JP2014528238A - 角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞、及びその製造方法 - Google Patents

角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本明細書には、新規なメラニン形成細胞及びメラノブラストが開示される。また、本明細書には、新規なメラニン形成細胞及びメラノブラストの生産方法が開示される。具体的に、従来のメラニン形成細胞とは遺伝子発現、メラニン含量、及びチロシナーゼ活性が異なる新規なメラニン形成細胞が提供される。さらに具体的に、従来のメラニン形成細胞とは遺伝子発現、メラニン含量、チロシナーゼ活性、及びタンパク質発現が異なる新規なメラノブラストが提供される。また、角化細胞の培養からメラニン形成細胞又はメラノブラストを生産する、新規な生産方法が提供される。

Description

本明細書には、角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストが開示される。また、本明細書には、角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストの生産方法が開示される。
表皮内のメラニン形成細胞(melanocyte)の数は、角化細胞(keratinocyte)の10分の1と極めて少ない。既存の分離法では、皮膚組織にディスパーゼ(dispase)を処理して得られた表皮層(epidermal sheet)に対してトリプシンのような酵素をさらに処理して単一細胞として作った後、特異的成長因子あるいはケモカインなどが入っている培地を供給して、メラニン形成細胞だけが生き残るようにすることで分離している。生体内に少数しか存在しないことと、培地外には特別な分離法がないことから、生体からメラニン形成細胞を直接分離することは効率的ではない。このような理由から市販されるメラニン形成細胞の価格は、相対的に角化細胞に比べて高い。
一方、生体から分離されたメラニン形成細胞は、均質性と増殖力が制限的である。また、メラニン形成細胞を表皮から直接分離して体外でそのまま利用した場合、UVBなどの刺激に対して反応がなかったり、メラニン合成に関与した遺伝子の発現が却って減少したりする現象が生じることが報告された。前記問題を解決するために、角化細胞とメラニン形成細胞の共同培養にUVB処理を行ったり、角化細胞の単独培養にUVBを照射した後にその培地をメラニン形成細胞に供給したりするなどの措置が必要であった。
前記のような既存の分離されたメラニン形成細胞の短所を克服して、均質で且つ増殖力に優れると共に、体外でその特性が生体に存在する時とほぼ同様に保持され、共同培養によらずにも機能研究が可能なメラニン形成細胞を分離する方法の開発が必要である。
一方、メラニン形成細胞は、発生過程で神経堤(neural crest)に由来するメラニン形成幹細胞(melanocyte stem cell)と前駆細胞であるメラノブラスト(melanoblast)から最終分化すると知られている。メラノブラストは、メラニン形成細胞に比べて増殖と分化能を有し、発生過程の特性上、細胞移動性(cell migration)を持っている。
神経堤幹細胞−メラノブラスト−メラニン形成細胞への発生と分化、及び前記過程に関与する遺伝子の機能に関する研究は、マウスに対して多く進められてきたが、一部の分化初期マーカーを利用してメラノブラストの分離を試みた結果、収得率は5%未満であった。さらには、マウスとヒトの表皮構造が異なり、各分化段階を区分することができる特異的マーカーがないため、ヒト成体表皮におけるメラノブラストの存在の把握又はこれを皮膚組織から直接分離及び培養する方法に関する報告は非常に希で少ない。既に分離したメラニン形成細胞に培地を変えることでメラノブラスト的性質を誘導する方法は一部報告されたことがあるが、それが必ずしもヒトの皮膚に存在するメラノブラストであるとはいい難い。
韓国公開特許第10−2011−0087473号公報 米国特許第5712163号明細書 韓国特許第10−0981088号公報
本発明の一実施例の目的は、均質で且つ生着力や生存力に優れ、その結果、良い増力を有するメラニン形成細胞を提供することである。
本発明の他の一実施例の目的は、メラニン形成能を有するメラニン形成細胞を提供することである。
本発明の他の一実施例の目的は、角化細胞とメラニン形成細胞の共同培養にUVB処理を行ったり、角化細胞の単独培養にUVBを照射した後にその培地をメラニン形成細胞に供給したりするなどの措置を行うことなく、メラニン形成細胞の単独でも研究が可能なメラニン形成細胞を提供することである。
本発明の他の一実施例の目的は、角化細胞との関係を保持する状態で体外で適応したメラニン形成細胞を提供することである。
本発明のまた他の一実施例の目的は、分離されたヒトメラノブラスト及びその生産方法を提供することである。
本発明のまた他の一実施例の目的は、角化細胞に適応したヒトメラノブラスト及びその生産方法を提供することである。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストの生産方法は、(a)角化細胞を角化細胞培地で培養する段階;(b)前記培養物から角化細胞を除去する段階;及び(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、メラニン形成細胞培地又はメラノブラスト培地で培養する段階を含む。
本発明の一実施例に係る他の生産方法は、メラニン形成細胞の生産方法であって、メラニン形成細胞培地が、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、及びPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む補充物で補充された培地であってよい。前記補充物は、DMSO(Dimethyl sulfoxide)をさらに含んでいてもよい。
本発明の他の一実施例に係る生産方法は、メラノブラストの生産方法であって、メラノブラスト培地が、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含む補充物で補充された培地であってよい。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、下記特徴のうちのいずれか一つ以上を有する角化細胞に適応したメラニン形成細胞である:(i)一次メラニン形成細胞に比べて低い、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRの発現量;(ii)一次メラニン形成細胞に比べて高い、メラノブラストから発現するBRN2の発現量;(iii)一次メラニン形成細胞に比べて高いメラニン含量;(iv)一次メラニン形成細胞に比べて高いチロシナーゼ活性;(v)ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)欠如培地(PMA−free medium)で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてp75NTRの高い発現増加量;(vi)PMA欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてBRN2の低い発現増加量;(vii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%に該当する発現量;(viii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍に該当する発現量;及び(ix)一次メラニン形成細胞に比べて高い、2時間継代培養後にディッシュ底に付着された細胞の割合。
本発明の一実施例に係るメラノブラストは、角化細胞に適応したメラノブラストであって、MITF、DCT、TYRP1、SNAI2、C−KIT、及びEDNRBからなる群より選ばれる一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞に比べて高い特徴を有するメラノブラストである。
本発明の一側面によれば、本発明は、均質で且つ生着力や生存力に優れ、その結果、良い増殖力を有するメラニン形成細胞又はメラノブラストを提供することができる。
本発明の一側面によれば本発明は、メラニン形成能を有するメラニン形成細胞を提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、角化細胞とメラニン形成細胞の共同培養にUVB処理を行ったり、角化細胞の単独培養にUVBを照射した後にその培地をメラニン形成細胞に供給したりするなどの措置を行うことなく、メラニン形成細胞の単独でも研究が可能なメラニン形成細胞を提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、角化細胞との関係を保持する状態で、体外で適応したメラニン形成細胞又はメラノブラストを提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、体外(in vitro)で進められるメラニン形成細胞又はメラノブラスト研究の妥当性を確実にすることができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、メラニン形成細胞又はメラノブラストの生存、繁殖、分化、及び再生に関する研究を通じて、母斑(nevi)、黒子(lentigo)又は染みのような皮膚過色素沈着症、白斑症又は白化のような色素欠如症(vitiligo, leukoplakia and ablinism)、黒色腫(melanoma)を含む癌等の発生要因とその治療策を得ることができるようになる。
本発明の一側面によれば、本発明は、シミ、そばかすなどを緩和させ且つメラニン色素の生成を抑制する目的を有する美白化粧品、美白医薬品などの開発を容易にすることができる。
Aは培養細胞層の分離直後にディッシュ底に残っている細胞を;Bは前記ディッシュ底に残っている細胞がメラニン形成細胞培地で成長する様子を;Cは前記Bの細胞を継代培養した後に高い密度で成長しているメラニン形成細胞の様子を:それぞれ撮像した写真である。 本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞、即ち、角化細胞から分離されたメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted melanocyte、KaMC)特異的遺伝子(A)の発現様相を角化細胞と比べて示したグラフである。 本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞、即ち、角化細胞から分離されたメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted melanocyte、KaMC)特異的遺伝子(B)、及び角化細胞特異的遺伝子(C)の発現様相を角化細胞と比べて示したグラフである。 一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)とKaMCの遺伝子の発現様相を比べて示したグラフである。 PMCとKaMCのペレット色を比べて撮像した写真(A)とチロシナーゼ(Tyrosinase)活性度を比べて示すグラフ(B)である。 PMCとKaMCのPMAの有無による遺伝子の発現変化をそれぞれ示すグラフ(A、B)である。 PMCとKaMCのPMAの有無によるp75NTRとBRN2の発現変化を示すグラフ(C、D)と、ペレット色の変化を撮像した写真(E)である。 PMCとKaMCの初期生着力を比べて撮像した写真(A)と細胞増殖力を比べて示すグラフ(B)である。 Aは培養細胞層の分離直後にディッシュ底に残っている細胞を、Bは前記ディッシュ底に残っている細胞がPMA−メラノブラスト培地で成長する様子を、Cは前記Bの細胞を継代培養した後にPMA+メラニン形成細胞培地で成長したメラニン形成細胞の様子を撮像した写真である(Scale bar、250μm)。 PMAの有無による各細胞の各遺伝子発現量を比べて示すグラフである。 AはPMA−培地で培養されたKaMBとPMA+培地で培養されたKaMCのペレット色を比べて撮像した写真であり、Bは前記細胞のチロシナーゼ(Tyrosinase)活性度を比べて示すグラフであり、Cは前記細胞の細胞移動性を比べた写真であり、Dは前記細胞における各種のタンパク質の発現程度を比べた結果である。 AはPMA−培地又はPMA+培地でそれぞれ成長した各細胞の様子を撮像した写真であり、Bは時間による各細胞の細胞数を測定して示すグラフであり、CはBrdU標識を通じて各細胞の増殖力を比べて示すグラフである(Scale bar、250μm)。 PMA−又はPMA+培地でそれぞれの細胞を長期間培養した場合の各細胞の状態を撮像した写真である(Scale bar、200μm)。
本明細書における「一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、「PMC」)」とは、生体から直接分離されたメラニン形成細胞のことを意味する。
本明細書における「角化細胞に適応したメラノブラスト(Keratinocyte−adapted Melanoblast、「KaMB」)」とは、生体外で角化細胞の培養から得られたメラノブラストのことを意味する。
本明細書における「角化細胞に適応したメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted Melanocyte、「KaMC」)」とは、生体外で角化細胞の培養から得られたメラニン形成細胞であって、一次メラニン形成細胞の基本的な特徴を有しつつも少なくとも一つ以上の別の特徴を示すメラニン形成細胞のことを意味する。
本明細書において言及された「角化細胞培地」とは、ヒトの角化細胞を培養するための培地のことを意味し、これは、当業界において公知となった如何なる培地であってもよいものとする。例えば、前記角化細胞培地は、ウシ脳下垂体抽出物(Bovine Pitutary Extract、BPE)、ヒト上皮成長因子(human epidermal growth factor、hEGF)、ウシインシュリン(bovine Insulin)、ヒドロコルチゾン(Hydrocortisone)、及びゲンタマイシン及びアンホテリシン−B(GA−1000(Gentamicin、Amphotericin−B))を含む培地であってよい。また、前記成分にエピネフリン(Epinephrine)及びトランスフェリン(Transferrin)がさらに含まれた培地であってもよい。前記培地の商業的入手可能な例として、ロンザ社製の、KGM(商標)製品番号CC−3001;Lonza)、KGM(商標) BulletKit(商標)製品番号CC−3111;Lonza)、KGM(商標) 2 BulletKit(商標)製品番号CC−3107;Lonza)、及びKGM−Gold(商標) BulletKit(商標)製品番号192060;Lonza)が挙げられる。
本明細書において言及された「メラニン形成細胞培地」とは、メラニン形成細胞の培養のための培地のことを意味し、当業界において公知となった如何なる培地であってもよいものとする。例えば、メラニン形成培地として、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない培地を用いてもよい。前記メラニン形成細胞培地は、ヒトのメラニン形成細胞をプレートし長期間増殖させるために、メラニン形成細胞の成長に必須な成長因子、ホルモン、及び組織抽出物を含む補充物で補充されたものを用いることが好ましい。例えば、前記補充物は、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコリソン、インシュリン、トランスフェリン、PMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含んでいてもよい。前記補充物は、DMSO(Dimethyl sulfoxide)をさらに含んでいてもよい。
前記補充物の例として、ヒトメラニン形成細胞成長補充物(Human Melanocyte Growth Supplement、HMGS、cat. # S−002−5、Cascade Biologics)が挙げられる。HMGSで補充されるメラニン形成細胞の基本培地の例として、商業的入手可能な例はカスケードバイオロジクス社製のものでM254培地が挙げられる。
本明細書において言及された「メラノブラスト培地」は、メラノブラストの培養のための培地のことを意味し、当業界において公知となった如何なる培地であってもよいものとする。例えば、メラノブラスト培地として、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない培地を用いてもよい。前記メラノブラスト培地は、ヒトのメラノブラストをプレートし長期間増殖させるために、メラノブラストの成長に必須な成長因子、ホルモン、及び組織抽出物を含む補充物で補充されたものを用いることが好ましい。例えば、前記補充物は、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコリソン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含んでいてもよい。
前記補充物の例として、PMA-Free Human Melanocyte Growth Supplement−2(PMA−Free HMGS-2、cat.# S−016-5、Cascade Biologics)が挙げられる。HMGS−2で補充されるメラノブラストの基本培地の例として、商業的入手可能な例は、カスケードバイオロジクス社製のものでM254培地が挙げられる。
本明細書において言及された「PMA含有培地」とは、メラニン形成細胞への分化を助けるPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む培地のことを意味する。
本明細書において言及された「カルシウム培地」とは、前記角化細胞培地にカルシウムがさらに添加された培地のことを意味する。例えば、CaClが1.0〜1.6mM、又は1.2〜1.4mMの濃度で前記角化細胞培地に添加されたカルシウム培地であってよい。
本明細書において言及された「PMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)欠如培地(PMA−free medium)」とは、ヒトのメラノブラストの培養のための培地であって、PMAが欠如しエンドセリン−1を含む培地のことを意味する。例えば、商業的に入手可能なPMA−free HMGS−2(Cascade Biologics、製品番号:S−016−5)が添加されたM254培地のことを意味する。
本明細書において言及された「p75NTR」とは、神経堤幹細胞マーカーである低親和性神経成長因子受容体(Low affinity neurotrophin receptor)であって受託番号ACCESSION No.NM_002507、VERSION:NM_002507.3、GI:295842401の遺伝子のことを意味する。
本明細書において言及された「BRN2」とは、メラノブラストから発現する遺伝子であってHomo sapiens POU class 3 homeobox 2(POU3F2)のmRNAのことを意味する。受託番号ACCESSION No.NM_005604、VERSION:NM_005604.2、GI:51702520にて寄託されている。
本明細書において言及された「EDNRB」とは、ヒトのエンドセリンレセプタータイプB(endothelin receptor type B、NM_001122659.2)遺伝子のことを意味し、Chr.13:78469616−78492966に位置する。
本明細書において言及された「C−KIT」とは、ヒトのv−kit Hardy−Zuckerman 4 feline sarcoma viral oncogene homolog(NM_001093772.1)遺伝子のことを意味し、Chr.4:55524095−55606881に位置する。
本明細書において言及された「SNAI2」とは、ヒトのsnail homolog2(NM_003068.4)遺伝子のことを意味し、Chr.8:49830236−49833988に位置する。
本明細書において言及された「MITF」とは、ヒトの小眼球症関連転写因子(microphthalmia−associated transcription factor、NM_198158.2)遺伝子のことを意味し、Chr.3:69788586−70017488に位置する。
本明細書において言及された「DCT」とは、ヒトのドパクロムトートメラーゼ(dopachrome tautomerase)遺伝子のことを意味し、Chr.13:95091835−95131936に位置する。
本明細書において言及された「TYRP1」とは、ヒトのチロシナーゼ関連タンパク質1(tyrosinase−related protein 1、NM_000550.2)遺伝子のことを意味し、Chr.9:12693386−12710266に位置する。
ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)は、メラニン形成細胞の分化を誘導する物質を意味する。
メラニン形成細胞(melanocyte)は、保護性メラニン色素(protective melanin pigment)を作る細胞であって、形態上、樹状突起(dendrite)を有しており、表皮基底層(basal layer)に基底細胞と1:4〜1:10の範囲の割合で存在する。メラニン形成細胞は、一つ当たり基底層あるいは有棘層を構成する36個の角化細胞(pigmentation unit)と樹状突起を介して接触している。メラニンは、紫外線から角化細胞(keratinocyte)の核を保護する機能を有しており、メラニンの量が少ない人は皮膚癌にかかる可能性が高いと知られている。人種間のメラニン形成細胞数には差がないが、メラニン小体の数、大きさ、メラニン化の程度、メラニン小体の分布、及び角化細胞内における分解によって蓄積されるメラニンの量が異なり、それによって皮膚色が決まる。メラニン合成に重要な酵素であるチロシナーゼ(tyrosinase)とメラニン形成細胞の数は、年齢が増加するにつれて減少すると知られている。メラニン形成細胞は、発生過程で神経堤(neural crest)から由来し、メラニン形成細胞幹細胞(melanocyte stem cell)と前駆細胞であるメラノブラスト(melanoblast)からメラニンを合成分泌するメラニン形成細胞に分化する。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストの生産方法は、(a)角化細胞を角化細胞培地で培養する段階;(b)前記培養物から角化細胞を除去する段階;及び(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、メラニン形成細胞培地又はメラノブラスト培地で培養する段階を含む。
前記段階(a)の角化細胞はヒトの角化細胞であってよい。
前記ヒト角化細胞は、ヒトから由来したものであれば如何なる角化細胞を用いてもよいものとする。ヒトから直接分離又は分離された後に培養された角化細胞だけではなく、他の細胞から誘導された角化細胞も使用可能である。商業的に入手可能なヒト角化細胞としては、ロンザ社製のNHEK−Neo、Pooled(Neonatal Normal Human Epidermal Keratinocytes、Pooled:製品番号00192906、組織取得番号:P867、白人ら)、NHEK−Neo(製品番号00192907、組織取得番号:20647、白人)、NHEK−Adult(製品番号00192627、組織取得番号:21155、白人)、NHEK−Neo(製品番号00192907、組織取得番号:18080、黒人)が挙げられる。角化細胞が基底膜(base membrane)に付着して増殖する性質を維持するために、ディッシュは0.1〜0.2%ゼラチンあるいは1〜10μg/mlコラーゲンタイプIでコーティングして用いることが好ましい。前記細胞は、35〜37℃、5〜10% COインキュベーターで培養されていてよく、約70〜80%の密度になったときに継代培養をしてもよい。
前記段階(b)は、(イ)培養された角化細胞を前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で培養する段階;(ロ)前記カルシウム培地を除去し細胞を洗浄した後に角化細胞培地に置き換えて培養する段階;(ハ)培地を除去した後に細胞を洗浄しインキュベートさせる段階;及び(ニ)前記インキュベートされた細胞に緩衝液又は角化細胞培地を添加して角化細胞をシート形態に分離させる段階を含んでいてもよい。
前記段階(a)から段階(b)に移行する時点は、段階(a)において角化細胞を角化細胞培地で培養した結果、細胞が培養ディッシュにおいて80〜100%コンフルエント(confluent)にて培養された時点であってよい。好ましくは、90〜100%コンフルエントにて培養された時点であってよい。前記時点でカルシウム培地に置き換えることで角化細胞の分化を促進させて、シート(sheet)を形成するように誘導することができる。
前記(b)の段階(イ)では、角化細胞を、前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で2〜6日間培養してもよい。前記培養は、2〜3日間行われていてもよい。前記培養期間にわたって培養を行うことで角化細胞の効果的な分化、即ち、培養上皮細胞層を形成するように助けることができる。カルシウム培地での培養もまた、同様の35〜37℃、5〜10% COインキュベーターで行ってもよい。
前記段階(ロ)では、前記カルシウム培地で培養された角化細胞を、緩衝液又は角化細胞培地で洗浄してカルシウムを除去した後に再び角化細胞培地を添加して培養してもよい。前記緩衝液は特に限定されないが、例えば、PBS(Phosphate Buffered Saline、pH7.4)及び/又はHBSS(Hank’s Buffered Salt Solution、pH7.4)が挙げられる。緩衝液にて洗浄する代わりに、角化細胞培地で複数回洗浄してもよい。洗浄された細胞は、再び角化細胞培地で3〜7日間さらに培養してもよい。
前記段階(ハ)では、新たに置き換えた培地の色の変化が止まってそれ以上変わらない時に培地を除去すればよい。前記除去は、前記3〜7日間の追加培養期間内で行えばよい。培地を除去してから緩衝液で洗浄した後にインキュベートさせてもよい。前記洗浄に用いられる緩衝液には、例えば、PBSが挙げられる。インキュベーションは、洗浄された細胞を入れて蓋をした後に、インキュベーターに5〜10分間入れることであってよい。前記時間にわたってインキュベートすることで角化細胞を培養上皮細胞層の形態として容易に分離することができるようになる。
前記段階(ニ)では、前記インキュベートされた細胞に再び緩衝液又は角化細胞培地を入れる過程で培養上皮細胞層が自発的にシート形態に分離されていてもよい。前記緩衝液は、例えばPBSであってよい。
前記段階(c)では、段階(b)で角化細胞が除去された後にディッシュ底に付着している細胞を収去してメラノブラスト培地又はメラノブラスト培地で培養してもよい。
前記段階(c)では、前記培養上皮細胞層を除去してからディッシュをPBSで複数回洗浄した後にアキュターゼ(accutase)(Millipore;製品番号、SCR005)を3〜10分間処理してもよい。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に、一般の培養ディッシュあるいはゼラチン、例えば0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュに移してもよい。この時からメラニン形成細胞培地を使用して培養してもよい。メラニン形成細胞培地は、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、DMSO、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、及びPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む補充物で補充された培地であってよい。例えば、HMGS(human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用してもよい。細胞の密度が約70〜90%になったときに継代培養をしてもよい。
前記段階(c)では、前記培養上皮細胞層を除去してからディッシュをPBSで複数回洗浄した後にアキュターゼ(Millipore;製品番号、SCR005)を3〜10分間処理してもよい。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に、一般の培養ディッシュあるいはゼラチン、例えば0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュに移してもよい。この時からメラノブラスト培地を使用して培養してもよい。メラノブラスト培地は、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含む補充物で補充された培地であってよい。例えば、HMGS−2(human melanocyte growth supplement−2、PMA−free;Cascase Biology;製品番号:S−016−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用してもよい。細胞の密度が約70〜90%になったときに継代培養をしてもよい。
又は、前記段階(c)では、培養上皮細胞層を除去してから、ディッシュをPBSで洗浄し直ぐHMGS−2が添加されたM254培地を供給して追加培養をした後に、細胞の密度が70〜90%になったときに新たなディッシュに移して培養をしていてもよい。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、(i)一次メラニン形成細胞に比べて低い、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRの発現量;(ii)一次メラニン形成細胞に比べて高い、メラノブラストから発現するBRN2の発現量;(iii)一次メラニン形成細胞に比べて高いメラニン含量;(iv)一次メラニン形成細胞に比べて高いチロシナーゼ活性;(v)ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてp75NTRの高い発現増加量;(vi)PMA欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてBRN2の低い発現増加量;(vii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%に該当する発現量;(viii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍に該当する発現量;及び(ix)一次メラニン形成細胞に比べて高い、2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合のうちの一つ以上の特徴を有するメラニン形成細胞であってよい。
前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/10倍以下に低いものであってよい。また、前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/20、1/30、1/40、1/50、1/60又は1/70倍に低い発現量であってよい。また、前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/10〜1/1000倍に低い発現量であってよい。また、前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/20〜1/500倍、1/30〜1/280倍、1/40〜1/190倍又は1/50〜1/140倍に低いものであってよい。このような発現量の差異によって、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて5倍以上に高いものであってよい。また、前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて10倍又は15倍以上高いものであってよい。また、前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて5倍〜50倍、10倍〜40倍、15倍〜30倍又は16倍〜20倍以上であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて2倍以上に高いものであってよい。また、前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて3倍又は4倍以上高いものであってよい。また、前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて2倍〜10倍、3倍〜5倍又は3倍〜4倍であってよい。このような含量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(iv)のチロシナーゼの活性は、37℃で120分間インキュベーションの際に一次メラニン形成細胞に比べて2倍以上、4倍以上又は8倍以上高いものであってよい。また、2倍〜32倍、4倍〜16倍又は6倍〜10倍であってよい。このような活性の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(v)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の2倍以上であってよい。また前記(v)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の2倍〜18倍、3倍〜10倍又は4倍〜8倍であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(vi)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の9/10〜1/10倍であってよい。また、前記(vi)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の7/10〜3/10倍であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(vii)の発現量は、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%、80〜140%又は90〜130%に該当する発現量であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力が優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(viii)の発現量は、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍、2〜8倍、3〜7倍又は4〜6倍に該当する発現量であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(ix)の2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合は、80%以上であってよい。前記(ix)の2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合は、90%以上であってよい。前記(ix)の2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合は、95%以上であってよい。本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、角化細胞から由来したものであってよい。特に、ヒトの角化細胞から由来したものであってよい。
本発明の他の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、前述した方法のうちのいずれかによって生産されたものであってよい。
本発明の好適な一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞をブダペスト条約による国際寄託機関である生物資源センター(Korean Collection for Type Culture、KCTC)に2011年9月14日付けにて寄託し、寄託番号としてKCTC 12015BPを付与された。
本発明の一実施例に係る角化細胞の培養から分離されたメラノブラストは、角化細胞に適応したメラノブラストであって、MITF、DCT、TYRP1、SNAI2、C−KIT、及びEDNRBからなる群より選ばれる一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて高い特徴を有するものであってよい。
他の実施例において、前記メラノブラストは、MITF及びDCTのうちの一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて2倍以上、3倍以上、4倍以上又は5倍以上高い特徴を有するものであってよい。前記のような高い発現量が、本明細書に開示されたメラノブラストを一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)と区別する特徴であってよい。
また、一実施例において、前記メラノブラストは、角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて高いBRN2タンパク質発現量及び低いTYRタンパク質発現量のうちのいずれか一つ以上の特徴を有する細胞であってよい。
また他の実施例において、前記メラノブラストは、メラノブラスト培地で9日間培養の際、初期の細胞数に比べて20倍以上、25倍以上、30倍以上、又は35倍以上増加した細胞数を示すものであってよい。前記のような高い細胞増殖量は、本明細書に開示されたメラノブラストを一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)と区別する特徴であってよい。
また他の実施例において、前記メラノブラストは、メラノブラスト培地での6回以上、7回以上、8回以上又は9回以上の継代培養の際も増殖し続ける細胞であってよい。前記のように長期間の細胞増殖性維持特性は、本明細書に開示されたメラノブラストを一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)と区別する特徴であってよい。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラノブラストは、角化細胞から由来したものであってよい。特に、ヒトの角化細胞から由来したものであってよい。
本発明の他の一実施例に係る角化細胞に適応したメラノブラストは、前述した方法のうちのいずれか一つによって生産されたものであってよい。
本発明の好適な一実施例に係る角化細胞に適応したメラノブラストをブダペスト条約による国際寄託機関である生物資源センター(Korean Collection for Type Culture、KCTC)に2012年7月24日付にて寄託し、寄託番号としてKCTC 12250BPを付与された。
以下、一実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これの実施例は、発明を例示するためのものに過ぎず、発明の範囲を制限しようとするものではないことは当業者に自明である。
[実施例]
1.角化細胞に適応したメラノサイトの生産
(a)角化細胞を培養する段階
ヒト角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocyte)は、ロンザ社製のNHEK−Neo、Pooled(Neonatal Normal Human Epidermal Keratinocytes、Pooled:製品番号00192906)を使用した。ヒト角化細胞の培養のための角化細胞培地は、KGM−Gold(商標) BulletKit(商標)製品番号192060;Lonza)を使用した。角化細胞が基底膜に付着して増殖する性質を保持するために、ディッシュは10μg/mlコラーゲンタイプIでコーティングしたものを使用した。前記細胞は、37℃、5% COインキュベーターで培養し、約70%の密度になったときに継代培養をした。角化細胞を培養上皮細胞層に分化を誘導するときは、KGM−2 BulletKit(製品番号CC−3107;Lonza)と0.1%ゼラチンコーティングを使用した。
(b)角化細胞の除去段階
角化細胞を培養上皮細胞層のシート形態としてディッシュから分離あるいは除去するために、前記角化細胞培地に最終的に高濃度のカルシウムを添加した、即ち、1.2mM CaClを添加したカルシウム培地を使用した。高濃度のカルシウム培地での培養もまた、同様の37℃、5% COインキュベーターで行った。角化細胞が培養ディッシュの底が見えないように培養された時点(約90% confluent)で角化細胞培地を前記高濃度のカルシウム培地に置き換えて3日間培養を行った。前記培養された角化細胞をPBS(Phosphate Buffered Saline、pH7.4)で3回洗浄して高濃度のカルシウムを除去し、角化細胞培地に置き換えて4日間さらに培養を行った。この期間内に新たに置き換えた培地の色の変化が止まってそれ以上変わらない時に培地を除去し、PBSで2回洗浄した後、蓋をしてインキュベーターに5分間入れておいた。再びPBSを入れる過程で培養上皮細胞層が自発的に分離された。培養上皮細胞層が除去された直後にディッシュ底には依然として細胞が残っていた。
その残っている細胞を顕微鏡で撮像した写真が図1のAである。図1のAに示したように、前記細胞は、角化細胞とは異なり、細長い模様を示している。
(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、培養する段階
前記培養上皮細胞層を除去した後にディッシュをPBSで2回洗浄し、アキュターゼ(Millipore;製品番号、SCR005)を5分間処理した。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュに移した。このときからHMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用した。その結果としての培養された細胞を顕微鏡で撮像した写真が図1のBである。図1のBに示されるように、二極(bipolar)の模様を示している。
前記細胞の密度が約80%になった時に継代培養をした。継代培養で培養された細胞を再び顕微鏡で撮像した結果が図1のCである。図1のCに示されるように、角化細胞から分離されたメラニン形成細胞は、継代培養が可能で且つ良好な増殖力を示した。
2.角化細胞から生産された角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)の特性の究明
KaMCと比較するための一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)は、ロンザ社製のNHEM−Neo(Neonatal normal Human melanocytes、製品番号cc−2504)を利用した。
(1)qPCR分析
前記分離されたKaMC、角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocyte)は、ロンザ社製のNHEK−Neo、Pooled(Neonatal Normal Human Epidermal Keratinocytes、Pooled:製品番号00192906)(KC)、一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)のそれぞれをPBSで洗浄し、キット(miRNeasy mini kit、Qiagen、製品番号217004)を利用して全RNAを分離した後、RT−PCR kit(SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR、Invitrogen、製品番号18080−051)を通じてcDNAを合成した。合成されたcDNAを鋳型として遺伝子に特異的に結合するプライマー(TaqMan(登録商標) Gene Expression Assays、Applied Biosystems)とSYBR(TaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix、Applied Biosystems;製品番号、4304437)を利用してメラニン形成細胞系細胞のマーカーであるSOX10、PAX3、MITF、TYR、TYRP1、DCT、PMEL、NESTINのmRNA発現の変化を測定した。
その結果を図2に示した。図2に示されるように、KaMCは角化細胞(KC)に比べてメラニン形成細胞特異的遺伝子を過量発現していることが分かる。
一方で、メラニン形成細胞系細胞のマーカーであるSOX10のmRNA発現の変化を測定した。その結果を図3のBに示した。図3のBに示されるように、KaMCは角化細胞(KC)に比べてメラニン形成細胞特異的遺伝子であるSOX10を9百万倍程度に過量発現していることが分かる。
一方、角化細胞のマーカーであるITGA6、TP63、keratin14(KRT14)のmRNA発現の変化を測定した。その結果、KaMCでは角化細胞(KC)に比べて顕著に減少した(図3のC)。
また、一次メラニン形成細胞である最初メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)に比べて、全般的なメラニン形成細胞特異的遺伝子の発現量には差異がないが(図4のA)、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRがPMCには多量発現しており(図4のB)、メラノブラスト(melanobast)から発現するものと知られたBRN2はKaMCで相対的に多く発現していることが分かった(図4のC)。
(2)チロシナーゼ活性分析(Tyrosinase activity assay)
培地を除去してから細胞をPBSで2回洗浄した後、溶菌バッファー(lysis buffer)(Sigma)を入れて細胞を取得した。4℃で1時間にわたってロッキングしながら細胞内タンパク質を抽出した後、遠心分離(1300rpm、15分)にて細胞ペレット(cell pellet)と抽出物とを分離した。
図5のAは、メラニン形成細胞培地で育ったPMCとKaMCとをディッシュから分離した後に撮像したペレット写真である。図5のAに示されるように、一次メラニン形成細胞(PMC)に比べて、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)のほうがより多くのメラニンを含んでいることが分かる。二つの細胞とも白人から由来したものであることから、前記メラニン含量の差異は注目するに値するものである。
一方、前記分離された抽出物を新しいE−tubeに移した後、BCA(bicinchoninic acid)(Pierce、製品番号:23227)を利用してタンパク質定量をした。40μgのタンパク質と溶菌バッファーとを合わせて総100μlになるように96−ウェルプレートに入れた後、100μlのL−Dopa(Sigma、製品番号D−9628、2mg/ml in 0.1M phosphate buffer、filtrated)を入れ、37℃で多様な時間(15、30、60、120分)の間反応を行わせた。各反応時間後にマイクロプレートリーダー(Microplate reader)を利用して、490nmにおける吸光度を測定した。
その結果を図5のBに示している。図5のBに示されるように、インキュベーション時間が増加するほどKaMCのチロシナーゼ活性がますます増大し、120分間インキュベーションを行った時には、KaMCがPMCに比べて約8倍もの高いチロシナーゼ活性を示した。
(3)PMAに対する反応性の調査:
メラニン形成細胞の分化を誘導する物質であるPMAの効果を調べるために、継代培養の際にPMA−free HMGS−2(Cascade Biologics、製品番号:S−016−5)が添加されたM−254を利用した(PMA−)。前記結果をHMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地で培養された細胞の結果と比較した(PMA+)。その結果を図6及び図7に示した。
分化されたメラニン形成細胞を脱分化させると知られたエンドセリン(endothelin)を含むPMA−培地を入れたとき、PMCとKaMC内のメラニン形成細胞特異的遺伝子のmRNA発現の程度にはそれほど差異が見られないが(図6のAとB)、PMA−培地で培養した場合、KaMCではp75NTRの発現量が、PMCではBRN2の発現量がPMA+培地で培養した場合に比べて大きく増加した(図7のCとD)。特に、PMA+培地で培養されたKaMCのp75NTR発現量に対する、PMA−培地で培養されたKaMCのp75NTR発現量の割合は、PMA+培地で培養されたKaMCに対する、PMCのp75NTR発現量の割合(図4のB)とほぼ同じレベルに増加したのである(図7のC)。また、PMA+培地で培養されたPMCのBRN2の発現量に対する、PMA−培地で培養されたPMCのBRN2の発現量の割合は、PMA+培地で培養されたPMCに対する、KaMCのBRN2の発現量の割合(図4のC)とほぼ同じレベルに増加したのである(図7のD)。
さらに、PMA−培地で培養した結果、KaMCペレットの色もまた薄くなる現象が観察された(図7のE)。これは、KaMCはPMCに比べてより多くの色素を形成しており、このような色素形成はメラニン形成細胞分化誘導物質であるPMAの有無によって調節が可能であることを意味する。
要するに、p75NTRとBRN2の発現を調節することでメラニン形成細胞の分化及び脱分化を誘導することができ、且つ色素の形成を調節することができることが期待される。
(4)初期の生着力と生存力、及び細胞増殖力の比較:
継代培養初期の生着力や生存力を調べるために、同一の条件下で継代培養後、2時間が経過した時点で細胞の状態を観察した。具体的にKaMCとPMCを0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュへ移し、HMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地で、2時間37℃で培養した。その結果は図8のAに示されるとおりである。図8のAを見てみると、KaMCは2時間以内に95%以上の細胞がディッシュ底に確実に付着してデンドライト(dendrites)を延ばした形態を示している反面、同じ時間の間、PMCは付着できずに浮いている細胞の数が多いことが分かった。図8のAにおいて矢印で表示したものが浮いている細胞である。
一方、生着力や生存力、及び細胞増殖力を調べるために、BrdUを利用したELISA(Roche、製品番号:11647229001)を利用した。0.4%トリパンブルー(trypan blue)染色と細胞計数器(cell counter)を利用して細胞数を数えた。PMCとKaMCともに同じ細胞数(3×10)をプレート(plating)した。それにもかかわらず、初日(1 day post plating)のBrdUで標識されるPMCの数がKaMCに比べて顕著に低くなっていることが分かった(図8のB)。倍加時間(doubling time)はそれほど差異がないと見られ、KaMCの図1Cで示すような良好な細胞増殖力は、継代培養時に優れた生着力や生存力、及び増殖する/増殖することのできる細胞数が多いことを示す。
3.角化細胞に適応したメラノブラスト(KaMB)の生産
(a)角化細胞を培養する段階
ヒト角化細胞を前記1.(a)の項目と同様にして培養した。
(b)角化細胞の除去段階
前記1.(b)項目と同様にして角化細胞をシート形態に分離させた。その結果、ディッシュ底には依然として細胞が残っていた。
その残っている細胞を顕微鏡で撮像した写真が図9のAである。図9のAに示されるように、前記細胞は、角化細胞とは異なり、細長い模様を示している。
(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、培養する段階
前記培養上皮細胞層を除去してからディッシュをPBSで2回洗浄し、アキュターゼ(Millipore;製品番号、SCR005)を5分間処理した。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に新しいディッシュに移した。この時からHMGS−2(Human melanocyte growth supplement−2、PMA−free;Cascase Biology;製品番号:S−016−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用した。その結果としての培養された細胞を顕微鏡で撮像した写真が図9のBである。前記細胞の密度が約80%になった時に継代培養をした。図9のBに示される細胞を、メラニン形成細胞の代表的分化誘導物質であるPMAが添加されたメラニン形成細胞培地(M254/HMGS)で育てると、二極(bipolar)の分化された模様を示す(図9のC)。
4.角化細胞の培養から生産された角化細胞に適応したメラノブラスト(KaMB)の特性の究明
KaMBと比較するための一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)は、ロンザ社製のNHEM−Neo(Neonatal normal Human melanocytes、製品番号cc−2504)を利用した。また、KaMBと比較するための角化細胞に適応したメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted Melanocyte、KaMC)を用意した。KaMCは、前記段階(c)で分離された細胞をHMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地で培養したことを除いては、KaMBと同法にて得た。また、PMAを入れた培地と入れていない培地とでそれぞれ培養した。
(1)qPCR分析
前記分離されたKaMB、KaMC、一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)のそれぞれをPBSで洗浄し、キット(miRNeasy mini kit、Qiagen、製品番号217004)を利用して全RNAを分離した後、RT−PCR kit(SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR、Invitrogen、製品番号18080-051)にてcDNAを合成した。合成されたcDNAを鋳型として遺伝子に特異的に結合するプライマー(TaqMan(登録商標) Gene Expression Assays、Applied Biosystems)とSYBR(TaqMan(R) Universal PCR Master Mix、Applied Biosystems;製品番号、4304437)を利用してメラノブラスト/メラニン形成細胞系のマーカーであるNOTCH1、SOX10、PAX3、EDNRB、c−KIT、SNAI2、MITF、DCT、TYRP1、TYR、PMELのmRNA発現の変化を測定した。
その結果を図10に示した。図10に示されるように、KaMB細胞のRT−qPCRの分析結果、PMA−あるいはPMA+培地で培養したPMCに比べて、またPMA+培地で培養したKaMCに比べて、EDNRB、c−KIT、SNAI2、MITF、DCT、TYRP1などのメラノブラストマーカーを相対的に多く発現していることが分かる。
(2)チロシナーゼ活性分析(Tyrosinase activity assay)
培地を除去してから細胞をPBSで2回洗浄した後、溶菌バッファー(lysis buffer)(Sigma)を入れて細胞を取得した。4℃で1時間にわたってロッキングしながら細胞内タンパク質を抽出した後、遠心分離(1300rpm、15分)にて細胞ペレット(cell pellet)と抽出物とを分離した。
図11のAはメラニン形成細胞分化誘導物質であるPMAのない培地で成長したKaMBとPMAを入れた培地で成長したKaMB由来のKaMCをディッシュから分離した後に撮像したペレット写真である。これより、KaMBはPMAのある条件で色素を形成することができるメラニン形成細胞に分化できることが分かる。
一方、前記分離された抽出物を新しいE−tubeに移した後、BCA(bicinchoninic acid)(Pierce、製品番号:23227)を利用してタンパク質定量をした。40μgのタンパク質と溶菌バッファーとを合わせて総100μlになるように96−ウェルプレートに入れた後、100μlのL−Dopa(Sigma、製品番号D−9628、2mg/ml in 0.1M phosphate buffer、filtrated)を入れて、37℃で多様な時間(15、30、60、120分)間反応を行わせた。各反応時間後にマイクロプレートリーダー(Microplate reader)を利用して、490nmにおける吸光度を測定した。
その結果を図11のBに示している。図11のBに示されるように、インキュベーション時間が増加するほど、KaMBに比べてKaMCのチロシナーゼ活性が増加することが分かる。
(3)細胞移動性の調査
各タイプの細胞(5×10)を、I型コラゲン(最終10μg/ml)でコーティングをした8.0mmのポアサイズを有する細胞培養インサート(cell culture insert)(Becton Dickinson、製品番号:353097)に植えて24−ウェルに入れた後、4時間にわたって培養した。培地を除去し、メタノールを入れて5〜10分間固定させた。ヘマトキシリン(Hematoxilin)で5分間核を染色し水で数回洗浄した後、細胞質染色のためにエオシン(Eosin)を入れて1〜5分間浸しておいた。水で数回洗浄した後、インサートの内側を耳掻きを利用してきれいに拭いた。ナイフを利用してインサートからフィルターだけを分離した後、スライドガラスの上にマウントした。その結果を図11のCに示した。トランスウェルを使用して移動性を確認した結果、分化状態のKaMCに比べて、KaMBが4時間以内と遥かに優れた移動性を示した。生体内メラノブラストが発生過程の特性上、移動性(migration)を持つという点に基づくとき、KaMBはメラノブラスト的性質を有することが確認された。
(4)タンパク質発現分析
KaMB、KaMCのそれぞれを100−mmディッシュで培養し、密度が80〜90%になったとき、PBSで2回洗浄し、溶菌バッファー(lysis buffer、Sigma)100〜150μlを入れて、セルスクレーパ(SPL Life Sciences)で細胞を取得した。低温冷蔵庫(4〜8℃)で10分間インキュベートし、10分間遠心分離した後に、各種のタンパク質を含む上層部を新しいチューブに移してからBCAタンパク質定量キット(protein assay kit)(Thermo Scientific;製品番号、23227)にてタンパク質定量をした。15μgタンパク質を電気泳動した後にニトロセルローズ膜に移送した後、SOX10(R&D systems、MAB2864)、PAX3(R&D systems、MAB2457)、BRN2(ProteinTech Group、14596−1−AP)、MART1(Thermo Scientific、MS−716)、TYRP2(Santa Cruz biotechnology、C−9、sc−74439)、TYRP1(Santa Cruz biotechnology、H−90、sc−25543)、TYR(Santa Cruz biotechnology、H−109、sc−15341)、GADPH(Santa Cruz biotechnology、FL−335、sc−25778)のそれぞれの抗体でウエスタンブロット(Western blot)を行った結果、KaMBから特異的にBRN2の発現が観察され(図11のD、星印(*))、KaMCからはメラニン生成の核心タンパク質であるチロシナーゼ(TYR)の発現が増加していることが分かった(図11のD、矢印(←))。BRN2はヒトメラノブラストマーカーであり、角化細胞の培養から分離したKaMBは、メラノブラストであることが確認された。
(5)PMAに対する反応性の調査
前記のようなメラノブラスト的性質を有するようになったことが単に培地の入れ替えによる脱分化の結果であるか否かを確認するために、一次メラニン形成細胞とKaMBを、メラニン形成細胞の分化を誘導する物質であるPMAが含まれたメラニン形成細胞培地とPMAが含まれていないメラノブラスト培地のそれぞれで培養させた。その結果、一次メラニン形成細胞は、PMAのある培地では適当に育ったが、PMAのないメラノブラスト培地ではほとんど育っていないことが分かった(図12のA、3rd、4th panels)。これに対し、角化細胞から分離されたKaMBは、PMAのあるメラニン形成細胞培地よりはPMAが含まれていないメラノブラスト培地で遥かに優れた増殖力を示した(図12のA、1st、2nd panels)。このような結果から、KaMBは、単にメラノブラスト培地で育てて得られる脱分化された細胞とは異なる性格の細胞であることが分かる。
(6)細胞成長曲線
各細胞のタイプ毎に24−ウェルプレートの1ウェル当たり3.4×10(総5ウェル)を植えて0、3、6、9、12日目に細胞数の測定を行った。その結果、KaMB細胞が最も優れた増殖力を示した(図12のB)。
(7)細胞分裂能の調査
各細胞を96−ウェルプレートの1ウェル当たり1×10個を植えて3日間培養後、細胞増殖ELISA、BrdUキット(Roche、製品番号:11 647 229 001)を利用して細胞をラベリングした後、吸光度を10、20、30分おきに測定した。BrdUは分裂する細胞のDNAにくっ付く性質がある。その結果、PMAが含まれていないメラノブラスト培地におけるKaMBが最も多く分裂及び増殖をしていることが分かった(図12のC)。KaMBは、PMAのない培地条件で長期間(passage 9)培養する間に大きな変化がなかったが(図13、3rd panel)、一次メラニン形成細胞はこの培地でほとんど増殖ができず、且つ長期間(passage 6)培養する間に細胞内部に多くの液胞(vacuoles)を形成した(図13、1st panel)。KaMCとPMCのそれぞれを、PMAを含むメラニン形成細胞培地で培養した時すらも、KaMCがPMCよりも優れた増殖力を示した(図12のB、C)。
前記のような実験結果から、角化細胞培養から分離されたKaMBは、PMA−メラノブラスト培地で最上の増殖力を示し且つメラノブラストの遺伝子マーカーとタンパク質を特異的に発現しており、分化誘導物質であるPMAによってメラニン形成細胞から分化できることから、メラノブラストであることが分かる。また角化細胞の培養から分離されたKaMB由来のKaMCは、一次メラニン形成細胞よりも優れた増殖力を保有していることが分かる。これは、皮膚組織から直接分離された一次メラニン形成細胞よりも角化細胞の環境下で体外環境に適応してから分離されるメラニン形成細胞のほうがより良好な増殖力を保有するようになることを意味する。
本発明の一側面によれば、本発明は、角化細胞との関係を保持する状態で、体外で適応したメラニン形成細胞又はメラノブラストを提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、体外(in vitro)で進められるメラニン形成細胞又はメラノブラスト研究の妥当性を確実にすることができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、メラニン形成細胞又はメラノブラストの生存、繁殖、分化、及び再生に関する研究を通じて、母斑(nevi)、黒子(lentigo)又は染みのような皮膚過色素沈着症、白斑症又は白化のような色素欠如症(vitiligo, leukoplakia and albinism)、黒色腫(melanoma)を含む癌等の発生要因とその治療策を得ることができるようになる。
本発明の一側面によれば、本発明は、シミ、そばかすなどを緩和させ且つメラニン色素の生成を抑制する目的を有する美白化粧品、美白医薬品などの開発を容易にすることができる。
本明細書には、角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストが開示される。また、本明細書には、角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストの生産方法が開示される。
表皮内のメラニン形成細胞(melanocyte)の数は、角化細胞(keratinocyte)の10分の1と極めて少ない。既存の分離法では、皮膚組織にディスパーゼ(dispase)を処理して得られた表皮層(epidermal sheet)に対してトリプシンのような酵素をさらに処理して単一細胞として作った後、特異的成長因子あるいはケモカインなどが入っている培地を供給して、メラニン形成細胞だけが生き残るようにすることで分離している。生体内に少数しか存在しないことと、培地外には特別な分離法がないことから、生体からメラニン形成細胞を直接分離することは効率的ではない。このような理由から市販されるメラニン形成細胞の価格は、相対的に角化細胞に比べて高い。
一方、生体から分離されたメラニン形成細胞は、均質性と増殖力が制限的である。また、メラニン形成細胞を表皮から直接分離して体外でそのまま利用した場合、UVBなどの刺激に対して反応がなかったり、メラニン合成に関与した遺伝子の発現が却って減少したりする現象が生じることが報告された。前記問題を解決するために、角化細胞とメラニン形成細胞の共同培養にUVB処理を行ったり、角化細胞の単独培養にUVBを照射した後にその培地をメラニン形成細胞に供給したりするなどの措置が必要であった。
前記のような既存の分離されたメラニン形成細胞の短所を克服して、均質で且つ増殖力に優れると共に、体外でその特性が生体に存在する時とほぼ同様に保持され、共同培養によらずにも機能研究が可能なメラニン形成細胞を分離する方法の開発が必要である。
一方、メラニン形成細胞は、発生過程で神経堤(neural crest)に由来するメラニン形成幹細胞(melanocyte stem cell)と前駆細胞であるメラノブラスト(melanoblast)から最終分化すると知られている。メラノブラストは、メラニン形成細胞に比べて増殖と分化能を有し、発生過程の特性上、細胞移動性(cell migration)を持っている。
神経堤幹細胞−メラノブラスト−メラニン形成細胞への発生と分化、及び前記過程に関与する遺伝子の機能に関する研究は、マウスに対して多く進められてきたが、一部の分化初期マーカーを利用してメラノブラストの分離を試みた結果、収得率は5%未満であった。さらには、マウスとヒトの表皮構造が異なり、各分化段階を区分することができる特異的マーカーがないため、ヒト成体表皮におけるメラノブラストの存在の把握又はこれを皮膚組織から直接分離及び培養する方法に関する報告は非常に希で少ない。既に分離したメラニン形成細胞に培地を変えることでメラノブラスト的性質を誘導する方法は一部報告されたことがあるが、それが必ずしもヒトの皮膚に存在するメラノブラストであるとはいい難い。
韓国公開特許第10−2011−0087473号公報 米国特許第5712163号明細書 韓国特許第10−0981088号公報
本発明の一実施例の目的は、均質で且つ生着力や生存力に優れ、その結果、良い増力を有するメラニン形成細胞を提供することである。
本発明の他の一実施例の目的は、メラニン形成能を有するメラニン形成細胞を提供することである。
本発明の他の一実施例の目的は、角化細胞とメラニン形成細胞の共同培養にUVB処理を行ったり、角化細胞の単独培養にUVBを照射した後にその培地をメラニン形成細胞に供給したりするなどの措置を行うことなく、メラニン形成細胞の単独でも研究が可能なメラニン形成細胞を提供することである。
本発明の他の一実施例の目的は、角化細胞との関係を保持する状態で体外で適応したメラニン形成細胞を提供することである。
本発明のまた他の一実施例の目的は、分離されたヒトメラノブラスト及びその生産方法を提供することである。
本発明のまた他の一実施例の目的は、角化細胞に適応したヒトメラノブラスト及びその生産方法を提供することである。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストの生産方法は、(a)角化細胞を角化細胞培地で培養する段階;(b)前記培養物から角化細胞を除去する段階;及び(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、メラニン形成細胞培地又はメラノブラスト培地で培養する段階を含む。
本発明の一実施例に係る他の生産方法は、メラニン形成細胞の生産方法であって、メラニン形成細胞培地が、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、及びPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む補充物で補充された培地であってよい。前記補充物は、DMSO(Dimethyl sulfoxide)をさらに含んでいてもよい。
本発明の他の一実施例に係る生産方法は、メラノブラストの生産方法であって、メラノブラスト培地が、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含む補充物で補充された培地であってよい。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、下記特徴のうちのいずれか一つ以上を有する角化細胞に適応したメラニン形成細胞である:(i)一次メラニン形成細胞に比べて低い、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRの発現量;(ii)一次メラニン形成細胞に比べて高い、メラノブラストから発現するBRN2の発現量;(iii)一次メラニン形成細胞に比べて高いメラニン含量;(iv)一次メラニン形成細胞に比べて高いチロシナーゼ活性;(v)ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)欠如培地(PMA−free medium)で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてp75NTRの高い発現増加量;(vi)PMA欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてBRN2の低い発現増加量;(vii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%に該当する発現量;(viii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍に該当する発現量;及び(ix)一次メラニン形成細胞に比べて高い、2時間継代培養後にディッシュ底に付着された細胞の割合。
本発明の一実施例に係るメラノブラストは、角化細胞に適応したメラノブラストであって、MITF、DCT、TYRP1、SNAI2、C−KIT、及びEDNRBからなる群より選ばれる一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞に比べて高い特徴を有するメラノブラストである。
本発明の一側面によれば、本発明は、均質で且つ生着力や生存力に優れ、その結果、良い増殖力を有するメラニン形成細胞又はメラノブラストを提供することができる。
本発明の一側面によれば本発明は、メラニン形成能を有するメラニン形成細胞を提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、角化細胞とメラニン形成細胞の共同培養にUVB処理を行ったり、角化細胞の単独培養にUVBを照射した後にその培地をメラニン形成細胞に供給したりするなどの措置を行うことなく、メラニン形成細胞の単独でも研究が可能なメラニン形成細胞を提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、角化細胞との関係を保持する状態で、体外で適応したメラニン形成細胞又はメラノブラストを提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、体外(in vitro)で進められるメラニン形成細胞又はメラノブラスト研究の妥当性を確実にすることができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、メラニン形成細胞又はメラノブラストの生存、繁殖、分化、及び再生に関する研究を通じて、母斑(nevi)、黒子(lentigo)又は染みのような皮膚過色素沈着症、白斑症又は白化のような色素欠如症(vitiligo, leukoplakia and ablinism)、黒色腫(melanoma)を含む癌等の発生要因とその治療策を得ることができるようになる。
本発明の一側面によれば、本発明は、シミ、そばかすなどを緩和させ且つメラニン色素の生成を抑制する目的を有する美白化粧品、美白医薬品などの開発を容易にすることができる。
Aは培養細胞層の分離直後にディッシュ底に残っている細胞を;Bは前記ディッシュ底に残っている細胞がメラニン形成細胞培地で成長する様子を;Cは前記Bの細胞を継代培養した後に高い密度で成長しているメラニン形成細胞の様子を:それぞれ撮像した写真である。 本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞、即ち、角化細胞から分離されたメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted melanocyte、KaMC)特異的遺伝子(A)の発現様相を角化細胞と比べて示したグラフである。 本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞、即ち、角化細胞から分離されたメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted melanocyte、KaMC)特異的遺伝子(B)、及び角化細胞特異的遺伝子(C)の発現様相を角化細胞と比べて示したグラフである。 一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)とKaMCの遺伝子の発現様相を比べて示したグラフである。 PMCとKaMCのペレット色を比べて撮像した写真(A)とチロシナーゼ(Tyrosinase)活性度を比べて示すグラフ(B)である。 PMCとKaMCのPMAの有無による遺伝子の発現変化をそれぞれ示すグラフ(A、B)である。 PMCとKaMCのPMAの有無によるp75NTRとBRN2の発現変化を示すグラフ(C、D)と、ペレット色の変化を撮像した写真(E)である。 PMCとKaMCの初期生着力を比べて撮像した写真(A)と細胞増殖力を比べて示すグラフ(B)である。 Aは培養細胞層の分離直後にディッシュ底に残っている細胞を、Bは前記ディッシュ底に残っている細胞がPMA−メラノブラスト培地で成長する様子を、Cは前記Bの細胞を継代培養した後にPMA+メラニン形成細胞培地で成長したメラニン形成細胞の様子を撮像した写真である(Scale bar、250μm)。 PMAの有無による各細胞の各遺伝子発現量を比べて示すグラフである。 AはPMA−培地で培養されたKaMBとPMA+培地で培養されたKaMCのペレット色を比べて撮像した写真であり、Bは前記細胞のチロシナーゼ(Tyrosinase)活性度を比べて示すグラフであり、Cは前記細胞の細胞移動性を比べた写真であり、Dは前記細胞における各種のタンパク質の発現程度を比べた結果である。 AはPMA−培地又はPMA+培地でそれぞれ成長した各細胞の様子を撮像した写真であり、Bは時間による各細胞の細胞数を測定して示すグラフであり、CはBrdU標識を通じて各細胞の増殖力を比べて示すグラフである(Scale bar、250μm)。 PMA−又はPMA+培地でそれぞれの細胞を長期間培養した場合の各細胞の状態を撮像した写真である(Scale bar、200μm)。
本明細書における「一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、「PMC」)」とは、生体から直接分離されたメラニン形成細胞のことを意味する。
本明細書における「角化細胞に適応したメラノブラスト(Keratinocyte−adapted Melanoblast、「KaMB」)」とは、生体外で角化細胞の培養から得られたメラノブラストのことを意味する。
本明細書における「角化細胞に適応したメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted Melanocyte、「KaMC」)」とは、生体外で角化細胞の培養から得られたメラニン形成細胞であって、一次メラニン形成細胞の基本的な特徴を有しつつも少なくとも一つ以上の別の特徴を示すメラニン形成細胞のことを意味する。
本明細書において言及された「角化細胞培地」とは、ヒトの角化細胞を培養するための培地のことを意味し、これは、当業界において公知となった如何なる培地であってもよいものとする。例えば、前記角化細胞培地は、ウシ脳下垂体抽出物(Bovine Pitutary Extract、BPE)、ヒト上皮成長因子(human epidermal growth factor、hEGF)、ウシインシュリン(bovine Insulin)、ヒドロコルチゾン(Hydrocortisone)、及びゲンタマイシン及びアンホテリシン−B(GA−1000(Gentamicin、Amphotericin−B))を含む培地であってよい。また、前記成分にエピネフリン(Epinephrine)及びトランスフェリン(Transferrin)がさらに含まれた培地であってもよい。前記培地の商業的入手可能な例として、ロンザ社製の、KGM(商標)製品番号CC−3001;Lonza)、KGM(商標) BulletKit(商標)製品番号CC−3111;Lonza)、KGM(商標) 2 BulletKit(商標)製品番号CC−3107;Lonza)、及びKGM−Gold(商標) BulletKit(商標)製品番号192060;Lonza)が挙げられる。
本明細書において言及された「メラニン形成細胞培地」とは、メラニン形成細胞の培養のための培地のことを意味し、当業界において公知となった如何なる培地であってもよいものとする。例えば、メラニン形成培地として、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない培地を用いてもよい。前記メラニン形成細胞培地は、ヒトのメラニン形成細胞をプレートし長期間増殖させるために、メラニン形成細胞の成長に必須な成長因子、ホルモン、及び組織抽出物を含む補充物で補充されたものを用いることが好ましい。例えば、前記補充物は、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコリソン、インシュリン、トランスフェリン、PMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含んでいてもよい。前記補充物は、DMSO(Dimethyl sulfoxide)をさらに含んでいてもよい。
前記補充物の例として、ヒトメラニン形成細胞成長補充物(Human Melanocyte Growth Supplement、HMGS、cat. # S−002−5、Cascade Biologics)が挙げられる。HMGSで補充されるメラニン形成細胞の基本培地の例として、商業的入手可能な例はカスケードバイオロジクス社製のものでM254培地が挙げられる。
本明細書において言及された「メラノブラスト培地」は、メラノブラストの培養のための培地のことを意味し、当業界において公知となった如何なる培地であってもよいものとする。例えば、メラノブラスト培地として、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない培地を用いてもよい。前記メラノブラスト培地は、ヒトのメラノブラストをプレートし長期間増殖させるために、メラノブラストの成長に必須な成長因子、ホルモン、及び組織抽出物を含む補充物で補充されたものを用いることが好ましい。例えば、前記補充物は、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコリソン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含んでいてもよい。
前記補充物の例として、PMA-Free Human Melanocyte Growth Supplement−2(PMA−Free HMGS-2、cat.# S−016-5、Cascade Biologics)が挙げられる。HMGS−2で補充されるメラノブラストの基本培地の例として、商業的入手可能な例は、カスケードバイオロジクス社製のものでM254培地が挙げられる。
本明細書において言及された「PMA含有培地」とは、メラニン形成細胞への分化を助けるPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む培地のことを意味する。
本明細書において言及された「カルシウム培地」とは、前記角化細胞培地にカルシウムがさらに添加された培地のことを意味する。例えば、CaClが1.0〜1.6mM、又は1.2〜1.4mMの濃度で前記角化細胞培地に添加されたカルシウム培地であってよい。
本明細書において言及された「PMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)欠如培地(PMA−free medium)」とは、ヒトのメラノブラストの培養のための培地であって、PMAが欠如しエンドセリン−1を含む培地のことを意味する。例えば、商業的に入手可能なPMA−free HMGS−2(Cascade Biologics、製品番号:S−016−5)が添加されたM254培地のことを意味する。
本明細書において言及された「p75NTR」とは、神経堤幹細胞マーカーである低親和性神経成長因子受容体(Low affinity neurotrophin receptor)であって受託番号ACCESSION No.NM_002507、VERSION:NM_002507.3、GI:295842401の遺伝子のことを意味する。
本明細書において言及された「BRN2」とは、メラノブラストから発現する遺伝子であってHomo sapiens POU class 3 homeobox 2(POU3F2)のmRNAのことを意味する。受託番号ACCESSION No.NM_005604、VERSION:NM_005604.2、GI:51702520にて寄託されている。
本明細書において言及された「EDNRB」とは、ヒトのエンドセリンレセプタータイプB(endothelin receptor type B、NM_001122659.2)遺伝子のことを意味し、Chr.13:78469616−78492966に位置する。
本明細書において言及された「C−KIT」とは、ヒトのv−kit Hardy−Zuckerman 4 feline sarcoma viral oncogene homolog(NM_001093772.1)遺伝子のことを意味し、Chr.4:55524095−55606881に位置する。
本明細書において言及された「SNAI2」とは、ヒトのsnail homolog2(NM_003068.4)遺伝子のことを意味し、Chr.8:49830236−49833988に位置する。
本明細書において言及された「MITF」とは、ヒトの小眼球症関連転写因子(microphthalmia−associated transcription factor、NM_198158.2)遺伝子のことを意味し、Chr.3:69788586−70017488に位置する。
本明細書において言及された「DCT」とは、ヒトのドパクロムトートメラーゼ(dopachrome tautomerase)遺伝子のことを意味し、Chr.13:95091835−95131936に位置する。
本明細書において言及された「TYRP1」とは、ヒトのチロシナーゼ関連タンパク質1(tyrosinase−related protein 1、NM_000550.2)遺伝子のことを意味し、Chr.9:12693386−12710266に位置する。
ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)は、メラニン形成細胞の分化を誘導する物質を意味する。
メラニン形成細胞(melanocyte)は、保護性メラニン色素(protective melanin pigment)を作る細胞であって、形態上、樹状突起(dendrite)を有しており、表皮基底層(basal layer)に基底細胞と1:4〜1:10の範囲の割合で存在する。メラニン形成細胞は、一つ当たり基底層あるいは有棘層を構成する36個の角化細胞(pigmentation unit)と樹状突起を介して接触している。メラニンは、紫外線から角化細胞(keratinocyte)の核を保護する機能を有しており、メラニンの量が少ない人は皮膚癌にかかる可能性が高いと知られている。人種間のメラニン形成細胞数には差がないが、メラニン小体の数、大きさ、メラニン化の程度、メラニン小体の分布、及び角化細胞内における分解によって蓄積されるメラニンの量が異なり、それによって皮膚色が決まる。メラニン合成に重要な酵素であるチロシナーゼ(tyrosinase)とメラニン形成細胞の数は、年齢が増加するにつれて減少すると知られている。メラニン形成細胞は、発生過程で神経堤(neural crest)から由来し、メラニン形成細胞幹細胞(melanocyte stem cell)と前駆細胞であるメラノブラスト(melanoblast)からメラニンを合成分泌するメラニン形成細胞に分化する。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストの生産方法は、(a)角化細胞を角化細胞培地で培養する段階;(b)前記培養物から角化細胞を除去する段階;及び(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、メラニン形成細胞培地又はメラノブラスト培地で培養する段階を含む。
前記段階(a)の角化細胞はヒトの角化細胞であってよい。
前記ヒト角化細胞は、ヒトから由来したものであれば如何なる角化細胞を用いてもよいものとする。ヒトから直接分離又は分離された後に培養された角化細胞だけではなく、他の細胞から誘導された角化細胞も使用可能である。商業的に入手可能なヒト角化細胞としては、ロンザ社製のNHEK−Neo、Pooled(Neonatal Normal Human Epidermal Keratinocytes、Pooled:製品番号00192906、組織取得番号:P867、白人ら)、NHEK−Neo(製品番号00192907、組織取得番号:20647、白人)、NHEK−Adult(製品番号00192627、組織取得番号:21155、白人)、NHEK−Neo(製品番号00192907、組織取得番号:18080、黒人)が挙げられる。角化細胞が基底膜(base membrane)に付着して増殖する性質を維持するために、ディッシュは0.1〜0.2%ゼラチンあるいは1〜10μg/mlコラーゲンタイプIでコーティングして用いることが好ましい。前記細胞は、35〜37℃、5〜10% COインキュベーターで培養されていてよく、約70〜80%の密度になったときに継代培養をしてもよい。
前記段階(b)は、(イ)培養された角化細胞を前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で培養する段階;(ロ)前記カルシウム培地を除去し細胞を洗浄した後に角化細胞培地に置き換えて培養する段階;(ハ)培地を除去した後に細胞を洗浄しインキュベートさせる段階;及び(ニ)前記インキュベートされた細胞に緩衝液又は角化細胞培地を添加して角化細胞をシート形態に分離させる段階を含んでいてもよい。
前記段階(a)から段階(b)に移行する時点は、段階(a)において角化細胞を角化細胞培地で培養した結果、細胞が培養ディッシュにおいて80〜100%コンフルエント(confluent)にて培養された時点であってよい。好ましくは、90〜100%コンフルエントにて培養された時点であってよい。前記時点でカルシウム培地に置き換えることで角化細胞の分化を促進させて、シート(sheet)を形成するように誘導することができる。
前記(b)の段階(イ)では、角化細胞を、前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で2〜6日間培養してもよい。前記培養は、2〜3日間行われていてもよい。前記培養期間にわたって培養を行うことで角化細胞の効果的な分化、即ち、培養上皮細胞層を形成するように助けることができる。カルシウム培地での培養もまた、同様の35〜37℃、5〜10% COインキュベーターで行ってもよい。
前記段階(ロ)では、前記カルシウム培地で培養された角化細胞を、緩衝液又は角化細胞培地で洗浄してカルシウムを除去した後に再び角化細胞培地を添加して培養してもよい。前記緩衝液は特に限定されないが、例えば、PBS(Phosphate Buffered Saline、pH7.4)及び/又はHBSS(Hank’s Buffered Salt Solution、pH7.4)が挙げられる。緩衝液にて洗浄する代わりに、角化細胞培地で複数回洗浄してもよい。洗浄された細胞は、再び角化細胞培地で3〜7日間さらに培養してもよい。
前記段階(ハ)では、新たに置き換えた培地の色の変化が止まってそれ以上変わらない時に培地を除去すればよい。前記除去は、前記3〜7日間の追加培養期間内で行えばよい。培地を除去してから緩衝液で洗浄した後にインキュベートさせてもよい。前記洗浄に用いられる緩衝液には、例えば、PBSが挙げられる。インキュベーションは、洗浄された細胞を入れて蓋をした後に、インキュベーターに5〜10分間入れることであってよい。前記時間にわたってインキュベートすることで角化細胞を培養上皮細胞層の形態として容易に分離することができるようになる。
前記段階(ニ)では、前記インキュベートされた細胞に再び緩衝液又は角化細胞培地を入れる過程で培養上皮細胞層が自発的にシート形態に分離されていてもよい。前記緩衝液は、例えばPBSであってよい。
前記段階(c)では、段階(b)で角化細胞が除去された後にディッシュ底に付着している細胞を収去してメラニン形成細胞培地又はメラノブラスト培地で培養してもよい。
前記段階(c)では、前記培養上皮細胞層を除去してからディッシュをPBSで複数回洗浄した後にアキュターゼ(accutase)(Millipore;製品番号、SCR005)を3〜10分間処理してもよい。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に、一般の培養ディッシュあるいはゼラチン、例えば0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュに移してもよい。この時からメラニン形成細胞培地を使用して培養してもよい。メラニン形成細胞培地は、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、DMSO、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、及びPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む補充物で補充された培地であってよい。例えば、HMGS(human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用してもよい。細胞の密度が約70〜90%になったときに継代培養をしてもよい。
前記段階(c)では、前記培養上皮細胞層を除去してからディッシュをPBSで複数回洗浄した後にアキュターゼ(Millipore;製品番号、SCR005)を3〜10分間処理してもよい。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に、一般の培養ディッシュあるいはゼラチン、例えば0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュに移してもよい。この時からメラノブラスト培地を使用して培養してもよい。メラノブラスト培地は、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含む補充物で補充された培地であってよい。例えば、HMGS−2(human melanocyte growth supplement−2、PMA−free;Cascase Biology;製品番号:S−016−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用してもよい。細胞の密度が約70〜90%になったときに継代培養をしてもよい。
又は、前記段階(c)では、培養上皮細胞層を除去してから、ディッシュをPBSで洗浄し直ぐHMGS−2が添加されたM254培地を供給して追加培養をした後に、細胞の密度が70〜90%になったときに新たなディッシュに移して培養をしていてもよい。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、(i)一次メラニン形成細胞に比べて低い、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRの発現量;(ii)一次メラニン形成細胞に比べて高い、メラノブラストから発現するBRN2の発現量;(iii)一次メラニン形成細胞に比べて高いメラニン含量;(iv)一次メラニン形成細胞に比べて高いチロシナーゼ活性;(v)ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてp75NTRの高い発現増加量;(vi)PMA欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてBRN2の低い発現増加量;(vii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%に該当する発現量;(viii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍に該当する発現量;及び(ix)一次メラニン形成細胞に比べて高い、2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合のうちの一つ以上の特徴を有するメラニン形成細胞であってよい。
前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/10倍以下に低いものであってよい。また、前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/20、1/30、1/40、1/50、1/60又は1/70倍に低い発現量であってよい。また、前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/10〜1/1000倍に低い発現量であってよい。また、前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/20〜1/500倍、1/30〜1/280倍、1/40〜1/190倍又は1/50〜1/140倍に低いものであってよい。このような発現量の差異によって、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて5倍以上に高いものであってよい。また、前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて10倍又は15倍以上高いものであってよい。また、前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて5倍〜50倍、10倍〜40倍、15倍〜30倍又は16倍〜20倍以上であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて2倍以上に高いものであってよい。また、前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて3倍又は4倍以上高いものであってよい。また、前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて2倍〜10倍、3倍〜5倍又は3倍〜4倍であってよい。このような含量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(iv)のチロシナーゼの活性は、37℃で120分間インキュベーションの際に一次メラニン形成細胞に比べて2倍以上、4倍以上又は8倍以上高いものであってよい。また、2倍〜32倍、4倍〜16倍又は6倍〜10倍であってよい。このような活性の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(v)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の2倍以上であってよい。また前記(v)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の2倍〜18倍、3倍〜10倍又は4倍〜8倍であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(vi)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の9/10〜1/10倍であってよい。また、前記(vi)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の7/10〜3/10倍であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(vii)の発現量は、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%、80〜140%又は90〜130%に該当する発現量であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力が優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(viii)の発現量は、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍、2〜8倍、3〜7倍又は4〜6倍に該当する発現量であってよい。このような発現量の差異により、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞が持つ特徴である、一次メラニン形成細胞に比べて均質で増殖力に優れ、且つ角化細胞なしでもメラニン形成能を保有する能力を極大化させることができる。
前記(ix)の2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合は、80%以上であってよい。前記(ix)の2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合は、90%以上であってよい。前記(ix)の2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合は、95%以上であってよい。本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、角化細胞から由来したものであってよい。特に、ヒトの角化細胞から由来したものであってよい。
本発明の他の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、前述した方法のうちのいずれかによって生産されたものであってよい。
本発明の好適な一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞をブダペスト条約による国際寄託機関である生物資源センター(Korean Collection for Type Culture、KCTC)に2011年9月14日付けにて寄託し、寄託番号としてKCTC 12015BPを付与された。
本発明の一実施例に係る角化細胞の培養から分離されたメラノブラストは、角化細胞に適応したメラノブラストであって、MITF、DCT、TYRP1、SNAI2、C−KIT、及びEDNRBからなる群より選ばれる一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて高い特徴を有するものであってよい。
他の実施例において、前記メラノブラストは、MITF及びDCTのうちの一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて2倍以上、3倍以上、4倍以上又は5倍以上高い特徴を有するものであってよい。前記のような高い発現量が、本明細書に開示されたメラノブラストを一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)と区別する特徴であってよい。
また、一実施例において、前記メラノブラストは、角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて高いBRN2タンパク質発現量及び低いTYRタンパク質発現量のうちのいずれか一つ以上の特徴を有する細胞であってよい。
また他の実施例において、前記メラノブラストは、メラノブラスト培地で9日間培養の際、初期の細胞数に比べて20倍以上、25倍以上、30倍以上、又は35倍以上増加した細胞数を示すものであってよい。前記のような高い細胞増殖量は、本明細書に開示されたメラノブラストを一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)と区別する特徴であってよい。
また他の実施例において、前記メラノブラストは、メラノブラスト培地での6回以上、7回以上、8回以上又は9回以上の継代培養の際も増殖し続ける細胞であってよい。前記のように長期間の細胞増殖性維持特性は、本明細書に開示されたメラノブラストを一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)と区別する特徴であってよい。
本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラノブラストは、角化細胞から由来したものであってよい。特に、ヒトの角化細胞から由来したものであってよい。
本発明の他の一実施例に係る角化細胞に適応したメラノブラストは、前述した方法のうちのいずれか一つによって生産されたものであってよい。
本発明の好適な一実施例に係る角化細胞に適応したメラノブラストをブダペスト条約による国際寄託機関である生物資源センター(Korean Collection for Type Culture、KCTC)に2012年7月24日付にて寄託し、寄託番号としてKCTC 12250BPを付与された。
以下、一実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これの実施例は、発明を例示するためのものに過ぎず、発明の範囲を制限しようとするものではないことは当業者に自明である。
[実施例]
1.角化細胞に適応したメラノサイトの生産
(a)角化細胞を培養する段階
ヒト角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocyte)は、ロンザ社製のNHEK−Neo、Pooled(Neonatal Normal Human Epidermal Keratinocytes、Pooled:製品番号00192906)を使用した。ヒト角化細胞の培養のための角化細胞培地は、KGM−Gold(商標) BulletKit(商標)製品番号192060;Lonza)を使用した。角化細胞が基底膜に付着して増殖する性質を保持するために、ディッシュは10μg/mlコラーゲンタイプIでコーティングしたものを使用した。前記細胞は、37℃、5% COインキュベーターで培養し、約70%の密度になったときに継代培養をした。角化細胞を培養上皮細胞層に分化を誘導するときは、KGM−2 BulletKit(製品番号CC−3107;Lonza)と0.1%ゼラチンコーティングを使用した。
(b)角化細胞の除去段階
角化細胞を培養上皮細胞層のシート形態としてディッシュから分離あるいは除去するために、前記角化細胞培地に最終的に高濃度のカルシウムを添加した、即ち、1.2mM CaClを添加したカルシウム培地を使用した。高濃度のカルシウム培地での培養もまた、同様の37℃、5% COインキュベーターで行った。角化細胞が培養ディッシュの底が見えないように培養された時点(約90% confluent)で角化細胞培地を前記高濃度のカルシウム培地に置き換えて3日間培養を行った。前記培養された角化細胞をPBS(Phosphate Buffered Saline、pH7.4)で3回洗浄して高濃度のカルシウムを除去し、角化細胞培地に置き換えて4日間さらに培養を行った。この期間内に新たに置き換えた培地の色の変化が止まってそれ以上変わらない時に培地を除去し、PBSで2回洗浄した後、ディッシュの蓋をしてインキュベーターに5分間入れておいた。再びPBSを入れる過程で培養上皮細胞層が自発的に分離された。培養上皮細胞層が除去された直後にディッシュ底には依然として細胞が残っていた。
その残っている細胞を顕微鏡で撮像した写真が図1のAである。図1のAに示したように、前記細胞は、角化細胞とは異なり、細長い模様を示している。
(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、培養する段階
前記培養上皮細胞層を除去した後にディッシュをPBSで2回洗浄し、アキュターゼ(Millipore;製品番号、SCR005)を5分間処理した。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュに移した。このときからHMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用した。その結果としての培養された細胞を顕微鏡で撮像した写真が図1のBである。図1のBに示されるように、二極(bipolar)の模様を示している。
前記細胞の密度が約80%になった時に継代培養をした。継代培養で培養された細胞を再び顕微鏡で撮像した結果が図1のCである。図1のCに示されるように、角化細胞から分離されたメラニン形成細胞は、継代培養が可能で且つ良好な増殖力を示した。
2.角化細胞から生産された角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)の特性の究明
KaMCと比較するための一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)は、ロンザ社製のNHEM−Neo(Neonatal normal Human melanocytes、製品番号cc−2504)を利用した。
(1)qPCR分析
前記分離されたKaMC、角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocyte)は、ロンザ社製のNHEK−Neo、Pooled(Neonatal Normal Human Epidermal Keratinocytes、Pooled:製品番号00192906)(KC)、一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)のそれぞれをPBSで洗浄し、キット(miRNeasy mini kit、Qiagen、製品番号217004)を利用して全RNAを分離した後、RT−PCR kit(SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR、Invitrogen、製品番号18080−051)を通じてcDNAを合成した。合成されたcDNAを鋳型として遺伝子に特異的に結合するプライマー(TaqMan(登録商標) Gene Expression Assays、Applied Biosystems)とSYBR(TaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix、Applied Biosystems;製品番号、4304437)を利用してメラニン形成細胞系細胞のマーカーであるSOX10、PAX3、MITF、TYR、TYRP1、DCT、PMEL、NESTINのmRNA発現の変化を測定した。
その結果を図2に示した。図2に示されるように、KaMCは角化細胞(KC)に比べてメラニン形成細胞特異的遺伝子を過量発現していることが分かる。
一方で、メラニン形成細胞系細胞のマーカーであるSOX10のmRNA発現の変化を測定した。その結果を図3のBに示した。図3のBに示されるように、KaMCは角化細胞(KC)に比べてメラニン形成細胞特異的遺伝子であるSOX10を9百万倍程度に過量発現していることが分かる。
一方、角化細胞のマーカーであるITGA6、TP63、keratin14(KRT14)のmRNA発現の変化を測定した。その結果、KaMCでは角化細胞(KC)に比べて顕著に減少した(図3のC)。
また、一次メラニン形成細胞である最初メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)に比べて、全般的なメラニン形成細胞特異的遺伝子の発現量には差異がないが(図4のA)、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRがPMCには多量発現しており(図4のB)、メラノブラスト(melanobast)から発現するものと知られたBRN2はKaMCで相対的に多く発現していることが分かった(図4のC)。
(2)チロシナーゼ活性分析(Tyrosinase activity assay)
培地を除去してから細胞をPBSで2回洗浄した後、溶菌バッファー(lysis buffer)(Sigma)を入れて細胞を取得した。4℃で1時間にわたってロッキングしながら細胞内タンパク質を抽出した後、遠心分離(1300rpm、15分)にて細胞ペレット(cell pellet)と抽出物とを分離した。
図5のAは、メラニン形成細胞培地で育ったPMCとKaMCとをディッシュから分離した後に撮像したペレット写真である。図5のAに示されるように、一次メラニン形成細胞(PMC)に比べて、本発明の一実施例に係る角化細胞に適応したメラニン形成細胞(KaMC)のほうがより多くのメラニンを含んでいることが分かる。二つの細胞とも白人から由来したものであることから、前記メラニン含量の差異は注目するに値するものである。
一方、前記分離された抽出物を新しいE−tubeに移した後、BCA(bicinchoninic acid)(Pierce、製品番号:23227)を利用してタンパク質定量をした。40μgのタンパク質と溶菌バッファーとを合わせて総100μlになるように96−ウェルプレートに入れた後、100μlのL−Dopa(Sigma、製品番号D−9628、2mg/ml in 0.1M phosphate buffer、filtrated)を入れ、37℃で多様な時間(15、30、60、120分)の間反応を行わせた。各反応時間後にマイクロプレートリーダー(Microplate reader)を利用して、490nmにおける吸光度を測定した。
その結果を図5のBに示している。図5のBに示されるように、インキュベーション時間が増加するほどKaMCのチロシナーゼ活性がますます増大し、120分間インキュベーションを行った時には、KaMCがPMCに比べて約8倍もの高いチロシナーゼ活性を示した。
(3)PMAに対する反応性の調査:
メラニン形成細胞の分化を誘導する物質であるPMAの効果を調べるために、継代培養の際にPMA−free HMGS−2(Cascade Biologics、製品番号:S−016−5)が添加されたM−254を利用した(PMA−)。前記結果をHMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地で培養された細胞の結果と比較した(PMA+)。その結果を図6及び図7に示した。
分化されたメラニン形成細胞を脱分化させると知られたエンドセリン(endothelin)を含むPMA−培地を入れたとき、PMCとKaMC内のメラニン形成細胞特異的遺伝子のmRNA発現の程度にはそれほど差異が見られないが(図6のAとB)、PMA−培地で培養した場合、KaMCではp75NTRの発現量が、PMCではBRN2の発現量がPMA+培地で培養した場合に比べて大きく増加した(図7のCとD)。特に、PMA+培地で培養されたKaMCのp75NTR発現量に対する、PMA−培地で培養されたKaMCのp75NTR発現量の割合は、PMA+培地で培養されたKaMCに対する、PMCのp75NTR発現量の割合(図4のB)とほぼ同じレベルに増加したのである(図7のC)。また、PMA+培地で培養されたPMCのBRN2の発現量に対する、PMA−培地で培養されたPMCのBRN2の発現量の割合は、PMA+培地で培養されたPMCに対する、KaMCのBRN2の発現量の割合(図4のC)とほぼ同じレベルに増加したのである(図7のD)。
さらに、PMA−培地で培養した結果、KaMCペレットの色もまた薄くなる現象が観察された(図7のE)。これは、KaMCはPMCに比べてより多くの色素を形成しており、このような色素形成はメラニン形成細胞分化誘導物質であるPMAの有無によって調節が可能であることを意味する。
要するに、p75NTRとBRN2の発現を調節することでメラニン形成細胞の分化及び脱分化を誘導することができ、且つ色素の形成を調節することができることが期待される。
(4)初期の生着力と生存力、及び細胞増殖力の比較:
継代培養初期の生着力や生存力を調べるために、同一の条件下で継代培養後、2時間が経過した時点で細胞の状態を観察した。具体的にKaMCとPMCを0.1%ゼラチンでコーティングされたディッシュへ移し、HMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地で、2時間37℃で培養した。その結果は図8のAに示されるとおりである。図8のAを見てみると、KaMCは2時間以内に95%以上の細胞がディッシュ底に確実に付着してデンドライト(dendrites)を延ばした形態を示している反面、同じ時間の間、PMCは付着できずに浮いている細胞の数が多いことが分かった。図8のAにおいて矢印で表示したものが浮いている細胞である。
一方、生着力や生存力、及び細胞増殖力を調べるために、BrdUを利用したELISA(Roche、製品番号:11647229001)を利用した。0.4%トリパンブルー(trypan blue)染色と細胞計数器(cell counter)を利用して細胞数を数えた。PMCとKaMCともに同じ細胞数(3×10)をプレート(plating)した。それにもかかわらず、初日(1 day post plating)のBrdUで標識されるPMCの数がKaMCに比べて顕著に低くなっていることが分かった(図8のB)。倍加時間(doubling time)はそれほど差異がないと見られ、KaMCの図1Cで示すような良好な細胞増殖力は、継代培養時に優れた生着力や生存力、及び増殖する/増殖することのできる細胞数が多いことを示す。
3.角化細胞に適応したメラノブラスト(KaMB)の生産
(a)角化細胞を培養する段階
ヒト角化細胞を前記1.(a)の項目と同様にして培養した。
(b)角化細胞の除去段階
前記1.(b)項目と同様にして角化細胞をシート形態に分離させた。その結果、ディッシュ底には依然として細胞が残っていた。
その残っている細胞を顕微鏡で撮像した写真が図9のAである。図9のAに示されるように、前記細胞は、角化細胞とは異なり、細長い模様を示している。
(c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、培養する段階
前記培養上皮細胞層を除去してからディッシュをPBSで2回洗浄し、アキュターゼ(Millipore;製品番号、SCR005)を5分間処理した。分離された細胞を遠心分離して沈殿させた後に新しいディッシュに移した。この時からHMGS−2(Human melanocyte growth supplement−2、PMA−free;Cascase Biology;製品番号:S−016−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地を利用した。その結果としての培養された細胞を顕微鏡で撮像した写真が図9のBである。前記細胞の密度が約80%になった時に継代培養をした。図9のBに示される細胞を、メラニン形成細胞の代表的分化誘導物質であるPMAが添加されたメラニン形成細胞培地(M254/HMGS)で育てると、二極(bipolar)の分化された模様を示す(図9のC)。
4.角化細胞の培養から生産された角化細胞に適応したメラノブラスト(KaMB)の特性の究明
KaMBと比較するための一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)は、ロンザ社製のNHEM−Neo(Neonatal normal Human melanocytes、製品番号cc−2504)を利用した。また、KaMBと比較するための角化細胞に適応したメラニン形成細胞(Keratinocyte−adapted Melanocyte、KaMC)を用意した。KaMCは、前記段階(c)で分離された細胞をHMGS(Human melanocyte growth supplement;Cascase Biology;製品番号:S−002−5)が添加されたM254(Cascade Biologics、製品番号:M−254−500)培地で培養したことを除いては、KaMBと同法にて得た。また、PMAを入れた培地と入れていない培地とでそれぞれ培養した。
(1)qPCR分析
前記分離されたKaMB、KaMC、一次メラニン形成細胞(primary melanocyte、PMC)のそれぞれをPBSで洗浄し、キット(miRNeasy mini kit、Qiagen、製品番号217004)を利用して全RNAを分離した後、RT−PCR kit(SuperScript III First−Strand Synthesis System for RT−PCR、Invitrogen、製品番号18080-051)にてcDNAを合成した。合成されたcDNAを鋳型として遺伝子に特異的に結合するプライマー(TaqMan(登録商標) Gene Expression Assays、Applied Biosystems)とSYBR(TaqMan(R) Universal PCR Master Mix、Applied Biosystems;製品番号、4304437)を利用してメラノブラスト/メラニン形成細胞系のマーカーであるNOTCH1、SOX10、PAX3、EDNRB、c−KIT、SNAI2、MITF、DCT、TYRP1、TYR、PMELのmRNA発現の変化を測定した。
その結果を図10に示した。図10に示されるように、KaMB細胞のRT−qPCRの分析結果、PMA−あるいはPMA+培地で培養したPMCに比べて、またPMA+培地で培養したKaMCに比べて、EDNRB、c−KIT、SNAI2、MITF、DCT、TYRP1などのメラノブラストマーカーを相対的に多く発現していることが分かる。
(2)チロシナーゼ活性分析(Tyrosinase activity assay)
培地を除去してから細胞をPBSで2回洗浄した後、溶菌バッファー(lysis buffer)(Sigma)を入れて細胞を取得した。4℃で1時間にわたってロッキングしながら細胞内タンパク質を抽出した後、遠心分離(1300rpm、15分)にて細胞ペレット(cell pellet)と抽出物とを分離した。
図11のAはメラニン形成細胞分化誘導物質であるPMAのない培地で成長したKaMBとPMAを入れた培地で成長したKaMB由来のKaMCをディッシュから分離した後に撮像したペレット写真である。これより、KaMBはPMAのある条件で色素を形成することができるメラニン形成細胞に分化できることが分かる。
一方、前記分離された抽出物を新しいE−tubeに移した後、BCA(bicinchoninic acid)(Pierce、製品番号:23227)を利用してタンパク質定量をした。40μgのタンパク質と溶菌バッファーとを合わせて総100μlになるように96−ウェルプレートに入れた後、100μlのL−Dopa(Sigma、製品番号D−9628、2mg/ml in 0.1M phosphate buffer、filtrated)を入れて、37℃で多様な時間(15、30、60、120分)間反応を行わせた。各反応時間後にマイクロプレートリーダー(Microplate reader)を利用して、490nmにおける吸光度を測定した。
その結果を図11のBに示している。図11のBに示されるように、インキュベーション時間が増加するほど、KaMBに比べてKaMCのチロシナーゼ活性が増加することが分かる。
(3)細胞移動性の調査
各タイプの細胞(5×10)を、I型コラゲン(最終10μg/ml)でコーティングをした8.0mmのポアサイズを有する細胞培養インサート(cell culture insert)(Becton Dickinson、製品番号:353097)に植えて24−ウェルに入れた後、4時間にわたって培養した。培地を除去し、メタノールを入れて5〜10分間固定させた。ヘマトキシリン(Hematoxilin)で5分間核を染色し水で数回洗浄した後、細胞質染色のためにエオシン(Eosin)を入れて1〜5分間浸しておいた。水で数回洗浄した後、インサートの内側を耳掻きを利用してきれいに拭いた。ナイフを利用してインサートからフィルターだけを分離した後、スライドガラスの上にマウントした。その結果を図11のCに示した。トランスウェルを使用して移動性を確認した結果、分化状態のKaMCに比べて、KaMBが4時間以内と遥かに優れた移動性を示した。生体内メラノブラストが発生過程の特性上、移動性(migration)を持つという点に基づくとき、KaMBはメラノブラスト的性質を有することが確認された。
(4)タンパク質発現分析
KaMB、KaMCのそれぞれを100−mmディッシュで培養し、密度が80〜90%になったとき、PBSで2回洗浄し、溶菌バッファー(lysis buffer、Sigma)100〜150μlを入れて、セルスクレーパ(SPL Life Sciences)で細胞を取得した。低温冷蔵庫(4〜8℃)で10分間インキュベートし、10分間遠心分離した後に、各種のタンパク質を含む上層部を新しいチューブに移してからBCAタンパク質定量キット(protein assay kit)(Thermo Scientific;製品番号、23227)にてタンパク質定量をした。15μgタンパク質を電気泳動した後にニトロセルローズ膜に移送した後、SOX10(R&D systems、MAB2864)、PAX3(R&D systems、MAB2457)、BRN2(ProteinTech Group、14596−1−AP)、MART1(Thermo Scientific、MS−716)、TYRP2(Santa Cruz biotechnology、C−9、sc−74439)、TYRP1(Santa Cruz biotechnology、H−90、sc−25543)、TYR(Santa Cruz biotechnology、H−109、sc−15341)、GADPH(Santa Cruz biotechnology、FL−335、sc−25778)のそれぞれの抗体でウエスタンブロット(Western blot)を行った結果、KaMBから特異的にBRN2の発現が観察され(図11のD、星印(*))、KaMCからはメラニン生成の核心タンパク質であるチロシナーゼ(TYR)の発現が増加していることが分かった(図11のD、矢印(←))。BRN2はヒトメラノブラストマーカーであり、角化細胞の培養から分離したKaMBは、メラノブラストであることが確認された。
(5)PMAに対する反応性の調査
前記のようなメラノブラスト的性質を有するようになったことが単に培地の入れ替えによる脱分化の結果であるか否かを確認するために、一次メラニン形成細胞とKaMBを、メラニン形成細胞の分化を誘導する物質であるPMAが含まれたメラニン形成細胞培地とPMAが含まれていないメラノブラスト培地のそれぞれで培養させた。その結果、一次メラニン形成細胞は、PMAのある培地では適当に育ったが、PMAのないメラノブラスト培地ではほとんど育っていないことが分かった(図12のA、3rd、4th panels)。これに対し、角化細胞から分離されたKaMBは、PMAのあるメラニン形成細胞培地よりはPMAが含まれていないメラノブラスト培地で遥かに優れた増殖力を示した(図12のA、1st、2nd panels)。このような結果から、KaMBは、単にメラノブラスト培地で育てて得られる脱分化された細胞とは異なる性格の細胞であることが分かる。
(6)細胞成長曲線
各細胞のタイプ毎に24−ウェルプレートの1ウェル当たり3.4×10(総5ウェル)を植えて0、3、6、9、12日目に細胞数の測定を行った。その結果、KaMB細胞が最も優れた増殖力を示した(図12のB)。
(7)細胞分裂能の調査
各細胞を96−ウェルプレートの1ウェル当たり1×10個を植えて3日間培養後、細胞増殖ELISA、BrdUキット(Roche、製品番号:11 647 229 001)を利用して細胞をラベリングした後、吸光度を10、20、30分おきに測定した。BrdUは分裂する細胞のDNAにくっ付く性質がある。その結果、PMAが含まれていないメラノブラスト培地におけるKaMBが最も多く分裂及び増殖をしていることが分かった(図12のC)。KaMBは、PMAのない培地条件で長期間(passage 9)培養する間に大きな変化がなかったが(図13、3rd panel)、一次メラニン形成細胞はこの培地でほとんど増殖ができず、且つ長期間(passage 6)培養する間に細胞内部に多くの液胞(vacuoles)を形成した(図13、1st panel)。KaMCとPMCのそれぞれを、PMAを含むメラニン形成細胞培地で培養した時すらも、KaMCがPMCよりも優れた増殖力を示した(図12のB、C)。
前記のような実験結果から、角化細胞培養から分離されたKaMBは、PMA−メラノブラスト培地で最上の増殖力を示し且つメラノブラストの遺伝子マーカーとタンパク質を特異的に発現しており、分化誘導物質であるPMAによってメラニン形成細胞から分化できることから、メラノブラストであることが分かる。また角化細胞の培養から分離されたKaMB由来のKaMCは、一次メラニン形成細胞よりも優れた増殖力を保有していることが分かる。これは、皮膚組織から直接分離された一次メラニン形成細胞よりも角化細胞の環境下で体外環境に適応してから分離されるメラニン形成細胞のほうがより良好な増殖力を保有するようになることを意味する。
本発明の一側面によれば、本発明は、角化細胞との関係を保持する状態で、体外で適応したメラニン形成細胞又はメラノブラストを提供することができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、体外(in vitro)で進められるメラニン形成細胞又はメラノブラスト研究の妥当性を確実にすることができる。
本発明の一側面によれば、本発明は、メラニン形成細胞又はメラノブラストの生存、繁殖、分化、及び再生に関する研究を通じて、母斑(nevi)、黒子(lentigo)又は染みのような皮膚過色素沈着症、白斑症又は白化のような色素欠如症(vitiligo, leukoplakia and albinism)、黒色腫(melanoma)を含む癌等の発生要因とその治療策を得ることができるようになる。
本発明の一側面によれば、本発明は、シミ、そばかすなどを緩和させ且つメラニン色素の生成を抑制する目的を有する美白化粧品、美白医薬品などの開発を容易にすることができる。

Claims (38)

  1. 角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞であるメラノブラストを生産する方法であって、
    (a)角化細胞を角化細胞培地で培養する段階;
    (b)前記培養物から角化細胞を除去する段階;及び
    (c)角化細胞が除去された培養物からディッシュ底に付着された細胞を収去し、メラニン形成細胞培地又はメラノブラスト培地で培養する段階;
    を含む、角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  2. 前記生産方法はメラニン形成細胞の生産方法であり、
    前記段階(c)におけるメラニン形成細胞培地は、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、及びPMA(phorbol 12−myristate 13−acetate)を含む補充物で補充された培地である、請求項1に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  3. 前記生産方法はメラノブラストの生産方法であり、
    前記段階(c)におけるメラノブラスト培地は、必須及び非必須アミノ酸、ビタミン、有機化合物、微量のミネラル、並びに無機塩を含むが、抗生剤、抗真菌剤(antimycotics)、ホルモン、成長因子又はタンパク質は含まない基本培地に、ウシ胎児血清、塩基性線維芽細胞成長因子、ウシ脳下垂体抽出物、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、トランスフェリン、エンドセリン−1(endothelin−1)を含む補充物で補充された培地である、請求項1に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  4. 前記段階(a)における角化細胞はヒトの角化細胞人である、請求項1に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  5. 前記段階(b)は、角化細胞を、前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で培養することを含む、請求項1に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  6. 前記段階(b)は、
    (イ)培養された角化細胞を前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で培養する段階;
    (ロ)前記カルシウム培地を除去した後に細胞を洗浄し、角化細胞培地に置き換えて再び培養する段階;
    (ハ)前記培地を除去した後に細胞を洗浄し、インキュベートさせる段階;及び
    (ニ)インキュベートされた細胞から角化細胞をシート形態に分離させる段階;
    を含む、請求項5に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  7. 前記段階(ニ)は、前記インキュベートされた細胞に緩衝液又は角化細胞培地を添加して角化細胞をシート形態に分離させることを含む、請求項6に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  8. 前記段階(イ)では、角化細胞を前記角化細胞培地にカルシウムが添加されたカルシウム培地で2〜6日間培養する、請求項6に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  9. 前記角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法は、
    段階(a)において角化細胞を角化細胞培地で培養した結果、細胞が培養ディッシュにおいて80〜100%コンフルエント(confluent)にて培養された時点で角化細胞培地からカルシウム培地に置き換えることを含む、請求項6に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  10. 前記段階(ロ)では、角化細胞培地で3〜7日間培養する、請求項6に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  11. 前記段階(ハ)では、培地の色の変化が止まってそれ以上変わらない時点で培地を除去する、請求項6に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  12. 前記段階(ハ)における前記インキュベーションは、5〜10分間行う、請求項6に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞又はその前駆細胞の生産方法。
  13. 角化細胞に適応したメラニン形成細胞であって、
    下記特徴のうちのいずれか一つ以上を有する角化細胞に適応したメラニン形成細胞:
    (i)一次メラニン形成細胞に比べて低い、神経堤幹細胞マーカーであるp75NTRの発現量;
    (ii)一次メラニン形成細胞に比べて高い、メラノブラストから発現するBRN2の発現量;
    (iii)一次メラニン形成細胞に比べて高いメラニン含量;
    (iv)一次メラニン形成細胞に比べて高いチロシナーゼ活性;
    (v)ホルボール12−ミリステート13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate、PMA)欠如培地(PMA−free medium)で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてp75NTRの高い発現増加量;
    (vi)PMA欠如培地で培養の際、一次メラニン形成細胞に比べてBRN2の低い発現増加量;
    (vii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のp75NTRの発現量の割合の60〜160%に該当する発現量;
    (viii)PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA欠如培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の相対的な割合が、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞のBRN2の発現量に対する、PMA含有メラニン形成細胞培地で培養された角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量の割合の1〜10倍に該当する発現量;及び
    (ix)一次メラニン形成細胞に比べて高い、2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合。
  14. 前記(i)のp75NTRの発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて1/10倍以下に低い、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  15. 前記(ii)のBRN2の発現量は、一次メラニン形成細胞に比べて5倍以上高い、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  16. 前記(iii)のメラニン含量は、一次メラニン形成細胞に比べて高い、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  17. 前記(iv)のチロシナーゼの活性は、37℃で120分間インキュベーションの際に一次メラニン形成細胞に比べて2倍以上高い、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  18. 前記(v)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の2倍以上である、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  19. 前記(vi)の発現量は、一次メラニン形成細胞の発現量の9/10倍以下である、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  20. 前記(vii)において、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のp75NTRの発現量が、メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞が発現するp75NTRの発現量の80〜120%に該当する発現量である、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  21. 前記(viii)において、PMA欠如培地で培養の際の角化細胞に適応したメラニン形成細胞のBRN2の発現量が、メラニン形成細胞培地で培養された一次メラニン形成細胞が発現するBRN2の発現量の3〜7倍に該当する発現量である、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  22. 前記(ix)において、2時間継代培養後のディッシュ底に付着された細胞の割合が、80%以上である、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  23. 前記角化細胞に適応したメラニン形成細胞は角化細胞から由来したものである、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  24. 前記角化細胞はヒトの角化細胞である、請求項23に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  25. 前記角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって生産されたものである、請求項23に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  26. 前記角化細胞に適応したメラニン形成細胞は、寄託番号KCTC 12015BPにて寄託された細胞である、請求項13に記載の角化細胞に適応したメラニン形成細胞。
  27. 角化細胞に適応したメラノブラストであって、
    MITF、DCT、TYRP1、SNAI2、C−KIT、及びEDNRBからなる群より選ばれる一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて高い特徴を有する、角化細胞に適応したメラノブラスト。
  28. 前記メラノブラストは、
    MITF及びDCTのうちの一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて2倍以上高い特徴を有する細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  29. 前記メラノブラストは、
    MITF及びDCTのうちの一つ以上のメラノブラストマーカーの発現量が、一次メラニン形成細胞又は角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて4倍以上高い特徴を有する細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  30. 前記メラノブラストは、
    角化細胞に適応したメラニン形成細胞に比べて高いBRN2タンパク質発現量、及び低いTYRタンパク質発現量のうちのいずれか一つ以上の特徴を有する細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  31. 前記メラノブラストは、メラノブラスト培地で9日間培養の際、初期の細胞数に比べて25倍以上増加した細胞数を示す細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  32. 前記メラノブラストは、メラノブラスト培地で9日間培養の際、初期の細胞数に比べて30倍以上増加した細胞数を示す細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  33. 前記メラノブラストは、メラノブラスト培地で6回以上の継代培養の際も増殖し続ける細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  34. 前記メラノブラストは、メラノブラスト培地で9回以上の継代培養の際も増殖し続ける細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  35. 前記角化細胞に適応したメラノブラストは、角化細胞から由来したものである、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  36. 前記角化細胞は、ヒトの角化細胞である、請求項35に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  37. 前記角化細胞に適応したメラノブラストは、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって生産されたものである、請求項36に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
  38. 前記角化細胞に適応したメラノブラストは、寄託番号KCTC 12250BPにて寄託された細胞である、請求項27に記載の角化細胞に適応したメラノブラスト。
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