JP5301146B2 - 特定の方法で培養されたケラチノサイト前駆細胞及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、モウズイカの抽出物及び該成分を含有する培地を用いて培養することを特徴とする細胞及び/又はその製造方法などに関する。詳しくは、モウズイカの抽出物を用いることにより、皮膚及び毛髪に由来するケラチノサイト前駆細胞の未分化状態を維持するという機能を有し、さらに、当該機能の効果を保持したまま、当該細胞の選択的増殖効果、当該細胞移植時の細胞の生体組織への生着率を高める効果を有する未分化状態のケラチノサイト前駆細胞及び/又はその製造方法などに関する。
毛包は、皮膚の付属器官の一つであり、皮膚外部に露出したいわゆる毛髪と、皮膚真皮に埋没した毛幹を生み出す元になる毛根鞘や毛母細胞、毛乳頭細胞などから形成されている。毛根鞘は、数層の細胞層で構成されており、毛幹に接している細胞層を内毛根鞘、外側にある細胞層を外毛根鞘という。外毛根鞘は、大部分が未分化ケラチノサイトから構成されている。最近の実験から、外毛根鞘のバルジと呼ばれる領域に皮膚上皮組織や毛包の元となる細胞が存在すると考えられている。
Montagna & Parakkal, The Structure and Function of Skin 172−258 (Academic Press New York, NY, 1974) Cotsarelis, et al. Cell 61, 1329−1337 (1990) Kobayashi, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7391−7395 (1993)
毛包内に観察される様々な細胞集団に対する分子マーカーが同定されている。例えば、外毛根鞘のバルジ領域では、ケラチン15、CD200などが発現し、外毛根鞘ではCD34、ケラチン19などが発現している。これら分子マーカーの中において、CD34は、105〜120kDaの膜貫通型糖蛋白質であり、マウスでは毛包のバルジ領域に局在する細胞であり、ヒトにおいては成長期特異的に外毛根鞘細胞に発現している。この発現様式から、マウス及びヒトにおいて、CD34は、発毛と密接な関係があると考えられている。
上述したCD34などの分子マーカーに対する抗体を用いて、FACSなどの細胞を選択的に分離する装置により、分子マーカーを発現している生きた細胞を単離することが可能である。得られた細胞は、病気の治療などの臨床目的に使用することが期待されている。しかし、これらの細胞の組織中に含まれる割合は、非常に低く、臨床応用に必要な細胞を確保するためには、大量の頭皮や皮膚組織などの生体組織を必要とする問題点が指摘されていた。
Morris, et al. Nature Biotechnol. 22, 411−417 (2004) Trempus, et al. J. Invest. Dermatol. 120, 501−511 (2003) 特表2001−526560号公報
問題を解決する手段の一つとして、細胞を培養皿上において人工的に培養し、増殖させる方法が挙げられる。実際に、外毛根鞘細胞は、抜去した毛髪より単離することができ、適切な培養液を用いて培養皿上において培養することによって増殖させることが可能である。このように培養した外毛根鞘細胞は、形態的及び生化学的にケラチノサイトと似ており、ヒト線維芽細胞と共培養することによって、組織学的、免疫組織学的、微細構造的及び生化学的に皮膚に似せて培養することができ、これをヌードマウスに移植すると、外毛根鞘細胞は機能的に正常な新表皮を形成することが示されている。従って、外毛根鞘細胞は、臨床用途において非常に重要である。
Weterings, et al. Brit. J. Dermatol. 104, 1−5 (1981) Limat, et al. Transplantation 59, 1032−1038 (1995)
しかし、上述した方法によって培養した外毛根鞘細胞は、様々な性質を持った細胞が混在したものであり、臨床応用するときに期待通りの効果を発揮できない、予想外の副反応を引き起こすなどの可能性が考えられる。また、大量に培養した外毛根鞘細胞の中から、例えば多分化能を有した細胞をFACSなどの装置で分離する方法が考えられる。しかし、通常このような性質は培養を継続することにより容易に失われることが知られているため、これもあまり現実的な方法とは言えない。そのため、特定の性質だけを持った細胞を増殖させる培養技術の開発が望まれていた。
かかる状況に鑑み、本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決し、未分化状態と関連する分子マーカーを発現する毛包由来の上皮細胞及びその細胞を効率よく増殖させる製造方法などを提供することにある。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、モウズイカの抽出物を含有する培地を用いて培養することで、ケラチノサイト前駆細胞の優れた未分化維持効果と増殖促進効果を見出し、さらに、当該細胞を移植した際に、生体への生着率が極めて向上することを明らかにし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下のとおりである。
モウズイカの抽出物を含有する培地を用いて培養することを特徴とするケラチノサイト前駆細胞。
モウズイカの抽出物を含有する培地を用いて培養することにより未分化状態が維持されていることを特徴とするケラチノサイト前駆細胞。
上記記載のケラチノサイト前駆細胞が、CD34を発現していることを特徴とするケラチノサイト前駆細胞。
モウズイカの抽出物を含有する培地を用いて培養することを特徴とするケラチノサイト前駆細胞の製造方法。
モウズイカの抽出物を含有することを特徴とするケラチノサイト前駆細胞の未分化状態の維持剤。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、モウズイカの溶媒抽出物を含有する培地を用いて培養することで、ケラチノサイト前駆細胞の未分化状態を維持させたまま細胞増殖を促進し、さらに、移植時における当該細胞の組織への生着率の向上をもたらすことが可能なケラチノサイト前駆細胞及びその製造方法を提供する。
本発明に用いるモウズイカは、ゴマノハグサ科モウズイカ属に含まれる植物であり、ビロードモウズイカVerbasidium pullulansなどがあげられる。
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコールが良く、特に好ましくは、水、エタノールが良い。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いても良い。また、抽出法は特に限定されないが、加熱による抽出が好ましい。さらに上記抽出溶媒に酸やアルカリを添加してpH調整して用いてもよい。
モウズイカの溶媒抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、稀釈、濾過等の処理及び活性炭等による脱色、脱臭処理をして用いても良い。特に、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いることが好ましい。
モウズイカの溶媒抽出物を溶液の状態で用いる場合の成分含有量は、特に限定されないが、乾燥物として0.00001〜0.01重量%であることが好ましく、0.00001〜0.001重量%含まれる濃度によって使用することが最も好ましい。
また、本発明のケラチノサイト前駆細胞やその製造方法、未分化維持剤、未分化維持方法などは、細胞培養用添加剤、研究用試薬、医療用試薬、細胞移植剤をはじめとし、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等への配合や応用が可能である。
また、モウズイカの溶媒抽出物を直接体内に導入することも可能である。
この出願において、ケラチノサイト前駆細胞とは、毛包構成細胞である内毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞を構成する細胞や毛幹に分化する能力を有し、あるいは皮膚組織の基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞及び角質細胞に分化する能力を有し、培養により増殖する細胞をいう。これらの性質を有する細胞の状態を未分化状態という。
未分化状態のケラチノサイト前駆細胞は、いくつかの分子マーカーを発現している。例えば、CD34などがある。毛包由来細胞が、CD34などを発現し続けていれば、ケラチノサイト前駆細胞は、未分化状態を維持していると考えられる。
ケラチノサイト前駆細胞は、通常培養を継続すると、皮膚における有棘細胞や顆粒細胞のような性質を有するようになる。この細胞では、CD34などの未分化状態を示す分子マーカーの発現が抑制され、フィラグリンやインボルクリンなどの分子マーカーを発現するようになる。
本発明のケラチノサイト前駆細胞としては、本発明の目的に沿うものであれば、胚性の幹細胞(ES細胞)、もしくは、神経、骨髄、血液、皮膚、脂肪、脳、肝臓、膵臓、腎臓、筋肉やその他の組織に存在する体性の分化能を有する細胞、さらには当該細胞の初代培養細胞、継代培養細胞、凍結細胞いずれであってもよい。好ましくは、皮膚、毛髪組織および爪由来のケラチノサイト前駆細胞に対してより効果を発揮する。また、哺乳動物における、ケラチノサイト前駆細胞の分化への方向性及び分化の過程等について同等の特性を持っていれば、全ての哺乳動物に応用が可能である。例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の哺乳動物のケラチノサイト前駆細胞に対して効果を発揮することができる。
本発明のケラチノサイト前駆細胞を培養する培地、または同時に用いる添加剤としては、以下のものを使用できるが、限定されるものではない。
具体的には、動物細胞の生存に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン)を含む基本培地であり、例えば、Alpha−MEM(大日本製薬株式会社等)、ATCC−CRCM 30(ATCC)、Coon’s modified F12 (Sigma等)。DM−160及びDM−201(日本製薬株式会社)、Dulbecco‘s Modified Eagle Medium(DMEM)(和光純薬株式会社等),DMEM:Ham’s F12混合培地(1:1)(大日本製薬株式会社等)、DMEM:RPMI1640混合培地(1:1)(大日本製薬株式会社等)、Eagle Basal Medium(EBM)(大日本製薬株式会社等),Eagle‘s Minimum Essential Medium(EMEM)(大日本製薬株式会社等),EMEM: RPMI1640混合培地(1:1)(日水製薬株式会社)、ES medium(日水製薬株式会社)、Fisher’s Medium(和光純薬工業株式会社)、Ham’s F10 Medium(大日本製薬株式会社等)、Ham’s F12 Medium(大日本製薬株式会社等)、Ham’s F12:RPMI1640混合培地(1:1)(大日本製薬株式会社等)、Kaighns modified of Ham’s F12(F12K)(大日本製薬株式会社等)、Leibovitz’s L−15 Medium(大日本製薬株式会社等)、McCoy’s 5A(大日本製薬株式会社等)、RITC80−7培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB201培地(Sigma)、HSMC−C1培地(機能性ペプチド研究所)、HEC−C1培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB131培地(機能性ペプチド研究所)、HSMC−C2培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB153培地(機能性ペプチド研究所)、MCDB153HAA培地(機能性ペプチド研究所)、Medium 199(大日本製薬株式会社等)、NCTC135(大日本製薬株式会社等)、RPMI1640(大日本製薬株式会社等)、ハンクス液(Hank‘s balanced salt solution)(日水製薬株式会社等)、Waymouth’s MB752/1 Medium(大日本製薬株式会社等)、ウィリアムE培地(William E Medium)(Sigma等)に、増殖因子として上皮細胞増殖因子(EGF)、インシュリン、インシュリン様増殖因子(IGF−I/II)、トランスフェリン、ハイドロコーチゾンを添加した培地が用いられる。好ましくは、これら増殖因子の全てが含有されたものである。また、必要に応じて、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、白血球遊走阻止因子(LIF)の少なくともいずれか1種、腫瘍壊死因子(TNF)、ビタミン類、インターロイキン類、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン、プロゲステロン、セレナイト、B27−サプリメント、N2−サプリメント、ITS−サプリメント、ウシ脳下垂体抽出液及び抗生物質が、少なくともいずれか1種含有されてもよい。
また、上記以外には、血清は必ずしも必要ないが、必要に応じて1〜20%の含有率で血清が含有されていても良い。しかし、血清はロットの違いにより成分が異なり、その効果にバラツキがあるため、ロットチェックを行った後に使用することが好ましい。
市販品としては、例えば、クラボウ社製の正常ヒト表皮角化細胞増殖用無血清培地Humedia−KG2、あるいはEpiLife−KG2、Cascade社製の表皮角化細胞基礎培地Medium154S、あるいはSigma社製のウィリアムE培地(William E Medium)などを用いることができる。
本発明のモウズイカの溶媒抽出物を含有する培地を用いて培養したケラチノサイト前駆細胞は、極めて高い未分化状態を維持した。さらに、この未分化状態を維持させたまま当該細胞を増殖させ、生体へ移植した場合、組織への生着率が著しく向上した。以上より、本発明は、組織の再生治療、美容を目的とした外科的施術を伴った治療に役立つものであり、組織の再生の分野において大きく貢献できるものである。
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いるモウズイカの溶媒抽出物の製造例及びケラチノサイト前駆細胞の未分化状態の維持効果を示す実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に、モウズイカを用いた溶媒抽出物の製造例を示す。
製造例1 モウズイカ地上部の熱水抽出物の調製
モウズイカの地上部の細断品100gに精製水1kgを加え、95〜100℃、2時間抽出した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥してモウズイカ地上部の熱水抽出物を11g得た。
以下に、実施例1に示した製造例のモウズイカの溶媒抽出物を用いた、ケラチノサイト幹細胞及びケラチノサイト前駆細胞の未分化状態の維持剤(未分化状態維持効果、選択的細胞増殖促進効果)の実験例とその結果を示す。
実験例1
健常人から毛髪を抜去し、毛幹を毛包から約1cm残して取り除いた。毛包を含む毛髪をトリプシン処理してヒト外毛根鞘細胞(hORS)を剥離し、1,000rpm、5分間、室温において遠心分離して回収した。5mlの培地(Humedia KG2; クラボウ)に懸濁し、コラーゲンIVコートした60mm培養皿(ベクトンディッキンソン)に播種した。10日間培養し、細胞を増殖させた後に、4,000個/cmの密度においてhORSをコラーゲンIVコートした60mm培養皿(ベクトンディッキンソン)に播種し直した。培地中のhORSにモウズイカ抽出物を添加し、COインキュベーター中、5%CO、95%大気、37℃にて2日間培養した。また、コントロールとして、モウズイカ抽出液を添加しない未適用対照を設けた。培養終了時に、細胞よりTORIZOL(Invitrogen社製)にて細胞を溶解することによって総RNAを抽出し、総RNAを基に、RT−PCR法によりmRNA発現量の測定を行った。RT−PCR法にはSuperScriptIII Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(Invitrogen社製)を用い、定量PCR反応に供し、CD34の発現量を定量した。発現量は、GAPDHの発現量にて規格化(ノーマライズ)した。尚、各遺伝子の発現の測定に使用したプライマーは、次の通りである。
CD34用のプライマーセット
TTGCTGCCTTCTGGGTTCAT(配列番号1)
GGTGCAGGCTGGTACTTCCA(配列番号2)

GAPDH用のプライマーセット
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号3)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号4)
定量化は、ΔΔCt法にて行い、モウズイカ抽出物無添加時の遺伝子発現量に対するモウズイカ抽出物添加時の遺伝子発現量を算出した。その結果を表1に示す。表示の通りモウズイカ抽出物を添加したときに、CD34の発現の上昇が見られた。CD34の発現は、添加するモウズイカ抽出物の濃度に依存しており、10ng/mlにおいて添加したときは、無添加条件との差は見られなかったが、500ng/ml及び1000ng/mlにおいて添加したときは、無添加条件に対して約2倍の発現上昇が見られた。
Figure 0005301146
実験例2 幹細胞に対する細胞増殖促進効果の評価
実験例1において調製したhORSを、4,000個/ウェルの密度でコラーゲンIVコートした24ウェルプレートに播種した。モウズイカ(500ng/ml)添加あるいは無添加の条件において3日間培養した。培養後、10%中性ホルマリン溶液(和光)を用いて、4℃、一晩固定した。ラビット抗CD34抗体を反応させた後、蛍光色素Alexa488を連結した抗ウサギIgGを反応させ、蛍光顕微鏡(オリンパス)を用いて観察し、デジタルカメラにて顕微鏡像を撮影した。
これらの試験結果を図1に示した。図に示す通り、モウズイカ抽出物を添加したときに、CD34の発現細胞の割合が増加した。この結果は、CD34の発現増加は、CD34陽性細胞の増加の結果であり、CD34陽性細胞が選択的に増殖した結果であると考えられる。
本発明によるモウズイカの溶媒抽出物を添加して培養したケラチノサイト前駆細胞を用いて、実際に移植を行い、移植後のそれぞれの生着率(%)を比較した。
実験例3 移植用のケラチノサイト前駆細胞の調製
実験例1において調製したhORSを60mm培養皿に1x10個播種し、モウズイカ抽出物を添加し、3日間培養を続けた。次に、それぞれの細胞をPBS(−)にて3回洗浄した後、無菌的にラバーポリスマンにて回収し、遠沈後、5%FBS添加ハンクス液(Hank‘s balanced salt solution)に分散し、移植用の細胞として用いた。その後、以下の方法にて、皮膚移植を行い、生着率(%)について測定した。
実験例4 ケラチノサイト前駆細胞の移植及び生着率(%)の測定
実験例3において調製したケラチノサイト前駆細胞1x10個を、ヌードマウス(雄性、4週齢)の皮下に移植した。具体的には、移植する1x10個の細胞を、予めCell Tracker(モレキュラープローブ社製)にて蛍光標識し、その時点の蛍光強度を測定し、移植細胞の総数(100%)とした。移植部位をマジックにてマーキングし、移植3日後、7日後に移植部位を摘出し、酵素処理により細胞を分散させ、得られた細胞の蛍光強度を測定し、移植時の蛍光強度(100%)と比較することにより、生着率(%)を算出した。
これらの試験結果を表2に示した。その結果、移植3日後、7日後ともに、モウズイカの溶媒抽出物を添加すると高い生着率を示した。特に、生着率は、モウズイカ抽出物の濃度に依存しており、10ng/mlにおいて添加したときは、無添加条件との差がほとんど見られなかったが、500ng/ml及び1000ng/mlにおいて添加したときに極めて高い生着率を示した。
Figure 0005301146
以上の結果より、モウズイカの溶媒抽出物は、細胞移植における生着率を優位に向上させることを確認した。なお、本実験例で用いた細胞以外にも、胚性の幹細胞(ES細胞)についても同様な試験を行ったところ、顕著な細胞移植における生着率の向上効果が認められた。
本発明のモウズイカの溶媒抽出物をケラチノサイト前駆細胞に用いることによって、従来の技術に比べて、未分化状態を維持させたまま当該細胞の増殖を促進させ、さらに、移植した場合には、生着率の極めて高いケラチノサイト前駆細胞を簡便に調製することが可能となった。
本発明の活用例として、再生医療あるいは美容を目的とした外科的施術を伴った治療への応用が期待される。例えば、本発明を利用することによって、再生医療あるいは美容を目的とした外科的施術を伴った治療に用いる生着率の高い未分化状態のケラチノサイト前駆細胞を簡便に効率よく調製することが可能となる。また、ケラチノサイト前駆細胞を移植後または組織に存在するケラチノサイト前駆細胞に対して、本発明のモウズイカの溶媒抽出物を直接的に注入または経口投与、塗布、貼付などにより導入させることにより細胞の未分化状態を維持させたまま増殖させることが可能である。
すなわち、本発明は、再生医療、美容を目的とした外科的施術を伴った治療における、ケラチノサイト前駆細胞の調製方法及び/又は、ケラチノサイト前駆細胞の未分化状態の維持剤として利用が可能である。
モウズイカ抽出物添加あるいは無添加で培養したhORSにおけるCD34の発現様式

Claims (2)

  1. モウズイカの熱水抽出物を含有することを特徴とするヒトケラチノサイト前駆細胞の未分化状態の維持剤。
  2. ケラチノサイト前駆細胞がCD34を発現していることを特徴とする請求項1記載の未分化状態の維持剤。
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