JP4654592B2 - 代謝フラックスの決定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、代謝フラックスの決定方法、その決定方法を実施するためのプログラム、および、そのプログラムを格納した記憶媒体に関する。
代謝フラックス解析(metabolic flux analysis)は、フラックスバランス解析(flux balance analysis)とも呼ばれ、細胞内の生化学反応の化学量論モデルを構築し、線形最適化によって細胞内の代謝フラックス分布を推定する技術である。微生物における生化学反応系に備わっている能力の研究、あるいは、異なる外界条件における細胞内代謝フラックス分布の予測に用いられてきた(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。Escherichia coliに対しても、化学量論モデルが構築された例が報告されており(非特許文献4、非特許文献5)、アミノ酸生産に用いられているCorynebacterium glutamicumにおいては、リジン生産の代謝工学にこのような化学量論モデルを用いた例が知られている(非特許文献6)。これ以外にも、多数の理論的あるいは実験的な代謝フラックス解析の方法とその応用が報告されている(非特許文献7、非特許文献8、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。特許文献1には化学量論モデルに基づく生育に必要な遺伝子の予測方法が開示されており、特許文献2には、細胞に最適の機能(optimal function)を持たせる為の、細胞を遺伝的及び進化的に変化させる手法が開示されている。さらに、特許文献3には、化学量論モデルに、質的な動力学情報の制限、質的な制御情報の制限、あるいは異なる条件下でのDNAマイクロアレイ実験データによる制限の適用の方法について開示されている。いずれも、より望ましい細胞内の代謝フラックス分布を推定する方法ではあるが、例えば菌体量や生成物量という通常の分析法で容易に測定できる情報のみからモデル内のすべてのフラックスを予測する方法は開示されていない。
Varma, A. and Palsson, B. O. Appl. Environ. Microbiol. 60:3724-3731, 1994 Schilling, C. H. et al. Biotechnol. Prog. 15:288-295, 1999 Schilling, C. H. et al. Biotechnol. Prog. 15:296-303, 1999 Pramanik, J. and Keasling, J. D. Biotechnol. Bioeng. 56:398-421, 1997 Ibarra, R. U. et al. Nature. 420:186-189, 2002 Vallino, J. J. and Stephanopoulos, G. Biotechnol. Bioeng. 41:633-646, 1993 Wiechert, W. Journal of Biotechnology 94:37-63, 2002 Wiechert, W. Metabolic Engineering 3:195-205, 2001 国際公開第WO 00/46405号パンフレット 国際公開第WO 02/061115号パンフレット 国際公開第WO 02/055995号パンフレット
培養中の微生物や培地のサンプル分析により得られる最低限の分析情報から、すべての代謝フラックスを決定する方法、その決定方法を用いて、入力データの誤差を許容したときにすべての代謝フラックスが変動しうる範囲を求める方法、その決定方法を実施するためのプログラム、および、そのプログラムを格納した記録媒体を提供する。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討を行った結果、基質から生産する物質に至る代謝経路中の生化学反応式に基づいて生成された化学量論行列を用いて、当該化学量論行列式がとりうる解の空間を求め、培養中の微生物や培地のサンプル分析により得られた実験データのうち、入力データとして採用したデータに対応するベクトル要素が最大となるベクトルを解の空間内から探索し、それらの線形合成により、入力データに対応した解のベクトル(代謝フラックス分布)を求めることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1) 細胞の代謝フラックス分布を決定する方法であって、
1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する工程、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する工程、
3)算出された解のベクトル集合から、入力値が得られる物質について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルを選択する工程、
4)選択されたベクトルに対して、下記式による線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルを得る工程
を含むことを特徴とする前記方法。
Figure 0004654592
(2) 細胞の代謝フラックス分布を決定する方法であって、
1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する工程、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する工程、
3)算出された解のベクトル集合から、入力値が得られる物質について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトル、および、同ベクトル要素の値が、最大ベクトルにおける値に対して所定の範囲にあるベクトルを選択する工程、
4)選択されたベクトルのそれぞれに対して、下記式による線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルの集合を得る工程
5)ベクトルの集合におけるベクトル要素の値の分布に基づいてフラックスを決定する工程
を含むことを特徴とする前記方法。
Figure 0004654592
(3) 化学量論行列がとりうる解の空間を算出し、とりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する工程が、エレメンタリーモードによる計算により行われる(1)または(2)の方法。
(4) 入力値が得られる物質が二酸化炭素を含む(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5) 入力値が得られる物質が、目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物であり、線形合成が下記式により行われる請求項4に記載の方法。
Figure 0004654592
(6)細胞の代謝フラックス分布を決定するプログラムであって、
1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する手順、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する手順、
3)算出された解のベクトル集合から、入力値が得られる物質について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルを選択する手順、
4)選択されたベクトルに対して、下記式による線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルを得る手順
を含む代謝フラックス分布決定方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
Figure 0004654592
(7) 細胞の代謝フラックス分布を決定するプログラムであって、
1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する手順、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する手順、
3)算出された解のベクトル集合から、入力値が得られる物質について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトル、および、同ベクトル要素の値が、最大ベクトルにおける値に対して所定の範囲にあるベクトルを選択する手順、
4)選択されたベクトルのそれぞれに対して、下記式による線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルの集合を得る手順、
5)ベクトルの集合におけるベクトル要素の値の分布に基づいてフラックスを決定する手順
を含む代謝フラックス分布決定方法をコンピューターに実施させるためのプログラム。
Figure 0004654592
(8) (6)または(7)のプログラムを記録したことを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体。
本発明の決定方法によれば、培養中の微生物や培地のサンプル分析により得られる最低限の分析情報から、すべての代謝フラックスを決定することができる。また、その決定方法を用いて、入力データの誤差を許容したときにすべての代謝フラックスが変動しうる範囲を求めることができる。アミノ酸、核酸に代表される微生物等の細胞を用いた物質生産において、目的生産物または菌体の収率や生産性を改善するために有効な、細胞の改変手法を予測するのに有用な代謝フラックスを容易に決定できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明の代謝フラックス決定方法
本発明の代謝フラックス決定方法は、細胞を用いた物質生産において一部の分析情報のみから代謝フラックスを決定する方法である。
本発明における代謝フラックスとは、細胞内の生化学反応の化学量論モデルと代謝物間の質量作用則から導かれる代謝反応速度(flux)を指す。代謝フラックス分布は、代謝フラックスの集合であり、代謝フラックスをベクトル要素とするベクトルにより表すことができる。
本発明における細胞は、物質生産に用いられるものであれば、どのようなものも対象となる。例えば、各種培養細胞、カビ、酵母、各種バクテリア等が挙げられる。好ましくは、有用化合物、例えばアミノ酸、核酸、または有機酸を産生する能力を保持する微生物である。アミノ酸、核酸、または有機酸の生産能を保持する微生物としては、例えば、大腸菌、バチルス属細菌、コリネ型細菌などが好適に用いられる。より好ましくは、アミノ酸生産能及び/又は有機酸生産能を保持する微生物である。
本発明の決定方法における第1の工程では、基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する。
生化学反応は、細胞内の代謝物が酵素反応によって細胞内で変換される過程を指し、多
くの生物に関して、データベース化されている。例えば、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)(http://www.genome.ad.jp/kegg/)を参照することが出来る。
基質とは、通常には、細胞が炭素源として使用する物質であり、その例としては、グルコース、シュークロース、フルクトース等が挙げられる。
生産する物質には、単一の代謝物だけでなく、菌体のような代謝物の集合体も含まれる。物質生産は、通常には、物質の生産速度として評価され、物質が菌体の場合には、特に菌体(biomass)収率として評価され得る。菌体収率とは、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質等の細胞構成成分に変換する効率を示す。化学量論行列とは、代謝フラックス解析に通常に用いられる行列であり、代謝フラックス解析における通常の方法により、基質から生成物質に至る生化学反応式を列挙して、化学量論マトリックスを生成することができる。これには細胞内代謝中間体の擬定常状態を仮定して行う方法が一般的に知られている(Savinell, J. M. and Palsson, B. O. J. Theor. Biol. 154:421-454, 1992; Vallino, J. J. and Stephanopoulos, G. Biotechnol. Bioeng. 41:633-646, 1993)。反応式を列挙する際には、分岐のない一連の反応を一つの反応として扱う、代謝速度の速い反応により変換される反応前後の代謝物を一つの代謝物として扱うなど、反応経路の簡略化を行ってもよい。生産する物質が菌体の場合には、細胞構成成分に至る生化学反応を列挙することによって化学量論行列を記述することができる。
本発明の決定方法の第2の工程では、前記化学量論行列より定義される解の空間内に存在する解のベクトルの集合を算出する。解の空間内に存在する特異的なベクトルの集合を解析する一手法としては、エレメンタリーモードの解析を用いることが出来る(Klamt S,
Shuster S, Gilles ED., Biotechnology and Bioengineering 77(7):734-51, 2002)。本手法以外にも解の空間内に存在する解を求める方法として、定義した化学量論行列の自由度と同数の独立な代謝フラックスを自由フラックスとして選択し、その制約条件内で統計解析に十分な数のランダムな組み合わせを生成し、生成した組み合わせのそれぞれから、前記化学量論行列に基づいて解を算出するというものがあげられる。
本発明の決定方法の第3の工程では、先の工程で算出された解のベクトル集合から、入力値が得られる物質について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルを選択する。
入力値は、測定可能なものであれば特に制限されないが、カーボンバランスに大きく関与するデータ、例えば、目的生産物生成速度や菌体生成速度、そして二酸化炭素排出速度の分析値等が好ましい。
入力値には、培養実験により得られた分析値から、細胞を用いた物質生産における理論的および/または経験的な知識に基づいて算出される値も含まれる。例えば、分析値として目的生産物生成速度および菌体生成速度が得られている場合、その細胞では、目的生産物と菌体の他のアウトプット炭素はほとんど二酸化炭素であるという知識があれば、これに基づき、基質消費速度、目的生産物生成速度および菌体生成速度から二酸化炭素排出速度を算出して入力値に含めることができる。
入力値は、物質の収支、特に炭素の収支を考慮して選択することが好ましい。これにより、代謝フラックス分布の決定の精度を上げることができる。炭素の収支に大きく関与するデータとしては、菌体生成速度、二酸化炭素排出速度などがある。
入力値が得られる物質に対応するベクトル要素とは、その物質の生成速度を表すベクトル要素を意味する。
選択されるベクトルは、入力値が得られる物質に対応するベクトル要素が最大となるものであり、入力値が得られる物質が、目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物の4つであれば、目的生産物に対応するベクトル要素が最大となるベクトル、菌体に対応するベクトル要素が最大となるベクトル、二酸化炭素に対応するベクトル要素が最大となるベクトル、および、副生成物に対応するベクトル要素が最大となるベクトルの4つのベクトルが選択される。
本発明の決定方法の第4の工程では、上記式(I)および(II)による線形合成を行うことにより代謝フラックス分布を示すベクトルを得る。
入力値と整合性をとるための係数(式(I)および(II)におけるp)とは、入力値が得られる物質に対応するベクトル要素を、その入力値と一致させるための係数で、通常には、入力値を対応するベクトル要素で除算した値に等しいが、細胞を用いた物質生産における理論的および/または経験的な知識に基づいて修正してもよい。この係数が必要ない場合は、p=1となる。
調整ベクトルは、必要により、全体を規格化するために用いられるベクトルである(必要でない場合は、式(I)および(II)においてbが0となる)。調整ベクトルは、細胞を用いた物質生産における理論的および/または経験的な知識に基づいて選択することが可能であるが、通常には、物質収支を規格化する観点から選択される。好ましくは、二酸化炭素排出に関連するベクトルを用いる。更に好ましくは、二酸化炭素の排出を最大にする最大ベクトルを用いる。この最大ベクトルは、単純に、取り込まれた基質がTCA回路により完全酸化されたとしたときのフラックスベクトルとして得られる。
調整ベクトルについても、細胞を用いた物質生産における理論的および/または経験的な知識に基づいて修正するために適切な係数(式(I)および(II)におけるq)を乗じてもよい。この係数が必要ない場合は、q=1となる。
上記式(I)および(II)は、入力値が得られる物質が、目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物であり、かつ調整ベクトルを用いない(すなわちb=0である)場合には、下記のように表すことができる。
Figure 0004654592
線形合成に用いるベクトルは基本的には最大ベクトルであるが、最大ベクトルに対して乖離許容範囲を設定することが可能で、その操作により代謝フラックスベクトルの変動範囲を計算することができる。すなわち、第3の工程において、入力値が得られる物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルに加えて、同ベクトル要素の値が、最大ベクトルにおける値に対して所定の範囲内にあるベクトルを選択し、選択されたベクトルのそれぞれに対して、第4の工程と同様に線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルの集合を得、ベクトルの集合におけるベクトル要素の値の分布に基づいてフラックスを決定することもできる。
所定の範囲は、入力値の誤差に応じて適宜選択すればよく、例えば99%以上(乖離許容範囲1%)、96%以上(乖離許容範囲4%)が挙げられる。乖離許容範囲は、通常には、0〜10%程度であるが、好ましくは0〜5%程度である。
本発明の決定方法における数学的処理は、個々にプログラムすることも可能であるが、MatLab(MathWorks)、Mathematica(Wolfram Research)等の数学計算プログラムを使用することで容易に実施可能である。
<2>本発明のプログラム
本発明のプログラムは、細胞の代謝フラックス分布を決定するプログラムであって、
1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する手順、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する手順、
3)算出された解のベクトル集合から、入力値が得られる物質について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となるベクトルを選択する手順、
4)選択されたベクトルに対して、上記式(I)および(II)による線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルを得る手順
を含む代謝フラックス分布決定方法をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
本発明のプログラムのフローチャートを図5に示す。各手順は、本発明の決定方法の第1〜第4の工程を行う手順であり、その手順をコンピューターに実行させるプログラムは、通常のプログラム化の方法に従って作成することができる。
本発明のプログラムにおいては、第3の手順において、入力値が得られる物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルに加えて、同ベクトル要素の値が、最大ベクトルにおける値に対して所定の範囲内にあるベクトルを選択し、選択されたベクトルのそれぞれに対して、第4の手順と同様に線形合成を行い、代謝フラックス分布を示すベクトルの集合を得、ベクトルの集合におけるベクトル要素の値の分布に基づいてフラックスを決定することもできる。この場合のフローチャートを図6に示す。
また、本発明にかかるプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」は、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」や、各種コンピュータシステムに内蔵されるROM、RAM、HD等の任意の「固定用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」は、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読みとるための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明する。
参考例1
(1)代謝フラックス解析モデルの構築
細胞内代謝中間体の擬定常状態を仮定して、代謝フラックスを計算する化学量論式を構築した(Savinell and Palsson, Journal of Theoretical Biology 154, 421-454, 1992; Vallino and Stephanopoulos, Biotechnology and Bioengineering 41, 633-646, 1993)。このモデルに含まれる反応式は、第2表に示した通りであり、各略号の説明については第1表に記載する。分岐のないいくつかの反応は、式を単純化するため一つにまとめた。ペントースリン酸経路は複雑なため、2つの式にまとめて表記した。バイオマスの構成比率については以前報告されているデータを使用した(Neidhardt et al., Physiology of the Bacterial Cell, 1990)。また、細胞内タンパク質のアミノ酸の構成比は、実際に細胞内タンパク質を加水分解して得たアミノ酸の濃度比より求めた。このモデルの化学量論行列は自由度が8であり、解を得るためには、糖消費速度のほかに7つのフラックスを決めなければならない。7つのフリーフラックスとして、次のものを定義した。菌体生成速度、リジン生産速度、酢酸生成速度、蟻酸生成速度、ICLフラックス、G6PDHフラックス、リンゴ酸酵素(Malic Enzyme)フラックスである。菌体生成速度および各種生成速度については、培養実験より結果を得た。そして、残りの3つのフラックスについては、アミノ酸などの同位体分布の測定値を元に最適化アルゴリズムにより決定した。また、構築したモデルは14の可逆反応を含む。その可逆性は、0から1の数値を取りうる交換係数として定義した(Dauner et al., Biotechnology and Bioengineering 76, 144-156, 2001; Wiechert and de Graaf, Biotechnology and Bioengineering 55, 101-117, 1997)。これらの交換係数もまた、先の3つのフリーフラックスと同様に同位体分布の測定値を元に決定する
変数である。解糖系、ペントースリン酸経路、TCAサイクルの隣り合う反応の可逆性は簡単のため等しいと仮定した。感度分析の結果、第2表の反応リスト中の反応9,28,29については、同位体分布に影響をほとんど与えないことが明らかとなったため、0と仮定した。以上より、決定しなければならない可逆反応は6つとなった。
モデル内のすべての物質のIDV(Isotopomer Distribution Vector)を計算するために、フリーフラックスと交換係数および基質のアイソトポマー分布の関数としてアイソトポマーバランス式を構築した。IDVという列ベクトルは、アイソトポマーの割合を表し、要素の合計は1となるものである(Schmidt et al., Biotechnology and Bioengineering 55, 831-840, 1997; Wittmann and Heinzle, Biotechnology and Bioengineering 62, 739-750, 1999)。アイソトポマーバランス式は、Schmitらにより詳細に説明されているアイソトポマーマッピングマトリックス(IMM)を用いて記述されている(Schmidt, et al., Biotechnology and Bioengineering 55, 831-840, 1997)。アトムマッピングマトリックス(AMM)は、反応物から生成物への炭素原子の移動を表記した行列で、これを元に、数値計算ソフトであるMATLAB(The MathWorks, Natick, MA)を用いて、反応物から生成物へのアイソトポマーの移動を表記する行列であるアイソトポマーマッピングマトリックス(IMM)を計算する。
アイソトポマーのバランス式は、フリーフラックスと交換係数を入力としてGause-Seidelの繰り返し法を用いて解くことができる。
グルコースの消費に加えて、微生物細胞は二酸化炭素を取り込み、生育の途中で酢酸を消費する。二酸化炭素は、同位体標識グルコースの代謝からも発生するため何割かは13C-二酸化炭素である。この割合は、二酸化炭素を発生するすべての反応を考慮した二酸化炭素のバランス式により計算された。正確な値は細胞内代謝フラックス分布に依存して異なるが、概して32%程度であった。この計算をするにあたり、大気中からの二酸化炭素を消費することはないと仮定した。なぜならば、細胞が同位体標識グルコースを消費して発生した二酸化炭素の濃度は非常に高く(実験では、排出二酸化炭素の濃度は、4〜5%に及んだ)、発酵槽中の二酸化炭素分圧はすべて細胞が排出した二酸化炭素と考えて差し支えないからである。
マススペクトロメトリーによる分析から各物質すべてのアイソトポマー分布を求めることはできないが、重量の分布は求めることができる。この情報は、重量分布ベクトル(MDV)として表すこととし、各要素は同じ重量からなるアイソトポマーを含んでいる(Wittman and Heinzle, Biotechnology and Bioengineering 62, 739-750, 1999)。従って、炭素数nの物質には、MDVの要素数はn+1個存在することとなる。MDVは、IDVから同じ重量の要素を合計して計算することができる。こうして計算されたMDVは、実験よりもとめたMDVと比較することにより、モデルの結果がどれだけ実験値とあっているかを評価することができる。
Figure 0004654592
Figure 0004654592
Figure 0004654592
Figure 0004654592
(2)天然に存在する炭素、水素、窒素、酸素、各原子の同位体による影響を補正
Heizleらの論文(Wittman and Heinzle, Biotechnology and Bioengineering 62, 739-750, 1999)に従い、プログラムを作成して全分析データに対して水素、窒素、酸素の自然同位体による影響の補正を実施した。
天然に存在する水素、炭素、窒素、酸素の同位体の比率はそれぞれ、1H=0.99985、2H=0.015、12C=0.98893、13C=0.01107、14N=0.99634、15N=0.00366、16O=0.99759、17O=0.00037、18O=0.00204として計算した。αを低質量同位体の存在比率、βを高質量同位体の存在比率とし(α+β=1を満たす)、ρniを対応する二項係数とすると、水素、炭素、窒素の自然同位体補正行列は以下のように記述できる。E1は物質名とする。
Figure 0004654592
また、酸素の自然同位体補正行列は以下のものを使用した。
Figure 0004654592
(3)代謝フラックス最適化
アイソトポマーのバランス式を用いてフリーフラックスと交換反応のフラックスを入力
値としてMDVを計算し、実験で得たMDVとの差の2乗和が最小となるように先に入力したフリーフラックスと交換反応のフラックスの値を進化的アルゴリズム(Stephani et al, Journal of theoretical Biology 199, 45-61, 1999)により最適化するというプログラムを構築した。最適化対象の変数は、ICL、Malic Enzyme、ペントースリン酸経路(G6PDH)のフラックス、6つの交換反応の値、および、タンパク質と細胞内アミノ酸プールとの交換反応を表すPexである。菌体収率、リジン収率については、入力値に対して20%のずれを許容するように設定した。これは、実験の際の測定誤差を加味するためである。計算時間を短縮するために、一般的な進化的アルゴリズムに対していくつかの変更を加えた。種々検討した結果、解の空間内で最小値を探索するには要素数が50000、世代数が200という設定が最適であることがわかったので、解析にはそれらの設定値を用いた。
(5)感度分析
フリーフラックスの信頼区間は、各測定値の分散だけでなくヤコビアン行列にも依存する。ヤコビアン行列とは、最適値付近でフリーフラックスが変化したときの各IDVの変化しやすさを表現するものである。各アミノ酸測定値の分散は3回の分析値から求めた。これらを元に、Mollneyら(Biotechnology and Bioengineering 66, 86-103)の方法に従って感度行列を計算した。
培養実験を実施する前に、ラベルグルコースの最適な混合比を見つけるために解析モデルの感度分析を実施した。使用ラベルグルコースは1-13C-GlcとU-13C-Glcに限定して計算した結果、それぞれ50%(mol%)ずつの混合比が最適であるという結果を得た。
(6)培養実験
後記の実施例1(3)に記載の菌株、プラスミド、種培地、主培地、及び、流加溶液を使用した。
LB寒天培地上にWYK050/pCAB1菌株溶液を塗布し、37℃で24時間静置培養した。その静置培養プレート2枚の細胞を種培地に植菌した。種培養は初糖を完全に消費した時点で終了とし、その培養液を主培地に植菌して主培養を行った。培養には1Lジャーファーメンターを使用した。同位体基質として、標識グルコースを使用した(1-13C-Glc:U-13C-Glc=5:5)。培養の初発液量は300mlで、温度、pHはそれぞれ37℃、6.7に制御した。pHの制御には、アンモニアガスを使用した。通気は、300ml/minに制御した。培養液の溶存酸素濃度は常に5%以上を維持するように撹拌数を適宜制御した。糖液(流加溶液)の流加は、培養17時間に開始した。流加速度は、培地の糖濃度が5g/L以下になるように適宜調節した。発酵サンプルの取得は、培養10時間目と培養25時間目に実施した。補正用に菌体タンパク質加水分解アミノ酸の測定を各サンプルで実施した。各アミノ酸の同位体分布測定は、LC-MSを用いて行った。
(7)代謝フラックス解析
上述した(6)の培養実験で得られた各アミノ酸の同位体分布比を用いて、前述の(3)の方法で代謝フラックスの計算を実施した。代謝フラックス最適化の際に使用した、菌体外のリジン生成速度および酢酸生成速度並びに菌体生成速度を糖消費速度で規格化した値を第3表に示す。
培養10時間と培養25時間目の解析の結果、得られた自由フラックスを第4表に、また培養10時間の自由フラックスデータを基に計算した代謝フラックス分布を図4に示す。
Figure 0004654592
Figure 0004654592
(1)化学量論マトリックスの生成
細胞内代謝中間体の擬定常状態を仮定して、代謝フラックスを計算する化学量論式を構築した(Savinell, J. M. and Palsson, B. O. J. Theor. Biol. 154:421-454, 1992; Vallino, J. J. and Stephanopoulos, G. Biotechnol. Bioeng. 41:633-646, 1993)。このモデルに含まれる反応式は、第6表に示した通りであり、各略号の説明については第5表に記載する。分岐のないいくつかの反応は、式を単純化するため一つにまとめた。菌体(biomass)の構成比率については報告されているデータを使用し(Neidhardt、F. C. et al.,
Physiology of the Bacterial Cell. Sinauer Associates, Massachusetts. 1990)、[68]の反応式を用いて表した。
Figure 0004654592
Figure 0004654592
Figure 0004654592
Figure 0004654592
Figure 0004654592
(2)エレメンタリーモードの計算
FluxAnalyzer(developed by Steffen Klamt, the Max-Planck-Institute of Dynamics
of Complex Technical Systems)を用いて、上記に示した化学量論式を入力し、そのモデルのエレメンタリーモードを解析した(Klamt et al. Bioinformatics 19(2):261-269,
2003)。得られたエレメンタリーモードは852であった。その中のリジン生成及び菌体生成を最大にするモードにおけるリジン生成及び菌体生成の値は、リジン生成が8.52mmol/10mmol-Glcで菌体生成が1.16g/10mmol-Glcであった。また、排出二酸化炭素を最大にするモードにおける排出二酸化炭素の値は、60mmol/10mmol-Glcであった。
(3)実験データを用いた代謝フラックス解析
培養実験には、以下に示す菌株および培地を使用した。
(a)大腸菌株とプラスミド
菌株:WYK050(Escherichia coli野生株W3110のS-(2-アミノエチル)システイン耐性かつリジン分解系遺伝子ldc及びcadA遺伝子欠損株(Kikuchi, Y. et al. J. Bacteriol. 179,
4486-4492, 1997))。
プラスミド:pCAB1(ベクターRSF1010にE. coli由来lysC、dapA、dapB 遺伝子を搭載)
培養には、WYK050にpCAB1を導入した菌株を使用した。
(b)培地
LB寒天培地:1.0%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキストラクト、1%NaCl、1.5%寒天。必要に応じてストレプトマイシンを20μg/ml添加した。
主培養培地:硫酸アンモニウム 16 g/L、リン酸二水素一カリウム 3 g/L、酵母抽出物 4g/L、硫酸鉄七水和物 10 mg/L、硫酸マンガン五水和物 10 mg/L、イソロイシン 400 mg/L、グルコース 40 g/L、硫酸マグネシウム七水和物 1 g/L。pHは、水酸化カリウムで7.0に調整した。必要に応じてストレプトマイシンを20μg/ml添加した。主培養培地は大腸菌の液体培養に使用した。
流加溶液:グルコース 500 g/L、硫酸アンモニウム 80 g/L
培養実験
LB寒天培地上にWYK050/pCAB1菌株溶液を塗布し、37℃で24時間静置培養した。その静置培養プレート2枚の細胞を種培地に植菌した。種培養は初糖を完全に消費した時点で終了とし、その培養液を主培地に植菌して主培養を行った。種培地および主培地の組成は同じであり、上記の主培養培地の通りである。培養には1Lジャーファーメンターを使用し、基質にはグルコースを使用した。培養の初発液量は300 mlで、温度、pHはそれぞれ37℃、6.7に制御した。pHの制御には、アンモニアガスを使用した。通気は、300 ml/minに制御した。培養液の溶存酸素濃度は常に5%以上を維持するように撹拌数を適宜制御した。糖液(流加溶液)の流加は、培養17時間に開始した。流加速度は、培地の糖濃度が5g/L以下になるように適宜調節した。発酵サンプルは適宜取得し、リジンの濃度についてはアミノ酸アナライザー(HITACHI L-8500)を使用して測定し、菌体量については620 nmの波長でODを測定した。各経時プロファイルを図1に示す。
培養の結果より、培養時間10時間のデータを用いて、代謝フラックスの計算を実施した。比増殖速度=0.364(g/10mmol-Glc)及びリジン生産速度=2.88(mmol/10mmol-Glc)、ならびに、アウトプットされる炭素が、菌体とリジン以外は二酸化炭素であるとしてこれらの値から計算される排出二酸化炭素=26.2(mmol/10mmol-Glc)という3つのデータを入力値とした。入力値を上記(2)で得られたベクトル要素の最大値で除算して求めた係数をそれぞれ対応する最大ベクトル(エレメンタリーモード)に乗じ、ベクトルの線形合成を行い、フラックスベクトルを計算した。この際に、線形合成に用いるベクトルの各最大ベクトルに対する乖離許容範囲を4%としてとりうるフラックスベクトルを計算した。すなわち、入力値に対応するフラックス(ベクトル要素)が最大になるベクトルにおけるその最大値に対して、同ベクトル要素の値が乖離許容範囲にあるベクトルのそれぞれを用いた場合についても線形合成を行ってフラックスベクトルを計算した。計算されたフラックスベクトルにおける各フラックスを分布として示した結果を図2に示す。グラフの横軸はフラックス、縦軸は出現頻度を示す。矢印は、参考例1に記載した方法で代謝フラックス解析をした結果である。さらに各最大ベクトルに対する乖離許容範囲を0%として計算をした結果を図3に示す。
本手法による計算結果は参考例1に示した同位体標識基質を用いた代謝フラックス解析結果と非常によく一致した。代謝モデルの構築に用いた反応式は、参考例1と、実施例1とで、一部が異なるが、これは、参考例1では、計算が煩雑になるのを避けるために、1
つの反応にまとめられる複数反応を簡略化して1つの反応として表記したからである。この簡略化により実質的な結果の相違が生じないことは確認されている。以上から、本手法により、菌体生成速度と目的生産物生成速度といった培養データのみからモデル内における代謝フラックス分布が計算可能であるということがわかった。
培養試験におけるリジン生成と菌体生成の経時プロファイルを示す。 乖離許容範囲が4%の代謝フラックス分布を示す。 乖離許容範囲が0%の代謝フラックス分布を示す。 培養10時間の自由フラックスデータを基に計算した代謝フラックス分布を示す。 本発明のプログラムの一態様のフローチャートを示す。 本発明のプログラムの他の態様のフローチャートを示す。

Claims (6)

  1. 細胞の代謝フラックス分布を決定する方法であって、
    1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する工程、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する工程、
    3)算出された解のベクトル集合から、前記細胞を用いる物質生産において入力値が得られる物質である目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルを選択する工程、
    4)選択されたベクトルに対して、下記式による線形合成を行うと共に、前記細胞を用いる物質生産で得られる入力値を用いて係数を決定し、代謝フラックス分布を示すベクトルを得る工程
    を含むことを特徴とする前記方法。
    Figure 0004654592
  2. 細胞の代謝フラックス分布を決定する方法であって、
    1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する工程、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する工程、
    3)算出された解のベクトル集合から、前記細胞を用いる物質生産において入力値が得られる物質である目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトル、および、同ベクトル要素の値が、最大ベクトルにおける値に対して所定の範囲にあるベクトルを選択する工程、
    4)選択されたベクトルのそれぞれに対して、下記式による線形合成を行うと共に、前記細胞を用いる物質生産で得られる入力値を用いて係数を決定し、代謝フラックス分布を示すベクトルの集合を得る工程
    5)ベクトルの集合におけるベクトル要素の値の分布に基づいてフラックスを決定する工程
    を含むことを特徴とする前記方法。
    Figure 0004654592
  3. 化学量論行列がとりうる解の空間を算出し、とりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する工程が、エレメンタリーモードによる計算により行われる請求項1または2記載の方法。
  4. 細胞の代謝フラックス分布を決定するプログラムであって、
    1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する手順、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する手順、
    3)算出された解のベクトル集合から、前記細胞を用いる物質生産において入力値が得られる物質である目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物について、それらの物質に対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトルを選択する手順、
    4)選択されたベクトルに対して、下記式による線形合成を行うと共に、前記細胞を用いる物質生産で得られる入力値を用いて係数を決定し、代謝フラックス分布を示すベクトルを得る手順
    を含む代謝フラックス分布決定方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。
    Figure 0004654592
  5. 細胞の代謝フラックス分布を決定するプログラムであって、
    1)基質から生産する物質に至る生化学反応式に基づいて化学量論行列を生成する手順、2)前記化学量論行列がとりうる解の空間内に存在する解のベクトル集合を算出する手順、
    3)算出された解のベクトル集合から、前記細胞を用いる物質生産において入力値が得られる物質である目的生産物、菌体、二酸化炭素および副生成物について、それらの物質が対応するベクトル要素が最大となる最大ベクトル、および、同ベクトル要素の値が、最大ベクトルにおける値に対して所定の範囲にあるベクトルを選択する手順、
    4)選択されたベクトルのそれぞれに対して、下記式による線形合成を行うと共に、前記細胞を用いる物質生産で得られる入力値を用いて係数を決定し、代謝フラックス分布を示すベクトルの集合を得る手順、
    5)ベクトルの集合におけるベクトル要素の値の分布に基づいてフラックスを決定する手順
    を含む代謝フラックス分布決定方法をコンピューターに実施させるためのプログラム。
    Figure 0004654592
  6. 請求項または記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピューター読み取り可能な記録媒体。
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