JP2014524416A - ミセルに封入された因子viiを含む医薬組成物 - Google Patents

ミセルに封入された因子viiを含む医薬組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群の中から選択されるアミノ酸残基のみを含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている因子VIIを含む医薬組成物に関する。

Description

本発明は、活性成分として因子VIIを含む医薬組成物に関するものである。
第VII因子(FVII)はビタミンK依存性のグリコプロテインであり、その活性形(FVIIa)はカルシウムおよび組織因子の存在下で第X因子および第IX因子を活性化して凝集プロセスに関与する。FVIIは分子量が約50kDaの406個のアミノ酸残基の単一ペプチド鎖の形で分泌される。FVIIは4つの異なる構造ドメインすなわちN−末端γ−カルボキシル(Gla)ドメインと、2つの上皮成長因子様(EGF様)ドメインと、一つのセリン・プロテアーゼドメインとを含む。FVIIの活性化によるFVIIaの生成は、Arg152-Ile153 (アルギニン 152-イソロイシン 153)結合の切断によって特徴付けられる。従って、FVIIaは単一のジスルフィド架橋(システイン135-システイン262)によって互いに結合する分子量が約20kDaの152個のアミノ酸の軽鎖と、分子量が約30kDaである254個のアミノ酸の重鎖とから成る。
FVII/VIIaは第VIII(血友病タイプA)または第IX因子(血友病タイプB)を欠失している患者やその他の凝固因子を欠失している患者、例えば遺伝性FVII欠失患者の血友病治療で使われている。また、FVII/VIIaは脳卒中の処置でも推薦されている。
従って、FVII/FVIIaは主として非常に長期間にわたる患者の治療に使われ、この治療は最高で週1回の時間間隔での頻回の注射を含む。実際には、因子VIIで治療した患者の大部分が、FVII/VIIaを週2回から週3回投与され、これは非常に面倒である。
所望の治療効果または予防効果を達成し且つ維持するためにはFVII/VIIaのかなり高い投与量と頻繁な静脈内投与が必要である。従って、この治療は患者にとって制約が多く且つ非常に高価なものになっている。
さらに、FVII/VIIaは一般に外科手術を受けなければならない患者に投与される。通常、FVII/VIIaの「初回量」とよばれる初回投与、例えば30〜40IU/kgを外科行為の約1時間前に実行し、次いで、一回または複数のその後の投与を外科手術中、必要に応じて、外科手術後の数時間または数日間に実行することで血漿FVII/VIIaレベルを許容された基準の範囲内に維持できる。
FVII/VIIaはタンパク分解性の切断に弱いタンパクであり、凝集活性(非定型切断)を含まない多数の分解産物の形成を引き起こすことがわかっている。非定型切断は製造プロセスの種々の段階、さらにFVII/VIIaの貯蔵段階で起こることがある。分解産物は血漿由来のFVII/VIIaと、遺伝子組み換えによって作られたFVII/VIIaの両方で観察されている。非定型切断はFVIIaを生成するFVIIの活性化の前、例えばFVIIの産生および精製中、活性化段階自体の間または活性化産物(FVIIa)の精製および/または貯蔵中に起こることがある。
FVII/FVIIaを用いた予防および治療の質を改良するためには、公知の医薬組成物のFVII/VIIaバイオアベイラビリティと比較して改良されたFVII/VIIaバイオアベイラビリティが得られる医薬組成物を得られるのが有利である。特に、FVII/VIIaが非常に安定で、公知の組成物よりも種々の分解に影響され難い組成物を得るのが有利である。
特に、生物体内で時間をかけてFVII/FVIIaの安定性を高めることができ、時間をかけてFVII/VIIaを徐放して2つの投与の間隔を伸ばすことができ、従って、(i)長期投与される患者の生活の質を高め、且つ、(ii)例えば外科手術中のFVII/FVIIaの複数の投与を減らすか、それに頼らないことによって、外科手術時の医師の作業を容易にするFVII/VIIa配合物を得るのが有利である。
FVII/VIIaのバイオアベイラビリティを改良するための解決策、例えばリポソームへのFVII/VIIaの封入は既に従来技術で考えられている。
生体適合性親水性ポリマーで誘導体化された約1〜20モル%の両親媒性脂質を含むコロイド粒子にFVII/VIIaが非共有結合されている医薬組成物も開示されている。特許文献1(欧州特許第1 633 440号公報)には「PEG化された」リポソームから形成されるコロイド粒子に封入されたFVII/VIIaを含むこのタイプの医薬組成物が記載されている。
欧州特許第1 633 440号公報
従って、従来技術のFVII/FVIIaを含む医薬組成物を代替し、あるいは、公知のものより改良された医薬組成物を提供するというニーズがある。
本発明は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと、(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基のみを含み(comprising exclusively)、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている因子VIIを含む医薬組成物を提供する。
上記ブロックコポリマー分子では親水性ポリマーセグメントが疎水性ポリマーセグメントに共有結合されている。
本明細書でポリアルキレングリコールとは下記の式(A)のものである:
H−[O−R]z−OH (A)
(ここで、
Rは1〜4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基で、
zは10〜2500、好ましくは50〜500の整数である)
本発明の一つの実施例ではRはエチル基から成り、zは200〜300である。
本発明医薬組成物の一つの実施例では、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコール、好ましくは分子量が10kDa〜12kDaのポリエチレングリコールから成る。
本発明医薬組成物の一つの実施例では、因子VIIとコポリマーとの質量比が1:100wt:wt〜50:100wt:wt、好ましくは5:100wt:wt〜20:100wt:wtである。
本発明医薬組成物の一つの実施例では、因子VIIが、(i)血漿から精製した非組み換え因子VIIおよび(ii)組換え因子VII、特に一つまたは複数のアミノ酸の置換または欠失で変更された組換え因子VIIから選択される。
本発明の他の対象は、(i)親水性ポリマーセグメントと、(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIを含む医薬組成物であって、この組成物は、それが非経口投与された時に下記の特徴の一つまたは複数を有する医薬プロファイルを生じるのに適した医薬組成物にある:
(1)AUC(曲線下面積)値が同量のFVIIを封入していない比較組成物で得られるAUC値より10%以上高い、
(2)MRT(平均滞留時間)値が少なくとも2時間で、且つ
(3)CL(クリアランス)値が最大で200ml/kg/時である。
MRTおよびCLの値は7週齢のウイスター系ラットから得られるもの。
本明細書で、比較組成物のAUC値より10%以上高いAUC値とは、比較組成物のAUC値より20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%または100%以上高いAUC値を含む。本発明の医薬組成物の一つの実施例では、AUC値が含まれる所定量のFVII/FVIIaに対して同じ所定量のFVII/FVIIaで、ミセルが存在しない比較組成物のAUC値の2倍(100%以上)であることが分かった。
本発明のさらに他の対象は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群の中から選択されるアミノ酸残基をもっぱら含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている、薬物として用いるための因子VIIにある。
本発明のさらに他の対象は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基をもっぱら含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている、凝固障害を治療するための因子VIIにある。
は、組換えヒトFVIIを含むミセルを含まない組成物およびミセル中に封入されたFVIIの組成物のそれぞれで各組成物を産生するために初期に導入されたFVIIの量と比較して検出されたFVIIの量を測定するための標準曲線を示す図。X軸:初期に添加されたFVII/VIIaの量(ミリリットル当たりのミリ国際単位(mIU/ml)で表示);Y軸:検出されたFVII/VIIaの量(1ミリリットル当たりのミリ国際単位(mIU/ml)で表示)。 は(i)ミセルを含まないFVII組成物、(ii)FVII とコポリマーとの比率を10:100にしたC8−グラフト化コポリマーのミセル中に導入されたFVII組成物、および(iii)FVII とコポリマーとの比率を10:100にしたBn−グラフト化コポリマーのミセル中に導入されたFVIIの組成物でそれぞれ得られた、組換えヒトFVII血漿濃度プロファイルを示す図。X軸:組成物の投与後の経過時間(時間で表示);Y軸:測定された血漿FVII/VIIa濃度(1ミリリットル当たりのミリ国際単位(mIU/ml)で表示)。 は(i)pH 5のミセルを含まないFVII組成物、(ii)FVII とコポリマーとの比率を5:100にしたBn−グラフト化コポリマーのミセル中に導入されたFVIIの組成物、および(iii)FVII とコポリマーとの比率を5:100にしたC8−グラフト化コポリマーのミセル中に導入されたFVII の組成物でそれぞれ得られた、組換えヒトFVII血漿濃度プロファイルを示す図。 は[図2]および[図3]に示したFVII溶液およびFVII封入ミセルから得られた組換えヒトFVII血漿濃度プロファイルを示す図。 は、各組成物を産生するために初期に導入されたFIXの量と比較した、ヒトFIXを含むミセルを含まない組成物およびミセル中に封入されたFIXの組成物中でそれぞれに検出されたFIXの量を測定するための標準曲線を示す。X軸:初期に添加されたFIXの量(1ミリリットル当たりのミリ国際単位(mIU/ml)で表示);Y軸:検出されたFIXの量(1ミリリットル当たりのミリ国際単位(mIU/ml)で表示)。 は、(i)ミセルを含まないFIX組成物、(ii)FIXとコポリマーとの比率を10:100にしたC8−グラフト化コポリマーのミセル中に導入されたFIX の組成物、および(iii)FIXとコポリマーとの比率を10:100にしたBn−グラフト化コポリマーのミセル中に導入されたFIXの組成物でそれぞれ得られた(これら3つの溶液は全てpH=4およびpH=6でテストする)、ヒトFIX血漿濃度プロファイルを示す図。X軸:組成物の投与後の経過時間(時間で表示);Y軸:測定された血漿FIX濃度(1ミリリットル当たりのミリ国際単位(mIU/ml)で表示)。 は、血友病Aマウス失血に対するFVII, NaCl 0.9%, F7−IRおよびF7−SRの効果を示す図。点は個体の失血を表し、線は値を示す。
驚くべきことに、ブロックコポリマー分子中に親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントとを含む特定タイプのブロックを含むブロックコポリマーのミセル中にFVII/FVIIaをうまく導入できるということが本発明によって示された。
上記ブロックコポリマー分子では親水性ポリマーセグメントが疎水性ポリマーセグメントに共有結合されていることは明記しておく。
ブロックコポリマー分子内に親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントを含む特定タイプのブロックを含むコポリマーのミセル中にFVII/FVIIaを導入することによって、インビボでFVII/FVIIaのバイオアベイラビリティを大幅に高めることができることが本発明によって示された。
特に、特定タイプのブロックを含むこのコポリマーのミセルを用いることによって、初期に導入されたFVII/FVIIaが時間をかけて徐放され、FVII/VIIaが血流中で分解するのを効率的に防ぐことが実施例によって示された。
本発明は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基をもっぱら含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている因子VIIを含む医薬組成物を提供する。
本明細書でアミノ酸残基の「一部」とは、上記ポリアミノ酸の一つまたは複数のアミノ酸残基が疎水基で置換された側鎖を有することを意味する。この置換アミノ酸残基の「一部」は上記ポリアミノ酸に含まれるアミノ酸残基の10%以上から100%以下の範囲であるのが好ましい。本発明の一つの実施例では置換アミノ酸残基の「一部」は40%から100%以下であり、これは上記ポリアミノ酸に含まれるアミノ酸残基の70% から100%以下を含む。
以下、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性セグメントおよび(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性セグメントの特定の実施例を式(I)のブロックコポリマーの説明とともに詳細に説明する。
疎水性ポリアミノ酸セグメントは好ましくは例えばL−アミノ酸、D−アミノ酸またはこれらのラセミ混合物の残基から成るポリ−ホモ−アミノ酸鎖から成る。疎水性セグメントはポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(リシン)、ポリ(アスパラギン酸エステル)、ポリ(グルタミン酸エステル)、ポリ(ヒスチジンエステル)、ポリ(リシンエステル)、ポリ(アスパラギン酸エステル)の部分加水分解物、ポリ(グルタミン酸エステル)の部分加水分解物、ポリ(ヒスチジンエステル)の部分加水分解物またはポリ(リシンエステル) の部分加水分解物から選択されるポリアミノ酸鎖で構成できる。ポリ(アミノ酸エステル)の「部分加水分解物」という用語はポリ(アミノ酸)の一部のみがエステル化される、すなわち全てに満たないアミノ酸残基がエステル化されることを意味する。
上記ブロックコポリマーの疎水性セグメントは10〜100個のアミノ酸残基、例えば20〜75個のアミノ酸残基(これは30〜50個のアミノ酸残基を含む)の複数のアミノ酸残基を含むのが好ましい。
上記定義のブロックコポリマーの疎水性セグメントに含むことができるアミノ酸エステル残基において、アミノ酸残基は疎水基でエステル化されているのが好ましい。この疎水基は5〜12個の炭素原子を含むアルキル鎖およびベンジル基から成る群の中から選択するのが好ましい。このアルキル鎖は未置換または1〜3個の炭素原子を含む一つまたは複数のアルキル鎖で置換されたアルキル鎖から成るのが好ましい。
医薬組成物の製造に使用されるブロックコポリマーの一般的なファミリーは当業者に周知である。しかし、これらのブロックコポリマーはタンパク分子を封入する能力をこれまでテストされたことは本出願人の知る限りない。血液凝固タンパクはなおさらである。
上記定義のブロックコポリマーのミセル中にFVII/VIIaを導入する実施例で、この凝固因子に検出可能な変更が引き起こされることはないということがわかった。本発明の実施例では本発明のブロックコポリマーのミセル中に導入される出発材料として使用されるFVII/VIIaの量は調製される最終医薬組成物中に一体化される。本発明者はさらに、所定量のFVII/VIIaを用いて(i)FVII/VIIaが本明細書のブロックコポリマーのミセル中に導入された医薬組成物と、(ii)上記ブロックコポリマーのミセルを含まない比較組成物とを調製して、2つの組成物のそれぞれで同量のFVII/VIIaが測定されることを示した。
さらに、本発明実施例では、所定量のFVII/FVIIaを(i)ミセルの非存在下で組成物中および(ii)上記定義のブロックコポリマーのミセルを含む組成物中にそれぞれ導入すると、大幅に多い量のFVII/FVIIaの全インビボバイオアベイラビリティが観察される。これはこれらの2つの組成物のそれぞれのFVII/FVIIa血中濃度プロファイルで示される。
さらに、本発明実施例では、FVII/VIIaが導入された上記ブロックコポリマーのミセルを含む組成物によってインビボで放出されるFVII/VIIaの量は、投与時期の6時間後にミセルフリー組成物によってインビボで放出されるFVII/VIIaの量より投与時期の48時間後の方が多いことがわかる。
さらに別の観点から、本発明実施例では、上記定義のブロックコポリマーのミセルに導入されるFVII/VIIaの組成物は、インビボで、曲線下面積(AUC)値が、対応するミセルを含まない組成物で測定されるAUC値より最大で2倍半大きいことがわかる。
本発明でミセルに導入されるFVII/VIIa組成物のAUC値は、FVII/VIIaを封入する他の公知の解決策、例えば特許文献1(欧州特許第1 633 440号公報)(この文献の[表5]および[表6]の結果を参照)に記載の解決策で得られるAUC値より大きいことは理解できよう。
さらに別の観点から、上記コポリマーのミセル中に導入されたFVII/VIIaを含む本発明の医薬組成物は、ミセルを含まない同じ組成物のバイオアベイラビリティ時間と比較して、FVII/FVIIaを血流中で非常に長い時間の間、バイオアベイラブル(bioavailable)にすることができる。すなわち、本発明医薬組成物では最大で10倍長い平均滞留時間(MRT)が測定される。
さらに、本発明実施例では、本発明医薬組成物中に存在するFVII/VIIaは、ミセルを含まない対応する医薬組成物中に存在するFVII/VIIaよりはるかにゆっくりと血流から除去されることがわかった。すなわち、本発明の医薬組成物の投与後に測定されるFVII/VIIaクリアランス(CL)値はミセルを含まない組成物の約3分の1以下であ。
さらに、本発明医薬組成物で得られた血流中のFVII/VIIaの終末半減期(terminal half-time)t1/2(β)は、ミセルを含まない対応する組成物で観察されたものよりはるかに長い。
加えて、FVII/VIIaを本明細書に定義の上記のブロックコポリマーのミセル中に導入したときに得られる非常に優れた薬物動態プロファイルは当業者には予測できないことである。すなわち、少なくともこのタイプのミセルの能力:(i)タンパク分子を取り込む、(ii)タンパク分子の血流への運搬によって引き起こされるタンパク分子の変更を防ぐ、(iii)タンパク分子を分解しない形態で時間をかけて大量に放出するという能力は本明細書で初めて開示されたものである。
さらに、因子VII/VIIaのような特定タイプの凝固タンパクが本明細書に記載のタイプのミセル中へ導入するのに成功し、改良されたFVII/VIIa予防的または治療的治療、特に所定時間の間の投与回数を減らす必要のあるFVII/VIIa予防的または治療的治療を開発する可能性と両立する薬物動態プロファイルに従ってインビボで放出できるということは当業者に予想できないことである。
本発明のFVII/FVIIaの医薬組成物で得られるインビボでの結果の驚くべき、予測不可能な性質は、本明細書に定義の上記ブロックコポリマーのミセルは、FVII/VIIaと有意な構造的および機能的類似性を有する別の凝固因子、すなわち因子IXの薬物動態プロファイルを変化させることが全くできないという事実によって証明される。因子FVII/VIIaおよび因子IXはいずれもGLA−ドメインタンパクであることを特に明記しておく。
本発明実施例では、上記ブロックコポリマーのミセルを含む組成物に導入される因子IXの量は、FVII/VIIaと同様に、対応するミセルを含まない組成物に導入される因子IXの量と同等であることがわかった。
しかし、本発明実施例の結果から、上記ミセルを含む組成物に導入される因子IXおよびミセルを含まない対応する組成物に導入される因子IXのそれぞれの血漿濃度の変化のプロファイルは同じであることがわかる。これらの結果は上記ブロックコポリマーのミセルは、因子IXに関して下記の(i)〜(v)のいずれかであることを意味する:(i)因子IXを取り込むことができない、または(ii)分解されずに因子IXを取り込むことはできない、または(iii)血流中で可能性のある変更から因子IXを守ることができない、または(iv)取り込んだ因子IXを血流中に放出することができない、または(v)上記の不可能なことを少なくとも2つ合わせたものを示す。
本発明の医薬組成物の実施例では、上記医薬組成物は下記式(I)のコポリマーから形成されるミセル中に封入された因子VIIを含む:
Figure 2014524416
(ここで、
1はポリアルキレングリコール鎖を表し、
2は(i)5〜18個の炭素原子を含むアルキル鎖および(ii)ベンジル基から選択される基であり、
xは10〜100の整数であり、
nは1〜x−1である整数であり、
側鎖に疎水基を有するn個のサブユニットおよび側鎖にカルボン酸基を有するx−n個のサブユニットは疎水性ポリマーセグメント全体にわたってランダムに分布している)
式(I)のブロックコポリマーの「Ac」はアセチル基を意味する。
式(I)のブロックコポリマーの親水性ポリマーセグメントはポリアルキレングリコールから成るR1基によって表される。
本明細書でポリアルキレングリコールとは式(A)のものである:
H−[O−R]z−OH (A)
(ここで、
Rは1〜4個の炭素原子を有する直鎖アルキル基で、
zは10〜2500、好ましくは50〜500の整数である)
Rは未置換の直鎖アルキル基であるのが好ましい。
本発明実施例では、Rはエチル基またはブチル基から成り、zは200〜300である。
ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコール(すなわち式(A)の基Rがエチル基)およびポリブチレングリコール(すなわち式(A)の基Rがブチル基)から選択されるのが有利である。
R1はポリエチレングリコールであるのが好ましい。
R1は分子量が5kDa〜50kDaであるポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールまたはポリブチレングリコール、例えば分子量が8kDa〜20kDaのポリアルキレングリコール、さらに分子量が10kDa〜12kDaのポリアルキレングリコールであるのが有利である。
R1は分子量が5kDa〜50kDaのポリエチレングリコール、例えば分子量が8kDa〜20kDaのポリエチレングリコール、さらに分子量が10kDa〜12kDaのポリエチレングリコールであるのが好ましい。
ポリエチレングリコールの分子量は44m+62である(ここで、mはポリマー中のエチレングリコール単位の数から成る整数)。従って、5kDaのポリエチレングリコールは約113個のグリコール単位を含む(すなわちz=約113)。従って、8kDaのポリエチレングリコールは約180のグリコール単位を含む(すなわちz=約180)。従って、10kDaのポリエチレングリコールは約227のグリコール単位を含む。従って、12kDaのポリエチレングリコールは約270のグリコール単位を含む。従って、15kDaのポリエチレングリコールは約338のグリコール単位を含む。従って、20kDaのポリエチレングリコールは約450のグリコール単位を含む。従って、50kDaのポリエチレングリコールは約1126のグリコール単位を含む。「x」の値が工業的に許容される数値を有する基準値として決められることは理解できよう。例えは「x」値が40の場合、「x」の実測値は37〜43の範囲になる。
ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールの分子量は平均分子量である。一般に、ポリアルキレングリコール。実際には、例えばポリエチレングリコールの寸法はポリエチレングリコール分子の個々の寸法がポリマーの分子の集団内でわずかに異なるためその平均分子量に対して定義される。
式(I)のブロックコポリマーでは疎水性セグメントはポリ(グルタミン酸)から成り、そのグルタミン残基の少なくとも一部は疎水性R2基でエステル化される。
本発明実施例では、R2基は5〜18個の炭素原子を含むアルキルから成り、このアルキルは未置換であるか、または、1〜3個の炭素原子を含む一つまたは複数のアルキルで置換されている。
本発明の好ましい実施例ではR2基は8〜12の炭素原子を含むアルキル鎖から成る。
2は8の炭素原子を含む未置換アルキル鎖(オクチル基)で構成できる。
他の実施例では、R2基はベンジル基から成る。
式(I)のブロックコポリマーの疎水性セグメントは「x」のグルタミン酸残基を含む。xは10〜100、例えば20〜75、さらに30〜60の整数である。実施例はxが40に等しい式(I)のブロックコポリマーの使用を示している。
既に述べたように、疎水性セグメント中のアミノ酸残基の一部はR2基で置換される。特に、疎水性セグメントはR2基による置換での置換率によって特徴付けられる。R2基による置換での置換率「SR」は式(A):SR=n/xに従って計算される。R2基による疎水性セグメントの置換での置換率SRは一般に少なくとも0.1且つ1.0以下、例えば0.4から1.0以下まで、例えば0.7から1.0以下までである。
2基による置換での置換率SRは、式(I)の対応するブロックコポリマーの分子群に対して測定される平均値として求められることは理解できよう。従って、SR率を0.9として示すときは、実際の測定率は「x」値の数値的許容値により、0.79〜0.98にすることができる。
一般に、本明細書に定義されたブロックコポリマーは特許文献2(欧州特許出願第2042184号公報)に開示された方法に従って合成できる。
欧州特許出願第2042184号公報
本明細書に定義のブロックコポリマーは水溶液中に存在するときに自己会合性によって自発的にミセルを形成する。上記ブロックコポリマーの特定構造はブロックコポリマーに自己会合特性、特に疎水性コアと親水性クラウンとを有するミセルタイプの安定なナノ粒子を自発的に形成する能力を与える。
特定の理論に縛られるものではないが、上記定義のブロックコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaは、血流中で所定の滞留時間後にミセルが解離した時に、(i)FVII/VIIa分子をミセルを介して拡散させる、および、(ii)FVII/VIIa分子を放出させる、の2つの異なる方法によってそれぞれ血流中に放出されると本発明者は考える。
「因子VII」、「FVII」および「FVIIa」という用語は血液凝固因子VII、場合によってはその活性化形態(FVIIa)を示すのに区別しないで使用し、哺乳類のゲノムで天然にコードされるFVII/VIIaに対する変異体および変異株を包む。本明細書で因子VIIはFVII並びにFVIIaを包含する。本発明に従ってミセル中に封入されるFVII/VIIaはヒトFVII/VIIaまたはヒトFVII/VIIaの変異体または変異株であるのが好ましい。
本発明の医薬組成物を調製する際には血漿から精製したFVII/VIIaまたは組換えFVII/VIIaを使用できる。FVII/VIIaのこれら2つの形態は当業者に周知であり、商業的に容易に入手できる。
血漿から精製したFVII/VIIaは例えば商品名「因子VII LFB」(フランス医薬品販売許可番号No. 5615752)で市販されている特殊医薬品にすることができる。
組換えヒトFVII/VIIaは、例えば商品名NovoSeven(登録商標) (NovoNordisk(登録商標), フランス医薬品販売許可番号No.5730938(非特許文献1に基づく)で市販されている特殊医薬品から成る。
2004年1月27日に最初に許可された欧州医薬品販売許可(European marketing authorization initially granted on 27 January 2004)
この特殊医薬品ではFVII/VIIaは凍結乾燥された形態である。
組換えヒトFVII/VIIaはさらにヒトFVIIをコードする遺伝子に対してトランスジェニクであるウサギで産生したFVII/VIIaで構成できる。これは特許文献3(PCT出願第WO2007/138199号公報)の開示に従って産生できる。
PCT出願第WO2007/138199号公報
組換えヒトFVII/VIIaはさらに、特許文献4(PCT出願第WO2008/015339号公報)または特許文献5(米国特許出願第2004185535号明細書)の開示に従って産生されるFVII/VIIaで構成できる。
国際公開第WO2008/015339号公報 米国特許出願第2004185535号明細書
既に明記したように、FVII/VIIaの変異体または変異株、特にヒトFVII/VIIaの変異体または変異株から成る因子VIIを用いることもできる。ヒトFVII/VIIaの変異株または変異体としては例えば下記の(i)国際出願公開および(ii)米国特許明細書に記載のものを用いることができる。
国際出願公開第WO 2008127702号公報 国際出願公開第WO 2008155509号公報 国際出願公開第WO 0222776号公報 国際出願公開第WO 2009126307号公報 国際出願公開第WO 02077218号公報 国際出願公開第WO 03093465号公報 国際出願公開第WO 0183725号公報 米国特許第7416860号明細書 米国特許第7419803号明細書
従来技術では、対象となるFVII/VIIaのタイプに従って、FVII/VIIaの活性度はFVII/VIIaタンパク1ミリグラム当たり500〜4000国際単位(IU)にできることが知られている。実施例で用いるFVII/FVIIaのタイプは約2000IU/mgFVII/FVIIaの活性度を有する。
本発明実施例では1ミリグラム当たり2000国際単位の比活性度を有する組換えヒトFVII/VIIaの使用する。
FVII/VIIaが導入または封入されたブロックコポリマーのミセルは、FVII/VIIa:コポリマー質量比が1:100wt:wt〜50:100wt:wt、好ましくは5:100wt:wt〜20:100wt:wtであるのが有利である。
一般に、FVII/VIIa:コポリマー質量比は、所望の予防的または治療的効果と両立できる量のFVII/VIIa活性成分を含む医薬組成物を患者に投与できるように十分に大きな値を有するのがよいことは当業者は理解できよう。
さらに、本明細書に定義のブロックコポリマーのミセルは所定量のFVII/VIIaを、FVII/VIIa:コポリマー質量比の最大値で取り込む能力を有することも当業者は理解できよう。この最大値を超えると過剰FVII/VIIaはもはや十分にミセルに取り込まれず、従って、本発明の医薬組成物内で遊離した形態になる。FVII/VIIa分子の一部が遊離した形態である上記ブロックコポリマーに対して大過剰質量のFVII/VIIaの条件下では対応するFVII組成物の薬物動態プロファイルが変化し、これは本発明が追求する目的を満たすことはできない。
本発明実施例ではFVII/VIIa:コポリマー質量比が5:100wt:wtおよび10:100wt:wである本発明の医薬組成物を例に示す。
ミセル中に導入または封入されたFVII/VIIaを含む本発明の医薬組成物は液体形態または凍結乾燥形態にすることができる。
本発明の医薬組成物は凍結乾燥形態で調製できる。この凍結乾燥した組成物に適量の滅菌脱塩水を添加して、液体形態の本発明の医薬組成物を調製する。
本発明の医薬組成物は、使用前に貯蔵される形態、固体形態または液体形態とは無関係に、上記医薬組成物を液体形態で患者に投与することは当業者には理解できよう。
医薬組成物は特に医薬組成物が液体形態であるときに、FVII/VIIa分子が導入または封入されたミセルを安定化するようにpH値を調整するために、緩衝液または緩衝液の組合せをさらに含むのが好ましい。
本発明の医薬組成物のpH値の維持は、特にFVII/VIIa分子と上記ブロックコポリマーの分子との会合をミセル内で促進するためである。
本発明の医薬組成物の実施例では、この組成物のpHを4.5〜6.5のpH値の範囲の所定のpH値に維持できる緩衝液または緩衝液の組合せを使用する。
本発明の好ましい実施例では、この組成物のpHを5〜6のpH値の範囲の所定のpH値に維持できる緩衝液または緩衝液の組合せを添加する。
特定の理論に縛られるものではないが、pH5〜pH6の範囲である所定のpHで、FVII/VIIa分子と本明細書に定義されたブロックコポリマーの分子との間の相互作用が促進されると本発明者は考える。FVII/VIIa、特に組換えヒトFVII/VIIaは6〜7の等電点を有することを明記する。pHがpH5〜pH6の範囲に維持される本発明の医薬組成物の実施例では、分子は荷電した形態であり、これはブロックコポリマーの疎水性セグメントの構造性アミノ酸残基、例えば式(I)のブロックコポリマーの構造性グルタミン酸残基と同様である。FVII/VIIa分子と上記ブロックコポリマーの分子との間の静電相互作用はこの5〜6のpH範囲で全体的に誘引性である。
本発明実施例は、液体形態の本発明の医薬組成物のpHをpH5またはpH6に維持できる緩衝液を含む本発明の医薬組成物の実施例を示している。
当業者に周知な任意のタイプの生理学的に許容される緩衝液を使用できる。緩衝液は本発明の医薬組成物中に約2mM〜50mMの最終濃度範囲で存在できる。
特に、有機酸または有機酸またはその塩、例えば下記のものから選択される緩衝液または緩衝液の組合せを使用できる:
(1)クエン酸緩衝液、例えばクエン酸一ナトリウムまたはクエン酸二ナトリウム、またはこれらの混合物、クエン酸とクエン酸三ナトリウムとの混合物、クエン酸とクエン酸三ナトリウムとの混合物、
(2)コハク酸緩衝液、例えばコハク酸とコハク酸一ナトリウムとの混合物、コハク酸と水酸化ナトリウムとの混合物、コハク酸とコハク酸一ナトリウムとの混合物、
(3)酒石酸緩衝液、例えば酒石酸と酒石酸ナトリウムとの混合物、酒石酸と酒石酸カリウムとの混合物、酒石酸と水酸化ナトリウムとの混合物、
(4)フマル酸緩衝液、例えばフマル酸とフマル酸一ナトリウムとの混合物、フマル酸とフマル酸二ナトリウムとの混合物、フマル酸一ナトリウムとフマル酸二ナトリウムとの混合物、
(5)グルコン酸緩衝液、例えばグルコン酸とグルコン酸ナトリウムとの混合物、グルコン酸と水酸化ナトリウムとの混合物、グルコン酸とグルコン酸カリウムとの混合物、
(6)シュウ酸緩衝液、例えばシュウ酸とシュウ酸ナトリウムとの混合物、シュウ酸と水酸化ナトリウムとの混合物、シュウ酸とシュウ酸カリウムとの混合物、
(7)乳酸緩衝液、例えば乳酸と乳酸ナトリウムとの混合物、乳酸と水酸化ナトリウムとの混合物、乳酸と乳酸カリウムとの混合物、
(8)酢酸緩衝液、例えば酢酸と酢酸ナトリウムとの混合物、酢酸と水酸化ナトリウムとの混合物、
(9)燐酸緩衝液、例えばクロロホスホン酸二ナトリウムと燐酸一カリウムとの混合物、二塩基性燐酸一水素と一塩基性燐酸二水素との混合物。
本発明実施例は(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸またはMES)緩衝液を含む本発明の医薬組成物を例に示す。このMES緩衝液は10mMの最終濃度で使用できる。
さらに、本明細書に定義されたブロックコポリマーから形成されたミセルに封入されたFVII/VIIaを含む本発明の医薬組成物は、凍結防止剤または凍結防止剤の組合せをさらに含むことができる。
凍結防止剤は当業者に周知の任意のタイプの凍結防止剤にすることができる。特に、糖類タイプの凍結防止剤、例えば単糖類、二糖類または多糖類を使用できる。例えば、DMSO、エチレングリコール、グリセロール、スクロースまたはトレハロースから選択される凍結防止剤を使用できる。
本発明実施例は、凍結防止剤がスクロースである本発明の医薬組成物を例に示す。
本発明の医薬組成物は一つまたは複数の生理学的に許容可能な追加の賦形剤、特に、現行のヨーロッパ薬局方または米国薬局方によって勧められているものを含むことができる。本発明の医薬組成物は非特許文献2(ヨーロッパ薬局方の第6版、2007年6月)または非特許文献3(米国薬局方、2010年)で勧められている一つまたは複数の追加の賦形剤を含むことができる。
ヨーロッパ薬局方の第6版、2007年6月 米国薬局方、2010年
本発明医薬組成物が液体形態の場合、特に直ちに使える液体の形態であるときには、この医薬組成物はミセルの形態で本明細書に定義された上記ブロックコポリマーの最終濃度が1mg/ml〜100mg/mlである。
特定の理論に縛られるものではないが、ミセル形態の上記ブロックコポリマーの分子の配列を維持するための臨界最低濃度(CMC)が達成されないという事実から、上記ブロックコポリマーの最終低濃度でミセルの完全性が変化すると本発明者は考える。
上記ブロックポリマーの濃度が100mg/ml以上であると、上記医薬組成物の粘度特性によって、この組成物の、注射による患者への投与に対する適合性が低下すると本発明者は考える。
ある好ましい実施例では、本発明医薬組成物が液体形態であるとき、特にすぐに使える液体の形態であるときの上記ブロックコポリマー、例えば式(I)のブロックコポリマーの最終濃度は1mg/ml〜50mg/ml、例えば5mg/ml〜30mg/mlである。
一般に、本発明医薬組成物は、用量単位当たり500IU〜10000IUの範囲のFVII/VIIaの活性度を得るのに適した量のFVII/VIIaを含む。
例として、2000IU/mgの比活性度を有するFVII/VIIaでは、5000IUでの本発明の医薬組成物の用量単位は、ミセル中に導入または封入された2.5mgのFVII/FVIIaを含む。さらに、FVII/VIIa:コポリマー質量比が10:100である本発明医薬組成物では、上記用量単位は、ミセル形態の上記コポリマー、例えば式(I)のコポリマーの量であり、25mgの上記コポリマーである。さらに、上記コポリマーの最終濃度が25mg/mlである医薬組成物の実施例では、上記用量単位は直ちに使える液体の形態であるときに1mlの容積である。
医薬組成物が溶液から成る本発明医薬組成物の実施例では、医薬組成物が0.1mg/ml〜10mg/mlのFVII/FVIIaを含む。これらの実施例の一部では、上記組成物は0.5mg/ml〜5mg/mlのFVII/FVIIaを含む。これらの実施例は、約1mg/mlのFVII/FVIIaを含む医薬組成物を包含する。
本発明の医薬組成物のある提示形態では、液体形態の組成物を複数の用量単位に十分な容積の瓶に充填でき、この複数の用量単位を取り出して注射器の容器に連続して充填し、この注射器を続いて、非経口投与による上記組成物の投与に使用することは理解できよう。
一般に、本発明の医薬組成物はその非経口投与、例えば皮下投与、皮内投与および静脈内投与に適している。静脈内投与が好ましい。
本発明の医薬組成物は一般に凝固障害を予防または治療するためのものである。本発明の医薬組成物は任意の周知の医学的徴候およびFVII/VIIa全般で引き続いて認識される任意の医学的徴候に用いられる。
本発明の医薬組成物は例えば、因子VIIの構造上単独欠失に関係した出血事象の治療に使用できる。
本発明の医薬組成物はさらに、因子VIIの構造上単独欠失の場合の且つ患者の病歴に関係した出血事象の予防に使用できる。
本発明の医薬組成物は特に、下記の患者群の外科手術中または侵襲的処置中に生じる出血症状の治療および出血の予防に適している:
(1)> 5 ベセスダ単位 (BU)の力価を有する凝固因子VIIIに対する阻害剤を有する先天性血友病患者、
(2)因子VIIIの投与に対する強い既往反応が予測できる先天性血友病患者。
本発明の医薬組成物は特に、下記の患者群の外科手術中または侵襲的処置中に生じる出血症状の治療、および、出血の予防に適応とされる:
(1)>5ベセスダ単位(BU)の力価を有する凝固因子IXに対する阻害剤を有する先天性血友病患者、
(2)因子IXの投与に対する強い既往反応が予測できる先天性血友病患者、
(3)後天性血友病患者、
(4)先天性FVII欠失患者、および
(5)抗−GPIIb−IIIaおよび/または抗−HLA抗体を有し、且つ血小板輸血に対する(既往または現)反応の欠如を示すグランツマン血小板無力症患者。
さらに他の観点では、本発明の対象は(i)親水性ポリマーセグメントおよび(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセルに封入された因子VIIを含む医薬組成物であって、この組成物は、それが非経口投与されるときに、一つまたは複数の下記の特徴を有する薬物動態プロファイルを発生するのに適している医薬組成物にある:
(1)AUC(曲線下面積)値が同量のFVIIを封入していない比較組成物で得られるAUC値より10%以上高い、
(2)MRT(平均滞留時間)値が少なくとも2時間であり、
(3)CL(クリアランス)値が最大で200ml/kg/時である。
既に述べたように、MRTおよびCLの値は7週齢のウイスター系ラットから得るのがよい。
以下、上記医薬組成物の具体例を詳細に説明する。
本発明の他の対象は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基をもっぱら含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている、薬物として用いるための因子VIIにある。
本発明のさらに他の対象は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基をもっぱら含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている、凝固障害を治療するための因子VIIにある。
本発明のさらに他の対象は、(i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセルに封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基をもっぱら含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている因子VIIの、凝固障害を治療するための薬物の製造での使用にある。
本発明の一実施例では、本発明の医薬組成物を例えば下記(1)および(2)によっての出血事象の治療に使用できる:
(1)中程度の事象において15〜20IU/kgのFVII/VIIaの用量に必要な上記組成物の量の投与、および
(2)重篤な事象において30〜40IU/kgのFVII/VIIaの用量に必要な上記組成物の量の投与、その後に、20IU/kgのFVII/VIIaの容量を、間を置いて次々と6〜8時間で投与して、出血事象の消散まで因子VIIレベルを35%〜45%に維持する。
本発明の一実施例では、本発明の医薬組成物を外科手術の治療に使用できる、すなわち、外科手術のときに50%以上の循環因子VIIレベルを得るために、30〜40IU/kgのFVII/VIIaの初回量に必要な本発明の医薬組成物の量を、外科手術の1時間前に投与し、手術の直前に因子VIIレベルをテストする。本発明の医薬組成物のそれに続く用量を6〜8時間ごとに投与し、その後の数日間(1)または(2)のようにする:
(1)簡単な外科的処置の場合は、循環因子VIIレベルを20〜30%に維持し;
(2)大手術の場合は、循環因子VIIレベルを35〜45%に維持する。
因子VIIレベル補正および生物学的モニタリングの持続時間は、臨床的症状および出血のリスクに適している。
本発明の一実施例では、本発明の医薬組成物を予防的治療に使用できる。すなわち、本発明の医薬組成物は反復性出血事象、例えば、因子VII欠失が<5%である患者で関節血症の予防に適応ができる。本発明医薬組成物の有効用量は、20〜30IU/kgのFVII/VIIaの投与量に必要な用量であり、且つ、数週間〜数カ月の間、週に少なくとも2〜3回投与するほうがよい。これは、出血予防に関する結果に従って、調節するほうがよい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
式(I)のブロックコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む医薬組成物を製造するための第1シリーズ
A 医薬組成物の製造方法
A.1. コポリマー
式(I)の2つのタイプの自己会合コポリマーを用いた。ここではR2基は(i)「PEG-pGlu(OC8)-Ac」で表される未置換のオクチル鎖または(ii)「PEG-pGlu(OBn)-Ac」で表されベンジル基である。
PEG-pGlu(OC8)-Acコポリマーは下記の式(I−A)を有する:
Figure 2014524416
(ここで、R1基は分子量が10kDaのポリエチレングリコール鎖であり、この鎖のポリ(グルタミン酸塩)鎖は40個のグルタミン酸単位(x=40)を含み、ポリ(グルタミン酸塩)鎖の40の構成グルタミン酸単位中36のグルタミン酸単位が置換され、グルタミン酸残基をオクチル基で置換する置換率は0.9であるる)。
PEG-pGlu(OBn)-Acコポリマーは下記の式(I−B)を有する:
Figure 2014524416
(ここで、R1基は分子量が10kDaのポリエチレングリコール鎖であり、この鎖のポリ(グルタミン酸塩)鎖は40のグルタミン酸単位(x=40)を含み、ポリ(グルタミン酸塩)鎖の40の構成グルタミン酸単位中36のグルタミン酸単位が置換され、、グルタミン酸残基をベンジル基で置換する置換率は0.9である)。
A.2 因子VII/VIIa
Laboratoire Fran軆ochais du Fractionnement et des Biotechnologiesによる特許文献3(PCT出願第WO2007/138199号公報)の開示に従ってウサギ乳汁で産生した組換えヒト因子VII/VIIaを用いた。
精製した組換えヒトFVII/VIIaの比活性度は2000IU/mgである。
A.3 PEG-pGlu(OC8)-Acコポリマーのミセル中またはPEG-pGlu(OBn)-Acコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む医薬組成物の製造
A.3.1. PEG-pGlu(OC8)-Ac のミセルを含む組成物
pH 5の10mM MES 緩衝液と10%スクロースを含む最終容積が2.4mlの水溶液に4oCで (i) 0.36mgの上記組換えヒトFVII/VIIaおよび(ii) 3.6mgのPEG-pGlu(OC8)-Acを添加する。
混合物中でのFVII/VIIaおよびPEG-pGlu(OC8)-Acは質量比が10:100である。この混合物を4℃で24時間のインキュベーションした後のPEG-pGlu(OC8)-Ac分子は自己会合し、組換えヒトFVII/VIIaを封入するミセルを形成した。
A.3.2. PEG-pGlu(OBn)-Acのミセルを含む組成物
pH 5の10mM MES 緩衝液と10%スクロースを含む最終容積が2.4mlの水溶液に4oCで(i) 0.36mgの組換えヒトFVII/VIIaおよび(ii) 3.6mgのPEG-pGlu(OBn)-Acを添加する。
混合物中でのFVII/VIIaおよびPEG-pGlu(OBn)-Acは質量比が10:100である。この混合物を4℃で24時間のインキュベーションした後のPEG-pGlu(OBn)-Ac分子は自己会合し、組換えヒトFVII/VIIaを封入するミセルを形成した。
B. 薬物動態アッセイ
B.1 動物
7週齢のウイスター系ラットを用いた。
B.2. 投与プロトコル
3匹のラットから成るグループを用いた。同じグループのラットには同じ治療を行う。ミセルを含まないFVII/VIIa溶液を第1グループの3匹のラットに600IU/kgの用量で静脈内投与した。
第2グループの3匹のラットにはPEG-pGlu(OC8)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの溶液を600IU/kgの用量で静脈内投与した。
第3グループの3匹のラットにはPEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの溶液を600IU/kgの用量で尾静脈内投与した。
B.3. 薬物動態プロファイルの測定
Diagnostica Stago社から商品名「Asserachrom(登録商標)VII:Ag」で市販のFVII ELISA検出キットによって、3つの配合物のそれぞれに対して薬物動態プロファイルを下記プロトコルを用いて作った:
(1)ラット血漿を、最終濃度が0.1%の界面活性剤溶液によって4℃で1時間、前処理し、ミセルを溶解させて、ミセルにまだ封入されているFVIIaを全て放出する。
(2)既知量のポリマーの干渉可能性を考慮してミセルの存在下で標準曲線を適合させる(「図1」)。
各ラットごとに血漿FVII/VIIa濃度を投与後の下記の経過時間に測定した:5分、0.5時間、1時間、2時間、8時間、24時間および48時間。
結果は[図2]に示す。
[図2]の結果から、PEG-pGlu(OC8)-AcまたはPEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaは時間をかけて連続放出され、相当量のFVII/VIIaは24時間後 (PEG-pGlu(OBn)-Ac)、さらには48時間後(PEG-pGlu(OBn)-Ac)もまだ放出されていることがわかる。
実施例2
式(I)のブロックコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む医薬組成物を製造するための第2シリーズ
A. 医薬組成物の製造方法
実施例1に記載のプロトコルを用いて下記の5つの配合物を調製した:
(1)pH 5のMES緩衝液中にミセルを含まないFVII/VIIaの配合物(以下「FVII 溶液(pH 5)」という);
(2)pH 6の燐酸緩衝液中にミセルを含まないFVII/VIIaの配合物(以下「FVII 溶液(pH 6)」という);
(3)FVII/:PEG-pGlu(OC8)-Ac質量比がpH 5で0.5:10である、PEG-pGlu(OC8)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの配合物(以下「5% C8ミセル(pH 5)」という);
(4)FVII/:PEG-pGlu(OC8)-Ac質量比がpH 5で1:10である、PEG-pGlu(OC8)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの配合物(以下「10% C8ミセル(pH 5)」という);
(5)FVII/: PEG-pGlu(OBn)-Ac質量比がpH 5で1:10である、PEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの配合物(以下「10% Bnミセル(pH 5)」という)。
B. 薬物動態アッセイ
実施例1と同じ条件下で薬物動態アッセイを行った。
結果は[図3]に示す。
[図3]の結果から、PEG-pGlu(OC8)-AcまたはPEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaは時間をかけて連続放出され、相当量のFVII/VIIaが24時間後 (PEG-pGlu(OBn)-Ac)、さらには48時間後(PEG-pGlu(OBn)-Ac)にもまだ放出されていることがわかる。
[図3]の結果から、さらに、2つのFVII/VIIa配合物:(i)5% C8 ミセル(pH 5)および(ii)10% C8ミセル (pH 5)に封入された配合物で、同一の薬物動態プロファイルが得られることがわかる。
テストした配合物の一部の薬物動態プロファイルの各特性値を[表1]に示す。
Figure 2014524416
[表1]の結果から、最良の薬物動態プロファイルパラメータは式(I)のコポリマーから形成されたミセル中に封入された組換えヒトFVII/VIIaを含む医薬組成物の各実施例で得られることがわかる。
式(I)のコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaの組成物のAUC値は特に注目できる。この値は、ミセルを含まないFVII/VIIaの対応する配合物で測定されたAUCより、それぞれ2.3倍(PEG-pGlu(OBn)-Ac)および2.9倍(PEG-pGlu(OC8)-Ac)大きい。
さらに、[表1]の結果から、血流中のFVII/VIIa に対するMRT滞留時間値はミセルを含まないFVII/VIIaの対応する配合物で測定されたMRT値よりそれぞれ3.7倍(PEG-pGlu(OBn)-Ac)および11.9倍(PEG-pGlu(OC8)-Ac)大きいことがわかる。
さらに、[表1]の結果から、PEG-pGlu(OC8)-Acベースの配合物で得られる薬物動態プロファイルはPEG-pGlu(OBn)-Acベースの配合物で得られる薬物動態プロファイルより有利であることがわかる。
実施例3
式(I)のブロックコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む医薬組成物を製造するための第3シリース
A. 医薬組成物の製造方法
実施例1に記載のプロトコルを用いて下記の3つの配合物を調製した:
(1)pH 5のMES緩衝液中にミセルを含まないFVII/VIIaの配合物;
(2)FVII/:PEG-pGlu(OC8)-Ac質量比がpH 5で0.5:10である、PEG-pGlu(OC8)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの配合物;
(3)FVII/: PEG-pGlu(OBn)-Ac質量比がpH 5で0.5:10である、PEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaの配合物(以下「5% Bnミセル(pH 5)」という)
B. 薬物動態アッセイ
実施例1と同じ条件下で薬物動態アッセイを行った。
結果は[図3]に示す。
[図3]の結果から、PEG-pGlu(OC8)-AcまたはPEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFVII/VIIaは時間をかけて連続放出され、相当量のFVII/VIIaは24時間後 (PEG-pGlu(OBn)-Ac)、さらには48時間後(PEG-pGlu(OBn)-Ac)にもまだ放出されていることがわかる。
テストした3つの配合物の薬物動態プロファイルの特性値は[表2]に示す。
Figure 2014524416
[表2]の結果は式(I)のコポリマーから形成されたミセル中に封入された組換えヒトFVII/VIIaを含む医薬組成物の各実施例で得られるより良い薬物動態プロファイルパラメータであることを示す。
式(I)のコポリマーのミセルに封入されたFVII/VIIaの組成物のAUC値は特に注目できる。この値はミセルを含まないFVII/VIIaの対応する配合物で測定されたAUCより、それぞれ3.2倍(PEG-pGlu(OBn)-Ac)および4.0倍(PEG-pGlu(OC8)-Ac)大きい。
さらに、[表2]の結果から、血流中のFVII/VIIa に対するMRT滞留時間値はミセルを含まないFVII/VIIaの対応する配合物で測定されたMRT値より、それぞれ3.0倍(PEG-pGlu(OBn)-Ac)および8倍(PEG-pGlu(OC8)-Ac)大きいことがわかる。
さらに、[表2]の結果から、PEG-pGlu(OC8)-Acベースの配合物で得られる薬物動態プロファイルは、PEG-pGlu(OBn)-Acベースの配合物で得られる薬物動態プロファイルより有利であることがわかる。
[図4]は実施例2、4でテストした各配合物で得られた薬物動態結果の要約を示している。
[図4]の結果から、一般に、テストした式(I)のコポリマーのミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む組成物とは無関係に、優れた薬物動態プロファイルが得られることがわかる。
[図5]の結果からさらに、実施例に記載の範囲にあるFVII:コポリマー比、すなわち、5:100~10:100とは無関係に、FVII/VIIa のAUC 値が同様に増加することがわかる。
テストしたミセルを含む全ての配合物において、血流中のFVII/VIIaの平均滞留時間(MRT)の大幅な増加が測定された。
[図4]の結果からさらに、PEG-pGlu(OC8)-Acから形成されるミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む配合物で得られる結果の方が、PEG-pGlu(OBn)-Acから形成されるミセル中に封入されたFVII/VIIaを含む配合物で得られるものより良いことがわかる。
実施例4(比較例)
PEG-pGlu(OC8)-AcまたはPEG-pGlu(OBn)-Acから形成されるミセル中に封入されたFIXの調製物
A. 比較例の調製物の製造方法
実施例1に記載のプロトコルを用いて下記の4つの調製物を作った:
(1)pH 4の燐酸緩衝液中にミセルを含まないFIXの配合物(以下「FIX溶液(pH 4)」という);
(2)pH 6の燐酸緩衝液中にミセルを含まないFIXの配合物(以下「FIX溶液(pH 6)」という);
(3)FIX:PEG-pGlu(OC8)-Ac質量比が 1:10である、pH 4の燐酸緩衝液中でPEG-pGlu(OC8)-Acのミセルに封入されたFIXの配合物(以下「10% C8ミセル (pH 4)」という);
(4)FIX:PEG-pGlu(OC8)-Ac質量比が 1:10である、pH 6の燐酸緩衝液中でPEG-pGlu(OC8)-Acのミセルに封入されたFIXの配合物(以下「10% C8ミセル (pH 6)」という);
(5)FIX:PEG-pGlu(OBn)-Ac質量比が 1:10である、pH 4の燐酸緩衝液中でPEG-pGlu(OBn)-Acのミセルに封入されたFIXの配合物(以下「10% Bnミセル (pH 4)」という);
(6)FIX:PEG-pGlu(OBn)-Ac質量比が 1:10である、pH 6の燐酸緩衝液中でPEG-pGlu(OBn)-Acのミセルに封入されたFIXの配合物(以下「10% Bnミセル (pH 6)」という)
LFB社から商品名Betafact(登録商標)で市販の精製ヒトFIXを用いて調製物を製造した。
C. 薬物動態アッセイ
Diagnostica Stago社から商品名「Asserachrom(登録商標)IX:Ag」で市販のFIX ELISA検出キットによって、FIXを200 IU/kgの用量で用いて、実施例1と同じ条件下で薬物動態アッセイを行った。
結果は[図6]に示す。
[図7]の結果から、PEG-pGlu(OC8)-AcまたはPEG-pGlu(OBn)-Acのミセル中に封入されたFIXは、ミセルを含まない配合物中に存在するFIXの動態学と同じ動態学に従って放出されることがわかる。
従って、[図6]の結果から、式(I)のコポリマーから形成されるミセル中のヒトFIXの配合物はその薬物動態プロファイルを変更しないことがわかる。
これらの結果から、FVII/VIIaの改良された医薬組成物を調製するために本発明に従って開発された技術的課題は、別の凝固因子の改良された組成物の調製に置き換えすることは全くできないことがわかる(その別の凝固因子がFVII/VIIaと共通の多くの構造上および機能上の特性を有するにもかかわらず)。
実施例5
ブロックコポリマーミセル中のFVII封入後のFVII活性の維持
材料と方法
A.1.生成物
実施例5の目的は、本明細書に記載の式(I)のブロックコポリマーのミセル中に封入された因子VIIを含む医薬組成物中の因子VII活性の維持をテストすることにある。この実施例の医薬組成物はFVIIa−SR(FVIIa徐放維持)ともよばれる。
テストは非封入FVII因子を含む比較例の医薬組成物を含めて行った。この実施例ではこの比較例の医薬組成物をFVIIa−IR(FVIIa即時放出)ともよぶ。
FVIIaのソースはLaboratoire Fran軆ochais du Fractionnement et des Biotechnologiesによる特許文献3(国際公開第WO2007/138199号公報)の開示に従ってヒトFVIIに対してトランスジェニクであるウサギの乳汁から精製した組換えヒトFVIIaにした。
FVIIa-SR医薬組成物では、クエン酸ナトリウム1.5g/Lと10%スクロースを含む水溶液中で、タンパク/ポリマー質量比を10:100にして、pGlu(OC8)-Ac のミセル中にFVIIaを封入した。pH は5.2に調節した。FVIIa濃度は0.4g/L~1.1g/Lにした。
A.2. Elisaアッセイ
FVII滴定は、FVII ELISAキットAsserachrom(登録商標)、すなわちDiagnostica Stago社からのAgで、このメーカーの使用説明書に従って行う。
A.2. FVII凝固時間テスト
BCS XP 機 (Siemens)で実施した時間測定法によるFVIIa滴定では、組換え可溶性組織因子、リン脂質およびカルシウムの存在下で、サンプルを希釈してFVIIaを除く全ての因子が過剰である溶液中の凝固時間を測定する。FVIIa滴定はメーカーの使用説明書に従って行った。
ELISAとFVII凝固時間テストの両方でサンプルを前処理する。ラット血漿を、界面活性剤溶液(0.1%の最終濃度でNP-40)によって4℃で1時間、前処理し、ミセルを溶解させて、ミセルに以前に封入されたFVIIaを全て放出させる。
B. 結果
結果を[表3]に示す。
Figure 2014524416
[表3]に示す結果から、FVIIaを本特許出願に記載のブロックコポリマーのミセル中に封入したときに、FVIIa活性が変わらないことがわかる。
実施例6
ブロックコポリマーのミセル中に封入された因子VIIを含む医薬組成物の有効性の試験
A. 目的
実施例6の目的は、本明細書に記載の式(I)のブロックコポリマーのミセル中に封入された因子VIIを含む医薬組成物のインビボでの有効性をテストすることであった。この実施例の医薬組成物はFVIIa−SR(FVIIa徐放維持)ともよばれる。
テストは、非封入FVII因子を含む比較例の医薬組成物を含めて行った。この実施例では比較例の医薬組成物をFVIIa−IR(FVIIa即時放出)ともよぶ。
有効性試験としてテールクリップ(tail-clip)モデルを用いた。このモデルでは因子VIII欠失マウスまたは血友病Aマウスの尾端を切断する。これらのマウスは1%以下の正常の因子VIII活性を有し、且つ、同じ株の野生型マウスと比較して、テールクリップモデルにおいて失血の増加が認められる。
失血量を測定して、FVIIa-SR とFVIIa-IRのホメオスタシス効果を比較した。2つの用量のFVIIa-SRおよびFVIIa-IR (4mg/kgおよび8mg/kg)を投与し、注射後の2つの時点(5分および120分)を選択して失血を測定した。FVIIa-SRおよびFVIIa-IR有効性を、ネガティブおよびポジティブコントロール、すなわち、それぞれ生理食塩水(NaCl 0.9%)および因子VIII投与血友病Aマウスを用いて評価した。
B. 材料と方法
B.1.生成物
B.1.1. 活性成分
FVIIa源はLaboratoire Fran軆ochais du Fractionnement et des Biotechnologiesによる特許文献3(国際公開第WO2007/138199号公報)の開示に従ってヒトFVIIに対してトランスジェニクであるウサギの乳汁から精製した組換えヒトFVIIaにした。
FVIIa-SR医薬組成物では、クエン酸ナトリウム1.5g/Lと10%スクロースを含む水溶液中で、タンパク/ポリマー質量比を10:100にして、pGlu(OC8)-Ac のミセルにFVIIaを封入した。pH は5.2に調節した。FVIIa濃度を0.4g/L~1.1g/Lにした。
FVIIa-SRのバッチサンプルを0.4g/Lの最終タンパク濃度で調製した。
FVIIa-IRのバッチサンプルを0.4g/Lの最終タンパク濃度で調製した。
全てのバッチサンプルを使用するまで-70ーCで貯蔵した。テストのために、サンプルを室温で解凍し、3時間以内に動物に注射した。
B.1.2. ポジティブコントロール
1000 IU/mLの市販のヒト血漿由来因子VIII Factane (登録商標) (FAC, LFB, Les Ulis, France)を因子VIIIとして用いた。各バイアルを使用するまで4ーCに維持した。FVIIIを20mLの蒸留水で50 IU/mLまで再懸濁し、次いで、PBS (PAA laboratories, Les Mureaux, France) で10 IU/mLに希釈し、3時間以内に動物に注射した。
B.1.3. ネガティブコントロール生成物
血友病Aのネガティブコントロール生成物として0.9%の塩化ナトリウム溶液を用いた。この生成物を室温で貯蔵した。
B.2. 動物
B.2.1. 遺伝的背景および飼育
因子VIII欠失マウスコロニーを用いた。8~12週齢の85匹のマウスを用いた。エクソン16因子VIII欠失マウスまたは血友病AマウスのつがいをThe Jackson laboratory (Bar Harbor, ME, USA)から購入した。これらの動物をC57BL/6 WT マウス(Janvier, Le Genest-St-Isle, France)まで8世代にわたって戻し交配した。同様の遺伝的背景を保証するために、コントロールC57BL/6 WTマウスを血友病Aの最後の戻し交配で産生した。マウスはフランスの法令および欧州連合の実験指針によって推奨されているように飼育した。温度、湿度測定、換気を制御且つ記録した。乾燥した標準的げっ歯類食餌および真水を適宜与えた。
B.2.2. 処置
この試験では合計で85匹の血友病Aマウスを用いた。実験時に、麻酔薬および産物投与量のためにマウスの体重を計った。産物投与の3分前に、尾を37℃の水浴に漬けた。次いで、マウスをマウス保定器に入れ、マウスの尾静脈に接触して産物投与する間、この動物を的確に拘束する。産物投与直後に、トリブロムエタノールを0.02mL/1.25% 溶液の体重gの投与量で腹腔内注射してマウスに麻酔をかけた。実験中の動物の体温は37℃に一定に維持した。
B.2.3. 投与計画
テストした生成物を[表4]に開示するように注射した。手短に言えば、FVIIa−IRまたはFVIIa−SRの2つの用量を血友病Aマウスに投与した。第1の用量は10匹のマウスに注射した各生成物ごとに4mg/kgにした。コントロールとして、FVIIIをFVIII:Cが100IU/kgになる用量で11匹の血友病Aマウスに注射した。さらに、19匹の血友病AマウスにNaCl 0.9%を注射した。全ての生成物において、注射容積は、注射する生成物の用量および濃度に応じて、200〜250 オlであった。この用量のFVIIa(SR (4mg/kg)で得られる結果に基づいて、別の用量の8mg/kgをテストした。この新規な用量に関して同数の動物(10匹)を用いた。これらの用量の効果を生成物投与の5分後にテールクリップモデルで評価した(詳細は[表4]参照)。次いで、15〜18匹の血友病Aマウスに8mg/kgのFVIIa−IRおよびFVIIa−SRをそれぞれ注射した。これらの用量の効果を生成物投与の120分後にテールクリップモデルで評価した。
Figure 2014524416
B.2.4. テールクリップモデル
テールクリップまたはトランザクションテールモデル
マウスの尾出血時間を、トリブロムエタノール麻酔下にテールクリップアッセイを用いて実行した。メスを用いて麻酔をかけたマウスの尾端を3mm切断した。第1グループの動物では、FVIIa-SR効率の最適な用量を求めるために、尾のトランザクションを生成物投与の5分後に行った。次いで、第2グループの動物では、FVIIa−IR効率が検出できなくなるが、血友病Aマウスの失血を治すためにできればFVIIa−SRはまだ効率的であってほしい時点(2時間)で、トランザクションを行った。
試験したパラメータ
切断した尾をトランザクションの直後に、温かい生理食塩水で満たした50ml管に浸した。血液を37℃で30分間回収した。30分後、血液と生理食塩水の混合物を1500gで遠心分離した。次いで、赤血球ペレットをH2O中に溶解し、ヘモグロビンの量を416 nmの吸光度の読取りによって得た。各サンプルの失血量を標準曲線から計算した。標準曲線は規定容積(20オl, 40オl, 60オL, 80オlおよび100オl) のマウス血液を H2O中に溶解し、上述のヘモグロビンを抽出することによって得た。実験の最後に、全ての動物に麻酔をかけて頸椎脱臼により安楽死させた。
B.2.5. 統計分析
マンホイットニーのU検定(Mann-Whitney U-test)は、KaleidaGraph(登録商標)ソフトウェア (version 1.0, Synergy Software, Reading, PA, USA).を用いて、2つのグループの間の失血に統計的差異を判定した。統計的差異はP<=0.05のときに認められた。
C. 結果
C.1 注射の5分後のテールクリップモデルにおけるFVIII およびNaCl 0.9%のテストコントロール
血友病Aマウスにおけるテールクリップモデルを確証するために、FVIIIを100IU/kgでテストした。FVIIIまたはNaCl 0.9%投与の5分後に失血を測定した。結果を[表5]および[図7]に示す。100 IU/kgでのFVIIIの投与は、ネガティブコントロールグループ(NaCl 0.9%)と比較して、失血の有意な減少(P=0.0001, マンホイットニーのU検定)を誘発した
Figure 2014524416
C.2. 注射の5分後のテールクリップモデルにおけるFVIIa−SRの投与効果
2つの用量のFVIIa−SR (4および8mg/kg)を血友病Aマウスに投与した。結果は[表6]および[図7]に示す。生成物投与の5分後に失血を測定した。データの統計学的評価から、4mg/kg のFVIIa−IRの投与は、ネガティブコントロールグループと比較して失血の有意な減少(P=0.043)を誘発したことがわかった。それに対して、同じ用量(4mg/kg)のFVIIa−SRでは、有意でない減少および失血に全く影響を与えない(P=0.731)ことが観察された。しかし、8mg/kg のFVIIa−SRの投与は、ネガティブコントロールグループと比較して失血に有意な減少(P=0.028)を誘発した。これらのデータに基づいて、テールクリップモデルにおける血友病Aマウスの失血の減少を誘発するFVIIa−SRの能力は8mg/kgの用量でさらに評価された。[図7]ではFVIIa−SRおよびFVIIa−IRを投与したケースがそれぞれF7−SRおよびF7−IRとして示される。
Figure 2014524416
C.3. 注射の120分後のテールクリップモデルにおけるFVIIa−SRの持続効果
投与の120分後の失血の有意な減少を誘発するFVIIa−SRとFVIIa−IRの両方の能力を評価および比較するために、両方の分子を8mg/kgで血友病Aマウスに投与した。結果は[表7]および[図7]に示す。データの統計学的評価から、FVIIa−IRの投与はネガティブコントロールグループと比較して、失血に全く効果がない(P=0.856)ことがわかった。それに対して、同じ用量(8mg/kg)のFVIIa−SRでは、ネガティブコントロールグループと比較して、失血に有意な減少 (P=0.005)が観察された。
Figure 2014524416
C.4. 結果の要約
FVIIa−SRは、血友病Aマウスのインビボテールクリップモデルにおける失血を補正する有意な能力を示した。8mg/kgでのその投与の120分後、および、5分後に、この生成物は失血を有意に減らすことができ、一方、同じ条件下でFVIIa−IRではそれができない。

Claims (16)

  1. (i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと、(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されたミセル中に封入された因子VIIを含む医薬組成物であって、上記ポリアミノ酸が、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群の中から選択されるアミノ酸残基だけを含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されていることを特徴とする因子VIIを含む医薬組成物。
  2. 式(I)のコポリマーから形成されるミセル中に封入された因子VIIを含む請求項1に記載の医薬組成物:
    Figure 2014524416
    (ここで、
    R1はポリアルキレングリコール鎖を表し、
    R2は(i)5〜18個の炭素原子を含むアルキル鎖および(ii)ベンジル基から選択される基であり、
    xは10〜100の整数であり、
    nは1〜x−1である整数であり、
    側鎖に疎水基を有するサブユニットおよび側鎖にカルボン酸基を有するサブユニットは疎水性ポリマーセグメント全体にわたってランダムに分散している)。
  3. 式(I)のコポリマーにおいてR1基がポリエチレングリコール鎖を表す請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 式(I)のコポリマーにおいてR2基が8個の炭素原子を含む未置換アルキル鎖である請求項2または3に記載の医薬組成物。
  5. 式(I)のコポリマーにおいてxが40である請求項2〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 式(I)のコポリマーにおいてn/xの値が少なくとも0.1且つ1.0以下、好ましくは0.9である請求項2〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. ポリアルキレングリコール鎖の分子量が8kDa〜15kDa、好ましくは10kDa〜12kDaである請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 因子VIIとコポリマーとの質量比が1:100wt:wt〜50:100wt:wt、好ましくは5:100wt:wt〜20:100wt:wtである請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 因子VIIが(i)血漿から精製した非組み換え因子VIIおよび(ii)組換え因子VIIから選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 因子VIIが、必要に応じてアミノ酸の置換または欠失を含む組換えヒト因子VIIである請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 液体または凍結乾燥物の形態をしている請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. pHを4.5〜6.5、好ましくは5〜6の値に調整するための緩衝液をさらに含む請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 非経口投与した時に下記の特徴(1)〜(3)の一つまたは複数を有する医薬プロファイルを生じるのに適した、(i)親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIを含む医薬組成物:
    (1)AUC(曲線下面積)値が同量のFVIIを封入していない比較組成物で得られるAUC値より10%以上高い、
    (2)MRT(平均滞留時間)値が少なくとも2時間で、且つ
    (3)CL(クリアランス)値が最大で200ml/kg/時である。
  14. (i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群の中から選択されるアミノ酸残基のみを含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている、医薬として用いるための因子VII。
  15. (i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと、(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群から選択されるアミノ酸残基のみを含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている、凝固障害を治療するための因子VII。
  16. (i)ポリアルキレングリコールから成る親水性ポリマーセグメントと、(ii)ポリアミノ酸から成る疎水性ポリマーセグメントとを含むブロックコポリマー分子から形成されるミセル中に封入された因子VIIであって、このポリアミノ酸がヒスチジン、リシン、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基から成る群の中から選択されるアミノ酸残基のみを含み、このアミノ酸残基の一部が疎水基で置換されている因子VIIの、凝固障害を治療するための医薬製造での使用。
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