JP2001211782A - tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物 - Google Patents

tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物

Info

Publication number
JP2001211782A
JP2001211782A JP2000024878A JP2000024878A JP2001211782A JP 2001211782 A JP2001211782 A JP 2001211782A JP 2000024878 A JP2000024878 A JP 2000024878A JP 2000024878 A JP2000024878 A JP 2000024878A JP 2001211782 A JP2001211782 A JP 2001211782A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knockout
gene
human mammal
tob
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000024878A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomu Yoshida
富 吉田
Tetsuo Noda
哲生 野田
Masa Yamamoto
雅 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2000024878A priority Critical patent/JP2001211782A/ja
Priority to PCT/JP2000/005816 priority patent/WO2001056375A1/ja
Publication of JP2001211782A publication Critical patent/JP2001211782A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/85Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
    • C12N15/8509Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells for producing genetically modified animals, e.g. transgenic
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K67/00Rearing or breeding animals, not otherwise provided for; New breeds of animals
    • A01K67/027New breeds of vertebrates
    • A01K67/0275Genetically modified vertebrates, e.g. transgenic
    • A01K67/0276Knockout animals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4702Regulators; Modulating activity
    • C07K14/4703Inhibitors; Suppressors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2217/00Genetically modified animals
    • A01K2217/07Animals genetically altered by homologous recombination
    • A01K2217/075Animals genetically altered by homologous recombination inducing loss of function, i.e. knock out
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2227/00Animals characterised by species
    • A01K2227/10Mammal
    • A01K2227/105Murine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2267/00Animals characterised by purpose
    • A01K2267/03Animal model, e.g. for test or diseases
    • A01K2267/0331Animal model for proliferative diseases

Abstract

(57)【要約】 【課題】 tob遺伝子を不活性化したノックアウト哺
乳動物を作出し、該ノックアウト哺乳動物における腫瘍
の発生の有無を評価すること。 【解決手段】 tob遺伝子が不活性化されていて、腫
瘍を有することを特徴とする、ノックアウト非ヒト哺乳
動物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、tob遺伝子が不
活性化されているノックアウト非ヒト哺乳動物、より詳
細には、tob遺伝子が不活性化されていて、腫瘍を有
することを特徴とするノックアウト非ヒト哺乳動物に関
する。本発明はまた、上記ノックアウト非ヒト哺乳動物
の利用にも関する。
【0002】
【従来の技術】tob遺伝子は、tob(Matsuda,S.,
他、Oncogene, 12, 705-713(1996))、tob2(Ikema
tsu, N.,他、Oncogene, in press)、ANA/BTG3
(Yoshida,Y.,他、Oncogene, 16, 2687-2693;及びGueh
enneux F.,他、Leukemia, 11, 370-375(1997))、BT
G1(Rouault,J.P.,他、EMBO J.,11, 1663-1670(199
2))およびPC3/TIS21/BTG2(Bradbury,
A.,他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 88, 3353-3357(199
1);Fletcher,B.S.,他、J.Biol.Chem.,266,14511-14518
(1991);及びRouault,J.P.,他、Nature Genet.,14,482-
486(1996))から成る細胞増殖抑制遺伝子ファミリーの
一員である。これらの遺伝子産物は、NIH3T3細胞
で外来的に発現させた場合、細胞増殖を抑制することが
報告されている。さらに、PC3/TIS21/BTG
2の発現は、遺伝子毒性薬剤によるDNA損傷後におい
てp53に依存した様式で誘発されること、並びに、胚
性幹細胞(ES細胞)におけるPC3/TIS21/B
TG2の不活性化により、DNA損傷により誘発された
細胞周期停止に変化が生じることも判明している。
【0003】本発明者らはこれまでにtob遺伝子欠損
ノックアウトマウスを作製し、それを用いて研究を行っ
てきた結果、tob遺伝子の欠損により骨量の増加が生
じることが見出している。さらに、tob遺伝子欠損マ
ウスでは、骨吸収面、破骨細胞面の変動はなく、骨芽細
胞数を示す骨芽細胞面および骨形成速度が有意に増加し
ていた。これらの結果から、tob遺伝子欠損マウスに
おいては、骨芽細胞の増加に伴い、骨量が増加している
と考えられた。しかしながら、tob遺伝子による細胞
増殖阻害の機構並びに当該遺伝子の生物学的重要性は未
だ十分には解明されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、哺乳動物に
おけるtob遺伝子の機能を解析するために、tob遺
伝子を不活性化したノックアウト哺乳動物を作出し、該
ノックアウト哺乳動物における腫瘍の発生の有無を評価
することを解決すべき課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、tob遺伝子を不
活性化したノックアウトマウスの方が野生型より高頻度
に腫瘍が認められることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0006】即ち、本発明によれば、tob遺伝子が不
活性化されていて、腫瘍を有することを特徴とする、ノ
ックアウト非ヒト哺乳動物が提供される。本発明の一態
様によれば、腫瘍は肝臓、肺、リンパ節、皮膚又は皮下
組織、又は膵臓から選ばれる少なくとも1以上の部位に
存在する。本発明の一態様によれば、哺乳動物は、マウ
ス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、
ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシまたはサルから選ばれ
る哺乳動物であり、好ましくはマウス、ラット、モルモ
ット、ハムスターまたはウサギから選ばれる齧歯類動物
であり、特に好ましくはマウスである。本発明の一態様
によれば、腫瘍はtob遺伝子の不活性化により発生し
た腫瘍であることを特徴とする。
【0007】本発明の別の側面によれば、上記した本発
明のノックアウト非ヒト哺乳動物の細胞が提供される。
細胞は、好ましくは、胚性幹細胞、卵および精子からな
る群から選ばれる細胞である。本発明のさらに別の側面
によれば、上記した本発明のノックアウト非ヒト哺乳動
物の細胞の核が提供される。本発明のさらに別の側面に
よれば、上記した本発明の細胞を用いることを特徴とす
る、tob遺伝子が不活性化されているノックアウト非
ヒト哺乳動物の作出方法、並びに、上記した本発明の細
胞の核を用いることを特徴とする、tob遺伝子が不活
性化されているクローン非ヒト哺乳動物の作出方法、並
びにこれら作出方法により作出されるノックアウトまた
はクローン非ヒト哺乳動物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】I.用語の説明 本明細書で言う「ノックアウト非ヒト哺乳動物」とは、
内在性のtob遺伝子がノックアウト(不活性化)され
た哺乳動物であり、より具体的には内在性のtob遺伝
子の発現が部分的にもしくは完全に抑制されている哺乳
動物である。ノックアウト哺乳動物は、例えば相同組換
えを応用したポジティブネガティブセレクション法を用
いて作製することができる(米国特許第5,464,764号公
報、同5,487,992号公報、同5,627,059号公報、Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, Vol.86, 8932-8935, 1989、Natur
e, Vol.342,435-438, 1989など)。ノックアウト哺乳動
物の作製方法については本明細書中以下において詳細に
説明する。
【0009】本明細書で言う「非ヒト哺乳動物」とは、
例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウ
サギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシまたはサ
ルから選ばれる非ヒト哺乳動物であり、好ましくは、マ
ウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギか
ら選ばれる齧歯類動物であり、特に好ましくはマウスで
ある。
【0010】本明細書で言う「ノックアウト構築体」と
は、(1)tob遺伝子のDNA(エクソン配列、イン
トロン配列および/またはプロモーター配列)および
(2)ノックアウト構築体が導入される細胞においてノ
ックアウト構築体の存在を検出するのに用いられるマー
カー配列より構成される。ここで言う「マーカー配列」
とは、抗生物質耐性遺伝子のような細胞に検出可能な特
性を付与する蛋白質あるいは当該細胞では通常見られな
いアッセイ可能な酵素をコードする配列である。
【0011】ノックアウト構築体は細胞に挿入され、ネ
イティブDNA配列の転写を妨げるような位置にて、細
胞のゲノムDNAに組み込まれる。かかる挿入は、通
常、相同遺伝子組換えによって起こる(すなわち、ノッ
クアウト構築体が細胞に挿入され、該ノッタアウト構築
体が内因性tob遺伝子DNAの対応する位置に組み込
まれるように組換えられた場合、内因性tob遺伝子D
NA配列に相同なノックアウト構築体の領域は相互にハ
イブリダイズする)。ノックアウト構築体の核酸配列
は、1)tob遺伝子の1以上のエクソンおよび/また
はイントロンの全長もしくは部分的配列、2)tob遺
伝子の全長もしくは部分的プロモーター配列、または
3)それらの組合せよりなるものであってよい。 典型
的には、ノックアウト構築体を胚性幹細胞(ES細胞)
に挿入し、相同遺伝子組換えプロセスによって、該ES
細胞のゲノムDNAに組み込まれる。次いで、このES
細胞を発生分化中の胚に注入し、その胚と一体化させ
る。
【0012】本明細書で言う「tob遺伝子が不活性化
されている」とは、野生型細胞におけるtob遺伝子の
発現と比較して、その遺伝子の発現が低下している状態
を言う。例えば、tob遺伝子のDNA配列に相補的な
DNA配列に挿入された抗生物質耐性遺伝子をコードす
るDNA配列を含有するノックアウト構築体を調製する
ことができる。次いで、このノックアウト構築体を細胞
にトランスフェクトすると、該構築体はゲノムDNAに
組み込まれる。かくして、当該DNAは抗生物質耐性遺
伝子によって破壊されているので、該細胞の後世代の細
胞のあるものは当該遺伝子を発現しないか、あるいは低
レベルでしか発現しない。
【0013】本明細書で言う「腫瘍」とは、最も広義の
腫瘍を意味し、一般的には自律的な過剰増殖を示す細胞
の集合体であり、生体を構成する細胞自体から生ずる。
腫瘍は、腫瘍細胞の性質から良性腫瘍と悪性腫瘍に分類
することができるが、本明細書で単に「腫瘍」という場
合には、両者を包含する。腫瘍はまた、その発生部位に
より、上皮性腫瘍(扁平上皮、腺上皮等の腫瘍)と非上
皮性腫瘍(結合組織、血管・造血組織、筋組織、神経組
織等の腫瘍)に分類でき、悪性上皮性腫瘍は癌腫、悪性
非上皮性腫瘍は肉腫、造血組織の腫瘍は白血病と称され
るが、本明細書で単に「腫瘍」という場合には、これら
全てを包含する。
【0014】II. tob欠損ノックアウト哺乳動物の
作製方法と腫瘍発生の評価 以下、本発明の細胞を採取するために使用できるノック
アウト哺乳動物の作製方法について説明する。 1.tob遺伝子断片の調製 本発明の細胞ではtob遺伝子がノックアウトされてい
る。通常、ノックアウト構築体で使用すべきtob遺伝
子のDNAは1以上のエクソンおよび/またはイントロ
ン領域、および/またはプロモーター領域である。十分
に大きいcDNAを利用できる場合には、cDNA配列
でもよい。一般に、DNAは少なくとも約1キロベース
(kb)長、好ましくは3〜4kb長であり、それによ
り、ノックアウト構築体をES細胞のゲノムDNAに挿
入した場合、ハイブリダイゼーションに十分な相補的配
列が供される。なお、本発明の細胞としては、tob遺
伝子以外にさらに異なる別の遺伝子もノックアウトされ
た哺乳動物由来の細胞も含まれる。かかるノックアウト
動物は、各ノックアウト構築体を作製するために本明細
書中に記載する手法を繰り返すことによって、あるいは
各々がノックアウトされた単一の遺伝子を持つ動物を相
互に交配させ、次いで、二重ノックアウト遺伝子型を持
つものをスクリーニングすることによって作出すること
ができる。
【0015】tob遺伝子をノックアウトするのに用い
るDNA配列は、Sambrookら(Molecular Cloning:A L
aboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess,Cold Spring Harbor,NY[1989])によって記載
されているような当技術分野で周知の方法を用いて得ら
れる。例えば、ゲノム配列の少なくとも一部を得るため
の、同一遺伝子の少なくとも一部をコードするcDNA
プローブを用いてゲノムライブラリーをスクリーニング
することによって所望のゲノムDNA配列を得ることが
できる。あるいは別法として、cDNA配列をノックア
ウト構築体で用いる場合には、該cDNAは、オリゴヌ
クレオチドプローブまたは抗体を用いてcDNAライブ
ラリーをスクリーニングすることによって得ることもで
きる(抗体を用いてスクリーニングする場合には、該ラ
イブラリーは発現ベクターにクローン化されている)。
あるいはまた、プロモーター配列をノックアウト構築体
で用いる場合には、合成DNAプローブを設計して該プ
ロモーター配列を含有するゲノムライブラリーをスクリ
ーニングすることができる。ノックアウト構築体で用い
るべきDNAを得るためのさらに別の方法としては、D
NA合成器を用いてDNA配列を化学合成により作製す
ることもできる。
【0016】ノックアウト構築体をコードするDNA配
列は遺伝子操作およびES細胞への挿入するのに十分な
量だけ調製する必要がある。増幅は、当該配列を適当な
ベクターに入れ、次いで、該ベクターで細菌もしくは他
の細胞を形質転換することによって行ってもよいし、P
CR増幅によって行なってもよいし、またはDNA合成
器での合成によって行ってもよい。
【0017】2.ノックアウト構築体の作製 ノックアウト構築体を産生するのに用いるべきDNA配
列を、特定の制限酵素で消化して、マーカー遺伝子をコ
ードするDNA配列をDNA配列内の適当な位置に挿入
する。マーカー遺伝子挿入のための適当な位置は、ネイ
ティブな遺伝子の発現を妨げるように働く位置である。
この位置は、切断すべき配列の中にいかなる制限部位が
存在するか、またエクソン配列及び/またはプロモータ
ー配列が不活性化されるか否か(すなわち、プロモータ
ー機能を阻害するか、またはネイティブエクソンの合成
を阻害するのに必要な挿入の正確な位置)などに依存す
ることになる。好ましくは、DNAを切断することによ
って長いアームと短いアームとが生じるように制限酵素
は選択される。
【0018】マーカー遺伝子は、検出可能および/また
はアッセイ可能な核酸配列であればその種類は特には制
限されない。典型的には、抗生物質耐性遺伝子、あるい
はその発現または当該ゲノムにおける存在が容易に検出
できる他の遺伝子である。通常、マーカー遺伝子は、そ
れ自身のプロモーターに、あるいはそれが挿入された細
胞で活性であるかまたは容易に活性化できる何れかの入
手源からの他の強力なプロモーターに作動可能に連結さ
れている。しかしながら、マーカー遺伝子は抑制すべき
遺伝子のプロモーターを用いて転写できるので、連結さ
れたそれ自身のプロモーターを有する必要はない。ま
た、マーカー遺伝子は、通常、当該遺伝子の3’末端に
結合したポリA配列を有し、この配列は当該遺伝子の転
写を終結させるよう働く。好ましいマーカー遺伝予は、
neo(ネオマイシン耐性遺伝子)またはβ−gal
(ベーターガラクトシダーゼ)のような抗生物質耐性遺
伝子である。
【0019】ゲノムDNA配列を適当な制限酵素で消化
した後、Sambrookら(前掲)に記載されている当業者に
公知の方法を用いてマーカー遺伝子配列をゲノムDNA
配列に連結する。連結すべきDNA断片の末端同士は適
合する必要があり、これは、適合末端を生じる酵素で両
方のDNA配列を切断しておくか、あるいは連結に先立
って末端を平滑にしておくことによって達成される。平
滑化は、例えば粘着末端を満たすためのクレノウ断片
(DNAポリメラーゼI)を使用するなど当技術分野で
周知の方法を用いてなされる。 連結したノックアウト
構築体は胚性幹(ES)細胞に直接挿入してもよいし、
あるいは胚性幹(ES)細胞への挿入に先立って増幅用
の適当なベクターにクローニングすることもできる。好
ましいベクターとしては、pBluescript II SKベタタ
ー(Stratagene,San Diego,CA)またはpGEM7(P
romega Corp,Madison,WI)のような細菌細胞で容易に
増幅されるものが挙げられる。
【0020】3.胚性細胞のトランスフェクション ノックアウト哺乳動物を作出するのに用いる胚性幹細胞
(ES細胞)は、作出すべきノックアウト哺乳動物と通
常同一種である。従って、例えば、マウス胚性幹細胞
が、ノックアウトマウスの作出のために通常使用され
る。 典型的には、胚性幹細胞は、発生分化中の胚の生
殖系に取り込まれその一部となり、ノックアウト構築体
の生殖系列伝達を生じるその能力について選択される。
かくして、この能力を有すると考えられるES細胞を使
用できる。ES細胞の産生で典型的に用いられるマウス
株は129J株である。好ましいES細胞系はネズミ細
胞系D3である。
【0021】Robertson(Teratocarcinomas and Embryo
nic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Roberts
on編、IRL Press、Washington,D.C.[1987])およびB
radleyら(Current Topics in Devel.Biol.,20:357-3
71[1986])およびHoganら(Manipulating the Mouse
Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring HarborLab
oratory Press, Cold Spring Harbor,NY[1986])に
よって記載されているような当業者に周知の方法を用い
て、細胞を培養して調製する。 ノックアウト構築体の
ES細胞への導入は、例えば、エレクトロポレーショ
ン、マイクロインジェクション、およびリン酸カルシウ
ム処理(Lovell-Badge,in Robertson編,前掲参照)を
含めた当技術分野で周知の各種方法を用いて達成でき
る。好ましい導入方法はエレクトロポレーションであ
る。ノックアウト構築体が既にベクターに挿入されてい
るならば、細胞に導入すべき各ノックアウト構築体DN
Aは先ず線状化する必要がある。線状化は、ベクター配
列内でのみ切断し、かつノックアウト構築体配列内では
切断しないように選択された適当な制限エンドヌクレア
ーゼでDNAを消化することによって行うことができ
る。 ES細胞へのDNA配列の導入は、選択した導入
方法に適した条件下でノックアウト構築体DNAをES
細胞に添加することによって行う。複数の構築体をES
細胞に導入すべき場合、各構築体をコードするDNAを
同時あるいは一度に導入することができる。
【0022】細胞をエレクトロポレーションに付する場
合、エレクトロポレーション装置を用いてES細胞およ
びノックアウト構築体DNAに電気パルスを適用する。
エレクトロポレーション後、適当なインキュベーション
条件下で細胞を回収する。次いで、該細胞をノックアウ
ト構築体の存在につきスクリーニングする。 スクリー
ニングは種々の方法を用いて行うことができる。マーカ
ー遺伝子が抗生物質耐性遺伝子である場合、致死濃度の
抗生物質の存在下で細胞を培養する。生き残った細胞は
ノックアウト構築体を取り込んだ細胞である。マーカー
遺伝子が抗生物質耐性遺伝子以外である場合、ES細胞
ゲノムDNAのサザンブロットを、マーカー配列に対し
てのみハイブリダイズするように設計されたDNA配列
でプローブすることができる。マーカー遺伝子が、その
活性が検出できる酵素(例えば、ベーターガラクトシダ
ーゼ)をコードする遺伝子である場合、適当な条件下で
酵素基質を細胞に添加し、酵素活性を分析することがで
きる。 ノックアウト構築体はES細胞ゲノムのいくつ
かの位置で取り込まれ、ランダム挿入事象の発生のた
め、各細胞ゲノムの異なる位置に取り込まれる。所望の
挿入位置はノックアウトすべきDNA配列に対して相補
的位置である。典型的には、ノックアウト構築体を取り
込むES細胞の約1〜5パーセント未満がノックアウト
構築体を所望の位置に取り込む。ノックアウト構築体を
適切に取り込んだ細胞を同定するには、Sambrookら(前
掲)によって記載されているような標準的方法を用いて
DNAを細胞から抽出する。次いで、該DNAを、特定
の制限酵素(類)で消化したゲノムDNAに対して特異
的パターンでハイブリダイズするように設計されたプロ
ーブを用いてサザンブロット分析する。別法としては、
ゲノムDNAは、特定のサイズおよび配列のDNA断片
を増幅するように特別に設計されたプローブを用いるP
CRによって増幅することができる(すなわち、適当な
位置にノックアウト構築体を含有する細胞のみが適当な
サイズのDNA断片を生じる)。
【0023】4.胚の注入/移植 適当な位置にノックアウト構築体を含有する適当なES
細胞を同定した後、該細胞を胚に導入する。導入は種々
の方法で達成できるが、好ましい方法はマイクロインジ
ェクションによるものである。マイクロインジェクショ
ンでは、約10〜30個の細胞をマイクロピペットに収
集し、適当な発生分化の段階にある胚に注入して、ES
細胞を発生分化中の胚に取り込ませる。 胚の適当な発
生分化段階は非常に種依存的であるが、マウスでは、そ
れは約3.5日齢である。該胚は妊娠した雌の子宮を潅
流することによって得られる。これを達成するための適
当な方法は当業者に知られており、また、Bradley(Rob
ertson編、前掲)によって記載されている。 正しい年
齢/発生分化の段階の何れの胚も使用するのに適する
が、好ましい胚は雄であって、ES細胞遺伝子によって
コードされた体毛色とは異なる体毛色についてコードす
る遺伝子を有する。このようにして、子孫は、(ES細
胞が発生分化中の胚に取り込まれたことを示す)モザイ
ク体毛色を探すことによって、ノックアウト構築体の存
在につき容易にスクリーニングすることができる。かく
して、例えば、ES細胞系が白色体毛についての遺伝子
を担持すれば、選択される胚は黒色体毛または茶色体毛
についての遺伝子を担持するであろう。 ES細胞を胚
に導入した後、該胚を偽妊娠仮親の子宮に移植する。何
れの仮親を用いることもできるが、それらは、典型的に
は、交配し十分に再生するその能力、およびその子供を
世話する能力について選択される。かかる仮親は、典型
的には、同一種の精管切除した雄と交配させることによ
って作製される。偽妊娠仮親の段階は移植が成功するた
めに重要であり、それは種依存的である。マウスについ
ては、この段階は偽妊娠約2〜3日である。
【0024】5.ノックアウトtob遺伝子の存在につ
いてのスクリーニング 仮親から生まれた子孫はまず体毛色についてスクリーニ
ングすることができ、そこでは、(前記したような)体
毛色選択戦略が用いられる。加えて、あるいは別法とし
て、子孫の尾組織からのDNAは、前記したサザンブロ
ットおよび/またはPCRを用いて、ノックアウト構築
体の存在についてスクリーニングすることができる。次
いで、モザイクであるように見える子孫がその生殖系に
ノックアウト構築体を担持してホモ接合ノックアウト動
物を生じると考えられる場合は相互に交配させる。もし
子孫が生殖系伝達を有するか否かが明確でないならば、
それらを親または他の株と交配させ、子孫のヘテロ接合
性についてスクリーニングする。該ヘテロ接合体は、前
記したように、DNAのサザンブロットおよび/または
PCR増幅によって同定することができる。 次いで、
ヘテロ接合体を相互に交配させてホモ接合ノックアウト
子孫を得ることができる。ホモ接合体は、この交配の作
出物である哺乳動物、ならびにヘテロ接合体であること
が知られている哺乳動物および野生型哺乳動物からの等
量のゲノムDNAをサザンブロッティングに付すことに
よって同定することができる。サザンブロットをスクリ
ーニングするためのプローブは前記したごとくに設計で
きる。
【0025】ノックアウト子孫を同定し特徴を決定する
ためには他の手段が利用できる。例えば、ノックアウト
された遺伝子、マーカー遺伝子、または双方をコードす
る転写体の存在または不存在についてmRNAを検出す
るノーザンブロット分析を用いることができる。あるい
は、ノックアウトされた遺伝子によってコードされる蛋
白質に対する抗体、またはこの遺伝子が発現された場合
はマーカー遺伝子産物に対する抗体を用いてウェスタン
ブロット分析をすることによって、これらの子孫の種々
の組織におけるノックアウトされた遺伝子の発現レベル
を評価することができる。さらには、ノックアウト構築
体遺伝子産物の存在または不存在を検出するのに適した
抗体を用いて、子孫からの種々の細胞の(細胞を固定し
抗体で標識するような)in situ分析および/またはF
ACS(蛍光標示式細胞分取)分析を行うことができ
る。
【0026】6.腫瘍を有するノックアウト哺乳動物の
同定 上述のようにして作出したノックアウト哺乳動物が腫瘍
を保持するかどうかは、常法(病理解剖学的解析及び病
理組織染色解析など)により評価することができる。具
体的には、生後一定期間(例えば、6カ月〜24カ月、
又はそれ以上)経過した後に、マウスを解剖し、ホルマ
リン固定材料を調製し、染色標本を作製する。肉眼的に
変化が認められた臓器の標本を作製して詳細に解析する
ことができる。染色は、Hematoxylin-Eosin stain、Mas
son trichrome stain、Silver stain、及びPeriodic Ac
id Schiff reactionなどを用いて行うことができる。標
本の組織染色によって検査することによって腫瘍の発生
の有無を評価することができる。
【0027】III.本発明のノックアウト哺乳動物の利
本発明のtob遺伝子が不活性化されていて、腫瘍を有
することを特徴とする、ノックアウト非ヒト哺乳動物
は、その組織あるいは器官における生理活性物質(例え
ば、サイトカイン類、低分子化合物、ホルモン類、抗
体、ペプチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドな
ど任意の薬物)の薬理評価および活性評価に有用であ
る。特に、本発明のノックアウト非ヒト哺乳動物は癌の
モデル動物であり、本動物を用いて癌の病態機序の解明
の研究、治療方法の検討、並びに癌の治療薬、予防薬お
よび診断薬のスクリーニングを行うことが可能である。
本発明のノックアウト非ヒト哺乳動物は、該哺乳動物を
生かしたまま使用してもよいし、該哺乳動物より摘出し
た組織、器官、細胞を利用することもできる。
【0028】本発明のノックアウト非ヒト哺乳動物の細
胞(例えば、胚性幹細胞、卵、精子など)またはその細
胞の核を用いることにより、本発明のノックアウト非ヒ
ト哺乳動物と同様の性質を有するノックアウト動物を作
出することもできる。これら本発明のノックアウト非ヒ
ト哺乳動物の細胞およびその核、並びにこれらを用いて
作出されたノックアウト非ヒト哺乳動物も本発明の範囲
内である。以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、実施例は本発明の例示を示すものに過ぎ
ず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
【実施例】実施例1:tob遺伝子を欠損するノックア
ウトマウスの作製 tob遺伝子を欠損するノックアウトマウスの作製は常
法に従って行った。具体的には以下の手順でノックアウ
トマウスを作製した。ターゲッティングベクターを構築
するために、λFIXII中の129/Svマウスゲノ
ミックライブラリーをスクリーニングし、4個のtob
遺伝子クローンを得た(Yoshida,Y.,他、Gene,191, 109
-113 (1997))。サザンブロットハイブリダイゼーショ
ン及びインサートのヌクレオチド配列決定によりtob
遺伝子は1個のエクソンから成ることが判明した(図
1)。このクローンの1つの15kbpのインサートを
pBluescriptにサブクローニングした。3−ホスホグリ
セレートキナーゼ遺伝子プロモーターの制御下にあるネ
オマイシン耐性遺伝子(neor)をtobエクソンの
HincII部位に挿入した。得られたプラスミド(2
5μg)をSalI部位で直線化し、J1胚性幹(E
S)細胞にエレクトロポレーションした(Li,E.,他、Ce
ll, 69, 915-926 (1992))。G418耐性ESクローン
を選択した後、tobがターゲッティングされたクロー
ンをプローブ1(図1)を用いてサザンブロットハイブ
リダイゼーションを行うことにより同定した。また、プ
ローブ2およびneoプローブを使用してサザンブロッ
ト分析を行い、相同組み換えを確認した。正確な変異を
有するクローンをC57BL/6J胚盤胞に注入した。
キメラの子孫をC57BL/6Jマウスと交尾させた。
変異体対立遺伝子の生殖系列伝達をマウス尾からのゲノ
ムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションによ
り測定した。ヘテロ接合のF1動物を異種交配させてホ
モ接合(tob-/-)マウスを得た。tobノックアウ
ト対立遺伝子のホモ接合はサザンブロットおよびイムノ
ブロットにより確認した(図2および図3)。図2およ
び図3の結果から、tob対立遺伝子が破壊されている
ことが確認できた。なお、抗Tobモノクローナル抗体
は、大腸菌で作製したTobのN末端170アミノ酸を
含む融合タンパク質でウサギを免疫化することによって
作製した。
【0030】実施例2:tob遺伝子欠損ノックアウト
マウスにおける腫瘍の発生の評価 実施例1で作出したtob遺伝子欠損ノックアウトマウ
ス23匹(雄12匹及び雌11匹:生後6カ月〜24カ
月)及び野生型マウス11匹(雄5匹及び雌6匹、生後
12カ月〜24カ月)を解剖後、ホルマリン固定材料を
調製し、染色標本(Hematoxylin-Eosin stain、Masson
trichrome stain、Silver stain、及びPeriodic Acid S
chiff reaction)を作製し、観察した。なお、病理組織
学的検査した臓器は肉眼的に腫瘍性の変化が認められた
以下の臓器である。即ち、肉眼的に腫瘍性変化が認めら
れた主な臓器・組織変化としては、肝臓における褐色結
節、灰白色結節及び白色斑点ならびに赤色結節、肺にお
ける白色〜灰白色結節、リンパ節の肥大、脾臓の肥大、
皮下組織における白色結節及び赤色結節、膵臓における
赤色結節が認められた。病理組織学的に検査した組織の
所見の結果を以下に示し、また腫瘍を有するtob遺伝
子欠損マウスの内訳を表1に示す。また、Hemangiomaを
有するtob遺伝子欠損ノックアウトマウスのイメージ
を図4に示す。
【0031】(1)肝臓:野生型においてhemangiomaが
1/11例(雄:1/5例)に認められた。tob遺伝
子欠損ノックアウトマウスにおいて、hepatocellular c
arcinoma が5/23例(雄:5/12例)、Hemagiosa
rcomaが1/23例(雌:1/11例)、並びにHemangi
omaが1/23例(雌:1/11例)に認められた。 (2)肺:野生型においては腫瘍性の変化は認められな
かった。tob遺伝子欠損ノックアウトマウスにおい
て、adenomaが6/23例(雄:4/12例、雌:2/
11例)に認められた。
【0032】(3)皮膚及び皮下組織 野生型においては腫瘍性の変化は認められなかった。t
ob遺伝子欠損ノックアウトマウスにおいて、hemangio
sarcomaが2/23例(雌:2/11例)に認められ
た。 (4)膵臓 野生型においては腫瘍性の変化は認められなかった。t
ob遺伝子欠損ノックアウトマウスにおいて、hemangio
sarcomaが1/23例(雌:2/11例)に認められ
た。
【0033】(5)膵臓 野生型においてはmononuclear cell leukemiaを疑う所
見が1/11例(雌:1/6例)に認められたが、自己
融解が強く断定できなかった。 (6)リンパ節 野生型においてmalignant lymphoma が1/11例
(雌:1/6例)に認められた。tob遺伝子欠損ノッ
クアウトマウスにおいて、malignant lymphoma が7/
23例(雄:4/12例、雌:3/11例)に認められ
た。
【0034】
【表1】
【0035】上記結果から分かるように、tob遺伝子
が不活性化されているノックアウトマウスでは23例中
の20例において腫瘍の発生が認められ、野生型マウス
(11例中の2例)よりも腫瘍性変化の発症度が高度で
あった。
【0036】実施例3:化学物質を投与したtob遺伝
子欠損ノックアウトマウスにおける腫瘍の発生率 マウスを通常の条件下で飼育し、雄と雌の子孫に生後1
5日目にジエチルニトロサミン(DEN)(20μg/
g体重)を一回腹腔内投与した。マウスを6カ月後に屠
殺した。全マウス(野生型マウス19匹;及びtob遺
伝子欠損ノックアウトマウス18匹)を視覚的に検出で
きる腫瘍について分析した。結果を図5に示す。腫瘍を
有するマウスの割合は野生型マウスでは19匹中1匹で
あったのに対して、tob遺伝子欠損ノックアウトマウ
スでは18匹中10匹であった。これらの結果から、t
ob遺伝子欠損ノックアウトマウスは発癌物質(DE
N)に対する感受性が高く、野生型マウスよりも発癌し
やすい傾向を有することが分かる。
【0037】
【発明の効果】本発明により、tob遺伝子が不活性化
されていて、腫瘍を有することを特徴とする、ノックア
ウト非ヒト哺乳動物が提供されることになった。本発明
のノックアウト非ヒト哺乳動物は、tob遺伝子の不活
性化により腫瘍が発生したモデル動物として使用でき、
例えば、tob遺伝子の機能の解明又は腫瘍の発生機構
の解明などの研究用の動物として、あるいは腫瘍または
癌などのtob遺伝子が関与する疾患の診断薬、治療薬
または予防薬などの医薬のスクリーニング用の実験動物
としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ターゲッティングベクター(ノックア
ウト構築体)、野生型ゲノムDNA、およびtob遺伝
子のターゲッティングされたローカスを示す模式図であ
る。
【図2】図2は、ノックアウトマウスにおける相同組み
換えを確認するサザンブロット分析の結果を示す図であ
る。3’外側プローブ(プローブ1)を使用して相同組
み換えを検出した。2頭のヘテロ接合体異種交配体のF
1子孫からの尾のDNAをEcoRVで消化し、サザン
ブロットハイブリダイゼーションに付した。tobロー
カスの遺伝子型を各レーンの上部に示す。DNA断片の
サイズを左側に示す。
【図3】図3は、ノックアウトマウスにおける相同組み
換えを確認するイムノブロット分析の結果を示す図であ
る。初代胚性繊維芽細胞から調製した蛋白質ライセート
をモノクローナル抗Tob抗体を用いるイムノブロッテ
ィングにより分析した。
【図4】図4は、Hemangiomaを有するtob遺伝子欠損
ノックアウトマウスのイメージである。
【図5】図5は、化学物質を投与した野生型マウス及び
tob遺伝子欠損ノックアウトマウスにおける肝腫瘍の
発生率を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA01 BA01 CA01 DA02 GA18 HA11 HA17 4B065 AA90X AA91Y AB01 BA01 BD13 CA43

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 tob遺伝子が不活性化されていて、腫
    瘍を有することを特徴とする、ノックアウト非ヒト哺乳
    動物。
  2. 【請求項2】 腫瘍が、肝臓、肺、リンパ節、皮膚又は
    皮下組織、又は膵臓から選ばれる少なくとも1以上の部
    位に存在する、請求項1に記載のノックアウト非ヒト哺
    乳動物。
  3. 【請求項3】 哺乳動物が、マウス、ラット、モルモッ
    ト、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、
    ヤギ、ウシまたはサルから選ばれる哺乳動物である、請
    求項1または2に記載のノックアウト非ヒト哺乳動物。
  4. 【請求項4】 哺乳動物がマウス、ラット、モルモッ
    ト、ハムスターまたはウサギから選ばれる齧歯類動物で
    ある、請求項1から3の何れか1項に記載のノックアウ
    ト非ヒト哺乳動物。
  5. 【請求項5】 哺乳動物がマウスである、請求項1から
    4の何れか1項に記載のノックアウト非ヒト哺乳動物。
  6. 【請求項6】 腫瘍がtob遺伝子の不活性化により発
    生した腫瘍であることを特徴とする、請求項1から5の
    何れか1項に記載のノックアウト非ヒト哺乳動物。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれか1項に記載の
    ノックアウト非ヒト哺乳動物の細胞。
  8. 【請求項8】 細胞が、胚性幹細胞、卵および精子から
    なる群から選ばれる細胞である、請求項7に記載の細
    胞。
  9. 【請求項9】 請求項1から6のいずれか1項に記載の
    ノックアウト非ヒト哺乳動物の細胞の核。
  10. 【請求項10】 請求項7または8に記載の細胞を用い
    ることを特徴とする、tob遺伝子が不活性化されてい
    るノックアウト非ヒト哺乳動物の作出方法。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の細胞の核を用いるこ
    とを特徴とする、tob遺伝子が不活性化されているク
    ローン非ヒト哺乳動物の作出方法。
  12. 【請求項12】 請求項10または11に記載の方法に
    より作出されるノックアウトまたはクローン非ヒト哺乳
    動物。
JP2000024878A 2000-02-02 2000-02-02 tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物 Pending JP2001211782A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000024878A JP2001211782A (ja) 2000-02-02 2000-02-02 tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物
PCT/JP2000/005816 WO2001056375A1 (fr) 2000-02-02 2000-08-29 Mammifere non humain mort a gene tob defectueux

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000024878A JP2001211782A (ja) 2000-02-02 2000-02-02 tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001211782A true JP2001211782A (ja) 2001-08-07

Family

ID=18550809

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000024878A Pending JP2001211782A (ja) 2000-02-02 2000-02-02 tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2001211782A (ja)
WO (1) WO2001056375A1 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005534906A (ja) * 2002-07-30 2005-11-17 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 質量分析法を使用した、プロテオームまたはオルガネオームの分子フラックス速度の自動化大規模測定
US7910323B2 (en) 2002-11-04 2011-03-22 The Regents Of The University Of California Methods for identifying the effect of a drug agent on the metabolism of sugars and fats in an individual
US8005623B2 (en) 2004-02-20 2011-08-23 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US8021644B2 (en) 2002-09-13 2011-09-20 The Regents Of The University Of California Methods for measuring rates of reverse cholesterol transport in vivo, as an index of anti-atherogenesis
US8084016B2 (en) 2002-02-12 2011-12-27 The Regents Of The University Of California Measurement of biosynthesis and breakdown rates of biological molecules that are inaccessible or not easily accessible to direct sampling, non-invasively, by label incorporation into metabolic derivatives and catabolitic products
US8663602B2 (en) 2003-11-25 2014-03-04 The Regents Of The University Of California Method for high-throughput screening of compounds and combinations of compounds for discovery and quantification of actions, particularly unanticipated therapeutic or toxic actions, in biological systems
US8741589B2 (en) 2005-06-10 2014-06-03 The Regents Of The University Of California Monitoring two dimensions of diabetes pathogenesis
US9134319B2 (en) 2013-03-15 2015-09-15 The Regents Of The University Of California Method for replacing biomarkers of protein kinetics from tissue samples by biomarkers of protein kinetics from body fluids after isotopic labeling in vivo
US9737260B2 (en) 2011-12-07 2017-08-22 Glaxosmithkline Llc Methods for determining total body skeletal muscle mass
US10386371B2 (en) 2011-09-08 2019-08-20 The Regents Of The University Of California Metabolic flux measurement, imaging and microscopy

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8084016B2 (en) 2002-02-12 2011-12-27 The Regents Of The University Of California Measurement of biosynthesis and breakdown rates of biological molecules that are inaccessible or not easily accessible to direct sampling, non-invasively, by label incorporation into metabolic derivatives and catabolitic products
US8481478B2 (en) 2002-07-30 2013-07-09 The Regents Of The University Of California Method for automated, large-scale measurement of the molecular flux rates of the proteome or the organeome using mass spectrometry
JP4804753B2 (ja) * 2002-07-30 2011-11-02 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 質量分析法を使用した、プロテオームまたはオルガネオームの分子フラックス速度の自動化大規模測定
US8129335B2 (en) 2002-07-30 2012-03-06 The Regents Of The University Of California Method for automated, large-scale measurement of the molecular flux rates of the proteome or the organeome using mass spectrometry
US8969287B2 (en) 2002-07-30 2015-03-03 The Regents Of The University Of California Method for automated, large-scale measurement of the molecular flux rates of the proteome or the organeome using mass spectrometry
JP2005534906A (ja) * 2002-07-30 2005-11-17 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 質量分析法を使用した、プロテオームまたはオルガネオームの分子フラックス速度の自動化大規模測定
US8021644B2 (en) 2002-09-13 2011-09-20 The Regents Of The University Of California Methods for measuring rates of reverse cholesterol transport in vivo, as an index of anti-atherogenesis
US7910323B2 (en) 2002-11-04 2011-03-22 The Regents Of The University Of California Methods for identifying the effect of a drug agent on the metabolism of sugars and fats in an individual
US8663602B2 (en) 2003-11-25 2014-03-04 The Regents Of The University Of California Method for high-throughput screening of compounds and combinations of compounds for discovery and quantification of actions, particularly unanticipated therapeutic or toxic actions, in biological systems
US8401800B2 (en) 2004-02-20 2013-03-19 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US9778268B2 (en) 2004-02-20 2017-10-03 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US8849581B2 (en) 2004-02-20 2014-09-30 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US8005623B2 (en) 2004-02-20 2011-08-23 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US9037417B2 (en) 2004-02-20 2015-05-19 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling In Vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US9043159B2 (en) 2004-02-20 2015-05-26 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US10466253B2 (en) 2004-02-20 2019-11-05 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US9720002B2 (en) 2004-02-20 2017-08-01 The Regents Of The University Of California Molecular flux rates through critical pathways measured by stable isotope labeling in vivo, as biomarkers of drug action and disease activity
US8741589B2 (en) 2005-06-10 2014-06-03 The Regents Of The University Of California Monitoring two dimensions of diabetes pathogenesis
US10386371B2 (en) 2011-09-08 2019-08-20 The Regents Of The University Of California Metabolic flux measurement, imaging and microscopy
US9737260B2 (en) 2011-12-07 2017-08-22 Glaxosmithkline Llc Methods for determining total body skeletal muscle mass
US9134319B2 (en) 2013-03-15 2015-09-15 The Regents Of The University Of California Method for replacing biomarkers of protein kinetics from tissue samples by biomarkers of protein kinetics from body fluids after isotopic labeling in vivo

Also Published As

Publication number Publication date
WO2001056375A1 (fr) 2001-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4082740B2 (ja) 内因性遺伝子が破壊されている分化多能性保持細胞
JP6282591B2 (ja) 遺伝子ノックイン非ヒト動物
JP4942081B2 (ja) アルツハイマー病モデル動物およびその用途
JP2023104002A (ja) エクソンヒト化マウス
US6180849B1 (en) Trangenic mice with a disruption in the tiar gene
US20050177887A1 (en) Somatic cells, germ cells and cell lines derived from a PTTG knockout rodent
JP2001211782A (ja) tob遺伝子欠損ノックアウト非ヒト哺乳動物
CN109688810B (zh) 具有缺陷性p450氧化还原酶的人肝嵌合非人动物及其使用方法
JP5075641B2 (ja) 遺伝子改変動物およびその用途
US6642433B1 (en) Fgl-2 knockout mice
US20130237441A1 (en) Mig-6 Knockout Mice and Elucidation of Association of Mig-6 With Early Onset Degenerative Joint Disease and Role As A Tumor Suppressor
JP2000515386A (ja) Ku欠損細胞と非ヒトトランスジェニック動物
KR101348852B1 (ko) Mis18α 유전자 넉아웃 생쥐모델 및 그의 제조방법
US7518033B2 (en) Methods for the production of cells and mammals with desired genetic modifications
US10470446B2 (en) Engineered cell comprising a recombinant pro-methylation cis-element construct that resides in a regulatory region of a target gene
JP5605718B2 (ja) アルツハイマー病モデル動物およびその用途
US20220217956A1 (en) Rodent Model Of Increased Bone Mineral Density
JP2004267002A (ja) セネッセンスマーカープロテイン30欠損動物、抗体およびその作製方法
JP2002525084A (ja) 部位特異的組換え酵素の接合移動による動物ゲノムの改変方法
JP2007312792A (ja) キメラ動物およびその作製法
JP2001169684A (ja) ウリジンホスホリラーゼ発現不全動物
US6794147B1 (en) Methods for identifying contraceptive compounds
JP4030342B2 (ja) 遺伝子欠損細胞
JP2006325452A (ja) Tzf/tzf−l遺伝子ノックアウト非ヒト哺乳動物、その作製方法、およびその利用方法
JP2001145487A (ja) tob遺伝子欠損動物由来の細胞