JP5184933B2 - 特定の方法で培養された幹細胞及びその製造方法 - Google Patents

特定の方法で培養された幹細胞及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフ(学名:Tuber melanosporum)の抽出物および該成分を含有する培地を用いて培養することを特徴とする幹細胞及び/又はその製造方法などに関する。詳しくは、セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することで、哺乳動物の幹細胞の未分化状態を維持させる機能を有し、さらに、該機能の効果を保持したまま、幹細胞の増殖促進効果、幹細胞移植時の幹細胞の生体組織への生着率を高める効果を有する未分化状態の幹細胞及び/又はその製造方法などに関する。
脊椎動物、特に哺乳動物の組織は、傷害もしくは疾患、又は加齢などに伴い細胞・臓器の損傷が起こった場合、再生系が働き、細胞・臓器の損傷を回復しようとする。この作用に、当該組織に備わる幹細胞が大きな役割を果たしている。幹細胞は、あらゆる細胞・臓器に分化する多能性を有しており、この性質により細胞・組織の損傷部を補うことで回復に導くと考えられている。このような幹細胞を応用した、次世代の医療である再生医療に期待が集まっている。
哺乳動物における幹細胞研究で最も進んでいる組織は骨髄である。骨髄には生体の造血幹細胞が存在しており、すべての血液細胞再生の源であることが明らかにされた。さらに骨髄には、造血幹細胞とは別に、その他の臓器(例えば、骨、軟骨、筋肉、脂肪など)へ分化可能な幹細胞が包含されていることが報告されている(非特許文献1参照)。
さらに、近年、骨髄以外にも、肝臓、膵臓、脂肪など、あらゆる臓器・組織に幹細胞が存在することが明らかにされ、各臓器・組織の再生および恒常性維持を司っていることがわかってきた(非特許文献2〜5参照)。また、各組織に存在する幹細胞は可塑性に優れており、今まで自己複製が不可能であった臓器や組織の再生にも利用できる可能性がある。
近年、これらの幹細胞の能力(多能性)を、臓器や組織の再生へ応用するため、細胞移植治療や組織工学(再生医療や再生美容)の分野において幹細胞を生体組織から分離した後に培養し増殖させる技術の開発が進められている(非特許文献6〜7)。
Pittenger M. F., et al., Science,1999,284,143−147 Goodell M. F., et al., Nat. Med., 1997,3,1337−1345 Zulewski H., et al., Diabetes, 2001,50,521−533 Suzuki A., et al., Hepatology, 2000,32,1230−1239 Zuk P. A., et al., Tissue Engineering, 2001,7,211−228 馬渕 洋ほか,日本再生医療学会誌,2007,6,263−268 北川 全ほか,日本再生医療学会誌,2008,7,14−18
特に、幹細胞を生体外で培養する場合、幹細胞の能力である多能性を維持した状態、すなわち、未分化な状態を維持させたまま増殖させることが極めて重要である。もし、この培養時に幹細胞の未分化状態が維持できず分化誘導が進んでしまった場合、最終的に調製された幹細胞の能力(多能性)は失われていることになり、目的の効果(臓器、組織の再生など)を発揮できない。
さらに、未分化状態を維持して培養できたとしても、調製された幹細胞を移植した時の生体への生着率が低くても、その効果(臓器、組織の再生など)を発揮できない。
以上より、幹細胞を細胞移植治療や組織工学(再生医療や再生美容)に利用し臓器、組織の再生を望む場合、未分化状態を維持させたまま培養し、その調製された幹細胞の生体への生着率が高くなくてはならなない。
現在までに、幹細胞の未分化状態を維持させたまま増殖させる技術について、幾つか報告があるが、未だ発展途上である。例えば、胚性幹細胞(ES細胞)や造血幹細胞は、支持細胞(ストローマ細胞、もしくはフィーダー細胞)と共培養することで未分化を維持することができる(非特許文献8〜10、特許文献1参照)。しかし、最近になってフィーダー細胞由来の内在性ウイルスによる異種動物間の感染例が報告されており(非特許文献11参照)、医療用途を目的とした幹細胞の培養には適していない。
Thomson J. A. et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1995,92,7844−7848 Thomson J. A. et al., Science, 1998,282,1145−1147 Reubinoff B. E. et al., Nature Biotech, 2000,18,399−404 特開2004−24089号公報 Van der Laan LucJ. W. et al., Nature, 2000,407,90−94
その他の方法に、サイトカインを複雑に組合せることによって幹細胞の未分化状態を維持させる方法がある。例えば、マウスES細胞は、LIF(白血病抑制因子(Leukemia Inhibitory Factor))を培地に添加することによって、未分化性が維持される(非特許文献12、特許文献2参照)。その他、初期作用性サイトカイントロンボポイエチン(TPO)、インターロイキン6(IL−6)、FLT−3リガンド、および幹細胞因子(SCF)の存在下で、未分化性を維持させることが胚性幹細胞、体性幹細胞などで報告されている(特許文献3、非特許文献13参照)。
Smith A.G. et al., Dev.Biol,1987,121,1−9 特表2002−525042号公報 特許登録3573354号 Madlambayan G.J. et al., J.Hematother.Stem Cell Res.,2001,10,481−492
しかし、サイトカインは、高価であり、採取原料や保存性などの問題があり容易な使用は難しい。加えて、LIFの効果は極めて特定の細胞系統に限定的であり、特に霊長類のES細胞や体性幹細胞においては、LIFの添加のみでは未分化状態を維持することができないことが明らかにされている(非特許文献9参照)。
現在、報告されている幹細胞の未分化状態の維持方法はいずれも、煩雑な操作を必要としたり、未分化状態の維持効果が低いことから、幹細胞を再生医療に利用する際には、未分化状態を維持したまま移植に足りうる数まで増殖させ、かつ目的組織へ移植した場合に、生着率の高い幹細胞が求められていた。つまり、安全かつ簡便で効率的に、幹細胞の未分化状態を維持させたまま増殖させ、生着率の高い幹細胞及びそれに関する技術と物質が求められていた。
かかる状況に鑑み、本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決し、哺乳動物の幹細胞の未分化状態を維持させたまま、効率よく増殖させ、さらに生着率の高い幹細胞及びその製造方法などを提供することにある。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有する培地を用いて培養することで、優れた幹細胞の未分化維持効果と増殖促進効果を見出し、さらに、該幹細胞を移植した際に、生体への生着率が極めて向上することを明らかにし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下のとおりである。
(1)セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフ(学名:Tuber melanosporum)の抽出物を含有する培地を用いて培養することを特徴とする幹細胞。
(2)セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有する培地を用いて培養することで未分化状態を維持させることを特徴とする幹細胞。
(3)幹細胞が哺乳動物由来であることを特徴とする前記(1)〜(2)に記載の幹細胞。
(4)セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有する培地を用いて培養することを特徴とする幹細胞の製造方法。
(5)セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする未分化状態を維持させた幹細胞の増殖促進剤。
(6)セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする幹細胞の未分化状態の維持方法。
(7)セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする幹細胞の増殖促進方法。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、セイヨウショウロ目、セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有する培地を用いて培養することで、幹細胞の未分化状態を維持させたまま細胞増殖を促進し、さらに、移植時における幹細胞の組織への生着率の向上をもたらすことが可能な幹細胞及びその製造方法を提供する。
本発明で用いられるトリュフ(学名:Tuber melanosporum)は、セイヨウショウロ目(Tuberales)、セイヨウショウロ科(Tuberaceae)に属する子嚢菌であり、塊状で地中に発生し、子実層は外に開いていない。子実体の多くは強い香りを持ち、リスやウサギのような動物が掘り出して食用とする。トリュフは、世界3大珍味のひとつであり高級フランス料理に使用される。また、欧米では美味な食用キノコであり、ブラック・ダイヤモンドとも呼ばれている。
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコールが良く、特に好ましくは、水、エタノールが良い。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いても良い。また、抽出法は特に限定されないが、加熱による抽出が好ましい。さらに上記抽出溶媒に酸やアルカリを添加してpH調整して用いてもよい。
トリュフの抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、稀釈、濾過等の処理及び活性炭等による脱色、脱臭処理をして用いても良い。特に、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いることが好ましい。
トリュフの抽出物を溶液の状態で用いる場合の成分含有量は特に限定されないが、乾燥物として0.00001〜10重量%であることが好ましく、0.0001〜1重量%含まれる濃度で使用することが最も好ましい。0.00001重量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されにくい場合がある。
また、本発明の幹細胞やその製造方法、未分化維持剤、未分化維持方法などは、細胞培養用添加剤、研究用試薬、医療用試薬、細胞移植剤をはじめとし、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等への配合や応用が可能である。
本発明の幹細胞としては、本発明の目的に沿うものであれば、胚性の幹細胞(ES細胞)、もしくは、骨髄、血液、皮膚、脂肪、脳、肝臓、膵臓、腎臓、筋肉やその他の組織に存在する、体性の幹細胞、さらには遺伝子導入などにより人工的に作製された幹細胞、また、当該細胞の初代培養細胞、継代培養細胞、凍結細胞いずれであってもよい。好ましくは、骨髄、血液、皮膚、脂肪組織由来の幹細胞に対してより効果を発揮する。また、哺乳動物における、幹細胞の分化の方向性、および、分化の過程等について同等の特性を持っていれば、全ての哺乳動物に応用が可能である。例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の哺乳動物の幹細胞に対して効果を発揮することができる。
本発明の幹細胞を培養する培地、または同時に用いる添加剤としては、例えば以下のものを使用できるが、限定されるものではない。
具体的には、細胞の生存に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン)を含む基本培地、例えば、Dulbeco‘s Modifide Eagle Medium(D−MEM),Minimum Essential Medium(MEM),RPMI1640,Basal Medium Eagle(BME),Dulbeco‘s Modifide Eagle Medium:Nutrient Mixture F−12(D−MEM/F−12),Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM),ハンクス液(Hank‘s balanced salt solution)に、増殖因子として塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、白血球遊走阻止因子(LIF)の少なくともいずれか1種を添加した培地が用いられ、好ましくは、これら増殖因子の全てが含有されたものである。また、必要に応じて、上皮細胞増殖因子(EGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、ビタミン類、インターロイキン類、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン、プロゲステロン、セレナイト、B27−サプリメント、N2−サプリメント、ITS−サプリメント、抗生物質が含有されてもよい。
また、上記以外には、1〜20%の含有率で血清が含まれることが好ましい。しかし、血清はロットの違いにより成分が異なり、その効果にバラツキがあるため、ロットチェックを行った後に使用することが好ましい。
市販品としては、インビトロジェン製の間葉系幹細胞基礎培地や、三光純薬製の間葉系幹細胞基礎培地、TOYOBO社製のMF培地、Sigma社製のハンクス液(Hank‘s balanced salt solution)などを用いることができる。
本発明のトリュフの抽出物を含有する培地を用いて培養した幹細胞は、極めて高い未分化状態を維持した。さらに、この未分化状態を維持させたまま幹細胞の増殖を促進させ、生体へ移植した場合、組織への生着率が著しく向上した。以上より、本発明は、組織の再生治療、再生美容に役立つものであり、組織の再生の分野において大きく貢献できるものである。
以下、次に本発明を詳細に説明するため、具体的且つ詳細な実施例を挙げるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いるトリュフの抽出物の製造例および幹細胞の未分化状態の維持効果を示す実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に、トリュフを用いた溶媒抽出物の製造例を示す。
製造例1 トリュフの熱水抽出物
トリュフの粉砕物100gに精製水1Lを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトリュフの熱水抽出物を5.0g得た。
製造例2 トリュフの50%エタノール抽出物
トリュフの粉砕物100gに50(v/v)%エタノール500mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、トリュフの50%エタノール抽出物を9.3g得た。
製造例3 トリュフのエタノール抽出物
トリュフの粉砕物100gを粉砕し、エタノ−ル1Lを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、トリュフのエタノール抽出物を2.5g得た。
以下に、実施例1で示した製造例1〜3のトリュフの抽出物を用いた、幹細胞の未分化状態の維持剤(未分化状態維持効果、細胞増殖促進効果)の実験例とその結果を示す。
実験例1 幹細胞に対する未分化状態維持効果の評価
Dulbecco‘s Modifide Eagle Medium培養液(Gibco社製)に、ウシ胎児血清(FBS、15%、Sigma社製)、ヌクレオシド液(100倍希釈、大日本製薬社製)、非必須アミノ酸液(100倍希釈、大日本製薬社製)、β2−メルカプトエタノール液(100倍希釈、大日本製薬社製)、L−グルタミン液(100倍希釈、大日本製薬社製)、ペニシリン(100unit/mL、Sigma社製)とストレプトマイシン(100μg/mL、Sigma社製)を加えて調製した培地を用いて、マウス胚性幹細胞(マウスES細胞:コスモバイオ社製)を、6cmディッシュに1x10個播種し、各抽出物(製造例1〜3)を最終濃度が0.001%になるように添加し、3日間培養を続けた。次に細胞をPBS(−)にて3回洗浄した後、ラバーポリスマンにて集め、血球計数板にて細胞数をカウントした後、CelLytic(Sigma社製)にてタンパク質を抽出し、未分化状態の測定を豊岡らの報告に従って行った(文献:豊岡 やよい,Molecular Medicine臨時増刊号 再生医学,2003,106−115)。すなわち、幹細胞の未分化状態を示しているオクタマーバインディングプロテイン3/4タンパク質(Oct3/4タンパク質)の発現量を指標に、培養開始時に播種した幹細胞(1x10個)が発現していたOct3/4タンパク質の量を100%未分化状態とし、各各抽出物(製造例1〜6)を添加して3日間培養した後のOct3/4タンパク質の量をウエスタンブロッティング法にて定量解析し、培養開始時と3日間培養後のOct3/4タンパク質の量を比較することで、未分化状態の維持効果について評価した。
この評価の時に、培養開始時の単一細胞数(1x10個)に発現しているOct3/4タンパク質量を100%未分化状態とし、各抽出物添加時の未分化状態の(%未分化状態)を算出し、未分化状態維持効果の評価を行った。
これらの試験結果を表1に示した。その結果、トリュフの抽出物(製造例1〜3)全てに、顕著な幹細胞の未分化状態維持効果が認められた。以上より、トリュフの抽出物の極めて優れた幹細胞の未分化状態維持効果を明らかにした。なお、本実験例で用いた幹細胞以外にも、体性の幹細胞についても同様な試験を行ったところ、顕著な幹細胞の未分化状態維持効果が認められた。
Figure 0005184933
実験例2 幹細胞に対する細胞増殖促進効果の評価
ヒト幹細胞培養液(TOYOBO社製)を用いて培養したヒト体性幹細胞(DSファーマバイオメディカル社製)を6cmディッシュに1x10個播種し、トリュフの抽出物(製造例1〜3)を最終濃度が0.001%になるように添加し、3日間培養を続けた。次に細胞をPBS(−)にて3回洗浄した後、ラバーポリスマンにて集め、それぞれの細胞数をカウントした。
抽出物未添加時の総細胞数をコントロールとし、コントロールを100(%)とした場合の、トリュフの抽出物(製造例1〜3)添加時の細胞数の増減(%)を算出し、幹細胞の細胞増殖促進効果の評価を行った。
これらの試験結果を表2に示した。その結果、トリュフの抽出物(製造例1〜3)全てに、顕著な幹細胞の細胞増殖促進効果が認められた。以上より、トリュフの抽出物の極めて優れた幹細胞の細胞増殖促進効果を明らかにした。なお、本実験例で用いた幹細胞以外にも、胚性の幹細胞(ES細胞)についても同様な試験を行ったところ、顕著な幹細胞の細胞増殖促進効果が認められた。
Figure 0005184933
本発明による、トリュフの抽出物を添加して培養した幹細胞を用いて、実際に移植を行い、移植後のそれぞれの生着率(%)を比較した。
実験例3 移植用の幹細胞の調製
ヒト体性幹細胞(DSファーマバイオメディカル社製)を6cmディッシュに1x10個播種し、各抽出物(製造例1〜3)を最終濃度が0.01%になるように添加し、3日間培養を続けた。次に、それぞれの細胞をPBS(−)にて3回洗浄した後、無菌的にラバーポリスマンにて回収し、遠沈後、5%FBS添加ハンクス液(Hank‘s balanced salt solution)に分散し、移植用の幹細胞として用いた。その後、以下の方法にて、皮膚移植を行い、生着率(%)について測定した。
実験例4 幹細胞の移植および生着率(%)の測定
実験例3で調製した幹細胞を、改めて1x10個サンプリングし、数を揃えた後、注射筒にてヌードマウスの皮下に移植し、移植後の生着率(%)を測定した。具体的な生着率(%)の測定法としては、移植用にサンプリングした1x10個の幹細胞を、予めCell Tracker(モレキュラープローブ社製)にて蛍光標識し、その時点の蛍光強度を測定し、移植細胞の総蛍光強度(100%)とした。この細胞を、注射筒を用いて、ヌードマウス(雄性、4週齢)の皮下に移植した。移植部位をマジックにてマーキングし、移植3日後、7日後に移植部位を摘出し、酵素処理により細胞を分散させ、得られた細胞の総蛍光強度を測定し、移植時の総蛍光強度(100%)と比較することで、生着率(%)を算出した。すなわち、生着した幹細胞が多いほど、最初に移植した蛍光強度と同等の蛍光強度が検出され、逆に、生着しなかった場合は、移植部位から蛍光強度が検出されないこととなる。
これらの試験結果を表3に示した。その結果、移植3日後、7日後ともに、トリュフの種子抽出物(製造例1〜3)を用いる場合全てにおいて極めて高い生着率を示した。
Figure 0005184933
以上の結果より、トリュフの抽出物は、幹細胞移植における生着率を優位に向上させることを確認した。なお、本実験例で用いた幹細胞以外にも、胚性の幹細胞(ES細胞)についても同様な試験を行ったところ、顕著な幹細胞移植における生着率の向上効果が認められた。
本発明の、トリュフの抽出物を幹細胞に用いることで、従来の技術に比べて、未分化状態を維持させたまま幹細胞の増殖を促進させ、さらに、移植した場合には、生着率の極めて高い幹細胞を簡便に調製することが可能となった。
本発明の活用例として、再生医療、再生美容への応用が期待される。例えば、本発明を利用することで、再生医療、再生美容に用いる生着率の高い未分化状態の幹細胞を簡便に効率よく調製することが可能となる。さらに、幹細胞を移植後または組織に存在する幹細胞に対して、本発明の、トリュフの抽出物を直接的に注入または経口投与、塗布、貼付などにより導入させることで幹細胞の未分化状態を維持させたまま増殖させることが可能である。
すなわち、本発明は、再生医療、再生美容における、幹細胞の調製方法及び/又は、幹細胞の未分化状態の維持、増殖促進剤として利用が可能である。

Claims (4)

  1. セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする未分化状態を維持させた非ヒトES細胞または哺乳動物体性幹細胞の増殖促進剤。
  2. セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする未分化状態を維持させた非ヒトES細胞または哺乳動物体性幹細胞の未分化状態維持剤。
  3. セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする非ヒトES細胞または哺乳動物体性幹細胞の未分化状態の維持方法。
  4. セイヨウショウロ目セイヨウショウロ科に属するトリュフの抽出物を含有することを特徴とする非ヒトES細胞または哺乳動物体性幹細胞の増殖促進方法。
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