JP2014526685A - 代謝流量測定、画像化、および顕微鏡法 - Google Patents

代謝流量測定、画像化、および顕微鏡法 Download PDF

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Abstract

本開示に示されているのは、組織試料中の対象の分子の分子流動速度を空間的に組織化された方法において測定し、試料の空間的に定義された各部位の上記分子流動速度を表現する出力(例えば、画像、ヒートマップ、等高線図、表、またはデータベース)を生成する方法である。また、本開示に示されているのは、上記出力に加えて、試料中の対象の分子の分子流動速度を測定するためのコンピュータ実行可能な指示を有するシステムおよびコンピュータ読み取り可能な媒体である。

Description

(1.技術分野)
本開示は一般に代謝流量測定、顕微鏡法、および機能的病理組織診断の分野に関し、より具体的には病理組織診断標本における動的な代謝工程の、インサイチュの空間的な画像化、マッピング、および表示に関する。
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2011年9月8日に提出された米国仮特許出願第61/532,522号の利益を主張して、その全体を本出願に引用して援用する。
〔政府による援助に関する声明〕
本発明は、エネルギー省によって授与された契約番号DE−AC03−05CH11231の下で政府援助を受けてなされた。政府は本発明について一定の権利を有する。
(2.関連技術)
乳癌の発達は、新生細胞と、活性化した間質細胞と、細胞外基質(ECM)と、それらの近傍の可溶性分子との間の動的かつ相反性の相互作用を伴う。これらの環境因子がともに悪性の表現型を育成する。癌の発達におけるこれらの顕著な特徴と絡み合うのは、腫瘍細胞が、酸化的リン酸化とは対照的に大部分が好気性解糖を介してグルコースを代謝し、エネルギー効率が比較的低い方法で乳酸を産生するという事実、つまりワールブルク効果[1]である。この特質的な代謝性の状態は、乳癌などのほとんどの固形腫瘍に共通であり、その化学的抵抗に寄与するものと考えられている。よって、変化した物質代謝により、標準的な抗癌治療の効力が制限される可能性があるが、この特徴を利用して、新生組織の亜型を同定しそれを特徴付けることもできる。
変化した代謝流量は、悪性の表現型にとって非常に重要なものである。好気性解糖への依存性およびRaf/MEK/ERK、PI3K/Akt経路[2、3]と微小環境との間の密接な繋がりは、これらのシグナリングネットワークと、薬物抵抗性と、代謝産物輸送と、微小環境と、物質代謝との間の強い因果関係を示唆する。それゆえ、変化した物質代謝によって、好気性解糖を通じた増殖性の表現型、促進進化、および休眠状態と変化した脂質物質代謝とを通じた薬物抵抗性を補助する機構が得られる。例えば、好気性解糖によって迅速増殖(すなわち、膜生合成)に必要な代謝性の前駆物質が得られることが近年示唆された[4]。
癌の表現型を特徴付けるための分子プロファイリングの適用には著しい進歩があった。予後または癌の物質代謝の変化[6]などの癌の治療[5]に対する応答を予測するトランスクリプトームのプロファイルが同定された。実は、合成における多数の変化ならびに膜(例えば、コレステロール、リン脂質)中における構造的な役割、シグナル経路(例えば、プロスタノイド、糖脂質)、および経路と小器官機能(例えば、ER輸送、ミトコンドリアの生物発生)との媒介を通じて悪性の表現型を支援するために要求される脂質の代謝回転[8]などの代謝流量における多種多様な異常[7]を癌細胞は示す。しかしながら、腫瘍はしばしば異種混合の細胞集団からなる。したがって、細胞の亜集団および微小環境の効果に関する決定的な情報を取得するために、画像化手法を用いて脂質の代謝回転を研究しなければならない。
病理学の技術は常に、癌の診断および治療において非常に重要であった。生体染色および光学顕微鏡法に基づく伝統的な形態上の判断基準は、免疫組織化学的検査および遺伝子発現プロファイリングによって補われた。これにより、増殖因子受容体の状態の組織学的なマーカー、または、例えば個体に起こりそうな治療応答を予測するトランスクリプトームのサインが得られた[12]。しかしながら、現在の組織学的な分析は全て、腫瘍の空間的に順序づけられた代謝性の動態に対して“盲目”である。代謝流量は、静的なマーカーよりも機能に近く、したがって表現型の挙動に対してより良く相関する可能性がある。
メタボロミックな測定では、下流の生化学工程についての直接的な情報が得られるため、この種類の測定は、遺伝的性質および遺伝子発現における変化に注目した他の系または手法を見事に補っている[13]。2つの主要な技術は、核磁気共鳴(NMRまたはMR)および質量分析(MS)である。これらの2つの手法は相補的な関係にある。NMRには、トレーサーを用いて、より近年では過分極させた分子を用いて、実時間で非侵襲性の画像化を行なうことができるという利点がある[14]。質量分析の感度および動的な範囲は、かなり高次のものである[15]ため、質量分析はNMR画像化研究の発展に貢献し得る標的のない研究にとっての選択すべき方法となっている。MS手法をクロマトグラフィと組み合わせることで、検出する代謝産物の数を最大化し、極度に複雑な混合物から非常に高い感受性で(MS/MS断片化パターンから)定量化および同定することができる[16]。しかしながら、要求性の試料均質化および調製は、代謝産物の濃度が平均化して空間的な情報の損失が起こり、また非常に重要な腫瘍亜集団の情報の損失が起こる結果になる。質量分析に基づく画像化は、この限界に対処すべく現れた[16]。提案された研究は、種々の技術の全てに適用するための基礎を築く。主要な手法には飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)が含まれる[17、18]。この手法は、空間的な分解度が最も高い(〜100nm)が、分子特性解析と商取引文書におけるタンデムMSの能力の欠乏とをしばしば複雑化する広範な断片化によって同定が制限される。マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)[19]は、代謝産物の画像化が低分子量範囲(<500Da)におけるマトリックス干渉によっていかに複雑化していても、インタクトなタンパク質の画像化には選択すべき方法である。MALDIの空間的な分解度は、マトリックスの結晶径(典型的には〜50−75μm)に対応するが、これは特別なマトリックス堆積画像化手法[20]を用いることによって低減することができる。最近、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)[21、22]と呼ばれる新たなソフトイオン化および大気圧の技術がMALDIおよびSIMSの代替手法として現れた。残念ながら、DESIによる組織の画像化では空間的な分解度が比較的低く(〜100μm)、現在は細胞レベルで組織を画像化する能力はない。
本開示では、代謝流量および動態測定、画像化、ならびに顕微の方法を示す。本開示ではさらに、上記方法によって生成される出力、ならびに試料中の代謝流量のインサイチュの空間的な画像化と、マッピングと、表示とを伴う、上記出力を生成するシステムおよびソフトウェアを示す。
1つの態様では、試料のインサイチュの代謝流動速度を表す出力を生成する方法であって、上記試料は、1つ以上の同位体標識が個体に取り込まれるのに十分な時間をかけて1つ以上の同位体で標識された前駆物質を投与された個体から得られる方法を示す。上記方法は、a)上記試料の第1の部位における1つ以上の対象分子における1つ以上の同位体標識の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する工程と、b)上記試料の第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する工程と、を包含しており、上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、上記第1の部位と上記第2の部位とは既知の空間的関係を有しており、上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みは、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みとは独立しており、c)上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の分子流動速度と、上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係に関する情報と、を出力する工程をさらに包含する。
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の分子流動速度を出力する前に、上記1つ以上の分子流動速度を上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対してマッピングする工程をさらに包含する。いくつかの実施形態では、上記第1の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度が上記第2の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度と同じである。他のいくつかの実施形態では、上記第1の部位における少なくとも1つ以上の上記分子流動速度が上記第2の部位における1つ以上の上記分子流動速度とは異なる。
いくつかの実施形態では、上記同位体標識は、H、13C、15N、18O、33S、および34Sから選択される。1つの実施形態では、上記同位体標識はHである。いくつかの実施形態では、上記同位体で標識された前駆物質は、同位体で標識されたHO、同位体で標識されたCO、同位体で標識されたNH、同位体で標識されたグルコース、同位体で標識された乳酸、および同位体で標識されたHCOから選択される。あるいくつかの実施形態では、上記同位体で標識された前駆物質は、O、H 18O、13CO、C1817O、H16CO15NHH標識されたアミノ酸、13C標識されたアミノ酸、15N標識されたアミノ酸、18O標識されたアミノ酸、34S標識されたアミノ酸、および33S標識されたアミノ酸から選択される。1つの実施形態では、上記同位体で標識された前駆物質はOである。
いくつかの実施形態では、上記試料は上記同位体で標識された前駆物質が経口的に投与された個体から得られる。あるいくつかの実施形態では、上記個体はヒトである。あるいくつかの実施形態では、上記試料は尿、血液、または糞便である。
いくつかの実施形態では、上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子流動速度を測定する工程では、質量同位体異性体分布分析(mass isotopomer distribution analysis(MIDA))またはスペクトルパターン同位体フィッター(spectral pattern isotope fitter(SPIF))分析を用いる。
いくつかの実施形態では、上記1つ以上の分子流動速度は、画像、ヒートマップ、等高線図、表、またはデータベースの形式で出力される。あるいくつかの実施形態では、上記出力は2次元または3次元の出力である。いくつかの実施形態では、上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係は、距離、細胞、または細胞区画に基づくものである。
本開示ではさらに、試料のインサイチュの代謝流動速度を表す出力を生成する方法であって、a)細胞、組織、または生体における1つ以上の対象分子に1つ以上の同位体標識が取り込まれるのに十分な時間をかけて、上記細胞、組織、または生体に1つ以上の安定な同位体で標識された前駆物質を投与する工程と、b)上記細胞、組織、または生体から試料を得る工程と、c)上記試料から病理組織診断用スライドを準備する工程と、d)上記病理組織診断スライドをエネルギー誘導揮発システムに供する工程と、を包含しており、上記エネルギー誘導揮発システムは、上記試料の第1の部位および第2の部位において、上記試料を横断走査する、集束されたエネルギービームを放射して、一連の離散的なパケットまたはイオンの連続フローを作成し、上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、上記第1の部位と上記第2の部位とは既知の空間的関係を有しており、上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みは、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みとは独立しており、e)上記第1の部位および上記第2の部位の上記イオンをそれぞれ質量分析のために質量分析器に向ける工程と、f)上記1つ以上の対象分子からのイオンの同位体異性体エンベロープ内の質量同位体異性体の相対的な存在量および絶対的な存在量を、上記第1の部位および上記第2の部位においてそれぞれ測定する工程と、g)各同位体異性体エンベロープ内の質量同位体異性体の上記相対的な存在量および上記絶対的な存在量と上記質量同位体異性体の天然の存在量とを比較して、上記1つ以上の対象分子の分子構造を同定する工程と、h)対象の各分子の各同位体異性体エンベロープに対する質量同位体異性体のパターンの変化または相対的な存在量に基づいて、上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を算出する工程と、i)上記1つ以上の分子流動速度を上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対してマッピングする工程と、をさらに包含する方法を示す。
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記1つ以上の代謝流量を画像として表示する工程をさらに含み、上記画像は第1の部位と第2の部位とを有しており、上記画像の上記第1の部位は、上記試料の上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数、またはそれらの組み合わせを有しており、上記画像の上記第2の部位は、上記試料の上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数を有する。
いくつかの実施形態では、上記1つ以上の同位体標識は、H、13C、15N、18O、33S、および34Sからなる群から選択される。1つの実施形態では、上記1つ以上の同位体標識は1つの同位体標識であり、上記1つの同位体標識はHである。いくつかの実施形態では、上記1つ以上の同位体で標識された前駆物質は、同位体で標識されたHO、同位体で標識されたCO、同位体で標識されたNH、同位体で標識されたグルコース、同位体で標識された乳酸、および同位体で標識されたHCOからなる群から選択される。他のいくつかの実施形態では、上記1つ以上の同位体で標識された前駆物質は、O、H 18O、13CO、C1817O、H16CO15NHH標識されたアミノ酸、13C標識されたアミノ酸、15N標識されたアミノ酸、18O標識されたアミノ酸、34S標識されたアミノ酸、および33S標識されたアミノ酸からなる群から選択される。1つの実施形態では、上記1つ以上の同位体で標識された前駆物質は1つの同位体で標識された前駆物質であり、上記同位体で標識された前駆物質はOである。
いくつかの実施形態では、上記集束されたエネルギービームはレーザ光線である。あるいくつかの実施形態では、上記エネルギー誘導揮発システムは、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、二次イオン質量分析(SIMS)、レーザ脱離、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、プローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)、レーザスプレー、およびレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)から選択される。あるいくつかの実施形態では、上記第1の部位および上記第2の部位の上記イオンは、質量分析のために機器様式によってそれぞれ質量分析器に向けられ、上記機器様式は、飛行時間(TOF)、Orbitrap、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、およびタンデム質量分光計(MS/MS)からなる群から選択される。
他の1つの態様は、動態顕微方法であって、安定な同位体を生体系に投与する工程(a)と、上記生体系から試料を得る工程(b)と、上記系中の1つ以上の分子における上記安定な同位体の相対的または絶対的な取込みの空間的な測定値を、(1)上記試料中の少なくとも2つの部位における上記同位体の取込みを検出し、(2)上記1つ以上の分子における安定な同位体の取込みの動態を測定することによって行う工程(c)とを包含する方法である。
他の1つの態様では、上記方法は、上記試料を質量分析表面に配置する工程と、MALDI−TOF、TOF−SIMS、またはNIMSなどの質量分析法によって得た上記空間的な測定値とをさらに包含する。
他の1つの態様では、上記方法は、試料中で検出された分子における上記同位体の取込みの上記空間的な測定値をマッピングするおよび/または表示する工程をさらに包含する。当該マッピングまたは表示により、上記試料中の同位体の取込みの局在性に関する空間的なトポロジーまたは分布が得られる。
いくつかの実施形態では、上記試料が臨床の試料である場合は、上記空間的な測定値の上記マッピングまたは表示は、例えば加熱した小刀または針状プローブを用いて生きた組織中でインサイチュで行ってもよい。これにより、説明を受けた臨床方針の決定、診断、または予後を行なうためのインタクトな組織の試料の組織分布的および局在性画像が得られる。
1つの好ましい実施形態は、スライド表面からの分子のエネルギー依存性の揮発を許容するまたは増加させる被覆表面上に上記試料のスライドを準備する工程(a)と、上記揮発した分子を質量分析のイオン源に向け、質量分析によって上記イオンを分析する工程(b)と、対象の分子からのイオンの同位体異性体エンベロープ内の質量同位体異性体の存在量を画素毎に測定し、上記質量同位体異性体の存在量を天然の(非標識の)存在量と比較する工程(c)と、対象のイオンエンベロープから各画素内の質量同位体異性体の相対的な存在量の変化を算出し、これらのデータから組み合わせの確率および他の質量同位体異性体の分析方法によって動態パラメータおよび関連する生合成のパラメータを算出する工程(d)と、代謝流量の結果のヒートマップ、等高線図、または他の空間的な表現の形式で、選択した同定した分子、複数の同定した分子、同定した分子の比率、または他の、対象の分子の質量同位体異性体の存在量の変化に基づいた情報価値のある計量を表示することで、代謝性の動態生合成の結果および関連する生合成の結果を画素毎に視覚的に表示する工程(e)とを包含する方法である。
他の1つの態様は、インサイチュの、空間的に局在化させた代謝流量の画像を生成し、組織からの病理組織学的な標本中の空間的座標に沿った代謝流量のマップを以下の工程を経て視覚的に表示する工程である。
1つの工程では、生体系に、安定な同位体で標識された前駆物質の代謝産物または上記生体系中の対象の分子に代謝的に取り込むことができる代謝産物を投与する。当該標識された前駆物質には、例えばO(重水)、生体内で[13C]アセテート、[13C]−グルコース、15N−アミノ酸類、1813C−パルミテート、ならびに生合成の経路および代謝性の経路のための代謝性の前駆物質である他の安定な同位体で標識された分子が含まれる。上記生体系には、例えば培養液中の細胞、インビトロの組織、動物の全身、およびヒト被験者が含まれる。
次の工程では、本技術分野で公知の方法によって上記生体系を上記標識された前駆物質に既知の時間だけ露出した後で、培養液または上記生体系から、組織の試料もしくは細胞の試料または複数の試料を採取する。試料の採取には、例えば外科生検を行なうこと、組織または組織の一部を外科的に切除すること、経皮的な生検、内視鏡的な生検、経血管生検、X線誘導式生検、または他の非外科的な生検を行なうこと、実験動物を安楽死させ組織を切除すること、エキソビボで実験の標品を採取すること、死体解剖で組織を切除すること、または組織を採取する他の方法が含まれる。
第3の工程では、本技術分野で公知の標準的な(非)固定法(低温保存、エタノール脱水、OCL保存、または本技術分野で公知の他の方法が挙げられる)によって、上記(複数の)細胞または組織の試料から病理組織診断用スライドを準備する。1つの好ましい実施形態では、スライド表面からの分子のエネルギー依存性の揮発を許容するまたは増加させる被覆表面上に上記試料のスライドを準備する。
第4の工程では、上記病理組織診断スライドを空間的に組織化された分子およびイオンの揮発に供する。本工程では、レーザ光線などの集中させたエネルギー源または脱離系を上記組織の試料をラスター走査して、揮発した分子の一連の離散的なパケットまたは連続フローを空間的に組織化して作成する。上記分子は帯電している(イオン)か、または後に続くイオン化に供する。エネルギー誘導揮発工程には、例えばマトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、二次イオン質量分析(SIMS)、レーザ脱離、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、プローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)、レーザスプレー、およびレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)が含まれる。
第5の工程では、例えば飛行時間(TOF)、Orbitrap、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、または他の質量分光計などの機器様式を用いて上記揮発した分子を質量分析器に向ける。1つの好ましい実施形態では、TOF−TOFまたは4重極−TOFなどのタンデム質量分光計(MS/MS)を用いる。この実施形態では、第1の質量分光計が分析したイオンの分子特性解析のために第2のMSが断片化スペクトルを採取する。いくつかの実施形態では、上記MS/MS断片化スペクトルから分子構造が同定されるイオンは、脂質分子、タンパク質分子、揮発前のインサイチュの部分的なタンパク質分解によって生成されるペプチド分子、一次代謝産物、糖類、アミノ酸、ヌクレオチド、または二次代謝産物である。
第6の工程では、空間的定義に基づいて、対象の分子からのイオンの同位体異性体エンベロープ内での質量同位体異性体の存在量を測定し、各イオンエンベロープ中の上記質量同位体異性体の存在量を天然の(非標識の)存在量と比較する。1つの好ましい実施形態では、上記イオンは上記MS/MS断片化スペクトルから分子構造が同定される。いくつかの実施形態では、NIMS、TOF−SIMS、MALDI、または他の様式による揮発の後で同定され定量化された上記イオンは、脂質分子を表す。他の1つの好ましい実施形態では、NIMS、TOF−SIMS、MALDI、または他の様式による揮発の後で同定され定量化された上記イオンは、揮発前のインサイチュの部分的なタンパク質分解によって生成されたタンパク質分子またはペプチド分子を表す。いくつかの実施形態では、NIMS、TOF−SIMS、MALDI、または他の様式による揮発の後で同定され定量化された上記イオンは、一次代謝産物(糖類、アミノ酸、ヌクレオチドなど)を表す。いくつかの実施形態では、NIMS、TOF−SIMS、MALDI、または他の様式による揮発の後で同定され定量化された上記イオンは、二次代謝産物を表す。
第7の工程では、対象のイオンエンベロープから質量同位体異性体のパターンまたは相対的な存在量の変化を算出し、これらのデータから組み合わせの確率および本技術分野で公知の他の質量同位体異性体の分析方法によって代謝流量および関連する動態パラメータを算出する。上記動態パラメータには、例えば合成速度、分解速度、代謝回転速度、輸送動態、代謝源、解剖学的な開始点、細胞内の相互作用、酸化、還元、重合、結合、開裂、付加、転移、輸送、貯蔵、分泌、もしくは取込み、または生合成に用いる代謝性源もしくは前駆物質のプール、または各分子もしくは各分子の組のための他の代謝工程が含まれる。
第8の工程では、選択した同定した分子、複数の同定した分子、同定した分子の比率、または他の、対象の分子の質量同位体異性体の存在量の変化に基づいた情報価値のある計量のための、代謝流量および関連する生合成の動態結果を空間的な定義に基づいて視覚的に表示する。上記表示は、空間的座標によって組織化された、組織動態の代謝流量の結果のヒートマップ、等高線図、または他の空間的な表現の形式を有する。いくつかの実施形態では、生体染色、インサイチュのハイブリダイゼーション、または免疫組織化学的検査などの本技術分野で公知の他の病理組織学的な方法を用いて、組織標品の同じ切片の画像または同じ組織標品の隣接する連続切片からの画像を重ね合わせる。これにより、具体的な細胞型、細胞内の小器官、分子の凝集体、または他の既知の組織の形態上の特徴を有する、代謝流量と機能性工程に共有された空間的座標に基づいて、代謝流量と機能性工程とを相関させる。いくつかの実施形態では、NIMSによるインサイチュの代謝流量の分析によって組織における代謝流量の顕微鏡を用いた照合を開始して、上記組織中の動態に対象の領域または分子(例えば「ホットスポット」)を同定する。その後、同じ切片または同じ組織の隣接する切片からTOF−SIMSを行なって、例えば、細胞レベルまたは細胞レベル以下における上記組織中の代謝流量の変化のより詳細な微細構造を特定する。
他の1つの態様は、病理組織学的な標本のための代謝流量および生化学的な動態工程の空間的な画像またはマップを生成し表示するシステムである。上記システムは、空間的に組織化された方法で組織試料を横断して調べるための、空間的に定義された質量分析の揮発源(a)と、1つ以上の検出器(b)と、上記揮発源および検出器を制御することで、画素毎に検出した質量同位体異性体の存在量を測定して、上記質量同位体異性体を取り込む分子の代謝流量を算出するコンピュータ(c)と、上記代謝流量の結果の画像を表示する画像表示装置(d)とを含んでいる。
上記システムの生成したインサイチュの代謝流量の結果を表示する上記工程では、試料中での空間的座標による代謝流量の画像化およびマッピングが得られる。上記画像化には、ヒートマップ、等高線図、または生物学的な組織または細胞標品中の空間的座標を用いる他の画像の形式で、インサイチュの代謝流量の結果を視覚的に表現し表示する工程を含んでいる。
一実施形態では、生体染色、インサイチュのハイブリダイゼーション、または免疫組織化学的検査などの本技術分野で公知の他の病理組織学的な方法を用いて、組織標品の同じ切片の画像または同じ組織標品の隣接する連続切片からの画像を視覚的に重ね合わせる。これにより、代謝流量と、具体的な細胞型、細胞内の小器官、分子の凝集体、または他の既知の組織の形態上の特徴を有する共有された空間的座標に基づく機能性の工程とを相関させる。
他の一実施形態では、機能的な代謝工程、ヒートマップ、等高線図、または生物学的な組織または細胞標品中の空間的座標を用いる他の画像の形式でデータを視覚的に表現する。上記画像には、例えば筋細胞中のミトコンドリアの脂質合成の空間的なトポロジーの画像、炎症性の浸潤物組織中のプロスタノイドおよびエイコサノイド代謝回転の空間的な分布の画像、癌または前癌状態の生検における脂質生合成のパターンおよび腫瘍内の機能的なホットスポットの存在の画像、内分泌組織中のホルモンの合成のトポロジーの画像、自律性の機能区域の存在のための画像、組織中(周辺の神経障害中など)の細胞および細胞膜の再生成の局在性のための画像、算出した前駆物質プールの濃縮度に基づいた、空間的に局在化させた、時間の決まった組織中の生合成の事象の同定のための画像、ならびに空間および時間の代謝流量について生成した濃度情報を表現する他の数多くの手段が含まれてもよい。
他の1つの態様では、生成された代謝流量データを処理するソフトウェアによって具体化される方法が得られ、上記方法は、スペクトルのピークを求める工程と、データをロードする工程と、同位体パターン生成のためのアルゴリズムおよび/または同位体パターンを最適化およびフィッティングするためのアルゴリズムを用いて化学式を生成する工程との一般的な工程を含んでいる。
1つの好ましい実施形態では、検出した分子の同位体パターンは、1つ以上の一定の要素に対する同位体の濃縮度の関数として推定する。各要素に対する同位体の適切な濃縮度は、理論上の同位体パターンと測定した同位体パターンとの間の差異を最小化する濃縮度である。この工程を、複数の分子に対して複数の空間的な部位を横断して繰り返す。1つの好ましい実施形態では、検出した分子の同位体パターンは、1つ以上の一定の要素に対する同位体の濃縮度の関数として推定する。この工程を、複数の分子に対して複数の空間的な部位を横断して繰り返す。
他の一実施形態では、中性子の濃縮した核を含有する分子(すなわち、M1、M2、M3など)に関連するピークの比率は、モノアイソトピックなピーク(すなわち、M0)、その分子の全てのアイソトポローグの合計、または同位体の濃縮もしくは欠乏を証明する他の尺度構成によって標準化する。
質量分析器の分解度に起因して、または生体高分子などのイオンのために、上記個体の同位体異性体が分解できない場合の他の一実施形態では、対象のイオンの平均質量の変化または対象の分子の同位体のエンベロープに属するアイソトポローグ(isotopologue)の測定した質量の変化によって、同位体の濃縮または欠乏の変化を検出することが可能である。
他の一実施形態では、同位体的に濃縮したまたは欠乏した試料は、1つ以上の対照同位体パターンと比較する。しばしば、上記対照パターンは、同位体の天然の分布を有する同位体パターンである。あるいは、上記対照パターンはしばしば、長時間の標識化の後に(すなわち、上記システムが飽和点に達した後に)得られる同位体パターンである。
いくつかの実施形態では、上記比較において、生体染色、インサイチュのハイブリダイゼーション、または免疫組織化学的検査などの本技術分野で公知の他の病理組織学的な方法を用いて、組織標品の同じ切片の画像または同じ組織標品の隣接する連続切片からの画像を重ね合わせる。これにより、代謝流量と、具体的な細胞型、細胞内の小器官、分子の凝集体、または他の既知の組織の形態上の特徴を有する共有された空間的座標に基づく機能性の工程とを相関させる。
他の1つの態様では、生成された代謝流量データを処理する上記ソフトウェアはさらに、機能的な代謝工程、ヒートマップ、等高線図、または生物学的な組織または細胞標品中の空間的座標を用いる他の画像の形式でデータを視覚的に表現する。いくつかの実施形態では、これは分散の分析、K平均クラスタ化、主成分分析、非負行列因数分解、ならびに類似の分子分布パターンおよび流量分布のパターンを分類する、当該分野において公知の他の手法などの一変量および多変量の統計的なアルゴリズムを用いて、および/または、質量差異を単独でもしくは空間的に異なるパターンと組み合わせて用いて生成して、付加物、分解生成物、および分子の複数の荷電状態を分離し同定する。
組織標本からの連続切片を分析することによって、組織の3次元の代謝流量画像を構築することが可能性になる。同じ組織切片または隣接する組織切片の静的な組織化学的画像は、生成し代謝流量マップの空間的座標を用いて重ね合わせることで、代謝流量を具体的な細胞型、細胞内の構造、または他の標準の組織学的特徴に関連づけることができる。
他の1つの態様では、質量分析の表面は固体の質量分析基質と生体物質とを含んでおり、上記生体物質は、例えばO(重水)、生体内で[13C]アセテート、[13C]−グルコース、15N−アミノ酸類、1813C−パルミテート、ならびに生合成の経路および代謝性の経路のための代謝性の前駆物質である他の安定な同位体で標識された分子などの標識された前駆物質を生体内で取り込むことで得られる。いくつかの実施形態では、上記質量分析の基質は気化工程またはイオン化工程に関与せず、上記基質は例えばガラス、ケイ素、ステンレス鋼、および重合体または塑性材料などの物質を含んでいる。他のいくつかの実施形態では、上記質量分析基質は気相の分子および/またはイオンの生成に関与しており、適した質量分析基質には、例えば、ナノ構造発動因子の質量分析表面、多孔質シリコン表面などが含まれる。他のいくつかの実施形態では、上記組織または生体物質では気相イオンの生成に関与する堆積分子を含有または有し、適した基質には例えばαケイ皮酸、シナピン酸、および本技術分野において一般に既知の他の物質などの基質物質が含まれる。
さらに他の1つの態様では、代謝性の前駆物質としての重同位体を生物学的な試料に投与することで得られる1つ以上の分子に対する相対的なまたは絶対的な同位体の濃縮度の空間的な配置の視覚的なマップを生成する方法が得られる。
さらに他の1つの態様では、動態顕微方法であって、安定な同位体を生体系に投与する工程a)と、局所的な領域において上記生体系を調べる工程b)と、上記生体系中の1つ以上の分子における上記安定な同位体の相対的または絶対的な取込みの空間的な測定値を、(1)上記局所的な領域中の少なくとも2つの部位における上記同位体の取込みを検出し、(2)上記1つ以上の分子における安定な同位体の取込みの動態を測定することによって行う工程c)とを包含する方法が得られる。いくつかの実施形態では、上記方法は、質量分析のためにプローブチップを用いて局所的な領域において上記生体系を調べる工程をさらに含み、上記空間的な測定値をプローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)によって得る。さらに他のいくつかの実施形態では、上記方法は、上記生体系中で検出した分子における同位体の取込みの空間的な測定値をマッピングする、および/または表示する工程をさらに含み、上記マッピングまたは表示により、上記局所的な領域における同位体の取込みの局在性の空間的なトポロジーまたは分布が得られる。一実施形態では、上記局所的な領域は腫瘍である。他のいくつかの実施形態では、上記空間的な測定値の上記マッピングまたは表示により、説明を受けた臨床方針の決定、診断、または予後を行なうための上記腫瘍の組織分布的および局在性画像が得られる。
本開示ではさらに、上述の方法のうちの任意の1つにしたがって生成された出力を示す。
さらに他の1つの態様では、組織標本の描写であって、上記組織標本の第1の部位を包含しており、上記第1の部位は、上記第1の部位における対象の1つ以上の分子の1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数、またはそれらの組み合わせを有しており、上記組織標本の第2の部位を包含しており、上記第2の部位は、上記第2の部位における上記対象の1つ以上の分子の1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数を有しており、上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、上記第1の部位と上記第2の部位とは、既知の空間的関係を有する描写が得られる。いくつかの実施形態では、上記描写は、画像、ヒートマップ、等高線図、表、またはデータベースの形式で出力される。他のいくつかの実施形態では、上記描写は2次元または3次元の描写である。あるいくつかの実施形態では、上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係は、距離、細胞、または細胞区画に基づく関係である。いくつかの実施形態では、上記第1の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度が上記第2の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度と同じである。他のいくつかの実施形態では、上記第1の部位における少なくとも1つ以上の上記分子流動速度が上記第2の部位における1つ以上の上記分子流動速度とは異なる。
さらに他の1つの態様では、試料中の1つ以上の対象分子のインサイチュの1つ以上の代謝流動速度を測定し、上記試料の第1の部位および第2の部位に対して上記1つ以上の代謝流動速度を空間的にマッピングするシステムであって、上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位において、上記試料を横断走査する、集束されたエネルギービームを放射して、一連の離散的なパケットまたはイオンの連続フローを作成するよう構成されているエネルギー誘導揮発システムと、上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位におけるそれぞれの上記イオンの質量分析に基づいて、上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位において質量分析データをそれぞれ生成するよう構成されている質量分析器と、上記質量分析データに基づいて1つ以上の分子流動速度をそれぞれ算出し、上記1つ以上の代謝流動速度を上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対してマッピングするよう構成されている処理装置と、を備えるシステムが得られる。
いくつかの実施形態では、上記エネルギー誘導揮発システムは、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、二次イオン質量分析(SIMS)、レーザ脱離、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、プローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)、レーザスプレー、およびレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)から選択される。他のいくつかの実施形態では、各部位で上記質量分析器に対して上記イオンをそれぞれ向けるよう構成されている機器様式をさらに備える。あるいくつかの実施形態では、上記機器様式は、飛行時間(TOF)、Orbitrap、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、およびタンデム質量分光計(MS/MS)から選択される。他のいくつかの実施形態では、上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を表示するよう構成されている表示システムをさらに備え、上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度は上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対応する。
さらに他の1つの態様では、試料中の1つ以上の対象分子の1つ以上の分子流動速度を測定するためのコンピュータ実行可能な指示が記録されている、一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体であって、上記指示は、a)上記試料の第1の部位における1つ以上の対象分子における同位体で標識された前駆物質の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する指示と、b)上記試料の第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記同位体で標識された前駆物質の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する指示と、を包含しており、上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、上記第1の部位と上記第2の部位とは既知の空間的関係を有しており、上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みは、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みとは独立しており、c)上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の分子流動速度と、上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係に関する情報と、を出力する指示をさらに包含する媒体が得られる。
本願は、添付の図面と組み合わせて以下の記載を参照することで理解することができる。上記図面では、同様の部材は同様の数字で参照することができる。
個体から得られる病理組織試料からの空間的座標に沿って代謝流動速度を出力する工程の例を描写した図である。 4つの画素からなる画像の形式を有する出力の例を描写した図である。各画素は、代謝流動速度および/または他の動態情報を表し、分析する病理組織診断用スライド上の上記試料の上記空間的座標に対応する。 NIMS分析のための第1の作業の流れと第2の作業の流れとをそれぞれ描写した模式図である。 NIMS分析のための第1の作業の流れと第2の作業の流れとをそれぞれ描写した模式図である。 実施例5における腫瘍#458のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色画像を描写した図である。 実施例5からの画像を描写した、流量に対応する図であり、様々な代謝産物(例えば、脂肪酸鎖の長さが異なる複数のリン脂質)に対する、空間的に不均一な流量と流量の差異との両方の存在を証明する図である。 実施例5からの画像を描写した、流量に対応する図であり、様々な代謝産物(例えば、脂肪酸鎖の長さが異なる複数のリン脂質)に対する、空間的に不均一な流量と流量の差異との両方の存在を証明する図である。] 実施例2における様々な組織(5A−心臓、5B−腎臓、5C−肝臓、および5D−腫瘍)に存在する複数クラスの分子とバルク標識化とを選別するためのNIMSスペクトルを描写した図である。上記様々な組織は、それぞれ代謝産物存在量のパターンが独特である。上記腫瘍が数多くの化合物(例えば、脂質、ガングリオシド、カルニチン)において最も高い合成率を明らかに有している。 実施例2における様々な組織(5A−心臓、5B−腎臓、5C−肝臓、および5D−腫瘍)に存在する複数クラスの分子とバルク標識化とを選別するためのNIMSスペクトルを描写した図である。上記様々な組織は、それぞれ代謝産物存在量のパターンが独特である。上記腫瘍が数多くの化合物(例えば、脂質、ガングリオシド、カルニチン)において最も高い合成率を明らかに有している。 実施例2における様々な組織(5A−心臓、5B−腎臓、5C−肝臓、および5D−腫瘍)に存在する複数クラスの分子とバルク標識化とを選別するためのNIMSスペクトルを描写した図である。上記様々な組織は、それぞれ代謝産物存在量のパターンが独特である。上記腫瘍が数多くの化合物(例えば、脂質、ガングリオシド、カルニチン)において最も高い合成率を明らかに有している。 実施例2における様々な組織(5A−心臓、5B−腎臓、5C−肝臓、および5D−腫瘍)に存在する複数クラスの分子とバルク標識化とを選別するためのNIMSスペクトルを描写した図である。上記様々な組織は、それぞれ代謝産物存在量のパターンが独特である。上記腫瘍が数多くの化合物(例えば、脂質、ガングリオシド、カルニチン)において最も高い合成率を明らかに有している。 脂質標準とそれに対応する理論上の相対的な同位体パターンとを比較することでNIMSイオン化および検出によって実施例1の実験のために十分な直線性が可能となったことを検証するNIMSスペクトルを描写した図である。 実施例2におけるマウス組織のNIMSおよびTOF−SIMS流量画像化を描写した図である。具体的には、図7Aは、空間的な不均一性を明らかにする代謝産物マーカーを見つけるために用いられた、全体に切断された子どものマウス(〜6cm幅)の画像を描写した図である。これらの画像は、ミクロンサイズの画素を50×50用いて取得した。各画素での質量スペクトルを記録することで、大部分の組織には一般に存在するが、組織の型に一般に相関する様々な相対的な存在量を有するイオン(例えば、m/z822、828、844)を用いたマウス全体の画像が得られた。 実施例2におけるマウス組織のNIMSおよびTOF−SIMS流量画像化を描写した図である。具体的には、図7Bは、筋繊維束(別のマウス)の横断面の、超高分解度(200nm画素サイズ)TOF−SIMS流量画像化を描写した図である。 実施例2におけるマウス組織のNIMSおよびTOF−SIMS流量画像化を描写した図である。具体的には、図7Cは、同位体比と5%DOおよび100%HOの発生頻度とを比較するグラフを描写した図であり、m/z28のm/z27に対する比率は、水由来の重水素がこれらのイオンに取り込まれることに起因する標識化を示す明らかな転換を示した。 実施例2におけるマウス組織のNIMSおよびTOF−SIMS流量画像化を描写した図である。具体的には、図7Dは、5%の重水素化した水を3日間与えた成体マウスからの肝臓を解剖したものをNIMS分析することによって検出したホスホコリンの分画標識化と比率画像とを描写した図である。これにより、TOF−SIMSを用いたインタクトな分子と断片との両方の分析などの複数の画像化様式の統合が証明される。 脂質組成および生合成の空間的な不均一性を定義するためにkMSIを用いる作業の流れの例を描写した図である。図8Aは、担癌マウスにOを濃縮した水を投与して活発な物質代謝によって重水素を組織内に取り込む様子を描写した図である。 脂質組成および生合成の空間的な不均一性を定義するためにkMSIを用いる作業の流れの例を描写した図である。図8Bは、H標識の脂質分子と非標識の脂質分子との両方からのアイソトポローグ(isotopologues)からなるスペクトルとともに、上記重水素を濃縮した腫瘍のNIMSを用いた切除、切開、および画像化と、50μm毎の各画素の個体質量スペクトルの生成とを描写した図である。 脂質組成および生合成の空間的な不均一性を定義するためにkMSIを用いる作業の流れの例を描写した図である。図8Cは、kMSI結果との病理組織診断の相関関係のために用いた上記腫瘍の連続切片を描写した図である。 脂質組成および生合成の空間的な不均一性を定義するためにkMSIを用いる作業の流れの例を描写した図である。図8Dは、H標識の脂質と非標識の脂質とを分離するために行なったスペクトルの解析に基づく、新たに合成した脂質と既存の脂質との両方の空間的な分布を示す4つの強度画像を描写した図である。 それ自体が代謝的に重水素が豊富となった基質(アセチルCoA、NADPH、水が挙げられる)を利用する経路である新規の脂肪酸合成の間に発生する、リン脂質への重水素の取込みのための反応スキームの例を描写した図である。赤色で強調した水素原子は、新たに合成した脂肪酸上の、重水素が水素を置換する可能性がある部位と、代謝性の前駆物質分子上の上記部位とを表す。 選択した12のリン脂質の強度画像を描写した図である。各列に個別の脂質を表し、各パネルの3つの行は、上部に非標識の(既存の)脂質、中央にH標識の(新たに合成した)脂質、下部に断片によって標識された(H標識の/全体)脂質(新たな脂質のレベルと既存の脂質のレベルとの相対的な量)を示す。画像の添字は、実施例5で特性を記述した化合物の網羅的な一覧と関連づけるために付されている。 腫瘍リン脂質の原因となる各K平均領域の画素群の空間的な分布を描写した図である。上記腫瘍リン脂質は、個々の画像(左)として、および、それらを重ね合わせて併合したもの(右)として示している。右図では、各色が以下の領域、すなわちI−赤、II−緑、III−シアン、IV−黄、V−青、およびVI−紫と対応する。スケールバーは5mmを示す。 K平均領域I〜IIIに対応するH&E染色およびKi−67染色を描写した図である。スケールバーは50μm(H&E)と100μm(Ki−67)とを示す。 上記H標識の腫瘍で同定した各K平均領域に対応する平均スペクトルを描写した図である。 (A)対照の非標識の腫瘍と(B)重水素を濃縮した腫瘍とにおける各画素について実施した較正係数をプロットする画像を描写した図である。上記較正係数は測定した集団と基準の集団との間の距離を最小化する各測定スペクトルにおいて要求される転換として算出する。 (A)対照の非標識の腫瘍と(B)重水素を濃縮した腫瘍とにおける各画素について実施した較正係数をプロットする画像を描写した図である。上記較正係数は測定した集団と基準の集団との間の距離を最小化する各測定スペクトルにおいて要求される転換として算出する。 実施例5で考察した45の脂質種のそれぞれについて、観測データを判断材料として盛り込むために要求される2つのパターン、すなわち(1)各化合物に対する天然の同位体パターンであるF1と、(2)各化合物に対する濃縮した同位体パターンであるF2とを描写した図である。これら90のパターン(各脂質種について、H標識の種と非標識の種との2パターン)の上記線形係数とオフセット項とを、各画素について非負制約を上記係数に対して行う最小2乗フィッティングによって解いた。 水由来の水素部位の最大数であるNの交互に現れる値を用いた誤差の算出を描写したグラフである。パネルAでは、Nの代替の値を、ある倍率(+/−50%)で元の値を基準化することによって算出する。Nを約+/−10%で加減しても、上記フィッティングの全体としての品質にはほとんど影響がない。パネルBでは、Nの新しい値を、モデルにおけるNの各値に対して+/−15の水素を直接加算または減算することにより算出する。Nを約+/−5で加減しても、上記フィッティングの全体としての品質にはほとんど影響がない。 水由来の水素部位の最大数であるNの交互に現れる値を用いた誤差の算出を描写したグラフである。パネルAでは、Nの代替の値を、ある倍率(+/−50%)で元の値を基準化することによって算出する。Nを約+/−10%で加減しても、上記フィッティングの全体としての品質にはほとんど影響がない。パネルBでは、Nの新しい値を、モデルにおけるNの各値に対して+/−15の水素を直接加算または減算することにより算出する。Nを約+/−5で加減しても、上記フィッティングの全体としての品質にはほとんど影響がない。 (A)標識された腫瘍と(B)非標識の腫瘍とからのNIMSチップ上で直接スポットされた抽出物から生成した質量スペクトルを描写した図である。目視検査によって、M1アイソトポローグの強度がM0アイソトポローグ(モノアイソトピック質量)の強度よりも大きいか近くなる頻度は、上記非標識の腫瘍ではなく標識された腫瘍における重水素の濃縮を表す。 (A)標識された腫瘍と(B)非標識の腫瘍とからのNIMSチップ上で直接スポットされた抽出物から生成した質量スペクトルを描写した図である。目視検査によって、M1アイソトポローグの強度がM0アイソトポローグ(モノアイソトピック質量)の強度よりも大きいか近くなる頻度は、上記非標識の腫瘍ではなく標識された腫瘍における重水素の濃縮を表す。 K平均分析を適用することで、上記重水素を濃縮した腫瘍中で同定した9つの領域の画像を描写した図である。上記K平均分析により、背景と関連する3つの領域(領域VII〜IX)と上記腫瘍に関連する6つの領域とを同定した。 K平均分析を適用することで、上記重水素を濃縮した腫瘍中で同定した9つの領域に対応する平均スペクトルを描写した図である。 新たな合成と代謝回転との相対的なレベルをK平均領域間で比較するためのグラフを描写した図である。非標識の脂質およびH標識の脂質に由来する標準化した平均の強度を、領域I〜VIのそれぞれについて示す。 新たな合成と代謝回転との相対的なレベルをK平均領域間で比較するためのグラフを描写した図である。非標識の脂質およびH標識の脂質に由来する標準化した平均の強度を、領域I〜VIのそれぞれについて示す。 新たに合成した(標識された)脂質に由来する総信号の画分を各領域についてプロットするグラフを描写した図である。領域IIは、H&E基準の悪性度のグレード特徴が高いことが特徴であるが、既存の脂質のレベルが最も低く(パネルA)、新たに合成した脂質の画分が最も高い(パネルC)。領域IIIは、H&E基準で壊死性であることが特徴であるが、全体として新たに合成した脂質のレベルが最も低い(パネルB)。 実施例5で同定した45のリン脂質における非標識の対照腫瘍の強度画像を描写した図であり、各列は個別の脂質を表す。各ブロックについて、上の行は非標識の(既存の)脂質を示し、下の行はH標識の(新たに合成した)脂質を示す。画像の添字は実施例5の表2と関連づけられており、特定の脂質種に対応している。 本研究で同定した45のリン脂質における重水素を濃縮した腫瘍の強度画像を描写した図であり、各列は個別の脂質を表す。各ブロックについて、上の行は非標識の(既存の)脂質を示し、下の行はH標識の(新たに合成した)脂質を示す。画像の添字は実施例5の表2と関連づけられており、特定の脂質種に対応している。 胸部の柔組織が正常に現れていない状態の、重水素を濃縮した腫瘍のH&E染色を描写した図であり、「A」(赤)は、付着性骨格筋の小さい周辺領域を表し、「B」(黒)は、組織の全てが中程度の凍結切片の人工物を、周辺にはより顕著な人工物を有することを表し、「C」(青)は、上記組織の全てが精密な交差する繊維組織を有することを表し、より大きい繊維状中隔には印をしてある。 胸部の柔組織が正常に現れていない状態の、重水素を濃縮した腫瘍のH&E染色を描写した図であり、「A」(赤)は、(アポトーシス小体および細胞ゴーストを伴う)腫瘍壊死の、大きさが可変の帯域を表し、「B」(黒)は、上記精密な交差する繊維組織に沿って非常に不十分に形成された腺の構造を示すほとんどの領域によって構造が変異性である領域を表し、わずかにより良く形成された腺の構造を有する領域には印をしてある。 胸部の柔組織が正常に現れていない状態の、重水素を濃縮した腫瘍のH&E染色を描写した図であり、「A」(赤)は、上記腫瘍の大部分が多形性を有する中型から大型の細胞からなる領域を表す。1つの領域では、「奇異な」核を伴う著しい多形性と複数の核を有する細胞とを示す。 同位体パターンを包含する質量分析データをスペクトルパターン同位体フィッター(SPIF)分析によって分析する工程の例を描写した図である。 コンピュータシステムの例を描写した図である。 それぞれ、実施例6に記載した手順にしたがって得たパルミトイルカルニチン脂質およびホスホコリン脂質の濃縮の2つの動態画像の例である。上記画像は、溶媒を用いて抽出した代謝産物を描写した。上記溶媒はその後質量分析の画像化に適した表面上に配置した。画像中の様々な点は、様々な組織および様々な被検者から得られた。上記画像中の赤色は、400.4Daにおけるアイソトポローグの量に比例していた。緑色は、401.4におけるアイソトポローグと比例していた。各画素における相対的な色は、流量画像の1種類を表し、上記2つのイオンの相対的な強度に基づいている。図26Aに具体的に示されているのは、NIMSを用いたパルミトイルカルニチンの濃縮を示す動態画像である。「点1」で表した座標と対応するスペクトルとにおいては、濃縮をほとんど観察することができない。これに対して、「点2」で標識した座標においては、顕著な濃縮が見られる。 それぞれ、実施例6に記載した手順にしたがって得たパルミトイルカルニチン脂質およびホスホコリン脂質の濃縮の2つの動態画像の例である。上記画像は、溶媒を用いて抽出した代謝産物を描写した。上記溶媒はその後質量分析の画像化に適した表面上に配置した。画像中の様々な点は、様々な組織および様々な被検者から得られた。上記画像中の赤色は、400.4Daにおけるアイソトポローグの量に比例していた。緑色は、401.4におけるアイソトポローグと比例していた。各画素における相対的な色は、流量画像の1種類を表し、上記2つのイオンの相対的な強度に基づいている。図26Bには、ホスホコリン脂質の画像をさらに示した。これらの図面は、数多くの種類の分子の濃縮が画像化できる可能性を証明する。
本開示は、ソフト脱離イオン化質量分析を、生物学的工程の画像を包含する動態データを生成できる同位体標識を用いた組織の臨床的に認められた生体内代謝標識と一体化する動的質量分析画像化(kMSI)法を記載する。例えば、kMSIが腫瘍に適用される場合、kMSIは、領域特異的な腫瘍内の亜集団を区別する、変化した分子流束パターンを用いて、新たに合成された脂質対既存の脂質の異種混合の空間分布を明らかにできる。この手法は、異種混合の組織を横断して多様な分子流束を特徴付けて、領域特異的な細胞亜集団の代謝に関わる特定の分子の識別を可能にできる。
ある実施形態において、本開示は、代謝流量顕微鏡法を記載し、生体系における機能動的工程が、染色されて検出される「機能的顕微鏡法」および「機能的病理組織診断」の例を示す。上記機能動的工程は、組織の病理組織診断標本における空間的座標にそって画像化してもよい。代謝流量顕微鏡法の概念、すなわち、インサイチュの代謝流量組織化学および結果として生じた代謝流量病理組織診断画像は、生体染色色素、インサイチュのハイブリダイゼーション組織化学、免疫組織化学または電子顕微鏡法のような、従来の静的顕微鏡法に類似する。これらの従来の静的顕微鏡法において、染色色素結合分子、mRNA転写産物、タンパク抗原、または、電子散乱構造は、それぞれ、組織において視覚化され、マップされる。代謝流量顕微鏡法においては、生体分子の構造または濃度ではなく、生体分子の動的代謝流量および代謝経路が染色され、検出され、位置を特定され、そして、画像化される。
「代謝流量」または「分子動態」は、分子の化学変換または空間的運動の変化量および生体系の代謝網において反応を受け、かつ、経路を通る分子の流れと定義する。「流量」は、定義によると、静態(運動および時間領域を欠いている、静止している分子のスナップ写真)と対比される変化量(空間または時間における運動)である。代謝流量は、小分子、ポリマー、または、巨大分子の動態を指し得る。組織における代謝流量顕微鏡法により画像化できる代謝工程の流量または変化量としては、合成、分解、酸化、還元、メチル化、重合、結合、付加、縮合、開裂、転移、および他の化学反応、ならびに、輸送、接近性、貯蔵、分泌、取り込み、または、生体系内で起こるその他動的工程を包含する空間における物理的運動が含まれる。
本明細書に記載されるのは、組織における生合成流量の空間トポロジーの画像の例を包含する、代謝流量顕微鏡法および代謝流量病理組織診断の根底にある基本的概念である。図1において、プロセス100は、代謝流量のインサイチュの空間的に局在化させた代謝流量の画像を作り、病理組織学的な組織標本における空間的座標にそって代謝流量のマップを視覚的に表示するための例示的な実施形態である。
ステップ102では、安定な同位体で標識された前駆物質を固体に投与する。上記安定な同位体で標識された前駆物質は、生体系において1つ以上の対象分子に代謝的に取り込まれることができる、同位体で標識された1つ以上の安定な前駆物質の代謝産物であってもよい。このような同位体で標識された前駆物質は、例えば、O(重水)、[13C]アセテート、[13C]−グルコース、15N−アミノ酸、1813C−パルミテート、または、生合成の経路および代謝経路の代謝性前駆物質である他の安定な同位体で標識された分子を包含する。
ステップ104では、組織または細胞試料を固体から得る。ステップ106では、病理組織診断スライドを上記試料から準備する。ステップ108では、上記病理組織診断スライドをエネルギー誘導揮発工程を施す。本工程においては、レーザー光線または脱離システムのような集束したエネルギー源が、組織試料を横断してラスター走査して、空間的に組織化した揮発分子の一連の離散的なパケットまたは連続フローを作成する。上記揮発分子は、帯電していてもよい(イオンであってもよい)、または、追加で次のイオン化を施してもよい。エネルギー誘導揮発工程の例としては、例えば、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、二次イオン質量分析(SIMS)、レーザ脱離、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、プローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)、レーザスプレーおよびレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)を包含する。プロセス100における上記揮発工程は、上記スライド上の試料が、空間的座標に対応する独立した、離散的な部分に分けられるように空間的に組織化されている。各座標の揮発分子は、独立して分析される。
図1に戻って、ステップ112および122において、揮発分子110および120は、次に、それぞれ、飛行時間(TOF)、Orbitrap、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、または、他の質量分光計のような機器様式を用いて質量分析器の中へ向けられる。対象の分子からのイオンの同位体異性体エンベロープ中の質量同位体異性体の存在量が、空間的に定義された基準で測定され、各イオンエンベロープにおける質量同位体異性の天然の存在量(非標識の)存在量と比較してもよい。上記イオンは、本技術分野で公知のMS/MS、NIMS、TOF−SIMS、および、MALDIのような様々な技術を用いて同定し、定量化してもよい。
上記質量分析器により、各空間的座標の質量分析データ114および124が作成される。プロセス100における各空間的座標に対して、「n」が、任意の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)でありえるということが理解される必要がある。ステップ116および126において、この質量分析データは、次に、対象のイオンエンベロープからの質量同位体異性体のパターンまたは相対的な存在量における変化を算出することによって、各空間的座標に関連する分子流動速度を測定するのに用いてもよく、そして、これらのデータから、組み合わせ的確率および本技術分野において周知の他の質量同位体分析方法により、代謝流量および関連する動態パラメータを算出してもよい。なお、110から116および120から126に描写されるサブプロセスは、互いに効果的に独立しており、その結果、同じ、または、異なる分子流束値が得られる。
次に、ステップ130では、各空間的座標の分子流動速度を表す出力が生成される。この出力は、例えば、同定された分子の代謝流量および関連する生合成の動態結果を、空間的に定義された基準で、視覚的に表示する画像であってもよい。図2を参照にすると、例示的な出力が4つの画素を用いた画像200の形式で描写されている。4つの画素が本代表的な実施形態において描写されているが、他の例示的な画像においては、任意の数の画素が描写されてもよい。例えば、画像が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の画素を有していてもよい。各画素は、上記試料の既知の空間的な部位の分子流動速度を表す模様を有している。画素202の上記斜交平行線模様は、第1の部位の第1分子流動速度を表す。画素204の点模様は、第2の部位における第2分子流動速度を表す。画素206の縦線模様は、第3の部位における第3分子流動速度を表す。画素208の煉瓦模様は、第4部位の第4分子流動速度を表す。上記模様が異なっているため、画像200における各分子流動速度は、異なっている。他の例示的な実施形態において、画像は、同じ分子流動速度を有するいくつかの画素を有していてもよいものと理解される必要がある。さらに、画像200が模様を用いて動態情報を表示する一方で、上記画像は、色を用いて表示してもよく、または、ヒートマップ、等高線図、または、空間的座標で体系化された組織動態代謝流量結果のその他空間的な表現として表示してもよいことが理解される必要がある。画素202、204、206および208は、それぞれスライド上の試料の既知の異なる空間的な部位にそれぞれ対応し、その場合において、各画素が、さらに、既知の空間的関係をも有している。例えば、図2に描写されるように、画素202の上記部位は、画素204、206、および、208の部位とは異なる。さらに、画素202は、その他画素(画素206)に対して既知の空間的関係を有しているが、画素204の左方に対して既知の空間的関係を有していない。
図1に戻ると、プロセス100は、1つの実験室または複数の実験室で行われてもよいということが理解される必要がある。例えば、図1を参照にすると、ボックスA(点線で示されている)は、臨床検査室で行われ得るステップを含める一方で、ボックスBおよびC(点線で示されている)は、同じ、または、異なる分析実験室で行われ得るステップを含める。プロセス100は、異なる時に実施してもよい。例えば、ボックスAにおけるステップによって試料を得ることができ、この試料は後で使用するために保管してもよい。同様に、ボックスBにおけるステップで質量分析データを生成し得る一方で、動態情報の測定および上記出力の生成は後で行ってもよい。別の例示的な実施形態において、上記動態情報の画像作成の工程は、ステップ106から開始してもよい。さらに他の一実施形態では、上記工程は、取得された質量分析データに基づく分子流動速度の測定から開始してもよい(例えば、ステップ116および126)。
プロセス6010におけるステップおよび一般技術のそれぞれを、さらに詳細に以下に記載する。
〔同位体で標識された前駆物質の投与〕
本明細書に記載の方法で分子流動速度を測定するために、まず、1つ以上の同位体で標識された前駆物質を生体系に投与する。この前駆物質は、1つ以上の同位体標識が生体系に取り込まれるのに十分な時間をかけて投与される。ある実施形態において、1つの同位体で標識された前駆物質が生体系に投与されて、この場合に、1つの同位体標識が生体系に取り込まれる。この生体系としては、細胞、組織、または、生体(例えば、マウス、イヌ、ブタ、霊長類、またはヒト)が挙げられる。ある実施形態において、上記生体は、ヒトの個体である。
(A.同位体で標識された前駆物質)
上記同位体で標識された前駆物質は、安定な同位体または放射性同位体であってよい。例えば、安定な同位体は、H、13C、15N、18O、H、14C、35S、32P、125I、131I、または、有機系において存在する元素の他の同位体を包含することができる。一実施形態では、上記安定な同位体は、Hである。
いくつかの実施形態において、上記前駆物質は、タンパク質に取り込まれる同位体標識を有する任意の分子または分子の組み合わせであってもよい。同位体標識は、同位体で標識された前駆物質を形成するように本明細書に記載される全前駆物質分子を修飾するのに用いることができる。上記前駆物質分子の全体を1つ以上のタンパク質に取り込むことができる。あるいは、上記前駆物質分子の一部を1つ以上のタンパク質に取り込むことができる。前駆物質分子としては、例えば、CO、NH、グルコース、乳酸、HO、アセテート、および脂肪酸を包含することができる。
タンパク質前駆物質分子は、本技術分野において公知の任意のタンパク質前駆物質であってよい。これらの前駆物質分子は、CO、NH、グルコース、乳酸、HO、アセテート、および、脂肪酸であってよい。また、タンパク質の前駆物質分子は、1つ以上のアミノ酸を含んでいてもよい。上記前駆物質は任意のアミノ酸であってよい。上記前駆物質分子は、単一または多重重水素化されたアミノ酸であってよい。例えば、上記前駆物質分子は、13C−リジン、15N−ヒスチジン、13C−セリン、13C−グリシン、H−ロイシン、15N−グリシン、13C−ロイシン、−ヒスチジン、および、任意の重水素化されたアミノ酸から選択してもよい。標識されたアミノ酸は、例えば、非標識アミノ酸で非希釈、または、希釈されて投与される。同位体標識されている前駆物質はすべて、例えば、Cambridge Isotope Labs(マサチューセッツ州、アンドーバー)から、市場で購入できる。
また、タンパク質前駆物質分子は、翻訳後のアミノ酸または翻訳前修飾されたアミノ酸の任意の前駆物質をも挙げることができる。これらの前駆物質は、例えば、グリシン、セリンまたはHOのようなメチル化の前駆物質;HOまたはOのような水酸化の前駆物質;リン酸塩、HOまたはOのようなリン酸化の前駆物質;脂肪酸、アセテート、HO、エタノール、ケトン体、グルコース、または、フルクトースのようなプレニル化の前駆物質;CO、O、HO、または、グルコースのようなカルボキシル化の前駆物質;アセテート、エタノール、グルコース、フルクトース、乳酸、アラニン、HO、CO、または、Oのようなアセチル化の前駆物質;および本技術分野において公知の他の翻訳後修飾物が挙げられる。
遊離アミノ酸に存在する標識化の程度は、実験的に測定できる、または、アミノ酸における標識化部位の数に基づいて推測できる。例えば、標識として水素同位体を用いる場合、体内水分中のOに対する露出期間に遊離アミノ酸のC−H結合において存在する標識化、または、より具体的には、tRNA−アミノ酸において存在する標識化が同定できる。各可欠アミノ酸のC−H結合の総数は、公知である(例えば、アラニンでは4、グリシンでは2、など)。
タンパク質の上記前駆物質分子は、水であってもよい。タンパク質のO−H結合およびN−H結合は、水溶液において不安定であるため、C−H結合上の水素原子は、Oからのタンパク質の合成を測定するのに有用なアミノ酸上の水素原子である。そのため、O−H結合またはN−H結合へのOからのH標識の交換が、上述のように、遊離アミノ酸からのタンパク質の合成をせずに発生する。C−H結合は、特定の酵素に触媒された中間代謝反応の間にHOから遊離アミノ酸へ取り込まれる。したがって、O投与後のタンパク質結合アミノ酸のC−H結合におけるH標識の存在は、O露出期間中に遊離したアミノ酸からタンパク質が構築されたこと、すなわち、タンパク質が新たに合成されたことを意味する。分析的に、用いられるアミノ酸誘導体は、全てのC−H結合を含有していなければならないが、全ての潜在的夾雑N−H結合およびO−H結合を除いていなければならない。
体内水分からの水素原子は、遊離アミノ酸に取り込まれることができる。標識された水からのHまたはHは、中間代謝の反応を経て細胞中の遊離アミノ酸に入ることができる。しかし、HまたはHは、ペプチド結合に存在するアミノ酸、または、転移RNAに結合するアミノ酸に入ることはできない。遊離必須アミノ酸は、体内水分からの単一水素原子を急速可逆的アミノ基転移反応を経てα炭素C−H結合に取り込むことができる。遊離可欠アミノ酸は、もちろん、より大きい数の代謝的に交換可能なC−H結合を含有しており、したがって、新たに合成されたタンパク質におけるOからの分子ごとにより高い同位体濃縮値を示すことが見込まれる。
当業者は、体内水分からの標識された水素原子が、他の生化学的な経路を介して他のアミノ酸に取り込まれ得ることに気が付くであろう。例えば、水からの水素原子が、クエン酸回路における前駆物質のα−ケトグルタル酸の合成によって、グルタミン酸塩に取り込まれ得ることは当技術分野において公知である。そして、グルタミン酸塩が、グルタミン、プロリン、および、アルギニンの生化学的な前駆物質であることは公知である。別の例としては、体内水分からの水素原子は、3−メチル−ヒスチンにおけるメチル基、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシリジンにおける水酸基などのような翻訳後に修飾されたアミノ酸に取り込まれ得る。他のアミノ酸合成経路が、当業者に公知である。
また、酸素原子(H 18O)も酵素触媒反応を経てアミノ酸に取り込まれ得る。例えば、酵素触媒反応中に、アミノ酸のカルボン酸部分への酸素交換が起こり得る。アミノ酸に標識された酸素が取込まれることは、当業者に公知である。また、酸素原子は、酵素触媒反応を経て18からのアミノ酸(ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、または他の翻訳後に修飾されたアミノ酸が挙げられる)に取り込まれ得る。
また、標識された水からの水素および酸素標識も、翻訳後修飾を通してアミノ酸に取り込まれ得る。一実施形態では、上記翻訳後修飾物は、翻訳後修飾の前に生合成経路を経て、標識された水素または酸素を既に含んでいてもよい。他の一実施形態では、上記翻訳後修飾物は、翻訳後修飾工程(例えばメチル化、水酸化、リン酸化、プレニル化、硫酸化、カルボキシル化、アセチル化または、他の公知の翻訳後修飾)の前または後に、体内水分からの遊離交換標識水素に関わる代謝性の誘導体から、標識された水素、酸素、炭素、または、窒素を取り込んでもよい。
生体系への投与に好適なそのためのタンパク質前駆物質としては、例えば、タンパク質に見られる標準的なアミノ酸に加えて、例えば、HO、CO、NHおよびHCOが挙げられる。
一実施形態では、同位体で標識された水は、本明細書において記載される方法における前駆物質として機能し得る。同位体で標識された水は、市場で簡単に入手できる。「同位体で標識された水」または「重水」は、水素または酸素のいずれかの1つ以上特定の重同位体で標識された水を包含する。同位体で標識された水の具体例は、O、O、および、H 18Oが挙げられる。例えば、Oは、Cambridge Isotope Labs(マサチューセッツ州、アンドーバー)から購入でき、そして、Oは、New England Nuclear Inc.から購入できる。一般的に、Oは、非放射性であるため、放射性のOに比べ提示する毒性の懸念は少ない。Oは、例えば、全体内水分のある割合で、例えば、摂取された全体内水分の1%で投与され得る(例えば、1日あたりに摂取される水3リットルに対して、30マイクロリットルのOが摂取される)。Oを利用する場合、当業者によって容易に求められる非毒量が投与される。
本発明の技術を用いて、比較的安価に、Oの高めの体内水分濃縮を実現できる(例えば、全体内水分の1−10%が標識される)。これらのレベルがヒトおよび実験動物の中で数週間または数か月の間、毒性の所見が全くなく維持されるため、この水分濃縮は、比較的一定であり安定している。多くの対象のヒト(100人より多くの人)におけるこの発見は、Oの高い投与量での前庭毒性についてのこれまでの懸念に相容れないものである。体内水分濃縮における急速な変化が、(例えば、分割された少ない投与量での初期投与により)防止される限り、Oの高い体内水分濃縮が、毒性を伴わずに維持できる。例えば、市販のOの低費用で、比較的安価に1−5%の範囲での濃縮の長期維持が可能になる(例えば、計算により、10%遊離ロイシン濃縮でのH−ロイシンの12時間の標識化、ひいては、その期間のロイシン前駆物質プールにおける7−8%濃縮のコストと比べ、2%O濃縮での2ヶ月間の標識化、ひいては、アラニン前駆物質プールにおける7〜8%濃縮のコストが低いことが明らかになる)。
また、18O同位体は毒性がなく、その結果として重大な健康上のリスクを示さないため、H 18Oの投与について、比較的高く、比較的一定の体内水分濃縮も実現できる。
他のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法において用いられる上記同位体で標識された前駆物質は、[1−13]アセテート、[U−13]グルコース、15N−アミノ酸、1813C−パルミテート、または、本技術分野で公知の他の安定な同位体で標識された代謝性前駆物質である。
(B.同位体で標識された前駆物質を投与する方法)
上記1つ以上の同位体で標識された前駆物質を投与する方法は、上記同位体で標識された前駆物質の吸収特性、および、各化合物が標的にする具体的な生合成プールによって異なり得る。前駆物質は、生体内での分析のために生体、植物、ヒトを包含する動物に直接投与してもよい。さらに、前駆物質は、インビトロで生きた細胞に投与してもよい。生きた細胞の具体的な種類としては、肝細胞、含脂肪細胞、筋細胞、線維芽細胞、神経細胞、膵β細胞、腸上皮細胞、白血球、リンパ球、赤血球、微生物細胞および任意の生き続けさせることができ、インビトロで機能性がある他の細胞の種類が挙げられる。
一般的に、投与の適切な形態は、少なくとも一時の間に生合成のプール内で、および/または、当該プールを供給する容器内で、定常状態レベルの前駆物質を産生するものである。投与の静注経路または経口経路が、通例、ヒトを包含する生体に当該前駆物質を投与するのに用いられる。また、任意に徐放前駆物質組成物と合わせて用いられる場合は、皮下投与または筋肉内投与のような投与の他の経路も適切である。注射用組成物は、一般的に、滅菌医薬品賦形剤中に調合される。
〔試料の取得〕
本明細書に記載される方法で用いられる上記試料は、生体系より得られ、そして、質量分析の基づく画像化用の標準的な技術で調製される。
試料としては、例えば、腸、皮膚、臓器、胸、前立腺、脳、骨、筋肉、肝臓、および、腸のような、組織の組織学的標本が挙げられ得る。また、上記試料としては、体液(例えば、尿、血液、間質液、浮腫液、唾液、涙液、炎症性滲出液、滑液、膿瘍、膿胸、または、他の感染した体液、脳脊髄液、汗、肺分泌物(痰)、精液、糞便、胆汁、および、腸分泌物が挙げられる)から得てもよい。さらに、上記試料としては、生物膜、微生物叢、および、他の微生物生体が挙げれ得る。上記試料は、本明細書に記載する方法で生成された産出物を用いて臨床方針の決定、診断または予後診断を行うことができる臨床試料であってもよい。
上記試料は、例えば、採血、採尿、生検、または、本技術分野で公知の他の方法で得ることができる。いくつかの実施形態では、上記試料は、外科生検を行なうこと、組織または組織の一部を外科的に切除すること、経皮的な生検、内視鏡的な生検、経血管生検、X線誘導式生検、または他の非外科的な生検を行なうこと、実験動物を安楽死させ組織を切除すること、生体外で実験の標品を採取すること、死体解剖で組織を切除すること、または本技術分野で公知の組織を採取するための他の方法によって得られる。また、試料を得る方法は、異なっていてもよく、対象の分子に特有のものであってもよい。
質量分析のための試料を準備する標準的な技術は、例えば、凍結そして薄切り、凍結乾燥、低温保存、エタノール脱水、OCL保存、および、本技術分野で公知のその他適切な方法を包含する。いくつかの実施形態において、上記試料は、スライドの表面からの分子のエネルギー依存性の揮発を許容するまたは増加させる被覆表面を有するスライド上に調製される。
〔分析〕
それから、上記試料は、試料中の荷電分子(イオン)、または、試料によって生成された、もしくは、放出された荷電分子の質量を分析するために、任意の数の質量分析技術を用いて分析される。これらの気相イオンを生成するのに用いることができる多様な方法がある。適切な手法としては、分子を気相化し、同時にイオン化する方法、および/または、これら2つの工程を分離した方法が挙げられる。
(A.対象の分子)
対象の分子としては、任意の分子(例えば、生体系内の代謝経路内に存在する、アミノ酸、炭水化物、脂肪酸、ペプチド、糖類、脂質、核酸、ポリヌクレオチド、グリコサミノグリカン、ポリペプチド、または、タンパク質が挙げられる)が挙げられる。
(B.対象の分子のイオン化)
本明細書に記載の方法で生成された揮発性分子は、気相イオンである。上記試料の空間的に定義された領域からのこれらの気相イオンは、試料から気相イオンを生成するための本技術分野において公知の多様な方法のうちの任意のものを用いて生成される。この方法としては、組織学的標本を直接特徴付ける方法、質量分析を補助するように標本に物質を塗布する方法、および質量分析のために特別な表面を利用する方法が挙げられる。例えば、二次イオン質量分析(SIMS)を用いて、一次イオンビームを、イオンまたは(例えば、光電離を用いて後でイオン化される)中性のもののいずれかとして分子を脱離するのに用いる方法、レーザ脱離を用いて、分子およびイオンを気相に変えることができる方法、脱離エレクトロスプレーイオン化を、エレクトロスプレーコーンを用いて分子およびイオンを脱離するのに用いる方法、などの方法が含まれる。他の場合では、上記試料が、分子脱離およびイオン化を補助する物質で処理される。例えば、マトリックス支援レーザ脱離(MALDI)の場合、組織学的標本が、固体表面に塗布され、マトリックス分子が塗布され、さらに、レーザーが分子の脱離およびイオン化に用いられる。他の場合には、上記病理組織診断標本が、例えば、ナノ構造発動因子質量分析、または、シリコン脱離イオン化のように、分子脱離または脱離/イオン化を助長する表面に塗布される。
上記試料を直接分析する好ましい一実施形態では、上記試料は、表面に調製され、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)を用いて直接調べられる。記試料が質量分析用の物質で処理される別の好ましい実施形態において、上記試料は、金属表面に塗布され、続いて、マトリックスが塗布され、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)分析が行われる。質量分析のために特定の表面を利用する別の好ましい実施形態において、ナノ構造発動因子質量分析の表面が、レーザー照射を受けて、標的分子の揮発に用いられる。
特定の実施形態において、上記試料は、病理組織診断標本であり、直接分析される。上記病理組織診断標本は、スライド上に調製されて、それから、揮発工程に供される。この揮発工程では、レーザ光線などの集中エネルギー源が空間的に組織化されて上記組織スライド標品を横断してラスター走査して、空間的座標に沿って質量分光計が検出する揮発分子を作成する。一実施形態では、上記病理組織診断標本は、シリコン表面に調製され、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)を用いて直接調べられる。別の特定の実施形態において、上記病理組織診断標本は、質量分析用の物質で処理される。凍結組織は、ステンレス鋼表面に塗布し、続いて、マトリックスを塗布し、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)分析を行うことができる。
別の特定の実施形態において、上記試料が、ナノ構造発動因子質量分析を用いて、レーザー照射を受けて標的分子を揮発させるための特定の表面を利用するナノ構造発動因子質量分析(NIMS)の表面に配置される。本発明の発明者のうちの一人は、15μm解像度での質量分析[23]が現在可能な、ナノ構造発動因子質量分析[9]と呼ばれる新しい超高感度質量分析技術を先に記載し、開発した。NIMSは、ナノ構造の孔が、真空適合性のある「開始剤」液体を含有する表面の代謝産物を吸収することにより機能する。表面のレーザー照射は、孔に捕えられた開始剤を揮発させ、表面に吸収された検体の脱離/イオン化を引き起こす。レーザーが組織表面を横断してラスター走査する際、NIMSは、各点で質量スペクトルを作成して、組織全体の代謝産物の空間的なマップを作成する。NIMSおよび関連する方法および組成物は、以下に記載される:米国特許公報第2008/0128608号、第2009/0042741号、および、第2010/0056392号、および、Lee do Y, Bowen BP, Northen TR, “Mass spectrometry-based metabolomics, analysis of metabolite-protein interactions, and imaging,” Biotechniques. 2010 Aug;49(2):557-65. Review; Yanes O, Woo HK, Northen TR, Oppenheimer SR, Shriver L, Apon J, Estrada MN, Potchoiba MJ, Steenwyk R, Manchester M, Siuzdak G., “Nanostructure initiator mass spectrometry: tissue imaging and direct biofluid analysis,” Anal Chem. 2009 Apr 15;81(8):2969-75; Woo HK, Northen TR, Yanes O, Siuzdak G, “Nanostructure-initiator mass spectrometry: a protocol for preparing and applying NIMS surfaces for high-sensitivity mass analysis,” Nat Protoc. 2008;3(8):1341-9; Northen TR, Lee JC, Hoang L, Raymond J, Hwang DR, Yannone SM, Wong CH, Siuzdak G., “A nanostructure-initiator mass spectrometry-based enzyme activity assay,” Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Mar 11;105(10):3678-83. Epub 2008 Mar 4;およびNorthen TR, Yanes O, Northen MT, Marrinucci D, Uritboonthai W, Apon J, Golledge SL, Nordstrom A, Siuzdak G., “Clathrate nanostructures for mass spectrometry,” Nature. 2007 Oct 25;449(7165):1033-6。参照により、これらの全ての全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれ、特に、NIMSプロトコルの使用に関して本明細書に援用される。
これら、および、その他関連する方法の多くは、後続の質量分析のために気相イオンを直接生成する。別の実施形態では、脱離した分子またはイオンに後続のイオン化方法を実施することが望ましい場合がある。例えば、ガスクロマトグラフィ質量分析において、通常、初期揮発工程は、後に、質量分析の前に電子イオン化または化学的イオン化を受ける、一次中性分子を生成する。多様な他のイオン化手法が、光、電子、化学的方法、荷電分子、断片化、および、本技術分野で一般的な他の方法を用いて、中性のもの、および、イオンを生成、濃縮、または、修飾するのに用いられる。適切な方法としては、例えば、大気化学的イオン化(APCI)、または、光化学的イオン化が挙げられる。
(C.質量分析データの作成)
試料の直接的な脱離/イオン化または後続のイオン化/断片化処理のいずれかの結果として生じる揮発分子が、イオンの質量対電荷比およびこれらのイオンの存在量を分離、または、測定するように分析される。イオンエンベロープにおける質量同位体異性体の相対的な存在量または質量同位体異性体の存在量のパターンを分析できる多様な質量分析器が公知であり、本技術分野で利用できる。
「質量同位体異性体」は、同位体組成物ではなく、整数質量に基づいて分類される同位体異性体のファミリーを指す。アイソトポローグと異なり、質量同位体異性体としては、異なる同位体の組成物の分子を挙げることができる(例えば、CHNHD、13CHNH、CH 15NHは、同じ質量同位体異性体の一部だが、異なるアイソトポローグである)。オペレーション用語では、質量同位体異性体は、質量分光計では分解されないアイソトポローグのファミリーである。4重極質量分光計について、この用語は、通常、質量同位体異性体が整数質量を共有するアイソトポローグのファミリーであることを意味する。よって、上記アイソトポローグCHNHおよびCHNHDの整数質量は異なり、これらは、異なる質量同位体異性体であるものとして、区別される。しかし、上記アイソトポローグCHNHD、CHDNH13CHNH、および、CH 15NHは、全て同じ整数質量のものであり、それゆえ、同じ質量同位体異性体である。したがって、各質量同位体異性体は、通常、1つ以上のアイソトポローグで構成され、1つ以上の精密質量を有する。全ての個々のアイソトポローグは、4重極質量分光計を用いて分析されず、かつ、より高い質量分解度を産み出す質量分光計を用いても分析できないので、アイソトポローグと質量同位体異性体との区別は、実際に有用である。だから、質量分析データからの計算が、アイソトポローグではなく質量同位体異性体の存在量について実施されなければならない。質量が最も低い上記質量同位体異性体は、Mと表現される。ほとんどの有機分子について、これは、12C、H、16O、14Nなどの全てを含有する種である。他の質量同位体異性体は、M(M、Mなど)から、それらの質量差異より区別される。所定の質量同位体異性体について、分子内の同位体の上記部位または位置は、特定されず、変化しうる(すなわち、「位置同位体異性体」は区別されない)。
「質量同位体異性体パターン」は、分子の質量同位体異性体の存在量のヒストグラムを指す。従来、全ての存在量が最も豊富な質量同位体異性体の存在量に対して標準化された相対的存在量パーセントとして、上記パターンが表現され、この最も豊富な同位体異性体が100%であると考えられる。しかし、質量同位体異性体分布分析(MIDA)のような確率分析法を包含する適用の好ましい形態は、各種が全存在量に寄与する画分が用いられる場合、比率または分画の存在量である。用語「同位体パターン」は、用語「質量同位体異性体パターン」と同義的に用いられる場合がある。
上記気化分子を生成するために用いることができる機器の様式には、例えば、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、脱離エレクトロスプレーイオン化、レーザ脱離、および、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間(TOF)、イオントラップ(Orbitrap)、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、または、他の質量分析器および質量分析器の組み合わせが含まれる。好ましい一実施形態では、第1の質量分光計によって質量同位体異性体の存在量パターンにおける変化について分析された上記イオンが、第2の質量分光計によって採取され、分子構造について特徴付けた断片化スペクトルを有する、4重極−飛行時間(QTOF)、TOF−TOFのような飛行時間およびタンデム質量分光計(MS/MS)が用いられる。
別の実施形態において、組織における脂肪分子を調べるために、NIMS、TOF−SIMS、MALDIまたは他の様式における揮発の後で上記イオンが同定され、定量化される。他の実施形態において、NIMS、TOF−SIMS、MALDIまたは他の様式で揮発された後に同定され定量化された上記イオンは、揮発前の組織におけるインサイチュで部分的なタンパク質分解により生成されたタンパク質分子またはペプチド分子を表す。
他の実施形態では、細針プローブの先端が、以下に記載されるプローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)のために上記試料に直接用いられる:Chen LC, Nishidate K, Saito Y, Mori K, Asakawa D, Takeda S, Kubota T, Terada N, Hashimoto Y, Hori H, Hiraoka K, “Application of probe electrospray to direct ambient analysis of biological samples,” Rapid Commun Mass Spectrom. 2008 Aug;22(15):2366-74 およびYoshimura K, Chen LC, Yu Z, Hiraoka K, Takeda S., “Real-time analysis of living animals by electrospray ionization mass spectrometry,” Anal Biochem. 2011 Oct 15; 417(2):195-201. Epub 2011 Jun 22。参照により、これらの両方が、あらゆる目的で本明細書に援用され、特に、PESIのプロトコルに関して本明細書に援用される。
最終的に、イオン信号は、イオンが表面付近を通過、または、表面にあたる場合に、信号を記録する1つ以上のイオン検出器を用いて記録される。ファラデーカップ、イオン光子変換検出器、マイクロチャネルプレート、プレート付近を通過するイオンを検出するシステム、および、本技術分野で一般的な他の法を包含する多様な方法がある。
上記質量分析データは、試料の各空間的に定義された部位について独立して作成され、まとめられる。結果として得られる質量分析データの上記空間的な部位は、通常、脱離または脱離/イオン化工程の場所を所定の部位の結果として得られる質量分析データに結び付けることにより得られる。例えば、図1を参照すると、スペクトルデータは、連続して保存することができ、試料中の上記位置で分光分析データのx、yおよびz座標に対するインデックスを付与される。また、他の実施形態では、上記試料内のマーカー分子も、質量分析画像を作成する空間的座標を提供するために用いられる。
しかし、スライド上の上記試料は、上記試料の2つ以上の独特の部位間に既知の関係があるように、空間的に定義できることが理解される必要がある。例えば、いくつかの実施形態では、上記試料は、座標系によって空間的に定義できる。適切な座標系には、例えば、デカルト座標系および極座標が含まれ得る。また、上記試料は、距離ではなく生理学的要因に基づいて、空間的に定義してもよい。また、例えば、他の実施形態では、上記試料は、細胞または細胞区画(例えば、核、膜、または、細胞質)によって、空間的に定義してもよい。
(D.分子流動速度の算出)
上記生成された質量分析データから分子流動速度を算出するのに、様々な方法および技術を用いることができる。例えば、分子流動速度は、対象の分子の同位体標識の含有量、取込み比率および/またはパターン、または、含有量および/またはパターンにおける変化率に基づいて、算出できる。例えば、米国特許出願第2005/0202406号を参照のこと。これの米国特許出願は、あらゆる目的で参照により本明細書に援用され、特に、段落[0194]−[0205]に記載の相対的および絶対的質量同位体存在量の測定方法の記載、および、段落[0206]−[0215]における分子流動速度算出方法について参照により本明細書に援用される。
一実施形態では、代謝流量は、組み合わせ的確率および本技術分野で公知の他の質量同位体異性体分析方法で算出できる。通常の動態パラメータとしては、例えば、合成速度、分解速度、代謝回転率、輸送動態、代謝源、解剖学的開始点、細胞内相互作用、酸化、還元、重合、結合、開裂、付加、再構成、転移、輸送、貯蔵、分泌、もしくは、取り込み;または、生合成に用いられる代謝源もしくは前駆物質プール;または、各分子もしくは分子群の他の代謝工程が含まれる。
分子の上記生合成速度の同定は、最終的には、その分子と関連付けられる1つ以上の質量アイソトポローグにおける濃縮または欠乏によって決められる。この一般的原理は、検出された信号を最も良く表現する同位体のパターンを具現化するアルゴリズムに拡張される。この工程は、空間的に定義された生合成速度を同定するデータ全体に適用される。方法およびアルゴリズムは公知であり、以下に記載される:Hellerstein MK, Christiansen M, Kaempfer S, Kletke C, Wu K, Reid JS, Mulligan K, Hellerstein NS, Shackleton CH, “Measurement of de novo hepatic lipogenesis in humans using stable isotopes ,” J Clin Invest. 1991 May;87(5):1841-52.; Hellerstein MK, Neese RA, “Mass isotopomer distribution analysis: a technique for measuring biosynthesis and turnover of polymers,” Am J Physiol. 1992 Nov;263(5 Pt 1):E988-1001; Sperling E, Bunner AE, Sykes MT, Williamson JR, “Quantitative analysis of isotope distributions in proteomic mass spectrometry using least-squares Fourier transform convolution,” Anal Chem. 2008 Jul 1;80(13):4906-17. Epub 2008 Jun 4; Rockwood AL, Kushnir MM, Nelson GJ., “Dissociation of individual isotopic peaks: predicting isotopic distributions of product ions in MSn,” J Am Soc Mass Spectrom. 2003 Apr;14(4):311-22。参照により、これらの全ての全体が、本明細書に援用される。
一実施形態では、検出された分子に関する上記同位体のパターンは、1つ以上の所定の元素に関する同位体濃縮の関数として推定される。各元素についての適切な同位体濃縮は、理論上の同位体のパターンと測定された同位体のパターンとの間の差異を最小化するものである。この工程は、複数の空間的な部位にわたって複数の分子に関して繰り返される。本明細書において用いられる「同位体のパターン」は、例えば、異なる同位体の含有量を有する分子種の相対的な割合、分子構造内の異なる化学的位置における同位体標識を有する分子の相対的な割合、または、分子における同位体の絶対含有量ではなく、内部パターンの他の態様のような、分子または分子の集団における同位体標識の内部関係を指す。「同位体の含有量」は、天然の(すなわち、同位体標識された前駆物質副次的単位の投与前または接触前の)分子または分子の集団における同位体の含有量に対する分子または分子の集団における同位体の含有量を指す。上記用語「同位体濃縮」は、本明細書における同位体の含有量と代替可能に用いられる。
他の一実施形態では、中性子の濃縮した核を含有する分子(すなわち、M、M、Mなど)に関連するピークの比率は、モノアイソトピックなピーク(すなわち、M)、その分子の全てのアイソトポローグの合計、または同位体の濃縮もしくは欠乏を証明する他の尺度構成によって標準化する。
質量分析器の分解度に起因して、または生体高分子などのイオンのために、上記個体の同位体異性体が分解できない場合の他の一実施形態では、対象のイオンの平均質量の変化または対象の分子の同位体のエンベロープに属するアイソトポローグの測定した質量の変化によって、同位体の濃縮または欠乏の変化を検出することが可能である。
本明細書において用いられる、「アイソトポローグ」は、同位体の同族体、または、同一の元素的および化学的組成を有しているが同位体含有量が異なる分子種(例えば、CHNH対CHNHD)を指す。アイソトポローグは、その同位体の組成により定義される。したがって、各アイソトポローグは、独特の計算精密質量を有するが、独特の構造を有していなくてもよい。アイソトポローグとしては、通常、分子上の同位体の部位が異なる同位体の異性体(本明細書において、「同位体異性体」と称される)のファミリーのものが挙げられる(例えば、CHNHDとCHDNHとは同じアイソトポローグであるが、異なる同位体異性体である)。
「質量同位体異性体エンベロープ」または「同位体のエンベロープ」は、観察される各分子またはイオン断片に関連があるファミリーを構成する質量同位体異性体群を指す。
他の一実施形態では、同位体的に濃縮したまたは欠乏した試料は、1つ以上の対照同位体パターンと比較する。しばしば、上記対照パターンは、同位体の天然の分布を有する同位体パターンである。あるいは、上記対照パターンはしばしば、長時間の標識化の後に(すなわち、上記システムが飽和点に達した後に)得られる同位体パターンである。
〔質量同位体異性体分布分析(MIDA)および関連技術〕
例示的な一実施形態では、MIDA技術またはMIDA類似技術が、分子流動速度を算出するために採用される。MIDA分析は、物理的パラメータを決定するのに分子に関連した質量アイソトポローグの比率からの判断に依存する。
MIDA組み合わせアルゴリズムの変形が、当業者に既知の多くの異なるソースで論じられている。Hellerstein and Neese (1999)とChinkes, et al. (1996)およびKelleher and Masterson (1992)、および、米国特許出願第10/279,399号参照のこと。参照により、これらの全ての全体が、本明細書に援用される。例えば、MIDAの変形には、データセットにおいて最も軽い分子を分析することと、最も軽い分子M0およびM1アイソトポローグピークが純粋に開始分子からのものと仮定して、最も軽い分子M0およびM1アイソトポローグを調べることによるfを決定することとが含まれる。いったんfが決定されると、完全な同位体のパターンが算出される(M0、M1、M2など)。これらの値が、測定されたスペクトルから引く。次に、上記データセットにおいて2番目に軽い分子を、(上記1番目の分子から上記パターンを引くのに続いて)2番目に軽い分子のM0およびM1を用いて、フィットさせることができる。これらの工程は、上記データセットにおいて対象の分子の全てに繰り返す。
一実施形態では、モノアイソトピックピーク(M0)と1つの追加中性子(M1)を含有するアイソトポローグとを比較して、本明細書においてfと称される、分子の分画濃縮を決定できる。他の場合では、M0:M1比とM0:M2、M0:M3、などとを分画濃縮だけでなく濃縮が発生する部位の数をもフィットさせるために用いることができる。濃縮が発生する部位の数は、Nと称することができる。上記M0:M1比は、fとNとの両方の関数である。上記M0:M2、M0:M3、M0:M4、なども、同様にfとNとの両方の関数である。したがって、fとNとを決定するためにMIDA手法を用いて、少なくとも上記M0:M1比とM0:M2比とが用いられる。
〔スペクトルパターン同位体フィッター(SPIF)〕
代わりに、他の実施形態では、スペクトルパターン同位体フィッター(SPIF)手法を分子流動速度を算出するために採用してもよい。SPIFとしては、N、f、または、Nとfとの両方のパラメータの概算を用いて、重複同位体を有する1つ以上の分子からの同位体パターンを含有するスペクトルの大域解析の特定の手法が挙げられる。この概算は、これらのパラメータのうちの1つまたは両方が測定できない場合、そして、特に、ほとんどのアイソトポローグが他の分子と重複している場合の数多くの適用に極めて重要である。具体的には、SPIRは、数多くの分子の同時グローバルフィッティング、複数標識された集団および非標識の種へのスペクトルの解析、および、概算の適切かつ制約付きの使用を可能にする。
1つのSPIF手法は、例えば、各分子のNおよびfの値と標識された各分子の強度と、非標識の各分子の強度との各分子に関するフィッティングを包含する。例として、45個の分子について、以下のパラメータが曲線適合されうる:(1)45個の異なるfの値(各分子に対して1つ);(2)45個の異なるNの値(各分子に対して1つ);(3)45個の異なる強度の値(各標識された分子に関して);および(4)45個の異なる強度の値(各非標識の分子に関して)。
上記の手法は、非負回帰を用いて、単純化して、各スペクトルについて強度値を解くことができる。これから、fの45個の値およびNの45個の値、標識された分子の45個の強度値および非標識の分子の45個の強度値のそれぞれの推測を、線形代数で一般的に用いられる方法によって、決定する。
他のSPIF手法は、分子のそれぞれのNを特定することを包含する。これは、探索空間を大幅に縮小する。Nの値は、他の実験、文献から、または、生化学からの推論により特定できる。パターン検索、群最適化、および、遺伝的アルゴリズムを包含する様々な多変数最適化アルゴリズムは、fの値を決定するのに用いることができ、また、線形モデル上の非負制約は、強度値を決定するのに用いることができる。適切な信号品質を有する信号について、これは、利用するのにとても合理的な手法である。
さらに他のSPIF手法は、分子のそれぞれのfを特定することを包含する。また、これも、探索空間を大幅に縮小する。fの値は、他の実験、文献から、または、生化学からの推論により特定できる。この手法において、多くの場合、fは、同位体濃縮された物質を長期間供給に起因して、最大限に濃縮される。すなわち、対象の分子は、完全に標識化されている。パターン検索、群最適化、および、遺伝的アルゴリズムを包含する様々な多変数最適化アルゴリズムは、Nの値を決定するのに用いることができ、また、線形モデル上の非負制約は、強度値を決定するのに用いることができる。適切な信号品質を有する信号について、これは、利用するのにとても合理的な手法である。
図24を参照にして、標識された分子のそれぞれについてfとNとの両方を制約する例示的なSPIF手法を描写する。この情報は、分子の異なる標識された集団の相対的な寄与を算出するのに用いることができる。例えば、fは、動物の体内水分における濃縮と同等のものと推定できる。Nの値は、他の実験、文献から、または、生化学からの推論により特定できる。この手法は、多変数最適化を必要とせず、各標識された分子および非標識の分子の強度が、回帰法のみから決定できる。この手法は、特に、M2以上のアイソトポローグを除外し、そして、複数の分子からの重複同位体を扱うために採用できる。
〔出力の生成〕
結果として得られる質量分析データの試料の空間的に定義された部位に対応する代謝流量データへの変換は、試料の空間的に定義された部位全体の質量同位体異性体の相対的な存在量を処理するソフトウェアを有するコンピュータ処理装置で実現できる。例えば、個々の脂質の脂質流束パターンの上記動態画像(図10に示す)は、各画素の測定されたスペクトルにおけるH標識された集団対非標識の集団の相対的な寄与に基づいて生成された。SPIFは、H標識された形態または非標識の形態のどちらかの各個々の脂質から発生するすべてのアイソトポローグから結果として得られる、測定されたスペクトルにおける総計強度を算出するために、同位体濃縮のモデルとして用いることができる。図10を参照にして、各脂質の全ての強度値(カラーバーで示す)が、同じ値に、基準化される。
いくつかの実施形態では、結果として得られる質量分析データは、代謝流量画像に変換される。画像の各画素は、代謝流量データを表現する基本単位である。また、各画素は、画像内の他の画素に対する既知の空間的関係を有する、試料の空間的な部位に対して指定可能である。画像における画素の空間的な部位は、試料の対応する空間的な部位の揮発分子の代謝流動速度データに対応する。一実施形態では、表示された上記代謝流量画像は、実際の試料と同じ大きさであってもよい。他の実施形態では、表示された上記代謝流量画像は、実際の試料より大きくても小さくてもよい。上記画像は、2次元または3次元のものであってよい。試料から得られる連続断片の分析は、組織の3次元の代謝流量画像の構築を可能にする。
流量画像化の一実施形態では、質量同位体異性体の相対的な依存度または検出された質量同位体異性体存在量のパターンは、上記試料の空間的な部位を横断して、一画素ずつの基準に至るまでを特徴付けることができる。一実施形態では、質量同位体異性体は、対象の生体分子を表す個々のイオンエンベロープについて、しかし、より多くの場合は複数のイオンエンベロープについて定量化され、さらに、本明細書に記載される数学的アルゴリズムおよびソフトウェアプログラムによって分析される。先の生体内代謝標識プロトコルにより誘発される質量同位体異性体存在量パターンにおける上記一画素ずつの変化は、空間的に局所的な動態またはイオンエンベロープとして検出される各生体分子の代謝流量についての情報を明らかにする。例えば、一から数十、数百、または、数千個の揮発分子が、組織試料の代謝流量の指紋またはサイン、組織の特定の領域として観察できる、または、流量サインを組織の特定の領域に限局するために観察できる。
各分子の動態画像は、試料のヒートマップもしくはトポロジーマップ、または、本技術分野に一般的な視覚化技術として表示することができる。いくつかの実施形態では、空間的座標全体でよく似た動態を有する分子群は、単一の代表画像にまとめられる。いくつかの実施形態では、上記質量分析器は、各画素に対して一から数千個の分子を観察でき、観察される各分子は、分離された画像としてマップされ、表示される。また、複数の分子のパターンまたは比率も、マップされ、表示される。
一実施形態では、生体染色、インサイチュのハイブリダイゼーション、または免疫組織化学的検査などの本技術分野で公知の他の病理組織学的な方法を用いて、組織標品の同じ切片の画像または同じ組織標品の隣接する連続切片からの画像を重ね合わせる。これにより、具体的な細胞型、細胞内の小器官、分子の凝集体、または他の既知の組織の形態上の特徴を有する、代謝流量と機能性工程に共有された空間的座標に基づいて、代謝流量と機能性の工程機能性工程とを相関させる。
他の実施形態では、既知の空間的関係を有する試料の空間的に定義された部位に対応する代謝流量データの出力は、表またはデータベースの形式であってもよい。
本明細書に記載された方法によって生成された出力は、分析された試料の既知の空間的座標に対応する動態データを表現する。本明細書において記載されるこの方法およびソフトウェアが、ヒートマップ、等高線図、または、生物学的組織または細胞標品における空間的座標により他の画像の形式で、機能代謝工程としてデータの視覚表示することを可能にする。例として、上記画像は、例えば、筋肉細胞におけるミトコンドリアの脂質合成の空間的なトポロジー;炎症性浸潤物組織におけるプロスタノイドおよびエイコサノイドの代謝回転の空間的な分布の空間的なトポロジー;癌または前癌状態の生検における脂質生成のパターン、および、腫瘍内の機能性ホットスポットの存在の空間的なトポロジー;内分泌組織におけるホルモン合成のトポロジーの空間的なトポロジー;自律的機能的領域の存在の空間的なトポロジー;末梢神経障害におけるような、組織における再生細胞および細胞膜の位置確認の空間的なトポロジー;算出された前駆物質プール濃縮に基づいて、組織内の空間的に局所的な時限生合成事象の同定の空間的なトポロジー;および、時空間における代謝流量に関して生成された濃密な情報を表現する数多くの他の手段を包含することができる。
いくつかの実施形態では、上記方法およびソフトウェアにより、分散の分析、K平均クラスタ化、主成分分析、非負行列因数分解、ならびに類似の分子分布パターンおよび流量分布のパターンを分類する、当該分野において公知の他の手法などの一変量および多変量の統計的なアルゴリズムが活用できる。
また、いくつかの実施形態では、上記方法およびソフトウェアも、付加物、分解生成物、および分子の複数の荷電状態を分解し同定するのに、質量差異を単独でもしくは空間的に異なるパターンと組み合わせて用いることができる。観察可能な分子は、糖類、多糖類、脂質、代謝産物、タンパク質、酵素、ヌクレオチドなどの分子を包含する。
一実施形態では、(例えば、組織標本のような)試料からの連続切片を分析することによって、組織の3次元の代謝流量画像を構築することが可能性になる。同じ組織切片または隣接する組織切片の静的な組織化学的画像は、生成し、代謝流量マップの空間的座標を用いて重ね合わせることで、代謝流量を具体的な細胞型、細胞内の構造、または他の標準の組織学的特徴に関連づけることができる。質量分析器の分解度に起因して、しかし、より典型的には、MALDIによって検出される生体高分子などのイオンのために、上記個々の同位体異性体が分解できない場合、対象のイオンの平均質量の変化によって、流量の変化を検出することが可能である。
〔コンピュータハードウェアプラットフォームでの質量分析の実施〕
質量分析データを処理し、分子流動速度を決定する、本明細書に記載される方法は、コンピュータで実行されるコンピュータソフトウェア(コンピュータ実行可能な指示)の形式で実現できる。図25は、例えば、同位体のパターン生成のアルゴリズム、および/または、最適化および同位体のパターンのフィッティングのアルゴリズムを用いて、スペクトルのピークの発見、データのローディング、および、化学式作成を行うように構成されている例示的なコンピュータシステム2500を描写する図である。これに関連して、コンピュータシステム2500は、例えば、処理装置、メモリ、記憶装置、および、入出力装置(例えば、モニター、キーボード、ディスクドライブ、インターネット接続など)を包含する汎用コンピュータであってもよい。しかし、コンピュータシステム2500は、工程のいくつか、または、全ての態様を実施するための回路、または、他の専用ハードウェアを含んでいてもよい。いくつかの動作設定において、コンピュータシステム2500は、ソフトウェア、ハードウェア、または、それらの何らかの組み合わせで上記工程のいくつかの態様を実施するようにそれぞれが構成されている1つ以上のユニットを包含するシステムとして構成されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、(上述のように)質量分析データの分析が、並列コンピュータ処理装置で計算されてもよいし、または、別のコンピュータシステムで計算されてもよい。
図25は、上記分析を実施するのに用いることができる多数の標準構成部品を備えるコンピュータシステム2500を描写する図である。メインシステム2502は、入出力(「I/O」)部2506、1つ以上の中央演算装置(「CPU」)2508、および、それに関連するフラッシュメモリーカード2512を有していてもよいメモリ部2510を備えるマザーボード2504を包含する。上記I/O部2506は、表示部2524、キーボード2514、ディスク記憶ユニット2516、および、メディア駆動ユニット2518に接続される。このメディア駆動ユニット2518は、コンピュータ読み取り可能な指示2522およびデータを通常含有するコンピュータ読み取り可能な媒体2520を読み込むことができる。
データ分析の結果に基づいて少なくともいくつかの値が、後続の使用のために保存できる。例えば、任意の表、データベース、または画像を包含するシステムの出力がメモリ2510(例えば、RAM(Random Access Memory))、または、ディスク記憶装置2516のような他の形態に直接保存できる。さらに、分子流動速度のようなデータ分析から導出された値も、メモリに直接保存できる。
さらに、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体が、コンピュータを用いて上述の分析のいずれかを行うための1つ以上のコンピュータプログラムを保存するために(例えば、実際に具現化するために)用いることができる。上記コンピュータプログラムは、例えば、汎用のプログラム言語(例えば、Pascal、C、C++)または何らかの専門的アプリケーション特有言語で書くことができる。
〔本明細書に記載の方法及びシステムの応用〕
生物学的工程の制御が、触媒反応の制御および競合経路を介する分子の分割によって、速度制御として一般的に発揮されるならば、代謝流量は、組織における機能性工程および経路の活性を直接的に明らかにし、多くの場合、それら自体で機能的意義を有する。従って、代謝工程のこれらのインサイチュの病理組織学的な画像または空間的なマップは、「機能的顕微鏡法」の第1の例:機能性工程の活性の空間的に局在化させた表示であって、多くの場合、固有の生理的、または、病因的意義を備え、異種混合の組織全体とおして空間的に定義された基準でマップされた表示を表す。作成された代謝流量データの情報密度および空間的な定義に起因して、生物学的または医学的に不均一性の有用な情報は、増加または減少した代謝流量の領域(例えば、ホットスポットおよびコールドスポット)、代謝流量について異なるもしくは類似する領域、複数の分子の代謝流量の複雑なサイン、特定の細胞、細胞小器官もしくは構造体の代謝流量の複雑なパターンまたは勾配、または、検出された代謝流量に関連する他の量的パラメータなどの組織中で観察される代謝流量パターンから知ることができる。具体的には組織についての独特の機能性情報が、空間的に同定された、および、動的工程のパターン(例えば、動態ホットスポットおよびコールドスポットに反映された異種混合性の度合い;組織の選択された領域における異なる分子流動速度の比率;代謝的にリンクされた組織の領域;共有、または、異なる代謝性前駆物質プール;など)から推測でき、生理的、あるいは、病因的意義を有する各個体の疾患の表現型の潜在的サインを提供する。また、空間的に同定された異種混合性および動的工程のパターンは、組織の特定の領域に対して(例えば、ホットスポットまたはコールドスポットに対して)または、変化したものと同定された、注目される分子もしくは代謝経路に対して、掘り下げたさらなる分析を集中させることができる。
従来の(静的)病理組織診断は、多くの場合、病理組織学的組織標本の空間的特徴を疾患を分類するために用いられる診断判断基準と記述に組み入れる。従来の病理組織学的な診断に一般的に用いられる空間的特徴の例は、以下の表1に示す特徴を包含する。
したがって、代謝流量の病理組織学的な報告には、診断的または治療的意味をもって、表示された画像からの機能性工程の空間的特徴が以下のように記載されるであろう:例えば、「血流不足および白質のこの領域における薬剤の運搬不足を示している、迅速な髄鞘形成の核の周りの低下したミエリン合成の周辺領域」;または、「複数の抵抗性のクローンの早期出現との整合性がとれている、腫瘍における低下した自食症フラックス活性の不均一な濾胞パターン」;または、「びまん型の血液伝播性工程と整合性のある、肝臓における動脈周囲の領域から広がる、高カスパーゼタンパク質の代謝回転およびミトコンドリアのリン脂質分解の浸透性領域」または「血管壁の領域への薬剤の低下した取り込みまたはアクセスを示唆する、粉瘤におけるコレステロール合成の多中心性の島状のもの」;または、「遺伝的変異を示す、細胞のペルオキシソームの領域における異所性脂質合成」;または、「最近の血管性イベントからの回復を表す、くさび状の細胞膜沈着、不明瞭な膜脂質合成および細胞膜TGF−ベータ受容体合成」;など。
従来の病理組織学的なマーカーが重ねられた場合、代謝流量マップおよび画像は、組織全体にわたる細胞特異的または細胞内の構造特異的な機能性情報を明らかにすることができる。癌、炎症、神経学的障害、免疫病、感染、線維症、糖尿病、肥満、動脈硬化、内分泌障害などのような状態を有する患者や動物から機能性代謝流量のマッピングおよび代謝流量サイン用に採取した組織標本の調査は、それにより、組織または疾患の表現型(挙動、予後、病原性サブクラス、最適な治療戦略、現行の治療に対する反応、など)を特徴付けるための新規で強力なツールを提供する。
その結果、代謝流量顕微鏡法は、本質的に、イオンの質量同位体異性体の存在量の変化の空間的な定義されたパターンを組み合わせて、代謝流量(時間の次元での動的生化学的な工程の速度)を明らかにし、さらに、それにより算出された代謝流量の空間的に定義されたパターンは、組織における機能性工程のトポロジーおよび形態(病理組織学的な空間における代謝流量の分布)についての情報を明らかにする。この時空についての情報の組み合わせは、顕微鏡法および生化学的な診断において独特のものである。組織における上記空間的な代謝流量の「指紋」は、臨床学的結果、遺伝子、特定の治療に対して起こり得る反応、標的の調節、または、他の生体指標と関連付けることができる。代謝流量顕微鏡法の結果の上記情報密度は、進歩したデータ分析および情報科学技術を必要とし、そして、病理組織診断を情報化時代に至らせる。
医学診断または獣医学診断、コンパニオン診断、薬剤の発見および開発、および、生物学的研究への幾多もの応用は明白であり、本明細書に記載される。これらは、診断、治療標的化、患者の満足、および、オーダーメイド医療のための癌、線維症、炎症、代謝性障害、アテローム性動脈硬化症または神経病理学のような疾患組織における機能的病理組織学的表示および位置決めを包含する。特に、組織における動態サインまたは指紋は、医学的または獣医学的疾患管理における使用、または、医学診断およびコンパニオン診断における使用のために、疾患の挙動、または、治療反応と関連付けることができる。
インサイチュの代謝流量顕微鏡法の生物医学的手法としては、例えば、診断、治療標的化、患者の満足、または、オーダーメイド医療のために、機能性工程の増加または減少した速度の領域(ホットスポットまたはコールドスポットのそれぞれ)を明確にする空間的異種混合性についての、癌、線維症、炎症、代謝性障害、神経病理学のような疾患組織における病理組織診断の機能的画像化が挙げられる。具体的な応用としては、例えば、血管における動脈硬化性プラークの核中のコレステロール代謝回転およびプラークの核からコレステロールを移動させる高密度リポタンパク治療の容量のマッピング;癌にかかった組織、神経組織、または筋肉組織の異なる領域における、自食症基質であるタンパク質またはタンパク質由来のペプチドの代謝回転に基づく自食経路の流束の画像化;筋肉の質または治療への反応の生体マーカーとしての、ミトコンドリアにおけるカルジオリピン代謝回転、脂肪酸合成、および、ミオサイトと細胞外空間とにおける代謝回転を包含する、サルコペニック肥満または悪液質の対象から得られた筋肉組織の異なる細胞区画における脂質合成流束または構造タンパク質合成流動の表示;アルツハイマープラークにおけるアミロイドベータ、神経変性疾患におけるハンチンチンまたはアルファ−シヌクレインのような凝集タンパク質の代謝回転の測定、または、膵臓ベータ細胞におけるインスリンのような細胞貯蔵顆粒の代謝回転の測定;組織における特定の細胞による栄養利用のマーカーとしての骨格筋または心不全のような酸化組織から得られる標識されたパルミテート、グルコースまたは他のエネルギー基質の損失の観察;脱髄、神経変性または神経障害の状態における中枢神経系または抹消神経系におけるミエリン合成の視覚化;高血圧症における上皮のナトリウム輸送体または嚢胞性線維症の気管支におけるCFTRのような疾患状態の細胞膜受容体の代謝回転、脂質異常症対象から得られた組織における、そして、脂質低下剤への反応のLDLコレステロール受容体代謝回転の表示;ステロイドホルモンのそれらの活発な形態への代謝的変換および標的臓器における標的部位(前立腺組織または筋肉標本におけるジヒドロテストステロンへのテストステロン還元およびジヒドロテストステロン阻害剤の効果など)。
また、インサイチュの代謝流量顕微鏡法は、医学的または獣医学的疾患管理または医学的診断およびコンパニオン診断における使用のために、疾患挙動または治療反応に相関性がある動態サインについて、癌のような疾患組織の機能的画像化(代謝流量顕微鏡法)に用いてもよい。具体的な応用は、例えば、癌の悪性度または治療への反応のマーカーとしてのホットスポットおよび異種混合性を同定するための、癌組織スライド全体の脂質代謝流量およびタンパク質代謝回転の位置決定;インスリン耐性または糖尿病リスクに関わる代謝流量の指紋を同定するための、筋肉、膵臓、および、肝臓のような脂肪毒性を潜在的に示す組織における脂質流束パターンの測定;美容整形術への反応を包含する、疾患挙動または治療に対して起こり得る反応のサインとしての、皮膚炎または乾癬をもつ対象における皮膚の領域における脂質代謝回転のパターンの画像化;神経変性疾患における脳中の異なる領域における神経細胞に沿った積み荷タンパク質の輸送パターンの観察;および本技術分野において数多くの他の明確な応用を包含する。
また、本発明は、時限的な前駆物質標識投与または前駆物質標識投与の時間勾配の強制によって、発生学的な、または、他の発生事象のような空間的に局所的な動態工程のタイミングを判定し、組織内の異なる部位における分子の前駆物質プールの濃縮を表示するため;細胞の空間的に局所的な領域における細胞の生合成起源または代謝源の判定(例えば、輸送された分子の組織的起源または細胞内起源の同定)のため;または、細胞内機能性秩序(例えば、細胞内細胞小器官、脂質滴、貯蔵顆粒、分泌小胞、小胞体などにおける動態工程)を特徴付けるために、生体内調節および組織における代謝流量の制御を理解するツールとして、用いてもよい。
以下に示す実施例は、あくまでも例示であって、本開示におけるいかなる態様をも制限するものではない。
〔実施例1:組織化学的流量画像の生成のための、重水素同位体標識化とナノ構造発動因子質量分析(NIMS)に基づく代謝産物の画像化技術との統合〕
腫瘍の3次元構造および微小環境内で流量を直接定量化することを目的とした、ナノテクノロジーに基づく質量分析による腫瘍の画像化と、重水素標識の取込み後の質量同位体異性体の定量化および動態解析との、新規な統合を提案する。この結果、生理学的なコンテキストにおいて代謝性の表現型を直接測定することにより、当該分野における重大な課題を解決する。
取り込まれた標識の内部パターンに基づく、複雑な生化学的ネットワークの分子動態を特徴付ける生体内的手法が開発され、検証され、その正当性が広く立証されている。Hellerstein, M.K. and R.A. Neese, Mass isotopomer distribution analysis at eight years: theoretical, analytic, and experimental considerations. American Journal of Physiology-Endocrinology And Metabolism, 1999. 276(6): p. E1146を参照されたい。動態の基本原理を利用することにより、これらの同位体で標識された代謝産物の生成を生体内で監視して、代謝産物の動態を測定することができる。腫瘍の3次元構造内および微小環境内で流量を直接定量化することを目的とした、NIMSと標識の取込み後の質量同位体異性体の定量化および動態解析との統合は、低線量放射線が細胞内、生体液内および組織内における代謝流量をどのように変化させるかについてのさらなる観点を提供する。上記方法は、順応応答および遺伝的制御と関連し得る急速に増殖する細胞集団を、乳腺および乳房組織の画像化により検出することに利用される。また、上記方法は、安定した同位体標識を媒質に適用することにより形態形成を調査して、細胞が作成される時を標識の取込みに基づいて特定することにも利用される。
豊富な脂質の同定による流量分析の支援。組織診断の標本における脂質の代謝産物の質量同位体異性体パターンをNIMSで空間的に測定するための概念実証を、マウスの乳癌モデルにおいて行う。脂質は、細胞の成長、シグナル伝達、増殖、腫瘍性の挙動に関する生理学的工程、多様性、NIMSに対する疎水性物質の適合性[33]および流量分析に対する脂質の適切性[34]において中心的役割を果たすことから、流量分析のための代謝産物の標的クラスとして選択された。
これらの研究のため、標識されたMDAMB231異種移植腫瘍およびC(3)1/タグ遺伝子導入マウスが生成される。これらの研究では、Jeffrey E.Green医学博士(NCI:国立癌研究所)より提供された8つの個別のC3(1)/タグ腫瘍、および瞬間冷凍して−80℃で保存した生後10週のFVB/Nマウス由来の8つの個別の乳腺を利用する。これらを凍結乾燥し(Lab Conco Freezone2.5)、均質化し(Biospec Products Mini−Beadbeater−96)、氷上でクロロホルムおよびメタノールを2:1の割合で用いて抽出し、ペレット状にし、上清を乾燥し(Savant:Speed vac plus SC110a)、水:メタノール:イソプロパノールを1:2:2の割合で含む200μLの溶液に懸濁した。
NIMS表面処理:ナノ構造発動因子質量分析(NIMS)表面の処理は、Woo, H., T. Northen, O. Yanes, and G. Siuzdak, Nanostructure-initiator mass spectrometry: a protocol for preparing and applying NIMS surfaces for high-sensitivity mass analysis. Nature Protocols, 2008. 3(8): p. 1341-1349、および米国特許公報第2008/0128608号に詳述される。簡単に述べると、Silicon Quest International社(米国カリフォルニア州サンタクララ)製の4’’シリコンウエハー(片面研磨P/ボロン、配向<1−0−0>、抵抗率0.01〜0.02Ωcm、厚さ525±25μm)を70×70mmの正方形に切断し、ピラニア溶液(硫酸/過酸化水素)で洗浄し、特注のテフロン(登録商標)エッチング室でエタノールにフッ化水素酸を25%を包含する溶液中にて2.4Aの定電流で15分間エッチングを行った。エッチング後、チップをGelest社(ペンシルベニア州、モリスヴィル)から購入した400μlの開始剤液(ビス(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)テトラメチル−ジシロキサン)で被覆した。
NIMS分析:NIMS表面に、0.5ulの組織抽出液を独立して8回反復して滴下する。5800TOF/TOF質量分析システム(AB Sciex社;カリフォルニア州フォスターシティ)において正負のリフレクタモードで分析を行う。ネオジウムヤグレーザ(355nm)の第三高調波を、200Hzの繰返し率にて1箇所につき8〜15ショットで、2500〜3200のレーザ強度、150〜300nsの遅延時間で用いることにより、50〜2,000m/zの範囲の最高質量スペクトルを取得する。2KVの電位を用いて、全ての主要なイオンに対してタンデム質量分析法を行う。
LC/MS−MS分析:TOFに基づくMSが、同位体異性体パターンの測定において他のMS装置(例えばOrbitrap)よりも本質的に正確であることを観察した。5μmの粒子で20μl/分の流速にてZorbaxC18カラムを用いて、抽出された脂質溶液内の成分の同定を行う事により、NIMS同定を支援する。急速な極性切替、ならびに4000Vのキャピラリー電圧、25psiの噴霧器、3.6L/分の乾燥ガス、m/z範囲50〜1500を用いたAgilent ESI−QTOFによりデータを収集する。MATLABプログラミング言語で書かれたカスタムソフトウェアを用いて、各試料の特徴を定義するとともにそれぞれの試料の特徴を比較する。全ての主要なイオンを断片化する(10eV、20eVおよび40eV)。
GC/MS分析:参照によりその全体が本明細書に援用される、Hellerstein, M.K. and R.A. Neese, Mass isotopomer distribution analysis at eight years: theoretical, analytic, and experimental considerations. American Journal of Physiology-Endocrinology And Metabolism, 1999. 276(6): p. E1146に記載された方法を使用する。脂質の基本動態(コレステロール、脂肪酸、リン脂質など)を、確認のために組織抽出液中で比較する。
脂質の同定:全てのMS/MSスペクトルについて、Metlin、MassBankおよびTheoretical Lipid MSMSデータベース、ならびに理研データベースの検索により同定を行い、代謝産物のアトラス[28]を作製する。できればNIMSにより検出された豊富な脂質について脂質標準を取得し、断片化パターンおよび保持期間の比較に基づいて同定結果の確認を行う。
健康なマウスにおける脂質の代謝産物の動態測定。同定した豊富な乳腺脂質の最適な標識化のための動態、体内水分から活発に取り込まれた水素原子の数の判定、ならびにヒト組織の動態組織化学に必要なデータ処理アルゴリズムおよびデータ分析アルゴリズムを確立する。NIMSにより動態同定した、対象の組織領域からの脂質のGC/MS測定とLC/MS−MS測定との比較により、NIMS画像化方法の検証を行う。NIMS分析の検証のためのLC/MS−MSおよびGC/MSの使用は、対象の組織全体に均一に分布している代謝産物のみに適用可能である。したがって、後述の通り、これらの細胞集団の単離にはレーザー・キャプチャー・マイクロダイセクションを使用する。
脂質および小分子の間で率の多様性が類似することが予測される。したがって、16匹の生後10週の雌FVB/Nマウスに対し、まず体重1gあたり0.035mLのOの生理食塩水の静脈内ボーラスを行い、続いて均一に8%モルパーセント過剰(MPE)に濃縮された飲料水を注射し、1時間後、4時間後、12時間後、1日後、2日後、4日後、8日後および12日後の8つのタイミング(1タイミングにつき2匹のマウス)で標識されたFVBマウスの経時変化から乳腺を採取する。このような標識化計画により、実験の期間中、体内水分は4〜5%の濃縮度に保たれる。体内水分のO濃縮度は、血清から蒸留した水における重水素のモルパーセント過剰(MPE)を直接測定することにより特定される。体内水分の濃縮度は、参照により本明細書に取り込まれるLis, G., L. Wassenaar, and M. Hendry, High-precision laser spectroscopy D/H and 18O/16O measurements of microliter natural water samples. Analytical chemistry, 2008. 80(1): p. 287-293にしたがって、レーザ水同位体分析装置(LGR社、カリフォルニア州ロスガトス)を用いてO標準曲線に対して測定される。
組織の採取および染色:組織の採取に先立ち、マウスに炭酸ガスで麻酔をかける。組織を採取し、ドライアイスで超冷却した2−メチルブタン中で瞬間冷凍する。Leica Microsystems社(イリノイ州バノックバーン)製のCM3050S Cryostatを用いて5μm厚の冷凍組織切片を準備し、連続切片をNIMS表面およびガラススライドに直接載置し、eindl, W., B.P. Bowen, M.A. Balamotis, J.E. Green, and T.R. Northen Multivariate analysis of a 3D mass spectral image for examining tissue heterogeneity. Integr. Biol., 2011. 3(4): p. 460に記載の確立されたプロトコルを用いた染色に供する。簡単に述べると、FVB/Nをバックグラウンドとする月齢5歳の雌C3(1)−SV40T/t−抗原遺伝子導入マウスを解剖してマウス乳腺腫瘍を取得し、直ちにドライアイスで冷凍する。続いて、組織を使用するまで−80℃で保存する。組織の切開は、Leica Microsystems社(イリノイ州バノックバーン)のCM3050S Cryostatにて行う。凍結組織から7μm厚の切片を直接切り出した。画像化質量分析のため、z方向において28μmごとに合計30切片を切り出して質量分析表面に解凍載置することにより、1mmまでの組織厚が確保できる。さらに、各ケースにおいて、質量分析に使用される切片の直後に続くもう2つの7μm切片を、ガラススライド上に解凍載置し、H&E染色およびOil Red O染色、またはその他の種類の病理組織診断染色に使用する。
連続する切片の1組を、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色に供する。この目的のため、切片を10%ホルマリン(Azer Scientific社;ペンシルバニア州モーガンタウン)中に固定し、続いてMayer's hematoxylin solution(Dako社;カルフォルニア州カ−ピンテリア)で染色し、80%エタノールに移し、エオシン液(VWR社;ペンシルバニア州ウェストチェスター)で染色する。続いて80%エタノール、95%エタノール、100%エタノールおよびキシレンで洗浄した後、Permount mounting medium(Fisher Scientific社;ペンシルバニア州ピッツバーグ)にスライドを載置する。別の切片の組をOil Red Oで染色する。切片はまず10%ホルマリン(Sigma−Aldrich社;ミズーリ州セントルイス)中に固定し、60%イソプロパノールに移し、60%イソプロパノールにOil Red O(Sigma−Aldrich社;ミズーリ州セントルイス)を含む3mg/ml−1の溶液で染色する。60%イソプロパノールですすいだ後、スライドをVectaShield mounting medium(Vector Labs社;カルフォルニア州、バーリンゲーム)に載置する。上記染色の両方について、MZ16立体顕微鏡で顕微鏡法を実施し、画像をLeica Microsystems社(イリノイ州、バノックバーン)製のDFC420カメラに記録する。
必要に応じてレーザマイクロダイセクションを用いて脂質を単離し、更なる分析(例えば、抽出対象の腫瘍細胞集団を単離することによるタンデム質量分析同定および上述した溶液に基づくNIMSまたはLC/MS−MS)に供する。組織をOCT凍結保存液(OCT cryopreservative solution)(Sakura Finetek Corp社)で瞬間冷凍し、10ミクロン厚の凍結切片を切り出し、PET(ポリエチレンテレフタレート)熱可塑性箔で被覆されたスライドに載置する。その後、試料が室温にさらされる時間を最小限に抑えることにより該試料の完全性を保つ変性ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色手順にしたがい、複数の組織切片を含むスライドを染色する。続いてスライドを風乾し、直ちにLeica AS LMD system(Leica Microsystems社、ニュージャージー州アレンデール)を用いて切り出す。スライドを反転させてステージに載置し、試料採取管を組織標本の直下に置き、紫外線レーザをPET熱可塑性箔の方へ向け、対象の領域がスライドから解放されて重力により採取管内へ落下するまで、オペレータの指定した経路に沿って紫外線レーザを動かす。
NIMSおよびLC/MS−MS分析:乳腺を上述の通り処理および分析する。
同位体異性体分析:質量同位体異性体分布分析(MIDA)アルゴリズム[26]は、質量スペクトル内における、同位体の質量の相対的強度の時間依存的変化に基づく。nおよび最大標識化度の決定には、元素組成(すなわち、化学式)が重要な変数であり、化学構造は、後ほど代謝回転速度を生物学的に解釈するにあたってのみ重要である。分画合成の算出は、前駆物質集団の濃縮度(p)および生体分子内に取り込まれ得る同位体標識の総数(n)に基づいている。重要なことに、pは体内水分(Busch et. al. 2006[40])の濃縮度と一致しており、これにより、実験の間中この変数を正確に測定することが可能になる。生体分子内に取り込まれ得る同位体標識の総数(n)は、生合成経路においてどの共有C−H結合が溶媒と均衡化されるかに依存するため、推測的に定量化することはできない。例えばパルミテートは全部で32個の水素原子を有しており、そのうちの31個は共有C−H結合に関与するが、実験解析の測定ではn=22であった[34]。本発明者および他者[38]は、各アミノ酸について上記nを実験的に定義した。これにより、観察対象の各ペプチドの分析について、固有のnを生成することが可能になった。任意のペプチドについて、nは個々のアミノ酸のnの合計である。それから、プラトー値は、nおよびpの関数として算出され得る(図6)。マウスを扱うことにより、代謝回転が速いという利点がある。1年後に組織の90%以上が代謝回転して、最大限可能な値(n)まで標識された代謝産物を生成していると推定する[39]。同位体異性体パターンの正確な測定により、この実験において、脂質についてのnを実験的に求めることができる。
動態算出:分画合成(f)は、総タンパク質/代謝産物プールにおける新たに合成したタンパク質/代謝産物の比率である[38、40]。個々の質量同位体異性体の特徴的パターンの変化は、1つのnおよび分画合成度に対して固有である。マウスの実験において、標識水のボーラスにより、体内水分の濃縮度が1時間以内に確実にプラトーに達するので、簡易な単一プール動態を用いて、任意のタイミングで新たに合成した分子の画分を算出することができる。
本研究で用いる同位体の濃縮度p(1〜5%)において、標識された代謝産物集団のm/z範囲と非標識の代謝産物集団のm/z範囲は重複する。混合プールにおいては(すなわち、0〜100%の分画合成については)、同位体強度の相対変化の算出により2つの亜集団の解析を行うことができる。各同位体異性体は、典型的にはM0〜M3の4つの質量である、同位体異性体エンベロープの総強度にしたがい標準化される。本研究において、fの算出は、標準化されたモノアイソトピックなピーク(EM0)の強度の変化に基づく。理論的には、各同位体ピークの強度の変化により、同じ分画合成が明らかになるはずである。実際には、ノイズに対する信号がEM0にとって最も好ましいと考える。何故なら、この同位体異性体について、より大きな強度変化があるためである。脂質の代謝産物の質量同位体異性体の存在量のGC/MS測定およびLC/MS測定、ならびにMIDAによる流量の算出を、マイクロダイセクションに供された組織試料に対して行う。これは、研究室において積極的に研究されている領域である(Hayes G, Misell L, Hellerstein MK, manuscript submitted, J Clin Oncol)。NIMS実験の結果を同様に分析する。同位体異性体分析とNIMS画像化とを統合することで、実施例2に示すように、組織内の流量の決定および位置確認が可能になる。
NIMSを用いた同位体パターンおよび強度の直線性の同定。上述の通り、飛行時間に基づく質量分析により、直線的な強度(典型的には1%よりも良い)を有する広いダイナミックレンジ(最大5桁)が得られる。同質のデータがNIMSに基づくイオン化および検出によって確実に得られるように、NIMSで脂質標準のプロファイリングを行う。質量の正確性の高いデータを扱う際、典型的には同位体の微細構造推定アルゴリズムを用いるが、公称質量値について各同位体異性体の強度を推定する際には、各要素に関する多項確率分布の畳み込みを用いることができ、nの各値について、D/H比率を算出することができる。上記化学式はC と書き換えられる(Hは水由来の水素を指し、Hは他の栄養源(すなわち、炭水化物、脂肪およびタンパク質)由来の水素を指す。Hについて同位体の濃縮度を異ならせ、かつ、他の要素の全てを天然の同位体の存在量に保つことにより、特定の分子の上記空き部位における重水素の分画濃縮度を、凸最適化アルゴリズムを用いて算出できる。図4に証明されるように、NIMS分析および計測は、提案する研究に記載の同位体パターンフィッティングに十分である。
マウスにおける癌組織の動力学的・組織化学的研究。この目的においては、パクリタクセル反応性腫瘍およびパクリタクセル非反応性腫瘍における代謝流量を、特性のよく表れた2つのマウスモデルを用いて差別化するための流量画像化の概念実証を行う。
簡単に述べると、Borowsky et al.[44]に記載のNOD−SCID雌マウスの太った肉球に、MDAMB231細胞を注入する。各マウスは、MDAMB231の感受性クローンまたは抵抗性クローンを鼠径乳腺に注入される。注入から約1週間後に腫瘍が出現する。いったん測定可能な腫瘍を観察した後、Oの投与から1時間後、1日後および3日後に腫瘍を採取することにより、標識化の経時変化を測定する。第2のシステムでは、FVB/N TgN[C3(1)T−Ag]マウスモデル(BTNBc)由来の腫瘍を、誕生から4か月〜6か月後に分析する。これらのマウスから単離された腫瘍は、増殖阻害、無反応および転移性という3つの診断群に分類できる。各診断群には約6個の腫瘍が存在し、両方のシステムにおいて、マウスを4.5mg/kgのパクリタクセルQDで5日間処置し、投与から1時間後、1日後および3日後に腫瘍を採取して組織学的な分析(4%パラホルムアルデヒド(paraformaldehye)中に固定)およびNIMS分析(瞬間冷凍)に供し、投与から5日後に腫瘍を摘出する。いったん腫瘍を観察すると、投与から1日後に腫瘍脂質における平均の濃縮度50%を達成できるようなタイミングで、目標1Bに記載の通り0を投与する。既刊(Misell 2005)の通り長期に渡ってDNAの濃縮度を測定することにより、腫瘍細胞の増殖に基づいて脂質の流量を標準化することが可能になる。
NIMS流量画像化:腫瘍を摘出し、直ちに瞬間冷凍し、OCT内に置き、切断し、染色し、画像化し、分析する。25〜75μmサイズの各x−yステップにおいて、MALDI−MSI制御ソフトウェアを用いて完全スペクトルを採取する。全ての切片について同一の設定で画像化を行い、画像化データをAnalyze 7.5 data format(Mayo Foundation社;ミネソタ州ロチェスター)に保存する。腫瘍に比べてNIMSチップのサイズが大きいため、各診断群から最低1つの切片を同一のチップ上に載置し、3つの診断群における流量を直接比較する。NIMSデータ分析:装置の未処理バイナリファイル(10〜40GB)の分析に使用される既存のカスタムソフトウェアを用いて増殖阻害腫瘍、無反応腫瘍および転移性腫瘍に関する流量差の特定を行うことにより、脂質同位体異性体の比率を比較する。
結果に基づく目標1の設計変更:小さい細胞集団の研究のために、より高い分解度の画像化が要求される場合、TOF−SIMS分析[9]を用いる。例えば、TOF−SIMS画像の全体が、典型的なNIMS画像における1画素内に収まる。この場合、凍結組織を未エッチングのシリコン基板に載置する点を除き、IMSについて記載した通りに組織を切断する。中間結果の項によれば、この手法によってマウス組織内の単細胞への重水素の取り込みを200nmの分解度で画像化することが可能である。
〔実施例2:NIMSを用いたマウス組織の動態組織学〕
マウス全体の画像化により、広い領域にNIMSを用いて画像化し得る複雑な代謝産物パターンが存在することが示された(図7)。同位体異性体の存在量のパターンの画像化能力を特定し、その結果として流量を特定するために、5%Oを3日間投与した成体マウス由来の解剖組織を切断し、NIMSで画像化した(図7A)。各画素について、多数の標識された代謝産物が観察された。例えば、ホスホコリンはTOF−SIMS画像化スペクトルにおける主要な信号[37]の1つであった。ホスホコリンの場合、C−H結合に15個の水素原子が存在する。図7Dから分かるように、M1/(M1+M0)の比率、つまり相対的な流量は、Oを3日間にわたって投与する間に増加した。ホスホコリンについては、細胞水において重水素と交換し得る水素は3つと算出できる。他の水素は全て、代謝的に不安定でなく、外因性炭水化物、脂質およびタンパク質などの栄養源から由来する。ホスホコリンについてはn=3であることを踏まえ、流量を画像に変換することができた(図5D)。サブミクロンの脂質流量の分析が必要である場合には、TOF−SIMSを用いて炭化水素断片への重水素の取込みを検出できる。
ヒトの組織および腫瘍の分析。我々は、予備実験において腫瘍の異種混合性について検討し、これを参照により本明細書に援用されるReindl, W., B.P. Bowen, M.A. Balamotis, J.E. Green, and T.R. Northen, Multivariate analysis of a 3D mass spectral image for examining tissue heterogeneity. Integr. Biol., 2011. 3(4): p. 460に記載した。Reindl et al., Integr. Biol., 2011. 3(4): p. 460に記載されたものと類似の3次元組織分布的な画像が得られる代謝流量を測定してヒトの組織および腫瘍の分析を行うことにより、腫瘍の異種混合性を調査する。
〔実施例3:健康なヒト組織に対する流量の顕微鏡法〕
健康なヒト組織における脂質の代謝産物の空間的代謝回転動態の特定(動態組織化学)。ここでは、既存の臨床プロトコルの検証を行うとともに、NIMS組織画像化を用いて、有用な脂質流量分布が得られる臨床的に可能な組織採取タイミングを特定する。具体的には、比較的入手しやすいヒト組織試料を用いて、臨床的なOの投与、試料の取り扱いおよび分析のプロトコルを定義することにより、手順上および技術上の課題を同定および克服する。前臨床実験に比べ、人体研究には、重水標識化研究における新しく合成した代謝産物の定量化に影響を与える、多数の特質的な課題が存在する。マウス組織に比べ、遅い基礎代謝回転速度、低い前駆物質プール濃縮度(体内水分におけるO%)および時間依存性の標識化濃縮度曲線を原因として、代謝産物における同位体の濃縮度にはほぼ必ずばらつきがある。したがって、齧歯動物研究で用いられる技術を臨床用途に供するためには、改良/最適化が求められる。
以前の観測により、皮膚におけるコレステロールの分画合成は、1日あたり1.3%(データ図示せず)であることが示されている。この合成率は、1〜4週間の標識化期間においてはコレステロール分子の10〜30%が標識されることを意味する。上述したように、ヒトにおいて可能な標識化条件下では、この水準の分画合成は、GC/MSおよびLC/MSによってうまく定量化され得る。したがって、臨床環境におけるNIMSの確立という目的を達成するため、皮膚パンチ生検の取得という目的に被験者を参加させる。
Oの投与:被験者に、GLPのOの一定分量を支給し、毎日2回自己投与するよう要請する。この結果、Oが4日間〜7日間減少し、その後、プラトー濃縮度1〜1.5MPEが得られる。ヒトへの適用であるため、この標識化戦略においては、時間をマウスの場合(わずか3〜5日)より若干延長したが、Oにより誘起される目まいのリスクは最小化している。
臨床試料の採取:2名の被験者を参加させ、各被験者から2つの生検を採取する前に、重水を56日間投与する。毎週salivetteを用いた体内水分のサンプリングを行い、かつ、生検日に採血を行うことで、患者の薬剤服用順守を重水濃縮度により検証するとともに血液感染性の動態代謝産物を定量化する。パンチ生検の全層断面切片を処理し、瞬間冷凍し、目標1に記載の通り−80℃にて保存する。
動態研究を支援するための皮膚脂質アトラスの構築。目標1に記載の通り、流量の算出には正確な化学式が必要である。したがって、市販の対照皮膚を凍結乾燥し、均質化し、抽出し、NIMS、GC/MSおよびLC−MS/MSを用いて分析し、NIMSで豊富に存在したイオンを、タンデム質量分析法を用いて同定する。処理された組織の2つを全く同様に処理し、該組織内に均一に分散する脂質の流量画像との比較によりバルク流量を検証する。
NIMS画像化。標識された生検(4)をOCT内に載置し、切断し、上述の通り画像化を行う。
MIDA変数の検証:ヒト皮膚由来のよく標識された脂質を用いて、観察された代謝産物についてn値を算出する。我々の予想では、ペプチドについて観察されたように(データ図示せず)、n値は、マウスおよびヒトの両方におけるほとんどの代謝産物に類似する。
最適化:あまり標識化されない場合には、DO投与に関する患者の薬剤服用順守とDO投与の延長とを区別することが重要である。毎週採血を行うことによりプロトコルの順守を検証するとともに、必要であれば、本研究をより長い期間で繰り返す。
正常なヒト組織内の空間的な脂質代謝流量を測定する。ヒト組織内で観察される代謝産物について、重水素同位体標識の最大取込み(n)を実験的に定義する。複数の標識化タイミングの使用により、広範囲の変化量について流量および代謝産物を測定することが可能になる。NIMS画像化により同定される、興味深い脂質動態を示す局所領域を、GC/MSまたはLC/MS−MSを用いたレーザマイクロダイセクションにより検証する。
上記の通り概要を示した標識化方法を用いて、3名のヒト被験者を標識化し、14日後または28日後のいずれかで標識された皮膚の標識化タイミングを集め、NIMSで算出された動態の経時変化を生成する。
O投与:既存のプロトコルにしたがい被験者を参加させ、DOを上述の通り投与する。
皮膚生検の採取:組織を採取し、前述の例の通り処理する。
流量分析:各検体についての流量を、目標1に記載の通りに算出する。この時、濃縮度(p)の時間依存的変化についての補正を盛りこむ。唾液において測定された体内水分の濃縮度を使用して、代謝回転および流量の算出のためのモデルを各代謝産物に適用する。
NIMS分析。ねらい1に記載の通りに凍結組織の切断および画像化を行う。パンチの連続切片から得られたNIMSデータの配置を用いて、腫瘍[37]の3次元代謝産物画像について上述した方法と同様に、かつ、乳房の新生物組織について提案する通りに、パンチの3次元脂質流量モデル(x、y、z、分画合成)を作成する。
〔実施例4:ヒトの乳房の正常組織および新生物組織における流量顕微鏡法〕
重水標識化手法は、慢性リンパ性白血病[45]、乾癬[46]およびHIV−1注入[47]を含む、他の新生物のもしくは過剰増殖性の条件における表現型を特徴付ける上で、非常に情報価値が高いことが分かっている。以前Dr.Shelley Hwang MD(UCSF)と実施した共同研究においては、正常な乳房上皮細胞(BEC)および乳房上皮腫瘍細胞(BEC)の増殖を、乳腺切除を受ける女性の乳房組織生検から測定した。
総数15名の患者が本研究に参加した:この内、5名は良性の病気の術前患者であり、10名は根治手術を受ける未治療トリプルネガティブの乳癌患者であった。
O投与:Dr.Hwangの監督による手術の前に、2週間にわたりOを投与する。Oの投与期間中、コンプライアンス順守の監視のため、毎週、自宅にいる被験者全員から、Salivette kit(Sarstedt社、ノースカロライナ州ニュートン)を介して唾液資料を得る。
組織の取得:腫瘍の場合、担癌領域に加えて、乳房の各四半部の組織を採取する;予防的乳房切除および乳房縮小形成の場合には、乳房の各四半部および乳首と乳輪との複合部から組織の採取を試みる。5×5×10mmの組織試料を採取し、瞬間冷凍する。正常間質の試料、または浸潤癌および周辺の間質の試料を、約5×3×10mmのサイズにて取得する。腫瘍を含有する試料の場合、組織取得にあたり、標本の3分の1までが正常間質を包含することを目標とする。体側乳腺切除が行われる場合、腫瘍と同じ)乳房四半部に対応する第2の乳房からの対となる組織を採取する。標準的な病理分析に続いて、組織を瞬間冷凍する。
組織学および免疫組織化学的検査:病理学者と相談して染色および切開を行う。Dr. Stopplerと共同でH&E切片を評価し、表面積に対して腫瘍濃度が50%を超える領域をマーキングする。無染色切片の対応する領域をマイクロダイセクションに供し、こすり取ってエッペンドルフチューブに入れ、出荷して配布する。精製ゲノムDNAを用い、正常組織について、段階的領域において増殖率が漸進的に増加する、週当たり1〜3%の増殖率を測定する。Dr.Stopplerと共同で、ER、PR、Her2、CK5/6、EGFR、Ki67、CSF1、CSF1Rという標準パネルを含んで発現プロファイリングを行い、確立された標準のIHCプロトコルに基づいてCSF1−応答タンパク質(FCGR3a、FCGR2a、CTSL1、CD163)を評価する。抗原回復、タンパク質分解処理(必要であれば)、抗体力価および陽性/陰性対照の条件が、UCSFにおけるDr.Hellersteinの協力者達により考案されており、100以上の抗原を包含する。必要に応じて、細胞株のポジティブ染色およびネガティブ染色を、全てのアッセイについて行う。
NIMS流量分析。目標1および2に記載の通りに凍結組織の切断および画像化を行う。腫瘍および隣接する組織にまたがる代表切片については、注意深く画像化する。
計画分析:用いる統計的手法は、予備的な性質のものである。動態画像を、多様な脂質の代謝回転および異質性(ホットスポットおよびコールドスポット)について特徴づける。これらの質的特徴を、得点化し、回帰分析を用いて免疫組織化学的検査的な結果と比較する。意図は、当該技術の検証を行うとともに仮説を立てることであって、現時点で最終的なシグネチャーを同定することではない。
結果の臨床的解釈。流量表現型を既存のマーカーおよび応答群と関連付けるために、脂質流量画像を、染色された組織切片およびトリプルネガティブ異種移植片およびマウスモデルの結果についての標準的な病理分析と比較する。腫瘍および周辺組織の画像化を使用して、良性組織と他の亜型組織との間、ならびに腫瘍内と間質界面との間で流量比較を行うことにより、流量パターンに基づいて、癌の亜型の流量マーカーおよび異なる治療反応クラスへの患者の分類を同定する。
〔実施例5:インサイチュの動態組織化学〕
本実施例では、安定な同位体で標識された前駆物質の、インタクトな非断片化分子への生体内における取込みに基づいて、代謝回転を画像化するための技術である、kMSIの使用を証明する。上記手法は、ソフト脱離イオン化質量分析画像化と、生体内における重水素を用いた代謝標識とを組み合わせて、生物学的工程の動態画像を生成する。本実施例において、高い増殖率および代謝的に形質転換された細胞の多様性によって病状の特性が表される組織である腫瘍に、kMSIを適用する。重水素で同位体的にマウスを標識化して表れた腫瘍をナノ構造発動因子質量分析(NIMS)で画像化することにより、代謝的に異種混合の腫瘍細胞亜集団の特性を特徴的に表すインタクトな分子の合成率を空間的に分析するための第1段階として、脂質流量の動態画像を生成した。
(材料および方法)
動物の管理、重水素投与および組織採取。BALB/c雄マウスとの異種交配によるBALB/cおよびSPRET/EiJの種間F1雑種雌マウスから産まれたF1戻し交配雌マウスの、切開された太った肉球に、Trp53−null乳腺上皮断片(Balb/cバックグラウンド)を移植することにより、固形乳腺腫瘍を得た。30mL/kgの、滅菌99.9%O+0.1%NaCl[58]の腹膜内ボーラス注射によりOを投与し、その後、飲料水(8%O)および標準的なマウス用の食事に自由にアクセスさせた。O投与から5日後に動物を安楽死させ、その後、乳腺腫瘍および血清を摘出し、直ちにドライアイスで瞬間冷凍し、−80℃で保存した。非標識の対照として、Oを一度も与えられなかったマウスからも腫瘍および血清を採取した。ローレンス・バークレー国立研究所の動物保護研究委員会に承認された動物プロトコル(AUP9111および27010)にしたがって、動物の治療および管理を行った。
NIMS画像化。各腫瘍について、その半分をOCT培地に埋め込み、Leica 1950S cryostatを用いて−18℃で切断するとともに、もう半分を脂質抽出に用いた。腫瘍の5μm厚の横断面を、MSIに備えてNIMSチップ上に解凍載置した。5800TOF/TOF(AbSciex社、カルフォルニア州フォスターシティ)を使用し、500Da〜1500Daの範囲のスペクトル(焦点質量900Da)を得るとともに1箇所あたり18ショットを蓄積するネオジウムヤグレーザ(200Hz、4650レーザ強度)で、正のリフレクタMSモードにて画像取得を行った。4800画像化ツールソフトウェアを用いて、試料をラスター走査して、50μm×50μmステップ−サイズにおけるスペクトルを記録した。Matlab(Mathworks社、マサチューセッツ州ナティック)プログラミング言語を用いて社内開発された、カスタムソフトウェアソフトウェアを用いて、データ閲覧および画像の再構築を行った。
代謝産物の抽出。FreeZone 2.5 lyophilizer(Labconco社、ミズーリ州カンザス・シティ)(乾燥重量20〜50mg)を用いて凍結腫瘍試料(〜4mm×4mm)を乾燥し、Mini−Beadbeater(BioSpec Products社、オクラホマ州バートルズビル)を用いて5秒間均質化し、その後、350μLのMeOH:IPA:HO(3:3:2v/v)抽出溶媒で4秒間(×2回)さらに均質化した。試料を15,000rpmで2分間遠心分離にかけ、上清を採取し、ろ過し、−80℃で保存した。
腫瘍抽出液のNIMS。MeOH:IPA:HO(3:3:2v/v)に溶解された試料抽出液を、NIMSチップ上に直接0.5μLずつ滴下し、30秒間風乾し、その後、過剰な試料を切除した。5800TOF/TOF(AbSciex社、カルフォルニア州フォスターシティ)を用いて、正のリフレクタMSモードで、ネオジウムヤグレーザ(200Hz、レーザ強度2950)で質量スペクトルを得た。250〜1500Daの範囲(焦点質量900Da)で1箇所あたり18〜22ショットを蓄積してスペクトルを取得した。
組織抽出液の液体クロマトグラフィエレクトロスプレーイオン質量分析(LC ESI−MS)およびMS/MS。2.1mm×150mmの1.7μmのAcquity UPLC BEH Amide HILIC column(Waters Corporation社、マサチューセッツ州ミルフォード)上でLC−MS正常相クロマトグラフィを行うことにより腫瘍抽出液のMSを行い、Agilent ESI−QTOFを用いてMSデータおよびMS/MSデータを収集した。クロマトグラフィは、流量40μL/分、試料注入量2μLまたは4μLで行った。カラムを100%バッファB(5mm酢酸アンモニウムを含む90%アセトニトリル)で5分間均衡化し、バッファBをバッファA(5mm酢酸アンモニウムを含むHO)で30分間かけて45%まで希釈し、最後に45%バッファBにおいて10分間、定組成溶離を行った。LC/MS/MSについては、10V、20Vおよび40Vの衝突エネルギーを用いて断片化データを取得した。
病理組織診断染色。NIMSにより画像化された切片から300μmの範囲内で得られた10μm厚の腫瘍連続切片の染色を行った。化学染色は、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)を含んでおり、これにより、細胞核(青)を、細胞質およびタンパク質(赤)から区別した。細胞増殖マーカーKi67のための、免疫組織化学的検査的なHRP/DAB染色(茶色)も、Ki67(abcam社、マサチューセッツ州ケンブリッジ;#ab16667)に対する単クローン抗体[SP6]を用いて行われた。ScanScope XT(Aperio社、カルフォルニア州ビスタ)を用いてデジタル画像を取得した。染色は、組織内での実施、およびUCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center, Immunohistochemistry Core Facilityによる実施の両方が行われた。
血清における重水素の濃縮。Liquid Water Isotope Analyzer(自動注入システム付、更新バージョン2)(Los Gatos Research社、カルフォルニア州マウンテンビュー)を用いたキャビティリングダウン分光法により血清試料を分析し、体内水分における重水素の量を調べた。重水素を濃縮した血清を注入前に1:100に希釈する一方、非濃縮血清を希釈せずに分析した。各試料を6回注入し、最後の3回の平均をデータ分析に用いた。重水素の濃縮度の算出のために、試料の前後の標準曲線を作成した。各作成における精度は2Δ/mil(1000分の1)未満であり、各作成間の精度は3.5Δ/mil未満であった。この分析は、Metabolic Solutions, Inc.社(ニューハンプシャー州ナシュア)によって実施された。
NIMSウエハーの作製。NIMS表面の準備について、他書[35、37]が十分に記載している。簡単に述べると、シリコンウエハー(Silicon Quest International社、カルフォルニア州、サンタクララ)(片面研磨されたP/ボロン、配向<1 0 0>、抵抗率0.01〜0.02Ωcm、厚さ525±25μm)に対し、25%フッ化水素酸を含むエタノールを用いて、2.4Aの定電流で15分間電気化学エッチングを行い、その後、開始剤としてのビス(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)テトラメチル−ジシロキサン(Gelest社、ペンシルベニア州、モリスヴィル)で被覆した。
質量分析画像化データ処理。m/z値が790〜880の範囲にある未処理スペクトルを、各画像ファイル(4800 Imaging Toolで生成した「.img」形式のもの)から取り込んだ。同定した腫瘍脂質の理論上の質量と相関する、高い平均強度を有する代表ピークを下記の表2に示す。同定した各化合物のモノアイソトピックな質量が、[M+H]付加物および[M+K]付加物の両方について示されている。腫瘍組織の直接NIMS画像化([M+K]付加物を比較)および腫瘍抽出液のLC/MS([M+H]付加物を比較)からの質量スペクトルについて、測定された質量と理論上のモノアイソトピックな質量(ppm)との間の差異が示されている。30ppm未満の値は網掛けで示され、5ppm未満の値は太字で示されている。最終カラムは、LC/MS/MSを用いた特徴的なホスホコリン断片(m/z=184)の検出を示しており、これにより、前駆イオンがコリンリン脂質として同定される(n/d=検出、n/p=不検出)ことが確認される。同位体の濃縮度のモデルにおいて用いたNの値も示されている。
次に、同定した脂質種の厳密な質量を用いて、全てのスペクトルを含むm/z値の較正を行った(図12)。較正スペクトルを用いて、各画素における、理論上のモノアイソトピックなピークまたは対応するアイソトポローグピークの±0.05Da以内のピーク高さを選択し、45個のリン脂質に対応する90個の強度値の画像を生成した。各強度値について、測定した背景値(4個)を各画素において差し引いた。K平均クラスタ化および同位体の濃縮度の算出を含む全ての追加的分析を、これらの較正スペクトルに基づいて行った。
K平均クラスタ化。質量分析画像を含む画素を、Matlab 2011b[85]における相関距離関数を用いたK平均分析により、9つの領域にグループ分けした。これにより、検出されたイオンについて、類似の相対強度を有することに基づき、類似のスペクトルパターンを有する画素を同定およびクループ化した。この工程を10回繰り返し、このうち最小誤差を有する繰り返し分を分析に利用した。
同位体の濃縮度のモデル。各画素のスペクトルを解析することにより、個々の脂質種を、既存の脂質および新たに合成した脂質をそれぞれ反映する2つの群(非標識および2H標識)に分類した。非標識の脂質を、化学式および重同位体の自然に存在する分布(図13のF1)により特定される同位体パターンを有するものとしてモデル化した;Hで標識された脂質を、H濃縮水(図13のF2)からの代謝性の取込みを起因とする重水素同位体(Hに置き換わるH)の量の増加により調節された同位体パターンを有するものとしてモデル化した。ここで、調節は(i)濃縮した体内水分において測定された重水素の量である、原子%のH(D)および(ii)水由来の新たに合成した脂質に取り込まれ得る重水素原子の最大数N[65]より特定される。最終的な測定スペクトルは、検出した脂質からのH標識の同位体パターンと非標識の同位体パターンとの複合体であった(図13の「測定」)。
図24に例示のSPIF手法を用いて、分子流動速度を特定した。任意の元素同位体組成の同位体の存在量をユーザが指定する、高速フーリエ変換に基づく方法[78、79]を用いて、モデル同位体パターンを生成した。それから、Matlab 2011bに実現されるフィッティングアルゴリズムが、‖F・x−M‖においてxを最小化(式中、x≧0、Fはモデルパターンのスペクトルのマトリックス、Mは測定スペクトルの任意の位置におけるベクトル)するという非負最小二乗フィッティングを用いて、モデル(つまり45個の非標識のパターンおよび45個のH標識のパターン)において該モデルと測定スペクトルとの間の差異を最小化する係数xを、各項F1およびF2について求める[80]。各画素スペクトルについて、新たに合成した種の相対的な画分の算出にこのモデルを使用できる。
図9に要約するように、コリンリン脂質への重水素の取込みは、脂肪酸合成酵素(FAS)による脂肪酸鎖の合成中に発生し、鎖延長反応および不飽和化反応がNの値を増加または減少させる[64]。新規の脂質生合成の間、水素分子は、既に種々の代謝経路を系由してOから濃縮された代謝性の前駆物質から抽出され、Hの代わりにHを体内水分におけるH/H比率に比例して成長脂肪酸鎖上に与える[81]。理論上は、C−16飽和脂肪酸鎖(パルミテート)上のHの最大数はN=31であるが、生体内で測定された実験値は、典型的には組織の型および他の生物学的な検討事項に応じて低くなる[34]。これらの以前報告された値および実験結果に基づいて、我々のモデルは、D=4.5原子%およびN=21をパルミテート合成について用い、N±3d(dはC−16より上または下の増分2−C単位の数)で鎖延長または不飽和化を説明した[65]。ヘテロ原子と結合した水素原子は不安定であり、したがって試料の生化学処理において天然の存在量におけるHと交換され、Nの算出においては考慮されない。
Nの値の検証。各脂質について選択したNの値を評価するために、交互に現れるNの値を用いて同位体の濃縮度モデルも実現した。Nの値(図14)を±50%変化させるかまたは±15%拡大させることにより、値の範囲にわたってフィッティングの質を検証した。上位5番目以内のパーセンタイルの総強度を有する画素のスペクトルを、同位体の濃縮度モデルの非負最小二乗フィッティングによりモデル化した。図14における点より、最小誤差の平均は、我々がNについて選択した値から5%または水素原子2個分であることが分かる。
(結果)
インビボの組織への重水素の生合成取り込み:重水素で標識された組織の生成および画像化のためのkMSI作業の流れを、図8にまとめる。簡単に述べると、重水素化した水(O)の担癌のマウスへの投与により、組織脂質への重水素(H)の生合成取込みのための既知の経路が得られた(図8A)。活発な代謝経路を経由して、新たに合成した脂質は重水素で同位体標識されたが、既存の脂質は非標識のままであった(図9)。重水素を濃縮した組織切片を直接NIMS画像化することにより、多様な脂質について、各位置に独特の質量スペクトルを生成した(図8B)[9、23]。各スペクトルは任意のO濃縮度を有する非標識の分子およびH標識の分子からのアイソトポローグの組み合わせなので、その後スペクトルを解析して、組織全体の各部位における特定の非標識の脂質および特定の新たに合成した脂質を同定および定量化することができた(図8D)。これにより、標識露出期間中の新たに合成した脂質の相対量を、総脂質の画分として特定することができた。該相対量はその後、空間的に特質的な組織形態および細胞の亜集団を含む、静的な病理組織診断に基づく発見と相関させることができた(図8C)。
重水素処理されたマウスから溶媒抽出した組織から生成した質量スペクトルと未処理マウスから溶媒抽出した組織から生成した質量スペクトルとを、液体クロマトグラフィ質量分析(LC/MS)およびNIMSを用いて比較することにより、Hの同位体の組織への取込みを確認した。対照の非標識マウスから得たスペクトルにおける同位体パターンは、自然に存在する同位体と一致していた;これとは対照的に、重水素処理されたマウスから得た同位体パターンは、H標識の代謝産物および非標識の代謝産物の両方から成っていた(図15)。このことは、発生頻度の視覚的な観察から明らかである。該観察において、M1アイソトポローグの強度は、M0アイソトポローグの(モノアイソトピックな質量)強度よりも高い[57]。質量分析には典型的なことであるが、スペクトルパターンは分子構成についての情報を伝達する;しかしながら、組織もまた同位体で標識されている場合には、代謝合成率もまたスペクトルパターンに埋め込まれていた[58]。
脂質の重水素濃縮:質量スペクトルを分析して、重水素を濃縮した腫瘍組織において検出した分子を同定した。NIMS分析およびLC/MS分析により、750〜846m/zの質量範囲に(イオン強度による測定で)豊富なイオンが検出されたことが明らかになった。厳密な質量およびLC/MS/MS断片化スペクトルに基づいて、これらの分子が主としてコリンリン脂質のプロトン化した[M+H]付加物から構成されることを同定した(上記表2を参照)。NIMSおよびマトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)のいずれかを用いたリン脂質の検出は、イオン化特性および脱離特性に優れることから、十分に確立されており[23、59〜61]、また、細胞膜の主成分であることから、リン脂質は生物組織内に自然に高い存在量で存在する[62]。特に、ここで分析する組織である腫瘍において、コリン脂質は非常に上方調節されており、腫瘍代謝および悪性度の病理学に関与する[63]。
同位体の濃縮度のモデルの検証:コリンリン脂質に基づき、スペクトルパターンへの適用により各脂質について組成および新たな合成の両方を定量化するための、同位体の濃縮度モデルを開発した。該モデルの完全な記載は補足文書に記載するが、ここで簡単にまとめる。図9に示すように、脂肪酸鎖の合成中に重水素がコリンリン脂質に取り込まれ、重水素を濃縮した水は、Hの代わりにHを成長脂肪酸鎖上に寄与するとともに、質量分析により検出されたアイソトポローグ分布パターンを変調する[64]。水由来でありかつ16−炭素飽和脂肪酸鎖(パルミテート)上でHを置換可能なHの理論上の最大数(N)はN=31であるが、生体内で測定された実験値は、典型的には組織型および他の生物学的な検討事項に応じてこれよりも低くなる[34]。以前報告された値および実験結果に基づいて、我々のモデルは、N=21をパルミテート合成に使用し、N±3d(式中、dは16炭素鎖長より大きいかまたは小さい増分2−炭素単位の数)で各リン脂質の脂肪酸鎖の鎖延長または不飽和化を説明する[65]。また、キャビティリングダウン分光法を用いて、体内水分を4.5原子%Hと測定し(下記の表3を参照)、これにより、Dの値を算出することができ、新たに標識された分子の合成中に置換性Hの画分がHで実際に置換された。
これらのN(上記表2を参照)およびDの値は、スペクトルを解析したり、個々の脂質種を既存の脂質および新たに合成した脂質をそれぞれ反映する2つの群(非標識およびH標識)に分離したりすることに用いられた。我々のモデルを検証し、選択されたパラメータ(上記表3を参照)がH標識の脂質と非標識の脂質とを区別できることを証明した。この結果、対象とする腫瘍におけるH標識の脂質の画分はほぼゼロ(ノイズの範囲内)と定量化され、重水素処理された腫瘍における各脂質はH標識のアイソトポローグにおいて濃縮されたことが分かった(図19および図20)。
同位体的に濃縮した腫瘍脂質の質量分析画像化:スペクトルパターンの変化が、腫瘍のサブ領域における生合成速度の空間的区別にも使用され得るかどうかを検討するために、このモデルを腫瘍切片の質量分析画像化から得られたスペクトルに適用した。薄い腫瘍切片を直接NIMS画像化に供することにより、増分50μmで各部位について個別の質量スペクトルを生成した。スペクトルにより、788〜884m/zの質量範囲に(イオン強度による測定で)豊富なイオンが検出されたことが明らかになった。質量分析画像化においては典型的であるが、組織を直接画像化することにより、コリンリン脂質のカリウム付加物[M+K]が検出された;これらは、腫瘍抽出液において既に同定したコリンリン脂質のプロトン化した種[M+H]に対応していた[66]。腫瘍抽出液から得たスペクトルと匹敵するが、対照腫瘍から得た画像化スペクトルは天然の同位体の存在量を表示した一方、標識された腫瘍から得たスペクトルはH標識の種および非標識の種の複合スペクトルを表示した。
脂質流量の異種混合の分布:既存の脂質との対比における新たに合成した脂質:既存の脂質と対比して、新たに合成した脂質の空間分布を視覚化するために、我々の同位体の濃縮度モデルを使用して、各脂質種について強度画像(H標識および非標識)を生成した(図19および図20)。最も豊富に存在する脂質の一部を、重水素を濃縮した腫瘍について図10に示す。興味深いことに、新たに合成した脂質の空間分布は、既存の脂質の空間的分布に対応していなかった。一部の新たに合成した脂質は特定の領域に局在していたが、他の脂質は全体的な周辺部により集中分布していた。このような流量の領域の脂質特異的ばらつきは、活発な代謝工程が領域に特異的であり、細胞の亜集団または腫瘍環境の他の特徴に対応し得ることを証明している。
kMSIスペクトルを用いた腫瘍のサブ領域の同定:脂質組成および代謝合成の両方に基づいて腫瘍のサブ領域を同定するために、K平均分析を腫瘍画像の各画素に適用した。この分析により、画素をスペクトルの類似性に基づいて9つの特徴的パターンに分類した[67]。各パターンを含む画素の画像および平均スペクトルは、空間的に群がる傾向があった(図11Aおよび図11C;図16および図17)。スペクトルパターンおよび空間分布に基づいて、3つの領域が腫瘍生物学に関係のない人工物として同定された(IXはNIMS背景イオン;VIIおよびVIIIは区分化に用いられる包理剤)一方、残りの6つの領域は内因性腫瘍リン脂質の検出に帰せられた。図11Aにおける重ね合せ画像は、各領域の相対空間分布を示している。領域I〜IIIは空間的に明確な領域に局在するのに対し、領域IV〜VIは重複して腫瘍の周辺部全体に分散して見える。
腫瘍のサブ領域における脂質の流量と病理組織診断染色との相関関係:K平均領域が生理学的差異に対応しているかどうかを特定するために、H&E連続切片に対してブラインド病理組織診断検査を行った(図21〜図23)。H&E染色において、腫瘍小葉の2つが、悪性度と関連する異常な組織構造および核多形性によってはっきりと特徴づけられた(図11B、H&EのIおよびII)。空間的には、これらはK平均領域IおよびIIに対応する。さらに、これらの2つの領域は、観察された細胞の腺への分化度、多形性か単一形か、および細胞サイズの範囲に基づいて、形態学的にお互いから区別され、領域IIは領域Iに比べてより高悪性の組織学的特徴を示していた。
細胞サイクルにおけるG0を除く全ての段階に存在する核マーカーである、Ki−67に対応するもう1つの株により、これらの領域における細胞増殖を測定することができた[68]。分析の結果、これらの領域の両方において高速度の細胞増殖が示され、領域IIが領域Iよりも高速度であった(図11B、Ki−67のIおよびII)。また、領域IIでは新たに合成した脂質の分画の量が最も多かった(図18C)。腫瘍の壊死領域もまたH&E染色において同定され、新たな合成のレベルが最も低かった領域である、領域IIIに対応していた(図11B;図18Bおよび図18C)。H&E染色との関わりで腫瘍形成性の観点から領域IV〜VIを特徴付けることは難しいが、脂質組成の変化は明らかに質量分析画像化の分析に反映されている。このことは、領域IV〜VIが互いの間に散りばめられている複数の細胞亜集団からなる可能性を示唆しており、この動態組織構造手法より、各亜集団を区別するための機構が得られる可能性がある。
(考察)
各K平均領域(図11A)について個々の脂質の合成(図10)を調べることにより、更なる洞察が得られた。最も豊富に存在することが同定されたリン脂質の一部は、飽和脂肪酸(SFA)および一価不飽和脂肪酸(MUFA)を含有するものであり、PC(34:0)、PC(34:1)およびPC(36:1)を含んでいた。これらの脂肪酸の合成は、典型的には侵襲性の高い腫瘍において上方調節され、そこではSFAが新規の脂質生合成の初期生成物であり、MUFAへの変換がたった1回の不飽和化反応で起こる[69]。SFAのMUFAに対するバランスは腫瘍細胞の生存にとって非常に重要なものとされる。なぜなら、このバランスが変化すると、癌細胞が生存できないためである[70]。SFAおよびMUFAを含有するリン脂質の合成は、腫瘍内に異種混合で発生した。最も高いレベルのPC(34:0)がK平均領域Iと関連したのに対し、PC(34:1)およびPC(36:1)は領域IV〜VIにおける腫瘍の周辺部全体まで分散していた。さらに、腫瘍内で同定された最も高悪性の領域であるK平均領域IIは、これらの脂質の多くを最小限の量しか含まなかったが、PC(36:3)においては極めて豊富であり、主にこの領域において、2つの脂質種PC(38:3)およびPC(38:4)が新たに合成された。これらの結果は、ともに高悪性の領域である領域Iおよび領域IIが、生存のために交互の代謝経路に依存する離散的な細胞亜集団からなる可能性があるということを示唆している。さらに、高多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含有するリン脂質合成は、SFAおよびMUFAが見られる領域Iおよび領域IIに概ね局在してはいなかった。このことは、脂質の不飽和化が領域に特異的であることを示唆している。この理由としては、脂肪酸合成酵素(FAS)およびデサチュラーゼ酵素のが、細胞集団間または食事脂肪酸の取り込みレベル間で相違する点が考えられる。具体的には、6つの不飽和結合を含有するPC(38:6)および7つの不飽和結合を含有するPC(38:7)の新たな合成は、領域IV〜領域VIにおける腫瘍の周辺部全体に見られる(図10)。PUFAは膜の流動性および構造を変化させるが、これは細胞の機能および応答の全体を修正する組成変化である[53]。さらに、PUFAは脂質過酸化反応の影響を受けやすく、かつ腫瘍細胞内での細胞傷害性酸化ストレスを増加させることから、PUFAが特定の癌細胞株に対して特に毒性を有することが示されている[71、72]。このことは、腫瘍内のPUFAの空間分布が、多様な代謝特性および悪性度レベルを持つさらなる細胞亜集団に対応する可能性を示唆している。
これらの結果より、kMSIが、代謝的に特質的な組織領域を区別する動態画像を生成できることが分かる。この場合、新規の脂質生合成およびリン脂質組成における差異が、腫瘍における病理組織学的に特質的な領域に対応することが見いだされた。これらの観察結果は、遺伝学および物質代謝の観点で細胞亜集団間における腫瘍内異種混合性を示す最近の研究と一致しており、これらの差異のため、種々の治療手法が必要になる[37、73〜77]。Oの形で重水素を投与することは臨床環境において既に一般的に適用されているため[62]、組織内の動的な代謝工程のkMSI画像は、既存の病理組織診断技術を補足することができ、生理学、疾患および発達の理解に幅広く役立ち得る。
〔実施例6:NIMSまたは他の質量分析画像化を用いて得られた、溶媒抽出した組織の動態画像〕
種々のマウス由来の種々の組織型の画像化により、異なる組織間および異なる個人の健康状態の間で代謝流量パターンが異なることが示されている。同位体異性体の存在量のパターンの画像化能力を判定して同一マウス由来の複数の組織からの流量の特定能力を判定するため、ならびにこれらを異なるマウスの同じ組織と比較するため、5%のOを5日間与えられた腫瘍を有する成体マウス由来の解剖された組織を、3:3:2(MeOH:IPA:HO)溶媒に抽出し、その後ケイ素NIMSチップに滴下し、NIMSで画像化した(図5)。各画素について、多数の代謝産物が観察された(図26Aおよび図26B)。図5のパネル5A〜5Dに見られるように、投与から5日後に観察されたOの相対的な流量は、代謝産物に対応する各m/z値において、組織型ごとに異なる(このことは、異なる組織間におけるM0対M1比率を見れば、視覚的に明らかである)。サブミクロン脂質流量を分析することが必要である場合には、TOF−SIMSを用いて重水素の炭化水素断片への取込みを検出することができる。
〔その他の参考文献〕
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Claims (37)

  1. 試料のインサイチュの代謝流動速度を表す出力を生成する方法であって、
    上記試料は、1つ以上の同位体で標識された前駆物質を投与された個体から得られ、上記個体には1つ以上の同位体標識が当該個体に取り込まれるのに十分な時間投与されており、
    a)上記試料の第1の部位における1つ以上の対象分子における1つ以上の同位体標識の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する工程と、
    b)上記試料の第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する工程と、を包含しており、
    上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、
    上記第1の部位と上記第2の部位とは既知の空間的関係を有しており、
    上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みは、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みとは独立しており、かつ
    c)上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の分子流動速度と、上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係に関する情報と、を出力する工程を包含する、方法。
  2. 上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の分子流動速度を出力する前に、上記1つ以上の分子流動速度を上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対してマッピングする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 上記第1の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度が上記第2の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度と同じである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記第1の部位における少なくとも1つ以上の上記分子流動速度が上記第2の部位における1つ以上の上記分子流動速度とは異なる、請求項1または2に記載の方法。
  5. 上記同位体標識は、H、13C、15N、18O、33S、および34Sからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 上記同位体標識はHである、請求項5に記載の方法。
  7. 上記同位体で標識された前駆物質は、同位体で標識されたHO、同位体で標識されたCO、同位体で標識されたNH、同位体で標識されたグルコース、同位体で標識された乳酸、および同位体で標識されたHCOからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  8. 上記同位体で標識された前駆物質は、O、H 18O、13CO、C1817O、H16CO15NHH標識されたアミノ酸、13C標識されたアミノ酸、15N標識されたアミノ酸、18O標識されたアミノ酸、34S標識されたアミノ酸、および33S標識されたアミノ酸からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  9. 上記同位体で標識された前駆物質はOである、請求項8に記載の方法。
  10. 上記試料は上記同位体で標識された前駆物質が経口的に投与された個体から得られる、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 上記個体はヒトである、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 上記試料は尿、血液、または糞便である、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子の1つ以上の分子流動速度を測定する工程では、質量同位体異性体分布分析(mass isotopomer distribution analysis(MIDA))またはスペクトルパターン同位体フィッター(spectral pattern isotope fitter(SPIF))分析を用いる、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 上記1つ以上の分子流動速度は、画像、ヒートマップ、等高線図、表、またはデータベースの形式で出力される、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 上記出力は2次元または3次元の出力である、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係は、距離、細胞、または細胞区画に基づくものである、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 試料のインサイチュの代謝流動速度を表す出力を生成する方法であって、
    a)細胞、組織、または生体における1つ以上の対象分子に1つ以上の同位体標識が取り込まれるのに十分な時間をかけて、上記細胞、組織、または生体に同位体で標識された1つ以上の安定な前駆物質を投与する工程と、
    b)上記細胞、組織、または生体から試料を得る工程と、
    c)上記試料から病理組織診断用スライドを準備する工程と、
    d)上記病理組織診断用スライドをエネルギー誘導揮発システムに供する工程と、を包含しており、
    上記エネルギー誘導揮発システムは、上記試料の第1の部位および第2の部位において、上記試料を横断走査する、集束されたエネルギービームを放射して、一連の離散的なパケットまたはイオンの連続フローを作成し、
    上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、
    上記第1の部位と上記第2の部位とは既知の空間的関係を有しており、
    上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の相対的な取込みおよび絶対的な取込みは、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みとは独立しており、
    e)上記第1の部位および上記第2の部位の上記イオンをそれぞれ質量分析のために質量分析器に向ける工程と、
    f)上記1つ以上の対象分子からのイオンの同位体異性体エンベロープ内の質量同位体異性体の相対的な存在量および絶対的な存在量を、上記第1の部位および上記第2の部位においてそれぞれ測定する工程と、
    g)各同位体異性体エンベロープ内の質量同位体異性体の上記相対的な存在量および上記絶対的な存在量と上記質量同位体異性体の天然の存在量とを比較して、上記1つ以上の対象分子の分子構造を同定する工程と、
    h)対象の各分子の各同位体異性体エンベロープに対する質量同位体異性体のパターンの変化または相対的な存在量に基づいて、上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を算出する工程と、
    i)上記1つ以上の分子流動速度を上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対してマッピングする工程と、を包含する、方法。
  18. 上記1つ以上の代謝流量を画像として表示する工程をさらに含み、上記画像は第1の部位と第2の部位とを有しており、
    上記画像の上記第1の部位は、上記試料の上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数、またはそれらの組み合わせを有しており、
    上記画像の上記第2の部位は、上記試料の上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数を有する、請求項17に記載の方法。
  19. 上記1つ以上の同位体標識は、H、13C、15N、18O、33S、および34Sからなる群から選択される、請求項17または18に記載の方法。
  20. 上記1つ以上の同位体で標識された前駆物質は、同位体で標識されたHO、同位体で標識されたCO、同位体で標識されたNH、同位体で標識されたグルコース、同位体で標識された乳酸、および同位体で標識されたHCOからなる群から選択される、請求項17または18に記載の方法。
  21. 上記1つ以上の同位体で標識された前駆物質は、O、H 18O、13CO、C1817O、H16CO15NHH標識されたアミノ酸、13C標識されたアミノ酸、15N標識されたアミノ酸、18O標識されたアミノ酸、34S標識されたアミノ酸、および33S標識されたアミノ酸からなる群から選択される、請求項17または18に記載の方法。
  22. 上記集束されたエネルギービームはレーザ光線である、請求項17から21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 上記エネルギー誘導揮発システムは、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、二次イオン質量分析(SIMS)、レーザ脱離、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、プローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)、レーザスプレー、およびレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)からなる群から選択される、請求項17から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 上記第1の部位および上記第2の部位の上記イオンは、質量分析のために機器様式によってそれぞれ質量分析器に向けられ、
    上記機器様式は、飛行時間(TOF)、Orbitrap、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、およびタンデム質量分光計(MS/MS)からなる群から選択される、請求項17から23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 請求項1から24のいずれか1項に記載にしたがって生成された出力。
  26. 組織標本の描写であって、
    上記組織標本の第1の部位を包含しており、
    上記第1の部位は、上記第1の部位における1つ以上の対象分子の1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数、またはそれらの組み合わせを有しており、
    上記組織標本の第2の部位を包含しており、
    上記第2の部位は、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子の1つ以上の分子流動速度を表す、パターン、色、数を有しており、
    上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、
    上記第1の部位と上記第2の部位とは、既知の空間的関係を有する描写。
  27. 上記描写は、画像、ヒートマップ、等高線図、表、またはデータベースの形式で出力される、請求項26に記載の描写。
  28. 上記描写は2次元または3次元の描写である、請求項26または27に記載の描写。
  29. 上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係は、距離、細胞、または細胞区画に基づくものである、請求項26から28のいずれか1項に記載の描写。
  30. 上記第1の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度が上記第2の部位における少なくとも1つ以上の分子流動速度と同じである、請求項26から29のいずれか1項に記載の描写。
  31. 上記第1の部位における少なくとも1つ以上の上記分子流動速度が上記第2の部位における1つ以上の上記分子流動速度とは異なる、請求項26から30のいずれか1項に記載の描写。
  32. 試料中の1つ以上の対象分子のインサイチュの1つ以上の代謝流動速度を測定し、上記試料の第1の部位および第2の部位に対して上記1つ以上の代謝流動速度を空間的にマッピングするシステムであって、
    上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位において、上記試料を横断走査する、集束されたエネルギービームを放射して、一連の離散的なパケットまたはイオンの連続フローを作成するよう構成されているエネルギー誘導揮発システムと、
    上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位におけるそれぞれの上記イオンの質量分析に基づいて、上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位において質量分析データをそれぞれ生成するよう構成されている質量分析器と、
    上記質量分析データに基づいて1つ以上の分子流動速度をそれぞれ算出し、上記1つ以上の代謝流動速度を上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対してマッピングするよう構成されている処理装置と、を備えるシステム。
  33. 上記エネルギー誘導揮発システムは、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)、ナノ粒子発動因子質量分析(NIMS)、二次イオン質量分析(SIMS)、レーザ脱離、脱離エレクトロスプレーイオン化(DESI)、プローブエレクトロスプレーイオン化(PESI)、レーザスプレー、およびレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)からなる群から選択される、請求項32に記載のシステム。
  34. 各部位で上記質量分析器に対して上記イオンをそれぞれ向けるよう構成されている機器様式をさらに備える、請求項32または33に記載のシステム。
  35. 上記機器様式は、飛行時間(TOF)、Orbitrap、フーリエ変換イオンサイクロトロン(FTIR)、磁気セクタ、4重極、およびタンデム質量分光計(MS/MS)からなる群から選択される、請求項34に記載のシステム。
  36. 上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度を表示するよう構成されている表示システムをさらに備え、
    上記1つ以上の対象分子の上記1つ以上の分子流動速度は、上記試料の上記第1の部位および上記第2の部位に対応する、請求項32から35のいずれか1項に記載のシステム。
  37. 試料中の1つ以上の対象分子の1つ以上の分子流動速度を測定するためのコンピュータ実行可能な指示が記録されている一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
    上記指示は、
    a)上記試料の第1の部位における1つ以上の対象分子における同位体で標識された前駆物質の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する指示と、
    b)上記試料の第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記同位体で標識された前駆物質の相対的な取込みおよび絶対的な取込みを分析することによって、上記試料の上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における1つ以上の分子流動速度を測定する指示と、を包含しており、
    上記第2の部位は上記第1の部位とは異なっており、
    上記第1の部位と上記第2の部位とは既知の空間的関係を有しており、
    上記第1の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みは、上記第2の部位における上記1つ以上の対象分子における上記1つ以上の同位体標識の上記相対的な取込みおよび上記絶対的な取込みとは独立しており、かつ
    c)上記第1の部位および上記第2の部位における上記1つ以上の分子流動速度と、上記第1の部位と上記第2の部位との間の上記既知の空間的関係に関する情報と、を出力する指示を包含する媒体。
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