=0.0470)。
一次薬物動態パラメータを計算するのに十分な薬物動態データを有する患者だけを薬物動態解析母集団に含めた。一般に、欠測データは帰属させなかった。
低用量デクスメデトミジン(0.25μg/kg/時間)を受けた患者、及び中用量デクスメデトミジン(0.5μg/kg/時間)を受けた患者、及び高用量デクスメデトミジン(0.75μg/kg/時間)を受けた患者について、薬物動態サンプル収集時及びデクスメデトミジンに対するそれぞれの観測値を患者別に精査した。デクスメデトミジンについて自然対数変換値として薬物動態パラメータを精査した。デクスメデトミジンに対する観測値として表示された薬物動態パラメータをも精査した。
UMSSスコアとデクスメデトミジン血漿中濃度との間の相関関係の解析を表41に示す。反応への関連性を提示するデータはなかった。UMSSスコアとデクスメデトミジン血漿中濃度の有意な相関関係は下記時点で観察された:低用量デクスメデトミジンの注入開始後30分(p=0.0266)、高用量デクスメデトミジンの注入終了前30〜15分(p=0.0255)、及び中用量デクスメデトミジンの注入終了後8時間(p=0.0423)。
薬物動態プロファイルは、0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベル間で直線性及び用量比例性を実証し;用量が増すにつれて、AUC及びCmaxは比例して増加した。それに応じて用量増加を示すように、0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベルに、それぞれ20.5、40.4、及び65.1μgとして平均用量を与えた。デクスメデトミジンのAUC0-inf及びCmaxは、0.25〜0.75μg/kg/時間の用量レベルで用量に比例した。デクスメデトミジンの見かけのt1/2は、低用量、中用量、及び高用量レベルでそれぞれ、2.33時間、2.12時間、及び3.05時間であった。3つの用量レベル間の幾何平均勾配及び95%信頼区間は、AUC0-infについて1.263(0.820,1.706)、Cmaxについて0.898(0.652,1.143)であった。3つのデクスメデトミジン用量群間で、平均血漿中濃度、AUC0-t、及びAUC0-infの用量依存的増加が観察された。この研究ではデクスメデトミジンについてAUC0-t、AUC0-inf、及びCmaxの用量比例性を結論づけた。体重調整クリアランス対齢ではいずれの用量群についても注目すべき差異は観察されなかった。
患者は、全ての用量レベルについて投与前から注入後2時間まで深い鎮静(UMSS 3〜4)を有し、4時間の注入後から注入終了に至るまで中程度の鎮静レベル(UMSS 1〜3)を維持した。低用量では注入開始後30分、中用量では注入終了後8時間、並びに高用量では注入終了前30〜15分及び注入終了後60分で血漿中濃度とUMSSとの間に相関関係があった。
38名の患者は少なくとも1用量のデクスメデトミジンを受け、安全性解析セットに含まれた。2名の患者(高用量デクスメデトミジン治療群に割り当てられた)は研究治療を完了せず;これらの患者はITT又は薬物動態解析に含まれなかった。各治療群内の12名の患者(総計36名の患者)は研究薬注入を完了した。研究薬への曝露を表42に要約する。36名のITT患者に与えた平均用量は、0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベルについて、それぞれそれに応じて用量増加を示すように、20.5、40.4、及び65.1μgであった。注入用量の平均持続期間は、低用量レベル、中用量レベル、及び高用量レベルについてそれぞれ約9.1、10.0、及び11.2時間であった。
表42. デクスメデトミジンへの曝露(総用量)の要約−ITT集団
Figure 2014528474
a 低用量デクスメデトミジン:(0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入)。
b 中用量デクスメデトミジン:(0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入)。
c 高用量デクスメデトミジン:(1.0μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入)。
d 総用量は、負荷量と維持量の合計に等しい。
e 総用量の持続期間は負荷量と維持量の持続期間の合計である。
ITT=包括解析、max=最大、min=最小、N=患者数、SD=標準偏差
安全性集団の全38名の患者及び36名のITT患者は、デクスメデトミジンの初回用量を投与した時から研究薬投与の中断後24時間が経過するまでの間に少なくとも1回、治療下で発現した有害作用を経験した。33名の患者は、治療に関連すると考えられる治療下で発現した有害作用を経験した。治療下で発現した有害作用の最高発生率のSOCには血管障害SOC(低用量のデクスメデトミジンを受けているときに10患者[83.3%]、中用量のデクスメデトミジンを受けているときに10患者[83.3%]、及び高用量のデクスメデトミジンで治療中に14患者[100.0%])並びに代謝及び栄養障害SOC(低用量のデクスメデトミジンを受けているときに10患者[83.3%]、中用量のデクスメデトミジンを受けているときに12患者[100.0%]、及び高用量のデクスメデトミジンを受けているときに7患者[50.0%]);並びに心臓障害SOC(低用量のデクスメデトミジンで治療中に3患者[25.0%]、中用量のデクスメデトミジンで治療中に4患者[33.3%]、及び高用量のデクスメデトミジンで治療中に4患者[28.6%])が含まれた。
治療下で発現した有害作用の大多数は軽い強度とみなされた(低用量のデクスメデトミジンでは9患者[75.0%]、中用量のデクスメデトミジンでは9患者[75.0%]、及び高用量のデクスメデトミジンでは7患者[50.0%])。小割合の治療下で発現した有害作用は中程度の強度とみなされた(低用量のデクスメデトミジンでは2患者[16.7%]、中用量のデクスメデトミジンでは3患者[25.0%]、及び高用量のデクスメデトミジンでは7患者[50.0%])。低用量デクスメデトミジン治療群の1名の患者は、重篤とみなされる治療下で発現した有害作用を経験した。治療下で発現した有害作用の大多数は薬物に関連するとみなされた:低用量デクスメデトミジン(11患者、91.7%);中用量デクスメデトミジン(11患者、91.7%);及び高用量デクスメデトミジン(11患者、78.6%)。
171の治療下で発現した有害作用が安全性集団の38名の患者によって報告された。4名の患者(高用量群の3名と中用量群の1名)は、研究薬物の中断につながる治療下で発現した有害作用を経験した。死亡の結果として研究薬物を中断した患者はいなかった。最もよく報告された治療下で発現した有害作用は、高血糖及び高血圧であった。高血糖の発生率は、低用量及び高用量のデクスメデトミジンと比べて中用量のデクスメデトミジンで高かった(低用量デクスメデトミジン、83.3%;中用量デクスメデトミジン、100.0%;高用量のデクスメデトミジン、50.0%)。高血圧の発生率はデクスメデトミジンの3つの全用量群にわたって同様であった(低用量デクスメデトミジン、66.7%;中用量デクスメデトミジン、58.3%;高用量のデクスメデトミジン、71.4%)。
研究薬物関連の治療下で発現した有害作用の高血圧は最高の発生率で起こった(低用量デクスメデトミジン、66.7%;中用量デクスメデトミジン、58.3%;高用量のデクスメデトミジン、50.0%)。薬物関連の治療下で発現した有害作用の発生率は、デクスメデトミジン3つの全用量群にわたって同様であった。低デクスメデトミジン用量群及び中デクスメデトミジン用量群の患者が経験した治療下で発現した有害作用の大多数は軽い強度であった(低用量の9患者、75.0%;中用量の9患者、75.0%)。
低デクスメデトミジン用量群及び中デクスメデトミジン用量群では、より少ない割合の患者が、中程度の強度である治療下で発現した有害作用を経験した(低用量の2患者、16.7%;中用量の3患者、25.0%)。高デクスメデトミジン治療群では、より少ない割合の患者が、軽度及び中程度の両方の治療下で発現した有害作用を経験した;7患者、50.0%が軽度の治療下で発現した有害作用を経験し、7患者、50.0%が中程度の治療下で発現した有害作用を経験した。低デクスメデトミジン用量群において1つだけ重度の治療下で発現した有害作用が報告された。
25名の患者は、研究中に治験責任医師が軽度であるとみなした少なくとも1つの治療下で発現した有害作用を経験した。12名の患者は、強度が中程度とみなされた少なくとも1つの治療下で発現した有害作用を経験し、1名の患者は、強度が重度とみなされた少なくとも1つの治療下で発現した有害作用を経験した。研究中に1名の死亡が報告された。4名の患者は、治療薬物の中断につながる治療下で発現した有害作用を経験した。
3つのデクスメデトミジン用量レベル間の臨床検査結果、厳選した生命徴候(収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、体温、呼吸数)又は理学的検査所見には意味のある差異は存在しなかった。臨床的に有意な血液学的異常が低用量及び中用量の各デクスメデトミジン群で1名(8.3%)について(貧血)及び低用量デクスメデトミジン群で2名の患者(16.7%)について(血小板減少)が観察された。血小板減少を有した低用量デクスメデトミジン群の1名の患者を除き、これらの報告された有害作用は治療下で発現しなかった。全ての時点で高用量デクスメデトミジン治療群の患者については他の治療群に比べて大きな心拍数の平均変化が観察された。
化学実験室データにおいて有害事象とみなされた以下の臨床的に有意な異常が観察された:高カリウム血症(各用量群の1患者)、高ナトリウム血症(低用量群の1患者)、低カルシウム血症(低用量及び中用量の各群の1患者)、低血糖(低用量及び中用量の各群の1患者)、及び低カリウム血症(低用量及び中用量の各群の1患者)。
血管障害と関連する治療下で発現した有害作用には、高血圧(8患者、低用量;7患者、中用量;及び10患者、高用量)及び低血圧(5患者、低用量;5患者、中用量;及び10患者、高用量)が含まれた。注入後5時間(これを含めて)までに、心拍数についてベースラインからの変化の統計的に有意な治療差異が観察された。心拍数と関連する治療下で発現した有害作用には、低用量デクスメデトミジンを投与した3名の患者、中用量デクスメデトミジンを投与した1名の患者、及び高用量のデクスメデトミジンを投与した3名の患者の頻拍が含まれた。温度のベースラインからの変化の統計的に有意な治療差異は注入後28時間で観察された;ベースラインからの温度変化は、低用量、中用量、及び高用量のデクスメデトミジンでそれぞれ-1.43±1.559℃、0.30±0.265℃、及び1.46±1.041℃であり(p=0.008);いずれの他の時点でも有意な差異は観察されなかった。体温と関連する治療下で発現した有害作用には低体温(1患者、低用量及び2患者、中用量)、及び高熱(1患者、低用量及び1患者、高用量)が含まれた。呼吸数の臨床的に意味のある変化は観察されず、関連有害作用は報告されなかった。理学的検査所見は臨床的に有意とみなされず、有害作用として報告されなかった。7名の患者についてECG結果が有害作用として報告された。ECG関連有害作用には、虚血(2名の両方とも低用量群の患者)、ECG陰性T波(低用量群の1患者)、ST部分の上昇(低用量群の1患者)、徐脈(中用量群の1患者)、ECG変化(高用量群の1患者)、及び洞性徐脈完全心臓ブロック(高用量群の1患者)が含まれた。
SAPの定義どおりの肝毒性は低用量群の1患者(8.3%)(注入中断の24時間以内)、中用量群の1患者(8.3%)(注入後2〜4週間又は次の追跡調査来院時)、及び高用量の2患者(14.3%)(注入中断の24時間以内)で報告され;肝毒性に関係する有害作用は報告されなかった。この研究ではDLTを報告した患者はいなかった。
各デクスメデトミジン用量レベルの患者に追加の手術中鎮静薬としてフェンタニルを投与した。投与したフェンタニルの量は、中用量(69.32μg)、及び高用量(80.20μg)のデクスメデトミジンを受けた患者では低レベルを受けた患者(99.32μg)に比べて少なかった。手術後に、患者にフェンタニル、ミダゾラム、及びモルヒネ硫酸塩を投与した。追加鎮静薬のいずれについても受けた量に関して治療差異は観察されなかった。注入後観察されたほとんどの時点で、中用量レベルのデクスメデトミジンを受けた患者では、低用量レベルのデクスメデトミジンを受けた患者に比べて、追加の鎮静又は鎮静薬を受けた患者の割合が高かった。注入後のほとんどの時点について、デクスメデトミジン高用量レベルの追加の鎮静又は鎮痛薬を受けた患者の割合は低用量レベルに比べて少なかった。観察された注入後のいずれの時点でも、デクスメデトミジン用量レベルと患者に投与されたフェンタニル、ミダゾラム、及びモルヒネ硫酸塩の量との間に明白な関連性はなかった。
これは、心臓手術直後であり、術後期間に気管挿管と人工呼吸器を必要とした乳幼児におけるデクスメデトミジンの単回ボーラス用量後の24時間までの持続注入の単一施設相I用量漸増薬物、薬力学的研究であった。デクスメデトミジンは、青斑核内のα2Aアドレナリン受容体に起因する催眠及び抗不安特性を有する高度に選択的なα2作動薬である。デクスメデトミジンは1999年に最初は集中治療環境下で24時間まで挿管及び人工呼吸器装着患者の鎮静のために認可された。最近、デクスメデトミジンは手術その他の手技前及びその間に鎮静を必要とする成人の非挿管患者で用いる短期(<24時間)鎮静薬として認可された。心臓手術後状態の38名の乳幼児を3つの治療群に割り当てた:低用量デクスメデトミジン(12患者)、中用量デクスメデトミジン(12患者)、及び高用量のデクスメデトミジン(14患者)。各用量群で12名、すなわち36名の患者がデクスメデトミジン注入を完了した。患者は主に8.3か月の平均齢のコーカサス人(61.1%)であった。低用量デクスメデトミジン群の患者は0.35μg/kgのボーラス、0.25μg/kg/時間の注入を受け、中用量デクスメデトミジン群の患者は0.7μg/kgのボーラス、0.5μg/kg/時間の注入を受け、高用量デクスメデトミジンの患者は1μg/kgのボーラス、0.75μg/kg/時間の注入を受けた。デクスメデトミジン薬物動態パラメータの測定のため、ボーラス用量前からEOI時点後18時間に至るまで薬物動態サンプルを収集した。36名の患者が薬物動態集団に存在し;36名の患者が治療を完了した。注入中断後、かつ臨床ケアチームが患者を覚醒とみなすまで、BISモニターの定期的チェックにより本薬物の鎮静及び鎮痛特性を評価することができた。BISセンサーを取り外すまで、時間単位UMSSスコアをも評価した。
デクスメデトミジンの薬物動態評価のために観察した一次変量は、最大血漿中濃度(Cmax)、時間ゼロ〜最後の定量可能時点までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)、時間ゼロ〜無限大までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-inf)、最大血漿中濃度が観察された時間(Tmax)、終末消失速度定数(λz)、終末半減期(t1/2)、注入終了濃度(定常状態Css)、血漿クリアランス(Cl)、及び分布容積(Vd)であった。Cmax、AUC0-t、及びAUC0-infの平均値を解析して用量の比例性を実証した。この研究では齢範囲にわたってクリアランス及び体重調整クリアランスの明白な変化は存在しなかった。注入の中断後24時間まで持続的に1時間毎に薬力学的評価をモニターした。薬力学的評価には、心拍数、血圧、平均動脈圧、心調律、酸素飽和度、及び呼吸数が含まれた。BIS及びUMSSを利用して鎮静レベルを評価した。3つのデクスメデトミジン用量レベル間には収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、体温、呼吸数、又は理学的検査所見の意味のある差異はなかった。高いボーラス用量の投与ほど、深い鎮静レベル(BIS)をもたらした;ベースラインからの変化は、注入後6時間まで、高用量のデクスメデトミジンを受けた患者で、より低用量のデクスメデトミジンを受けた患者より少なかった。安全性集団の38名の患者のうち、全ての患者が、治療下で発現したと考えられる少なくとも1つの有害作用を経験した。33名の患者が、治療に関連すると考えられる少なくとも1つの有害作用を経験した。治療下で発現した有害作用の最高発生率のSOCには、血管障害SOC(低用量のデクスメデトミジンを受けているときに10患者[83.3%]、中用量のデクスメデトミジンを受けているときに10患者[83.3%]、及び高用量のデクスメデトミジンで治療中に14患者[100.0%])並びに代謝及び栄養障害SOC(低用量のデクスメデトミジンを受けているときに10患者[83.3%]、中用量のデクスメデトミジンを受けているときに12患者[100.0%]、及び高用量のデクスメデトミジンを受けているときに7患者[50.0%])が含まれた。この研究では、患者はDLTを経験しなかった。
この研究では、この研究の主目的によるアライメントにおいて、薬物動態(平均血漿中濃度、AUC0-t、及びAUC0-inf)及び鎮静レベルの用量依存性増加を実証した。調査したほとんどの時点で、試験したいずれの用量についても鎮静レベルと血清血漿中濃度、AUC0-t、又はAUC0-infとの間に有意な相関関係はなかった。さらに、UMSSスコアとデクスメデトミジンのクリアランス(体重調整した場合と体重調整しない場合)との間の相関関係は、試験した時点の大多数で観察されなかった。デクスメデトミジンは一般的に乳幼児の術後心臓患者に良い耐容性を示した。
心臓手術後の乳幼児に対するデクスメデトミジンの投与に関して以下の結論を導いた。
薬物動態プロファイルは、0.25、0.50及び0.75μg/kg/時間の用量レベル間の直線性及び用量比例性を実証した;用量が増えるにつれて、AUC及びCmaxが比例して増加した。
患者は、全ての用量レベルについて投与前から注入後2時間まで深い鎮静(UMSS 3〜4)を有し、4時間の注入後から注入終了に至るまで中程度の鎮静(UMSS 1〜3)を維持した。
低用量では注入開始後30分、中用量では注入終了後8時間、並びに高用量では注入終了前30〜15分及び注入終了後60分で血漿中濃度とUMSSとの間に相関関係があった。
この研究では調べた齢範囲にわたってクリアランス又は体重調整クリアランスの明白な変化はなかった。
大多数の時点で、デクスメデトミジンの血清血漿中濃度と鎮静レベル又はデクスメデトミジンのクリアランスとの間には相関関係は観察されなかった。
高用量デクスメデトミジン治療群の患者では、他の治療群に比べて心拍数のより大きい平均変化が観察された。
この研究で投与された量のデクスメデトミジンは一般的に良好な耐容性を示した。
3つの用量群間で安全性プロファイルに臨床的に意味のある差異は観察されなかった。
実施例6:小児患者のデクスメデトミジンの統合薬物動態データ
実施例1の研究、実施例3の研究、及び実施例5の研究の薬物動態データを統合した。デクスメデトミジンで治療を受け、かつ関連投与を伴う少なくとも1つの測定可能な血漿中濃度及びサンプルタイミング情報を有する患者のデータを含めた。実施例1では当初の30名の患者集団研究の対象のみを含めた。実施例5では、少なくとも2時間のデクスメデトミジンの維持注入を受け、かつ関連投与を伴う少なくとも1つの測定可能な血漿中濃度及びサンプルタイミング情報を有する患者からのデータのみを含めた。これらのデータについてデクスメデトミジンの母集団薬物動態解析を共変量評価を行なった。
実施例5及び実施例3の研究では全ての対象で完全プロファイル薬物動態サンプリングを行なった。実施例1の研究では、プロトコルが対象の齢と体重に基づいて指定した6又は7回血液を採取した。実施例1の研究では、アクセス不可でない限り、中枢又は末梢静脈又は動脈ラインを介して薬物動態解析用の血液サンプル(0.15mL)を収集した。アクセスできない場合は、毛細血管ドロー(capillary draw)(踵スティック(heel stick))からサンプルを収集した。適切な場合には、血液サンプルを注入部位の反対部位で引き出した。体重が2kg未満の群Iの対象は、負荷量終了時、維持注入開始後10〜14時間、維持注入終了時、維持後10〜30分、並びに維持後3〜4時間及び6〜10時間で採血した。体重が少なくとも2kgの群Iの対象は、負荷量終了時、維持注入開始後4〜8時間及び10〜14時間、維持注入終了時、並びに維持後10〜30分、維持後1〜2時間及び6〜10時間で採血した。群IIの対象は、負荷量終了時、維持注入開始後4〜8時間、維持注入終了時、維持後10〜30分、並びに維持注入後1〜2、3〜4時間、及び6〜10時間で採血した。
実施例5の研究では、薬物動態測定用の血液サンプル(1mL)を注入部位から離れた部位で採取した。下記スケジュールに従って採血した:負荷量前、維持注入開始後0.5、1、2、4〜6時間、維持注入終了前30〜15分、並びに維持注入終了後0.25、0.5、1、2、4、8、12、及び15〜18時間。
研究実施例3では、薬物動態測定用の静脈血液サンプル(1mL)を注入部位と反対の部位で採取した。下記スケジュールに従って採血した:負荷量前≦30分、負荷量終了前5分以内、維持注入開始後0.5、1、2、4〜6時間、維持注入終了前30分以内、並びに維持注入終了後10分、0.5、1、2、4、及び10時間。
抗凝固薬としてヘパリンを含むラベル付き管に血液サンプルを収集した。ヒト血漿中のデクスメデトミジンの定量化に有効な高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を利用した。定量化の下限(LLOQ)は、実施例5の研究では4.24pg/mL、研究実施例3では30.24pg/mL、及び実施例1の研究では29.97pg/mLであった。研究実施例3及び実施例1の研究のため、必要に応じて、投与情報、薬物動態サンプリング情報、デクスメデトミジン濃度、及び共変量データを統合して、初回用量の開始時から最後の血液サンプルの時間まで各対象について関連事象の時間順シーケンスを、解析にすぐに使える(analysis-ready)データセットに構築した。研究実施例3及び実施例1の研究用の解析にすぐに使えるデータセットを、実施例5の研究用に補充した解析にすぐに使えるデータセットと共に整えた。
デクスメデトミジンの薬物動態パラメータの変動性を説明するために選ばれる可能性のある共変量を探索した。検診来院時に以下の時不変(定常的)人口統計学及び臨床共変量を決定した。これらは治験の持続期間中一定のままであると仮定した。
・体重、kg
・齢、年
・アラニンアミノトランスフェラーゼ、U/L
・総ビリルビン、mg/dL
・民族性:1=コーカサス人、2=黒人、3=アジア人、4=ネイティブアメリカン、5=ヒスパニック、6=その他
・性別:0=男性、1=女性
・心臓生理機能:0=両心室、1=単心室
・手術前24時間若しくは手術中又は治療期間中のグルクロン酸抱合経路阻害薬の併用:0=いいえ、1=はい
・静脈内アルブミン注入:0=いいえ、1=はい
・心肺バイパス使用:0=いいえ、1=はい
・在胎期間:1=早期(≧28〜<36週間)、0=満期(≧36〜≦44週間)及び
・サンプリング部位、0=静脈、1=動脈、2=毛細血管(踵スティック)。
実施例1の研究だけサンプリング部位を記録し、この情報を記録しない研究では静脈であると想定した。併用代謝誘発物質の効果は、実施例5の研究で特定したように(すなわち、手術前24時間)過去の薬歴収集の制限された時間枠のため探索できなかった。実施例5の研究からはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及び血清アルブミンデータを入手できなかったので、これらを可能な共変量とみなさなかった。
デクスメデトミジンはCYP2A6の基質であるが、CYP2A6の阻害に関する包括的文献の概説は、このCYP酵素を阻害することが分かっている非常に限られた数の市販薬を同定した。これらの薬剤の小児集団での使用の可能性を考えたとき、この因子のさらなる共変量評価は不要と判断した。
SASのバージョン9.1以降をデータ準備、要約統計、及び図示のために使用した。必要に応じて、要約統計をコンピュータ処理して平均値、中央値、標準偏差、及び他の尺度を含めた独立及び非独立変量を記述した。コンピュータプログラムNONMEM(R)、バージョンVI、レベル2.0を用いて母集団薬物動態モデリングを行なった。LinuxのOpenSUSE 10.2ディストリビューションを起動するIntel x86コンピュータでNONMEM解析を行なった。使用したフォートランコンパイラはGNUフォートランコンパイラ、GCCのバージョン3.3.5コンパイラの一部であった。
各解析のため、NONMEMは目的関数の最小値(MVOF)、データの対数尤度のマイナス2倍に比例する統計値をコンピュータ処理する。階層的モデルの場合、パラメータの包含により生じたMVOFの変化は、モデルに加えられたか又はモデルから消去されたパラメータ数に等しい自由度数で漸近的にχ2分布している。モデル開発プロセスの全段階で、相互作用を考慮した条件付一次近似(first-order conditional estimation)(FOCE)法を用いた。
解析データセットから種々のグラフ及び表を作成して予測モデルに関するデータの情報内容を理解し、極値及び/又は可能性のある外れ値を検索し、データの可能性のある傾向を評価し、かつデータ操作及び解析データセットの生成に何かエラーが生じたかを判断した。また、この探索解析を用いて被験モデルの妥当性を確認し、モデル仮定を検証した。データ可視化技術を用いて、解析中に有意な偏りを引き起こした可能性のあるパターン及び極値を検索した。外れ値は、特定対象の測定された残りの観察結果のから有意に逸脱している異常な観察結果と定義された。デクスメデトミジンの薬物動態モデルの開発のためにたどった一般的手順の概要を以下に述べる。
1. 探索的データ解析。
2. 統合された実施例5の研究データと研究実施例3のデータを用いて実施例5で最初に開発されたデクスメデトミジン母集団薬物動態モデルの共変量解析を含めた改良。
3. 実施例1の研究からのデータを利用できるようになり、かつ以前のデータと共にそれらを統合した後のデクスメデトミジン母集団薬物動態モデルのさらなる改良。共変量が薬物動態パラメータに及ぼす影響を再評価した。
4. 予測補正視覚的予測チェック(visual predictive check )(VPC)手順を用いる最終モデル評価。共変量サブモデルの効果の多重共線性又は交絡の可能性を回避するため、共変量間の相関関係を調べた。全ての連続共変量のペアワイズ散布図及び連続共変量対カテゴリー変量のボックスプロットを生成した。この母集団では相関すると予想された体重と齢を除き、どんな場合にも同一のパラメータ-共変量モデルには2つの高度に相関する共変量を含めなかった。
デクスメデトミジンの線形オープン2-コンパートメントモデルを可能な基本構造モデルとして最初に試験した。ランダム効果の適切な特徴づけを決定するため、このモデルを実施例5及び実施例3の研究から得たデクスメデトミジン濃度データに基づいて改良した。このモデルには素質パラメータに対する体重、齢、CPBに関する時間、及び心臓生理機能(単心室又は両心室)の効果が含まれたが、この解析のために最初に評価した基本構造モデルは、該効果がモデルの安定性を達成するために必要でない限り、共変量効果を含めなかった。体重及び齢の効果は、この患者集団の特徴づけ及びそれらの可能性のある薬物動態への影響を与えられた基本構造モデルの一部とみなされると仮定した。実施例1の研究からのデータを利用できるようになったとき、統合データセットに母集団薬物動態モデルを当てはめて再改良した。薬物動態パラメータへの共変量の影響を再評価した。
共変量解析を行なって薬物動態モデルパラメータのデクスメデトミジン変動と推定個体間変動(interindividual variability)(IIV)の測定可能ソースを探索した。表43は、共変量効果を考慮したパラメータをリストアップする。
Figure 2014528474
図表及び統計アプローチを利用して共変量モデルを開発し、それらの関係及びそれらの統計的有意性の数式を評価した。基本構造薬物動態モデルの開発後、デクスメデトミジンのために選択された薬物動態パラメータへの共変量の影響を単変量的に評価した。CL及びVcにおける不明なIIVと共変量との関連性を示す診断プロットを調査して、可能性がある傾向、並びにパラメータ-共変量の関連性のために試験すべき適切な関数形(例えば、線形、冪乗、又は指数関数)を調べた。興味のあるパラメータにおけるMVOFの少なくとも3.84の変化(α=0.05、χ2-分布について1自由度)及びIIVの5%減少に寄与する共変量をモデルに含め、この過程を繰り返した。前進選択の完了後に完全多変量モデルのIIVについてのエラーモデルを再評価した。
全ての調整後に進められた単変量後進除去をエラーモデルに行なった。共変量は、モデルから除去されたときにMVOFの少なくとも10.83の変化に寄与した場合(α=0.001、χ2分布について1自由度)に有意とみなされ、モデルに保持された。全ての有意な共変量を有する既約(reduced)多変量モデルをIIV及び残差変動(RV)エラーモデルのいずれの残存する偏りにつても評価した。パラメータの不明IIV対全ての共変量の診断プロットを評価して、共変量モデルのいずれの欠点又は偏りをも検出し、かつ可能性のある関連性が該モデルによって十分に説明されなかったことを示し得る傾向が確実に残らないようにした。線形関数に変換できる冪乗関数のような共変量関数の可能な単純化(冪乗項が約1.0)或いはより少ない群又はパラメータを用いて再定義できる有意な離散群共変量についてモデルをチェックした。適合度診断プロットをモデルミスフィットについて調べた。
シミュレーションに基づいた予測補正VPC法を用いて最終モデルの妥当性を評価した。最終モデルを用いて、NONMEMで解析データセットを1000回反復シミュレートした。興味のある統計量を比較のためシミュレートデータと観測データから計算した;例えば、時間、治療群、及び齢の離散瓶(範囲)内のデクスメデトミジン濃度の分布の第5、第50(中央値)、第95パーセンタイルを計算した。次にこれらのシミュレート濃度のパーセンタイルを維持注入終了以来の時間に対してプロットした。最初の観測データセット及び/又は観測データに基づいたパーセンタイルを重ね合わせて、モデルに基づいたシミュレートデータと観測データとの一致を可視的に評価した。
これらの研究で用いた用量の広い範囲及び齢(及び体重)に関する対象のスペクトラムのため、Bergstrand, et alが示唆しているように、時間、治療群、及び齢別に定義された瓶を有する予測補正VPCを利用した。(AAPS J. 2011;13(2):143-151参照)。この技術は、用量又は他の影響力のある共変量における可能性のある大きな変動の全域で瓶に分けるとき通常のVPCに導入される変動を除去することによって、可能なモデルの定式化ミスを診断する能力を向上されることができる。131名の対象及び3つの研究から総計1448のデクスメデトミジン濃度記録を受けた。除外後、これらの研究の120名の対象から収集した1279のデクスメデトミジン濃度が解析に利用可能であった(表44)。
表44. 母集団薬物動態解析に含まれた各研究のデータの性質
Figure 2014528474

Figure 2014528474
表45は、解析に含まれた対象及びデクスメデトミジン濃度の数を研究及びランダム化治療群別に要約する。
表45. 研究及びデクスメデトミジン治療群別の対象及びデクスメデトミジン濃度の数の要約
Figure 2014528474
全体的及び研究別の対象の人口統計特徴を表46に示す。
表46. 対象の人口統計特徴の研究別の要約
Figure 2014528474
全体的に、半分よりわずかに多い対象が男性であり(55%)、年齢中央値は1.56歳(0.01〜16.97年の範囲)及び体重中央値は10.35kg(1.12〜99kgの範囲)であった。対象の過半数がコーカサス人(55%)であった。大部分、3つの研究で提示した齢と体重の範囲は、研究間でこれらの特徴がほとんど又は全く重ならない非常に小さい乳幼児からほぼ成人までの一連の成熟及びサイズを含む。表47に示すように、アラニンアミノトランスフェラーゼレベル中央値は対象全体で21.0U/Lであり、実施例5の対象の中央値(24.0U/L)は実施例3対象の中央値(19.0U/L)及び実施例1対象の中央値(19.5U/L)に比べてわずかに高かった。全群の総ビリルビンの中央値は0.5mg/dLであったが、実施例1の対象の総ビリルビンレベルはかなり高かった(総ビリルビンレベル中央値4.65 mg/dL)。
表47. 研究別の臨床検査値の要約
Figure 2014528474
表48は対象の心臓状態(心肺バイパス及び心室生理機能)、アルブミン注入又はグルクロン酸抱合経路阻害薬であることが知られている薬物の投与、及びデクスメデトミジン濃度の薬物動態解析のための採血部位の要約統計を示す。
表48. 心臓状態、併用薬、及び薬物動態サンプリング部位の要約
Figure 2014528474
実施例5の全ての対象及び実施例3のほとんどの対象(70.7%)は心肺バイパス術を受けたが、実施例1の研究では相対的に少ない対象(19.2%)がこの手技を受けた。単心室生理機能の対象は実施例5の研究にのみ存在した(52.8%)。全体的に、大部分の対象(84.2%)はアルブミン注入を受けず、89.2%の対象は、グルクロン酸抱合経路阻害薬であることが知られている併用薬を手術24時間前、手術中、又はデクスメデトミジン治療中に受けた。
実施例1、3、及び5の研究のために予め規定されたスケジュールに従って負荷用量の前後、維持注入の開始近傍及び維持注入中、並びに維持注入の中断後にデクスメデトミジン濃度決定用の血漿サンプルを採取した。個々の対象毎に寄与した血漿中デクスメデトミジン濃度数は研究を通じて1〜13に及び、実施例5では対象当たり最もサンプルが多く(10〜13、中央値13)、実施例3では対象当たり同様の量であり(1〜12、中央値12)、予想どおり、実施例1で最も少なかった(5〜7、対象毎のサンプルの中央値7)。負荷量と維持注入の両方についてのデクスメデトミジン用量の全体的範囲は大きかった(それぞれ56ng〜140,000ng及び357ng〜828,800ng)。デクスメデトミジンの負荷量と維持注入量の要約統計は表5A、27A、及び37に示してある。
全ての治療群にわたって見ると、実施例1、3、及び5の研究の総デクスメデトミジン用量中央値はそれぞれ2184ng、36,011ng、及び120,550ngであった。負荷量の注入持続時間(ほとんど全ての治療群で中央値0.167時間)及び維持量の注入持続時間(ほとんど全ての治療群で約6時間〜9時間に及ぶ中央値)は研究を通して全く一貫していた。
図16A〜Cは、3つの研究の各治療群について血漿中デクスメデトミジン濃度対負荷量注入開始以来の時間の線グラフを示す。図17A〜Cには、デクスメデトミジン濃度対維持注入終了以来の時間の線グラフを各治療群について示してある。注入終了後に測定した濃度に基づき、これらのプロットは、2-コンパートメントモデルがこれらのデータを表すのにおそらく十分であることを示唆している。この知見は、乳幼児におけるデクスメデトミジンの母集団薬物動態を説明する以前の報告と一致するが、他のタイプのモデルをさらに調査した。
図18A〜Bは、用量正規化デクスメデトミジン血漿中濃度対維持注入終了以後の時間の研究別に層別化された片対数散布図を示し、デクスメデトミジン薬物動態が一般的に実施例3及び実施例5の研究の治療群にわたって類似したことを実証する。これらのプロットに平滑化スプラインを用いて各治療群内の経時的傾向を説明する。実施例1の研究の最低用量群(0.05mg/kg+0.05mg/kg/時間)においてより高い用量正規化デクスメデトミジン濃度に向かう傾向のようであるが、そのパターンは0.10mg/kg+0.10mg/kg/時間及び0.20mg/時間+0.20mg/kg/時間の用量群ではあまり明白でない。
実施例5及び実施例3の研究内のBLQサンプルの割合は全く類似しているが(各研究で10%よりわずかに少なく、それぞれ全体的に3%及び5%である)、実施例1の研究ではBLQであるサンプルの割合がずっと高い(この研究の40%であり、全体的に5%)。BLQサンプルはデータベースに残し、個々の研究でデクスメデトミジン濃度を決定するために用いたアッセイのLLOQの1/2の値に設定した。
モデル開発のためには実施例3及び実施例5の研究からび統合データを最初に使用した。以前のモデリング努力及び探索解析結果(特に、デクスメデトミジン濃度対時間の散布図)に基づいて、2-コンパートメントモデル、並びに1-及び3-コンパートメント線形モデルをデータに当てはめた(Su et al.参照)。乳頭状2-コーンパートメントモデルがデータを最もよく表し、指数誤差モデルを用いてCL、Vc、Q、及びVpの容積についてIIVを推定した。変動誤差モデルの混合相加かつ一定係数を用いて各研究について別々に残差変動を推定した。
文献の勧告に基づいて、クリアランス及び容積パラメータのため体重スケーリング用の固定非比例的指数部を含めた(CL及びQでは0.75、Vc及びVpでは1.0)。これらの標準指数部は、体重の増加につれてCL及びQの比例的より少ない増加及び体重の増加につれてVc及びVpの比例的な増加を予測する。これらの2つの研究のデータを説明する基本構造薬物動態モデルには、齢とVpとの間の負の直線関係、並びに齢とQを関連付ける負の冪乗関数をも含めた。
薬物動態パラメータ推定値及び2-コンパートメントモデルのこれらのデータへの当てはめのための推定値の標準偏差を表49に示す。
表49. 実施例5及び実施例3のデータのみを用いて開発したデクスメデトミジン薬物動態モデルから得たパラメータ推定値及び標準偏差
Figure 2014528474
略語:CL、消失クリアランス;IIV、個体間変動;NA、該当なし;%CV、パーセンテージとして表される変動係数;%SEM、パーセンテージとして表される平均値の標準誤差;Q、コンパートメント間クリアランス;RV、残差変動;Vc、中心コンパートメントの容積;Vp、末梢コンパートメントの容積;WTKG、kgでの体重。
Figure 2014528474
e 残差変動推定値を分散として表す。実施例5のRVに対応する%CVは、2.12ng/Lでの108%CV(アッセイ下限の1/2)〜700ng/Lでの19%CVに及ぶ。
f 残差変動推定値と分散として表す。実施例3のRVに対応する%CVは、15.12ng/Lでの79%CV(アッセイ下限の1/2)〜2000ng/Lでの27%CVに及ぶ。
VpのIIVを除き、ほとんどのパラメータを妥当な精度(パーセンテージとして表される平均値の標準誤差[%SEM]<34%)で推定した。VpのIIVについてはわずかに低い精度で評価した(%SEM=56.7%)。診断プロットは、明らかな偏りなしでデータに対して良い適合を示したが、注入終了後10時間超えて測定した濃度の予測度はわずかに低いかった。この予測低下は、アッセイの定量限界未満のレベル(この場合、観測データはアッセイ限界の1/2の値に固定された)での後期サンプルの予測のためであり得る。
実施例3及び実施例5の統合データセットに実施例1のデータを加えてモデル開発を続けた。実施例5及び実施例3のデータを用いて開発したモデルを実施例1を含めた統合データセットに当てはめると、最初は多くのパラメータ間で高い相関関係が観察された。他の2つの研究の年長の対象に比べたときの実施例1の対象の体重及び年齢の差異のため、次に体重の非比例的関数のみを含むモデルを評価し、以前のモデルに含まれた年齢の相加効果を除去した。このモデルをまず統合データセットで改良した後、次に種々の薬物動態パラメータに対する成熟の効果に取り組んだ。
デクスメデトミジン薬物動態に対する成熟効果の評価では、非比例的指数部のシフトを早期産対象(すなわち、実施例1の在胎期間≦28週間の対象)、並びに新生児(すなわち、在胎期間に関係なく1カ月齢未満の対象)について他の全ての対象と比べて検証した。新生児のCL及びVcの非比例的指数部のシフトはMVOFの最も大きい減少(約48点)及びパラメータ推定値の良い予測を伴ったので、モデルに残した。さらにQ及びVpは両方とも齢に統計的に有意に関連することが分かった。冪乗関数を用いてこれらのパラメータと齢との間の負の関連性を記述した(すなわち、両パラメータは齢の増加と共に減少する)。
実施例1、3、及び5の統合データセットについての最終基本構造薬物動態モデルは、指数誤差モデル、各研究の変動RVモデルの別々の相加かつ一定係数、クリアランス及び容積パラメータに関する固定非比例的指数部(上述したとおり)(新生児についてはCL及びVc指数部に相加シフトがある)、冪乗関数で記述されるQ及びVpへの齢の効果(両方とも齢が増すにつれて減少する)、並びにCLとVpに関するIIV、及びQとVcに関するIIVについての共変量パラメータを用いてCL、Q、Vc、及びVpについて推定したIIVを伴う2-コンパートメントモデルであった。最終基本構造2-コンパートメントモデル及び標準誤差を表50に示す。
表50. デクスメデトミジン基本構造モデルからのパラメータ推定値及び標準誤差
Figure 2014528474
略語:CL、消失クリアランス;IIV、個体間変動;NA、該当なし;NEO、新生児の連続変量;%CV、パーセンテージで表される変動係数;%SEM、パーセンテージで表される平均値の標準誤差;Q、コンパートメント間クリアランス;RV、残差変動;Vc、中心コンパートメントの容積;Vp、末梢コンパートメントの容積;WTKG、kgでの体重。
Figure 2014528474
e 残差変動推定値を分散として表す。実施例1のRVに対応する%CVは、14.97ng/Lでの51%CV(アッセイ下限の1/2)〜200ng/Lでの44%CVに及ぶ。
f 残差変動推定値を分散として表す。実施例5のRVに対応する%CVは、2.12ng/Lでの112%CV(アッセイ下限の1/2)〜700ng/Lでの19%CVに及ぶ。
g 残差変動推定値を分散として表す。実施例3のRVに対応する%CVは、15.12ng/Lでの75%CV(アッセイ下限の1/2)〜3000ng/Lでの26%CVに及ぶ。
新生児のVcの非比例的指数部の比例シフトのパラメータを除き(56.7%の%SEM)、他の固定及びランダム効果モデルパラメータは全て妥当な精度で推定された(ほとんどの%SEM<40%)。実施例1、3及び5の統合データセットの基本構造モデルについて適合度プロットを図19A〜Bに示す。診断プロットは、統合データへの良い適合及び実質的な偏りがないことを示している。
以下の共変量をCL及びVcについて調べた:性別、民族性、心肺バイパス使用、アルブミン注入(存在)、及びサンプリング部位(動脈対静脈対毛細血管)。以下の共変量はCLについてのみ調べた:アラニンアミノトランスフェラーゼ、総ビリルビン、グルクロン酸抱合経路阻害薬(存在)、及び心臓生理作用(単心室対両心室)。民族性の効果は、コーカサス対ヒスパニック対全ての「その他」人種群(アジア人、黒人)(サンプルサイズが小さいため混ぜ合わせた)としてモデル化した。NONMEMで線形及び冪乗モデルを用いて各連続共変量を検定した。カテゴリー共変量は相加シフトを用いて検定した。δパラメータプロットを生成して、CL又はVcに残存する不明IIVと興味のある共変量との間の可能な関連性を図示した。おそらくパラメータ-共変量の関連性を示す明白な傾向は見られない。さらに、齢及び体重についてのプロットの傾向の欠如はこれらの因子が、非比例的体重の関連性及び成熟の相加効果を含む基本構造モデルにおいて十分に斟酌されていることを示唆している。いくつかの共変量の効果(CLへの総ビリルビン、アルブミン注入、及びアラニンアミノトランスフェラーゼ)は統計的に有意であったが(それらをモデルに含めた後のMVOFの減少に基づいてP値<0.05)、これらのどの共変量効果もCLのIIVの≧5%の減少を伴わなかった。
単変量前進選択結果の結果として、基本モデルにさらに共変量を追加しなかった。従って、後退消去(backward elimination)工程を行なわず、次にこの基本モデルをさらに改良及び単純化するために評価した。次に、前進選択後の基本構造モデルを、これらのデータを十分に特徴づける最も適切かつ簡潔なモデルを同定するための努力において可能な単純化について調べた。新生児のVcへの非比例的指数部のシフトの除去は1.991という統計的に有意でないMVOFの増加をもたらしたので(P値>0.05)、モデルから除去した。実施例1のRVモデルの、変動誤差モデルの一定係数へのさらなる単純化をも行なった:この単純化も1.331という統計的に有意でないMVOFの増加を伴った(P値>0.05)ので実行した。
適合度診断プロットをモデルのミスフィットについて調べた。Beals M3法及び一連の最初のBLQサンプル後のBLQサンプルの除外を含め、BLQサンプルを取り扱うためのいくつかの代替法をも評価したが、これらの試みは最小限にしか成功せず、或いはモデル改善をもたらさなかった。全ての外れ値を含め、モデルのさらなる評価の結果、最小化はうまくいかなかった;従って、モデル開発中に外れ値と同定した観察結果は永久的に除外した。最終薬物動態モデルを用いて、解析データセットを反復1000回シミュレートするシミュレーションベース予測補正VPCを行なった。このVPC法を利用して、広範な用量及び対象の齢/体重に起因する変動性を除去することによって可能なモデル特定化ミスを診断する能力を改善した。従って、予測補正の目的で、注入終了以来の時間、デクスメデトミジン治療群、及び年齢に基づいた個別瓶を規定した。
図20は、観測デクスメデトミジン濃度対維持注入の終了以来の時間に重ね合わせた1000のシミュレーションデータから導いた90%予測区間を示す。維持注入終了前に測定した濃度は、維持注入終了以来の時間に対して負の値で表示してある。観測データの大多数は予測区間内に入る。第5パーセンタイル未満の観測濃度のパーセンテージは6.3%であり、第95パーセンタイルを超える観測濃度のパーセンテージは4.7%であった。VPCは、シミュレーションデータ(モデルに基づいた)を生データと比較することによって、全体的なモデル適合に明白な偏りがないことを示している。
図21は、観測された予測-補正の第5、第50、及び第95パーセンタイルとモデルに基づいたシミュレーションデータとの比較を示す。このプロットもシミュレーションベースデータと観測データとの間の高度の信頼性を確証し、観測データ及びシミュレーションデータの第50パーセンタイルは時間の全範囲にわたって非常によくたどっている。VPCの目的で、シミュレーション濃度を観測濃度と同一様式で処理し、それによって研究のアッセイ限界未満の値を適切な限界の1/2に設定した。
最終母集団薬物動態モデルは、指数誤差モデル、クリアランス(CL及びQについて0.75)及び分布容積(Vc及びVpについて1.0)パラメータに関する固定非比例的指数部(新生児についてはCL及びVc指数部に相加シフトがある)、冪乗関数で記述されたQ及びVpに対する齢効果(両方とも齢が増すにつれて減少する)、CLとVpに関するIIV、及びQとVcに関するIIVについての共分散用語、研究実施例3及び実施例5の変動誤差モデルの別々の相加プラス一定係数、並びに実施例1の研究の変動誤差モデルの一定係数を用いてCL、Q、Vc、及びVpについて推定したIIVを伴う2-コンパートメントモデルであった。
デクスメデトミジンについての最終母集団薬物動態モデルのパラメータ推定値を表51に提供する。
表51. デクスメデトミジン最終母集団薬物動態モデルからのパラメータ推定値及び標準誤差
Figure 2014528474
略語:CL、消失クリアランス;IIV、個体間変動;NA、該当なし;NEO、新生児の連続変量;%CV、パーセンテージで表される変動係数;%SEM、パーセンテージで表される平均値の標準誤差;Q、コンパートメント間クリアランス;RV、残差変動;Vc、中心コンパートメントの容積;Vp、末梢コンパートメントの容積;WTKG、kgでの体重。
Figure 2014528474
e 残差変動推定値を分散として表す。実施例1のRVに対応する%CVは46%CVである。
f 残差変動推定値を分散として表す。実施例5のRVに対応する%CVは、2.12ng/Lでの111%CV(アッセイ下限の1/2)〜700ng/Lでの19%CVに及ぶ。
g 残差変動推定値を分散として表す。実施例3のRVに対応する%CVは、15.12ng/Lでの75%CV(アッセイ下限の1/2)〜3000ng/Lでの26%CVに及ぶ。
全ての固定効果パラメータが良い精度で推定されたが(%SEM<20%)、Qと関連するパラメータは精度がわずかに低かった(約40%の%SEM)。ランダム効果も良い精度(多くの%SEM<25%、%SEM=37%であるQのIIVは除外)で推定された。CL、Vc、及びVpの個体間変動は中程度であり、35%CV〜55%CVに及んだ。Qの不明IIVは、163%CVで非常に高かった。全体的に、RVは実施例5のデータで最低であり(約19%CV)、実施例3のデータでわずかに高かったが(26%CV)、両研究では、変動RVモデル低部でかなり大きく、濃度レベルに関係なく、相対的に高い46%CVという推定値を有する実施例1のデータを十分に説明することが分かった。
典型的になデクスメデトミジンパラメータ値とモデルに含まれる対象因子との間の関連性を示す方程式を方程式1、方程式2、方程式3、及び方程式4で提供する。
Figure 2014528474
式中:
CLjは、第j対象のデクスメデトミジンクリアランスのモデルにより予測された典型値であり、
Vcjは、第j対象の中心コンパートメント間のデクスメデトミジン容積のモデルにより予測された典型値であり、
Qjは、第j対象のデクスメデトミジンコンパートメント間クリアランスのモデルにより予測された典型値であり、
Vpjは、第j対象の末梢コンパートメントのデクスメデトミジン容積のモデルにより予測された典型値であり、
jは、第j対象の年での齢であり、
WTKGjは、第j対象のkgでの体重であり、かつ
NEOjは、新生児対象では値1であり、その他は値0である連続変量である。
このモデルの適合度プロットを母集団全体について図22A〜22Dに与える。データセット全体のレベルでは、これらの診断プロットは、モデルのデータセットへの合理的に不偏性の適合を示しているが、注入終了後10時間以降に収集したサンプルはわずかに低い予測である。このことは、重み付け残差対注入終了以来の時間のプロットにおける10時間後の正の重み付け残差と関連する点のグルーピングで明らかである。さらに、これらのプロットは、個々の重み付け残差対個々の予測濃度のプロットにおける傾向又はパターンの欠如に基づいてRVに合わせて選択されたモデルへの支持を与える。治療群及び対象の年齢範囲にわたってモデルの妥当性をさらに実証するため、治療群及び年齢群によって層別化されたさらなる適合度プロットを作製した。いくつかの治療群及び年齢群は非常に小さいサンプルサイズとなるが、これらのプロットは用量レベル又は年齢レベルの範囲にわたってミスフィット又は偏りの実質的な持続性傾向を示さなかった。経験的ベイズの推定値分布の縮小の計算は、推定値が全て低縮小を示すので(すなわち、CLでは3.5%、Vcでは13.7%、Qでは13.7%、Vpでは12.6%)、いずれの薬物動態パラメータについても過剰な縮小への懸念がないとを示唆している。
これらの項のペアワイズ散布図を図25に与える。これらのプロットは、CLとVpのIIV間及びQとVcのIIV間のモデル化相関関係、並びに他の項対間には実質的に関連性がないことを実証する。
3つの研究の統合データを用いるデクスメデトミジンの最終基本構造薬物動態モデルが、クリアランス及び容積パラメータに関する固定非比例的指数部、新生児についてのCL及びVc指数部に関する相加シフト、並びにQ及びVpへの年齢効果を有する2-コンパートメントモデルであった。CLには0.75及び容積項には1という固定係数を用いる非比例的体重調整は、基本生理機能に関連し得るよく説明された科学的枠組みに基づいており、小児薬物動態解析では頻繁に用いられている。非比例的係数を固定したので、齢に基づいた成熟についてはサイズの効果から描写することができた。実施例1の研究データを解析に含める場合、新生児群にはCL及びVcに関するシフトを含めてこれらの最若対象だけに成熟について補正した。さらに、Q及びVpに対して齢の効果(齢の増加に伴って減少)を全ての対象についてモデルに含めた。このことは、薬物分布に影響する体内水分及び脂肪の比率の既知の齢依存性変化と一致している。全体的に、この共変量アプローチは、以前に文献で示唆されているように、まずサイズを固定非比例的指数部として固定してから成熟を描写するために齢を使用することによって、サイズと齢との間の共直線性による問題を回避した。
臨床的関心及び生理的妥当性に基づいてさらなる共変量効果をデクスメデトミジンCL及びVcについて試験したが、モデルに含めるために前もって特定された基準を満たす効果はなかった。直視下心臓手術後の乳幼児(1〜24月齢)の以前に開発された2-コンパートメント母集団薬物動態モデルでは、重要な共変量効果にCL、Q、Vc、及びVpへの体重の固定非比例的効果に加えて、CLとVcへの総バイパス時間及びCLへの心室生理機能(1-又は2-心室)が含まれた。これらの2つの解析間の所見の差異に寄与し得るいくつかの因子がある。
Su et al.は、共変量選択のための完全モデルアプローチを使用したが、現解析は、統計的有意性とIIVの5%低減の両方の達成を必要とするかなり厳密な基準で、段階的仮説検定を利用した(Anesth Analg. 2010;110(5):1383-1392参照)。共変量評価に利用できるデータもSu et al.とは異なった。Su et al.は、総バイパス時間を連続変量として重要な共変量であると判断したが、現解析は、存在又は存在の欠如を含めた二分変量としてのCPB使用の評価に限定した。
有意である追加の共変量は見い出されなかったので、最終薬物動態モデルは新生児のVcへの非比例的指数部の除去と、実施例1の研究用のRVモデルの一定係数の変動誤差モデルへの単純化とから成る2つのモデル改善を除き、基本モデルに構造的に類似した。RVの程度は、実施例1の研究データ(46%CV)は研究実施例3データ(26%CV)及び実施例5データ(19%CV)に比べて相対的に高かった。実施例1の研究の対象における酵素成熟の異なるレベルは、変動性増加に寄与する可能性のある因子である。さらに、実施例1の研究では低デクスメデトミジン用量後に比較的多くのデータを収集し、その結果、変動性がより大きくなる傾向のアッセイの低範囲における血漿中濃度の頻度が増加した。
全体的に、Q(%SEMが約40%)に関連するものを除き、全ての固定効果パラメータは正確に推定された。研究実施例3及び実施例5のみからのデータに基づく初期モデル(Q=35.9L/時間、QのIIV=117%CV)に比べて、Qの推定値はかなり高く(70.5L/時間)、Qの不明IIVも非常に高かった(163%CV)。この知見は、実施例1から追加されたデータの希薄な性質に関係がある可能性があり、結果として、デクスメデトミジン濃度のための血漿サンプリングは、新生児における2-コンパートメントモデルパラメータへの情報価値が少なかった。
デクスメデトミジンの最終薬物動態モデルは、小児対象の他の治験で以前に記載されたように2-コンパートメントモデルであった。適合度プロットで見られる維持注入終了後のより遅いサンプリング時に得られる濃度の低予測への残存するわずかなバイアスを考慮して(図22A〜D)、研究実施例3及び実施例5からの濃度データを用いて3-コンパートメントモデルをも評価した。しかしながら、3-コンパートメントモデル適合は本質的に2-コンパートメントモデルと同一であり、低予測偏り(図18)を補正しなかった。新生児からの希薄なデータはより遅いサンプリング時では情報価値がさらに低くなるので、実施例1の研究データを加えて3-コンパートメントモデルを試みなかった。
7.7月齢、体重7kgについて、Su et al.により公表された2-コンパートメントモデルからの、総バイパス時間の中央値(57分)を有する固定効果パラメータ(1〜24カ月の範囲の齢の実施例5の研究からの35対象のみに基づく)と、ここで開発した最終薬物動態モデルからの当該データ(1週間未満〜17歳に及ぶ齢の115対象に基づく)との比較は、Qを除き、かなり類似した推定値を明らかにした。Su et al.のモデルのCL、Vc、Q、及びVpの値は、現解析の8.5L/時間、6.22L、68.21L/時間、及び13.21Lに比べて7.26L/時間、8.4L、24.1L/時間、及び10.2Lであった。現解析における初期分布(α)及び終末消失(β)半減期の推定値は、年齢及び体重の中央値が1.56歳及び10.35kgの小児対象ではそれぞれ3.2分及び1.6時間であり、17歳、70kgの対象では7.5分及び1.8時間であった。これらの結果は一般的に、5分又は10分間1μg/kgとして、或いは0.2μg/kg/時間〜0.7μg/kg/時間の注入として与えられたデクスメデトミジンについて以前に報告された初期分布半減期(4.08分〜9分)及び終末消失半減期(1.6時間〜2.65時間)の範囲と同様である(Diaz et al., Pediatr Crit Care Med. 2007;8:419-424;Petroz et al., Anesthesiology. 2006;105:1098-1110;及びVilo et al., Br J Anaesthesia. 2008;100:697-700参照)。
薬物動態モデルに寄与するデクスメデトミジンの3つの研究で提示した6つの小児齢群の齢範囲(28週間〜<1カ月、1カ月〜<6カ月、6カ月〜<12カ月、12カ月〜<24カ月、2年<6年、及び6年〜<17年)にわたるCLと分布容積(Vc+Vp)を比較することにも関心がある。図23及び図24(上パネル)は、各齢群の中点でプロットしたデクスメデトミジンCL及び分布容積の個々のベイズ推定値の幾何平均及び95%信頼区を提供し、該薬物動態パラメータの対応する体重調整推定値を同様に下パネルに描写した(図23(続き)及び図24(続き))。各パラメータの母集団に基づいた典型値対齢の直線を各プロットで重ね合わせてある。
表52及び表53は、それぞれデクスメデトミジンCL、体重調整CL、分布容積、及び体重調整分布容積について個々のベイズパラメータ推定値及びモデル予測典型値推定値についての年齢別の要約統計を提供する。
表52. デクスメデトミジンクリアランス及び体重調整クリアランスCLの個々のベイズ推定値及びモデル予測典型値の齢別の要約統計
Figure 2014528474
表53. デクスメデトミジン分布容積及び体重調整分布容積の個々のベイズ推定値及びモデル予測典型値の齢別の要約統計
Figure 2014528474
図23(上パネル)において、最若齢レベルで示されたプロファイルの急な勾配は新生児についてCL指数部に及ぼす追加の成熟共変量効果に起因し、1年を超えた齢の増加に伴うCLの増加は浅いことが明らかである。図23の下パネル(図23(続き))に示す体重調整CLも2つの最若齢群間で増加するが、残りの群にわたって減少し続ける。図24の上パネルの分布容積について示されるプロファイルの全体的な勾配は、体重増加に伴って増加するVc及びVp並びに齢の増加に伴って減少するVpの正味の効果を示す。
同様に、最若齢群における齢の増加に伴う体重調整分布容積の明白な減少(図24(続き)、下パネル)はVpへのる齢の負の効果に起因する可能性が高く(冪乗関数)、一方でVcは齢の増加に伴って一定のままである。以前に開発されたデクスメデトミジンの成人母集団薬物動態モデルから得られた典型的な薬物動態パラメータ値と比較するため、この小児薬物動態モデルをさらに用いて、小児薬物動態パラメータの値を通常の成人の年齢と体重で予想される値に外挿することができる。齢及び体重の範囲の上限(すなわち、17年及び70kg)の仮説小児対象に基づいて、デクスメデトミジンのCL及び分布容積は、Precedexの製品ラベルで報告された39L/時間(このCLと関連する平均体重は72kgであった)及び118Lという対応値と比較して、47.8L/時間及び114.6Lであると予測される。
同様に、長期(>24時間)デクスメデトミジン使用の成人母集団薬物動態解析からの典型的対象ではデクスメデトミジンCL及び分布容積が35.8L/時間及び112.7Lであり、このデータの非コンパートメント解析から、それぞれ39.4L/時間及び152Lであった。70kgの対象に基づいたこれらの外挿結果は、小児集中治療(1週間〜14年の齢の対象に与えられた1μg/kg/時間〜6μg/kg/時間の注入)のデクスメデトミジンの4つの研究の統合データの母集団薬物動態解析から70kgの成人に正規化されたCL及び分布容積の推定値42.1L/時間及び125.3Lとも一致する。全体的に、このモデルは、小児におけるデクスメデトミジンの薬物動態のロバストな特徴づけを提供する。
モデル評価結果は、維持注入中のみならず、中断後に生じるデクスメデトミジン濃度の全範囲にわたって本モデルがよく予測できる証拠を与える。さらに、この母集団モデルは、これまでに報告された最大母集団の小児対象、並びに最も広い範囲の齢(新生児〜17年)、維持量、及び注入持続時間に基づいている。
本解析の結論は以下のとおりである。線形2-コンパートメントモデルは、短い静脈内注入として投与した後に可変持続時間の維持注入として一連のデクスメデトミジン用量を投与された後3つの研究に登録された小児対象から収集した統合デクスメデトミジン濃度データを最もよく特徴づけることが分かった。・固定非比例関数を用いてこの小児母集団の全ての薬物動態パラメータに及ぼす体重の影響を説明した。新生児対象ではデクスメデトミジンクリアランスの非比例的指数部をさらに調整した。・デクスメデトミジンについてコンパートメント間クリアランス及び末梢コンパートメントの容積は、両方とも齢別に記述されているように、冪乗関数に従って成熟に関係があることが分かった(両方とも齢が増すにつれて減少する)。
民族性、性別、アラニンアミノトランスフェラーゼ、総ビリルビン、心臓生理作用(単室対両室)、グルクロン酸抱合経路阻害薬の併用、アルブミン注入、心肺バイパスの使用、及びサンプリング部位の効果は、デクスメデトミジン薬物動態変動性の統計的に有意な予測因子と認定されなかった。
このモデルからのクリアランス推定値は齢の増加と共に上昇し、体重調整クリアランス推定値は齢の増加に伴って減少し、成人で予想される値に近づく。このモデルからの分布容積推定値は齢の増加に伴って増加し、体重調整分布容積は齢の増加に伴って減少し、成人で予想される値に近づく。本モデル評価は、全濃度範囲にわたってよく予測するため本モデルのロバスト性を支持する。
実施例7:12ヶ月〜24カ月の齢の小児患者におけるデクスメデトミジンの薬物動態
12ヶ月〜<24カ月の齢の対象についてデクスメデトミジンの5対象ランダム化非盲検単一施設研究を行なった。研究の母集団は、最小6時間、24時間未満集中治療環境内で鎮静を必要とした、最初に挿管され人工呼吸器を装着された小児対象から成った。
対象を2つの用量レベルの1つにランダム化した:用量レベル1は0.7μg/kgの負荷量直後の0.5μg/kg/時間の維持注入から成り;用量レベル2は1μg/kgの負荷量直後の0.75μg/kg/時間の維持注入から成った。5名全ての対象を米国の1つの場所でランダム化した。2名の対象を用量レベル1及び3名の対象を用量レベル2にランダム化した。治験に登録した5名全ての対象がデクスメデトミジンを受け、治療を完了した。研究を早期に中断した対象はいなかった。
用量レベルの概要を下表54に示す。
表54. 用量レベル
Figure 2014528474
デクスメデトミジンをデクスメデトミジンの10分の負荷量注入直後のデクスメデトミジンの持続固定維持量注入として、2つの用量レベルを問わず、注入持続時間は手術後最短6時間から24時間まで(合わせた負荷量+維持量)になるように投与した。デクスメデトミジンをIVカテーテルの挿入部位に投与して薬物のフラッシングを回避した。デクスメデトミジンのために指定されたIVラインを通して他の薬物を投与することはなかったa
投与したデクスメデトミジンは、Precedex(登録商標)(デクスメデトミジン塩酸注射薬、100μg/mL、ベース)であった。デクスメデトミジン溶液を水中0.9%の塩化ナトリウム又はブドウ糖5%で4μg/mLに希釈した。デクスメデトミジン溶液を冷蔵すべきでなかった。
デクスメデトミジン投与を開始した後、対象はいつでも抜管してよかった。制御注入装置を用いてデクスメデトミジンを注入した。手動制御マイクロドリッパー(microdripper)、マクロドリッパー(macrodripper)、又は他の非自動注入装置は許されなかった。デクスメデトミジンをボーラス投与用として与えることはできなかった。正確な注入を保証するため、デクスメデトミジンを直接肺動脈に投与しなかった。
ミシガン大学鎮静スケールを用いて鎮静レベルを評価した。顔、脚、活動、泣き声、及び機嫌(FLACC)スケールを用いて痛みを評価した。検診手順の完了後、全ての他の鎮静薬の中断後及び対象がUMSS≦4を達成した後にデクスメデトミジン注入を開始した。対象の最も最近に測定した体重(ベースライン体重とみなした)を用いて鎮静薬用量を計算した。
挿管したまま又は注入後期間中に再挿管したか又は注入後期間中に他の理由で鎮静を必要とした対象を研究場所の標準治療により治療した。しかしながら、これには、全ての注入後薬物動態サンプルを得るまでのデクスメデトミジンを含めなかった。適用できる場合、研究薬中断から24時間で非盲検デクスメデトミジンを再開することができた。
評価可能とみなせる対象については、これらの対象は少なくとも5時間の持続デクスメデトミジン投与を受けたはずである。デクスメデトミジン注入は24時間を超えて延長することはできなかった。デクスメデトミジンを一度中断したら(デクスメデトミジンの取りはずしは許されない)、注入後手順を開始して24時間続けた。デクスメデトミジン投与期間中、デクスメデトミジン注入速度を調整することはできなかった。
全体的な研究デザインを下表55に提供する。
表55. 研究概要
Figure 2014528474
研究全体を通してUMSSを用いて鎮静の妥当性を評価し、鎮静の目標レベルは2〜4のUMSSスコアであった。デクスメデトミジン注入開始前に、UMSSを利用してベースラインスコアを得た。下記スケジュールに従ってUMSSスコアを測定した:負荷量直前、次に負荷投与中の5分及び10分;維持注入開始時、並びに最初の1時間の5、10、30、及び60分;その後、残り維持注入中4時間毎;及び各薬物動態サンプルを得る5分以内。
対象が鎮静の所望の目標レベルでなかった場合(すなわち、UMSS<2)、鎮静のために救出薬を投与することができた。救出薬はミダゾラムであった。1用量当たり2〜3分毎の推奨頻度又は研究者の判断に基づいた頻度で、対象が所望鎮静レベルに達するまでミダゾラムによる反復救出(0.05〜0.1mg/kg)を与えることができた。投与した救出ミダゾラムの用量と共に、救出ミダゾラムの投与前5分以内及び投与後5分以内にUMSSを得た。
FLACCスケールを用いて痛みを評価した。研究者の判断に基づいて、又はFLACCスコアが>4になったとき、IVフェンタニルから成る救出オピエート鎮痛薬を投与した。間欠ボーラスとして又は持続IV注入としてフェンタニルを投与した。
フェンタニルをボーラスとして与える場合、投与した救出フェンタニルの用量と共に、フェンタニルボーラス投与前5分以内と投与後5分以内にFLACCスコアを記録した。フェンタニルを持続注入として与える場合、4時間毎に予定された生命徴候と共にFLACCスコアを得た。注入の用量調整する場合、各調整前5分以内及び調整後5分以内に痛みの評価を収集した。フェンタニル投与の推奨薬用量は、必要に応じて2〜4時間毎の1〜4μg/kg/用量のIVボーラス及び1〜3μg/kg/時間の持続IV注入であった。
デクスメデトミジンの中断後、標準治療に従ってさらなる鎮静薬及び鎮痛薬を供給することが許されたが、24時間のデクスメデトミジン後観察期間の完了後までデクスメデトミジンを再開することはできなかった。
重度の不安/興奮又は痛みが予測される場合(例えば、吸引又は胸部管除去等の有痛処置の前)にミダゾラム又はフェンタニルを使用した。いずれの有痛処置(例えば、吸引又は胸部管除去)の日付、時刻、及びタイプをも記録した。さらに、いずれの非薬理学的措置(例えば、布でくるむこと、抱きしめること、及び揺り動かすこと)の日付と時刻をも記述し、措置前5分以内及び措置後5分以内にUMSS及び/又はFLACCスコアを記録した。
臨床的に指示されるいずれの時でも(例えば、最大用量の救出にもかかわらず対象が不快)、又は研究者の自由裁量で、このプロトコル内で許されない代替鎮静又は鎮痛療法に変換することができた。これは、この研究では起こらなかった。
薬物動態解析のため下記各時点で、ヘパリン処理した真空管に末梢静脈、中心静脈、又は末梢から中心静脈まで挿入したカテーテルラインを介して13の1mL静脈血サンプル(約2と1/2tsp)を採取した:負荷量の開始前30分未満;負荷量の終了前5分以内;維持注入の開始後30分、1、2、及び4〜6時間;維持注入終了前30分以内(維持注入開始24時間以内でなければならない);維持注入終了後10分;並びに維持注入終了後30分、1、2、4、及び10時間。
薬物動態解析のため、注入部位と反対の部位で静脈血サンプル(1mL)をヘパリン処理管に採取した(例えば、左腕対右腕)。マルチルーメン・カテーテル(これを介してデクスメデトミジンを投与した)の2番目のルーメンからからはサンプルを引き出さなかった。
予定された採血前5分以内に薬力学測定を行なった。薬力学測定値には、UMSSからの鎮静スコア;FLACCからの痛みスコア;救出薬(ミダゾラム又はフェンタニル)の使用;及び生命徴候、すなわち、HR、SBP、DBP、平均動脈圧、呼吸数、及びパルスオキシメトリによる酸素飽和度を含めた。
薬物に関係があると考えられるか否かにかかわらず、ヒトにおける薬物の使用と関連するいずれもの厄介な医学的出来事と有害事象を定義した。従って、有害事象は、いずれの好ましくなく、意図しない徴候(例えば、異常な検査室所見)、症状、又は医薬(治験薬)製品の使用と一時的に関連する疾患(該事象が該製品の使用に因果関係があるとみなされるか否かにかかわらず)でもあり得た。
該事象は、プロトコル又は標識に明記された薬物の使用、薬物のいずれの使用(例えば、適応外、別の薬物との併用)及びいずれの投与経路、処方、又は用量並びに偶発的若しくは意図的過剰投与、薬物乱用、又は退薬からも生じ得る。既存状態又は病気のいずれの悪化をも有害事象とみなした。臨床的に有意な異常は回復(すなわち、安定する、正常に戻る、ベースラインに戻る、又は説明できるようになる)へ向かうべきであった。検査異常及び生命徴候の変化は、それらが研究の中断をもたらし、治療薬措置を必要とし、プロトコル特有の基準を満たす場合にのみ、及び/又は研究者がそれらを有害事象であるとみなした場合に有害事象とみなされた。
研究中に起こることが予定された待機的手術/処置は、たとえ該手術/処置が既存状態のために行なわれ、該手術/処置が研究エントリー前に計画されていた場合でも有害事象とみなされなかった。しかしながら、既存状態が研究中に予想外に悪化した場合(すなわち、手術を計画されていたより早く行なった)、待機的手術/処置が行なわれている状態の悪化は有害事象であるとみなされた。
特に手術に関連する共通の術後続発症は有害事象として報告されなかった。手術創部における下記続発症は共通の手術関連事象と考えられ、有害事象として報告されなかった:出血、挫傷、痒み、発赤、腫脹、痺れ、ピリピリ感、熱傷、疼痛、感染、及び創し開。
デクスメデトミジンの中断直後の期間及びデクスメデトミジンの開始後7日まで又は退院(いずれか早い方)のとき、有害事象の発生について対象を追跡調査した。特に、限定するものではないが、リバウンド頻脈又は高血圧、離脱徴候、興奮/激怒、及び肺系統合併症(すなわち、急性呼吸促迫症候群)等の有害事象に注意を払って追跡した。早産児の併存症、例えば脳室内出血、壊死性腸炎、敗血症及び動脈管遺残の発生をも評価した。この研究中には重篤有害事象は起こらなかった。
対象により誘発されたか又は自発的に報告されたデクスメデトミジン投与開始からデクスメデトミジンの開始後7日までに起こった全ての重篤でない有害事象を収集した。さらに、対象の法定代理人が研究特有のインフォームドコンセント用紙に署名した時からデクスメデトミジン投与開始後7日まで重篤な有害事象を収集した。
下記3つの時点で検査室評価を出した:投与前;維持注入開始後4〜6時間;及び維持注入終了後10分。適宜ラベルを付した管に全ての血液サンプルを採取し、解析のために送った。できる限り、余分な採血を避けるため、予定された薬物動態サンプルの1つと同時に検査室血液サンプルを採取した。行なった臨床検査を下表56に与える。
表56. 臨床検査
Figure 2014528474
深部体温(すなわち、鼓室、直腸、又は留置デバイスを介して)をモニターした。異常な体温は、研究者の臨床判断に従って有害事象と記録されることとなった。35.6℃(96°F)未満又は38.6℃(101.5°F)超えの体温変動のある対象は有害事象の存在について評価された。
検診期間中及びデクスメデトミジン注入の中断後24時間に非常に近いとき又は退院の日のいずれか早い方に理学的検査を行なって評価用のベースライン値を確立した。デクスメデトミジン注入期間中に全てのインプット/アウトプット流体体積を記録した。
心電図を下記時点で得た;投与前;維持注入開始後4〜6時間;及び維持注入終了後10時間。臨床的に有意な異常は、対象を研究へのエントリーから除外する根拠であった。全ての対象は、デクスメデトミジン注入期間の間じゅう持続的心臓モニタリングを受けた。研究者又は医師がECGの解釈を正常、臨床的に有意でない異常、臨床的に有意な異常と記録した。
クリアランス、曝露、分布、及び消失の薬物動態評価はこの研究に適していた。UMSS(鎮静)及びFLACC(痛み)を利用する薬力学評価は有効かつ信頼できると立証されている。この研究で用いた安全性測定は標準的かつ適切とみなされた。
一次評価は、デクスメデトミジン薬物動態の評価であった。全ての完全に評価可能な対象のデータ(すなわち、少なくとも5時間のデクスメデトミジン注入を受けた対象)を解析に含めた。
予定された採血前5分以内に薬力学測定を行なった。非コンパートメント法及び/又は母集団薬物動態法により標準的な薬物動態パラメータを推定した。計算したデクスメデトミジンのパラメータには以下のものが含まれた:濃度-時間曲線下面積;観測最大血漿中濃度;定常状態濃度;血漿クリアランス;終末相の消失速度定数;最大血漿中濃度に達するまでの観測時間(時間で表す);終末消失半減期;分布容積;及び定常状態の分布容積。体重及び/又は用量について調整した薬物動態パラメータを含め、さらなるパラメータを適切であるとして決定し得る(例えば、体重調整した血漿クリアランス[CLw])。
薬力学変量には以下のものが含まれた:UMSSによる鎮静スコア;FLACCの痛みスコア;救出薬(ミダゾラム又はフェンタニル)の使用;及び生命徴候、すなわち、SBP、DBP、MAP、HR、RR、SpO2
安全性変量の解析は、有害事象の発生率、臨床検査、生命徴候の検診/ベースラインからの変化、ECG、及びインプット/アウトプット流体バランスに基づいた。下記変量をも評価した:生命徴候を支援するための救出計画の使用、併用薬の使用、及びデクスメデトミジン注入中断後の退薬徴候(血圧又はHRの変化)の発生率。
SAS、バージョン9.1を用いて統計解析を行なった。連続変量については、N、平均値、中央値、標準偏差(SD)、最小、Q1、Q3、及び最大を提示する。平均値及び中央値は、生の値ではなく小数第1位まで示してある。SDは、生の値でなく小数第2位まで示してある。カテゴリー変量については、N及びパーセントを示す。全てのパーセンテージは、小数第1位まで報告している。
記述統計(N、平均値、SD、中央値、最小、Q1、Q3、最大、及びCV[%])を用いて各用量群について、また薬物動態的に適切な場合、全ての用量群にわたって薬物動態パラメータを要約した。標準的薬物動態パラメータを非コンパートメント法及び/又は母集団薬物動態法により推定した。必要に応じて、投与した用量に基づいてパラメータの正規化を行なった。
下記薬力学変量を評価した:デクスメデトミジン注入中に鎮静用の救出薬を必要とした対象のパーセンテージ;デクスメデトミジン注入中に鎮痛のための救出薬使用の発生率;デクスメデトミジン注入中に鎮静又は鎮痛のために与えた救出薬ミダゾラム又はフェンタニルの(a)総量及び(b)体重調整した総量(kg当たり);鎮静及び鎮痛のための救出薬の初回投与までの時間をカプラン・マイヤー推定値を用いて要約した;対象が2〜4のUMSS及びUMSS<2を有した絶対時間及びデクスメデトミジン注入に関する時間のパーセンテージを各用量レベル別に記述統計で要約した;研究中にFLACCスコアの記述統計を対象についての全てのFLACCスコアを用いて要約した;及び対象の抜管が成功するまでの時間をカプラン・マイヤー推定値を用いて要約した。
デクスメデトミジンに関する時間を各用量レベルについて記述的に要約し、治療期間中にデクスメデトミジンに曝露された対象の数とパーセンテージをも下記時間期間(<6時間、<12時間、<24時間)の曝露時間によって並びに下記期間時間(>0〜<6時間、≧6〜<12時間、≧12〜<24時間、及び≧24時間)用量レベル別に要約した。
負荷量は、パラメータ総用量及び投与の持続時間を用いて要約した。維持量は、各用量レベル及び齢群について注入された総用量(μg/kg)、平均用量(μg/kg/時間)、及び投与された持続時間について要約した。注入された総用量は、注入速度(μg/kg/時間)×注入持続時間(時間)に等しかった。注入されたデクスメデトミジンの総用量(μg/kg)、総用量(μg)、及び注入の長さ(時間)を用量レベル別に記述的に要約した。
前治療薬及び併用薬はWHOドラッグディクショナリ(WHO DRUG Dictionary)に従って要約した。前治療薬(基本語で)を用いた対象の数とパーセンテージを各用量レベルについて表にした。併用薬を用いた対象の数とパーセンテージを同様に表にした。
治療下で発現した有害事象のみを解析した。治療下で有害事象が発現した対象の数とパーセンテージを医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)の器官別大分類(SOC)及び基本語により各用量レベルについて要約した。有害事象の重症度のカテゴリー及び有害事象のデクスメデトミジンとの関係のカテゴリーを同様に要約した。複数の有害事象を有した各対象については、最も重症なカテゴリー及び最も近いデクスメデトミジンとの関係のみを1回カウントした。
さらに、治療下で発現した重篤有害事象、中断につながる治療下で発現した有害事象、デクスメデトミジンに関連する治療下で発現した有害事象、及び重症度別の治療下で発現した有害事象について別の表を作成した。
重症度別の要約では、対象が同SOC又は同基本語内に存在すする複数事象を有した場合、最高の重症度の事象を要約した。重症度を欠いたいずれの有害事象をも重篤として要約することとした。デクスメデトミジンとの関係は以下のように要約した:関連する(確実に関連する、ほぼ確実に関連する、及びおそらく関連する場合を含めて)又は関連しない(ほぼ確実に関連しない及び関連しない場合を含めて)。
正常範囲外の全ての検査値にはデータリストにフラグを立て、臨床的に有意な異常検査値を記録した。デクスメデトミジン注入中、及びデクスメデトミジン後期間中に、ベースラインで臨床的に有意な異常検査値を有する対象の数とパーセンテージを各齢群全体について及び用量レベル別に要約した。臨床検査及びベースラインからの変化の記述統計を要約した。
デクスメデトミジン注入期間中及び24時間の追跡調査中に測定したベースライン後の生命徴候HR、SBP、DBP、MAP、RR、及びSpO2の平均、最小及び最大を各対象について決定した。絶対値及びベースラインからの変化を平均、最小、及び最大値のそれぞれについて用量レベル別に記述的に要約した。ベースライン、デクスメデトミジン注入中、及びデクスメデトミジン後の期間中の異常なECG所見の発生率を用量レベル別に表にした。
デクスメデトミジン注入期間中及びデクスメデトミジン注入後に測定されたインプットの総量(mL)及びアウトプットの総量(mL)を各対象について計算し、用量レベル別に記述的に要約した。
2名の対象は、デクスメデトミジン注入中にプロトコル違反である鎮静薬又は鎮痛薬を受けた。これらは2名の用量レベル2対象であり、その1名は疼痛のためモルヒネ及びスフェンタニルを受け、他の対象は気管開口術管設置のためプロポフォールを受けた。これらの逸脱は対象の安全性に影響を与えないと考えられた。
5名全ての対象で最も一般的な病歴として心血管疾患及び呼吸器疾患があった。5名の対象のうちの4名は胃腸管系の疾患を有した。全ての対象は術後であった。
5名全ての対象は、この研究に入る前に前治療薬及び研究中に併用薬を受けた。最も一般的な前治療薬又は併用薬分類は血液及び血液形成器官分類(特にIV流体及び血液製品)又は神経系用薬物に分類された。全ての対象は少なくとも1回のデクスメデトミジン注入後薬を受け;最も一般的な薬物は神経系用であった。
負荷量及び持続維持量後のデクスメデトミジンの平均血漿中薬物動態パラメータを下表57に与える。
表57. 平均血漿中薬物動態パラメータ
Figure 2014528474
Tmaxは一般的に負荷量の終了前0.08時間であり、全ての対象及び両用量レベルにわたってかなり一定していた。1名の例外(対象01-0007、用量レベル2)は維持注入開始後0.68時間のTmaxを有した。
Cmax又はAUCとして測定したデクスメデトミジンへの曝露は、大きなばらつきがあるが、用量に関連するようであった。平均Cmaxは、用量レベル1の4500pg/mLから用量レベル2の11737pg/mLに増加したが、用量調整Cmaxはかなり一定していた。同様に、AUC(0-無限大)は、用量レベル1の4639(pg/mL)時間から用量レベル2の14204(pg/mL)時間に増加したが、用量調整AUC(0-無限大)はかなり一定していた。曝露のこの高い変動性は、主に1つの外れ値(対象01-0003、用量レベル1)に起因した。また用量レベル1及び用量レベル2はそれぞれ2名及び3名の対象を含むので、薬物動態データを慎重に解釈すべきである(特に外れ値が存在する可能性がある場合)。
デクスメデトミジン半減期は全ての対象で約2時間であり、用量と無関係であった。1つの外れ値(対象01-0003、用量レベル1)を除いて、CLとCLwは両方とも両用量レベルにわたってかなり一定していた。クリアランスは約5.7L/時間(2.5〜8.2L/時間)であり、体重調整CLは約0.6L/時間/kg(0.2〜0.9L/時間/kg)であった。Vdも両用量レベルにわたってかなり一定していた。この場合も1つの外れ値(対象01-0003、用量レベル1)を除いて、Vdは約16.2L(13.4〜19.9L)であり、体重調整Vdは約1.6L/kg(0.99〜2.23L/kg)であった。
受けたミダゾラムの平均総量は、救出ミダゾラムを必要とした対象01-0003(用量レベル1)で0.50mg(0.06mg/kg)及び対象01-0001(用量レベル2)で3.70mg(0.42mg/kg)であった。受けた救出フェンタニルの平均総量は、用量レベル1の1名の対象(対象01-0003)で60μg(6.62μg/kg)及び用量レベル2の2名の対象(対象01-0001及び01-0004)で49.56μg(5.50μg/kg)であった。
受けたミダゾラムの平均総量は、救出ミダゾラムを必要とした対象01-0003(用量レベル1)で0.50mg(0.06mg/kg)及び対象01-0001(用量レベル2)で3.70mg(0.42mg/kg)であった。受けた救出フェンタニルの平均総量は、用量レベル1の1名の対象(対象01-0003)で60μg(6.62μg/kg)及び用量レベル2の2名の対象(対象01-0001及び01-0004で49.56μg(5.50μg/kg)であった。
用量レベル1では対象01-0003は救出ミダゾラム及びフェンタニルを必要とした。この対象は、デクスメデトミジン注入開始後1.43時間で始まる疼痛用フェンタニルのマルチプルIVボーラスを必要とした。この対象は、興奮/手術関連疼痛のためデクスメデトミジン注入開始後5.27時間で1用量の救出ミダゾラムをも必要とした。関連する進行中の病歴として左心低形成症候群があり、術後であった(心臓カテーテル、バルーン拡張を伴う左肺動脈狭窄及びコイル塞栓術を必要とする大動脈肺動脈側枝)。他方の用量レベルでは1名の対象、対象01-0006は救出ミダゾラム又はフェンタニルを必要としなかった。しかしながら、この対象は発作のため胃管を通じて6時間毎にロラゼパム1mgを投与され、デクスメデトミジン注入中に興奮のため必要に応じて抱水クロラールを受ける可能性があった。この対象はデクスメデトミジン注入中に抱水クロラールを受けないことを決定した。この対象は、外科的修復による反復性直腸脱のための術後であった。
用量レベル2では、対象01-0001は救出ミダゾラム及びフェンタニルを受けた。救出ミダゾラムは、興奮/手術関連疼痛のためデクスメデトミジン注入が開始した後1.2〜5.57時間に数用量で与えられた。救出フェンタニルは、疼痛のためデクスメデトミジン注入開始後1.62〜6.18時間に数回のボーラス及び持続注入の形でも与えられた。この対象はデクスメデトミジン注入が終了した後フェンタニルを受け続けた。関連病歴としては大血管転位症、肺動脈弁狭窄、及び心室中隔欠損があり、これらの問題の是正のための直視下心臓手術(Nikaidoh手術)後であった。この対象はスフェンタニルIV及びIVモルヒネをも受けた。両方とも疼痛のためデクスメデトミジン注入中にそれぞれ1回受け、これらはプロトコル違反であった。
別の用量レベル2の対象である対象01-0004は、救出ミダゾラムを必要としなかったが、救出フェンタニルを必要とし、デクスメデトミジン注入開始後0.67時間〜5.1時間に数回のボーラスの形で与えられた。この対象は先天性心疾患(気管圧迫及び気管支軟化症を伴う大動脈肺動脈躯幹の先天性欠損)の病歴を有し、これらの問題の是正の手術(大動脈胸骨固定術(aorotopexy))後であった。
3人目の用量レベル2対象である対象01-0007は救出ミダゾラム又はフェンタニルを必要としなかったが、気管開口術管設置のためデクスメデトミジン注入中にプロポフォールを受けた(これもプロトコル違反)。この対象は低形成右肺という進行中の病歴を有し、気管開口術/人工呼吸器依存であった。この対象は鎖肛を有し、人工肛門造設術及び肛門直腸形成術(anorevtoplasty)及び人工肛門造設術回復のため術後であった。
この試験で用いたデクスメデトミジンの維持注入量、0.5μg/kg/時間(用量レベル1)及び0.75μg/kg/時間(用量レベル2)は、対象を鎮静して快適な状態を保つ際に適度に有効であった。併用鎮静薬及び鎮痛薬の使用は、薬力学結果の解釈を混乱させた。
対象数が非常に少ないので、救出薬の初回投与までの時間についての統計結果は統計的又は臨床的に意味がなく、さらに検討しなかた。
救出ミダゾラムについては、対象01-0003(用量レベル1)は救出ミダゾラムをデクスメデトミジン注入開始後5.27時間に受け、対象01-0001(用量レベル2)はデクスメデトミジン注入開始後1.2時間に始まった。救出フェンタニルについては、対象01-0003(用量レベル1)はデクスメデトミジン注入開始後1.43時間に始まり、対象01-0001(用量レベル2)は1.62時間に始まり、対象01-0004(用量レベル2)は0.67時間に始まる救出フェンタニルを受けた。
目標とするUMSSスコアは、2〜4であった。用量レベル1及び2について、この目標範囲で過ごした絶対時間の中央値は、それぞれ、3.6時間(該時間の58.9%)及び5.9時間(該時間の95.1%)であった。用量レベル1及び2について総UMSSスコア<2で過ごした絶対時間の中央値は、それぞれ、2.5時間(該時間の41.1%)及び0.3時間(4.9%)であった。デクスメデトミジン注入中に併用鎮静薬/鎮痛薬を受けることによって、観察結果は混乱する。
救出フェンタニルを与えるかどうかの判断に用いた基準の1つは、総FLACCスコア>4であるかであった。総FLACCスコアの中央値は用量レベル1で1.6、用量レベル2で4.4であり、両レベルを合わせて3.2であった。デクスメデトミジン注入中に併用鎮静薬/鎮痛薬を受けることによって、観察結果は混乱する。用量レベル2の対象に比べて、用量レベル1の対象は、2〜4の目標範囲にかなり少ない時間過ごしたが、より低い総FLACCスコアを有した。
一般的に、生命徴候のベースラインからの平均変化の傾向は臨床的に意味がなかった。HR、SBP、DBP、MAP、RR又はSpO2に関する治療下で発現した有害事象は存在しなかった。
5名の対象のうちの2名は研究終了により抜管することができた。これらの対象は、研究薬の開始時から17.7時間で抜管された対象01-0006(用量レベル1)、及び研究薬の開始時から26.27時間で抜管された対象01-0007(用量レベル2)であった。
デクスメデトミジン曝露の用量及び持続時間の中央値を下表58に示す。
表58. デクスメデトミジン曝露の用量及び持続時間の中央値
Figure 2014528474
5名の対象のうちの1名のみ(20.0%)が治療下で発現した有害事象を経験した。これらの事象は、用量レベル2の対象における軽度の発熱及び軽度の無気肺であり;両事象はデクスメデトミジンと無関係と評価された。死に至る治療下で発現した有害事象、他の治療下で発現した重篤有害事象、及びデクスメデトミジン中断につながる治療下で発現した有害事象は存在しなかった。
血液検査では対象間の変動があった。一般に、ほとんどの血液学的変量について系統的変化の証拠は見られなかった。しかしながら、両用量レベルの対象は、デクスメデトミジンの投与中及び投与後にリンパ球の割合の平均の大きな減少を有した。両用量レベルの対象は、デクスメデトミジンの投与中及び投与後に好中球の割合の平均の大きな増加を有した。また、用量レベル2の対象は、用量レベル1の対象よりベースラインに比べてデクスメデトミジン投与中に血小板の大きい平均減少を有した。デクスメデトミジン投与後、用量レベル2の対象は血小板の大きい平均減少を有したが、用量レベル1の対象は血小板のわずかな平均増加を有した。
化学検査では対象間に変動があった。一般に、ほとんどの化学的変量について系統的変化の証拠は見られなかった。しかしながら、デクスメデトミジンの投与中及び投与後、用量レベル2の対象はベースラインに比べてアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の大きな平均増加を有した。両用量レベルは尿酸結晶の大きな平均増加を有した。一般に、これらの尿検査変量について系統的変化の証拠は見られなかった。デクスメデトミジンの投与中又は投与後に臨床的に有意と評価された異常な血液学、化学、又は尿検査結果を有する対象はいなかった。検診時又はデクスメデトミジンの投与中若しくは投与後に5名の研究対象のいずれにも異常な臨床的に有意なECG所見は存在しなかった。血液学、化学、尿検査結果、HR、SBP、DBP、MAP、RR、又はSpO2に関する治療下で発現した有害事象はなかった。検診時及びデクスメデトミジンの投与後に最も一般的な異常所見は心肺系内にあった。
デクスメデトミジンは両用量レベルで安全かつ良好な耐容性を示した。この試験で用いたデクスメデトミジンの維持注入量、0.5μg/kg/時間(用量レベル1)及び0.75μg/kg/時間(用量レベル2)は、対象を鎮静して快適な状態を保つ際に適度に有効であった。
実施例8:小児患者におけるデクスメデトミジンの統合薬物動態データ
実施例6で述べたように、小児対象におけるデクスメデトミジン母集団薬物動態評価を完了した。実施例6は、実施例1、3及び5で述べた集団を混ぜ合わせる。各研究に登録された齢は、1カ月〜<24カ月(実施例5)、2年〜<17年(実施例3)及び≧28週間の在胎期間〜<1カ月(実施例1)であった。
この研究では、実施例6で述べたモデリングに追加の11名の対象を含めた。追加の対象には、実施例1の追加コホートの第2用量レベル(0.1μg/kgの負荷量/0.1μg/kg/時間の維持量)で治療した≧28週間の在胎期間〜<36週間の在胎期間の6名の新生児対象;並びに実施例7で述べたように、12カ月〜<24カ月の齢群の5名の対象を含めた。実施例6で上述したようにモデルパラメータを決定した。更新モデルの結果を図26〜33に示す。
Linuxオペレーティングシステムを備えたIntelクラスターで非線形混合効果モデリング(NONMEM(登録商標))コンピュータプログラム、バージョン6.0、レベル2.0を用いて母集団薬物動態モデリングを行なった。
モデル開発の全ての段階で相互作用項を含む条件付一次近似(first order conditional estimation)(FOCE)法を用いた。この小児集団の体重と齢の範囲を与えられ、かつそれらの薬物動態に影響を与える可能性のある基本構造モデルと考えられるモデルに体重と齢の両方の効果を含めた。他の共変量(消失クリアランス(CL)及び中心コンパートメントの容積(Vc)に関する性別、民族性、心肺バイパス使用、アルブミン注入、及びサンプリング部位;CLに関するアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン、併用グルクロン酸抱合経路阻害薬、及び心臓生理機能(単心室対両心室))の影響の評価は、前進選択(α=0.05+関心のあるパラメータの個体間変動(IIV)の少なくとも5%の減少)後に後退消去(backward elimination)(α=0.001)手順を用いて行なった。
いずれの必要な精密化の後にも、最終モデルの妥当性をシミュレーションベース予測-補正可視予測チェック法を用いて評価した。解析データセットの最終モデル点予測値に関する条件付き1000反復をNONMEMを用いてシミュレートし、シミュレート濃度分布の第5パーセンタイル、第50パーセンタイル(中央値)、及び第95パーセンタイルを計算した。注入終了以来の時間、治療群及び齢カテゴリーに基づいた個別瓶について予測補正を行なった。予測区間限界の上下の観測データ点のパーセンテージを計算することによって、シミュレートデータと観測データに基づいた予測区間と観測データの対応パーセンタイルとの一致を可視的かつ数値的に評価した。
母集団薬物動態解析結果は以下のとおりであった。実施例1、実施例3、及び実施例5の統合データセットについての基本構造モデルは2-コンパートメントモデルであり、クリアランス及び容積パラメータへの体重効果のための固定非比例的指数部(CL及びコンパートメント間クリアランス(Q)では0.75、Vc及び末梢コンパートメントの容積(Vp)では1.0)、新生児についてのCL及びVc指数部の追加のシフト、及びQとVpに対して冪乗関数で表される齢の効果(両者とも齢の増加と共に減少する)を有した(実施例6参照)。
前進選択の結果として、追加の共変量効果はMVOFの統計的に有意な減少及びIIVの少なくとも5%の減少という予め指定された基準を満たさなかったので、モデルに追加しなかった。その後のモデル精密化中に、新生児についてのVc非比例的指数部のシフトは統計的に有意でないことが分かったのでモデルから除去した。
最終基本構造薬物動態モデルは、指数誤差モデル、クリアランス(CL及びQについて0.75)及び分布容積(Vc及びVpについて1.0)パラメータに関する固定非比例的指数部(新生児についてはCL指数部に相加シフトがある)、冪乗関数で記述されるQ及びVpに対する齢効果(両方とも齢が増すにつれて減少する)、CLとVpに関するIIV、及びQとVcに関するIIVについての共変量項、実施例3及び実施例5について変動誤差モデルの別々の相加プラス一定係数、並びに実施例1の変動誤差モデルの一定係数を用いてCL、Q、Vc、及びVpについて推定したIIVを伴う2-コンパートメントモデルであった。
実施例6で述べたように当初の解析から得たデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルのパラメータ推定値は表51に提供してある。
全ての固定効果パラメータは良い精度(%SEM<20%)で推定されたが、Qと関連するパラメータは除外され、これらはわずかに悪い精度で推定された(約40%の%SEM)。ランダム効果も良い精度で推定された(多くの%SEM<25%、%SEM=37%であるQのIIVを除く)。CL、Vc、及びVpの個体間変動は適度であり、35%CV〜55%CVに及んだ。Qの不明IIVは、163%CVで非常に高かった。全体的に、RVは実施例5のデータで最も低く(約19%CV)、実施例3のデータではわずかに高かったが(26%CV)、両研究では、低濃度値、特にアッセイの下限近傍でかなり大きかった。変動RVモデルの一定係数は、濃度レベルと無関係に、相対的に高い46%CVという推定値を有する実施例1のデータを十分に説明することが分かった。
予測-補正可視予測チェック結果は、モデルに基づいたシミュレート濃度が3研究の観測データとほぼ一致することを示しており、90%の予測区間の限界未満及び限界超えがそれぞれ6.3%の観測データ及び4.7%の観測データである。さらに、シミュレート濃度データの中央値は観測データの中央値と一貫して対応した。
≧28週間の在胎期間〜<36週間の在胎期間の6名の新生児対象から成り、第2用量レベル(0.1μg/kgの負荷量/0.1μg/kg/時間の維持量)の実施例1の追加コホートは完了した。12か月〜<24カ月の齢群の実施例7の5名の対象も完了した。実施例6で述べた母集団薬物動態モデルにこれらの対象を追加し、当初の解析(すなわち、実施例6)について上述したようにモデルパラメータを決定した。当初の解析と比較してモデルパラメータ並びに結果として生じるクリアランスと分布容積点推定値及び関連する95%信頼区間にほとんど変化がなかった。
当初の解析以来完了した追加の11名の対象を含めたデクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルのパラメータ推定値を表59に提供する。
表59. デクスメデトミジンの最終母集団薬物動態モデルから得たパラメータ推定値及び標準誤差(研究実施例5、実施例3、実施例1、及び実施例7)
Figure 2014528474
Figure 2014528474
e 残差変動推定値を分散として表す。実施例1のRVに対応する%CVは43%CVである。
f 残差変動推定値を分散として表す。実施例5のRVに対応する%CVは、2.12ng/L(アッセイ下限の1/2)での111%CV〜700ng/Lでの19%CVに及ぶ。
g 残差変動推定値を分散として表す。実施例3のRVに対応する%CVは、15.12ng/L(アッセイ下限の1/2)での75%CV〜3000ng/Lでの26%CVに及ぶ。
h 残差変動推定値を分散として表す。実施例7のRVに対応する%CVは31%CVである。
表60は、当初の解析(実施例6)及び更新解析でデクスメデトミジンの体重調整CL及び体重調整分布容積について齢群別の個々のベイズパラメータ推定値及びモデル予測典型値推定値の要約統計を提供する。
Figure 2014528474
表61及び62は、齢群別のデクスメデトミジンのクリアランス及び体重調整クリアランスの個々のベイズ推定値及びモデル予測典型値の要約統計(表61)並びにデクスメデトミジンの分布容積及び体重調整分布容積について齢群別に齢群推定値によるデクスメデトミジンのクリアランス及び体重調整クリアランスの要約統計(表62)を提供する。
表61. 齢群別のデクスメデトミジンのクリアランス及び体重調整クリアランスの個々のベイズ推定値及びモデル予測典型値の要約統計

Figure 2014528474
表62. 齢群別のデクスメデトミジンの分布容積及び体重調整分布容積の個々のベイズ推定値及びモデル予測典型値の要約統計
Figure 2014528474
図26及び図27は、当初の解析から決定した各齢群についてデクスメデトミジンの体重調整CL及び体重調整分布容積の幾何平均のパーセントとして表した個々のベイズ推定値の95%信頼区間を提供する。
図28及び図29は、更新解析から決定した各齢群についてデクスメデトミジンの体重調整CL及び体重調整分布容積の幾何平均のパーセントとして表した個々のベイズ推定値の95%信頼区間を提供する。
図30A〜30Hは、本研究のデクスメデトミジンについての最終母集団薬物動態モデルの適合度プロットを示す。図31A〜31Bは、予測-補正可視予測チェック結果を示す。観測データに重ね合わせた予測区間を図31Aに示し、観測データのパーセンタイルを図31Bに示す。図32は、特定齢群におけるデクスメデトミジンのクリアランス及び体重調整クリアランスのベイズ推定値の幾何平均と95%信頼区間を、クリアランス及び体重調整クリアランスの母集団モデルに基づいた典型値と重ね合わせて示す。図33は、特定齢群におけるデクスメデトミジンの分布容積と体重調整分布容積のベイズ推定値の幾何平均及び95%信頼区間を、分布容積と体重調整分布容積の母集団モデルに基づいた典型値と重ね合わせて示す。
当初の解析と、追加の11名の対象を含めた更新解析とからの薬物動態モデルパラメータにはほとんど差異はなかった。最終モデルは、28週間GA〜<17年の小児対象におけるデクスメデトミジンの薬物動態を完全に特徴づける。両解析からの全ての齢群についての結果は、95%信頼区間が点推定値の60%〜140%内に完全に含まれることを示す。
本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態による範囲に限定されるものではない。実際には、上記説明及び添付図面から当業者には本明細書に記載したものに加えて本発明の種々の修正形態が明らかになるであろう。このような修正形態は添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
この出願全体を通じて特許、特許出願公報、製品記述、及びプロトコルを引用しているが、その開示内容全体を参照によってあらゆる目的でここに援用する。

Claims (18)

  1. 鎮静又は鎮痛が必要な小児患者の鎮静又は鎮痛方法において、前記小児患者にデクスメデトミジンを投与することを含む方法であって、
    前記デクスメデトミジンを約0.01〜約2.5μg/kg/時間の濃度で投与し;
    前記小児患者が約17歳以下であり;
    前記デクスメデトミジンを約36時間未満の時間にわたって持続注入として投与し;かつ
    神経損傷の発生率を低減するのに有効な量で前記デクスメデトミジンを投与する
    前記方法。
  2. 前記小児患者が早期新生児である、請求項1の方法。
  3. 前記小児患者の在胎期間が約7カ月〜約11カ月の範囲である、請求項1の方法。
  4. 前記デクスメデトミジンの投与前、投与中、又は投与後に前記小児患者に挿管する、請求項1の方法。
  5. 前記小児患者が重病である、請求項1の方法。
  6. 前記デクスメデトミジンを非経口投与する、請求項1の方法。
  7. 前記デクスメデトミジンを静脈内注入によって投与する、請求項1の方法。
  8. 前記神経損傷が細胞変性又は神経アポトーシスである、請求項1の方法。
  9. 前記デクスメデトミジンを手術前に投与する、請求項1の方法。
  10. 前記デクスメデトミジンを手術後に投与する、請求項1の方法。
  11. 前記デクスメデトミジンを心肺バイパス術後に投与する、請求項10の方法。
  12. 前記デクスメデトミジンの投与が救出薬の必要性を低減する、請求項1の方法。
  13. 前記救出薬が鎮静薬である、請求項12の方法。
  14. 前記救出薬が鎮痛薬である、請求項12の方法。
  15. 前記神経損傷が、層I及び層IIから成る群より選択される皮質ラミナ層内で起こる、請求項1の方法。
  16. 前記小児患者が、約12〜約17歳及び約2歳以下から成る群より選択される年齢を有する、請求項9の方法。
  17. 前記デクスメデトミジンの投与が維持量前に初回負荷量をさらに含み;かつ
    前記負荷量が約0〜約0.4μg/kgの範囲である、
    請求項1の方法。
  18. 前記負荷量を投与しない、請求項17の方法。
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